説明

アクセル装置

【課題】アクセル装置の小型化と回転角度を示す信号の安定化と出力精度の向上を図る。
【解決手段】アクセル操作を行うためのアクセル装置は、前記グリップの回転に伴なって回転する回転体4と、当該回転体4の回転に伴なって回転する磁石5と、当該磁石5の回転角度を求めるための回転角度検出手段6とを備える。また、回転体4を付勢することにより、グリップ1を原点位置に復帰させる付勢手段を備える。また、回転体4と回転角度検出手段6との間を仕切る仕切り部材8を備える。仕切り部材8に回転角度検出手段6が固定されるとともに、回転体4が回転自在に保持されている。また、付勢手段7は、回転体4を回転方向に付勢するとともに、仕切り部材8に向けて付勢している。これにより、磁石5に対する回転角度検出手段6の位置の変化を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルバーの軸心周りに所定の原点位置から往復回転可能に当該ハンドルバーに設けられたグリップの回転角度に基づいて信号を出力するアクセル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動二輪車等の操作装置にハンドルバーを有し、かつ、エンジン等の駆動装置を有する車両においては、ハンドルバー部分にアクセル操作を行うためのグリップが設けられている。
グリップは、概略円筒状を有して、ハンドルバーの端部に外挿された状態で、当該端部に回転自在に配置され、その回転量(回転角度)により、例えば、スロットル弁の開度を変更可能としている。
【0003】
従来は、グリップとスロットル弁が例えばワイヤで連動するように構成されていたが、近年、自動二輪車でもキャブレターに代えて燃料噴射装置が用いられることから、グリップの回転角度を測定して、測定された回転角度を信号として出力し、当該信号に基づいてスロットル弁の開度の制御や、燃料噴射装置における燃料の噴射量の制御が行われている。
【0004】
グリップには、当該グリップの回転角度(回転量)の増減を検出する回転角度検出手段が設けられており、グリップの回転角度に応じた信号を出力するようになっている。
そして、グリップを、操作者の手で一方の回転方向に操作することにより、一方の回転方向への回転角度が増大することが回転角度検出手段に検出されて、回転角度の増大を示す信号が制御装置に出力され、例えば、スロットル弁の開度を大きくするように制御される。
【0005】
また、操作者が一方の回転方向に回転したグリップを他方の回転方向に戻すように回転させるか、操作者が手を離すことによりグリップに連結された付勢手段がグリップを他方の回転方向に戻すように回転させると、一方の回転方向への回転角度が減少することが回転角度検出手段に検出され、回転角度の減少を示す信号が制御装置に出力され、例えば、スロットル弁の開度を小さくするように制御される。
そして、グリップの回転角度を検出する回転角度検出手段としては、例えば、ポテンショメータや、グリップに連動して回転する磁石とホール素子や磁気抵抗素子等の磁界(磁界の変化)を検出する検出素子からなるものなどが用いられている。
【0006】
基本的に、このようなアクセル装置は、グリップと、上述のようにグリップの回転角度を検出する回転角度検出手段と、グリップを原点側に復帰するように付勢する付勢手段とを備えるものである。
例えば、このようなアクセル装置としては、グリップに、当該グリップの一回転より少ない回転範囲に対応した円弧状のセクタ歯車が設けられている。当該セクタ歯車に連動するようにグリップより径の小さい歯車が噛み合わされている。そして、この歯車の一方の側面側に当該歯車と同軸上に回転角度検出手段としてのポテンショメータが設けられている。また、当該歯車と、グリップ側の両方にそれぞれを原点位置側に復帰させるための付勢手段を設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、この例において、歯車側の付勢手段は、歯車のポテンショメータ側に設けられている。
【0007】
別の例としては、グリップの基端側にグリップの周方向に沿って円弧状に設けられたセクタ歯車と、当該セクタ歯車に対してグリップの軸方向にずれた位置に当該セクタ歯車と重なるように円弧状に形成されるとともに磁石を備えた被検出体と、当該被検出体のグリップの回転に伴なう磁界の変化を検出する検出素子と、前記セクタ歯車に噛み合う小径の歯車と、当該歯車に設けられた原点復帰用の付勢手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらに、別の例として、グリップに、当該グリップと同軸上に配置されて一体に回転するローラを設け、当該ローラと当該ローラに隣接する回転体とのそれぞれの周囲に互いに噛み合う歯を設けてグリップと連動して回転体が回転するようにし、当該回転体に磁石のN極とS極とを設け、グリップに付勢手段を設けたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
また、この例において、磁石の移動による磁界の変化の検出に磁気抵抗素子が用いられている。そして、ケースに回転体の中心の凸部が挿入される凹部が設けられ、回転体はケースに回転自在に支持されている。また、磁気抵抗素子は、ケースに対向した状態に配置されてケースの開口を塞ぐカバーに固定されている。
なお、これらの例において、付勢手段は、例えば、ねじりコイルバネ等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−264876号公報
【特許文献2】特開2008−162420号公報
【特許文献3】特開2005−041259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前記特許文献1、特許文献3に示すように、グリップに付勢手段を設けた場合に、グリップの内側にはハンドルバーの端部が配置された状態なので、ハンドルバーの外側にねじりコイルバネを配置するような構成となり、スプリング径が大きくなって、アクセル装置の小型化を阻害する要因となる。
また、グリップに回転角度検出手段の被検出体として磁石を配置する場合にも、グリップ内にハンドルバーが挿入された状態なので、グリップと一緒に回転移動する磁石をハンドルバーの外周より外側の位置に配置する必要があり、アクセル装置の外径が大きくなる要因となる。
【0012】
また、アクセル操作時のグリップの回転角度は、それほど大きくなく、磁石の回転移動によって検出体が検出する磁気変化量を大きくする為には磁石を大きくする必要がある。
これらのことから、グリップ側に回転角度検出のための磁石を設ける構成とすると、アクセル装置の小型化が阻害される。
【0013】
また、上述の特許文献2および特許文献3に示すように、磁石の回転移動に基づく磁界の変化を検出素子で検知する構成において、グリップに磁石を設け、ハンドルバーに固定されたケースやカバー等に検出素子を固定した場合に、グリップと当該グリップの軸方向位置を規制するケースやカバーとの間のクリアランスや、これら部材の変形等で、検出素子に対して、グリップに設けられた磁石が当該グリップとともに、当該グリップの軸方向に移動する可能性がある。この場合、検出素子に対して磁石がグリップの軸方向に移動することになる。
そして、磁石が検出素子に対して軸方向に移動した場合、磁石が検出素子に対して回転移動のみした場合と比べ、検出素子の出力が変化してしまうことになり、グリップの回転角度の検出精度が悪化する。
【0014】
また、特許文献3においては、磁石がグリップではなく回転体に設けられ、検出素子がカバーに保持されており、グリップに走行時の衝撃及び外力が加わった場合、回転体を回転自在に保持する部分のクリアランスの変化やケースおよびカバー等の変形などにより、磁石を有する回転体に回転方向以外の移動が生じる。これにより、検出素子の出力が変化してしまう。
【0015】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、小型化を図ることができるとともに、グリップの回転角度の検出精度を向上することが可能なアクセル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のアクセル装置は、往復回転可能に設けられたグリップの回転角度に基づいて信号を出力するアクセル装置であって、
前記グリップの回転に伴なって回転する回転体と、
当該回転体の回転に伴なって回転する磁石と、
前記磁石の回転による磁界の変化に基づいて前記グリップの回転角度を求めるための回転角度検出手段と、
前記回転体を付勢することにより、前記グリップを原点位置に復帰させる付勢手段とを備え、
前記回転体の一方の側面には前記磁石が設けられ、前記回転体の他方の側面には前記付勢手段が備えられていることを特徴とするアクセル装置。
【0017】
請求項1に記載の本発明においては、グリップを原点位置に復帰させるための付勢手段と、グリップの回転角度の検出用の被検出体となる磁石とが、グリップの回転に伴なって回転する回転体に設けられているので、小型化を図ることができる。
すなわち、グリップはその内部にハンドルバーが挿入されていることにより、グリップに他の部材を設ける場合に、円筒状のグリップの内周側に設けることができず、外周側に設ける必要があり、部材を外周側に設けることで、グリップの部材が設けられた部分の径が大きくなり、小型化が困難となる。それに対して、回転体は、それ自体の径を小さくしたり、回転体の外周部分より内側に部材が配置可能となるので、回転体側に磁石や付勢手段を配置することで小型化を図ることができる。
【0018】
また、回転体の一方の側面に磁石を設け、他方の側面に付勢手段を設けることで、磁石の回転による磁界の変化を検出する回転角度検出手段(検出素子)が回転体の一方の側面側に設けられ、その反対側の側面に付勢手段が設けられるようにすることができるので、回転角度検出手段と付勢手段が回転体の同じ側に配置されて構造が煩雑になるのを防止し、アクセル装置の組み立て時の作業性の向上を図ることができる。また、付勢手段が回転体を回転角度検出手段側に付勢した状態とすることが可能となり、衝撃等による回転体と回転角度検出手段との位置の変位を防止し、当該変位による回転角度検出手段の出力変化を防止することができる。
【0019】
また、請求項2に記載のアクセル装置は、請求項1に記載の発明において、前記付勢手段と前記磁石とが同軸上に配置されていることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明においては、前記付勢手段と前記磁石とが同軸上に配置されていることにより、回転体の回転を円滑で安定したものとすることができる。例えば、回転体の軸受構造に僅かに回転体の軸心がずれるようなクリアランスがあるような場合に、円滑に回転することで回転体および磁石の回転中心のずれを防止し、磁石の回転角度を回転角度検出手段(検出素子)で検出する構成において、検出精度の向上を図ることができる。なお、前記付勢手段と前記磁石とは、その軸に対してほぼ対称な構造となっている必要があるとともに、前記回転体も同軸上に配置されていることが好ましい。
【0021】
請求項3に記載のアクセル装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記磁石を備える前記回転体と、前記回転角度検出手段との間に、これらの間を仕切る仕切り部材が設けられ、
前記仕切り部材には、前記回転体を回転自在に保持する軸受手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、前記磁石を備える回転体と、前記回転角度検出手段との間に仕切り部材が設けられているので、例えば、回転体の回転に伴なう磨耗粉が回転角度検出手段が設けられた側に侵入するのを阻止することができ、回転角度検出手段の検出素子等の電子機器に対する磨耗粉による影響を防止することができる。
また、回転体を回転自在に保持する軸受手段が仕切り部材に設けられ、仕切り部材において回転体の反対側に回転角度検出手段があるので、仕切り部材に対する回転体の軸方向の位置が安定する。この構成より、回転体の磁石と回転角度検出手段との位置関係の変位を防止し、当該変位による回転角度検出手段の出力変化を防止することができる。
【0023】
請求項4に記載のアクセル装置は、請求項3に記載の発明において、前記仕切り部材に前記回転角度検出手段が保持され、
前記回転角度検出手段、前記回転体および前記磁石が同軸上に配置されていることを特徴とする。
【0024】
請求項4に記載の発明においては、仕切り部材の一方の側面側に回転体が軸受手段により保持され、仕切り部材の他方の側面側に回転角度検出手段が保持されるので、仕切り部材が移動してしまうような場合があっても、回転角度検出手段と、回転体に設けられた磁石との位置関係が変位することがなく、当該変位による回転角度検出手段の出力変化を確実に防止することができる。
【0025】
また、前記回転角度検出手段、前記回転体および前記磁石が同軸上に配置されているので、回転体が回転しても、回転角度検出手段と、磁石との間の距離の変位が生じないことになり、当該変位による回転角度検出手段の出力変化を確実に防止することができる。これにより、回転角度検出手段から出力される信号の出力精度が向上する。なお、回転角度検出手段の軸心となる位置に検出素子が配置されている必要がある。
特に、仕切り部材に回転角度検出手段が保持されているので、仕切り部材に磁石を有する回転体の軸受手段と、回転角度検出手段とが保持されることで、仕切り部材に対してこれらの位置関係が変化しないことから、より確実に回転角度検出手段と、磁石との間の距離の変位を防止し、当該変位による回転角度検出手段の出力変化を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アクセル装置の小型化を図ることができるとともに、検出体に対する被検出体(磁石)の位置を安定に維持させることで、回転角度の検出精度と信頼性を向上できるとともに、信号出力の出力特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアクセル装置を示す斜視図である。
【図2】前記アクセル装置を示す断面斜視図である。
【図3】前記アクセル装置を示す分解斜視図である。
【図4】前記アクセル装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るアクセル装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態のアクセル装置を示す斜視図、図2は前記アクセル装置を示す断面斜視図、図3および図4はアクセル装置を示す分解斜視図である。
アクセル装置は、図示しないハンドルバーの端部が挿入されて、ハンドルバーに配置された円筒状のグリップ1と、グリップ1の基端部の周囲を囲むように配置されるケース2と、ケース2に固定されるカバー3とを備えている。
【0029】
また、アクセル装置のケース2およびカバー3内には、グリップ1の回転に伴なって回転する回転体4と、当該回転体4の回転に伴なって回転する磁石5と、当該磁石5の回転による磁気量の変化に基づいてグリップ1の回転角度を求めるための回転角度検出手段6と、回転体4を回転方向に付勢することにより、グリップ1を原点位置に復帰させる付勢手段7とが設けられている。
また、この例においては、アクセル装置に、磁石5を備える回転体4と、回転角度検出手段6との間に仕切り部材8が設けられている。
【0030】
グリップ1の図示された部分は、グリップ1全体のうちの中心部分となるグリップ円筒部材1aであり、その周囲に例えば、グリップカバー(図示略)が固定的に取り付けられ、操作者は、グリップカバーを握ってグリップ円筒部材1aをその軸心周りに回転するように操作することになる。
グリップ円筒部材1aは、ハンドルバーの左右の中央側となる基端部が当該基端部より先側の小径部11と、当該小径部11より肉厚が厚くされて拡径された基端部側の大径部12とを備えている。なお、大径部12は、グリップ円筒部材1aの基端でふたたび小径部11と同じ径となるように縮径された状態となっている。
【0031】
そして、小径部11は、軸方向に大径部12よりも長い円筒状で、当該小径部11の外周面に上述のグリップカバーが固定される。
大径部12は、上述のケース2とカバー3とで囲まれる内部空間に配置されるものである。そして、大径部12の軸方向に沿った基端側端部と先端側端部とには、それより基端側および先端側の小径部分との間の段差が形成されている。段差は、大径部12の端(軸方向の中央の反対側)に向かうほど径が小さくなる円錐台状のテーパー面12a,12bとなっている。
【0032】
そして、大径部12の先端部のテーパー面12aがケース2に形成された後述するグリップ貫通孔21の内周面のテーパー面22に当接(面接触)することにより、大径部12の先端側への移動が規制されるようになっている。
なお、テーパー面22は、グリップ円筒部材1aの先端側に向かうにつれて径が小さくなる構成となっている。
【0033】
また、大径部12の基端部のテーパー面12bがカバーに形成された後述するグリップ貫通孔31の内周面のテーパー面32に当接(面接触)することにより、大径部12の基端側への移動が規制されるようになっている。
これにより、グリップ円筒部材1a(グリップ1)は、後述のように固定されたカバー3と当該カバー3に固定されたケース2とにより、ハンドルバーに対してハンドルバーおよび当該グリップ円筒部材1aの軸方向に沿った移動が規制されている。なお、僅かにクリアランス分だけグリップ円筒部材1aが軸方向へ移動するような状態となっていてもよく、このような状態となっても、第1の実施の形態のアクセル装置ではグリップ1の回転角度の計測に影響を与えないようになっている。
【0034】
そして、大径部12の基端部側には、所定の角度範囲で大径部12の外周に沿って円弧状のセクタ歯車13が設けられている。
当該セクタ歯車13は、後述の回転体4に形成されるセクタ歯車41と噛み合いグリップ1(グリップ円筒部材1a)の回転を回転体4に伝動するものである。
なお、セクタ歯車13は、大径部12の外周面より外側に突出して形成されており、大径部12に円弧状で波状の突出部が形成された状態となっている。
【0035】
そして、セクタ歯車13の周方向に沿った両端部は、カバー3の前記グリップ貫通孔31の周囲となる部分のケース2側を向く面(グリップ1の先端側を向く面)から突出するように形成された二つのストッパ部材33,34に当接可能となっており、グリップ1を一方の回転方向に回転すると、セクタ歯車13の一方の端部が一方のストッパ部材33に当接してグリップ1の回転が規制され、グリップ1を他方の回転方向に回転すると、セクタ歯車13の他方の端部が他方のストッパ部材34に当接してグリップ1の回転が規制される。これにより、グリップ1が所定角度範囲だけ回転するようになっている。そして、セクタ歯車13は、グリップ1が回転可能な角度範囲に対応した角度範囲に形成されている。
【0036】
前記ケース2は、二つの半円を長方形で繋いだ長円状の形状を有する部材で、長円状の底板23と、当該底板23の周縁部に当該底板23を囲むように形成された周囲壁24とを備える。
ケース2の長円状の底板23の一方の半円の略中心を中心とする位置に前記グリップ貫通孔21が形成されている。グリップ貫通孔21の内径は、グリップ円筒部材1aの小径部11の外径より大きく、大径部12の外径より小さいものとなっており、上述のようにグリップ1の移動を規制するようになっている。
【0037】
なお、ケース2とカバー3とを合わせた形状も長円の筒状となり、長円の二つの半円同士の間を境に、一方の半円側となる部分がグリップ円筒部材1aの大径部12を収容する空間となっており、他方の半円側となる部分が磁石5を有する回転体4、付勢手段7、回転角度検出手段6、仕切り部材8等を収容する空間となっている。
【0038】
また、底板23のケース2の内面側となる側面で、かつ、グリップ貫通孔21が形成された一方の半分ではなく、他方の半分側には、回転体4を回転自在に軸支する軸2bが、前記他方の半円の略中心に形成されている。なお、軸2bは、底板23に直交する方向に形成され、グリップ円筒部材1aの軸方向に平行とするように配置されている。
【0039】
また、底板23の前記軸2bが形成された内面の軸2bの周囲には、軸2bを中心とする略円環状の凸部であるバネ位置決め部25が設けられている。バネ位置決め部25の内径は、ねじりコイルバネである付勢手段7の外径と略同じとなっている。そして、バネ位置決め部25内に付勢手段7の一方の端部が収納された状態で位置決めされた状態に配置される。
【0040】
前記周囲壁24のグリップ円筒部材1aが収納される側の半円部分の内周側の中央部分には、前記カバー3を固定するためのビス3mがねじ込まれる孔を有するボス27が形成されている。
【0041】
また、周囲壁24の回転体4等が収納される側の半円部分の中央部分と、二つの直線部分との内周部分には、それぞれ、仕切り部材8を固定するビス8aがねじ込まれる孔を有するボス28が形成されている。
また、周囲壁24の回転体4等が収納される側の半円部分の外周側の中央部には、カバー3側の部分に、凹部29が形成されている。凹部29は、周囲壁24のカバー3側端面まで設けられており、カバー3の後述の係止円弧板35が配置されるようになっている。なお、凹部29のほぼ中央部には、係止突起2aが突出して形成されている。
【0042】
この係止突起2aは、凹部29内に収容された状態に配置される係止円弧板35に形成された係止口36に係止されて、カバー3とケース2の回転体4が収納される側の部分を接合するようになっている。なお、係止突起2aのカバー3側の側面はテーパー面となっており、係止円弧板35をケース2側へ移動する際に円滑に係止突起2aを越えられるようになっている。
【0043】
前記カバー3は、長円で有底筒状のケース2の底板23の反対側となる開口を閉塞するとともに、ハンドルバーに固定されるもので、カバー本体3aと、端子カバー3bと、バー固定部材3cとからなっている。
カバー本体3aは、グリップ円筒部材1aが収容される側の半円部分を構成する板状部3dと、バー固定部材3cと対向して間にハンドルバーを挟みこむバー挟持部3eと、回転体4や回転角度検出手段6等が収納される側に配置される蓋部3fとを有する。
【0044】
板状部3dとバー挟持部3eとに渡って、前記グリップ貫通孔31が形成されている。グリップ貫通孔31の内径は、グリップ円筒部材1aの小径部11の外径より大きく、大径部12の外径より小さく形成されている。
【0045】
グリップ貫通孔31が設けられることで、板状部3dは幅を有する半円弧状に形成されている。また、半円の中央部分に前記ビス3mを挿通するビス孔37が形成されている。
バー挟持部3eは、グリップ円筒部材1aが収容される側の半分で、長円の直線部分を横断するようにハンドルバーの左右の中央側に向かって突出して形成されるとともに、半円側(板状部3d)に向かう側面にハンドルバーの外周面に当接するとともに、バー固定部材3cに対向する円弧状の内周面38が形成されている。また、内周面38は、上述のグリップ貫通孔31の内周面と連続した状態で形成されている。
そして、バー挟持部3eとバー固定部材3cとでハンドルバーを挟み込んでアクセル装置をハンドルバーに固定するようになっている。なお、内周面38の内径は、ハンドルバーの外径とほぼ同じとなっている。
【0046】
蓋部3fは、回転体4や回転角度検出手段6が配置される側のケース2の半分の開口を塞ぐとともに、回転角度検出手段6の端子と端子カバー3bに設けられた接続部3gへの配線を接続するための開口部39が形成されている。
また、長円の半円側には、ケース2側に延出する上述の係止円弧板35が形成されている。
【0047】
係止円弧板35は、半円部の円弧と同形状の円弧に形成されるとともに、係止口36を備える。
前記端子カバー3bは、蓋部3fの前記開口部39の周囲に形成された凸部に嵌合して、蓋部3fに固定され、前記開口部39を閉塞するようになっている。また、端子カバー3bには、回転角度検出手段6の端子と配線接続された接続端子を有する前記接続部3gが設けられており、回転角度検出手段6とスロットル弁や燃料噴射装置を制御する制御装置とを接続可能としている。
【0048】
前記バー固定部材3cは、全体が概略半円弧状の部材で、外周面側の外径がカバー本体3aの半円部分と同じ径とされ、内周面側の内径がハンドルバーの外径とほぼ等しいものとなっている。また、バー固定部材3cの左右端部の外周面側には、ビスを収容可能とする凹所3hが形成され、この凹所3hのバー固定部材3cの端面側となる底部3iに、ビス孔3jが形成されている。
【0049】
そして、バー固定部材3cとカバー本体3aとでハンドルバーを挟んだ状態でカバー本体3aのバー挟持部3eと対向させ、バー挟持部3eとビス止めすることで、ハンドルバーにカバー3を固定することができる。また、カバー3には、ケース2がビス3mによる締結と、凹部29の係止突起2aと係止円弧板35の係止口36との係合により固定されており、これによりアクセル装置全体がハンドルバーに固定されている。
【0050】
前記回転体4は、概略円板状の部材であり、その中央部に有蓋円筒状の円筒軸部42が設けられている。
円筒軸部42は、回転体4のケース2の底板側(グリップ1の先端側)に突出するとともに、回転体4のカバー3側(グリップ1の基端側)に突出している。そして、先端側が開放され、基端側が蓋で閉塞された状態となっている。
【0051】
円筒軸部42のケース2の底板23側の開口から円筒状の円筒軸部42内に底板23から突出する軸2bが挿入された状態となっている。また、円筒軸部42の内径は、軸2bの外径よりもクリアランス分だけ僅かに広くなっており、軸2bの周囲を回転体4が回転自在となっている。
【0052】
また、円筒軸部42のカバー3側の端部は、仕切り部材8の軸受手段としての軸受孔81に挿入され、当該軸受孔81に挿入された状態で円筒軸部42の回転中心が所定位置に保持されるようになっている。なお、円筒軸部42の先端部の外周面は、先に行くほど径が小さくなる円錐台状のテーパー面となっており、軸受孔81の内周面は、ケース2側(グリップ1の先端側)からカバー3側(グリップ1の基端側)に向かうにつれて、径が小さくなる円錐台状のテーパー面となっている。
【0053】
後述のように付勢手段7により回転体4が仕切り部材8側に押圧されることにより、上述のテーパー面同士の作用で、軸受孔81の中心に円筒軸部42の軸心が配置された状態に保持され、これにより、回転体4の回転中心が常時、仕切り部材8の軸受孔81の中心に配置される状態となり、仕切り部材8に対する回転体4の回転中心が常時位置決めされた状態となる。
また、回転体4のケース2の底板23側の側面には、底板23に形成されたバネ位置決め部25と同様の構造をしたバネ位置決め部43が形成されている。
【0054】
これにより、ねじりコイルバネである付勢手段7の他方の端部が円環状の凸部であるバネ位置決め部43内部に位置決めされる。
また、回転体4のカバー3側の側面には、前記円筒軸部42の周囲に円筒軸部42を中心とする円環状の溝である環状溝45が形成されている。この環状溝45内には、後述の円環状のアマチュア51と、円環状の磁石5とが一体成形された状態に配置される。
【0055】
また、回転体4の外周部の一部には、円弧状にセクタ歯車41が形成され、このセクタ歯車41がグリップ円筒部材1aのセクタ歯車13に噛み合った状態となっている。なお、グリップ円筒部材1aと回転体4とは、その回転中心軸方向が互いに平行とされるとともに、隣接した状態となっている。また、回転体4のセクタ歯車41の形成範囲は、グリップ円筒部材1aのセクタ歯車13とその回転可能範囲に対応しており、上述のように回転範囲が規定されたグリップ円筒部材1aの回転可能範囲内で回転体4のセクタ歯車41とグリップ円筒部材1aのセクタ歯車41とが噛み合った状態を維持できるようになっている。なお、回転体4の方がグリップ円筒部材1aの大径部12より小径に形成され、グリップ1が回転した際に、グリップ1の回転角度より回転体4の回転角度の方が大きくなる。
【0056】
磁石5は、環状に形成されるとともに、一方の半円部分がN極とされ、他方の半円部分がS極とされている。なお、環状なので軸に対して対象な形状を有する。また、回転体4と磁石5とは、同軸上に配置され、これらの軸心が回転中心となっている。
また、磁石5の回転体側の面には、前記アマチュア51が接触した状態に取り付けられている。アマチュア51も円環状に形成され、磁石5および回転体4と同軸上に回転し、これらの軸心を回転中心としている。そして、アマチュア51は、磁束を閉磁するとともに、磁石の減磁を抑制する。
なお、アマチュア51は、磁石5の回転角度検出手段6の反対側に配置され、磁石5の磁束は、回転角度検出手段6側の空間を通るとともにアマチュア51を通るようになっている。
そして、磁石5とアマチュア51とは、回転体4の環状溝45に収納された状態で回転体4と一体に回転可能に固定された状態となっている。
【0057】
前記付勢手段7は、ねじりコイルバネとなっているとともに、上述のようにケース2の底板23の内面と、回転体4の底板23側の側面とにそれぞれ位置決め固定される。また
、上述のようにねじりコイルバネの両端に形成された掛止片71,72が底板23と、回転体4とに連結され、底板23に対して回転体4が回転することにより、ねじるように変形された場合に、回転体4の回転の逆方向に付勢力を生じるようになっており、回転体4が回転した場合に元の状態に復帰するように力が作用するようになっている。
【0058】
なお、概略円筒形状となるねじりコイルバネの軸心と、回転体の軸心(回転中心)が一致して、同軸上に配置された状態なので、ねじりコイルバネのねじり方向の力は、回転体の回転中心を中心とする周方向に作用する。
なお、ねじりコイルバネの軸心と、円環状の磁石5およびアマチュア51の軸心とは一致しており、ねじりコイルバネである付勢手段7と、磁石5と、アマチュア51とは同軸上に配置されている。
【0059】
また、ねじりコイルバネとしての付勢手段7は、回転体4と底板23との間に配置された状態で、軸2b方向に圧縮した状態となっており、圧縮コイルバネとして回転体4を仕切り部材8側に付勢して押圧した状態となっている。これにより、上述のように回転体4の回転中心の位置が仕切り部材8に対して一定に保持されるとともに、回転体4と仕切り部材8との距離も一定に保持されるようになっている。したがって、付勢手段7は、ねじりコイルバネとして機能するとともに、圧縮コイルバネとしても機能している。
【0060】
前記回転角度検出手段6は、その全体形状が、ケース2およびカバー3から形成される内部の収容空間の回転体4等が収納される側で、ケース2およびカバー3の断面形状である半円に長方形を加えた形状(長円の半分となる形状)に形成されている。
そして、内部には、磁気検出IC61が搭載されたプリント基板62が配置された状態となっている。そして、磁気検出IC61を搭載したプリント基板62の周囲は、例えば合成樹脂で覆われた状態となっている。
【0061】
磁気検出IC61は、磁気検出素子と、磁気検出素子からの信号を出力するための集積回路からなるものであり、磁気検出素子としては、例えば、ホール素子や磁気抵抗素子等を用いることができる。
ここで、磁気検出IC61の形状において、磁気検出素子は、その側面の略中央に配置されている。また、磁気検出IC61の中心位置は、回転体4の軸心(回転中心)の延長線上にある。したがって、回転体4と同軸上に配置された磁石5およびアマチュア51に対して磁気検出IC61の検出素子が同軸上に配置された状態となっている。これにより、回転体4が回転した際に検出素子は、常に磁石5から等間隔の距離を保った状態で磁気量を検出することができる。
【0062】
そして、このような磁気検出ICを有する回転角度検出手段6は、仕切り部材8において回転体4が配置される側の反対となる側面側に2本のビス64で固定されるようになっており、当該ビス64を挿入するビス孔65が形成されている。
また、前記プリント基板62の端子66が露出する端子部が半円側の部分からカバー3側に突出するように形成されている。
なお、板状の回転角度検出手段6の中央部は、上述の磁気検出IC61が設けられた部分が仕切り部材8側に突出した状態となっている。
【0063】
仕切り部材8は、回転角度検出手段6と同様に長円を直線部分で半分に切断した形状を有し、その周囲3箇所にビス孔83が形成され、ビス8aにより、ケース2に固定されるようになっている。なお、ビス8aは、上述のようにケース2のボス28の部分に締結される。
また、仕切り部材8の略中央部には、上述の円錐台状のテーバー面を有する軸受孔81が形成されており、回転体4の円筒軸部42の先端部のテーパー面が収容され、付勢手段7に回転体4が仕切り部材8側に押圧されることで、回転体4の軸心(回転中心)が軸受孔81の中心に保持される。
【0064】
なお、仕切り部材8の軸受孔81の中心と、回転体4の回転中心と、仕切り部材8に固定される回転角度検出手段の磁気検出IC61の検出素子の中心と、円環状の磁石5の中心と、円筒のコイル状の付勢手段7の中心(軸心)とが一直線状に配置されることになり、これらが同軸上に配置される。
【0065】
前記カバー3の回転角度検出手段6、回転体4等が収納される側となる蓋部3fの天板部分の周囲を囲む壁部分の内周面には、前記回転角度検出手段6を囲むように、細板状で円弧状に曲げられた磁気シールド6aが配置されている。また、蓋部3fの天板部分の内面側の磁気検出IC61(プリント基板62)とグリップ1の軸方向に重なる部分にも、円板状の磁気シールド6bが配置されている。
【0066】
以上のようなアクセル装置においては、操作者がグリップ1を回転操作すると、グリップ円筒部材1aのセクタ歯車13と、当該セクタ歯車13に噛み合う回転体4のセクタ歯車41との間で回転運動が伝達され、回転体4が回転する。この際に、回転体4は、付勢手段7であるねじりコイルバネにねじるように負荷をかけることになる。これにより、回転体4には、回転操作方向と反対となる回転方向に付勢力が作用することになる。
そして、回転体4と一体に磁石5が回転すると、磁石5の磁束の方向が変化することになる。これを磁気検出IC61が検出し、プリント基板62の端子を介して、スロットル弁や燃料噴射装置の制御装置に出力される。
【0067】
そして、アクセル装置においては、グリップ1側ではなく、グリップ1と連動してグリップ1とともに回転する回転体4側に付勢手段7と磁石5とが設けられているので、ハンドルバーにより内周側に部材が配置できないグリップ1側に、付勢手段7と磁石5とを配置した場合よりも付勢手段7となるねじりコイルバネや磁石5の径を小さくすることができ、アクセル装置の小型化を図ることができる。特に、グリップ1の基端部周辺の径を小さくすることができ、アクセル装置が操作の邪魔になるのを防止できる。
【0068】
また、回転体4側に磁石5があり、回転体4とグリップ円筒部材1aとは、セクタ歯車13とセクタ歯車41とが噛み合っているだけで、グリップ円筒部材1aの軸方向の移動に対して回転体4を軸方向に移動させるような大きな力が作用しないので、グリップ1が操作者からの力や、走行時の振動、減速および加速時の力、進行方向の変更時の力等によりグリップ1が軸方向に移動しても、回転体4が軸方向に移動せず、磁石5と回転角度検出手段との位置関係の変位を防止し、磁気検出IC61による回転角度の検出の出力を安定したものとすることができる。
【0069】
また、回転体4の一方の側面側に付勢手段7が配置され、他方の側面に磁石5が配置されるので、磁石5が配置される側に、回転角度検出手段6を配置する構成とすることができ、回転角度検出手段6と付勢手段7とが同じ側に配置された場合のように、構造が煩雑になることがなく、アクセル装置を組み立てる際の作業性が向上する。
また、磁石5(円環状の磁石5)と付勢手段7(ねじりコイルバネ)が同軸上に配置されるので、回転体4の回転を円滑なものとすることができる。特に、回転体4の回転中心と磁石5と付勢手段7が同軸上に配置されることで、回転体4が回転する際に、回転方向以外の方向に余計な負荷がかかるのを防止し、円滑に回転体4が回転する構造とすることができる。
【0070】
また、仕切り部材8が磁石5を有する回転体4と、回転角度検出手段6との間を仕切った状態となるので、例えば、回転体4の回転に伴なって発生する磨耗粉等が、回転角度検出手段6側に侵入するのを防止し、電子機器である回転角度検出手段6が磨耗粉により影響を受けるのを防止することができる。
なお、仕切り部材8には、回転角度検出手段6側と回転体4側とで連通する軸受孔81が設けられているが、軸受孔81は、回転体4の円筒軸部42に閉塞された状態となっており、磨耗粉の侵入を防止できる。
【0071】
また、回転角度検出手段6と回転体4の磁石5との間にある仕切り部材8の軸受手段となる軸受孔81に、回転体4が回転自在に支持されるので、磁石5と回転角度検出手段6との位置関係の変位を抑制することができる。これによっても回転角度の検出の出力を安定したものとすることができる。
【0072】
さらに、この例では、仕切り部材8の軸受孔81と、当該軸受孔81に挿入されて回転自在に支持される回転体4の円筒軸部42の先端部とが、略同形状で互いに略面接触する円錐台状のテーパー面となっていることと、付勢手段7が圧縮ばねとしても機能し、回転体4を仕切り部材8側に付勢して押し付けるので、回転体4の軸心(回転中心)を常に軸受孔81の中心とするように力が作用し、仕切り部材8に対する回転体4の回転中心位置が変化しないようになっている。また、回転体4が付勢手段7により仕切り部材8側に常時付勢されることで、回転体4と仕切り部材8との距離も変化しない。
【0073】
また、仕切り部材8の回転体4の反対側に回転角度検出手段6が固定されていることにより、仕切り部材8に対する回転角度検出手段6の位置が変化しないので、上述のような力によりグリップ1の位置が変化したり、カバー3やケース2が変形したりしても、回転角度検出手段6と回転体4の磁石5の位置関係が変化しないことになり、これにより回転角度の出力を安定したものとすることができる。
なお、検出素子と磁石5との位置関係が変化すると、磁石5の回転による検出素子の出力の変化とは別に、これらの位置関係の変化による検出素子の出力変化が生じ、回転角度を示す信号の出力が不安定な状態となる。
【0074】
また、磁石5、回転角度検出手段6の検出素子、回転体4の回転中心が同軸上に配置されているので、回転体4の回転によって磁石5と検出素子の位置関係が変化せず、出力の出力精度を向上することができる。
また、カバー3がハンドルバーに固定され、当該カバー3にケース2が固定され、当該ケース2に仕切り部材8が固定されるので、外力によりハンドルバーに固定されたカバー3が変形するような場合に、カバー3に対してケース2を介して仕切り部材8が固定されているので、仕切り部材8の変形を防止することができる。さらに、回転角度検出手段6が仕切り部材8を介してケース2に接続されているので、回転角度検出手段6の変形を防止することができる。
【0075】
したがって、仕切り部材8や回転角度検出手段6の変形によって、磁石5に対する検出素子の位置関係が変位するのを防止し、上述のような力による検出素子の出力の変化をより確実に防止することができる。
また、検出素子の出力の安定と、出力精度の向上により、スロットル弁や燃料噴射装置の制御装置において、入力する検出素子からの信号の補正等の処理を簡便化することができ、制御プログラムの簡略化を図ることができるとともに、より安定した制御が可能となる。
【0076】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るアクセル装置を示す断面図である。
第2の実施の形態のアクセル装置では、第1の実施の形態のアクセル装置においてケース2に一体に形成されるとともに、回転体4に挿入された軸部2bが、回転体4を貫通し、当該軸部2bの先端部が仕切り部材8の軸受孔81に挿入された状態となっている。第2の実施の形態の上述の構成以外の構成は、基本的に第1の実施の形態と略同様となっており、同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
グリップ1は、第1の実施の形態と同様にグリップ円筒部材1aと、その周囲に固定的に取り付けられるとともに基端部に鍔部1cを有するグリップカバー1bとを備えている。
また、上述のように軸部2bは、ケース2の底板23から直角に延出して設けられるとともに、当該軸部2bの先端部が仕切り部材8の軸受孔81内に挿入された状態となっている。また、軸部2bは、ケース2の底板23に接続される基端部が回転体4の円筒軸部42に挿入されるとともに基端部より先端側となる部分に対して拡径されて径が大きくなっており、軸部2bの基端部の径が円筒軸部42とほぼ同径とされている。
【0078】
また、円筒軸部42は、上記例では、有蓋筒状であったのに対して、軸部2bを貫通させるように蓋部分の無い筒状に形成されている。
円筒軸部42の先端部分は、貫通孔の開口の周囲となる部分で先に向かうにつれて径が小さくなる円錐台状(内部は空洞)のテーパー面とされている。
仕切り部材8の軸受孔81の内周面は、ケース2の底板23側の部分が円筒軸部42の先端のテーパー面が接触するテーパー面とされ、それより磁気検出IC61側が軸部2bの外径とほぼ等しい内径を有する円筒状の内周面となっており、軸部2bの先端部の外周面と軸受孔81の内周面とが当接した状態となっている。
【0079】
このような構成により、軸部2bは、基端部が一体に形成されたケース2の底板23に支持され、先端部が仕切り部材8に支持された状態となり、軸部2bに直交する方向の力に対して高い強度を持つ構造となっている。さらに、軸部2bの基端部が太くされることで、強度が高められている。
これにより、グリップ1を操作して、グリップ1の回転がセクタ歯車13およびセクタ歯車41を介して伝達されて回転体4が回転する際に、軸部2bに対して直交する方向に力がかかった際に、軸部2bが倒れる方向に(曲がるように)変形するのを防止することができる。
【0080】
したがって、軸部2bが挿入されて回転する回転体4の磁石5と磁気検出IC61との位置ずれをより確実に防止することができる。
また、仕切り部材8は、軸部2bが挿入されることで、ビス止めされる外周部分だけではなく、中央部も軸部2bを介してケース2に支持される状態となり、アクセル装置に外部から衝撃がかったような場合でも、仕切り部材8の変形をより確実に防止することができる。
【0081】
なお、第2の実施の形態では、上述の軸部2bに関係する構造以外でも、第1の実施の形態と細部が異なる部分があり、例えば、第1の実施の形態では、外部からプリント基板62への配線を接続部3gの接続端子への接続により行う構造、すなわち、コネクタを介して外部からの配線を接続する構造となっているが、第2の実施の形態では、プリント基板62に接続されるリード線3nが外部側に引き出された状態となっている。このような細部の異なる構成については、第1の実施の形態と同様の構成としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 グリップ
1a グリップ円筒部材
4 回転体
5 磁石
6 回転角度検出手段
61 磁気検出IC
7 付勢手段
8 仕切り部材
81 軸受孔(軸受手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復回転可能に設けられたグリップの回転角度に基づいて信号を出力するアクセル装置であって、
前記グリップの回転に伴なって回転する回転体と、
当該回転体の回転に伴なって回転する磁石と、
前記磁石の回転による磁界の変化に基づいて前記グリップの回転角度を求めるための回転角度検出手段と、
前記回転体を付勢することにより、前記グリップを原点位置に復帰させる付勢手段とを備え、
前記回転体の一方の側面には前記磁石が設けられ、前記回転体の他方の側面には前記付勢手段が備えられていることを特徴とするアクセル装置。
【請求項2】
前記付勢手段と前記磁石とが同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
前記磁石を備える前記回転体と、前記回転角度検出手段との間に、これらの間を仕切る仕切り部材が設けられ、
前記仕切り部材には、前記回転体を回転自在に保持する軸受手段が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記仕切り部材に前記回転角度検出手段が保持され、
前記回転角度検出手段、前記回転体および前記磁石が同軸上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のアクセル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−240717(P2011−240717A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32900(P2009−32900)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】