説明

アクティブマトリクス表示デバイスにおける表示方法

本発明は、アクティブマトリクス表示デバイスで、より詳細には、アクティブマトリクスOLED(有機発光表示)表示デバイスで画像を表示する方法に関する。本発明の目的は、各色成分のビデオダイナミックレンジを増大させることである。OLEDセルに印加される電圧は、基準電圧または電流に基づく。本発明によれば、異なる1組の基準電圧が、各色成分に使用される。このために、ビデオフレームは、少なくとも3つのサブフレームに分割され、画像の少なくとも1つの色成分が、各サブフレーム中に、上記色成分に適合された1組の基準電圧を用いてアドレス指定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス(active matrix)表示デバイスにおいて、より詳細にはアクティブマトリクスOLED(有機発光表示)表示デバイスにおいて、画像を表示する方法に関する。この方法は、より詳細には、限定はされないがビデオ適用分野向けに開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクスOLEDすなわちAM−OLEDの構造はよく知られている。AM−OLEDは、
−各セルに対して複数の薄膜トランジスタ(TFT)とOLED材料に接続されたコンデンサとの組合せを含むアクティブマトリクスであって、コンデンサがビデオフレームのある一部に値を記憶するメモリ構成要素として機能し、この値が、次のビデオフレームまたはビデオフレームの次の部分にセルにより表示するビデオ情報を表し、TFTが、セルの選択、コンデンサにおけるデータの記憶、及び、記憶されたデータに対応するビデオ情報のセルによる表示を可能にするスイッチとして機能するアクティブマトリクス、
−それらの内容をリフレッシュするためにマトリクスのセルを1ラインずつ選択するロー(ゲート)ドライバ、
−現在選択されているラインの各セルに記憶されるべきデータを送達するカラム(ソース)ドライバであって、この構成要素が各セルに対するビデオ情報を受け取るカラム(ソース)ドライバ、並びに、
−必要なビデオ及び信号処理ステップを適用し、必要な制御信号をロードライバ及びカラムドライバに送達するデジタル処理ユニット
を備える。
【0003】
実際には、OLEDセルを駆動するには2つの方法がある。第1の方法では、デジタル処理ユニットによって送出される各デジタルビデオ情報は、カラムドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電流に変換される。この電流は、マトリクスの適切なセルに供給される。第2の方法では、デジタル処理ユニットによって送出されるデジタルビデオ情報は、カラムドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電圧に変換される。この電流または電圧は、マトリクスの適切なセルに供給される。
【0004】
上記から、ロードライバは1ラインずつ選択を適用するだけでよいので、かなり単純な関数を有するものと推定できる。それは、事実上シフトレジスタである。カラムドライバは、実際の能動部品に相当するので、高水準のデジタル−アナログ変換器と見なすことができる。AM−OLEDのそのような構造を用いてビデオ情報を表示することについて、以下に述べる。入力信号はデジタル処理ユニットに送られ、デジタル処理ユニットは、内部処理の後、行選択に対するタイミング信号を、カラムドライバに送出されるデータと同期させたロードライバに送達する。カラムドライバに送出されるデータは、並列または直列のいずれかである。さらに、カラムドライバは、別の基準信号デバイスによって送達される基準信号を処理する。この構成要素は、電圧駆動型回路の場合は1組の基準電圧を送達し、電流駆動型回路の場合は1組の基準電流を送達する。最高基準は白に使用され、最低基準は黒レベルに使用される。次いで、カラムドライバはマトリクスセルに、そのセルによって表示されるべきデータに対応する電圧または電流振幅を印加する。
【0005】
この概念を説明するために、電圧駆動型回路の一例を以下に述べる。そのような回路は、本明細書の他の部分でも、本発明について説明するために使用することとする。例に挙げるドライバは、V乃至Vという名で呼ばれる8つの基準電圧を使用し、ビデオレベルは以下に示すように構築される。
【0006】
【表1】

【0007】
より完全な表は、付属書類1に示す。この表は、様々な入力ビデオレベルに対する出力電圧を示す。例えば、使用される基準電圧は以下のものである。
【0008】
【表2】

【0009】
実際には、カラーディスプレイを作製するには3つの方法がある。
−図1に示す第1の可能性は、上部にフォトパターン可能な(photopatternable)色フィルタを有する白色OLED発光体を使用することである。この種類のディスプレイは、着色も色フィルタを使用して行われる現在のLCDディスプレイと類似している。このディスプレイには、単一のOLED材料堆積を使用するという利点と、十分な色調整の可能性があるという利点とがあるが、表示全体の率は色フィルタによって制限される。
−図2に示す第2の可能性は、上部にフォトパターン可能な赤色及び緑色用の色変換部を有する青色OLED発光体を使用することである。このような変換部は、主に、光の特定のスペクトルを吸収し、それを常により低い他のスペクトルに変換する材料に基づく。この種類のディスプレイには、単一のOLED材料堆積を使用するという利点があるが、表示全体の率は色変換部によって制限される。さらに、光のスペクトルは変換部によって低減させることしかできないので、青色材料が必要であるが、青色材料は常に、発光及び寿命の両方の条件でより非効率的である。
−図3に示す第3の可能性は、3色の赤、緑、及び青に対して異なるOLED発光体を使用することである。この種類のディスプレイは、少なくとも3つの材料堆積ステップを必要とするが、発光体がフィルタリングされないのでより効率的である。
【0010】
本発明は、特に図3のディスプレイに適合される。本発明は、他の種類のディスプレイにも使用することができるが、利点はより少なくなる。
【0011】
3つの異なるOLED材料(1色につき1つ)を使用するということは、それらがすべて異なる挙動を有することを示唆する。つまり、3つの異なるOLED材料はすべて、図4に示すように、異なる閾電圧及び異なる効率を有する。図4の例では、青色材料の閾電圧VBthは、緑色材料の閾電圧VGthより大きく、緑色材料の閾電圧VGth自体は、赤色材料の閾電圧VRthより大きい。さらに、緑色材料の効率は、赤色及び青色材料の効率より大きい。したがって、所与の色温度を実現するためには、これらの3つの色間の利得は、材料の空間内色座標に応じてさらに調整されなければならない。例えば、以下の材料が使用される。
【0012】
赤(x=0.64;y=0.33)、但し6cd/A及びVRth=3Vとする。
緑(x=0.3;0.6)、但し20cd/A及びVGth=3.3Vとする。
青(x=0.15;0.11)、但し4cd/A及びVRth=3.5Vとする。
【0013】
したがって、白色温度6400°K(x=0.313;y=0.328)は、100%の赤、84%の緑、及び95%の青を使用することにより実現される。
【0014】
3つの色に対して1組の基準信号(電圧または電流)のみを有する1つのドライバが使用される場合で且つセルに印加されるべき最大電圧が7ボルト(=Vmax)である場合、電圧レンジは3〜7Vでなければならないが、利用可能なダイナミック(dynamic)の一部分のみを使用することができ、またすべての補正は、デジタル式で実施されなければならない。そのような補正は、表示全体のビデオダイナミックを低減させることとなる。図5は、3つの色に対して最終的に使用されるビデオダイナミックを示す。より詳細には、図5は、適当な色温度及び黒レベルを有するために、各ダイオード(色材料)に対して使用されるレンジを示す。実際には、ダイオードに印加される最小電圧Vmin(=前の表でV7)を3Vに等しくなるように選択して、赤色ダイオードをOFFに切り替えることを可能にしなければならず、最低点灯電圧(=前の表でV7+(V6−V7)×9/1175)を青色閾値レベルに応じて選択して黒レベルを調整しなければならない。各ダイオードに対して選択されるべき最大電圧は白色温度に、つまり赤100%、緑84%、及び青95%に適合される。最後に、緑色ビデオレンジのうち非常に小さい部分だけが使用されることがわかる。
【0015】
3〜7Vのビデオレベルが256ビットで規定されるので、したがって緑色成分は、わずかなデジタル階調で表示される。赤色成分はもう少し多くの階調を使用するが、これもなお、満足な画質を提供するのに十分なほどではない。解決策は、3つすべての色出力に対して異なる基準信号を有する特有のドライバを使用することであるが、そのようなドライバは、入手できないか、またはかなり高価である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、これらの欠点を改善する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、その目的は、それぞれが画像の画素の少なくとも3つの色成分の中の1つの色成分専用である複数の発光素子を有するアクティブマトリクス有機発光表示デバイスにおいて画像を表示するための方法によって解決される。ここで、発光素子のそれぞれによって生成される輝度(luminance)が、該発光素子に供給される信号の強度であって基準信号の関数として規定される信号の強度に基づいている。本発明方法は、以下のステップを含む。
−画像をビデオフレーム中で少なくとも3回アドレス指定(addressing)して該ビデオフレームが少なくとも3つのサブフレームに分割されるようにするステップであって、少なくとも1つの色成分が各サブフレームと関連付けられるステップ。
−各サブフレーム中に、該関連付けられた色成分を、該色成分専用の1組の基準信号を用いて表示するステップ。
【0018】
3つの色成分は、例えば赤色成分、緑色成分、及び、青色成分である。
【0019】
第1の実施形態では、赤色成分は、第1のサブフレーム中にその色成分専用の1組の基準信号を用いて表示され、緑色成分は、第2のサブフレーム中にその色成分専用の1組の基準信号を用いて表示され、また青色成分は、第3のサブフレーム中にその色成分専用の1組の基準信号を用いて表示される。
【0020】
好ましい一実施形態では、赤色、緑色、及び青色成分が、第1のサブフレーム中に緑色成分専用の1組の基準信号を用いて表示され、赤色及び青色成分が、第2のサブフレーム中に赤色成分専用の1組の基準信号を用いて表示され、また青色成分が、第3のサブフレーム中にその色成分専用の1組の基準信号を用いて表示される。
【0021】
サブフレームの持続時間は異なり、また発光素子の寿命を延ばすために、発光素子に印加される電圧を低減させるように選択されると有利である。例えば、第1のサブフレームの持続時間は第2のサブフレームの持続時間より短く、第2のサブフレームの持続時間は第3のサブフレームの持続時間より短い。
【0022】
3つのサブフレームは、画素の2つの連続する行(rows)が順次、アドレス指定されて異なる色成分を表示するように、インタリーブされると有利である。
【0023】
本発明はまた、
−行(rows)及び列(columns)に配置された発光素子の配列を含むアクティブマトリクスであって、各発光素子が、表示されるべき画像の画素の少なくとも3つの色成分の中の1つの色成分を表示するために使用されるアクティブマトリクスと、
−上記マトリクスの発光素子を1行ずつ選択するロードライバと、
−ロードライバによって選択された行の各発光素子に、該発光素子によって表示されるビデオ情報及び1組の基準信号に依存する信号を送達するカラムドライバと、
−ビデオ情報及び1組の基準信号をカラムドライバへ送達し、及び、制御信号をロードライバへ送達するデジタル処理ユニットと
を備える表示デバイスに関する。デジタル処理ユニットは、ロードライバを制御し及びビデオ情報及び基準信号をカラムドライバに送達して画像がビデオフレーム中で少なくとも3回アドレス指定され且つビデオフレームが少なくとも3つのサブフレームに分割されるようにし、少なくとも1つの色成分が各サブフレームに関連付けられ、各サブフレーム中に、該関連付けられた色成分がその色成分専用の1組の基準信号を用いて表示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、以下の記述でより詳細に説明する。
【0025】
図6は、AMOLED表示デバイス内でアドレス指定されるビデオデータの標準的なアドレス指定(addressing)を示す。発光素子のマトリクスは、QVGA表示デバイス(320×240画素)のように、例えばC1乃至C960の320×3=960列(1色あたり320列)と、L0乃至L239の240行とを含む。話を簡単にするために、L0乃至L4の5行のみをこの図に示す。C1は赤色発光素子の列(column)であり、C2は緑色発光素子の列であり、C3は青色発光素子の列であり、C4は赤色発光素子の列であり、以下同様である。表示されるべき画像のビデオデータは、信号処理ユニットによって処理される。この信号処理ユニットは、1ラインの発光素子に対するビデオデータR(1)、G(1)、B(1)、R(2)、G(2)、B(2)、...R(320)、G(320)、B(320)と、上記ビデオデータを表示するために使用されるべき基準電圧とを、960個の出力端を有するデータドライバへ送達する。各出力端は、マトリクスの1つの列に接続される。同じ組の基準電圧が、すべてのビデオデータに対して使用される。したがって、色を表示するためには、この標準的なアドレス指定は、3つの色のビデオ調整とともに、基準電圧の調整を必要とする。これらの調整は、図5に示すビデオダイナミックの大きな損失を蒙ることを防がない。
【0026】
ここに示す本発明は、標準的なアクティブマトリクスOLEDで使用できる特有のアドレス指定である。その概念は、各色に対して1組の基準電圧(または電流)を有し、表示デバイスの発光素子を1フレームあたり3回アドレス指定して、ビデオフレームが3つのサブフレームに分割されるようにすることであり、各サブフレームは、対応する1組の基準電圧を使用することによって専用の色を主に表示するように適合される。表示されるべき主な色は、各サブフレームで、その1組の基準電圧が変わるにつれて変わる。
【0027】
例えば、赤色は第1のサブフレーム中に赤色専用の1組の基準電圧を用いて表示され、緑色は第2のサブフレーム中に緑色専用の1組の基準電圧を用いて表示され、青色は第3のサブフレーム中に青色専用の1組の基準電圧を用いて表示される。
【0028】
本発明についてより詳細に、好ましい実施形態を示す図7を参照して説明する。第1のサブフレーム中では、緑色成分に適合された基準電圧を使用して3つの成分が表示され、緑色成分に対する完全な階調ダイナミックを処理する。{V0(G)、V1(G)、V2(G)、V3(G)、V4(G)、V5(G)、V6(G)、V7(G)}は、緑色成分専用の1組の基準電圧を示す。他の2つの成分は部分的に表示されるのみである。そのため、このサブフレーム中に表示されるサブ画像は、緑色/黄色を帯びている。第2のサブフレーム中では、緑色成分は非アクティブ状態にされ(ゼロに設定)、電圧は、赤色成分専用の1組の基準電圧{V0(R)、V1(R)、V2(R)、V3(R)、V4(R)、V5(R)、V6(R)、V7(R)}を使用して赤色成分に対する完全なダイナミックを処理するように適合される。このサブフレーム中に表示されるサブ画像は、紫色を帯びている。最後に第3のサブフレーム中では、緑色及び赤色成分は非アクティブ状態にされ(ゼロに設定)、電圧は、青色成分専用の1組の基準電圧{V0(B)、V1(B)、V2(B)、V3(B)、V4(B)、V5(B)、V6(B)、V7(B)}を使用して青色成分に対する完全なダイナミックを処理するように適合される。
【0029】
本発明によると、ここで、各サブフレームで8つの基準電圧(または電流)を調整することが可能になる。唯一の特殊性は、最低基準電圧を、3つの色のうち最も低い閾電圧に等しくなるように維持しなければならないことである。実際には、青色成分を表示するということは、赤色及び緑色成分をゼロに等しくすること、すなわち本発明者らの例では最低基準電圧であるV7に等しくすることを意味する。そのため、この電圧は、これらの成分を実際に黒くするのに十分な低さにしなければならない。図5の例では、
V7(R)=V7(B)=V7(G)=VRth
でなければならない。唯一の追加要件は、より高速でマトリクスを3回アドレス指定する必要があることである。
【0030】
図8乃至図10は、3つのサブフレームにおいて表示デバイスが機能することを示す。図8を参照すると、第1のサブフレーム中では、表示されるべき画像のビデオデータは、緑色成分専用の1組の基準電圧を使用するデータドライバによってマトリクスの発光素子に印加されるべき電圧に変換される。この1組の基準電圧は、3ボルト(=V7(G)=VRth)から、緑色成分を表示するために使用できる最大電圧である約4ボルト=V0(G)の間で分配される。
【0031】
緑色成分に対する基準電圧の一例を以下に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
図9を参照すると、第2のサブフレーム中で、表示されるべき画像のビデオデータは、赤色成分専用の1組の基準電圧を使用するデータドライバによってマトリクスの発光素子に印加されるべき電圧に変換される。緑色成分に対応するビデオデータはゼロに設定される。この1組の基準電圧は、3ボルト(=V7(R)=VRth)から、赤色成分を表示するために使用できる最大電圧である約5.4ボルト=V0(R)の間で分配される。
【0034】
赤色成分に対する基準電圧の一例を以下に示す。
【0035】
【表4】

【0036】
図10を参照すると、第3のサブフレーム中では、表示されるべき画像のビデオデータは、青色成分専用の1組の基準電圧を使用するデータドライバによりマトリクスの発光素子に印加されるべき電圧に変換される。緑色成分に対応するビデオデータはゼロに設定される。この1組の基準電圧は、3ボルト(=V7(G)=VRth)から、青色成分を表示するために使用できる最大電圧である約7ボルト=V0(B)の間で分配される。
【0037】
青色成分に対する基準電圧の一例を以下に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
より一般的な方法では、最も高い明度能力(luminosity capabilities)を有する色成分(本発明者らの例では緑色成分)は、第1のサブフレーム内でのみ表示される。最も低い明度能力を有する色成分(本発明者らの例では青色成分)は、3つのサブフレーム内で表示される。そして、中間の明度能力を有する色成分(本発明者らの例では赤色成分)は、2つのサブフレーム中で表示される。
【0040】
有利にも、3つのサブフレームの持続時間は異なり、専用の色成分の電圧を増大させすぎないように適合される。表示デバイスの色温度は、各色成分のアクティブ時間の持続時間(サブフレームの持続時間)を変えることで調整することができる。この改良形態を図11に示す。図11では、青色成分専用の第3のサブフレームの持続時間が特に延ばされている。この図では、各サブフレームに対して選択される持続時間は、図5に示す対応する色成分のダイオードの動作セグメント(または使用されるダイオードダイナミック)に比例する。これにより、各色の発光素子に印加されるべき電圧を増大させないようにして、それらの寿命を高める。さらに、寿命が短い専用の色の持続時間をさらに増大させて、あらゆる特異な老朽化を防止することが可能である。
【0041】
本発明を実施する表示デバイスには「色割れ(color break-up)」と呼ばれるアーティファクトが発生する可能性があるので、本発明はまた、改善することができる。これは、DLP(デジタルライトプロセシング)表示デバイスのように、カラーホイールによる色多重化方式に基づく表示デバイスのように機能している。このアーティファクトは、目が急速に動いているとき、または急速な動きを追っている間、観察することができる。それを、図12に示す。目が動いて運動を追うとき、3つの色は交互に表示される。
【0042】
本発明によれば、1ラインずつのカラーインタリーブを実行することが提案される。実際には、図7では、マトリクスのすべてのラインが、同じカラーマネジメントに対して各サブフレーム中に次々に走査される。すべてのラインが、第1のサブフレーム中では、赤色、緑色、及び青色成分を表示するためにアドレス指定され、次いで第2のサブフレーム中では、赤色及び青色成分を表示するためにアドレス指定され、次いで第3のサブフレーム中では、青色成分を表示するためにアドレス指定される。本発明によれば、アドレス指定は修正され、3つのサブフレームがインタリーブされる。図13乃至図15に示すように、第1のラインが3つの色成分を表示するためにアドレス指定され、次いで第2のラインが青色及び赤色成分を表示するためにアドレス指定され、次いで第3のラインが青色成分を表示するためにアドレス指定され、以下同様である。
【0043】
図13は第1のサブ期間を示す。この第1のサブ期間中に、すべてのラインが1回走査される。第1のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、赤色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第2のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、緑色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第3のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、青色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、以下同様である。
【0044】
図14は第2のサブ期間を示す。この第2のサブ期間中に、すべてのラインが1回走査される。第1のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、緑色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第2のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、青色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第3のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、赤色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、以下同様である。
【0045】
最後に、図15は第3のサブ期間を示す。この第3のサブ期間中に、すべてのラインが1回走査される。第1のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、青色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第2のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、赤色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、第3のラインの発光素子に対するデータドライバの出力電圧は、緑色成分専用の1組の基準電圧を使用して生成され、以下同様である。
【0046】
したがって、3つのサブ期間の終端(ビデオフレームの終端に相当する)では、すべての行(rows)が、3組の基準電圧(電流)に基づく電圧を用いてアドレス指定されている。
【0047】
このインタリーブモード(interleaved mode)は、色割れの視認性を低減させる。さらに、このモードは、アクティブマトリクス配置のいかなる修正も必要としない簡単な解決策である。前述のように、データドライバは従来の表示デバイス内より3倍高速で、すなわち、60Hzモードでは180Hzで、また50Hzモードでは150Hzで機能している。この動作モードでは、色成分ごとに異なるアクティブ時間を有することはできなくなる。
【0048】
これらの2つの解決策には、表示デバイスのアクティブマトリクス配置のいかなる修正も必要としないという利点がある。
【0049】
本発明は、開示された実施形態に限定されない。様々な修正形態が可能であり、特許請求の範囲に含まれると見なすことができる。例えば、他の閾電圧及び効率を有する他のOLED材料を使用することができ、より多くのサブフレームを使用することができ、他の色成分または色成分群をサブフレーム中で表示することができ、色成分を異なる順序で表示することもできる。
【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
【表9】

【0054】
【表10】

【0055】
【表11】

【0056】
【表12】

【0057】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】赤色、緑色、及び青色を生成する、3つの色フィルタを有する白色OLED発光体の図である。
【図2】赤色、緑色、及び青色を生成する、2つの色フィルタを有する青色OLED発光体の図である。
【図3】赤色、緑色、及び青色を生成する、赤色OLED発光体、緑色OLED発光体、及び青色OLED発光体の図である。
【図4】青色、緑色、及び赤色OLED材料の閾電圧及び効率を示す概略図である。
【図5】図4の青色、緑色、及び赤色OLED材料それぞれに使用されるビデオレンジの図である。
【図6】AMOLED表示デバイスにおけるビデオデータの標準的なアドレス指定の図である。
【図7】本発明によるAMOLED表示デバイスにおけるビデオデータのアドレス指定の図である。
【図8】ビデオフレームの第1のサブフレーム中のAMOLED表示デバイスにおけるビデオデータのアドレス指定の図である。
【図9】ビデオフレームの第2のサブフレーム中のAMOLED表示デバイスにおけるビデオデータのアドレス指定の図である。
【図10】ビデオフレームの第3のサブフレーム中のAMOLED表示デバイスにおけるビデオデータのアドレス指定の図である。
【図11】サブフレームが異なる持続時間を有する一実施形態の図である。
【図12】色割れアーティファクトの図である。
【図13】インタリーブモードにおけるビデオフレームの第1のサブ期間中のビデオデータのアドレス指定の図である。
【図14】インタリーブモードにおけるビデオフレームの第2のサブ期間中のビデオデータのアドレス指定の図である。
【図15】インタリーブモードにおけるビデオフレームの第3のサブ期間中のビデオデータのアドレス指定の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが画像の画素の少なくとも3つの色成分の中の1つの色成分専用である複数の発光素子を有するアクティブマトリクス有機発光表示デバイスにおいて画像を表示するための方法であって、前記発光素子のそれぞれによって生成される輝度が、該発光素子に供給される信号の強度であって基準信号の関数として規定される信号の強度に基づいている方法において、
前記画像をビデオフレーム中で少なくとも3回アドレス指定して該ビデオフレームが少なくとも3つのサブフレームに分割されるようにするステップであって、少なくとも1つの色成分が各サブフレームと関連付けられるステップと、
各サブフレーム中に、該関連付けられた色成分を、該色成分専用の1組の基準信号を用いて表示するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記3つの色成分は、赤色成分、緑色成分、及び、青色成分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記赤色成分は、前記第1のサブフレーム中に赤色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記緑色成分は、前記第2のサブフレーム中に緑色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記青色成分は、前記第3のサブフレーム中に青色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記赤色成分、前記緑色成分、及び、前記青色成分が、前記第1のサブフレーム中に緑色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記赤色及び青色成分が、前記第2のサブフレーム中に赤色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記青色成分が、前記第3のサブフレーム中に青色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記3つの色成分は、第1の色成分、第2の色成分、及び、第3の色成分であり、前記第1の色成分を表示するための専用の発光素子は前記第2の色成分を表示するための専用の発光素子より高い明度能力を有し、前記第2の色成分を表示するための専用の発光素子は前記第3の色成分を表示するための専用の発光素子より高い明度能力を有し、並びに、前記第1、第2、及び第3の色成分が前記第1のサブフレーム中に前記第1の成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記第2及び第3の色成分が前記第2のサブフレーム中に前記第2の色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示され、前記第3の色成分が前記第3のサブフレーム中に前記第3の色成分専用の前記1組の基準信号を用いて表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サブフレームの持続時間が異なることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のサブフレームの前記持続時間は前記第2のサブフレームの前記持続時間よりも短く、前記第2のサブフレームの前記持続時間は前記第3のサブフレームの前記持続時間よりも短いことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
表示される前記画像の前記画素は行及び列に配置されており、前記3つのサブフレームがインタリーブされ、画素の2つの連続する行が順次、アドレス指定されて異なる色成分を表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
行及び列に配置された発光素子の配列を含むアクティブマトリクスであって、各発光素子が、表示される画像の画素の少なくとも3つの色成分の中の1つの色成分を表示するために使用されるアクティブマトリクスと、
前記アクティブマトリクスの前記発光素子を1行ずつ選択するロードライバと、
該ロードライバによって選択された行の各発光素子に、該発光素子によって表示されるビデオ情報及び1組の基準信号に依存する信号を送達するカラムドライバと、
該カラムドライバに前記ビデオ情報及び前記1組の基準信号を送達し、及び、前記ロードライバに制御信号を送達するデジタル処理ユニットと
を備える表示デバイスであって、
前記デジタル処理ユニットは、前記ロードライバを制御し及びビデオ情報及び基準信号を前記カラムドライバに送達して前記画像が前記ビデオフレーム中で少なくとも3回アドレス指定され且つ前記ビデオフレームが少なくとも3つのサブフレームに分割されるようにし、少なくとも1つの色成分が各サブフレームに関連付けられ、各サブフレーム中に、該関連付けられた色成分が該色成分専用の1組の基準信号を用いて表示される
ことを特徴とする表示デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−516223(P2009−516223A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540595(P2008−540595)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068409
【国際公開番号】WO2007/057376
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】