説明

アノードおよびアノードの作製方法

印刷されたバッテリ内で使用する本発明のアノード材料は、アノード材料が乾燥していて疎水性であり、基板、バインダ、導電性材料およびアノード活性材料を含むことを主な特徴としている。アノード材料を作製する本発明の方法は、基板を供給するステップと、アノード活性材料、導電性材料、溶媒を供給するステップと、バインダーを供給するステップとを含んでいる。前記溶媒、前記バインダー、前記アノード活性材料および前記導電性材料は混合されてアノードインクを形成する。前記アノードインクは前記基板上に塗布されて乾燥される。前記乾燥に対応して、前記溶媒は蒸発し前記アノードインクは前記基板上に膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は薄型バッテリ用アノードおよびこのようなアノードの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
バッテリの基本的な要素は外部回路に接続する端子(電気的接続)付き電極、電極を互いに離して短絡を防止するセパレータ、電極において行われる化学反応により生じる帯電イオンを運ぶ電解質、および活性化学薬品を収容して電極を正しい位置に保持するカバーである。
【0003】
「ウェット」セルとは電解質が液状でありセル外被内を自由に流れることができるガルバニセルのことである。「ドライ」セルとは固体または粉末状の電解質を使用するセルのことである。電解質がゲル化される、または紙等の吸収性物質で適切な場所に保持される、等の何らかの機構により固定化されるならば、液体電解質を有するセルを「ドライ」として分類することができる。
【0004】
今日使用されている最も一般的なタイプのバッテリは、たとえば、「懐中電灯」のバッテリ等の比較的大きいバッテリ、および腕時計や電卓用の小型化版で使用される「ドライセル」バッテリである。
【0005】
バッテリは、しばしば、それらの構造内で使用される電解質のタイプにより分類される。3つの一般的な分類、酸性、弱酸性、およびアルカリ性がある。
【0006】
全てのバッテリが電気を生成するのに類似の手順を利用するが、材料および構造の変化により異なるタイプのバッテリが作られている。
【0007】
1つのバッテリタイプは層構造からなっており、薄膜バッテリと呼ばれるものである。この用語がここではサイズに無関係に「層構造バッテリ」として理解されるべき薄膜バッテリは、任意の形状またはサイズの膜への応用に直接適用することができ、紙、プラスチック、あるいは他の種類の薄い箔上に印刷することにより可撓性バッテリを作ることができる。
【0008】
薄膜バッテリは、たとえば、消費者製品および超小型応用に対する電源として広範な用途を有する。薄膜バッテリはスマートカードおよび高周波識別(RFID)タグに給電するのにも適している。
【0009】
このような薄型バッテリの作製方法は、たとえばフィンランド特許出願第20070584号によれば、セパレータ紙を電解質溶液で濡らし、セパレータ紙上にアノード材料およびカソード材料をペーストとして塗布し、アノードペーストは一面にカソードペーストは反対面に塗布するステップを含んでいる。アノードおよびカソード材料はコーティングまたは印刷等の異なる方法によりセパレータ紙上に塗布することができる。コーティングおよび印刷プロセスは、一般的に、紙のロール、繊維、膜または他のテキスタイル等の基板に機能性材料の薄膜を塗布するステップを含んでいる。
【0010】
ペーストという用語は、ここでは材料の粘性水ベース分散を意味する。
【0011】
しかしながら、最も外側のセパレータ層は、接液層から電解質を吸収するため常に電解質を含み、さらに、添加物を含む電解質溶液はアノード活性材料およびカソード活性材料と混合されて、いわゆるアノードおよびカソードペーストを形成することもある。
【0012】
薄膜バッテリの電極はアノードおよびカソードから形成される。アノード材料はアノード活性材料および通常は添加物のある電解質溶液を含むペーストまたはインクであり、カソード材料はカソード活性材料および通常は添加物のある電解質溶液を含むペーストまたはインクである。ペーストは電解質が流出できないように非常に粘性である。アノード活性材料はしばしば亜鉛(Zn)でありカソード活性材料は二酸化マンガン(MnO)である。電解質溶液はバインダー等の添加物だけでなく、主成分として、たとえばZnClを含むことができる。電解質内の添加物は、たとえば、電極材料粒子を一緒に結合してペーストを形成するような他の性質を電解質溶液に与えるためにバインダーを含んでいる。バインダーは、たとえばポリビニールアルコール(PVA)である。
【0013】
導電性材料がアノードおよびカソードペーストに加えられる。導電性材料は黒鉛粉末、すす、カーボンブラック、カーボン・ナノチューブ等のカーボン粉末、導電性インクまたはそれらの組合せとすることができる。電極(導電性材料を含むアノードおよびカソードペーストからなる)がコレクタ材料に接続され製品全体がシーリング材料の膜で覆われる。シーリング材料は、たとえば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、または他の既知の膜材料とすることができる。コレクタ材料は外部回路に接続される端子を有するように形成される。コレクタ材料は導電性カーボンインク、カーボン膜または他の材料とすることができ、それは化学的に不活性であるが目的に対して十分導電性である。
【0014】
複合層は所望のサイズに切断されて製品を形成する。
【0015】
薄型バッテリの作製を促進するために、アノード材料の異なる形態がテストされてきている。
【0016】
米国特許出願第2006/0216586号が従来技術として提示される。それは薄い電気化学セルを開示している。セルのアノードは亜鉛細片とすることができる。しかしながら、このソリューションの問題点は、亜鉛細片をコレクタに接続することに問題があり、また被覆性が欠如しているため亜鉛の自己放電が高いことである。
【0017】
米国特許第6,379,835号は薄膜バッテリに関係している。アノードは親水性であり水ベース亜鉛インク、または有機溶媒+水膨潤性ポリマー混合物内の亜鉛インクであるため、バッテリは高い自己放電率を有する。さらに、アノードの導電率が低いため、アノードには余分のコレクタが必要である。
【0018】
米国特許出願第2006/0115717号は可撓性薄型印刷バッテリを提示している。アノードを構成する導電性水性亜鉛材料が非導電性基板上に直接印刷されて、個別のアノード電流コレクタの必要性を排除するのに十分導電性とされる。過剰な亜鉛+2カチオン(酢酸亜鉛からの)および高分子バインダー(ポリビニールピロリドン)により必要な導電率が達成されて粒子の接触を改善する。しかしながら、ここでも、親水性亜鉛アノードにより亜鉛の自己放電が高くなり、放電プロセス中の導電率は不安定となる。
【0019】
従来技術のさらなるソリューションが、たとえば、国際出願第03/100893号および米国特許第006045942号に提示されている。
【0020】
前述した自己放電に関して認知されている問題点のいくつかを解決することにより、絶えず改善されたバッテリを作るための徹底的な研究が現在なされている。
【0021】
従来の作製方法において克服すべきもう1つの問題点は、用紙が電解質で含浸されるとかなり濡れ、またペーストは塗布された後でも濡れたままとなることである。この状況は層表面の性質に影響を及ぼし、これ以上作製ステップを行うことが困難となり、バッテリの全作製工程を困難にする。
【0022】
アノードおよびカソードペースト内にも電解質がある。よく知られているように、亜鉛は電解質塩を含む湿潤環境下では非常に容易に酸化され、自己放電が問題となる。さらに、ペーストの性質の急速な変化により、特に、アノードペーストの印刷またはコーティングも困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】フィンランド特許出願第20070584号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0216586号
【特許文献3】米国特許第6,379,835号
【特許文献4】米国特許出願第2006/0115717号
【特許文献5】国際出願第03/100893号
【特許文献6】米国特許第006045942号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の目的は前記した問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の概要)
印刷されたバッテリ内で使用する本発明のアノード材料は基板、アノード活性材料、導電性材料、バインダーを含んでいる。導電性材料、アノード活性材料、溶媒およびバインダーは、混合した後に乾燥させて基板上に膜を形成するように選択されている。
【0026】
印刷されたバッテリ内で使用するアノード材料を作製する本発明の方法は、基板、アノード活性材料、導電性材料、溶媒、およびバインダーを供給するステップを含んでいる。この方法は、さらに、前記溶媒、前記バインダー、前記アノード活性材料および前記導電性材料を混合してアノードインクを形成し、前記アノードインクを前記基板上に塗布し、前記基板上の前記アノードインクを乾燥させるステップを含んでいる。前記乾燥に対応して前記溶媒は蒸発し、前記アノードインクは前記基板上に膜を形成する。
【0027】
本発明は同封された特許請求の範囲によって特徴づけられ、有利な特徴が従属項に提示されている。
【0028】
本発明はカーボンインク等の導電性材料と組み合わせた、マグネシウム、カドミュウム、および銅等の代替アノード活性要素に対して適切なものとすることができる。好ましくは、アノード活性材料は亜鉛(Zn)である。
【0029】
バッテリの任意の電極反応および電極間のイオン移行に対して水または電解質が必要である。
【0030】
亜鉛は乾燥した環境よりも水または電解質環境において一層容易に酸化される。それゆえ、従来技術の多くの薄型可撓性バッテリでは、亜鉛アノードは亜鉛または親水性材料の水性ペーストにより作られる。しかしながら、このような従来技術のバッテリの欠点は自己放電が速いことである。自己放電の結果として、バッテリの寿命が短くなりその容量が小さくなる。
【0031】
本発明では、アノードは疎水性で乾燥しており、水や電解質は亜鉛アノードの深い層内に直接浸透するのが困難である。本発明の乾燥アノード内の疎水性層はバッテリの水分レベルを安定に保つ壁のように働く。
【0032】
バッテリ内の適切な水分レベルは良い性能にとってもちろん重要であり、本発明によるアノードをバッテリ内で使用する時は、異なる層を組み合わせた後で水はカソードからアノードの表面へ移動することができる。酸化反応はアノード活性材料、電解質および水との間のアノード表面で起こる。
【0033】
本発明の核心は、従来技術で使用される湿潤アノードペーストおよび個別のアノードコレクタの代わりに乾燥アノードインクが使用されることである。本発明では、乾燥アノードインクは(乾燥後)アノード材料からバッテリ表面上の(−)端子へ電子を移動させることもできる。
【0034】
従来技術のバッテリではアノードコレクタは(−)端子として機能する必要があった。その時、個別のアノードコレクタは湿潤アノードペーストと一緒に使用されており、それは、そうしなければ、1)湿潤アノードペーストはシーリング材内の(−)端子孔を通ってバッテリから流出し、2)周囲湿度が湿潤アノードペーストに影響を与えて性能を悪化させその特性を変えてしまうためである。これらの問題は共に、アノードコレクタの使用を排除する本発明のアノード材料により回避される。
【0035】
アノードコレクタが排除されると、端子をシート状バッテリの同じ側に配置できるようになる。それにより、バッテリの電力を使用する広範な応用を、一層容易にバッテリに接続できるようになる。すなわち、電力入力端子が、シート状の応用、たとえば印刷されたRFIDタグやチップの同じ側にあれば、応用の設計および製造は一層容易になる。
【0036】
本発明のアノードは可撓性で、安定的で量産可能であり、薄い可撓性の使い捨て電源が必要とされる多くの応用に対して、電源として使用されるバッテリにおいて有用である。
【0037】
市販の導電性カーボンインク、および市販の亜鉛粉末を使用してバッテリ内に余分なコレクタの無いアノードを作ることができる。アノード電極はアノード材料により作られ、それは亜鉛粉末および導電性カーボンインクの均一な混合物である。
【0038】
本発明のバッテリのためのアノード材料は、導電性カーボンインクに亜鉛粉末を加え、均一な混合物が得られるまで攪拌して調製される。
【0039】
この目的で使用される亜鉛粉末は、粒径および純度に関して特定の性質を有する商用バッテリグレード製品である。50μmよりも小さい粒径および99%を超える純度が適切であることが判っている。使用可能な市販の亜鉛粉末の例は、たとえば、Grillo−Werke Aktiengesellschaft GZN3−0およびXstrata EC−100である。
【0040】
使用される導電性カーボンインクは、特定の性質を有する商用製品とすることができる。使用されるインクは、高い導電率、高い柔軟性、高い結合強度および高い疎水性を持つ必要がある。使用可能な市販の導電性カーボンインクの例は、たとえば、XZ302−1HVおよびXZ302−1MV ConductiveCarbon、26−8203 Conductive Graphite、Creative Material 116−19 Low Temperature Curing Conductive Ink、DuPont 7105Carbon、Asahi FTU−20D3、およびAcheson EB−412である。
【0041】
導電性インク、および亜鉛と選択された導電性インクとの割合は、材料の性質、たとえば導電性カーボンインクのシート抵抗、導電性カーボンインクの柔軟性、結合強度、粘度、および導電性カーボンインクの疎水性に依存する。
【0042】
製造の観点から、バッテリ内で使用される本発明のアノードは、興味ある多くの応用に対して下記の利点を有する。
1)事前に作製してセパレータ上に印刷した後で、たとえば、ロール上に貯えることができるため、アノードをバッテリ作製とは別に作ることが一層容易である。バッテリを作る各ステップを同時に行う必要がないため、バッテリを作る作製工程は、たとえば、特定の工程ステップ内で問題が生じる時に害を被り難い。これはあるステップの製品の悪い品質により全生産が廃止とされることはなく、問題の製造ステップだけであることをも意味する。
2)本発明のアノード材料を、バッテリ作製においてセパレータ上に印刷することが容易である。
3)本発明において使用されるアノードは疎水性インクで作られ、電解質を吸収しないため、自己放電が低減する。
5)本発明の第1の実施例ではアノード用の別個のコレクタが必要でないという事実の第2の結果として、本発明のアノードを含むバッテリはより薄くなる。
6)インクの疎水性による高い安定性。
【0043】
以下に、いくつかの説明図および例により本発明を詳細に説明する。しかしながら、本発明は下記の説明の詳細に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】異なる亜鉛粉末および導電性インクで作られた本発明で使用されるアノードのいくつかの性質テストの結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(詳細な説明)
前に詳述したように、市販の導電性カーボンインクおよび市販の亜鉛粉末を使用してアノード材料を製造することができる。アノード材料は亜鉛粉末と導電性カーボンインクの均一な混合物である。
【0046】
アノード材料は、たとえば、調製例1に提示されたやり方でそれ自体は公知の印刷方法により、圧縮ロールにより支持された紙の繊維上に事前に作られたセパレータ上に印刷される。その上にアノード材料が印刷される繊維は、圧縮ロールおよびその上に印刷されたアノード材料があるもう1つの印刷ロールにより形成されるロール間隙中を通過する。その後、繊維は乾燥される。
【0047】
工程内で異なる既知の方法を使用することができ、たとえば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、およびフレスコ印刷を印刷方法として使用することができる。また、乾燥は熱硬化、IR硬化、UV硬化、および熱風の力により実施することができる。アノード材料は切断することができ、切断方法は、たとえば、ダイカット、レーザ切断、穿孔、スリッティング、パンチングまたは他の既知の方法とすることができる。
調製例−本発明のアノード材料の調製
【0048】
前記したように、本発明のアノード材料(すなわちアノードインク)は亜鉛粉末を導電性カーボンインクに加え、均一となるまで攪拌し続けて調製される。テストに使用されたインクおよび亜鉛粉末はAcheson EB412およびEC−100である。
【0049】
導電性カーボンインクは、たとえば300rpmの速度で攪拌され、亜鉛粉末が徐々に加えられる。亜鉛粉末が加えられると、ミキサの速度は2000rpmまで徐々に高められ、混合物はおよそ30分間さらに攪拌される。
【0050】
剥離問題、導電率問題および不均一導電率が回避されるため、本発明において行われるような混合によりアノード性能の良好な結果が与えられる。アノード材料は適切な粘度が必要である。粘度が低すぎると亜鉛粒子は底に沈殿する。インクの適切な粘度はBrookfield 20℃ 20RPM 20000mPaSから28000mPaSである。混合品質はサンプルを採りそれらの密度を調べて管理することができ、あるいは電子顕微鏡により測定することができる。
【0051】
したがって、アノード材料(すなわちアノードインク)がこのように製造されると、それは事前に印刷および乾燥することができ、セパレータ上に印刷した後で、たとえばロール上に貯えることができる。
【0052】
これはバッテリの後の作製に対する本当の利点である。バッテリを作製するための各ステップは同時に行う必要がないため、バッテリを作るための作製工程は、たとえば、特定の工程ステップにおいて問題が生じる時に害を被り難い。
【0053】
テスト方法
アノード材料(たとえばアノードインク)のいくつかの性質は、作られるバッテリに対する品質の指標として見ることができる。
−内部抵抗は電力資源上の電力損失を測定する値である。この値はできるだけ低くなければならない。
−シート抵抗は膜形態の材料の導電率を測定する値である。この値もできるだけ低くなければならない。
−可撓性パーセンテージは曲げられた後の抵抗変化として測定されるパーセンテージとして記述される。可撓性パーセンテージが低いほど、導電性インクの可撓性は良い。曲げた時に壊れることは無限に高い可撓性パーセンテージを意味する。
−結合強度は材料の抗剥離性の指標であり、できるだけ高くなければならない。
−粘度は液相を攪拌することがどれ位困難かを評価する値である。それは亜鉛粒子の沈殿を防止するのに十分高く、アノードを印刷するのに十分低い範囲とすべきである。
−疎水性は本発明のアイデアに従ってアノードの乾燥を保つ可用性を示す。
以下に、これらの性質を測定するためのいくつかの原理について記述する。
【0054】
疎水性の評価
疎水性はアノード上に水を注いで評価され、水が溶解し、アノードが壊れずかつ/またはシート抵抗が変化しなければ疎水性は良いと見なされた。
【0055】
内部抵抗測定方法
Voをバッテリの開ループ電圧とし、Vを放電開始1分後に測定される負荷の電圧とし、Rを負荷の抵抗値とすれば、内部抵抗は次式で表わされる。

【0056】
シート抵抗測定方法
シート抵抗は導電性インクまたはアノードインクが基板上に印刷され乾燥された後で測定される。シート抵抗値はシート上の6つの異なる位置における平均抵抗値である。各抵抗はマルチメータの2つのプローブを使用して1cmの距離を通して測定される。
【0057】
テスト例1−アノードインクの性質
異なる割合の亜鉛粉末および導電性カーボンインクにより作られるアノードインクが調製例1の方法により作られた。
【0058】
テストで使用された亜鉛粉末は、
A:Grillo−Werke Aktiengesellschaft GZN3−0(亜鉛含量99.8%、粒径>25μm 14%、<25μm 86%)および、
B:Xstrata EC−100(亜鉛含量99.9%、粒径>75μm 0.1%、<45μm 96%)
【0059】
使用された導電性カーボンインクは、
A:XZ302−1HV、B:XZ302−1MV、C:26−8203 Conductive Graphite、D:Creative Material 116−19 Low Temperature Curing Conductive Ink、E:DuPont 7105 Carbon、F:Asahi FTU−20D3、およびG:Acheson EB−412である。
これらの導電性カーボンインクのいくつかの性質が下記の表に示されている。
【表1】


テストされたアノード内の導電性カーボンインクと亜鉛粉末の割合は1:1であった。
【0060】
アノードインクの疎水性に関して、アノード上に水を注いだ後で前述した2つの側面からテストされた。
【0061】
図1はアノードインクの柔軟性、疎水性およびシート抵抗のテスト結果を示す。図は、テストされた全てのアノードインクに対して、80Ωまでのシート抵抗についてまでも、疎水性に関して本発明の目的が満たされることを示している。図1の表の結果は、アノードインクの有利な性質が主としてどの導電性インクが使用されるかに依存することを示している。インクEおよびGはより良い性質を有し、それらの関連する亜鉛アノードは使用される亜鉛粉末に依存しない。インクGを使用するアノードが最善でシート抵抗は25Ωである。インクGが下記のテストで使用された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷バッテリで使用するアノード電極材料であって、前記バッテリは、
−前記バッテリを外部回路に接続する端子を有するカソードおよびアノードと、
−アノード電極材料と、
−カソード電極材料と、を含み、
−前記アノード電極材料は乾燥しており疎水性であってアノードコレクタとして機能し、前記アノード電極材料は、
紙の基板と、
導電性インクと、
アノード活性材料と、を含み、
前記導電性インクおよび前記アノード活性材料は、前記材料を混合した後で乾燥する時に前記紙の基板上に疎水性膜を形成するように選択される、
ことを特徴とするアノード電極材料。
【請求項2】
請求項1に記載のアノード材料であって、前記導電性インクは前記アノード活性材料と一体化されることを特徴とするアノード材料。
【請求項3】
請求項1に記載のアノード材料であって、前記アノード活性材料は金属粉末を含むことを特徴とするアノード材料。
【請求項4】
請求項3に記載のアノード材料であって、前記金属粉末は以下のリストの、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、銅、鉄およびアルミニウム、から選択される金属を含むことを特徴とするアノード材料。
【請求項5】
請求項1に記載のアノード材料であって、20ミクロンの厚さを有する前記乾燥したアノードインク膜は80Ω以下のシート抵抗を有することを特徴とするアノード材料。
【請求項6】
請求項5に記載のアノード材料であって、20ミクロンの厚さを有する前記乾燥したアノードインク膜は25Ω以下のシート抵抗を有することを特徴とするアノード材料。
【請求項7】
請求項6に記載のアノード材料であって、20ミクロンの厚さを有する前記乾燥したアノードインク膜は15Ω以下のシート抵抗を有することを特徴とするアノード材料。
【請求項8】
請求項1に記載のアノード材料であって、前記紙の基板はセパレータとして機能することを特徴とするアノード材料。
【請求項9】
印刷されたバッテリ内で使用するアノード材料の作製方法であって、前記方法は、
紙の基板を供給するステップと、
アノード活性材料を供給するステップと、
溶媒を含む導電性インクを供給するステップと、
前記導電性インクと前記アノード活性材料を混合してアノードインクを作製するステップと、
前記アノードインクを前記紙の基板上に塗布するステップと、
前記紙の基板上の前記アノードインクを乾燥させるステップと、
前記乾燥に対応して、前記溶媒は蒸発し前記アノードインクは疎水性乾燥アノードインク膜を形成し、アノードコレクタを前記基板上に形成することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記方法は前記導電性材料、前記溶媒およびバインダを予め混合して導電性インクを形成することを特徴とする方法。
【請求項11】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記アノード活性材料は金属粉末を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記基板上に前記アノードインクを塗布する時に、前記塗布されたインクの内の前記アノード活性材料の量は4−20mg/cmであることを特徴とする方法。
【請求項13】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記基板上に前記アノードインクを塗布する時に、前記塗布されたインクの内の前記アノード活性材料の量は8−12mg/cmであることを特徴とする方法。
【請求項14】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記基板上に前記アノードインクを塗布する時に、前記塗布されたインクの内の前記アノード活性材料の量は前記基板の約10mg/cmであることを特徴とする方法。
【請求項15】
印刷されたバッテリで使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記アノード活性材料は亜鉛であることを特徴とする方法。
【請求項16】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記乾燥は110℃−140℃において2−20分間行われることを特徴とする方法。
【請求項17】
印刷されたバッテリ内で使用するアノードを作製するための請求項9に記載の方法であって、前記乾燥は約130℃において約10分間行われることを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−502416(P2012−502416A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525582(P2011−525582)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/FI2009/000081
【国際公開番号】WO2010/026285
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511059575)
【Fターム(参考)】