説明

アルカリイオン水を用いた化粧料組成物

【課題】界面活性剤や防腐剤を使用せずに製造することができ、かつ、従来の化粧料よりも優れた機能を有する化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、グリコシルトレハロース、又は、ポリオール系を添加し、或いは、植物性油脂を添加し、撹拌したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリイオン水を用いることにより、長期間にわたって安定的に機能を持続させることができ、また、界面活性剤を使用することなく製造することができる化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市場において流通している化粧品の殆どのものは弱酸性となっている。人間の皮膚は弱酸性(pH5〜6)であり、弱酸性の化粧品は肌に良い、と一般的に考えられているからである。一方、人間の体液は弱アルカリ性であり、皮脂腺より汗や不要老廃物を排泄し、皮膚呼吸、温度調節、体液調整を行うことによって皮膚バランスを取り、新陳代謝が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−238302号公報
【特許文献2】特開平8−24865号公報
【特許文献3】特開平10−165959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、弱酸性化粧品には、界面活性剤が使用されているものが多い。界面活性剤が使用されている化粧品は、界面活性作用により浸透性が良いという利点があるが、使用者における皮膚のトラブルが少なくない。皮膚細胞が活発な若い年代においてはそれほどでもないが、年齢が上がるにつれて、皮膚細胞の活性が低下し、界面活性剤を使用した化粧品による皮膚トラブルの問題は顕著となる。
【0005】
本発明は、かかる問題に対処すべく、界面活性剤や防腐剤を使用せずに製造することができ、かつ、従来の化粧品よりも優れた機能を有する化粧料乃至は化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化粧料組成物は、結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、グリコシルトレハロースを添加したことを特徴としている。尚、グリコシルトレハロースの添加量は、アルカリイオン水に対し、0.23〜12.0w/w%の範囲とすることが好ましい。
【0007】
また、グリコシルトレハロースの替わりに、ポリオール系を添加することもできる。この場合、ポリオール系の添加量は、アルカリイオン水に対し、0.1〜20.0w/w%の範囲とすることが好ましい。
【0008】
尚、ポリオール系としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール(1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール)、3−ブテン−1,2−ジオール、ペンチレングリコール(1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール)、ヘキシレングリコール(1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール)、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、イソペンチルジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イノシトール、エリスリトール、キシリトール、グルコース、スクロース、ソルビトール、トレハロース、乳糖、ショ糖、フルクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ラクチトール、キシリチルグルコシド、キシロース、無水キシリトール、ラフィノース、ペンタエリスリトール及びその誘導体等を使用することができる。これらは、単独でも、また、2種以上を混合して用いることもできる。
【0009】
また、本発明の化粧料組成物は、結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、植物天然油脂を添加し、撹拌することにより乳化させたことを特徴としている。尚、植物天然油脂の添加量は、アルカリイオン水に対し、0.2〜10.0w/w%の範囲とすることが好ましい。
【0010】
尚、植物天然油脂としては、椿油、オリーブ油、紅花油、アボカド油、アルモンド油、カカオ脂、カロット油、キューカンバー油、ククイナッツ油、グレープシード油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、コメ胚芽油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂、大豆油、チャ実油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、パーム油、ハトムギ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、綿実油、モクロウ、ワサビノキ種子油、ヤシ油、ラッカセイ油、レッドパーム油、ローズヒップ油等を使用することができる。
【0011】
尚、本発明の化粧料組成物には、上記のほかに、セルロースパウダー、結晶セルロース、美白剤、育毛剤、又は、発毛剤を更に添加することもできる。尚、美白剤としては、メラニン生成抑制剤(ビタミンCとその誘導体(アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステルニナトリウム、アスコルビン酸グルコシド)、コウジ酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、パンテテインスルホン酸カ リウム、植物エキス類(油溶性甘草エキス、クワエキス、芍薬エキス、当帰エキス、ワレモコウエキス、マロニエ樹皮エキス、イブキトラノオエキス、クララエキス、スイカズラエキス、オウゴンエキス、イタドリエキス、カミツレエキス)等)、メラニン還元剤(ビタミンCとその誘導体、コウジ酸等)、メラニン排出促進剤(ビタミンCとその誘導体、硫黄、乳酸、リノール酸、リノレン酸、コムギ胚芽エキス等)等を使用することができる。
【0012】
また、育毛剤、発毛剤としては、血管拡張剤(センブリエキス、ニンニクエキス、ニンジンエキス、塩化カプロニウム、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、γ−オリザノール、ミノキシジル、当帰エキス、ゲンチアナエキス、イチョウエキス等の血行促進剤、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、カンタリスチンキ、L−メントール、カンファー、ハッカ油、ニコチン酸ベンジル、ノリル酸ワニリルアミド等の局所刺激剤等)、毛母細胞賦活剤(パントテン酸及びその誘導体、ビオチン、モノニトログアヤコール、ペンタデカン酸グリセリド、ジアルキルモノアミン誘導体、ヒノキチオール、コレウスエキス、クロロフィル、感光素、アラントイン等)、抗男性ホルモン剤(女性ホルモン剤)(エストラジオール、エチニルエストラジオール等)、栄養剤(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE及びその誘導体、パントテン酸カルシウム及びその誘導体、ビオチン、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイン、トリプトファン、アミノ酸エキス等)等を使用することができる。
【0013】
更に、本発明の化粧料組成物においては、アルカリイオン水として、霧化放電処理を行ったものを用いることもできる。尚、ここに言う「霧化放電処理」とは、超音波振動を加えるなどの手段によってアルカリイオン水を霧化し、その霧状のアルカリイオン水を閉鎖管路内に導入し、所定の方向へ流下させ、その際、閉鎖管路内に配置した一対或いは複数組みの放電電極間において高周波高電圧電流による電位差を与えて放電を行い、流下中の霧状アルカリイオン水に対して放電処理を行うことを意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧料組成物は、長期間にわたって安定的にpHを持続させることができ、その結果、防腐剤を使用せずに、長期間にわたって安定的に品質を維持することができる。また、グリコシルトレハロース、又は、ポリオール系を添加した場合には、保湿効果を有する化粧品を製造することができる。尚、保湿剤を添加した化粧料は、通常、ベタベタした使用感があるが、本発明の化粧料組成物は、保湿剤(グリコシルトレハロース又はポリオール系)を添加した場合であってもベタベタせず、さらっとした使用感が得られる。
【0015】
一方、植物天然油脂を添加した場合には、界面活性剤を使用せずに(或いは、ごく微量を添加するだけで)、乳液、或いは、クリーム化粧品を製造することができる。更に、セルロースパウダー、又は、結晶セルロースを添加した場合には、膨潤剤、分散剤、離水防止剤といった効果から、ローション、乳液、クリームとした場合、なめらかで均一なものができる。尚、一般セルロースパウダーでは、平均40μmの不定形粒子微粉体を使用してもよいし、球形顆粒を使用することもできる。もともとセルロースは木材、綿、麻など植物由来原料使用の化粧品とすることができる。特に、結晶セルロースは繊維素構造の非結晶領域を除去した結晶領域では高純度のセルロースであり表面積が大きくかつ多孔質であるため、水、油を吸着し、この吸着能力は、対象が油や非極性溶媒の場合には、分子表面水酸基(−OH)による化学吸着が一部加わり、当該アルカリイオン水の物理吸着とイオン性吸着とから分散性がよい安定な乳液、クリームを造ることができる。また、美白剤を添加することにより、皮膚への浸透性がよく、より優れた効果が期待できる。
【0016】
また、育毛剤、又は、発毛剤を添加することにより、育毛、発毛効果を有する頭皮用、頭髪用化粧品とすることができる。更に、アルカリイオン水として、霧化放電処理を行ったものを用いた場合には、より長期間にわたって機能を持続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係る化粧料組成物は、特開平8−24865号公報に記載されている方法によって製造したpH12.0以上のアルカリイオン水、より具体的には、結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水を用い、これにグリコシルトレハロース、ポリオール系、又は、植物天然油脂を添加することによって製造される。尚、植物天然油脂を添加する場合、添加後に撹拌することにより乳化させる。
【0018】
上記方法によって製造されたpH12.0以上のアルカリイオン水は、イオン状シリカ80mg/L以上、ナトリウムイオン600mg/L以上を含有しており、製造後1年以上経過してもpHがほとんど低下しない(強アルカリ性が維持される)ということが実験により明らかになっている。また、電気伝導度(EC)については、製造から1ヵ月後の時点で641mS/m、6ヵ月後の時点で600mS/m、酸化還元電位(ORP)については、製造から1ヵ月後の時点で14V、6ヶ月後の時点で−10Vという実験データ(保存条件:室温10〜25℃、密閉)が出ている。これらの実験結果から、上記アルカリイオン水は、極めて高い理化学的安定性を有していることが判っている。従って、上記アルカリイオン水を用いることにより、防腐剤を使用せずに、長期間にわたって品質を維持できる化粧品を製造することができる。
【0019】
また、このアルカリイオン水について、フェントン反応を利用した抗酸化力の評価試験を行ったところ、フェントン反応がほとんど進まず、このアルカリイオン水は強い抗酸化力を有していることが確認されている。また、このアルカリイオン水の0.2〜1.0%水溶液においても、水道水に比べて15〜40%程度の酸化抑制効果が確認されている。従って、このアルカリイオン水を用いることにより、高い抗酸化力を有する化粧品を製造することができる。
【0020】
更に、このアルカリイオン水は、皮脂や汗などの分泌物による汚れに対する溶解力を有していることが判っており、人間の皮膚表面の汚れを好適に落とすことができる。このアルカリイオン水が有する溶解力は、水の電気分解で生じるヒドロキシルイオン(H)や水酸化物イオン(OH)によるものと考えられ、ヒドロキシルイオンの「H−O−H」の部分が親水基、水酸化物イオンが疎水基にあたり、それらが界面活性物質としての性質を有しているためであると考えられる。従って、このアルカリイオン水を用いることにより、界面活性剤を添加せずに、メイク落とし効果を有するクレンジング化粧品や、毛根部、皮脂腺部の分泌物、汗、皮脂などによる汚れを除去して育毛、発毛を促進する頭皮用、頭髪用化粧品を製造することができる。
【0021】
また、このアルカリイオン水は、一般細菌や真菌に対する抗菌効果が認められているほか、人間の体臭の原因物質の一つであるイソ吉草酸等に対する消臭効果が認められている。従って、このアルカリイオン水を用いることにより、抗菌、消臭効果を有する化粧品を製造することができる。
【0022】
また、このアルカリイオン水について、水−油系における乳化作用についての試験を行ったところ、界面活性剤(SDS)を使用せずに、油脂を乳化できることが確認されている。従って、このアルカリイオン水に植物天然油脂を添加し、撹拌することにより簡単に乳化させることができ、界面活性剤を使用せずに、乳液、或いは、クリーム化粧品を製造することができる。但し、微量(例えば、0.01〜0.3w/w%程度)であれば、必要に応じ、界面活性剤を添加しても構わない。
【0023】
尚、アルカリイオン水は、上記方法により製造した後、そのまま化粧料の原料として使用してもよいが、製造後、霧化放電処理を行ってから、化粧料の原料として使用することもできる。この場合、上記のようなアルカリイオン水の効果乃至は機能を、より長期間にわたって持続させることができる。
【0024】
霧化放電処理は、特開平10−165959号公報に記載されているイオン化水製造装置を用いることによって行うことができる。より具体的には、水から発生された霧を通すようにしたイオン化用管と、このイオン化用管内部に設定された放電電極を備え、該電極間で放電を生じさせるための放電手段と、イオン化用管を通されてイオン化された霧を受け入れて冷却し凝結させて、イオン化水とするための凝結手段であって、イオン化用管に連通された冷却用管を有し、イオン化用管が、霧に対して一次のイオン化を行うための大径の一次イオン化部分と、一次イオン化を行った霧に更にイオン化を行う大径の二次イオン化部分と、一次及び二次イオン化部分を連通するための小径の中間部分とを有するイオン化水製造装置を用いることによって、アルカリイオン水に対して霧化放電処理を行うことができる。
【0025】
但し、必ずしもこの装置を用いる必要はなく、アルカリイオン水を霧化し、その霧状のアルカリイオン水を閉鎖管路内に導入し、所定の方向へ流下させ、その際、閉鎖管路内に配置した一対或いは複数組みの放電電極間において高周波高電圧電流による電位差を与えて放電を行い、流下中の霧状アルカリイオン水に対して放電処理を行うことができる装置であれば、どのような構成のものを用いてもよい。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例について説明する。まず、本発明の実施例1として、特開平8−24865号公報に記載されている方法によって製造したpH12.0以上のアルカリイオン水に、グリコシルトレハロースを添加して製造した化粧料組成物を用意し、人間の皮膚を対象とした短期保湿作用の試験を行った。尚、実施例1におけるグリコシルトレハロースの添加量は、アルカリイオン水に対し、0.23w/w%とした。また、精製水に対してグリコシルトレハロースを0.23w/w%添加したものを比較例1として用意し、更に、精製水100w/w%を比較例2として用意し、これらについても同一の条件で試験を行った。
【0027】
試験方法の詳細は、次の通りである。30〜33歳の女性1名、男性2名を被験者とし、まず、各被験者の前腕内側部分の複数箇所の被験部位(それぞれ約2cm四方)を70%エタノールにて拭き取った後、恒温恒湿度(室温22℃、湿度45%)にて15分訓化し、各被験部位の水分量(初期値)を皮表角層水分量測定装置を用いて測定した。次に、実施例1(本発明)、比較例1、比較例2を、各被験部位にそれぞれ規定量(10μL)塗布し、設定時間経過後(15分後、30分後、45分後)の各被験部位の水分量を、皮表角層水分量測定装置を用いてそれぞれ5回ずつ測定した。その結果を次表に示す。尚、表中には、5回の測定により得られた5つの測定値のうち、最大値と最小値を除いた3つの測定値の平均をとり、初期値を100とする相対値(3人の被験者の平均値)を示した。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の試験結果から、本発明の実施例1は、比較例1に対し、15分後では約3.6倍、30分後では約2倍、45分後では約1.2倍の保湿効果があることが確認された。従って、ここで使用されるアルカリイオン水の本来の機能による効果(高い理化学的安定性、高い抗酸化力、皮脂等の汚れに対する溶解力、抗菌効果、消臭効果)に加え、今までになかったさっぱりした十分な保湿効果を期待できる化粧品を製造することができることが判り、更に、他の保湿成分や、ビタミン、抗酸化剤、育毛剤などを配合することにより、潤い効果、栄養促進効果、老化防止効果を有する化粧品を製造できることが判った。
【0030】
また、実施例1の化粧料組成物をについて、pH、酸化還元電位の経時的変化、及び、抗菌効果の試験(保存条件:室温10〜25℃、密閉)を行ったところ、製造後12ヵ月が経過しても、pHは12以上に維持され、一般細菌、真菌はともに検出されなかった。また、酸化還元電位は、製造後12ヵ月の時点で−12Vであった。この試験結果から、上記アルカリイオン水に対し0.23w/w%のグリコシルトレハロースを添加しても、上記アルカリイオン水の本来の機能は損なわれず、高い理化学的安定性、及び、抗菌効果を期待できることが確認された。
【0031】
尚、アルカリイオン水に対するグリコシルトレハロースの添加量を、1.0w/w%、12.0w/w%としても経時に変化なく、問題ないことが判った(下記表2参照)。保湿ローション化粧料としては、0.2〜2.0w/w%が好適である。乳液、クリーム化粧料には、1.0〜12.0w/w%が好適である。
【0032】
【表2】

【0033】
また、ポリオール系も、グリコシルトレハロースと同様に保湿効果が認められ、経時にも問題なく、グリコシルトレハロースの替わりにポリオール系を添加した場合も、十分な保湿効果を期待することができる。尚、ポリオール系の添加量は、保湿ローション化粧料としては、0.2〜2.0w/w%が好適である。乳液、クリーム化粧料には、1.0〜20.0w/w%が好適である。
【実施例2】
【0034】
次に、本発明の実施例2として、特開平8−24865号公報に記載されている方法によって製造したpH12.0以上のアルカリイオン水に、植物天然油脂を添加し、撹拌した場合における乳化現象を観察する試験を行った。具体的には、上記アルカリイオン水100mLにオレイン酸を10mL添加し、マグネットスターラで5分間撹拌して、乳化現象を観察したところ、容易に乳化することが確認され、乳化状態は24時間以上持続することが確認された。
【0035】
また、比較例として、水道水100mLにオレイン酸を10mL添加し、同様に撹拌して乳化現象を観察したところ、撹拌停止後すぐに分離した。尚、本発明の実施例2と同程度に乳化させるためには、水道水100mL、オレイン酸10mLに対し、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム溶液)を5mL添加する必要があることも確認された。これらの試験結果から、本発明の実施例2は、界面活性剤を使用せずに、乳液、或いは、クリーム化粧品を製造することができることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、グリコシルトレハロースを添加したことを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
前記グリコシルトレハロースの添加量を、前記アルカリイオン水に対し、0.23〜12.0w/w%の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、ポリオール系を添加したことを特徴とする化粧料組成物。
【請求項4】
前記ポリオール系の添加量を、前記アルカリイオン水に対し、0.1〜20.0w/w%の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
結晶性粘土鉱物が溶解した原料水を電気分解処理して得られたアルカリ性および酸性の各イオン水に、結晶性粘土鉱物をさらに溶解させるとともに、各イオン水を所定の電極側に供給して電気分解処理することにより生成したpH12.0以上のアルカリイオン水に、植物天然油脂を添加し、撹拌することにより乳化させたことを特徴とする化粧料組成物。
【請求項6】
前記植物天然油脂の添加量を、前記アルカリイオン水に対し、0.2〜10.0w/w%の範囲とすることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
上記化粧料組成物に、更に、セルロースパウダー、結晶セルロース、美白剤、育毛剤、又は、発毛剤を添加したことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記アルカリイオン水として、霧化放電処理を行ったものを用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧料組成物。

【公開番号】特開2011−111436(P2011−111436A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272078(P2009−272078)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(591087703)株式会社アロンワールド (13)
【出願人】(596055981)
【Fターム(参考)】