説明

アフレコ体験装置及びアフレコ体験プログラム

【課題】物語との一体感を楽しむことができ、声優を純粋に体験することができるアフレコ体験装置及びアフレコ体験プログラムを提供する。
【解決手段】配役A〜Cに対応した音声データ記憶部A〜Cと、テロップデータ記憶部A〜Cと、配役A〜Cを選択する操作部20とを設け、そして、音声制御部43、ミキサ56等が、音声データC(プレーヤによって選択された配役A,Bを除いた音声データ)の音声出力とマイク72A,72Bからの音声出力とを、スピーカ74を用いて発音させ、そして、関連付け制御部42、テロップ制御部45等が、テロップデータに基づいてテロップを生成して、個別表示端末61A,61B、映像表示装置62に表示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テロップに対応して、プレーヤが発声するアフレコ体験装置及びアフレコ体験プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、映画やドラマの画面に合わせて、声優がセリフ(台詞)を録音したり、音楽家が音楽などを録音するいわゆるアフレコ(アフター・レコーディングの略称)という技術があった。また、このアフレコを実際に体験することにより、例えば、物語との一体感を体験したい、洋画の吹き替えを体験したい、アニメの声優を体験したい等の要望があった。
一方、特許文献1には、他人に自分をアピールしたいという自己顕示欲や、映画やドラマの中で起きるような、非日常、非現実な体験をしてみたいという願望を、ゲームと結びつけることによって満足させるために、周知のドラマ等において俳優が発声するセリフを、プレーヤが追従して発声する遊戯装置等が開示されている。
しかし、この遊戯装置は、俳優が発声するセリフに対して、プレーヤがどれだけうまく追従して発声したかを採点したり、また、プレーヤが他のプレーヤよりもどれだけうまく追従してセリフを発声したかを競うものである。このため、プレーヤは、点数取得や、対戦相手との勝負に注意力を注がれ、ドラマ等に気持ちが入り込めないという問題がある。つまり、プレーヤは、この遊戯装置によっては、物語との一体感を体験できず、また、声優を純粋に体験することはできない。
【特許文献1】特開2002−239221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、物語との一体感を楽しむことができ、声優を純粋に体験することができるアフレコ体験装置及びアフレコ体験プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、物語の進行に応じて、プレーヤがテロップに従って発声するアフレコ体験装置において、音声を発音する音声発音手段と、表示を行う表示手段と、前記発声を入力する発声入力手段と、物語の配役に対応した音声データを記憶する音声データ記憶部と、前記音声データに対応したテロップデータを記憶するテロップデータ記憶部と、前記物語の前記配役を選択する配役選択手段と、選択した前記配役の前記音声データを除いた音声出力と、前記発声入力手段からの音声出力とを、前記音声発音手段を用いて発音させる音声生成手段と、前記テロップデータに基づいて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ生成手段と、を備えたアフレコ体験装置である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のアフレコ体験装置において、前記音声生成手段は、選択した前記配役の前記音声データを加えて、前記音声発音手段を用いて発音させる音声追加生成手段を備えること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項3の発明は、請求項1及び請求項2に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、選択していない前記配役の前記テロップデータを除いて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ選択除去手段を備えること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、前記物語の進行に応じて、前記テロップを強調して前記表示手段に表示すること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、前記テロップをスクロールして前記表示手段に表示すること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、前記テロップを配役毎に個別表示するテロップ個別表示手段を備えること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項7の発明は、請求項6に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、前記物語の進行に応じて、前記テロップを強調して前記テロップ個別表示手段に表示すること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載のアフレコ体験装置において、前記テロップ生成手段は、前記テロップをスクロールして前記テロップ個別表示手段に表示すること、を特徴とするアフレコ体験装置である。
【0006】
請求項9の発明は、音声を発音する音声発音手段と、表示を行う表示手段と、前記発声を入力する発声入力手段と、物語の配役に対応した音声データを記憶する音声データ記憶部と、前記音声データに対応したテロップデータを記憶するテロップデータ記憶部と、前記物語の前記配役を選択する配役選択手段と、を備えた情報処理装置の制御部に実行させ、物語の進行に応じて、プレーヤがテロップに従って発声するアフレコ体験プログラムにおいて、選択した前記配役の前記音声データを除いた音声出力と、前記発声入力手段からの音声出力とを、前記音声発音手段を用いて発音させる音声生成手順と、前記テロップデータに基づいて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ生成手順と、を備えたアフレコ体験プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、音声を発音する音声発音手段と、表示を行う表示手段と、発声を入力する発声入力手段と、物語の配役に対応した音声データを記憶する音声データ記憶部と、音声データに対応したテロップデータを記憶するテロップデータ記憶部と、配役を選択する配役選択手段とを備えている。また、音声生成手段は、選択した配役の音声データを除いた音声出力と、発声入力手段からの音声出力とを、音声発音手段を用いて発音させ、そして、テロップ生成手段は、テロップデータに基づいてテロップを生成して、表示手段に表示する。
これにより、アフレコ体験装置は、物語の進行に応じて、テロップを表示手段に表示することができる。また、物語の進行に応じて、プレーヤが選択した配役の音声データを除いた音声とプレーヤの音声とを、音声発音手段を用いて発音することができる。
さらに、例えば、アニメ、ドラマ等の動画を表示手段に表示させ、また、表示手段に表示されるテロップを参考にセリフを発声することにより、プレーヤは、物語との一体感を楽しむことができ、また、声優を純粋に体験することができる。
【0008】
(2)本発明は、音声生成手段が、選択した配役の音声データを加えて、音声発音手段を用いて発音させる音声追加生成手段を備えているので、プレーヤは、音声データを手本にして、発声することができる。
【0009】
(3)本発明は、テロップ生成手段が、選択していない配役のテロップデータを除いてテロップを生成して、表示手段に表示するテロップ選択除去手段を備えている。これにより、表示手段には、選択していない配役のテロップが表示されないため、プレーヤは、煩わしさを感じることなく、アフレコを体験することができる。
【0010】
(4)本発明は、テロップ生成手段が、物語の進行に応じて、テロップを強調して表示手段に表示するので、物語の進行に適した箇所にテロップを強調することにより、プレーヤは、発声するセリフのタイミングを逃すことなく、アフレコを体験することができる。
【0011】
(5)本発明は、テロップ生成手段が、テロップをスクロールして表示手段に表示するので、物語の流れを滞らせることなく、また、表示が突然変わらず、よりスムーズにテロップを表示することができる。
【0012】
(6)本発明は、テロップを配役毎に個別表示するテロップ個別表示手段を備えているので、プレーヤは、自分が選択した配役に集中して、アフレコを体験することができる。
【0013】
(7)本発明は、テロップ生成手段が、物語の進行に応じて、テロップを強調してテロップ個別表示手段に表示するので、(4)と同様な効果を得ることができる。
【0014】
(8)本発明は、テロップ生成手段が、テロップをスクロールしてテロップ個別表示手段に表示するので、(5)と同様な効果を得ることができる。
【0015】
(9)本発明は、音声発音手段、表示手段、発声入力手段、音声データ記憶部、テロップデータ記憶部、配役選択手段を備えた情報処理装置の制御部に実行させるアフレコ体験プログラムである。また、アフレコ体験プログラムは、プレーヤが選択した配役の音声データを除いた音声出力と、発声入力手段からの音声出力とを、音声発音手段を用いて発音させる音声生成手順と、テロップデータに基づいてテロップを生成して、表示手段に表示するテロップ生成手順とを備えている。
これにより、情報処理装置をアフレコ体験装置として用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、物語との一体感を楽しむことができ、声優を純粋に体験することができるアフレコ体験装置及びアフレコ体験プログラムを提供するという目的を、配役毎に対応した音声データ記憶部と、テロップデータ記憶部と、配役を選択する操作部とを設け、そして、音声制御部、ミキサ等が、プレーヤによって選択された配役を除いた音声データの音声出力とマイクからの音声出力とを、スピーカを用いて発音させ、そして、関連付け制御部、テロップ制御部等が、テロップデータに基づいてテロップを生成して、個別表示端末、映像表示装置に表示することによって実現した。
【実施例】
【0017】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
本発明を適用した実施例のアフレコ体験装置1は、プレーヤが、映像表示装置に表示されたテロップを見ながら、マイク(発声入力手段)に発声を入力し、アフレコ(アフター・レコーディングの略称)を体験するための、例えば、ゲームセンタ等に設置される体験装置である。
図1〜図4は、アフレコ体験装置1を示す図であって、図1は、アフレコ体験装置1のシステム全体を示す図、図2は、ブロック図、図3は、個別表示端末を示す図、図4は、映像表示装置を示す図である。
【0018】
図1に示すように、アフレコ体験装置1は、装置本体10と個別表示端末61A〜61Cと、映像表示装置62と、マイク(マイクロホン)72A〜72Cと、スピーカ74とを備えている。
最初に、図2を用いて、装置本体10の構成、制御ブロック等について説明する。
装置本体10は、本体ケース11(図1参照)に、電気部品、電気回路等を収容している。装置本体10は、図2に示すように、その制御ブロックに、操作部20(配役選択手段)と、記憶部30と、CPU(中央演算装置)40と、駆動回路50と、ミキサ56と、増幅器57等とを備えている。
操作部20(配役選択手段)は、アフレコ体験装置1を操作するための操作部である。操作部20は、本体ケース11の表面に設けられ、配役の選択をするための操作ボタン等を備え(図1参照)、プレーヤの操作に応じて、電気信号を後述するCPU40に出力する。
【0019】
記憶部30は、アフレコ体験装置1に必要なデータを記憶するための、例えば、ハードディスクを備えた記憶装置等である。本実施例の記憶部30は、物語である複数のアニメ(本明細書においては「アニメーション作品」の略称をいう。)、「インベーダ大作戦」、「インベーダ大冒険」、「インベーダの逆襲」等を、それぞれ記憶するための記憶部30A,30B,30C等を備えている。以下、主に記憶部30Aについて説明するが、他の記憶部についても同様な構成である。
記憶部30Aは、映像データ記憶部31と、音声データ記憶部32A〜32Cと、テロップデータ記憶部33A〜33Cと、BGM/効果音データ記憶部34と、関連付けデータ記憶部35とを有している。
【0020】
映像データ記憶部31は、アニメの動画データを記憶するための記憶部である。
音声データ記憶部32A〜32Cは、アニメの各配役(登場人物)に対応した音声データをそれぞれ記憶するための記憶部である。「インベーダ大作戦」の場合、配役A〜Cがあり、音声データ記憶部32A〜32Cは、それぞれの配役の音声データA〜Cを記憶している。
テロップデータ記憶部33A〜33Cは、アニメの配役A〜Cと音声データA〜Cとに対応したテロップデータA〜Cを、それぞれ記憶するための記憶部である。
【0021】
BGM/効果音データ記憶部34は、BGM(バック・グラウンド・ミュージックの略称)と、爆発音などの効果音のデータを記憶するための記憶部である。
関連付けデータ記憶部35は、各記憶部が記憶したデータ同士を関連付けるためのデータを記憶する記憶部である。関連付けデータ記憶部35は、例えば、音声データ記憶部32Aに記憶した音声データAと、テロップデータ記憶部33Aに記憶したテロップデータAとが配役Aに対応したものであると関連付けたデータや、アニメの進行に応じたテロップデータ、音声データとのタイミング等を関連付けたデータ等を記憶している。また、関連付けデータ記憶部35は、記憶部30A内の各データの記憶場所を示すデータを記憶している。
【0022】
CPU40は、アフレコ体験装置1を総括的に制御する制御部である。CPU40は、メニュー選択制御部41と、関連付け制御部42と、音声制御部43と、映像制御部44と、テロップ制御部45とを有している。
メニュー選択制御部41は、操作部20からの電気信号に応じて、メニュー選択の処理を行う制御部である。メニュー選択制御部41は、プレーヤが、複数のアニメの中から希望のアニメを選択するときや、配役を選択するとき等に、各制御部と情報の伝達等を行う制御部である。
【0023】
関連付け制御部42は、メニュー選択制御部41からの情報の伝達に応じて、関連付けデータ記憶部35のデータを確認し、後述する音声制御部43、映像制御部44等に必要な情報の伝達等を行う制御部である。関連付け制御部42は、アニメの進行に応じて、経過時間の管理を行って、適宜必要な情報を音声制御部43等に伝達する。
音声制御部43は、関連付け制御部42からの情報の伝達に応じて、音声データ記憶部32A〜32C、BGM/効果音データ記憶部34の中から必要な音声データを読み出し、これらの音声データを合成した出力用合成音声データを生成する制御部である。音声制御部43は、プレーヤが選択した配役の音声データを除いて出力用合成音声データを生成する。音声制御部43は、合成音声データを後述する駆動回路50に出力する。
映像制御部44は、関連付け制御部42からの情報の伝達に応じて、映像データ記憶部31の中から必要な映像データを読み出し、また、後述するテロップ制御部45から出力用テロップデータを受け取り、出力用合成映像データを生成する制御部である。映像制御部44は、出力用合成映像データを後述する駆動回路50に出力する。
【0024】
テロップ制御部45は、関連付け制御部42からの情報の伝達に応じて、テロップデータ記憶部33A〜33Cの中から必要なテロップデータを読み出し、これに基づいて出力用テロップデータを生成し、映像制御部44に受け渡す処理を行う制御部である。テロップ制御部45は、プレーヤが選択していない配役のテロップデータを除いて、また、テロップがアニメの進行に応じて映像表示装置62にスクロールするように、出力用テロップデータを生成する。さらに、テロップ制御部45は、アニメの進行に応じて、プレーヤが発声するために適した位置において、テロップを強調するように、出力用テロップデータを生成する。映像表示装置62に表示されるテロップについては、後述する。
【0025】
また、テロップ制御部45は、後述する個別表示端末61A〜61Cに、それぞれ表示するための個別表示用テロップデータを生成する。この個別表示用テロップデータは、テロップが配役毎に個別表示されるように生成されたデータである。例えば、プレーヤが配役Aを選択した場合、テロップ制御部45は、配役Aのテロップのみを表示するようにデータを生成する。テロップ制御部45は、個別表示用テロップデータを後述する駆動回路50に出力する。個別表示端末61A〜61Cに表示されるテロップについては、後述する。
【0026】
駆動回路50は、CPU40の各制御部から出力信号を受け取り、D/A変換等の必要な処理を行って、映像、音声信号を後述する映像表示装置62、ミキサ56等に出力するための電気回路である。駆動回路50は、端末駆動回路51と、映像駆動回路52と、音声駆動回路53とから構成される。
端末駆動回路51は、テロップ制御部45が出力した個別表示用テロップデータを受け取り、個別表示端末61A〜61Cに無線を用いてテロップデータを送信するための電気回路であり、RF回路等を備えている。なお、端末駆動回路51と個別表示端末61A〜61Cとは、ケーブル等で電気的に接続してもよいが、無線で接続した方が、個別表示端末61A〜61Cの携帯性が向上し、より好適である。
映像駆動回路52は、映像制御部44が出力した出力用合成映像データを受け取り、必要な信号処理をして、後述する映像表示装置62に出力する電気回路である。
音声駆動回路53は、音声制御部43が出力した出力用合成音声データを受け取り、必要な信号処理をして、後述するミキサ56に出力する電気回路である。
【0027】
ミキサ56は、音声駆動回路53から合成音声の電気信号を受け取り、また、後述するマイク72A〜72Cからの電気信号をさらに合成するための電気回路である。この合成音声信号は、増幅器57に出力される。
増幅器57は、ミキサ56からの合成音声信号を受け取り、トランジスタ等を用いて電気的に増幅して、後述するスピーカ74に出力するための電気回路である。
【0028】
次に、装置本体10に接続された、個別表示端末61A〜61C等について説明する。
個別表示端末61A〜61C(テロップ個別表示手段)は、各プレーヤが所持し、テロップを配役毎に個別表示するための、例えば、LCD(液晶表示)等の表示装置を備えた携帯型端末(図1、図3参照)である。個別表示端末61A〜61Cは、端末駆動回路51が各個別表示端末向けに送信した無線データを受信して、その表示装置にそれぞれの配役に対応したテロップを表示する。例えば、配役Aを選択したプレーヤが所持する個別表示端末61Aには、配役Aに対応したセリフのテロップが、適宜表示される。
【0029】
映像表示装置62(表示手段)は、映像駆動回路52が処理した出力用合成映像を表示するためのCRT(ブラウン管)等を備えた、大型の表示装置である(図1、図4参照)。映像表示装置62は、アニメの動画映像と、アニメの進行に応じた各配役のテロップとを表示する。
マイク72A〜72Cは、各プレーヤの発声を入力するための発声入力手段であり、例えば、コンデンサ型のマイクロホンである。マイク72A〜72Cは、各プレーヤが所持し、各配役に対応したセリフを、プレーヤが発声して入力する。マイク72A〜72Cは、ミキサ56に対してケーブル等を用いて電気的に接続されており、プレーヤの発声を電気信号に変換してミキサ56に出力する。なお、マイク72A〜72Cを、個別表示端末61A〜61Cに、それぞれ内蔵して設けることにより、一体性、携帯性を向上してもよい。
スピーカ74は、アニメの音声、各プレーヤの発声、BGM/効果音等を発音するための音声発音手段である。スピーカ74は、増幅器57に対してケーブルを用いて電気的に接続されており、増幅器57からの合成音声を発音する。
【0030】
以上説明した構成のアフレコ体験装置1の動作について、図5等を用いて説明する。図5は、CPU40の動作を示す流れ図である。
ステップS1において、CPU40のメニュー選択制御部41等は、映像表示装置62に、ストーリ選択画面を表示するように、駆動回路50に命令する。ストーリ選択画面とは、プレーヤに対して、「インベーダ大作戦」、「インベーダ大冒険」、「インベーダの逆襲」等の中から、希望のアニメ(物語)を選択するように指示する画面である。
ステップS2において、メニュー選択制御部41は、プレーヤの操作部20の操作により、選択されたアニメを認識する。以下、プレーヤが、記憶部30Aに記憶されている「インベーダ大作戦」を、選択したものとして説明する。
ステップS3において、メニュー選択制御部41は、「インベーダ大作戦」が選択されたことを、関連付け制御部42に伝達する。関連付け制御部42は、関連付けデータ記憶部35の関連付けデータを確認して、配役が配役A〜Cであることを、さらにメニュー選択制御部41に伝達する。
【0031】
ステップS4において、メニュー選択制御部41は、映像表示装置62に、配役選択画面を表示するように、駆動回路50に命令する。配役選択画面とは、プレーヤに対して、配役A〜Cの中から、希望の配役を選択するように指示する画面である。
ステップS5において、メニュー選択制御部41は、電気信号がプレーヤの操作部20の操作により入力されることにより、選択された配役を認識する。本実施例においては、2人のプレーヤが、それぞれ配役A,Bを選択したとする。メニュー選択制御部41は、配役A,Bが選択されたことを、関連付け制御部42に伝達する。
【0032】
ステップS6において、関連付け制御部42は、音声制御部43、映像制御部44、テロップ制御部45に、配役A,Bが選択されたことを、さらに伝達する。
ステップS7において、CPU40に、ストーリをスタートするための電気信号が、プレーヤの操作部20の操作によって入力され、ステップS8において、CPU40は、ストーリをスタートさせる。
ステップS9において、関連付け制御部42は、関連付けデータ記憶部35を確認して、ストーリの進行、各配役に応じたデータが、記憶30A内のどこに記憶されているかを確認する。そして、関連付け制御部42は、音声制御部43、映像制御部44、テロップ制御部45に対して、音声データ、テロップデータ、映像データ、BGM/効果音データの記憶場所に関する情報を伝達する。
【0033】
CPU40は、ステップS10,11において、出力用映像データの生成、出力を行ない、一方、ステップS12,S13において、出力用音声データの生成、出力を行なう。
最初に、ステップS10,S11について説明する。
ステップS10において、テロップ制御部45は、関連付け制御部42の伝達に応じて、個別表示端末61A,61Bに表示するための個別表示用テロップデータを生成する。テロップ制御部45は、個別表示用テロップデータを、配役A,B毎に個別表示するように生成する。すなわち、配役Aを選択したプレーヤの所持する個別表示端末61Aには、配役Aに対応したテロップのみを表示するようにデータを生成し、一方、個別表示端末61Bには、配役Bに対応したテロップのみを表示するようにデータを生成する。この場面においては、配役A,Bに対応した、「逃げろ!」「やられる!」「早く逃げろ!」のテロップデータを、テロップデータ記憶部33A,33Bから読み出す(図3(a)、図3(b)に示すテロップ参照)。テロップ制御部45は、個別表示用テロップデータを端末駆動回路51に出力し、そして、端末駆動回路51が個別表示端末61A,61Bに対して、テロップに関する必要な信号を無線を用いて送信する。
図3(a)、図3(b)に示すように、個別表示端末61A,61Bには、配役A,Bに対応したテロップが、それぞれ表示されている。参考に、図3(c)に、この場面における、配役A〜Cの一連のテロップを示す。
【0034】
ステップS11において、テロップ制御部45は、映像表示装置62に表示するための出力用テロップデータを生成する。テロップ制御部45は、プレーヤが選択していない配役CのテロップデータCを除いて出力用テロップデータを生成する。テロップ制御部45は、出力用テロップデータをアニメの進行に応じて映像表示装置62にスクロールするように生成し、また、プレーヤが発声するために適した位置において強調するように生成する。
これと同時に、映像制御部44は、映像データ記憶部31の中からアニメの進行に応じた映像データを読み出し、さらに、テロップ制御部45から出力用テロップデータを受け取り、出力用合成映像データを生成する。映像制御部44は、出力用合成映像データを映像駆動回路52に出力し、そして、映像駆動回路52が映像表示装置62に、映像信号を出力する。
【0035】
図4(a)は、映像表示装置62の映像を示す図であり、図4(b)は、テロップ部分を拡大して示す図である。また、参考に、図4(c)に、この場面における配役A〜Cの一連のテロップを示す。
図4(a)に示すように、映像表示装置62には、動画が表示され、画面左下の範囲に配役A,Bのテロップのみが表示されている。図4(b)に示すように、テロップが上側(矢印Z1方向)にスクロールしているので、配役Aのテロップ「逃げろ!」、「早く逃げろ!」の上下が欠けた状態となっている。また、配役Bのテロップである「やられる!」の「ら」の文字に「I」字状の記号が重ねて表示されている。これは、テロップ制御部45が、この位置においてテロップを強調するように、出力用テロップデータを生成したためである。すなわち、この場面は、配役Bを選択したプレーヤが、「やられる!」の「ら」を発声するために適した位置である。なお、テロップを強調する方法は、該当箇所のテロップの色を変える等、他の方法でもよい。
【0036】
次に、ステップS12,S13について説明する。
ステップS12において、音声制御部43は、関連付け制御部42の情報の伝達に応じて、音声データの読み出しと、BGM/効果音データの読み出しを行う。音声制御部43は、アニメの進行に応じた配役Cの音声データCのみ(すなわち、プレーヤが選択した配役A,Bの音声データA,Bを除いた音声データ)を読み出す。この場面においては、配役Cの「わー!やられた!」に対応した音声データのみを読み出す(図4参照)。
【0037】
ステップS13において、音声制御部43は、BGM/効果音データと配役Cの音声データCとを合成して、出力用合成音声データを生成する。音声制御部43は、出力用合成音声データを、音声駆動回路53に出力し、そして、音声駆動回路53が合成音声信号を、ミキサ56に出力する。合成音声信号は、さらにミキサ56において、マイク72A,72Bから入力されたプレーヤの音声出力と合成され、増幅器57を経てスピーカ74に出力される。
ステップS11,S13の処理が終了すると、ステップS14に進む。
【0038】
ステップS14において、CPU40は、ストーリが終了したかを判断する。ストーリが終了していないと判断した場合には(ステップS14;NO)、ステップS9に戻り一連の処理を繰り返し行う。
一方、ストーリが終了したと判断した場合には(ステップS14;YES)、ステップS15に進み、終了表示画面を表示して、さらに、ステップS16に進んで一連の処理が終了する。
【0039】
なお、以上の説明において、テロップ制御部45等は、図3(d)、図4(c)に示すように、個別表示端末61A,61B又は映像表示装置62に、全ての配役のテロップを表示してもよい。すなわち、選択していない配役のテロップデータCを除かずに出力用テロップデータを生成して、テロップを表示することにより、プレーヤは、全てのテロップを確認しながら、アフレコを体験することができる。
また、個別表示端末は、図3(d)に示す個別表示端末161A,161Bのように、テロップをスクロールして表示してもよい。さらに、プレーヤが発声するために適した位置において、テロップを強調して表示してもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施例のアフレコ体験装置1は、音声データ記憶部32A〜32Cが、アニメ(物語)の配役A〜Cに対応した音声データA〜Cを記憶し、また、テロップデータ記憶部33A〜33Cが、アニメの配役A〜Cと音声データA〜Cとに対応したテロップデータA〜Cを記憶する。そして、例えば、前述の例のように、プレーヤが操作部20(配役選択手段)を用いて、配役A,Bを選択した場合、音声制御部43、ミキサ56等(音声生成手段)は、選択した配役A,Bの音声データA,Bを除いた音声出力(すなわち、音声データCの音声出力)と、プレーヤによるマイク72A,72B(発声入力手段)からの音声出力とを、スピーカ74(音声発音手段)を用いて発音させる。また、関連付け制御部42、テロップ制御部45等(テロップ生成手段)は、テロップデータに基づいてテロップを生成して、映像表示装置62(表示手段)に表示する。
これにより、アフレコ体験装置1は、テロップを、アニメの進行に応じて、映像表示装置62に表示することができる。また、プレーヤが選択した配役A,Bの音声データを除いた音声出力と、プレーヤが発声したマイク72A,72Bからの音声出力とを、アニメの進行に応じて、スピーカ74を用いて発音することができる。このため、プレーヤは、アフレコを体験することにより、アニメとの一体感を楽しむことができ、また、声優を純粋に体験することができる。
【0041】
また、本実施例のアフレコ体験装置1は、テロップ制御部45等が、選択していない配役CのテロップデータCを除いて、出力用テロップデータを生成して、テロップを映像表示装置62に表示するテロップ選択除去手段を備えている。これにより、映像表示装置62には、選択していない配役のテロップが表示されないため、プレーヤは、煩わしさを感じることなく、アフレコを体験することができる。
【0042】
さらに、本実施例のテロップ制御部45等は、テロップをアニメの進行に応じて映像表示装置62にスクロールして表示し、アニメの進行に適した箇所でテロップを強調する。これにより、ストーリの流れを滞らせることなく、表示が突然変わらず、テロップをよりスムーズに表示することができる。また、プレーヤは、アニメとの一体感をより感じながら、発声するセリフのタイミングを逃すことなく、アフレコを体験することができる。
【0043】
さらにまた、本実施例のアフレコ体験装置1は、テロップを配役A〜C毎に個別表示する個別表示端末61A〜61C(テロップ個別表示手段)を備えているので、プレーヤは、自分が選択した配役に集中して、アフレコを体験することができる。
【0044】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)本実施例において、アフレコ体験装置1は、ゲームセンタ等に設置される装置の例を示したが、これに限定されない。例えば、アフレコ体験装置1と同様なハード構成を有するパーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機等でもよい。
【0045】
(2)本実施例において、アフレコ体験装置の例を示したが、これに限定されない。発音手段、表示手段、発声入力手段、音声データ記憶部、テロップデータ記憶部等を備えた情報処理装置に実行させるアフレコ体験プログラムでもよい。
【0046】
(3)本実施例において、アフレコ体験装置は、装置内部でデータの読み出し等を行う例を示したが、これに限定されない。外部の端末、記憶部等と、データの受け渡し等を行ってもよい。例えば、電気通信回線を通じて、複数のプレーヤが離れてプレイできるようにしてもよく、また、ホストコンピュータを設け、ここから、物語のデータをダウンロードできるようにしてもよい。
【0047】
(4)本実施例において、物語はアニメである例を示したが、これに限定されない。例えば、ドラマ、外国映画の吹き替え等であってもよい。
【0048】
(5)本実施例において、アフレコを2人でプレイした例を示したが、これに限定されない。3人以上でプレイしてもよく、1人でプレイしてもよい。
【0049】
(6)本実施例において、プレーヤが選択した配役の音声データを除いた音声出力と、マイクからの出力とを合成して、スピーカを用いて発音する例を示したが、これに限定されない。音声制御部等(音声生成手段)は、選択した配役の音声データをさらに加えて、スピーカ、ヘッドフォン等を用いて発音させる機能(音声追加生成手段)を備えていてもよい。これにより、プレーヤは、音声データを基に生成された音声を手本にして、発声練習をすることができる。
【0050】
(7)本実施例において、プレーヤが選択していない配役のテロップを除いて、すなわち、プレーヤが選択した配役のテロップのみを映像表示装置等に表示する例を示したが、これに限定されない。プレーヤが選択した配役のテロップの一部又は全てを除いて表示してもよい。これにより、プレーヤが繰り返しプレイをして練度が向上したときに、テロップを必要に応じて表示させないようにできるので、飽きずにプレイすることができ、また、セリフの暗記の程度を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による実施例のアフレコ体験装置のシステム全体を示す図である。
【図2】本実施例のアフレコ体験装置のブロック図である。
【図3】本実施例の個別表示端末を示す図である。
【図4】本実施例の映像表示装置等を示す図である。
【図5】本実施例のアフレコ体験装置の動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0052】
1 アフレコ体験装置
10 装置本体
20 操作部
30,30A,30B,30C 記憶部
31 映像データ記憶部
32A〜32C 音声データ記憶部
33A〜33C テロップデータ記憶部
34 BGM/効果音データ記憶部
35 関連付けデータ記憶部
40 CPU
41 メニュー選択制御部
42 関連付け制御部
43 音声制御部
44 映像制御部
45 テロップ制御部
50 駆動回路
51 端末駆動回路
52 映像駆動回路
53 音声駆動回路
56 ミキサ
57 増幅器
61A〜61C 個別表示端末
62 映像表示装置
72A〜72C マイク(マイクロホン)
74 スピーカ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物語の進行に応じて、プレーヤがテロップに従って発声するアフレコ体験装置において、
音声を発音する音声発音手段と、
表示を行う表示手段と、
前記発声を入力する発声入力手段と、
物語の配役に対応した音声データを記憶する音声データ記憶部と、
前記音声データに対応したテロップデータを記憶するテロップデータ記憶部と、
前記物語の前記配役を選択する配役選択手段と、
選択した前記配役の前記音声データを除いた音声出力と、前記発声入力手段からの音声出力とを、前記音声発音手段を用いて発音させる音声生成手段と、
前記テロップデータに基づいて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ生成手段と、
を備えたアフレコ体験装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアフレコ体験装置において、
前記音声生成手段は、選択した前記配役の前記音声データを加えて、前記音声発音手段を用いて発音させる音声追加生成手段を備えること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、選択していない前記配役の前記テロップデータを除いて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ選択除去手段を備えること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、前記物語の進行に応じて、前記テロップを強調して前記表示手段に表示すること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、前記テロップをスクロールして前記表示手段に表示すること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、前記テロップを配役毎に個別表示するテロップ個別表示手段を備えること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、前記物語の進行に応じて、前記テロップを強調して前記テロップ個別表示手段に表示すること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のアフレコ体験装置において、
前記テロップ生成手段は、前記テロップをスクロールして前記テロップ個別表示手段に表示すること、
を特徴とするアフレコ体験装置。
【請求項9】
音声を発音する音声発音手段と、
表示を行う表示手段と、
前記発声を入力する発声入力手段と、
物語の配役に対応した音声データを記憶する音声データ記憶部と、
前記音声データに対応したテロップデータを記憶するテロップデータ記憶部と、
前記物語の前記配役を選択する配役選択手段と、を備えた情報処理装置の制御部に実行させ、物語の進行に応じて、プレーヤがテロップに従って発声するアフレコ体験プログラムにおいて、
選択した前記配役の前記音声データを除いた音声出力と、前記発声入力手段からの音声出力とを、前記音声発音手段を用いて発音させる音声生成手順と、
前記テロップデータに基づいて前記テロップを生成して、前記表示手段に表示するテロップ生成手順と、
を備えたアフレコ体験プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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