説明

アクティブマトリックスディスプレイ駆動制御システム

本発明は、アクティブマトリックス電子発光ディスプレイの消費電力を減らす方法であって、前記ディスプレイへの電力供給電圧を制御する工程、前記ディスプレイへの電力供給電流を監視する工程を含み、前記制御する工程は、さらに、前記電力供給電流が閾値より大きく減少するまで前記電力供給電圧を次第に減少させる工程を含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリックスディスプレイ、特に、低消費電力を有する有機発光ダイオードを駆動するための方法、装置およびコンピュータープログラムコードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
OLEDを使用して作成されるディスプレイはLCDおよび他のフラットパネル技術に対して多くの利点を提供する。それらは、明るく、カラフルで、立ち上がりが早く(LCDに比較して)、広い視野角を提供し、多様な基板上に容易に安く製造できる点である。有機(本明細書においては、有機金属を含む)LEDは、採用される材料に応じた色の範囲で、ポリマー、低分子およびデンドリマーを含む材料を使用して作成するっことができる。ポリマー系有機OLEDの例は、WO90/13148、WO95/06400およびWO99/48160に記載されており、デンドリマー系材料の例は、WO99/21935およびWO02/067343に記載されており、いわゆる低分子系材料の例はUS4,539,507に記載されている。
【0003】
典型的なOLED装置は、有機材料の2層を有し、その1つは発光ポリマー(LEP)、オリゴマーまたは発光低分子量材料のような発光材料層であり、他はポリチオフェン誘導体またはポリアニリン誘導体のような正孔輸送材料層である。
【0004】
有機LEDは、単一またはマルチカラー画素ディスプレイを形成するために、画素のマトリックスにおいて基板上に蒸着される。マルチカラーディスプレイは、赤、緑および青色発光画素を使用して製造することができる。いわゆるアクティブマトリックス(AM)ディスプレイは、各画素の連結されるメモリ素子、通常、蓄積容量と薄膜トランジスタを有し、パッシブマトリックスディスプレイはそのようなメモリ素子を持たず、代わりに固定画像の印象を得るために繰り返しスキャンされる。ポリマーおよび低分子アクティブマトリックスディスプレイのドライバーの例は、WO99/42983およびEP0,717,446Aにそれぞれ見出すことができる。
【0005】
図1aは、OLEDアクティブマトリックス画素回路150の例を示す。回路150がディスプレイの各画素に供給され、グランド152、Vss154、行選択124および列データ126のバスバーが画素を相互接続して供給される。このように、各画素は電源およびグランド接続を有し、各行の画素は共通の行選択ライン124を有し、各列の画素は共通のデータライン126を有する。
【0006】
各画素は、グランドおよび電源ラインの間に駆動トランジスタに直列に接続された有機LEDを有する。駆動トランジスタ158のゲート接続159は蓄積容量120に結合され、制御トランジスタ122は行選択ライン124の制御のもとゲート159を列データライン126に接続する。トランジスタ122は薄膜電界効果トランジスタ(FET)であり、行選択ライン124が作動すると、列データライン126をゲート159および蓄積容量120に接続する。このようにして、スイッチ122がオンとなると、列データライン上の電圧が蓄積容量120に保存される。駆動トランジスタに対するゲート接続の相対的に高いインピーダンスおよびオフ状態におけるスイッチトランジスタの相対的に高いインピーダンスのため、この電圧は少なくともフレーム回復期間蓄積容量に保持される。
【0007】
駆動トランジスタ158は通常、TFTトランジスタであり、そのトランジスタのゲート電圧から閾値電圧をひいた値の依存する(ドレイン−ソース)電流を通過させる。このように、ゲートノード159における電圧はOLEDによって電流を制御し、これによってOLEDの輝度を制御する。
【0008】
図1の電圧制御回路は多くの欠点を有しており、これらについては、出願人のWO03/038790に記載されている。
【0009】
WO03/038790からの図1bはこれらの問題を有する電流制御画素駆動回路の例160を示している。この回路において、OLEDを通過して流れる電流は、参照電流シンクを使用してOLED駆動トランジスタ158のドレインソース電流を設定し、このドレインソース電流のために必要とされる駆動トランジスタのゲート電圧を記憶することにより設定される。このようにして、OLED152の輝度は参照電流シンク162に流れ込む電流Icolによって決められ、これは、好ましくは調整可能であり、画素がアドレスされるのに望まれるように設定される。加えて、他のスイッチトランジスタ164が駆動トランジスタ158とOLED152の間に接続される。一般的に、1つの電流シンク162がそれぞれの列データラインに供給される。
【0010】
実施例から、アクティブマトリックス画素回路は、通常、電子発光ディスプレイ素子と直列の薄膜(駆動)トランジスタ(TFT)を有する。
【0011】
図2aを参照すると、これは、アクティブマトリックス画素回路のFET TFT駆動トランジスタのドレイン特性200を示す。曲線202、204、206、208は、それぞれ、特定のゲート−ソース電圧のためのドレインソース電圧に対するFETのドレイン電流のばらつきを示している。最初の非−直線部分の後、曲線は実質的に平らとなり、FETはいわゆる飽和領域において作動する。ゲート−ソース電圧の上昇と共に、飽和ドレイン電流は増加する。閾値ゲート−ソース電圧Vの下では、ドレイン電流はほぼ0であるVの典型的な値は、1Vと6Vの間である。大まかに言って、FETは電圧制御電流を限定する働きをする。
【0012】
図2bは通常のアクティブマトリックス画素回路の駆動部分240を示す。PMOS駆動FET242がグランドライン248と負電力ラインVss246の間の有機発光ダイオード244に直列で接続される。
【0013】
図2bの回路から、任意のOLED駆動電流において、Vssが大きくなるにつれ、駆動トランジスタ242における過剰(浪費)電力消失が増えることがわかる。したがって、この過剰消失電力を減らすためにVssをできる限り減らすことが好ましい。しかしながら、グラフ220から、破線230に示されるように、これには限界があり、この限界を超えて減らすことはできず、この限界は最大利用可能なVgsおよび必要とされるOLED駆動電圧によって決められる。
【特許文献1】国際公開03/038790号パンフレット
【特許文献2】国際公開03/107313号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
アクティブマトリックス駆動マルチプル要因は任意の時間においてそれ以上が必要なAMOLEDディスプレイの供給電圧を高めるのに貢献する。原則として、供給電圧は、それ以上が最高電圧OLED(ポリマーの場合〜4V、低分子および燐光系の場合〜7V)を駆動するのに必要とする〜0.5Vでよい。しかしながら、実用上は、供給は駆動TFTを飽和状態に保持するのに十分である必要があり、低分子について最大14Vの供給電圧をもたらすことができる時間でOLED閾値の増加を処理するための十分な総量を有する。この過剰な電圧は駆動TFTの上に完全にのしかかり消費電力を増加させ(任意の例では2倍に)、TFTに電界落下と加熱のストレスを与える。我々は、WO03/107313においてこれらの問題を処理するためのいくつかの技術について記載した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、アクティブマトリックス電子発光ディスプレイの消費電力を減らす方法が提供され、この方法は、ディスプレイへの電力供給電圧を制御する工程、ディスプレイへの電力供給電流を監視する工程を含み、前記制御する工程は、さらに、前記電力供給電流が閾値より大きく減少するまで前記電力供給電圧を次第に減少させる工程を含む。
【0016】
実施態様において、この方法は、ディスプレイの高効率と駆動薄膜トランジスタに対するストレスの減少を提供する。この方法は、また、時間の経過に対する閾値電圧を減らすのに役立つ。したがって、大まかに言って、この方法の実施態様は、電力消費の減少および/またはディスプレイ寿命の増大を提供する。
【0017】
電流閾値は、例えば、供給電圧の小さな変化に対してほぼ一定である電流値のように決められる飽和電流の一定割合(例えば、90%)のような、絶対電流閾値または相対的閾値である。あるいは、閾値は供給電流の減少の割合、すなわち、例えば、供給電圧の段階的減少に伴う供給電流の減少割合によって定義される。さらに他の実施態様において、アクティブマトリックス画素(駆動トランジスタおよび電子発光ディスプレイ素子)の応答曲線が、例えば、不揮発性メモリに保存され、閾値はその特性曲線上の点によって決められ、それは順次監視された電力供給電流によって決められる。
【0018】
好ましくは、この監視および制御は、アクティブマトリックスディスプレイを最大に駆動される駆動トランジスタ(すなわち、最大駆動を有する駆動トランジスタ)がちょうど飽和領域内にある駆動領域に維持する。好ましくは、この監視および制御は実質的に連続的に、例えば、コンピュータプログラムで制御されたフィードバックループにおいて実行される。
【0019】
アクティブマトリックスディスプレイが、少なくとも2つ、好ましくは異なる色の3つのサブ画素を有するマルチカラーディスプレイの場合、異なるサブ画素の電力供給がほぼ独立して制御されるように、それぞれのサブ画素は異なるそれぞれの電力供給ラインによって供給される。これは、一般的に、異なる色のサブ画素は異なる閾値を有し、独立した供給ラインからそれらを駆動することによってそれぞれ独立した最適化が提供されるという利点を有する。追加的にまたは代替的に、ディスプレイの異なる空間の独立した領域が、上記したラインに沿った独立したそれぞれの電力供給制御のために、それぞれが有する電力供給ラインによって供給される。これは、例えば、ディスプレイの異なる領域が異なる仕事に実質的に専念する場合に有利である。
【0020】
実施態様において、この方法は、また、ディスプレイの1または2以上に画素の駆動レベルを制御する。これは、1または2以上の画素の駆動レベルを提供する電力供給電圧をさらに減らすことを可能にする。
【0021】
関連する側面において、本発明は、アクティブマトリックス電子発光ディスプレイドライバーのコントローラーを提供し、前記ディスプレイは電子発光ディスプレイ素子および連結される駆動トランジスタを有する複数の画素を有し、前記ディスプレイは前記画素の前記駆動トランジスタに電力を供給するための電力供給ラインを有し、前記ドライバーは、ディスプレイのためのデータによって前記画素を駆動するための画素データドライバー、前記電力供給ラインに電力供給を提供する制御可能な電圧電力供給、および前記電力供給ラインの電流を感知する電流センサーを含み、前記コントローラーは前記電流センサーのために電流感知入力、前記制御可能な電力供給のための電圧制御出力、および前記電流感知入力から電流感知信号に応答する前記電圧制御出力のための電圧制御信号を提供する電圧コントローラーを含む。
【0022】
好ましくは、電圧コントローラーは感知した電流を閾値まで徐々に減らすために電力供給制御信号を調整し、次いで、この閾値の領域において感知した電流を維持するために制御信号を調整するように設定されている。電力供給電圧は原則として他の電力供給ラインに関連して決められるが、一般的にアクティブマトリックスディスプレイのグランドラインに関連して決められる。任意に、ドライバーは、電力供給電圧を感知し、例えば、ディスプレイの作動点の決定を容易化するために使用される入力をコントローラーに供給する。この場合、制御出力は感知された電力供給電圧に応答する。
【0023】
上述したように、このディスプレイは、異なるサブ画素またはディスプレイの異なる空間の独立した領域のようなディスプレイの異なる部分を駆動する複数の電力供給ラインを有し、この場合、コントローラー(または独立した複数のコントローラー)はそれぞれの独立した電力供給ラインへの電力供給電圧を制御することができる。任意に、上述したように、画素駆動データは、電圧制御信号に関連して、特に、電力供給電圧の減少を補償するために(最も硬く高く駆動された駆動トランジスタ)調整される。
【0024】
本発明は、上記の画素データドライバー、制御可能な電圧電力供給および電流センサーと組み合わせられた上記のコントローラーをさらに提供する。
【0025】
本発明の上記の側面全てにおいて、電子発光ディスプレイ装置は、好ましくは、低分子、ポリマーおよび/またはデンドリマー系ディスプレイのような有機発光ダイオード系ディスプレイを含む。
【0026】
他の側面において、本発明は請求項18に記載されるアクティブマトリックスOLEDディスプレイを提供し、前記画素のそれぞれは異なる色の少なくとも第1および第2サブ画素を含み、前記2つの部分はそれぞれ前記第1および第2サブ画素を含む。
【0027】
本発明は、上記の方法およびディスプレイドライバーを実行するためのプロセサー制御コードを有するキャリア媒体を提供する。このコードは、従来のプログラムコード、例えば、Cのような従来のプログラム言語における、ソース、オブジェクトまたはイクスキュータブルコード、またはアッセンブリーコードまたはASIC(応用特例集積回路)をセットップまたは制御するためのコード、FPGA(フィールドプログラムゲートアレイ)またはVerilog(商標)またはVHDL(超高速集積回路ハードウェア記述言語)である。このようなコードは複数の結合された構成要素の間に分配される。キャリア媒体はディスクまたはプログラムメモリ(例えば、フラッシュRAMまたはROMのようんファームウェア)のような従来の蓄積媒体、または光学または電気信号キャリアのようなデータキャリアを含むことができる。
【0028】
本発明のこれらおよび他の側面は、図面を参照して、実施例として詳細に説明する。
【0029】
大まかに言って、供給電圧の能動的な監視および調整の手段によるアクティブマトリックスOLEDディスプレイの電力消費を減らすための技術について記載する。概要として、供給電圧の試験的削減がなされ、電流の監視がなされた。電流が十分に下がり始める電圧は最も高い駆動されたTFTが飽和内にある点である。もし、供給電圧がこの点に保持されると、OLEDの劣化(および/または温度の影響)および/またはあり得るTFTプロセス/特性ばらつきのための供給電圧の追加のアローワンスの必要がない。実施態様において、能動的な供給監視はこの延長時間を自動的に補償し、TFTに対するストレスの減少および消費電力の減少をもたらす。
【0030】
いくつかの好ましい実施態様において、これらの利点は、赤、緑および青色サブ画素電力供給ラインにおける独立した監視および調整を提供することによって高められる。これは、それぞれの色の作動電圧が十分に異なる、例えば、赤色サブ画素は3.6Vの駆動電圧を必要とし、緑色サブ画素は4.2Vを必要とし、青色サブ画素は5.15Vを必要とし、その場合に、少なくとも6.15Vの電力供給電圧(駆動トランジスタコンプライアンスのための1Vの電圧および他の損失)が必要とされる。あるいは、2つのサブ画素の色(例えば、赤およ緑色サブ画素)が同様のIV特性を有し、他の1つだけが異なる(例えば、青色サブ画素、次いで、2つの電力供給が提供される)場合である。これは、ディスプレイガラス(基板)上の電極ラインの軌道を、時々十分に簡潔にさせる。
【0031】
追加的にまたは代替的に、ピークの輝度およびしたがって駆動レベルがディスプレイの異なる領域の間で十分に変化する応用において、ディスプレイのサブ区域が独立して供給および監視され、これによって追加の節約を可能にする。
【0032】
上記の技術に加えて、応答における対応するゲート電圧を増加させることによって、
供給電圧をさらに下げいくつかの駆動トランジスタ上の低いOLED駆動電流を補償することが可能である。好ましくは、特定の供給電圧削減を補償するために必要とされるゲート電圧の増加を決めるためにこの情報(結果としてグラフ)が使用されるように、これは、駆動トランジスタの(平均)電気特性の知識によってなされる。このような特性は、例えば、ドライバーにおける不揮発性メモリに蓄積される。
【0033】
図3は、ディスプレイとドライバーの結合の電力効率を高めるために有効なアクティブマトリックス画素駆動電圧に従ってVssを制御するように設定された、アクティブマトリックスディスプレイ302にためのディスプレイドライバーのブロック図300を示す。
【0034】
図3において、アクティブマトリックスディスプレイ302は複数の行電極304a−eおよび複数の列電極308a−eを有し、それぞれ内部行および列ライン306に接続し、そのうち2つだけを分かりやすさのために示した。電力(Vss)312およびグランド318接続も供給され、ディスプレイの画素に電力を供給するために内部導電線314および316にそれぞれ再び接続される。分かりやすさのために、図示されるようにVss、グランド、行および列ライン314、316、306および310に接続される1つの画素320が例示されている。実際には、通常、複数のそのような画素が供給され、しかし必ずではなく、長方形の網目に配列され行と列電極304、308によってアドレスされる。アクティブマトリックス画素320は従来のアクティブマトリックス画素駆動回路を含むことができる。
【0035】
操作において、アクティブマトリックス302の各行は行電極304を適切に駆動することにより順に選択され、各行においては、列電極308を輝度データによって好ましくは同時に駆動することにより行の各画素の輝度が設定される。上記の輝度データは、電流または電圧を含むことができる。1つの行における画素の輝度が一旦設定されると、次の行が選択され、このプロセスが繰り返され、メモリ素子、通常は蓄積容量を含むアクティブマトリックス画素は選択されないときでも行の輝度は保持される。データがディスプレイ全体に書き込まれると、ディスプレイは画素の輝度の変化によってのみ更新される必要がある。
【0036】
ディスプレイへの電力は電池324によって供給され、電力供給ユニット322は規則化されたVss出力328を提供する。電力供給322は出力328の電圧を制御するための電圧制御入力326を有する。好ましくは、電力供給322は、電力供給が切り替え周波数1MHz以上で作動する場合、典型的にはマイクロ秒のスケールで、出力電圧328の迅速な制御を有するスイッチ式電力供給である。スイッチ式電力供給の使用は必要とされるVssレベルにまでステップアップされることができる低電池電圧の使用を容易にし、例えば、低電圧電子装置製品との両立を促進する。
【0037】
行選択電極304は制御入力332に従って行選択ドライバー330によって駆動される。同様に、列電極308はデータ入力336に応答して列データドライバー334によって駆動される。例示された実施態様において、各列電極は調整可能な一定電流生成機340によって駆動され、入力336に結合されるデジタル−アナログ変換機338によって順に制御される。分かりやすさのため、1つの一定電流生成機のみが図示されている。
【0038】
一定電流生成機340は、ほぼ一定の電流を供給するかまたはそこまで減らす電流出力344を有する。一定電流生成機340は、Vssに等しくかつ接続されているか、またはVssより大きい電量供給駆動Vdriveに接続され、アクティブマトリックス画素320をVssより強力に駆動させることを可能にする。Vdriveの電圧が、例えば、電力供給ユニット322から独立した出力によって供給される。
【0039】
図3に例示されるディスプレイドライバーの実施態様は、列電極電流が画素の輝度を設定する電流制御されたアクティブマトリックスディスプレイを示す。画素の輝度が列ラインの電圧によって設定される電圧制御されたアクティブマトリックスディスプレイは列データドライバー334のための電流ドライバーではなく電圧の使用によって導入される。
【0040】
行選択ドライバー330の制御入力332および列データドライバー334のデータ入力336は、いくつかの実施態様においてマイクロプロセサーを含むディスプレイ駆動ロジック回路346によって共に駆動される。ディスプレイ駆動ロジック346はクロック348によってクロックされ、実施態様においてフレームストア350へのアクセスを有する。ディスプレイ302上の表示のための輝度および/または色データは、データバス352の手段によってディスプレイ駆動ロジックおよび/またはフレームストア350に書き込まれる。
【0041】
ディスプレイ駆動ロジックは、電流感知装置354の出力から駆動される感知入力356を有する。これは、例えば、レジスタの電圧降下を感知するように設定されているアナログ−デジタル変換機を含む。これは電力供給322の出力328からの表示302によって電流降下を監視する。複数の電力供給ラインが監視される実施態様において、複数の変換機またはマルチプレクス変換機が採用される。任意に(図3には示さないが)、供給電圧Vssも監視される。
【0042】
ディスプレイ駆動ロジック346(保存されたプログラム制御またはハードウェアまたはこれらの組合せに基づいてプロセサーにより実行される)は、電流感知ユニット358および電力コントローラー360(この実施例において、共に不揮発性メモリに保存されたプロセサーコントロールコードによって実行される)を含む。電流感知ユニット358は電流信号を感知ユニット356に入力し、電力コントローラー360は、感知入力電圧に応答して電力供給電圧Vssを制御するために電圧制御信号を電力供給ユニット322の入力326に出力する。電力コントローラーの作動については図4を参照して以下に詳細に説明する。
【0043】
図4は、アクティブマトリックスディスプレイを駆動するためのディスプレイドライバーの実施態様において、電力コントローラー360によって実行される手続きのフローチャートを示す。この一般的な手続きは電流−および電圧プログラムアクティブマトリックスディスプレイに適している。
【0044】
図4を参照すると、工程S400において、ディスプレイコントローラー346は電流感知信号を入力し、次いで工程402において、制御条件と比較する。この制御条件は、電流が降下し始めたかどうかを決める試験、1つの実施態様において、したがって、前の測定値からの感知電流の変化の絶対値または割合を決めることによって実行されることができ、次いで、これを2%、5%、10%のような閾値と比較することを含む。
【0045】
もし制御条件との比較が、TFTドライバートランジスタの飽和の十分な損失無しに電力供給電圧が減らされ得ることを示すならば、例えば、電流の変化が既定の閾値未満であるため、工程S402においてVssが減らされ、手続きのループは工程S400に戻る。しかしながら、制御条件との比較が、最も高い駆動(これは飽和に近いはずである)をするTFT駆動トランジスタの1または2以上が飽和をちょうど離れることを示すならば、工程S406において、Vssは増加され、手続きのループは再びS400に戻る。
【0046】
当業者であれば、特定の用途に応じて制御条件として多くの条件が採用されることを理解できる。アクティブマトリックスディスプレイが2または3以上の独立した電力供給ラインを有する実施態様、例えば、2または3以上の独立したディスプレイの画素において、図4に示される任意に異なる制御条件を有する独立した制御ループが、各独立した電力供給ラインに採用される。
【0047】
他の多くの有効な代替があり得ることは当業者に理解されよう。本発明は、記載された実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲の精神と範囲内にある当業者に自明な改良を包含することは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】アクティブマトリックスOLED画素回路の例を示す。
【図1b】アクティブマトリックスOLED画素回路の例を示す。
【図2a】アクティブマトリックス画素回路のTFT駆動トランジスタのためのドレイン特性を示す。
【図2b】一般化されたアクティブマトリックス画素回路の駆動部分を示す。
【図3】本発明の実施態様のアクティブマトリックスディスプレイドライバー。
【図4】図3のドライバーのための電力供給電圧制御手続きのフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0049】
120 蓄積容量
122 制御トランジスタ
124 行選択ライン
126 列データライン
150 回路
152 グランド
154 Vss
158 駆動トランジスタ
159 ゲート接続
162 参照電流シンク
240 駆動部分
242 FET
246 有機発光ダイオード
248 グランドライン
302 アクティブマトリックスディスプレイ
306 行および列ライン
310 行および列ライン
312 電力Vss
314 行および列ライン
316 行および列ライン
322 電力供給
324 電池
326 電圧制御入力
330 列選択ドライバー
332 制御入力
336 入力
340 一定電流生成機
344 電流出力
346 ロジック回路
350 フレームストア
352 データバス
360 電力コントローラー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリックス電子発光ディスプレイの消費電力を減らす方法であって、
前記ディスプレイへの電力供給電圧を制御する工程、および
前記ディスプレイへの電力供給電流を監視する工程を含み、かつ前記制御する工程は、さらに、前記電力供給電流が閾値より大きく減少するまで前記電力供給電圧を次第に減少させる工程を含む方法。
【請求項2】
前記アクティブマトリックスディスプレイは、それぞれ駆動トランジスタを有する複数の画素を含み、前記監視および制御工程は、前記電力供給電流を少なくとも一定期間監視する工程および前記アクティブマトリックスディスプレイを前記駆動トランジスタの最大駆動がちょうど飽和内にある作動領域に維持するように前記供給電圧を制御する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクティブマトリックスディスプレイがマルチカラーディスプレイであり、前記ディスプレイの各画素は、少なくとも2つの第1および第2の異なる色のサブ画素を有し、前記第1および第2のサブ画素はそれぞれ異なる電力供給ラインを有し、かつ前記方法はそれぞれの前記サブ画素の電力供給ラインの独立した前記制御および監視工程を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクティブマトリックスディスプレイが複数の空間的サブ区域を有し、それぞれ異なる電力供給ラインを有し、かつ前記方法はそれぞれの前記サブ区域の電力供給ラインの独立した前記制御および監視工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記ディスプレイの1または2以上の画素が前記電力供給電圧の減少を補償する駆動レベルに制御する工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法を実行するためのプロセサー制御コードを有するキャリア。
【請求項7】
請求項6に記載のキャリアを含むアクティブマトリックスディスプレイドライバー。
【請求項8】
アクティブマトリックス電子発光ディスプレイを駆動するためのアクティブなトリックスディスプレイドライバーであって、
前記ディスプレイへの電力供給電圧を制御する手段、および
前記ディスプレイへの電力供給電流を監視する手段を含み、かつ前記制御する手段は、さらに、前記電力供給電流が閾値より大きく減少するまで前記電力供給電圧を次第に減少させる手段を含むドライバー。
【請求項9】
アクティブマトリックス電子発光ディスプレイドライバーのコントローラーであって、前記ディスプレイは電子発光ディスプレイ素子および連結される駆動トランジスタを有する複数の画素を有し、前記ディスプレイは前記画素の前記駆動トランジスタに電力を供給するための電力供給ラインを有し、前記ドライバーは、表示のためのデータによって前記画素を駆動するための画素データドライバー、前記電力供給ラインに電力供給を提供する制御可能な電圧電力供給、および前記電力供給ラインの電流を感知する電流センサーを含み、前記コントローラーは
前記電流センサーのための電流感知入力、
前記制御可能な電力供給のための電圧制御出力、および
前記電流感知入力からの電流感知信号に応答する前記電圧制御出力のための電圧制御信号を提供する電圧コントローラーを含むコントローラー。
【請求項10】
前記電圧コントローラーは感知した電流を閾値まで徐々に減らすために前記制御信号を調整するように設定されている請求項9に記載のコントローラー。
【請求項11】
前記コントローラーは、前記閾値の近傍に前記感知した電流を維持するために前記制御信号を調整するようにさらに設定されている請求項10に記載のコントローラー。
【請求項12】
前記閾値は前記駆動トランジスタの最大駆動トランジスタがちょうど飽和内にある点である請求項11に記載のコントローラー。
【請求項13】
前記ドライバーは前記電力供給ラインの電圧を感知する電圧センサーを含み、前記コントローラーは前記電圧センサーのための電圧感知入力をさらに含み、および前記電圧制御出力は前記電圧感知入力の感知された電圧に応答する請求項9〜12のいずれかに記載のコントローラー。
【請求項14】
前記ディスプレイは複数の前記供給ラインを有し、前記ドライバーは、前記複数の電力供給ラインに独立して制御可能な複数の電力供給を提供し、前記複数の電力供給ラインの電流を感知するように設定されており、前記コントローラーは、それぞれの電力供給ラインの電流に応答して前記電力供給ラインそれぞれにかかる電力供給電圧を独立して制御するように設定されている請求項9〜13のいずれかに記載のコントローラー。
【請求項15】
前記電圧制御信号に応じて前記画素駆動データを調整するようにさらに設定されている請求項9〜14のいずれかに記載のコントローラー。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれかに記載のコントローラー、前記画素データドライバー、および前記制御可能な電圧電力供給および前記電流センサーを含むアクティブマトリックス電子発光装置。
【請求項17】
前記アクティブマトリックス電子発光ディスプレイはOLEDディスプレイを含む請求項1ないし17のいずれかに記載の方法、キャリア、コントローラーまたはディスプレイドライバー。
【請求項18】
それぞれOLEDディスプレイ素子および連結された駆動トランジスタを有する複数の画素を有するアクティブマトリックスOLEDディスプレイであって、前記ディスプレイは、前記駆動トランジスタに電力を供給する独立した電力供給ラインを有する少なくとも2つの部分を有するディスプレイ。
【請求項19】
各前記画素は異なる色の少なくとも第1および第2のサブ画素を含み、前記2つの部分は前記第1および第2のサブ画素をそれぞれ含む請求項18に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。
【請求項20】
前記部分は、前記ディスプレイの空間的に独立した複数のサブ部分を含む請求項18または19に記載のアクティブマトリックスOLEDディスプレイ。




【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−508171(P2009−508171A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530594(P2008−530594)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003171
【国際公開番号】WO2007/031704
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】