説明

アップリンク・タイミング制御

【課題】無線通信ネットワークにおいてタイミング更新値を評価して利用することを容易にするシステムおよび方法論を提供する。
【解決手段】タイミング調節コマンドが常にある期間内に送られる場合、基地局は、定期的なタイミング更新とは逆に、必要ベースで、モバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを送信することができる。しかしながら、モバイル・デバイスは、タイミング調節メッセージをモニタするためにアウェイクし続ける必要があり、これは、電力を多く消費する。一方、定期的な更新によって、モバイル・デバイスは、それ自身のタイミング調節があるかをチェックするためにウェイク・アップし、無いのであれば、スリープ・モードに戻る。提案された方法によって、モバイル・デバイスは、ウェイクすると、タイミング調節コマンドをチェックするために、ある期間スリープすることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
この出願は、2007年3月19日に出願され "UL TIMING CONTROL" と題された米国特許仮出願60/895,685号の利益を主張する。上記出願の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
以下の記述は、一般に、無線通信に関し、さらに詳しくは、アップリンク・タイミング制御に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、例えば、音声、データ等のような様々なタイプの通信コンテンツを提供するために広く展開している。一般的な無線通信システムは、利用可能なシステム・リソース(例えば帯域幅、送信電力等)を共有することにより多数のユーザとの通信をサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム等を含みうる。さらに、これらシステムは、第3世代パートナシップ計画(3GPP)、3GPPロング・ターム・イボリューション(LTE)等のような仕様に準拠しうる。
【0004】
通常、無線多元接続通信システムは、同時に多数のモバイル・デバイスのための通信をサポートすることができる。おのおののモバイル・デバイスは順方向リンクおよび逆方向リンクによって1または複数の基地局と通信することができる。順方向リンク(すなわちダウンリンク)は、基地局からモバイル・デバイスへの通信リンクを称し、逆方向リンク(すなわちアップリンク)は、モバイル・デバイスから基地局への通信リンクを称する。さらに、モバイル・デバイスと基地局との間の通信は、単一入力単一出力(SISO)システム、複数入力単一出力(MISO)システム、複数入力複数出力(MIMO)システム等によって確立されうる。さらに、モバイル・デバイスは、ピア・ツー・ピア無線ネットワーク構成で、他のモバイル・デバイスと(および/または、基地局が、他の基地局と)通信することができる。
【0005】
MIMOシステムは、データ送信のために、一般に複数(N個の)送信アンテナと、複数(N個の)受信アンテナとを利用する。N個の送信アンテナおよびN個の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルは、空間チャネルと称されるN個の独立チャネルへ分解されうる。ここで、N≦{N,N}である。N個の独立したチャネルのおのおのはディメンションに相当する。さらに、複数の送信アンテナおよび受信アンテナによってさらなるディメンションが生成される場合、MIMOシステムは、改善されたパフォーマンス(例えば、高められたスペクトル効率、より高いスループット、および/または、より向上した信頼性)を提供することができる。
【0006】
MIMOシステムは、共通物理媒体によって順方向リンク通信および逆方向リンク通信を分割する様々な二重化技術をサポートする。例えば、周波数分割二重化(FDD)システムは、順方向リンク通信および逆方向リンク通信のために異なる周波数領域を利用することができる。さらに、時分割二重化(TDD)システムでは、順方向リンク通信と逆方向リンク通信とが、共通の周波数領域を利用することができる。しかしながら、従来の技術は、チャネル情報に関する制限されたフィードバックしか提供しないか、あるいは、フィードバックを提供しない。
【発明の概要】
【0007】
以下は、そのような実施形態の基本的な理解を提供するために、1または複数の実施形態の簡略化された概要を示す。この概要は、考えられる全ての実施形態の広範な概観ではなく、全ての実施形態の重要要素や決定的要素を特定することでも、任意または全ての実施形態の範囲を線引きすることでもないことが意図される。その唯一の目的は、1または複数の実施形態の幾つかの概念を、後に示されるより詳細な説明の前置きとして簡単な形式で示すことである。
【0008】
局面によれば、本明細書では、タイミング調節を得る方法が記述される。この方法は、スリープ・モードに入ることを備えうる。さらに、この方法は、予め定めた期間の経過後、スリープ・モードからウェイクすることを含む。さらに、この方法は、タイミング調節コマンドが発行するかを判定することを備える。この方法はまた、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節することと、スリープ・モードに再び入ることとを備えうる。
【0009】
他の局面は、タイマが終了するまでスリープし、タイマの終了後にウェイクし、タイミング調節コマンドが発行するかを評価し、発行されたコマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節することに関連する命令群を保持するメモリを備える無線通信装置に関する。この無線通信装置はさらに、メモリに接続されメモリに保持された命令群を実行するように構成されたプロセッサをも含みうる。
【0010】
また別の局面は、タイミング調節を取得する場合に節電を容易にする無線通信装置に関する。この装置は、スリープ・モードに入る手段を含みうる。この装置はさらに、予め定めた期間の経過後、スリープ・モードからウェイクする手段を備える。さらに、この無線通信装置は、タイミング調節コマンドが発行するかを判定する手段を含みうる。さらに、この装置は、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節する手段と、スリープ・モードに再び入る手段とを備える。
【0011】
また別の局面は、スリープ・モードに入り、予め定めた期間の経過後にスリープ・モードからウェイクするための、格納された機械実行可能な命令群を有する機械読取可能媒体に関する。さらに、この機械読取可能媒体は、タイミング調節コマンドが発行するかを判定するための命令群を備えうる。さらに、この機械読取可能媒体は、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節し、スリープ・モードに再び入るための命令群を含みうる。
【0012】
別の局面によれば、装置は、無線通信システムにおける集積回路を備えうる。この集積回路は、装置をスリープ・モードにするように構成されうる。この集積回路はさらに、予め定めた期間の経過後、装置をスリープ・モードからウェイクさせるように構成されうる。さらに、この集積回路は、タイミング調節コマンドが発行するかを判定するように構成されうる。さらに、この集積回路は、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節するように構成されうる。
【0013】
また別の局面によれば、本明細書において、タイミングを更新する方法が記載される。この方法は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信することを含みうる。この方法はさらに、この受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスが、タイミング更新を必要としているかを判定することを含みうる。さらに、この方法は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのために、タイミング調節値を評価することを備えうる。この方法はさらに、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへ、タイミング調節コマンドを発行することを含む。
【0014】
本明細書に記載された他の局面は、メモリを含む無線通信装置に関する。このメモリは、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信し、この受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定し、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価し、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを発行することに関連する命令群を保持しうる。さらに、この無線通信装置は、メモリに接続されたメモリに保持されたこれら命令群を実行するように構成されたプロセッサを含みうる。
【0015】
さらに別の局面は、低減されたオーバヘッドを用いてタイミングを交信することを容易にする無線通信装置に関する。この装置は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信する手段を備えうる。この装置はまた、この受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスが、タイミング更新を必要としているかを判定する手段を備えうる。さらに、この装置は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価する手段を含みうる。さらに、この装置はまた、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへ、タイミング調節コマンドを発行する手段を含みうる。
【0016】
さらに別の局面は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信するための、格納された機械実行可能な命令群を有する機械読取可能媒体に関する。この機械読取可能媒体はさらに、この受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定することに関連する命令群を含みうる。さらに、この機械読取可能媒体は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価するための命令群を備える。この機械読取可能媒体はまた、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを発行するための命令群を含みうる。
【0017】
本明細書に記載されたさらなる局面は、集積回路を備える無線通信システムにおける装置に関する。この集積回路は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信するように構成されうる。この集積回路はさらに、この受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定するように構成されうる。さらに、この集積回路は、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価し、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを発行するように構成されうる。
【0018】
前述した目的および関連する目的を達成するために、1または複数の実施形態は、後に十分に記載され特に請求項において指摘される特徴を備えている。以下の記載および添付図面は、1または複数の実施形態のある例示的な局面を詳細に述べている。しかしながら、これらの局面は、様々な実施形態の原理が適用され、記載された実施形態がそのような全ての局面およびそれらの等価物を含むことが意図されている様々な方法のうちの僅かを示すに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本明細書で述べられた様々な局面に従った無線通信システムの実例である。
【図2】図2は、無線通信環境において適用するための通信装置の実例である。
【図3】図3は、アップリンク・タイミング制御を容易にする無線通信システムの実例である。
【図4】図4は、主題とする開示の局面にしたがうセクタの実例である。
【図5】図5は、無線通信ネットワークにおいてタイミング更新を提供することを容易にする方法論の実例である。
【図6】図6は、タイミング更新を得ている間、節電を容易にする方法論の実例である。
【図7】図7は、タイミング調節値を取得し利用することを容易にするモバイル・デバイスの実例である。
【図8】図8は、アップリンク・チャネルのためのタイミング更新値を評価し、送信し、受信することを容易にするシステムの実例である。
【図9】図9は、本明細書に記述された様々なシステムおよび方法と共に使用することができる無線ネットワーク環境の実例である。
【図10】図10は、アップリンク・タイミングを制御するためにタイミング調節値を利用するシステムの実例である。
【図11】図11は、タイミング調節値を評価して送信するシステムの実例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
様々な実施形態が、同一要素を参照するために全体を通じて同一符番が用いられている図面を参照して説明される。以下の記載では、説明の目的のために、1または複数の実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられる。しかしながら、そのような実施形態は、これら具体的な詳細無しで実現されうることが明確である。他の事例では、周知の構成およびデバイスが、1または複数の実施形態の説明を容易にするために、ブロック図形式で示される。
【0021】
本願で使用されるように、用語「構成要素」、「モジュール」、「システム」等は、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、および/または、これらの任意の組み合わせであるコンピュータ関連エンティティを称することが意図される。例えば、構成要素は、限定される訳ではないが、プロセッサ上で実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行形式、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータでありうる。例示によれば、コンピュータ・デバイス上で実行中のアプリケーションと、コンピュータ・デバイスとの両方が構成要素になりえる。1または複数の構成要素は、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在し、構成要素は、1または複数のコンピュータに局在化されるか、および/または、2またはそれ以上のコンピュータに分散されうる。さらに、これらの構成要素は、様々なデータ構造を格納して有する様々なコンピュータ読取可能媒体から実行可能である。これら構成要素は、例えば1または複数のデータ(例えば、信号によってローカル・システムや分散システム内の他の構成要素とインタラクトする1つの構成要素からのデータ、および/または、他のシステムを備えた例えばインターネットのようなネットワークを介して他の構成要素とインタラクトする1つの構成要素からのデータ)のパケットを有する信号にしたがって、ローカル処理および/またはリモート処理によって通信することができる。
【0022】
さらに、本明細書では様々な実施形態が、モバイル・デバイスに関連して記載される。モバイル・デバイスは、システム、加入者ユニット、加入者局、モバイル局、モバイル、遠隔局、遠隔端末、アクセス端末、ユーザ端末、端末、無線通信デバイス、ユーザ・エージェント、ユーザ・デバイス、またはユーザ機器(UE)とも称されうる。モバイル・デバイスは、セルラ電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(SIP)電話、無線ローカル・ループ(WLL)局、携帯情報端末(PDA)、無線接続機能を有するハンドヘルド・デバイス、コンピュータ・デバイス、あるいは、無線モデムに接続されたその他の処理デバイスでありうる。さらに、本明細書では、様々な実施形態が、基地局に関して説明される。基地局は、モバイル・デバイスと通信するために利用され、アクセス・ポイント、ノードB、またはその他幾つかの専門用語でも称されうる。
【0023】
さらに、本明細書に記載の様々な局面または特徴は、標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を用いた方法、装置、または製造物品として実現されうる。本明細書で使用される用語「製造物品」は、任意のコンピュータ読取可能デバイス、キャリア、あるいは媒体からアクセスすることが可能なコンピュータ・プログラムを含むことが意図される。例えば、コンピュータ読取可能媒体は、限定される訳ではないが、磁気記憶装置(例えば、ハード・ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストライプ等)、光ディスク(例えば、コンパクト・ディスク(CD)、DVD等)、スマート・カード、およびフラッシュ・メモリ・デバイス(例えば、EPROM、カード、スティック、キー・ドライブ等)を含みうる。さらに、本明細書に記述された様々な記憶媒体は、情報を格納するための1または複数のデバイスおよび/またはその他の機械読取可能媒体を示すことができる。用語「機械読取可能媒体」は、限定することなく、命令(群)および/またはデータを格納、包含、および/または搬送することが可能な無線チャネルおよびその他様々な媒体を含みうる。
【0024】
図1に示すように、無線通信システム100が、本明細書に示された様々な実施形態に従って例示される。システム100は、複数のアンテナ・グループを含むことができる基地局102を備える。例えば、1つのアンテナ・グループは、アンテナ104およびアンテナ106を含むことができ、別のグループはアンテナ108およびアンテナ110を備えることができ、さらに別のグループはアンテナ112およびアンテナ114を含むことができる。おのおののアンテナ・グループについて2つのアンテナが例示されているが、おのおののグループについて、それよりも多いあるいはそれよりも少ないアンテナが適用されうる。基地局102はさらに、送信機チェーンおよび受信機チェーンを含みうる。それらのおのおのは、当業者によって理解されるように、信号の送信および受信に関連する複数の構成要素(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えうる。
【0025】
基地局102は、例えばモバイル・デバイス116およびモバイル・デバイス122のような1または複数のモバイル・デバイスと通信することができる。しかしながら、基地局102は、モバイル・デバイス116およびモバイル・デバイス122に類似した実質的に任意の数のモバイル・デバイスと通信しうることが理解されるべきである。モバイル・デバイス116およびモバイル・デバイス122は例えば、セルラ電話、スマート・フォン、ラップトップ、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド・コンピュータ・デバイス、衛星ラジオ、全地球測位システム、PDA、および/または、無線通信システム100を介して通信するのに適切なその他任意のデバイスでありうる。図示するように、モバイル・デバイス116は、アンテナ112およびアンテナ114と通信している。ここで、アンテナ112およびアンテナ114は、順方向リンク118によってモバイル・デバイス116へ情報を送信し、逆方向リンク120によってモバイル・デバイス116から情報を受信する。さらに、モバイル・デバイス122はアンテナ104およびアンテナ106と通信している。ここで、アンテナ104およびアンテナ106は、順方向リンク124でモバイル・デバイス122へ情報を送信し、逆方向リンク126でモバイル・デバイス122から情報を受信する。周波数分割デュプレクス(FDD)システムでは、例えば、順方向リンク118は、逆方向リンク120によって使用されるものとは異なる周波数帯域を使用し、順方向リンク124は、逆方向リンク126によって使用されるものとは異なる周波数帯域を使用することができる。さらに、時分割デュプレクス(TDD)システムでは、順方向リンク118および逆方向リンク120は、共通の周波数帯域を使用し、順方向リンク124および逆方向リンク126は、共通の周波数帯域を使用することができる。
【0026】
通信するように指定された領域および/またはアンテナのグループのおのおのは、基地局102のセクタと称されうる。例えば、アンテナ・グループは、基地局102によってカバーされた領域のセクタ内のモバイル・デバイスに通信するように設計されうる。順方向リンク118および順方向リンク124による通信では、基地局102の送信アンテナは、モバイル・デバイス116およびモバイル・デバイス122のための順方向リンク118および順方向リンク124の信号対雑音比を改善するためにビームフォーミングを利用することができる。また、基地局102が、関連する有効範囲にランダムに散在したモバイル・デバイス116、112に送信するためにビームフォーミングを利用している間、近隣セル内のモバイル・デバイスは、全てのモバイル・デバイスに対して単一アンテナによって送信している基地局に比べて、少ない干渉しか被らない。さらに、モバイル・デバイス116およびモバイル・デバイス122は、図示するように、ピア・トゥ・ピアまたはアド・ホック技術を用いて互いに直接的に通信することができる。
【0027】
図2では、無線通信環境内で適用するための通信装置200が例示されている。この通信装置200は、基地局あるいはその一部、モバイル・デバイスあるいはその一部、あるいは無線通信環境で送信されたデータを受信する実質的に任意の通信装置でありうる。通信システムでは、送信機と受信機との間の通信タイミングは、調整を要する。したがって、通信装置200は、タイミング同期を維持するために、以下に述べるような構成要素を適用する。通信装置200は、通信装置200を予め定めた期間、スリープ・モードに保つスリープ・タイマ202と、タイミング調節コマンドが発行されたかを判定するタイミング調節受信機204と、タイミング調節コマンドが発行されると、通信装置200の通信タイミングを更新するために、タイミング調節コマンドを実行するタイミング・アジャスタ206とを含みうる。通信デバイス200は、タイミング調節コマンドを受信し、タイミング調節コマンドを求めてチャネルを連続的にモニタすることなく、タイミング調節コマンドにしたがってタイミングを調節する。したがって、通信デバイス200は、節電することができる。
【0028】
一例によれば、通信装置200は、タイミング更新を必要としうる。これは、例えば、通信装置200が通信セクタまたはセル内を移動すること、通信装置200と通信している別のデバイスがセクタを横切ること、伝搬条件が変化すること等によって生じる。スリープ・タイマ202によってモニタされている通信装置200は、スリープ・モードに入ることができる。スリープ・タイマ202は、予め定めた時間が経過するまで通信装置200をスリープ・モードに保つ。例示によれば、スリープ・タイマ202は、予め定めた時間の経過後に終了するタイマ・メカニズムを保持しうる。局面によれば、このタイマ・メカニズムは、通信装置200がスリープ・モードに入った場合に起動する(例えば、クロックをスタートさせる)ことができる。1つの実施形態では、この予め定めた期間は、秒のオーダでありうる。スリープ・タイマ202が終了すると、通信装置はウェイクする。
【0029】
ウェイクすると、タイミング調節受信機204が、タイミング調節コマンドが発行されたかをチェックする。例えば、タイミング調節受信機204は、タイミング調節コマンドが送信されたかを判定するために、ダウンリンク物理チャネルを読み取ることができる。タイミング調節コマンドが発行されていないことをタイミング調節受信機204が確認すると、スリープ・タイマ202が再起動し、予め定めた時間によって定義された別の期間にわたって、通信装置200をスリープ・モードに戻す。タイミング調節受信機204が、タイミング調節コマンドを発見すると、このコマンドはタイミング・アジャスタ206へ転送される。タイミング・アジャスタ206は、タイミング調節コマンドに基づいて、通信リンクのタイミングを調節しうる。例えば、タイミング・アジャスタ206は、モバイル・デバイスのアップリンク・タイミングを更新することができる。調節後、通信デバイス200は、スリープ・モードに再び入るか、あるいは、他のデータ送信を続ける。
【0030】
さらに、図示されていないが、通信装置200は、スリープ・タイマを維持すること、タイミング調節コマンドをチェックすること、タイミング調節コマンドを受信すること、タイミング調節コマンドに基づいてタイミング調節を行うこと等に関する命令群を保持するメモリを含みうることが認識されるべきである。さらに、通信装置200は、命令群(メモリ内に保持された命令群、個別のソースから取得された命令群、等)を実行することに関連して利用されるプロセッサを含みうる。
【0031】
次に図3に示すように、送信オーバヘッドを低減しかつ節電しながら、通信パーティ間のタイミング制御を提供しうる無線通信システム300が例示されている。このシステム300は、モバイル・デバイス304(および/または、(図示しない)任意の数の別のモバイル・デバイス)と通信する基地局302を含む。基地局302は、順方向リンク・チャネルによってモバイル・デバイス304に情報を送信することができる。基地局302はさらに、逆方向リンク・チャネルによってモバイル・デバイス304から情報を受信することができる。さらに、システム300は、MIMOシステムでありうる。それに加えて、このシステム300は、OFDMA無線ネットワーク、3GPP LTE無線ネットワーク等で動作することができる。また、基地局302内の図示および後述される構成要素および機能は、モバイル・デバイス304内にも同様に存在することができ、一例では、図示する構成は、説明を簡単にするために、これらの構成要素を省略している。
【0032】
基地局302は、モバイル・デバイス304がタイミング更新を必要とするかを判定するタイミング調節判定部306と、必要なタイミング更新量を確認するタイミング調節評価部308と、タイミング調節コマンドを発行するタイミング調節送信機310とを含む。モバイル・デバイス304は、モバイル・デバイス304を予め定めた期間、スリープ・モードに保つスリープ・タイマ312と、例えば、基地局302によって、タイミング調節コマンドが発行されたかを判定するタイミング調節受信機318と、タイミング調節コマンドが発行されると、モバイル・デバイス304のアップリンク・タイミングを調節するためにタイミング調節コマンドを実行するタイミング・アジャスタ320とを含む。モバイル・デバイス304は、それに加えて、スリープ・タイマ312によって適用される期間を選択する期間コンフィギャラ312と、アップリンク・チャネルで基地局302へ信号を送信するアップリンク・シグナラ316とを含みうる。
【0033】
一例によれば、基地局302は、モバイル・デバイス304およびその他のモバイル・デバイス(図示せず)との同期を維持することができる。イボルブドUMTS地上ラジオ・アクセス(E−UTRA)では、例えばモバイル・デバイス304のようなモバイル・デバイス間の送信、あるいは、モバイル・デバイス304と基地局302との間の送信は、時間を合わせる必要がある。時間を合わせることによって、モバイル・デバイス間の直交性を維持することが容易になり、干渉を低減する。例えばモバイル・デバイス304のようなモバイル・デバイスは、基地局302によってサービス提供されるセルまたはセクタ内を移動することができる。モバイル・デバイス304と基地局302との間の距離が変化すると、直交性を維持するために、モバイル・デバイス304のアップリンク・タイミングの更新を必要とし得る。例示によれば、時速350キロメートルで基地局へ向かっている、あるいは基地局から離れているモバイル・デバイスは、毎秒0.6マイクロ秒の割合で、アップリンク・タイミング同期における変化をもたらしうる。純粋な距離変化に加えて、相対的な移動によっても、モバイル・デバイスと基地局との間の伝播条件が変わりうる。
【0034】
一般に、基地局は、同期を維持するための必要ベースのメカニズムであるか、あるいは、定期的なメカニズムを適用しうる。この必要ベースのメカニズムを用いて、基地局は、調節が必要であると判定すると、モバイル・デバイスへタイミング調節値を送信する。この定期的なメカニズムを用いて、基地局は、アクティブなモバイル・デバイスの全てに対して、調節値を定期的に送る。アクティブなモバイル・デバイスは、データをアクティブに送っているモバイル・デバイスを含む。アクティブなモバイル・デバイスはまた、全くアクティブではない(例えば、スリープしているか、そうでなければ、システムへのアクセスを保持しているもののデータを送っていない)モバイル・デバイスでもありうることが認識されるべきである。
【0035】
スリープ・タイマ312によってモニタされているモバイル・デバイス304は、スリープ・モードに入ることができる。スリープ・タイマ312は、予め定めた時間が経過するまで、モバイル・デバイスをスリープ・モードに保つ。例示によれば、スリープ・タイマ312は、予め定めた時間の経過後に終了するタイマ・メカニズムを保持しうる。局面によれば、このタイマ・メカニズムは、モバイル・デバイスがスリープ・モードに入った場合に起動する(例えば、クロックをスタートさせる)。期間コンフィギャラ314は、スリープ・タイマ312を設定するために適用される予め定めた時間を選択しうる。1つの局面によれば、期間コンフィギャラ314は、従来の定期的な更新メカニズムにおいて基地局で使用されている期間よりも短い期間を選択することができる。この選択された期間あるいは予め定めた期間は、選択された期間の間、モバイル・デバイス304をスリープ・モードに保つためにスリープ・タイマ312によって適用される。
【0036】
ウェイクすると、アップリンク・シグナラ316は、基地局302へ信号を送信することができる。1つの実施形態では、この信号は、アップリンク情報を含みうる。タイミング調節判定部306は、アップリンク・シグナラ316によって送られた信号に基づいて、モバイル・デバイス304がタイミング更新を必要としているかを判定しうる。実例によれば、タイミング調節判定部306は、基地局302のローカルなタイミングと、この信号で受信されたタイミングとの間の差分を測定しうる。タイミング調節判定部306によって十分な差分が発見されると、タイミング調節評価部308は、適切な更新値を確認することができる。局面によれば、タイミング調節評価部308は、この信号で受信されたタイミングを、基地局302のローカルなタイミングに同期させるために必要な任意の値でありうる。タイミング調節送信機310は、タイミング調節評価部310によって評価された値に基づいて、タイミング調節コマンドを準備する。タイミング調節送信機310は、このタイミング調節コマンドをモバイル・デバイス304へ送ることができる。例えば、タイミング調節送信機310は、このコマンドを、FPACHチャネルで送ることができる。
【0037】
タイミング調節受信機318は、タイミング調節コマンドが発行されたかをチェックする。例えば、タイミング調節受信機318は、タイミング調節コマンドが基地局302によって送信されたかを判定するために、ダウンリンク物理チャネルを読み取ることができる。タイミング調節コマンドが発行されていないとタイミング調節受信機318が確認すると、スリープ・タイマ312が再起動し、モバイル・デバイス304を、予め定めた期間によって定められたもう1つの期間の間スリープ・モードに戻す。タイミング調節受信機318がタイミング調節コマンドを発見すると、このコマンドは、タイミング・アジャスタ320へ転送されうる。タイミング・アジャスタ320は、タイミング調節コマンドに基づいて、アップリンクのタイミングを調節しうる。1つの局面によれば、モバイル・デバイス304は、スリープ・モードに再び入るか、あるいは、タイミング更新値にしたがって、他のデータ送信を進める。
【0038】
アップリンク情報をともなうアップリンク信号が、期間コンフィギャラ314によって確立された予め定めた期間内に少なくとも一度送信されている限り、アップリング・シグナラ316は、ウェイク時以外の任意の時間においてそのような信号を送信できることが認識されるべきである。例えば、アップリンク・シグナラ316は、情報を送信するために、タイマの途中で、モバイル・デバイス304を一時的にアウェイクすることができる。これによって、基地局302は、さらに、更新が必要であるかを判定することが可能となる。さらに、アップリンク・シグナラ316は、スリープ・モードに入る前に、信号を送信することができる。
【0039】
図4に示すように、主題とする開示の1または複数の局面にしたがう無線通信システム400が例示される。このシステム400は、無線信号を受信し、他の基地局(図示せず)、あるいは、例えば端末406および端末408のような1または複数の端末へ送信、反復等を行うアクセス・ポイントまたは基地局402を備えうる。基地局402は、例えば1つが各送信アンテナおよび受信アンテナのためのものである複数の送信機チェーンおよび受信機チェーンを備える。また、これらおのおのは、信号送信および受信に関連する複数の構成要素(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えうる。モバイル・デバイス406、408は、例えば、セルラ電話、スマート・フォン、ラップトップ、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド・コンピュータ・デバイス、衛星ラジオ、全地球測位システム、PDA、および/または、無線通信400を介して通信するためのその他任意の適切なデバイスでありうる。さらに、モバイル・デバイス406、408は、例えば、複数入力複数出力(MIMO)システムのために使用されるような、1または複数の送信機チェーンおよび受信機チェーンを備えうる。各送信機チェーンおよび受信機チェーンは、当業者によって認識されるであろうが、信号の送信および受信に関連する複数の構成要素(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えうる。
【0040】
図4で示されるように、基地局402は、特定の地理的領域404に通信有効範囲を提供する。用語「セル」は、文脈に依存して、基地局および/またはその有効範囲領域を称しうる。システム容量を改善するために、アクセス・ポイント有効範囲領域は、多くのより小さな領域へ分割されうる。おのおののより小さな領域は、それぞれの基地トランシーバ・サブシステム(BTS)によってサービス提供される。用語「セクタ」は、文脈に依存して、BTSおよび/またはその有効範囲領域を称しうる。セクタ化されたセルの場合、セルの全てのセクタの基地トランシーバ・サブシステムは一般に、そのセルのアクセス・ポイント内にともに存在する。
【0041】
例によれば、例えばモバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408のようなモバイル・デバイスは、基地局402によってサービス提供される地理的な領域404をカバーするセクタまたはセルを検出することができる。モバイル・デバイスは、同期チャネル(SCH)によって基地局402のタイミングおよび同期を得る。その後、モバイル・デバイスは、システム情報を獲得するために、ブロードキャスト・チャネル(BCH)にアクセスし、復調することができる。例示によれば、システム情報は、モバイル・デバイスがシステム400にどのようにアクセスしてシステム400とどのようにインラクトするかを定義するパラメータのセットを含みうる。モバイル・デバイスは、ランダム・アクセス・チャネル(RACH)でのアクセス・プローブを送信することができる。基地局402は、モバイル・デバイスによって送られたアクセス問題のアップリンク・チャネルで受信されたタイミングと、ローカル基準タイミングとの間の差分を測定しうる。基地局402は、アクセス・プローブを正しく検出した後に、逆方向リンク・チャネルまたは順方向リンク・チャネルでモバイル・デバイスへアクセス許可メッセージを送信する。アクセス許可メッセージは、アップリンク・リソース割当および/またはアップリンク・タイミング調節値をモバイル・デバイスへ伝送しうる。
【0042】
最初のタイミング調節の後、モバイル・デバイスは、同期を維持するために、さらなる更新を必要とし得る。E−UTRAでは、モバイル・デバイス間のアップリンク送信は、モバイル・デバイス間の直交性を維持するために揃える必要がある。図4の例によれば、モバイル・デバイス406は、基地局402に対して移動していないモバイル・デバイス、僅かな距離しか移動しないモバイル・デバイス、および/または、基地局402に対して低速で移動するモバイル・デバイスでありうる。さらに、モバイル・デバイス408は、基地局402に対して頻繁に移動する移動中のモバイル・デバイス、および/または、高速で移動しているモバイル・デバイスでありうる。基地局402は、モバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408のタイミングを更新するために、必要ベースの更新メカニズムであるか、定期的な更新メカニズムかのうちの少なくとも1つを適用しうる。必要ベースの更新メカニズムは、モバイル・デバイスがタイミング更新を必要としていると基地局402が判定した場合にのみ、モバイル・デバイスへタイミング調節値を送ることによって、オーバヘッドを低減する。しかしながら、モバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408は一般に、タイミング更新を含むメッセージを受信するために、実質的に常にアウェイクし、タイミング調節のために順方向リンク・チャネルをモニタする必要がある。したがって、モバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408は、必要ベースの更新メカニズムでは、より電力を消費する。
【0043】
定期的な更新メカニズムは、オーバヘッドが増加することを犠牲にして、モバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408部における電力消費量を低減することができる。基地局402は、各周期毎に、全てのモバイル・デバイスへタイミング更新値を送信しうる。しかしながら、効果的にするために、この周期は、例えばモバイル・デバイス408のような高速なモバイル・デバイスによって定められる。モバイル・デバイス408は、モバイル・デバイス406よりもより頻繁なタイミング更新を必要とする。しかしながら、基地局402は、モバイル・デバイス408への更新と同じ頻度で、モバイル・デバイス406へ更新値を送信する。したがって、オーバヘッドが増加する。1つの局面によれば、基地局402は、オーバヘッドを低減するために、修正された必要ベースで、タイミング調節値を送信しうる。さらに、モバイル・デバイス406およびモバイル・デバイス408は、節電するためにスリープ・モードに入り、タイミング調節をチェックするために定期的にアウェイクしうる。
【0044】
本明細書に記載の技術は、セクタ化されていないセルを用いるシステムと同様、セクタ化されたセルを用いるシステム400のためにも使用されうる。明確にするために、以下の記載は、セクタ化されたセルを用いるシステムのためのものである。用語「アクセス・ポイント」および「基地局」は、一般に、セルにサービス提供する固定局のみならず、セクタにサービス提供する固定局についても使用される。用語「端末」、「ユーザ」、および「ユーザ機器」は、置換可能に使用され、用語「セクタ」、「アクセス・ポイント」、および「基地局」もまた、置換可能に使用される。サービス提供しているアクセス・ポイント/セクタは、端末が通信するアクセス・ポイント/セクタである。近隣アクセス・ポイント/セクタは、端末が通信していないアクセス・ポイント/セクタである。
【0045】
図5乃至図6に示すように、オーバヘッドおよび電力消費を低減しながら、アップリンク・タイミング制御を提供することに関する方法論が例示される。説明を単純にする目的のために、これら方法論は、一連の動作として図示および説明されているが、幾つかの動作は、1または複数の実施形態にしたがって、本明細書に図示され説明されたものとは異なる順序および/または他の動作と同時に起こりうるので、これら方法論は、この動作順に限定されないことが理解され認識されるべきである。例えば、当業者は、方法論が、例えば状態図のような相互関連する一連の状態またはイベントとしても表すことができることを理解および認識するであろう。さらに、1または複数の実施形態にしたがって方法論を実施するために、必ずしも例示された全ての動作が必要とされる訳ではない。
【0046】
図5に示すように、無線通信ネットワークにおいてタイミング更新を提供することを容易にする方法論500が例示されている。局面によれば、この方法論500は、無線通信環境内における基地局によって実行されうる。参照番号502において、アップリンク情報が受信される。例えば、アップリンク情報は、スリープ・モードからアウェイクしたモバイル・デバイスからの送信によって受信される。さらに、この送信は、モバイル・デバイスがスリープ・モードにある間であるか、および/または、スリープ・モードに入る前に送られうる。参照番号504では、アップリンク情報を送信しているモバイル・デバイスが、タイミング調節を必要とするかどうかが判定される。例示によれば、ローカル基準タイミングが、アップリンク情報を伝送する受信信号のタイミングと比較されうる。参照番号506では、適切なタイミング調節値が評価される。例えば、このタイミング調節値は、受信したアップリンク情報のタイミングと、ローカルなタイミングとの差分でありうる。参照番号508では、タイミング調節値が、モバイル・デバイスに送信される。例示となる実施形態によれば、このタイミング調節値は、順方向リンク・チャネルで送信されるタイミング調節コマンド内にカプセル化されうる。
【0047】
図6では、タイミング更新を必要としながら節電することを容易にする方法論600が示される。局面によれば、この方法論600は、無線通信環境におけるモバイル・デバイスによって実行されうる。参照番号602では、スリープ・モードに入る。例えば、モバイル・デバイスは、スリープ・モードに入って、電力を節約し、通信システムへのアクセスを保持するために必要な最小量のシグナリングしか保たない。参照番号604では、スリープ・タイマが終了したかどうかが判定される。例示によれば、スリープ・モードは、予め定めた時間、保たれる。予め定めた時間が終了していなければ、モバイル・デバイスは、参照番号602において、スリープし続ける。参照番号604において、タイマが終了したと判定された場合、方法論600は、参照番号606に進み、モバイル・デバイスがウェイク・アップする。実施形態によれば、モバイル・デバイスは、参照番号606においてアップリンク情報を送信する。参照番号608では、タイミング調節コマンドが受信されたかがチェックされる。受信されていない場合、方法論600は、参照番号602に戻り、スリープ・モードに再び入る。参照番号608において、タイミング調節コマンドが受信された場合、方法論600は、参照番号610に進み、タイミング調節コマンドにしたがってアップリンク・タイミングが調節される。
【0048】
本明細書に記載の1または複数の局面によれば、前述したように、無線通信ネットワークにおいて、スリープ期間を決定することと、タイミング調節ニーズを確認することと、タイミング調節値を評価すること等に関する推論がなされうることが認識されよう。本明細書で使用されるように、「推論する」または「推論」なる文言は一般に、イベントおよび/またはデータによってキャプチャされるような観察のセットから、システム、環境、および/または、ユーザの状態を推理または推論するプロセスを称する。推論は、特定の文脈または動作を特定するために適用されるか、あるいは、例えば状態にわたる確率分布を生成しうる。推論は、確率論的、すなわち、データおよびイベントの考慮に基づいて、興味のある状態にわたる確率分布を計算することでありうる。推論はまた、イベントおよび/またはデータのセットから、より高いレベルのイベントを構築するために適用される技術を称することができる。そのような推論によって、イベントが時間的に近接していようといまいと、これらイベントおよびデータが1または幾つかのイベント・ソースおよびデータ・ソースに由来していようと、観察されたイベントおよび/または格納されたイベント・データのセットから、新たなイベントまたは動作を構築することができる。
【0049】
例によれば、上述した1またはすく数の方法またはシステムは、スリープ期間を決定することに関連する推論を行うことを含みうる。例えば、モバイル・デバイスがセクタ内を高速で移動し、より頻繁な調節を必要とする状況のような、過去のタイミング調節、および/または、過去のスリープ期間に関してなされた推論に基づいて、ホッピング・パターンが選択されうる。さらに、推論は、タイミング更新に対する必要性を判定すること、および/または、タイミング調節値を評価することに関連してなされうる。
【0050】
図7は、タイミング調節値の獲得および利用を容易にするモバイル・デバイス700の例示である。モバイル・デバイス700は、例えば(図示しない)受信アンテナから信号を受信し、受信した信号について一般的な動作(例えば、フィルタ、増幅、ダウンコンバート等)を実行し、この調整された信号をデジタル化して、サンプルを得る受信機702を備える。受信機702は、受信したシンボルを復調し、それらを、チャネル推定のためにプロセッサ706へ提供する復調器704を備えうる。プロセッサ706は、受信機702によって受信された情報を分析すること、および/または、送信機716による送信のための情報を生成することに特化されたプロセッサであるか、モバイル・デバイス700の1または複数の構成要素を制御するプロセッサであるか、および/または、受信機702によって受信された情報の分析と、送信機716による送信のための情報の生成と、モバイル・デバイス700の1または複数の構成要素の制御との両方を行うプロセッサでありうる。
【0051】
モバイル・デバイス700はさらに、プロセッサ706に動作可能に接続されたメモリ708を備えうる。このメモリは、送信されるデータ、受信データ、利用可能なチャネルに関連する情報、分析された信号および/または干渉強度に関連するデータ、割り当てられたチャネル、電力、レート等に関連する情報、および、チャネル推定およびチャネルを介した通信のために適切なその他任意の情報を格納することができる。メモリ708はさらに、チャネルの推定および/または(例えば、パフォーマンス・ベース、容量ベース等の)利用に関連するアルゴリズムおよび/またはプロトコルを格納しうる。
【0052】
本明細書に記載されたデータ・ストア(例えば、メモリ708)は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリの何れかであるか、あるいは、揮発性メモリと不揮発性メモリとの両方を含みうることが認識されよう。限定ではなく例示によって、不揮発性メモリは、読取専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電子的プログラマブルROM(EPROM)、電子的消去可能PROM(EEPROM)、あるいはフラッシュ・メモリを含みうる。揮発性メモリは、外部キャッシュ・メモリとして動作するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含みうる。限定ではなく例示によって、RAMは、例えばシンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、およびダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)のような多くの形態で利用可能である。対象となるシステムおよび方法のメモリ708は、限定されることなく、これらおよびその他の任意の適切なタイプのメモリを備えることが意図される。
【0053】
プロセッサ706はさらに、例えば前述したように、予め定めた時間が経過するまでモバイル・デバイス700をスリープ・モードに保つスリープ・タイマ710に動作可能に接続されうる。例示によれば、スリープ・タイマ710は、予め定めた時間の経過後に終了するタイマ・メカニズムを保持しうる。局面によれば、タイマ・メカニズムは、モバイル・デバイスがスリープ・モードに入ったときに起動しうる(例えば、クロックを開始させる)。スリープ・タイマ710が終了すると、モバイル・デバイス700はアウェイクし、例えば基地局からタイミング調節コマンドが発行されたかを判定する。例によれば、受信機702は、タイミング調節コマンドが発行されるとそれを受信するために、高速物理アクセス・チャネルを読み取ることができる。
【0054】
モバイル・デバイス700はさらに、信号を変調する変調器714と、その信号を、例えば基地局、他のモバイル・デバイス等へ送信する送信機716とを備える。例示によれば、送信機716は、モバイル・デバイス700がスリープ・モードにある間、モバイル・デバイス700がスリープ・モードに入る前、および/または、ウェイクすると直ちに、アップリンク情報を送ることができる。プロセッサ706はまた、アップリンク信号を送信する送信機716によって利用されるアップリンク・タイミングを、増加、減少、および/または、設定するタイミング・アジャスタ712に動作可能に接続されうる。例によれば、モバイル・デバイス700は、基地局からタイミング調節コマンドを受信し、タイミング・アジャスタ712は、受信したタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節しうる。プロセッサ706と別に示されているが、スリープ・タイマ710、タイミング・アジャスタ712、復調器704、および/または、変調器714は、プロセッサ706または複数のプロセッサ(図示せず)の一部でありうることが認識されるべきである。
【0055】
図8は、上述したようにアップリンク・チャネルのためにタイミング更新値を評価、送信、および受信することを容易にするシステム800の例示である。このシステム800は、複数の受信アンテナ806を介して1または複数のモバイル・デバイス804から信号を受信する受信機810と、送信アンテナ808を介して1または複数のモバイル・デバイス804へ信号を送信する送信機824とを備えた基地局802を備える。受信機810は、受信アンテナ806から情報を受信し、受信した情報を復調する復調器812と動作可能に関連付けられている。復調されたシンボルは、図7に関して上述したプロセッサと類似したプロセッサ814によって分析される。プロセッサ814はさらに、信号(例えばパイロット)強度および/または干渉強度を推定することに関連する情報と、送信されるデータまたはモバイル・デバイス804(または、個別の基地局(図示せず)から受信したデータと、および/または、本明細書に記載の様々な動作および機能を実行することに関連するその他任意の適切な情報を格納するメモリ816に接続されている。プロセッサ814は、モバイル・デバイス804がタイミング更新を必要とするかを確認するタイミング調節判定部818に接続されている。さらに、プロセッサ814は、特定された必要性にしたがって、モバイル・デバイス804のタイミングを更新するタイミング調節コマンドを生成するタイミング調節評価部820に接続されている。
【0056】
例によれば、基地局802は、1または複数のモバイル・デバイス804から通信を受信し、この通信に基づいて、デバイス804のためのタイミング更新必要性を判定することができる。例えば、タイミング調節判定部818は、基地局802のローカル基準タイミングを、受信した通信に含まれるタイミングと比較することができる。その後、上述したような更新を、デバイス804のアップリンク・タイミングが必要とするのであれば、タイミング調節評価部820は、適切なタイミング調節コマンドを生成することができる。タイミング調節コマンドは、それぞれのモバイル・デバイス804へ送信されうる。その後、モバイル・デバイス804は、アップリンク・タイミングを更新するために、タイミング調節コマンドを利用することができる。さらに、プロセッサ814とは別に示されているが、タイミング調節判定部818、タイミング調節評価部820、復調器812、および/または、変調器822は、プロセッサ814または複数のプロセッサ(図示せず)の一部でありうることが認識されるべきである。
【0057】
図9は、無線通信システム900の一例を示す。無線通信システム900は、簡潔さの目的で、1つの基地局910および1つのモバイル・デバイス950を示している。しかしながら、システム900は、1より多い基地局、および/または、1より多いモバイル・デバイスを含むことができ、これら追加の基地局および/またはモバイル・デバイスは、以下に説明する基地局910およびモバイル・デバイス950の例と実質的に同じでも、別のものでもありうることが認識されるべきである。さらに、基地局910および/またはモバイル・デバイス950は、その間の無線通信を容易にするために、システム(図1乃至図3、図7乃至図8)、技術/構成(図4)、および/または方法(図5乃至図6)を適用しうることが認識されるべきである。
【0058】
基地局910では、多くのデータ・ストリームのためのトラフィック・データが、データ・ソース912から送信(TX)データ・プロセッサ914へ提供される。一例によれば、おのおののデータ・ストリームは、それぞれのアンテナを介して送信される。TXデータ・プロセッサ914は、トラフィック・データ・ストリームをフォーマットし、そのデータ・ストリームのために選択された特定の符合化スキームに基づいて符号化し、インタリーブして、符合化されたデータを提供する。
【0059】
おのおののデータ・ストリームの符合化されたデータは、直交周波数分割多重化(OFDM)技術を用いてパイロット・データと多重化されうる。さらに、あるいは、その代わりに、パイロット・シンボルは、周波数分割多重化(FDM)、時分割多重化(TDM)、あるいは符号分割多重化(CDM)されうる。パイロット・データは一般に、既知の方法で処理される既知のデータ・パターンであり、チャネル応答を推定するためにモバイル・デバイス1450において使用されうる。おのおののデータ・ストリームに関する多重化されたパイロットおよび符合化されたデータは、そのデータ・ストリームのために選択された特定の変調スキーム(例えば、バイナリ・フェーズ・シフト・キーイング(BPSK)、直交フェーズ・シフト・キーイング(QPSK)、Mフェーズ・シフト・キーイング(M−PSK)、M直交真副変調(M−QAM)等)に基づいて変調(例えば、シンボル・マップ)され、変調シンボルが提供される。おのおののデータ・ストリームのデータ・レート、符号化、および変調は、プロセッサ930によって実行または提供される命令によって決定されうる。
【0060】
データ・ストリームの変調シンボルは、(例えば、OFDMのために)変調シンボルを処理するTX MIMOプロセッサ920に提供される。TX MIMOプロセッサ920はその後、N個の変調シンボル・ストリームを、N個の送信機(TMTR)922a乃至922tへ提供する。様々な実施形態において、TX MIMOプロセッサ920は、データ・ストリームのシンボル、および、そのシンボルが送信されるアンテナへ、ビームフォーミング重みを適用する。
【0061】
おのおのの送信機922は、1または複数のアナログ信号を提供するために、それぞれのシンボル・ストリームを受信して処理し、さらには、MIMOチャネルを介した送信に適切な変調信号を提供するために、このアナログ信号を調整(例えば、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。さらに、送信機922a乃至922tからのN個の変調信号は、N個のアンテナ924a乃至924tそれぞれから送信される。
【0062】
モバイル・デバイス950では、送信された変調信号がN個のアンテナ952a乃至952rによって受信され、おのおののアンテナ952からの受信信号が、それぞれの受信機(RCVR)954a乃至954rへ提供される。おのおのの受信機954は、それぞれの信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、およびダウンコンバート)し、この調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、さらにこのサンプルを処理して、対応する「受信された」シンボル・ストリームを提供する。
【0063】
RXデータ・プロセッサ960は、N個の受信機954からN個のシンボル・ストリームを受信し、受信されたこれらシンボル・ストリームを、特定の受信機処理技術に基づいて処理して、N個の「検出された」シンボル・ストリームを提供する。RXデータ・プロセッサ960は、検出されたおのおののシンボル・ストリームを復調し、デインタリーブし、復号して、そのデータ・ストリームのためのトラフィック・データを復元する。RXデータ・プロセッサ960による処理は、基地局910におけるTX MIMOプロセッサ920およびTXデータ・プロセッサ914によって実行されるものと相補的である。
【0064】
プロセッサ970は、上述したように、どの事前符合化行列を使用するのかを定期的に決定する。さらに、プロセッサ970は、行列インデクス部およびランク値部を備えた逆方向リンク・メッセージを規定することができる。
【0065】
逆方向リンク・メッセージは、通信リンクおよび/または受信されたデータ・ストリームに関する様々なタイプの情報を備えうる。逆方向リンク・メッセージは、多くのデータ・ストリームに関するトラフィック・データをデータ・ソース936から受信するTXデータ・プロセッサ938によって処理され、変調器980によって変調され、送信機954a乃至954rによって調整され、基地局910へ送り戻される。
【0066】
基地局910では、モバイル・デバイス950からの変調信号が、アンテナ924によって受信され、受信機922によって調整され、復調器940によって復調され、RXデータ・プロセッサ942によって処理されて、モバイル・デバイス950によって送信された逆方向リンク・メッセージを抽出する。さらに、プロセッサ930は、ビームフォーミング重みを決定するためにどの事前符合化行列を使用するかを決定するために、この抽出されたメッセージを処理する。
【0067】
プロセッサ930およびプロセッサ970は、基地局910およびモバイル・デバイス950それぞれにおける動作を指示(例えば、制御、調整、管理等)する。プロセッサ930およびプロセッサ970はそれぞれ、プログラム・コードおよびデータを格納するメモリ932およびメモリ972に関連付けられうる。プロセッサ930およびプロセッサ970はまた、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれのための周波数およびインパルス応答推定値を導出する計算をも実行する。
【0068】
本明細書に記載された実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、あるいはこれらの任意の組み合わせで実現されうることが理解されるべきである。ハードウェアで実現する場合、処理ユニットは、1または複数の特定用途向けIC(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理回路(PLD)、フィールドプログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロ・コントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載の機能を実行するために設計されたその他の電子ユニット、あるいはこれらの組み合わせ内に実装されうる。
【0069】
これら実施形態が、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアあるいはマイクロコード、プログラム・コードあるいはコード・セグメントで実現される場合、これらは、例えば記憶要素のような機械読取可能媒体に格納されうる。コード・セグメントは、手順、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェア・パッケージ、クラス、または、命令、データ構造、あるいはプログラム文からなる任意の組み合わせを表すことができる。コード・セグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、あるいは記憶内容の引渡しおよび/または受信を行うことによって、他のコード・セグメントまたはハードウェア回路に接続されうる。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリ共有、メッセージ引渡し、トークン引渡し、ネットワーク送信等を含む任意の適切な手段を用いて引渡し、転送、あるいは送信されうる。
【0070】
ソフトウェアで実現する場合、本明細書に記載のこれら技術は、本明細書に記載の機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能等)を用いて実現されうる。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニット内に格納され、プロセッサによって実行されうる。メモリ・ユニットは、プロセッサ内部またはプロセッサ外部に実装されうる。プロセッサ外部に実装される場合、メモリ・ユニットは、当該技術分野で周知の様々な手段によってプロセッサと通信可能に接続されうる。
【0071】
図10に示すように、アップリンク・タイミングを制御するためにタイミング調節を利用するシステム1000が例示される。例えば、システム1000は、基地局、モバイル・デバイス等内に少なくとも部分的に存在しうる。システム1000は、プロセッサ、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせ(例えば、ファームウェア)によって実現される機能を表す機能ブロックでありうる機能ブロックを含むものとして示されていることが認識されるべきである。システム1000は、連携して動作しうる電子構成要素の論理グループ1002を含む。この論理グループ1002は、予め定めた期間の経過後、スリープ・モードからウェイクさせる電子構成要素1004を含みうる。さらに、論理グループ1002は、タイミング調節コマンドが発行されたかを判定する電子構成要素1006を備えうる。さらに、この論理グループ1002は、発行されたタイミング調節コマンドに基づいてアップリンク・タイミングを調節する電子構成要素1008を含みうる。さらに、システム1000は、電子構成要素1004、1006、1008に関連付けられた機能を実行する命令群を保持するメモリ1010を含みうる。メモリ1010の外側にあると示されているが、電子構成要素1004、1006、1008のうちの1または複数は、メモリ1010内に存在しうることが理解されるべきである。
【0072】
図11に移って示すように、無線通信ネットワークにおいてタイミング調節値を評価し送信するシステム1100が例示される。システム1100は、例えば、基地局、モバイル・デバイス等内に存在しうる。図示するように、システム1100は、プロセッサ、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせ(例えば、ファームウェア)によって実現される機能を表す機能ブロックを含む。システム1100は、タイミング調節値を評価することを容易にする電子構成要素の論理グループ1102を含む。論理グループ1102は、ウェイクしているモバイル・デバイスからの送信を受信するための電子構成要素1104を含みうる。さらに、論理グループ1102は、ウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要とするかを判定する電子構成要素1106を含みうる。さらに、論理グループ1102は、ウェイクしているモバイルのためのタイミング調節値を評価する電子構成要素1108を備えうる。さらに、論理グループ1102は、ウェイクしているモバイルにタイミング調節コマンドを発行する電子構成要素1110を含みうる。さらに、システム1100は、電子構成要素1104、1106、1108、1110に関連する機能を実行するための命令群を保持するメモリ1112を含みうる。メモリ1112の外側にあると示されているが、電子構成要素1104、1106、1108、1110は、メモリ1112内に存在しうることが理解されるべきである。
【0073】
上述したものは、1または複数の実施形態の例を含んでいる。もちろん、上述した実施形態を説明する目的で、構成要素または方法論の考えられる全ての組み合わせを記述することは可能ではないが、当業者であれば、様々な実施形態のさらに多くの組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識することができる。したがって、記載された実施形態は、請求項の精神および範囲内にあるそのような全ての変更、修正、および変形を含むことが意図される。さらにまた、用語「含む」が、詳細説明あるいは請求項のうちの何れかで使用されている限り、その用語は、用語「備える」が、請求項における遷移語として適用される場合に解釈されるように、用語「備える」と同様に包括的であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間調節値を得る方法であって、
スリープ・モードに入ることと、
予め定めた期間の経過後、前記スリープ・モードからウェイクすることと、
タイミング調節コマンドが発行されたかを判定することと、
発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節することと、
前記スリープ・モードに再び入ることと
を備える方法。
【請求項2】
前記予め定めた期間を選択することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アップリンク情報をシグナルすることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スリープ・モードからウェイクすると、アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スリープ・モードに入る前に、アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記スリープ・モードにある間、アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記アップリンク情報は、アップリンク・タイミングを提供する請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記タイミング調節コマンドが発行されたかを判定することは、ダウンリンク物理チャネルを読み取ることを備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
タイマが終了するまでスリープし、前記タイマの終了後ウェイクし、タイミング調節コマンドが発行されたかを評価し、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節することに関連する命令群を保持するメモリと、
前記メモリに接続され、前記メモリに保持された命令群を実行するように構成されたプロセッサと
を備える無線通信装置。
【請求項10】
前記メモリはさらに、予め定めた期間を選択することに関連する命令群を保持する請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記メモリはさらに、アップリング情報をシグナルすることに関連する命令群を保持する請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記アップリンク情報は、アップリンク・タイミングを提供する請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記タイミング調節コマンドが発行されたかを判定することに関連する命令群は、ダウンリンク物理チャネルを読み取ることに関連する命令群を備える請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項14】
時間調節値を取得する場合に、節電することを容易にする無線通信装置であって、
スリープ・モードに入る手段と、
予め定めた期間の経過後、前記スリープ・モードからウェイクする手段と、
タイミング調節コマンドが発行されたかを判定する手段と、
発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節する手段と、
前記スリープ・モードに再び入る手段と
を備える無線通信装置。
【請求項15】
前記予め定めた期間を選択する手段をさらに備える請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項16】
アップリンク情報をシグナルする手段をさらに備える請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記スリープ・モードからウェイクすると、前記アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記スリープ・モードに入る前に、前記アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記スリープ・モードにある間、前記アップリンク情報をシグナルすることが生じる請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項20】
前記アップリンク情報は、アップリンク・タイミングを提供する請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記タイミング調節コマンドが発行されたかを判定する手段は、ダウンリンク物理チャネルを読み取る手段を備える請求項14に記載の無線通信装置。
【請求項22】
コンピュータ・プログラム製品であって、
スリープ・モードに入るためのコードと、
予め定めた期間の経過後、前記スリープ・モードからウェイクするためのコードと、 タイミング調節コマンドが発行されたかを判定するためのコードと、
発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節するためのコードと、
前記スリープ・モードに再び入るためのコードと
を備えるコンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項23】
前記予め定めた期間を選択するためのコードをさらに備える請求項22に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項24】
アップリンク情報をシグナルするためのコードをさらに備える請求項22に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項25】
前記スリープ・モードからウェイクすると、前記アップリンク情報をシグナルするためのコードが起動する請求項24に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項26】
前記スリープ・モードに入る前に、前記アップリンク情報をシグナルするためのコードが起動する請求項24に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項27】
前記スリープ・モードにある間、前記アップリンク情報をシグナルするためのコードが起動する請求項24に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項28】
前記アップリンク情報は、アップリンク・タイミングを提供する請求項24に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項29】
前記タイミング調節コマンドが発行されたかを判定するためのコードは、高速物理アクセス・チャネルを読み取るための命令群を備える請求項22に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項30】
無線通信システムにおける装置であって、
前記装置をスリープ・モードとし、予め定めた期間の経過後、前記装置をスリープ・モードからウェイクさせ、タイミング調節コマンドが発行されたかを判定し、発行されたタイミング調節コマンドに少なくとも部分的に基づいてアップリンク・タイミングを調節するように構成された集積回路
を備えた装置。
【請求項31】
少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信することと、
前記受信した送信に基づいて、少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスが、タイミング更新を必要としているかを判定することと、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価することと、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへ、タイミング調節値を発行することと
を備える方法。
【請求項32】
タイミングの差を確認するために、ローカル基準タイミングを、前記受信した送信のタイミングと比較することをさらに備える請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記タイミング調節値を評価することは、前記タイミングの差を補償するタイミング調節コマンドを生成することを備える請求項32に記載の方法。
【請求項34】
無線通信装置であって、
少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信し、前記受信した送信に基づいて、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスが、タイミング更新を必要としているかを判定し、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価し、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを発行することに関連する命令群を保持するメモリと、
前記メモリに接続され、前記メモリに保持された命令群を実行するように構成されたプロセッサと
を備える無線通信装置。
【請求項35】
前記メモリはさらに、タイミングの差を確認するために、ローカル基準タイミングを、前記受信した送信のタイミングと比較することに関連する命令群をさらに備える請求項34に記載の無線通信装置。
【請求項36】
前記タイミング調節値を評価することに関連する命令群は、前記タイミングの差を補償するタイミング調節コマンドを生成することに関連する命令群を備える請求項35に記載の無線通信装置。
【請求項37】
低減されたオーバヘッドでタイミングを更新することを容易にする無線通信装置であって、
少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信する手段と、
前記受信した送信に基づいて、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定する手段と、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価する手段と、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへ、タイミング調節コマンドを発行する手段と
を備える無線通信装置。
【請求項38】
タイミングの差を確認するために、ローカル基準タイミングと、前記受信した送信のタイミングとを比較する手段をさらに備える請求項37に記載の無線通信装置。
【請求項39】
前記タイミング調節値を評価する手段は、前記タイミングの差を補償するタイミング調節コマンドを生成する手段を備える請求項38に記載の方法。
【請求項40】
コンピュータ・プログラム製品であって、
少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信するためのコードと、
前記受信した送信に基づいて、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定するためのコードと、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価するためのコードと、
前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへ、タイミング調節コマンドを発行するためのコードと
を備えるコンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項41】
タイミングの差を確認するために、ローカル基準タイミングと、前記受信した送信のタイミングとを比較するためのコードをさらに備える請求項40に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項42】
前記タイミング調節値を評価するためのコードは、前記タイミングの差を補償するタイミング調節コマンドを生成するための命令群を備える請求項41に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項43】
無線通信システムにおける装置であって、
少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスから、アップリンク情報を提供する送信を受信し、前記受信した送信に基づいて、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスがタイミング更新を必要としているかを判定し、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスのためのタイミング調節値を評価し、前記少なくとも1つのウェイクしているモバイル・デバイスへタイミング調節コマンドを発行するように構成された集積回路
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−31188(P2013−31188A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184031(P2012−184031)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2010−501089(P2010−501089)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】