説明

アジュバント混合製剤

【課題】免疫応答を増強するために抗原性組成物中のアジュバント組み合わせ物として有用である組成物の提供。
【解決手段】3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドAまたはモノホスホリルリピドAおよびそれらの誘導体および類似体と、顆粒球コロニー刺激因子とを組み合わせた使用で、病原性ウイルス、細菌、菌・カビもしくは寄生体から、またはガン細胞もしくは腫瘍細胞から、またはアレルゲンから、またはアミロイドペプチドタンパク質から選択される抗原に対する脊椎動物宿主の免疫応答を増強するために抗原性組成物中のアジュバント組み合わせ物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択した抗原に対する脊椎動物の免疫反応を増強するために、抗原性組成物のアジュバント製剤として、サイトカインまたはリンホカイン、特に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子またはインターロイキン12と組み合わさった3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドAまたはモノホスホリルリピドA、およびそれらの誘導体および類似体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系は病原体を攻撃するために種々のメカニズムを使用する。しかしこのようなメカニズムのすべてが免疫感作後に活性化される必要はない。免疫感作により誘導される防御免疫は、病原体に抵抗するか、または排除するために適当な免疫応答を誘導するワクチンの能力に依存する。病原体に依存して、これには細胞性および/または体液性免疫応答が必要となり得る。
【0003】
免疫応答におけるヘルパーT細胞の役割に関する現在の体系は、T細胞をそれらが生産するサイトカイン類に基づきサブセットに分類することができ、そしてこのような細胞中で観察される明らかなサイトカインプロフィールがそれらの機能を決定するということである。このT細胞モデルには2つの主要なサブセットが関与する:細胞性および体液性(抗体)免疫応答の両方を増大する、インターロイキン-2(IL-2)およびインタフェロンガンマを生産するTH-1細胞;および体液性免疫応答を増大する、インターロイキン−4、インターロイキン−5およびインターロイキン-10(それぞれIL-4、IL-5およびIL-10)を生産するTH-2細胞である(参考文献1)。
【0004】
免疫感作する生物により強い免疫応答を得るために、そして抗原を持つ病原体に対する宿主の抵抗を増強するために、抗原の免疫学的効力を増強することがしばしば望まれる。主に体液性(TH-2)の応答から、よりバランスのとれた細胞性(TH-1)および体液性(TH-2)の応答へと免疫応答をずらすことが望ましい場合もある。
【0005】
細胞性の応答にはCD8+(細胞傷害性T−リンパ球)応答の生成が関与する。そのような応答は細胞内病原体に対するワクチンの開発に望ましい。種々の病原体に対する防御には、強力な粘膜応答、高い血清力価、CTLおよび激しい細胞性応答の誘導が必要である。このような応答は、通例のサブユニットワクチンを含めほとんどの抗原調製物により提供されなかった。中でもそのような病原体はヒト免疫不全症ウイルス(HIV)である。
【0006】
すなわち、体液性および細胞性免疫応答の両方を脊椎動物宿主に生成することができる抗原性組成物製剤を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
したがって本発明の目的は、サイトカインもしくはリンホカイン、特に顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もしくはインターロイキン-12(IL-12)、または該サイトカインもしくはリンホカインのアゴニストもしくはアンコダニストと組み合わせた3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(MPL(商標))またはモノホスホリルリピドAおよびそれらの誘導体および類似体を含む抗原性組成物中に、アジュバント混合製剤を使用することである。アジュバントは、免疫原または抗原と一緒に投与された時に免疫応答を増強する物質である。本発明のアジュバント製剤は、抗原性組成物中で選択された抗原と一緒に投与される。本発明の抗原性組成物は、脊椎動物宿主において選択された抗原に対する免疫応答を増強する。選択される抗原は、(1)病原性ウイルス、細菌、菌・カビもしくは
寄生体、または(2)ガン細胞もしくは腫瘍細胞、または(3)アレルゲンに対するアレルギー反応を調節するように、IgEの生産を妨害するためにアレルゲン、または(4)脊椎動物宿主において、アミロイド沈着を特徴とする疾患を予防または処置するような、アミロイドペプチドタンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントであることができる。本発明の一つの態様では、選択される抗原はHIVに由来する。選択されるHIV抗原はHIVタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチドまたはフラグメントでよい。本発明の特定の態様では、HIV抗原は特異的ペプチドである。本発明の別の態様では、選択される抗原は淋菌(Neisseria gonorrhoeae)または呼吸合胞体ウイルスに由来する。
【0008】
MPL(商標)は水溶液として、または安定化された水中油型エマルション(安定なエマルションまたはSE)として存在することができる。本発明の好適な態様では、水中油型エマルションはスクアレン、グリセロールおよびホスファチジルコリンを含む。SE製剤の場合は、MPL(商標)はサイトカインまたはリンホカインと混合されて投与前に抗原性組成物を形成する。サイトカインまたはリンホカインを、エマルションに入れる必要はない。本発明の好適な態様では、MPL(商標)はSE状態である。抗原性組成物はさらに希釈剤またはキャリアーを含んでもよい。
【0009】
本発明は、サイトカインもしくはリンホカイン、特にGM-CSFもしくはIL-12、または該サイトカインまたはリンホカインのアゴニストまたはアンタゴニストの効果的な免疫増強量の組み合わせを包含することにより、(1)哺乳動物宿主の免疫応答を誘導するために、病原性ウイルス、細菌、菌・カビもしくは寄生体から、または(2)哺乳動物宿主に治療的または予防的抗ガン効果を誘導するために、ガン細胞もしくは腫瘍に由来するガン抗原または腫瘍関連抗原から、または(3)アレルゲンに対するアレルギー応答を穏やかにするように、IgEの生産を妨害するためにアレルゲンから、または(4)脊椎動物宿主において、アミロイド沈着を特徴とする疾患を予防または処置するような、アミロイドペプチドタンパク質から選択される抗原を含む抗原性組成物の能力を増加させる方法も対象とする。
【0010】
本発明はさらに、効果的な免疫増強量のサイトカインもしくはリンホカイン、特にGM-CSFもしくはIL-12を含むMPL(商標)、または該サイトカインまたはリンホカインのアゴニストまたはアンタゴニストの組み合わせ物を含めることにより、脊椎動物宿主で細胞傷害性Tリンパ球を誘導するために、病原性ウイルス、細菌、菌・カビもしくは寄生体から選択される抗原を含む抗原性組成物の能力を増す方法を対象とする。
【0011】
<発明の詳細な記述>
アジュバント、サイトカインおよびリンホカインは、抗原自体では免疫原性がよくない種々の抗原に対する免疫応答の発生およびプロフィールを増強し、そして進める(steer)能力を有する免疫調節化合物である。アジュバント、サイトカインおよびリンホカインを適当に選択することにより、アジュバント、サイトカインまたはリンホカインの不存在下では発生しない良好な体液性および細胞性免疫応答を誘導することができる。特にアジュバント、サイトカインおよびリンホカインは、ワクチン中のサブユニットおよびペプチド抗原に対する免疫反応を増強する有意な効果を有する。それらの刺激活性は、タンパク質抗原に対して向けられた抗原−特異的な免疫応答の発生に対しても有益である。強力な粘膜応答、高い血清力価、CTLおよび激しい細胞性応答の誘導を必要とする種々の抗原では、アジュバントおよびサイトカイン/リンホカインの組み合わせ物がほとんどの抗原調製物では提供されないような刺激を提供する。
【0012】
多くの研究で動物モデルを対象とした様々なアジュバント製剤が評価されたが、アルム[alum(水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウム)]が現在、ヒトに広く使用する
ために認可された唯一のアジュバントである。種々の油中水型または水中油型の組み合わせからなる安定なエマルションであるアジュバントの1群は、それらの免疫増強能力のためにかなり注目された。このような製剤は一般に注入部位に抗原を安定化し、そして沈積させるように作用する代謝可能なまたは不活性油の種々の組み合わせから成る。1つのそのようなアジュバントは、不完全フロイントアジュバント(IFA)であり、これは鉱物油、水および乳化剤を含む。完全フロイントアジュバント(CFA)はIFAに熱で殺したマイコバクテリアが加えられている。このような種類のアジュバントの使用について特別な心配事は、肉芽腫様の病変を引き起こす多くは単核細胞浸潤の結果である注入部位に付随する炎症であった。したがって、他の化合物および製剤が有力なアジュバントとして調査されている。
【0013】
1つのそのような化合物は、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(MPL(商標)であり、これはリビ イムノケムリサーチ社(Ribi ImmunoChem Research Inc.)(ハミルトン、マサチューセッツ州)から入手することができる。MPL(商標)は米国特許第4,912,094号明細書(2)に記載され、これは引用により本明細書に編入する。
【0014】
最近、リビ イムノケムリサーチ社は、MPL(商標)と組み合わせた時にMPL(商標)SEと称する安定化されたエマルションの形成をもたらす代謝可能な水中油型製剤を調剤した。安定化されたエマルションはスクアレン油、グリセロールおよびホスファチジルコリンを含むMPL(商標)のミクロ流動化(microfluidization)を通して生成される。現在の製剤はGMP-品質のミクロ流動化エマルションである。1または2%の油を含有するエマルションを、以下の実験で記載する。
【0015】
MPL(商標)SEは、Balb/cマウスに皮下または筋肉内注射した時、注射部位に付随する組織の識別できる病変を生じない。MPL(商標)は含まないが同じ成分を含有する安定化されたエマルションも、比較の目的で作成した。具体的には、アジュバントMPL(商標)SEおよびGM-CSFと組み合わせて配合した40アミノ酸HIVペプチドであるT1SP10MN(A)(+Cys)、またはシステイン−欠失39アミノ酸ペプチドであるT1SP10MN(A)(-Cys)ペプチド(これは40アミノ酸ペプチド(+Cys)のアミノ酸数17でシステイン残基を欠く)を用いた皮下または筋肉内の免疫感作により、免疫感作から2週間後に識別される細胞浸潤または組織異常は生じなかった。
【0016】
また本発明の範囲は、これもまた米国特許第4,912,094号明細書(2)に記載されているMPL(商標)の前駆体形であるモノホスホリルリピドAの使用である。さらに本発明の範囲内にあるのは、MPL(商標)およびモノホスホリルリピドAの誘導体および類似体である。
【0017】
サイトカインおよびリンホカインのワクチン製剤への包含は、ワクチン効力の拡大または増強の将来性を示した(3)。サイトカインであるインターロイキン-12(IL-12)は、Tヘルパー細胞サブユニットの拡張(expansion)をTh1サイトカインプロフィールへシフトすること(すなわちマウスのモデルにおけるIgG2サブクラスへ)を通して、細胞性免疫を誘起し、そして増強することが示された(4〜6)。マウスでは、組換えマウスIL-12がTh1優勢免疫応答プロフィールを増強することが示された(3)。
【0018】
IL-12は、種々の抗原提示細胞、主にマクロファージおよび単球により生産される。自然なT−細胞からのTH1細胞の誘導において、これは大変重要な要素である。IL-12の生産またはそれに対して応答する能力が、防御TH-1様応答の発生、例えば寄生体の感染中、最も顕著にはリーシュマニア症に大変重要であることが示された(7)。IL-12の効果は、大部分がNK細胞およびTヘルパー細胞により生産されるインターフェロン-ガンマにより媒介される。インターフェロン-ガンマは、T-依存的タンパク質抗原に対するIgG2a抗体の誘導(8)、およびT-非依存的抗原に対するIgG3応答(9)に大変重要である。もとはナチ
ュラルキラー細胞刺激因子と呼ばれたIL-12は、ヘテロ二量体サイトカインである(10)。組換え宿主細胞中でのIL-12タンパク質の発現および単離は、国際公開第90/05147号明細書(11)に記載されている。
【0019】
アジュバントとして有望な見込みがある別のサイトカインは、GMP-CSFである。GMP-CSFは特定の型のコロニー刺激因子(CSF)である。CSFは骨髄に見いだされる子孫細胞が特別な種類の成熟血液細胞に分化することを誘導するリンホカインの1ファミリーである。引用により本明細書に編入する米国特許第5,078,966号明細書(12)に記載されているように、GM-CSFはマクロファージまたは前駆体単球を活性化し、非特異的な殺腫瘍活性を媒介する。ヒトGM-CSF遺伝子をコードするヌクレオチド配列が記載された(12)。GM-CSFのcDNAを含むプラスミドが大腸菌(E.coli)中で形質転換され、そして20110-2209、バージニア州、マナッサス、10801のブルヴァール大学のアメリカン タイプ 培養物 コレクション(ATCC)に寄託番号39900で寄託された。引用により本明細書に編入する米国特許第5,229,496号明細書(13)に記載されているように、GM-CSF遺伝子は酵母発現プラスミドにも挿入され、そしてATCCに寄託番号53157で寄託された。さらに引用により本明細書に編入する米国特許第5,073,627号明細書(14)に記載されているように除去されたグリコシレーション部位を有するGM-CSFをコードするDNA配列が、ATCCに寄託番号67231で寄託された。
【0020】
GM-CSFは免疫応答を増強することが知られている抗原提示細胞上のタンパク質分子をアップレギュレートし(15)、そしてソート(sort)−精製したマウスB細胞のIg分泌に影響を及ぼす(16)ことが示された。
【0021】
限定するわけではないがインターロイキン1−アルファ、1−ベータ、2、4、5、6、7、8、10、13、14、15、16、17および18、インターフェロン−アルファ、ベータおよびガンマ、顆粒球コロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子アルファおよびベータを含む他のサイトカインまたはリンホカインは、免疫調節活性を有することが示された。
【0022】
任意のサイトカインまたはリンホカインの全身性投与に関連する関心事は、サイトカインまたはリンホカイン活性に付随する生物学的な結果である。さらにサイトカインまたはリンホカインの局所的な濃度が維持される場合、抗原−特異的な免疫応答の発生に関連するサイトカインまたはリンホカインの効果が増強されるはずである。
【0023】
これまでの研究では、GM-CSFおよびIL-12は別個に評価されてきた;様々な免疫応答のパラメーターの増強が観察された。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】CFAまたはIFA(三角)で、あるいは50μgのMPL(商標)2%の安定なエマルション(SE)(四角)で配合した25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)、マルチエピトープ39アミノ酸ペプチドを用いて免疫感作した5匹のBalb/c メス マウス群から測定した相互の終点力価を示す。マウスを0日に免疫感作し、そして28日に追加免疫感作した。ペプチドに特異的なIgG、IgG1およびIgG2a力価は、42日に集めた血清からELISAにより測定した。
【図2】SE単独、MPL(商標)単独またはMPL(商標)SEが、GM-CSFまたは抗-T1SP10MN(A)(-Cys)IgG力価の免疫増強特性に及ぼす効果を表す。5匹のメスのBalb/cマウス群を0日に25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)で免疫感作し、そして28日に示したアジュバント製剤で追加免疫感作した。CFAおよびIFAは1:1の比率で水性のペプチドと乳化した。GM-CSFは10μg/用量で使用した。MPL(商標)はマウスに水性製剤として50μg、または1%SEとの安定なエマルションの一部として25μgの最終濃度で送達された。力価は2次免疫感作から2週間後に測定した。データは5匹のマウスから測定された個々の力価を示す。
【図3】ウイルス中和アッセイの結果を示す。0日に、そして28日に示した製剤で免疫感作したマウスから42日に採取したプール血清は、希釈し(1/1600)、そしてT細胞−適応HIVMNの希釈物に加えた後、インビトロのAA5細胞に加えた。7日間の培養後、細胞培養上清はウイルスの複製の指標としてウイルス逆転写酵素についてアッセイした。
【図4】T1SP10MN(A)(-Cys)および種々のアジュバント製剤で免疫感作したマウスに由来する脾臓細胞を増殖を示す。脾臓細胞はインビトロで4日間、3.3μg/mlのT1SP10MN(A)(-Cys)で刺激した。結果は、刺激の不存在下での取り込みに対して、T1SP10MN(A)(-Cys)でインビトロ刺激した結果として標識したチミジンの取り込みにおける変化として表す(デルタcpm)。
【図5】2次免疫感作から7日後のマウスから単離した脾臓細胞のCTL活性を示す。脾臓細胞は、10μgのGM-CSFを含むか、または含まない1%のSE中の50μgのMPL(商標)を配合した50μgのT1SP10MN(A)(-Cys)で0日、そして21日に免疫感作した3匹のBalb/c マウス群から回収した。細胞をHIVMNCTLエピトープペプチドと7日間培養した。IL-2を培養の最後の5日間に加えた。エフェクター脾臓細胞を、HIVMNを適用したクロム−標識P815細胞(別のHIVMNと命名された株)またはペプチドなしに示した比率で加えた。パーセントCTL活性は:
【数1】

で計算した。“E:T”は、エフェクター:標的細胞比を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載する発明は、抗原、選択したサイトカインまたはリンホカインアジュバント、および第2アジュバント、MPL(商標)(好ましくは安定な代謝可能なエマルション)の組み合わせを通して、抗原に特異的な免疫応答が増強されることを示す。
【0026】
本発明の抗原性組成物に含めるために選択される抗原は、タンパク質に由来するペプチドまたはポリペプチド、ならびに任意の以下のフラグメントを含んで成る:サッカライド、タンパク質、ポリ−またはオリゴヌクレオチド、または他の高分子成分。本明細書で使用するように「ペプチド」とは、少なくとも6個の連続するアミノ酸を含んで成り、そして少なくとも1つの抗原決定基を含むが、一方「ポリペプチド」はペプチドよりも長い分子であるものの、完全長のタンパク質は構成しない。本明細書で使用するように「フラグメント」とは部分を含んで成るが、サッカライド、タンパク質、ポリ−またはオリゴヌクレオチド、または他の高分子成分のすべてではない。HIVの場合、本発明の抗原性組成物はさらに完全長のHIVタンパク質を含んで成る。
【0027】
本発明は、HIVに由来するペプチド抗原を使用したモデル系で例示される。これらのペプチドは、引用により本明細書に編入され、そして今、要約する米国特許第5,013,548号明細書(17)および同第5,019,387号明細書(18)に記載されているか、またはそれに由来する。これらのペプチドはHIV包膜タンパク質の領域に相当するアミノ酸配列を含んで成り、これに対して中和抗体およびT細胞応答が生成される。
【0028】
HIVは、後天的免疫不全症候群(AIDS)の病原であるヒトのレトロウイルスである。HIVはTリンパ球の表面上のCD4(T4)分子に対してその外部包膜糖タンパク質を付けることにより、すなわちT細胞に入り、そして感染させるためのレセプターとしてCD4(T4)分子を使用して免疫系のTリンパ球に感染する。免疫感作を通してHIV-感染に対して特異的な防御免疫応答を誘導する試みは、大変限られた成功しか生まなかった。現在、多くの取り組みが効果的および防御的接種法を決定するために進められている。このような中には弱
毒化され、そしてHIVに由来する抗原性エピトープを発現する組換え細菌ベクター(19)、組換えアデノウイルス(20)またはワクシニアウイルスベクター(21)、DNAワクチン(22)、およびHIVの種々のTおよびB細胞エピトープを含む合成ペプチド(23)が含まれる。
【0029】
HIVの外部包膜糖タンパク質gp120は、ヒトにおいて中和抗体を誘導することができると示された。全gp120分子の約1/3をコードする組換えタンパク質PB1は、中和抗体の形成を誘導する包膜タンパク質の一部を含むことが示された。しかしチンパンジーを対象とした研究では、完全なgp120も、PB1も高力価の抗体の生産を誘導することはできないと証明された。
【0030】
gp120の抗原決定基に対応し、そしてウイルスを中和し、そしてウイルスに対するTヘルパーおよびCTL応答を誘導するgp120に対する抗体応答を生成する短いペプチドが常法により合成された。
【0031】
そのようなペプチドの1つがT1SP10MIN(A)(+Cys)、およびシステイン−欠失変異体T1SP10MN(A)(-Cys)と命名されたC4/V3マルチエピトープ-含有HIV-1MNペプチドである。これらのペプチドはTh、TCTLおよびBエピトープを含むが、CD4結合を妨害する抗体は誘導しない。これまでにこのようなC4/V3 HIVペプチドは、CFAまたはCFA-様アジュバントと投与された時、免疫応答を誘導するための有望な候補であることが示された(24〜29)。このようなペプチドはこれまでに、マウスおよびヒトの両方でCD4+Th細胞応答を誘起し、そしてBalb/cマウスおよびHLA B7+であるヒトの両方で、主中和決定基およびCD8+ CTLにより認識される部位を含むことが示された。この39アミノ酸ペプチドは最近、HIV-感染患者において免疫原性および安全性の両方が証明された(28)。
【0032】
T1SP10MIN(A)(+Cys)は、40アミノ酸の以下の配列を有する:
【0033】
【化1】

【0034】
T1SP10MN(A)(-Cys)は、17位のシステイン無しで合成され、そして39アミノ酸の以下の配列を有する:
【0035】
【化2】

【0036】
システイン残基は、Th細胞、CTLまたはB細胞により認識される機能的エピトープの外側に位置する。ウイルスゲノムの様々な領域に由来する他のHIVペプチドは、米国特許第5,861,243号(30)、同第5,932,218号(31)、同第5,939,074号(32)、同第5,993,819号(33)、同第6,037,135号明細書(34)および欧州特許出願公開第671,947号明細書(35)に記載され、こ
れらも引用により本明細書に編入する。
【0037】
HIV抗原はタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントでよい。タンパク質はgp41、gp120またはgp160のような糖タンパク質でもよい。あるいはタンパク質はgagpolvifrevvprtatnefまたはenvのような遺伝子によりコードされるタンパク質でもよい。そのようなタンパク質に由来するペプチドは、少なくとも1つの抗原決定基(エピトープ)を少なくとも6つのアミノ酸長に含むだろう。
【0038】
HIVペプチドに対する免疫応答は、ペプチドを医薬的に許容され得るキャリアー分子に共有結合(連結)することにより増強することができる。適当なキャリアー分子の例には、破傷風毒素、ジフテリア毒素、キーホールリンペットヘモシアニンおよびHIVgp120糖タンパク質のT細胞エピトープに対応する他のペプチドを含む。
【0039】
現在、HIVに対する成功裏のワクチン法は、HIVに対する粘膜性免疫、ならびに良好なCTL応答を誘導する必要があると考えられている。T1SP10MN(A)マルチ-エピトープペプチドおよび粘膜アジュバントであるコレラトキシンを使用した最近のマウスの研究では、鼻内免疫感作が中和血清IgG1抗体を誘導したことを示した(36)。HIV-V3ループペプチドを使用した後の研究でも、粘膜が合成したIgA抗体およびペプチド-特異的CTLを含む強力な細胞性応答の誘導が証明された(37)。HIV-感染した個体の全身的な高力価、および予防または安定化における中和抗体の機能的役割は未知であるが、高力価のウイルス-特異的抗体はウイルスの伝播の防止に重要であると考えられている。
【0040】
本発明の好適な態様では、MPL(商標)を含み、そして次にサイトカイン、IL-12またはGM-CSFと混合される安定な水中油型エマルションが配合される。以下に与えるデータは、このような組み合わせが高力価のHIV-中和血清抗体をもたらすことを示した。MPL(商標)SEとGM-CSFとの組み合わせが免疫感作したメスのマウスの膣円蓋に高力価の抗原−特異的IgGおよびIgAの誘導するMPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて配合したいずれのT1SP10MN(A)ペプチドを用いたマウスの免疫感作でも、増強された抗原特異的な細胞の増殖およびサイトカインの培養物中への分泌ならびにペプチド−特異的なCTL応答の誘導により測定される強力な免疫応答を誘導した。
【0041】
一般に、GM-CSFまたはIL-12および選択したタンパク質またはペプチドをと混合したMPL(商標)またはMPL(商標)SEの抗原/アジュバント製剤は、高力価の抗原-特異的およびウイルス中和抗体、IgGサブクラス比のより高い比率の補体-結合IgG抗体(マウスでは好ましくはIgG2a)へのシフト、サイトカインの生産上昇およびインビトロでの抗原刺激に対応した単核細胞からの細胞増殖を誘導した。これの特性は、GM-CSFまたはIL-12を用いても用いなくても、MPL(商標)の不存在下で抗原およびSEの製剤を用いては観察されなかった。本発明の製剤はCTLの誘導を通して、良好な細胞応答も誘導する。
【0042】
MPL(商標)SEの利点は、製剤が肉芽腫様の蓄積および注入部位の炎症を誘導しない点にあり;そのような注入部位の反応は多くが油中水型または水中油型のアジュバント製剤により典型的に誘導される。
【0043】
局所的な肉芽腫様の炎症無しで、GM-CSFまたはIL-12と組み合わせたMPL(商標)の刺激効果を通して増強される免疫応答を誘導する能力は、HIVの処置について現在提案されている他のアジュバント製剤では報告されていない。
【0044】
比較するためにMPL(商標)(SEを含む、または含まない)にGM-CSFまたはIL-12を加えて、各々MPL(商標)、SE、GM-CSF、IL-12またはCFA/IFAを個別に、またはHIVペプチドを一緒に含めて、一連の実験を行った。結果の要約をここで与え、そして続いてより詳細に検
討する。
【0045】
第1実験では、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて配合したC4/V3 HIVペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)を皮下に免疫感作したBalb/cマウスは、わずか2回の注射後に107を越える血清IgG力価を生成した。抗体応答はHIVを中和し、そしてIgG1、IgG2a、およびIgG2bのペプチド-特異的抗体力価に有意な上昇を示した。ペプチドを含む培養物で刺激した脾臓細胞は、高レベルのIL-4、IL-5およびインターフェロン-ガンマを放出した。まとめると、これらの知見はバランスのとれたTh1/Th2-型応答の誘導を示している。T1SP10MN(A)(-Cys)に対して特異的なIgGおよびIgA抗体は、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて免疫感作したマウスの膣洗浄液に生成された。これらの知見は、MPL(商標)SEおよびGM-CSFとHIV-ペプチド抗原との組み合わせが、好ましい免疫応答プロフィールの誘導をもたらすことを示す。
【0046】
この第1実験では、HIVペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)およびSE含有アジュバント製剤、またはGM-CSFを用いて免疫感作したBalb/cマウスが、ペプチドに特異的なIgG抗体力価を生成した(表1)。スクアレン、グリセロール、および乳化剤(ホスファヂルコリン)から成る水中油型の安定なエマルションは、T1SP10MN(A)(-Cys)と混合した時にペプチドに特異的なIgG力価を増強する能力を示した。SEを用いて配合した25:gT1SP10MN(A)(-Cys)を用いた免疫感作を通して誘導されたIgG力価は、ペプチドおよびCFAを用いて免疫感作し、そしてIFA中のペプチドで追加免疫したマウスに誘導された力価の約1/5の2次応答力価を誘導した。CFA/IFA配合ワクチンの受容体は、初回免疫感作に応答してT1SP10MN(A)(-Cys)特異的IgG力価を日常的に生成する。比較の目的で、マウスは25:gのT1SP10MN(A)(-Cys)ペプチドを単独で用いて免疫感作した。
【0047】
MPL(商標)の水性およびSE製剤は、フロイントアジュバントまたはサイトカインIL-12およびGM-CSFでのマウスの免疫感作を通して誘導された応答と比較した。IL-12と混合したT1SP10MN(A)(-Cys)の受容体は、一般に数回の反復実験でペプチドに特異的な抗体力価を生成しなかった。対照的に、GM-CSFまたはMPL(商標)SEにT1SP10MN(A)(-Cys)を加えた受容体は低いが、しかし容易に検出可能なIgG抗体力価を生成した。IL-12またはGM-CSFを、T1SP10MN(A)(-Cys)ペプチドを加えたMPL(商標)SEを含有する製剤に加えると、免疫感作に応答してIgGの有意に高い力価を誘導した。実際に、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを組み合わせたマウスの免疫感作は、試験した他のどの製剤を用いて免疫感作したマウスから測定された力価よりもかなり大きな2次応答力価をもたらした。ペプチドに特異的なIgG力価は、フロイントアジュバントで製剤されたたとえ125μgのT1SP10MN(A)(-Cys)を用いて免疫感作したマウスよりも高かった。
【0048】
HIV特異的免疫応答の望ましい特徴は、細胞性および体液性成分の間のバランスがとれている応答である。特定の免疫クロブリンアイソタイプのサブクラスが、Th1またはTh2のいずれかの優占(predominamce)に向かうTヘルパー細胞のサブセットの型を歪める(skewing)ことに相関していた。このような各Tヘルパー細胞サブセットが分泌するサイトカインは、IgGサブクラスの切り替えを支配する活性を証明した。IgGサブクラスの終点力価(endpoint titer)は、2次免疫感作から2週間後に集めたプール血清から測定した(表2)。T1SP10MN(A)(-Cys)単独、あるいはGM-CSFまたはIL-12のいずれかを配合して免疫感作したマウスは、数回の反復実験でIgGサブクラス力価をもたらさないか、または低かった。IgG3抗体はELISA法により検出できなかった。CFAで乳化したT1SP10MN(A)(-Cys)を用いて免疫感作し、そしてIFAで追加免疫したマウスの群は、T1SP10MN(A)(-Cys)に特異的なIgG1抗体を優占的に生じた。SE、MPL(商標)SE、IL-12を加えたMPL(商標)SE、またはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEを含むペプチド製剤も、IgG1抗体の高い力価を生じた。SEを配合したワクチンの受容体は、有意なIgGを繰り返し示したが、有意なIgG2aまたはIgG2b力価は示さなかった。MPL(商標)のSE製剤への包含は、増強されたIgG2aまたはIgG2bのT1SP10MN(A)(-
Cys)特異的抗体力価をもたらした。IL-12またはGM-CSFのいずれかをMPL(商標)SEおよびT1SP10MN(A)(-Cys)に包含すると、IgG1:IgG2a抗体力価の比率にずれをもたらした。サイトカイン無しでは、MPL(商標)SEを配合したワクチンは、同様な力価のIgG1およびIgG2aを誘導した。IL-12およびGM-CSFの両方がペプチドに特異的なIgG2aの相対的血清濃度を上昇させた。さらにMPL(商標)SEとGM-CSFとの組み合わせも、T1SP10MN(A)(-Cys)に特異的なIgG2a抗体力価に有意な上昇を誘導した(MPL(商標)SEに比べて47倍、そしてSEに比べて74倍)。MPL(商標)SEおよびGM-CSFをT1SP10MN(A)(-Cys)ペプチドと一緒に免疫感作したマウスに生じた力価は、いかなるワクチン受容体群の中でも常に最高であった。
【0049】
T1SP10MN(A)(-Cys)、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて免疫感作したマウスからプールした血清から測定された高い抗体力価が、この群内の個々のマウスを表しているのかどうかを決定するために、この群内の個々のマウスをの力価を、フロイントアジュバントを配合したペプチドで免疫感作したマウスの力価と比較した(図1)。IgG、IgG1およびIgG2aに関する個々の血清力価の平均は血清プールから測定された力価に類似することが決定された(データを示さず)。T1SP10MN(A)(-Cys)とMPL(商標)SEおよびGM-CSFとの同時配合(co-formulation)は、CFA/IFAで免疫感作したマウスで誘導されたものよりも有意に高いIgG、IgG1およびIgG2aの力価をもたらした。MPL(商標)SEおよびGM-CSFを配合したペプチドで免疫感作したすべてのマウスは、CFA/IFA製剤で免疫感作したマウスから測定されたものよりも高いIgG抗体の力価を生じた。このような結果は、MPL(商標)SEとGM-CSFの組み合わせが、ペプチドに特異的な抗体の高い力価により測定されるような好ましい抗体応答プロフィール、および好ましいIgGサブクラスの分布を生成することを示した。この製剤は使用する任意のワクチン製剤に最高のT1SP10MN(A)(-Cys)特異的力価を日常的に誘導した。
【0050】
水性MPL(商標)、SEまたはMPL(商標)SEと一緒に配合したGM-CSFを免疫感作したマウスの抗−T1SP10MN(A)(-Cys)IgG力価の比較を行い、アジュバント補給剤としてのGM-CSFの効果を測定した(図2)。この結果はMPL(商標)SEとGM-CSFおよびペプチドとの組み合わせが、高い力価の抗体の誘導における特定の態様に独特であることを示唆している。GM-CSFを加えたMPL(商標)は、CFA/IFAに匹敵する力価を誘導した。すなわち、MPL(商標)およびGM-CSFの免疫増強特性は、MPL(商標)が水性状態であるか、または安定なエマルション状態のいずれかである場合に、一緒に配合した時に相乗的となる。
【0051】
次にT1SP10MN(A)(-Cys)特異的抗体力安定を、2次免疫感作から4週間後のマウスから得た膣洗浄液中で測定した(表3)。GM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスは、IgAおよびIgG抗体の両方に高い力価を生じた。他の製剤を用いて免疫感作したマウスから得た膣洗浄液中の抗体力価は、日常的に検出されなかった。膣洗浄液中のIgG対IgAの比率はIgGに傾くので、そしてsIgAは測定されなかったので、膣洗浄液中で検出されたIgA抗体が粘膜組織で局所的に合成されると結論することはできない。実際に、検出されたIgAおよびIgG力価は、膣の粘膜から遠くに位置する形質膜から分泌された浸出した免疫グロブリンの結果らしい。
【0052】
このような結果から、IL-12またはGM-CSFのいずれかと組み合わせてMPL(商標)SEを配合したHIVペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)で免疫感作したマウスは、高力価のペプチド特異的血清を有することが証明された。
【0053】
これらの抗体力価が機能的に効果的であるかどうかを評価するために、HIVの研究室適応株により血清をインビトロで細胞の感染を阻害する抗体の能力について分析した。このアッセイは適当なHIV株で感染させた細胞からの培養上清に生成するウイルスの逆転写活性を測定した。MPL(商標)SEおよびGM-CSF、またはMPL(商標)SEおよびIL-12を用いて免疫感作したマウスに由来する血清は、有意にウイルスの感染性を低下させた(図3)。最大
のウイルス逆転写酵素単位は、9,481から10,411の範囲であった。その製剤を用いて免疫感作したマウスからの血清はウイルスの複製を阻害した。わずか1/20のウイルス希釈でも、T1SP10MN(A)(-Cys)と一緒にMPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて免疫感作したマウスからの血清は、ウイルスの複製を約50%まで阻害した。この製剤の血清中和力価は、MPL(商標)SE、IL-12およびHIVペプチド製剤を用いて免疫感作したマウスから得た血清に関する71に比べると、1600より大きくなると決定された。
【0054】
これらの群のマウスからの血清の抗T1SP10MN(A)(-Cys)力価は、CFAおよびIFAでのマウスの免疫感作を通して誘導されたものと同様であった(幾分高く作用した)。CFA/IFAで乳化したT1SP10MN(A)(-Cys)を用いて免疫感作したマウスの血清は、このアッセイにおいてHIVの中和を示さなかった。ペプチドおよびアジュバントとしてGM-CSFを加えたMPL(商標)SEの組み合わせ物で免疫感作したマウスの血清は、他のどの血清よりも大きな中和活性を示した。均等な希釈で、GM-CSFおよびHIVペプチドを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスの血清は、他のワクチン製剤の受容体からの血清よりも高いウイルス濃度を中和した。
【0055】
次に培養におけるHIVペプチドに特異的な脾臓細胞増殖を測定した。T1SP10MN(A)(-Cys)に対する細胞応答性の測定のように、脾臓細胞をペプチドまたは対象タンパク質をインビトロで培養した。アッセイは3H-チミジンの分割している細胞のDNAへの取り込みを測定した(表4)。アジュバント無しで免疫感作したマウスに由来する脾臓細胞とは異なり、SEを用いて配合したT1SP10MN(A)(-Cys)で免疫感作したマウスに由来する脾臓細胞は、ペプチドに応答して激しく増殖した。ワクチン受容体からの脾臓細胞は、培養で無関係な抗原(リゾチーム)に対して応答しないか、または抗原刺激はなかった。すべての群がマイトジェンであるConAを用いた刺激に同様に応答した。ほとんどのグループ内で、抗原−特異的な用量依存的増殖応答があった。すべての3種類のペプチド用量で、最高度の増殖は、MPL(商標)SEを同時に混合したGM-CSFを用いて免疫感作したマウス群について測定された。最低の増殖応答は、CFA/IFAまたはHIVペプチドを加えたIL-12配合ワクチンで免疫感作したマウス群の脾臓細胞から測定された。ペプチドと、SEまたはGM-CSFのいずれかで免疫感作したマウスの脾臓細胞は、培養で同様なレベルのチミジンの取り込んだ。これらの結果は、GM-CSFと一緒にMPL(商標)SEを用いたHIVペプチドの混合製剤が、マウスの脾臓細胞に、抗原のインビトロ提示に応答して増殖するための最高の潜在的能力を提供することを示す。
【0056】
培養した脾臓細胞は、それらが培養上清にサイトカインIL-4(表5)およびインターフェロンガンマ(表6)を分泌する潜在的能力について調査された。これらのサイトカインは、抗原またはマイトジェンでインビトロ刺激してから3日および6日後に回収した培養上清中で測定した。IL-4の測定、Tヘルパー2型に関連するサイトカインの測定では、すべての群が3日までにマイトジェンであるConAを用いた刺激に応答して検出できるレベルで生産したが、MPL(商標)SEまたはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスだけがペプチドの刺激に応答してIL-4を生産した。GM-CSFを加えたMPL(商標)SEおよびT1SP10MN(A)(-Cys)で免疫感作したマウスだけが、脾臓細胞を刺激するために使用したすべての用量のペプチドで培養物に検出可能なレべルのIL-4を分泌した。培養から6日までに、GM-CSFを加えたMPL(商標)SEと一緒にペプチドで免疫感作したマウスからの脾臓細胞が、MPL(商標)SE、IL-12を加えたMPL(商標)SE、またはSEと一緒にペプチドで免疫感作したマウスから検出されたレベルよりも高いIL-4を分泌した。IL-4のレベルはConAを用いた培養物中のこのような細胞の刺激を通して誘導されるレベルよりもさらに高かった。GM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスから培養した脾臓細胞も、培養物に検出可能なレベルのIL-5(別のTヘルパー2型サイトカイン(示さず))を、6日のT1SP10MN(A)(-Cys)での刺激に応答して分泌した。他の群からの脾臓細胞はこれらの培養物中に検出可能なIL-5を生産しなかった。
【0057】
ConAを含む培養での刺激から3日の応答で、すべての群のマウスからの脾臓細胞が、検出可能なレベルのインターフェロン-ガンマを培養物中に分泌した(表6)。MPL(商標)SEまたはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスからの細胞だけが、3日のHIVペプチドでの刺激に応答して検出可能なレベルのインターフェロン-ガンマを生産した。カルチー刺激の終わりの6日には、より高い濃度のインターフェロン-ガンマがConAおよびペプチドの両方に応答して観察された。中でもMPL(商標)SEまたはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスからの脾臓細胞の培養上清から測定されたインターフェロン-ガンマのレベルが興味深かった。このような2種類の受容体群からの脾臓細胞は、IL-12を加えたMPL(商標)SEまたはSEと一緒にペプチドで免疫感作したマウスからの脾臓細胞よりも培養上清中に顕著に高濃度のインターフェロン-ガンマを分泌した。
【0058】
第1実験の結果は、MPL(商標)を安定な水中油型エマルションに包含し、そして次いでエマルションをHIVペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)およびGM-CSFと混合することが中和抗体の誘導をもたらすことを示している。さらにGM-CSFをMPL(商標)SEおよびワクチン抗原と同時配合することにより、培養上清に分泌される上昇したレベルのIL-4、IL-5およびインターフェロン-ガンマをもたらし、そして免疫感作する抗原を含む培養で刺激した脾臓細胞の増殖的応答を増強する。その製剤は調査した任意のワクチン製剤にも最高のIgG、IgG2aおよびIgG2b力価を誘導した。MPL(商標)SEおよびGM-CSFをペプチドと一緒に組み合わせて免疫感作したマウスの群のみが、多数の繰り返し実験にわたり一貫して膣洗浄液中に検出可能なIgGおよびIgA力価を有した。MPL(商標)SE、IL-12およびペプチドの組み合わせも、IgG1およびIgG2力価レベルの上昇、ウイルスの中和の上昇、脾臓細胞増殖の上昇およびIL-4およびインターフェロン−ガンマの分泌をもたらした。
【0059】
HIVペプチドを配合した1つのアジュバントによるマウスの免疫感作では、中和抗体を誘導する特性を含む免疫応答を生じなかった。
【0060】
MPL(商標)SEまたは水性製剤としてMPL(商標)と一緒にT1SP10MN(A)(-Cys)を用いたマウスの免疫感作で、良好な抗体力価が誘導されることがしばしば観察された。しかしこのような製剤は、膣の抗体力価、中和抗体力価(または実験8で以下に記載する強力なCTL応答)を有する免疫応答を一貫して誘導しなかった。場合により、ペプチドを組み合わせたMPL(商標)またはMPL(商標)SEは、膣洗浄液中にIgAおよびIgGの測定可能な力価を誘導した。幾つかの実験では、ワクチン製剤中のMPL(商標)にIL-12またはGM-CSFのいずれかを加えることにより、CFA/IFAで、またはサイトカインを含むか、または含まない任意のMPL(商標)SE製剤で免疫感作したマウスで生産された力価に類似する力価が生成された。この観察はMPL(商標)のSE形がHIVペプチドに特異的な高力価の抗血清に必要ないことを示唆している。SE賦形剤にGM-CSFを加えることにより、SE単独またはSEおよびIL-12で免疫感作したマウスに比べて、ペプチドに特異的な力価の上昇が与えられた。しかし一般的には、良好なIgG2aおよびIgG2b抗体力価の誘導は、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを含むペプチドの製剤に依存した。この製剤が、CFA/IFAおよびペプチドのような他の製剤を用いた免疫感作を通して誘導される力価に類似するIgG力価を誘導したことは興味深い。GM-CSFを含むMPL(商標)およびペプチドとの組み合わせが、高い力価の中和抗体およびCTLの両方を誘導を示す唯一の製剤であった(実験8を参照にされたい)。IL-12をMPL(商標)SEおよびペプチドに包含することも、好ましい免疫応答プロフィールを誘導した。この結果は、サイトカインGM-CSFまたはIL-12を同時配合したMPL(商標)SEが、CFAおよびIFAでの免疫感作と比較して抗体の応答に質的な差異を付加したことを示していた。この差異はIgG2aおよびIgG2bの上昇レベルに起因すると考えられる。
【0061】
第2実験では、わずかな変更を加えて第1のBalb/c-HIVペプチド実験のプロトコールに従った。サイトカインを含むまたは含まないMPL(商標)も水性状態で投与した。
【0062】
アジュバントを含まないHIVペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)を用いたBalb/cマウスの免疫感作は、有意な抗体力価を誘導しなかった。対照的に、種々のアジュバント/サイトカインの組み合わせを含むペプチド抗原の製剤は、2回の免疫感作後に高い抗体力価の誘導をもたらした。
【0063】
ペプチドおよびIL-12で、またはSEのみでの免疫感作は、アジュバントを含まずに誘導した力価と区別できない力価をもたらした(表7)。GM-CSFを同時配合したペプチドの受容体は、力価にゆるやかな上昇を有した。CFA/IFAを含むワクチンの受容体と比較して、ミクロ流動化したMPL(商標)SEは、同様にペプチドに特異的な力価の生成を示した。CFA/IFAワクチンの受容体と比較して、MPL(商標)SEは高レベルのペプチド特異的IgG2aを誘導した。使用した免疫感作計画が観察される抗体力価に影響を及ぼしたのかもしれない。しかしペプチドを配合したMPL(商標)(水性)を用いたマウスの免疫感作は、高力価のペプチド特異的抗体を誘導した。この製剤へのGM-CSFまたはIL-12の添加は、106よりも大きな力価の上昇をもたらした。すなわちHIVペプチドとMPL(商標)およびサイトカインIL-12またはGM-CSFの組み合わせにより、このペプチドに特異的な高力価の抗体が誘導された。
【0064】
ペプチドとMPL(商標)およびIL-12、またはMPL(商標)SEおよびGM-CSFのいずれかで免疫感作したマウスの群のみが、膣洗浄から得た液体から検出された比較的高力価の抗体を発生した(表8)。実際には、ペプチドとMPL(商標)およびIL-12を免疫感作したマウスの群だけがペプチドに特異的なIgAを生産した。
【0065】
培養中の脾臓細胞の増殖能力は、ペプチドでのインビトロ刺激に応答したチミジンの取り込みを通して測定した。表9のデータは増殖を標準化するために、ConAを用いた刺激を通して測定された最大の増殖に対して増殖を標準化した。GM-CSFまたはIL-12のいずれかを含むMPL(商標)SEで免疫感作したマウス、ならびにGM-CSFのみで免疫感作したマウスからの脾臓細胞は、ペプチドに関係する低レベルの増殖を示した。対照的に、ペプチドをMPL(商標)およびGM-CSFと組み合わせて免疫感作したマウスからの脾臓細胞は、有意な増殖を示した。
【0066】
インビトロで培養した脾臓細胞からのサイトカイン生産も測定した。IL-4については、MPL(商標)SEをGM-CSFおよびT1SP10MN(A)(-Cys)と組み合わせて免疫感作したマウスだけが、ペプチドでの刺激に応答して良好なレベルのIL-4を分泌した(表10)。インターフェロン-ガンマについては、MPL(商標)SEとGM-CSFまたはIL-12のいずれか、または水性MPL(商標)とGM-CSFまたはIL-12のいずれかで免疫感作したマウスが、容易に検出可能なレベルでこのサイトカインを培養上清中に生産した(表11)。
【0067】
すなわち、サイトカインGM-CSFまたはIL-12とMPL(商標)またはMPL(商標)SEとの組み合わせが、ペプチド抗原に対して特異的な高力価の抗体を誘導した。力価はペプチドおよびCFA/IFAでのマウスの免疫感作を通して誘導された力価と同様であった。このデータは、これらの組み合わせが培養で準備した脾臓細胞に最高の増殖応答、およびペプチドの刺激に応答して最高レベルのインターフェロン-ガンマを分泌する脾臓細胞の樹立された集合も誘導したことを示す。
【0068】
この第2実験の結果は、T1SP10MN(A)(-Cys)とMPL(商標)およびサイトカインGM-CSFまたはIL-12との同時配合が、ペプチドおよびCFAで免疫感作され、そしてペプチドおよびIFAで追加免疫感作されたマウスで誘導された免疫応答プロフィールと同様か、より良いプロフィールを誘導することを示している。
【0069】
第2免疫感作から2週間後の注入部位の組織学的評価(示さず)は、ミクロ流動化した
MPL(商標)SEで免疫感作したマウスは単核細胞の真皮への浸潤を発生しないか、または維持しなかったことを示した。ヘマトキシリン/エオシン染色した組織は、アジュバント無しの受容体から調製した組織と同様に見えた。対照的に、アジュバント(油中水型のエマルション)としてCFAおよびIFAで免疫感作したBalb/cマウスは、この領域に単核細胞の大きな蓄積を有した。GM-CSFおよびペプチドと一緒のMPL(商標)SEの受容体は、GM-CSFを含まないMPL(商標)SE受容体と比べて、単核細胞の顕著ではあるが 周辺部の上昇を示した。GM-CSFおよびペプチドのみで免疫感作したマウスに由来する組織は、調査しなかった。
【0070】
第2実験のプロトコールを、Balb/cマウスの代わりにSwiss-Websterマウスを用いて第3実験で行った。Swiss-WebsterマウスはHIV抗原を用いたアジュバント効果を決定するために使用し、ここでMHC-拘束ヘルパーT細胞エピトープは免疫応答に影響を及ぼさない。Swiss-Websterマウスはマウスの異系交配種であり;厳密な細胞実験は行わなかった。この実験では、相互の(reciprocal)抗-HIVペプチドIgGの終点力価および膣洗浄終点相互終点IgGおよびIgA抗体力価を測定しただけであった。表12および14に見られるように、応答プロフィールを第1実験および第2実験で測定したBalb/cマウスから得たプロフィールと比較した。
【0071】
第4実験は、Balb/cマウスを使用してわずかな変更を加えて第2実験のプロトコールに従った。表14に示すように、GM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)のアジュバント製剤は、MPL(商標)単独より顕著に高いIgG GMT応答を誘導した。表15に示すように、GM-CSFと一緒のMPL(商標)SEのアジュバント製剤は、有意なIgG2bサブクラス応答を誘導した。GM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)のアジュバント製剤は、MPL(商標)単独より顕著に高いIgG2aサブクラス応答を誘導したが、GM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)SEの製剤は、MPL(商標)単独より高いIgG2aサブクラス応答を誘導した。表16に示すようにGM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)のアジュバント製剤は、MPL(商標)単独より顕著に高いIgG力価を膣洗浄液中に誘導した。最後に図4に示すようにGM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)のアジュバント製剤、ならびにGM-CSFまたはIL-12のいずれかと一緒のMPL(商標)SE製剤は、MPL(商標)単独またはMPL(商標)SE単独よりもそれぞれ大きな脾臓細胞の増殖を示した。
【0072】
第5実験では、Balb/cマウスを使用してわずかな変更を加えて第2実験のプロトコールに従った;IL-12はアジュバント製剤に含めなかった。表17に示すようにMPL(商標)およびGM-CSFの両方を含むアジュバント製剤は、MPL(商標)単独よりも顕著に高いIgG2aおよびIgG2b応答を誘導した。さらにMPL(商標)およびGM-CSFの両方を含むアジュバント製剤は、MPL(商標)単独よりもすべてのIgGサブクラスついて顕著に高い応答を誘導した。
【0073】
第6実験では、Balb/cマウスを使用してわずかな変更を加えて第2実験のプロトコールに従った;IL-12はアジュバント製剤に含めなかった。アミノ酸位17のシステインの存在から、HIVペプチドは40アミノ酸長であった。表18に示すように、MPL(商標)SEおよびGM-CSFの両方を含むアジュバント製剤は、MPL(商標)単独よりもすべてのIgGサブクラスついて有意に高い応答、およびMPL(商標)SE単独よりもすべのサブクラスについて顕著に高い応答を誘導した。
【0074】
第7実験では、Balb/cマウスを使用してわずかな変更を加えて第6実験のプロトコールに従った;IL-12はアジュバント製剤に含めなかった。表19に示すように、MPL(商標)SEおよびGM-CSFの両方を含むアジュバント製剤は、MPL(商標)SE単独よりもすべてのIgGサブクラスついて顕著に高い応答を誘導し、そしてMPL(商標)およびGM-CSFの両方を含むアジュバント製剤は、MPL(商標)単独よりもすべてのIgGサブクラスついて顕著に高い応答を誘導した。
【0075】
第8実験では、機能的な細胞性免疫の測定として、マルチエピトープペプチドT1SP10MN(A)(+Cys)を一緒に配合したMPL(商標)SE、またはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスの脾臓細胞がHIVMNに特異的なCTL応答を生成する能力を評価した。
【0076】
図5に示すように、MPL(商標)SE、またはGM-CSFを加えたMPL(商標)SEで免疫感作したマウスの脾臓細胞は、非標識またはIIIBエピトープを用いてパルス−標識(pulse-labelled)したいずれかの標的細胞に対して低い活性を示した。MPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて配合したT1SP10MN(A)(+Cys)で免疫感作したマウスからの脾臓細胞は、1回の免疫感作後に良好なHIVMNに特異的なCTL活性を誘導した。HIVMNに特異的なCTLが媒介する標的細胞の溶解は、2次免疫感作から7日間経過した後に著しく増強された(図5)。別の実験で、アジュバント無しで免疫感作したマウスはCTL応答を誘導しなかった。水性MPL(商標)およびペプチドを用いて免疫感作したマウスは、低い(<30%)ペプチド特異的CTL応答を生成した。
【0077】
HIVに対する免疫原性組成物の潜在的効力の評価の1つの難点は、HIVに感染した非ヒト霊長類がAIDS-様の症状を発症しないことである。すなわち有効な動物モデルがHIVにより引き起こされるヒトの症状を模倣しない。幸いにもHIVに極めて関連しているスミアン免疫不全症ウイルス(SIV)で感染した非ヒト霊長類が、AIDS-様症状を発症する。
【0078】
これはSIV抗原の非ヒト霊長類での評価を可能とする。SIV抗原はタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントでよい。タンパク質はgp41、gp120またはgp160のような糖タンパク質でよい。あるいはタンパク質はgagpolvifrevvprtatnefまたはenvのような遺伝子によりコードされるタンパク質でよい。そのようなタンパク質に由来するペプチドは少なくとも1つの抗原性決定基(エピトープ)を、少なくとも6個のアミノ酸長で含むだろう。
【0079】
HIVに類似して、マルチエピトープSIVペプチドを非ヒト霊長類に使用する。この実験は、MPL(商標)SEおよびGM-CSFと組み合わせた種々のペプチドがCTL応答を誘導することができるかどうかを評価するために行った。アカゲザル(Rhesus macaques)を、0、4、8および18週にMPL(商標)SEおよびGM-CSFと以下の3組のペプチドのいずれかを組み合わせて皮下に免疫感作した(表20を参照にれたい):
(1)各ペプチドは以下のMamu A★01拘束CTLエピトープを含む:
【0080】
【化3】

【0081】
(2)あるいはこのような3種の各ペプチドを、以下の配列を有する無差別なT-ヘルパーエピトープと連結した:
【0082】
【化4】

【0083】
すなわち、3つのペプチドは以下の配列を有した:
【0084】
【化5】

【0085】
ヘパリン処理した血液を2週間毎に集め、そして末梢血の単核細胞をCTLについて51Cr放出アッセイ、新鮮な末梢血の単核細胞(PBMC)の四量体染色および培養したPBMCの四量体染色により分析した。新鮮なPBMCの四量体染色および51Cr放出による細胞溶解的致死はいかなる活性も明らかにしなかった。しかしのMPL(商標)SEおよびGM-CSFを用いて配合したMamuA★01拘束Th/CTLペプチドカクテルでのアカゲザル免疫感作は、四二体陽性CD8陽性T細胞の検出をもたらした。表21〜24に与える結果は、各ペプチドで11日間培養したPBMCで検出されたパーセント陽性、四量体陽性CD8+(表21〜23)またはCD4+(表24)T細胞として示す。
【0086】
総じて、Thエピトープをもつ(Rh 55、Rh142)またはもたない(Rh73、Rh80)いずれかのCTLエピトープで免疫感作したすべての4匹のMamuA★01陽性動物は、gag、polまたはenvに特異的なCD8陽性四量体陽性細胞を示した。予想通り、四量体陽性CD8細胞はMamuA★01陰性動物(Rh1、Rh47)で検出された。SIV gagおよびenv特異的免疫応答は初回免疫後に見られたが、pol特異的四量体陽性は、追加免疫後に観察された。18週目の最終追加免疫投与がさらに応答を上げなかったので、表21〜24のデータには14週以降を与えていない。
【0087】
まとめると、MPL(商標)SEおよびヒトGM-CSFで免疫増強したMamuA★01拘束Th/SIV gag、polおよびenv CTLエピトープペプチドカクテルを用いてアカゲザルを免疫感作すると、選択的かつ特異的な四量体アッセイにより証明される細胞応答を誘導した。
【0088】
PIBタンパク質として知られている淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のポーリンBタンパク質も、組換え的に発現し(42、これは引用により本明細書に編入する)、そして淋菌(Neisseria gonorrhoeae)により引き起こされる感染の予防または処置に有望な抗原である。
【0089】
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のポーリンBタンパク質の修飾した変異体(このアミノ末端の16アミノ酸はフィージに由来し、続いてポーリンBタンパク質の成熟形が続く)を一緒に含むGM-CSFまたはIL-12の加えたMPL(商標)(SEを含むかまたは含まない)を、MPL(
商標)(SEを含むかまたは含まない)単独と比較するために、一連の実験を行った。結果のまとめは与えない。
【0090】
第1実験では、組換えポーリンBタンパク質で臀部の皮下に免疫感作したSwiss-Webstarマウスが、抗原-特異的抗体力価を生成し、これはポーリンBタンパク質が実現可能な候補抗原であることを示している。GM-CSFをMPL(商標)およびポーリンBタンパク質に加えると、MPL(商標)およびポーリンBタンパク質の受容体に比べて上昇した血清力価のIgGおよびIgG2aをもたらした(表25および26を参照にされたい)。
【0091】
第2実験では、IL-12およびMPL(商標)またはMPL(商標)SEを加えたポーリンBタンパク質で臀部の皮下に免疫感作したSwiss-Webstarマウスが、MPL(商標)またはMPL(商標)SEを加えたポーリンBタンパク質の受容体に比べて高い抗原-特異的抗体(特にIgG)を誘導した。高い力価は初回および2次免疫感作後に観察された。IL-12を製剤に含めると、膣洗浄液中で測定されるIgG力価に約10倍の上昇をもたらした(表27)。
【0092】
自然な二量体形のヒト呼吸合胞体ウイルス(RSV)の精製した天然の融合(F)タンパク質は、RSVにより引き起こされる感染の予防に有望な候補抗原である(43、引用により本明細書に編入する)。
【0093】
GM-CSFまたはIL-12を加えたMPL(商標)(SEを含むかまたは含まない)を、RSVの精製した天然のFタンパク質を一緒に含む各MPL(商標)(SEを含むかまたは含まない)、リン酸アルミニウムまたはStimulon(商標)QS-21(SEを含むかまたは含まない)それぞれと比較するために、一連の実験を行った。結果のまとめを今、与える。
【0094】
第1実験では、天然のRSV Fタンパク質を筋肉内に免疫感作したBalb/cマウスは、抗原特異的な抗体力価を生成し、Fタンパク質が実現可能な候補抗原であることを示した。GM-CSFをMPL(商標)に加えると、初回および2次免疫感作後の両方でFタンパク質に対してMPL(商標)単独よりも高い終点力価を誘導し(表28を参照にされたい)、そしてまた脾臓細胞のインビトロ刺激に対応してMPL(商標)単独よりも高い増強された細胞応答を誘導した(表29を参照にされたい)。GM-CSFをMPL(商標)SEを加えると、Fタンパク質に対してMPL(商標)SE単独よりも上昇した初回IgG応答をもたらした(表28を参照にされたい)。
【0095】
第2実験では、第1実験を繰り返した。GM-CSFをMPL(商標)に加えると、初回および2次免疫感作後の両方でFタンパク質に対してMPL(商標)単独よりも高い終点力価を誘導した(表30を参照にされたい)。GM-CSFをMPL(商標)SEに加えると、初回免疫感作後にFタンパク質に対してMPL(商標)SE単独よりも高い終点力価を誘導した(表30を参照にされたい)。GM-CSFをMPL(商標)またはMPL(商標)SEを加えたFタンパク質の製剤に加えると、免疫感作したマウスの脾臓細胞から測定されるように、GM-CSFを欠く製剤により誘導される活性より高い割合のRSVに特異的な脾臓細胞CTL活性が誘導された(表31を参照にされたい)。
【0096】
第3実験は、GM-CSFをIL-12に代えた。IL-12をMPL(商標)と同時配合すると、MPL(商標)のみを含むFタンパク質の送達に比べて、初回免疫感作後により高いIgGの力価を誘導した(表32を参照にされたい)。しかしIL-12をMPL(商標)またはMPL(商標)SEを加えても、エフェクター細胞のインビトロ刺激後に測定されるRSVに特異的なCTL活性に対して効果がなかった(表33を参照にされたい)。
【0097】
GM-CSFを加えたMPL(商標)(SEを含むかまたは含まない)を、インフルエンザ ウイルス
NP(ヌクレオキャプシド)タンパク質を一緒に含むMPL(商標)(SEを含むかまたは含まない)
それぞれと比較するために、1つの実験を行った。抗体力価を測定するための実験の行うにはNPの量が不十分であった。アジュバントを含む、または含まないNPペプチドで免疫感作したマウスを、最終免疫感作から14日後の抗原刺激に対する脾臓細胞応答について分析した。GM-CSFをMPL(商標)またはMPL(商標)SEを含む製剤に包含することは、CTL活性に顕著な減少をもたらした(データは示さず)。
【0098】
なぜ異常な結果が得られたのかは不明である。このアッセイの実施において、技術的問題があったのかもしれない。
【0099】
本発明の抗原性組成物は、病原性ウイルス、細菌菌・カビまたは寄生体から選択された抗原、ならびにサイトカインまたはリンホカイン、特にGM-CSFまたはIL-12と組み合わせた免疫増強に効果的な量のMPL(商標)(水性状または安定なエマルション状で)を含んで成る抗原性組成物の投与後に、脊椎動物宿主の抗体応答および細胞性免疫を向上させることにより、免疫応答を調節する。免疫調節活性を有することが示された他のサイトカインまタはリンホカインは、限定するわけではないがインターロイキン1-アルファ、1-ベータ、2、4、5、6、7、8、10、13、14、15、16、17および18、インターフェロン-アルファ、ベータおよびガンマ、顆粒球コロニー刺激因子および腫瘍壊死因子アルファおよびベータを含む。
【0100】
上記サイトカインまたはリンホカインのアゴニストまたはアンタゴニストも、本発明の範囲内にある。本明細書で使用するように、用語「アゴニスト」は、該サイトカインまたはリンホカインの活性を、または同様に機能を増強する分子を意味する。そのようなアゴニストの例は、該サイトカインまたはリンホカインの模造物である。本明細書で使用するように、用語「アンタゴニスト」は該サイトカインまたはリンホカインの活性を抑制または防止する分子を意味する。そのようなアンタゴニストの例は、可溶性IL-4レセプターおよび可溶性TNFレセプターである。
【0101】
本明細書で使用するように、用語「効果的な免疫増強量」とは、本明細書に記載するアジュバントの組み合わせの用量を意味し、この用量は脊椎動物宿主に上昇した免疫応答を誘導するために適当である。詳細な投薬用量は、宿主の年齢、体重および医学的状態、ならびに投与法および抗原に依存する。好適な態様では、アジュバントの組み合わせは、1〜100μg/用量の範囲でMPL(商標)を使用することである。適当な用量は当業者により容易に決定される。本発明の抗原性組成物は、免疫学的に許容される希釈剤またはキャリアーと常法により混合して、注入可能な液体溶液または懸濁液を調製することができる。
【0102】
本発明の抗原性組成物は、限定するわけではないが、鼻内、経口、膣内、直腸内、非経口、皮内、経皮(例えば国際公開第98/20734号明細書(44)を参照にされたい、これは引用により本明細書に編入する)、筋肉内、腹腔内、皮下、静脈内および動脈内を含む様々な経路によりヒトまたは非ヒト脊椎動物に投与される。抗原性組成物の抗原性成分(1つまたは複数)は、部分的には抗原の同一性、ならびに宿主の年齢、体重および医学的状態、ならびに投与法に大変依存するだろう。ここでも、適当な用量は当業者により容易に決定される。必要ではないが、抗原およびアジュバントの組み合わせを同時に投与することが好ましい。抗原性組成物の投与回数および投薬計画も、当業者により容易に決定される。場合により、アジュバントの組み合わせのアジュバント特性は、必要な投与回数または投薬計画のタイムコースを下げることができる。
【0103】
本発明のアジュバントの組み合わせは、限定するわけではないがヒトおよび非ヒト脊椎動物に感染するウイルス、細菌、菌・カビもしくは寄生体微生物から、またはガン細胞もしくは腫瘍細胞を含む広い範囲の様々な病原性微生物に由来する広い種々の抗原を含む抗原性組成物に使用するために適している。抗原はタンパク質に由来するペプチドまたはポ
リペプチド、ならびに任意の以下のフラグメントを含んで成ることができる:多糖、タンパク質、ポリ−またはオリゴヌクレオチド、ガンまたは腫瘍細胞、アレルゲン、アミロイドペプチドタンパク質、または他の高分子成分。場合により、1以上の抗原をこの抗原性組成物に含む。
【0104】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む望ましいウイルスワクチンは、限定するわけではないがヒト免疫不全症ウイルス、シミアン免疫不全症ウイルス、呼吸合胞体ウイルス、1〜3型パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒト サイトメガロウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、カリシウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルス、アデノウイルス、狂犬病ウイルス、イヌジステンパーウイルス、牛疫ウイルス、コロナウイルス、パルボウイルス、感染性鼻気管炎ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ感染性腹膜炎ウイルス、鳥類感染性嚢性疾患ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、マルク病ウイルス、ブタ呼吸および再生産症候群ウイルス、ウマ動脈炎ウイルスおよび種々の脳炎ウイルスにより引き起こされる疾患の予防および/または処置を対象とすることを含む。
【0105】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む望ましい細菌性ワクチンは、限定するわけではないがインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(型に分類できる、またはできない両方)、ヘモフィルス ソムナス(Haemophilus somnus)、モラクセラ カターリス(Moraxell catarrhalis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス アガラクティア(Streptococcus agalactiae)、糞便連鎖球菌(Streptococcus faecalis)、ヘリコバクター ピロリ(Helicobacter pylori)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、トラコーマ クラミジア(Clamydia trachomatis)、クラミジア ニューモニア(Clamydia
pneumoniae)、オウム病クラミジア(Clamydia psittaci)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、豚コレラ菌(Salmonella choleraesuis)、大腸菌(Escherichia coli)、赤痢菌(Shigella)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、鳥[型]結核菌細胞内複合体(Mycobacterium avium-Mycobacterium intracellulare complex)、プロテウス ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス ブルガリス(Proteus vulgaris)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、破傷風菌(Clostridium tetani)、レプトスピラ インターロガンス(Leptospira interrogans)、ボレリア バーグトルフェリ(Borrelia burgdorferi)、パスツレラ ヘモリティカ(Pasteurella haemolytica)、パスツレラ マルトシダ(Pasteurella multocida)、アクチノバチルス プローロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumoniae)およびマイコプラスマ ガリセプチカム(Mycoplasma gallisepticum)により引き起こされる疾患の予防および/または処置を対象とすることも含む。
【0106】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む菌・カビ病原体に対して望ましいワクチンは、限定するわけではないがアスルペルギルス属(Aspergillis)、ブラストミセス属(Blastomyces)、カンジダ属(Candida)、コクシジオイデス属(Coccidiodes)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)およびヒストプラスマ(Histoplasma)により引き起こされる疾患の予防および/または処置を対象とすることも含む。
【0107】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む寄生体に対して望ましいワクチンは、限定するわけではないがリーシュマニア メジャー(Leishmania major)、回虫属(Ascaris)、鞭虫属(Trichuris)、ジアルジア属(Giardia)、住血吸虫属(Schistosoma)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)、トリコモナス属(Tricomonas)、トキソプラスマ(Toxoplasma gondii)およびニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carinii)によ
り引き起こされる疾患の予防および/または処置を対象とすることも含む。
【0108】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む、脊椎宿主に治療的または予防的抗ガン効果を誘導するための望ましいワクチンは、限定するわけではないが前立腺特異的抗原、癌胎児性抗原、MUC-1、Her2、CA-125およびMAGE-3を含むガン抗原または腫瘍関連抗原の利用を含む。
【0109】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む、脊椎宿主におけるアレルゲンに対する応答を調節するための望ましいワクチンは、アレルゲンまたはそれらのフラグメントを含むワクチンである。そのようなアレルゲンの例は、米国特許第5,830,877号明細書(45)および国際公開第99/51259号明細書(46)に記載され(これらは引用により本明細書に編入する)、そして花粉、昆虫毒、動物の鱗屑、菌・カビの胞子および薬剤(ペニシリンのような)を含む。ワクチンはアレルギー反応の原因であると知られているIgE抗体の生産を妨害する。
【0110】
本発明のアジュバントの組み合わせを含む、脊椎宿主におけるアミロイド沈着を特徴とする疾患を予防または処置するために望ましいワクチンは、アミロイドペプチドタンパク質(APP)の部分を含むワクチンである。この疾患はアルツハイマー疾患、アミロイドーシスまたはアミロイド形成疾患と様々に呼ばれている。β-アミロイドペプチド(Aβペプチドとも呼ばれる)は、APPの42アミノ酸フラグメントであり、これはAPPのβおよびγ分泌酵素による処理により生成され、そして以下の配列を有する:
【0111】
【化6】

【0112】
患者の中にはアミロイドの沈着が凝集したAβペプチドの状態をとる者もいる。驚くべきことには、今、単離されたAβペプチドの投与が脊椎動物宿主においてアミロイド沈着のAβペプチド成分に対する免疫応答を誘導することが見いだされた(47)。すなわち本発明のワクチンは、Aβペプチド、ならびにAβペプチドのフラグメントおよびAβペプチドに対する抗体またはそれらの断片を加えた本発明アジュバントの組み合わせを含む。そのようなAβペプチドの1つのフラグメントは、以下の配列を有する28アミノ酸ペプチドである(48):
【0113】
【化7】

【0114】
HIVおよびSIVの場合、抗原性組成物は少なくとも1つのタンパク質、該タンパク質から誘導されるポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントを含んで成る。場合により、多数のHIVまたはSIVタンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび/またはフラグメントを抗原
性組成物に含んでもよい。
【0115】
本発明のアジュバントの混合製剤は、ポリヌクレオチドワクチン(DNAワクチンとしても知られている)にアジュバントとして包含するためにも適当である。そのようなワクチンはさらにブピバカインのような促進剤を含んでもよい(米国特許第5,593,972号明細書(49)を参照にされたい。これは引用により本明細書に編入する)。
【0116】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を説明する。実施例は具体的に説明することのみを目的とし、そして本発明の範囲を限定するとは解釈されない。
【実施例】
【0117】
実験1
HIVペプチドおよび種々のアジュバントを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例1
<材料および方法>
<動物>
7〜9週齢のメスのBalb/cマウスを、タコニックファーム社(Taconic Farm Inc.)(ゲルマンタウン、ニュージャージー州)から購入した。すべてのマウスは研究用動物の取り扱いの認定について、アメリカの委員会により認定された設備に収容した。マウスは実験開始前に1週間、収容設備に慣らした。
<ペプチド>
マルチエピトープHIV-1-MNペプチドT1SP10MN(A)(-Cys)の配列は以下の通りである:
【0118】
【化8】

【0119】
このペプチドは既に記載され(28、29)、そしてマウスおよびヒトの両方に主要な中和決定基であり、そしてBalb/cマウスのCD8+CTLにより認識される部位である、CD4+Th細胞応答を誘起するHIV-1 gp120MNに由来する配列を含む。このペプチドはR.Scearce博士(デューク大学、ダラム、ノースキャロライナ州)により提供された。CTL分析のために、HIV-1-IIIBのV3ループ内のCTLエピトープに相当するペプチド(Arg Gly Pro Gly Arg Ala Phe Cal Thr Ile(配列番号12)、H-2Dd拘束)またはHIV-1-MN(Ile Gly Pro Gly Arg Ala Phe Tyr Thr Thr(配列番号13)、H-2Dd拘束)を、ゲノシス バイオテクノロジーズ社(Genosys
Biotechnologies Inc.)から購入した。(ウッドランド、テキサス州)。ペプチドは使用前に、滅菌水に溶解し、そして適当なバッファーまたは細胞培養培地に希釈した。
<アジュバント>
すべてのMPL(商標)を含有するアジュバント調製物は、リビ イムノケム リサーチ社(Ribi ImmunoChem Research Inc.,)(ハミルトン、マサチューセッツ州)から得た。MPL(商標)はトリエタノールアミン(シグマ(Sigma)、セントルイス、モンタナ州)を使用して水性製剤として調製した。可溶化後、MPL(商標)は製造元の使用説明書に従い超音波処理して、滅菌濾過した乳光/透明溶液を生成した。MPL(商標)SEは予め配合されたスクアレンを基材とした水中油(1〜2%油)エマルションとして提供され、0〜2500μg/mlのMPL(商標)の濃度範囲であった。リン酸アルミニウムは研究室で調製した。フロイント完全アジュバント(CFA)および不完全アジュバント(IFA)は、ミシガン州、デトロイトのデフコラボラトリーズ(Difco Laboratories)から購入した。T1SP10MN(A)ペプチドおよびフロイ
ントアジュバントは、2つの連結シリンジを使用して1:1の比率に乳化した。組換え的に発現したネズミIL-12は、ジォネティック インスティテュート(Genetic Institute)(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)により提供された。組換えマウスGM-CSFは、イムネックス(Immunex)(シアトル、ワシントン州)により供給され、R&D システムズ(ミネアポリス、ミネソタ州)により提供されたか、またはバイオソース インターナショナル(Biosource International)(キャマリロ、カリフォルニア州)からキャリアーを含まない凍結粉末として購入した。
<免疫感作>
マウスは総容量0.2mlを尾の両側に均等に分割して、臀部の皮下に免疫感作した。免疫感作は以下に示すように時間間隔を変動させて投与した。抗原およびサイトカインは、リン酸緩衝化生理食塩水に希釈して適当な濃度とし、そして免疫感作から16時間以内に滅菌条件下でアジュバントに配合した。ワクチンは穏やかに撹拌しながら混合し、そして4℃に保存した。製剤は免疫感作直前にボルテックスで混合した。
<サンプルの収集>
動物は初回免疫感作前および示した時点で採血した。血清は個々のマウスから分析するか、または群内のマウスからのプールから分析した。膣洗浄は安楽死させたマウスについて行い、抗体レベルを評価した。これは200:1ピペットを使用して、メスのマウスの膣円蓋に75:1 RPMI-10を注入することにより行った。円蓋は液体の送達および除去を繰り返すことにより洗浄し、これに次いで10:1のFBSを加えた。膣洗浄液をプールとして分析した。
<細胞調製>
増殖アッセイおよびインビトロサイトカイン分析のために、脾臓細胞を示した時点で得た。1つの細胞懸濁液を結果に示す3〜5匹のマウスのプールから調製した。増殖およびサイトカイン分析のために、細胞はHIVペプチド抗原、対照タンパク質またはRPMI-10のみで一晩プレコートした丸底の96ウェル培養プレートに懸濁した。脾臓細胞は5×105細胞/ウェルで、2×補充物を有する培養基を使用して加えた。細胞培養上清は、培養開始から3または6日のサイトカイン分析用に3連のウェルから回収した。
【0120】
上清を回収した直後に、培養に3H-チミジンを18〜24時間適用し、そして細胞の増殖を定量するために回収した。
<固相酵素免疫検定法>
HIVペプチドに特異的な抗体およびサブクラスの分布について分析するために、ペプチドを炭酸バッファー(15mM Na2CO3、35mM NaHCO3、pH9.6)、またはPBSに1μg/mlの濃度に懸濁し、そして100:1の容量で96ウェルのマイクロタイタープレート(ヌンク:Nunc)にまいた。37℃で一晩インキューベーションした後、プレートを洗浄し、そして室温にて2〜4時間、ブロッキング(0.1%ゼラチン/PBS)した。ELISAプレートは、連続的に希釈した血清(PBS、0.1%ゼラチン、0.05%Tween(商標)20、0.02%アジ化ナトリウム)を加える前に、洗浄バッファー(PBS、0.1%Tween(商標)20)で洗浄した。1時間インキューベーションした後、ウェルを洗浄し、そしてビオチン化抗-アイソタイプ/サブクラス抗体の適当な希釈物を加えて4℃にて一晩インキューベーションした。ウェルを洗浄し、そしてストレプトアビジンを結合した西洋ワサビペルオキシダーゼとインキューベーションした。インキューベーション後、ウェルを洗浄し、そしてABTSで発色させた。ウェルを405nmで読んだ。力価を対照血清を使用して標準化した。
【0121】
サイトカインの分析には、細胞培養上清をBVD6-11B11(抗-IL4用)、またはR4-6A2(インターフェロン-ガンマ用)をコートしたウェルに加えた。インキューベーションおよび洗浄後、ウェルをビモオチンで標識したBVD6-24G2(IL4用)またはXMG1.2(インターフェロン-ガンマ用)を使用して発色させた。サイトカインの濃度は、組換えマウスインターフェロン-ガンマまたはインターロイキン4から作成した標準曲線を使用して決定した。すべてのサイトカイン試薬はファルミンゲン(Pharmingen)(サンディエゴ、カリフォルニア
州)から購入した。
<HIV-1MN中和アッセイ>
中和アッセイは、デューク大学のThomas Matthew博士の研究室で行った。簡単に説明すると、コード化した血清が研究室ウイルス単離物HIV-1MN(NIH)の中和に提供された。このアッセイは本質的にすでに記載したように行った(25)。簡単に説明すると、試験血清の希釈物を96ウェルのマイクロタイタープレート中でアリコートにわけた(25:1/ウェル)。等容量の連続希釈したウイルスストックを各ウェルに加えた。インキューベーション後、ウイルス/抗体混合物をAA5標的細胞に加えた。細胞は96ウェルのマイクロタイタープレートで、新しい培地を1日おきに加えることにより培養した。感染から7日後、上清はウイルス複製、成功裏の感染またはそれらの阻害の測定としてウイルスの逆転写酵素の存在についてアッセイした。
【0122】
例2
<相互の抗-T1SP10MN(A) IgG 終点力価>
相互の抗-HIVペプチドに特異的IgG終点力価は、初回免疫感作から示した時点にプール血清(n=5)から測定した。マウスは、特に示さないかぎり0日、および27日に25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)を用いて臀部に皮下で免疫感作した。フロイントアジュバントの受容体について、マウスはCFAで乳化したペプチドで初回免疫し、そしてIFAで追加免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり2%スクアレンおよび50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。SEはスクアレン、グリセロールおよび乳化剤から成る水中油型のエマルションである。組換えマウスIL-12は50ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表1に与える。
【0123】
【表1】

【0124】
例3
<相互の抗-T1SP10MN(A)(-Cys) IgG 終点サブクラス力価>
相互の終点IgGサブクラス力価は、初回免疫感作から6週間後、2次免疫感作から2週間後のプール血清(n=5 Balb/c)から測定した。マウスは、特に示さないかぎり25μgのペプチドを用いて臀部の皮下に免疫感作した。フロイントアジュバントの受容体について、マウスは完全フロイントアジュバントで乳化したペプチドで初回免疫し、そして不完
全フロイントアジュバントで4および6週目に追加免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり2%スクアレン油および50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。SEはスクアレン、グリセロールおよび乳化剤から成る水中油型のエマルションである。組換えマウスIL-12は50ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表2に与える。
【0125】
【表2】

【0126】
例4
膣洗浄液IgGおよびIgA
<抗-T1SP10MN(A)(-Cys) 抗体力価>
膣のIgGおよびIgA抗-ペプチド抗体力価は、最終免疫感作から2週間後に得た洗浄液から測定した。5匹のBalb/c メスマウス群は、25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)および示したアジュバント製剤を用いて0、28および42日に免疫感作した。膣の抗体力価は、プールした膣洗浄液から測定した。結果を表3に与える。
【0127】
【表3】

【0128】
例5
<脾臓細胞の増殖>
T1SP10MN(A)(-Cys)および種々のアジュバント製剤を用いて免疫感作したマウスに由来する脾臓細胞の増殖を測定した。5匹のBalb/c メスマウス群は、25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)および示したアジュバントを用いて0、28日に免疫感作した。脾臓細胞は56日目の培養物で樹立し、そして96時間後の3H-チミジン取り込みを測定のために回収した。マウスは水性製剤または2%SEを用いた安定なエマルションとして、50ngのIL-12、10μgのGM-CSF、50μgのMPL(商標)で免疫感作した。データは、刺激なしの培養で成長した細胞から測定された増殖値と比較してデルタcpmとして示す。バックグラウンドの刺激のカウントは、<800cpmであった。結果を表4に与える。
【0129】
【表4】

【0130】
例6
<脾臓細胞によるIL-4の分泌>
25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)で刺激した脾臓細胞により培養物中に分泌されたIL-4を測定した。脾臓細胞は5匹のBalb/c メスマウスのプールから回収し、そして示した抗原性の刺激(示したような50ng IL-12、10μgのGM-CSF、50μg MPL(商標))を用いて3または6日間のいずれかで培養した。インターロイキン-4のレベルはELISAにより測定し、そして既知の濃度を有する標準と比較した。ブランクウェルは、このアッセイがこのような培養条件からインターロイキン-4を検出できなかったことを示す。検出感度の下限は22単位/
mlであった。結果を表5に与える。
【0131】
【表5−1】

【0132】
【表5−2】

【0133】
例7
<脾臓細胞によるインターフェロン-ガンマの分泌>
25μgのT1SP10MN(A)(-Cys)で刺激した脾臓細胞により培養物中に分泌されたインターフェロン-ガンマ。脾臓細胞は5匹のBalb/c メスマウスのプールから回収し、そして示した抗原性の刺激(例6と同じ)を用いて3または6日間のいずれかで培養した。インターフェロン-ガンマのレベルはELISAにより測定し、そして既知の濃度を有する標準と比較した
。ブランクウェルは、このアッセイがこのような培養条件からインターフェロン-ガンマを検出できなかったことを示す。検出感度の下限は4ピコグラム/mlであった。結果を表6に与える。
【0134】
【表6−1】

【0135】
【表6−2】

【0136】
実験2
HIVペプチドおよび種々のアジュバントを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例8
<材料および方法>
<動物>
7〜9週齢のメスのBalb/cマウスを、上記の例1に従い使用した。
<ペプチド>
例1に記載したHIV-1-MNペプチドT1SP10MN(A)を使用した。ペプチドは生理塩水中で1mg/mlの濃度に再水和した。
<アジュバント>
MPL(商標)を場合により安定なエマルション状態で使用する代わりに水性の製剤として保持することを除き、使用するアジュバントは例1に記載した通りであった。
<免疫感作>
マウスは総容量0.2mlを尾の両側に均等に分割して、臀部の皮下に免疫感作した。免疫感作は以下に示す量のアジュバント(1つまたは複数)と一緒に25μgのHIVペプチドを用いて、0および21日に投与した。CFA/IFAを受容したマウスは、0日にCFA、そして21日にIFAを受容した。希釈および混合は例1に記載した通りであった。
<サンプルの採集>
動物からのサンプルの採集は、各免疫感作の前日および2次免疫感作から14日後に、例1のプロトコールに従い行った。
<細胞調製>
細胞の調製は、例1のプロトコールに従い、作成し、そして取り扱った。
<固相酵素免疫検定法>
ELISAは、例1のプロトコールに従い行った。
<HIV-1MN中和アッセイ>
中和アッセイは、ここでも例1のプロトコールに従いデューク大学で行った。
【0137】
例9
<相互の抗-T1SP10MN(A)(-Cys) IgG 終点力価>
相互の抗-ペプチドIgG終点力価は、2次免疫感作から14日後に得られた個々のマウスからの幾何平均(GMT)またはプールした血清から測定した。IgG1およびIgG2aサブクラス終点力価は、プールした血清から測定した。フロイントアジュバントの受容体について、マウスはCFAで乳化した25μgのペプチドで初回免疫し、そしてIFAで追加免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり1%スクアレン油および50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。水性MPL(商標)は用量あたり50μgで送達された。組換えマウスIL-12は40ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表7に与える。
【0138】
【表7】

【0139】
例10
<相互の抗-T1SP10MN(A)(-Cys) IgG 終点サブクラス力価>
HIV-ペプチド特異的な膣洗浄液の終点相互IgGおよびIgA抗体力価は、2次免疫感作から15日後のプール血清(n=5 Balb/c)から測定した。マウスは例9のように免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり1%スクアレン油および50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。水性MPL(商標)は用量あたり50μgで送達された。組換えマウスIL-12は40ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表8に与える。
【0140】
【表8】

【0141】
例11
<脾臓細胞の増殖>
T1SP10MN(A)(-Cys)および種々のアジュバント製剤を用いたインビトロ刺激(例10と同様)に応答した脾臓細胞の増殖を測定した。細胞は全部で96時間培養した。3H-チミジンを最後の18時間、培養に加えた。データはConAを含む培養で刺激した細胞に対して標準化した増殖指数として与える([平均 cpm 抗原/平均 cpm ConA]−[平均 cpm 培地/平均 cpm ConA])×100。結果として、培地で培養された細胞は0のバックグラウンド増殖を有する。結果を表9に与える。刺激しなかった培養で成長した細胞未満の増殖値は括弧に示す。
【0142】
【表9】

【0143】
例12
<脾臓細胞によるIL-4の分泌>
T1SP10MN(A)(-Cys)で刺激した脾臓細胞により培養物中に分泌されたインターロイキン-4を測定した。細胞は全部で96時間培養した。細胞培養上清はELISAによりIL-4について分析した。すべての値は、10ngの無関係なタンパク質(リゾチーム)で刺激した細胞の上清から決定した値から差し引いた後の値であった。結果は表10にpg/mlで与える。リゾチームにより誘導された刺激から差し引き後の検出限界未満の結果は、“bd”で示す。アジュバントは40ngのIL-12、10μgのGM-CSFおよび50μg MPL(商標)であった
【0144】
【表10】

【0145】
例13
<脾臓細胞によるインターフェロン-ガンマの分泌>
T1SP10MN(A)(-Cys)で刺激した脾臓細胞により培養物中に分泌されたインターフェロン-ガンマを測定した。細胞は全部で96時間培養した。細胞培養上清はELISAによりインターフェロン-ガンマについて分析した。すべての値は、10μgのリゾチームで刺激した細胞の上清から決定した値から差し引いた後の値であった。結果は表11に単位/mlで与える。リゾチームにより誘導された刺激から差し引き後の検出限界未満の結果は、“bd”で示す。アジュバントは例12で使用したものと同じであった。
【0146】
【表11】

【0147】
実験3
HIVペプチドおよび種々のアジュバントを用いたSwiss-Websterマウスの免疫感作
Balb/cマウスの代わりにSwiss-Websterマウスを用いて、例2のプロトコールに従った。相互の抗-ペプチドIgG終点力価および膣洗浄液終点相互終点IgGおよびIgA抗体力価のみをこの実験では測定した。
【0148】
例14
<相互の抗-HIVペプチドIgG終点力価>
相互の抗-T1SP10MN(A)(-Cys)IgG終点力価は、2次免疫感作から14日後に得た個々のSwiss-Websterマウスの幾何平均から測定した(GMT)。IgG1およびIgG2aサブクラス終点力価も、プールした血清から測定した。フロイントアジュバントの受容体について、マウスはCFAで乳化したペプチドで初回免疫し、そしてIFAで追加免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり1%スクアレン油および50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。水性MPL(商標)は用量あたり50μgで送達された。組換えマウスIL-12は40ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表12に与える。
【0149】
【表12】

【0150】
例15
<相互の抗-HIVペプチド IgG 終点サブクラス力価>
HIV-ペプチドに特異的な膣洗浄液の終点相互IgGおよびIgA抗体力価は、2次免疫感作から15日後のプール血清(n=5 Swiss-Webster)から測定した。マウスは例14のように免疫感作した。MPL(商標)SEは、用量あたり1%スクアレン油および50μgMPL(商標)を含むエマルションとして提供された。水性MPL(商標)は用量あたり50μgで送達された。組換えマウスIL-12は40ng/マウスで送達された。組換えマウスGM-CSFは10μg/マウスで送達された。結果を表13に与える。
【0151】
【表13】

【0152】
実験4
HIVペプチドおよび種々のペプチドを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例2のプロトコールに従ったが、マウスは0および28日に免疫感作し、そして血清学的評価のために0、27および41日に採血した。CFA/IFAはCFAを用いて0日に、IFAを用いて28日に配合した。MPL(商標)SEは50μgのMPL(商標)および2%SEを用いて配合し、50ngIL-2および10μgGM-CSFを使用した。
【0153】
例16
<相互の抗-HIVペプチドIgG終点力価>
相互の抗-T1SP10MN(A)(-Cys)IgG終点力価は、初期免疫感作から41日後、2次免疫感作から13日後に、各々のSwiss-Websterマウス(GMT)および幾何平均(n=5 Balb/c)から測定した。結果を表14に与える。ゼロ日で個々の力価はすべて50未満であった。“[データなし]”の記述は、プロトコールの完了前に動物が死んだことを意味する。“SD”は標準偏差を意味する。
【0154】
【表14】

【0155】
例17
<相互の抗-HIVペプチドIgG 終点サブクラス力価>
相互の終点抗-ペプチドIgGサブクラス力価は、初期免疫感作から41日後、2次免疫感作から13日後のプールした血清(n=5 Balb/c)から測定した。結果を表15に与える。
【0156】
【表15】

【0157】
例18
膣洗浄液IgGおよびIgA
<抗-HIVペプチド抗体力価>
膣のIgGおよびIgA 抗-ペプチド抗体力価は、初期免疫感作から41日後、2次免疫感作から13日後の洗浄液から測定した。結果を表16に与える。
【0158】
【表16】

【0159】
例19
<脾臓細胞の増殖>
T1SP10MN(A)(-Cys)および種々のアジュバント製剤を用いて免疫感作したマウスに由来する脾臓細胞の増殖を測定した。脾臓細胞は3.3μg/mlのT1SP10MN(A)(-Cys)を用いて4日間インビトロで刺激した。結果は、刺激の不存在下での取り込みに対して、3.3μg/mlのT1SP10MN(A)(-Cys)を用いたインビトロ刺激の結果として標識したチミジンの取り込みの変化として表4に示す(デルタcpm)。
【0160】
実験5
HIVペプチドおよび種々のペプチドを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例2のプロトコールに従ったが、マウスは0および22日に皮下に免疫感作し、そして血清学的評価のために42日に採血した。MPL(商標)SEは50μgのMPL(商標)および1%SEを用いて配合したが、10μgGM-CSFを使用した。
【0161】
例20
<相互の抗-HIVペプチドIgG終点力価>
相互の抗-ペプチド終点IgG力価は、初期免疫感作から42日後、2次免疫感作から13日後のプール血清(n=5 Balb/c)から測定した。IgGに関して標準偏差も含め幾何平均を測定した。結果は表17に与える。
【0162】
【表17】

【0163】
実験6
HIVペプチドおよび種々のアジュバントを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例2のプロトコールに従ったが、HIVペプチドはアミノ酸位17にシステインを含み、そしてマウスは0および21日に皮下に免疫感作し、そして血清学的評価のために−1(初回免疫感作の前日)、13、20および28日に採血した。MPL(商標)SEは50μgのMPL(商標)および1%SEを用いて配合したが、10μgGM-CSFを使用した。HIVペプチドT1SP10MN(A)(+Cys)(26)はアミノ酸位17にシステインを含み、そして40残基長である。T1SP10MN(A)(+Cys)は、ジェノシス バイオテクノロジーズ(Genosys Biotechnologies)(ウッドランド、テキサス
州)から購入した。
【0164】
例21
<相互の抗-T1SP10MN(A)IgG終点力価>
相互の抗-T1SP10MN(A)IgG終点力価は、初期免疫感作から28日後に、個々のマウスから、そしてそれらの幾何平均から測定した。結果を表18に与える。
【0165】
【表18】

【0166】
実験7
HIVペプチドおよび種々のアジュバントを用いたBalb/cマウスの免疫感作
例6のプロトコールに従ったが、マウス(n=3 Balb/c)は0および32日に皮下に免疫感作し、そしてて血清学的評価のために38日に採血した。MPL(商標)SEは50μgのMPL(商標)および1%SEを用いて配合したが、10μgGM-CSFを使用した。
【0167】
例22
<相互の抗-HIVペプチド IgG終点力価>
相互の抗-T1SP10MN(A)(+Cys)IgG終点力価は、初期免疫感作から38日後に、個々のマウスから、そしてそれらの幾何平均(n=3 Balb/c)から測定した。結果を表19に与える。
【0168】
【表19】

【0169】
実験8
Balb/cマウスを対象としたCTL分析
マウスの免疫感作については実験6のプロトコールに従った。2次免疫感作から7日後のマウスから単離した脾臓細胞のCTL活性を評価した。MPL(商標)SEは50μgのMPL(商標)および1%SEを用いて配合したが、10μgGM-CSFを含んだが、または含まずに50μgの抗-T1SP10MN(A)(+Cys)を加えた。
【0170】
例23
<Balb/cマウスを対象としたCTL分析>
CTL分析に関して、脾臓細胞を初回免疫感作から14日後、そして2次免疫感作から7日後の免疫感作したマウスから取り出した。すでに記載したプロトコール(34)に本質的に従った。簡単に説明すると、1群あたり3匹のマウスから赤血球−涸渇脾臓細胞をプールした。脾臓エフェクター細胞(4×106ml)を、1.5〜2mlの容量で24ウェルの培養プレート中にて7日間、1μg/mlの“MN"、または“IIIB" 10mer CTLエピトープペプチドのいずれかで再刺激した。両CTLエピトープはH-2Ddに限定されていた。培養は10U/mlの組換えマウスIL-2(バイオソース:Biosource)を、少なくとも培養の5日間、補充した。細胞傷害活性の分析には、P815細胞はCr51で標識し、そして5μg/mlペプチド(IIIBまたはMN)を4時間適用し、そして培養した脾臓エフェクター細胞に加えた。100:1から3.7:1で、標的細胞に対して3倍希釈のエフェクター細胞を使用した。パーセントCTL活性は、((特異的なクロム放出−自然なクロム放出)/(最大クロム放出−自然なクロム放出))×100を使用して、クロム放出のパーセントとして計算した。クロム放出は6時間のインキューベーション期間後に評価した。クロムの平均自然放出は、常に最大放出の15%未満であった。28日からの結果を図5に示す。
【0171】
実験9
種々のSIVペプチドおよびアジュバントを用いたアカゲザルの免疫感作
アカゲザル(Macaca mulatta)を対象として、MPL(商標)SEおよびGM-CSFアジュバント製剤を、それが抗原-特異的なCTLを誘導する能力について試験した。この実験では、それぞれがデューク大学のBarton Haynes博士の研究室でSIV envからの無差別なT-ヘルパーエピトープを用い、または用いずに化学的に合成した3つの別個のMamuA★01拘束CTLエピトープ(それぞれgag、polおよびenvに由来する)から成る三価のペプチド免疫原を用いてアジュバント製剤を試験した。
【0172】
MamuA★01制限CTLエピトープを含むペプチドは以下の通りである:
【0173】
【化9】

【0174】
これらのCTL-含有エピトープは、以下の配列を有するT−ヘルパーエピトープにも連結した:
【0175】
【化10】

【0176】
このように、3つのマルチエピトープ ペプチドは、以下の配列を有した:
【0177】
【化11】

【0178】
CTL分析は、MamuA★01拘束四量体染色分析により、バーバードメディカルスクールのNorman Letvin博士の研究室で行った。
動物、用量および免疫原:
HLA-Aホモロガス分子MamuA★01およびサブタイプDRβ0201を発現しているアカゲザルは、PCRにより同定し、そしてルイジアナ州ニュー イベリアでコロニーに収容した。
【0179】
実験には、各々表20に記載する2匹の若いアカゲザル(Macaca mulatta)の3群を含んだ。群1は2匹のMamuA★01陽性、DRβ0201陰性動物Rh73およびRh80から成った。これらの動物はMPL(商標)SEおよびGM-CSFを一緒に含む三価のMamuA★01拘束SIV gag、envおよびpol CTLエピトープペプチド(短いペプチドカクテル)を投与した。群2は、MPL(商標)SEおよびGM-CSFを一緒に含むTh/SIVCTL gag、polおよびenvエピトープペプチド(長いペプチドカクテル)を受容した2匹のMamuA★01陽性、DRβ0201陽性アカゲザルから成った。群3は、Th/SIVCTL gag、polおよびenvエピトープペプチド(長いペプチドカクテル)を接種した2匹のMamuA★01陰性、DRβ0201陽性動物から成った。表20はHLA型による群および使用した免疫原を説明する。
【0180】
【表20】

【0181】
すべての群は、0、4および8週に1%の油および250μgのヒトGM-CSF中の50μgのMPL(商標)SEに配合した1mlの各ペプチドカクテルで皮下に免疫感作した。18週間の免疫感作で、MPL(商標)SEの用量を1%の油中で125μgに増加した。すべての群について、2.4mgの各々の長ペプチドおよび0.75mgの各々の短ペプチドを900μlの蒸留した脱イオン水に溶解した。次いでペプチド溶液はヒトGM-CSFを再構成するために使用し、そして100μlのMPL(商標)SE製剤を加えた。
【0182】
例24
<アカゲザルを対象としたCTL分析>
動物は2週間毎に採血し、そして新しいおよび培養した末梢血単核細胞(PBMC)について四量体染色によるMamuA★01拘束CTLに関して、ヘパリン処理した血液を分析した(50)。PBMCはpllc、p68A、p41Aまたはp46のいずれかで0日に刺激し、そして次いでIL-2の存在下で培養し、そして11日に分析した。標準51Cr放出アッセイも、培養したPBMCについて行った(50)。
【0183】
四量体アッセイは以下のように行った:gagからのエピトープペプチドpllc、polからのp68Aまたはpolからのp68Aまたはenvからのp41Aを、精製したビオチン化MamuA★01と、β2ミクログロブリンの存在下でインキューベーションし、ついでアビジンと結合させ、そしてPE(フィコエリトリン)に連結した。この四量体は次いでpllc、p68Aまたはp41Aエピトープを認識するT細胞レセプターを持つマカークCD8+細胞を染色するために使用した。種々のDRβ201四量体は優勢env p46エピトープの回りを包み、p46 Thエピトープを特異的に認
識したCD4+細胞の染色を可能とした。この結果を表21〜24に示す。
【0184】
【表21】

【0185】
【表22】

【0186】
【表23】

【0187】
【表24】

【0188】
実験10
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のポーリンBタンパク質および
<種々のアジュバントでのSwiss-Websterマウスの免疫感作>
異系交配したSwiss-Websterマウスを、各10匹の5群に分割した。各群は1μgの組換えポーリンBタンパク質(FA1090株に由来し、16個のアミノ酸をファージに由来するアミノ−末端に含み、ポーリンBタンパク質の成熟形が続く)を受容した。第1群はアジュバントを受容しなかった:第2群は50μgのMPL(商標)を受容した;第3群は5μgのGM-CSFを加えたMPL(商標)を受容した;第4群は25μgのMPL(商標)SEを受容した;第5群は5μgのGM-CSFを加えたMPL(商標)SEを受容した。マウスは全容量0.2mlを尾/臀部の基底の2部位に均等に分割して臀部の皮下に免疫感作した。免疫感作は0週および4週に投与した。
【0189】
例25
<相互の抗-ポーリンBタンパク質IgG 終点サブクラス力価>
マウスは各免疫感作前および最終免疫感作から13日後に採血した。血清を群内のマウスに由来するプールから分析した。相互の終点抗-ポーリンBタンパク質IgGサブクラス力価はプールした血清(n=10 Swiss-Webster)から膣洗浄液により、3週および6週で測定した。結果を表25に与える。すべての0日の免疫感作前の力価は50未満であった。
【0190】
【表25】

【0191】
組換えポーリンBタンパク質に対する個々の6週のIgG力価の幾何平均も測定した。結果を表26に与える。
【0192】
【表26】

【0193】
実験11
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のポーリンBタンパク質および
<種々のアジュバントでのSwiss-Websterマウスの免疫感作>
異系交配したSwiss-Websterマウスを、各5匹の6群に分割した。各群は1μgの組換えポーリンBタンパク質(FA1090株に由来し、16個のアミノ酸をファージに由来するアミノ−末端に含み、ポーリンBタンパク質の成熟形が続く)を受容した。第1群はアジュバントを受容しなかった(タンパク質はPBS中に配合した):第2群は40ngのIL-12を受容した;第3群は50μgのMPL(商標)を受容した;第4群は40ngのIL-12を加えたMPL(商標)を受容した;第5群は25μgのMPL(商標)SEを受容した;第6群は40ngのIL-12を加えたMPL(商標)SEを受容した。マウスに全容量0.2mlを臀部の皮下に免疫感作した。免疫感作は0週および4週に投与した。
【0194】
例26
相互の抗-ポーリンBタンパク質IgG 終点サブクラス力価
<および膣洗浄液IgGおよびIgA力価>
マウスは各免疫感作前および最終免疫感作から13日後に採血した。血清を群内のマウスに由来するプールから分析した。相互の終点抗-ポーリンBタンパク質IgGサブクラス力価はプールした血清(n=5 Swiss-Webster)から膣洗浄液により、そしてIgGおよびIgA膣洗浄力価を、それぞれ3週および6週で測定した。結果を表27に与える。すべての0日の免疫感作前の力価は50未満であった。膣洗浄液分析用の出発希釈は1/5であった。
【0195】
【表27】

【0196】
実験12
<呼吸合胞体ウイルスFタンパク質および種々のアジュバントでのBalb/crマウスの免疫感作>
Balb/cマウスを、各5匹の7群に分割した。各群は3μgの精製した天然のヒト呼吸合胞体ウイルス(RSV)Fタンパク質(二量体形)を受容した。第1群はアジュバントを受容しなかった(タンパク質はPBS中に配合した):第2群は100μgのリン酸アルミニウム(alum)を受容した;第3群は20μgのStimulon(商標)QS-21(アクイラ バイオファルマシュー
ティカルズ社:Aquila Biopharmaceuticals,Inc.、フラミンハム、マサチューセッツ州)を受容した;第4群は50μgのMPL(商標)を受容した;第5群は5μgのGM-CSFを加えたMPL(商標)を受容した;第6群は25μgのMPL(商標)SEを受容した;第7群は5μgのGH-CSFを加えたMPL(商標)SEを受容した。マウスに全容量0.2mlを上腿の筋肉内に免疫感作した。免疫感作は0週および4週に投与した。
【0197】
例27
<相互の抗-RSV Fタンパク質IgG 終点サブクラス力価>
マウスは各免疫感作前および最終免疫感作から13日後に採血した。血清を群内のマウスに由来するプールから分析した。相互の終点抗-RSV Fタンパク質IgGサブクラス力価はプールした血清(n=5 Balb/c)から測定した。結果を表28に与える。すべての0日の免疫感作前の力価は50未満であった。
【0198】
【表28】

【0199】
例28
<脾臓細胞の増殖>
2.5μg/mlのRSV Fタンパク質および種々のアジュバント製剤を用いたインビトロ刺激(実施例27と同様)に応答した脾臓細胞の増殖を測定した。脾臓細胞は2次免疫感作から14時間後に回収し、そして5×105細胞の密度にて培養物中で樹立した。細胞は全部で96時間培養した。3H-チミジンを最後の18時間、培養に加えた。データはConAを含む培養で刺激した細胞に対して標準化した増殖指数として与える([平均 cpm 抗原/平均 cpm Co
nA]−[平均 cpm 培地/平均 cpm ConA])×100。結果として、培地で培養された細胞は0のバックグラウンド増殖を有する。結果を表29に与える。
【0200】
【表29】

【0201】
実験13
<呼吸合胞体ウイルスFタンパク質および種々のアジュバントでのBalb/crマウスの免疫感作>
実験12のプロトコールを繰り返した(種々のアジュバントを含む、または含まないRSV
Fタンパク質を用いた0週および4週の免疫感作)。
【0202】
例29
<相互の抗-RSV Fタンパク質IgG 終点サブクラス力価>
マウスは各免疫感作前および最終免疫感作から13日後に採血した。血清を群内のマウスに由来するプールから分析した。相互の終点抗-RSV Fタンパク質IgGサブクラス力価はプールした血清(n=5 Balb/c)から測定した。結果を表30に与える。すべての0日の免疫感作前の力価は50未満であった。
【0203】
【表30】

【0204】
例30
<脾臓細胞のCTL分析>
RSV Fタンパク質および示したアジュバントを用いた免疫感作の結果としての脾臓細胞のCTL(細胞傷害性T−リンパ球)活性を、最終免疫感作から2週間後に評価した。データは、33:1のエフェクター:標的細胞比で、RSV-感染した標的細胞と培養した脾臓細胞のパーセント特異的CTL活性を表す。パーセント特異的CTL活性は実施例24に記載したよう
に、RSV-感染した標的細胞に対して特異的な活性から非感染標的に対するCTL活性を引くことにより決定した。自然な脾臓細胞をインビトロ刺激細胞の供給源として、1.5のMOI(感染多重度)でRSVを用いて2時間感染させた。免疫感作したマウスの脾臓細胞から応答細胞を刺激細胞に5:1の比率で加え、そして6日間培養した。5日に、標的細胞(Balb/c MHC-H-2d細胞系)をRSVに10のMOIで2時間感染させ、そして一晩インキューベーションした。6日に、感染したおよび非感染標的細胞を回収し、そして31Crを適用した。次いで100:1〜3:1のE:T比でインビトロのエフェクター細胞を標的細胞に加えた。クロムの放出は、4時間のインキューベーション期間後に評価した。結果を表31に与える。
【0205】
【表31】

【0206】
実験14
<呼吸合胞体ウイルスFタンパク質および種々のアジュバントでのBalb/crマウスの免疫感作>
Balb/cマウスを、各5匹の6群に分割した。各群は3μgの精製した天然のRSVFタンパク質(二量体形)を受容した。第1群はアジュバントを受容しなかった(タンパク質はPBS中に配合した):第2群は40ngのIL-12を受容した;第3群は50μgのMPL(商標)を受容した;第4群は40ngのIL-12を加えたMPL(商標)を受容した;第5群は25μgのMPL(商標)SEを受容した;第6群は40ngのIL-12を加えたMPL(商標)SEを受容した。マウスは、尾の両側に与える2つの容量間で等しく分割した全容量0.2mlを臀部の皮下に疫感作した。免疫感作は0週および4週に投与した。
【0207】
例31
<相互の抗-RSV Fタンパク質IgG 終点サブクラス力価>
マウスは各免疫感作前および最終免疫感作から13日後に採血した。血清を群内のマウスに由来するプールから分析した。相互の終点抗-RSV Fタンパク質IgGサブクラス力価はプールした血清(n=5 Balb/c)から測定した。結果を表32に与える。すべての0日の免疫感作前の力価は50未満であった。
【0208】
【表32】

【0209】
例32
<脾臓細胞のCTL分析>
RSV Fタンパク質および示したアジュバントを用いた免疫感作の結果としての脾臓細胞のCTL活性を、最終免疫感作から2週間後に評価した。データは、33:1のエフェクター:標的細胞比で、RSV-感染した標的細胞と培養した脾臓細胞のパーセント特異的CTL活性を表す。パーセント特異的CTL活性は例24に記載したように、RSV-感染した標的細胞に対
して特異的な活性から非感染標的に対するCTL活性を引くことにより決定した。自然な脾臓細胞をインビトロ刺激細胞の供給源として、1.5のMOIでRSVを用いて2時間感染させた。免疫感作したマウスの脾臓細胞から応答細胞を刺激細胞に5:1の比率で加え、そして6日間培養した。5日に、標的細胞(Balb/c MHC-H-2d細胞系)をRSVに10のMOIで2時間感染させ、そして一晩インキューベーションした。6日に、感染したおよび非感染標的細胞を回収し、そして31Crを適用した。次いで100:1〜3:1のE:T比でインビトロのエフェクター細胞を標的細胞に加えた。クロムの放出は、4時間のインキューベーション期間後に評価した。28日からの結果を表33に与える。
【0210】
【表33】

【0211】
実験15
<インフルエンザウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質および種々のアジュバントでのBalb/cマウスの免疫感作>
Balb/cマウスを、各5匹の6群に分割した。各群は、A/dron/307/72株に由来する1μgのインフルエンザウイルスVP(ヌクレオキャプシド)タンパク質を受容した。[チェック群]第1群はアジュバントを受容しなかった(ペプチドはPBS中に配合した):第2群は100μgのリン酸アルミニウム(alum)を受容した;第3群は50μgのMPL(商標)を受容した;第4群は5μgのGM-CSFを加えたMPL(商標)を受容した;第5群は25μgのMPL(商標)SEを受容した;第6群は5μgのGM-CSFを加えたMPL(商標)SEを受容した。マウスは、全容量0.2mlを臀部の皮下に疫感作した。免疫感作は0週および4週に投与した。
【0212】
例33
<脾臓細胞のCTL分析>
インフルエンザ NPペプチドおよび示したアジュバントを用いた免疫感作の結果としての脾臓細胞のCTL活性を、最終免疫感作から2週間後に評価した。評価はペプチドを適用した標的p815細胞を使用して例32の手順に従い行った(このペプチドはNPのアミノ酸147〜155に対応し、そして配列:Thr Tyr Gln Arg Thr Arg Ala Leu Val (配列番号14)を有する)。MPL(商標)またはMPL(商標)SEを含む製剤中にGM-CSFを包含すると、顕著なCTL活性の低下がもたらされた(データは示さず)。
【0213】
【表34】

【0214】
【表35】

【0215】
【表36】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原性ウイルス、細菌、菌・カビもしくは寄生体から、またはガン細胞もしくは腫瘍細胞から、またはアレルゲンから、またはアミロイドペプチドタンパク質から選択される抗原、ならびに効果的な免疫増強量の:
(1)3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAもしくはモノホスホリルリピドAと(2)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)
を含有するアジュバント組み合わせ物
を含むことを特徴とする抗原性組成物。
【請求項2】
選択される抗原が、タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントである、請求項1に記載の抗原性組成物。
【請求項3】
3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAが安定な水中油型エマルションの状態で使用される請求項1または2に記載の抗原性組成物。
【請求項4】
さらに希釈剤またはキャリアーを含んで成る、請求項1〜3のいずれかに記載の抗原性組成物。
【請求項5】
選択される抗原がヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来する請求項1〜4のいずれかに記載の抗原性組成物。
【請求項6】
選択されるHIV抗原がHIVタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたは断片である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
HIVペプチドが
【化1】

のアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の抗原性組成物。
【請求項8】
選択される抗原がシミアン免疫不全ウイルス(SIV)に由来する、請求項1〜4のいずれかに記載の抗原性組成物。
【請求項9】
選択されるSIV抗原がSIVタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントである、請求項8に記載の抗原性組成物。
【請求項10】
SIVペプチドが
【化2】

から成るペプチドから選択される、請求項9に記載の抗原性組成物。
【請求項11】
選択される抗原が淋菌(Neisseria gonorrhoeae)に由来する、請求項1〜4のいずれかに記載の抗原性組成物。
【請求項12】
選択される淋菌(Neisseria gonorrhoeae)抗原が淋菌(Neisseria gonorrhoeae)タンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントである、請求項11に記載の抗原性組成物。
【請求項13】
選択される抗原が、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)ポーリンBタンパク質である、請求項12に記載の抗原性組成物。
【請求項14】
選択される抗原がヒト呼吸合胞体ウイルス(RSV)に由来する、請求項1〜4のいずれかに記載の抗原性組成物。
【請求項15】
選択されるRSV抗原が、RSVタンパク質、該タンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントである、請求項14に記載の抗原性組成物。
【請求項16】
選択される抗原が、RSV融合(F)タンパク質である、請求項15に記載の抗原性組成物。
【請求項17】
選択されたアレルゲンを含む抗原性組成物の脊椎動物宿主におけるアレルギー応答を調節する能力を増す方法であって、該組成物に該アレルゲンおよび効果的な免疫増強量の:(1)3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAもしくはモノホスホリルリピドAと(2)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を含有するアジュバント組み合わせ物を配合することを特徴とする、上記方法。
【請求項18】
抗原性組成物の脊椎動物宿主におけるアミロイド沈着を特徴とする疾患を予防または処置するための能力を増すための方法であって、該組成物にアミロイドペプチドタンパク質に由来するポリペプチド、ペプチドまたはフラグメントまたはそれらに対する抗体、ならびに効果的な免疫増強量の:(1)3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドAもしくはモノホスホリルリピドAと(2)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を含有するアジュバント組み合わせ物を配合することを特徴とする、上記方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−6949(P2012−6949A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171095(P2011−171095)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2000−617916(P2000−617916)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(591000791)ワイス・ホールディングズ・コーポレイション (43)
【Fターム(参考)】