説明

アクリル系樹脂粒子の製造方法

【課題】単分散性の高い架橋アクリル系樹脂粒子を安定して得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液と光重合性多官能性の単独又は光重合性多官能性モノマーと単官能性モノマーとの混合物1と、光重合開始剤とを含む混合物を、マイクロチャネル液滴形成装置を介して、界面活性剤を含む水系媒体中に分散させる混合物の液滴5を含む懸濁液を形成する工程と、前記懸濁液に紫外線を照射し前記液滴を重合させてアクリル系樹脂粒子を得る工程とを含み、前記マイクロチャネル液滴形成装置が、前記混合物と水系媒体とを仕切り、厚み方向に貫通孔を備えた中間プレートを備え、前記貫通孔は2段状をなし、前記混合物と接する側は細孔6とされ、前記水系媒体と接する側はスリット状孔2になっており、前記水系媒体は、その供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下となるように供給。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系樹脂粒子の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、単分散性の粒子を得ることができるアクリル系樹脂粒子の製造方法に関する。本発明の製造方法により得られたアクリル系樹脂粒子はAB剤、液晶パネルスペーサー、クロマトグラフィー用充填剤、診断試薬担体等に有用である。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル用スペーサー、クロマトグラフィー用充填剤、診断試薬担体等に用いられる樹脂粒子には、その粒子径が均一(単分散性)であることが要求されている。また近年、光拡散材用途の樹脂粒子に関しても粒子径の均一性が求められてきている。このような単分散性の樹脂粒子の製造方法としては、従来から多くの技術が報告されている。
例えば、極細の流路を用いて水系媒体に反応性モノマーを合流させることで、単一粒子径の液滴を一滴ずつ発生させ、その液滴を加熱や活性エネルギー線を用いて重合させることで、単分散性の樹脂粒子を製造する方法が知られている(例えば、特開2004−122107号公報:特許文献1)。
【0003】
また、反応性モノマーを、SPG膜のような多孔質膜を通して、水系媒体中に吐出させることで反応性モノマーの液滴を含む懸濁液とし、液滴を加熱や活性エネルギー線を用いて重合させることで、粒子径の比較的揃った樹脂粒子を製造する方法が知られている(例えば、特開2004−352882号公報:特許文献2)。
更には、反応性モノマーを、多数の孔を有するマイクロチャネルを備えた基盤を介して、水系媒体中に吐出させることで反応性モノマーの液滴を含む懸濁液を得、懸濁液にポリビニルアルコール溶液へ加えて液滴の分散安定性を高め、その状態で、攪拌しながらの加熱により液滴を重合させることで、単分散性の樹脂粒子を製造する方法も知られている(例えば、特開2001−181309号公報:特許文献3)。
あるいは、ソープフリー乳化重合や分散重合によりシード粒子を作製し、乳化させた重合性単量体を該シード粒子に吸収させて重合を行う、シード重合法が知られている(例えば、特開2005−272779号公報:特許文献4)。
【0004】
【特許文献1】特開2004-122107号公報
【特許文献2】特開2004-352882号公報
【特許文献3】特開2001-181309号公報
【特許文献4】特開2005-272779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、時間当たりの液滴発生個数が少ないこと、単分散性の液滴を発生させるためには、反応性モノマーと水系媒体の流量を正確に制御する必要があること、重合時間が長くなること等、生産性が悪いという課題があった。
また、特許文献2の方法では、作製できる懸濁液中の液滴径のバラツキが大きいこと、反応性モノマーと水系媒体の圧力バランスを狭い範囲で調整しなければ、液滴径のバラツキも非常に大きな物となってしまうこと等、安定して粒子径の比較的揃った樹脂粒子を製造することが難しいという課題があった。
【0006】
更に、特許文献3の方法では、懸濁液中の液滴の分散安定性を高めるためにポリビニルアルコールを使用しているため、重合後に水系媒体より粒子を分離するための洗浄時に、ポリビニルアルコールが粒子表面に残ることで、清浄な粒子を得る場合に問題となることがあった。また、粒子表面に残ったポリビニルアルコールは、この粒子をシード粒子とするシード重合の際に、粒子への重合性単量体の吸収を妨げることで、異常粒子の発生の原因となる場合があった。
また、特許文献4の方法では、シード粒子の粒子径が1μm未満と小さく、例えば数十μmの粒子をシード重合法により製造しようとした場合、単分散性を維持した状態で、シード重合により粒子径を大きくするために、シード重合を繰り返す必要があった。そのため、工数の削減が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者等は、上記特許文献による課題が2段状の貫通孔を有するマイクロチャネル液滴形成装置を使用することで解決できることを見い出している。しかし、マイクロチャネル液滴形成装置を使用しても、1mPa・s付近の低粘度から、20mPa・s付近の高粘度の範囲において、常に単分散性の良好なアクリル系樹脂粒子を製造することは困難であった。そこで、マイクロチャネル液滴形成装置に供給される水系媒体の供給圧力に着目して、鋭意検討した結果、その供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下となるように、水系媒体をマイクロチャネル液滴形成装置に供給すれば、1〜20mPa・sのどの粘度においても単分散性が向上したアクリル系樹脂粒子を製造できることを見出し、本発明に至った。なお、多孔質膜による液滴を形成する技術分野において、水系媒体の供給量を一定にするための調整は、その流量を測定することで行われていたが、この分野では、供給圧力の変動を一定にすることは当業者は行っておらず、このことにより単分散性が良好なアクリル系樹脂粒子を製造できることは意外なことである。
【0008】
かくして本発明によれば、1〜20mPa・sの22℃における粘度と、2.0mN/m以上のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液との界面張力とを有する、光重合性多官能性モノマーの単独モノマー又は前記光重合性多官能性モノマーと単官能性モノマーとのモノマー混合物と、光重合開始剤とを含む混合物を、マイクロチャネル液滴形成装置を介して、界面活性剤を含む水系媒体中に分散させることで、混合物の液滴を含む懸濁液を形成する工程と、
前記懸濁液に紫外線を照射して前記液滴を重合させることによりアクリル系樹脂粒子を得る工程とを含み、
前記マイクロチャネル液滴形成装置が、前記混合物と水系媒体とを仕切り、厚み方向に貫通孔を備えた中間プレートを備え、前記貫通孔は2段状をなし、前記混合物と接する側は細孔とされ、前記水系媒体と接する側はスリット状孔になっており、
前記水系媒体は、その供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下となるように、前記マイクロチャネル液滴形成装置に供給されることを特徴とするアクリル系樹脂粒子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアクリル樹脂粒子の製造方法によれば、単分散性の高い架橋樹脂粒子を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のアクリル樹脂粒子の製造方法を説明する。
本発明では、まず光重合性多官能性モノマーを少なくとも含むモノマーと、光重合開始剤とを含む混合物を得る。光重合性多官能性モノマーを少なくとも含むモノマーは、所定の粘度と界面張力を有している限り、光重合性多官能性モノマーのみの単独モノマーからなっていてもよく、光重合性多官能性モノマーと単官能性モノマーとのモノマー混合物からなっていてもよい。前者の場合、光重合性多官能性モノマーは以下の所定の粘度と界面張力を有する必要がある。後者の場合、光重合性多官能性モノマーと単官能性モノマーは、それぞれが所定の粘度と界面張力を有していてもよい。更に、光重合性多官能性モノマー及び単官能性モノマーのいずれか一方又は両方が所定の粘度と界面張力を有していない場合であっても、モノマー混合物として所定の粘度と界面張力を有していれば本発明に使用可能である。
【0011】
単独モノマー及びモノマー混合物は、1〜20mPa・sの22℃における粘度と、2.0mN/m以上のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液との界面張力とを有するモノマーから選択される。このモノマーは、これら粘度と界面張力を有する限り1種類のモノマーからなっていてもよく、複数種のモノマー混合物からなっていてもよい。
【0012】
単独モノマー及びモノマー混合物の22℃における粘度は、1〜20mPa・sであることが好ましい。この範囲であれば、水系媒体の供給圧力変動率を平均供給圧力の30%以下となるように供給し、マイクロチャネル液滴形成装置を介して懸濁液を得る際に、高い単分散性で、なおかつ高い生産性で液滴を安定的に製造できる。これらモノマーの粘度が1mPa・sよりも小さい場合、20mPa・sよりも大きい場合、高い単分散性と高い生産性を安定させにくくなるため好ましくない。より好ましい粘度は、2〜12mPa・sであり、更に好ましい粘度は、2〜10mPa・sである。また、モノマー混合物は、22℃における粘度を1〜20mPa・sに調整するべく多官能性モノマー及び単官能性モノマーの配合割合を調整すれば、光重合反応性を高い状態で維持できる。
【0013】
また、モノマー混合物の一成分として光重合性多官能性モノマーを使用する場合、光重合性多官能性モノマーは、22℃における粘度が15000mPa・s以下のモノマーを使用することが好ましい。粘度が15000mPa・sよりも大きくなると、単官能性モノマーを含有させて粘度を調整した場合に、光重合反応性を維持した状態で、モノマー混合物の粘度を好適な範囲に調整することが難しく、モノマー混合物の粘度が大きくなりすぎるため好ましくない。光重合性多官能性モノマーのより好ましい粘度は、13000mPa・s以下である。
【0014】
一方、単官能性モノマーは、22℃における粘度が20mPa・s以下のモノマーを使用することが好ましい。この粘度範囲のモノマーを使用することで、光重合性多官能性モノマーと混合した時に、モノマー混合物の粘度を好適な範囲に容易に調節でき、マイクロチャネル液滴形成装置を介して単分散性の高い液滴を含む懸濁液を生産性よく製造できる。粘度が20mPa・sよりも大きくなると、モノマー混合物とした時に粘度が大きくなりすぎることがあり、単分散性を高く保った状態で、生産性を高い状態に保つことが難しくなることがある。単官能性モノマー成分のより好ましい粘度は、12mPa・s以下であり、更に好ましい粘度は、10mPa・s以下である。
【0015】
なお、懸濁液の製造温度を上げることにより、単独モノマー及びモノマー混合物の粘度を低下させることができる。しかし、温度を上げるために別途エネルギーを消費しなければならないため好ましくない。また、これらモノマーに熱による変質が発生する場合があるため、高温下での懸濁液製造は好ましくない。懸濁液の製造温度は、0〜40℃が好ましく、10〜40℃がより好ましく、20〜40℃が特に好ましい。
【0016】
更に、単独モノマー及びモノマー混合物は、それをドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液中に分散させた時、これらモノマーと水溶液との界面に働く界面張力が、2.0mN/m以上である性質を有する。界面張力が2.0mN/m以上あることで、マイクロチャネル液滴形成装置を介して水系分散媒に分散させることで生成した懸濁液中の混合物からなる液滴の径を均一にすることができる。従って、懸濁液に紫外線を照射して液滴を重合させることで得たアクリル系樹脂粒子の粒子径も均一なものとすることができる。界面張力が2.0mN/m未満の場合は、懸濁液中の混合物の液滴の径の均一性が悪く、液滴を重合させて得たアクリル系樹脂粒子の粒子径も均一性が悪くなるため、好ましくない。より好ましい界面張力は、より均一な径の液滴を生成する観点から、2.0〜15mN/mである。
【0017】
本発明では、ポリビニルアルコールのような高分子型の分散安定剤の非存在下で、懸濁液の分散状態の安定性を制御するために、使用する界面活性剤とその濃度、そして分散しているマイクロスフィアの濃度を適宜調製することが好ましい。更に、分散液の分散状態が保たれている間に重合硬化させるために、光重合性が高く、短時間で重合硬化する光重合性多官能性モノマーが使用される。
【0018】
光重合性多官能性モノマーは、光重合性かつ多官能性の(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーから選択することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーから選択することで、(メタ)アクリル酸エステル誘導体のような単官能性モノマーと混合した場合でも、紫外線の照射による重合時間を短くできる。なお、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0019】
光重合性多官能性モノマーとしての(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーは、2官能性モノマーと、3官能性以上の多官能性モノマーとに分けられる。2官能性モノマーとしては、例えばエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール−ジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−シクロデカン−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。3官能性以上の多官能性モノマーとしては、例えばトリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−テトラ(メタ)アクリレート、ジ−ペンタエリスリトール−ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、単独でも、複数種併用してもよい。光重合性多官能モノマーは、特にエチレングリコール−ジメタクリレートが好適である。また、(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーのような単官能性モノマーとのモノマー混合物を使用する場合は、モノマー混合物の光重合性の低下を鑑みて、2官能性モノマーに加えて、3官能性以上の多官能性モノマーも使用することがより好ましい。3官能性以上の多官能性モノマーとしては、トリメチロールプロパン−トリ(メタ)アクリレート、ジ−ペンタエリスリトール−ヘキサアクリレートが好ましい。
【0020】
任意に混合可能な単官能性モノマーは、単官能性の(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーから選択することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーとしては、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能性モノマーは、これらモノマーを単独で使用してもよく、複数種併用してもよい。特に、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが好ましい。これら特に好ましいモノマーは、アクリル系樹脂粒子の硬度を高くすることができる。
【0021】
モノマー混合物を使用する場合、単官能性モノマーの含有量としては、98重量%以下が好ましい。98重量%を超えると、架橋構造による耐熱性向上や対溶剤性の効果が小さくなることがある。単官能性モノマーに(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーを含む場合は、(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーが光重合性を低下させることがある。そのため、特に単官能性モノマーが、(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーを30重量%以上含む場合は、単官能性モノマーの含有量は、80重量%以下であることが好ましい。この含有量の範囲のモノマー混合物は、より好適な光重合性を呈する。また、マイクロチャネル液滴形成装置を介して懸濁液を形成した時、液滴の単分散性が高く、かつ懸濁液の生産性を高くすることができる。更に、懸濁液に紫外線を照射して硬化させる時にも短時間で硬化でき、効率よくアクリル系樹脂粒子を得ることが可能となる。
【0022】
単独モノマー又はモノマー混合物に、光重合開始剤を加えることで混合物を得る。光重合開始剤としては、特に限定されず公知のものを使用できる。例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア651)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア907)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア369)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製ダロキュアTPO)等が挙げられる。
【0023】
光重合開始剤の添加量は、単独モノマー又はモノマー混合物100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。この範囲であれば、短時間の紫外線照射で単官能性モノマーからなる液滴(マイクロスフィア)を硬化でき、効率よくアクリル系樹脂粒子を得ることができる。光重合開始剤の添加量が0.1重量部よりも少ないと、硬化時間が延びるため、生産効率が低下することがあるので好ましくない。5重量部を超えると、重合後のポリマーに黄変のような着色が発生することがあり好ましくない。光重合開始剤のより好ましい添加量は、0.5〜3重量部である。
【0024】
混合物は、マイクロチャネル液滴形成装置を介して、水系媒体中に分散される。マイクロチャネル液滴形成装置を介して、混合物を水系媒体中に分散させることで、単分散性の高い懸濁液を高い生産性で連続的に得ることができる。
水系媒体は、界面活性剤含有水溶液である。界面活性剤としては、特に限定されず公知の剤をいずれも使用できる。例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これら界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。特に直鎖アルキルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムは、界面活性能力が高いので好ましい。
【0025】
界面活性剤は、水系媒体中、0.05〜2重量%の範囲で使用できる。0.05重量%よりも少ないと、液滴の粒子径の均一性が低下することがある。2重量%よりも多いと、水系媒体の界面活性能力が高くなり、液滴の製造時に液滴の界面張力の低下を促進させ、結果として粒子径の均一性が低下することがある。界面活性剤のより好ましい使用量は、0.1〜2重量%であり、更に好ましい使用量は0.1〜1重量%である。
【0026】
次に、マイクロチャネル液滴形成装置は、混合物と水系媒体とを仕切り、厚み方向に貫通孔(マイクロチャネル)を備えた中間プレートを備え、貫通孔は2段状をなし、混合物と接する側は細孔とされ、水系媒体と接する側はスリット状孔になっているものを使用する。貫通孔を2段状とし、混合物と接する側は流路断面積の小さな細孔とすることで、混合物の流動抵抗(圧力損失)が大きくなり低粘度の混合物でも生成速度や粒子径を制御しやすくなる。また、細孔につながると共に水系媒体と接する側をスリット状孔とすることで、スリット状孔から水系媒体中に押し出される混合物の界面に不均一な剪断力が作用する。その結果、混合物が分離して液滴になるきっかけが容易に得られ、均一な粒子径の液滴を製造できる。
【0027】
スリット状孔と細孔の個数の比は1:1にする必要はなく、1つのスリット状孔に複数の細孔を開口せしめるようにしてもよい。また、スリット状孔の間に仕切壁を設け、仕切壁で区切られた個々のスリット状孔と細孔を1:1にしてもよい。
また、細孔の開口形状は円形や矩形等、任意であり、この細孔の幅はスリットの幅と等しくても大きくても小さくてもよい。細孔の幅を小さくした方が混合物にかかる圧力と混合物の流量の制御が容易になる。また細孔の数は例えば5000個/cm2以上とすることで、効率よく懸濁液を作製できる。
【0028】
また、このようなマイクロチャネルを使用することで、混合物に水系媒体にかかる圧力よりも大きな圧力をかけることができる。そのため、細孔から混合物を扁平な円盤状にしてスリット状孔内に押し出し、スリット状孔から水系媒体中に押し出される混合物の界面に不均一な剪断力を作用せしめることができる。その結果、単分散性の液滴を製造できる。
スリット状孔とすることで、水系媒体中に押し出される混合物の界面に不均一な剪断力が作用し、混合物が分離して液滴になるきっかけが容易に得られ、均一な粒子径の液滴を製造できる。
【0029】
スリット状孔とすることで、混合物が貫通孔から押し出される際に、スリット状孔で扁平な円盤状に膨張しているラプラス圧(ΔP=γ(1/R1+1/R2)ΔP:ラプラス圧、γ:表面又は界面張力、R1、R2:表面又は界面の曲率半径)で規定される混合物の内圧は、スリット状孔出口を通過して水系媒体中で膨張している球形の混合物の内圧より大きくなる。そのため、図1(a)に示すように、混合物1がスリット状孔2から水系媒体中へ急激に押し出されてスリット状孔2出口付近にネック3と呼ばれるくびれが生じる。このネック3がスリット状孔2の幅と同じ大きさに収縮し円形の断面を有するようになる。このネック3部分での内圧と水系媒体中で膨張している球形の混合物4の内圧の差は次第に大きくなり、上記内圧の差が臨界値を超えた時にネック3が急激に切断されることにより細かく均質な液滴5が生成できる(図1(b))。図中、6は細孔を意味する。
【0030】
また、例えば5mPa・s以下の粘度の混合物であっても、液滴作製時に水系媒体がスリット状孔に入り込む空間が十分に存在するため、均一な粒子径の液滴とすることができる。
細孔とスリット状孔の径及び短幅は5〜50μmであることが好ましい。これにより約15〜160μmの均一粒子径の液滴が得られる。細孔とスリット状孔の径及び短幅が5μmより小さくなると、生産性が悪くなりすぎるため好ましくない。50μmを超えると、粒子径が大きくなり分散安定性が悪化してくるため好ましくない。より好ましい細孔とスリット状孔の径及び短幅は、6〜45μmである。また、細孔の深さは30〜400μmであることが好ましく、スリット状孔の深さは10〜200μm(例えば、細孔径の2〜4倍)であることが好ましく、12〜150μmであることがより好ましい。更に、スリット状孔の長幅は10μm以上(例えば、細孔径の2倍以上)であることが好ましい。
【0031】
マイクロチャネル液滴形成装置(懸濁液製造用モジュール)の一例を図2(a)及び(b)に示す。図2(a)は直交流型のマイクロチャネル液滴形成装置であり、図2(b)は平行流型のマイクロチャネル液滴形成装置である。図中、12は水系媒体注入口、13は混合物注入口、14a及び14bはガラス盤、15はマイクロチャネル盤、16a及び16bはパッキン、17は懸濁液取り出し口を意味する。また、図2(a)の概略断面図を図3に示す。
【0032】
混合物は、混合物注入口13からモジュール内に入り、ガラス盤14bに矢印の方向に流れ、次いでマイクロチャネル盤を通過して、水系媒体注入口12からパッキン16aで矢印の方向に流れる水系媒体と合流することで懸濁液となる。得られた懸濁液は懸濁液取り出し口17から取り出される。
【0033】
混合物と水系媒体は1:200〜1:20の流量(重量)比率でマイクロチャネル液滴形成装置へ供給することが液滴の単分散性と生産性の面で好ましい。混合物に対する水系媒体の流量比率が1:200よりも大きいと生産性が悪くなることがあるので好ましくない。混合物に対する水系媒体の流量比率が1:20よりも小さい場合、懸濁液濃度が濃いために、紫外線照射時の光の透過性が悪くなり、重合時間が延びたり均一な重合ができなくなったりするため好ましくない。なお混合物と水系媒体のより好ましい流量比率は1:200〜1:30である。
【0034】
なお、生産性が高い状態とは、例えば細孔とスリット状孔の径及び短幅が10μmであって、細孔を6300個具備したマイクロチャネル盤を用いて懸濁液を作製する場合においては、概ね混合物流量として3g/hr以上である。3g/hr以上とすることで、大量生産が可能となる。
【0035】
マイクロチャネル盤に混合物と水系媒体とを供給する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポンプで供給する方法、重力を利用して水圧をもって供給する方法等が挙げられる。ポンプとしては、例えばプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ロータリーポンプ、チューブポンプ、ギヤーポンプ等が挙げられる。重力を利用して水圧をもって供給する方法としては、例えばマイクロスフィア製造装置と、混合物、水系媒体それぞれを供給するタンクとの高低差を調節して、混合物と水系媒体の水圧差から、それぞれの流量バランスを調節する方法が挙げられる。
【0036】
本発明の製造方法では、水系媒体が、その供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下となるように供給される。水系媒体の流れに脈流が発生すると、得られるアクリル系樹脂粒子の単分散性が影響を受けるが、できるだけ脈流を抑えることが好ましい。水系媒体を重力を利用して水圧をもって供給する方法は、供給圧力変動を発生し難いため好適である。また、プランジャーポンプやダイヤフラムポンプ等では、供給圧力変動を抑えるために、ポンプ出口にアキュームレーターや、ダンパーを設けたり、チューブポンプではローラーやポンプヘッドを増やしたりすることができる。これらの方法の中で、プランジャーポンプやダイヤフラムポンプにアキュームレーターやダンパーを併用する方法が、長時間連続運転性と流量制御の安定性が良いため好ましい。より好ましい供給圧力変動率は、25%以下、更に好ましい供給圧力変動率は20%以下である。
【0037】
得られた液滴に紫外線を照射して混合物を重合させることで、単分散性が高いアクリル系樹脂粒子が生産性よく製造できる。ここで単分散性が高いことは、粒子の粒子径の変動係数を測定することで評価できる。本発明では、10%以下の変動係数のアクリル系樹脂粒子を製造できる。
【0038】
紫外線の照射は、バッチ毎に行なっても、連続的に行なってもよい。この重合法では、懸濁液がポリビニルアルコール等の高分子型分散剤を含まない。そのため、水系媒体からアクリル系樹脂粒子を分離する際にも、高分子型分散剤がアクリル系樹脂粒子表面に残ることなく、清浄な状態のアクリル系樹脂粒子を得ることができる。更に、アクリル系樹脂粒子をシード粒子とするシード重合においても、アクリル系樹脂粒子表面に付着した高分子型分散剤によって、重合性単量体のシード粒子への吸収阻害が起こらず、効率よく目的の粒子径の粒子が得られる。
【0039】
紫外線の照射には、一般的な紫外線照射方法を使用できる。例えば、各種水銀ランプ、紫外光(400nm以下)を発するLED等が挙げられる。LEDの場合はほぼ単一波長の紫外光が得られ、また光に熱線が含まれないため、紫外線照射光源と懸濁液との距離を極力短くとることができる。そのため、懸濁液への紫外線の照度を高めることができるため、重合硬化速度を上げることが可能であり、本発明の効果を高めることができ好適である。更に、紫外線照射において懸濁液の温度が上昇しにくいため、得られるアクリル系樹脂粒子のガラス転移点(Tg)がより低い場合でも凝集等の問題が起こりにくく好適である。
重合時間は1分以下であることが好ましい。これ以上では、アクリル系樹脂粒子の生産性を向上することが困難であるため好ましくない。
【0040】
図4に、アクリル系樹脂粒子の製造装置の一例を示す。図4中、21は混合物タンク、22は水系媒体タンク、23及び24はポンプ、25はマイクロチャネルを含む懸濁液製造用モジュール、26は紫外線照射装置、27はリザーバタンク、28は供給圧力変動防止装置、29は圧力計を意味する。図4は、連続的にアクリル系樹脂粒子を製造可能な装置である。
【0041】
得られたアクリル系樹脂粒子は、水系媒体と分離することによって、粉体として取出すことができる。水系媒体とアクリル系樹脂粒子の分離方法は公知の方法を用いることができる。また、アクリル系樹脂粒子は、用途によっては、水系媒体に分散したままでもよい。
本発明の方法により得られたアクリル系樹脂粒子は、AB剤、液晶パネルスペーサー、クロマトグラフィー用充填剤、診断試薬担体等に有用である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限されるものではない。実施例中の各測定値の測定方法は以下の通りである。
【0043】
(22℃におけるモノマー及びモノマー混合物の粘度測定)
エー・アンド・デイ社製音叉型振動式粘度計SV−10を用い、温度20℃±0.1℃、湿度60%±0.5%に保った室内で、粘度の測定を行った。測定試料は別室で混合調製し、粘度測定を20秒間隔で連続して行い、約25℃付近から徐々に温度低下する際の22℃における測定値をその試料の22℃における粘度とした。
【0044】
(体積平均粒子径、変動係数(C.V.値))
ベックマン・コールター社製、粒度分布測定装置「Multisizer3」を使用して、測定を行った。その際、100μm、200μm、280μm、400μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い測定した。得られた結果のうち、100μmアパチャーで測定したものは、体積統計値(算術平均)で求められる、10〜40μmの間における平均径を体積平均粒子径(μm)とし、C.V.を変動係数(C.V.値)とした。また200μmアパチャーで測定したものについては、体積統計値(算術平均)で求められる、50〜120μmの間における平均径を体積平均粒子径(μm)とし、C.V.を変動係数(C.V.値)とした。280μmアパチャーで測定したものについては、体積統計値(算術平均)で求められる、80〜160μmの間における平均径を体積平均粒子径(μm)とし、C.V.を変動係数(C.V.値)とし、400μmアパチャーで測定したものは、体積統計値(算術平均)で求められる、100〜200μmの間における平均径を体積平均粒子径(μm)とし、C.V.を変動係数(C.V.値)とした。
【0045】
(界面張力)
協和界面科学社製界面張力計DM300を用い、温度20℃±0.1℃、湿度60%±0.5%に保った室内で、懸滴法で測定を行いYoung−Laplace解析法で界面張力を求めた。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)をイオン交換水に2重量%溶解することにより作製した。
モノマー混合物とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液の密度は、京都電子工業社製密度比重計DA−130Nとを用いて、温度20℃±0.1℃、湿度60%±0.5%に保った室内で測定した。
なお、モノマー混合物とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液とは、上記測定環境下で、1日慣らした後に測定した。
【0046】
(水系媒体の供給圧力変動率)
水系媒体を供給するライン中に圧力トランスミッタ(長野計器社製 KL71:0〜20kPa仕様)を取り付け、水系媒体の供給流量が安定している状態で、データレコーダ(キーエンス社製 NR−250)とデータ収集ソフト(キーエンス社製 WAVETHERMO)を用いて供給圧力をPC上に100ミリ秒間隔で最低30秒間取り込んだ。取り込んだ圧力データから、任意の30秒間の圧力データの中で、平均供給圧力、最大圧力及び最小圧力を抽出した。最大圧力と最小圧力の差を供給圧力変動幅として式1により計算し、得られた供給圧力変動幅を用いて式2により供給圧力変動率を計算した。
供給圧力変動幅(kPa)=最大圧力−最小圧力 式1
供給圧力変動率(%)=供給圧力変動幅/平均供給圧力×100 式2
【0047】
実施例1
光重合性多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルEG:22℃における粘度3.63mPa・s)を20重量%と、単官能性モノマーとして、イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートIB−XA:22℃における粘度8.53mPa・s)50重量%と、メチルメタクリレート(三菱レーヨン社製アクリエステルM:22℃における粘度0.61mPa・s)を30重量%とを混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度1.91mPa・s、界面張力2.7mN/m)を得た。得られたモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を2重量部溶解させ、混合物とした。
【0048】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を0.8重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.2重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に23000個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径10μm、深さ68μm、スリット状孔短幅11μm、長幅50μm、深さ32μm)を形成したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS1−3)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度22℃で連続的に作製した。
【0049】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を18g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を1200g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は1.69kPa、供給圧力変動幅は0.27kPa、供給圧力変動率は16.0%であった。
【0050】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は25.5μm、変動係数(C.V.値)は8.6%であった。
【0051】
実施例2
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2.0重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した以外は、実施例1と同様にして懸濁液を製造温度22℃で連続的に作製した。
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を18.3g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を1200g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は1.68kPa、供給圧力変動幅は0.27kPa、供給圧力変動率は16.1%であった。
【0052】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は27.0μm、変動係数(C.V.値)は8.9%であった。
【0053】
実施例3
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を6.0重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分1.5重量%)を水系媒体として用意した以外は、実施例1と同様にして懸濁液を製造温度22℃で連続的に作製した。
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を13.8g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を660g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は1.18kPa、供給圧力変動幅は0.20kPa、供給圧力変動率は16.9%であった。
【0054】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は26.1μm、変動係数(C.V.値)は9.0%であった。
【0055】
実施例4
光重合性多官能性モノマー成分としてエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルEG:22℃における粘度3.63mPa・s、界面張力3.5mN/m)100重量%と光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を3重量部溶解させ、混合物とした。
【0056】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に4718個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径20μm、深さ68μm、スリット状孔短幅21.5μm、長幅140μm、深さ60μm)を形成したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS3−1)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度23℃で連続的に作製した。
【0057】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を62g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を1700g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は2.22kPa、供給圧力変動幅は0.34kPa、供給圧力変動率は15.3%であった。
【0058】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を200μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は91.5μm、変動係数(C.V.値)は5.1%であった。
【0059】
実施例5
光重合性多官能性モノマー成分としてエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルEG:22℃における粘度3.63mPa・s)を50重量%と、単官能性モノマー成分として、イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートIB−XA:22℃における粘度8.53mPa・s)50重量%を混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度4.53mPa・s、界面張力2.6mN/m)を得た。得られたモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を2重量部と、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製ダロキュアTPO)を1重量部溶解させ、混合物とした。
【0060】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。0.36cm2に13184個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径6μm、深さ82μm、スリット状孔短幅6.8μm、長幅42μm、深さ18μm)を形成したエリアを10ヶ所同一基板上に有する合計13140個の非対称矩形型マイクロチャネルを具備したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS5−2)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)と同様の構造をした大型のモジュールにセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度25℃で連続的に作製した。
【0061】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製ミニケミカルポンプNP-KX-110を用いて、混合物流量を39g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-720とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を2700g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は3.69kPa、供給圧力変動幅は0.37kPa、供給圧力変動率は10.0%であった。
【0062】
次に、内径4mmのパイレックス(登録商標)ガラス管4.5mを内径120mmで螺旋状に巻いた螺旋状ガラス管を作成し、その螺旋状ガラス管を直立させた状態でその中心にハリソン東芝社製UVランプ H400PQをセットした形状の連続式UV重合装置を製作した。上記条件で連続的に製造した懸濁液を滞留させること無く連続的に連続式UV重合装置内の螺旋状ガラス管上部口から流し、懸濁液が螺旋状ガラス管内を滞留する間UVを照射し、懸濁液中の液滴を重合させた。この時UV照射時間は約1分間であった。螺旋状ガラス管下部口から重合したアクリル系樹脂粒子を含むスラリーを得、得られた粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は18.1μm、変動係数(C.V.値)は5.6%であった。
【0063】
実施例6
光重合性多官能性モノマー成分としてトリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学社製ライトエステルTMP:22℃における粘度88.4mPa・s)を10重量%と、単官能性モノマー成分として、イソボルニルアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートIB−XA:22℃における粘度8.53mPa・s)90重量%を混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度9.84mPa・s、界面張力2.4mN/m)を得た。得られたモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を2重量部溶解させ、混合物とした。
【0064】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に1183個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径50μm、深さ240μm、スリット状孔短幅50μm、長幅350μm、深さ120μm)を形成したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS3―4)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度23℃で連続的に作製した。
【0065】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製ミニケミカルポンプ NP‐KX‐110 を用いて、混合物流量を85g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-720とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を1900g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は2.52kPa、供給圧力変動幅は0.37kPa、供給圧力変動率は14.7%であった。
【0066】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を400μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は148.1μm、変動係数(C.V.値)は4.9%であった。
【0067】
実施例7
光重合性多官能性モノマー成分として、ジ−ペンタエリスリトール−ヘキサアクリレート(共栄社化学製ライトアクリレートDPE−6A:22℃における粘度 11327mPa・s)を50重量%と、単官能性モノマー成分として、メチルメタクリレート(三菱レーヨン社製アクリエステルM:22℃における粘度0.61mPa・s)を50重量%混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度6.86mPa・s、界面張力3.1mN/m)を得た。このモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を2重量部溶解させ、混合物とした。
【0068】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に6300個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径10μm、深さ77μm、スリット状孔短幅10μm、長幅複数細孔同一スリット型、深さ23μm)を形成したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS3―1)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることでエマルションを製造温度23℃で連続的に作製した。
【0069】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製ミニケミカルポンプNP-KX-110を用いて、混合物流量を4.5g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を300g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は0.87kPa、供給圧力変動幅は0.02kPa、供給圧力変動率は2.3%であった。
【0070】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は22.7μm、変動係数(C.V.値)は8.2%であった。
【0071】
実施例8
光重合性多官能性モノマー成分として、ペンタエリスリトール−テトラアクリレート(共栄社化学社製ライトアクリレートPE−4A:22℃で半固形状)を40重量%と、単官能性モノマー成分として、メチルメタクリレート(三菱レーヨン社製アクリエステルM:22℃における粘度0.61mPa・s)を40重量%と、スチレンモノマー(住友化学社製:22℃における粘度0.79mPa・s)20重量%を混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度2.32mPa・s、界面張力3.5mN/m)を得た。得られたモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を2重量部溶解させ、混合物とした。
【0072】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に6300個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径10μm、深さ77μm、スリット状孔短幅10μm、長幅複数細孔同一スリット型、深さ23μm)を形成したマイクロチャネル基盤(イーピーテック社製WMS1−1)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度23℃で連続的に作製した。
【0073】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製ミニケミカルポンプNP-KX-110を用いて、混合物流量を5g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を300g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は0.88kPa、供給圧力変動幅は0.02kPa、供給圧力変動率は2.3%であった。
【0074】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、スチレン含有アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒
度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は21.3μm、変動係数(C.V.値
)は6.9%であった。
【0075】
比較例1
光重合性多官能性モノマー成分として、トリメチロールプロパントリメタクリレート(共栄社化学製ライトエステルTMP:22℃における粘度 88.4mPa・s)を50重量%と、単官能性モノマー成分として、メチルメタクリレート(三菱レーヨン社製アクリエステルM:22℃における粘度0.61mPa・s)を30重量%と、ノニルフェノールEO付加物アクリレート(共栄社化学製ライトアクリレートNP-8EA:22℃における粘度 222.5mPa・s)20重量%を混合することで、モノマー混合物(22℃における粘度6.46mPa・s、界面張力0.4mN/m)を得た。このモノマー混合物100重量部に、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア819)を5重量部溶解させ、混合物とした。
【0076】
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム25%水溶液(日本油脂社製ニューレックスR−25)を2重量%含む水溶液(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム純分0.5重量%)を水系媒体として用意した。1cm2に4718個の非対称矩形型マイクロチャネル(細孔径20μm、深さ68μm、スリット状孔短幅21.5μm、長幅140μm、深さ60μm)を形成したマイクロチャネル基板(イーピーテック社製WMS3−1)を懸濁液作製用の平行流型モジュール(図2(b)のモジュール)にセットした。このモジュールを使用して、混合物を水系媒体へ分散させることで懸濁液を製造温度23℃で連続的に作製した。
【0077】
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を60g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500とポンプ出口に脈流防止ダンパー(日本精密科学社製パルスダンパーPD0235S)を接続した状態で供給し、水系媒体流量を3000g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は4.17kPa、供給圧力変動幅は0.34kPa、供給圧力変動率は8.2%であった。
【0078】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を200μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は60.8μm、変動係数(C.V.値)は15.7%であった。
【0079】
比較例2
実施例7と同様にして、エマルションを製造温度23℃で連続的に作製した。
混合物の供給条件は、日本精密科学社製ミニケミカルポンプNP-KX-110を用いて、混合物流量を4.5g/hrとし、水系媒体供給条件は、ATTO社製ペリスタポンプAC−2110を用いて、水系媒体流量を270g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は0.95kPa、供給圧力変動幅は0.40kPa、供給圧力変動率は42.1%であった。
【0080】
次にエマルションを容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を100μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は25.3μm、変動係数(C.V.値)は22.1%であった。
【0081】
比較例3
実施例4と同様にして、懸濁液を製造温度23℃で連続的に作製した。
混合物の供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-540を用いて、混合物流量を62g/hrとし、水系媒体供給条件は、日本精密科学社製パーソナルポンプNP-KX-500に脈流防止ダンパーを接続せずに供給し、水系媒体流量を1700g/hrとした。この時の水系媒体の平均供給圧力は2.38kPa、供給圧力変動幅は1.62kPa、供給圧力変動率は68.1%であった。
【0082】
次に懸濁液を容量20mlのホウ珪酸ガラス製サンプル瓶に採取した。小型UV照射装置(ハリソン東芝社製トスキュア401)を用いてサンプル瓶に照射距離80mm、UVランプ直下にて1分間紫外線照射を行い懸濁液中の液滴を重合させることで、アクリル系樹脂粒子を得た。この粒子を200μmアパチャーを用いて粒度分布測定装置で測定した結果、体積平均粒子径は92.3μm、変動係数(C.V.値)は8.9%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜3の水系媒体の平均供給圧力、供給圧力変動幅及び供給圧力変動率、水系媒体中の界面活性剤の濃度、モノマー混合物とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液との間の界面張力、モノマー混合物の粘度、体積平均粒子径及びC.V.値を表1にまとめて示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1から以下のことが分かる。
実施例と比較例2及び3とから、水性媒体の供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下であることで、C.V.値の小さな単分散性の粒子が得られることが分かる。特に、実施例4と比較例3とは、供給圧力変動率が異なること以外は同一の条件で粒子が製造されている。結果を比較すると、約4程度C.V.値を低減できている。
実施例と比較例1とから、界面張力を2.0mN/m以上とすることで、C.V.値の小さな単分散性の粒子が得られることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】液滴の製造工程の概略説明図である。
【図2】マイクロチャネルを含む懸濁液製造用モジュールの概略図である。
【図3】懸濁液製造用モジュールの概略断面図である。
【図4】アクリル系樹脂粒子の製造装置の概略図である。
【符号の説明】
【0086】
1 混合物
2 スリット状孔
3 ネック
4 球形の混合物
5 液滴
6 細孔
12 水系媒体注入口
13 混合物注入口
14a、14b ガラス盤
15 マイクロチャネル盤
16a、16b パッキン
17 懸濁液取り出し口
21 混合物タンク
22 水系媒体タンク
23、24 ポンプ
25 マイクロチャネルを含む懸濁液製造用モジュール
26 紫外線照射装置
27 リザーバタンク
28 供給圧力変動防止装置
29 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜20mPa・sの22℃における粘度と、2.0mN/m以上のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%水溶液との界面張力とを有する、光重合性多官能性モノマーの単独モノマー又は光重合性多官能性モノマーと単官能性モノマーとのモノマー混合物と、光重合開始剤とを含む混合物を、マイクロチャネル液滴形成装置を介して、界面活性剤を含む水系媒体中に分散させることで、混合物の液滴を含む懸濁液を形成する工程と、
前記懸濁液に紫外線を照射して前記液滴を重合させることによりアクリル系樹脂粒子を得る工程とを含み、
前記マイクロチャネル液滴形成装置が、前記混合物と水系媒体とを仕切り、厚み方向に貫通孔を備えた中間プレートを備え、前記貫通孔は2段状をなし、前記混合物と接する側は細孔とされ、前記水系媒体と接する側はスリット状孔になっており、
前記水系媒体は、その供給圧力変動率が平均供給圧力の30%以下となるように、前記マイクロチャネル液滴形成装置に供給されることを特徴とするアクリル系樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記光重合性多官能性モノマーが、光重合性かつ多官能性の(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーである請求項1に記載のアクリル系樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記単官能性モノマーが、単官能性の(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーである請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記水系媒体が、前記界面活性剤を0.05〜2重量%含む請求項1〜3のいずれか1つに記載のアクリル系樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
前記混合物と水系媒体とが、1:200〜1:20(重量比)の範囲で使用される請求項1〜4のいずれか1つに記載のアクリル系樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−90241(P2010−90241A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260730(P2008−260730)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】