説明

アモルファス合金、それからなる二次電池用負極材料、それを含む二次電池用負極、及び二次電池

【課題】高容量且つ充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られるアモルファス合金を提供する。
【解決手段】Si及びAlを含み、さらにFe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含み、Siの含有量(原子%)及びAlの含有量(原子%)の和が70原子%以上90原子%以下であって、下記式(1)を満たすアモルファス合金。
1<(Siの含有量(原子%))/(Alの含有量(原子%))<3 (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス合金、それからなる二次電池用負極材料、それを含む二次電池用負極、及び二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル電子機器や車載用電子機器において、これらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されている負極に黒鉛を用いたリチウムイオン二次電池では、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しかった。
【0003】
上記高容量化の問題を解決する手段として、負極にケイ素を用いることが検討されているが、ケイ素は充放電の際の体積変化が大きいため、微粒化、集電体からの脱離等が起こり、充放電を繰り返すと容量低下が起こる問題があった。
また、ケイ素は導電性が無く、導電性を付与するために、炭素材料等の導電助剤を多く使用する必要があった。しかしながら、導電助剤を多く使用すると、電池重量の増大、不可逆容量の増大等により、エネルギー密度が低下する問題があった。
【0004】
特許文献1は、非晶質のアルミニウム合金である負極活物質を開示するが、当該活物質の容量は大きくはなかった。
特許文献2は、アモルファス合金である負極活物質を開示するが、容量が小さい。また特許文献2は、アモルファスではない合金である負極活物質も開示するが、サイクル特性に劣る。
【0005】
特許文献3は、M・A・Xで表わされる非晶質合金(MはSi、Ge又はMgであり、Aは遷移金属であり、XはO、F、N等の各種元素)を開示する。特許文献4は、Al−Si−Fe合金を開示する。
しかしながら、特許文献3は安定なアモルファス状態を示す組成を具体的に開示せず、また特許文献4の合金は非晶質であるか否かについて全く言及されておらず、安定なアモルファス状態を示す組成を何ら開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−338646号公報
【特許文献2】特開2004−6206号公報
【特許文献3】WO2000/017949号パンフレット
【特許文献4】特開平6−325764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高容量且つ充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られるアモルファス合金を提供することである。
本発明の他の目的は、上記アモルファス合金からなる負極材料を用いたエネルギー密度に優れる二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下のアモルファス合金等が提供される。
1.Si及びAlを含み、
さらにFe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含み、
Siの含有量(原子%)及びAlの含有量(原子%)の和が70原子%以上90原子%以下であって、下記式(1)を満たすアモルファス合金。
1<(Siの含有量(原子%))/(Alの含有量(原子%))<3 (1)
2.Feを含む1に記載のアモルファス合金。
3.Feを5原子%以上20原子%以下含む1又は2に記載のアモルファス合金。
4.Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を1原子%以上15原子%以下含む1〜3のいずれかに記載のアモルファス合金。
5.Crを1原子%以上15原子%以下含む1〜4のいずれかに記載のアモルファス合金。
6.導電性を有する1〜5のいずれかに記載のアモルファス合金。
7.1〜6のいずれかに記載のアモルファス合金からなる二次電池用負極材料。
8.7に記載の二次電池用負極材料を含む二次電池用負極。
9.導電助剤を10wt%以下含む8に記載の二次電池用負極。
10.8又は9に記載の二次電池用負極を備える二次電池。
11.8又は9に記載の二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高容量且つ充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られるアモルファス合金が提供できる。
本発明によれば、上記アモルファス合金からなる負極材料を用いたエネルギー密度に優れる二次電池が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[アモルファス合金]
本発明のアモルファス合金は、Si及びAlを含み、さらにFe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含むアモルファス合金である。また、本発明のアモルファス合金が含むSi原子及びAl原子は、Siの含有量(原子%)及びAlの含有量(原子%)の和が70原子%以上90原子%以下であり、且つ下記式(1)を満たす。
1<(Siの含有量(原子%))/(Alの含有量(原子%))<3 (1)
尚、合金がアモルファスであるとは、X線回折法(X線:CuKα)による分析の結果、結晶性に基づくピークが観測されないことを意味する。
【0011】
式(1)が示すように、アモルファス合金中のケイ素原子の含有量を多くすることにより、負極材料として用いた場合に充放電容量を大きくすることができる。また、合金中のケイ素原子及びアルミニウム原子の合計量を70原子%以上90原子%以下とし、ケイ素原子及びアルミニウム原子以外の元素を少なくすることで、アルミニウム自体も充放電容量を有するので、負極材料として用いた場合に充放電容量を大きくすることができる。
本発明のアモルファス合金は、ケイ素原子及びアルミニウム原子以外の元素を少なくしても、Fe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含むことで、そのアモルファス状態を維持することができる。
【0012】
アモルファス合金中のSi原子及びAl原子の合計量が70原子%未満、又はSi原子及びAl原子の原子比Si/Alが1以下である場合、充放電容量が低下するおそれがある。一方、Si原子及びAl原子の合計量が90原子%超、又はSi原子及びAl原子の原子比Si/Alが3以上である場合、合金がアモルファスとならず、充放電サイクル特性が低下するおそれがある。
Si原子及びAl原子の原子比Si/Alの下限は、1.1以上であることがさらに好ましく、Si原子及びAl原子の原子比Si/Alの下限は、1.5以上であることがより好ましい。
【0013】
本発明のアモルファス合金は、好ましくはFeを含み、より好ましくはFeを5〜20原子%含有する。これにより、合金をアモルファスとし易くできる。
【0014】
本発明のアモルファス合金は、好ましくはCr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を1〜15原子%含有し、より好ましくは、少なくともCrを1〜15原子%含有する。これにより、合金をアモルファスとし易くできる。
【0015】
本発明のアモルファス合金は、Si及びAlを含み、さらにFe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含めばよく、本発明の効果を損なわない範囲でSi、Al、Fe、Cr、Ni及びZr以外の元素を含むことができる。
尚、Si、Al、Fe、Cr、Ni及びZrの合計含有量は、例えば90原子%以上、95原子%以上、98原子%以上、又は100原子%であるとよい。
【0016】
本発明のアモルファス合金は、好ましくは導電性を有する。アモルファス合金が導電性を有することにより、例えば本発明のアモルファス合金を負極材料として用いた場合に、当該負極材料を含む負極は、導電助剤の添加量を低減することができ、優れたエネルギー密度及び重量あたりの充放電容量が得られる。また、充放電サイクルでの容量低下を抑制することができる。
上記に加えて、アモルファス合金が導電性を有することにより、アモルファス合金からなる負極材料は、速やかな電気化学反応を起こすことができる。
【0017】
本発明のアモルファス合金は、液体急冷法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、メカニカルアロイング法等により作製することができる。
液体急冷法とは、合金を加熱溶融させて溶湯とし、この溶湯を高速回転するロール上に射出させるロール法(単ロール法及び双ロール法)、又は溶湯を不活性ガスとともに噴霧するガスアトマイズ法等を利用する急冷凝固法である。例えば、ガスアトマイズ法では、10K/secの冷却速度となり、アモルファス合金を作製することができる。
このようにして得られるアモルファス合金は、比較的不安定なアモルファス状態であるため、必要に応じ結晶化温度よりも100℃〜200℃程度低い温度で0.5h〜10h程度加熱処理を行い、アモルファス合金の状態を安定させることが好ましい。
【0018】
本発明のアモルファス合金は粉末状であることが好ましい。アモルファス合金を粉末状とすることにより、アモルファス合金を負極材料として用いた場合に、合金と電解質との接触面積(反応面積)を大きくでき、充放電効率を向上させることができる。
アモルファス合金の粉末は、例えばピンミル、ジェットミル、ハンマーミル、ボールミル等の粉砕装置によって得られる。得られる粉末の平均粒径は、1μm〜50μm程度であると好ましい。
【0019】
[負極材料]
本発明のアモルファス合金は、負極材料として好適に用いることができ、特に二次電池用負極材料として好適に用いることができる。
本発明の負極材料は、本発明のアモルファス合金からなり、高容量且つ充放電サイクル特性に優れ、例えば導電助剤の添加量を低減することができる。
【0020】
[負極]
本発明の負極は、本発明の負極材料を負極活物質として含み、例えば、シート状の集電体の片面あるいは両面に、本発明の負極材料粉末及び結着樹脂を含む負極層を積層した電極である。
負極層中の本発明の負極材料の含有率は、例えば80〜98wt%である。
【0021】
結着樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用することができる。
【0022】
負極層は、導電助剤を含んでもよいが、好ましくは導電助剤を含まない。負極層が導電助剤を含む場合には、当該導電助剤の含有量は好ましくは10wt%以下である。これによって二次電池のエネルギー密度を大きくすることができる。
上記導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。
【0023】
負極集電体としては、例えば、ステンレス鋼、金、白金、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、アルミニウム、マグネシウム、インジュウム又はこれらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
【0024】
[二次電池]
本発明の二次電池は、本発明の負極を備える電池である。
上記二次電池は、好ましくは非水電解質二次電池又はリチウムイオン二次電池である。
以下、本発明の負極を備えてなる非水電解質二次電池について説明する。
【0025】
非水電解質二次電池は、負極と正極との間に非水電解質層を挟持してなる構造を有する。
正極は、例えばシート状の集電体の片面あるいは両面に正極活物質を含む層が積層してなる電極である。正極は、アルミニウム箔等の集電体表面に、正極活物質、導電助剤及び結着剤を適当に溶媒に懸濁した懸濁物を塗布、乾燥、及びプレスして正極活物質層を形成することで正極が作製できる。
【0026】
正極活物質は、電池の放電時にアルカリ金属を吸蔵し、充電時にアルカリ金属を放出できる物質であれば特に限定されずに使用できる。
正極活物質としては、種々の酸化物、硫化物が挙げられ、例えば二酸化マンガン(MnO2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−xCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−x)、バナジウム酸化物(例えばV)等が挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、等の有機材料も挙げられる。硫化リチウム等のイオウ化合物材料も挙げられる。より好ましい正極活物質は、電池電圧が高いリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−x)等が挙げられる。
【0027】
正極集電体としては、導電性材料であれば特に制限されること無く使用できるが、特に正極用の集電体としては電池反応時に酸化されにくい材料を使用することが好ましく、例えばアルミニウム、ステンレス、チタン等を使用すればよい。
導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム等が挙げられる。
【0028】
正極中の正極活物質、導電剤及び結着剤の含有比は、正極活物質80〜95wt%、導電剤3〜20wt%、結着剤2〜7wt%の範囲にすることが好ましい。
【0029】
非水電解質層は、正極及び負極の間でのイオン伝導性を付与する層であり、非水電解液、固体高分子電解質等を使用して形成できる。
非水電解液を用いた非水電解質層は、通常、非水溶媒中に電解質を溶解した非水電解液を、多孔質材料からなるセパレータに含浸して層状に保持することで形成できる。
【0030】
セパレータは非水電解液を保持すると共に、正極及び負極間を絶縁する機能を有する。セパレータは、絶縁性の材料からなり、正極及び負極間をつなぐ細孔を有するものであれば特に限定されずに使用でき、具体的には合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム等を挙げることができる。
【0031】
非水溶媒は、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネートや、これらの環状カーボネートと環状カーボネートより低粘度の非水溶媒との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることができる。
上記低粘度の非水溶媒としては、例えばジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、環状エーテルとしてテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等、鎖状エーテルとしてジメトキシエタン、ジエトキシエタン等が挙げられる。
【0032】
電解質としては、リチウム塩が使用できる。具体的には、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)等が挙げられる。特に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)が好ましい例として挙げられる。
電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.0モル/lとすることが好ましい。
【0033】
非水電解質層として、高分子材料中に非水電解液を含有させたゲル状体を使用することも可能であり、ゲル状体単独で形成された電解質層を正極と負極との間に挟む構造としてもよいし、ゲル状体をセパレータ中に形成した電解質層を正極と負極との間に挟む構造としてもよい。
ゲル状体を調整するのに使用される高分子材料としてはポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PECO)等の単量体の重合体又は他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0034】
電解質を高分子材料に溶解し、固体化した固体高分子電解質を非水電解質層として使用することも可能である。
固体高分子電解質を作製するのに使用する高分子材料としてはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PEO)等の単量体の重合体又は他の単量体との共重合体が挙げられる。また、無機固体電解質として、リチウムを含有したセラミック材料が挙げられる。
【実施例】
【0035】
実施例1
[電極の作製]
負極材料の原料として、ケイ素単体、アルミニウム単体、鉄単体及びクロム単体を表1に示す原子比となるように混合し、加熱溶融した。この溶融物を、アルゴンガスを用いてガスアトマイズ法により急冷して粉末状の合金を作製した。
この合金の結晶性をX線回折法で調べたところ、結晶性に基づくピークは観測されず、得られた合金が、アモルファス合金であることが確認された。また、得られた合金について、電子顕微鏡でも結晶状態を観察したが、結晶は存在せず完全なアモルファス合金であることを確認した。
【0036】
得られた合金粉末94wt%、導電性材料であるカーボンブラック(デンカブラック:電気化学工業(株)製)粉末3wt%、及び結着樹脂であるPVDF3wt%とを混合し、これをNMPに分散させて懸濁物を調製した。この懸濁物を、集電体である膜厚12μmの銅箔に塗布し、これを乾燥した後にプレスして負極を作製した。
【0037】
[リチウムイオン二次電池の作製]
ポリエチレン多孔質フィルムからなるセパレータを得られた負極及び対極として厚さ0.2mmのLi箔で挟み、宝泉(株)製のコインセル2032サイズに入れた。
電解質である六フッ化リン酸リチウム(キシダ化学(株)製)を、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:2)(キシダ化学(株)製)に1モル/リットル溶解して非水電解液を別途調製した。
上記コインセル中に非水電解液を充填して、セパレータの細孔中に非水電解液を保持させた状態で、宝泉(株)製のコインセルかしめ機にて封止し、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0038】
得られたリチウムイオン二次電池について、20℃にて充電電流0.5mAで0.01VまでLiを挿入した後、1.5Vまで0.5mAでLiを脱離する充放電サイクル試験を行い、電池の放電容量及び容量維持率(1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の容量維持率)を測定した。結果を表1に示す。
尚、Liを挿入することは、この電極を負極として用いた電池の充電過程に相当する。逆に、Liの脱離は放電に相当する。従って、Li挿入時の容量を充電容量、Li脱離時の容量を放電容量とする。
【0039】
実施例2
負極材料の原料として表1に示す材料を用いた他は実施例1と同様にして、負極及びリチウムイオン二次電池を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
合金粉末の代わりに平均粒径10μmのSi粉末を用いた他は実施例1と同様にして負極及びリチウムイオン二次電池を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1が示す結果から、実施例1及び2の電池では容量維持率にほとんど変化が見られないが、比較例1の電池では初期電池放電容量は高いものの、300サイクル後の容量維持率が著しく低下していることが分かる。
表1に示す結果から、負極に本発明のアモルファス合金を使用することで放電容量及び容量維持率(サイクル特性)が向上することが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のアモルファス合金は、リチウムイオン二次電池の負極材料として好適である。本発明のリチウムイオン二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si及びAlを含み、
さらにFe、Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも2種の元素を含み、
Siの含有量(原子%)及びAlの含有量(原子%)の和が70原子%以上90原子%以下であって、下記式(1)を満たすアモルファス合金。
1<(Siの含有量(原子%))/(Alの含有量(原子%))<3 (1)
【請求項2】
Feを含む請求項1に記載のアモルファス合金。
【請求項3】
Feを5原子%以上20原子%以下含む請求項1又は2に記載のアモルファス合金。
【請求項4】
Cr、Ni及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を1原子%以上15原子%以下含む請求項1〜3のいずれかに記載のアモルファス合金。
【請求項5】
Crを1原子%以上15原子%以下含む請求項1〜4のいずれかに記載のアモルファス合金。
【請求項6】
導電性を有する請求項1〜5のいずれかに記載のアモルファス合金。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のアモルファス合金からなる二次電池用負極材料。
【請求項8】
請求項7に記載の二次電池用負極材料を含む二次電池用負極。
【請求項9】
導電助剤を10wt%以下含む請求項8に記載の二次電池用負極。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の二次電池用負極を備える二次電池。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の二次電池用負極を備えるリチウムイオン二次電池。


【公開番号】特開2012−156028(P2012−156028A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14744(P2011−14744)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】