アクチュエータの駆動回路およびそれを用いる超音波リニアアクチュエータ
【課題】圧電素子の伸縮を駆動部材に伝え、その駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させる超音波リニアアクチュエータの駆動回路において、低コストに、起動時などにおける騒音を抑える。
【解決手段】前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を、駆動周波数およびデューティを適宜設定することで、Hブリッジ回路によるパルスで作成できるようにし、さらにそのパルスを、起動時、停止時、間欠駆動時には、微細パルスで構成して、パルス密度を徐々に増減させることで、実質的に前記パルスの幅を変化し、圧電素子への充放電電流を抑えて騒音を低減する。これによって、駆動回路を、前記Hブリッジ回路などの従来通りの圧電素子の充放電回路と、その制御回路とによって構成することができ、制御回路が作成するパルスの態様を変化するだけで、低コストに実現することができる。
【解決手段】前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を、駆動周波数およびデューティを適宜設定することで、Hブリッジ回路によるパルスで作成できるようにし、さらにそのパルスを、起動時、停止時、間欠駆動時には、微細パルスで構成して、パルス密度を徐々に増減させることで、実質的に前記パルスの幅を変化し、圧電素子への充放電電流を抑えて騒音を低減する。これによって、駆動回路を、前記Hブリッジ回路などの従来通りの圧電素子の充放電回路と、その制御回路とによって構成することができ、制御回路が作成するパルスの態様を変化するだけで、低コストに実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成る超音波リニアアクチュエータの駆動回路などとして好適に実施される駆動回路およびそれを用いる前記超音波リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
前記超音波リニアアクチュエータは、たとえば図8で模式的に示すような構造を有し、圧電素子1の伸縮をロッド(駆動部材)2に伝え、そのロッド2に所定の摩擦力で係合している被駆動部材(移動体)3を、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるものである。
【0003】
たとえば、図8(a)から図8(b)で示すように、ロッド2をゆっくりと伸張させることで、そのロッド2に摩擦係合している被駆動部材3も移動し、図8(b)から図8(c)で示すように、前記所定の摩擦力を超える程、ロッド2を瞬時に縮小すると、被駆動部材3が慣性のために伸張位置に取り残されるということを繰返し行うことで、前記被駆動部材3を前記ロッド2の軸方向に移動させるものである。そして、伸張を瞬時に、縮小をゆっくりと行うことで、前記被駆動部材3の移動方向を前記とは逆転することができる。前記圧電素子1のロッド2とは反対側は、変位を阻止する固定部4に固定されている。
【0004】
このような超音波リニアアクチュエータは、通常のローレンツ力型のモータなどに比べて、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる。このため、特許文献1では、その搭載例として、前記ロッドをレンズ光軸方向に設置し、フォーカシングレンズの保持部材を前記ロッドに係合させることで、オートフォーカスを実現した駆動装置が提案されている。なお、前記ロッドに対して被駆動部材を摩擦係合させるためには、ばねなどによる押圧力だけではなく、磁力が用いられてもよい。
【0005】
一方、ロッド2に前記の速度差を生じさせるにあたっては、端的には、前記圧電素子1に擬似鋸歯状の駆動信号を与えることであるが、その場合、駆動回路が非常に複雑になるので、本件出願人は、先に特許文献2において、駆動周波数およびデューティを適切に選定することで、図9に示すような矩形波電圧を与えた場合にも、前記鋸歯状変位が得られることを示した。また、その理論的背景は、非特許文献1で明らかにされている。その理論を要約すると、前記鋸歯状波形の基本は、基本周波数の正弦波信号に、第2調波の正弦波信号を加算して得ることができるというものである。すなわち、前記鋸歯状波形には、成分的に複数の周波数の正弦波が含まれているが、そのうち少なくとも1次および2次の成分があれば前記超音波リニアアクチュエータの駆動に充分なレベルとなり、変位yは、
y=−sin(ωt)−0.25・sin(2ωt) ・・・(1)
で表すことができる。
【0006】
そして、そのような鋸歯状波形を得るための条件は、駆動周波数が低い場合、そのものの波形を成形しなければならないが、或る程度駆動周波数が高くなると、1次共振周波数frの0.6〜0.8倍前後の駆動周波数fdで、0.3または0.7程度のデューティの矩形波を圧電素子に入力することで、前記鋸歯状変位を生じさせることが可能になる。特許文献2は、このような特性を利用して、製品において実現容易な矩形波電圧で駆動させるようにしたものである。
【0007】
図10には、前記矩形波のデューティおよび周波数を変化させた場合における被駆動部材の移動速度の変化を示す。このグラフは、前記非特許文献1の図20で示されたもので、圧電素子およびロッドの共振周波数は、200kHz、駆動電圧は6VP−P、被駆動部材のロッドに対する摩擦力は300mNとしている。この図10から明らかなように、共振周波数の0.7倍のときに、矩形波に含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインが適切な関係となり、鋸歯状変位が得られ、最高の速度が得られている。
【0008】
そこで、そのような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路としては、典型的な従来技術では、図11で示すような駆動回路11がある。すなわち、電源電圧+Vの電源ラインとGNDとの間に、p型のMOSFETQ1とn型のMOSFETQ2との直列回路と、同様のp型のMOSFETQ3とn型のMOSFETQ4との直列回路とを備え、それらのMOSFETQ1,Q2;Q3,Q4の接続点間に前記圧電素子1を接続して成る、いわゆるHブリッジ回路10に、その制御回路12を備えて成る。そして、対角線上のMOSFETQ1,Q4が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号s1,s4で制御されてON/OFFし、同様にMOSFETQ2,Q3が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号s2,s3で制御されてON/OFFする。その論理を前記図9に示す。
【0009】
このような駆動回路11において、本件発明者らは、参照符号R0で示すように、Hブリッジ回路10の電源側またはGND側に電流制限抵抗を挿脱できるようにし、挿入時には離脱時に比べて駆動トルクを下げることなく、被駆動部材3の変移量を小さくできるようにした駆動回路を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2633066号公報
【特許文献2】特許第3171187号公報
【特許文献3】特開2008−263716号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】(スムーズインパクト駆動機構(SIDM)の開発(第2報)精密工学会誌 Vol.68, No.4 (2002) pp.536−541)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のような単純な矩形波パルスを用いる駆動回路では、アクチュエータの起動時と停止時に「カッチ」という音を発生するという問題がある。同様に、起動と停止との繰返しによる間欠駆動時には、この「カッチ」という音が連続的に発生し、それが間欠駆動時の騒音となる。この騒音は、起動時と停止時とにおける摩擦接触部5のスリップ音および圧電素子1の伸縮音に起因する。一般に、圧電素子1を用いる超音波リニアアクチュエータの場合、その速度調整には間欠駆動が用いられるが、このときに発生する騒音が製品仕様に大きく影響する。特に、デジタルカメラやムービーの像ぶれ補正は、連続動作であり、また携帯電話のAFやズーム制御では、小型の機器で音漏れがし易く、共に静音化が望まれている。
【0013】
圧電素子1を用いる超音波リニアアクチュエータの消音化には、図12で示すように、起動時に駆動電圧を徐々に昇圧し、停止時に駆動電圧(+V)を徐々に降圧すればよい。すなわち、図11における電流制限抵抗R0の抵抗値を調整し、圧電素子1への充放電電流を小さく、つまり圧電素子1が完全に充電される前に電流を止めればよい。従来方法として、前記抵抗値をアナログ的に変化させる方法があるが、これでは、回路規模が大きくなり、コストが嵩むという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、低コストに騒音を低減することができるアクチュエータの駆動回路およびそれを用いる超音波リニアアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のアクチュエータの駆動回路は、振動子の振動を駆動部材に伝え、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるアクチュエータの駆動回路において、前記振動子に駆動パルスを与えるパルス発生回路と、前記パルス発生回路の発生パルスを制御する制御回路とを含み、前記制御回路は、前記パルス発生回路に、前記振動子の系における共振周波数に対して所定数倍の駆動周波数で、かつ所定デューティの駆動パルスを発生させることで、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に、前記速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、かつ前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数を維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスを出力させることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、圧電素子などの振動子の伸縮を駆動部材に伝え、その駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させる超音波リニアアクチュエータなどとして実現されるアクチュエータの駆動回路において、パルス発生回路が前記振動子に駆動パルスを与えて、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、パルス発生回路による発生パルスを制御する制御回路は、以下のような駆動パルスを発生させる。
【0017】
すなわち、先ず、前記駆動パルスを、前記振動子の系における1次共振周波数frに対して、0.6〜0.8の所定数倍の駆動周波数fdで、かつ0.3程度または0.7程度の所定デューティのパルスとすることで、該駆動パルスに含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインが適切な関係となり、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、前記被駆動部材に高い移動速度を得ることができるようになる。前記の0.3と0.7とのデューティの違いで、前記被駆動部材の移動方向が切替わる。次に、注目すべきは、制御回路は、前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記パルス発生回路に、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮した駆動パルスを発生させる。
【0018】
したがって、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、振動子の充放電が早期に打ち切られることになり、騒音(被駆動部材のスリップ音や振動子の伸縮音)を低減することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路は、Hブリッジ回路などの従来通りの振動子を充放電するパルス発生回路と、その制御回路とによって構成することができ、その制御回路がパルス発生回路を制御する信号の態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【0019】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記振動子は超音波振動を行う圧電素子であることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、前記アクチュエータとして、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる超音波リニアアクチュエータを用いることができる。
【0021】
さらにまた、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記制御回路は、前記パルス幅の短縮量を、停止時には徐々に大きくさせ、起動時には最大値から徐々に短縮させることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、振動子に加わるエネルギーを、起動時には徐々に大きくし、停止時には徐々に小さくすることができ、前記騒音の発生をより確実に抑えることができる。
【0023】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記制御回路は、前記パルス幅の短縮を、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを複数の微細パルスで構成させ、その微細パルスの密度を変化させることで行うことを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを短縮するにあたって、PDM(パルス密度変調)を用いる。したがって、調整容易に、前記パルス幅を実質的に短縮することができる(すなわち、前記微細パルスの総積算時間が前記短縮したパルス幅となる)。
【0025】
さらにまた、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記微細パルスの周波数が、前記振動子の系における反共振周波数または前記1次共振周波数frの10倍以上に設定されることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、反共振周波数では、振動子のインピーダンスが最も高く、したがってそのインピーダンスと該振動子の容量とで大きな時定数を形成することができ、前記微細パルスの周波数を前記反共振周波数に設定することで、実質的な前記パルス幅の調整がし易くなる。同様に、共振周波数の10倍以上に前記微細パルスの周波数を設定することで、前記パルス幅の調整を細かく行うことができる。
【0027】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記パルス発生回路はHブリッジ回路から成り、前記制御回路は、そのHブリッジ回路における半導体スイッチ素子を駆動することを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、振動子を充放電させるにあたって、Hブリッジ回路を用いることで、単純に電源とGNDとの間を切換える回路に比べて、同じ電源電圧でも、前記振動子に2倍の電圧を印加することができる。
【0029】
さらにまた、本発明の超音波リニアアクチュエータは、前記のアクチュエータの駆動回路と、所定の方向に振動する前記振動子と、前記振動子の振動方向の一端に取付けられて該振動子により前記振動方向に変位駆動される駆動部材と、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材とを備えることを特徴とする。
【0030】
上記の構成によれば、低騒音の超音波リニアアクチュエータを実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のアクチュエータの駆動回路およびそれを用いる超音波リニアアクチュエータは、以上のように、圧電素子などの振動子の伸縮を駆動部材に伝え、その駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させる超音波リニアアクチュエータなどとして実現されるアクチュエータの駆動回路において、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、前記振動子に与える駆動信号を、前記振動子の系における1次共振周波数frの所定数倍の駆動周波数fdで、かつ所定デューティの駆動パルスとすることで、Hブリッジなどで作成できる矩形波での駆動を可能にし、さらに被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスとする。
【0032】
それゆえ、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、振動子の充放電が早期に打ち切られることになり、騒音を低減することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路は、前記Hブリッジ回路などの従来通りの振動子を充放電するパルス発生回路と、その制御回路とによって構成することができ、その制御回路が作成する前記駆動パルスの態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の一形態に係る駆動回路のブロック図である。
【図2】図1で示す駆動回路によるHブリッジ回路の制御論理と、それによって圧電素子に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【図3】本発明の実施の他の形態に係る駆動回路のブロック図である。
【図4】図3で示す駆動回路によるHブリッジ回路の制御論理と、それによって圧電素子に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【図5】振動子に圧電素子を用いた超音波リニアアクチュエータの伝達特性を示すグラフである。
【図6】前記圧電素子のインピーダンス特性を示すグラフである。
【図7】前記圧電素子の等価回路図である。
【図8】超音波リニアアクチュエータ(SIDM)の構造を模式的に示す図である。
【図9】従来および本実施の形態の定常時における圧電素子の駆動波形図である。
【図10】超音波リニアアクチュエータ(SIDM)を矩形波で駆動するにあたって、デューティおよび周波数を変化させた場合における被駆動部材の移動速度の変化を示すグラフである。
【図11】従来技術の駆動回路のブロック図である。
【図12】本実施の形態における圧電素子の駆動波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る駆動回路21のブロック図である。この駆動回路21は、前述の図8で示すような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路であり、パルス発生回路であるHブリッジ回路10については、前述の図11の駆動回路11と同様である。したがって、振動子は超音波振動を行う圧電素子1であり、アクチュエータとしては、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる前記超音波リニアアクチュエータである。そして、前述の図11の駆動回路11と本実施の形態の駆動回路21とは、制御回路22が異なるだけである。
【0035】
したがって、前記超音波リニアアクチュエータのロッド2と被駆動部材3との係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、Hブリッジ回路10から圧電素子1に与える駆動信号は、該圧電素子1の系における1次共振周波数frに対して、所定数倍、たとえば0.6〜0.8倍、好ましくは0.7倍の駆動周波数fdで、かつ所定デューティ、たとえば0.3または0.7の駆動パルスとなっている。こうして、前記駆動パルスに含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインを適切な関係として、前記係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、前記被駆動部材3に高い移動速度を得ることができるようになり、また前記の0.3と0.7とのデューティの違いで、前記被駆動部材3の移動方向を切替えるようになっている。
【0036】
注目すべきは、制御回路21が、前記被駆動部材3の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記の駆動パルスを、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記駆動パルスを前記0.3または0.7のデューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスとすることである。このため、前述の従来技術の駆動回路11では、制御回路12はI/Oポートを使用していたのに対して、本実施の形態の駆動回路21では、制御回路22のPWMポートを使用する。
【0037】
図2に、前記駆動回路21による各MOSFETQ1〜Q4の制御論理と、圧電素子1に与えられる電圧との関係を示す。前述の図9と同様に、対角線上のMOSFETQ1,Q4が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号S1,S4で制御されてON/OFFし、同様にMOSFETQ2,Q3が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号S2,S3で制御されてON/OFFする。また、非駆動時は、GND側のn型のMOSFETQ2,Q4が共にONされて、圧電素子1は放電状態とされている。
【0038】
したがって、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、圧電素子1の充放電が早期に打ち切られることになり、これによって前述の図12や図2で示すように、圧電素子1への印加電圧が定常駆動時のレベルにまで上昇せず、被駆動部材3の変移量も定常駆動時よりも小さくなり、低騒音(被駆動部材3のスリップ音や圧電素子1の伸縮音を低減する)な超音波リニアアクチュエータを実現することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路21は、Hブリッジ回路10などの従来通りの圧電素子1を充放電するパルス発生回路と、その制御回路22とによって構成することができ、その制御回路22が作成する前記駆動パルスの態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【0039】
また、前記被駆動部材3の停止時には、前記制御回路21は、前記パルス幅の短縮量を徐々に大きく、したがってパルス幅自体は最大値から徐々に小さくし、起動時には前記パルス幅の短縮量を最大値から徐々に短縮、したがって図2に示すようにパルス幅自体は最小値から徐々に大きくするので、圧電素子1に加わるエネルギーを、起動時には徐々に大きくし、停止時には徐々に小さくすることができ、前記騒音の発生をより確実に抑えることができる。
【0040】
さらにまた、圧電素子1を充放電させるにあたって、Hブリッジ回路10を用いることで、単純に電源とGNDとの間を切換える回路に比べて、同じ電源電圧でも、前記振動子に2倍の電圧を印加することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の他の形態に係る駆動回路31のブロック図である。この駆動回路31も、前述の図8で示すような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路であり、Hブリッジ回路10については、前述の図11の駆動回路11と同様である。注目すべきは、この駆動回路31では、前記0.3または0.7の所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを、図4で示すように、複数の微細パルスで構成し、その微細パルスの密度を変化させる、すなわちPDM(パルス密度変調)を用いて、前記パルスのパルス幅を実質的に短縮することである。ここで、前記実質的にとは、前記微細パルスの総積算時間が、図2で示すような短縮したパルス幅と等価になるという意味である。前記図4は、前記駆動回路31による各MOSFETQ1〜Q4の制御論理と、圧電素子1に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【0042】
ここで、図5に、前述の図8で示すような圧電素子1を用いた超音波リニアアクチュエータの伝達特性を示す。ただし、この図5は、被駆動部材3を搭載する前の特性を示している。前述のようにSIDMにおいては、1次共振周波数frの0.6〜0.8倍が駆動周波数fdに設定されている。このとき、前記制御回路32のI/Oポートから各MOSFETQ1〜Q4に与える駆動信号S11〜S14の周波数faは、前記パルス幅の調整を細かく行えるように、前記1次共振周波数frよりも充分大きく設定する必要がある。好ましくは、前記圧電素子1の系における反共振周波数fr’である。
【0043】
図6に、圧電素子のインピーダンス特性を示す。圧電素子は、図7で示すように、L,R,Cの直列共振回路と、それに並列の容量C0を加えた並列共振回路とを伴わせて持っている。そして、図6で示すように、共振点(fr)では、前記L,R,Cの直列共振回路のインピーダンスが小さく、反共振点(fr’)では大きい。したがって、前記駆動信号S11〜S14の周波数faに反共振周波数frを用いると、該圧電素子1の容量C0との時定数が大きくなって、充電量の調整に時間的余裕が生まれ、実質的な前記パルス幅の調整がし易くなる。この反共振点(fr’)以外では、前記周波数faを、駆動周波数fdの10倍以上に設定することで、同様に前記実質的なパルス幅の調整を細かく行うことができる。たとえば、基本の駆動周波数fdは50kHzであり、駆動信号S11〜S14の周波数faは、10倍の500kHz以上である。
【0044】
再び図4に戻り、先ず1発目の駆動パルスの立ち上がり時刻t11で、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれローレベルおよびハイレベルのパルスとなって、共にONし、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13は、それぞれローレベルおよびハイレベルのままで、共にOFFし、圧電素子1は1方の極性で僅かに充電される。その後、前記1発目の駆動パルスの立ち下がり時刻t12で論理が反転し、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13にはそれぞれハイレベルおよびローレベルのパルスが連続して2発与えられ、共にそのパルスタイミングでONし、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれハイレベルおよびローレベルで維持されて、共にOFFし、圧電素子1からは前記一方の極性の電荷が引抜かれ、さらに他方の極性で僅かに充電される。
【0045】
次に、2発目の駆動パルスの立ち上がり時刻t21で、再びMOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14には、それぞれローレベルおよびハイレベルのパルスが連続して3発与えられ、共にONし、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13は、それぞれローレベルおよびハイレベルで維持され、共にOFFし、圧電素子1からは前記他方の極性の電荷が引抜かれ、さらに1方の極性で僅かに充電される。その後、前記2発目の駆動パルスの立ち下がり時刻t22で論理が反転し、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13にはそれぞれハイレベルおよびローレベルのパルスが連続して4発与えられ、共にそのパルスタイミングでONし、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれハイレベルおよびローレベルで維持されて、共にOFFし、圧電素子1からは前記他一方の極性の電荷が引抜かれ、さらに他方の極性で僅かに充電される。以後は、同様の動作を繰返し、昇圧駆動が完了し定常駆動に遷移すれば、圧電素子1は図9に示す駆動信号で駆動される。降圧時も同様である。
【0046】
このように構成してもまた、圧電素子1への電荷供給量を調整し、騒音を低減することができる。また、その電荷供給量も、パルス密度によって容易に調整することができる。本実施の形態の駆動回路31は、前述の図11で示す駆動回路11と同様に、各MOSFETQ1〜Q4を、I/Oポートを使用して駆動しているけれども、ハイレベル/ローレベルの切替え周波数を速くし、またタイミングを細かく制御するだけであるので、回路構成としては大きな変更がなく、ソフトウェアの変更などで対応することができる。
【0047】
なお、本実施の形態でも、図6の等価回路において参照符号R0で示すように、圧電素子1に直列に電流制限抵抗を挿入し、該圧電素子への充電時間を遅らせるようにしてもよい。これによって、前述の駆動信号S11〜S14の駆動周波数faを低下させることができ、該駆動化1の負担を軽減することができる。しかしながら、本実施の形態では、圧電素子1への充電電流を細かく制御できるので、図11の駆動回路11のように、前記電流制限抵抗R0を可変抵抗にする必要はない。
【符号の説明】
【0048】
1 圧電素子
2 ロッド
3 被駆動部材
4 固定部
10 Hブリッジ回路
21,31 駆動回路
22,32 制御回路
Q1〜Q4 MOSFET
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成る超音波リニアアクチュエータの駆動回路などとして好適に実施される駆動回路およびそれを用いる前記超音波リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
前記超音波リニアアクチュエータは、たとえば図8で模式的に示すような構造を有し、圧電素子1の伸縮をロッド(駆動部材)2に伝え、そのロッド2に所定の摩擦力で係合している被駆動部材(移動体)3を、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるものである。
【0003】
たとえば、図8(a)から図8(b)で示すように、ロッド2をゆっくりと伸張させることで、そのロッド2に摩擦係合している被駆動部材3も移動し、図8(b)から図8(c)で示すように、前記所定の摩擦力を超える程、ロッド2を瞬時に縮小すると、被駆動部材3が慣性のために伸張位置に取り残されるということを繰返し行うことで、前記被駆動部材3を前記ロッド2の軸方向に移動させるものである。そして、伸張を瞬時に、縮小をゆっくりと行うことで、前記被駆動部材3の移動方向を前記とは逆転することができる。前記圧電素子1のロッド2とは反対側は、変位を阻止する固定部4に固定されている。
【0004】
このような超音波リニアアクチュエータは、通常のローレンツ力型のモータなどに比べて、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる。このため、特許文献1では、その搭載例として、前記ロッドをレンズ光軸方向に設置し、フォーカシングレンズの保持部材を前記ロッドに係合させることで、オートフォーカスを実現した駆動装置が提案されている。なお、前記ロッドに対して被駆動部材を摩擦係合させるためには、ばねなどによる押圧力だけではなく、磁力が用いられてもよい。
【0005】
一方、ロッド2に前記の速度差を生じさせるにあたっては、端的には、前記圧電素子1に擬似鋸歯状の駆動信号を与えることであるが、その場合、駆動回路が非常に複雑になるので、本件出願人は、先に特許文献2において、駆動周波数およびデューティを適切に選定することで、図9に示すような矩形波電圧を与えた場合にも、前記鋸歯状変位が得られることを示した。また、その理論的背景は、非特許文献1で明らかにされている。その理論を要約すると、前記鋸歯状波形の基本は、基本周波数の正弦波信号に、第2調波の正弦波信号を加算して得ることができるというものである。すなわち、前記鋸歯状波形には、成分的に複数の周波数の正弦波が含まれているが、そのうち少なくとも1次および2次の成分があれば前記超音波リニアアクチュエータの駆動に充分なレベルとなり、変位yは、
y=−sin(ωt)−0.25・sin(2ωt) ・・・(1)
で表すことができる。
【0006】
そして、そのような鋸歯状波形を得るための条件は、駆動周波数が低い場合、そのものの波形を成形しなければならないが、或る程度駆動周波数が高くなると、1次共振周波数frの0.6〜0.8倍前後の駆動周波数fdで、0.3または0.7程度のデューティの矩形波を圧電素子に入力することで、前記鋸歯状変位を生じさせることが可能になる。特許文献2は、このような特性を利用して、製品において実現容易な矩形波電圧で駆動させるようにしたものである。
【0007】
図10には、前記矩形波のデューティおよび周波数を変化させた場合における被駆動部材の移動速度の変化を示す。このグラフは、前記非特許文献1の図20で示されたもので、圧電素子およびロッドの共振周波数は、200kHz、駆動電圧は6VP−P、被駆動部材のロッドに対する摩擦力は300mNとしている。この図10から明らかなように、共振周波数の0.7倍のときに、矩形波に含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインが適切な関係となり、鋸歯状変位が得られ、最高の速度が得られている。
【0008】
そこで、そのような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路としては、典型的な従来技術では、図11で示すような駆動回路11がある。すなわち、電源電圧+Vの電源ラインとGNDとの間に、p型のMOSFETQ1とn型のMOSFETQ2との直列回路と、同様のp型のMOSFETQ3とn型のMOSFETQ4との直列回路とを備え、それらのMOSFETQ1,Q2;Q3,Q4の接続点間に前記圧電素子1を接続して成る、いわゆるHブリッジ回路10に、その制御回路12を備えて成る。そして、対角線上のMOSFETQ1,Q4が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号s1,s4で制御されてON/OFFし、同様にMOSFETQ2,Q3が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号s2,s3で制御されてON/OFFする。その論理を前記図9に示す。
【0009】
このような駆動回路11において、本件発明者らは、参照符号R0で示すように、Hブリッジ回路10の電源側またはGND側に電流制限抵抗を挿脱できるようにし、挿入時には離脱時に比べて駆動トルクを下げることなく、被駆動部材3の変移量を小さくできるようにした駆動回路を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2633066号公報
【特許文献2】特許第3171187号公報
【特許文献3】特開2008−263716号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】(スムーズインパクト駆動機構(SIDM)の開発(第2報)精密工学会誌 Vol.68, No.4 (2002) pp.536−541)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述のような単純な矩形波パルスを用いる駆動回路では、アクチュエータの起動時と停止時に「カッチ」という音を発生するという問題がある。同様に、起動と停止との繰返しによる間欠駆動時には、この「カッチ」という音が連続的に発生し、それが間欠駆動時の騒音となる。この騒音は、起動時と停止時とにおける摩擦接触部5のスリップ音および圧電素子1の伸縮音に起因する。一般に、圧電素子1を用いる超音波リニアアクチュエータの場合、その速度調整には間欠駆動が用いられるが、このときに発生する騒音が製品仕様に大きく影響する。特に、デジタルカメラやムービーの像ぶれ補正は、連続動作であり、また携帯電話のAFやズーム制御では、小型の機器で音漏れがし易く、共に静音化が望まれている。
【0013】
圧電素子1を用いる超音波リニアアクチュエータの消音化には、図12で示すように、起動時に駆動電圧を徐々に昇圧し、停止時に駆動電圧(+V)を徐々に降圧すればよい。すなわち、図11における電流制限抵抗R0の抵抗値を調整し、圧電素子1への充放電電流を小さく、つまり圧電素子1が完全に充電される前に電流を止めればよい。従来方法として、前記抵抗値をアナログ的に変化させる方法があるが、これでは、回路規模が大きくなり、コストが嵩むという問題がある。
【0014】
本発明の目的は、低コストに騒音を低減することができるアクチュエータの駆動回路およびそれを用いる超音波リニアアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のアクチュエータの駆動回路は、振動子の振動を駆動部材に伝え、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるアクチュエータの駆動回路において、前記振動子に駆動パルスを与えるパルス発生回路と、前記パルス発生回路の発生パルスを制御する制御回路とを含み、前記制御回路は、前記パルス発生回路に、前記振動子の系における共振周波数に対して所定数倍の駆動周波数で、かつ所定デューティの駆動パルスを発生させることで、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に、前記速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、かつ前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数を維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスを出力させることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、圧電素子などの振動子の伸縮を駆動部材に伝え、その駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させる超音波リニアアクチュエータなどとして実現されるアクチュエータの駆動回路において、パルス発生回路が前記振動子に駆動パルスを与えて、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、パルス発生回路による発生パルスを制御する制御回路は、以下のような駆動パルスを発生させる。
【0017】
すなわち、先ず、前記駆動パルスを、前記振動子の系における1次共振周波数frに対して、0.6〜0.8の所定数倍の駆動周波数fdで、かつ0.3程度または0.7程度の所定デューティのパルスとすることで、該駆動パルスに含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインが適切な関係となり、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、前記被駆動部材に高い移動速度を得ることができるようになる。前記の0.3と0.7とのデューティの違いで、前記被駆動部材の移動方向が切替わる。次に、注目すべきは、制御回路は、前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記パルス発生回路に、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮した駆動パルスを発生させる。
【0018】
したがって、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、振動子の充放電が早期に打ち切られることになり、騒音(被駆動部材のスリップ音や振動子の伸縮音)を低減することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路は、Hブリッジ回路などの従来通りの振動子を充放電するパルス発生回路と、その制御回路とによって構成することができ、その制御回路がパルス発生回路を制御する信号の態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【0019】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記振動子は超音波振動を行う圧電素子であることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、前記アクチュエータとして、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる超音波リニアアクチュエータを用いることができる。
【0021】
さらにまた、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記制御回路は、前記パルス幅の短縮量を、停止時には徐々に大きくさせ、起動時には最大値から徐々に短縮させることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、振動子に加わるエネルギーを、起動時には徐々に大きくし、停止時には徐々に小さくすることができ、前記騒音の発生をより確実に抑えることができる。
【0023】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記制御回路は、前記パルス幅の短縮を、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを複数の微細パルスで構成させ、その微細パルスの密度を変化させることで行うことを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを短縮するにあたって、PDM(パルス密度変調)を用いる。したがって、調整容易に、前記パルス幅を実質的に短縮することができる(すなわち、前記微細パルスの総積算時間が前記短縮したパルス幅となる)。
【0025】
さらにまた、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記微細パルスの周波数が、前記振動子の系における反共振周波数または前記1次共振周波数frの10倍以上に設定されることを特徴とする。
【0026】
上記の構成によれば、反共振周波数では、振動子のインピーダンスが最も高く、したがってそのインピーダンスと該振動子の容量とで大きな時定数を形成することができ、前記微細パルスの周波数を前記反共振周波数に設定することで、実質的な前記パルス幅の調整がし易くなる。同様に、共振周波数の10倍以上に前記微細パルスの周波数を設定することで、前記パルス幅の調整を細かく行うことができる。
【0027】
また、本発明のアクチュエータの駆動回路では、前記パルス発生回路はHブリッジ回路から成り、前記制御回路は、そのHブリッジ回路における半導体スイッチ素子を駆動することを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、振動子を充放電させるにあたって、Hブリッジ回路を用いることで、単純に電源とGNDとの間を切換える回路に比べて、同じ電源電圧でも、前記振動子に2倍の電圧を印加することができる。
【0029】
さらにまた、本発明の超音波リニアアクチュエータは、前記のアクチュエータの駆動回路と、所定の方向に振動する前記振動子と、前記振動子の振動方向の一端に取付けられて該振動子により前記振動方向に変位駆動される駆動部材と、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材とを備えることを特徴とする。
【0030】
上記の構成によれば、低騒音の超音波リニアアクチュエータを実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のアクチュエータの駆動回路およびそれを用いる超音波リニアアクチュエータは、以上のように、圧電素子などの振動子の伸縮を駆動部材に伝え、その駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させる超音波リニアアクチュエータなどとして実現されるアクチュエータの駆動回路において、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に前記の速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、前記振動子に与える駆動信号を、前記振動子の系における1次共振周波数frの所定数倍の駆動周波数fdで、かつ所定デューティの駆動パルスとすることで、Hブリッジなどで作成できる矩形波での駆動を可能にし、さらに被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスとする。
【0032】
それゆえ、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、振動子の充放電が早期に打ち切られることになり、騒音を低減することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路は、前記Hブリッジ回路などの従来通りの振動子を充放電するパルス発生回路と、その制御回路とによって構成することができ、その制御回路が作成する前記駆動パルスの態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の一形態に係る駆動回路のブロック図である。
【図2】図1で示す駆動回路によるHブリッジ回路の制御論理と、それによって圧電素子に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【図3】本発明の実施の他の形態に係る駆動回路のブロック図である。
【図4】図3で示す駆動回路によるHブリッジ回路の制御論理と、それによって圧電素子に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【図5】振動子に圧電素子を用いた超音波リニアアクチュエータの伝達特性を示すグラフである。
【図6】前記圧電素子のインピーダンス特性を示すグラフである。
【図7】前記圧電素子の等価回路図である。
【図8】超音波リニアアクチュエータ(SIDM)の構造を模式的に示す図である。
【図9】従来および本実施の形態の定常時における圧電素子の駆動波形図である。
【図10】超音波リニアアクチュエータ(SIDM)を矩形波で駆動するにあたって、デューティおよび周波数を変化させた場合における被駆動部材の移動速度の変化を示すグラフである。
【図11】従来技術の駆動回路のブロック図である。
【図12】本実施の形態における圧電素子の駆動波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る駆動回路21のブロック図である。この駆動回路21は、前述の図8で示すような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路であり、パルス発生回路であるHブリッジ回路10については、前述の図11の駆動回路11と同様である。したがって、振動子は超音波振動を行う圧電素子1であり、アクチュエータとしては、構成が簡単で、しかも減速機構を用いずに負荷をダイレクトに駆動することができる前記超音波リニアアクチュエータである。そして、前述の図11の駆動回路11と本実施の形態の駆動回路21とは、制御回路22が異なるだけである。
【0035】
したがって、前記超音波リニアアクチュエータのロッド2と被駆動部材3との係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせるにあたって、Hブリッジ回路10から圧電素子1に与える駆動信号は、該圧電素子1の系における1次共振周波数frに対して、所定数倍、たとえば0.6〜0.8倍、好ましくは0.7倍の駆動周波数fdで、かつ所定デューティ、たとえば0.3または0.7の駆動パルスとなっている。こうして、前記駆動パルスに含まれる1次成分の正弦波および2次成分の正弦波の位相およびゲインを適切な関係として、前記係合部分に擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、前記被駆動部材3に高い移動速度を得ることができるようになり、また前記の0.3と0.7とのデューティの違いで、前記被駆動部材3の移動方向を切替えるようになっている。
【0036】
注目すべきは、制御回路21が、前記被駆動部材3の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記の駆動パルスを、前記駆動周波数fdを維持し、かつ前記駆動パルスを前記0.3または0.7のデューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスとすることである。このため、前述の従来技術の駆動回路11では、制御回路12はI/Oポートを使用していたのに対して、本実施の形態の駆動回路21では、制御回路22のPWMポートを使用する。
【0037】
図2に、前記駆動回路21による各MOSFETQ1〜Q4の制御論理と、圧電素子1に与えられる電圧との関係を示す。前述の図9と同様に、対角線上のMOSFETQ1,Q4が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号S1,S4で制御されてON/OFFし、同様にMOSFETQ2,Q3が同じタイミングで相互に逆相の駆動信号S2,S3で制御されてON/OFFする。また、非駆動時は、GND側のn型のMOSFETQ2,Q4が共にONされて、圧電素子1は放電状態とされている。
【0038】
したがって、前記起動時、停止時または間欠駆動時では、定常駆動時よりも、圧電素子1の充放電が早期に打ち切られることになり、これによって前述の図12や図2で示すように、圧電素子1への印加電圧が定常駆動時のレベルにまで上昇せず、被駆動部材3の変移量も定常駆動時よりも小さくなり、低騒音(被駆動部材3のスリップ音や圧電素子1の伸縮音を低減する)な超音波リニアアクチュエータを実現することができる。また、そのように充放電のレベルを小さくするにあたって、駆動回路21は、Hブリッジ回路10などの従来通りの圧電素子1を充放電するパルス発生回路と、その制御回路22とによって構成することができ、その制御回路22が作成する前記駆動パルスの態様を変化するだけでよく、低コストに実現することができる。
【0039】
また、前記被駆動部材3の停止時には、前記制御回路21は、前記パルス幅の短縮量を徐々に大きく、したがってパルス幅自体は最大値から徐々に小さくし、起動時には前記パルス幅の短縮量を最大値から徐々に短縮、したがって図2に示すようにパルス幅自体は最小値から徐々に大きくするので、圧電素子1に加わるエネルギーを、起動時には徐々に大きくし、停止時には徐々に小さくすることができ、前記騒音の発生をより確実に抑えることができる。
【0040】
さらにまた、圧電素子1を充放電させるにあたって、Hブリッジ回路10を用いることで、単純に電源とGNDとの間を切換える回路に比べて、同じ電源電圧でも、前記振動子に2倍の電圧を印加することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の他の形態に係る駆動回路31のブロック図である。この駆動回路31も、前述の図8で示すような超音波リニアアクチュエータを駆動する回路であり、Hブリッジ回路10については、前述の図11の駆動回路11と同様である。注目すべきは、この駆動回路31では、前記0.3または0.7の所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを、図4で示すように、複数の微細パルスで構成し、その微細パルスの密度を変化させる、すなわちPDM(パルス密度変調)を用いて、前記パルスのパルス幅を実質的に短縮することである。ここで、前記実質的にとは、前記微細パルスの総積算時間が、図2で示すような短縮したパルス幅と等価になるという意味である。前記図4は、前記駆動回路31による各MOSFETQ1〜Q4の制御論理と、圧電素子1に与えられる電圧との関係を示す波形図である。
【0042】
ここで、図5に、前述の図8で示すような圧電素子1を用いた超音波リニアアクチュエータの伝達特性を示す。ただし、この図5は、被駆動部材3を搭載する前の特性を示している。前述のようにSIDMにおいては、1次共振周波数frの0.6〜0.8倍が駆動周波数fdに設定されている。このとき、前記制御回路32のI/Oポートから各MOSFETQ1〜Q4に与える駆動信号S11〜S14の周波数faは、前記パルス幅の調整を細かく行えるように、前記1次共振周波数frよりも充分大きく設定する必要がある。好ましくは、前記圧電素子1の系における反共振周波数fr’である。
【0043】
図6に、圧電素子のインピーダンス特性を示す。圧電素子は、図7で示すように、L,R,Cの直列共振回路と、それに並列の容量C0を加えた並列共振回路とを伴わせて持っている。そして、図6で示すように、共振点(fr)では、前記L,R,Cの直列共振回路のインピーダンスが小さく、反共振点(fr’)では大きい。したがって、前記駆動信号S11〜S14の周波数faに反共振周波数frを用いると、該圧電素子1の容量C0との時定数が大きくなって、充電量の調整に時間的余裕が生まれ、実質的な前記パルス幅の調整がし易くなる。この反共振点(fr’)以外では、前記周波数faを、駆動周波数fdの10倍以上に設定することで、同様に前記実質的なパルス幅の調整を細かく行うことができる。たとえば、基本の駆動周波数fdは50kHzであり、駆動信号S11〜S14の周波数faは、10倍の500kHz以上である。
【0044】
再び図4に戻り、先ず1発目の駆動パルスの立ち上がり時刻t11で、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれローレベルおよびハイレベルのパルスとなって、共にONし、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13は、それぞれローレベルおよびハイレベルのままで、共にOFFし、圧電素子1は1方の極性で僅かに充電される。その後、前記1発目の駆動パルスの立ち下がり時刻t12で論理が反転し、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13にはそれぞれハイレベルおよびローレベルのパルスが連続して2発与えられ、共にそのパルスタイミングでONし、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれハイレベルおよびローレベルで維持されて、共にOFFし、圧電素子1からは前記一方の極性の電荷が引抜かれ、さらに他方の極性で僅かに充電される。
【0045】
次に、2発目の駆動パルスの立ち上がり時刻t21で、再びMOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14には、それぞれローレベルおよびハイレベルのパルスが連続して3発与えられ、共にONし、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13は、それぞれローレベルおよびハイレベルで維持され、共にOFFし、圧電素子1からは前記他方の極性の電荷が引抜かれ、さらに1方の極性で僅かに充電される。その後、前記2発目の駆動パルスの立ち下がり時刻t22で論理が反転し、MOSFETQ2,Q3に与える駆動信号S12,S13にはそれぞれハイレベルおよびローレベルのパルスが連続して4発与えられ、共にそのパルスタイミングでONし、MOSFETQ1,Q4に与える駆動信号S11,S14は、それぞれハイレベルおよびローレベルで維持されて、共にOFFし、圧電素子1からは前記他一方の極性の電荷が引抜かれ、さらに他方の極性で僅かに充電される。以後は、同様の動作を繰返し、昇圧駆動が完了し定常駆動に遷移すれば、圧電素子1は図9に示す駆動信号で駆動される。降圧時も同様である。
【0046】
このように構成してもまた、圧電素子1への電荷供給量を調整し、騒音を低減することができる。また、その電荷供給量も、パルス密度によって容易に調整することができる。本実施の形態の駆動回路31は、前述の図11で示す駆動回路11と同様に、各MOSFETQ1〜Q4を、I/Oポートを使用して駆動しているけれども、ハイレベル/ローレベルの切替え周波数を速くし、またタイミングを細かく制御するだけであるので、回路構成としては大きな変更がなく、ソフトウェアの変更などで対応することができる。
【0047】
なお、本実施の形態でも、図6の等価回路において参照符号R0で示すように、圧電素子1に直列に電流制限抵抗を挿入し、該圧電素子への充電時間を遅らせるようにしてもよい。これによって、前述の駆動信号S11〜S14の駆動周波数faを低下させることができ、該駆動化1の負担を軽減することができる。しかしながら、本実施の形態では、圧電素子1への充電電流を細かく制御できるので、図11の駆動回路11のように、前記電流制限抵抗R0を可変抵抗にする必要はない。
【符号の説明】
【0048】
1 圧電素子
2 ロッド
3 被駆動部材
4 固定部
10 Hブリッジ回路
21,31 駆動回路
22,32 制御回路
Q1〜Q4 MOSFET
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子の振動を駆動部材に伝え、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるアクチュエータの駆動回路において、
前記振動子に駆動パルスを与えるパルス発生回路と、
前記パルス発生回路の発生パルスを制御する制御回路とを含み、
前記制御回路は、前記パルス発生回路に、前記振動子の系における共振周波数に対して所定数倍の駆動周波数で、かつ所定デューティの駆動パルスを発生させることで、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に、前記速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、かつ前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数を維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスを出力させることを特徴とするアクチュエータの駆動回路。
【請求項2】
前記振動子は超音波振動を行う圧電素子であることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記パルス幅の短縮量を、停止時には徐々に大きくさせ、起動時には最大値から徐々に短縮させることを特徴とする請求項1または2記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項4】
前記制御回路は、前記パルス幅の短縮を、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを複数の微細パルスで構成させ、その微細パルスの密度を変化させることで行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項5】
前記微細パルスの周波数が、前記振動子の系における反共振周波数または前記共振周波数の10倍以上に設定されることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項6】
前記パルス発生回路はHブリッジ回路から成り、前記制御回路は、そのHブリッジ回路における半導体スイッチ素子を駆動することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路と、
所定の方向に振動する前記振動子と、
前記振動子の振動方向の一端に取付けられて該振動子により前記振動方向に変位駆動される駆動部材と、
前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材とを備えることを特徴とする超音波リニアアクチュエータ。
【請求項1】
振動子の振動を駆動部材に伝え、前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材を、前記振動子の伸張時と縮小時との速度差を利用して移動させるアクチュエータの駆動回路において、
前記振動子に駆動パルスを与えるパルス発生回路と、
前記パルス発生回路の発生パルスを制御する制御回路とを含み、
前記制御回路は、前記パルス発生回路に、前記振動子の系における共振周波数に対して所定数倍の駆動周波数で、かつ所定デューティの駆動パルスを発生させることで、前記駆動部材と被駆動部材との係合部分に、前記速度差を生じさせる擬似鋸歯状の変位振動を生じさせ、かつ前記被駆動部材の起動時、停止時または間欠駆動時の少なくとも1つにおいて、前記駆動周波数を維持し、かつ前記駆動パルスを前記所定デューティで規定されるパルス幅よりも短縮したパルスを出力させることを特徴とするアクチュエータの駆動回路。
【請求項2】
前記振動子は超音波振動を行う圧電素子であることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記パルス幅の短縮量を、停止時には徐々に大きくさせ、起動時には最大値から徐々に短縮させることを特徴とする請求項1または2記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項4】
前記制御回路は、前記パルス幅の短縮を、前記所定デューティで規定されるパルス幅のパルスを複数の微細パルスで構成させ、その微細パルスの密度を変化させることで行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項5】
前記微細パルスの周波数が、前記振動子の系における反共振周波数または前記共振周波数の10倍以上に設定されることを特徴とする請求項4記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項6】
前記パルス発生回路はHブリッジ回路から成り、前記制御回路は、そのHブリッジ回路における半導体スイッチ素子を駆動することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクチュエータの駆動回路と、
所定の方向に振動する前記振動子と、
前記振動子の振動方向の一端に取付けられて該振動子により前記振動方向に変位駆動される駆動部材と、
前記駆動部材に所定の摩擦力で係合している被駆動部材とを備えることを特徴とする超音波リニアアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−182577(P2011−182577A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45501(P2010−45501)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]