説明

アリールオキシ系オレフイン(共)重合触媒を利用したオレフイン重合体およびオレフイン/α−オレフイン共重合体製造方法

本発明はオレフイン(共)重合体を製造する方法に関するものであって、もっと具体的には、酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を外部電子供与体と反応させて生成された化合物と有機マグネシウム化合物を反応させて製造した酸化数3価のアリールオキシ系遷移金属化合物を触媒とし、有機アルミニウム化合物を共触媒として分子量分布が狭いオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化数4価以上の遷移金属化合物を外部電子供与体で配位させた後、有機マグネシウム化合物に還元して製造されたチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)触媒を利用してオレフイン(共)重合体を製造する方法に関するものであり、より詳細には2分子以上のアリールオキシ系リガンドが結合された酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を酸素が1つ以上含まれた外部電子供与体と反応させて得た化合物を有機マグネシウムを利用して酸化数3価の周期律表IV族遷移金属化合物に還元させた形態のチーグラー・ナッタ触媒、これの製造方法及びこれを利用したオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遷移金属化合物を触媒にしてオレフインを重合するオレフイン重合反応において、米国特許第4,894,424号には酸化数3価の周期律表IV族遷移金属化合物を利用したエチレン重合体及びエチレン共重合体を製造する方法が開示されている。この触媒は最小限酸化数が4価以上である周期律表IV、V、VI族遷移金属、例えば、Ti(OR)Cl(n+m=4)の一般式を有するチタニウム化合物及びマグネシウム(Mg)とアルキル塩化物(RCl)を反応させて製造されたグリニヤール(grignard)化合物(RMgCl;ここで、Rはアルキル基)の還元反応によって製造される。該触媒はグリニヤール化合物による還元反応で作られた触媒であるため、触媒に含有されたチタニウム金属中80%以上が酸化数3価(Ti3+)の状態に存在する。
【0003】
遷移金属化合物を触媒として分子量分布が狭いオレフイン重合体を製造する方法として、米国特許第5,055,535号にはマグネシウムジクロライド(MgCl)をジブチルフタレート(dibutylphthalate)とテトラクロロチタン(TiCl)で処理して、重合時、これと共触媒であるアルキルアルミニウムと外部電子供与体としてエーテルを使用してエチレン(共)重合体を製造する方法が記載されている。
【0004】
米国特許第3,989,881号にはマグネシウムクロライド(MgCl)をテトラヒドロフラン(THF)で配位させた後、テトラヒドロフランが配位されたテトラクロロチタン[(TiCl)(THF)]で処理して得た触媒を利用してエチレン重合体を製造する方法が記載されている。
【0005】
米国特許第4,684,703号にはマグネシウムクロライド(MgCl)をアルキルエステルまたはエーテルで処理して、テトラクロロチタン(TiCl)を担持させ得た触媒を利用してエチレン重合体を製造する方法が記載されている。
【0006】
米国特許第5,322,830号にはマグネシウムジクロライド(MgCl)にエタノール(EtOH)を配位させた後、トリエチルアルミニウム(TEA)で処理してからエトキシトリクロロチタン[(TiCl)(OEt)]で処理して得た触媒を利用してエチレン重合体を製造する方法が記載されている。
【0007】
米国特許第4,980,329号にはマグネシウムクロライド(MgCl)をエステル、ケトン、アルデヒド、アミド、ラクトン、ホスフイン、シリコン中で選択された外部電子供与体と共ミーリング(comilling)した後、テトラクロロチタン(TiCl)を担持して得た触媒を利用してプロピレン重合体を製造する方法が記載されている。
【0008】
米国特許第4,668,650号及び第4,983,694号にはシリカゲルのヒドロキシ基をアルキルマグネシウム(RMg)とテトラヒドロフラン溶媒において反応後、テトラクロロチタン(TiCl)で処理して得た触媒を利用してエチレン(共)重合体を製造する方法が記載されている。
【0009】
また、米国特許第5,939,348号にはシリカゲルのヒドロキシ基をアルキルマグネシウム(RMg)とシリコン化合物であるテトラエトキシシラン[Si(OEt)]で前処理後,テトラクロロチタン(TiCl)で処理して得た触媒を利用してプロピレン重合体を製造する方法が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記の発明等は工程が複雑であるので商業工場適用時経済性が劣り、また副産物処理のような問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、アリールオキシ系リガンドを酸化数4価以上の遷移金属化合物に導入し、外部電子供与体を配位させた後、有機マグネシウム化合物によって還元させて製造されるチーグラー・ナッタ触媒を使用することにより、既存の酸化数3価の周規律表IV族遷移金属化合物触媒を使用した場合より分子量分布が狭いオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のオレフイン(共)重合体製造方法は酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を外部電子供与体と反応させ生成された化合物と有機マグネシウム化合物とを反応させて製造した酸化数3価のアリールオキシ系遷移金属化合物を触媒とし、有機アルミニウム化合物を共触媒とし、分子量分布が狭いオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造することを特徴とする。
【0013】
本発明に使用されるオレフイン(共)重合用触媒である酸化数3価のアリールオキシ系遷移金属化合物は、2分子以上のアリールオキシ系リガンドが結合された形態の酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物と酸素が1つ以上含まれた外部電子供与体を反応させて製造された化合物と有機マグネシウム化合物を反応させて製造される。
【0014】
下記の反応式Iにおいて示されたように、既存のチーグラー・ナッタ触媒(C)はTi(ORCl(m+n=4)の構造を有する酸化数4価のチタニウム化合物(A)とグリニヤール方法で作られた有機マグネシウム化合物(B)との還元反応によって製造されるが、本発明のチーグラー・ナッタ触媒(H)は生成されるオレフイン(共)重合体の分子量分布を狭めるために、下記の反応式IIで例示的に示したように、既存の酸化数4価のチタニウム化合物(A)の代わりに既存の触媒のアルコキシ基がアリールオキシ基に置換された酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(D)を使用して製造される。
【0015】
【化1】

【0016】
本発明の触媒製造の際に使用される酸化数4価以上の遷移金属化合物は塩素、アリールラジカルまたはアリール塩化物が含有された遷移金属化合物であって、周期律表IV族、V族またはVI族の遷移金属化合物であり、好ましくは、チタニウム化合物である。これに2分子以上のアリールオキシ系リガンドを導入して酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(D)を製造する。
【0017】
前記2分子以上のアリールオキシ系リガンドを導入して酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(D)を製造する方法は、アリールオキシ化合物をヘプタン溶媒に懸濁させた後、該混合物に酸化数4価以上の遷移金属化合物を滴下、追加反応して製造する。
【0018】
この時、アリールオキシ化合物としては、例えば、2,6−ジイソプロピルフエノールを使用することができ、これの反応温度は0.1〜0.5モルであることが好ましい。前記酸化数4価以上の遷移金属化合物としては、例えば、テトラクロロチタンを使用することができ、これの反応濃度は0.05〜0.2モルであることが好ましい。
【0019】
前記のように製造された酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(D)に酸素が一つ以上含まれた外部電子供与体(ED)を配合させ、MX(4−n)(OAr)(ED)(M=遷移金属、Ar=C〜C30のアリール基または置換されたアリール基、X=ハロゲン原子、ED=外部電子供与体、y=1また2の整数、nは2≦n≦4の整数または分率)の一般式を有する化合物(G)を製造する方法は、前記の酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(D)に外部電子供与体化合物(ED)を混合、0.5〜1時間攪拌することにより製造される。
【0020】
この時、外部電子供与体化合物(D)としては酸素が1つ以上含まれたメチルホルメート、エチルアセテート、ブチルアセテート、エーテル、シクリックエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン等があり、最も好ましきものは、テトラヒドロフラン、エーテルである。また、前記反応時の濃度は0.1〜0.5モルであることが好ましい。
【0021】
前記のように製造された化合物(G)に有機マグネシウム化合物(B)を反応させ、本発明の触媒である酸化数3価のアリールオキシ系遷移金属化合物(H)を製造するが、この時使用される有機マグネシウム化合物(B)はグリニヤール方法、即ち、マグネシウムとアルキル塩化物のようなアルキル化合物を反応させ製造することができ、その結果、有機マグネシウムハロゲン化物(MgX2−m;ここで、RはC〜Cのアルキル基、Xはハロゲン原子、mはO<m≦2の整数または分率)が生成される。
【0022】
本発明の触媒製造時に前記化合物(G)と有機マグネシウム化合物(B)の反応に使用される溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、プロパン、イソブタン、オクタン、デカン、ケロシン等のような脂肪族炭化水素があり、最も好ましきものはヘキサン、ヘプタンである。この時、前記溶媒(必要によっては、有機マグネシウム化合物)はエーテルのような電子供与体化合物との錯物(complex)形態で使用されることができる。
【0023】
前記反応時の反応温度は−20〜150℃であることが好ましい。
【0024】
本発明において、前記 MX(4−n)(OAr)(ED)の一般式を有する化合物(G)と有機マグネシウム化合物(B)間の反応はアルキルハライド化合物(RX、 ここで、RはC〜Cのアルキル基、Xはハロゲン原子)の存在下で実施されることが好ましい。
【0025】
この時、前記反応式において各化合物は下記のモル比で使用され得る。
0.1≦(G)/RMgX≦0.5、
1≦RX/RMgX≦2、
または、
0.1≦(G)/MgR≦0.5、
2≦RX/MgR≦4
このようなモル比の範囲を外れる場合には、それぞれ反応の収率が顕著に低下される問題があるため好ましくない。
【0026】
また、本発明の触媒製造時、有機マグネシウム化合物(B)の代わりに、金属マグネシウムを使用することができ、この時、各化合物は下記のモル比で使用され得る。
【0027】
0.1≦(G)/Mg≦0.5、
0.5≦RX/Mg≦10、好ましくは、1≦RX/Mg≦2
本発明のオレフイン(共)重合時に使用される共触媒としては、周期律表II族またIII族の金属由来の有機金属化合物があり、特に、AlR(3−n)(ここで、RはC〜C16、さらに好ましくはC〜C12のアルキル基、Xはハロゲン原子、nは1≦n≦3の整数または分率)の一般式を有する有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0028】
前記有機アルミニウム化合物としてはトリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリノーマルプロピルアルミニウム、トリノーマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノーマルへキシルアルミニウム、トリノーマルオクチルアルミニウム、トリ−2−メチルペンチルアルミニウム等があり、最も好ましきものはトリエチルアルミニウム、トリノーマルへキシルアルミニウム、トリノーマルオクチルアルミニウムである。
【0029】
この時、触媒中の遷移金属に対する前記共触媒のモル比は0.5〜500の範囲内であることが好ましく、このような範囲を外れる場合には触媒の活性が低下される問題があるので好ましくなく、スラリー工程、気相工程または溶液工程等で各工程の特性及び望む高分子特性に従って、適当な範囲を選択して使用することができる。
【0030】
本発明において、オレフイン(共)重合反応は飽和脂肪族炭化水素のような液体希釈液内にエチレンまたは他のオレフインで構成されたモノマーを導入することにより行なわれ、希釈液が無い場合には気体上のモノマーを直接触媒システムと接触させて行なう。オレフイン(共)重合反応は一般的に水素のような鎖成長抑制剤の存在下に行なわれ、この時、水素に対するオレフインモノマーの体積比は1〜80%の範囲内である。
【0031】
この時、反応圧力は15bar以下であることが好ましく、反応温度は40〜150℃であるのが好ましい。
【0032】
本発明において、オレフイン(共)重合反応はそれぞれの構成成分が別途の反応を経ないで重合過程で順次的に注入されて使用されることができ、また予め混合して反応させた前重合体形態に使用されることもできる。
【0033】
即ち、本発明のオレフイン(共)重合触媒をオレフインモノマーと共に重合反応器に直接投入して反応させるか、脂肪族炭化水素のような不活性液体内で一つまたはそれ以上のオレフインモノマーを前重合させて製造した前重合体(prepolymer)を重合反応器に投入することができる。
【0034】
この時、共触媒である有機金属化合物は重合反応器に直接投入することができる。
【0035】
本発明によって製造されたオレフイン(共)重合体は分子量分布が狭いので衝撃強度が大変高い。
【0036】
以下実施例を通じて本発明を詳しく説明する。しかし、これらの実施例は例示的な目的であるだけで、本発明がこれに限定されるものではない。
【0037】
実施例1
[エチレン重合反応]
i)外部電子供与体が導入された酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物(G)の製造
2,6−ジイソプロピルフエノール42.8g(0.24モル)を機械式攪拌機が装着された0.5lの4口フラスコ内で150mlの精製されたヘプタンに懸濁させた。該混合物にテトラクロロチタン13.2ml(0.12モル)を一定な速度に滴下した。注入完了後、12時間の追加反応を行った後、外部電子供与体であるテトラヒドロフラン19.5ml(0.24モル)を入れて1時間攪拌して外部電子供与体が導入されたTiCl(OAr)(THF)のチタン化合物を得た。得られたチタン化合物は精製無く直ちに触媒製造に使用した。
ii)オレフイン(共)重合触媒の製造
マグネシウム12.7g(0.525モル)とヨード1.4g(0.005モル)を機械式攪拌機が装着された1リットルの4口フラスコ内で450mlの精製されたヘプタンに懸濁させた。該混合物の温度を上昇させて、前記i)段階で製造した化合物(G)を注入し、1−クロロブタン84.1ml(0.8モル)を一定な速度で滴下した。注入完了後2時間の追加反応を実施した後、十分なヘキサンで4回洗浄をした後得られた触媒は精製されたヘキサン内のスラリー状態で保管した。触媒スラリー内の成分分析結果は全体チタンが3.65重量%、酸化数3価のチタンが総チタン重量の78%であった。
iii)エチレン重合反応
攪拌機及び加熱/冷却装置が完備された2リットルのステンレス・スチール反応器に1000mlの精製されたヘキサンを注入し、反応器は使用前に純水な窒素によって十分に洗浄された。次に、該反応器に1.0モル濃度にヘキサンで希釈された共触媒トリノーマルオクチルアルミニウム(TnOA)2ccを注入し、前記ii)段階で製造された触媒4.5ml(6ミリモル)を反応器に注入した。反応器温度を80℃まで上昇させた後、水素66psigを供給し、反応器の電圧が187psigになるようにエチレンを十分に供給した後、1000rpmで攪拌することにより、反応を始めた。反応中反応器の電圧が187psigに一定に保持され得るように十分なエチレンを供給し、1時間重合させた。反応終結後、エタノールを10cc注入して触媒活性を中断させた。得られた重合体は濾過器で分離させ、一定時間乾燥して70.3gのポリエチレンを収得した。
【0038】
実施例2
[エチレン/1−ヘキセン共重合反応]
攪拌機及び加熱/冷却装置が完備された2リットルのステンレス・スチール反応器に800mlの精製されたヘキサンと150mlの1−ヘキセンを注入し、反応器は使用前に純粋な窒素によって十分に洗浄された。その後、該反応器に1.0モル濃度でヘキサンに希釈された共触媒トリノーマルオクチルアルミニウム(TnOA)8ccを注入し、実施例1のii)段階で製造された触媒10ml(12ミリモル)を反応器に注入した。反応器温度を80℃まで上昇させた後、水素1000ccを供給し、反応器の電圧が120psigになるようにエチレンを十分に供給した後、1000rpmで攪拌することにより反応を始めた。反応中、反応器の電圧が120psigに一定に保持されるように十分なエチレンを供給し、10分間重合させた。反応終結後反応液をエタノール1500mlに投入して触媒活性を中断させた。得られた重合体は濾過器で分離させ、一定時間乾燥して46.8gのエチレン/1−ヘキセン共重合体を収得した。
【0039】
比較例1
[エチレン重合反応]
1)オレフイン(共)重合触媒の製造
マグネシウム12.7g(0.525モル)とヨード1.4g(0.005モル)を機械式攪拌機が装着された1リットルの4口フラスコ内で450mlの精製されたヘプタンに懸濁させた。次に、該混合物の温度を上昇させて、ビス(2,6−ジイソプロピルフエノキシ)チタンジクロライド56.6g(0.12モル)を150mlのヘプタンに溶かして注入し、1−クロロブタン84.1ml(0.8モル)を一定な速度で滴下した。注入完了後2時間の追加反応を実施した後、十分なヘキサンで4回洗浄した後得られた触媒は精製されたヘキサン内のスラリー状態で保管した。前記触媒スラリー内の成分分析結果、全体チタンが4.4重量%、酸化数3価のチタンが総チタン重量の75%であった。
2)エチレン重合反応
実施例1のii)段階で製造された触媒の代わりに、前記i)段階で製造された触媒を注入した以外には、実施例1のiii)段階と同一な方法にして133.5gのポリエチレンを収得した。
【0040】
比較例2
前記比較例1のi)段階で酸化数4価以上の遷移金属化合物としてビス(2,6−ジイソプロピルフエノキシ)チタンジクロライドの代わりにチタンプロポキシド15.2ml(0.056モル)、テトラクロロチタン7.2ml(0.065モル)を注入した以外には、比較例1のi)段階と同一な方法でオレフイン(共)重合触媒を製造した。該触媒を注入したこと以外は、比較例1のii)段階と同一な方法で40.0gのポリエチレンを収得した。
【0041】
比較例3
[エチレン/1−へキセン共重合反応]
実施例1のii)段階で製造された触媒の代わりに比較例1のi)段階で製造された触媒を注入した以外には、実施例2と同一な方法にして47.2gのエチレン/1−ヘキセン共重合体を収得した。
【0042】
比較例4
実施例1のii)段階で製造された触媒の代わりに比較例2で製造された触媒を注入した以外には、実施例2と同一な方法にして44.5gのエチレン/1−ヘキセン共重合体を収得した。
【0043】
前記の実施例1〜2及び比較例1〜4による(共)重合結果を下記の表1及び表2に示した。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
前記の表1及び2において示されたように、アリールオキシ系リガンド及び外部電子供与体全てを酸化数4価以上の遷移金属化合物に導入して有機マグネシウム化合物で還元させた実施例1〜2のチーグラー・ナッタ触媒で得られたエチレン(共)重合体は、アリールオキシ系リガンド及び外部電子供与体が全て導入されない比較例2、4の触媒で得られたエチレン(共)重合体より衝撃強度に重要な物性である分子量分布(MFRR) がはるかに狭いことを分る。
【0047】
さらに、アリールオキシ系リガンド及び外部供与体が全て導入された実施例1〜2のチーグラー・ナッタ触媒で得られたエチレン(共)重合体は、アリールオキシ系リガンドだけ導入され、外部電子供与体は導入されない比較例1、3の触媒で得られたエチレン(共)重合体より衝撃強度に重要な物性である分子量分布(MFRR)が狭いことを分る。
【0048】
従って、アリールオキシ系リガンド及び外部電子供与体が導入された触媒を使用すれば、分子量分布が狭いオレフイン(共)重合体の製造が可能であることを分る。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の触媒を使用して製造された(共)重合体は狭い分子量分布、低い熔融指数(MI)を有し、その結果、衝撃強度が優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を外部電子供与体と反応させて生成された化合物と有機マグネシウム化合物を反応させて製造した酸化数3価のアリールオキシ系遷移金属化合物を触媒とし、有機アルミウム化合物を共触媒として、オレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項2】
前記酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物はMX(4−n)(OAr)(M=遷移金属、Ar=C〜C30のアリール基または置換されたアリール基、X=ハロゲン原子、y=1または2の整数、nは2≦n≦4の整数または分率)の一般式を有し、
前記有機マグネシウム化合物はMgX2−m(R=C〜C16のアルキル基、X=ハロゲン原子、mは0<m≦2の整数または分率)の一般式を有することを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項3】
前記酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物は酸化数4価以上の遷移金属化合物とアリールオキシ化合物とを反応させ製造したことを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項4】
前記外部電子供与体はメチルホルメート、エチルアセテート、ブチルアセテート、エーテル、シクリックエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン及びメチルエチルケトンから選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項5】
前記有機マグネシウム化合物に対する前記酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を外部電子供与体と反応させ生成された化合物の反応モル比は0.1〜0.5であることを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項6】
前記酸化数4価以上のアリールオキシ系遷移金属化合物を外部電子供与体と反応させ生成された化合物と有機マグネシウム化合物の反応はアルキルハライド化合物の存在下で実施されることを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項7】
前記有機アルミニウム化合物はAlR(3−n)(ここで、R=C〜C16のアルキル基、X=ハロゲン原子、nは1≦n≦3の整数または分率)の一般式を有することを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項8】
前記有機アルミニウム化合物はトリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリノーマルプロピルアルミニウム、トリノーマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノーマルへキシルアルミニウム、トリノーマルオクチルアルミニウム及びトリ−2−メチルペンチルアルミニウムから選択されることを特徴とする請求項7に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。
【請求項9】
前記触媒中の遷移金属に対する有機アルミニウム化合物の反応モル比は0.5〜500であることを特徴とする請求項1に記載のオレフイン重合体及びオレフイン/α−オレフイン共重合体を製造する方法。

【公表番号】特表2008−504385(P2008−504385A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517942(P2007−517942)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000941
【国際公開番号】WO2006/004296
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(505193852)サムソン トータル ペトロケミカルズ カンパニー リミテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG TOTAL PETROCHEMICALS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】411−1,Dok−god−Ri,Daesan−Up,Seosan−Si,ChungNam 356−711 Korea
【Fターム(参考)】