説明

アノード酸化を防止する方法及び装置

本発明は、緊急シャットダウンの際に、パージガスの量を実質的に低減するための、高温燃料電池システムのための装置であり、前記装置は:ニューマチック駆動圧力を含む所定容量(118)を含み、前記所定容量が設計された放出速度のための少なくとも1つの放出経路(117)を含み、前記ニューマチック駆動を実行し得る圧力を与える少なくとも1つの圧力源(120)を含み、前記燃料電池システムで残留反応物を置換可能なガス過圧を持つ少なくとも1つのパージガス源(121)を含み、前記パージガス源(121)を前記燃料電池システムパイプ系と接続するための少なくとも1つのバルブ(124)を含み、パージガスフローを、前記少なくとも1つのパージガス源(121)から前記燃料電池システムパイプ系へ注入するための手段(122)を含み、前記少なくとも1つの圧力源(120)から前記所定容量(118)を分離して、前記所定容量を加圧するための手段(125)を含み、前記所定の容量(118)の圧力を1つの状態を維持するために利用する少なくとも1つのニューマチック駆動バルブ(130)を含み、及び前記所定の容量(118)が、通常の操作で前記圧力源(120)により加圧され、及び緊急シャットダウンでは前記圧力源(120)から外され、前記放出経路(117)を通るパージガス放出が前記所定の容量(118)で圧力低下を生じさせ、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブ(130)の状態変化での設計された時間遅延を、前記時間遅延後に前記燃料電池システムパイプ系へのシャットダウン駆動パージガスフローを低減するか完全に遮断するようにすることで達成される、装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界のほとんどのエネルギーは、石油、石炭、天然ガス又は原子力発現により生産されている。全てのこれらの生産方法はそれらに特有の問題を持っている。例えば利用可能性及び環境への影響の強さなどが懸念されている。環境へ懸念に関しては、特に石油及び石炭はそれらを燃焼させる際に大気汚染が問題となる。原子力発電の問題は、少なくとも使用済み核燃料の貯蔵である。
【0003】
特に環境への問題のために、例えば前記のエネルギー源よりもより環境に優しく、より効率的な新たなエネルギー源が開発されてきている。燃料電池装置は、将来の有望なエネルギー変換装置であり、例えばバイオガスなどの燃料を環境に優しいプロセスで化学反応を介して直接電気に変換する装置である。
【0004】
図1に示す燃料電池は、アノード側100とカソード側102及びそれらの間に電解質材料104を含む。固体酸化物型電池(SOFC)において、酸素106がカソード側102に供給され、前記カソードから電子を受け取り還元されて負酸素イオンになる。前記負酸素イオンは前記電解質材料104を通過してアノード側100に到達し、そこで燃料109と反応して水を生成し及びまた通常は二酸化炭素(CO)を生成する。アノード100とカソード102の間は、燃料電池のための負荷110を含む外部電気回路111である。
【0005】
図2には、SOFC装置が高温度燃料電池装置の一例として示される。SOFCは、例えば天然ガス、バイオガス、メタノール又はその他の炭化水素を含む化合物を燃料として使用し得る。図2のSOFC装置は、1以上、通常複数の電池のスタック形成103の形(SOFCスタック)で含む。それぞれの燃料電池は図1で示されるアノード103及びカソード102構造を持つ。使用済み燃料の一部は、それぞれのアノードを通じてフィードバック装置109で再循環される。図2のSOFCはまた、燃料熱交換装置105及びリフォーマー107を含み得る。熱交換装置は、燃料電池プロセスでの熱条件を制御するために使用され、1以上の熱交換装置がSOFC装置の異なる位置に設けられ得る。循環ガスでの余分の熱エネルギーは1又はそれ以上の熱交換装置105で回収され、SOFC装置又は外部熱回収ユニットで利用される。リフォーマー107は、例えば天然ガスなどの燃料を燃料電池への適切な組成物に変換するものであり、例えば水素とメタノール、二酸化炭素、一酸化炭素及及び不活性ガスを含む組成物である。ただしそれぞれのSOFCがリフォーマーを持つことは必ずしも必要ではない。
【0006】
例えば不活性ガスは、燃料電池技術で使用されるパージガス又まパージガス組成物の一部である。例えば窒素は燃料電池技術で使用される一般的な不活性ガスである。パージガスは元素性ガスである必要はなく、化合物系ガスであってよい。
【0007】
測定手段115(例えば、燃料フローメーター、電流計及び温度計)を用いることで、アノード再循環ガスの通路から、SOFCの装置のために必要な測定を実施する。アノード100で使用される一部のガスのみがフィードバック装置109でアノードを通じて再循環され、その他のガスの部分はアノード100から排気114される。
【0008】
固体電解質型燃料電池(SOFC)装置は、電気化学変換装置であり、燃料を直接酸化することで電気を生成する。SOFC装置の利点は、高効率、長時間安定性、低排出及び低コストである。主な欠点は、高い操作温度であり、これは長時間のスタートアップ時間を必要とし、機械的及び化学的適合性の問題となる。
【0009】
固体電解質燃料電池(SOFC)のアノード電極は通常相当量ニッケルを含むが、これは雰囲気が還元性でない場合には、酸化ニッケルを形成するという脆さがある。酸化ニッケル生成が激しい場合には、電極形態が不可逆的に変化して、電気化学的活性の大きな損失を生じ、又は場合によっては電池の破壊を生じる恐れがある。従って、SOFC又システムは、スタートアップ及びシャットダウンの際にアノード電極が酸化されることから防止するために、還元性ガス(窒素などの不活性ガスで希釈された水素など)を含む安全性ガスが必要となる。実際のシステムでは、安全性ガスの量は最小限である必要がある。というのは、例えば水素を含む加圧ガスの過剰量は高価であり、かつ空間を要する成分として問題があるからである。
【0010】
従来例においては、通常のスタートアップ又はシャットダウンの際の実施時の反応物はアノード再循環、即ち未使用の安全性ガスを前記ループに循環させることで最小限化される。これは、実施時の反応物及びスタートアップの際の加熱を同時に最小限化することが必要となり、また実施時の反応物及びシャットダウンの際の冷却を同時に最小限化することが必要となる。しかし、例えばガス警告や停電による緊急シャットダウン(ESD)の際には、必要量の安全性ガスを増加させるために動いている再循環を利用できない場合があり得る。さらに、カソード空気フローは、ESDの際にシステムを冷却することもない。というのは空気ブロワーはシャットダウンされる必要があり、それにより必要な安全性ガスは、前記システムをニッケル酸化が起こらない温度まで冷却する時間は現在シャットダウン状況を活性化させることに比較して3倍も増加されるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、シャットダウンの際のアノード酸化のリスクを大きく低減させる燃料電池システムを達成することである。
【課題を解決するための方法】
【0012】
これは、緊急シャットダウン状況でパージガスを実質的に低減するための高温度燃料電池システムの装置により達成さる。前記装置は、前記燃料電池システムのそれぞれの燃料電池はアノード側、カソード側及び前記アノード側及びカソード側の間に電解質を含み、前記燃料電池システムは反応物のための燃料電池システムパイプを含む。前記装置は:
− ニューマチック駆動圧力を含む所定容量を含み、前記所定容量が設計された放出速度のための少なくとも1つの放出経路を含み、
− 前記ニューマチック駆動を実行し得る圧力を与える少なくとも1つの圧力源を含み、
− 前記燃料電池システムで残留反応物を置換可能なガス過圧を持つ少なくとも1つのパージガス源を含み、
− 前記パージガス源を前記燃料電池システムパイプ系と接続するための少なくとも1つのバルブを含み、
− パージガスフローを、前記少なくとも1つのパージガス源から前記燃料電池システムパイプ系へ注入するための手段を含み、
− 前記少なくとも1つの圧力源から前記所定容量を分離して、前記所定容量を加圧するための手段を含み、
− 前記所定の容量の圧力を1つの状態を維持するために利用する少なくとも1つのニューマチック駆動バルブを含み、及び
− 前記所定の容量が、通常の操作で前記圧力源により加圧され、及び緊急シャットダウンでは前記圧力源から外され、前記放出経路を通るパージガス放出が前記所定の容量で圧力低下を生じさせ、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブの状態変化をある時間遅延を生じさせて、前記時間遅延後に前記燃料電池システムパイプ系へのシャットダウン駆動パージガスフローを低減するか完全に遮断することで達成される。
【0013】
本発明はまた、高温燃料電池システムの緊急シャットダウンでのパージガスの量を実質的に低減するための方法である。前記方法では:
− ニューマチック駆動圧力を含むための所定の容量が利用され、
− 前記ニューマチック駆動を実行可能な少なくとも1つの圧力源から圧力が設けられ、
− 少なくとも1つのパージガス源のガス過圧を利用して前記燃料電池システム内の残留反応物が置換され、
− 少なくとも1つのバルブにより前記燃料電池システムパイプ系に前記パージガス源が接続され、
− パージガスフローが、前記少なくとも1つのパージガス源から燃料電池システムパイプ系へ注入され、
− 前記少なくとも1つの圧力源から前記所定の容量が分離され、前記所定に容量が加圧され、
− 1つの状態を維持するために前記所定の容量の圧力を利用するために、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブが利用され、及び
− 前記方法で、前記所定容量が通常の操作で加圧され、及び緊急シャットダウンでは前記所定の容量は前記圧力源から外され、前記放出経路を通るパージガス放出が前記所定の容量の圧力を低下させ、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブの状態変化のある時間遅延を生じさせて、前記所定の時間遅延後に前記燃料電池への緊急シャットダウン駆動パージガスのフローを低減するか完全に遮断することで達成される。
【0014】
本発明は、ニューマチック駆動を実行可能な圧力及び前記燃料電池システムの残留反応物を置換可能なガス過圧の利用、さらにはニューマチック駆動圧力を含む所定の容量、及び所定の容量が設計された放出速度のための少なくとも1つの放出経路を含むことに基づく。本発明はさらに、1つの状態を維持するための前記所定の容量の圧力を利用する少なくとも1つのニューマチック駆動バルブに基づき、前記所定の容量は通常の操作では前記ニューマチック駆動を実行することができる前記圧力を与える圧力源により加圧されており、緊急シャットダウンでは前記圧力源から外され、前記放出経路を通るパージガス放出が、前記所定の容量の圧力を低減させ、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブの状態変化の設計された遅延を起して、前記設計された時間遅延の後、少なくとも1つの燃料電池システムの緊急シャットダウン駆動パージガスの前記燃料電池システムパイプ系へのフローを低減させる。
【0015】
本発明の利点は、緊急シャットダウン状況でのアノード酸化のリスクを大きく低減でき、従って燃料電池システムの寿命を長くすることができる、ということである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、単一燃料電池構造を示す。
【図2】図2は、SOFC装置の一例を示す。
【図3】図3は、本発明による第1の好ましい実施態様を示す。
【図4】図4は、本発明による第2の好ましい実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
固体電解質燃料電池(SODC)は複数の形状を持ち得る。図1の平面形状はほとんどの燃料電池で採用される典型的なサンドイッチタイプの形状であり、ここで電解質104が電極アノード100とカソード102の間にサンドイッチになっている。SOFCはまたチューブ形状であり得る。ここでは例えば空気又は燃料がチューブの内側を通過し、他のガスがチューブの外側に沿って通過する。またこれは、燃料として使用されるガスがチューブの内側を通過し、空気がチューブの外側に沿って通過するという、装置もあり得る。前記チューブ設計は、空気を燃料からシールするという点でより優れている。しかし、平面設計の性能は、チューブ形状の設計よりもより優れている。というのは平面設計は比較的低抵抗性であるからである。SOFCの他の形状には修正平面電池(MPC又はMPSOFC)が含まれ、ここでは平面電池のこれまでの平坦な構造が波型構造に置き換えられてる。かかる設計は有望である。というのはそれらは平面電池(低抵抵抗性)及びチューブ構造電池の利点を併せ持つからである。
【0018】
SOFCはで使用されるセラミックスは、非常に高温に到達するまではイオン性活性とはならず、この結果前記スタックは600から1000℃の範囲の温度に加熱される必要がある。酸素から酸素イオンへの還元106(図1)は前記カソード102で起こる。これらのイオンはその後前記固体電解質104を通ってアノード100へ移動され、そこで燃料108として使用されるガスを電気化学的に酸化することができる。この反応で、水及び二酸化炭素副生成物が2個の電子と共に生成される。これらの電子は内部回路111を流れて利用されることとなる。前記サイクルは、これらの電子がカソード材料102に再び入ることで繰り返される。
【0019】
大型の固体電解質燃料電池システムでは、一般的な燃料は、天然ガス(主にメタン)、異なるバイオガス(主に窒素及び/又は二酸化炭素で希釈されたメタン)及びアルコールを含むその他のより高級な炭化水素を含有する燃料である。メタン及びより高級な炭化水素は、前記燃料電池スタック103に入る前にリフォーマー107(図2)でリフォームされるか、又は(部分的に)スタック103の内部でリフォームされる必要がある。リフォーム反応は、ある量の水が必要であるが、水を添加することはまた、より高級炭化水素により生じる恐れのある炭素生成(コーキング)を防止するためにも必要である。この水は、水が燃料電池反応で過剰量生成されることからアノードガス排気フローを循環させることで内部的に与えられることができる。及び/又は前記水は補助的な水供給により与えられる(例えば直接水供給又は排気凝縮物の循環)。アノード再循環装置により、また、アノードガス中の未使用燃料及び希釈剤の一部が前記プロセスへ戻されるが、補助的な水供給装置では前記プロセスへの添加物は水のみである。
【0020】
本発明の好ましい実施態様では、不活性ガスを前記カソードへのパージガス(即ち安全性ガス)として供給する手段が設けられる。前記不活性ガス(例えば窒素)はまた酸素をほとんど含まない。前記不活性ガスは、前記カソードに受動的に供給され、ESD(緊急シャットダウン)の場合にカソードを遮断することで、アノードへの酸素の侵入がなくなり、それによりアノード酸化のリスクが大きく低減される。前記アノード側のパイプ系のフラッシュは、少量のパージガスで達成され、カソード側もまた少量のパージガス(これは好ましくはカソード側の不活性ガス)でフラッシュされ得る。前記遮断弁がノーマルクローズタイプであり、あまり迅速に閉じられない(例えば低速バネ弁)場合、カソードパイプ系中の実施時の反応物(例えば空気)はフラッシュされて除去され、遮断の後はさらなる空気がシステムのカソード内には侵入されないこととなり、本発明の使用を可能とする。これにより、ESDの際に要求されるパージガスの量は大きく低減されることとなる。遮断弁の類似のタイプもまた、前記必要なパージガスの量をさらに少なくするために使用され得る。
【0021】
図3には、高温度燃料電池システムでの本発明による好ましい装置の第1の例を示す。前記装置は好ましくは、緊急の際にカソード側でのパージガスの量を大きく低減するための高温燃料電池システムの前記カソード102に設けられる。しかしこの装置はまた、高温燃料電池システムにおいて、アノード側100に又はアノード側100及びカソード側102の両方に設けることができる。
【0022】
前記装置は、ニューマチック駆動圧を含むための所定の容量118を含み、前記所定の容量は燃料電池システムのパイプ系及び所定の放出速度のための少なくとの1つの放出経路117を含む。少なくとも1つの圧力源120は前記ニューマチック駆動を実施可能な圧力を与える。
【0023】
前記装置は、少なくとも1つのパージガス源121を含み、これは前記燃料電池システム中の残留反応物を置換し得るより高いガス圧(過圧力)を持つ。好ましくは、前記パージガス源121は、前記パージガス源の周りの圧力に比較して本質的により高い圧力を持つ。前記装置の少なくとも1つのバルブ124は、前記パージガス源121を燃料電池システムパイプ系に接続し、かつ手段122はパージガスフローを前記少なくとも1つのパージガス源121から前記燃料電池システムパイプ系に注入する。手段122は、例えばパイプ、チャンネル、ダクト、孔(ボア)及び/又は穴(ホール)であり得る。手段128は、前記ガスフローが前記燃料電池から出ることを防止するために前記燃料電池システムの少なくとも1つのパイプ端部を遮断する。手段128は、例えば、駆動圧力が緩和されると閉じる、例えばバネ、圧力加算器又は重力ポテンシャルなどに蓄えられる閉鎖作用エネルギーを利用する全てのバルブである。また、前記装置は、手段125を含み、これは前記少なくとも1つの圧力源120から所定の容量を分離するための手段であり、前記手段125は所定の容量118を加圧するための手段である。手段125は、シャットダウンの際に非作動されると閉じる、例えばバネ、圧力加算器又は重力ポテンシャルなどに蓄えられる閉鎖作用エネルギーを利用する全てのバルブである。少なくとも1つのニューマチックバルブ130は、1つの状態を維持するために所定の容量118の圧力を利用する。前記装置はまた、少なくとも1つの空気ブロワー129及び少なくとも1つのオリフィス136を含む。図3では、前記ニューマチック駆動バルブ130上のバイパス経路においてオリフィス136が設けられ、バイパスするパージガスフローの量を制限するように設計される。前記バイパスフローは、前記バルブ130が開かれる際にそこを通るフローの僅かな一部分である。バルブ130を閉じた後、オリフィス136を通る通路は、前記燃料電池カソードを通って前記パイプ系への少量のフローが維持されることを保証し、パイプ系133から酸素が前記装置に逆方向へ流れるリスクを低減することを保証する。図3及び4のオリフィス116は、放出経路117のパイプ系でのフロー制限である。ニューマチック駆動バルブ130の状態変化での所定の時間遅延を達成するためにパージガスを制限するように寸法付けられている。
【0024】
所定の容量118は通常の操作では圧力源120により加圧される。緊急シャットダウンでは、所定の容量が前記圧力源120から外されて、所定の容量の前記放出経路117を通るパージガス放出により所定の容量118の圧力低下を起こす。これは、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブ130の状態変化でのある時間遅延を、前記遅延時間の後に、パージガスの緊急シャットダウン駆動のフローを低減させるか完全に閉ざすようにすることで達成される。設計される時間遅延は、例えばパージガスの全容量に対応するサイズであって、残留反応物が適切に置換されることを保証する前記システムパイプ系の少なくとも6倍に等しい容量であり得る。しかし前記サイズはこれに限定されるものではない。前記設計される時間遅延の長さは、例えば10秒から1時間であり得る。
【0025】
図4には、高温度燃料電池システムでの本発明による好ましい実施態様の第2の例示が示される。前記装置は好ましくは、緊急シャットダウンの際にカソード側でのパージガスの量を大きく低減するための高温度燃料電池システムの前記カソード102に設けられる。しかしこの装置はまた、高温度燃料電池システムにおいて、アノード側100に又はアノード側100及びカソード側102の両方に設けることができる。前記装置は、ニューマチック駆動バルブ130として少なくとも1つの制御可能な制御装置130を持ち、これは、前記設計された時間遅延後に前記パージガスフローを実質的に制限するから完全に閉じるようにニューマチック駆動される。前記制御可能な制御装置130の位置は、図4に示されるように空気レキュペレーター(recuperator)135の外部パイプ系133である。又は、この第2の実質的には、図3を参照して前記第1の実質的に示された類似装置を含み得る。
【0026】
本発明の実施態様ではまた、同じ圧力ユニット120、121が前記圧力源(12)及び前記ガス源121の両方の機能を果たすように利用され得る。
【0027】
本発明は、添付の図面及び発明の詳細な説明に基づいて説明されてきたが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に含まれる変更・変法をも対象としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急シャットダウンの際にパージガス量を実質的に低減するための、高温度燃料電池システムのための装置であり、それぞれの燃料電池がアノード側、カソード側及び前記アノード側と前記カソード側の間の電解質を含み、前記燃料電池システムが、反応物のための燃料電池システムパイプ系を有し、前記装置が:
− ニューマチック駆動圧力を含む所定容量を含み、前記所定容量が設計された放出速度のための少なくとも1つの放出経路を含み、
− 前記ニューマチック駆動を実行し得る圧力を与える少なくとも1つの圧力源を含み、
− 前記燃料電池システムで残留反応物を置換可能なガス過圧を持つ少なくとも1つのパージガス源を含み、
− 前記パージガス源を前記燃料電池システムパイプ系と接続するための少なくとも1つのバルブを含み、
− パージガスフローを、前記少なくとも1つのパージガス源から前記燃料電池システムパイプ系へ注入するための手段を含み、
− 前記少なくとも1つの圧力源から前記所定容量を分離して、前記所定容量を加圧するための手段を含み、
− 前記所定の容量の圧力を1つの状態を維持するために利用する少なくとも1つのニューマチック駆動バルブを含み、及び
− 前記所定の容量が、通常の操作で前記圧力源により加圧され、及び緊急シャットダウンでは前記圧力源から外され、
前記放出経路を通るパージガス放出が前記所定の容量で圧力低下を生じさせ、
少なくとも1つのニューマチック駆動バルブの状態変化での設計される時間遅延を、前記時間遅延後に前記燃料電池システムパイプ系へのシャットダウン駆動パージガスフローを低減するか完全に遮断するようにすることで達成される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高温燃料電池システムのための装置であり、前記装置が、少なくとも1つのパージガス源を含み、前記パージガス源は、前記パージガス源の周囲の圧力と比較してガス過圧を持つ、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高温燃料電池システムのための装置であり、前記装置が、前記圧力源及び前記パージガス源の両方の機能を果たす同じ圧力ユニットを含む、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の高温度燃料電池システムのための装置であり、前記装置が、前記燃料電池システムの少なくとも1つのパイプ端部を遮断して、前記燃料電池システムからのガスフローを抑制する手段を含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の高温度燃料電池システムのための装置であり、前記装置が前記ニューマチック駆動バルブとして、少なくとも1つの制御可能な制御装置を持ち、ニューマチック駆動されて、前記設計された時間遅延の後前記パージガスフローを実質的に限定又は完全に遮断する、装置。
【請求項6】
請求項1の記載の高温度燃料電池システムのための装置であり、前記装置が、前記緊急シャットダウンの際に前記カソード内のパージガスの量を実質的に低減するために高温度燃料電池システムの前記カソード側に設けられる、装置。
【請求項7】
高温度燃料電池システムの緊急シャットダウン状況でパージガスの量を実質的に低減する方法であり、前記方法で:
− ニューマチック駆動圧力を含むための所定の容量が利用され、
− 前記ニューマチック駆動を実行可能な少なくとも1つの圧力源から圧力が設けられ、
− 少なくとも1つのパージガス源のガス過圧を利用して前記燃料電池システム内の残留反応物が置換され、
− 少なくとも1つのバルブにより前記燃料電池システムパイプ系に前記パージガス源が接続され、
− パージガスフローが、前記少なくとも1つのパージガス源から燃料電池システムパイプ系へ注入され、
− 前記少なくとも1つの圧力源から前記所定の容量が分離され、前記所定に容量が加圧され、
− 1つの状態を維持するために前記所定の容量の圧力を利用するために、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブが利用され、及び
− 前記方法で、前記所定容量が通常の操作で加圧され、及び緊急シャットダウンでは前記所定の容量は前記圧力源から外され、前記放出経路を通るパージガス放出が前記所定の容量の圧力を低下させ、少なくとも1つのニューマチック駆動バルブの状態変化の設計された時間遅延が、前記所定の時間遅延後に前記燃料電池への緊急シャットダウン駆動パージガスのフローを低減するか完全に遮断するようにされることで、達成される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であり、ガス過圧が、前記パージガス源の周囲の圧力と比較して少なくともパージガス源に設けられる、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であり、同じ圧力ユニットが、前記圧力源及び前記パージガス源の両方の機能を実行するために利用される、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であり、前記燃料電池システムの少なくとも1つのパイプ端部が遮断されて、ガスフローが前記燃料電池システムを出ることを抑制する、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であり、前記ニューマチック駆動バルブとして、少なくとも1つの制御可能な制御装置が、前記設計された時間遅延の後、前記パージガスフローを実質的に制限するか完全に遮断するように、利用される、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であり、前記方法が、緊急シャットダウンで、前記カソード側でパージガスの量を実質的に低減するための高温燃料電池システムのカソード側で実施される、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−521601(P2013−521601A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555454(P2012−555454)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/FI2011/050019
【国際公開番号】WO2011/107654
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(503129903)ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア (73)
【Fターム(参考)】