説明

アスベスト処理方法

【課題】 既存建物等に使用されたアスベスト材を安全かつ効率的に処理して廃棄物を再生使用する。
【解決手段】 アスベスト材使用部位に対して飛散防止剤1を塗布してアスベスト材を封じ込めた状態で撤去作業を施し、発生した廃棄物2をドラム缶3に投入して飛散防止剤の希釈液13を注入しながら圧縮・減容した後に、ドラム缶を密閉した荷姿の形態のままで現場搬出から溶解処分までの処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建物等に使用されたアスベスト材を処理して無害化するアスベスト処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存建物等には、耐熱性、耐候性、防音性或いは耐化学特性を有し、廉価で作業性がよい等の様々な特性を有するアスベスト材(石綿)が、吹き付け法や含有建材の態様で多くの箇所に大量に用いられている。アスベスト材は、大気に飛散して人体に吸引された場合にじん肺や肺ガンの発生原因となる極めて危険な物質であり、複数の関係省庁に関係して各種法令(アスベスト関係法)によりその取り扱いについて厳しい規制がある。
【0003】
例えば、平成16年には、0.1%の石綿含有率を超える特定10品目(建材、摩擦材等)の製造、輸入、譲渡、提供又は使用について禁止する労働安全衛生法施工令の改正があった。平成18年には、さらに労働安全衛生法施工令の改正により、石綿が重量比0.1%を超える全ての物について原則全面禁止の改正があった。また、この労働安全衛生法施工令の改正に伴って、石綿障害予防規則についても改正されて、石綿使用部位の解体等に際して厳しい規制が行われるようになった。
【0004】
すなわち、既存建物等におけるアスベスト処理については、作業現場からの飛散を防止する対応を図った状態で作業者が防護マスクと防護服を着用のうえ撤去作業を行い、発生したアスベスト材を含む廃棄物を所定の袋に詰めて処分しなければならない。アスベスト処理については、アスベスト材使用部位に対してアスベスト処理剤(飛散防止剤)を塗布してアスベスト材を封じ込めた状態で撤去作業が行われる(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0005】
アスベスト処理については、撤去したアスベスト材を含む廃棄物の処理についても、厳しく規制されている。従来の一般的なアスベスト処理方法としては、特定の処分場において廃棄物を詰めた処理袋を埋設した処理が行われていたが、大規模な処分場を確保することが困難になっている。例えば特許文献3には、アスベスト処理剤によりアスベスト材を封じ込めた状態で撤去作業を行い、さらに廃棄物を溶解処理する2段階処理法が提案されている。かかる特許文献3においては、溶解処理によりアスベスト材が無害化された溶解物をセメントとして再利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−315152号公報
【特許文献2】特開2008−95005号公報
【特許文献3】特開2008−132477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アスベスト処理については、飛散防止剤をアスベスト材使用部位に塗布してアスベスト材を封じ込めた状態で撤去作業を行うことが基本である。アスベスト処理については、撤去作業において飛散防止空間部内で作業に携わる作業員に対する安全対策を講じるばかりでなく、作業時間等の規制もある。したがって、アスベスト処理については、処理費用の中で当該撤去作業の費用割合が莫大であり、その効率化を図ることが必要である。
【0008】
また、アスベスト処理については、事前にアスベスト材使用部位の調査を行って具体的かつ効率的な処理方法の検討・立案を行うとともに関係官庁への作業申請等の手続きが必要である。アスベスト関係法には、上述したように撤去作業に関して作業員保護や飛散防止に関して厳しい規則が定められてはいるが、事前調査に関しての規制規定は無い。アスベスト処理については、特に安全対策を講じることなく事前調査が実施されているが、当該調査員に対する安全措置を講じる必要がある。
【0009】
アスベスト処理については、安全性の確保とともに今後の大規模な処分場の確保の困難性の対応からも上述した特許文献3に記載されるようにアスベスト材の封じ込め処理と廃棄物の溶解処理の2段階処理法が有効である。しかしながら、かかるアスベスト2段階処理法は、現場において処理袋に詰めて溶解工場まで搬送するが、途中段階での取り扱い等に際して処理袋の破損等により廃棄物の破片等からアスベスト材が飛散して2次災害が生じる虞もあり、また効率的な溶解処理を行うことが困難であって処理コストが莫大になるといった問題がある。
【0010】
廃棄物は、処理袋に詰めた状態で空気の含有率が容量比で70%〜80%と極めて大きく、搬送或いは処理の効率が極めて悪いとともに飛散の危険性も極めて高い。アスベスト処理においては、廃棄物を減容して搬送効率や処理効率の向上を図らなければならない。
【0011】
したがって、本発明は、既存建物等に使用されたアスベスト材を安全かつ効率的に処理して廃棄物を再生使用するアスベスト処理方法を提供することを目的に提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成する本発明に係るアスベスト処理方法は、アスベスト材を使用した建物等に対して飛散防止剤塗布工程によりアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤を塗布してアスベスト材を封じ込めた状態で、使用状況等を詳細に調査して具体的な処理方法を検討・立案する。アスベスト処理方法は、事前調査結果に基づいて、アスベスト材撤去工程と、廃棄物ドラム缶投入工程と、飛散防止剤希釈液注入工程と、廃棄物圧縮・減容工程と、ドラム缶封止工程と、ドラム缶溶解工程と、溶解物分離工程とを経てアスベスト材を処理する。アスベスト処理方法においては、無害化されたアスベスト材を含む廃棄物成分を例えば路盤材等に再利用するとともに、ドラム缶の鉄成分を鉄材として回収してリサイクルする。
【0013】
アスベスト処理方法は、飛散防止剤塗布工程において、アスベスト材を使用したアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤を塗布してアスベスト材の封じ込めを行う。アスベスト処理方法は、アスベスト材撤去工程において、アスベスト材使用部位を解体し、当該部位からアスベスト材を含む廃棄物を撤去する。アスベスト処理方法においては、飛散防止剤塗布工程が、例えば噴射機を用いて液状の飛散防止剤をアスベスト材使用部位に対して噴射して内部にしみ込ませて封じ込めることにより、事前調査を実施する調査員等に対する安全性を確保し、使用状況等の詳細な調査を行ってより具体的かつ効率的な処理方法の検討・立案が行われるようにする。アスベスト処理方法においては、事前調査結果に基づいて特定した建物等のアスベスト材を使用したアスベスト材使用部位の解体を行うが、予め飛散防止剤塗布工程を施してアスベスト材の飛散が防止されていることから作業者や周囲等の安全性が確実に図られるとともに飛散防止の養生作業等の簡易化や作業の効率化が図られるようにする。アスベスト処理方法においては、飛散防止剤塗布工程が、アスベスト材使用部位の環境に応じて飛散防止剤の濃度、噴射条件、回数等の塗布仕様を異にして複数回行うようにしてもよい。
【0014】
アスベスト処理方法は、廃棄物ドラム缶投入工程において、撤去したアスベスト材を含む廃棄物を予め開口部に飛散防止袋を装着したドラム缶内に投入する。アスベスト処理方法は、飛散防止剤希釈液注入工程において、廃棄物を投入したドラム缶内に飛散防止剤の希釈液を注入する。アスベスト処理方法は、廃棄物圧縮・減容工程において、ドラム缶内に投入した廃棄物を圧縮して固体化させることにより廃棄物圧縮体を形成する。アスベスト処理方法においては、予め装着した飛散防止袋と飛散防止剤希釈液の注入によりアスベスト材の飛散や漏出を確実に防止することにより安全性を図って廃棄物の圧縮・減容処理が行われ、搬送或いは溶解処理の効率化、コスト低減が図られるようにする。
【0015】
アスベスト処理方法は、ドラム缶封止工程において、ドラム缶の開口部に蓋を被せて内部を封止することにより廃棄物を内部に封装する。アスベスト処理方法は、ドラム缶溶解工程においてドラム缶を溶解炉に投入して廃棄物とともに溶解する。アスベスト処理方法は、溶解物分離工程において、溶解炉から取り出した溶解物から廃棄物再生素材と鉄材に分離する処理を施す。アスベスト処理方法においては、前工程において廃棄物を減容したドラム缶を封止した状態のままで溶解処理することにより、積み替え等を行うことにより廃棄物が外部に晒される機会を無くして後処理工程における作業の安全性や効率化が図られる。アスベスト処理方法は、ドラム缶を用いることにより、搬送・取り扱い等に際して万一大きな力が加えられてアスベスト材を含む廃棄物が外部に飛散するといった重大事故の発生を防止することが可能である。
【0016】
アスベスト処理方法においては、溶解炉においてドラム缶(鉄)を溶解温度である1600℃以上の温度に加熱して溶解するが、その際に溶解温度である1500℃であるアスベスト材を確実に溶解して無害化する。アスベスト処理方法においては、アスベスト材が無害化された廃棄物成分を例えば安全な人工骨材として路盤形成材やコンクリート骨材或いはアスファルト骨材等に用いることが可能であり、大規模な処分施設等を不要とし、またドラム缶の鉄成分も回収されて再利用を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアスベスト処理方法によれば、アスベスト材使用部位から安全性を確実に保持した状態で各処理工程を施してアスベスト材を含む廃棄物を効率的かつ低処理コストで無害化して処分することが可能である。本発明に係るアスベスト処理方法によれば、廃棄物の無害化処分により、大規模な処分施設等を不要としさらに処分物を再生資源として有効に再生利用することが可能である。本発明に係るアスベスト処理方法によれば、溶解炉を連続運転させながら廃棄物の溶解処理を行うことが可能である。
【0018】
本発明に係るアスベスト処理方法によれば、各種の用途に用いられている堅牢で比較的廉価なドラム缶を用い、このドラム缶内で廃棄物を圧縮・減容した後に密閉した荷姿の形態のままで現場搬出から溶解処分までの処理を行う。本発明に係るアスベスト処理方法によれば、処分容量率の向上を図り、システム全体の効率的運用を図ってアスベスト材を含む廃棄物を効率よく処分することが可能である。本発明に係るアスベスト処理方法によれば、アスベスト材の撤去作業に伴って生じたアスベスト材を含むほぼ全ての処分対象物をドラム缶内に封装して直接溶解処分することにより、極めて安全性が高く、またシステム全体の効率的運用を図って処分することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るアスベスト処理方法の工程図である。
【図2】飛散防止剤塗布工程の具体的な処理工程の説明図である。
【図3】廃棄物圧縮・減容工程の具体的な作業内容の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るアスベスト処理方法について、図面に示した実施の形態により、詳細に説明する。実施の形態として示すアスベスト処理方法は、図1に示すようにアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤1を塗布してアスベスト材を封じ込める飛散防止剤塗布工程(S−1)を第1工程とする。アスベスト処理方法は、上述した飛散防止剤塗布工程(S−1)を施してアスベスト材を飛散防止剤1により封じ込めた状態で、調査員等による使用状況等の詳細な調査を実施して具体的な処理方法を検討・立案し、監督官庁の許可を得る事前調査工程(S−2)を第2工程とする。アスベスト処理方法は、監督官庁の許可に基づいてアスベスト材撤去作業を実施するための必要な設備等の組立や必要機材の搬入等を行う作業準備工程(S−3)を第3工程とする。
【0021】
アスベスト処理方法は、第4工程としてアスベスト材使用部位を解体してアスベスト材を撤去するアスベスト材撤去工程(S−4)が行われ、アスベスト材を含む廃棄物2の撤去作業が行われる。アスベスト処理方法は、第5工程としてドラム缶3内に飛散防止袋4を装着する飛散防止袋装着工程(S−5)が行われ、アスベスト材使用部位を囲んで構築してアスベスト材の飛散を防止する囲い込み空間部内に搬入したドラム缶3の開口部3Aに飛散防止袋4が装着される。
【0022】
アスベスト処理方法は、第6工程として予め飛散防止袋4を敷き込んだドラム缶3内に廃棄物2を投入する廃棄物ドラム缶投入工程(S−6)が行われる。アスベスト処理方法は、第7工程としてドラム缶3内に飛散防止剤1の希釈液を注入する飛散防止剤希釈液注入工程(S−7)が行われる。アスベスト処理方法は、第8工程としてプレス機5を用いて、飛散防止剤1の希釈液を注入しながらドラム缶3内において廃棄物2を圧縮・減容して固化させて廃棄物圧縮体6を形成する廃棄物圧縮・減容工程(S−8)が行われる。
【0023】
アスベスト処理方法は、第9工程としてドラム缶3の開口部3Aに蓋7を被せて内部を封止することにより廃棄物圧縮体6を内部に封装するドラム缶封止工程(S−9)が行われる。アスベスト処理方法は、アスベスト材使用部位から処理計画に基づいてアスベスト材を全て撤去した後に、後処理として足場や飛散防止空間部等の撤去、洗浄、廃棄物処理等を行う作業後処理工程(S−10)を第10工程とする。
【0024】
アスベスト処理方法は、第11工程としてトラック等により廃棄物圧縮体6を封装したドラム缶3を溶解炉8へと搬送する搬送工程(S−11)が行われる。アスベスト処理方法は、第12工程としてドラム缶3を溶解炉8内に投入して廃棄物圧縮体6とともにドラム缶3を溶解するドラム缶溶解工程(S−12)が行われる。
【0025】
アスベスト処理方法は、溶解炉8から溶解物9を取り出し、第13工程としてこの溶解物9からドラム缶3の鉄成分材10とその他の成分である廃棄物再生素材11とに分離する溶解物分離工程(S−13)が行われる。アスベスト処理方法は、溶解炉8内において溶解処理することにより無害化されたアスベスト材を含む廃棄物成分の廃棄物再生素材11を例えば路盤材等として再利用するとともに、鉄成分材10を有効に回収する。
【0026】
以下、アスベスト処理方法の各工程についてさらに詳細に説明する。飛散防止剤塗布工程(S−1)は、飛散防止剤として提供されている各種の国土交通省認定の石綿飛散抑制剤(石綿封じ込め剤)が用いられる。飛散防止剤としては、例えば株式会社メタル・システム製「無機質系含浸固化形石綿飛散防止剤:アスベストキラー」(認定番号0022)を用いる。飛散防止剤塗布工程(S−1)は、同社が提供するこの石綿飛散抑制剤を用いたアスベスト封じ込め標準工法「AsKシステム」に準じて封止作業を実施する。
【0027】
飛散防止剤塗布工程(S−1)は、具体的には図2に示すように建物の事前調査対象箇所(アスベスト材使用部位)に対して、第1水噴射処理(S−1−1)と、第1飛散防止剤吹き付け処理(S−1−2)と、定着養生処理(S−1−3)と、第2水噴射処理(S−1−4)と、第2飛散防止剤吹き付け処理(S−1−5)と、飛散防止剤刷毛塗り処理(S−1−6)等の一連の処理を施す工程である。なお、飛散防止剤塗布工程(S−1)は、上述した飛散防止剤1や具体的な処理工程に限定されないことは勿論である。
【0028】
飛散防止剤塗布工程(S−1)は、これらの処理を施すことにより、上述したようにアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤1を塗布して事前調査工程を実施する前にアスベスト材の封じ込めを行う。飛散防止剤塗布工程(S−1)は、アスベスト材使用部位に対する孔開けや解体等の作業を施さない処理を行うことから、作業員に対する法定装備の装着或いは作業時間の規制等の安全対策は不要であり効率的に実施することが可能である。
【0029】
第1水噴射処理(S−1−1)は、アスベスト材使用部位に対して、噴霧能力:500cc/分、噴射能力:850cc/分、最大噴射距離5m、噴射角度60°の動力噴霧機12を用いて水を1分間/m噴霧することにより湿潤状態とする。第1飛散防止剤吹き付け処理(S−1−2)は、アスベスト材使用部位に対して、アスベストキラー(飛散防止剤)1に対して水2の割合で生成した飛散防止剤3倍希釈液(希釈液)13を、ノズル径0.009〜0.26インチ、吹き付け時吐出量2リットル/分以下、吐出圧0.4MPa仕様のエアースプレーガン14を用いて、厚みが1cmのアスベスト材層に対して0.8Kg以上を吹き付ける。
【0030】
定着養生処理(S−1−3)は、第1飛散防止剤吹き付け処理(S−1−2)により形成した飛散防止剤層を金トコで押さえた後に24時間以上放置することにより、安定した第1飛散防止剤層15が成膜形成されるようにする。第2水噴射処理(S−1−4)は、上記エアースプレーガン14を用いて第1飛散防止剤層15に対して0.5〜1Kgの水を吹き付けて湿潤状態とする。
【0031】
第2飛散防止剤吹き付け処理(S−1−5)は、上述した第1飛散防止剤吹き付け処理(S−1−2)と同様の処理を行いアスベスト材使用部位に第2飛散防止剤層16を増膜形成する工程である。第2飛散防止剤吹き付け処理(S−1−5)は、第1飛散防止剤層15上にエアースプレーガン14により希釈液13を吹き付けて第2飛散防止剤層16を形成する。飛散防止剤刷毛塗り処理(S−1−6)は、第2飛散防止剤吹き付け処理(S−1−5)を施した後に約1時間養生させた第2飛散防止剤層16上にアスベストキラー原液1.4Kg/mを刷毛塗りすることにより、トップコート層17を形成する。
【0032】
飛散防止剤塗布工程(S−1)は、上述した処理を施すことにより、アスベスト材使用部位に対して所定の厚みを有してアスベスト材を封じ込める飛散防止剤層を形成する。なお、アスベスト処理方法を規定する各種法令には、事前調査の実施要項について、安全対策の規定は特に定めが無い。アスベスト処理方法においては、上述した飛散防止剤塗布工程(S−1)を予め施すことにより、事前調査を実施する調査員等の安全が確保されるようにするとともに後述するアスベスト材撤去工程(S−4)を効率的に実施することを可能とする。
【0033】
事前調査工程(S−2)は、専門の調査員等により現場検証が行われてアスベスト材の使用状況等を調査して効率的かつ安全性を確保した具体的な処理方法の検討、計画を立案する工程である。事前調査工程(S−2)においては、作業者等に対する安全教育やその徹底、健康診断また管理区域の設定や必要な届け出や申請等の処理も行われる。事前調査工程(S−2)は、上述したように飛散防止剤1によりアスベスト材を封じ込めた状態で実施されることから調査員等の安全を確保して高精度の事前調査が行われるようにする。
【0034】
作業準備工程(S−3)は、所管官庁の実施許可の決定に基づいてアスベスト材使用部位に対して石綿障害予防規則に定める必要な安全措置を講じ、またアスベスト材撤去作業に必要な対応を講じる工程である。作業準備工程(S−3)においては、アスベスト材撤去作業に伴ってアスベスト材が外部に飛散しないようにアスベスト材使用部位を囲んで飛散防止シートを設置して飛散防止空間部を構築し、この飛散防止空間部内において作業用足場を組み立て或いは必要な機材の搬入等を行う。作業準備工程(S−3)においては、これらの作業がアスベスト材に直接触れない作業ではあるが作業者に対しても必要に応じて各種法令に規定する安全対策も講じられる。
【0035】
アスベスト材撤去工程(S−4)は、作業者によりアスベスト材使用部位からアスベスト材を含む廃棄物2を撤去する工程である。アスベスト材撤去工程(S−4)は、定められた装備、すなわち保護メガネ、保護マスク、保護帽等の法定装備一式を身につけた作業者が飛散防止空間部内に入ってアスベスト材使用部位を実際に解体して撤去する工程である。アスベスト材撤去工程(S−4)は、足場に乗った高所作業に際して作業者が安全ベルトを装着することが必要であり、さらにその他の所定の装備を必要とする。
【0036】
アスベスト材撤去工程(S−4)は、作業者により、作業計画に基づいてアスベスト材使用部位に対して例えば手作業によるケレンを用いた解体処理或いは圧縮蒸気の噴射による解体処理等の適宜の方法により解体作業が行われる。アスベスト材撤去工程(S−4)は、上述したようにアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤塗布工程(S−1)により既に飛散防止剤1を塗布して封じ込め対策が講じられており、従来の封じ込め処理を施しながらの撤去工程と比較して作業効率の大幅な低減を図ることが可能であるとともに安全性の向上も図られる。アスベスト材撤去工程(S−4)は、処理工程の全体を通じて単位作業当たりの作業者のローディングが最も大きい工程であり、作業の効率化と相俟って全体コストの大幅な低減を図ることが可能である。
【0037】
アスベスト材撤去工程(S−4)においては、作業者が例えば手に持ったペール缶18内に飛散防止剤1を塗布して封じ込めたアスベスト材を掻き落としていく。アスベスト材撤去工程(S−4)においては、ペール缶18内に廃棄物2が満杯になった状態等の適宜のタイミングにおいて、廃棄物2をペール缶18からドラム缶3に移し替える廃棄物ドラム投入工程(S−6)が行われるようにする。なお、アスベスト材撤去工程(S−3)においては、実際の作業が飛散防止剤塗布工程(S−1)の実施後数週間を経過して行われるため、撤去作業を行う際に事前に飛散防止剤層が形成されたアスベスト材使用部位に対してエアースプレーガン14を用いて水噴射が行われて湿潤状態とする処理が施される。
【0038】
飛散防止袋装着工程(S−5)は、事前に飛散防止空間部内に運び込んだドラム缶3に飛散防止袋4を装着する工程であり、上述した作業準備工程(S−3)に含む工程であってもよい。ドラム缶3としては、例えば一般に提供されている比較的廉価で気密性や機械的強度が大きな200リッター容量の天井部を開口したオープンヘッドドラム缶が用いられる。ドラム缶3は、産業廃棄物用として識別可能な、例えば黄色に塗装されたものが用いられる。なお、ドラム缶3は、中小型間やペール缶18を用いてもよいが、作業の全体効率から200リッタードラム缶を用いることが好ましい。
【0039】
飛散防止袋装着工程(S−5)においては、ドラム缶3に対して、予めポリエチレン樹脂袋やナイロン樹脂袋或いは塩化ビニール樹脂袋等の密閉特性や機械的強度を有する合成樹脂袋体からなる飛散防止袋4を装着する。飛散防止袋4としては、ドラム缶3の内部空間よりもやや大判の袋体が用いられ、図3(A)に示すようにその開口端部を開口部3Aの外周部から垂らすようにしてドラム缶3に対して装着する。
【0040】
アスベスト処理方法においては、上述したように1枚の大きな飛散防止袋4を用い、この飛散防止袋4を予めドラム缶3に装着した状態で後述する廃棄物ドラム缶投入工程(S−6)が行われるようにする。アスベスト処理方法においては、作業者がペール缶18から小さな飛散防止袋に廃棄物を投入していた従来の処理方法と比較して作業の効率化を図ることが可能である。また、アスベスト処理方法においては、1枚の大きな飛散防止袋4を用いることにより後述するようにドラム缶3内において廃棄物2を圧縮・減容する処理を行うことを可能とする。
【0041】
廃棄物ドラム缶投入工程(S−6)は、作業者がペール缶18に溜まった廃棄物2を、図3(B)に示すようにドラム缶3内に順次投入する工程である。廃棄物ドラム缶投入工程(S−6)においては、廃棄物2をドラム缶3に投入する際に希釈液も注入して埃の飛散を防止し、また廃棄物2に粘性を付与するようにしてもよい。
【0042】
飛散防止剤希釈液注入工程(S−7)は、ドラム缶3内に上述した希釈液を注入する工程であり、後述する廃棄物圧縮・減容工程(S−8)において注入した希釈液が浸透して廃棄物2に粘性を付与し、圧縮・減容の効率を向上させるとともに接着作用により固化状態が保持されるようにする。なお、希釈液は、ドラム缶3内からの塵埃の飛散を防止するとともに、ドラム缶3の外周部にも振りかけられて搬送、溶解処理時における安全性が確保させるようにする。
【0043】
廃棄物圧縮・減容工程(S−8)は、ドラム缶3内にある程度の廃棄物2が溜まった状態で、ドラム缶3内においてプレス機5により廃棄物2を圧縮して減容するとともに固化する工程である。廃棄物圧縮・減容工程(S−8)は、飛散防止空間部内に予め設置したプレス機5にドラム缶3をセットした状態で、図3(C)に示すようにプランジャ5Aの先端部に設けたプレースプレート5Bにより廃棄物2を圧縮する。廃棄物圧縮・減容工程(S−8)は、飛散防止剤1の希釈液を注入しながら廃棄物2の圧縮を行って廃棄物圧縮体6を形成する。
【0044】
廃棄物圧縮・減容工程(S−8)は、上述したようにドラム缶3内において廃棄物2を圧縮することが可能な適宜のプレス機5を用いることが可能である。プレス機5は、比較的小規模の現場では小型軽量であり駆動源を不要とするとともに清掃等の後処理も手軽に行うことが可能な手動型プレス機を用いてもよい。また、プレス機5は、大量の廃棄物2が発生する現場では大量のプレス作業を効率的に行うことが可能な油圧型プレス機、電動型プレス機或いはエアー型プレス機等の動力型プレス機が用いられる。
【0045】
アスベスト処理方法においては、プレス機5による圧縮処理により内部空間において廃棄物2を減容したドラム缶3が取り出され、再び廃棄物ドラム缶投入工程(S−6)と飛散防止剤希釈液注入工程(S−7)と廃棄物圧縮・減容工程(S−8)を繰り返す。アスベスト処理方法においては、ドラム缶3が廃棄物圧縮体6で満杯となった状態でドラム缶封止工程(S−9)が行われる。なお、ドラム缶封止工程(S−9)は、廃棄物圧縮体6の満杯を条件として実施される工程では無いことは勿論である。
【0046】
廃棄物2は、そのままの状態では空気の含有率が容量比で70%〜80%であり、搬送或いは処理の効率が極めて悪い。また、廃棄物2は、高空気含有率であるために、飛散の危険性も極めて高い。アスベスト処理方法においては、廃棄物2に対して上述した廃棄物圧縮・減容工程(S−8)を施して約1/2程度まで減容化することから、容量効率の向上が図られる。
【0047】
ドラム缶封止工程(S−9)は、開口部3Aの外周部から垂らした飛散防止袋4の開口端部を廃棄物圧縮体6の上面において重ね合わせることにより廃棄物圧縮体6を密閉した状態で、ドラム缶3の開口部3Aに蓋7を被せる。ドラム缶封止工程(S−9)は、ドラム缶3の開口部3Aと蓋7との間を適宜のシールド剤等により封止することにより内部空間に飛散防止袋4を介して廃棄物圧縮体6を封止する。なお、ドラム缶3は、シールド剤を用いて蓋7を組み合わせるばかりでなく、例えば開口部3Aにカシメ処理等を施して蓋7を一体化する。
【0048】
ドラム缶封止工程(S−9)においては、蓋7を一体化した状態でドラム缶3の外周面に危険物、すなわちアスベスト廃棄物在中の表示ラベルを貼り付ける。ドラム缶封止工程(S−9)においては、作業中にアスベスト材を含む粉塵がドラム缶3の外周部に付着する場合もあるので、飛散防止剤1の希釈液を噴霧して付着物の封じ込め処理が行われる。ドラム缶3は、この処理により後工程において安全性を確保して所定の処理が施されることが可能となる。ドラム缶3は、全ての撤去作業が終了するまで、飛散防止空間部内の定められた保管場所に移動されて保管される。
【0049】
アスベスト処理方法においては、アスベスト材使用部位から撤去した廃棄物2をドラム缶3内に完全に密閉した状態とすることから、現場内において一次的に保管することが可能である。アスベスト処理方法においては、安全性を確保するとともに保管処理の合理化を図る。アスベスト処理方法においては、ドラム缶3を飛散防止空間部内からその都度外部の保管場所等に搬送する必要は無く、連続して撤去作業を行うことが可能である。アスベスト処理方法においては、飛散防止袋内に詰め込んでいたために予め届け出でした所定の保管場所に移動して厳重な管理の元で保管する必要があった従来方法との比較で、管理態様が簡易となり、費用の低減或いは移動のための作業の中断による作業効率の低下等の問題を解決する。
【0050】
アスベスト処理方法においては、アスベスト材使用部位から処理計画に基づいてアスベスト材を全て撤去した後に、各種法令に規定される現場回復等の作業後処理工程(S−10)が施される。作業後処理工程(S−10)は、アスベスト材を撤去したアスベスト材使用部位の除去確認と仕上げ処理、作業足場の解体、飛散防止空間部内で使用した全ての工具や機材の洗浄処理等を行う工程である。作業後処理工程(S−10)は、他の現場等で再使用する機材等については、除去基準に基づいて付着したアスベスト材の徹底除去を行い、再使用できない消耗品等についてはドラム缶3内に収納して廃棄物2と同様にして処分される。
【0051】
アスベスト処理方法においては、現場撤収とともに、搬送工程(S−11)によりドラム缶3をトラックに積み込んで溶解炉8への搬送が行われる。アスベスト処理方法においては、上述したドラム缶封止工程(S−9)以降、最終工程の間においてドラム缶3を開封することは無く、アスベスト材を飛散させることは無い。アスベスト処理方法においては、廃棄物2をドラム缶3内に封装した荷姿で搬送を行うことから、途中で万一交通事故等が発生した場合でもアスベスト材を飛散させること無く安全搬送が行われる。
【0052】
なお、搬送工程(S−11)は、トラックが複数の現場を回って、その時点で現場保管されているドラム缶3を積み込んで溶解炉8へと搬送するようにしてもよい。アスベスト処理方法においては、各現場で同一仕様のドラム缶3を用いることにより、複数現場の回収法も混乱を生じること無く安全に実施することが可能である。
【0053】
ドラム缶溶解工程(S−12)は、処理工場に搬入されたドラム缶3を電気溶解炉8により溶解処理する工程である。電気溶解炉8は、例えば製鋼用電気炉であり、炉内に投入された溶解対象物をアーク放電により数千℃に加熱して溶解して溶解物9を取り出す。ドラム缶溶解工程(S−12)においては、ドラム缶3の溶解温度が1600℃程度であることから、電気溶解炉8を停止させることなくトラックから直接或いは荷下ろししたドラム缶3を直接炉内に投入することが可能である。
【0054】
従来のアスベスト溶解処理方法では、飛散防止袋4に詰め込んだ廃棄物2を、運転を停止して炉内を冷えた状態にした溶解炉に投入して溶解処理を行っていた。溶解炉は、停止状態から起動して炉内が所定温度に達するまで長時間がかかるとともに運転コストも莫大となる。また、溶解炉は、停止操作を行って炉内の温度が所定温度まで低下するまで長時間がかかる。したがって、従来のアスベスト溶解処理方法においては、溶解炉の稼働率が極めて悪くかつ運転コストも高額となることからほとんど実用化が図られてはいない。アスベスト処理方法は、ドラム缶3を直接溶解処理することにより、かかる問題点を解決して効率的なアスベスト処理を行うことが可能である。
【0055】
ドラム缶溶解工程(S−12)は、電気溶解炉8内においてドラム缶3を溶解温度の1600℃以上に加熱することにより溶解する。上述したようにアスベスト材は、溶解温度が1500℃であることから、電気溶解炉8内において溶解されることにより無害化が図られる。ドラム缶溶解工程(S−12)においては、電気溶解炉8が炉内の温度管理が行われて所定の炉内温度に保持された状態でドラム缶3を連続して炉内に投入することで、連続運転が行われる。
【0056】
なお、ドラム缶溶解工程(S−12)は、専用の電気溶解炉8を不要とし、既存の電気溶解炉8の有効利用を図るためにドラム缶3と同時に例えば金属スクラップ材を溶解処理することも可能であり、また金属スクラップ材からの製鋼処理に合わせて実施することが可能である。実施の形態では、電気溶解炉8を用いたが、ドラム缶3を溶解可能な適宜の溶解炉を用いてもよい。
【0057】
溶解物分離工程(S−13)は、電気溶解炉8内から溶解物9を取り出し、鉄成分材10と廃棄物再生素材11に分離する工程である。溶解物9には、ドラム缶3が溶融した鉄成分材10と、建材の破片やアスベスト材を含む廃棄物2或いはその他の部材が溶融した廃棄物再生素材11が含まれる。溶解物分離工程(S−13)においては、製鋼工程において一般に実施されている例えば重量差により鉄成分とスラグを分離する等の適宜の方法により鉄成分材10と廃棄物再生素材11を分離する。
【0058】
アスベスト処理方法においては、鉄成分材10を鉄インゴットとして出鋼し、例えば再生ドラム缶等を成形する素材として使用されるようにする。アスベスト処理方法においては、上述したように廃棄物2に含まれるアスベスト材が溶解されて無害化された素材となっており、人工骨材として例えば路盤材、コンクリート骨材等に用いられるようにする。
【0059】
アスベスト処理方法においては、上述したように事前調査を実施する前工程においてアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤1を塗布してアスベスト材を封じ込める飛散防止剤塗布工程飛散防止剤を実施することにより、事前調査段階からの安全性が確保されるようにする。アスベスト処理方法においては、前工程においてアスベスト材の封じ込めが行われていることから、アスベスト材を撤去するアスベスト材撤去工程の簡易化、効率化が図られ全体コストの低減が図られる。
【0060】
アスベスト処理方法においては、アスベスト材撤去工程の実施により発生した廃棄物2を飛散防止空間内においてドラム缶3に投入するとともに圧縮して減容する圧縮・減容工程を施すことにより、大量の廃棄物2を安全性を確保して大量に運搬、処理することが可能である。アスベスト処理方法においては、新規な機材や大規模プラント等を用いることなく、既存のドラム缶3や溶解炉8を用いてアスベスト材の効率的な無害化処理を行うことが可能である。アスベスト処理方法においては、溶解物9から鉄成分材10と路盤材として用いることが可能な廃棄物再生素材11を得ることから、いわゆるエコサイクルも実現する。
【0061】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述した実施の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、様々な変更、置換或いは同等に構成されることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0062】
1 飛散防止剤、2 廃棄物、3 ドラム缶、4 飛散防止袋、5 プレス機、6 廃棄物圧縮体、7 蓋、8 電気溶解炉、9 溶解物、10 鉄成分材、11 廃棄物再生素材、12 動力噴霧機、13 飛散防止剤3倍希釈液、14 エアスプレーガン、15 第1飛散防止層、16 第2飛散防止層、17 トップコート層、18 ペール缶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベスト材を使用したアスベスト材使用部位に対して飛散防止剤を塗布して上記アスベスト材を封じ込める飛散防止剤塗布工程と、
上記アスベスト材使用部位を解体して上記アスベスト材を含む廃棄物を撤去するアスベスト材撤去工程と、
撤去した上記廃棄物を開口部に飛散防止袋を被せたドラム缶内に投入する廃棄物ドラム缶投入工程と、
上記ドラム缶内に上記飛散防止剤の希釈液を注入する飛散防止剤希釈液注入工程と、
上記飛散防止剤希釈液が注入された上記廃棄物に対して上記ドラム缶内において圧縮処理を施して固体化させる廃棄物圧縮・減容工程と、
上記ドラム缶の開口部に蓋を被せて内部を封止することにより上記廃棄物を封装するドラム缶封止工程と、
上記ドラム缶を溶解炉に投入して上記廃棄物とともに溶解するドラム缶溶解工程と、
上記溶解炉から取り出した溶解物から廃棄物再生素材と鉄素材とに分離する分離処理を施す溶解物分離工程と
を有するアスベスト処理方法。
【請求項2】
上記飛散防止剤塗布工程は、アスベスト材の使用状況等を調査して具体的な処理方法の検討、計画を立案し、また関係官庁に対する必要な届け出や申請を行う事前調査工程の前工程として実施する請求項1に記載のアスベスト処理方法。
【請求項3】
上記ドラム缶封止工程は、上記ドラム缶の上記開口部に上記蓋を被せて封止処理を行った状態で、外周部に飛散防止剤を塗布する処理を含む請求項1又は請求項2に記載のアスベスト処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−7445(P2012−7445A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146668(P2010−146668)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(506326833)
【出願人】(310023483)
【Fターム(参考)】