説明

アクセル開度検出装置

【課題】 アクセルグリップの回動始点に機械的な遊びを設け、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置を提供する。
【解決手段】 ハンドルバー2に回動自在に軸支されるアクセルグリップ3と、回動自在に配設されアクセルグリップ3と連動する被検出体5と、被検出体5の回動位置を検出しその位置に応じた検出信号を出力する位置検出手段7と、被検出体5を回動始点まで復帰する復帰力発生手段6とを備えたアクセル開度検出装置1において、被検出体5の回動始点を規定する被検出体ストッパ8を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車に搭載されるアクセルグリップの操作位置を検出手段にて検出するアクセル開度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアクセル開度検出装置は、アクセルグリップの回動始点と終端位置を規定するアクセルグリップストッパが備えられ、復帰力発生手段からの復帰力により、アクセルグリップがアクセルグリップストッパの位置まで完全に復帰される構造であった。
【特許文献1】特開平06−344968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のアクセル開度検出装置は、アクセルグリップには機械的遊びが存在しないものであった。
【0004】
このため、操作者がアクセルグリップを握った際などに、誤って少し回動してしまったときでも検出信号が発せられてしまうため、操作がしにくいものであった。
【0005】
そこで、アクセル開度検出信号をコンピュータ処理するなどして、アクセルグリップ回動始点の一定領域を非検出状態にし、回動始点の誤操作を許容する方法もとられている。しかし、その場合、操作者はアクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのか判断できない、という問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述の問題点に対して、アクセルグリップの回動始点に機械的な遊びを設け、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハンドルバーに回動自在に軸支されるアクセルグリップと、回動自在に配設され前記アクセルグリップと連動する被検出体と、前記被検出体の回動位置を検出しその位置に応じた検出信号を出力する位置検出手段と、前記被検出体を回動始点まで復帰する復帰力発生手段とを備えたアクセル開度検出装置において、前記被検出体の回動始点を規定する被検出体ストッパを設けたものである。
【0008】
また、本発明は、前記被検出体は、連続した検出用磁場を生成する少なくとも1つの磁性体を備え、前記位置検出手段は前記検出用磁場を検出して検出信号を出力する少なくとも1つの磁気検出素子を備えてなるものである。
【0009】
また、本発明は、前記復帰力発生手段は、前記筐体に回動自在に軸支される第1の歯車と、前記第1の歯車に一端を固定され他端を前記筐体に固定された少なくとも1つのねじりコイルばねを備え、前記被検出体は前記第1の歯車と噛合う第2の歯車を備えてなるものである。
【0010】
また、本発明は、前記復帰力発生手段は、前記被検出体に一端を固定され他端を前記筐体に固定され、前記ハンドルバー軸上に軸支される少なくとも1つのねじりコイルばねを備えてなるものである。
【0011】
また、本発明は、前記アクセルグリップの回動始点を規定するアクセルグリップストッパを設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、アクセルグリップの回動始点に機械的な遊びを設け、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ハンドルバー2に回動自在に軸支されるアクセルグリップ3と、回動自在に配設されアクセルグリップ3と連動する被検出体5と、被検出体5の回動位置を検出しその位置に応じた検出信号を出力する位置検出手段7と、被検出体5を回動始点まで復帰する復帰力発生手段6とを備えたアクセル開度検出装置1において、被検出体5の回動始点を規定する被検出体ストッパ8とを設けたものである。このように構成したことによって、被検出体5は回動始点で停止するが、アクセルグリップ3は復帰方向に回動可能であり、アクセルグリップの回動始点に機械的遊びを設けることで、操作者がアクセル開度の検出位置をアクセルグリップの復帰力の有無から判断することができるものである。よって、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。
【0014】
また、本発明は、被検出体5は、連続した検出用磁場を生成する少なくとも1つの磁性体14を備え、位置検出手段7は前記検出用磁場を検出して検出信号を出力する少なくとも1つの磁気検出素子を備えてなるものである。このように構成したことによって、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。また、非接触にてアクセル開度を検出することが可能なアクセル開度検出装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明は、復帰力発生手段6は、筐体4に回動自在に軸支される第1の歯車6cと、第1の歯車6cに一端を固定され他端を筐体4に固定された少なくとも1つのねじりコイルばね12を備え、被検出体5は第1の歯車6cと噛合う第2の歯車13jを備えてなるものである。このように構成したことによって、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。また、ねじりコイルばねと各歯車を用いることで、前記被検出体を回動始点まで復帰させる復帰力を発生させることが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。
【0016】
また、本発明は、復帰力発生手段6は、被検出体5に一端を固定され他端を筐体4に固定され、ハンドルバー2軸上に軸支される少なくとも1つのねじりコイルばねを備えてなるものである。このように構成したことによって、アクセルグリップをどの程度回動させたらアクセル開度が検出され始めるのかを判断することが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。また、ねじりコイルばねを用いることで、前記被検出体を回動始点まで復帰させる復帰力を発生させることが可能なアクセル開度検出装置の提供をすることができる。
【0017】
また、本発明は、アクセルグリップ3の回動始点を規定するアクセルグリップストッパ9を設けたものである。このように構成したことによって、アクセルグリップ3の回動始点を規定し、被検出体5などに無理な力が加わることを防止することが可能なアクセル開度検出装置を提供することができる。
【実施例1】
【0018】
以下、添付図面に基づいて本発明の第1実施例を説明する。図1〜図3はそれぞれ本発明の第1実施例を示すもので、以下、これらに基づいて本発明の第1実施例を例えば二輪車に搭載されるハンドルバーに回動可能に設けられたアクセルグリップの操作量(回動角)を検出するアクセル開度検出装置に適用した場合について説明する。
【0019】
図1,図2において、本実施例によるアクセル開度検出装置1は、二輪車に搭載されるアルミニウムや鉄等からなる筒状のハンドルバー2に回動可能に取り付けられた被操作部材であるアクセルグリップ3と、アクセルグリップ3の一端を覆い、ハンドルバー2に固定される筐体4と、アクセルグリップ3の回動操作に同期して連動する被検出体5と、被検出体5の回動位置を検出し、その位置に応じた検出信号を出力する位置検出手段7と、被検出体5を回動始点位置に復帰する復帰力発生手段6と、被検出体5の回動始点を規定する被検出体ストッパ8と、アクセルグリップ3の回動始点を規定するアクセルグリップストッパ9とを備えている。なお、10はアクセルグリップ3の外周部を覆うゴム材からなるラバーグリップであり、11は、位置検出手段7からの前記電気信号を図示しない外部制御部であるエンジンコントロールユニットに伝達するための複数の電気コードであり、Pは、位置検出手段7を搭載する回路基板である。
【0020】
アクセルグリップ3は、ポリアセタール等の合成樹脂材料からなり、二輪車のハンドルバー2の外周部を覆うように取り付けられ、筐体4の後述する空間領域内に収納される第1の鍔部3aと、この第1の鍔部3aの右方において第1の鍔部3aとは所定間隔隔てて並設される第2の鍔部3bとを備え、第2の鍔部3bは、筐体4と後述するラバーグリップ10との間に介在する構成となっている。そして、本実施例では、第1の鍔部3aの外周部3cの主要部が、被検出体5の後述する環状溝部と嵌め合わされることで、アクセルグリップ3の操作量(回動操作)に応じて被検出体5が連動して回動する構成となっている。
【0021】
3d,3eは、第1の鍔部3aの外周部3cから外側に向けて、突出形成されたフランジであり、このうち、図2中、右側に位置するフランジ3dは、アクセルグリップ3が回動始点に戻った際(つまり、アクセルグリップ3の回動操作が解除された際)に、筐体4の後述するアクセルグリップ3の回動始点を規定するアクセルグリップストッパ9と当接するとともに、被検出体5と当接するものである。また、図2中、左側に位置するフランジ3eは、アクセルグリップ3が回動終点まで操作した際に、筐体4の後述するアクセルグリップ3の回動終点を規定するアクセルグリップストッパ9aと当接するとともに、被検出体5と当接するものである。
【0022】
また、図1中、鍔部3aの右側には、アクセルグリップ3の外周部を覆うようにゴム材からなるラバーグリップ10が取り付けられ、このラバーグリップ10は、二輪車を運転する運転者が把持し得る把持部10aを備えている。従って、前記運転者が把持部10aを把持して、把持部10aを回動操作すると、この回動操作力はラバーグリップ10を介してアクセルグリップ3に伝わり、これによりアクセルグリップ3の鍔部3aに設けたフランジ3fが被検出体5に当接し、被検出体5を回動させるようになっている。
【0023】
筐体4は、アルミニウム等の非磁性金属材料をはじめとする各種金属材料もしくは合成樹脂材料からなる上側筐体4aと下側筐体4bとに分割形成され、上側筐体4aと下側筐体4bとの間に形成される空間領域は、被検出体5,復帰力発生手段6,位置検出手段7並びに回路基板Pの各部材を収納する空洞部を形成している。
【0024】
上側筐体4aは、所定間隔を隔てて対向配置される一対の半円状平板部4c,4dと、各半円状平板部4c,4dの曲面側開口を塞ぐ曲面壁部4eとから主に構成されている。なお、4fは、アクセルグリップ3の回動操作時にアクセルグリップ3に設けたフランジ3d,3eが当接して、アクセルグリップ3の回動位置を規制するアクセルグリップストッパ9,9a及び被検出体ストッパ8を備えた突部であり、この突部4fは、曲面壁部4eに一体的に形成されている。アクセルグリップストッパ9は、アクセルグリップ3の回動始点を規定するものであり、アクセルグリップストッパ9aは、アクセルグリップ3の回動終点を規定するものであり、被検出体ストッパ8は、被検出体5の回動始点を規定するものである。
【0025】
一方、下側筐体4bは、所定間隔を隔てて対向配置される一対の略矩形状からなる第1,第2の平板部4g,4hと、ハンドルバー2側となる各平板部4g,4hの上部側開口を除いた他の開口である下部側開口及び一対の側部側開口を塞ぐ略「コ」字形状の壁部4iとから主に構成されている。なお、上側筐体4a,下側9bは、非磁性金属材料からなる図示しないボルト等の適宜固定手段によって固定される。
【0026】
被検出体5は、樹脂フレーム13と磁性体(ヨーク)14及び磁石(スペーサ部材)15とから構成されている。本実施例では、磁性体14は一対で、樹脂フレーム13を挟んで保持しており、磁石5も一対で、樹脂フレーム13に設けた後述する2つの貫通孔部に各々埋設され一対の磁性体4とで閉磁気回路を形成するものである。
【0027】
樹脂フレーム13は、合成樹脂材料からなり、アクセルグリップ3の前記主要部の図2中下側を覆うように略半円環板状に形成される。かかる樹脂フレーム13は、樹脂フレーム13の基部となる半円環形状のベース部13aの両端部側面中央から外方に突出し、且つベース部3aよりも肉薄の一対のフランジ部13bを備えている。各フランジ部13bには、その表裏面に磁性体14の一方の端部を各々載置すべく切り欠き形成された第1,第2の載置部13c,13dと、各載置部13c,13d間において各磁石15を配設(埋設)すべく形成された円形の貫通孔部13eとが形成されている。
【0028】
なお、13fは、アクセルグリップ3における外周部3cの前記主要部と嵌合する略凹部形状からなる溝部であり、かかる溝部13fは、この場合、ベース部13aの内壁面だけではなく、各フランジ部13bの内壁面にも連続形成されている。さらに、本実施例では、アクセルグリップ3側であって、ベース部13aの長手方向に沿い延びる一側面13gには、ベース部13aの外形形状に対応するように略半円環板状の延長部13hが連続形成されており、この延長部13hの外周側(各載置部13c,13d側)には、適宜数の連続歯が形成されたギヤ等からなり、復帰力発生手段6の第1の歯車6cと噛み合う第2の歯車13jが形成されている。
【0029】
かかる樹脂フレーム13は、各貫通孔部13eに埋設される各磁石15の磁気的結合力により各磁性体14を保持するものである。
【0030】
なお、各貫通孔部13eに隣接する各載置部13c,13d表裏面には、各磁性体14に設けた孔(図示せず)に対応する位置に溶着ピン(図示せず)が各々突出形成されており、前記各溶着ピンを前記各孔に貫通させ、前記各孔から突出する前記各溶着ピンの貫通端部をそれぞれ熱溶着することで、樹脂フレーム13と各磁性体14とが固着されるため、アクセルグリップ3の回動操作に応じて、樹脂フレーム13と各磁性体14、並びに各磁性体14を磁気結合してなる磁石15が全て同時に回動することになる。なお、樹脂フレーム13は、アクセルグリップ3のフランジ3d,3eとの間に位置しており、アクセルグリップ3の回転軸を中心としたフランジ3d,3eとでなす角度は、樹脂フレーム13の占める角度より大きいため、アクセルグリップ3のフランジ3d,3eと樹脂フレーム13との間に、空間を形成している。また、一対のフランジ13bのうち、図2中右側のフランジ13bは、被検出体5が回動始点に戻った際(つまり、アクセルグリップ3の回動操作が解除された際)に、筐体4の被検出体ストッパ8と当接するものである。
【0031】
磁性体14は、略半円環板状からなる第1の磁性体14aと、この第1の磁性体14aと同一形状、同一板厚であって、第1の磁性体14aとは所定の一定間隔を有して対向するように配設される第2の磁性体14bとからなる。各磁性体14a,14bは、ともに鉄等の金属材からなり、打ち抜き加工等により形成され、各磁性体14a,14bにおける前記一方の端面は、切り欠き形成された段部からなる樹脂フレーム13の第1の載置部13c上にそれぞれ載置されるとともに、各磁性体14a,14bにおける前記他方の端部は同様に切り欠き形成された段部からなる樹脂フレーム13の第2の載置部13d上にそれぞれ載置されている。
【0032】
磁石15は、略円板状(略円柱形状)に成形された第1の磁石15aと、この第1の磁石15と同一形状、同一板厚の第2の磁石15bとからなり、各磁石15a,15bは樹脂フレーム13の貫通孔部13eにそれぞれ埋設され、その磁力(前記磁気的結合力)によって各磁性体14a,14bを磁気的に結合保持してなるものであり、各磁石15a,15bと各磁性体14a,14bとで磁性部材(磁気ヘッド)Hを構成している。この場合、各磁石15a,15bは、例えばサマリウム−コバルト等の磁性材料からなり、対向配置される各磁性体14a,14bにおける両端部の間においてN極、S極が互いに反対向きをなすように着磁されているため、各磁性体14a,14bと各磁石15a,15bとにより閉磁気回路が形成されることになる。
【0033】
具体的には、図3に示すように第1の磁石15aは、第1の磁性体14a側がN極、第2の磁性体14b側がS極となるように着磁され、これとは逆に、第2の磁石5bは、第2の磁性体14b側がN極、第1の磁性体14a側がS極となるように着磁されており、各磁石15a,15bの発する磁場が、各磁性体14a,14bに各々誘導されることで、図3中、矢印で示す方向には各磁性体14a,14bと各磁石15a,15bとで略ループ状の閉磁気回路Mが形成されるようになっている。
【0034】
なお、各磁石15a,15bの形状は、円柱形状に限らず、任意の形状を採用することができ、例えば略四角柱形状(略直方体形状)や円筒形状としてもよい。この場合、各磁石15a,15bを埋設する各貫通孔部13eの形状も、各磁石15a,15bの外形形状に対応して設ける必要がある。
【0035】
位置検出手段7は、磁気検出手段であり、前記閉磁気回路の内部に配設され前記閉磁気回路の内部に生じる漏洩磁界を検出するものである。磁気検出手段7は、ホールIC,MR素子(半導体磁気抵抗素子)等の検出素子からなり、各磁性体14a,14b間に位置しており、各磁性体14a,14b並びにこれを磁気結合してなる各磁石15a,15bの移動(回動)に伴う前記漏洩磁界の変化を電気信号に変換し、かかる電気信号を電気コード11を通じて外部に出力するものである。なお、本実施例の場合、磁気検出手段7は、各磁石15a,15bの回動軌道上に配設されているものの、回動する各磁石15a,15bとは常時、当接(接触)しないようになっている。
【0036】
復帰力発生手段6は、被検出体5を回動始点まで復帰するものであり、本実施例では、図2中、常時反時計回り方向に回転する力を被検出体5に加えている。そして、本実施例では、復帰力発生手段6は、回動部材60とコイルばねなどの弾性部材12とからなる。
【0037】
回動部材60は、合成樹脂材料からなり、断面略凸形状に形成され、略円板状の底部6aと、この底部6aの略中央部から前方に突出する略円柱形状の突出部6bとを備え、底部6aの外周部には、適宜数の連続歯が形成されたギヤ等からなり、樹脂フレーム13の第2の歯車13jと並設された状態で第2の歯車13jと噛み合う第1の歯車6cが形成されている。回動部材60は、第2の歯車13jと噛み合い樹脂フレーム13の回動に伴い回動する。
【0038】
また、6dは、突出部6bの形成される方向とは反対側となる底部6a背面の略中央部に形成された凸形状からなる第1の突起部であり、6eは、突出部6b前面の略中央部に形成された凸形状からなる第2の突起部であり、各突起部6d,6eが、筐体4の下側筐体4bに開口形成される後述する第1,第2の位置決め孔にそれぞれ位置決めされることで、回動部材60が筐体4に対して回動可能に保持されるようになっている。この際、回動部材60は、その長手方向(突出部8bの突出方向)がアクセルグリップ3(ハンドルバー2)の長手方向(回動中心軸R1)に対して略平行となるように筐体4に配設される。
【0039】
弾性部材12は、突出部6bを取り囲むように配設される金属製のコイルばねであり、この弾性部材12は、底部6a側に延びる一方の端部12aが底部6aに設けられた略円形の貫通孔6fを貫通し、固定される。一方、第2の突起部6eの突出方向に延びる弾性部材12の他方の端部12bは、筐体4の下側枠体4bに開口形成される後述する第2の孔部を貫通し、下側枠体4bに位置決め固定される。
【0040】
下側筐体4bの第1の平板部4gには、回動部材60の第1の突起部4dを位置決め固定するための第1の位置決め孔4jが形成され、第2の平板部4hには、回動部材60の第2の突起部6eを位置決め固定するための第2の位置決め孔4mと、弾性部材12の他方の端部12bを位置決め固定するための第2の孔部4nとが形成されている。
【0041】
回路基板Pは、ガラスエポキシ等の絶縁材料からなる略矩形状の基板に所定の配線パターンが形成されており、磁性体14と筐体4の下側筐体4bとの間に配設され、磁気検出手段7及びコンデンサ等からなる図示しない電子部品等が半田等により電気的に固定されている。かかる回路基板7には、磁気検出手段7からの前記電気信号を図示しない外部制御部であるエンジンコントロールユニットに伝達するための複数の電気コード11が備えられ、各電気コード11は、回路基板7の所定箇所に半田により電気的に接続され、前記エンジンコントロールユニットと接続される。
【0042】
そして、本実施例の場合、回路基板P並びに磁気検出手段7は、図示しないハウジング内に収納された後、前記ハウジング内にエポキシ樹脂等からなる図示しない封止部材を充填することで配設固定される。また、前記ハウジングは、筐体4の前記下側枠体と熱溶着等により固着されている。以上の各部により、アクセル開度検出装置1が構成される。
【0043】
かかる実施例によれば、アクセルグリップ3の回動操作に応じて、被検出体5が、各筐体4a,4bとハンドルバー2とにより形成される空洞領域(前記空洞部)をアクセルグリップ3(ハンドルバー2)の回動中心軸R1を中心として所定角度回動できるようになっている。従って、磁性体4と磁石5とで形成される閉磁気回路Mが移動するので、閉磁気回路M内部に生じる前記漏洩磁界の変化(出力電圧の変化)を磁気検出手段7で検出できる。すなわち、磁気検出手段7から出力される前記出力電圧によりアクセルグリップ3の操作位置(回動角)を検出できる。
【0044】
本実施例では、復帰力発生手段6によって、被検出体5を回動始点まで復帰するものであり、被検出体5を構成する樹脂フレーム13のフランジ13bがアクセルグリップ3のフランジ3dに当接して、アクセルグリップ3を回動始点方向に復帰する。
【0045】
被検出体5は、フランジ13bが被検出体ストッパ8に当接して、復帰方向への回転が停止する。この時、アクセルグリップ3のフランジ3dはアクセルグリップストッパ9に当接せず、アクセルグリップ3は、アクセルグリップストッパ9と、被検出体ストッパ8に当接した被検出体5との間で、被検出体5が回転しないために被検出体5の回転に伴う信号が出力されない状態で、回転可能となる。この時、アクセルグリップ3は、被検出体5を回転させないので、被検出体5の回転に伴う復帰力発生手段6のコイルばね12の力を受けない状態である。アクセルグリップ3を操作し、被検出体5を回転させると、復帰力発生手段6のコイルばね12の力を受けるので、アクセルグリップ3の操作に抵抗感が生じるので、アクセルグリップ3をどの程度回動させたら検出され始めるのかを判断することが可能となる。
【0046】
このように、被検出体5の回動始点よりアクセルグリップ3の回動始点が復帰方向に位置するように被検出体ストッパ8とアクセルグリップストッパ9とを配置したことによって、アクセルグリップ3の回動始点に機械的な遊びを設け、アクセルグリップ3をどの程度回動させたら検出され始めるのかを判断することが可能となる。
【0047】
なお、前記第1実施例では、復帰力発生手段6は、筐体4に回動自在に軸支される第1の歯車6cと、歯車6cに一端を固定され他端を筐体4に固定された少なくとも1つのねじりコイルばね12を備え、被検出体5は歯車6cと噛合う歯車13jを備えたものであったが、復帰力発生手段6は前記実施例に限定されるものではなく、例えば、被検出体5に一端を固定され他端を筐体4に固定され、ハンドルバー2軸上に軸支される少なくとも1つのねじりコイルばねを備えたものであってもよい。この場合、歯車などの部品を削減することができ、コストを削減することが可能となる。
【0048】
また、本実施例では、アクセルグリップストッパ9を筐体4に設けていたが、前記実施例に限定されるものではなく、被検出体5の樹脂フレーム13の図2中左側のフランジ13bをアクセルグリップ3の回動始点を規定するアクセルグリップストッパとしてもよい。この場合、アクセルグリップ3のフランジ3eがフランジ13bに当接することで、アクセルグリップ3の復帰方向の動きを止めることとなる。
【0049】
また、本実施例では、被検出体5は磁石15などによって構成され、位置検出手段7は磁気検出手段であったが、前記実施例に限定されるものではなく、被検出体を基板上に設けた抵抗体とし、位置検出手段を前記抵抗体上あるいは抵抗体に接続した固定電極上を摺動する接点で構成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施例によるアクセル開度検出装置の概観図を示す図。
【図2】図1中A−A線の断面図。
【図3】同実施例による磁性部材を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1 アクセル開度検出装置
2 ハンドルバー
3 アクセルグリップ(被操作部材)
5 被検出体
6 復帰力発生手段
6c 第1の歯車
7 位置検出手段
8 被検出体ストッパ
9,9a アクセルグリップストッパ
12 弾性部材(コイルばね)
13j 第2の歯車
14 磁性体(ヨーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバーに回動自在に軸支されるアクセルグリップと、回動自在に配設され前記アクセルグリップと連動する被検出体と、前記被検出体の回動位置を検出しその位置に応じた検出信号を出力する位置検出手段と、前記被検出体を回動始点まで復帰する復帰力発生手段とを備えたアクセル開度検出装置において、前記被検出体の回動始点を規定する被検出体ストッパを設けたことを特徴とするアクセル開度検出装置。
【請求項2】
前記被検出体は、連続した検出用磁場を生成する少なくとも1つの磁性体を備え、前記位置検出手段は前記検出用磁場を検出して検出信号を出力する少なくとも1つの磁気検出素子を備えてなることを特徴とする請求項1に記載のアクセル開度検出装置。
【請求項3】
前記復帰力発生手段は、前記筐体に回動自在に軸支される第1の歯車と、前記第1の歯車に一端を固定され他端を前記筐体に固定された少なくとも1つのねじりコイルばねを備え、前記被検出体は前記第1の歯車と噛合う第2の歯車を備えてなることを特徴とする請求項1または2に記載のアクセル開度検出装置。
【請求項4】
前記復帰力発生手段は、前記被検出体に一端を固定され他端を前記筐体に固定され、前記ハンドルバー軸上に軸支される少なくとも1つのねじりコイルばねを備えてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のアクセル開度検出装置。
【請求項5】
前記アクセルグリップの回動始点を規定するアクセルグリップストッパを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のアクセル開度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−162420(P2008−162420A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354487(P2006−354487)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】