説明

アセトン生成細胞およびアセトンを生成する方法

本発明は、アセトン生成細胞およびアセトンを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトン生成細胞およびアセトンを生成する方法に関する。
【0002】
背景技術
クロストリジウムにおけるABEプロセス
古典的なABE−発酵プロセス、すなわち、アセトン、ブタノールおよびエタノールの微生物による生産は、長い期間に亘って、酵母でのエタノール発酵に次いで世界的に2番目に重要なバイオテクノロジープロセスであった。商業的なABE−発酵は、1916年英国で始まり、これは特にChaim Weizmannが、ソルベントであるアセトン、ブタノールおよびエタノールを形成するクロストリジウムアセトブチロクムの能力を発見したものであった。このプロセスは、以後50年間西側諸国で使用され、それどころか南アフリカではさらに1981年まで、西側諸国で使用されてきた。
【0003】
このプロセスが中止されたのには2つの主な原因があり:一つは、アセトンおよびブタノールの化学合成がますます有利になっていること、かつもう一つは、発酵基質に関するコストが増大していることである。特に、糖蜜に関するコストはウシの飼料添加剤としてのその使用により顕著に値上がりした。
【0004】
石油化学工業における前生成物に関する増加したコストも、さらに微生物における経路工学の分野での新規技術的可能性として、専ら、ソルベント、たとえばアセトンを製造するための、高性能菌株および商業的発酵プロセス開発のための新規オプションを開拓する。
【0005】
古典的なABE−発酵は、微生物クロストリジウムアセトブチリクム(clostridium acetobutylicum)およびクロストリジウムベイエリンキ(clostridium beijerinckii)をベースとする。これら微生物はグラム陽性菌であり、厳格な嫌気性条件下で増殖する。これらの微生物は、単糖類、二糖類および多糖類を変換することができ、その際に、主に発酵中で使用される基質は糖蜜および澱粉である。
【0006】
C.アセトブチリクム(C. acetobutylicum)を用いての発酵プロセスは、2段階に分けられる。第一段階において、バイオマス形成が、アセトネート、ブチレートおよび痕跡量のエタノールを伴って生じる(「酸生成段階」)。第二段階、いわゆる「ソルベント生成段階」において、当該酸は、発酵生成物であるアセトン、ブタノールおよびエタノールを形成するのに役立つ(ABE)。生成物であるアセトン、ブタノールおよびエタノールは、野生型C.アセトブチリクム中で約3:6:1の比で形成される。この生成物比は、選択された培養条件(たとえばpHまたは栄養物質供給)または使用された基質に応じて、顕著に変更することができる。
【0007】
アセトン、ブタノールおよびエタノールのソルベント生合成の酵素は、十分に精製され、かつ生化学的に特徴付けられている(図1参照; Duerre, P., und Bahl, H. 1996. Microbial production of acetone/butanol/isopropanol、Biotechnology, vol 6、第2版1、M. Roehr, (ed.), VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim, Germany,第229-268頁、Duerre, P. 1998. New insights and novel developments in clostridial acetone/butanol/isopropanol fermentation. Appi. Microbiol. Biotechnol.49 第639-648頁)。さらに、C.アセトブチリクム(C. acetobutylicum)のゲノム配列も存在する(Noelling, J., Breton, G., Omelchenko,M.V. &16 othee authors (2001),Genome sequence and comparative analysis of the solent-producing bacterium Clostridum acetobutylicum. J Bacteriol 183, 4823-4838.)。
【0008】
アセトン生成が、ブタノール生成およびエタノール生成と切り離されており、クロストリジウムアセトブチリクム(clostridium acetobutylicum)菌株がすでに作製されており、それにより、当該菌株はアセトンのみを製造する(Mermelstein et al. (1993)、Metabolic engineering of Clostridium acetobutylicum ATCC824 for increased solvent production by enhancement of acetone formation enzyme activities using a synthetic operon. Biotech. Bioeng. 42:1053-1060.; Nair, R.V., and Papoutsakis, E.T. 1994)。アセトンに関して測定された滴定量は、原則、野生型におけるアセトンの濃度を下回る。
【0009】
図2では、アセトン合成のための古典的なクロストリジウムにおいて特徴付けられる物質代謝経路を表す。この経路は、どのようなC−源が使用されるか、あるいはどのような物質代謝経路が確立されているかにかかわらず、すべての微生物において形成される中心的な代謝物質の一つであるアセチル−CoAから出発する。要求される酵素は以下のとおりである:β−ケトチオラーゼ、アセチル−CoA/ブチリル−CoA−トランスフェラーゼの2個のサブユニット、およびアセトアセテート−デカルボキシラーゼ。
【0010】
C.アセトブチリクム(C. acetobutylicum)由来のこれらの酵素のエシャリキアコリ(Escherichia coli)中での異種発現が、アセトン形成を、アセチル−CoAから出発して触媒し(アセトアセテートデカルボキシラーゼ、アセチル−CoA/ブチリル−CoA−トランスフェラーゼおよびチオラーゼ)、当該微生物中で約150mMのアセトン形成を導くが、その際、都合の悪いことに多量のアセテート(50mM)も同時に生じることが示された(Bermejo L. L., N. E. Welker, E. T. Papoutsakis. 1998. Expression of Clostridium acetobutylicum ATCC824 Genes in Escherichia coli for Acetone Production and AcetateDetoxification. Appi. Env. Microbiol. 64:1079-1085)。ここでのさらなる欠点は、アセトンが好気性条件下でのみ生成されることであり、それというのも、ブルコースからアセチル−CoAへの物質代謝の間に生じるレドックス等価物が、E.Coliの嫌気性条件下では再酸化することができないことによる。
【0011】
上記すべての方法は共通して、不利な複雑な炭素源、たとえば糖を必要とするものである。
【0012】
アセトン生成細胞
アセトン生成細胞、すなわち、嫌気性呼吸によりアセトネートを形成する細胞が知られている。
【0013】
アセトン生成細菌には、たとえばアセトバクテリウム属の種類のもの、たとえばA.ウッディイ(A.woodii)およびクロストリジウムアセチクム(Clostridium aceticum)が含まれる。
【0014】
WO0068407には、エタノールを製造するためのアセトン生成細菌の使用が記載されている。
【0015】
近年、C.ユングダリイ(C.ljungdahlii)のゲノム配列が報告された。C.アセチクム(C. acaticum)およびC.カルボキシジホラン(C. carboxidivoran)においては、いまだゲノム配列について開示はない。勿論、C.アセチクム(C. acaticum)が付加的な1個のプラスミドを有することは知られている(5.6kBp、Leeら、1987年)を有することが知られている。現在のところ、これらの微生物を遺伝的に改変するための技術については何ら開示されていない。
【0016】
アセトン生成細菌の群には、末端電子受容体としてCOを利用することができ、かつこれによってアセトネートを形成する嫌気性原核生物が含まれる。現在のところ、21個の異なる属がアセトン生成細菌に含まれ(Drake et al., 2006)、これにはさらにいくつかのクロストリジウム属が含まれる(Drake & Kusel, 2005)。二酸化炭素と水素またはさらに一酸化炭素は、炭素およびエネルギー源として使用することができる(Wood, 1991)。その他、アルコール、アルデヒド、カルボン酸ならびに数多くのヘキソースを、炭素源として利用することができる(Drake et al., 2004)。アセトネートの形成を導く還元的物質代謝経路は、アセチル−CoA経路またはウッド−ユングダール経路(Wood-Ljungdahl-Weg)として特徴付けられる。
【0017】
本発明の課題は、アセトンを汎用性の炭素源から製造することができる方法を提供することである。
【0018】
発明の詳細な説明
驚異的には、以下に記載された細胞により、本発明の課題を解決する方法を見出した。
【0019】
したがって本発明の対象は、請求項1に記載する細胞である。
【0020】
本発明のさらなる対象は、本発明による細胞を用いてアセトンを製造するための方法である。
【0021】
本発明の利点は、細胞を嫌気性であって、それによりエネルギー論的に特に有利に培養することができる。本発明のさらなる利点は、本発明による細胞が、環境的に有害な二酸化炭素の減少に寄与することである。さらに本発明による利点は、二酸化炭素および水素から成るアセトン生成物の収率増加である。
【0022】
本発明の対象は、アセトンを形成することが可能なアセトン化細胞である。
【0023】
用語「アセトン生成細胞」とは、本発明の範囲内で、嫌気呼吸によりアセテートを形成する細胞であると理解される。示されたすべての百分率(%)は、別記しない限りにおいて質量%である。
【0024】
好ましくはアセトン生成細胞とは、単離された、特に遺伝子工学的に改変された細胞である。本発明によれば、好ましくは、二酸化炭素および一酸化炭素を含む群から選択された少なくとも1種の炭素源から、アセトンを形成することを可能にする細胞である。特に好ましくは、本発明によるアセトン生成細胞は、唯一の炭素源として一酸化炭素および二酸化炭素からアセトンを形成することが可能である。組み換え遺伝工学によって、生物系における生成物の収率を改善することができることが知られている。したがって本発明によれば、アセトン生成細胞がその野生型に対して、その野生型と比較してより多くのアセトンを形成することが可能な程度に改変することが好ましい。「その野生型と比較してより多くのアセトンを形成することが可能」との表現は、遺伝子工学的に改変された細胞の野生型が、そもそもアセトンを形成することが可能でないか、少なくともアセトンを検出可能な程度に形成することが可能でなく、かつ遺伝子工学的に改変されることによりはじめて前記成分の検出可能な量を形成することができる場合を意味する。細胞の「野生型」とは、好ましくは、その遺伝子が進化によって当然に生じる状態にある細胞を意味する。この用語は、全細胞に関してのみならず、個々の遺伝子についても使用される。したがって用語「野生型」には、特に、その遺伝子配列が少なくとも部分的にヒトによって組み換え技術により改変された細胞または遺伝子は含まれない。特に、当該細胞は、その野生型と比較してより多くのアセトンを炭素源から形成することができるよう遺伝子工学的に改変されている。これに関して、本発明によれば、好ましくは、アセトン生成細胞は、定められた時間、好ましくは2時間以内、さらに好ましくは8時間以内、かつ特に好ましくは24時間以内に、その細胞の野生型よりも少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも1000倍およびとりわけ好ましくは少なくとも10000倍のアセトンを形成するよう、遺伝子工学的に改変されている。これに関して、生成物形成の増加は、たとえば本発明による細胞およびその野生型細胞をそれぞれ別個に、同一条件(同一の細胞密度、同一の栄養培地、同一の培養条件)下で、適した栄養培地中で培養し、かつ引き続いて、栄養培地中のその目的生成物(アセトン)の量を測定することによって定めることができる。
【0025】
これに関連して、細胞が、その野生型と比較して以下の酵素の少なくとも1種の増加した活性を示すことが好ましい:
アセチル−補酵素Aのアセトアセチル−補酵素Aへの変換を触媒する酵素E
アセトアセチル−補酵素Aのアセトアセテートへの変換を触媒する酵素E
アセトアセテートのアセトンへの変換を触媒する酵素E
【0026】
上述および以下の実施形態において使用される表現「その野生型と比較して酵素Eの増加した活性」は、特に常に、それぞれ酵素Eの少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、さらに好ましくは少なくとも100倍、特に好ましくは少なくとも1000倍、およびとりわけ好ましくは少なくとも10000倍の増加した活性であると理解される。さらに、「その野生型と比較して酵素Eの増加した活性」を示す本発明による細胞は、特にその野生型が、当該酵素Eの活性を示さないか、あるいは少なくとも検出可能な活性を示さない細胞であって、かつ、たとえば過剰発現によって酵素活性を増加させることによりはじめて、当該酵素Eの検出可能な活性を示すものである。これに関連して、用語「過剰発現」であるか、あるいは以下の実施形態で使用される表現「発現の増加」は、出発細胞、たとえば野生型細胞が発現を示さないか、あるいは少なくとも検出可能な発現を示すものではなく、かつ組み換え技術によりはじめて酵素Eの検出可能な発現が誘導される場合も含む。
【0027】
これに関連して、特に好ましい細胞は、細胞中において以下の1種またはそれ以上の酵素が増加している細胞である:E、E、E、E+E、E+E、E+E、E+E+Eであり、ここで、E+E+Eは特に好ましい。
【0028】
さらに本発明によれば、酵素Eがアセチル−CoA−C−アセチルトランスフェラーゼ(EC2.3.1.9)であること;酵素Eがブチレート−アセトアセテート−CoA−トランスフェラーゼ(EC2.8.3.9)またはアシル−CoA−ヒドロラーゼ(EC3.1.2.20)であること;酵素Eがアセトアセテート−デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.4)であること、が好ましい。
【0029】
特に好ましくは、酵素Eとして使用される酵素は、クロストリジウムアセトブチリクムからのthlAである。特に好ましくは、酵素Eとして使用されるブチレート−アセトアセテート−CoA−トランスフェラーゼは、クロストリジウムアセトブチリクムからのctfAおよびctfBおよびエシャリキアコリからのatoDおよびatoAである。特に好ましくは酵素Eとして使用されるアシル−CoAヒドロラーゼは、B.スブチリス(B. subtilis)からのteIIまたはヘモフィルスインフルエンザ(Heamophilus influenzae)からのybgCである。特に好ましくは酵素Eとして使用される酵素は、クロストリジウムアセトブチリクムからのadcである。
【0030】
本発明によるアセトン生成細胞は、好ましくは微生物、好ましくは細菌、および特に好ましくは嫌気性細菌、特に桿状グラム陽性細菌である。特に好ましくは、サーモアナエロバクターキブイ(hermoanaerobacter kivui)、アセトバクテリウムウッディイ(Acetobacterium woodii)、アセトアナエロビウムノテラ(Acetoanaerobium notera)、クロストリジウムアセチクム(Clostridium aceticum)、ブチリバクテリウムメチロトロフィクム(Butyribacterium methylotrophicum)、クロストリジウムアセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)、ムーレラサーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ユーバクテリウムリモスム(Eubacterium limosum)、ペプトストレプトカッカスプロタクツス(Peptostreptococcus productus)、クロストリジウムユングダリイ(Clostridium ljungdahlii)およびクロストリジウムカルボキシジホラン(Clostridium carboxidivorans)から成る群から選択されるアセトン生成細胞である。特に適した細菌は、クロストリジウムカルボキシジホラン(Clostridium carboxidivorans)、特に「P7」および「P11」等の菌株である。このような細胞は、たとえばUS 2007/0275447およびUS 2008/0057554中で記載されている。
【0031】
さらなる特に適した細菌はクロストリジウムユングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、特にクロストリジウムユングダリイPETC(Clostridium ljungdahlii PETC)、クロストリジウムユングダリイERI2(Clostridium ljungdahlii ERI2)、クロストリジウムユングダリイC01(Clostridium ljungdahlli C01)、およびクロストリジウムユングダリイO-52(Clostridium ljungdahlii O-52)から成る群から選択された菌株であり、かつ、WO 98/00558およびWO 00/68407中に記載されている。
【0032】
本発明のさらなる対象は、以下の工程:A)本発明による細胞を、二酸化炭素および一酸化炭素を含む群から選択された少なくとも1種の炭素源を含む栄養培地と接触させ、B)当該細胞を、当該細胞がアセトンを形成することができる条件下で培養し、かつC)場合によっては形成されたアセトンを単離する、を含む、アセトンを製造するための方法である。
【0033】
本発明によるアセトン生成細胞は、好ましくは嫌気性条件下で、二酸化炭素および一酸化炭素を含む群から選択された少なくとも1種の炭素源からのアセトンを形成することが可能である。当該炭素源に関して、当該物質は、炭素源としてCOまたはCOを提供するための存在する数多くの可能な源が開示されている。実際には、本発明の炭素源として、アセトン生成細胞に十分な量の炭素を提供し、それによって当該細胞がその嫌気呼吸を行い、かつアセトンを形成することが可能である、すべてのガスまたはすべてのガス混合物を使用することができる。
【0034】
本発明による方法は、好ましくは炭素源を、廃ガス、たとえば合成ガス、排煙、石油精製工程による廃ガス、酵母発酵またはクロストリジウム発酵により生じるガス、セルロース含有材料の気化または石炭ガス化からの廃ガスにより提供する。これらの廃ガスは、別のプロセスの副生成物として不可欠に生じるものではなければならないことはなく、本発明による方法における使用のために特別に製造することもできる。実際には、本発明の炭素源として、アセトン生成細胞にその嫌気呼吸を行いうるのに十分な炭素量を供給する、すべての廃ガスを使用することができることが明らかである。本発明による方法の好ましい形態において、炭素源は合成ガスである。合成ガスは、たとえば石炭ガス化の副生成物から準備することができる。したがって、アセトン生成細胞は、廃棄生成物である物質を有益な原料に変換する。
【0035】
代替的に、合成ガスは、汎用性の廉価な農産物原料を気化することによって、本発明による方法のために提供することができる。合成ガスに変換することができる原料の多くの例を示すことができ、それというのも、この目的のためにほぼすべての植物群を使用することができるためである。好ましい原料は、多年生の草、たとえば中国葦(Chinaschilf)、穀物残留物(Getreiderueckstaende)、加工廃棄物、たとえばおがくず、から成る群から選択される。
【0036】
一般に、合成ガスは、気化温度において乾燥したバイオマスから、主に熱分解、部分酸化および水蒸気改質によって得られ、その際、主生成物はCO、HおよびCOである。通常は、生成物ガスの一部を精製して生成物収量を最適化し、かつタール形成を回避する。
【0037】
合成ガスおよびCO中の不所望のタールの分解は、石灰および/またはドロマイトの使用下で実施することができる。このプロセスは、詳細にはReed、1981年(Reed, T.B.,1981, Biomass gasification principles and technology, Noves Data Corporation, Park Ridge, NJ.)中に記載されている。種々の源の混合物もまた、炭素源として使用することができる。
【0038】
本発明による方法において使用される栄養培地は、適切な方法でそれぞれの菌株の要求を充足しなければならない。様々な微生物に関する培養培地の記載は、American Society for Bacteriologyの教本「Manual of Methods for General Bacteriology」(Washington D.C., USA, 1981)に含まれている。炭素源の他に、栄養培地は、特に窒素源および燐源、塩ならびにpH調整剤を含有する。
【0039】
窒素供給源として、有機窒素含有化合物、例えばペプトン、イーストエクストラクト、肉ブイヨン、麦芽ブイヨン、コーンスティープリカー、大豆粉、及び尿素又は無機化合物、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、及び硝酸アンモニウムが使用されてよい。前記窒素供給源は、単独で又は混合物として使用されてよい。
【0040】
リン供給源として、リン酸、リン酸水素カリウム又はリン酸水素二カリウム又はこの相応するナトリウム含有塩が、栄養培地中に含まれていてもよい。前記培地は更に、成長に必要な金属塩、例えば硫酸マグネシウム又は硫酸鉄を含有することが必要である。最終的には、必須栄養成長物質、例えばアミノ酸及びビタミンを上述の物質に加えて使用することができる。
【0041】
上述の使用物質は、1回のバッチの形で培養物に添加するか、適した方法で、この培養の間に供給されてよい。前記培養物のpH調節のために、塩基性化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、又はアンモニア水、又は酸性化合物、例えばリン酸、又は硫酸を適した方法で使用する。気泡の発生の調節のために、消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルが使用されてよい。プラスミドの安定性の維持のために前記溶媒に、適した選択的に作用する物質、例えば抗生物質を添加してよい。
【0042】
本発明による方法の工程B)において、アセトン生成細胞を、当該細胞がアセトンを形成することが可能な条件下で培養する。好ましくは、この培養は、嫌気性条件下で実施される。本発明によれば、遺伝子工学的に改変された細胞は、この際、連続的にまたは非連続的に回分培養法(Satzkultivierung)であるいか、あるいは流加培養法(Zulaufverfahren))または反復流加培養法(repetitives Zulaufverfahren)で、アセトンを製造する目的のために栄養培地と接触させて培養することができる。
【0043】
さらに、GB-A-1009370に記載されているような半連続法も可能である。公知の培養方法に関する概要は、Chmielによる教科書(Bioprozesstechnik 1. Einfuehrung in die Bioverfahrenstechnik (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))又はStorhasによる教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen (Vieweg Verlag, Braunschweig/Wiesbaden, 1994))に記載されている。
【0044】
工程b)中でアセトン生成細胞を培養するためのさらなる適した方法は、たとえばDOE報告書「Bench-scale Demonstration of Biological Production of Ethanolfrom Coal Synthesis Gas", Topical Report 5, November 1995 (DOE Contract Number DE-AC22-92PC92118) 」および文献WO 98/00558、WO 00/68407およびWO 02/08438中に記載されている。
【0045】
本発明による方法の工程C)中で、当該細胞により形成されたアセトンは、場合によっては細胞および/または栄養培地から分離することができ、その際、複雑な組成物から低分子量の物質を単離するため当業者に公知のすべての方法を、当該分離のために考慮することができる。
【0046】
たとえば、これに関して、適した溶剤による沈澱、適した溶剤による抽出、複合体化、たとえばシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体による複合体化、結晶化、クロマトグラフ法による精製または単離、あるいは、容易に分離可能な誘導体への変換が挙げられる。
【0047】
特に蒸留分離法は、工程C)中での使用に適している。
【0048】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得られたアセトンである。
【0049】
以下の実施例において本発明を例示的に記載するが、これに関して本発明は、その適用範囲が明細書全体および特許請求の範囲から生じるものであって、当該実施例に挙げられた実施形態に制限されるべきものではない。
【0050】
以下の図面は、開示の一部である:
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】古典的なクロストリジウムのABEプロセスの生合成経路
【図2】C.アセトブチリクム(C.acetobutylicum)中のアセトンの生合成経路
【図3】プラスミドマップpUC_adc_ctfAB_thlA:
【図4】プラスミドマップpIMP_adc_ctfAB_thlA:
【実施例】
【0052】
実施例1:発現ベクターのクローニング
アセトン生成細胞中でアセトンを製造するために、クローニングはE.Coli XL2 blue中で実施された。これに関して、
クロストリジウムアセトブチリクム(Clostridium acetobutylicum)からの遺伝子ctfAおよびctfB、またはE.Coliからの遺伝子atoAおよびatoD、またはB.スブチリス(B.subtilis)からの遺伝子teII等、または同様にヘモフィルスインフルエンザ(Heamophilus influenzae)からの遺伝子ybgCを、C.アセトブチリクム(C.acetobutylicum)からの遺伝子thlAおよびadcと一緒に、プラスミドpIMP1(Mermelstein et al., 1992)上に配列した。
【0053】
相当する発現プラスミドの概要は、第1表に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
遺伝子のクローニングを連続的に実施した。これに関して先ずオリゴヌクレオチド(第2表)を、相当する切断部位を挿入しながら当該遺伝子を増幅させるためにデザインし、引き続いてすべてのフラグメントを増幅した。
【0056】
【表2】

【0057】
相当するフラグメントは、ゲノムDNAから従来のPCR法により増幅させ、電気泳動により分離し、かつ精製した。
【0058】
pUC_adc_ctfAB_thlAの作製:
最初の工程において、adcを切断部位Acc65IおよびEcoRIを介して、ベクターpUC18中でクローニングし、かつ引き続いてthlAをSalIおよびBamHlを介して導入した。最終工程において、ctfAおよびctfBは、C.アセトブチリクム中でオペロンとして構成されていることから一の工程で、切断部位BamHlおよびAcc65Iを介してクローニングした。このようにして得られたベクターpUC_adc_ctfAB_thlAは、アセトン製造のために必要な遺伝子のみをオペロン中に構成しているものである。
【0059】
図3は、生じるpUCプラスミドを示す。
【0060】
pIMP_adc_ctfAB_thIAの作製:
引き続いて、ベクターpIMPI中での遺伝子カセットの再クローニングを、制限エンドヌクレアーゼSalIおよびEcoRIを介して実施し、これにより発現プラスミドpIMP_adc_ctfAB_thlAgaが得られた(図4参照)。
【0061】
pIMP_adc_atoDA_thlA、pIMP_adc_teII_thlAおよびpIMP_adc_ybgC_thlAの製造:
ベクターpIMP_adc_atoDA_thlA、pIMP_adc_teII_thlAおよびpIMP_adc_ybgC_thlAを作製するために、遺伝子ctfAおよびctfB をベクターPIMP_adc_ctfAB_thlAから制限部位BamHIおよびAcc65Iを介して切り出した。E.Coli中でオペロン中に構成されるatoDおよびatoAを増幅させ、かつ同様に切断部位BamHIおよびAcc65Iが作製されていたB.スブチリス(B.subtilis)から遺伝子teIIおよびH.インフルエンザ(H.influenzae)からの遺伝子ybgCを増幅させた。
【0062】
これらのフラグメントは、まずベクターpDrive (atoDA)またはpUC19 (teII und ybgC)中でクローニングした。引き続いて、pDriveベクターまたはpUCベクターからのこれらの遺伝子を再クローニングし、ここで遺伝子カセットは、切断部位BamRlおよびAcc65Iを介して切り出し、精製し、かつ上記のように制限し(Acc65IおよびBamHl)、かつ精製されたベクター骨格pIMP_adc_ctfAB_thlAとライゲートした。
【0063】
例2:E.Coli中のアセトン合成:
すべての得られるプラスミド変異体(第1表参照)は、E.Coliクローニング菌株XL2−blue中でのその機能を制御するためにアセトン形成について試験した。この分析は、アンピシリン(100μg/ml)を含むTY培地中で100mlのスケールで実施した。相当する予備培養物からの接種後に、光学密度(600nm)0.1まで37℃および150Urmでインキュベートした。光学密度は測光的に実施し、かつ定められた時点まで、約50時間に亘って試料を引き出し、かつ細胞不含の培地上清中でのアセトンおよびアセテートの濃度をガスクロマトグラフにより測定した。これによれば、クロストリジウム由来の遺伝子(thIAおよびadc)と、E.ColiからのatoDAとの組合せを用いて、80mMまでのアセトンが製造されることが示された。純粋なクロストリジウム由来の遺伝子(thIA、ctfAB、adc)を用いた場合には5mMのアセトンが製造され、かつ、クロストリジウム由来の遺伝子(thIAおよびadc)と、B.スブチリスからのteIIまたはH.インフルエンザからのybgCとの組合せを用いた場合には、1mMのアセトンが製造された。
【0064】
例3:アセトン生成細胞によるアセトン製造
使用されたクロストリジウム菌株に応じて、種々の培地を使用した:
C.カルボキシジホラン(C. carboxidivoran)またはC.ユングダハリイ(C. ljungdhalii)のための培地を製造するために試薬を計量供給し、水中に溶解し、かつ引き続いてpH−値を調整した。さらに、酸化還元指示薬レサズリン(1mg/l)を添加して、酸化還元電位、およびそれによる酸素含量をその後に試験することができる。引き続いて、培地をマントルヒーター(Heizpilz)中で煮沸し、かつ氷浴中で冷却した。この間、窒素を用いて脱気することで溶解した酸素を除去した。その後に、培地を嫌気性チャンバー中に入れ、その最終容量を無酸素水で調整し、詰め替え、かつ気密的に栓をした。さらなるガス相を窒素として使用すべき場合には、引き続いてガス交換を行い、その際、培地を相当するガスで長いカニューレによりガス処理し、かつ最終的に約0.8バールの減圧を適用した。
【0065】
C.アセチクム(C.aceticum)のための培地に関しては、すべての成分を計量供給し、溶解し、かつ詰め替えた。さらに、酸化還元指示薬レサズリン(1mg/l)を添加して、酸化還元電位およびそれによる酸素含量をその後に試験した。引き続いて、カニューレを介して80%のNおよび20%のCOからなる混合物でガス処理して、pH7.4まで達成した。さらにここでは減圧を適用した。オートクレーブ後に、滅菌済NaCOを、嫌気性5%濃度のNaCO溶液の形で添加して、pH8.2を達成した。さらにフルクトースは滅菌的に1%の最終濃度になるまで添加した。無機栄養増殖は、80%のHおよび20%のCOからなるガス雰囲気を生じた。
【0066】
すべての培地は121℃および1.2バールで、15分に亘ってオートクレーブした。いくつかの培地成分については別個にオートクレーブし、これら成分の互いの化学的反応を回避した。熱感受性成分については、溶解、滅菌して、かつ、冷却されたオートクレーブ済媒体に使用前に添加した。
【0067】
固体培地の製造のために、1.5%(w/v)のアガーをオートクレーブ前に添加し、かつ直後に、嫌気性チャンバー中でこれをペトリ皿中に注ぎ入れた。注ぎ入れた後に、このプレートを数日間乾燥させ、かつ使用まで4℃に置いた。
【0068】
【表3】

【0069】
オートクレーブ後に、25ml l−lの5%濃度のNaCO溶液を添加して、pH8.2を達成した。さらにフルクトースを滅菌的に、全培地に対して1質量%の最終濃度になるまで添加した。無機栄養増殖のために、オートクレーブ前に80%のHおよび20%のCOからなるガス雰囲気を生じた。
【0070】
【表4】

【0071】
pHは、煮沸および嫌気処理前に5.6に調整し、かつオートクレーブ後に10mlの還元剤1(以下参照)を添加し、それによりpHは6.0となった。
【0072】
【表5】

【0073】
煮沸および嫌気処理前にpHを5.5に調整した。オートクレーブ後に20mlの滅菌済フルクトース溶液(250g/l)およびそれぞれ5mlの還元剤1および2(以下参照)を添加し、それによりpHは5.9となった。
【0074】
還元剤1
1.8gのNaOHを200mlの水中に溶解し、煮沸し、かつ窒素ガス処理下で冷却した。嫌気性チャンバー中で100mlの無酸素NaOH中に、まず4gのL−システイン−HClおよび引き続いて4gのNa・9HOを溶解し、かつ引き続いてオートクレーブを行った。
【0075】
還元剤2
1.8gのNaOHを200mlの水中に溶解し、煮沸し、かつ窒素ガス処理下で冷却した。嫌気性チャンバー中で、100mlの無酸素NaOH中に、4gのL−システイン−HClを溶解し、かつ引き続いてオートクレーブした。
【0076】
【表6】

【0077】
まず、ニトロ酢酸を完全に水中に溶解し、そのpH値を、水酸化カリウムを用いて6.0に調整し、かつその後に他の成分を溶解した。
【0078】
【表7】

【0079】
E.ColiX−12−blue中で構築されたプラスミドを、引き続いてアセトン生成クロストリジウム中で、結合(Purdy et al., 2002)または形質転換によって挿入し、それによって組み換え菌株は、アセトンを形成する能力を獲得した。
【0080】
結合試験のために、E.Coliドナー菌株CA434を、LB−培地中でトランスフェクトすべきプラスミドを好気的に一晩に亘って増殖させた。1mlのアリコートを、1分間、10000×gで遠心分離し、かつ細胞沈殿物を嫌気性チャンバー中で、1mlの滅菌済無酸素PBS−バッファー(1.5 mM KH2P04、4.2 mM Na2HP04、137 mM NaCI、2.7 mM KC1)中で注意深く懸濁して、結合した線毛(Pili)の剪断を回避した。この細胞について再度遠心分離をおこない、かつ200μlの一晩に亘って相当する培地中で洗浄したクロストリジウム培養物を取り出した。嫌気性チャンバー中で、これらの混合物を良く乾燥させたアガープレート上に、10μlの液滴で分配し、かつ37℃で6時間に亘って嫌気的に培養した。引き続いて細胞を2〜3回、それぞれ0.5mlの滅菌済無酸素PBSバッファーを用いてアガープレートから洗い出した。結合体混合物は、選択的アガープレート(クラリトロマイシン)上にプレーティングし、かつ嫌気的に37℃にインキュベートした。
【0081】
形質転換のために、クロストリジウム細胞を50mlのC.アセチクム−培地中で、40mMのDL−トレオニンを用いて30℃で、0.3〜0.4の光学密度まで増殖させた。以下の工程を、嫌気性チャンバー中で実施した。ここで、細胞を回収し(600Upm、10分、RT)、2回に亘ってSMP−バッファー(270 mM サッカロース、1 mM MgCl2、7 mM NaH2PO4)で洗浄し、かつ最終的に500〜700μlのSMP−バッファー中に収容し、かつこれを形質転換において使用した。さらに細胞を、電気泳動キュベット(4mm)中に移し、かつ0.5〜1.5μgのプラスミドDNAと混合した。5分のインキュベーション後に、電気泳動を25μF、600オームおよび1.5kVで、Gene-Pulser(Bio-Rad Laboratories GmbH; Muenchen)中で4mMのキュベット(Biozym Scientific GmbH)を用いて行った。引き続いて、当該細胞を、直ぐに5mlの予め加熱された培地中に入れた。耐性獲得のためのインキュベーションを37℃で、一晩から4日までに亘って行い、それに引き続いてクラリトロマイシン(5μg ml−1)を含む5mlの培地を接種し、かつ3〜5日間に亘って37℃でインキュベートした。形質転換を試験するために、プラスミドの単離を、pegGOLD(登録商標)プラスミドミニプレップキットII(peqGOLD(登録商標) Plasmid Miniprep Kit II)(Peqlab, Eriangen)を用いて行った。調製は、製造者の指示にしたがって実施し、その際、すべてのオプション工程を行った。引き続いて「プラスミド回収」を行い、その際、E.Coli菌株XL2−blueを使用し、かつそれに基づいて制限酵素による消化を行った。
【0082】
すべての得られたプラスミド変異体(第1表参照)は、無機栄養性クロストリジウム中でアセトン形成について試験した。この分析は、クラリトロマイシン(5μg/ml)を含む相当する培地中の50mlのスケールで実施した。相当する予備培養物からの接種後に、インキュベーションを37℃で実施した。培地の必要なガス処理は、培地製造の際に実施した。ここで、合成ガスであるか、あるいはCO/H混合物を1:2の比で使用した。光学密度を測光的に実施し、かつ定められた時点まで約100〜200時間に亘って試料を引き出し、かつ、細胞不含の培地上清中のアセトンおよびアセテートの濃度をガスクロマトグラフにより測定した。これに関して、クロストリジウム遺伝子(thIAおよびadc)とE.ColiからのatoDAとの組合せ、およびクロストリジウム遺伝子 (thIAおよびadc)とB.スブチリス(B. subtilis)からのteIIまたはH.インフルエンザ(H. influenzae)からのybgCとの組合せを用いて、1mMまでのアセトンを製造した。純粋なクロストリジウム遺伝子(thIA、ctfAB、adc)を用いて、0.24mMまでのアセトンを製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセトンを形成することが可能なアセトン生成細胞。
【請求項2】
二酸化炭素および一酸化炭素を含む群から選択された少なくとも1種の炭素源から、アセトンを形成することが可能な、請求項1に記載のアセトン生成細胞。
【請求項3】
細胞の野生型と比較してより多くのアセトンを形成することが可能である程度に、当該野生型に対して遺伝子工学的改変が施されたものである、請求項1に記載のアセトン生成細胞。
【請求項4】
細胞の野生型と比較して少なくとも1種の以下の酵素:
アセチル−補酵素Aからアセトアセチル−補酵素Aへの変換を触媒する酵素E
アセトアセチル−補酵素Aからアセテートへの変換を触媒する酵素E
アセテートからアセトンへの変換を触媒する酵素E
の増加した活性を示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載のアセトン生成細胞。
【請求項5】
酵素Eが、アセチル−CoA−C−アセチルトランスフェラーゼ(EC2.3.1.9)であり;
酵素Eが、ブチレート−アセトアセテート−CoA−トランスフェラーゼ(EC2.8.3.9)またはアシル−CoA−ヒドロラーゼ(EC3.1.2.20)であり;
酵素Eが、アセトアセテート−デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.4)である、請求項4に記載のアセトン生成細胞。
【請求項6】
サーモアナエロバクターキブイ、アセトバクテリウムウッディイ、アセトアナエロビウムノテラ、クロストリジウムアセチクム、ブチリバクテリウムメチロトロフィクム、クロストリジウムアセトブチリクム、ムーレラサーモアセチカ、ユーバクテリウムリモスム、ペプトストレプトカッカスプロタクツス、クロストリジウムユングダリイおよびクロストリジウムカルボキシジホランから成る群から選択された微生物である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のアセトン生成細胞。
【請求項7】
以下の工程:
A)請求項1から6までのいずれか1項に記載の細胞を、二酸化炭素および一酸化炭素を含む群から選択された少なくとも1種の炭素源を含む栄養培地と接触させ;
B)当該細胞がアセトンを形成することができる条件下で、当該細胞を培養し;
C)場合により、形成されたアセトンを単離する、
を含む、アセトンを製造する方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法によって製造されたアセトン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−524529(P2012−524529A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506411(P2012−506411)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052244
【国際公開番号】WO2010/121849
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】