説明

アグリカナーゼ産生阻害剤

【課題】本発明は、日常的に連用可能であり、効果的且つ安全性の高いアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、リンデンの抽出物を含有することを特徴とする。製剤型態は、種々のものが選択できるが、特に内服剤が好ましい。投与量は、使用目的、年齢、体重等によって異なるが、体重1kg当たり0.005〜300mg、特に好ましくは、0.03〜100mgである。本発明は、関節炎に対して優れた改善効果を発揮するため、関節炎及び関節炎に関連する疾患の予防・改善を目的とする医薬品、医薬部外品、食品及び化粧品等に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンデンの抽出物を含有することを特徴とする、アグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省「平成16年国民生活基礎調査」における、健康状態の自覚症状に関する調査結果によると、女性の有訴者率は、人口千人に対して350.5となっている。有訴者の症状の内訳を見ると、女性では、「肩こり」「腰痛」に次いで「手足の関節が痛む」が3位(人口千人に対して72.7)であり、多くの人が関節の痛みを有していることが分かる。
【0003】
関節炎としては、代表的なものに、変形性関節症や関節リウマチ等が挙げられる。これら疾患の治療においては、非ステロイド性抗炎症剤やステロイド製剤、ヒアルロン酸製剤等が、痛みや腫れを抑えるという目的で用いられるが、何れも対症療法であり、その効果は、十分満足できるものとは言い難い。
【0004】
関節軟骨は、きわめて大きい包水能を持つことにより、軟骨に粘弾性といった特性を与える。この軟骨の特徴は、主としてアグリカンとII型コラーゲンから構成される豊富な細胞外マトリックスによるものである。アグリカンは、軟骨組織に存在する代表的な大型プロテオグリカンである。アグリカンのコアタンパク質は、ヒアルロン酸と共有結合することにより巨大な会合体を形成して多量の水を吸収し、II型コラーゲン線維の網目骨格を埋め尽くすことにより、軟骨組織に特有な構造を維持している。従って、変形性関節症及び関節リウマチでは、これらの細胞外マトリックス成分の分解亢進による軟骨減少が、関節機能の低下につながると考えられている。
【0005】
細胞外マトリックス成分のうち、II型コラーゲンの分解に関しては、コラゲナーゼに代表されるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)が挙げられ、MMPを阻害することにより関節疾患を予防・改善するMMP阻害剤が多数提案されている(例えば、特許文献1)。ところが、変形性関節症や関節リウマチの関節液中には、むしろ、MMP以外のタンパク分解酵素による、アグリカン分解産物が多く検出されることが明らかとなり(非特許文献1)、アグリカンを分解する新たな酵素が注目を集めている。
【0006】
近年、ADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)ファミリーに属する2種類のプロテアーゼが、アグリカンのコア蛋白を特異的に分解するアグリカナーゼ(アグリカナーゼ−1:ADAMTS−4、アグリカナーゼ−2:ADAMTS−5)であることが同定された(非特許文献1、非特許文献2)。ヒト関節炎患者の関節液中にアグリカナーゼに切断された分解産物が検出されていること(非特許文献3)、マウス関節炎モデルにおいて、アグリカン分解がII型コラーゲンの分解に先行して起こること(非特許文献4)から、アグリカナーゼによるアグリカンの分解は、軟骨破壊と密接な関係があり、MMPよりもむしろ重要であると言える。
【0007】
このため、アグリカンの分解を防ぐために、いくつかのアグリカナーゼ活性阻害剤やアグリカナーゼ産生阻害剤が提案されている。しかし、特許文献2や特許文献3に記載されるアグリカナーゼ活性阻害剤の効果は、何れも満足できるものではなく、薬物治療や予防に応用されるまでには至っていない。又、特許文献4には、カロテノイドによるアグリカナーゼの産生阻害剤について記載されている。しかし、カロテノイドは、大量、又は長期間摂取することによる毒性が広く知られているため、適切ではない。関節疾患に対し長年にわたって予防、治療する目的で十分な効果を得るには、日常的且つ継続的に摂取する必要があるため、高い安全性が求められる。
【0008】
本発明に関わるリンデンは、主にアジア中北部からヨーロッパなどに自生するシナノキ科の高木であり、学名をTilia cordata Mill.という。リンデンは、セイヨウボダイジュ、スモールリーフドリンデン、フユボダイジュ、セイヨウシナノキとも呼ばれ、一般的に精神的リラックス、神経の緊張緩和、不眠症の予防などに効果があるとされ、ハーブティとして長年飲用されている実績がある。リンデンによる、モノアミンオキシダーゼ阻害による抑うつ状態の解消(特許文献5)、肝保護効果(特許文献6)等が提案されているが、アグリカナーゼ産生阻害効果については、全く報告されていない。特許文献7には、シナノキを含む多種の植物抽出物によるMMP阻害剤について、又、特許文献8には、フユボダイジュを含む多数の植物抽出物によるトリプターゼ活性阻害剤について記載されている。しかし、特許文献7記載のMMPは、コラーゲンやエラスチン、プロテオグリカン、ラミニン等を分解するプロテアーゼ類であり、アグリカンのコアタンパクGlu372−Ala373の間を特異的に分解するアグリカナーゼとは作用部位の面で全く異なる。又、特許文献8記載のトリプターゼは、マスト細胞に局在する中性セリンプロテアーゼであり、主に関節液中に存在するアグリカナーゼとは、構造、局在細胞の点で全く異なる。
【0009】
【特許文献1】特開2008−104394号公報
【特許文献2】特開2004−256436号公報
【特許文献3】特開2003−40800号公報
【特許文献4】特開2007−254411号公報
【特許文献5】特開2000−256206号公報
【特許文献6】特開2005−154390号公報
【特許文献7】特開2001−192316号公報
【特許文献8】特開2007−186457号公報
【非特許文献1】Tortorella M.D.et al.,「Purification and cloning of aggrecanase−1:a member of the ADAMTS family of proteins.」,Science.,284,1664−1666,1999
【非特許文献2】Abbaszade I.et al.,「Cloning and Characterization of ADAMTS11, an Aggrecanase from the ADAMTS Family」,J.Biol.Chem.,274,23443−23450,1999
【非特許文献3】Sandy J.D.et al.,「The Structure of Aggrecan Fragments in Human Synovial Fluid」,J Clin.Invest.,89,1512−1516,1992
【非特許文献4】Van Meurs J.B.et al.,「Kinetics of Aggrecanase− and Metalloproteinase−Induced Neoepitopes in Various Stages of Cartilage Destruction in Murine Arthritis」,Arthritis Rheum.,42,1128−1139,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、日常的に連用可能であり、効果的で安全性の高いアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、リンデンの抽出物が、優れたアグリカナーゼ産生阻害効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明に関わるリンデンの抽出物とは、リンデンの花部から溶媒で抽出することによって得られる。その抽出方法は、特に限定されず、例えば、加熱抽出、常温抽出等を適宜選択することができる。又、リンデンの抽出物は、市販品を用いることもできる。
【0013】
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いても良い。好ましくは、水、低級アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、含水エタノールである。
【0014】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理をして用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0015】
本発明に関わるアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤には、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内において、他の成分を配合することもできる。他の成分としては、固体、液体、半固体でも良く、例えば、次のものが挙げられる。すなわち、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、香料、保存料、溶解補助剤、溶剤等である。具体的には、乳糖、ショ糖、ソルビット、マンニット、澱粉、沈降性炭酸カルシウム、重質酸化マグネシウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、セルロース又はその誘導体、アミロペクチン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、界面活性剤、水、生理食塩水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、カカオ脂、オリーブ油、ワセリン、パラフィン、高級アルコール等である。
【0016】
本発明に関わるアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤は、医薬品、医薬部外品、食品又は化粧品の何れにも用いることができる。製剤形態は、種々のものを選択できるが、特に内服剤が好ましい。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤等である。非経口用としては、ローション、クリーム、乳液、浴用剤、注射薬、湿布薬、座薬等の剤型が挙げられる。
【0017】
本発明に関わる抽出物の配合量は、製剤形態、使用目的等によって異なるが、通常、乾燥固形分として0.001重量%以上、好ましくは、0.01〜50.0重量%である。又、本発明に関わる抽出物の1日の投与量は、使用目的、年齢、体重等によって異なるが、体重1kg当たり0.005〜300mg、特に好ましくは、0.03〜100mgである。体重1kg当たり0.005mg未満では十分な効果は望みにくい。体重1kg当たり300mgを越えて投与した場合でも、効果の増強は認められにくく不経済である。製剤への添加法は、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、日常的に連用可能であり、効果的で安全性の高いアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、リンデンの関節炎改善効果を示す図である。○はコントロール群を、□はリンデン0.3%投与群を、■はリンデン1.0%投与群を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。実施例に示す配合量の部とは重量部を示し、%は重量%を示す。
【実施例1】
【0021】
リンデンの熱水抽出物
リンデンの乾燥物(花部)100gに精製水2kgを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して熱水抽出物を27g得た。
【実施例2】
【0022】
リンデンの50%エタノール抽出物
リンデンの乾燥物(花部)100gに精製水1.0kg及びエタノール1.0kgを加え、常温で3日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して50%エタノール抽出物を22g得た。
【実施例3】
【0023】
リンデンのエタノール抽出物
リンデンの乾燥物(花部)100gにエタノール2kgを加え、常温で3日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してエタノール抽出物を17g得た。
【実施例4】
【0024】
リンデンの50%1,3−ブチレングリコール抽出物
リンデンの乾燥物(花部)100gに精製水500g及び1,3−ブチレングリコール(1,3−BG)500gを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、50%1,3−BG抽出物を982g得た。
【実施例5】
【0025】
散剤
処方 配合量(部)
1.リンデンの50%エタノール抽出物(実施例2) 20
2.乾燥コーンスターチ 30
3.微結晶セルロース 50
[製法]成分1〜3を混合し、散剤とする。
【実施例6】
【0026】
錠剤
処方 配合量(部)
1.リンデンの熱水抽出物(実施例1) 1
2.乾燥コーンスターチ 29
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20
4.微結晶セルロース 40
5.ポリビニルピロリドン 7
6.タルク 3
[製法]成分1〜5を混合し、次いで10%の水を結合剤として加えて、押出し造粒後、乾燥する。成形した顆粒に成分6を加えて混合し、打錠する。1錠0.52gとする。
【実施例7】
【0027】
錠菓
処方 配合量(部)
1.リンデンのエタノール抽出物(実施例3) 1.5
2.乾燥コーンスターチ 50.0
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.4
6.香料 0.1
[製法]成分1〜4を混合し、10%の水を結合剤として加え、流動層造粒する。成形した顆粒に成分5及び6を加えて混合し、打錠する。1粒1.0gとする。
【実施例8】
【0028】
飲料
処方 配合量(部)
1.リンデンの50%エタノール抽出物(実施例2) 1.0
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水 93.85
[製法]成分1〜4を成分5の一部の精製水に撹拌溶解する。次いで、成分5の残りの精製水を加えて混合し、90℃に加熱して50mLのガラス瓶に充填する。
【実施例9】
【0029】
実験例1 軟骨細胞を用いたアグリカナーゼ産生阻害効果の確認
軟骨前駆細胞ATDC5をDMEM/F−12(1:1)(GIBCO社製)+5%FBS中に懸濁し、5×10cells/1mLの濃度にて12ウエルプレートに播種した。細胞播種3日後、培養液を分化誘導培地(DMEM/F−12(1:1)(GIBCO社製)+5%FBS+1%ITS(GIBCO社製))に置換え、分化を開始した。ITSとは、Insulin−Transferrin−Selenium−G Supplement(100×)のことを指す。分化開始7日目に分化誘導培地に置き換え、IL−1β(和光純薬工業製)10ng/mL及びリンデンの含水エタノール抽出物(ボダイジュエキスパウダーMF:丸善製薬製)を添加した。コントロール群に対しては、IL−1βのみ10ng/mLを添加した。試料添加24時間後、TRIZOL(Invitrogen社製)を用いて総RNAを抽出し、総RNAを基に、RT−PCR法によりアグリカナーゼのmRNA発現量を測定した。RT−PCR法には、Super ScriptIII Platinum Two−Step qRT−PCR Kit with SYBR Green(Invitrogen社製)を用いた。アグリカナーゼ(ADAMTS−4、ADAMTS−5)のmRNA発現量は、GAPDHの発現量にて規格化し、比較を行った。尚、各遺伝子の発現の測定に使用したプライマーは、次の通りである。
【0030】
ADAMTS−4のプライマーセット
Fw:5’−CCCGGCAGGACCTGTGT−3’(配列番号1)
Re:5’−TCTTCCACAATAGCACAGCTCCTA−3’(配列番号2)
ADAMTS−5のプライマーセット
Fw:5’−CAGCCACCATCACAGAATTCC−3’(配列番号3)
Re:5’−GCTTCCGTGGTAGGTCTAGCA−3’(配列番号4)
GAPDH用のプライマーセット
Fw:5’−CAGCCACCATCACAGAATTCC−3’(配列番号5)
Re:5’−GCTTCCGTGGTAGGTCTAGCA−3’(配列番号6)
【0031】
定量化は、ΔΔCt法にて行い、コントロール群のアグリカナーゼmRNA発現量を100%とした場合のリンデンの含水エタノール抽出物添加時のアグリカナーゼmRNA発現量を算出した。表1及び表2に示す通り、リンデンの含水エタノール抽出物を添加することにより、軟骨前駆細胞ATDC5におけるアグリカナーゼmRNA発現の抑制が認められた。アグリカナーゼmRNA発現は、添加するリンデンの含水エタノール抽出物濃度に依存しており、ADAMTS−4mRNA発現は、コントロール群と比較して、0.3mg/mL添加時には約50%の発現抑制が認められ、又、ADAMTS−5mRNA発現は、コントロール群と比較して、0.3mg/mL添加時には約60%の発現抑制が認められ、リンデンの含水エタノール抽出物が、アグリカナーゼ産生を阻害することが確認された。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
以上の実験方法を用いて軟骨細胞におけるアグリカナーゼ産生阻害効果を検討した結果、表1及び表2に示すように、本発明に関わるリンデンの含水エタノール抽出物は、濃度依存的にアグリカナーゼmRNA発現を阻害し、優れたアグリカナーゼ産生阻害効果を有することが明らかとなった。
【実施例10】
【0035】
実験例2 関節炎改善効果の確認
関節炎の惹起方法は、以下のようにして行った。始めに、ウシ関節由来II型コラーゲン(コラーゲン技術研修会製)に等量のフロイント完全アジュバント(CALBIOCHEM製)を添加し、混合して、均一なエマルジョン溶液を調製した。次いで、6週齢の雄性DBA/1Jマウスに対し、上記のごとく調製したエマルジョン溶液0.1mLを皮内投与した。1回目の皮内投与から21日後、上記のフロイント完全アジュバントをフロイント不完全アジュバント(CALBIOCHEM製)に換えて同様に調製したエマルジョン溶液を皮内投与し、炎症を惹起させた。1群当たりの動物数は、8とした。
試料の投与は、リンデンの含水エタノール抽出物(丸善製薬製:ボダイジュエキスパウダーMF)を飼料に混合して与えることにより行った。すなわち、飼料(オリエンタル酵母工業製:マウス・ラット飼育用−MF)にリンデンの含水エタノール抽出物を0.3%又は1%混合した飼料を調製し、マウスに自由摂取させた。コントロール群に対しては、飼料のみを自由摂取させた。1回目のII型コラーゲン投与から21日、25日、27日、29日、32日、35日、38日、40日、42日及び45日目に、マウスの四肢における関節炎発症の程度を以下のスコアに従って目視判定した。
0点:指の腫張を認めない
1点:1〜2指の腫脹を認める
2点:3〜5指の腫脹や、紅斑を認める
3点:肢全体に強い腫脹と紅斑を認める
一肢につき0〜3点のスコアを付与し、四肢の合計を個体当たりの関節炎スコアとして算出した。
【0036】
その結果を図1に示す。リンデン投与群では、コントロール群と比較して、32日目以降に関節炎の進行が大きく抑制された。45日目ではリンデン0.3%投与群で約10%、リンデン1%投与群では約27%と濃度依存的に関節炎スコアの抑制を認めた(図1)。このことは、リンデンの含水エタノール抽出物の投与により、関節炎を抑制することができることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に関わるリンデンの抽出物を含有することを特徴とするアグリカナーゼ産生阻害剤及び関節炎改善剤は、各剤の目的に対して優れた改善効果を発揮する。よって、関節炎及び関節炎に関連する疾患の予防・改善を目的とする医薬品、医薬部外品、食品及び化粧品等に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンデンの抽出物を含有することを特徴とするアグリカナーゼ産生阻害剤。
【請求項2】
請求項1記載のアグリカナーゼ産生阻害剤を含有することを特徴とする関節炎改善剤。



【図1】
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【公開番号】特開2011−231034(P2011−231034A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101640(P2010−101640)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】