説明

アニオン交換ポリマーの相互貫入ネットワーク、その製造方法、およびその使用

本発明は、(A)適切な有機溶媒の中に、(a)反応性のハロゲン基を有する少なくとも1種の有機ポリマー、(b)少なくとも1種の第三級ジアミン、(c)フリーラジカル重合により重合可能なエチレン性不飽和を含む少なくとも1種のモノマー、(d)場合によって、フリーラジカル重合により重合可能な少なくとも2つのエチレン性不飽和を含む少なくとも1種の架橋剤、および(e)少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤を含む均一な反応溶液を調製することと、(B)調製された溶液を、成分(a)と(b)の間の求核置換反応、ならびに成分(e)により開始される成分(c)および場合によって(d)のフリーラジカル共重合反応の両方を可能にするのに十分である温度および期間で加熱することとからなる、IPNまたはsemi-IPNの構造を有するアニオン交換ポリマー材料を製造する方法に関する。本発明は、生成したIPNまたはsemi-IPNの材料にも関し、電気化学的装置中における、空気電極と直接的に接触したその使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の構造を有するアニオン交換ポリマー材料を製造するための方法と、この方法により得られるポリマー材料と、電気化学的装置中における、空気電極と接触したその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
数十年間、数百Wh/kgに達し得る高い重量単位エネルギーで知られる金属-空気型の電気化学的な発電装置の製造を可能にする空気電極を開発および最適化するために、多くの研究が行われてきた。
【0003】
空気電極は、電極における大きな反応速度により、他の系と比べて特に有利であるアルカリ燃料電池の中でも用いられる。
【0004】
空気電極により、電気化学反応のための酸化剤として、どこでもいつでも無限の量で利用可能である、大気からの空気を用いることが可能になる。
【0005】
空気電極は、一般にアルカリ溶液である液体電解質と接触した多孔質固体構造である。空気電極と液体電解質との間の界面は、電極の活性な固体材料と、酸化ガス(空気)と、液体電解質とが同時に存在する「三重接触」の界面である。この三重接触の界面は、作動していないときでさえ、特に、液体電解質が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウムの数倍モルの溶液等の濃いアルカリ溶液であるときには、空気電極の漸進的な劣化に特に関連した、常に生じる多くの困難を有する。
【0006】
アルカリ燃料電池の中の空気電極の欠点は、例えば、「An assessment of alkaline fuel cell technology」、International Journal of Hydrogen Energy 27 (2002)、507〜526と題したG.F. McLean他による文献の中に述べられており、
- これらの電極は、それらの効果を無くさせるそれらのフラッディングまで、それらの多孔質構造の漸進的な湿潤を受ける。この変化は、燃料電池またはバッテリーの作動中において加速され、
- 長期的に、空気中に存在する二酸化炭素は、アルカリカチオン(Na、K、Li)の存在下で沈殿する炭酸アニオンの形で、電解質を形成するアルカリ溶液に向けて拡散し、その中に溶解する。このように、電解質の漸進的で不可避な炭酸化が観測され、
- 炭酸塩は、主に液体/多孔質固体の界面において形成し、上述のフラッディング現象を促進し、
- 炭酸塩の沈殿は、空気電極の構造を漸進的に破壊し、三重点における電荷移動速度をかなり低下させ、最後には電極の効果を無くさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/016068号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】G.F. McLean他、「An assessment of alkaline fuel cell technology」、International Journal of Hydrogen Energy 27 (2002)、507〜526
【非特許文献2】IUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版、1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、固体電解質の炭酸化とそれに起因する空気電極の劣化とを実質的に低減し、排除しさえするために、空気電極と液体アルカリ電解質との間に挿入される、または液体アルカリ電解質と置き換わることが可能なアニオン伝導性カチオンポリマー材料を開発することである。
【0010】
そのような材料は、アルカリ燃料電池および金属-空気バッテリーの中で、固体電解質として、またはアルカリ液体電解質から空気電極を分離する膜として使用可能であるべきである。
【0011】
出願人は、国際出願WO2006/016068において、特に、アルカリ燃料電池の中のアニオン伝導性固体電解質として、架橋された有機ポリマー材料を提案している。この出願に記載されたポリマー材料は、ポリエピクロロヒドリン等のハロゲン化された直鎖ポリマーと、少なくとも1種の第三級ジアミン、および少なくとも1種の第三級または第二級モノアミンの組合せとの間の求核置換により得られる。第三級アミン官能基とポリマーの塩素化官能基との間の反応は、得られるポリマー材料のアニオン伝導力の原因となる第四級アンモニウムの官能基の形成を引き起こす。そのうえ、二官能性反応物質(第三級ジアミン)の2つの第三級アミン官能基の反応は、ポリマーの架橋と、不溶性の3次元ネットワークの形成とを引き起こす。
【0012】
しかし、第四級アンモニウム基を含むポリエピクロロヒドリンをベースとしたこの架橋されたアニオン伝導性材料は、濃いアルカリ溶液中において安定でない。そのうえ、それは自立しておらず、取り扱うことができる大きな膜の形態でそれを得るために、支持体上に、または多孔質もしくは繊維質の構造、例えば、ポリプロピレンから作製された不織布の中でそれを合成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
出願人は、空気電極の劣化を低減するために燃料電池またはバッテリーの中で用いることが可能な改善されたアニオン伝導性有機材料を開発することをねらいとするその研究の背景の中で、WO2006/016068に記載のようなポリマー系を相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の中に組み込むことにより、上述の欠点を克服することが可能であることを見出した。
【0014】
相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)は、少なくとも1種が別の1種の存在下で合成されているが互いと共有結合により結合されることはなく、化学結合を破壊することなしには互いから分離され得ない少なくとも2種のポリマーのネットワークを含むポリマー系である(IUPAC Compendium of Chemical Terminology、第2版、1997)。
【0015】
半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)は、存在する少なくとも2種のポリマーの1種が、3次元ネットワークを形成しない、すなわち、架橋していないが、直鎖のまたは分岐したポリマーである事実により、IPNとは異なる。第2のポリマー系の架橋がないことにより、第2のポリマー系を、抽出により第1のポリマー系から分離することができる。
【0016】
したがって、本発明の主題は、以下の逐次的なステップ、すなわち、
(A) 適切な有機溶媒の中に、
(a) 反応性ハロゲン化基を有する少なくとも1種の有機ポリマー、
(b) 少なくとも1種の第三級ジアミン、
(c) フリーラジカル重合により重合可能なエチレン性不飽和を含む少なくとも1種のモノマー、および
(d) 場合によって、フリーラジカル重合により重合可能な少なくとも2つのエチレン性不飽和を含む少なくとも1種の架橋剤、および
(e) 少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤
を含む均一な反応溶液を調製するステップと、
(B) ステップ(A)において調製された溶液を、成分(a)および(b)の間の求核置換反応、ならびに成分(e)により開始される成分(c)および場合によって(d)のフリーラジカル共重合反応の両方を可能にするのに十分である温度および期間で加熱するステップと
を含む、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の構造を有するアニオン交換ポリマー材料を製造するための方法である。
【0017】
したがって、本発明の方法は、互いと干渉しない2つの反応、すなわち、
- 第四級アンモニウム基を有する不溶性で架橋された3次元ポリマーネットワークの形成につながる、ハロゲン化有機ポリマーと第三級ジアミンの間の求核置換反応と、
- 第1のポリマーネットワークと混合した第2のポリマーネットワークの形成につながる、フリーラジカル開始剤により開始されるモノマーおよび場合によって架橋剤のフリーラジカル重合反応とを同時に行うことを含む。その系は、十分な量の架橋剤(d)を含有する場合において、この第2のポリマーネットワークは、3次元であり、架橋され、不溶性である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】時間の関数としての水中における膨潤度の様々な曲線を表す。
【図2】架橋されたPECHのパーセンテージの関数として、実施例1および2の膜のS/cmとして表される水中におけるアニオン伝導度を表す。
【図3】電池について得られた分極曲線を示す。
【図4】修飾されていない(被覆のない)空気電極、IPNで修飾された本発明による空気電極、100%PECH-DABCO膜で修飾された比較の空気電極の放電中における分極の変化を示す。
【図5】IPN膜と対応する単なるネットワークと(別々に合成)の貯蔵弾性係数の変化を示す。
【図6】温度の関数としての、対応するtanδの曲線(tanδ=損失弾性係数/貯蔵弾性係数)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい一実施形態において、反応混合物は架橋剤(d)を含有し、形成されたポリマーネットワークはIPNでありsemi-IPNではない。
【0020】
ハロゲン化有機ポリマーは、ジアミンの第三級アミン官能基について反応性であるハロゲン化官能基を含むすべてのホモポリマーおよびコポリマーから選択され得る。ハロゲン化官能基は、好ましくは、塩素化または臭素化された基、特に、C1〜6クロロアルキルまたはC1〜6ブロモアルキルの基である。
【0021】
そのうえ、反応性ハロゲン化基を有する有機ポリマーは、好ましくは、ポリエーテルの主鎖をもつホモポリマーおよびコポリマーから選択される。特に好ましいポリマーの例として、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびエピクロロヒドリン/エチレンオキシドコポリマーが挙げられ得る。
【0022】
第三級ジアミン(成分(b))の例として、テトラメチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、N-メチルイミダゾール、ビピリジン、ジイミダゾリンおよびそれらの混合物が挙げられ得る。第三級ジアミンは、ハロゲン化有機ポリマーを架橋することと、調製されたポリマー材料のアニオン伝導のために必須の正電荷を導入することとの両方に役立つ。実際に、それぞれの第三級アミン官能基は、塩素化官能基と反応した後に、第四級アンモニウムに変換される。特許請求する方法は、ハロゲン化ポリマーと第三級ジアミンとの間の反応を明確に想定しているが、ハロゲン化ポリマーをジアミンの結合によりあらかじめ修飾し、別のアミン官能基をその後の架橋反応のために自由なままにする変形形態も包含する。
【0023】
第三級ジアミンの存在は、架橋された3次元ネットワークの形成のために必須である。満足な程度の架橋を得るために、ジアミン/ハロゲン化有機基のモル比は、一般に1%から80%の間、好ましくは2から40%の間、特に10から30%の間である。
【0024】
架橋のために必須な第三級ジアミンの他に、第三級モノアミン(成分(b'))を、出発反応溶液(A)の中に導入することは有用であり得る。第三級モノアミンのハロゲン化有機ポリマーとの反応は、カチオン性ネットワークの電荷密度と、したがってそのアニオン伝導性とを増大することを可能にするが、架橋密度を変更することはない。
【0025】
本発明において用いられ得る第三級モノアミンの例として、トリエタノールアミン、キヌクリジン、キヌクリジノール、およびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0026】
ステップ(A)において調製される反応混合物の成分(c)は、成分(a)および(b)の求核置換反応に干渉しないことを条件に、原則として、フリーラジカル重合により重合可能な任意のモノエチレン系モノマーであることができる。したがって、塩化ビニルまたは塩化ビニリデン等の一塩素化または多塩素化ビニルモノマーは、第三級ジアミンとの求核置換反応の間に沈殿し、2種のIPNまたはsemi-IPNのネットワークの間の共有結合の形成をもたらすことがあるので、成分(c)として不適切である。
【0027】
モノマー(c)は、好ましくは、無電荷である、またはカチオン性電荷を有する。アニオン性電荷を有するコモノマー((メタ)アクリル酸またはスチレンスルホネート等)の使用は、おそらく実際に、得られる最終的な材料のイオン伝導性の挙動を乱すので、避けることを忠告する。
【0028】
成分(c)として使用できるモノマーの例として、以下のモノマー、すなわち、
C1〜10アルキルアクリレートおよびメタクリレート、C1〜10ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、スチレンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールアクリレートおよびメタクリレート、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、アクリロニトリル、(ビニルベンジル)トリ(C1〜6アルキル)アンモニウムの塩化物または臭化物、トリ(C1〜6アルキル)ビニルオキシカルボニルアルキルアンモニウムの塩化物または臭化物、ならびにアリルオキシカルボニル(C1〜6アルキル)トリ(C1〜6アルキル)アンモニウムの塩化物または臭化物が挙げられ得る。
【0029】
これらのうちで、C1〜4アルキルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、C1〜4ヒドロキシアルキルメタクリレートおよび酢酸ビニルが特に好ましい。
【0030】
少なくとも2つのエチレン性不飽和を含む架橋剤(成分(d))は、semi-IPNの事例においては場合によるが、IPNを調製することが望まれるときには必ず存在する。それは、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレンオキシド)グリコールジ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールAジ(メタ)アクリレートから構成される群から選択される。本明細書において用いられる「(メタ)アクリレート」の表記は、アクリレート、メタクリレート、および両方の組合せを包含する。
【0031】
それが存在する場合において、架橋剤は、好ましくは、一不飽和のエチレン系モノマー(成分(c))に対して、0.5から10重量%、好ましくは0.5から5重量%の割合で用いられる。
【0032】
本発明の方法の一変形形態において、重合可能モノマー(成分(c))+架橋剤(成分(d))の系は、成分(c)および(d)の役割を果たす、以下に成分(cd)と呼ぶ成分と置き換え得る。上記の成分(cd)は、好ましくは300から4000の間の数平均分子量を有し、好ましくはそのそれぞれの末端にフリーラジカル重合により重合可能な二重結合を含むポリマーである。重合可能な二重結合を含むそのようなポリマーがラジカル開始剤の存在下に置かれているときに、二重結合は重合し、ポリマーの架橋と3次元ネットワークの形成とをもたらす。このネットワークの多かれ少なかれ緩んだ性質は、ポリマーの分子量に依存している。上記の分子量が大きいほど、得られるネットワークの架橋は少ない。
【0033】
したがって、本発明の目的は、ステップ(A)において、成分(c)および(d)が、好ましくは有機ポリマーの末端に位置する、重合可能な二重結合を含む少なくとも2つの基を含む有機ポリマー(成分(cd))と置き換えられるまたは組み合わせられる、上述の通りの方法でもある。
【0034】
このような成分(cd)の例として、ポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ得る。
【0035】
熱および/または光の効果の下で分解することが可能な任意の化合物は、重合反応を開始するのに十分安定であるフリーラジカルを与えるために、開始剤(成分(e))として原則的に用いられ得る。そのような開始剤は当業者により知られている。過酸化物、ジアゾ化合物または過硫酸塩等の熱開始剤が、好ましく用いられる。そのような熱開始剤の例として、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)およびジシクロヘキシルペルオキシカーボネート(DHPC)が挙げられ得る。
【0036】
後者のうちで、BPOおよびAIBNが、使用される温度において特に適切である。
【0037】
開始剤が光開始剤である場合において、重合は、適切な波長および強度の照射の下で行われる。
【0038】
開始剤は、好ましくは、成分(c)および(d)の合計重量に対して、0.1から10重量%の間、好ましくは1から5重量%の間の量で用いられる。
【0039】
成分(a)〜(e)を含有する最初の反応溶液を調製するため適切な有機溶媒の例として、ジメチルホルムアミド、エタノール、ジメチルスルホキシド、メタノール、アセトン、ブタノール、ブタノン、またはこれらの溶媒の混合物が挙げられ得る。
【0040】
ステップ(B)の最後に、適切な稠性を有するポリマー材料を得るために、最初の反応溶液は、好ましくは、10から80重量%の間の成分(a)〜(e)の全濃度を有し、言い換えると、最初の溶液の中の有機溶媒の割合は、好ましくは、90から20重量%の間である。
【0041】
カチオン性電荷を有する第1の3次元ネットワークを形成し(b')を含む成分(a)および(b)の、好ましくは無電荷である第2の3次元ネットワークを形成する成分(c)〜(e)に対する重量比は、最終的な材料が想定される用途のために十分な伝導性を有するという条件で、非常に広い限界の間で変化することができる。
【0042】
一般に、カチオン性の第1のポリマーネットワークを形成する成分の、第2のポリマーネットワークを形成する成分に対する重量比は、90/10から10/90の間、好ましくは80/20から15/85の間、特に60/40から25/75の間である。
【0043】
本発明の方法のステップ(B)の間において、場合によって一官能性アミン(成分(b'))を含むすべての反応物質(a)〜(e)を含有する均一な反応溶液は、成分(a)ならびに(b)および場合によって存在する(b')の間の求核置換反応と重合開始剤の分解との両方を引き起こすのに十分な温度に加熱される。このように、2つの反応は、好ましくは、並行して同時に生じ、それぞれに、2種の相互に貫入したポリマーネットワーク、または架橋されたポリマーネットワークの中にからまった直鎖のもしくは分岐したポリマーからなる均一な組成を有するIPNまたはsemi-IPNの材料の形成をもたらす。
【0044】
ある変形形態において、2つのステップにおいて反応する系を想定することが可能であり、2種のネットワークの1つの形成が、別のポリマーネットワークの活性化の温度より低い温度で活性化される。
【0045】
ステップ(B)の加熱温度は、好ましくは30から130℃の間、特に35から100℃の間、なおより好ましくは50から80℃の間である。この温度は、一般に、1から24時間の間、好ましくは6から16時間の間の期間中において維持される。
【0046】
序文において説明した通りに、本発明による方法の最後に得られるIPNまたはsemi-IPNのポリマー材料は、アルカリ燃料電池中、または金属-空気のバッテリーもしくは電池中で、空気電極と直接的に接触して、液体アルカリ電解質と置き換わる固体電解質として、または空気電極および液体電解質の間に挿入されるアニオン伝導性の固体の分離膜としてのいずれかで用いられ得る。
【0047】
本発明のIPNまたはsemi-IPNの材料の空気電極への非常に良好な接着をもたらすことが重要である用途において、空気電極の存在下においてステップ(B)を行うことが有利であり得る。このために、ステップ(A)において調製された溶液を、空気電極上の薄い層として、好ましくはその活性材料を含有する表面を完全に覆うように注ぎ、全体に加熱ステップ(B)を受けさせる。この実施形態において、溶液は、浅い深さ(一般に電極の合計厚さの最大5%に等しい)で電極の多孔質構造の中に浸透し、in situで重合/架橋することができるので、最終的な架橋されたポリマー材料と電極との間に強い結合を確立する。
【0048】
公知の空気電極と、空気電極の表面においてin situで重合されるアニオン伝導性のIPNまたはsemi-IPNの材料とから構成されるそのような複合空気電極も、本発明の主題である。この複合電極は、IPNまたはsemi-IPNの材料が、空気電極の多孔質ネットワークの一部の中に延在し、空気電極の合計厚さの最大5%に等しく、好ましくは最大2%に等しい深さで、この多孔質ネットワークに浸透することを特徴とする。
【0049】
しかし、例えば、溶液を2枚の非多孔質の支持プレートの間に維持することにより、または注型した後に蒸発乾固することにより、空気電極の不存在下でステップ(B)を行うことも可能である。出願人は、ステップ(B)の最後に得られた微細な膜が、その後に問題なく取り扱われ、接着剤を使用せずに(すなわち、膜溶液なしに)、単に圧力を加えることにより、直接的で容易に空気電極の上に積層され得ることを認めている。
【0050】
出願人が知る限りにおいて、上述の方法の最後に得られた材料は、電気化学的装置中におけるアニオン伝導膜または固体電解質として、今まで合成または提案されていなかった。したがって、本発明の主題は、上述の通りの方法により得られ得る相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の構造を有するアニオン交換ポリマー材料でもある。
【0051】
この材料は、好ましくは、1グラムあたり0.3から2meqの電荷密度を有する。
【0052】
その固有のイオン伝導度は、好ましくは10-6S.cm-1超、一般に10-6S.cm-1から10-2S.cm-1の間、特に10-4S.cm-1から5×10-3S.cm-1の間である。
【0053】
それは、水と接触したときに膨潤する比較的親水性の材料である。しかし、本発明の材料の膨潤度は、成分(a)および(b/b')のみから調製される、先行技術の架橋されたポリマー材料の膨潤度よりかなり小さい(下記の実施例3を参照されたい)。本発明のポリマー材料の膨潤度は、本願の実施例3において定義される通りに、好ましくは10から40%の間、特に12から30%の間である。
【0054】
本発明の主題は、電気化学的装置中における固体電解質としての、上述の通りのアニオン交換のIPNまたはsemi-IPNの材料の使用でもある。
【0055】
序文において示した通りに、本発明のアニオン交換IPN材料は、アルカリ電解質と接触した多孔質空気電極を用いるアルカリ燃料電池(AFC)の中において特に有用である。
【0056】
そのような燃料電池の中において、本発明のIPNまたはsemi-IPNの材料は、アルカリ液体電解質と置き換わることができる、または空気電極/液体アルカリ電解質の界面に配置され得る。後者の場合において、それは、空気中に含有されている二酸化炭素の液体電解質への拡散とその炭酸化とを効果的に防止または低減する。それは、液体電解質による空気電極の多孔質構造のフラッディングの虞も低減するまたは排除しさえする。このように、液体電解質の代わりに、またはそれと組み合わせて、空気電極と直接的に接触するアニオン伝導性のIPNまたはsemi-IPNの材料を含有する燃料電池の寿命はかなり増大される。
【0057】
本発明の別の実施形態において、IPNまたはsemi-IPNの材料は、空気電極と直接的に接触して、液体電解質から空気電極を分離する膜の形態で、空気-金属の電池またはバッテリー中で用いられる。
【0058】
NiMHまたはNiOOH-Zn、NiOOH-Cd、AgO-Zn等の任意のアルカリバッテリー中の液体電解質の代替としての、本発明のIPNまたはsemi-IPNの材料の使用を想定することも可能である。
【0059】
(実施例1)
架橋されたポリエピクロロヒドリン、および架橋されたポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)をベースとしたIPN材料の調製
12重量%の1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)であらかじめグラフト化したエピクロロヒドリンポリマー(PECH)200g/Lを含有するエタノール溶液を調製する。ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)0.9g、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)0.1gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN、フリーラジカル開始剤)0.05gを、この溶液4ml中に溶解する。その溶液を、アルゴン流下で、環境温度で30分間攪拌しつつ脱気する。次いで、その溶液を、厚さ1mmのテフロン(登録商標)シールにより分離された2枚のガラスプレート(5cm×5cm)から構成される型の中に入れる。充填された型を、60℃で16時間、オーブンの中に置く。離型後に得られたIPN膜は、均一で透明であり、それを容易に取り扱うことが可能な稠性を有している。
【0060】
その膜の中において、第1のポリマーネットワーク(架橋されたPECH)の、第2のポリマーネットワーク(架橋されたPHEMA)に対する重量比は、44/56(=PECH含有率44%)である。
【0061】
(実施例2)
IPN膜を、10重量%、22重量%、30重量%および37. 5重量%のPECH含有率が得られるように反応物質の最初の割合を変化させることにより、実施例1に記載の方法で調製し、架橋されたPECH0%(すなわち、エチレングリコールジメタクリレートで架橋されたポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、PHEMA-EGDMA100%を含有する)、およびDABCOで架橋されたPECH100%をそれぞれに含有する2種の対照の膜も調製する。
【0062】
(実施例3)
浸漬時間-アニオン伝導度の関数としての膜の水中における膨潤度の測定
架橋されたPECHを0%、10%、22%、37.5%および100%でそれぞれに含有する、実施例2において調製した膜を、蒸留水の中に23℃で浸漬する。
【0063】
一定の間隔で、膜をその重量の測定のために水から取り出す。
【0064】
膨潤度を、式
Ds=(wt-w0)/w0
に従って算出する。
【0065】
時間の関数としての水中における膨潤度の様々な曲線を、図1に表す。
【0066】
架橋されたPECH100%の対照の膜の水中における膨潤度が、約10分後において約75%である一方で、すべての他の膜の膨潤度が30%未満であることが観測されている。架橋されたPECH100%の膜の水中における膨潤は、膜の機械的な弱体化につながる。その膜は、取り扱いできず、使用不可能である。
【0067】
PECH10%、22%および37.5%を含有するIPN膜とPHEMA-EGDMA膜とは、それらの良好な寸法の特性、および機械的特性を保持している。約20から25重量%のそれらの普通の膨潤度は、良好なアニオンの伝導のために適切な量の水を与える。
【0068】
図2に、架橋されたPECHのパーセンテージの関数として、実施例1および2の膜のS/cmとして表される水中におけるアニオン伝導度を表す。この図は、20重量%未満の架橋されたPECHの含有率により、不十分なアニオン伝導性がIPN膜に与えられることを示している。しかし、この閾値は、すべてのより低いDABCO/PECH比、より高いDABCO/PECH比であることが予期され得る。
【0069】
(実施例4)
in situの重合および別々の重合による複合空気電極の製造
実施例1に記載の方法で調製された100μmの厚さを有する膜を、電解質側に位置する空気電極表面に手作業で塗布する。膜が電極の表面に完全に接着することが認められる(複合電極A)。
【0070】
実施例1に記載の方法で調製された、脱気された均一な反応溶液を、同一の空気電極の表面に付着させる。全体を、60℃で12時間、恒温オーブンの中に置く。厚さ約60μmを有するIPN材料の付着物をその表面に有する複合空気電極を得る(複合電極B)。
【0071】
(実施例5)
実施例4の2種の複合空気電極を、電気化学的な試験のためのHg/HgOの参照電極およびステンレス鋼の対極をもち、2mol.L-1のLiOH溶液を含有する電池中にそれぞれに搭載する。
【0072】
図3に、そのような電池について得られた分極曲線を示す。曲線(a)は、修飾されていない空気電極を有する電池に対応し、曲線(b)は、複合電極B(実施例4)を有する電池に対応し、曲線(c)は、複合電極A(実施例4)を有する電池に対応し、曲線(d)は、ポリプロピレンから作製された不活性な多孔質構造の中に組み込まれた、架橋されたPECHのネットワーク(非IPN)をベースとする市販の膜(ERAS LABO社により販売されている膜)で覆われた電極を有する電池に対応する。
【0073】
市販の膜で修飾された空気電極の分極が非常に大きく、わずか-10mA.cm-2の電流密度について-1Vを超えることが認められる。したがって、上述の条件下での、すなわち、膜溶液の不存在下で空気電極と直接的に接触してのそのような膜の使用は不可能である。逆に、本発明による複合空気電極について認められる分極(曲線(b)および(c))は、有利なことに、被覆のない空気電極の分極とほとんど同じである。したがって、これらの膜を電極に付け加えることは、これらの電流密度における装置中における電位のいかなる著しい降下をも誘導しない。IPN膜と空気電極との間のイオン性の接触は、いかなる膜溶液の不存在下においても満足である。
【0074】
(実施例6)
アルカリ媒体中における空気電極の安定性
電気化学的な試験装置を、
(i) 修飾されていない(被覆のない)空気電極、
(ii) IPNで修飾された本発明による空気電極(実施例4の複合電極A)、
(iii) 100%PECH-DABCO膜で修飾された比較の空気電極
により調製した。
【0075】
100%PECH-DABCO膜(厚さ100μm)を、PECH-DABCO溶液(エタノール/ブタノン混合物(80/20)中100g/L)を60℃で12時間加熱することにより調製する。
【0076】
分極の測定を、-10mA.cm-2の電流密度でHg/HgO電極に対して行う。放電開始前に、修飾された電極を、2mol.L-1でLiOHを含有する前述の電気化学的電池中で2時間平衡させる。
【0077】
図4に、上述の空気電極(i)、(ii)および(iii)の放電中における分極の変化を示す。
【0078】
本発明による空気電極(ii)は、水酸化リチウム中における放電中において100時間を超えて耐える一方で、2種の比較の電極(i)および(iii)の寿命は、20から30時間を超えることはない。
【0079】
同様の結果が、水酸化リチウムの飽和溶液により得られる。
【0080】
(実施例7)
架橋されたPECHのネットワークと成分(cd)をベースとしたネットワークとを合わせた本発明によるIPN膜の合成
ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA、Mn=750g/mol-1)0.95gおよびAIBN0.047gを、DABCO12%で修飾したポリエピクロロヒドリンの溶液(100g/L-1)4ml中に溶解する。その溶液を、アルゴンの流れの下で、環境温度で30分間攪拌しつつ脱気する。次いで、その溶液を、厚さ1mmのテフロン(登録商標)シールにより分離された2枚のガラスプレート(5cm×5cm)から構成される型の中に入れる。充填された型を、60℃で16時間、オーブンの中に置く。成型後に得られたIPN膜は、均一で透明であり、容易に取り扱われ得る。
【0081】
IPN材料のPEGDMA/架橋されたPECHの重量比は、71/29である。
【0082】
生成したIPN材料の動的熱機械分析の結果を、
- IPN膜と対応する単なるネットワークと(別々に合成)の貯蔵弾性係数の変化を示す図5、および
- 温度の関数としての、対応するtanδの曲線(tanδ=損失弾性係数/貯蔵弾性係数)を示す図6
に表す。
【0083】
単一の力学的緩和が、IPN膜について観測される。IPNにおけるゴム状平坦域の係数(1.5MPa)は、単なる架橋されたPECHのネットワークの係数(0.6MPa)に非常に近い。このように、PECHのネットワークは、この膜について測定され、環境温度で10-3S.cm-1に等しい、かなり高い値のアニオン伝導度と一致する連続相をIPN膜中に形成する。
【0084】
熱機械分析の結果から、温度の関数としてのtanδの曲線が、それぞれの対応する単なるネットワークについて観測される2つのピークの間に位置する単一の中間ピークを特徴とする単一の力学的緩和を示しているので、PEGDMAおよびPECHのネットワークが正確に相互貫入していることを推測することができる。
【0085】
(実施例8)
架橋されたPECHとポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDMA-Mn=750g.mol-1)をベースとする一連のIPNネットワークを、実施例7に記載の方法で、架橋されたPECHの含有率を10から29重量%(=PEGDMAを90から71%)に変化させることにより調製する。
【0086】
すべてのこれらの膜はそれらを容易に取り扱うことを可能にする満足な機械的強度を有し、実施例4による電極(複合電極A)の上にそれらを配置することが可能である。しかし、この集合体は、非常に大きな分極を示す。この分極を低減するために、電極とIPN膜との間に配置される膜溶液を用いることが必要である。実施例6に記載の研究と同様の、このように調製された複合電極Aの安定性の研究により、この複合電極AがPECH-DABCO100%の膜で修飾された電極(実施例6における(iii))の安定性曲線と同一の安定性曲線を有することが示される。
【0087】
(実施例9)
成分(cd)の分子量の影響
IPN膜を、実施例8に記載の方法で、750g.mol-1に等しいMnのPEGDMAの代わりに、330g.mol-1および550g.mol-1に等しいMnのPEGDMAを用いて調製する。PEGDMAのモル質量の減少により、対応するネットワークの架橋の密度を増加させることが可能になる。そのとき、膜はより硬質であり、水酸化リチウム中におけるそれらの膨潤度は減少する。しかし、これらの修飾は、そのような膜を含有する複合電極Aの寿命を増加させることを可能にはしない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の逐次的なステップ、すなわち、
(A) 適切な有機溶媒の中に、
(a) 反応性ハロゲン化基を有する少なくとも1種の有機ポリマー、
(b) 少なくとも1種の第三級ジアミン、
(c) フリーラジカル重合により重合可能なエチレン性不飽和を含む少なくとも1種のモノマー、および
(d) 場合によって、フリーラジカル重合により重合可能な少なくとも2つのエチレン性不飽和を含む少なくとも1種の架橋剤、および
(e) 少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤
を含む均一な反応溶液を調製するステップと、
(B) ステップ(A)において調製された溶液を、成分(a)と(b)の間の求核置換反応、ならびに成分(e)により開始される成分(c)および場合によって(d)のフリーラジカル共重合反応の両方を可能にするのに十分である温度および時間で加熱するステップと
を含む、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の構造を有するアニオン交換ポリマー材料を調製する方法。
【請求項2】
ステップ(A)において調製される前記反応溶液が、第三級モノアミン(成分(b'))も含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応性ハロゲン化基を有する前記有機ポリマーが、ポリエーテルの主鎖を有するホモポリマーおよびコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
反応性ハロゲン化基を有する前記有機ポリマーが、エピクロロヒドリンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第三級ジアミンが、テトラメチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N-メチルイミダゾール、ビピリジン、ジイミダゾリンおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第三級モノアミンが、トリエタノールアミン、キヌクリジン、キヌクリジノールおよびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(B)の加熱温度が、30から130℃の間、好ましくは35から100℃の間、特に50から80℃の間であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(B)の加熱時間が、1から24時間の間、好ましくは6から16時間の間であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
エチレン性不飽和を含む前記モノマーが、C1〜10アルキルアクリレートおよびメタクリレート、C1〜10ヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、スチレンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールアクリレートおよびメタクリレート、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、アクリロニトリル、(ビニルベンジル)トリ(C1〜6アルキル)アンモニウムの塩化物または臭化物、トリ(C1〜6アルキル)ビニルオキシカルボニルアルキルアンモニウムの塩化物または臭化物、ならびにアリルオキシカルボニル(C1〜6アルキル)トリ(C1〜6アルキル)アンモニウムの塩化物または臭化物から構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つのエチレン性不飽和を含む前記架橋剤が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレンオキシド)グリコールジ(メタ)アクリレートおよびビスフェノールAジ(メタ)アクリレートから選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
成分(c)および(d)が、好ましくは有機ポリマーの末端に位置する、重合可能な二重結合を含む少なくとも2つの基を含む有機ポリマー(成分(cd))と置き換えられるまたは組み合わせられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法により得られ得る相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)または半相互貫入ポリマーネットワーク(semi-IPN)の構造を有するアニオン交換ポリマー材料。
【請求項13】
空気電極と、空気電極の表面においてin situで重合されるアニオン伝導性のIPN材料またはsemi-IPN材料とから構成される複合空気電極。
【請求項14】
前記IPNまたはsemi-IPNの材料が、前記空気電極の多孔質ネットワークの一部の中に延在し、前記空気電極の合計厚さの最大5%に等しく、好ましくは最大2%に等しい深さで、この多孔質ネットワークに浸透することを特徴とする、請求項13に記載の複合空気電極。
【請求項15】
電気化学的装置中、好ましくは、アルカリ燃料電池中、または空気-金属電池もしくはバッテリー中の固体電解質としての、請求項12に記載のアニオン交換ポリマー材料の使用。
【請求項16】
正極、負極、ならびに負極と正極との間に配置された固体電解質を含み、前記固体電解質が、請求項12に記載の相互貫入ポリマーネットワーク型のアニオン交換ポリマー材料であることを特徴とする、アルカリ燃料電池。
【請求項17】
前記正極が空気電極であることを特徴とする、請求項16に記載のアルカリ燃料電池。
【請求項18】
空気電極と、空気電極に対向する第2の電極と、アルカリ金属水酸化物の濃い水溶液をベースとする液体電解質とを含有し、空気電極が、その表面の少なくとも一部の上において、好ましくは、その表面全体の上において、液体電解質と接触して、請求項12に記載のポリマー材料で覆われていることを特徴とする空気-金属電池またはバッテリー。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526169(P2012−526169A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509075(P2012−509075)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050846
【国際公開番号】WO2010/128242
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504462489)エレクトリシテ・ドゥ・フランス (25)
【出願人】(511268616)ウニヴェルシテ・ドゥ・セルジー・ポントワーズ (1)
【Fターム(参考)】