説明

アミノ表面基を有するシリコーン・ヒドロゲル

1種類以上のアミノ・モノマーからなるモノマー単位を含むシリコーン・ヒドロゲル。1種類以上のアミノ・モノマーの例として、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸オクチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸(N-プロピル-N-メチル)アミノ-エチル、酢酸t-ブチルアミノ-エチルビニル、クロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、イソクロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、クロトン酸N,N-ジメチルアミノ-エチル、イソクロトン酸N,N-ジエチルアミノ-エチルと、これら化合物それぞれの第四級生成物がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン・ヒドロゲル材料と、そのような材料を、シリコーン・モノマーとアミノ・モノマーとを含むシリコーン・ヒドロゲル調製物から製造する方法に関する。本発明はさらに、そのシリコーン・ヒドロゲル材料をコンタクト・レンズとして利用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクト・レンズ材料を開発するときには考慮すべき多くの性質がある。光学的な明るさ、サイズ安定性、酸素透過率、濡れやすさ、生理学的適合性はすべて、何らかの新しい材料の成功を決定付ける上で重要なパラメータである。コンタクト・レンズを製造する際に用いる材料の表面特性の重要さが過小評価されてはならない。材料の表面特性は、材料と涙膜の相互作用と、装着中にその材料が堆積した状態になる傾向を支配する。より重要なのは、材料の表面の性質が、快適さ、装着時間、明確な見え方に対して極めて大きな影響を持つ可能性のあることである。
【0003】
ヒドロゲルは、平衡状態の水を含む水和した架橋ポリマー系である。ヒドロゲルは一般に酸素を透過させるとともに生体適合性であるため、生体医学装置(特にコンタクト・レンズや眼内レンズ)を製造するための好ましい材料である。
【0004】
従来のヒドロゲルは、主に親水性モノマー(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、N-ビニルピロリドンなど)を含むモノマー混合物から調製される。アメリカ合衆国特許第4,495,313号、第4,889,664号、第5,039,459号に、従来のヒドロゲルを形成する方法が開示されている。従来のこれらヒドロゲル材料の酸素透過率はその材料の含水量と関係しており、典型的には40バーラー未満である。酸素透過率のこの比較的低いレベルはコンタクト・レンズを短期間装着するには適しているが、コンタクト・レンズを長期間(例えば外さずに30日間)装着するには不十分である。
【0005】
ヒドロゲル組成物の中にシリコーン・モノマーが存在していると、得られるヒドロゲル材料の酸素透過率が増大することが知られている。シリコーン・ヒドロゲル材料は、一般に従来のヒドロゲルよりも酸素透過率が大きい。シリコーン・ヒドロゲルは、少なくとも1種類のシリコーン・モノマーと、少なくとも1種類の親水性モノマーとを含むヒドロゲル組成物から調製される。シリコーン・モノマーと親水性モノマーのどちらかが架橋剤として機能することができる(架橋剤は、多数の重合可能な官能基を有するモノマーである)。あるいは別の架橋剤を使用することもできる。シリコーン・ヒドロゲル材料は、アメリカ合衆国特許第4,954,587号、第5,010,141号、第5,079,319号、第5,115,056号、第5,260,000号、第5,336,797号、第5,358,995号、第5,387,632号、第5,451,617号、第5,486,579号、WO 96/31792に記載されている。
【0006】
よい視力を実現するには、コンタクト・レンズの前面全体にわたって安定で一様な涙膜をサポートできねばならない。優れた濡れ特性を持たないレンズだと、レンズ前の涙膜がすぐに破れ、その結果として視力が低下する。安定なレンズ前の涙膜は潤滑効果も提供するため、レンズの前面全体でまぶたの運動が快適になる。コンタクト・レンズ材料の表面特性は生体適合性も支配している。濡らすことのできるコンタクト・レンズ材料は、レンズの後面と角膜上皮の間に連続な涙膜ができるようにする傾向がより大きい。そうでないいかなる材料も、生体適合性であると考えることはできない。濡らす力が弱いコンタクト・レンズの表面は、涙膜堆積物を引き付ける傾向がより大きい。まばたきの間に蒸発することが原因で涙膜が乾燥するにつれ、乾燥したスポットが、堆積物(特にタンパク質)の形成されやすい領域を形成する。すると表面の濡れやすさがさらに低下する。コンタクト・レンズ材料の臨床的性能は、レンズの前後に安定した涙膜を形成する能力によって決まり、その能力は材料の濡れやすさによって決まる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1種類以上のアミノ・モノマーからなるモノマー単位と、1種類以上のシリコーン・モノマーからなるモノマー単位とを含むシリコーン・ヒドロゲルに関する。アミノ・モノマーは、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれか:
【化1】

である。これらの一般式において、
R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である。
【0008】
本発明は、シリコーン・ヒドロゲル材料から製造されたコンタクト・レンズ、その中でも特に、シリコーン・ヒドロゲル材料から製造された後、濡れやすさを増大させる被覆がなされたコンタクト・レンズにも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
アミノ基を有するモノマー(今後は“アミノ・モノマー”と呼ぶ)にシリコーン・ヒドロゲル組成物を添加しても、少なくとも2つの理由で材料に利点をもたらすことが期待されない。第1に、アミノ・モノマーとの共重合によってシリコーン表面の濡れやすさが増大するとすれば、それは酸性モノマーで実現できる。第2に、第一級アミン基を有するアクリル・モノマーは、そのアミノ基と、別のモノマーのビニル基との間でのマイケル付加反応の結果として比較的不安定であることが知られている。こうした欠点が予想されるにもかかわらず、シリコーン・ヒドロゲル・ポリマーにアミノ基が存在していると、親水性被覆との化学的グラフティングまたはイオン相互作用を通じてシリコーン・ヒドロゲル表面を硬化後処理するためのアンカーとして非常に有用である可能性がある。
【0010】
本発明は、1種類以上のアミノ・モノマーからなるモノマー単位と、1種類以上のシリコーン・モノマーからなるモノマー単位とを含むシリコーン・ヒドロゲルに関する。アミノ・モノマーは、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれか:
【化2】

である。これらの一般式において、
R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である。
【0011】
重合可能な基Eとして、ラジカル重合条件にしたときに重合できる任意の炭素-炭素二重結合が可能である。ラジカル重合可能な基の例として、アクリル酸塩、メタクリル酸塩(これら2つの重合可能な基を示すのに“(メタ)アクリル酸塩”という用語を用いる)、スチリル、ビニル、アリル、N-ビニルラクタムなどがある。
【0012】
アミノ・モノマーは、あらゆるシリコーン・モノマーと共重合することができる。その例をあとで説明する。出願人は、アミノ・モノマーをシリコーン・ヒドロゲル組成物に組み込むことの1つの利点が、シリコーン・ヒドロゲルの表面にアミノ基を供給することであることを示す。したがってシリコーン・ヒドロゲルの表面を親水性被覆を用いて変化させることも本願で説明する。
【0013】
シリコーン・ヒドロゲルの調製に用いるアミノ・モノマーのリストの一例として、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸オクチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸(N-プロピル-N-メチル)アミノ-エチル、酢酸t-ブチルアミノ-エチルビニル、クロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、イソクロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、クロトン酸N,N-ジメチルアミノ-エチル、イソクロトン酸N,N-ジエチルアミノ-エチルや、これら化合物それぞれの第四級生成物があるが、これだけに限られるわけではない。
【0014】
一実施態様では、シリコーン・ヒドロゲルは、1種類以上の親水性モノマーからなるモノマー単位も含んでいる。別の一実施態様では、シリコーン・ヒドロゲルは、1種類以上の高分子量親水性ポリマーを含んでいる。親水性モノマーと高分子量ポリマーについてこの出願でより詳しく説明する。
【0015】
上述のように、シリコーン・ヒドロゲルは、必然的に1種類以上のシリコーン・モノマーを含むことになる。使用可能なシリコーン含有モノマーとして、構造式(A)のものがある。
【化3】

ただし、
RiはHまたはCH3であり、qは1または2であり、q、R1、Rm、Rnそれぞれの選択は、独立に、エチル、メチル、ベンジル、フェニルと、Si-O単位が1〜30回繰り返された1価のシロキサン鎖とからなるグループの中からなされ、pは1〜10の整数であり、r=(3-q)であり、Xは、O、NH、N(C1〜4アルキル)のいずれかであり、aは0または1であり、Lは、2〜5個の炭素原子を含んでいることが好ましい2価の結合基であり、この基は場合によってはエーテル基またはヒドロキシル基(例えばポリ(エチレングリコール)鎖)を含んでいてもよい。
【0016】
使用可能な構造式(A)のシリコーン含有モノマーは、(3-メタクリロイルオキシプロピル)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(3-メタクリロイルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン、(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランである。好ましいシリコーン含有モノマーは、末端にモノメタクリロイルオキシアルキルを有するポリジメチルシロキサン(“mPDMS”)であり、例えば構造式(B):
【化4】

で示したものである。ただし、b=0〜100であり、RkはC1〜10の脂肪族基または芳香族基であり、ヘテロ原子を含んでいてもよいが;Rkは、Siに結合する位置は機能化されていない。Rkは、ブチル基(特にs-ブチル基が最も好ましい)を有するC3〜8アルキル基であることが好ましい。Rjはエチレン型不飽和部分であり、単一の重合可能なビニル基であることが好ましい。より好ましいのは、Rjがメタクリル部分であることだが、アクリル部分またはスチレン部分や、他の同様の部分でもよい。
【0017】
使用可能な他のシリコーン含有モノマーとして、(3-メタクリルオキシプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、アメリカ合衆国特許第4,711,943号に記載されているTRISのアミド類似体、アメリカ合衆国特許第5,070,215号に記載されているカルバミン酸ビニル類似体または炭酸ビニル類似体などがある。
【0018】
他のいくつかのシリコーン含有モノマーの例として、バルクのポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル・モノマーがある。バルクのポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリル・モノマーの一例は、構造式(C):
【化5】

で表わされる。ただし、
XはOまたはNRiを表わし;hは1〜10の整数であり;
それぞれのRiは、独立に水素またはメチルを表わし;それぞれのRpは、独立に低級アルキル基またはフェニル基を表わす。
【0019】
シリコーン含有モノマーの代表的な別のクラスとして、シリコーン含有炭酸ビニル・モノマーまたはシリコーン含有カルバミン酸塩モノマーがあり、その例は、
1,3-ビス[(4-ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト-1-イル]テトラメチルジシロキサン;
1,3-ビス[(4-ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト-1-イル]ポリジメチルシロキサン;
炭酸3-(トリメチルシリル)プロピルビニル;
3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン];
カルバミン酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニル;
カルバミン酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリル;
炭酸3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニル;
炭酸t-ブチルジメチルシロキシエチルビニル;
炭酸トリメチルシリルエチルビニル;
炭酸トリメチルシリルメチルビニルである。
【0020】
シリコーン含有炭酸ビニル・モノマーまたはシリコーン含有カルバミン酸ビニル・モノマーの例は、構造式(D):
【化6】

によって表わされる。ただし、
Yは、O、S、NHのいずれかを表わし;
Rsiは、シリコーンを含有する有機基を表わし;
Riは水素またはメチルを表わし;
dは、1、2、3、4のいずれかであり;qは0または1である。
【0021】
シリコーンを含有する適切な有機基RSiとして、-(CH2)nSi[(CH2)mCH3]3、-(CH2)nSi[OSi(CH2)mCH3]3、-(CH2)nSi[OSi(Rr)3]3、-(CH2)n[Si(Rr)2O]eSi(Rr)3、-(CH2)n[Si(Rr)2O]eMなどがある。ただし、Mは
【化7】

(ここにpは1〜6である)で表わされ;
Rrは、アルキル基またはフルオロアルキル基で炭素原子が1〜6個のものを表わし;
eは1〜200の整数であり;nは、1、2、3、4のいずれかであり;mは、0、1、2、3、4、5のいずれかである。
【0022】
構造式(D)に含まれる特別な種の一例は、構造式(E)で表わされる。
【0023】
【化8】

【0024】
シリコーン含有モノマーの別のクラスとして、ポリウレタン-ポリシロキサン・マクロモノマー(プレポリマーと呼ばれることもある)がある。これは、従来のウレタンエラストマーと同様の硬-軟-硬ブロックを持つことができる。シリコーンウレタン・モノマーの例は、一般式(IV)と(V)で表わされる。
E(*D*A*D*G)a*D*A*D*E';
E(*D*G*D*A)a*D*G*D*E'
ただし、
Dは、アルキル・ジラジカル、アルキルシクロアルキル・ジラジカル、シクロアルキル・ジラジカル、アリール・ジラジカル、アルキルアリール・ジラジカルのいずれかで炭素原子が6〜30個のものであり;
Gは、アルキル・ジラジカル、シクロアルキル・ジラジカル、アルキルシクロアルキル・ジラジカル、アリール・ジラジカル、アルキルアリール・ジラジカルのいずれかで炭素原子が1〜40個のものであり、これらは主鎖の中にエーテル結合、チオ結合、アミン結合のいずれかを含んでいてもよく;
*はウレタン結合またはウレイド結合を表わし;
aは少なくとも1であり;
Aは、構造式(F):
【化9】

の2価ポリマー基を表わす。この構造式(F)において、
それぞれのRrは独立に、アルキル基またはフルオロ置換アルキル基で炭素原子が1〜6個のものを表わし、これらの基は炭素原子間にエーテル結合を含んでいてもよく;
mは少なくとも1であり;
pは、この部分の分子量を400〜10,000にする数であり;
Eは、構造式(G):
【化10】

で表わされる重合可能な不飽和有機基である。この構造式(G)において、
Riは水素またはメチルであり;
Rtは、水素、炭素原子が1〜6個のアルキル基、-CO-Y-Ru基(ただしYは、O、S、NHのいずれかである)のいずれかであり;
Rsは、炭素原子が1〜10個の2価アルキレン基であり;
Ruは、炭素原子が1〜12個のアルキル基であり;
XはCOまたはOCOを表わし;
ZはOまたはNHを表わし;
Arは、炭素原子が6〜30個の芳香族基を表わし;
wは0〜6の整数であり;xは0または1であり;yは0または1であり;zは0または1である。
【0025】
シリコーン/エポキシ含有モノマーと組み合わせることのできる別のシリコーン含有モノマーの一例は、構造式(J):
【化11】

で表わされる。ただしBは
【化12】

で表わされ、その中のAは
【化13】

で表わされる。
上記の構造式において、Raは独立にC1〜C6アルキルを表わし;Rbは独立にC1〜C6アルキレンを表わし;Rcは独立に直鎖または分岐鎖のアルキレンを表わし;Rdは独立にC1〜C2アルキレンを表わし;Reは独立にC1〜C6アルキレンを表わし;mとpは、3〜44の整数の中から独立に選択した整数であり;nは13〜80の整数であり、このシリコーン含有モノマーの数平均分子量は2,000〜10,000である。
【0026】
シリコーン含有ウレタン・モノマーのさらに特別な一例は、構造式(H):
【化14】

で表わされる。ただし、
mは少なくとも1であり、3または4であることが好ましく;aは少なくとも1であり、1であることが好ましく;pは、この部分の分子量を400〜10,000にする整数であり、少なくとも30であることが好ましく;R10は、イソシアン酸塩基を除去した後のジイソシアン酸塩のジラジカル(例えばジイソシアン酸イソホロンのジラジカル)であり;それぞれのE"は、
【化15】

で表わされる基である。
【0027】
シリコーン含有ウレタン・モノマーの別の特別な一例は、構造式(P-Q-P)で表わされる。ただし、
Pは
【化16】

であり、Qは
【化17】

であり、
j、k、mは、独立に1〜6の整数であり、2〜4の整数であることが好ましく、lは2〜10の整数であり、mは4〜50の整数であり;R1は、C2〜C10アルキレン、鎖内にC5〜C6シクロアルキルを有するアルキレン、鎖内にフェニルを有するアルキレンの中から選択した脂肪族ジラジカルである。
【0028】
他のシリコーン・モノマーとの重合適合性がより優れていると言われる特別な1つのシリコーン・モノマーと、より一般的な親水性モノマーのうちのいくつか(下記参照)は、ヒドロキシアルキルアミン基を有する直鎖または分岐鎖のシリコーン含有モノマーである。ヒドロキシアルキルアミン基を有するそのシリコーン含有モノマーは、一般式(J)のブロック・モノマーまたはランダム・モノマー:
【化18】

である。ただし、
nは0〜500であり、mは0〜500であり、しかも(n+m)は10〜500であり、より好ましくは20〜250であり;
R2、R4、R5、R6、R7は、独立に、1価のアルキル基またはアリール基であり、これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよいが、置換されていない1価のアルキル基またはアリール基であることが好ましく;
R1、R3、R8は、独立に、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよいが、置換されていない1価のアルキル基またはアリール基であることが好ましい)か、以下の窒素含有構造:
【化19】

を持つが、R1、R3、R8のうちの少なくとも1つは上記の構造に従い、この構造において、
R9は、2価のアルキル基(-(CH2)s-など(ただしsは1〜10であり、3〜6であることが好ましい))であり;
R10とR11は、独立に、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、以下の構造:
【化20】

を持ち、この構造において、
R14は、水素であるか、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、ビニル、アリル、N-ビニルラクタムのいずれかを含む1価の重合可能な基であり、Hまたはメタクリロイルであることが好ましく;
R16は、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、スチリル、ビニル、アリル、N-ビニルラクタムのいずれかを含む1価の重合可能な基であり、アルコールまたはメタクリル酸塩で置換されたアルキルであることが好ましく;
R12、R13、R15は、独立に、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、R12とR15、またはR15とR13が互いに結合して環構造を形成することができるが、モノマー上の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの基は重合可能な基を含んでおり、R12、R13、R15は水素であることが好ましい。
【0029】
水和した後のシリコーン・ヒドロゲルは、一般に、そのシリコーン・ヒドロゲルの全重量の10〜60重量%の水、または25〜50重量%の水を含むことになる。
【0030】
シリコーン・ヒドロゲル材料は、濁りが少なく、濡れやすさと弾性率が優れていることも特徴とする。濁りの測定は、黒い背景の上に載せた透明なセルに入った生理食塩水の中にテストするレンズを入れ、レンズを入れたセルの法線に対して66°の角度で光ファイバー・ランプで下から照明を当て、レンズの画像を上からビデオ・カメラで撮影することによってなされる。バックグラウンドを差し引いた散乱光の画像をレンズの中央部10mmにわたって積分して定量的に分析した後、ジオプトリーが-1.00のCSI Thin Lens(登録商標)(これを濁り値100に設定する)を、濁り値を0に設定したレンズなしの状態と比較する。
【0031】
濡れやすさは、ホウ酸緩衝化生理食塩水を用いて23℃にて動的接触角すなわちDCAを測定することによって測定される。レンズの表面とホウ酸緩衝化生理食塩水の間の濡れ力をウィルヘルミー微量天秤で測定している間、サンプルをその生理食塩水に浸したり引き出したりする。以下の式を用いる。
F=2γρcosθ
ただしFは濡れ力であり、γはプローブ用液体の表面張力であり、ρはメニスカスにおけるサンプルの周囲長であり、θは一定の角度である。一般に、動的濡れ実験から2つの接触角、すなわち前方接触角と後方接触角が得られる。前方接触角は、濡れ実験でサンプルが試験液体に浸されている部分から得られる。
【0032】
シリコーン・ヒドロゲル材料は、弾性率が少なくとも約30psiだが、30psi〜110psiであること、または40psi〜70psiであることが好ましい。弾性率は、初期ゲージ高まで下げた負荷セルを備えていて一定の速度で移動するタイプの引っ張り試験機械のクロスヘッドを用いて測定する。適切な1つの試験機械としてインストロン・モデル1122がある。イヌの骨の形をした長さ0.522インチ、“耳”の幅0.276インチ、“首”の幅0.213インチのサンプルをグリップに取り付け、2インチ/分の一定速度で破断するまで引き伸ばす。サンプルの初期ゲージ長(Lo)とサンプルの破断時の長さ(Lf)を測定する。各組成について12個のサンプルで測定し、平均を求める。引っ張り弾性率は、応力/歪み曲線の最初の直線部から測定される。
【0033】
シリコーン・ヒドロゲル材料は、ポーラログラフィ法によって測定したO2Dk値が40バーラー〜300バーラーである。レンズをセンサーの上に配置した後、上側をメッシュ支持体で覆う。このレンズを21重量%の酸素を含む湿潤な雰囲気に曝露する。直径4mmの金製カソードと銀製環状アノードからなるポーラログラフィ酸素センサーを用いてレンズの中を拡散する酸素を測定する。基準値は、Dk値が約80バーラーのバラフィルコンAレンズ(ボシュ&ロム社)である。
【0034】
上述のように、シリコーン・ヒドロゲルは1種類以上の親水性モノマーからなるモノマー単位を含む傾向がある。親水性モノマーは、シリコーン・ヒドロゲル組成物に添加される。シリコーン・ヒドロゲル組成物には、1種類以上のシリコーン・モノマーと1種類以上のアミノ・モノマーも含まれる。親水性モノマーとして、シリコーン・ヒドロゲルを作るのに従来技術で用いられている公知の任意のモノマーが可能である。好ましい親水性モノマーは、アクリルまたはビニルを含むものが可能である。そのような親水性モノマーは、それ自体を架橋剤として用いることができる。“ビニル型”モノマーまたは“ビニル含有”モノマーという用語は、ビニル基(-CH=CH2)を含むモノマーを意味し、一般に反応性が大きい。このような親水性ビニル含有モノマーは比較的容易に重合することが知られている。本発明のヒドロゲルに組み込むことのできる親水性ビニル含有モノマーとして、N-ビニルラクタム(例えばN-ビニルピロリドン(NVP))、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミドなどのモノマーが挙げられる。NVPは非常に好ましい親水性モノマーの1つである。使用可能な(メタ)アクリル型モノマーの例として、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸グリセロール、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、モノメタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸、アクリル酸などがある。
【0035】
使用できる他の親水性モノマーとして、重合可能な二儒結合を含む官能基で置換された1個以上の末端ヒドロキシル基を有するポリオキシエチレンポリオールがある。例として、ポリエチレングリコール、エトキシル化されたアルキルグルコシド、エトキシル化されたビフェノールAなどがある。これらを1モル当量以上の末端キャップ基(メタクリル酸イソシアナトエチル(“IEM”)、無水メタクリル酸、塩化メタクリロイル、塩化ビニルベンゾイルなど)と反応させ、結合部(カルバミン酸塩基またはエステル基など)を通じて結合した1個以上の重合可能な末端オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを製造する。
【0036】
さらに別の例は、アメリカ合衆国特許第5,070,215号(その内容はこの明細書に組み込まれているものとする)に開示されている親水性の炭酸ビニル・モノマーまたはカルバミン酸ビニル・モノマーと、アメリカ合衆国特許第4,910,277号(その内容はこの明細書に組み込まれているものとする)に開示されている親水性オキサゾロン・モノマーである。適切な他の親水性モノマーは、当業者には明らかであろう。
【0037】
シリコーン・ヒドロゲル材料の調製に用いる親水性モノマーのリストの一例として、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸グリセロール、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、モノメタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸、アクリル酸などがある。より好ましい親水性モノマーは、DMA、HEMA、NVPからなるグループの中から選択される。DMAが最も好ましい。
【0038】
あるいは上記の親水性ポリマーのどれかをシリコーン・モノマーおよびアミノ・モノマーと共重合させるのではなく、シリコーン・モノマーとアミノ・モノマーを高分子量の親水性ポリマーと重合させることができる。この明細書では、“高分子量の親水性ポリマー”という用語は、重量平均分子量が100,000ダルトン以上の物質を意味する。高分子量の親水性ポリマーは本質的にシリコーン・ヒドロゲルに組み込まれ、ヒドロゲルの濡れやすさを増大させる。高分子量の親水性ポリマーの好ましい重量平均分子量は、300,000〜180,000ダルトン、または500,000〜1,500,000ダルトンである。
【0039】
高分子量の親水性ポリマーの適量は、ヒドロゲルの調製に用いるすべてのポリマー成分とモノマー成分の合計を基準にして1重量%〜15重量%、または3重量%〜15重量%である。
【0040】
高分子量の親水性ポリマーの例として、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、機能化ポリアミド、機能化ポリラクトン、機能化ポリイミド、機能化ポリラクタムなどがあり、例えば、DMAを、より少ないモル数のヒドロキシル基含有モノマー(例えばHEMA)と共重合させた後、得られたコポリマーのヒドロキシル基をラジカル重合可能な基(例えばメタクリル酸イソシアナトエチル、塩化メタクリロイル)を含む材料と反応させることによって機能化したDMAが挙げられるが、これだけに限られるわけではない。DMAまたはN-ビニルピロリドンとメタクリル酸グリシジルから製造される親水性プレポリマーも使用できる。メタクリル酸グリシジルの環を開くとジオールが得られ、それを混合系において他の親水性プレポリマーとともに用いると、高分子量の親水性ポリマーや、ヒドロキシル機能化シリコーン含有モノマーや、適合性を与える他のあらゆる基の適合性を大きくすることができる。好ましい高分子量の親水性ポリマーは骨格に環部分を含むものであり、より好ましいのは環式アミドまたは環式イミドである。高分子量の親水性ポリマーとして、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ-N-ビニル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、ポリ-N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ-N,N-ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ-2-エチルオキサゾリン、ヘパリン多糖、多糖、これらの混合物とコポリマー(その中に、ブロック・コポリマー、ランダム・コポリマー、分岐したコポリマー、多重鎖コポリマー、櫛形コポリマー、星形コポリマーが含まれる)などがあり、その中でもポリ-N-ビニルピロリドン(PVP)が特に好ましい。PVPのグラフト・コポリマーなどのコポリマーも使用できよう。
【0041】
シリコーン・ヒドロゲル・ポリマーは、エチレン型不飽和モノマー材料を重合させるのに一般に用いられている従来法によって成形製品(例えばコンタクト・レンズ、眼内レンズ)にすることができる。一例として、プレポリマーを含む液体または半液体の混合物を望む形状の鋳型に装填した後、その混合物を鋳型の中で重合(または硬化)させることができる。コンタクト・レンズの製造でモノマー混合物を硬化させるのにさまざまな方法が知られており、例としてスピンキャスティングや静的キャスティングなどがある。スピンキャスティング法は、モノマー混合物を鋳型に装填し、そのモノマー混合物を光源(例えばUV光)に曝露しながらその鋳型を制御されたやり方で回転させる操作を含んでいる。静的キャスティング法は、2つの鋳型区画(一方の鋳型区画はレンズの前面を形成する形状であり、他方の区画はレンズの後面を形成する形状である)の間にモノマー混合物を装填し、そのモノマー混合物を硬化させる操作を含んでいる。他の公知の方法は、ボタン(またはブランク)の形状の製品を形成した後、そのボタンを旋盤で切断してレンズにする操作を含んでいる。
【0042】
重合は、混合物を熱および/または照射線(例えば紫外光、可視光、高エネルギー照射線)に曝露すると容易になる。重合開始剤を混合物に含めると重合ステップが容易になる。代表的なフリー・ラジカル熱重合開始剤は、有機過酸化物(例えば過酸化アセタール、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、ペルオキシピバル酸t-ブチル、ペルオキシジ炭酸塩など)である。代表的なUV開始剤はこの分野で知られているものであり、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、Darocure 1173、1164、2273、1116、2959、3331(EMインダストリーズ社)、Igracure 651、184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社)などがある。一般に、開始剤は、モノマー混合物において、全混合物の約0.01〜1重量%の濃度で使用される。
【0043】
シリコーン・ポリマーは、コンタクト・レンズの組成物で使用する場合には、水和したときに少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の水を含むヒドロゲルを形成することが好ましい。さらに、このようなヒドロゲルは、弾性のヤング率が20g/mm2〜150g/mm2(より好ましくは30g/mm2〜約110g/mm2)であり、破断強度が少なくとも2g/mmであることが好ましい。
【0044】
上に提示したように、アミノ・モノマーをシリコーン・ヒドロゲル組成物に添加することの1つの利点は、シリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズの表面の反応性アミノ基の濃度がより大きくなることである。表面におけるアミノ基の濃度がより大きくなると、親水性ポリマーまたは親水性コポリマー(今後は親水性被覆と呼ぶ)を付着させることによってシリコーン・ヒドロゲルの表面の親水特性を増大させることが可能になる。親水性ポリマーまたは親水性コポリマー(オリゴマーも含む)は、シリコーン・ヒドロゲルの表面のアミノ基と相補的な基を持つことになろう。例えば親水性ポリマーまたは親水性コポリマーは、環を開くカルボキシル基またはイソシアン酸基を含むことができる。言い換えるならば、シリコーン・ヒドロゲルの表面のアミノ基を用いて親水性被覆を共有結合またはイオン相互作用によって付着させる。親水性コポリマーは、表面の親水特性を選択的に調節するため、親水性モノマー単位からなるモノマー単位も含むことができる。
【0045】
あるいは親水性ポリマーの混合物を用いてシリコーン・ヒドロゲルの表面を被覆することができる。例えば親水性被覆は、表面のアミノ基と相補的な基を有する第1の親水性ポリマーと、第1の親水性ポリマーの二次的な基と相補的な基を有する第2の親水性ポリマーとを含む親水性ポリマー混合物を反応させることによって調製できる。あるいは競合タイプの被覆法において、選択した濃度の各親水性ポリマーからなる混合物を用いて表面を被覆することができる。例えばエポキシ基を有するポリマーと、酸基を有するポリマーとを含む親水性ポリマー混合物は、シリコーン・ヒドロゲルに同時に、または順番に付着させると、比較的丈夫な親水性被覆を提供することができる。
【0046】
親水性被覆ポリマーとして、非プロトン・タイプのもの(アクリルアミド(例えばN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA))、ラクタム(例えばN-ビニルピロリジノン)、ポリ(アルキレンオキシド)(例えばメタクリル酸メトキシポリオキシエチレン)など)、またはプロトン・タイプのもの(メタクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシアルキル(例えばメタクリル酸ヒドロキシエチル)など)が可能である。親水性モノマーには、両性イオン(例えばN,N-ジメチル-N-メタクリルオキシエチル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン(SPE)、N,N-ジメチル-N-メタクリルアミドプロピル-N-(3-スルホプロピル)-アンモニウムベタイン(SPP))も含まれる。
【0047】
シリコーン・ポリマーの親水性表面特性をさらに調節するため、親水性コポリマーには非反応性親水性モノマー単位を含めることができる。親水性コポリマー内のモノマー単位の例として、ビニル・モノマー(例えばアクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸ポリエトキシエチル、アクリル酸ポリエトキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸ポリエトキシエチル、メタクリル酸ポリエトキシプロピル、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリルアミド、ポリエトキシエチルアクリルアミド、ポリエトキシプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリエトキシエチルメタクリルアミド、ポリエトキシプロピルメタクリルアミド);アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、ならびに対応するアクリルアミドとメタクリルアミド;2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン;4-メチル-5-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン;N-メチル-4-ビニルピペリジン;2-メチル-1-ビニルイミダゾール;N,N-ジメチルアリルアミン;ジメチルアミノエチルビニルエーテル;N-ビニルピロリドンなどがある。
【0048】
他の親水性ポリマー被覆も使用できる。そのような親水性ポリマー被覆はアメリカ合衆国特許第6,440,571号に記載されている。
【0049】
疎水性モノマー単位を含む親水性コポリマーは、コポリマーの25モル%までの量を使用できる。疎水性モノマー単位の例として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシプロピル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、アクリル酸n-オクチル、メタクリル酸n-オクチル、ならびに対応するアクリルアミド、メタクリルアミド;フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチル、メチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、1-ヘキセン、塩化ビニル、ビニルメチルケトン、ステアリン酸ビニル、2-ヘキセン、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどがある。
【0050】
反応性親水性ポリマーは、アズラクトン基を有するモノマー単位、エポキシ基を有するモノマー単位、酸無水物基を有するモノマー単位を含むことができる。例えばシリコーン・ヒドロゲルを被覆するための1つのエポキシ基含有親水性ポリマーは、メタクリル酸グリシジル(GMA)である。この場合、エポキシ基は表面のアミノ基と反応してアミノ-アルコール結合となる。また、カルボン酸基または無水物基(例えばメタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸)を有する親水性ポリマーは、表面のアミノ基と反応してアミド結合を形成することができる。同様に、親水性ポリマーのアズラクトン基またはイソシアン酸塩基は、触媒の存在下で表面のアミノ基と同じように反応することができる。
【0051】
親水性のポリマーとコポリマーは、対応するモノマー(ここではモノマーという用語にマクロマーも含まれる)から、公知のようにして、当業者にとって一般的な重合反応によって調製される。重合は、溶媒の存在下または不在下で実施することができる。
【0052】
シリコーン・ヒドロゲルの表面は、そのシリコーン・ヒドロゲルをポリマー含有溶液(溶媒としてアセトニトリルが可能である)に浸すことで親水性被覆ポリマーに曝露することができる。例えばシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズをこの溶液に適切な時間にわたって接触させることができる。
【0053】
特に、出願人は、製造プロセスの観点から、アミノ基を有するシリコーン・ヒドロゲル材料を被覆するにあたり、そのシリコーン・ヒドロゲルを親水性ポリマーまたは親水性コポリマーの存在下で高圧滅菌して被覆することが非常に好都合であることを見いだした。高圧滅菌プロセスは、一般に、コンタクト・レンズの製造において、パッケージング内の材料を殺菌するのに用いられる。
【0054】
例えば一実施態様では、シリコーン・ヒドロゲル材料を鋳型から取り出し、適切な溶媒で抽出し、水和する。そのヒドロゲルを親水性ポリマー/コポリマーを含む水溶液に沈めた後、少なくとも5分間(少なくとも20分間が好ましい)にわたって高圧滅菌条件にする。親水性ポリマー/コポリマーを含む水溶液は、わずかに酸性のpHであることが好ましい。次に、被覆されたシリコーン・ヒドロゲルを水でリンスして付着しなかったポリマー/コポリマーを除去し、ホウ酸緩衝化生理食塩水で包装された状態にする。レンズのパッケージを密封し、レンズを再び高圧滅菌条件にする。
【0055】
本発明の説明として、以下に実施例を示す。これら実施例は本発明のさまざまな好ましい実施態様をさらに説明することだけを目的としており、本発明がこれら実施例に限定されると考えてはならない。
【実施例】
【0056】
I4D6S5Hは、HEMA-IPDI-(PDMS5000-IPDI-DEG-IPDI)4(PDMS5000-IPDI)2-HEMAの構造(ただしIPDIはジイソシアン酸イソホロンであり、PDMS5000は分子量が5000のポリジメチルシロキサンであり、DEGはジエチレングリコールである)を持つプレポリマーである。このプレポリマーは、2005年12月2日に出願されたアメリカ合衆国特許出願第11/292,877号(アメリカ合衆国特許出願公開2006/142525)に記載されている手続きに従って調製される。
【0057】
HEMA-VC:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル-カルバミン酸ビニル
IMVT:1,4-ビス(2-メタリールアミド)アントラキノン
TBAEM:メタクリル酸t-ブチルアミノエチル
NVP:1-ビニル-2-ピロリドン
TRIS:メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
IMVT:1,4-ビス[4-(2-メタクリルオキシエチル)フェニルアミノ]アントラキノン
TBAEM:メタクリル酸t-ブチルアミノエチル
【0058】
接触角の測定
【0059】
ASTプロダクツ社のVCA 2500 XEビデオ接触角システムを用いて接触角を測定した。このシステムでは、ディジタル制御式の100μlの注射器を用いて0.6μlの水滴を形成してサンプルの表面に供給する。PCに基づいていてウインドウズXPで走るイメージング・テクノロジー社のフレーム捕獲ボードを用い、サンプルの表面に付着した水滴のディジタル画像を撮影した。あらゆる接触角の分析で用いる水は、フィッシャー・サイエンティフィック社から入手した表面張力が72(±1)ダイン/cmのHPLCグレードの純度であった。
【0060】
実施例1
I4D5S4H/TRIS/HEMA/NVP/HEMA-VC/Darocur(登録商標)1173/n-ヘキサノール/TBAEM/IMVT(重量比は、53/15/5/33/1/1/10/0.5/10/1/(150ppm))を含むシリコーン・ヒドロゲル組成物を調製し、5ミクロンのフィルタで濾過した。この組成物を用い、ポリプロピレン製鋳型からレンズを成形した(それぞれのレンズに約40μlが必要であった)。この組成物をUV光に1時間にわたって曝露して硬化させた。レンズを鋳型から取り出し、イソプロパノールで一晩にわたって抽出した後、脱イオン水の中で水和させた。
【0061】
実施例2
上記のシリコーン・ヒドロゲル組成物において、TBAEMが5部である点を除いて実施例1と同じ手続きを利用した。
【0062】
比較例1
上記のシリコーン・ヒドロゲル組成物にTBAEMが存在しない点を除いて実施例1と同じ手続きを利用した。
【0063】
コポリマー被覆
【0064】
コポリマーA:(DMA/VDMO)
ジメチルアクリルアミド(DMA)16g;ビニル-4,4-ジメチル-2-オキサゾリン-5-オン(VDMO)4g;Vazo-64開始剤0.031g;トルエン200ml。磁気撹拌器、凝縮器、アルゴン・ブランケット、熱制御装置を備えた500mlの丸底フラスコに、Vaso-64を除く全成分を入れた。これらの成分をアルゴンで30分間にわたって脱気した。Vaso-64を添加した後、得られた溶液を60℃に加熱し、その温度を50時間にわたって維持した。FTIR(フーリエ変換赤外分光)によって反応が完了したのを確認した後、この溶液を2500mlのジエチルエーテルにゆっくりと添加し、ポリマーを沈殿させた。この混合物を10分間にわたって撹拌し、10分間放置し、濾過した。沈殿物を真空下で30〜35℃にて一晩にわたって乾燥させた後に分子量を測定すると、Mn=19448、Mw=43548、Pd=2.25であった。これらの値はすべてポリスチレンを基準としている(Pdは多分散度を意味する)。
【0065】
コポリマーB:(DMA/GMA)
1リットルの反応フラスコに、蒸溜したN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA、48g、0.48モル)と、蒸溜したメタクリル酸グリシジル(GM、12g、0.08モル)と、Vazo-64(AIBN、0.096g、0.0006モル)と、トルエン(600ml)を添加した。この反応容器に磁気撹拌器、凝縮器、熱制御装置、窒素入口を取り付けた。窒素を溶液の中に15分間にわたって吹き込み、溶けた酸素をすべて除去した。次に、この反応フラスコを窒素の受動的ブランケットのもとで20時間にわたって60℃に加熱した。次に、6リットルのエチルエーテルを機械的によく撹拌している中に反応混合物をゆっくりと添加した。親水性コポリマーが沈殿したため、それを真空濾過によって回収した。この固形物を30℃の真空炉の中に一晩にわたって入れてエーテルを除去すると、親水性コポリマーが50.1g得られた(収率83%)。この親水性コポリマーは、使用するまでデシケータの中で保管した。
【0066】
コポリマーC:(DMA/MAA)
500mlの反応フラスコに蒸溜したN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA、16g、0.16モル)と、ジメタクリル酸(MAA、4g、0.05モル)と、Vazo-64(AIBN、0.033g、0.0002モル)と、無水2-プロパノール(300ml)を添加した。この反応容器に磁気撹拌器、凝縮器、熱制御装置、窒素入口を取り付けた。窒素を溶液の中に15分間にわたって吹き込み、溶けた酸素をすべて除去した。次に、この反応フラスコを窒素の受動的ブランケットのもとで72時間にわたって60℃に加熱した。次に、3リットルのエチルエーテルを機械的によく撹拌している中に反応混合物をゆっくりと添加した。親水性コポリマーが沈殿したため、それを真空濾過によって回収した。この固形物を30℃の真空炉の中に一晩にわたって入れてエーテルを除去すると、親水性コポリマーが9.5g得られた(収率48%)。この親水性コポリマーは、使用するまでデシケータの中で保管した。
【0067】
コポリマーD:(GMA/AA)
250mlの三つ首フラスコに撹拌器と凝縮器を取り付けた。このフラスコを油浴に浸した。このフラスコに、100mlの脱イオン水と、6.207g(38.75ミリモル)のメタクリル酸グリセリルと、1.385g(19.22ミリモル)のアクリル酸と、0.090g(0.55ミリモル)のAIBN重合開始剤を添加した。フラスコの内容物を撹拌しながら窒素を20分間にわたって激しく吹き込んだ後、窒素流を少なくした。窒素下でフラスコの内容物を70℃まで加熱してこの温度を維持し、2日間にわたってパージした。コポリマーを脱イオン水の中の3(重量)%溶液として保管した。
【0068】
コポリマーE:(NVP/AA)
250mlの三つ首フラスコに撹拌器と凝縮器を取り付けた。このフラスコを油浴に浸した。このフラスコに、400mlの脱イオン水と、1.889gのNVPと、0.9498gのアクリル酸と、0.0290gのAIBN重合開始剤を添加した。フラスコの内容物を撹拌し、窒素を20分間にわたって激しく吹き込んだ。窒素流を少なくし、窒素下でフラスコを65℃に加熱し、2日間にわたってその温度を維持した。得られたネバネバしたコポリマーに水酸化ナトリウム溶液(合計でNaOHが0.67g(16.75ミリモル))を撹拌しながら添加した。フラスコをロータリー・エバポレータの上に置いて水の大半を除去した。コポリマーを脱イオン水の中の3(重量)%溶液として保管した。
【0069】
実施例3
実施例1、2と比較例1に従って調製したシリコーン・ヒドロゲル製レンズを脱イオン水の中で30分間にわたって高圧滅菌した。3重量%のコポリマーD溶液を収容したバイアルの中にこれらレンズの一部を沈め、異なる条件(下記参照)下で高圧滅菌した。次にレンズを脱イオン水で洗浄し、乾燥させ、接触角を測定した。各レンズの接触角は以下の各高圧滅菌条件で測定した。表1参照。
【0070】
水の中で高圧滅菌プロセスを実施した後、レンズを複数のグループに分け、以下の条件で高圧滅菌した:
条件1、3重量%のコポリマーD(pHが約3〜4、30分間);
条件2、3重量%のコポリマーD(pHが8.5、30分間);
条件3、3重量%のコポリマーD(pHが約3〜4、60分間)の後、BBS(ホウ酸緩衝化生理食塩水)の中で30分間高圧滅菌;
条件4、3重量%のコポリマーD(pHが約3〜4、90分間);
条件5、3重量%のコポリマーD(pHが約3〜4、90分間)の後、BBSの中で30分間高圧滅菌。
【0071】
上記の各高圧滅菌条件の後、レンズを脱イオン水で濡らして残った(付着していない)コポリマーまたは生理食塩水をすべて除去し、そして乾燥させた。処理した各レンズの接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0072】
表1の接触角のデータは、組成物に1部または5部のアミノ・モノマー(TBAEM)を用いて調製したレンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料は、硬化したレンズの表面の濡れやすさがほとんど変わらないかまったく変わらないことを示している。水の中で30分間という高圧滅菌条件にすると、3つのレンズすべてで接触角は約110°である。実施例1と2のレンズ材料をコポリマーDで被覆し、選択した高圧滅菌条件にすると、液滴の接触角からわかるように、対照(被覆された比較例1)と比べて表面の濡れやすさに確かに差が現われた(より大きな親水特性)。高圧滅菌条件は、アミノ基を有するレンズの表面とポリマー被覆の間に複合体の形成または共有結合相互作用を開始させると考えられる。コポリマーがレンズの表面に付着する程度に関しては、コポリマーDの存在下でレンズを高圧滅菌する時間が30分間と90分間で差がほとんど、またはまったく観察されない(実施例1、条件1と4を参照)。シリコーン・ヒドロゲル組成物中のアミノ・モノマーの量に関しても、接触角に検出可能な差は存在しない(実施例1と2のそれぞれについて条件1と4を参照)。
【0073】
表1.被覆されたレンズ材料の接触角(°)
【表1】

【0074】
実施例1のレンズ材料(アミノ・モノマーが1部)と実施例2のレンズ材料(アミノ・モノマーが5部)は、比較例1(アミノ・モノマーなしのレンズ、85°)と比べて接触角が有意に小さい(73°と76°)。レンズ材料をホウ酸緩衝化生理食塩水(pH7.2)の中でさらに高圧滅菌すると、接触角はさらに低下する(71°に対して62°または57°)。したがって接触角のデータは、アミノ・モノマーをシリコーン・ヒドロゲル組成物に添加することにより、親水性ポリマー被覆の表面がより濡れやすくなることを示している。
【0075】
3重量%のコポリマーDを含む塩基性水溶液(pH8.5)を調製した。その3重量%塩基性コポリマー溶液を収容したバイアルの中に実施例1と比較例1のレンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料を入れた。浸したレンズ材料を30分間にわたって高圧滅菌した。比較例1と実施例1両方の接触角が103°であるというのは、塩基性条件下ではレンズ表面のコポリマーDとの間に架橋がほとんど、またはまったく存在しなかったことを示している。同様の結果がコポリマーEでも得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上のアミノ・モノマーからなるモノマー単位と、1種類以上のシリコーン・モノマーからなるモノマー単位とを含んでいて、前記アミノ・モノマーが、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれか:
【化1】

(ただし、
R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である)であるシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項2】
アミノ・モノマーからなる前記モノマー単位の選択が、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸オクチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸(N-プロピル-N-メチル)アミノ-エチル、酢酸t-ブチルアミノ-エチルビニル、クロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、イソクロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、クロトン酸N,N-ジメチルアミノ-エチル、イソクロトン酸N,N-ジエチルアミノ-エチルと、これら化合物それぞれの第四級生成物からなるグループの中からなされる、請求項1に記載のシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項3】
1種類以上の親水性モノマーからなるモノマー単位をさらに含む、請求項1に記載のシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項4】
親水性モノマーからなる前記モノマー単位の選択が、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリセロール、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、M-ビニルピロリドンからなるグループの中からなされる、請求項3に記載のシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項5】
ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ-N-ビニル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、ポリ-N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、ポリ-N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、ポリ-N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ-N,N-ジメチルアクリルアミドからなるグループの中から選択した1種類以上の高分子量親水性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載のシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項6】
親水性表面被覆を有するレンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料を含むシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズであって、前記表面被覆が、前記シリコーン・ヒドロゲルレンズの表面の第四級化アミノ基と、前記親水性表面被覆の親水性ポリマーまたは親水性コポリマーのアニオン基との間の相互作用を通じて前記レンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料に物理的に付着していて、前記第四級化アミノ基が、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれかのアミノ・モノマー:
【化2】

(ただし、
R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である)を、1種類以上のシリコーン・モノマーからなるモノマー単位と重合させることによって得られる、シリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項7】
アミノ・モノマーからなる前記モノマー単位の選択が、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸オクチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸(N-プロピル-N-メチル)アミノ-エチル、酢酸t-ブチルアミノ-エチルビニル、クロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、イソクロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、クロトン酸N,N-ジメチルアミノ-エチル、イソクロトン酸N,N-ジエチルアミノ-エチルと、これら化合物それぞれの第四級生成物からなるグループの中からなされる、請求項6に記載のシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項8】
前記レンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料が、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリセロール、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、M-ビニルピロリドンからなるグループの中から選択した1種類以上の親水性モノマーからなるモノマー単位を含む、請求項6に記載のシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項9】
親水性表面被覆を有するレンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料を含むシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズであって、前記表面被覆が、このシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズの表面のアミノ基と、前記親水性表面被覆の親水性ポリマーまたは親水性コポリマーのエポキシ基またはカルボン酸塩基との間のアミド結合を通じて前記レンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料に共有結合しており、前記アミノ基が、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれかのアミノ・モノマー:
【化3】

(ただし、
R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である)を、1種類以上のシリコーン・モノマーからなるモノマー単位と重合させることによって得られる、シリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項10】
アミノ・モノマーからなる前記モノマー単位の選択が、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-プロピル、(メタ)アクリル酸イソブチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸オクチルアミノ-エチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシルアミノエチル、(メタ)アクリル酸(N-プロピル-N-メチル)アミノ-エチル、酢酸t-ブチルアミノ-エチルビニル、クロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、イソクロトン酸t-ブチルアミノ-エチル、クロトン酸N,N-ジメチルアミノ-エチル、イソクロトン酸N,N-ジエチルアミノ-エチルと、これら化合物それぞれの第四級生成物からなるグループの中からなされる、請求項9に記載のシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項11】
前記レンズ用シリコーン・ヒドロゲル材料が、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリセロール、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、M-ビニルピロリドンからなるグループの中から選択した1種類以上の親水性モノマーからなるモノマー単位を含む、請求項10に記載のシリコーン・ヒドロゲル製コンタクト・レンズ。
【請求項12】
一般式(J)の直線状または分岐したヒドロキシアルキルアミン・シリコーン・モノマー:
【化4】

(ただし、
nは0〜500であり、mは0〜500であり、しかも(n+m)は20〜250であり;
R2、R4、R5、R6、R7は、独立に、1価のアルキル基またはアリール基であり、これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基で置換されていてもよく;
R1、R3、R8は、独立に、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、以下の窒素含有構造:
【化5】

を持ち、この構造において、
R9は、2価のアルキル基(-(CH2)s-など(ただしsは1〜10であり、3〜6であることが好ましい))であり;
R10とR11は、独立に、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、場合によってはアルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、以下の構造:
【化6】

を持ち、この構造において、
R14は、水素であるか、アクリロイル、メタクリロイル、スチリル、ビニル、アリル、N-ビニルラクタムを含む重合可能な1価の基であり;
R16は、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)か、アクリレート、メタクリレート、スチリル、ビニル、アリル、N-ビニルラクタムを含む1価の重合可能な基であり;
R12、R13、R15は、独立に、水素であるか、1価のアルキル基またはアリール基である(これらの基は、アルコール基、エステル基、アミン基、ケトン基、カルボン酸基、エーテル基でさらに置換されていてもよい)、あるいはR12とR15、またはR15とR13が互いに結合して環構造を形成することができるが、モノマー上の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの基は重合可能な基を含んでいる)と;
1種類以上のアミノ・モノマーからなるモノマー単位(ただしアミノ・モノマーは、一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれか:
【化7】

(ただし、R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である)である)とを含むシリコーン・ヒドロゲル。
【請求項13】
一般式(IA)、(IB)、(IIA)、(IIB)のいずれかのアミノ・モノマー:
【化8】

(ただし、R1、R2、R3は、独立に、水素、C1〜C6アルキル、CH2OHの中から選択され;
R4は、ヒドロキシルまたはカルボン酸で置換されていてもよいC1〜C10アルキルであり;
Eは重合可能な基であり;
X-は、第四級窒素に適したアニオンであり;
nは、0、1、2、3のいずれかであり、mは1〜8の整数である)と;
一般式(P-Q-P)のシリコーン・モノマー(ただし、
Pは
【化9】

であり、Qは
【化10】

であり、
j、k、mは、独立に1〜6の整数であり、2〜4の整数であることが好ましく、lは2〜10の整数であり、mは4〜50の整数であり;R1は、C2〜C10アルキレン、鎖内にC5〜C6シクロアルキルを有するアルキレン、鎖内にフェニルを有するアルキレンの中から選択した脂肪族ジラジカルである)とを含むシリコーン・ヒドロゲル。

【公表番号】特表2011−500942(P2011−500942A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531115(P2010−531115)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/078568
【国際公開番号】WO2009/055226
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】