説明

アナライトを連続的に検出するための方法、使用される3官能性検出試薬及び検出デバイス

本発明は、アナライトの不均一相(heterogeneous-phase)検出のための方法、前記方法を実行するために使用する3官能性検出試薬、アナライトを検出するためのその使用、そしてまた同様に対応するアナライトを検出するためのデバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナライトの連続不均一相(heterogeneous-phase)検出のための方法、この方法において使用する3官能性検出試薬、アナライトを検出するためのその使用、並びにアナライトを検出するための対応するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実験室条件下において、アナライト及び特に分子を検出することに関して多くの技術がある。しかし、ますます頻繁に、特に健康上や安全上の理由のために、関心のある化合物(トキシン、化学毒性化合物、ホルモン、など)、もしくは関心のある分子から誘導されるまたは関連のある産物、あるいは事象(event)のまたは特定の活性(農薬、重金属、ホルモンなど)のマーカーの存在を迅速に検出することが必要である。
【0003】
これらの分子は、水、空気、土壌または生物学的試料のような非常に多様なメディウム(media)中、そのほかには食品中に存在し得る。
【0004】
最適な保護及び/またはモニタリングのために、これらの分子の検出はリアルタイムで及び連続的に行われるべきである。用語「連続的なアッセイ(continuous assaying)」は、メディウム中の関心の深い分子の濃度の存在及び変化を永久的にモニターすることを可能にし得るアッセイを意味すると意図される。
【0005】
これらの化合物(アナライト)を検出するために今日までに使用される非常に多くの技術において、多くが、ある物質が有する特性、これらのアナライトに特異的に結合して複合体を形成する特性を利用している。これらの物質(これらは「受容体(receptor)」と呼ばれる)は、性質が非常に多様であり得る:生物学的なもの(全体、断片化または組換え型の抗体(Fab’、Fab、scFv)、受容体、ポリ核酸(DNAまたはRNA)、ペプチド核酸、レクチン、輸送タンパク質)または化学物質(キレート、合成受容体)。これらの物質の中で、抗体が最も広く用いられている。
【0006】
このような検出方法では、シグナルによって、検出されるアナライトと受容体が反応した後に形成される複合体を定量または検出するため、標識が必要である。この標識は、アナライトまたはアナログもしくはアナライトの断片に対応する物質(B)または受容体のいずれかによって保有され得、この標識分子は、しばしばトレーサーと呼ばれる。
【0007】
技術が、形成した複合体と遊離している物質の分離を必要とするかしないかによって、均一相(homogeneous-phase)または不均一相(heterogeneous-phase)と呼ばれる2つの主要な検出タイプに分けられる。
【0008】
均一相アッセイは同じメディウム(medium)で行われる。これらは、複合体の形成が受容体または分子(B)により保有されるシグナルを変化させる時に用いられる:次に、複合体の形成は、シグナルの測定により直接モニターされ得る。これらの分析は分離工程を必要とせず、それらがより迅速に自動化されることを可能にする。
【0009】
不均一相アッセイは、アナライトと受容体が反応した後に、非複合体のトレーサーと複合化に関わっているものとを分離することからなる工程を含む。この分離は2つのメディウム(media)または相:例えば固相と液相、を用いてしばしば行われる。
【0010】
これらの基本的な原理に基づいて、特に使用する標識(例えば酵素的、放射性、またはルミネッセント)の性質について異なる多くのアッセイ方法が、記載されている(Grassi J. et al., Handbook of Experimental Pharmacology, Ed. Springer-Verlag, Berlin, 1987, 87, Chapter 5; Pelizzola D. et al., Q J Nucl. Med., 1995, 39(4) 251-263)。
【0011】
これらにおいて、ルミネッセント化合物で標識することは、酵素標識の場合のように、他の試薬の存在を必要としない局在化シグナルが得られるという利点を有する。このタイプの標識はまた、エネルギー移動のような現象を使用することも可能とし、これは様々なメカニズム:共鳴エネルギー移動、放射性エネルギー移動(受容体は供与体により放出される光を吸収する)、電子移動に従い行われ得る(Matko J. et al., Biochemistry, 1992, 31, 703-711; Nikoobakht B. et al., Photochemistry and Photobiology, 2002, 75, 591-597)。
【0012】
このエネルギー移動(ルミネッセント「ドナー」化合物(D)とルミネッセントであり得るかまたはあり得ない「アクセプター」化合物(A)の間の、そしてAとDの距離に依存する)は、多くの分析を行うために使用されてきた。D及びA(これらは受容体またはアナライトと結合する)は、受容体/アナライト複合体が形成された時にのみにエネルギー移動が起こるように選択される。この現象は、Dが励起された時、Dのルミネッセンスが減少または消滅し、そしてAからのルミネッセンスが発せられること(仮に後者がルミネッセントであるならば)により反映される。これらの分析においては、Aのルミネッセンスの変化またはDのルミネッセンスの変化が測定され、A及びDの性質が変化する。
【0013】
このように、様々な著者がすでにAのルミネッセンスを測定することによりアナライトを検出する方法を提案している:
− 例えば、R. Aral et al.により記載された方法(Protein Engineering, 2000, 13(5), 369-396)は、ドナー及びアクセプターとして、2つの蛍光タンパク質を使用している。これらの2つのタンパク質は分子生物学により製造され、それぞれ、同一の抗体の重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のいずれかでそれぞれキメラタンパク質を形成する。抗体が向けられる(directed)分子が存在すると、2つのキメラタンパク質の複合体の形成を誘発する。そして、2つの蛍光タンパク質の距離はエネルギー移動と矛盾しない;ゆえに、Dを励起するとAから蛍光が生じ、これが測定される;
− 国際出願番号WO96/42016に従うと、希土類金属(ユーロピウム、テルビウム)とキレート、クリプタートまたはマクロサイクルの錯体(ドナーとして)と蛍光タンパク質(アクセプターとして)を使用し得る。A及びDはアナライト上で同時に複合化し得る2つの受容体に結合し得、そして後者の存在は、Dが励起された時にAからのルミネッセンスの放出により反映され、あるいはAが受容体と結合し、及びDがアナライトと結合し、そしてアナライトが存在すると、受容体と複合化するために、Dと結合したアナライトとの競合を誘発し(競合アッセイ)、そして、Aのルミネッセンスは添加されたアナライト量に反比例する。このタイプのアッセイはタイム−リソルブドルミネッセンスアッセイ分析(time-resolved luminescence assay)と称される。
【0014】
他の著者もまた、Dのルミネッセンスを測定することによりアナライトを検出する方法について提案している。これらのアッセイは、(これら化合物が十分に接近している場合)化合物(A)がもう一方の化合物(D)のルミネッセンスを減少または抑制(「クエンチ(quench)」)する能力を利用している。ゆえに使用し得る分子Aの範囲は広く、そして重金属、重原子、化学分子(例えばメチルレッド)、Nanoprobes社(米国)により商品名Nanogold(登録商標)として販売されているものようなナノ粒子、あるいは商品名DABCYL(登録商標)(Eurogentec ベルギー)、QSY Dyes(Molecular Probes Inc.、米国)、ElleQuencher(登録商標)(Oswell/Eurogentec)またはBlack Hole Quenchers(登録商標)(Bioseach Technilogies Inc.、米国)として発売されている分子のような非ルミネッセンス化合物を含む。
【0015】
例として:
− 米国特許第3996345号は、受容体として抗体を使用するアッセイにおいて、蛍光/「クエンチャー」分子のペアを使用した方法を記載する;
− M. Adamczyk et al.(Organic Letters, 2001, 3, 1797-1800)により提案された方法は、ドナーとしてバイオルミネッセントタンパク質(Aequorine(登録商標))及びアクセプターまたは「クエンチャー」としてQSY−7またはDabcyl(登録商標)を使用している。Dはビオチン分子と結合し、そしてAはアビジン分子と結合する。ビオチン/アビジン複合体の形成はDのバイオルミネッセンスの減少を生じ、遊離ビオチンまたはタンパク質と結合したビオチンが存在すると、アビジンとの複合化のために、Dと結合したビオチンとの競合が誘発され、そしてDのバイオルミネッセンスは添加したビオチン量と比例する;
− M. Lee et al.(J. Agr. Food Chem., 1999, 47, 2766-2770)及びSchobel et al.(Bioconjugate Chem., 1999, 10, 1107-1114)はドナー及び「クエンチャー」として2つの蛍光分子を使用することを記載している。ドナーは抗体と結合し、及びアクセプターはアナライトと結合する。上記のように、抗体−D/アナライト−A複合体が形成されるとDの蛍光が減少し、これはメディウム(medium)中にアナライトが存在すると回復する;
− B. Dubertret et al.(Nature Biotechnology, 2001, 19, 365-370)及びBonnet et al.(Proc. Natl. Acad. Sci., 1999, 96, 6171-6176)は、それ自身をフォールディングすることによりそれ自身とハイブリダイズする特性を有するポリ核酸(「ビーコン(beacon)」)を使用することを記載している。その文献に記載される方法に従うと、フルオロフォア化合物(D)はポリ核酸の3’末端に付着し、及び、アクセプター(A:ナノ粒子またはDabcyl(登録商標))は5’末端に付着する。「ビーコン」の2つの末端は近接しているため、Dの蛍光はAにより減少される。「ビーコン」の部分とハイブリダイズし得るポリ核酸(アナライト)が存在すると、後者(the latter)の線形化を誘発し、ゆえにDとAの距離が増加し、そして、AによるDの蛍光のクエンチングを減少する;
− 米国特許第5279943号には、重原子をルミネッセンスの「クエンチャー」として使用するアナライトの検出方法が提案されている;
− 米国特許第5229302号には、メディウム中のアナライトを検出する方法が記載され、ここで化合物は配位子またはそれらのアナログと結合し、抗体/配位子複合体が形成される時、これは、280nmで励起した時に抗体により放出される蛍光をクエンチする。メディウム中にアナライトが存在すると、抗体と複合体化の競合が生じ、そして抗体の蛍光を回復する;
− C.T. Chen et al.(Science, 1998, 279, 851-852)は、フルオロフォア及びクエンチャーが付着する合成受容体による、メディウム中のアナライトの検出方法について記載している。アナライトが存在しない場合、クエンチャーはその蛍光を減少するフルオロフォアと十分に近接している。受容体上でアナライトが複合化すると、クエンチャーとフルオロフォアの距離は広がり、そして後者の蛍光が増加する。
【0016】
上記のエネルギー移動を用いた全てのアッセイは、均一相分析であるということに気づくべきである。
【0017】
現在、アナライトを連続的に検出することに関して、フローアッセイが適していることが明らかにされており、これは、それらが試料を永久的に供給することを可能にするためである。
【0018】
そして、フローアッセイのいくつかのタイプがすでに記載されている:
− 何人かの著者は、特に、キャピラリーの壁に固定した抗体を用いてアナライトをアッセイする方法について提案しており、この抗体は標識されたアナライトまたは標識されたこれらのアナログで飽和される。そして、アナライトをキャピラリーに通すと、抗体と結合するために標識されたアナライトとの競合が誘発される。そして、標識されたアナライトの特定の量が放出され、それがキャピラリーから出る時に検出される(特に、米国特許第5183740号及び第6323041号及びSheikh et al., Biosensor & Bioelectronics, 2001, 16, 647-652を参照);
− 逆に、C. Barzen et al.(Biosensor & Bioelectronics, 2002, 17, 289-295)は、検出されるアナライトまたはアナライトのアナログが固定化される固相を用いたアナライトの検出方法について記載している。検出されるアナライトを含む可能性のある試料を標識された抗−アナライト抗体と共にプレインキュベートする。この溶液が固相上を通過する時、複合化していない抗体は、固定されたアナライトを介して固相に付着する。ゆえに、固相上で測定した蛍光シグナルは、試料に存在するアナライト量に反比例する。
【0019】
− T.E. Plowman et al.(Anal. Chem., 1999, 71, 4344-4352)は、同一の固相上で様々なアナライトを同時にアッセイするアッセイ方法について開発している。この方法に従うと、様々なアナライトを認識する抗体を固相上の異なる場所に固定する。試料(様々なアナライトを含む)とフルオロフォアで標識された様々な抗−アナライト抗体を含む溶液を固相上に付着させる。最終的に、様々な抗体固定部分に対応する捕獲用抗体(capture antibodies)、アナライト及びトレース抗体(trace antibodies)の複合体由来の蛍光を測定する。これまでのアッセイのように、これは試薬を永久的に供給することを含むので、アナライトと標識抗体を混合する必要性が、この方法を連続的なアッセイに応用することを困難にする;
− F.S. Ligler et al.(Environmental Science & Technology, 1998, 32, 2461-2466)は、空気中に存在する分子を検出するためのバイオセンサーを開発した。このバイオセンサーは、アビジン分子が結合する繊維からなる。ビオチン化(biotinylated)抗−アナライト抗体は、アビジン/ビオチン複合体を介してこの繊維に固定される。この繊維の上に試料(空気中に存在し、緩衝液に溶解させた分子)、次にフルオロフォアで標識した抗−アナライト抗体を通過させることにより検出を行う。最終的に、捕獲用抗体、アナライト及びトレース抗体の複合体由来の蛍光を測定する。しかし、この方法を行うためには様々な工程が必要であり、そして標識された抗体を供給すること(これは永続されるべき)は、実際の連続的な検出を可能にしない。
【0020】
従って、現在までに利用できる全てのフローアッセイは不均一相(固相/液相)アッセイであるということは、先行技術にある様々な既知の検出方法の記載により明らかである。実際、均一相フローアッセイは、標識されたアナライト及び/または受容体の連続した供給を要するであろうし、これは、実行するには高価で及びより難しいであろう。
【0021】
最終的に、不均一相アナライトアッセイを行うためにキャピラリーを使用することはまた、いくつかの改変(variants)に応じて行われ得る方法に従って、特に米国特許第5976896号に、提案されている:
− この方法の第1の改変(variant)に従うと、検出されるアナライトに対する最初の受容体を、キャピラリーの内表面に固定する。アナライトを含む試料は、蛍光化合物で標識された第2の受容体(キャピラリーに付着させた最初の受容体と同一の結合部位を有しない)とプレインキュベートする。反応後、この溶液をキャピラリーに導入する;そして、アナライト/標識受容体複合体は、最初の受容体に結合することによりキャピラリー表面に付着する。洗浄後、蛍光シグナル(これは試料中のアナライト量に比例する)を測定する;
− この方法の第2の改変(variant)に従うと、アナライトのアナログをキャピラリーの内表面に固定する。検出されるアナライトを含む試料(アナライトを蛍光化合物で標識するために、あらかじめ受容体とプレインキュベートした)をキャピラリーに導入する。標識された受容体に結合するための競合が、キャピラリーの表面に付着させたアナライトと試料中に存在し得るアナライトとの間で生じる。洗浄後、蛍光シグナル(これは試料中に存在するアナライト量に反比例する)を測定する;
− この方法の第3の改変(variant)に従うと、検出されるアナライトに対する受容体をキャピラリーの内表面に固定する。アナライトを含む試料は、標識されたアナライト、または蛍光化合物により標識したこのアナライトのアナログとあらかじめ混合し、キャピラリーに導入する。次に、キャピラリーの表面に付着した受容体に結合するための競合が、標識された化合物と試料のアナライトとの間で生じる。洗浄後、蛍光シグナル(これは試料中のアナライト量と反比例する)を測定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
これらのアッセイにおける様々な工程(インキュベート、洗浄)及びアナライトと標識化合物を混合する必要性は、これは試薬を永久的に供給することを含むため、このアッセイを連続アッセイに応用することを困難にしている。
【0023】
さらに、上述したアナライトの不均一相検出のための全ての方法はほとんどの場合に、新しい試料中の何らかのさらなるアナライトの検出を行うことを可能にする前に行われる固相を再生するという別工程を必要とする。従って、固相を再生するというこの制限される工程は、メディウム中のアナライトを連続的に検出するこれらの様々な方法の応用を妨げる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
そのため、全てのこれらの欠点を改善し、特にアナライトの不均一相検出のための方法(これは実行することが単純であり、自動化し得、固相再生工程がアナライトの検出工程と同時に行われ得、そしてこれは後者を妨げることがない)を提供するために、本発明者は本発明の主題について開発した。
【0025】
本発明者はまた、検出工程の前に、アナライトと標識抗体または標識アナライトとのインキュベーションを避けられるアナライトの不均一相検出のための方法において用いられ得る新規の試薬を提供することも目的とした。
【0026】
ゆえに、本発明の第1の主題は、流体試料中のアナライトを検出するための方法であり、それは次の工程を含むことを特徴とする:
1)以下の3つの官能性極:
i)ルミネッセント基(L)、
ii)アナライト、アナライトのアナログまたはアナライトの断片から選択される分子(B);及び
iii)固体支持体の表面に3官能性試薬の付着をもたらす官能基、
を含む少なくとも一つの3官能性試薬(トライポッドY)を、その表面の少なくとも一部上に含む固体支持体を、アナライトに対する受容体で飽和する工程(該受容体は基Lのルミネッセンスをクエンチする化合物(Q)(受容体−Q)で標識されて、該分子(B)と該受容体−Qとの複合体Cを形成する);
2)工程1)で得た該固体支持体を、検出されるアナライトを含み得る流体試料と接触させる工程;
3)基Lにより放出されるシグナル強度を測定する工程(これは流体試料に存在するアナライトの量に比例する);および
4)該固体支持体を受容体−Qに接触させることにより該固体支持体を再生する工程。
【0027】
この方法に従うと、工程1)では、分子(B)と受容体−Qの複合化を可能にする。この第1工程の最後に、Lのルミネッセンスは減少または抑制される。工程2)において、試料を固体支持体の表面に接触させると、該試料がアナライト含有する場合は、受容体−Qと複合体を形成するために、アナライトと分子(B)間の競合を誘発する。アナライトが受容体−Qに結合すると、受容体−Qは固体支持体の表面から排除され、そして、トライポッドY上に存在する化合物(L)から放出されるルミネッセンスが回復する。次いで、工程3)で測定されるシグナルの強度は、分析される試料に存在するアナライト量に比例する。再生工程4)では再び、トライポッドY上の受容体−Qを複合化し、そしてLのルミネッセンスを抑制し、これにより、新しい試料中のアナライトaをさらに検出することが可能になる。
【0028】
本発明に従うアナライトの検出方法の原理は、以下のスキームAに図示する:
【0029】
【化1】

本発明に従う検出方法は数多くの利点を有する:
1)特に該方法で使用されるトライポッドYの特定のコンフォーメーションのために、その特性を全く変えることなく、固相の再生からなる工程は非常に容易に行われ得る。実際、上述した全てのフローアッセイにおいて、固相に結合した複合体が形成された後にシグナルが測定される。結局、たとえ、先行技術に記載されたいくつかのアッセイ方法が、いくつかの連続アッセイを可能にしているとしても(Sheikh et al.及び米国特許第5183740号及び第6323041号;上述した)、しかしながら、これらは回数が制限されており、及び、しばしば長く及び制限された固体支持体再生工程を必要とし、これにより、形成した複合体は解離する。さらに、これらの再生工程を行うための厳しい条件(酸性または塩基性溶液を通す)は、検出方法が停止させられなければならないことを意味し、ゆえに、与えられたアナライトを連続的に分析するこれらの方法の応用を妨げる。
【0030】
一方、本発明に従う検出方法に従うと、試料中にアナライトが存在すると、受容体−Qと分子(B)の解離をもたらし;ゆえに、再生工程は非常に単純に、受容体−Qを添加することによりこの複合体を再形成することにある。従って、この再生工程には固相の分子の特性を損なう酸性または塩基性溶液の使用、または受容体結合部位での2つの分子の交換反応を含まず、そのキネティクス(kinetics)は複合体を形成するための反応より長い。
【0031】
2)トライポッドYが固定された部分でシグナルが測定され、これは先行技術に従い開発されたアッセイ(特に、上述したSheikh et al.及び米国特許第5183740号及び第6323041号、ここで、溶液中の分子に結合したシグナルはキャピラリーの出口で測定される)とは異なり、局在化シグナルを得ることを可能にする。
【0032】
3)それらが含む分子(B)の性質に応じて互いに異なるトライポッドYのいくつかの型を、それらの明確に相違する既知のゾーンに付着することにより、同一固体支持体上で幾つかの分子が同時に検出され得る。
【0033】
4)測定されたシグナルは、2回の再生の間で固体支持体と接触させたアナライトの全ての分子に対応する。本発明従う方法のこの特徴は、時間的に間隔をあけた同時測定で得られる永久的なモニタリングを可能にすることである。
【0034】
5)このアッセイフォーマットは全ての分子に応用可能であり、これは2つの受容体がアナライトに同時に結合することを必要としないためであり、これに対して、これまでに公知のアッセイ方法(例えば上述のT.E. Plowman et al.により述べられた方法に従う方法)では時折必要とされ、そして、アナライトは十分な大きさを有することが必要とされる。
【0035】
6)試料中にアナライトが存在するとシグナルが出現し、先行技術から公知の大抵の競合アッセイとは異なり、出現したシグナルはより容易に検出可能である。
【0036】
7)最終的に、検出システムはエネルギー移動現象を利用するため、仮に蛍光である場合化合物Qのルミネッセンスの変化、あるいは化合物(L)のルミネッセンスの減少がみられる時間の変化によってアナライトの存在を検出及び定量することも可能にする。
【0037】
本発明に従う方法の特に好ましい実施形態に従うと、放出されるシグナル強度を測定することからなる工程3)及び固体支持体の表面を再生することからなる工程4)は連続的に行われる。
【0038】
本発明に従うと、固体支持体は好ましくはそれらの表面で、天然の、または修飾された後に、トライポッドYの相補性官能基に共有結合性の結合を形成できる官能基を含む物質から選択される。これらの官能基は、特にヒドロキシル、アミン、スルフヒドリルまたはカルボキシル官能基である。
【0039】
このような物質において、特にガラス、プラスチック(例えばポリスチレン)、セラミック(好ましくは酸化物型)、金属(例えばアルミニウムまたは金)、メタロイド(酸化シリコンのような)が挙げられる。
【0040】
このような支持体は、特に管、キャピラリー、マイクロプレートのようなプレートまたはビーズ、または本発明に従う方法を実行する上で適した何らか他の形状であり得る。
【0041】
検出されるアナライトを含み得るまたは含み得ない流体試料は、性質や由来が多様であり得、例えば、水、液体生物学的メディウム(medium)、または溶存気体分子または固体試料由来の分子を含む代替的な液体であり得る。
【0042】
工程3)において放出されるシグナル強度は、例えばフルオリメーター(fluorimeter)のようなルミネッセンス検出器(luminescence detector)により測定され得る。
【0043】
本発明の方法に従うと、飽和工程1)の最後に形成される複合体Cは好ましくは以下の式(I)の複合体から選択される:
【0044】
【化2】

ここで:
− 矢印はトライポッドYの骨格構造を表し、これはペプチド、ヌクレオチドまたはグルコシド鎖、あるいは飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素ベース鎖からなるリンカーアームであり;前記鎖は、必要に応じて一つ以上のヘテロ原子(N、OまたはSのような)、及び/または一つ以上のアミノ酸で置換、割り込み及び/または終結され、そして3反応性化学官能基F、F及びFを含み;
− Lは反応性化学官能基FによりトライポッドYと共有結合するルミネッセント基を表し;
− Bは、アナライトに特異的な受容体に非共有結合的及び可逆的に付着するアナライト、アナライトの構造アナログまたはアナライトの断片を表し、該受容体は化合物Qで標識され;分子(B)は反応性化学官能基FによりトライポッドYと共有結合され;
− Qは、基Lのルミネッセンスをクエンチする化合物を表し;
− FはトライポッドYの前記固体支持体表面への付着を可能にし得る反応性化学官能基を表す。
【0045】
本発明に従うと、それぞれ互いに無関係な、官能基F、F及びFが:
i)ルミネッセント化合物、分子(B)または固相上に存在する対応する化学官能基を介する直接的結合か;
ii)あるいは間接的結合のいずれか
を提供する。この第2の場合、該結合はあらかじめ固相表面の少なくとも一部、分子(B)及び/またはルミネッセント基に付着させた分子Mと複合体を形成し得る分子Mを、官能基F、F及び/またはFの少なくとも一つにカップリングすることにより実施され得る。例によると、特にビオチンまたはストレプトアビジン(或いはニュートラアビジン(neutravidin)またはアビジン(avidin))を官能基F、F及び/またはFの一つに、そして各々ストレプトアビジン(或いはニュートラアビジンまたはアビジン(avidin))を該固相、分子(B)及び/またはルミネッセント化合物に結合させることが可能である。本発明に従う方法の他の変化に従うと、この間接的な結合はまた、分子Mを介して生じ得、一つ以上のルミネッセント化合物または分子(B)を固相にあらかじめ結合し、これは、官能基F、FまたはFに結合される。分子M例において、特にアルブミン及びポリリシンのようなタンパク質、ヌクレオチド、糖または他の合成誘導体が利用され得る。
【0046】
好ましくは、F、F及びFは同じでも異なってもよく、次の官能基から選択される:チオール;アミン;アルコール;カルボン酸官能基のような酸性官能基;活性エステルのようなエステル、例えばスクシンイミジル(succinimidyl)エステル及び無水物;イソチオシアナート(isothiocyanates);イソシアナート(isocyanates);アシルアジド;スルホニルクロリド;アルデヒド;グリオキサール(glyoxals);エポキシド;オキシラン;カルボナート(carbonates);イミドエステル;カルボジイミド;マレイミド;ニトリル;アジリジン;アクリロイル;ハロゲン化(halogenated)誘導体;ジスルフィド基;例えば、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィン及びホスファイトのようなリン含有基;ジアゾ;カルボニルジイミダゾール;ヒドラジド;アリールアジド;ヒドラジン;ジアジリン;マグネシウム化合物;リチウム化合物;クプラート(cuprates);亜鉛化合物及び不飽和系(unsaturated systems)。
【0047】
これらの様々な官能基及び基の中でも、特に、式R−NH、R−NH−、(R)−N、R−NH−OR及びNH−ORのようなアミン官能基;アルコール官能基R−OH;及び式R−X(Xは塩素、ヨウ素、臭素またはフッ素のようなハロゲン原子を表す)のハロゲン化基;が挙げられ、前記式において、Rはアルキル、好ましくはC−C15アルキル、アリール、ビニルまたはアリル基を表すものと解される。
【0048】
本発明に従うと、用語「アリール基」は、一つ以上のベンゼン、ナフタレンまたはアントラセン環を有する任意の芳香族基を意味することが意図され、前記環は必要に応じてO、NまたはSのような一つ以上のヘテロ原子を含み、及び、ハロゲン原子及びC−C−アルキル、アミノ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキレンアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ニトロ、C−CアルキレンアミノまたはC−Cアルケニレンアミノ基から選択される一つ以上の基で必要に応じて置換される。
【0049】
このようなアリール基について、特に、ベンジル、フェニル、クレシル(cresyl)、トルイル、ピリジン、ピリミジン及びピラジン基が挙げられる。
【0050】
本発明に従うと、用語「ルミネッセント基」は、与えられた波長でまたは与えられた化合物により励起された時、光量子(photon)を放出することができる任意の物質、例えばフルオロフォアまたは希土類金属を意味すると意図される。
【0051】
このようなルミネッセント基の中で、フルオレセイン(ソジウムフルオレセイナート(sodium fluoresceinate))及びフルオレセインイソチオシアナート(FITC)のようなその誘導体;ローダミン及びテトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITC)のようなその誘導体;ジアミニドフェニルインド(DAPI);アクリジン;6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(AMCA)のスクシンイミジルエステルのような反応性アミンを有する蛍光色素;Bio−Rad社(米国)から販売されているBodipy(登録商標)FR−Br、Bodipy(登録商標)R6G、Bodipy(登録商標)TMR、Bodipy(登録商標)TR及びBodipy(登録商標)530/550(励起波長/エミッション波長,mmで)、558/568、564/570、576/589、581/591、630/650及び650/665のような商標名Bodipy(登録商標)で販売されている蛍光色素、Cascade Blue色素(Trilink BioTechnologies(米国)、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7(Bio−Rad社、米国)、Dabcyl(登録商標)及びEdans(登録商標)(Eurogentec、ベルギー);エオシン;エリスロシン;6−Fam及びTexas Redが挙げられる。
【0052】
本発明に従うと、用語「受容体」は、アナライト、アナライトのアナログまたは後者の断片と非共有結合及び可逆的な結合(複合体)を形成できる任意の物質を意味することが意図される。この受容体は、もちろん、トライポッドYの分子(B)の性質に応じて選択される。
【0053】
これらの受容体は特に、生物学的な特性を有する化合物(全体の、断片化または組換え型の抗体(Fab’、Fab、scFv)、受容体、ポリ核酸(DNAまたはRNA)、ペプチド核酸、レクチン或いはトランスポータータンパク質)及び、例えば特異的に合成された受容体及びキレートのような化学的な性質を有する化合物から選択され得る。
【0054】
このような受容体の中で、例えば、モノクローナル抗サブスタンスP、抗プリオンタンパク質または抗アンギオテンシンII抗体、ポリヒスチジン、ニトリロ−三酢酸−ニッケル(NTA−ニッケル)系、及び相補的なヌクレオチドプローブが挙げられる。
【0055】
本発明に従う検出方法の好ましい実施形態において、前記受容体は分子(B)に対してよりアナライトに対して高い親和性を示す。
【0056】
本発明に従うと、用語「クエンチング(quenching)化合物」(Q)は、受容体が分子(B)と複合化した場合にルミネッセント化合物(L)のルミネッセンスの減少または消失を可能にする任意の分子を意味することを意図する。この化合物(性質は多様であり得る)は特に化学的な化合物(ルミネッセントまたは非ルミネッセント)、重原子またはナノ粒子であり得る。
【0057】
このような化合物(Q)において、特に、上述した基L、ローダミン及びテトラメチルローダミン(TMR)のようなその誘導体、商品名Black Hole Quencher(登録商標)1、2及び3(Biosearch Technologies)、Nanogold Particlues(登録商標)(Nanoprobes)、Eclipse Dark Quencher(登録商標)(Epoch Bioscience)、Elle Quancher(登録商標)(Oswell)、マラカイトグリーン及び色素QSY(登録商標)7、QSY(登録商標)9及びQSY(登録商標)21(Molecular Probes)で販売されている化合物のような非蛍光分子が挙げられる。
【0058】
分子(B)がペプチドまたはオリゴヌクレオチドである場合、本発明に従う方法に従い使用されるトライポッドYは、官能基(F)を含む少なくとも一つのアミノ酸(または修飾ヌクレオチド)及び官能基(F)を含むもう一方のアミノ酸(または修飾ヌクレオチド)が前記分子(B)に添加されている間にペプチドまたはオリゴヌクレオチド合成を行うことにより調製され得、F及びFは、上述したものと同様の意味を有する。この場合、F及びFはまた、それぞれ、ルミネッセント化合物(L)及び固相表面との結合を提供する。まさに上のように、化学官能基F及びFを含むアミノ酸(またはヌクレオチド)はまた、ビオチン(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)−リシン(ビオチン)−OH産物、これはCalbiochem−Novabiochem AGにより販売されている)と結合したアミノ酸(またはヌクレオチド)で置換され得る。この場合、このアミノ酸(またはヌクレオチド)は、ストレプトアビジン(またはニュートラアビジンまたはアビジン)があらかじめ結合している固相表面、またはルミネッセント化合物(L)との結合を提供し、間接的な結合を形成する。
【0059】
本発明に従う式(I)の複合体Cの中で、特に以下の化合物が挙げられ得る:
i) (B)はペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、糖及びペプチド核酸から選択され、
ii) Lはフルオレセインであり、そして
iii) トライポッドYの骨格は以下の構造Y〜Yから選択される:
【0060】
【化3】

ここで、n、m及びpは同じでも異なってもよく、1〜20までの整数である。
【0061】
構造Y〜Yの中で、以下の式(Y’)〜(Y’)の化合物は特に好ましい。
【0062】
【化4】

本発明に従う方法で使用されるトライポッドYは、慣用的に使用される及び当業者に周知の有機及びペプチド合成の方法に従う類似のもの(analigy)により調製され得る。
【0063】
上述した式(I)の複合体Cはそれら自身新規の化合物であり、これは、この点で本発明の他の主題を構成する。
【0064】
式(I)の複合体Cは、先行技術においても慣用的に使用されてきた方法に従い、本発明に従うトライポッドYと受容体Qが複合化することにより調製され得る。
【0065】
本発明の主題はまた、流体試料中のアナライトの連続的な不均一相検出方法における、式(I)の少なくとも一つの複合体Cの使用である。
【0066】
最後に、本発明の主題は、流体試料中の少なくとも一つのアナライトの連続的な不均一相検出を行うためのデバイスであり、前記デバイスは、分析される流体試料が上述した本発明に従う少なくとも一つのトライポッドYに付着した及び検出されるアナライトに特異的な表面で、少なくとも一つの固体支持体上を流れるストリームを形成しているメディウムに統合され、固体支持体の反対に位置するルミネッセンス検出器が、該検出器により放出されるシグナルの強度の閾値により制御され及びトライポッドYとの複合体を形成し得る受容体Qを含むリザーバを、与えられた時間、開放する引き金となるバルブコントロールにカップリングされ(このリザーバは、トライポッドYが付着する固体支持体の上流にくるフィードバックループを介して支持体と結合する)、これにより該ストリームを通過し、及びトライポッドY上での複合化により後者を受容体−Qで飽和及び/または再生することを特徴とする。
【0067】
特定な実施形態に従うと:
− ルミネッセンス強度値をモニターし、ルミネッセンス検出器に連動した計算システムによりアナライト量に二次的に翻訳される;
− イベントマーカー(例えばアラーム)はフィードバック中に位置し、あらかじめ決定した値を超えるシグナル強度の変化を表示し;
− 固体支持体は分析される試料を含む環境と結合したキャピラリーであり、この結合は試料がフローストリーム(flow stream)のそれに応じてメディウム中に分散する丸底キャプチャー(capture)フラスコにより、もしくは柔軟性のあるパイプにより行われ;
− 該ストリームはポンプ、ピストンまたは同等のものにより生み出された低圧により生じる(entrained)。
【0068】
これらのデバイスは、特に、天然メディウム(medium)中、例えば、特に湖及び河川、あるいはスミングプール、工場、浄水場、換気装置または空調システムなどのような産業メディウム(media)中のアナライトの存在を検出するために使用され得る。適切な場合、ガス状態の(例えば空気のような)試料を収集するために及びそれらが含む検出される成分を溶解するために、丸底キャプチャーフラスコ及びスパージングシステムが、それらに備え付けられ得る。
【0069】
上述したことに加えて、本発明はまた次の記載から現われるであろう他の装置を含み、これはトライポッドYの骨格の合成例、式(I)の化合物の合成例、及び流体試料中のサブスタンスPを検出する2例、並びに、添付の図1〜8に述べる、ここで;
− 図1は、浄水場タンク内のアナライトの存在を測定するための、本発明に従う不均一相検出デバイスの制限のない例の一般的な図を示す。このデバイスに従うと、タンクの出口に接続する柔軟性のある管1の一部を、キャピラリー管3の上に取り付ける。この管は、本発明に従う2つのタイプのトライポッド、すなわちYa及びYbを取り付けるための支持体として働き、これにより2つのタイプのアナライトの特異的な検出を可能にする。タンク由来の液体試料は、蠕動ポンプ5の作用によりキャピラリー3内を連続的なストリーム(矢印F)として流れ、そして排出される。キャピラリー及びトライポッド Ya及びYbが取り付けられているキャピラリーの各部分の反対側付近で、蛍光を検出できるように、フルオリメーター、7a及び7bを配置する。各検出器は、それぞれトライポッドYa及びYbにそれぞれ特異的な受容体−Qのリザーバ9a及び9bと連結させる。リザーバはサイドチャンネル11a及び11b及び共通チャンネル11cを介してキャピラリー3に接続され、トライポッドYa及びYbが取り付けられている部分の上流は、ストリームの流れの方向に関係する。共通チャンネルは、キャピラリー3及び全てのチャンネル型フィードバックループに垂直に結合する。対応するリザーバ(それぞれ9a及び9b)を開放するために、各検出器はバルブコントロール(それぞれ13a及び13b)に接続し、そして、それの内容物がキャピラリー3に注ぎ込まれ(矢印Fb)、そしてチャンネル11a、11b及び11cを介して対応する特定のトライポッド(YaまたはYb)上で複合化することを可能にし、このトライポッドを再生する。この例において、再生は連続的に行われ得、この再生操作をトリガーするための閾値は、検出器の感度に従って検出され得るルミネッセンスの最小の変動に対応する。イベントマーカー15a(それぞれ15b)は、各々のフィードバックループに取り付けられる。操作モードにおいて、キャリブレーション後に、トライポッドYa及びYbにより放出された蛍光シグナルIa及びIbの強度はフルオリメーターにより測定され、付属の計算デバイス(示されない)を使用して、試料中の測定対象とするアナライトの平均濃度を計算し得る。バルブ開放コントロール13a(それぞれ13b)は、対応する検出器により測定される蛍光シグナルの強度により制御される。そして、対応するバルブが開放することは、関係するトライポッドの再生と一致する時間の引き金となる。仮に再生中にアナライトが試料中の存在すると、それら(アナライトと複合化している幾つかの受容体−Q)の持続時間が長くなる。再生持続時間は、蛍光が基準とするレベルにまで戻るために要する時間により決定され得る;仮に、これがあらかじめ決められたよりも高い場合、イベントマーカーがトリガーされ得る。与えられる時間間隔に関して(for a given time interval)、あらかじめ決定した値より高いためにシグナル強度が変化する場合、イベントマーカー15a(それぞれ15b)は、視覚及び/または音の警告16によりこの事実を合図する。そして、仮に、蛍光シグナルが2回の再生の間にキャピラリーを通過した全てのアナライトaに対応する場合、蛍光はまた規則的な時間間隔で読まれ得る。他の例において、試料がガスの場合、用いられるメディウム(medium)及びストリームを作り出す方法は当業者により改造される;
− 図2は、μMのトライポッド濃度の関数として、化合物(L)としてフルオロセイン及び分子(B)としてサブスタンスPのアナログを含むトライポッドYをニュートラアビジンを介してマイクロタイトレーションプレート上に固定した後に、任意の単位で、測定した蛍光を表し;
− 図3は、トライポッドと複合化するテトラメチルローダミン標識抗サブスタンスPモノクローナル抗体(mAb SP31−TMR)(nMで)の量の関数として、化合物(L)としてフルオロセインと分子(B)としてサブスタンスPアナログを含むトライポッドの蛍光の減少曲線(任意のユニットにおける)を表し;
− 図4は、mAb SP31−TMRにより生じる蛍光減少のサブスタンスPによる抑制率を表し(% ID)、これはサブスタンスPの濃度(nMで)の関数として表される;
− 図5は、本発明に従うトライポッドYが取り付けられた固体支持体を接触させた後に(任意のユニットで)測定された蛍光を表し、前記トライポッドは、第一アッセイにおいては、mAb SP31−TMR(ウェルFl:mAb SP31−TMR及びサブスタンスPが存在しない場合に測定された蛍光、及びウェルFl:mAb SP31−TMRは存在し、サブスタンスPが存在しない場合に測定された蛍光)、及び様々な濃度のサブスタンスP(ウェルFl:x=サブスタンスPの濃度:1;0.1または0.01μMでmAb SP31−TMRが存在する場合に測定された蛍光)と複合化され得、及び支持体再生の後に、最終的には、ウェルは再びサブスタンスPの3つの濃度と接触させた後である;
− 図6は、11回のサブスタンスP−アッセイと再生サイクル後に、ウェルFl、Fl及びFlのそれぞれに関して(任意のユニットで)測定された平均の蛍光を表し;
− 図7は、ウェルFl、Fl及びFl(x=サブスタンスP 1μM)において行われた11回のアッセイそれぞれに関して(任意のユニットで)測定された蛍光を表し;
− 図8は、標識されたモノクローナル抗体mAb SP31に接触させた(領域1)、サブスタンスPと接触させた(領域2)、そして、キャピラリ−に付着したトライポッドを標識したモノクローナル抗体mAb SP31に接触させることにより再生された(領域3)(最後の2工程は3回繰り返す)、本発明に従うトライポッド Yで官能基化したキャピラリーの時間の関数としての蛍光変化(任意のユニットで)を表す。
【実施例】
【0070】
実施例1:本発明に従うトライポッドYの式(Y’)の骨格の調製
1当量の1,2−エチルジアミンを2当量の(Boc)Oと反応させてビス(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)−1,2−エチルを生じ、続いて水素化ナトリウム存在下で1当量のフェニル3−ブロモプロパノエート(phenyl 3-bromopropanoate)と反応させ、以下の式(Y’1a)の化合物を得る。
【0071】
【化5】

化合物Y’1aはトリフルオロ酢酸メディウム(medium)で脱保護し、そして得られた脱保護化合物はトリエチルアミン(TEA)及び1当量のZクロライド(Zはカルボベンジルオキシ)存在下で縮合し、以下の式(Y’1b)の化合物を得る。
【0072】
【化6】

S−(3−クロロプロピル)エタンチオエート(ethanethioate)及びTEA存在下で、式(Y’1b)の化合物は以下の式(Y’1c)の化合物を与え:
【0073】
【化7】

ここで、Zは上記の式(Y’1b)の化合物で示すものと同じ意味を有し、及びBzはベンジル基を表す。
【0074】
式(Y’1c)の化合物の酸及び第一級アミン官能基をパラジウム炭素(palladium-on-charcoal)存在下で脱保護し、そしてチオール官能基をヒドロキシルアミンの作用により脱保護し、式(Y’1)の化合物を得る。
【0075】
実施例2:本発明に従うトライポッドYの式(Y’)の骨格の調製
3−ブロモプロピオン酸及びチオ酢酸から調製された3−[(2−オキソプロピル)チオ]プロピオン酸を上記実施例1で得られた式(Y’1b)の化合物と反応させ、以下の式(Y’2a)の化合物を得る。
【0076】
【化8】

ここで、Zはカルボベンジルオキシ基を表し、及びBzはベンジル基を表す。
【0077】
上述した式(Y’2a)の化合物の酸性及び第一級アミン官能基は、パラジウム炭素存在下で脱保護し、そしてチオール官能基はヒドロキシルアミンの作用により脱保護し、上述した式(Y’2)の化合物を得る。
【0078】
実施例3:本発明に従うトライポッド Yの式(Y’)の骨格の調製
水素化ナトリウム存在下で1当量の2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオールと1当量のエチル3−ブロモプロパノエートを反応させ、エチル3−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロポキシ]プロパノエートを得る。続いて水素化ナトリウム存在下で、この化合物を1当量のtert−ブチル3−ブロモプロピルカルバマート(tert-butyl 3-bromopropylcarbamate)と反応させ、以下の式(Y’3a)の化合物を得る。
【0079】
【化9】

続いて、上記の式(Y’3a)の化合物をトリフルオロ酢酸メディウム(medium)中で脱保護し、そして水酸化ナトリウム存在下でジチオキソメタンと反応させ、そしてカルボキシル基をエタノール/硫酸混合液中で再保護し、以下の式(Y’3b)の化合物を得る。
【0080】
【化10】

続いて上記の式(Y’3b)の化合物を水素化ナトリウム存在下で1−(3−ヨードプロピル)−1H−ピロール−2,5−ジオンと反応させ、以下の式(Y’3c)の化合物を得る:
【0081】
【化11】

そして、水酸化ナトリウム存在下で化合物(Y’3)を得る。
【0082】
実施例4:本発明に従うトライポッドYの調製
この実施例は、以下を含む本発明に従うトライポッドYの調製を説明する:
− 分子(B)としてのサブスタンスPアナログ、
− 固体支持体(F)の表面にトライポッドを結合するためのNH官能基、
− ルミネッセント化合物(L)としてのフルオレセイン。
【0083】
1)サブスタンスPアナログの調製
興味深いことに、サブスタンスP(分子量:MW=1349)のシークエンスは以下のようであり:
Arg−Pro−Lys−Pro−Gln−Gln−Phe−Phe−Gly−Leu−Met−CONH
即ち(SEQ ID No.1)−CONHである。
【0084】
以下のシークエンスに対応するサブスタンスPアナログ(MW=1907)を調製する:
Lys−Ser−Ser−Lys(ビオチン)−Arg−Pro−Ala−Pro−Gln−Gln−Phe−Phe−Gly−Ala−Met−CONH
即ち(SEQ ID No.2)−CONHである。
【0085】
これを行うために、サブスタンスPアナログとビオチンの、並びにNH官能基の結合は、当業者に公知の方法に従うペプチド合成、例えばMerrifirld(J. Am. Chem. Soc., 1964, 85, 2149-2154)により述べられる固相合成、の手順で行う。サブスタンスPアナログは10位にアラニンを含む[Ala10]サブスタンスPのペプチドアナログであり、これはモノクローナル抗体SP31に対するサブスタンスPと13%交差反応が見られ(O. Dery, Biopolymers, 1996, 39, 67-74)、これは受容体として後述するアッセイにおいて使用される。モノクローナル抗体SP31(mAb SP31)はサブスタンスPと比較してこのアナログに対するこの低い親和性のため、固相に付着する抗体からより良く置換できるであろう。このアナログに関して、側鎖に存在する第一級アミンを除去するために、3位のリシン(Lys3)をまたアラニンで置換した。Lys3はmAb SP31の認識部位にはないため、この置換はアナログに対する抗体の親和性を改変しない。さらに、N末端は側鎖にビオチン分子を有するリシン(Fmoc−Lys(ビオチン)−OH)の付加により修飾され、そして二つのセリンは二つのNH官能基を有するリシンに続き、これらの一つはその側鎖上に存在する。
【0086】
合成後、得られた化合物は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製し、そして凍結乾燥する。
【0087】
2)フルオロセイン(L)によるサブスタンスPアナログの標識
上述した1)で得られた化合物100μg(5.28×10−8mol)を100μlの0.1Mホウ酸緩衝液(pH9)に溶解する。ジメチルホルムアミド(DMF)中の
フルオレセイン−NH−スクシンイミド(MW 586.55)(6−(フルオレセイン−5−(及び−6)−カルボキサミド)ヘキサン酸、Molecular Probes社により参照番号F−6129で販売されているスクシンイミジルエステル)溶液(10mg/ml)30.8μl(5.28×10−7mol)を続いて添加した。4℃の温度で16時間撹拌した後、100μlの1M Tris−HCl緩衝液(pH9)を添加し、そして、4℃で16時間撹拌を続け、残りの活性エステル官能基を不活化する。最終的に、769.2μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)及び0.01%のソジウムアジドを添加する。本発明に従うトライポッドYの溶液(52.8μM)を得る。このトライポッドは4℃の温度で保存する。
【0088】
実施例5:試料中のサブスタンスPの検出およびアッセイ
1)受容体−Qの調製:テトラメチルローダミン(TMR)(Q)による抗サブスタンスPモノクローナル抗体SP31の標識(mAb SP31−TMR複合体)
TMR(MW 527.5)の溶液(DMF中の5−(及び−6)−カルボキシテトラメチルローダミン、スクシンイミジルエステル;Molecular Probes社により参照番号C1171で販売されている、50mg/ml(176μg;333nmol))3.5μlを、0.1Mホスフェート緩衝液(pH7.4)中のmAb SP31(1.136mg/ml(1mgは6.67nmolに相当する))880μlに添加する。4℃で16時間撹拌した後、100μlの1M Tris−HCl緩衝液(pH9)を添加し、次いで、4℃で16時間撹拌を続け、残りの活性エステル官能基を不活化する。最終的に、標識した抗体は、ソジウムアジド0.01%を含む0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中でG−25ゲル上の排除クロマトグラフィー(Sephadex G−25 fine、Amersham Biosciences)により遊離のTMRから分離する。抗体に対応する画分を合わせ、そして、1cmの光学経路長のキュベットを使用して280及び555nmで溶液の吸光度を測定する。
【0089】
抗体濃度は次の等式に従って計算する:
濃度(M)=[A280・(A555×0.3)]/ε
ここで:
− A280は280nmでの吸光度であり
− A555は555nmでの吸光度であり
− 0.3は280nm及び555nmでのTMRの吸光度の比であり
− εはモル吸光係数(IgGに関して、ε=203000cm−1−1)である。
【0090】
標識した抗体の濃度1.36μMを得た。
【0091】
標識の程度次の等式に従い計算でき得る:
抗体分子あたりのTMR分子数=A555/(65000×抗体濃度)
ここで、数65000はTMRの555nmでのモル吸光係数に対応する。
【0092】
抗体モルあたり3.6molTMRを得る。
【0093】
2)固体支持体の調製:ニュートラアビジンを用いた表面の官能化
固体支持体上で上記の実施例4において調製したトライポッドYを固定できるように、第一段階として、後者をニュートラアビジンで官能化した。
【0094】
a)用いた試薬
飽和緩衝液:
− 0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4;
− 0.15M NaCl;
− シグマ社により参照番号A−7906で販売されている牛血清アルブミン(BSA):0.1%;
− 0.01% ソジウムアジド。
【0095】
洗浄緩衝液:
− 0.01M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4;
− Tween(登録商標) 20:0.05%。
【0096】
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中、ニュートラアビジン(Pierce社により参照番号31000で販売されている)の溶液(5μg/ml)100μlを、VWR社により商品名High Bind Matrixで販売されている(参照番号80120696)黒色マイクロプレートのウェルに注ぐ。周囲温度で16時間後、プレートは洗浄緩衝液で洗浄し、次いで周囲温度で16時間、300μl/ウェルの飽和緩衝液を注ぐことにより飽和する。プレートは同じ緩衝液(300μl/ウェル)で、4℃で保存する。
【0097】
3)本発明に従う(フルオレセインで標識した)トライポッドYのマイクロタイトレーションプレートへの付着
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)による、上記の実施例4において合成したトライポッドY(フルオレセインで標識)の希釈範囲は、0.5μM濃度を範囲の最初の点として4つの連続的な1/3希釈(即ち0.167μM;0.055μM;0.0185μM及び6.2×10−3μM)を作ることにより調製する。各濃度100μlを、デュプリケートで、ニュートラアビジンでコートしたまたは飽和工程だけを行った(ネガティブコントロール)ウェル中に注ぐ。撹拌しながら周囲温度で3時間インキュベーションした後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、次いで100μlの0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぐ。マイクロプレートを読むために、励起波長485nm及び発光波長530nm(これはフルオロセインに対応する励起及び発光波長)で、アナリストADシステムフルオリメーター(LJL Biosystem)によりプレートを読む。
【0098】
結果
ニュートラアビジン(黒四角)あり及びニュートラアビジンなし(黒三角:コントロール)で得られた曲線を添付の図2に表し、ここで、蛍光(任意のユニットで)は、本発明に従うトライポッドYの濃度(μM)の関数として表される。
【0099】
これらの結果は、0.17μMの濃度までは本発明に従うトライポッドの濃度のそれに比例して蛍光が増加すること、そして、トライポッドによるニュートラアビジン結合部位の飽和に対応して平らになることが分かる。固定したニュートラアビジンがない場合、蛍光の増加は観察されない。
【0100】
以下の実施例において、実施例のトライポッドYは20nmの濃度で使用され、これらの結果から判断すると、十分なシグナルが得ることが可能である。
【0101】
4)複合体Cを形成するための、mAb SP31−TMRによる固相の飽和
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)における、mAb SP31−TMRの希釈範囲は、100nMの濃度の範囲を最初の点とし、そして6つの3倍希釈を作成することにより調製する。デュプリケートで、各濃度100μlを実施例4のトライポッドYの溶液(0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4中20nMの溶液)100μlをマイクロプレートのウェルに注ぐ。4℃で16時間インキュベートした後、マイクロプレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、そして0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)100μlを注ぎ、次いで蛍光を測定する。
【0102】
得られた結果は添付の図3に示し、ここで測定した蛍光(任意のユニットで)はmAb SP31−TMRの濃度(nM)の関数として表される。
【0103】
これらの結果は、1nMの抗体濃度から、mAb SP31−TMRの濃度に比例して蛍光が減少し、33nMのmAb SP31−TMRの濃度を使用した時、最大70%までの抑制が得られることを示す。この結果は以下のことを示す:
i)エピトープを認識することにより、抗体は本発明に従うトライポッドYと複合化し、
ii)本発明に従うトライポッドYのコンフィギュレーションは、フルオレセインからTMRに至る共鳴エネルギー移動を可能とし、これによりフルオロセインの蛍光が減少する。
【0104】
5)固体支持体上のサブスタンスPの検出
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)による、サブスタンスPの希釈範囲は、200nMの濃度を範囲の最初の点とし、そして6つの3倍希釈を作成することにより調製する。そして、100μlの実施例4において調製したトライポッド(20nM)及び100μlのmAb SP31−TMR(30nM)(またはネガティブコントロールウェルとして100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4)を各ウェルに注ぐ。撹拌しながら5時間周囲温度でインキュベートした後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、そして100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぎ、そして蛍光を測定する。
【0105】
得られた結果は添付の図4に示され、ここで、サブスタンスP濃度の関数として(nMで)、mAb SP31−TMRにより生じるサブスタンスPの蛍光減少の抑制割合(% ID)が示される。
【0106】
この抑制割合は、次の等式を使用して計算する:
% ID=[(Fl−Fl)/(Fl−Fl)]×100
ここで:
− Flは濃度XのサブスタンスP存在下で測定した蛍光に対応し;
− FlはmAb SP31−TMR及びサブスタンスP非存在下で測定した蛍光に対応し;
− FlはmAb SP31−TMR存在下及びサブスタンスP非存在下で測定した蛍光に対応する。
【0107】
これらの結果は、予想されたように、サブスタンスPの濃度の増加はフルオロセインの蛍光増加を誘発すること(減少の抑制に対応して)を示す。このように標準の曲線が得られ、サブスタンスPの検出限界はおおよそ2nMである。
【0108】
6)固相再生試験
サブスタンスPの3つの希釈液(それぞれ1、0.1及び0.01μM)を0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で調製する。そして、100μlの上記実施例4において調製したトライポッドY及び100μlのmAb SP31−TMR(50nM)(またはネガティブコントロールウェル:Flウェルに関しては0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4、100μl)を各ウェル中に注ぐ。mAb SP31−TMRは50nMで使用し、固相上に存在する全てのトライポッドを複合化する。4℃で16時間インキュベートした後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、そして、トリプリケートで、各濃度のサブスタンスP 100μlを注ぐ(Flウェル)。Fl及びFlウェルはまたトリプリケートで調製する。撹拌しながら周囲温度で5時間インキュベートした後、プレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、そして、100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぎ、そして蛍光を測定する(第一アッセイ)。
【0109】
プレートは上述と同じ方法で再度洗浄し、そして、100μlのmAb SP31−TMR(50nM)(またはFlウェルに関しては100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4)を4℃で16時間インキュベートする。プレートは再び洗浄し(5回)、そして、100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぎ、そして蛍光を測定する(プレート再生工程)。
【0110】
プレートは再度洗浄し(5回)、そしてFl及びFlウェルについて、100μlのリン酸カリウム緩衝液もしくは100μlのサブスタンスP(1、0.1及び0.01μM)のいずれかを注ぐ。撹拌しながら5時間周囲温度でインキュベートした後、プレートを洗浄し(5回)、そして、100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぎ、そして蛍光を測定する(第二アッセイ)。
【0111】
得られた結果は添付の図5に示し、ここで、Fl、Fl及びFlウェルについて測定した蛍光(任意のユニットで)は、第一及び第二アッセイにおいて、そしてまた再生工程の後に行った測定についても示される。
【0112】
これらの結果は:
i)検出方法の様々な工程(注入、洗浄)は固相から本発明に従うトライポッドYの解離をもたらさない:Flウェルにおいて測定した蛍光は一定である;
ii)mAb SP31の注入は、固相の一様な再生:全てのFl及びFlウェルは同じ蛍光値、を可能にする;
iii)完全な再生が得られる:再生工程の後にFlウェルについて測定した蛍光は第一アッセイで行うFlウェルのそれと同様である;
iv)同一のサブスタンスP濃度において同じ蛍光値が得られるため、この再生工程は同じ固相上で続いて行われる第二アッセイと適合性である、
ことを示す。
【0113】
7)同じ固相上での繰り返しアッセイの実現可能性の証明
0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で、サブスタンスPの3つの希釈液(1、0.1及び0.01μM)を調製する。
【0114】
i)100μlの上記実施例4において調製したトライポッド(20nM)及び100μlのmAb SP31−TMR(50nM)または100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)(ネガティブコントロール:Flウェル)をマイクロプレートの各ウェル中に注ぐ。mAb SP31−TMRは50nMの濃度で使用し、固相上に存在する全てのトライポッドを複合化する。4℃で16時間インキュベート後、マイクロプレートを洗浄緩衝液で洗浄し(5回)、そして、トリプリケートで、各濃度のサブスタンスP 100μlを注ぐ。Fl及びFlウェルもまたトリプリケートで調製する。撹拌しながら周囲温度で5時間インキュベート後、マイクロプレートを洗浄し(5回)、そして、100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.4)を注ぎ、そして蛍光を測定する(第一アッセイ)。
【0115】
ii)プレートは再度洗浄し(5回)、そして、100μlのmAb SP31−TMR(50nM)(またはFlウェルに関しては100μlの0.1M リン酸カリウム緩衝液、pH7.4)を4℃で16時間インキュベートする(再生工程)。
【0116】
iii)プレートは再度洗浄し(5回)、そして、Fl及びFlについて、100μlのホスフェート緩衝液もしくは100μlのサブスタンスP(1、0.1及び0.01μM)のいずれかを注ぐ。撹拌しながら周囲温度で5時間インキュベート後、プレートを洗浄し(5回)、そして、100μlのホスフェート緩衝液を注ぎ、そして蛍光を測定する(第二アッセイ)。
【0117】
工程ii)及びiii)の引き続くアッセイを繰り返すために、ホスフェート緩衝液、Flとして、及び様々な濃度のサブスタンスPを注ぐウェルを変化させる。
【0118】
そして、同じ固相上で11回の連続的なアッセイを行う。
【0119】
得られた結果は添付の図6及び7に示す。
【0120】
図6において、蛍光(任意のユニット)は、Fl、Fl及びFlの各ウェルについて、行われた11回のアッセイの平均値に相当する。図7において、蛍光(任意のユニット)は、Fl、Fl及びFlの各ウェルについてx=1μMのサブスタンスPで行われた11回の各アッセイで得られた値に相当する。
【0121】
これらの結果は、サブスタンスPの各濃度について、蛍光値は規則正しく、サブスタンスP非存在下で得られるものより高いことを表す。さらに、観察されたばらつきはランダムである:一連のアッセイを通して、蛍光に漸進的に減少することまたは増加することはない。
【0122】
これらの結果はまた、本発明に従う検出方法は固相上でアナライトを繰り返し分析することが可能であることを示し、各ウェル(または反応サイト)が等価な方法で再生されること、及び連続したさらなる検出することが可能である。
【0123】
実施例6:サブスタンスPの検出及びキャピラリー中での再生
1)手順
a)使用する試薬の調製
− 蛍光分子によるトライポッドの標識:
商品名Alexa Fluor(登録商標)532タンパク質標識キット、参照番号A−10236(Molecular Probes)で販売されている蛍光分子による配列番号2(実施例4で上述したように)の配列のサブスタンスPアナログの標識は、実施例4に記載したプロトコールに従い行う。トライポッド−Alexa 532を得る。
【0124】
− 受容体Qの調製:蛍光分子でのmAb SP31抗体の標識(mAb SP31−Alexa 647複合体):
商品名Alexa Fluor(登録商標)647サクシンイミジルエステル、参照番号A−20006(Molecular Probes)で販売されている蛍光分子によるmAb SP31の標識を、実施例5の工程1)に上述したプロトコールに従い行う。mAb SP31−Alexa 647標識抗体を得る。
【0125】
− キャピラリーの調製:
四角形の横断面(square cross section)を有するボロシリケート製のキャピラリーを使用する(内寸=0.5mm、外寸=1mm、長さ=25mm)(Wale Apparatus)。キャピラリーはニュートラアビジンで官能化し、そしてトライポッド−Alexa 532の溶液中(5μMの溶液)、4℃で一夜インキュベートする。
【0126】
b)実験プロトコール
官能化したキャピラリーを、内径0.51mmのマニホールドチューブ(Manifold tubing)(Bioblock)を介してギルソン(Gilson)ポンプに接続し、様々な溶液が連続して流れるようにする。
【0127】
HisIs 23 cooled CCDカメラ(Europixel、イタリア)およびコンピューター制御されたシャッターを備えた蛍光顕微鏡(水銀ランプにより励起)を使用して蛍光を測定する。
【0128】
画像取り込みは、530−560nmの励起フィルター及び575−645nmの発光フィルターを用いて、露光時間50msecで、実験を通してキャピラリーの同じ領域上で行う。
【0129】
上記実施例5に記載したように洗浄緩衝液でキャピラリーを洗浄した後、官能化したキャピラリーを0.1Mのホスフェート緩衝液(pH8.5)を充填し、最初の蛍光をt=0で読む。
【0130】
そして、mAb SP31−Alexa 647の溶液(2.62μM)をキャピラリーに導入する。10分後、キャピラリーを洗浄し(洗浄緩衝液、流速35μl/分で2分)、そして、0.1Mのホスフェート緩衝液(pH8.5)を充填し、クエンチング後の蛍光を測定する。
【0131】
サブスタンスPの溶液(10nmol/ml)を続いて80分間導入する。t=15秒で最初に測定した後、5分毎に測定を行う。
【0132】
キャピラリー洗浄後(洗浄緩衝液、次いで0.1Mのホスフェート緩衝液、pH8.5、35μl/分でそれぞれ2分)、mAb SP31−Alexa 647でさらにインキュベートすることにより固相を再生する。実験はこの方法で3回繰り返す。
【0133】
2)結果
この実験で得られた結果は、添付の図8に示し、ここで、蛍光(任意のユニット)は時間(分)の関数として表す。
【0134】
これらの結果は、mAb SP31−Alexa 647によるトライポッド−Alexa 532の蛍光の減少(クエンチング)(領域1の曲線)、サブスタンスP存在下での蛍光の増加(領域2の曲線)及びmAb SP31−Alexa 647を導入することによる再生からなる工程(領域3の曲線)は、キャピラリーのような固体支持体上で、及び実施例5において使用されるそれらと異なるルミネッセント基(L)及びクエンチング基(Q)を用いると効果が残るということを示す。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、浄水場タンク内のアナライトの存在を測定するための、本発明に従う不均一相検出デバイスの制限のない例の一般的な図を示す。
【図2】図2は、μMのトライポッド濃度の関数として、化合物(L)としてフルオロセイン及び分子(B)としてサブスタンスPのアナログを含むトライポッドYをニュートラアビジンを介してマイクロタイトレーションプレート上に固定した後に、任意の単位で、測定した蛍光を表す。
【図3】図3は、トライポッドと複合化するテトラメチルローダミン標識抗サブスタンスPモノクローナル抗体(mAb SP31−TMR)(nMで)の量の関数として、化合物(L)としてフルオロセインと分子(B)としてサブスタンスPアナログを含むトライポッドの蛍光の減少曲線(任意のユニットにおける)を表す。
【図4】図4は、mAb SP31−TMRにより生じる蛍光減少のサブスタンスPによる抑制率を表し(% ID)、これはサブスタンスPの濃度(nMで)の関数として表される。
【図5】図5は、本発明に従うトライポッドYが取り付けられた固体支持体を接触させた後に(任意のユニットで)測定された蛍光を表し、前記トライポッドは、第一アッセイにおいては、mAb SP31−TMR(ウェルFl:mAb SP31−TMR及びサブスタンスPが存在しない場合に測定された蛍光、及びウェルFl:mAb SP31−TMRは存在し、サブスタンスPが存在しない場合に測定された蛍光)、及び様々な濃度のサブスタンスP(ウェルFl:x=サブスタンスPの濃度:1;0.1または0.01μMでmAb SP31−TMRが存在する場合に測定された蛍光)と複合化され得、及び支持体再生の後に、最終的には、ウェルは再びサブスタンスPの3つの濃度と接触させた後である。
【図6】図6は、11回のサブスタンスP−アッセイと再生サイクル後に、ウェルFl、Fl及びFlのそれぞれに関して(任意のユニットで)測定された平均の蛍光を表す。
【図7】図7は、ウェルFl、Fl及びFl(x=サブスタンスP 1μM)において行われた11回のアッセイそれぞれに関して(任意のユニットで)測定された蛍光を表す。
【図8】図8は、標識されたモノクローナル抗体mAb SP31に接触させた(領域1)、サブスタンスPと接触させた(領域2)、そして、キャピラリ−に付着したトライポッドを標識したモノクローナル抗体mAb SP31に接触させることにより再生された(領域3)(最後の2工程は3回繰り返す)、本発明に従うトライポッド Yで官能基化したキャピラリーの時間の関数としての蛍光変化(任意のユニットで)を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
1)以下の3つの官能性極:
i)ルミネッセント基(L)、
ii)アナライト、アナライトのアナログまたはアナライトの断片から選択される分子(B);及び
iii)固体支持体の表面に3官能性試薬の付着をもたらす官能基、
を含む少なくとも一つの3官能性試薬(トライポッドY)を、その表面の少なくとも一部上に含む固体支持体を、アナライトに対する受容体で飽和する工程(該受容体は基Lのルミネッセンスをクエンチする化合物(Q)(受容体−Q)で標識されて、該分子(B)と該受容体−Qとの複合体Cを形成する);
2)工程1)で得た該固体支持体を、検出されるアナライトを含み得る流体試料と接触させる工程;
3)基Lにより放出されるシグナル強度を測定する工程(これは流体試料に存在するアナライトの量に比例する);および
4)該固体支持体を受容体−Qに接触させることにより該固体支持体を再生する工程、
を含むことを特徴とする流体試料中のアナライトを検出するための方法。
【請求項2】
それらが含有する分子(B)の性質によって互いに異なるトライポッド Yのいくつかのタイプが、前記固体支持体の別の及び既知の部分に付着することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程3)及び工程4)が連続的に行われることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体支持体がガラス、プラスチック、セラミック、金属及びメタロイドから選択されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記支持体がチューブ、キャピラリー、プレートまたはビード(bead)の形態であることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記流体試料が、水、液体生物学的メディウム(medium)または可溶性ガス分子または固体試料由来の分子を含む液体メディウム(medium)からなることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
工程3)で放出されるシグナル強度が蛍光検出器により測定されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
飽和工程1)の最後に形成される複合体Cが、以下の式(I):
【化1】

(ここで:
− 矢印はトライポッド Yの骨格構造を表し、これはペプチド、ヌクレオチドまたはグルコシド鎖、あるいは飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素ベース鎖からなるリンカーアームであり;前記鎖は、必要に応じて一つ以上のヘテロ原子(N、OまたはSのような)、及び/または一つ以上のアミノ酸で置換、割り込み及び/または終結され、そして3反応性化学官能基F、F及びFを含み;
− Lは反応性化学官能基FによりトライポッドYと共有結合するルミネッセント基を表し;
− Bは、アナライトに特異的な受容体に非共有結合的及び可逆的に付着するアナライト、アナライトの構造アナログまたはアナライトの断片を表し、該受容体は化合物Qで標識され;分子(B)は反応性化学官能基FによりトライポッドYと共有結合され;
− Qは、基Lのルミネッセンスをクエンチする化合物を表し;
− FはトライポッドYの前記固体支持体表面への付着を可能にし得る反応性化学官能基を表す)
の複合体から選択されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
互いに独立した官能基F、F及びFが:
i)ルミネッセント化合物、分子(B)または固相上に存在する対応する化学官能基を介する直接的結合か;
ii)あるいは間接的結合のいずれか(この場合、該結合はあらかじめ固相表面の少なくとも一部、分子(B)及び/またはルミネッセント基に付着させた分子Mと複合体を形成し得る分子Mを、官能基F、F及び/またはFの少なくとも一つにカップリングすることにより実施される)、
を提供することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
官能基F、F及びFは同じでも異なってもよく、以下の官能基:チオール;アミン;アルコール;酸性官能基;エステル;イソチオシアナート(isothiocyanates);イソシアナート(isocyanates);アクリルアジド;スルホニルクロライド;アルデヒド;グリオキサール;エポキシド;オキシラン;カルボナート;イミドエステル;カルボジイミド;マレイミド;ニトリル;アジリジン;アクリロイル;ハロゲン化誘導体;ジスルフィド基;リン含有基;ジアゾ;カルボニルジイミダゾール;ヒドラジド;アリールアジド;ヒドラジン;ジアジリン;マグネシウム化合物;リチウム化合物;クプラート(cuprates);亜鉛化合物及び不飽和系(unsaturated systems)、
から選択されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
官能基F、F及びFが、式R−NH、R−NH−、(R)−N、R−NH−OR及びNH−ORのアミン官能基;アルコール官能基R−OH;及びXがハロゲン原子を表す式R−Xのハロゲン化基;から選択され、該式において、Rはアルキル、アリール、ビニルまたはアリル基を表すと理解されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ルミネッセント基が、フルオレセイン(ソジウムフルオレセイナート(sodium fluoresceinate))及びその誘導体;ローダミン及びその誘導体;ジアミニドフェニルインド(DAPI);アクリジン;反応性アミンを有する蛍光色素;商品名Bodipy(登録商標)で販売されている蛍光色素;色素Cascade Blue、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5及びCy7、Dabcyl(登録商標)及びEdans(登録商標);エオシン;エリスロシン;6−Fam及びTexas Redから選択されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
受容体が、全体の、断片化されたまたは組換え形態の抗体、生物学的受容体、核酸、ペプチド核酸、レクチン、輸送タンパク質、キレート及び合成受容体から選択されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記受容体が、分子(B)に対してよりアナライトに対して高い親和性を示すことを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
クエンチング化合物(Q)が、ローダミン及びその誘導体、請求項12に記載の蛍光化合物、商品名Black Hole Quencher(登録商標)1、2及び3、Nanogold Particles(登録商標)、Eclipse Dark Quencher(登録商標)、Elle Quencher(登録商標)、マラカイトグリーン、及び色素QSY(登録商標)7、QSY(登録商標)9及びQSY(登録商標)21で販売されている化合物から選択される非蛍光分子、から選択されることを特徴とする上記の請求項のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
式(I)の複合体が:
i)(B)はペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、糖またはペプチド核酸、
ii)Lはフルオレセイン、及び
iii)トライポッドYの骨格は以下の構造Y〜Yから選択される:
【化2】

(ここで、n、mおよびpは同じでも異なってもよく、1〜20の全てを含む整数である)である化合物から選択されることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
構造Y〜Yが以下の式(Y’)〜(Y’):
【化3】

の化合物から選択されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
以下の式(I):
【化4】

(ここで、L、B、Q、矢印及びF、F及びFは請求項8〜17のいずれか一つにおいて定義された通りである)
に対応することを特徴とする複合体C。
【請求項19】
流体試料中のアナライトの連続的な不均一相(heterogeneous-phase)検出のための方法における、請求項8〜16のいずれか一つで定義された式(I)の少なくとも一つの複合体Cの使用。
【請求項20】
流体試料中の少なくとも一つのアナライトの連続的な不均一相検出を行うためのデバイスであって、分析される流体試料が、請求項1で定義される少なくとも一つのトライポッドYが付着し及び検出されるアナライトに特異的な表面で少なくとも一つの固体支持体上を流れるストリームを形成するメディウムに統合され、固体支持体の反対に位置するルミネッセンス検出器が、該検出器により放出されるシグナルの強度の閾値により制御され及びトライポッドYとの複合体を形成し得る受容体Qを含むリザーバを、与えられた時間、開放する引き金となるバルブコントロールに結合され(このリザーバはトライポッドYが付着する固体支持体の上流にくるフィードバックループを介して支持体と結合する)、これにより該ストリームを通過し、及びトライポッドY上での複合化により後者を受容体−Qで飽和及び/または再生することを特徴とする、デバイス。
【請求項21】
ルミネッセンス強度値をモニターし、そして、ルミネッセンス検出器に接続した計算システムにより二次的にアナライトの量に変換する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
あらかじめ決められた値を超えるシグナル強度の変化を表示するために、イベントマーカーがフィードバックループに配置される請求項20または21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記固体支持体が、分析される試料を含む環境(environment)とカップリングするキャピラリーであり、該カップリングが、フローストリーム(the flow stream)のそれに対応するメディウム(medium)内で試料が拡散する丸底キャプチャー(capture)フラスコによって、またはフレキシブルパイプによって行われる請求項20〜22のいずれか一つに記載のデバイス。
【請求項24】
ポンプ、ピストンまたは同等のものにより生み出された低圧により該ストリームが伴出される(entrain)請求項20〜23のいずれか一つに記載のデバイス。
【請求項25】
ガスの状態で試料を集めるための、及び、それらが含む検出される成分を可溶化するための、丸底キャプチャー(capture)フラスコ及びスパージングシステムを備えることを特徴とする請求項20〜24のいずれか一つに記載のデバイス。
【請求項26】
天然または工業メディウム(medium)中のアナライトの存在を検出するための、請求項20〜25のいずれか一つに記載のデバイスの使用。
【請求項27】
デバイスが、湖、河川、スイミングプール、工場、浄水場、または換気あるいは空調システムにおいて使用されることを特徴とする請求項26に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−508357(P2006−508357A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556436(P2004−556436)
【出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003521
【国際公開番号】WO2004/051271
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(500511590)
【Fターム(参考)】