説明

アミノ酸アミド誘導体および除草剤

【課題】低薬量で優れた除草活性を示し、選択性にも優れた除草剤の提供。
【解決手段】一般式(I)


[Xは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、R〜R5は、H、アルキル、アルコキシ、オキシアルキル、H、シクロアルキル、ハロアルキル、シアノアルキル、アミノアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ベンジル、カルボキシルアルケニルから選択される。]で表すアミノ酸アミド誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアミノ酸アミド誘導体およびそれを除草活性成分とする除草剤に関する。
【背景技術】
【0002】
除草剤は、主として農地に生育する雑草を防除し、作物の栽培に適した環境を作るために用いられ、これまでにフェノキシ系、安息香酸またはフェニル酢酸系、ハロゲン化カルボン酸系、カルバメート系、尿素系、酸アミド系、ヘテロ環系、フェノール系、ジフェニルエーテル系、ピリジニウム系など種々の構造の除草剤が提案され、実用に供されているものも多数ある。
【0003】
これまでにアミノ酸アミド誘導体に属する化合物としては、下記に記載の化合物などが知られている。
【0004】
(1)一般式(A)
【化2】

[式(A)中、R1およびRはハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。]で表わされるフェノキシアルカン酸アミド誘導体が記載され、この誘導体は除草活性を有することが記載されている(特許文献1参照)。
【0005】
(2)一般式(B)
【化3】

[式(B)中、R1およびRはハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。]で表わされるフェノキシアルカン酸アミド誘導体が記載され、この誘導体は除草活性を有することが記載されている(特許文献2参照)。
【0006】
(3)一般式(C)
【化4】

[式(C)中、Xはハロゲン、(置換)低級アルキル、低級アシル、シアノ基等;n=0〜3;R、RはH、低級アルキル;R、RはH、低級アルキル、それらが結合している炭素原子と共に5〜7員炭素環を形成等;R5は、H、(置換)低級アルキル、(置換)低級アルケニル基等]で表わされる置換フェノキシカルボン酸アミド誘導体が記載され、この誘導体は殺菌活性を有することが記載されているが除草活性についての記載はない(特許文献3参照)。
【0007】
一般に、除草剤の開発にあたっては、低薬量で高い除草効果を示し、幅広く種々の雑草に対して除草活性を有し、安全性に優れた除草剤の開発が求められる。しかしながら、上記のようなアミノ酸アミド誘導体を除草活性成分として用いた場合には、低薬量では除草効果が不十分であったり、また、除草活性を示しても、作物と雑草の選択的殺草活性に劣るため、作物に対する薬害も大きいなど、除草剤としては必ずしも満足に使用できるものではなかった。
【特許文献1】米国特許第3,953,507号明細書
【特許文献2】米国特許第4,051,184号明細書
【特許文献3】特開平5−194344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、低薬量でも優れた除草活性を示し、作物と雑草との選択的殺草活性にも優れ、しかも水稲および畑作物の幅広い雑草に使用することのできる、新規なアミノ酸アミド誘導体およびそれを含有する除草剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に係る化合物が作物に薬害を与えることなく、水稲および畑作物の雑草に対して低薬量で優れた除草効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本願の第1の発明に係るアミノ酸アミド誘導体は、下記一般式(I)
【化5】

[一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数1〜6のオキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6の置換されていてもよいアミノアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のハロゲン化アルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、置換されていてもよいベンジル基、炭素数2〜7のカルボキシルアルキル基、または炭素数3〜7のカルボキシルアルケニル基を示し、R4およびR5が-COC-、-C-の場合、R4およびR5のそれぞれが結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成してもよく、nは、0〜5の整数を示し、nが2以上のとき、それぞれのXは同一でも相異なっていてもよい。]で表されるアミノ酸アミド誘導体に関するものである。
【0011】
また、本願の第2の発明は、上記一般式(I)で示されるアミノ酸アミド誘導体を除草活性成分として含有する除草剤に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るアミノ酸アミド誘導体は、除草活性成分として用いると、低薬量でも優れた除草活性を示し、作物と雑草との様々な組み合わせにおいて、選択的殺草活性にも優れ、しかも水稲および畑作物の雑草などの幅広い対象に使用することができる。
【0013】
また、本発明の一般式(I)で示されるアミノ酸アミド誘導体を有効成分として含む本発明の除草剤によれば、作物に薬害を与えることなく、水稲および畑作物の雑草に対して低薬量で優れた除草効果を示すため、安全性が高く、品質の良い作物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る新規アミノ酸アミド誘導体、その製造方法およびこれを除草活性成分として含有する除草剤について、具体的に説明する。
【0015】
[本発明のアミノ酸アミド誘導体]
本発明のアミノ酸アミド誘導体は、前記一般式(I)で表される。(以下、アミノ酸アミド誘導体(I)ともいう。)
本発明では、アミノ酸アミド誘導体(I)は、フェノキシ酪酸にアミド結合したアミノ酸が更にアミド結合によって延長している部分に特徴があり、除草活性に大きな役割を有していると考えられる。
前記一般式(I)で示されるアミノ酸アミド誘導体において、X、R、R、R、RおよびRで示される各置換基は、具体的には以下のものを挙げることができるが、ここに示す例に限定されることはない。
【0016】
Xで示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を挙げることができる。これらのうち好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0017】
Xで示される「炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を意味し、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基および2−メチル−2−エチルプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはメチル基が挙げられる。
【0018】
Xで示される「炭素数1〜6ハロゲン化アルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のハロゲン化アルキル基を意味し、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。その例としては、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−クロロプロピル基および3−ヨードプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0019】
で示される「炭素数1〜6のアルキル基」とは、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を意味し、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基および2−メチル−2−エチルプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはエチル基が挙げられる。

【0020】
で示される「炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基」とは、アルキル基中の一部が水酸基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基のヒドロキシル基が、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状で置換されたものを意味し、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基および2−メチル−2−エチルプロピル基が挙げられる。その例としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基などをあげることができる。これらのうち好ましくはメトキシメチル基である。
【0021】
およびRで示される「炭素数1〜6のアルキル基」としては、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を意味し、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基および2−メチル−2−エチルプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはメチル基が挙げられる。
【0022】
およびRで示される「炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を意味する。その例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシ−2-メチルプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基などを挙げることができる。
【0023】
およびR5で示される「炭素数1〜9のアルキル基」とは、炭素数が1〜9の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を意味し、その例としては、先に述べた「炭素数1〜6のアルキル基」で挙げた基を含む、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などを挙げることができる。
【0024】
およびR5で示される「炭素数3〜6のシクロアルキル基」とは、炭素数が3〜6の環状のアルキル基を意味し、その例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくはシクロヘキシル基である。
【0025】
およびR5で示される「炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を意味する。その例としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシ−2-メチルプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、2−ヒドロキシエチル基が挙げられる。
【0026】
およびR5で示される「炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基」とは、アルキル基中の一部が水酸基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基のヒドロキシル基が、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状で置換されたものを意味し、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1−メチル−2−エチルプロピル基、2−メチル−1−エチルプロピル基および2−メチル−2−エチルプロピル基が挙げられる。その例としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基などをあげることができる。これらのうち好ましくはメトキシエチル基である。
【0027】
およびR5で示される「炭素数1〜6のオキシアルキル基」とは、酸素原子が、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基で置換されていることを意味し、その例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、s−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、メチルオキシ基、イソプロピルオキシ基である。
【0028】
およびR5で示される「炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のハロゲン化アルキル基を意味し、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げられる。その例としては、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−クロロプロピル基、2-クロロプロピル基、3-ブロモプロピル基、2-ブロモプロピル基および3−ヨードプロピル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは、2−クロロエチル基が挙げられる。
【0029】
およびR5で示される「炭素数1〜6のシアノアルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の一部がシアノ基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のシアノアルキル基を意味する。その例としては、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基などを挙げることができる。
【0030】
およびR5で示される「炭素数1〜6の置換されていてもよいアミノアルキル基」とは、アルキル基中の水素原子の一部がアミノ基で置換された、炭素数が1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアミノアルキル基を意味する。また、そのアミノ基は、低級アルキル基によって1置換もしくは2置換されていても構わない。その例としては、2−メチルアミノエチル基、2−ジメチルアミノエチル基、3−メチルアミノプロピル基、3−ジメチルアミノエチル基、2−メチルアミノプロピル基、2−ジメチルアミノエチル基などを挙げることができる。これらのうち好ましくは2-ジメチルアミノエチル基が挙げられる。
【0031】
およびR5で示される「炭素数3〜6のアルケニル基」とは、炭素数が3〜6の不飽和結合を有するアルキル基を意味し、その例としては、ビニル基、アリル基、イソブテニル基などを挙げることができる。
【0032】
およびR5で示される「炭素数3〜6のハロゲン化アルケニル基」とは、少なくとも1部分がハロゲンで置換された炭素数が3〜6の不飽和結合を有するアルキル基を意味し、その例としては、クロロアリル基、ブロモアリル基、フルオロアリル基などを挙げることができる。
【0033】
およびR5で示される「炭素数3〜6のアルキニル基」とは、炭素数が3〜6の三重結合を有するアルキル基を意味し、その例としては、プロパルギル基、2−ブチニル基、2−ペンチン基、2−ヘキシン基などを挙げることができる。
【0034】
およびR5で示される「置換されていてもよいベンジル基」とは、ベンジル基のベンゼン環状の水素が無置換および適当な置換基によって1〜5置換された基を意味し、その例としては、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−フルオロベンジル基、3,5−ジクロロベンジル基などを挙げることができる。
【0035】
およびR5で示される「炭素数2〜7のカルボキシルアルキル基」とは、先に述べたアルキル基が、カルボキシル基によって置換されている基を意味し、その例としては、カルボキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、(ビスカルボキシ)メチル基、(ビスメトキシカルボニル)メチル基、(ビスエトキシカルボニル)メチル基などを挙げることができる。
【0036】
およびR5で示される「炭素数3〜7のカルボキシルアルケニル基」とは、先に述べたアルケニル基が、カルボキシル基によって置換されている基を意味し、その例としては、2−カルボキシルビニル基、2−カルボキシルプロペニル基、2−メトキシカルボニルビニル基、2−エトキシカルボニルビニル基、2−メトキシカルボニルプロペニル基、2−エトキシカルボニルプロペニル基などを挙げることができる。
【0037】
本発明に係るアミノ酸アミド誘導体(I)の具体例を表1−1〜表1−6に例示する。ただし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
なお、表1−1〜表1−6中の化合物番号は、以下の表2、実施例、製剤例および試験例でも参照される。
【0038】
【化6】

【0039】
【表1−1】

【0040】
【表1−2】

【0041】
【表1−3】

【0042】
【表1−4】

【0043】
【表1−5】

【0044】
【表1−6】

【0045】
〈注1〉
表1−1〜表1−6中で、例えば、化合物番号1における「Xの位置と個数n」は「3,5−Cl」となっている。これは置換基X:塩素原子(Cl)がベンゼン環上の3,5の位置に2個存在することを意味する。
また、例えば、化合物番号118では、「Xの位置と個数n」は「3,5−(CH−4−Cl」となっている。ここで、「3,5−(CH」は置換基X:CHがベンゼン環上の3,5の位置に2個存在することを意味し、また、「4−Cl」は、ベンゼン環上の4位の位置にX:塩素原子(Cl)が1個存在することを意味している。
よって、化合物番号118では、「3,5−(CH−4−Cl」は、ベンゼン環上の3,5の位置に、CHが合計2個存在し、4の位置にClが1個存在することを意味している。もちろん、他の化合物も同様の意味である。

【0046】
[本発明のアミノ酸アミド誘導体の製造方法]
本発明のアミノ酸アミド誘導体(I)は、例えば、下記の第一工程と、第二工程a)、第二工程b)または第二工程c)のいずれかの工程を組み合わせることにより製造できる。
【0047】
第一工程
【化7】

第二工程
【化8】

【0048】
上記反応式中、X、R、R、R、R、Rおよびnは前記一般式(I)に述べたのと同義であり、Rは低級アルキルを示し、Halはハロゲン原子を示す。
【0049】
上記反応式において、まず、第一工程では、フェノール類(II)と、α−ハロアルカン酸エステル類(III)とを、塩基存在下に反応させることにより、フェノキシアルカン酸誘導体(IV)を製造できる。この反応において使用する塩基としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。この反応は溶媒の存在下で行うのがよく、使用される溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、tert‐ブタノールなどのアルコール類が上げられる。上記反応に際しては、フェノール類(II)1モルに対して、α−ハロアルカン酸エステル類(III)は、1〜3モル、好ましくは1〜1.2モルであり、塩基は2〜4モル、好ましくは2〜2.5モル用いられる。反応は、通常0〜120℃、好ましくは10〜90℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、フェノキシアルカン酸誘導体(IV)は、たとえば該誘導体(IV)を含む反応溶液の溶媒を留去した後、水を加えたのち、塩酸、硫酸などを加えて酸性とし、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチルなどの抽出用溶媒により抽出後、水および飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。
【0050】
次に、得られたフェノキシアルカン酸誘導体(IV)を、ハロゲン化剤を用いてフェノキシアルカン酸ハライド(V)としたのちに、塩基の存在下にアミノ酸エステル類(VI)と反応させることにより、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VII)を製造できる。このハロゲン化反応は溶媒中で行うのがよく、用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、ハロゲン化剤としてはオキサリルクロリド、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リンなどが挙げられる。フェノキシアルカン酸誘導体(IV)1モルに対して、ハロゲン化剤は1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル用いられる。この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。得られたフェノキシアルカン酸ハライド(V)とアミノ酸エステル類(VI)とを反応させる際に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、場合によっては水との混合溶媒として用いることもできる。用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。アミノ酸エステル類(VI)の使用量は、フェノキシアルカン酸ハライド(V)1モルに対して、1〜2モル、好ましくは1〜1.1モルであり、塩基は1〜2モル、好ましくは1〜1.1モル用いられる。この反応は、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VII)は、たとえば該誘導体を含む反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することもできる。
【0051】
つづいて上記反応式のフェノキシアルカン酸アミド誘導体(VII)のフェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)への加水分解は、塩基存在下により容易に進行する。使用される塩基としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。この加水分解反応は、溶媒の存在下で行うのがよく、使用される溶媒としては、たとえば、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類などが挙げられ、場合によっては水との混合溶媒として用いることもできる。また、エステル部分を加水分解する際には、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VII)1モルに対して、水酸化ナトリウムなどの塩基は1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル用いられる。反応は、通常10〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)は、たとえば該誘導体(VIII)を含む反応溶液に水を加えたのち、塩酸、硫酸などを加えて酸性とし、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチルなどの抽出用溶媒により抽出後、水および飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去すること等により得られる。
【0052】
第二工程a)は、第一工程で得られるフェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)を、ハロゲン化剤を用いてフェノキシアルカン酸ハライド(IX)としたのちに、塩基の存在下にアミン類(X)と反応させることにより、アミノ酸アミド誘導体(I)を製造する工程である。このハロゲン化反応は溶媒中で行うのがよく、用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、ハロゲン化剤としてはオキサリルクロリド、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リンなどが挙げられる。フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)1モルに対して、ハロゲン化剤は1〜2モル、好ましくは1〜1.5モル用いられる。この反応は、通常0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。得られたフェノキシアルカン酸ハライド(IX)とアミン類(X)とを反応させる際に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、場合によっては水との混合溶媒として用いることもできる。用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。アミン類(X)の使用量は、フェノキシアルカン酸ハライド(IX)1モルに対して、1〜2モル、好ましくは1〜1.1モルであり、塩基は1〜2モル、好ましくは1〜1.1モル用いられる。この反応は、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、アミノ酸アミド誘導体(I)は、たとえば該誘導体を含む反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することもできる。
【0053】
第二工程b)は、第一工程で得られるフェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)を、塩基の存在下に縮合剤と反応(分子内において脱水縮合と環化反応)させることにより、オキサゾリノン誘導体(XI)へと変換した後、酸触媒存在下でアミン類(X)と反応させることでアミノ酸アミド誘導体(I)を製造する工程である。この環化反応は溶媒中で行うのがよく、用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、縮合剤としては、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物などが挙げられる。用いられる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。縮合剤の使用量は、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)1モルに対して、1〜2モル、好ましくは1〜1.1モルであり、塩基は1〜4モル、好ましくは2〜3モル用いられる。この反応は、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、オキサゾリノン誘導体(XI)は、たとえば該誘導体を含む反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することもできる。得られたオキサゾリノン誘導体(XI)とアミン類(X)とを反応させる際に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。用いられる酸触媒としては、ボラントリフルオリド・ジエチルエーテル錯体、p−トルエンスルホン酸、ピリジニウムp‐トルエンスルホネートなどが挙げられる。アミン類(X)の使用量は、オキサゾリノン誘導体(XI)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1〜2モルであり、酸触媒は0.1〜0.5モル、好ましくは0.2〜0.5モル用いられる。この反応は、通常0〜100℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、アミノ酸アミド誘導体(I)は、たとえば該誘導体を含む反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することもできる。
【0054】
第二工程c)は、第一工程で得られるフェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)を、塩基の存在下に酸塩化物(XII)と反応させることにより、混合酸無水物誘導体(XIII)へと変換した後、アミン類(X)と反応させることでアミノ酸アミド誘導体(I)を製造する工程である。この混合酸無水物を経由したアミド化反応は溶媒中で行うのがよく、用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、用いられる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。酸塩化物(XII)の使用量は、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)1モルに対して、1〜2モル、好ましくは1〜1.1モルであり、塩基は1〜4モル、好ましくは2〜3モル用いられる。この反応は、通常0〜80℃、好ましくは0〜40℃の温度で行われる。混合酸無水物誘導体(XIII)の調整に要する時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。調製完了後、系内にアミン類(X)を加えることで、アミノ酸アミド誘導体(I)を製造できる。加えるアミン類(X)の使用量は、フェノキシアルカン酸アミド誘導体(VIII)1モルに対して、1〜5モル、好ましくは1〜2モル用いられる。この反応は、通常0〜150℃、好ましくは40〜120℃の温度で行われる。反応時間は、反応基質や反応温度により異なるが、通常1時間から6時間で完結する。反応終了後、アミノ酸アミド誘導体(I)は、たとえば該誘導体を含む反応溶液に水と有機溶媒を加えて抽出後、さらに水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要ならば、さらにカラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの操作によって精製することもできる。
【0055】
[本発明の除草剤]
本発明のアミノ酸アミド誘導体(I)は、後述する試験例にも示すとおり、低薬量で優れた除草活性を示し、また、以下に示す雑草と作物との間で優れた選択的殺草活性を示すので、水稲作および畑作の幅広い雑草に使用することのできる新規な除草活性成分として有用である。
【0056】
また、上記アミノ酸アミド誘導体(I)を有効成分(薬効成分)として含む本発明の除草剤によれば、作物に薬害を与えることなく、水稲および畑作物の雑草に対して低薬量で優れた除草効果を示すため、安全性が高く、品質の良い作物が得られる。本発明の除草剤は、たとえば、禾本科雑草または広葉雑草などに有効である。
【0057】
禾本科雑草としては、たとえば、スズメノテッポウ(Alopecurus)、カラスムギ(Avena)、イヌムギ(Bromus)、カヤツリグサ(Cyperus)、メヒシバ(Digitaria)、ヒエ(Echinochloa)、クログワイ(Eleocharis)、オヒシバ(Eleusine)、コナギ(Monochoria)、オオクサキビ(Panicum)、スズメノヒエ(Paspalum)、オオアワガエリ(Phleum)、スズメノカタビラ(Poa)、オモダカ(Sagittaria)、ホタルイ(Scirpus)、エノコログサ(Setaria)、ジョンソングラス(Sorghum)などが挙げられる。
【0058】
広葉雑草としては、たとえば、イチビ(Abutilon)、イヌビユ (Amaranthus)、ブタクサ(Ambrosia)、コセンダングサ(Bidens)、アカザ(Chenopodium)、ヤエムグラ(Galium)、ヒルガオ(Ipomoea)、アゼナ(Lindernia)、イヌタデ(Persicaria)、スベリヒユ(Portulaca)、キカシグサ(Rotala)、ハコベ(Stellaria)、スミレ(Viola)、オナモミ(Xanthium)などが挙げられる。
【0059】
本発明の除草剤を施用できる圃場における禾本科の作物(有用な栽培植物)としては、たとえば、オオムギ(Hordeum)、イネ(Oryza)、サトウキビ(Saccharum)、コムギ(Triticum)、トウモロコシ(Zea)などが挙げられる。本発明の除草剤を施用できる広葉の作物としては、たとえば、ピーナツ(Arachis)、テンサイ(Beta)、アブラナ(Brassica)、ダイズ(Glycine)、ワタ(Gossypium)、トマト(Lycopersicon)などが挙げられる。
【0060】
なお、本発明の除草剤の施用は、上記に例示した雑草および作物に限定されるものではない。
【0061】
[本発明の除草剤の製剤化]
次に本発明に係るアミノ酸アミド誘導体(I)の一般的な製剤化の方法について詳しく説明する。
本発明の除草剤は、種々の剤型で使用でき、製剤化する場合には、その有効成分、すなわち除草活性成分である一般式(I)で示されるアミノ酸アミド誘導体を、担体もしくは希釈剤、必要に応じて、添加剤(例:界面活性剤など)および補助剤などの少なくとも一つと、公知の手法で混合するなどの方法が採用でき、このようにして得られた除草剤は、通常農薬として用いられる製剤形態、たとえば、粒剤、微粒剤、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、水溶剤、フロアブル剤、錠剤、粉剤、マイクロカプセル剤、ペースト剤などの形態として使用できる。
【0062】
また本発明の除草剤は、他の農薬、たとえば、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、薬害軽減剤(セイフナー)、植物生長調節剤、肥料、または土壌改良剤などと、混合して使用してもよく、また併用してもよい。特に、他の農薬と混合使用することにより、使用する除草剤の薬量を軽減させ、省力化を図ることができ、しかも、両薬剤の協力作用により、除草剤の施用対象(除草スペクトラム)が拡大し、さらに、両薬剤の相乗作用による一層強力な効果を得ることも期待できる。この際、同時に複数の公知除草剤や薬害軽減剤(セイフナー)を組み合わせて配合することもできる。
【0063】
製剤化に際して、用いられる担体としては、一般に農薬製剤用に常用される担体ならば、固体または液体のいずれでも使用することができる。このような担体は特定のものに限定されるものではないが、具体的には以下のものが挙げられる。固体担体としては、たとえば、鉱物質粉末(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、珪藻土、雲母、バーミキュライト、石英、炭酸カルシウム、リン灰石、ホワイトカーボン、消石灰、珪砂など)、植物質粉末(大豆粉、小麦粉、木粉、タバコ粉、デンプン、結晶セルロースなど)、高分子化合物(石油樹脂、ポリ塩化ビニル、ケトン樹脂など)、アルミナ、ケイ酸塩、糖重合体、硫安、尿素、高分散性ケイ酸、ワックス類などが挙げられる。
【0064】
液体担体としては、たとえば、水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレンなど)、エーテル類(エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、酢酸アミルなど)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)、脂肪族または脂環式炭化水素類(n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)、工業用ガソリン(石油エーテル、ソルベントナフサなど)、石油留分(パラフィン類、灯油、軽油など)などが挙げられる。
【0065】
また、除草剤を、乳剤、水和剤、フロアブル剤などに製剤化する場合には、乳化、分散、可溶化、湿潤、発泡、潤滑、拡展などの目的で、各種の界面活性剤が配合される。このような界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどの非イオン型界面活性剤、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルアルキルサルフェート、アリールスルホネートなどの陰イオン型界面活性剤、アルキルアミン類(ラウリルアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミン類などの陽イオン型界面活性剤、カルボン酸(ベタイン型)、硫酸エステル塩などの両性型界面活性剤などが挙げられるが、これらの例示に限定されるものでない。
【0066】
また、これらの他に、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビアゴム、ポリビニルアセテート、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、トラガカントゴムなどの各種補助剤、添加剤などを使用することができる。本発明の除草剤には、その剤型によらず、一般式(I)で示されるオキサゾリノン誘導体を、0.001〜95重量%、好ましくは0.01〜75重量%の範囲で含有することが望ましい。より具体的には、一般に、除草剤が粒剤の場合は、上記誘導体(I)は、0.01〜10重量%の量で、また、除草剤が水和剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、液剤または乳剤の場合には、上記誘導体(I)は、1〜75重量%の量で、また、本発明の除草剤が粉剤、ドリフトレス粉剤または微粉剤の場合には、上記誘導体(I)は、0.01〜5重量%の量で含有できる。
【0067】
上記の方法により得られる本発明の除草剤の製剤は、たとえば、粒剤およびフロアブル剤の場合には、そのまま土壌表面、土壌中または水中に、有効成分の換算量として10アール当たり0.3g〜300g程度の範囲の量で散布すればよい。また、水和剤、および乳剤などの場合は、水または適当な溶剤に希釈し得られた希釈薬液を、有効成分の換算量として10アール当たり0.3g〜300g程度の範囲で散布すればよい。
【0068】
以下に、実施例(化合物の合成)、製剤例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
【実施例1】
【0069】
2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−[2−{(2−メトキシエチル)アミノ}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ブタンアミドの製造(第二工程a法)(化合物No.136)
攪拌装置、還流冷却器および−50〜50℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、後記の参考製造例で合成した2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸10.0g(30.5mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し氷冷した。オキサリルクロリド5.04g(39.7mmol)および触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(1ml)を加え、室温(20℃)で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物の溶媒を減圧下に留去した。攪拌装置、還流冷却器および−50〜50℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、氷冷したメトキシエチルアミン5.73g(76.3mmol)のジクロロメタンに溶液50mlに得られた粗生成物をジクロロメタン100mlに溶解し滴下した。その後、室温(20℃)にて1時間攪拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニア水溶液100mlを加え、酢酸エチル200mlで2回抽出した。得られた有機層を1N塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去することにより得られた粗生成物をシリカゲル(ワコーゲルB−10、和光純薬工業株式会社製)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 1:2(容量比)}により精製し、標記の2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−[2−{(2−メトキシエチル)アミノ}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ブタンアミド11.5g(白色粉末、収率98%)を得た。
【実施例2】
【0070】
2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−{1,1−ジメチル−2−オキソ−2−(プロピ−2−イン−1−イルアミノ)エチル}ブタンアミドの製造(第二工程b法)(化合物No.127)
攪拌装置、還流冷却器および−50〜50℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、後記の参考製造例で合成した2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸10.0g(30.5mmol)およびピリジン7.96g(101mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し氷冷した。1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩8.78g(45.8mmol)および触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(500mg)を加え、室温(20℃)で1時間攪拌した。反応終了後、ジクロロメタン層を水100ml、1N塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去することにより得られた粗生成物をシリカゲル(ワコーゲルB−10、和光純薬工業株式会社製)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 8:1(容量比)}により精製し、2−{1−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル}−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5(4H)−オン8.98g(油状物、収率95%)を得た。攪拌装置、還流冷却器および−50〜50℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、氷冷した2−{1−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)プロピル}−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾール−5(4H)−オン8.98g(29.0mmol)のジクロロメタン溶液100mlにプロパルギルアミン3.19g(58.0mmol)を滴下し、触媒量のボラントリフルオリド・ジエチルエーテル錯体(500mg)を加え、0℃で1時間攪拌した。反応終了後、ジクロロメタン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで2回、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下に留去することにより得られた粗生成物をシリカゲル(ワコーゲルB−10、和光純薬工業株式会社製)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 1:1(容量比)}により精製し、2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−{1,1−ジメチル−2−オキソ−2−(プロピ−2−イン−1−イルアミノ)エチル}ブタンアミド9.31g(白色粉末、収率88%)を得た。
【実施例3】
【0071】
2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−[2−{(3−クロロプロピル)アミノ}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ブタンアミドの製造(第二工程c法)(化合物No.131)
攪拌装置、還流冷却器および0〜200℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、後記の参考製造例で合成した2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸10.0g(30.5mmol)とトリエチルアミン9.24g(91.5mmol)をトルエン100mlに溶解し氷冷した。ピバリン酸クロリド4.05g(33.6mmol)を滴下し、室温(20℃)で1時間攪拌した。次に、反応混合物に3−クロロプロピルアミン塩酸塩5.95g(45.8mmol)を加えた後、加熱することで1時間還流させた。反応終了後、室温に冷却し、反応混合物に飽和塩化アンモニア水溶液100mlを加え、酢酸エチル200mlで2回抽出した。得られた有機層を1N塩酸水溶液100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去することにより得られた粗生成物をシリカゲル(ワコーゲルB−10、和光純薬工業株式会社製)を用いたクロマトグラフィー{展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 7:1→3:1(容量比)}により精製し、標記の2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)−N−[2−{(3−クロロプロピル)アミノ}−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]ブタンアミド9.84g(白色粉末、収率80%)を得た。
【0072】
次に、本発明のアミノ酸アミド誘導体(一般式(1)で表される化合物)のH−NMRスペクトルデータを表2−1〜表2−8に示す。
なお、各化合物のH−NMRスペクトルデータは、標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を用い、日本電子データム(株)製JNM−LA300型核磁気共鳴装置により測定した。
【0073】
【表2−1】

【0074】
【表2−2】

【0075】
【表2−3】

【0076】
【表2−4】

【0077】
【表2−5】

【0078】
【表2−6】

【0079】
【表2−7】

【0080】
【表2−8】

【0081】
[参考製造例(第一工程)]
2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸の製造
攪拌装置、還流冷却器および0〜100℃まで測定できる温度計を装備した500mlの四つ口フラスコ中、4−クロロ−3,5‐ジメチルフェノール78.3g(0.50mol)をメタノール150mlに溶解し、2‐ブロモ酪酸メチル109g(0.60mol)を室温で加えた後、次いで、水酸化ナトリウム48.0g(1.2mol)を加え3時間加熱還流をした。反応終了後、溶媒を留去した後、その反応混合物に水100mlを加え、塩酸を加えて酸性にした。反応混合物を酢酸エチル200mlで3回抽出した後、その有機層を飽和食塩水200mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去することにより固体の2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)酪酸の粗生成物110gを得た。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄し2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)酪酸107g(白色粉末、収率88%)を得た。
【0082】
次に、攪拌装置、還流冷却器および0〜100℃まで測定できる温度計を装備した500mlの四つ口フラスコ中、2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)酪酸30.0g(0.12mol)をジクロロメタン200mlに溶解し、氷冷下、オキサリルクロリド17.8g(0.14mol)および触媒量のN,N‐ジメチルホルムアミド(1ml)を順次加え、室温にて30分間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下にて留去することにより油状の2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)酪酸クロリド32.1gを粗生成物として得た。
【0083】
続いて、攪拌装置、還流冷却器および−50〜50℃まで測定できる温度計を装備した500mlの四つ口フラスコ中、2−アミノイソ酪酸メチルエステル塩酸塩21.5g(0.14mol)およびトリエチルアミン26.3g(0.26mol)をジクロロメタン150ml、水30mlの混合溶媒に溶解し、この溶液を3℃に冷却し、激しく攪拌しながら、先に得られた2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)酪酸クロリド32.1gの粗生成物をジクロロメタン100mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、室温で45分間攪拌した。反応終了後、その反応混合物を氷冷水150ml、飽和食塩水150mlで順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去することにより、固体の2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸メチルエステルの粗生成物37.7gを得た。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄し、2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸メチルエステル36.5g(白色粉末、収率89%)を得た。
【0084】
次に、攪拌装置、還流冷却器および0〜100℃まで測定できる温度計を装備した300mlの四つ口フラスコ中、得られた2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸メチルエステル36.5g(0.11mol)をメタノール100mlに溶解し、室温(20℃)で水酸化ナトリウム8.80g(0.22mol)を水20mlに溶解した溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応終了後、反応混合物からメタノールを減圧下に留去し、氷冷水100mlを加え、1N塩酸水溶液にてpH2とした後、水層を酢酸エチル250mlで3回抽出し、有機層を飽和食塩水100mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去することにより、固体の2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸の組成生物を得た。得られた粗生成物をヘキサンで洗浄し、2−[{2−(4−クロロ−3,5−ジメチルフェノキシ)ブタノイル}アミノ]−2−メチルプロピオン酸34.3g(白色粉末、収率95%)を得た。
【0085】
次に、本発明のアミノ酸アミド誘導体(I)を除草剤として製剤化する方法を、以下の製剤例1〜6により具体的に説明する。ただし、本発明の除草剤はこれらの製剤例1〜6のみに限定されるものではなく、他の種々の添加物と任意の割合で混合し、製剤化することができることはいうまでもない。
【0086】
なお、化合物番号は前記表1−1〜表1−6に示したものであり、また以下の実施例中、「部」とは、すべて重量部を示すものとする。
【0087】
[製剤例1](粒剤)
No.136の化合物1部、リグニンスルホン酸カルシウム1部、ラウリルサルフェート1部、ベントナイト30部およびタルク67部に水15部を加えて、混練機で混練した後、押出式造粒機で造粒した。これを流動乾燥機で乾燥して、除草活性成分(化合物No.136)1%を含む粒剤を得た。
【0088】
[製剤例2](フロアブル剤)
No.127の化合物20.0部、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩2.0部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2.0部、プロピレングリコール5.0部、消泡剤0.5部および水70.5部を、湿式ボールミルで均一に混合粉砕し、除草活性成分(化合物No.127)20%を含むフロアブル剤を得た。
【0089】
[製剤例3](ドライフロアブル剤)
No.153の化合物75部、イソバンNo.1〔アニオン性界面活性剤:クラレイソプレンケミカル(株)製、商品名〕10部、バニレックスN〔アニオン性界面活性剤:山陽国策パルプ(株)製、商品名〕5部、ホワイトカーボン5部およびクレー5部を均一に混合微粉砕して、除草活性成分(化合物No.153)75%を含むドライフロアブル(顆粒水和)剤を得た。
【0090】
[製剤例4](水和剤)
No.154の化合物15部、ホワイトカーボン15部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル2部、珪藻土5部およびクレー60部を、粉砕混合機により均一に混合して、除草活性成分(化合物No.154)15%を含む水和剤を得る。
【0091】
[製剤例5](乳剤)
No.68の化合物20部、ソルポール700H〔乳化剤:東邦化学株式会社製、商品名〕20部およびキシレン60部を混合して、除草活性成分(化合物No.68)20%を含む乳剤を得た。
【0092】
[製剤例6](粉剤)
No.67の化合物0.5部、ホワイトカーボン0.5部、ステアリン酸カルシウム0.5部、クレー50.0部およびタルク48.5部を均一に混合粉砕して、除草活性成分(化合物No.67)0.5%を含む粉剤を得た。
【0093】
なお、一般式(I)で示されるアミノ酸アミド誘導体はすべて、上述の製剤例1〜6に示した製剤例に準じて、各種剤型に製剤することができる。
【0094】
次に、本発明のアミノ酸アミド誘導体(I)の除草効果を例証するため、以下に試験例1〜4を示す。
【0095】
[試験例1]水稲作発生前処理による除草効果試験および移植水稲に対する薬害試験
1/5,000アールの広さのワグネルポットに水田土壌を充填し、水を加え化成肥料(N:P:K=17:17:17)を混入し、代かきを行った。その後、ノビエ、広葉雑草(アゼナ、コナギ)、ホタルイの種子を0〜1cmの深さにそれぞれ30粒ずつを播種した。播種直後に、2葉期の水稲を移植した。水稲移植後ただちに湛水し、水深を約3cmに保った。その後の管理はガラス温室内で行った。水稲移植1日後に、下記の表3に示した化合物を用いて製剤例4に準じて調製した水和剤を水希釈し、その水希釈薬液の所定量を滴下した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。
本試験は1薬液濃度区当たり2連制で行い、薬剤処理21日後に、下記数式(1)により抑草率(%)を求めた。
【0096】
【数1】

【0097】
その結果を下記表3−1〜表3−3に示す。
なお、表中の化合物番号は、前記表1−1〜表1−6に示したものと同じものである。
【0098】
表3における比較化合物とは以下の化合物を示す。この比較化合物は、特許文献3の特開平5−194344号公報に記載されている化合物である。また、この比較化合物は、試験例2、3、4においても用いられる。
【化9】

【表3−1】

【0099】
【表3−2】

【0100】
【表3−3】

【0101】
[試験例2]水稲作生育期処理による除草効果試験
1/5,000アールの広さのワグネルポットに水田土壌を充填し、水を加え化成肥料(N:P:K=17:17:17)を混入し、代かきを行った。その後、ノビエ、広葉雑草(アゼナ、コナギ)、ホタルイの種子を0〜1cmの深さにそれぞれ30粒ずつを播種した。播種後ただちに湛水し、水深を約3cmに保った。その後の管理はガラス温室内で行った。播種7日後に、下記表4に示した化合物を用いて製剤例4に準じて調製した水和剤を水希釈し、その水希釈薬液の所定量を滴下した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。試験は1薬液濃度区当たり2連制で行い、薬剤処理21日後に、前記数式(1)により抑草率(%)を求めた。その結果を表4−1〜表4−3に示す。
なお、表中の化合物番号は、前記表1−1〜表1−6に示したものと同じものである。
【0102】
【表4−1】

【0103】
【表4−2】

【0104】
【表4−3】

【0105】
[試験例3]畑作土壌処理による除草効果試験および薬害試験
1)畑作雑草に対する除草効果試験:1/5,000アールの大きさの素焼製ポットに畑土壌(沖積壌土)をつめ、表層1cmの土壌とメヒシバ、エノコログサ、シロザ、イヌタデ、イヌビユ、ハコベの各雑草趣旨それぞれ50粒を均一に混合し、表層を軽く押圧した。播種1日後に、下記表5に示した化合物を用い、製剤例5に準じて調製した乳剤を水で希釈し、その水希釈薬液を10アール当たり100リットルの割合で土壌表面に噴霧した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。薬剤処理21日後に除草効果を試験例1と同じ基準で評価した。その結果を、表5−1〜表5−3に示す。
【0106】
2)作物に対する薬害試験:1/10,000アールの大きさの素焼製ポットに畑土壌(沖積壌土)をつめ、各作物の種子(ダイズ5粒、コムギ10粒)をそれぞれ別のポットに播種し、表層を軽く押圧した。播種1日後に、下記表5に示した化合物を用い、製剤例5に準じて調製した乳剤を水で希釈し、その水希釈薬液を10アール当たり100リットルの割合で土壌表面に噴霧した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。試験は1薬液濃度区当たり2連制で行い、薬剤処理21日後に、前記数式(1)により抑草率(%)を求めた。その結果を表5に示す。
なお、表中の化合物番号は、前記表1−1〜表1−6に示したものと同じものである。
【0107】
【表5−1】

【0108】
【表5−2】

【0109】
【表5−3】

【0110】
[試験例4]畑作茎葉処理による除草効果試験および薬害試験
1)畑作雑草に対する除草効果試験:1/5,000アールの大きさの素焼製ポットに畑土壌(沖積壌土)をつめ、表層1cmの土壌とメヒシバ、エノコログサ、シロザ、イヌタデ、イヌビユ、ハコベの各雑草種子それぞれ50粒を均一に混合し、表層を軽く押圧した。播種7日後に、下記表6に示した化合物を用い、製剤例5に準じて調製した乳剤を水で希釈し、その水希釈薬液を10アール当たり100リットルの割合で土壌表面に噴霧した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。薬剤処理21日後に除草効果を試験例1と同じ基準で評価した。その結果を、以下の表6−1〜表6−3に示す。
【0111】
2)作物に対する薬害試験:1/10,000アールの大きさの素焼製ポットに畑土壌(沖積壌土)をつめ、各作物の種子(ダイズ5粒、コムギ10粒)をそれぞれ別のポットに播種し、表層を軽く押圧した。播種7日後に、下記表6に示した化合物を用い、製剤例5に準じて調製した乳剤を水で希釈し、その水希釈薬液を10アール当たり100リットルの割合で植物体に噴霧した。活性成分の施用量を換算すると10アール当たり120gあるいは30gに相当した。試験は1薬液濃度区当たり2連制で行い、薬剤処理21日後に、前記数式(1)により抑草率(%)を求めた。その結果を以下の表6に示す。
なお、表中の化合物番号は、前記表1−1〜表1−6に示したものと同じものである。
【0112】
【表6−1】

【0113】
【表6−2】

【0114】
【表6−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[一般式(I)において、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を示し、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された炭素数1〜6のアルキルオキシ基、炭素数1〜6のオキシアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6の置換されていてもよいアミノアルキル基、炭素数3〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のハロゲン化アルケニル基、炭素数3〜6のアルキニル基、置換されていてもよいベンジル基、炭素数2〜7のカルボキシルアルキル基、または炭素数3〜7のカルボキシルアルケニル基を示し、R4およびR5が-COC-、-C-の場合、R4およびR5のそれぞれが結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成してもよく、nは、0〜5の整数を示し、nが2以上のとき、それぞれのXは同一でも相異なっていてもよい。]で表されるアミノ酸アミド誘導体。
【請求項2】
請求項1に記載の一般式(I)で表されるアミノ酸アミド誘導体を除草活性成分として含有することを特徴とする除草剤。

【公開番号】特開2009−114128(P2009−114128A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289306(P2007−289306)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】