アプリケーションモニタ装置
【課題】 アプリケーションレイヤにおいてアプリケーションデータを中継処理することなく、送信端末に対してフィードバックをかけることが可能なアプリケーションモニタ装置を提供する。
【解決手段】 パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方から送信の許可されたパケットのみを、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに出力する。パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44のモニタ処理がパケット受信手段41でのパケット受信レートよりも低速な場合に、パケット受信手段41に対してフィードバックをかけ、パケット送出を遅らせる。
【解決手段】 パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方から送信の許可されたパケットのみを、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに出力する。パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44のモニタ処理がパケット受信手段41でのパケット受信レートよりも低速な場合に、パケット受信手段41に対してフィードバックをかけ、パケット送出を遅らせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアプリケーションモニタ装置に関し、特にリアルタイムでデータロスの発生しないモニタリング処理の必要となるアプリケーションモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インタネットの爆発的な普及とともに送受信端末間で通信されるデータをモニタする機能の重要性が昨今高まってきている。特に、モニタ処理は、レイヤ3(IP:Internet Protocol)、レイヤ4[TCP(Transmission Control Protocol),UDP(User Datagram Protocol)]だけでなく、アプリケーションレイヤの中身を参照するような複雑なモニタリング処理が必要となっている。
【0003】
また、モニタ処理を課金等に利用する場合には、アプリケーションモニタ装置に対して、モニタ対象のデータを紛失することなく、完全なモニタ処理をリアルタイムで実施することが要求される。
【0004】
一般的に、送受信端末間で通信されるアプリケーションデータをモニタリングする場合には、大きく二種類の方法がある。第1の方法は、送受信端末間の通信に影響を与えることなく、通信されたパケットをモニタする方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この第1の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成例を図12に示す。図12において、アプリケーションモニタ装置8はパケット受信手段81と、アプリケーションモニタ手段82とから構成されている。
【0006】
送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から送出されるパケットは、複数の中継装置3(3−1,3−2)を介して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)に入力される。送信端末1と受信端末2との通信途中のどこかのポイントにデータ複製手段7が存在し、複製された全パケットがアプリケーションモニタ装置8に入力される。
【0007】
中継装置3としてはルータ、LAN(Local Area Network)スイッチ、リピータ等が用いられている。尚、図12では、受信端末1と送信端末2とにそれぞれ一台の中継装置3を接続しているが、これはインタネットでの送信端末1,受信端末2、中継装置3の接続の一例を示しただけであり、中継装置3が複数存在する場合や一つも存在しない構成も考えられ、その接続構成は任意である。また、図12では説明を分かりやすくするために、受信端末1と送信端末2とを分けて記載しているが、実際の端末は受信端末1と送信端末2との両方の機能を持つことが一般的である。
【0008】
アプリケーションモニタ装置8に入力された全パケットは、パケット受信手段82においてレイヤ4(トランスポートレイヤ)以下の終端処理を実行してアプリケーションデータに組み上げられてから、アプリケーションモニタ手段81において必要なモニタ処理が実施される。レイヤ4以下の終端処理では、受信端末2でのレイヤ4終端処理の全てを実行する必要はない。
【0009】
例えば、レイヤ4がTCPの場合には、データの順番を保証するためにデータを組み替える処理が必要であるが、受信端末2へのACK(acknowledgement)送出処理のように、送信端末2に対してデータを送出する必要はない。また、レイヤ4がUDPの場合には、特別な処理が必要なく、単純にアプリケーションモニタ手段81にデータを渡すだけでよい。
【0010】
第1の方法では、アプリケーションモニタ手段81での処理速度がパケット受信手段82への入力パケットレートより低い場合、アプリケーションモニタ装置8内部でデータロスが発生し、完全なモニタ処理を実施することができない。
【0011】
第2の方法は、アプリケーションモニタ装置が送信端末と受信端末との間でアプリケーションデータを中継し、中継処理の際にモニタ処理を実施する方法である。アプリケーションデータを中継するためには、モニタ装置がレイヤ4以下を終端する必要がある。
【0012】
この第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成例を図13に示す。図13において、アプリケーションモニタ装置9はパケット受信手段91と、アプリケーションモニタ手段92と、パケット送信手段93とから構成されている。
【0013】
送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から送出されたパケットは、中継装置3−1を介して必ずアプリケーションモニタ装置9を経由し、さらに中継装置3−2を経由して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)へと転送される。アプリケーションモニタ装置9に入力されたパケットは、パケット受信手段91においてレイヤ4以下の終端処理が行われた後、アプリケーションモニタ手段92に入力される。
【0014】
レイヤ4がTCPの場合、パケット受信手段91でのレイヤ4以下の終端処理は、送信端末1に対するACK送出処理を含む。よって、第2の方法のアプリケーションモニタ装置9では、入力トラフィックに対してレート制御を実施することが可能である。具体的には、アプリケーションモニタ手段92の処理がパケット受信手段91へのパケット入力レートよりも低速である場合、アプリケーションモニタ手段92からパケット受信手段91に対してフィードバックをかけることによって、TCPのレート制御にて送信端末1が送信パケットレートを動的に制御する。
【0015】
したがって、第2の方法では、パケットロスが発生しないモニタを実施することができる。尚、第2の方法では、アプリケーションモニタ装置9によって送信端末1と受信端末2との間の通信が二分割されるが、送信端末1及び受信端末2がアプリケーションモニタ装置9の存在を知っているプロキシサーバのような装置と、送信端末1及び受信端末2がアプリケーションモニタ装置9の存在を知らないステルス的な装置との二種類が存在する。
【0016】
アプリケーションモニタ装置9の存在を知っているとは、具体的には、送信端末1がレイヤ4の終端を一旦アプリケーションモニタ装置9で行うことを想定し、パケットをアプリケーションモニタ装置9に対して送出するということである。
【0017】
図14に上記の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の詳細な構成を示す。図14において、ネットワーク(図示せず)から受信したパケットはIP受信処理部101にてIPレイヤ以下の終端処理が実施された後、TCP受信処理部102においてTCP終端処理が行われ、アプリケーションモニタ処理部105に渡される。
【0018】
アプリケーションモニタ処理部105は必要なモニタ処理を行った後、TCP送信処理部103に対してデータの送出要求を行う。TCP送信処理部103では、送信データに関してTCPレイヤの終端処理を行った後、IP送信処理部104にてIPレイヤ以下の終端処理を実施後、ネットワークにパケットが送出される。
【0019】
TCP受信処理部102及びTCP送信処理部103で行われるTCP終端処理としては、パケットの順序保証・ACKパケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の全てのTCP処理を実施する必要がある。また、一般的には、TCP受信処理部102及びTCP送信処理部103とアプリケーションモニタ処理部105とは、ソケットというAPI(Application Programming Interface)で接続され、それぞれで必ず送受信データのコピーが必要とされる点も重い処理として知られている。
【0020】
第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置10の例としては、アプリケーションレイヤを参照するファイヤウオール装置(アプリケーションゲートウエイ)、プロキシサーバ等がある。
【0021】
【特許文献1】特開平11−243389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上述した従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ装置から送信端末に対してフィードバックをかけることができないため、第1の方法を利用するアプリケーションモニタ装置において、アプリケーションモニタ手段の処理性能が、送受信端末間の通信の処理性能よりも低い場合、モニタ処理が送信端末と受信端末との間の通信レートに追いつかず、パケットロスが発生してしまうため、完全なモニタ処理を行うことができないという問題がある。
【0023】
また、従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段がアプリケーションレイヤにてデータのモニタ処理を行い、かつパケット送信手段から受信したデータをパケット送信手段へと中継する必要があるので、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置においてモニタ処理を実施するための処理負荷が非常に重いという問題がある。
【0024】
この場合、従来のアプリケーションモニタ装置では、特にTCP受信処理部とTCP送信処理部とにおいて、パケットの順序保証・ACKパケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の全てのTCP終端処理を実施する必要があり、高負荷である。
【0025】
また、従来のアプリケーションモニタ装置では、TCP受信処理部及びTCP送信処理部とアプリケーションモニタ処理部との間を接続するためのソケットAPIにおいて、TCP受信処理部からアプリケーションモニタ処理部、そしてアプリケーションモニタ処理部からTCP送信処理部へとそれぞれ必ず送受信データのコピーが必要となる点も処理を重くする要因である。
【0026】
さらに、従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段がモニタ処理を不要と判断した後でも、必ず該当するコネクションの中継処理が実施し続ける必要があるので、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置においてモニタ処理を実施するための処理負荷が非常に重いという問題がある。
【0027】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、アプリケーションレイヤにおいてアプリケーションデータを中継処理することなく、送信端末に対してフィードバックをかけることができるアプリケーションモニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によるアプリケーションモニタ装置は、ネットワークからパケットを受信するパケット受信手段と、前記ネットワークにパケットを送信するパケット送信手段と、前記パケット受信手段で受信されたパケットに対してモニタ処理を行うアプリケーションモニタ手段とからなるアプリケーションモニタ装置であって、
前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送信する手段と、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々からの情報に基づいて前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送出するか否かを判定する判定手段とを含むパケット送信判定手段を備えている。
【0029】
本発明のアプリケーションモニタ装置では、パケット送信判定手段が、アプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方がパケット受信可能な時のみ、アプリケーションモニタ装置とパケット送信手段との両方にパケットの転送を行うため、パケット送信手段から受信端末に到達するパケットの全てがアプリケーションモニタ手段に到達することが保証される。
【0030】
アプリケーションモニタ手段の処理が低速な場合には、パケット送信判定手段からアプリケーションモニタ手段とパケット送信判定手段とに対してパケットが送出されないように直接的なフィードバックをかけるので、パケットロスが発生しないことも保証される。
【0031】
また、アプリケーションモニタ手段はパケット受信手段からパケット送信手段へデータの中継を実施する必要がないため、モニタ処理のみを実施することができ、高速なモニタリング処理が実現可能となる。特に、後述するアプリケーションモニタ手段では、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤで必要となる処理が、TCPコネクションのパケットの順序保証を行うためのパケットの組立処理のみである。ACK(acknowledgement)パケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の他のTCP終端処理はいっさい必要ないため、高速である。
【0032】
また、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ処理部からTCP送信処理部に対してデータを送信する際のソケットAPI(Application Programming Interface)を介した送信データのコピー処理が重いことが指摘されている。しかしながら、本発明のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段からデータを送出する必要がないため、そのバッファコピー処理による負荷が削減可能となる。
【0033】
さらに、モニタ処理が不要となった場合には、アプリケーションモニタ手段で、該当するコネクションのパケットを処理する必要がなく、モニタ処理の必要なコネクションのみを処理すれば良いため、非常に高速なモニタリング処理が実現可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、アプリケーションレイヤにおいてアプリケーションデータを中継処理することなく、送信端末に対してフィードバックをかけることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置4はパケット受信手段41と、パケット送信判定手段42と、パケット送信手段43と、アプリケーションモニタ手段44とから構成されている。
【0036】
パケット受信手段41ではネットワークから受信したパケット[図1では、送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から中継装置3−1を介して受信したパケット]に関して、必要なレイヤの終端処理を行った後、パケット送信判定手段42にパケットを出力する。
【0037】
パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から入力されたパケットに関して、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方から入力される情報にしたがって、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に対してパケット送出が可能と判定される場合のみ、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に対してパケットを送出する。
【0038】
また、パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から入力されたパケットをアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに送出できない場合、送信端末1に対してフィードバックをかけることによって、パケットの送出レートを低下させる。
【0039】
送信端末1へのフィードバックのかけ方に関しては後述するが、パケットを単純に廃棄することによって送信端末1に対してパケット送出レートが高すぎることを通知する方法や、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤのレート制御を利用する方法等がある。
【0040】
パケット送信手段43はヘッダ作成等のパケット送信のために必要なレイヤの終端処理を行った後、ネットワークへのパケットの送出[図1では、パケット送信手段43から中継装置3−2を介して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)へのパケットの送出]を行う。アプリケーションモニタ手段44はパケット送信判定手段41から入力されたパケットに関して、必要なモニタ処理を実施する。
【0041】
以下、図1を参照して本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の動作について説明する。
【0042】
ネットワークからアプリケーションモニタ装置4に入力されたパケットは、アプリケーションモニタ装置4内部において、パケット受信手段41を経由してパケット送信判定手段42に入力される。パケット送信判定手段42はパケット送信手段43とアプリケーションモニタ手段44との両方から送出可能と判定されるパケットのみをアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に送出する。
【0043】
送信端末1からパケット受信手段41に入力されるパケットのレートよりもパケット送信手段43及びアプリケーションモニタ手段44のパケット処理速度が十分早い状況においては、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とは、常にパケットの送出を許可しているため、パケットをほとんど遅延することなく、受信端末2へと送信する。
【0044】
特に、パケット送信手段43がパケット送信判定手段42から入力されるパケットを100%ネットワークにロスなく送出できることが保証できる場合、パケット送信手段43からパケット送信判定手段42に対してパケット送出が可能かどうかの情報を通知する必要はなく、パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44からの情報のみに基づいてパケットを送出するかどうかを判定することができる。
【0045】
アプリケーションモニタ手段44のモニタ処理がパケット受信手段41から入力されるパケットデータよりも低速であり、全てのパケットの処理を実施できない場合、アプリケーションモニタ手段44はパケット送信判定手段42に対してパケットを受信できない旨を通知する。パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44が処理できる速度で、パケット送信手段43とアプリケーションモニタ手段44とに対してパケットを送出するため、アプリケーションモニタ手段44はパケットロスなく、モニタ処理を実現することが可能となる。
【0046】
次に、図1のパケット送信判定手段42における送信判定方法の具体例について説明する。図2は図1のパケット送出判定手段42の第1の構成例を示すブロック図であり、図3は図2に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。図2において、パケット送信判定手段42aはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル423と、送出判定部424とから構成されている。
【0047】
送出許可テーブル423では各コネクション(Connection ID)単位でアプリケーションモニタ手段送出許可情報とパケット送信手段送出許可情報とを管理している(図3参照)。送信判定部424では、送出要求のあったパケットに関して、送出許可テーブル423の該当するコネクションのエントリを参照し、アプリケーションモニタ送出許可情報とパケット送信手段送出許可情報とをチェックする。
【0048】
送信判定部424では、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方にパケットが送出許可となっている時のみ、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方にパケットを送出し、どちらか一つでもパケットの送出が許可されない場合にパケットを廃棄する。
【0049】
アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421はアプリケーションモニタ手段44から、アプリケーションモニタ手段44への送出許可情報を受信した際に、送出許可テーブル423のアプリケーションモニタ手段送出許可情報を更新する。同様に、パケット送信手段送出許可条件受信部422はパケット送信手段43から、パケット送信手段43への送出許可情報を受信した際に、送出許可テーブル423のパケット送信手段送出許可情報を更新する。
【0050】
図4は図1のパケット送出判定手段42の第2の構成例を示すブロック図であり、図5は図4に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。図4において、パケット送信判定手段42bはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル425と、送信判定部424と、パケットバッファ426とから構成されている。
【0051】
パケット受信部41から入力されたデータは、一旦、パケットバッファ426にコネクション単位に蓄積される。送信許可テーブル425はコネクション(Connection ID)単位にバッファ蓄積量、アプリモニタ手段送出許可量、パケット送信手段送出許可量を管理する(図5参照)。パケットバッファ426はパケット受信部41からパケットを受信すると、送信許可テーブル425の該当するコネクションに関してバッファ蓄積量を受信パケット量分だけ増加した値に更新する。
【0052】
アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421はアプリケーションモニタ手段44から、アプリケーションモニタ手段44へ送出可能なバイト数の情報を受信し、送信許可テーブル425のアプリモニタ手段送出許可量を更新する。同様に、パケット送信手段送出許可条件受信部422はパケット送信手段43から、パケット送信手段43へ送出可能なバイト数の情報を受信し、送信許可テーブル425のケット送信手段送出許可量を更新する。
【0053】
送信判定部424は送信許可テーブル425の情報が更新されると、更新されたコネクションに関するエントリの読出しを行い、アプリケーションモニタ手段送出許可量とパケット送信手段送出許可量とのうちの小さい方の値、すなわちアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に送出可能な量を判定する。
【0054】
これら両方に送出可能な量が0でなく、バッファ蓄積量の値も0でない場合、これら両方に送出可能な量とバッファ蓄積量とのうちの小さい方の値をパケットバッファ426から読出してアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に出力する。
【0055】
その後、送信判定部424は送出したパケットの分だけ、バッファ蓄積量、アプリモニタ手段送出許可量、パケット送信手段送出許可量の減算を行い、送信許可テーブル425を更新する。尚、上記の送信許可テーブル425では、バッファ蓄積量、アプリモニタ手段送信許可量、パケット送信手段送出許可量として、送出量・送出許可量という値を利用しているが、例えば、受信データのバイトシーケンス番号等の相対的な値を利用しても、同様の制御が可能である。
【0056】
図6は図1のパケット送出判定手段42の第3の構成例を示すブロック図であり、図7は図6に示す送信許可テーブルの一例を示す図であり、図8は図7に示す送信許可テーブルの各構成要素を示す図である。図6において、パケット送信判定手段42cはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル427と、送信判定部428と、パケットバッファ426とから構成されている。
【0057】
この第3の構成例では、送信判定部428がアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに対してバラバラにパケットの送出を行う。送信許可テーブル427はバッファの蓄積量や送出可能量という値ではなく、データのバイトシーケンス番号を利用してデータの送出を管理する。
【0058】
送信許可テーブル427はコネクション(Connection ID)毎にバッファ蓄積SEQ(sequence)と、アプリモニタ手段送出完了SEQと、パケット送信手段送出完了SEQと、アプリモニタ手段送出許可SEQと、パケット送信手段送出許可SEQと、バッファ蓄積量とから構成されている(図7及び図8参照)。尚、バッファ蓄積量のフィールドは他のフィールドより算出可能であるため、必須ではないが、第3の構成例の説明を分かりやすくなるために、本テーブルエントリの1フィールドに含めている。
【0059】
アプリモニタ手段送出許可SEQ/パケット送信手段送出許可SEQは、アプリケーションモニタ手段44/パケット送信手段43が、送信を許可している最大のシーケンス番号を意味する。アプリモニタ手段送出許可SEQは、アプリケーションモニタ手段44からアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421を介して更新される。パケット送信手段送出許可SEQは、パケット送信手段44からパケット送信手段送出許可条件受信部422を介して更新される。
【0060】
アプリモニタ手段送出完了SEQ/パケット送信手段送出完了SEQは、実際に、アプリケーションモニタ手段44/パケット送信手段43に送出されたシーケンス番号の末尾を意味する。バッファ蓄積SEQは、パケットバッファ426に格納されているデータのシーケンス番号の末尾である。
【0061】
送信判定部428は送信許可テーブル427が更新されると、該当するコネクションエントリの読出しを行う。アプリモニタ手段送出許可SEQの値とバッファ蓄積SEQの値との両方がアプリモニタ手段送出完了SEQより大きい場合には、アプリモニタ手段送出許可SEQとバッファ蓄積SEQとのうちの小さい方の値のところまで、アプリケーションモニタ手段44に対してパケットの送出を行う。アプリケーションモニタ手段44に対してパケット送出後には、アプリモニタ手段送出完了SEQの値を読出し完了したシーケンス番号の値に更新する。
【0062】
同様に、パケット送出手段送出許可SEQの値とバッファ蓄積SEQの値との両方がパケット送出手段送出完了SEQより大きい場合には、パケット送出手段送出許可SEQとバッファ蓄積SEQとのうちの小さい方の値のところまで、パケット送出手段43に対してパケットの送出を行う。パケット送出手段43に対してパケット送出後には、パケット送出手段送出完了SEQの値を読出し完了したシーケンス番号の値に更新する。
【0063】
第3の構成例では、パケット判定部428がアプリケーションモニタ手段44とパケット送出手段43とに対して独立してパケットの送出が可能ではあるが、最終的には、アプリケーションモニタ手段44とパケット送出手段43との両方に同一のデータが送出されることを保証できることがポイントである。
【実施例1】
【0064】
図9は本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図9において、本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aはIP(Internet Protocol)受信処理部51と、パケット送信判定手段52と、IP送信処理部53と、アプリケーションモニタ手段54とから構成され、アプリケーションモニタ手段54はL4(レイヤ4)組立処理部541と、アプリケーションモニタ処理部542とを備えている。
【0065】
IP受信処理部51は上述したパケット受信手段41に該当し、IP送信処理部53は上述したパケット送信手段43に該当する。また、L4組立処理部541とアプリケーションモニタ処理部542とを備えたアプリケーションモニタ手段54は上述したアプリケーションモニタ手段44に該当する。
【0066】
IP受信処理部51は図示せぬネットワークから受信したデータのIP終端処理を行い、パケット送信判定手段52にパケットを出力する。IP送信処理部53はパケット送信判定手段52から受信したパケットをネットワークに送信する。
【0067】
L4組立処理部541はパケット送信判定手段52から受信したパケットに関して、必要に応じてデータの組立てを行い、アプリケーションモニタ処理部542に出力する。レイヤ4がUDP(User Datagram Protocol)の場合には、データの組立てが必要ないため、パケットをそのままアプリケーションモニタ処理部542に出力する。
【0068】
レイヤ4がTCP(Transmission Control Protocol)の場合には、パケットの順番が入れ替わっている可能性があるため、L4組立処理部541において、受信したデータをパケットバッファ(図示せず)に格納し、順番通りにパケットの並び替えを行った後、アプリケーションモニタ処理部542に対して正常な順番に組立てられたデータを出力する。但し、アプリケーションモニタ処理部542の処理が間に合わない場合には、組立ての完了したデータに関してもパケットバッファに蓄積したままとし、アプリケーションモニタ処理部542から送信許可が下りてからパケットの出力を行う。
【0069】
L4組立処理部541において、L4組立処理部541からアプリケーションモニタ処理部542へ出力されるパケットレートよりも、パケット送信判定手段52からL4組立処理部541に入力されるパケットのレートが高い場合には、L4組立処理部541のパケットバッファにパケットが蓄積していく。L4組立処理部541はパケットバッファの蓄積量にしたがってパケットを受信すべきでないと判定した場合、パケット送信判定手段52に対してパケットが蓄積できないことを通知する。
【0070】
アプリケーションモニタ処理部542は、順番通りに並べられたデータをL4組立処理部541から受信し、必要なモニタ処理を実施する。アプリケーションモニタ処理部542はL4組立処理部541から入力されるパケットの処理が間に合わない場合、L4組立処理部541に対してモニタ処理が間に合わないことを通知する。
【0071】
パケット送信判定手段52は、図2に示すパケット送信判定手段42aのように、IP受信処理部51から入力されたパケットに関して、L4組立処理部51とIP送信処理部53との両方から送出許可されたパケットであれば、L4組立処理部541とIP送信処理部53との両方に対してパケットを出力する。それ以外の場合、パケット送信判定手段52は受信したパケットを廃棄する。
【0072】
本発明の第1の実施例では、アプリケーションモニタ手段54の処理が間に合わない場合、パケット送信判定手段52に入力されるパケットが廃棄されることになる。レイヤ4がTCPの場合、送信端末1は廃棄されたパケットに関して再送が必要となる。結果的に、アプリケーションモニタ手段54に入力されるパケットのレートが削減され、パケットロスのないモニタ処理を実現することが可能となる。
【実施例2】
【0073】
本発明の第2の実施例は、上述した本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aのパケット送信判定手段52の内容を変更した以外は、図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0074】
本発明の第2の実施例によるパケット送信判定手段52は、図4に示すパケット送信判定手段42bのように、受信したパケットを格納するパケットバッファを有するものとする。このパケット送信判定手段52はIP受信処理部51から受信したパケットを送出できない場合、パケットを廃棄する代わりに、パケットバッファにパケットを格納し、パケット送出可能になった時点でパケットを送出するものとする。
【0075】
但し、IP受信処理よりパケットを受信した際にパケットバッファのバッファ使用量にしたがってパケット廃棄を行う。パケットの廃棄方法としては、単純にパケットバッファが一杯になった時点で廃棄する方法や、RED(Random Early Discard)等のAQM(Active Queue Management)[RFC(Request For Comments)2309参照]を利用して確率的にパケットを廃棄する方法がある。
【0076】
本発明の第2の実施例では、パケット送信判定手段52にパケットバッファを有することによって、パケット送信判定手段52で連続してパケットが廃棄される確率を低下させ、一時的なバーストによるパケット廃棄の確率を低下させるという効果がある。
【実施例3】
【0077】
本発明の第3の実施例は、上述した本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aにおいて、パケット送出が可能かどうかの判定をコネクション単位で識別するようにした以外は、図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0078】
具体的に説明すると、アプリケーションモニタ処理部542はコネクション単位でパケットの受信が可能かどうかをL4組立処理部541に通知し、L4組立処理部541及びIP送信処理部53はコネクション単位でパケットの受信が可能かどうかをパケット送信判定処理部52に通知する。
【0079】
パケット送信判定手段52は各コネクションに関してL4組立処理部541とIP送信処理部53との両方からコネクションの送信許可がでているかどうかを判別する機能を有し、IP受信処理部51からパケットを受信した際に、該当するコネクションに対してパケットの送出が可能かどうかを判別した結果、送出可能であれば、L4組立処理部541とIP送信処理部53との両方にパケットを出力し、送出不可と判定した場合にはパケットを廃棄する。
【0080】
本発明の第3の実施例では、コネクション単位でパケットの送出可能かどうかを判定することによって、少数のコネクションのモニタ処理のみ負荷が高い場合に、負荷の高いコネクションのみをパケット廃棄で送信レートを下げさせて、他のコネクションに関してはパケットロスなくモニタ処理を実現することが可能である。
【0081】
ここで、本発明の第3の実施例によるパケット判定手段送信判定手段52は、図2に示すパケット送信判定手段42aのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例4】
【0082】
本発明の第4の実施例は、上述した本発明の第3の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aにおいて、パケット送信判定手段52にコネクション単位のパケットバッファを有するように変更した以外は、上記の本発明の第3の実施例によるアプリケーションモニタ装置5a、つまり図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0083】
本発明の第4の実施例において、パケット送信判定手段52はIP受信処理部51から受信したパケットを送出できない場合、パケットを廃棄する代わりにパケットバッファにパケットを格納し、パケット送出可能になった時点でパケットを送出するものとする。その際、パケットバッファはコネクション単位で管理し、パケット送出可能かどうかの判定もコネクション単位で個別に判定し、送出可能となったパケットを優先して送出可能とする。
【0084】
また、パケット送信判定手段52はIP受信処理51からパケットを受信した際に、パケットバッファのコネクション単位でのバッファ使用量にしたがってパケット廃棄を行う。パケット廃棄の方法としては単純にバッファ使用量が閾値を越えた場合に廃棄するTail Dropの方法と、AQMを利用して確率的にパケットを廃棄する方法とがある。
【0085】
本発明の第4の実施例では、キューの管理をコネクション単位で実施しているが、パケットの廃棄判定を行うキューの単位としてはコネクション単位に限定する必要はない。例えば、DiffServ(RFC2474,RFC2475参照)で定義されるクラス単位、IPアドレス単位、レイヤ4ポート番号で識別されるアプリケーション単位等でグループ化されたパケットのキューに対してパケット廃棄を判定する方法もある。
【0086】
ここで、本発明の第4の実施例によるパケット判定手段送信判定手段52は、図4に示すパケット送信判定手段42bのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例5】
【0087】
図10は本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図10において、本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置5bはIP受信処理部51と、TCP受信処理部55と、パケット送信判定手段52と、TCP送信処理部56と、IP送信処理部53と、アプリケーションモニタ手段57とから構成され、アプリケーションモニタ手段57はアプリケーションモニタ処理部571を備えている。
【0088】
IP受信処理部51及びTCP受信処理部55は上述したパケット受信手段41に該当し、IP送信処理部53及びTCP送信処理部56は上述したパケット送信手段43に該当する。また、アプリケーションモニタ処理部571を備えるアプリケーションモニタ手段57は上述したアプリケーションモニタ手段44に該当する。
【0089】
図示せぬネットワークから入力されたパケットは、IP受信処理部51にてIP終端処理が実施された後、TCP受信処理部55へと入力される。TCP受信処理部55はそのパケットに対してTCP終端処理を行う。TCP送信処理部56はパケット送信判定手段52から入力されるパケットをTCPレイヤ処理にしたがってパケットを生成し、IP送信処理部53にデータを受け渡す。IP送信処理部53はTCP送信処理部56から入力されたパケットをネットワークに送出する。
【0090】
TCP受信処理部55でのTCP終端処理はACK(acknowledgement)パケットの送出処理を含む。TCP受信処理部55はACKパケットの送出が必要な場合、TCP送信処理部56に対して直接ACKパケットの送出を要求する。
【0091】
アプリケーションモニタ手段57はパケット送信判定手段52から入力されたパケットに関してモニタ処理を行う。アプリケーションモニタ手段57はモニタ処理が間に合わない場合、パケット送信判定手段52に対して該当コネクションのパケットを受信できないことを通知する。
【0092】
但し、アプリケーションモニタ手段57からパケット送信判定手段52への通知が必ずコネクション単位でなければならない訳ではない。アプリケーションモニタ処理部571はモニタ処理がコネクション単位で独立していない場合、パケット送信判定手段52に対してどのコネクションのパケットも受信できないことを通知する。
【0093】
パケット送信判定手段52はアプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方が許可しているコネクションのパケットをTCP受信処理部55から読出し、アプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方に出力する。
【0094】
TCP受信処理部55では、アプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方に送出可能なデータのみを読出す。アプリケーションモニタ処理部571の処理性能がTCP受信処理部55へのパケット入力レートに追いつかない場合、TCP受信処理部55での該当するコネクションのパケットキューが蓄積されることによって、TCPレイヤでのレート制御が実施され、処理に間に合わないコネクションに関してはレートが自律的に下げられる。
【0095】
本発明の第5の実施例では、アプリケーションモニタ処理部571からのフィードバックがTCP受信処理部55に通知され、TCP受信処理部55のパケットが蓄積された結果、TCPレイヤでのレート制御がかかることから、パケットロスを発生させずに効率的なモニタ処理が実現可能である。
【実施例6】
【0096】
次に、パケット送信判定手段とパケット送信手段及びアプリケーションモニタ手段との間におけるパケット送出許可情報の通知方法について説明する。上述した本発明の第1〜第5の実施例では、アプリケーションモニタ手段とパケット送信手段とからパケット送信判定手段に対してパケット送出が可能であるかどうかを通知し、パケット送信判定手段がアプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方に対してパケット送出が可能である場合にのみ、パケット送信手段とアプリケーションモニタ手段とに対してパケットを送出している。
【0097】
しかしながら、パケット送信判定手段からアプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方に対して同一のパケットが送信されることが保証されるのであれば、通知方法及び送出方法に関してどのような方法を利用してもよい。その一例を本発明の第6の実施例として説明する。尚、以下の説明では、図1に示す本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置4の構成を用いて説明する。
【0098】
パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から受信したパケットをパケットバッファ(図示せず)に蓄積した後、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに対して送出可能なデータ量を通知する。アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とは送出可能なデータを独立にそれぞれ読出し処理を行う。
【0099】
パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方が読出し完了したデータに関して、パケット送出が完了したと判断し、該当するパケットをパケットバッファから削除する。
【0100】
本発明の第6の実施例では、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とが独立にパケットを読出すことによって、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との間での依存関係をなくすことができるという効果がある。
【0101】
また、本発明の第6の実施例では、アプリケーションモニタ手段44及びパケット送信手段43との負荷状況に応じて柔軟にパケット読出し量を調整することが可能となる。
【0102】
ここで、本発明の第6の実施例によるパケット判定手段送信判定手段42は、図6に示すパケット送信判定手段42cのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例7】
【0103】
本発明の第7の実施例は、上述した本発明の第2の実施例、第4の実施例、第5の実施例に対して以下の変更を加えたものである。
【0104】
アプリケーションモニタ手段54,57はコネクション毎にモニタ処理が必要かどうかを判定する機能を有する。アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理が必要と判定されたコネクションに関して、上述した本発明の第2の実施例、第4の実施例、第5の実施例に記載の通りモニタ処理を実施し、モニタ処理が間に合わなければコネクション単位でパケットを受信できないことをパケット送信手段(IP送信処理部53、TCP送信処理部56)に対して通知する。
【0105】
アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理の結果、モニタ処理が不要と判定されたコネクションに関して、パケット送信判定手段52に対して常にパケットが受信可能であることを通知するが、パケット送信判定手段52から受信したパケットに関しては処理を実施することなく廃棄する。
【0106】
本発明の第7の実施例では、モニタ処理が不要となったコネクションに関して受信したパケットをそのまま廃棄する機能を有することによって、不要なモニタリング処理の実行を削減し、全体として高速なモニタリング処理を実施することが可能である。
【実施例8】
【0107】
本発明の第8の実施例は上記の本発明の第7の実施例に対して以下の変更を加えたものである。
【0108】
アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理の結果、モニタ処理が不要と判定されたコネクションに関して、パケット送信判定手段52に対してモニタ処理が不要であることを通知する。
【0109】
パケット送信判定手段52はアプリケーションモニタ手段54,57からモニタ処理が不要と判定されコネクションに関して、以後、アプリケーションモニタ処理部541,571に対してパケットの出力を行わず、パケット送信手段(IP送信処理部53、TCP送信処理部56)に対してパケットを送出可能かどうかのみの判定にしたがって、パケット送信手段に対してのみパケットを送出する。
【0110】
本発明の第8の実施例では、モニタ処理の不要となったコネクションに関して、アプリケーションモニタ手段54,57に対してパケットを送出する必要がなくなり、アプリケーションモニタ手段54,57がモニタの必要なコネクションのみを処理すればよいため、高速なモニタリング処理を実施することが可能となる。
【実施例9】
【0111】
図11は本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。上述した本発明の第1〜第8の実施例では、アプリケーションモニタ手段54,57がそれぞれ一つのみであるが、本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置6ではパケット送信判定手段62を複数のアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nに接続している。
【0112】
図11において、本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置6はパケット受信手段61と、パケット送信判定手段62と、パケット送信手段63と、複数のアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nとから構成されている。
【0113】
パケット送信判定手段62はアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nの全てとパケット送信手段63とがパケット送出を許可している時のみ、アプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nの全てとパケット送信手段63とに対してパケットを送出する。
【0114】
アプリケーションモニタ手段が複数存在するメリットとしては、一つのアプリケーションモニタ手段のモニタ処理に必要となる機能を単純化することによる処理の高速化である。モニタ処理を単純化することで、アプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nをハード化して高速化することも可能である。
【0115】
例えば、メールモニタ装置を例に取ると、一つのアプリケーションモニタ手段はメールからユーザ情報を抽出することにのみ特化し、別のアプリケーションモニタ手段はメール内に特別なキーワードが含まれていないかを検索するといった例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のパケット送出判定手段の第1の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1のパケット送出判定手段の第2の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図6】図1のパケット送出判定手段の第3の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図8】図7に示す送信許可テーブルの各構成要素を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】従来の第1の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】従来の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0117】
1−1,1−2,1−N 送信端末
2−1,2−2,2−N 受信端末
3−1,3−2 中継装置
4,5a,5b,6 アプリケーションモニタ装置
41,61 パケット受信手段
42,42a,42b,
42c,52,62 パケット送信判定手段
43,63 パケット送信手段
44,54,57,
64−1,64−2,
64−N アプリケーションモニタ手段
51 IP受信処理部
53 IP送信処理部
421 アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部
422 パケット送信手段送出許可条件受信部
423,425,427 送信許可テーブル
424,428 送出判定部
426 パケットバッファ
541 L4組立処理部
542,571 アプリケーションモニタ処理部
【技術分野】
【0001】
本発明はアプリケーションモニタ装置に関し、特にリアルタイムでデータロスの発生しないモニタリング処理の必要となるアプリケーションモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インタネットの爆発的な普及とともに送受信端末間で通信されるデータをモニタする機能の重要性が昨今高まってきている。特に、モニタ処理は、レイヤ3(IP:Internet Protocol)、レイヤ4[TCP(Transmission Control Protocol),UDP(User Datagram Protocol)]だけでなく、アプリケーションレイヤの中身を参照するような複雑なモニタリング処理が必要となっている。
【0003】
また、モニタ処理を課金等に利用する場合には、アプリケーションモニタ装置に対して、モニタ対象のデータを紛失することなく、完全なモニタ処理をリアルタイムで実施することが要求される。
【0004】
一般的に、送受信端末間で通信されるアプリケーションデータをモニタリングする場合には、大きく二種類の方法がある。第1の方法は、送受信端末間の通信に影響を与えることなく、通信されたパケットをモニタする方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この第1の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成例を図12に示す。図12において、アプリケーションモニタ装置8はパケット受信手段81と、アプリケーションモニタ手段82とから構成されている。
【0006】
送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から送出されるパケットは、複数の中継装置3(3−1,3−2)を介して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)に入力される。送信端末1と受信端末2との通信途中のどこかのポイントにデータ複製手段7が存在し、複製された全パケットがアプリケーションモニタ装置8に入力される。
【0007】
中継装置3としてはルータ、LAN(Local Area Network)スイッチ、リピータ等が用いられている。尚、図12では、受信端末1と送信端末2とにそれぞれ一台の中継装置3を接続しているが、これはインタネットでの送信端末1,受信端末2、中継装置3の接続の一例を示しただけであり、中継装置3が複数存在する場合や一つも存在しない構成も考えられ、その接続構成は任意である。また、図12では説明を分かりやすくするために、受信端末1と送信端末2とを分けて記載しているが、実際の端末は受信端末1と送信端末2との両方の機能を持つことが一般的である。
【0008】
アプリケーションモニタ装置8に入力された全パケットは、パケット受信手段82においてレイヤ4(トランスポートレイヤ)以下の終端処理を実行してアプリケーションデータに組み上げられてから、アプリケーションモニタ手段81において必要なモニタ処理が実施される。レイヤ4以下の終端処理では、受信端末2でのレイヤ4終端処理の全てを実行する必要はない。
【0009】
例えば、レイヤ4がTCPの場合には、データの順番を保証するためにデータを組み替える処理が必要であるが、受信端末2へのACK(acknowledgement)送出処理のように、送信端末2に対してデータを送出する必要はない。また、レイヤ4がUDPの場合には、特別な処理が必要なく、単純にアプリケーションモニタ手段81にデータを渡すだけでよい。
【0010】
第1の方法では、アプリケーションモニタ手段81での処理速度がパケット受信手段82への入力パケットレートより低い場合、アプリケーションモニタ装置8内部でデータロスが発生し、完全なモニタ処理を実施することができない。
【0011】
第2の方法は、アプリケーションモニタ装置が送信端末と受信端末との間でアプリケーションデータを中継し、中継処理の際にモニタ処理を実施する方法である。アプリケーションデータを中継するためには、モニタ装置がレイヤ4以下を終端する必要がある。
【0012】
この第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成例を図13に示す。図13において、アプリケーションモニタ装置9はパケット受信手段91と、アプリケーションモニタ手段92と、パケット送信手段93とから構成されている。
【0013】
送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から送出されたパケットは、中継装置3−1を介して必ずアプリケーションモニタ装置9を経由し、さらに中継装置3−2を経由して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)へと転送される。アプリケーションモニタ装置9に入力されたパケットは、パケット受信手段91においてレイヤ4以下の終端処理が行われた後、アプリケーションモニタ手段92に入力される。
【0014】
レイヤ4がTCPの場合、パケット受信手段91でのレイヤ4以下の終端処理は、送信端末1に対するACK送出処理を含む。よって、第2の方法のアプリケーションモニタ装置9では、入力トラフィックに対してレート制御を実施することが可能である。具体的には、アプリケーションモニタ手段92の処理がパケット受信手段91へのパケット入力レートよりも低速である場合、アプリケーションモニタ手段92からパケット受信手段91に対してフィードバックをかけることによって、TCPのレート制御にて送信端末1が送信パケットレートを動的に制御する。
【0015】
したがって、第2の方法では、パケットロスが発生しないモニタを実施することができる。尚、第2の方法では、アプリケーションモニタ装置9によって送信端末1と受信端末2との間の通信が二分割されるが、送信端末1及び受信端末2がアプリケーションモニタ装置9の存在を知っているプロキシサーバのような装置と、送信端末1及び受信端末2がアプリケーションモニタ装置9の存在を知らないステルス的な装置との二種類が存在する。
【0016】
アプリケーションモニタ装置9の存在を知っているとは、具体的には、送信端末1がレイヤ4の終端を一旦アプリケーションモニタ装置9で行うことを想定し、パケットをアプリケーションモニタ装置9に対して送出するということである。
【0017】
図14に上記の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の詳細な構成を示す。図14において、ネットワーク(図示せず)から受信したパケットはIP受信処理部101にてIPレイヤ以下の終端処理が実施された後、TCP受信処理部102においてTCP終端処理が行われ、アプリケーションモニタ処理部105に渡される。
【0018】
アプリケーションモニタ処理部105は必要なモニタ処理を行った後、TCP送信処理部103に対してデータの送出要求を行う。TCP送信処理部103では、送信データに関してTCPレイヤの終端処理を行った後、IP送信処理部104にてIPレイヤ以下の終端処理を実施後、ネットワークにパケットが送出される。
【0019】
TCP受信処理部102及びTCP送信処理部103で行われるTCP終端処理としては、パケットの順序保証・ACKパケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の全てのTCP処理を実施する必要がある。また、一般的には、TCP受信処理部102及びTCP送信処理部103とアプリケーションモニタ処理部105とは、ソケットというAPI(Application Programming Interface)で接続され、それぞれで必ず送受信データのコピーが必要とされる点も重い処理として知られている。
【0020】
第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置10の例としては、アプリケーションレイヤを参照するファイヤウオール装置(アプリケーションゲートウエイ)、プロキシサーバ等がある。
【0021】
【特許文献1】特開平11−243389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上述した従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ装置から送信端末に対してフィードバックをかけることができないため、第1の方法を利用するアプリケーションモニタ装置において、アプリケーションモニタ手段の処理性能が、送受信端末間の通信の処理性能よりも低い場合、モニタ処理が送信端末と受信端末との間の通信レートに追いつかず、パケットロスが発生してしまうため、完全なモニタ処理を行うことができないという問題がある。
【0023】
また、従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段がアプリケーションレイヤにてデータのモニタ処理を行い、かつパケット送信手段から受信したデータをパケット送信手段へと中継する必要があるので、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置においてモニタ処理を実施するための処理負荷が非常に重いという問題がある。
【0024】
この場合、従来のアプリケーションモニタ装置では、特にTCP受信処理部とTCP送信処理部とにおいて、パケットの順序保証・ACKパケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の全てのTCP終端処理を実施する必要があり、高負荷である。
【0025】
また、従来のアプリケーションモニタ装置では、TCP受信処理部及びTCP送信処理部とアプリケーションモニタ処理部との間を接続するためのソケットAPIにおいて、TCP受信処理部からアプリケーションモニタ処理部、そしてアプリケーションモニタ処理部からTCP送信処理部へとそれぞれ必ず送受信データのコピーが必要となる点も処理を重くする要因である。
【0026】
さらに、従来のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段がモニタ処理を不要と判断した後でも、必ず該当するコネクションの中継処理が実施し続ける必要があるので、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置においてモニタ処理を実施するための処理負荷が非常に重いという問題がある。
【0027】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、アプリケーションレイヤにおいてアプリケーションデータを中継処理することなく、送信端末に対してフィードバックをかけることができるアプリケーションモニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によるアプリケーションモニタ装置は、ネットワークからパケットを受信するパケット受信手段と、前記ネットワークにパケットを送信するパケット送信手段と、前記パケット受信手段で受信されたパケットに対してモニタ処理を行うアプリケーションモニタ手段とからなるアプリケーションモニタ装置であって、
前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送信する手段と、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々からの情報に基づいて前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送出するか否かを判定する判定手段とを含むパケット送信判定手段を備えている。
【0029】
本発明のアプリケーションモニタ装置では、パケット送信判定手段が、アプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方がパケット受信可能な時のみ、アプリケーションモニタ装置とパケット送信手段との両方にパケットの転送を行うため、パケット送信手段から受信端末に到達するパケットの全てがアプリケーションモニタ手段に到達することが保証される。
【0030】
アプリケーションモニタ手段の処理が低速な場合には、パケット送信判定手段からアプリケーションモニタ手段とパケット送信判定手段とに対してパケットが送出されないように直接的なフィードバックをかけるので、パケットロスが発生しないことも保証される。
【0031】
また、アプリケーションモニタ手段はパケット受信手段からパケット送信手段へデータの中継を実施する必要がないため、モニタ処理のみを実施することができ、高速なモニタリング処理が実現可能となる。特に、後述するアプリケーションモニタ手段では、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤで必要となる処理が、TCPコネクションのパケットの順序保証を行うためのパケットの組立処理のみである。ACK(acknowledgement)パケットの送出処理・送信側及び受信側でのレート制御・パケットの再送制御等の他のTCP終端処理はいっさい必要ないため、高速である。
【0032】
また、第2の方法を利用するアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ処理部からTCP送信処理部に対してデータを送信する際のソケットAPI(Application Programming Interface)を介した送信データのコピー処理が重いことが指摘されている。しかしながら、本発明のアプリケーションモニタ装置では、アプリケーションモニタ手段からデータを送出する必要がないため、そのバッファコピー処理による負荷が削減可能となる。
【0033】
さらに、モニタ処理が不要となった場合には、アプリケーションモニタ手段で、該当するコネクションのパケットを処理する必要がなく、モニタ処理の必要なコネクションのみを処理すれば良いため、非常に高速なモニタリング処理が実現可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以下に述べるような構成及び動作とすることで、アプリケーションレイヤにおいてアプリケーションデータを中継処理することなく、送信端末に対してフィードバックをかけることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置4はパケット受信手段41と、パケット送信判定手段42と、パケット送信手段43と、アプリケーションモニタ手段44とから構成されている。
【0036】
パケット受信手段41ではネットワークから受信したパケット[図1では、送信端末1(1−1,1−2,・・・,1−N)から中継装置3−1を介して受信したパケット]に関して、必要なレイヤの終端処理を行った後、パケット送信判定手段42にパケットを出力する。
【0037】
パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から入力されたパケットに関して、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方から入力される情報にしたがって、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に対してパケット送出が可能と判定される場合のみ、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に対してパケットを送出する。
【0038】
また、パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から入力されたパケットをアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに送出できない場合、送信端末1に対してフィードバックをかけることによって、パケットの送出レートを低下させる。
【0039】
送信端末1へのフィードバックのかけ方に関しては後述するが、パケットを単純に廃棄することによって送信端末1に対してパケット送出レートが高すぎることを通知する方法や、TCP(Transmission Control Protocol)レイヤのレート制御を利用する方法等がある。
【0040】
パケット送信手段43はヘッダ作成等のパケット送信のために必要なレイヤの終端処理を行った後、ネットワークへのパケットの送出[図1では、パケット送信手段43から中継装置3−2を介して受信端末2(2−1,2−2,・・・,2−N)へのパケットの送出]を行う。アプリケーションモニタ手段44はパケット送信判定手段41から入力されたパケットに関して、必要なモニタ処理を実施する。
【0041】
以下、図1を参照して本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の動作について説明する。
【0042】
ネットワークからアプリケーションモニタ装置4に入力されたパケットは、アプリケーションモニタ装置4内部において、パケット受信手段41を経由してパケット送信判定手段42に入力される。パケット送信判定手段42はパケット送信手段43とアプリケーションモニタ手段44との両方から送出可能と判定されるパケットのみをアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に送出する。
【0043】
送信端末1からパケット受信手段41に入力されるパケットのレートよりもパケット送信手段43及びアプリケーションモニタ手段44のパケット処理速度が十分早い状況においては、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とは、常にパケットの送出を許可しているため、パケットをほとんど遅延することなく、受信端末2へと送信する。
【0044】
特に、パケット送信手段43がパケット送信判定手段42から入力されるパケットを100%ネットワークにロスなく送出できることが保証できる場合、パケット送信手段43からパケット送信判定手段42に対してパケット送出が可能かどうかの情報を通知する必要はなく、パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44からの情報のみに基づいてパケットを送出するかどうかを判定することができる。
【0045】
アプリケーションモニタ手段44のモニタ処理がパケット受信手段41から入力されるパケットデータよりも低速であり、全てのパケットの処理を実施できない場合、アプリケーションモニタ手段44はパケット送信判定手段42に対してパケットを受信できない旨を通知する。パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44が処理できる速度で、パケット送信手段43とアプリケーションモニタ手段44とに対してパケットを送出するため、アプリケーションモニタ手段44はパケットロスなく、モニタ処理を実現することが可能となる。
【0046】
次に、図1のパケット送信判定手段42における送信判定方法の具体例について説明する。図2は図1のパケット送出判定手段42の第1の構成例を示すブロック図であり、図3は図2に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。図2において、パケット送信判定手段42aはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル423と、送出判定部424とから構成されている。
【0047】
送出許可テーブル423では各コネクション(Connection ID)単位でアプリケーションモニタ手段送出許可情報とパケット送信手段送出許可情報とを管理している(図3参照)。送信判定部424では、送出要求のあったパケットに関して、送出許可テーブル423の該当するコネクションのエントリを参照し、アプリケーションモニタ送出許可情報とパケット送信手段送出許可情報とをチェックする。
【0048】
送信判定部424では、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方にパケットが送出許可となっている時のみ、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方にパケットを送出し、どちらか一つでもパケットの送出が許可されない場合にパケットを廃棄する。
【0049】
アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421はアプリケーションモニタ手段44から、アプリケーションモニタ手段44への送出許可情報を受信した際に、送出許可テーブル423のアプリケーションモニタ手段送出許可情報を更新する。同様に、パケット送信手段送出許可条件受信部422はパケット送信手段43から、パケット送信手段43への送出許可情報を受信した際に、送出許可テーブル423のパケット送信手段送出許可情報を更新する。
【0050】
図4は図1のパケット送出判定手段42の第2の構成例を示すブロック図であり、図5は図4に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。図4において、パケット送信判定手段42bはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル425と、送信判定部424と、パケットバッファ426とから構成されている。
【0051】
パケット受信部41から入力されたデータは、一旦、パケットバッファ426にコネクション単位に蓄積される。送信許可テーブル425はコネクション(Connection ID)単位にバッファ蓄積量、アプリモニタ手段送出許可量、パケット送信手段送出許可量を管理する(図5参照)。パケットバッファ426はパケット受信部41からパケットを受信すると、送信許可テーブル425の該当するコネクションに関してバッファ蓄積量を受信パケット量分だけ増加した値に更新する。
【0052】
アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421はアプリケーションモニタ手段44から、アプリケーションモニタ手段44へ送出可能なバイト数の情報を受信し、送信許可テーブル425のアプリモニタ手段送出許可量を更新する。同様に、パケット送信手段送出許可条件受信部422はパケット送信手段43から、パケット送信手段43へ送出可能なバイト数の情報を受信し、送信許可テーブル425のケット送信手段送出許可量を更新する。
【0053】
送信判定部424は送信許可テーブル425の情報が更新されると、更新されたコネクションに関するエントリの読出しを行い、アプリケーションモニタ手段送出許可量とパケット送信手段送出許可量とのうちの小さい方の値、すなわちアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に送出可能な量を判定する。
【0054】
これら両方に送出可能な量が0でなく、バッファ蓄積量の値も0でない場合、これら両方に送出可能な量とバッファ蓄積量とのうちの小さい方の値をパケットバッファ426から読出してアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方に出力する。
【0055】
その後、送信判定部424は送出したパケットの分だけ、バッファ蓄積量、アプリモニタ手段送出許可量、パケット送信手段送出許可量の減算を行い、送信許可テーブル425を更新する。尚、上記の送信許可テーブル425では、バッファ蓄積量、アプリモニタ手段送信許可量、パケット送信手段送出許可量として、送出量・送出許可量という値を利用しているが、例えば、受信データのバイトシーケンス番号等の相対的な値を利用しても、同様の制御が可能である。
【0056】
図6は図1のパケット送出判定手段42の第3の構成例を示すブロック図であり、図7は図6に示す送信許可テーブルの一例を示す図であり、図8は図7に示す送信許可テーブルの各構成要素を示す図である。図6において、パケット送信判定手段42cはアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421と、パケット送信手段送出許可条件受信部422と、送信許可テーブル427と、送信判定部428と、パケットバッファ426とから構成されている。
【0057】
この第3の構成例では、送信判定部428がアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに対してバラバラにパケットの送出を行う。送信許可テーブル427はバッファの蓄積量や送出可能量という値ではなく、データのバイトシーケンス番号を利用してデータの送出を管理する。
【0058】
送信許可テーブル427はコネクション(Connection ID)毎にバッファ蓄積SEQ(sequence)と、アプリモニタ手段送出完了SEQと、パケット送信手段送出完了SEQと、アプリモニタ手段送出許可SEQと、パケット送信手段送出許可SEQと、バッファ蓄積量とから構成されている(図7及び図8参照)。尚、バッファ蓄積量のフィールドは他のフィールドより算出可能であるため、必須ではないが、第3の構成例の説明を分かりやすくなるために、本テーブルエントリの1フィールドに含めている。
【0059】
アプリモニタ手段送出許可SEQ/パケット送信手段送出許可SEQは、アプリケーションモニタ手段44/パケット送信手段43が、送信を許可している最大のシーケンス番号を意味する。アプリモニタ手段送出許可SEQは、アプリケーションモニタ手段44からアプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部421を介して更新される。パケット送信手段送出許可SEQは、パケット送信手段44からパケット送信手段送出許可条件受信部422を介して更新される。
【0060】
アプリモニタ手段送出完了SEQ/パケット送信手段送出完了SEQは、実際に、アプリケーションモニタ手段44/パケット送信手段43に送出されたシーケンス番号の末尾を意味する。バッファ蓄積SEQは、パケットバッファ426に格納されているデータのシーケンス番号の末尾である。
【0061】
送信判定部428は送信許可テーブル427が更新されると、該当するコネクションエントリの読出しを行う。アプリモニタ手段送出許可SEQの値とバッファ蓄積SEQの値との両方がアプリモニタ手段送出完了SEQより大きい場合には、アプリモニタ手段送出許可SEQとバッファ蓄積SEQとのうちの小さい方の値のところまで、アプリケーションモニタ手段44に対してパケットの送出を行う。アプリケーションモニタ手段44に対してパケット送出後には、アプリモニタ手段送出完了SEQの値を読出し完了したシーケンス番号の値に更新する。
【0062】
同様に、パケット送出手段送出許可SEQの値とバッファ蓄積SEQの値との両方がパケット送出手段送出完了SEQより大きい場合には、パケット送出手段送出許可SEQとバッファ蓄積SEQとのうちの小さい方の値のところまで、パケット送出手段43に対してパケットの送出を行う。パケット送出手段43に対してパケット送出後には、パケット送出手段送出完了SEQの値を読出し完了したシーケンス番号の値に更新する。
【0063】
第3の構成例では、パケット判定部428がアプリケーションモニタ手段44とパケット送出手段43とに対して独立してパケットの送出が可能ではあるが、最終的には、アプリケーションモニタ手段44とパケット送出手段43との両方に同一のデータが送出されることを保証できることがポイントである。
【実施例1】
【0064】
図9は本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図9において、本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aはIP(Internet Protocol)受信処理部51と、パケット送信判定手段52と、IP送信処理部53と、アプリケーションモニタ手段54とから構成され、アプリケーションモニタ手段54はL4(レイヤ4)組立処理部541と、アプリケーションモニタ処理部542とを備えている。
【0065】
IP受信処理部51は上述したパケット受信手段41に該当し、IP送信処理部53は上述したパケット送信手段43に該当する。また、L4組立処理部541とアプリケーションモニタ処理部542とを備えたアプリケーションモニタ手段54は上述したアプリケーションモニタ手段44に該当する。
【0066】
IP受信処理部51は図示せぬネットワークから受信したデータのIP終端処理を行い、パケット送信判定手段52にパケットを出力する。IP送信処理部53はパケット送信判定手段52から受信したパケットをネットワークに送信する。
【0067】
L4組立処理部541はパケット送信判定手段52から受信したパケットに関して、必要に応じてデータの組立てを行い、アプリケーションモニタ処理部542に出力する。レイヤ4がUDP(User Datagram Protocol)の場合には、データの組立てが必要ないため、パケットをそのままアプリケーションモニタ処理部542に出力する。
【0068】
レイヤ4がTCP(Transmission Control Protocol)の場合には、パケットの順番が入れ替わっている可能性があるため、L4組立処理部541において、受信したデータをパケットバッファ(図示せず)に格納し、順番通りにパケットの並び替えを行った後、アプリケーションモニタ処理部542に対して正常な順番に組立てられたデータを出力する。但し、アプリケーションモニタ処理部542の処理が間に合わない場合には、組立ての完了したデータに関してもパケットバッファに蓄積したままとし、アプリケーションモニタ処理部542から送信許可が下りてからパケットの出力を行う。
【0069】
L4組立処理部541において、L4組立処理部541からアプリケーションモニタ処理部542へ出力されるパケットレートよりも、パケット送信判定手段52からL4組立処理部541に入力されるパケットのレートが高い場合には、L4組立処理部541のパケットバッファにパケットが蓄積していく。L4組立処理部541はパケットバッファの蓄積量にしたがってパケットを受信すべきでないと判定した場合、パケット送信判定手段52に対してパケットが蓄積できないことを通知する。
【0070】
アプリケーションモニタ処理部542は、順番通りに並べられたデータをL4組立処理部541から受信し、必要なモニタ処理を実施する。アプリケーションモニタ処理部542はL4組立処理部541から入力されるパケットの処理が間に合わない場合、L4組立処理部541に対してモニタ処理が間に合わないことを通知する。
【0071】
パケット送信判定手段52は、図2に示すパケット送信判定手段42aのように、IP受信処理部51から入力されたパケットに関して、L4組立処理部51とIP送信処理部53との両方から送出許可されたパケットであれば、L4組立処理部541とIP送信処理部53との両方に対してパケットを出力する。それ以外の場合、パケット送信判定手段52は受信したパケットを廃棄する。
【0072】
本発明の第1の実施例では、アプリケーションモニタ手段54の処理が間に合わない場合、パケット送信判定手段52に入力されるパケットが廃棄されることになる。レイヤ4がTCPの場合、送信端末1は廃棄されたパケットに関して再送が必要となる。結果的に、アプリケーションモニタ手段54に入力されるパケットのレートが削減され、パケットロスのないモニタ処理を実現することが可能となる。
【実施例2】
【0073】
本発明の第2の実施例は、上述した本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aのパケット送信判定手段52の内容を変更した以外は、図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0074】
本発明の第2の実施例によるパケット送信判定手段52は、図4に示すパケット送信判定手段42bのように、受信したパケットを格納するパケットバッファを有するものとする。このパケット送信判定手段52はIP受信処理部51から受信したパケットを送出できない場合、パケットを廃棄する代わりに、パケットバッファにパケットを格納し、パケット送出可能になった時点でパケットを送出するものとする。
【0075】
但し、IP受信処理よりパケットを受信した際にパケットバッファのバッファ使用量にしたがってパケット廃棄を行う。パケットの廃棄方法としては、単純にパケットバッファが一杯になった時点で廃棄する方法や、RED(Random Early Discard)等のAQM(Active Queue Management)[RFC(Request For Comments)2309参照]を利用して確率的にパケットを廃棄する方法がある。
【0076】
本発明の第2の実施例では、パケット送信判定手段52にパケットバッファを有することによって、パケット送信判定手段52で連続してパケットが廃棄される確率を低下させ、一時的なバーストによるパケット廃棄の確率を低下させるという効果がある。
【実施例3】
【0077】
本発明の第3の実施例は、上述した本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aにおいて、パケット送出が可能かどうかの判定をコネクション単位で識別するようにした以外は、図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0078】
具体的に説明すると、アプリケーションモニタ処理部542はコネクション単位でパケットの受信が可能かどうかをL4組立処理部541に通知し、L4組立処理部541及びIP送信処理部53はコネクション単位でパケットの受信が可能かどうかをパケット送信判定処理部52に通知する。
【0079】
パケット送信判定手段52は各コネクションに関してL4組立処理部541とIP送信処理部53との両方からコネクションの送信許可がでているかどうかを判別する機能を有し、IP受信処理部51からパケットを受信した際に、該当するコネクションに対してパケットの送出が可能かどうかを判別した結果、送出可能であれば、L4組立処理部541とIP送信処理部53との両方にパケットを出力し、送出不可と判定した場合にはパケットを廃棄する。
【0080】
本発明の第3の実施例では、コネクション単位でパケットの送出可能かどうかを判定することによって、少数のコネクションのモニタ処理のみ負荷が高い場合に、負荷の高いコネクションのみをパケット廃棄で送信レートを下げさせて、他のコネクションに関してはパケットロスなくモニタ処理を実現することが可能である。
【0081】
ここで、本発明の第3の実施例によるパケット判定手段送信判定手段52は、図2に示すパケット送信判定手段42aのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例4】
【0082】
本発明の第4の実施例は、上述した本発明の第3の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aにおいて、パケット送信判定手段52にコネクション単位のパケットバッファを有するように変更した以外は、上記の本発明の第3の実施例によるアプリケーションモニタ装置5a、つまり図9に示す本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置5aと同様の構成となっている。
【0083】
本発明の第4の実施例において、パケット送信判定手段52はIP受信処理部51から受信したパケットを送出できない場合、パケットを廃棄する代わりにパケットバッファにパケットを格納し、パケット送出可能になった時点でパケットを送出するものとする。その際、パケットバッファはコネクション単位で管理し、パケット送出可能かどうかの判定もコネクション単位で個別に判定し、送出可能となったパケットを優先して送出可能とする。
【0084】
また、パケット送信判定手段52はIP受信処理51からパケットを受信した際に、パケットバッファのコネクション単位でのバッファ使用量にしたがってパケット廃棄を行う。パケット廃棄の方法としては単純にバッファ使用量が閾値を越えた場合に廃棄するTail Dropの方法と、AQMを利用して確率的にパケットを廃棄する方法とがある。
【0085】
本発明の第4の実施例では、キューの管理をコネクション単位で実施しているが、パケットの廃棄判定を行うキューの単位としてはコネクション単位に限定する必要はない。例えば、DiffServ(RFC2474,RFC2475参照)で定義されるクラス単位、IPアドレス単位、レイヤ4ポート番号で識別されるアプリケーション単位等でグループ化されたパケットのキューに対してパケット廃棄を判定する方法もある。
【0086】
ここで、本発明の第4の実施例によるパケット判定手段送信判定手段52は、図4に示すパケット送信判定手段42bのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例5】
【0087】
図10は本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。図10において、本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置5bはIP受信処理部51と、TCP受信処理部55と、パケット送信判定手段52と、TCP送信処理部56と、IP送信処理部53と、アプリケーションモニタ手段57とから構成され、アプリケーションモニタ手段57はアプリケーションモニタ処理部571を備えている。
【0088】
IP受信処理部51及びTCP受信処理部55は上述したパケット受信手段41に該当し、IP送信処理部53及びTCP送信処理部56は上述したパケット送信手段43に該当する。また、アプリケーションモニタ処理部571を備えるアプリケーションモニタ手段57は上述したアプリケーションモニタ手段44に該当する。
【0089】
図示せぬネットワークから入力されたパケットは、IP受信処理部51にてIP終端処理が実施された後、TCP受信処理部55へと入力される。TCP受信処理部55はそのパケットに対してTCP終端処理を行う。TCP送信処理部56はパケット送信判定手段52から入力されるパケットをTCPレイヤ処理にしたがってパケットを生成し、IP送信処理部53にデータを受け渡す。IP送信処理部53はTCP送信処理部56から入力されたパケットをネットワークに送出する。
【0090】
TCP受信処理部55でのTCP終端処理はACK(acknowledgement)パケットの送出処理を含む。TCP受信処理部55はACKパケットの送出が必要な場合、TCP送信処理部56に対して直接ACKパケットの送出を要求する。
【0091】
アプリケーションモニタ手段57はパケット送信判定手段52から入力されたパケットに関してモニタ処理を行う。アプリケーションモニタ手段57はモニタ処理が間に合わない場合、パケット送信判定手段52に対して該当コネクションのパケットを受信できないことを通知する。
【0092】
但し、アプリケーションモニタ手段57からパケット送信判定手段52への通知が必ずコネクション単位でなければならない訳ではない。アプリケーションモニタ処理部571はモニタ処理がコネクション単位で独立していない場合、パケット送信判定手段52に対してどのコネクションのパケットも受信できないことを通知する。
【0093】
パケット送信判定手段52はアプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方が許可しているコネクションのパケットをTCP受信処理部55から読出し、アプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方に出力する。
【0094】
TCP受信処理部55では、アプリケーションモニタ処理部571とTCP送信処理部56との両方に送出可能なデータのみを読出す。アプリケーションモニタ処理部571の処理性能がTCP受信処理部55へのパケット入力レートに追いつかない場合、TCP受信処理部55での該当するコネクションのパケットキューが蓄積されることによって、TCPレイヤでのレート制御が実施され、処理に間に合わないコネクションに関してはレートが自律的に下げられる。
【0095】
本発明の第5の実施例では、アプリケーションモニタ処理部571からのフィードバックがTCP受信処理部55に通知され、TCP受信処理部55のパケットが蓄積された結果、TCPレイヤでのレート制御がかかることから、パケットロスを発生させずに効率的なモニタ処理が実現可能である。
【実施例6】
【0096】
次に、パケット送信判定手段とパケット送信手段及びアプリケーションモニタ手段との間におけるパケット送出許可情報の通知方法について説明する。上述した本発明の第1〜第5の実施例では、アプリケーションモニタ手段とパケット送信手段とからパケット送信判定手段に対してパケット送出が可能であるかどうかを通知し、パケット送信判定手段がアプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方に対してパケット送出が可能である場合にのみ、パケット送信手段とアプリケーションモニタ手段とに対してパケットを送出している。
【0097】
しかしながら、パケット送信判定手段からアプリケーションモニタ手段とパケット送信手段との両方に対して同一のパケットが送信されることが保証されるのであれば、通知方法及び送出方法に関してどのような方法を利用してもよい。その一例を本発明の第6の実施例として説明する。尚、以下の説明では、図1に示す本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置4の構成を用いて説明する。
【0098】
パケット送信判定手段42はパケット受信手段41から受信したパケットをパケットバッファ(図示せず)に蓄積した後、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とに対して送出可能なデータ量を通知する。アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とは送出可能なデータを独立にそれぞれ読出し処理を行う。
【0099】
パケット送信判定手段42はアプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との両方が読出し完了したデータに関して、パケット送出が完了したと判断し、該当するパケットをパケットバッファから削除する。
【0100】
本発明の第6の実施例では、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43とが独立にパケットを読出すことによって、アプリケーションモニタ手段44とパケット送信手段43との間での依存関係をなくすことができるという効果がある。
【0101】
また、本発明の第6の実施例では、アプリケーションモニタ手段44及びパケット送信手段43との負荷状況に応じて柔軟にパケット読出し量を調整することが可能となる。
【0102】
ここで、本発明の第6の実施例によるパケット判定手段送信判定手段42は、図6に示すパケット送信判定手段42cのような構成及び動作となっているので、その説明については省略する。
【実施例7】
【0103】
本発明の第7の実施例は、上述した本発明の第2の実施例、第4の実施例、第5の実施例に対して以下の変更を加えたものである。
【0104】
アプリケーションモニタ手段54,57はコネクション毎にモニタ処理が必要かどうかを判定する機能を有する。アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理が必要と判定されたコネクションに関して、上述した本発明の第2の実施例、第4の実施例、第5の実施例に記載の通りモニタ処理を実施し、モニタ処理が間に合わなければコネクション単位でパケットを受信できないことをパケット送信手段(IP送信処理部53、TCP送信処理部56)に対して通知する。
【0105】
アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理の結果、モニタ処理が不要と判定されたコネクションに関して、パケット送信判定手段52に対して常にパケットが受信可能であることを通知するが、パケット送信判定手段52から受信したパケットに関しては処理を実施することなく廃棄する。
【0106】
本発明の第7の実施例では、モニタ処理が不要となったコネクションに関して受信したパケットをそのまま廃棄する機能を有することによって、不要なモニタリング処理の実行を削減し、全体として高速なモニタリング処理を実施することが可能である。
【実施例8】
【0107】
本発明の第8の実施例は上記の本発明の第7の実施例に対して以下の変更を加えたものである。
【0108】
アプリケーションモニタ手段54,57はモニタ処理の結果、モニタ処理が不要と判定されたコネクションに関して、パケット送信判定手段52に対してモニタ処理が不要であることを通知する。
【0109】
パケット送信判定手段52はアプリケーションモニタ手段54,57からモニタ処理が不要と判定されコネクションに関して、以後、アプリケーションモニタ処理部541,571に対してパケットの出力を行わず、パケット送信手段(IP送信処理部53、TCP送信処理部56)に対してパケットを送出可能かどうかのみの判定にしたがって、パケット送信手段に対してのみパケットを送出する。
【0110】
本発明の第8の実施例では、モニタ処理の不要となったコネクションに関して、アプリケーションモニタ手段54,57に対してパケットを送出する必要がなくなり、アプリケーションモニタ手段54,57がモニタの必要なコネクションのみを処理すればよいため、高速なモニタリング処理を実施することが可能となる。
【実施例9】
【0111】
図11は本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。上述した本発明の第1〜第8の実施例では、アプリケーションモニタ手段54,57がそれぞれ一つのみであるが、本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置6ではパケット送信判定手段62を複数のアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nに接続している。
【0112】
図11において、本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置6はパケット受信手段61と、パケット送信判定手段62と、パケット送信手段63と、複数のアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nとから構成されている。
【0113】
パケット送信判定手段62はアプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nの全てとパケット送信手段63とがパケット送出を許可している時のみ、アプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nの全てとパケット送信手段63とに対してパケットを送出する。
【0114】
アプリケーションモニタ手段が複数存在するメリットとしては、一つのアプリケーションモニタ手段のモニタ処理に必要となる機能を単純化することによる処理の高速化である。モニタ処理を単純化することで、アプリケーションモニタ手段64−1〜64−Nをハード化して高速化することも可能である。
【0115】
例えば、メールモニタ装置を例に取ると、一つのアプリケーションモニタ手段はメールからユーザ情報を抽出することにのみ特化し、別のアプリケーションモニタ手段はメール内に特別なキーワードが含まれていないかを検索するといった例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のパケット送出判定手段の第1の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1のパケット送出判定手段の第2の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図6】図1のパケット送出判定手段の第3の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す送信許可テーブルの一例を示す図である。
【図8】図7に示す送信許可テーブルの各構成要素を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第5の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第9の実施例によるアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】従来の第1の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図13】従来の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の第2の方法を利用したアプリケーションモニタ装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0117】
1−1,1−2,1−N 送信端末
2−1,2−2,2−N 受信端末
3−1,3−2 中継装置
4,5a,5b,6 アプリケーションモニタ装置
41,61 パケット受信手段
42,42a,42b,
42c,52,62 パケット送信判定手段
43,63 パケット送信手段
44,54,57,
64−1,64−2,
64−N アプリケーションモニタ手段
51 IP受信処理部
53 IP送信処理部
421 アプリケーションモニタ手段送出許可条件受信部
422 パケット送信手段送出許可条件受信部
423,425,427 送信許可テーブル
424,428 送出判定部
426 パケットバッファ
541 L4組立処理部
542,571 アプリケーションモニタ処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークからパケットを受信するパケット受信手段と、前記ネットワークにパケットを送信するパケット送信手段と、前記パケット受信手段で受信されたパケットに対してモニタ処理を行うアプリケーションモニタ手段とからなるアプリケーションモニタ装置であって、
前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送信する手段と、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々からの情報に基づいて前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送出するか否かを判定する判定手段とを含むパケット送信判定手段を有することを特徴とするアプリケーションモニタ装置。
【請求項2】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から入力されかつ前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報によって前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に対する前記パケットの送出が許可されている時にのみ前記パケットを送出し、それ以外の時に前記パケットを廃棄するよう指示することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項3】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方からの前記パケット送出許可情報がコネクション単位で別々に通知される場合、前記コネクション単位で前記パケットを送出するか、前記パケットを廃棄するかを判定することを特徴とする請求項2記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項4】
前記パケット送信判定手段は、前記パケットを蓄積するパケットバッファを含み、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から前記パケットの送出が許可されている時にのみ前記パケットを送出し、それ以外の時に前記パケットバッファに前記パケットを蓄積することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項5】
前記パケット送信判定手段は、前記パケット受信手段から前記パケットが入力された際に前記パケットバッファのパケット蓄積量に基づいて前記パケットの廃棄処理を行うことを特徴とする請求項4記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項6】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から入力されかつ前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報がコネクション単位で別々に通知される場合、前記コネクション単位でパケットを送出するかどうかを判定するとともに、前記パケットバッファを前記コネクション単位で管理することで前記パケットの送出可能なコネクションを出力することを特徴とする請求項4または請求項5記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項7】
前記パケット送信判定手段は、前記パケットバッファのパケット蓄積量を前記コネクション単位で管理し、前記パケット受信手段から前記パケットが入力された際に当該コネクション単位で管理されたパケット蓄積量に基づいて前記パケットの廃棄処理を行うことを特徴とする請求項6記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項8】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段に対して前記パケットを独立に出力自在とし、前記アプリケーションモニタ手段に対して送出したパケットと前記パケット送信手段に送出したパケットとを記憶することで前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に出力したパケットに関して当該パケットの読出しが完了したと判定することを特徴とする請求項1と請求項4〜7とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項9】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段に対して送出可能なパケット量を通知し、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々が独立に前記パケット送信判定手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項8記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項10】
前記アプリケーションモニタ手段は、前記パケット送信判定手段から入力されるコネクション単位でモニタが必要かどうかを判定する手段と、前記パケット送信判定手段に対して当該コネクション単位での前記モニタ処理が必要かどうかの判定情報を出力する手段とを含み、
前記パケット送信判定手段は、前記モニタ処理が不要となったコネクションに関して前記アプリケーションモニタ手段へのデータ出力を抑止し、前記パケット送信手段からの情報のみに基づいて前記パケット送信手段に対して前記パケットを送出することを特徴とする請求項3と請求項6〜9とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項11】
前記アプリケーションモニタ手段は、前記パケット送信判定手段から入力されるコネクション単位で前記モニタ処理が必要かどうかを判定する手段と、前記モニタ処理が不要と判定したコネクションに関して常に前記パケットの受信が可能という情報を前記パケット送信判定手段に出力する手段と、前記パケット送信判定手段から入力されたパケットを廃棄する手段とを含むことを特徴とする請求項3と請求項6〜9とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項12】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ3以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ3以下の終端処理を行い、
前記アプリケーションモニタ手段は、受信したパケットをレイヤ4のプロトコル仕様にしたがって前記パケットの順序を並び替えた後に前記モニタ処理を実施することを特徴する請求項1から請求項11のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項13】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に前記パケットが送出可能な場合に前記パケット受信手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項14】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々に対して独立に前記パケットの送信を可能とし、
前記パケット受信手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から読出されたパケットのみを解放することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項15】
前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々は、前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報をコネクション単位で前記パケット送信判定手段に別々に通知し、
前記パケット送信判定手段は、前記コネクション単位で前記パケット受信手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項13または請求項14記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項16】
前記パケット受信手段は、レイヤ4の終端処理用のコネクション単位のパケットバッファを含み、当該コネクション単位のパケットバッファ量にしたがって前記レイヤ4のレート制御をかけることで前記アプリケーションモニタ手段の処理性能に合わせたレート制御をかけることを特徴とする請求項13から請求項15のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項17】
前記アプリケーションモニタ手段を複数配設し、
前記パケット送信判定手段は、複数のアプリケーションモニタ手段全てと前記パケット送信手段とに対して前記パケットを出力する手段を含み、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段全てと前記パケット送信手段とに対して前記パケットが出力可能と判定される時にのみ前記パケットの送出を行うことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項1】
ネットワークからパケットを受信するパケット受信手段と、前記ネットワークにパケットを送信するパケット送信手段と、前記パケット受信手段で受信されたパケットに対してモニタ処理を行うアプリケーションモニタ手段とからなるアプリケーションモニタ装置であって、
前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送信する手段と、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々からの情報に基づいて前記パケット受信手段から入力されるパケットを前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に送出するか否かを判定する判定手段とを含むパケット送信判定手段を有することを特徴とするアプリケーションモニタ装置。
【請求項2】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から入力されかつ前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報によって前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に対する前記パケットの送出が許可されている時にのみ前記パケットを送出し、それ以外の時に前記パケットを廃棄するよう指示することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項3】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方からの前記パケット送出許可情報がコネクション単位で別々に通知される場合、前記コネクション単位で前記パケットを送出するか、前記パケットを廃棄するかを判定することを特徴とする請求項2記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項4】
前記パケット送信判定手段は、前記パケットを蓄積するパケットバッファを含み、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から前記パケットの送出が許可されている時にのみ前記パケットを送出し、それ以外の時に前記パケットバッファに前記パケットを蓄積することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項5】
前記パケット送信判定手段は、前記パケット受信手段から前記パケットが入力された際に前記パケットバッファのパケット蓄積量に基づいて前記パケットの廃棄処理を行うことを特徴とする請求項4記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項6】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から入力されかつ前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報がコネクション単位で別々に通知される場合、前記コネクション単位でパケットを送出するかどうかを判定するとともに、前記パケットバッファを前記コネクション単位で管理することで前記パケットの送出可能なコネクションを出力することを特徴とする請求項4または請求項5記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項7】
前記パケット送信判定手段は、前記パケットバッファのパケット蓄積量を前記コネクション単位で管理し、前記パケット受信手段から前記パケットが入力された際に当該コネクション単位で管理されたパケット蓄積量に基づいて前記パケットの廃棄処理を行うことを特徴とする請求項6記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項8】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段に対して前記パケットを独立に出力自在とし、前記アプリケーションモニタ手段に対して送出したパケットと前記パケット送信手段に送出したパケットとを記憶することで前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に出力したパケットに関して当該パケットの読出しが完了したと判定することを特徴とする請求項1と請求項4〜7とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項9】
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段に対して送出可能なパケット量を通知し、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々が独立に前記パケット送信判定手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項8記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項10】
前記アプリケーションモニタ手段は、前記パケット送信判定手段から入力されるコネクション単位でモニタが必要かどうかを判定する手段と、前記パケット送信判定手段に対して当該コネクション単位での前記モニタ処理が必要かどうかの判定情報を出力する手段とを含み、
前記パケット送信判定手段は、前記モニタ処理が不要となったコネクションに関して前記アプリケーションモニタ手段へのデータ出力を抑止し、前記パケット送信手段からの情報のみに基づいて前記パケット送信手段に対して前記パケットを送出することを特徴とする請求項3と請求項6〜9とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項11】
前記アプリケーションモニタ手段は、前記パケット送信判定手段から入力されるコネクション単位で前記モニタ処理が必要かどうかを判定する手段と、前記モニタ処理が不要と判定したコネクションに関して常に前記パケットの受信が可能という情報を前記パケット送信判定手段に出力する手段と、前記パケット送信判定手段から入力されたパケットを廃棄する手段とを含むことを特徴とする請求項3と請求項6〜9とのいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項12】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ3以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ3以下の終端処理を行い、
前記アプリケーションモニタ手段は、受信したパケットをレイヤ4のプロトコル仕様にしたがって前記パケットの順序を並び替えた後に前記モニタ処理を実施することを特徴する請求項1から請求項11のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項13】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方に前記パケットが送出可能な場合に前記パケット受信手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項14】
前記パケット受信手段は、前記パケットの受信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信手段は、前記パケットの送信のためのレイヤ4以下の終端処理を行い、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々に対して独立に前記パケットの送信を可能とし、
前記パケット受信手段は、前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段の両方から読出されたパケットのみを解放することを特徴とする請求項1記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項15】
前記アプリケーションモニタ手段及び前記パケット送信手段各々は、前記パケットの送出を許可するか否かを示すパケット送出許可情報をコネクション単位で前記パケット送信判定手段に別々に通知し、
前記パケット送信判定手段は、前記コネクション単位で前記パケット受信手段から前記パケットの読出しを行うことを特徴とする請求項13または請求項14記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項16】
前記パケット受信手段は、レイヤ4の終端処理用のコネクション単位のパケットバッファを含み、当該コネクション単位のパケットバッファ量にしたがって前記レイヤ4のレート制御をかけることで前記アプリケーションモニタ手段の処理性能に合わせたレート制御をかけることを特徴とする請求項13から請求項15のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【請求項17】
前記アプリケーションモニタ手段を複数配設し、
前記パケット送信判定手段は、複数のアプリケーションモニタ手段全てと前記パケット送信手段とに対して前記パケットを出力する手段を含み、
前記パケット送信判定手段は、前記アプリケーションモニタ手段全てと前記パケット送信手段とに対して前記パケットが出力可能と判定される時にのみ前記パケットの送出を行うことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載のアプリケーションモニタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−148727(P2006−148727A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338264(P2004−338264)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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