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アルカリ性着色被覆面の色とび及び色差抑制方法
説明

アルカリ性着色被覆面の色とび及び色差抑制方法

【課題】マグネシウム塩とカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物によって形成される着色被覆面を、色とびによる白色化や色むらなく全体にわたって一様に仕上げるために有用な方法を提供する。また、当該アルカリ性塗材組成物を重ね塗りした場合であっても、色差なく着色被覆面を全体にわたって一様に仕上げるために有用な方法を提供する。
【解決手段】顔料として着色顔料と白色顔料とを組み合わせて、カルシウム塩及びマグネシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物を着色することによって達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ性着色塗材組成物によって形成されるアルカリ性の着色被覆面において生じる、色とびを抑制するための方法に関する。また本発明は、アルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面における色差発生を抑制する方法に関する。さらに本発明は、着色被覆面を形成した際に、当該着色被覆面に生じる色とびまたは重ね塗りによる色差発生を抑制することができるアルカリ性着色塗材組成物、並びに当該アルカリ性着色塗材組成物で形成される建材に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ性の塗材組成物、特に気硬性のアルカリ性塗材組成物としては、従来より水酸化カルシウムや酸化カルシウム等のカルシウム塩を主成分とした漆喰組成物、並びにこれらのカルシウム塩と水酸化マグネシウムや酸化マグネシウム等のマグネシウム塩を主成分としたドロマイト組成物が知られている。
【0003】
こうした漆喰組成物やドロマイト組成物で代表されるアルカリ性の塗材組成物は、調湿性(吸湿性及び放湿性)、防カビ性及び防火性といった機能に優れているため、古くから建築の屋内外(壁や天井など)の塗り壁材として使用されている。かかる組成物は、主原料である石灰やドロマイトの色に基づいて元来白色を有しているが、近年、需要者のニーズの多様化に従って多彩な色に着色した塗材組成物が求められるようになっている。
【0004】
しかしながら、これらの塗材組成物は、pHが約10以上と極めてアルカリ性が高いため着色安定性が悪く、このため着色した塗材組成物を用いて形成された着色被覆面は色とびしやすく経時的に色褪せして色むらが発生することが問題となっている。またかかる塗材組成物は重ね塗りすることによって色差が発生しやすいため、塗工時の塗り継ぎが難しく、また補修に適さないという問題も指摘されている。このため、アルカリ性着色塗材組成物を安定に着色化して、着色被覆面の色とび、色むら及び色差発生を防止する方法の開発が求められている。
【0005】
なお、アルカリ性塗材組成物の着色に関する公知文献としては特許文献1及び2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平7−196355号公報
【特許文献2】特開平9−156968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アルカリ性塗材組成物によって形成される着色被覆面の色とびまたは色差発生という従来の問題を解決することを目的とする。具体的には本発明は、アルカリ性塗材組成物によって形成される着色被覆面の色とびまたは色差の発生を有意に抑制するための方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、色とびまたは色差の発生が抑制された着色被覆面を形成するために有効に用いられるアルカリ性着色塗材組成物、並びに当該アルカリ性着色塗材組成物によって形成される、色とびまたは色差発生が抑制された着色被覆面を有する建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的の達成を目指して日夜研究を重ねていたところ、カルシウム塩とマグネシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物に白色顔料を配合し、これをベースとして着色顔料で着色することによって、着色被覆面の色とびが有意に抑制され、しかも重ね塗りした場合でも、白色顔料を配合しない場合では生じていた色差が抑制されて、均一な色相を有する着色被覆面として仕上げることができることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて開発されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は下記項1〜5に掲げるアルカリ性塗材組成物で形成される着色被覆面の色とび抑制方法である:
項1.マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を、着色顔料と白色顔料を組み合わせて用いて着色することを特徴とする、水含有アルカリ性着色塗材組成物で形成される着色被覆面の色とび抑制方法。
なお、当該方法は、「マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物で形成される着色被覆面の色とびを抑制する方法であって、着色被覆面形成に用いる塗材組成物として、着色顔料と白色顔料とを組み合わせて着色した水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いることを特徴とする上記方法。」と言い換えることができる。
項2.上記アルカリ性塗材組成物が炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化炭酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウム塩、並びに炭酸カルシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのカルシウム塩を含有するか、または炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウム、硫酸カリウムマグネシウムカルシウム及びメタケイ酸マグネシウムカルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウムとカルシウムの複塩を含有するものである、項1に記載する着色被覆面の色とび抑制方法。
項3.上記アルカリ性塗材組成物が軽焼ドロマイト、消化ドロマイト及びドロマイトプラスターよりなる群から選択されるいずれかを含有するものである項1または2に記載する着色被覆面の色とび抑制方法。
項4.白色顔料として酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白およびジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を用いる項1乃至3のいずれかに記載する着色被覆面の色とびまたは色むら抑制方法。
項5.着色顔料と白色顔料を組み合わせて用いて着色したマグネシウム塩及びカルシウム塩を含む水含有アルカリ性着色塗材組成物を着色被覆面の形成に用いることを特徴とする、項1乃至4のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
【0009】
なお、上記項1〜5に掲げる色とび抑制方法には、下記の態様が包含される。また、下記の態様(a)〜(m)は上記項1〜5の各方法に1乃至複数組み合わせて用いることができる。
(a)水含有アルカリ性着色塗材組成物が、pH9〜13、好ましくはpH9.5〜13、さらに好ましくはpH10〜13を有するものである上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とびまたは色むら抑制方法。
(b)白色顔料として無機顔料を用いる上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(c)着色顔料として無機顔料を用いる上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(d)カルシウム塩が石灰成分である上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(e)カルシウム塩が水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(f)カルシウム塩が炭酸カルシウムまたはそれを含む複塩である上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(g)マグネシウム塩が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(h)マグネシウム塩が炭酸マグネシウムまたはそれを含む複塩である上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(i)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に結合剤を含有するものである上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(j)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に水を含有するものである上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(k)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(l)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
(m)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項1〜5のいずれかに記載の着色被覆面の色とび抑制方法。
【0010】
本発明が対象とするアルカリ性着色塗材組成物は、施工時(使用時)には水を配合した状態で用いられるが、着色段階並びに市場流通段階において特に水の配合有無を問うものではない。すなわち、本発明が対象とするアルカリ性着色塗材組成物は具体的には、少なくともマグネシウム塩、カルシウム塩、白色顔料及び着色顔料を含有し、必要に応じて結合剤やその他の任意成分を含有していてもよい粉体混合物であって、使用時に水を配合して用いられるものであってもよいし、またマグネシウム塩、カルシウム塩、白色顔料、着色顔料及び水を含有し、必要に応じて結合剤やその他の任意成分を含有していてもよい既調合済みの着色塗材組成物(水含有着色塗材組成物)であって現場で直ちに使用されるものであってもよい。
【0011】
また、上記方法によって調製した水含有アルカリ性着色塗材組成物によると、前述するように色とびが抑制されて所望の色を一様に有する着色被覆面が形成でき、しかも重ね塗りによって生じる色差を有意に抑制することができる。よって、本発明は下記項6〜9に掲げる方法を提供するものでもある:
項6.マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差を抑制する方法であって、被覆面形成に用いるマグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性塗材組成物を着色顔料と白色顔料を組み合わせて用いて着色することを特徴とする方法。
なお、当該方法は、「マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差を抑制する方法であって、被覆面形成に用いる塗材組成物として着色顔料と白色顔料を組み合わせて着色した水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いることを特徴とする上記方法。」と言い換えることができる。
項7.上記アルカリ性塗材組成物が炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化炭酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウム塩、並びに炭酸カルシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのカルシウム塩を含有するか、または炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウム、硫酸カリウムマグネシウムカルシウム及びメタケイ酸マグネシウムカルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウムとカルシウムの複塩を含有するものである、項6に記載する着色被覆面の色差発生を抑制する方法。
項8.上記アルカリ性塗材組成物が軽焼ドロマイト、消化ドロマイト及びドロマイトプラスターよりなる群から選択されるいずれかを含有するものである項6または7に記載する着色被覆面の色差発生を抑制する方法。
項9.白色顔料として酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白およびジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を用いる項6乃至8のいずれかに記載する着色被覆面の色差発生を抑制する方法。
【0012】
なお、上記項6〜9に掲げる方法には、それぞれ下記の態様が包含される。また、下記の態様(a)〜(m)は上記項6〜9の各方法に1乃至複数組み合わせて用いることができる。
(a)水含有アルカリ性着色塗材組成物が、pH9〜13、好ましくはpH9.5〜13、より好ましくはpH10〜13を有するものである上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(b)白色顔料として無機顔料を用いる上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(c)着色顔料として無機顔料を用いる上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(d)カルシウム塩が石灰成分である上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(e)カルシウム塩が水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(f)カルシウム塩が炭酸カルシウムまたはそれを含む複塩である上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(g)マグネシウム塩が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(h)マグネシウム塩が炭酸マグネシウムまたはそれを含む複塩である上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(i)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に結合剤を含有するものである上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(j)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に水を含有するものである上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(k)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(l)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
(m)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項6〜9のいずれかに記載の着色被覆面の色差発生抑制方法。
【0013】
また本発明は、着色被覆面を形成した場合に、着色被覆面に生じる色とびを抑制することのできるアルカリ性着色塗材組成物を調製する方法に関する。具体的には本発明は下記項10に掲げるアルカリ性着色塗材組成物の調製方法である:
項10.マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を用いて形成する着色被覆面の色とびを抑制するための水含有アルカリ性着色塗材組成物を製造する方法であって、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を着色顔料と白色顔料を組み合わせて着色し、水含有アルカリ性着色塗材組成物を調製することを特徴とする、上記方法。
【0014】
さらに本発明は、着色被覆面の形成に用いられる着色塗材組成物であって、着色被覆面を着色塗材組成物を重ね塗りすることによって形成した場合に、着色被覆面に生じる色差を抑制することのできるアルカリ性着色塗材組成物を調製する方法に関する。具体的には本発明は下記項11に掲げるアルカリ性着色塗材組成物の調製方法である:
項11.マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって形成される着色被覆面に生じる色差を抑制するための水含有アルカリ性着色塗材組成物を調製する方法であって、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を着色顔料と白色顔料を組み合わせて着色し、水含有アルカリ性着色塗材組成物を調製することを特徴とする、上記方法。
【0015】
なお、上記項10及び11に掲げる方法にはそれぞれ下記の態様が包含される。また、下記の態様(a)〜(n)は上記項10または11に1乃至複数組み合わせて用いることができる。
(a)水含有アルカリ性着色塗材組成物が、好ましくはpH9.5〜13、より好ましくはpH10〜13を有するものである上記項10または項11に記載の調製方法。
(b)白色顔料として無機顔料を用いる上記項10または項11に記載の調製方法。
(c)着色顔料として無機顔料を用いる上記項10または項11に記載の調製方法。
(d)カルシウム塩が石灰成分である上記項10または項11に記載の調製方法。
(e)カルシウム塩が水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項10または項11に記載の調製方法。
(f)カルシウム塩が炭酸カルシウムまたはそれを含む複塩である上記項10または項11に記載の調製方法。
(g)マグネシウム塩が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項10または項11に記載の調製方法。
(h)マグネシウム塩が炭酸マグネシウムまたはそれを含む複塩である上記項10または項11に記載の調製方法。
(i)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に結合剤を含有するものである上記項10または項11に記載の調製方法。
(j)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に水を含有するものである上記項10または項11に記載の調製方法。
(k)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項10または項11に記載の調製方法。
(l)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項10または項11に記載の調製方法。
(m)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項10または項11に記載の調製方法。
(n)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物に更に水、及び必要に応じて結合剤を配合し、耐水性容器に気密状態で収容することを特徴とする、上記項10または項11に記載の調製方法。
【0016】
さらにまた本発明は、上記項1乃至5のいずれかに記載する色とび抑制方法または項6乃至9のいずれかに記載する色差抑制方法を用いて形成されてなる着色被覆面を有する被覆物、言い換えれば上記項10または項11に記載する方法で調製された水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いて形成された着色被覆面を有する被覆物、特に建材に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アルカリ性の強い塗材組成物を均一に安定して着色することができ、塗材組成物の高いアルカリ性が原因と考えられる着色被覆面の色とび(白色化)を有意に抑制することができる。着色被覆面の色とび現象(白色化現象)は、着色被覆面の乾燥時の水蒸散、また被覆面の吸放湿性に伴う経時的な水蒸散によって顕著に認められる。よって、水含有アルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる色差の発生や経時的に生じる色むらは、特にかかる着色被覆面の色とび現象(白色化現象)が原因と考えられる。ゆえに、本発明の方法によれば、色とび(白色化)と同時にそれによる色むらの発生、並びに重ね塗りすることによって生じる色差の発生を抑制することができる。
【0018】
このように本発明において色材として着色顔料と白色顔料を併用して着色されたアルカリ性塗材組成物は、色とび(白色化)または色むらのない着色被覆面の形成に有用であるととともに、重ね塗りによる色差の発生並びに乾燥後の経時的な色むらの発生を抑制するために有効に使用することができる。特に本発明の方法で用いられる水含有アルカリ性着色塗材組成物によれば、色差なく重ね塗りすることが可能となることから、当該着色塗材組成物はタッチアップが効く、補修塗り可能な塗材組成物として提供することができる。本発明は、用時に水を配合して用いられる着色塗材組成物だけでなく、予め水を配合した既調合品(水含有着色塗材組成物)にも適用することができる。
【0019】
また本発明の水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いることにより、色むらや塗工時の塗り継ぎによる色差がなく、均一な色目を有した被覆面を有する被覆物(壁面、天井面、及び建材など)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。(a)は全体像、(b)は包装体をA−A’部で切断した場合の断面図を示す。
【図2】本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。
【図3】本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)色とび抑制方法
(1−1)例えばドロマイト系塗材組成物等のようにマグネシウム塩及びカルシウム塩を含む塗材組成物は、pHが約9〜13、特に9.5〜13とアルカリ性が極めて高いため、耐アルカリ性の着色顔料を使用した場合でも安定した着色が難しく、形成された着色被覆面も乾燥によってまた経時的に色褪せや色とびを生じやすい(後記実験例参照)。そして、それが色むらの原因になると考えられる。
【0021】
(1−2)本発明は、かかるマグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物によって形成される着色被覆面の色とびを抑制する方法を提供するものである。
【0022】
(1−3)当該方法は、着色被覆面の形成に用いるアルカリ性塗材組成物を、着色顔料と白色顔料を組み合わせて着色することによって達成することができる。具体的には、色材として着色顔料と白色顔料の両方を用いてマグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を着色し、当該着色された水含有アルカリ性塗材組成物を被覆面形成のための塗材として用いることによって、被覆対象物(塗装または塗工対象物)の表面に形成された着色被覆面について乾燥または経時的に生じる色とびを抑制し、さらに不均一な色とびによって生じる色むらの発生を有意に抑制することができる。なお、マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含む着色塗材組成物によって形成された着色被覆面の色とびは、前述するように上記組成物がアルカリ性であることに起因するものであり、着色被覆面が乾燥に伴ってまた経時的に白色化(カルシウム塩やマグネシウム塩の白色が浮き立つ現象)するという現象によって説明することができる。従って、本発明でいう「着色被覆面の色とび」とは「着色被覆面の白色化」をも意味するものであり、また上記でいう「不均一な色とびによって生じる色むらの発生」とは「不均一な白色化によって生じる色むらの発生」と言い換えることもできる。
【0023】
(1−4)本発明は、マグネシウム塩とカルシウム塩を主成分とするアルカリ性塗材組成物の着色に際して、当該アルカリ性塗材組成物と白色顔料との混合物を着色のベースとして、これを着色顔料で着色することによって、アルカリ性塗材組成物に対する着色の不安定性を解消するという発想に基づくものである。
【0024】
(1−5)ここで用いるアルカリ性塗材組成物としては、マグネシウム塩とカルシウム塩を含有し、アルカリ性を有する塗材組成物であれば特に制限されない。具体的には、水を配合して使用する際のpHが通常pH9以上、好ましくはpH9.5以上、より好ましくはpH9.5〜13の範囲、例えばpH10〜13、pH10.5〜13、またはpH11〜13の範囲にあるものを例示することができる。好ましくは気硬性を有するものである。
【0025】
(1−6)ここでマグネシウム塩としては、酸化マグネシウム(MgO)、過酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg[OH])、炭酸マグネシウム(MgCO)、水酸化炭酸マグネシウム(MgCO・Mg[OH])、ケイ酸マグネシウム(MgSiO)、メタケイ酸マグネシウム(MgSiO)、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム(Mg[SiF])、酢酸マグネシウム(Mg[CHCO)、硝酸マグネシウム(Mg[NO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、リン酸一水素マグネシウム(MgHPO)、リン酸マグネシウム(Mg[PO)、亜リン酸マグネシウム(MgPHO)、二リン酸マグネシウム(Mg)、フッ化マグネシウム(MgF)、硫化マグネシウム(MgS)、塩化マグネシウム(MgCl)、及び過塩素酸マグネシウム(Mg[ClO)などを挙げることができる。なお、これらの塩は複塩または水和物の形態を有していてもよい。中でも好ましくは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び水酸化炭酸マグネシウムである。
【0026】
(1−7)また、カルシウム塩としては、酸化カルシウム(CaO)、過酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム(Ca[OH])、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸カルシウム(CaSO)、亜硫酸カルシウム(CaSO)、チオ硫酸カルシウム(CaS)、硫酸カルシウムカリウム(CaSO・KSO)、塩化カルシウム(CaCl)、塩素酸カルシウム(Ca[ClO)、亜塩素酸カルシウム(Ca[ClO)、過塩素酸カルシウム(Ca[ClO)、次亜塩素酸カルシウム(Ca[ClO])、リン酸三カルシウム(Ca[PO)、リン酸四カルシウム(Ca[POO)、リン酸八カルシウム(Ca[PO)、二リン酸カルシウム(Ca)、亜リン酸カルシウム(CaPHO)、次亜リン酸カルシウム(Ca[PH)、メタリン酸カルシウム(Ca[PO)、リン酸一水素カルシウム(CaHPO)、リン酸二水素カルシウム(Ca[HPO])、水酸化トリス(リン酸)カルシウム(Ca[PO[OH])、塩化トリス(リン酸)五カルシウム(Ca[POCl)、フッ化トリス(リン酸)五カルシウム(CaF[POまたはCa10[PO)、酢酸カルシウム(Ca[CHCO)、シュウ酸カルシウム(CaC)、硝酸カルシウム(Ca[NO)、クエン酸カルシウム(Ca[C)、クロム酸カルシウム(CaCrO)、ケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)、ケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO)、ヘキサケイ酸五カルシウム(5CaO・6SiO)、ヘキサケイ酸六カルシウム(6CaO・6SiO)、ヘキサフルオロケイ酸カルシウム(Ca[SiF])、メタケイ酸カルシウム(CaSiO)、アルミノケイ酸一カルシウム(CaO・Al・2SiO)、アルミノケイ酸二カルシウム(2CaO・Al・SiO)、アルミノ鉄酸四カルシウム(4CaO・Al・Fe)、アルミン酸一カルシウム(CaO・Al)、アルミン酸三カルシウム(3CaO・Al)、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)、鉄酸二カルシウム(2CaO・Fe)、過マンガン酸カルシウム(Ca[MnO)、カルシウムシアナミド(CaCN)、シアン化カルシウム(Ca[CN])、炭化カルシウム(CaC)、フッ化カルシウム(CaF)、硫化カルシウム(CaS)などを挙げることができる。なお、これらの塩は複塩または水和物の形態を有していてもよい。中でも好ましくは、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムである。
【0027】
(1−8)また、マグネシウム塩とカルシウム塩は複塩を形成していてもよい。マグネシウム塩とカルシウム塩との複塩としては、例えば炭酸マグネシウムカルシウム(CaMg[COまたはCa[CO]・Mg[CO])、酸化マグネシウムカルシウム(MgO・CaO)、水酸化マグネシウムカルシウム(Mg[OH]・Ca[OH])、硫酸カリウムマグネシウムカルシウム(CaMg[SOまたはCaMg[SO)、及びメタケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMg[SiO)などを挙げることができる。なお、これらの複塩は水和物の形態を有していてもよい。中でも好ましくは、炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウムである。
【0028】
(1−9)アルカリ性塗材組成物に配合されるマグネシウム塩の割合(マグネシウム塩とカルシウム塩との複塩を含む場合は、含まれるマグネシウム塩の割合)は、本発明の課題及び効果を妨げないことを限度として特に制限されない。最終塗材組成物(着色塗材組成物)の固形分100重量%あたりの配合割合として通常0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜30重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましい配合割合としては1〜25重量%、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは5〜25重量%、よりさらに好ましくは10〜25重量%を例示することができる。
【0029】
(1−10)またアルカリ性塗材組成物に配合されるカルシウム塩の割合も、本発明の課題及び効果を妨げないことを限度として特に制限されない。例えば、最終塗材組成物(着色塗材組成物)の固形分100重量%あたりの配合割合として通常5〜95重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましい配合割合としては10〜95重量%、15〜95重量%、20〜85重量%、30〜80重量%、30〜70重量%、30〜60重量%、または30〜50重量%を例示することができる。
【0030】
(1−11)かかるアルカリ性塗材組成物としては、例えば軽焼ドロマイト(苦土生石灰)、消化ドロマイト(苦土消石灰)またはドロマイトプラスターを含有するドロマイト系組成物を挙げることができる。なお、当該ドロマイト系組成物は、マグネシウム塩及びカルシウム塩の含有量が例えば上記の割合となるように、酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を含有する組成物に上記軽焼ドロマイト、消化ドロマイトまたはドロマイトプラスターを配合して調製したものであっても、またドロマイトを含む石灰石を焼成し、消化・熟成して粉末化調製したものであってもよい。またアルカリ性塗材組成物として、マグネシウム塩及びカルシウム塩の含有量が例えば上記の割合となるように、酸化カルシウムや水酸化カルシウム等を含む石灰(生石灰、消石灰)に、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウムまたはメタケイ酸マグネシウムカルシウム等のマグネシウム塩またはその複塩を配合して調製した石灰系組成物を例示することもできる。なお、上記石灰は、主成分としての酸化カルシウムまたは/及び水酸化カルシウム以外に炭酸カルシウム(カルサイト,アラゴナイト,バテライト,塩基性炭酸カルシウム及び非晶質炭酸カルシウムなどの沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)などを含有していてもよい。
【0031】
(1−12)アルカリ性塗材組成物と組み合わせて用いられる白色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の別を問わないが、好ましくは無機の白色顔料を挙げることができる。具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料を挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは酸化チタン、または酸化チタンと他の白色顔料との組み合わせである。酸化チタンは、本発明の効果を備えるものであれば、ルチル形、アナタース形及びブルッカイト形のいずれも使用することができる。なお、酸化チタンは分散性や耐久性などの性能の向上を目的としてAl・nHOやSiO・nHO等の含水金属酸化物などで表面処理されていてもよい。
【0032】
(1−13)白色顔料の粒子径は、特に制限されない。例えば酸化チタンの場合、0.01〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.5μmを例示することができる(電顕法による一次粒子経)。
【0033】
(1−14)白色顔料の配合割合は、本発明の効果を奏するものであればよく、特に制限されない。好ましくは最終塗材組成物(着色塗材組成物)の固形分100重量%あたりの配合割合として、固形換算で例えば0.05重量%以上、通常0.25重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは2重量%以上、よりさらに好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上を例示することができる。白色顔料の配合割合が多くなるにつれて、得られる本発明の効果(色とび抑制効果、重ね塗りによる色差発生の抑制効果)もより高くなる。このため、発明の効果の点からは白色顔料の配合割合の上限は特に制限されないが、経済性並びに塗材の商品としての性能の点から上限としては40重量%程度、好ましくは30重量%程度、より好ましくは25重量%程度、更により好ましくは20重量%程度を挙げることができる。
【0034】
(1−15)アルカリ性塗材組成物に配合する着色顔料としては、白以外の有色顔料であれば、特に制限されない。また、本発明の効果を奏することを限度として有機顔料及び無機顔料の別を問わない。具体的にはカーボンブラックや酸化鉄(鉄黒)等の黒色顔料:カドミウムレッド,べんがら(赤色酸化鉄),モリブデンレッド、鉛丹等の赤色顔料:黄鉛(クロムイエロー),チタンイエロー,カドミウムイエロー,黄色酸化鉄(黄鉄),タン,アンチモンイエロー,バナジウムスズイエロー,バナジウムジルコニウムイエローの黄色顔料:酸化クロム,ビリジアン,チタンコバルトグリーン,コバルトグリーン,コバルトクロムグリーン,ビクトリアグリーン、フタロシアニングリーン等の緑色顔料:または群青,紺青,コバルトブルー,セルリアンブルー,コバルトシリカブルー,コバルト亜鉛シリカブルー等の青色顔料などを例示することができる。好ましくは、耐アルカリ性の着色顔料であり、より好ましくは、黒色酸化鉄(鉄黒)、べんがら(赤色酸化鉄)、または黄色酸化鉄(黄鉄)などの酸化鉄や群青等の酸化金属、またはカーボンブラックを主成分とする着色顔料である。なお、これらは1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせてもよく、所望の色になるように組み合わせや配合割合を適宜調整することができる。
【0035】
(1−16)また、着色顔料の配合割合は、使用する着色顔料の種類や希望する着色の色によって適宜調整することができ、特に制限はされない。通常、着色塗材組成物に含まれる白色顔料100重量部に対して0.01重量部以上、例えば0.01〜100重量部の範囲から適宜選択して用いることができる。例示を挙げれば0.05〜100重量部、0.1〜80重量部、0.1〜50重量部、0.2〜40重量部、0.5〜30重量部の範囲を挙げることができる。
【0036】
(1−17)塗材組成物の着色(調色)は、基本的に上記の各成分を混合して、例えばミキサー、シェーカー、ミル、ニーダーなど等の調合用機器を用いて混合することにより実施することができる。
【0037】
(1−18)本発明が対象とするアルカリ性塗材組成物には、その他の任意成分として、本発明の効果を妨げない範囲で体質顔料、充填剤(骨材)、結合剤、水、親水性高分子化合物、増粘剤、油、スサなどの繊維、光触媒、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、凍結融解安定剤、皮膜形成助剤、レオロジー調整剤、pH調整剤、イオン交換樹脂、界面活性剤、可塑剤、減水剤、防腐剤、抗菌剤、流動化剤、防水剤、凝結剤又は凝結促進剤等を配合することもできる。
【0038】
(1−19)ここで体質顔料としては、タルク,カオリンクレー,水酸化アルミニウム,ベントナイト,硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム、バライト粉)、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質(沈降性)炭酸カルシウム)、ホワイトカーボン、シリカなどを例示することができる。
【0039】
(1−20)充填剤(骨材)としては、例えば珪砂、寒水砂、パーライト,バーミキュライト,シラス球及び汚泥焼成骨材などの再生骨材等の無機質骨材(細骨材)の他、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ギブサイト、マイカ、セラミックサンド、ガラスビーズ、パーライト、酸性白土、陶石、ロウ石、長石、石灰石、石膏、ドロマイト(クリンカー)、マグネサイト、滑石、トルマリン、珪藻土などの天然無機質材料;水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、天然カルシウム等の水不溶性金属水酸化物;トベルモナイトやゾノトライト等のケイ酸カルシウム系水和物;カルシウムアルミネート水和物、カルシウムスルホアルミネート水和物等の各種酸化物の水和物;アルミナ、シリカ、含水ケイ酸、マグネシア、酸化亜鉛、スピネル、合成炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウムなどの合成無機質などの粉末状、繊維状もしくは粒状の無機材料を挙げることができる。
【0040】
(1−21)本発明が対象とする水含有アルカリ性着色塗材組成物は、乾燥することによって自ら硬化する気硬性を備えており、また特にドロマイトプラスターや酸化カルシウムを用いる場合にはそれら自身に粘着性(結着性)があるため、必ずしも結合剤は必要ではない。しかしながら、結合剤の使用を制限するものではなく、被覆(塗工)初期の接着性や被覆する対象面への付着性を高めるためには結合剤を配合することが望ましい。結合剤としては、塗材組成物に含まれる各成分同士の初期接着を高めたり、また塗材の施工面に対する付着力を高める性質を有するものであればよく、天然糊料(フノリ、海藻糊、銀杏糊など)、合成糊料(化学糊、ポリビニルアルコールなど)並びに合成樹脂をそれぞれ任意に使用することができる。
【0041】
(1−22)合成樹脂としては特に制限されない。通常、水溶性樹脂、水分散性樹脂またはこれらを乾燥した樹脂(粉末樹脂)が好ましく、具体的にはスチレン−アクリルエステル,スチレン−アクリロニトリル及びスチレン−アクリルアミド−アクリル酸エチルなどのスチレン/アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステルや酢酸ビニル−メタクリル酸エステル等の酢酸ビニル/アクリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル等のブタジエン/アクリル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体、塩化ビニリデン/アクリル共重合体、ベオバ/アクリル共重合体、アクリル共重合体、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/フマール酸エステル(例えば酢酸ビニル/フマール酸ジブチル等)、酢酸ビニル/マレイン酸エステル(例えば酢酸ビニル/マレイン酸ジブチル等);ベオバ/エチレン、アクリル変性・アルキド樹脂、アクリル変性・酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等のビニル系合成樹脂またはポリウレタン樹脂を例示することができる。但し、これらに制限されるものではない。耐候性の観点からは、アクリル系の樹脂が好ましい。アクリル系の樹脂としては特許第3094227号公報に記載される(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、または(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1つをモノマー成分として構成される重合体(ホモポリマー、コポリマー)を例示することができる(特許第3094227号公報、段落[0015]〜[0017]参照。当該特許公報の記載は本発明の明細書の記載として援用される)。
【0042】
(1−23)塗材組成物に配合する上記結合剤の割合は、特に制限されないが、例えば、最終着色塗材組成物の固形分100重量%あたりの結合剤の配合割合としては固形換算で通常1〜50重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。
【0043】
(1−24)本発明で用いられるアルカリ性着色塗材組成物は、使用時に水を配合して用いられる粉末組成物の形態であってもよいし、また予め水を配合した既調合済みの形態(液状やペースト状等)であってもよい。後者の場合、水の配合割合は特に制限されないが、好ましくは最終の水含有着色塗材組成物100重量%あたり水が10〜70重量%の割合で含まれるような範囲から適宜選択することができる。この場合、水含有着色塗材組成物は固形分が30〜90重量%の割合になるように調製される。具体的には、例えば水含有着色塗材組成物をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適した形態(所謂、塗料形態)に調製する場合には通常水が30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。また水含有着色塗材組成物を鏝塗りに適した形態(所謂、左官用塗材形態)に調製する場合には通常水が10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。
【0044】
(1−25)なお、水を配合した水含有着色塗材組成物は、塗料の場合はスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適した粘度を、または左官用塗材の場合は鏝塗りに適した粘度を有するように調製することが好ましい。拘束はされないが、水含有着色塗材組成物をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適するように調製する場合は、25℃で300cps以上、好ましくは300〜10,000cps、より好ましくは700〜10,000cpsの範囲に、また鏝塗りに適するように調製する場合は25℃で2,000〜30,000cps、好ましくは5,000〜20,000cpsの範囲になるように調整することができる。塗材組成物の粘度調整は、固形分含量(または水分含量)を調節したり、結合剤の種類やその配合割合を調節したり、また必要に応じてさらに増粘剤を配合して調節することができる。
【0045】
(1−26)ここで増粘剤は、水との相溶性がよく水溶性または水分散性を有し、耐アルカリ性であり、さらに本発明のアルカリ性塗材組成物の主成分であるマグネシウム塩やカルシウム塩と相溶性のあるものが好適に使用される。具体的にはカチオン性またはノニオン性の親水性高分子化合物を例示することができる。
【0046】
(1−27)カチオン性の親水性高分子化合物としては、第4級アンモニウム塩基やアミノ基等のカチオン性の親水性基を有するものを広く挙げることができる。具体的にはアミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(共)重合体、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは第4級アンモニウム塩、アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミド共重合体の塩もしくは第4級アンモニウム塩、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは4級塩、キトサンの塩酸塩,硫酸塩若しくは酢酸塩、カチオン化デンプン、ポリエチレンイミン、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物の共重合物、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどが例示される。
【0047】
(1−28)またノニオン性の親水性高分子化合物としては、水酸基、エーテル基、アミド基等の非イオン性の親水性基を有するものを広く挙げることができる。具体的にはポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガムのガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。
【0048】
(1−29)好ましくは、本発明のアルカリ性塗材組成物中に存在するマグネシウム塩やカルシウム塩等の電解性物質の挙動に影響を与えず、その存在に関わらず使用できる点から、ノニオン性の親水性高分子化合物である。中でも好ましくはセルロース誘導体である。
【0049】
(1−30)また、増粘剤として水酸基を有する親水性高分子化合物を用いることもできる。ここで水酸基を有する親水性高分子化合物として、具体的には燐酸デンプン、カチオン化デンプン、デンプン/アクリル酸/アクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどのデンプン類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、カラギーナン、アルギン酸またはその塩、キトサンまたはその塩、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、カードラン、プルラン、キチン、タマリンドシードガム、デキストラン、デキストリンなどの多糖類;ポリビニルアルコール;グリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを例示することができる。
【0050】
(1−31)好ましくは、水酸基を有するノニオン性の親水性高分子化合物である。かかるものとして、具体的には、ポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガム等のガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。好ましくは、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体である。
【0051】
(1−32)なお、制限はされないが、セルロース誘導体が、メトキシル基またはエトキシル基を有するものである場合、その置換度(セルロースのグルコース環単位あたり、メトキシル基またはエトキシル基で置換された水酸基の平均個数)としては1〜2.5、好ましくは1.3〜2を好適に例示することができる。また、ヒドロキシプロポキシル基またはヒドロキシエトキシル基を有するものである場合、その置換モル数(セルロースのグルコース環単位あたりに付加したヒドロキシプロポキシル基またはヒドロキシエトキシル基の平均モル数)としては0.1〜0.8、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.15〜0.3を挙げることができる。
【0052】
(1−33)上記の各親水性高分子化合物は、分子量を特に制限するものではないが、好ましくは2%水溶液(20℃)の粘度に換算して、約3,000〜20,000mPa・s、好ましくは約4,000〜15,000mPa・sを有するものである。かかるものとして、制限はされないが、分子量が1000〜100万の範囲にある親水性高分子化合物を適宜選択して使用することができる。好ましくは5000〜100万、より好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは10万〜50万の分子量を有するものを使用することができる。
【0053】
(1−34)アルカリ性塗材組成物に配合する上記各種の親水性高分子化合物の割合は、特に制限されず、最終組成物である着色塗材組成物の固形分100重量%あたりに含まれる割合として固形換算(総量)で通常0.01〜3重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.03〜2重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。なお制限はされないが、水を配合した着色塗材組成物(水含有着色塗材組成物)100重量%中に親水性高分子化合物が0.003〜2.5重量%、好ましくは0.009〜1.5重量%、より好ましくは0.015〜1.5重量%、さらに好ましくは0.03〜0.8重量%の割合で含まれるように調整することが望ましい。
【0054】
(1−35)上記の親水性高分子化合物によれば、水を配合した最終の着色塗材組成物(水含有着色塗材組成物)の粘度を所望な粘度に調整することができるとともに、水中でのマグネシウム塩やカルシウム塩の凝集、並びにそれによる色分かれや固液分離(固形分の沈殿や離水)をより有効に防止することができ、これによって形成される着色被覆面に色むらが発生するのを有意に防止することができる。
【0055】
(1−36)また他の増粘剤としてセメントやコンクリートの分野で使用される増粘剤の中から本発明の効果を妨げないものを任意に選択し使用することもできる。好ましくは電解性のない非イオン性の増粘剤である。
【0056】
(1−37)また任意成分である油としては、従来より漆喰の施工に使用されている油を広く使用することができる。例えば菜種油、亜麻仁油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、月見草油、大豆油、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、胡麻油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、エマ油、キリ油、ニガー種子油、カポック油、紅花油、むらさき種子油、サクラソウ種子油、ツバキ油等の各種の植物油を挙げることができる。
【0057】
(1−38)光触媒としては光触媒活性を有する酸化物を例示することができる。かかる光触媒活性を有する酸化物としては、酸化チタン、酸化ルビジウム、酸化コバルト、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ロジウム、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化第二鉄、三酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ルテニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化モリブデン、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化ニオブ及び酸化タンタルなどの無機酸化物が例示できる。
【0058】
(1−39)顔料分散剤及び湿潤剤としては、いずれも通常塗料や塗材に配合して用いられるものの中から適宜選択することができ、例えばアルキルナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物、低分子ポリアクリル酸アンモン、低分子量スチレン−マレイン酸アンモン共重合体、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルやアルキルフェノールエーテル、スルホコハク酸誘導体、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマーなどを例示することができる。
【0059】
(1−40)消泡剤としては、通常塗料、塗材や建築用吹き付け材に配合して用いられるものの中から適宜選択することができる。例えば、オクチルアルコール、グリコール誘導体、シクロヘキサン、シリコン、プルロニック系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の各種の抑泡剤及び破泡剤を挙げることができる。
【0060】
(1−41)防水剤としては、特に制限されないが、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、オルガノアルコキシシラン等を例示することができる。
【0061】
(1−42)凝結剤又は凝結促進剤としても特に制限されない。例えば、塗材組成物中に硫酸カルシウムを含む場合は、該硫酸カルシウムの水和硬化性発現を補助もしくは増強する作用を有するものを使用することが好ましい。かかる作用を有するものとして、具体的には硫酸カリウム、ミョウバン、二水セッコウの微粉末、シュウ酸などの有機酸などが例示できる。
【0062】
(1−43)斯くして調製されるアルカリ性着色塗材組成物は、アルカリ性塗材組成物と白色顔料との混合物が着色のベースとなって着色顔料で着色されることによって着色が均一で且つ安定になされている。このため塗工(塗装)に際して色むらなく被覆面(塗膜)が形成できるとともに、乾燥や経時的に生じる被覆面からの不均一な色とび(白色化)が抑制されて、着色被覆面における色むら発生を有意に抑制することができる。
【0063】
(1−44)被覆面(塗膜)の形成は、塗材や塗料の塗工(塗装)、特に建築物の壁面や天井面またはボードやクロスなどの建材の塗工(塗装)に使用される通常の方法〔例えば、ロールコーター、フローコーターによる塗装、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)、鏝塗り等〕を任意に使用して行うことができる。
【0064】
(1−45)着色被覆面での色とびを抑制する方法に関する本発明で採用されるアルカリ性塗材組成物の着色方法は、またマグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含有するアルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによる色差発生(下塗面と上塗面との色差[被覆面の色度、色彩、色相または色調の差])の抑制にも有効に使用することができる。ゆえに、本発明の色とび抑制方法は、同時にマグネシウム塩とカルシウム塩を含有する水含有アルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差を抑制する方法として用いられる。実験例3で示すように、カルシウム塩として主に石灰成分(水酸化カルシウム、酸化カルシウム)等の強アルカリ成分を用いた場合、水含有着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差は、アルカリによって着色顔料の色とびが促進されることによって生じる白色化(石灰の白色が浮きたつ現象)が原因であると考えられる。一方、カルシウム塩として比較的中性域に近い炭酸カルシウムを主成分として用いた場合、水含有着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差は、重ね塗りによる着色顔料の重層化(濃色化)が原因であると考えられる。実験例2及び3で示すように、本発明の色とび抑制方法で採用されるアルカリ性塗材組成物の着色方法によれば、カルシウム塩として主にアルカリ性の強い石灰を含有する着色被覆面において生じる色とびによる白色化、またそれを原因とする色むらの発生、並びに重ね塗りによる色差発生を有意に抑制することができる。
【0065】
(1−46)本発明の方法は、好適には着色被覆面の、特に色とびによる白色化を原因とする色むらや重ね塗りによる色差発生が化粧材や壁面や天井などの仕上げ面としての価値を損なわない程度に抑制されることを効果とするものであるが、白色顔料を併用することによって、白色顔料を用いない場合よりも、色むらや重ね塗りによる色差発生に対する抑制効果が認められる限り、本発明の技術的範囲に属するものである。
【0066】
(2)重ね塗りによる色差発生抑制方法
(2−1)上記(1−45)で述べるように、(1)に記載する本発明の色とび抑制方法において採用される着色方法によって着色された塗材組成物を用いると、重ね塗りしても色差発生が有意に抑制されて塗り継ぎの目立たない、均一な色調(色相)を有する着色被覆面を形成することができる。よって、本発明は別の角度から、マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物について、重ね塗りによって生じる着色被覆面の色差発生を抑制する方法を提供するものである。
【0067】
(2−2)当該方法は、アルカリ性塗材組成物の着色方法として(1)で詳述する方法を採用することによって達成することができる。具体的には、マグネシウム塩とカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を、着色顔料と白色顔料を組み合わせて用いて着色することによって実施することができる。言い換えれば、本発明は、着色被覆面の形成に用いる着色塗材組成物として、マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性塗材組成物、並びに白色顔料及び着色顔料を含有する組成物を用いることによって実施することができる。
【0068】
(2−3)ここでアルカリ性塗材組成物の着色(着色塗材組成物の調製)に使用されるマグネシウム塩とカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物の種類や配合量、白色顔料及び着色顔料の種類や配合量、及びこれらの調合方法などは前述(1)に記載のものを同様にして用いることができる((1−5)〜(1−17)等参照)。また、アルカリ性着色塗材組成物に配合し得る他の成分についても、前述(1)の記載と同様のものを用いることができる((1−18)〜(1−42)参照)。
【0069】
(2−4)また、水含有アルカリ性着色塗材組成物による着色被覆面の形成方法も特に制限されず、上記(1−44)に記載するように塗材や塗料の塗工に使用される通常の方法〔ロールコーター、フローコーター、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)、鏝塗りなど〕を同様に利用することができる。
【0070】
(3)アルカリ性着色塗材組成物
(3−1)本発明はまた上記(1)の色とび抑制方法、並びに上記(2)の色差発生抑制方法で採用される着色方法によって着色されることによって、着色被覆面を形成した場合に着色被覆面の色とび(白色化)または色むら発生が抑制されてなるアルカリ性着色塗材組成物、並びに重ね塗りによって着色被覆面を形成した場合に色差の発生(特に着色被覆面の色とび(白色化)に起因する色差発生)が抑制されてなるアルカリ性着色塗材組成物を提供する。
【0071】
(3−2)すなわち、本発明のアルカリ性着色塗材組成物は、色材として着色顔料と白色顔料を組み合わせて用いて着色されてなるマグネシウム塩とカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物である。
【0072】
(3−3)ここでマグネシウム塩とカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物はアルカリ性を有するものであるが、具体的には水を配合して使用する際のpHがpH9〜13、好ましくはpH9.5〜13の範囲、例えばpH10〜13、pH10.5〜13、またはpH11〜13の範囲にあるものを例示することができる。特に好ましくは気硬性を有するものである。
【0073】
(3−4)マグネシウム塩としては上記(1−6)に記載する各種のマグネシウム塩を挙げることができる。好ましくはドロマイトまたはその加工物に含まれるマグネシウム塩であり、かかるものとしては、例えば酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムまたはこれらのマグネシウム塩を含む複塩を挙げることができる。かかる複塩としては、例えば(1−8)に掲げるマグネシウム塩とカルシウム塩との複塩を好適に挙げることができる。
【0074】
(3−5)カルシウム塩としては上記(1−7)に記載する各種のカルシウム塩を挙げることができる。好ましくは石灰またはその加工物に含まれるカルシウム塩であり、かかるものとしては、例えば水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウムまたはこれらのカルシウム塩を含む複塩を挙げることができる。
【0075】
(3−6)なお、着色塗材組成物中におけるこれらのマグネシウム塩やカルシウム塩の配合割合やこれらを含むアルカリ性塗材組成物の調製方法としては、前述(1)の記載を同様に挙げることができる((1−9)〜(1−11)等参照)。
【0076】
(3−7)またアルカリ性塗材組成物の着色(アルカリ性着色塗材組成物の調製)に使用される白色顔料及び着色顔料の種類や配合量、及びこれらの調合方法などは前述(1)に記載のものを同様にして用いることができる((1−12)〜(1−17)等参照)。また、アルカリ性着色塗材組成物に配合し得る他の成分についても、前述(1)の記載と同様のものを用いることができる((1−18)〜(1−42)参照)。
【0077】
(3−8)当該アルカリ性着色塗材組成物は、使用時に水を配合して用いられる粉体組成物の形態を有していてもよいし、また予め水を配合した既調合済みの形態(液状、ペースト状等)を有していてもよい。前者の場合は、使用時に水を配合して、ロールコーター、フローコーター、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗りまたは鏝塗りなどの各塗工方法に応じて各々に適した粘度に調整してから被覆面形成に用いられる。被覆面の形成は、塗材や塗料の塗工に使用される通常の方法〔ロールコーター、フローコーター、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)、鏝塗り〕で行うことができる。
【0078】
(4)建材(被覆物)
(4−1)本発明はまた上記(1)の色とび抑制方法、または(2)の重ね塗りによる色差発生抑制方法で採用される着色方法で着色されたアルカリ性着色塗材組成物で形成された着色被覆面を有する被覆物を提供する。
【0079】
(4−2)アルカリ性着色塗材組成物を塗布・塗工する基材(被塗布物)としては、特に制限されることはないが、好適には建築物の天井や壁(内・外壁)の下地材や化粧材として用いられる各種の建材、例えばクロス、ボード、及びパネル等を挙げることができる。また、トンネル壁材、ガードレール材、遮音壁材、防護壁材、及び橋梁構造物として用いられる各種の土木用の部品、例えばパネル、ボードを挙げることができる。すなわち、本発明が対象とする被覆物としては、具体的にはアルカリ性着色塗材組成物で形成された着色被覆面を有する上記天井や壁(内・外壁)、化粧材として用いられる各種の建材(例えばクロス、ボード、及びパネル等)、並びにトンネル壁材、ガードレール材、遮音壁材、防護壁材、及び橋梁構造物等の各種の土木部材を挙げることができる。
【0080】
(4−3)クロスとしては、例えば建築用の内装(室内の壁や天井等)に用いられるクロス材料を広く挙げることができる。クロス材料としては紙や各種繊維からなる不織布または織布等の繊維質シートを挙げることができる。具体的には、紙としては和紙、洋紙(上質紙、中質紙)、クラフト紙、薄葉紙、裏打紙、樹脂含浸紙、ボール紙及び厚紙のいずれでもよい。これらの中には、難燃処理を施した紙であって壁紙施工に適したもの、例えば難燃性裏打紙や不燃紙なども包含される。繊維質シートとしては、例えば天然繊維;ガラス繊維;またはポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を挙げることができる。なお、上記素材は1種単独で用いられても、また2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0081】
(4−4)ボード及びパネルとしては、例えば建築用の内装(室内の壁や天井等)や外装に用いられるボード材料及びパネル材料を広く挙げることができる。具体的には、木質板、合板、中密度繊維板、プラスチック板、セメントモルタル、石綿セメント珪酸カルシウムボード、中空セメント板、木毛セメント板、鋼板パネル、コンクリート板、PCパネル、ALCパネル、石綿スレート、石膏ボード、パーティクルボード、発泡セメントボード、木片セメント板、ケイ酸カルシウムボード、サイディングボード等を例示することができる。好ましくは石膏ボード、パーティクルボード、木質板、中密度繊維板、ケイ酸カルシウムボード、プラスチック板、及びサイディングボード(金属系及び窯業系を含む)等である。また、トンネル壁材、ガードレール材、遮音壁材、防護壁材、及び橋梁構造物の各種部材として用いられるボード材料及びパネル材料を挙げることができる。
【0082】
(4−5)これらの基材(被塗布物;建築用部材、土木用部材)への着色塗材組成物の塗工(塗布)方法は、特に制限されず、ロールコーターやフローコーター、刷毛、ローラー、または鏝等を用いる塗付け方法、及びスプレーや各種ガンを用いた吹きつけ方法等の慣用法を挙げることができる。基材に塗布された着色塗材組成物は乾燥することによって硬化し、基材表面に被覆面(塗膜)が形成される。乾燥は自然乾燥、通風乾燥、強制乾燥、及び加熱乾燥の任意の方法によって実施できる。好ましくは自然乾燥である。なお、必要に応じて、さらに形成された被覆層の表面を凹凸模様付きのローラーや鏝尚で意匠を施したり、ヤスリや各種研磨機で研磨刷りをして仕上げることもできる。
【0083】
(4−6)本発明の着色塗材組成物で形成される被覆層の厚さは、基材(被塗布物)の塗布面が十分に隠蔽被覆される厚さであれば特に制限されないが、通常0.1〜8mm厚、好ましくは0.2〜5mm厚の範囲から適宜選択することができる。
【0084】
(5)水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法
(5−1)上記(1)に記載する方法によって着色され、着色被覆面での色とびの発生が抑制されてなるアルカリ性着色塗材組成物は、好適には気硬性であるため、予め水を配合した状態で調製することができる。水を配合したアルカリ性着色塗材組成物(水含有着色塗材組成物)は、耐水性容器に充填し気密状態で収容されることによって安定に維持することができる。
【0085】
(5−2)ここで水含有着色塗材組成物を収容するために使用される容器は、耐水性であることが必須であるが、さらに気密性を有していることが好ましい。特にアルカリ性塗材組成物が、マグネシウム塩として水酸化マグネシウムを、またカルシウム塩として水酸化カルシウムを含有する組成物である場合には、それらの二酸化炭素吸収による固化を防止するために二酸化炭素バリア性を有していることが好ましい。かかる二酸化炭素バリア性を有する容器としては、容器内に収容された水含有着色塗材組成物が悪影響(固化)を受けない程度に二酸化炭素透過抵抗性を有するものであればよい。例えば、通常の塗料用容器(缶)の他、可撓性容器を構成するフィルムもしくはシートからなる容器も素材及びその厚さを適宜選択することによって用いることができる。
【0086】
(5−3)後者の場合、一般に二酸化炭素バリア性素材として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、各種の(ポリ)塩化ビニリデンコートフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)コートフィルム、ポリエステル(特にPVDCコートポリエステル)、ナイロン(特にPVDCコートナイロン)、ポリビニルアルコール、ビニロン、塩化ビニリデン、セロハン(ラッカーコートセロハン、ポリマーコートセロハン)、アルミ箔ラミネートフィルム、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機物質の蒸着フィルムなどの合成樹脂が知られている。本発明においては、特に制限されることなく二酸化炭素バリア性のあるフィルムを任意に選択して使用することができる。なお、一般に、本発明が対象とする水含有着色塗材組成物を耐水性容器に気密状態で収容し、常温(20±5℃)で少なくとも1ヶ月間保存した場合に、内部の塗材組成物に硬化が認められない場合は、当該容器は二酸化炭素バリア性があると判断できる。
【0087】
(5−4)好適な容器としては、上記素材に限定されることなく、200g/m/24hrs/atm(20℃、dry)以下の二酸化炭素透過度を有するフィルムで構成されたものを例示することができる。好ましくは100g/m/24hrs/atm(20℃、dry)以下、より好ましくは50g/m/24hrs/atm(20℃、dry)以下、さらに好ましくは20g/m/24hrs/atm(20℃、dry)以下、さらに好ましくは10g/m/24hrs/atm(20℃、dry)以下である(ASTM D1434−58、厚さ25.4μ)。このような二酸化炭素バリア性を有する容器は、公知のガスバリア性素材、特に二酸化炭素透過バリア性素材の厚みを調整したり、フィルムを該素材からなるラミネート層を含むように2層以上の複層若しくは多層フィルムとして調製することで達成することができる。
【0088】
(5−5)さらに容器は、内部に収容した塗材組成物から水分が蒸散することによる乾燥固化をより強固に防止して安定性を高めるために、さらに水蒸気バリア性を備えていることが好ましい。
【0089】
(5−6)かかる水蒸気バリア性は、容器内に収容された塗材組成物が悪影響(乾燥固化)を受けない程度に、水蒸気透過抵抗性を有するものであればよい。例えば、通常の塗料用容器(缶等)の他、可撓性容器を構成するフィルムもしくはシートからなる容器も素材及びその厚さを適宜選択することによって用いることができる。
【0090】
(5−7)後者の場合、水蒸気バリア性素材として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、各種(ポリ)塩化ビニリデンコートフィルム、防湿セロハン(ラッカーコートセロハン、ポリマーコートセロハン)、ポリエステル、PVDCコートポリエステル、PVDCコートナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度、特に高密度ポリエチレン)、リニアローデンポリエチレン、延伸ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アルミ箔ラミネートフィルム、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機物質の蒸着フィルムなどの合成樹脂が知られている。本発明では、好適には、特に制限されることなく水蒸気バリア性のあるフィルムを任意に選択して使用することができる。なお、一般に、本発明が対象とする水含有着色塗材組成物を耐水性容器に気密状態で収容し、常温(20±5℃)で少なくとも1ヶ月間保存した場合に、内部の塗材組成物に乾燥固化が認められない場合は、当該容器は水蒸気バリア性があると判断できる。
【0091】
(5−8)好適な容器としては、上記素材に限定されることなく、40g/m・24hrs(37.8℃、90%RH)以下の水蒸気透過度を有するフィルムで構成されたものを例示することができる。水蒸気透過度として、好ましくは30g/m・24hrs(37.8℃、90%RH)以下、より好ましくは20g/m・24hrs(37.8℃、90%RH)以下、さらに好ましくは10g/m・24hrs(37.8℃、90%RH)以下である(ASTM E−96、厚さ25.4μ)。このような水蒸気バリア性は、公知の水蒸気バリア性素材の厚みを調整したり、フィルムを該素材からなるラミネート層を含むように2層以上の複層若しくは多層フィルムとして調製することで達成することができる。
【0092】
(5−9)さらに本発明で使用する容器として好適な容器としては、耐水性を備え、好ましくはさらに可撓性、より好ましくは二酸化炭素バリア性及び水蒸気バリア性を有するものである。かかる容器は、一種の樹脂から構成される単層フィルムからなるものであっても、また2種以上の樹脂フィルムの積層構造(ラミネート層またはコート層)を有する複層若しくは多層フィルムからなるものであってもよい。また、なお、無延伸フィルム、延伸フィルム(一軸延伸、二軸延伸)の別を問うものではない。好ましくは少なくとも一面がポリビニルアルコール(PVA)樹脂でコーティングされたフィルム(PVAコート2軸延伸ポリプロピレンフィルムなど)、少なくとも一面がポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂でコーティングされたフィルム(PVDCコート2軸延伸ポリプロピレンフィルム、PVDCコートポリエステルフィルム、PP/PVDC/PPなど)、ポリオレフィン無延伸共押出多層フィルム(PP/PE/PP、ポリオレフィン(PE,PP等)/ポリ塩化ビニリデン/ポリオレフィン)などが例示されるが、特にこれらに制限されるものではない。
【0093】
(5−10)上記においてさらにより最適な容器としては強度、耐衝撃性、耐ピンホール性、ヒートシール性、または耐アルカリ性といった性質に優れた合成樹脂を素材とするフィルムから構成されることが好ましい。かかる種々異なる性質を充足させるために、複層又は多層フィルムを使用してもよい。この場合、少なくとも容器の内側層に耐アルカリ性及びヒートシール性を持たせることが好ましい。
【0094】
(5−11)特に容器中に収容する水含有着色塗材組成物の液性から、本発明で用いる容器は少なくとも該塗材組成物と接触する内側面が耐アルカリ性を有するものであることが好ましい。このためには、耐アルカリ性容器を用いる方法、フィルムや缶などの容器の内側面を耐アルカリ性樹脂でコーティングする方法、フィルムの内側面に耐アルカリ性樹脂フィルムを採用する方法などを用いることができる。耐アルカリ性樹脂としては塩化ビニル、酢酸ビニル、ウレタン樹脂などを例示することができる。好ましくはビニルポリマーの単独重合体(例えば、重量平均分子量2万以上のものが例示される)もしくは共重合体及び/または耐アルカリ性ウレタン樹脂(例えば、重量平均分子量10万以上のものが例示される)を含むものであり、特にポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を好適に例示することができる。なお、本発明において耐アルカリ性とは、内容物である塗材組成物を入れて常温で3ヶ月、好ましくは6ヶ月放置した場合でも、目視で容器フィルムの溶解や腐蝕が観察されないことをいう。より好適には下記の加速試験で耐アルカリ性が得られるものを用いることが望ましい。
【0095】
(5−12)<耐アルカリ性評価の加速試験>
耐水性容器に1規定の水酸化カリウム水溶液を入れ、50℃の恒温器中に6時間放置し、次いで室温に18日間放置した後に、水酸化カリウム水溶液を取り出して、目視で容器内面の溶解や腐蝕の有無を評価する。
【0096】
(5−13)フィルムの場合、採用する厚さ(容器の厚さ)は、上記二酸化炭素バリア性および水蒸気バリア性を充足することを限度として特に制限されないが、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜200μmである。厚さが2μm未満であると、強度、耐衝撃性、耐ピンホール性及び二酸化炭素透過バリア性が不十分となり易く、また300μmを著しく超えると可撓性(柔軟性)や透明性が不十分になりやすい。より好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。
【0097】
(5−14)さらに本発明で用いる容器は、使用時に開封しやすいように、易引裂性を備えていてもよい。易引裂性技術としては従来公知の技術を任意に使用することができ、例えばVノッチやUノッチの形成、ティアテープ使用、針状フィラーの使用、ミシン目形成、またはフィルム表面に微細な傷を付ける等の方法が例示できる。また、上記性質を充足することを限度として、フィルムの中間層に一軸延伸ポリオレフィンフィルムをラミネートした易開封性材料(例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム/一軸延伸ポリオレフィンフィルム/無延伸ポリオレフィンフィルムの三層ラミネートフィルムなど)を使用することもできる。また本発明で用いる容器は、開口部にジッパーなどの再閉鎖手段を備えていてもよい。
【0098】
(5−15)かかる耐水性容器への塗材組成物の充填・密封方法は特に制限されないが、好ましくは、充填時に空気ができるだけ混入しないように充填し、次いで充填口をヒートシール(バーシール、熱溶融シール、熱溶断シール)、インパルスシール、高周波シールまたは超音波シールなどの常法に従って気密封鎖(密封)する方法を挙げることができる。なお、空気ができるだけ混入しないように充填する方法としては、例えば脱気条件、真空条件またはNガス置換条件下で充填する方法や塗材組成物を容器に充填した後、脱気しながら充填口を封鎖する方法を例示することができる。
【0099】
(5−16)斯くして耐水性容器に充填収容された水含有着色塗材組成物は、かかる所謂包装体の形態で、容器が開封されるまで、調製時の均一な状態を安定に保つことができる。特に固化や離水、色分かれといった内容成分の不均一化が有意に防止された状態で、水含有着色塗材組成物を安定に維持することができる。容器が開封された後は、内容物が空気と接触することによって経時的に硬化または固化するが、再び空気が入らないように密封することによって防止することができる。水含有着色塗材組成物は、好ましくは1回もしくは2〜3回で使い切れるような用量で容器に収容されていることが望ましい。かかる内容重量としては制限されないが一例として0.5〜5kgを例示することができる。容器として可撓性容器を用いて調製される包装体の例を図1〜2に示す。なお、ここで容器内部に収容される水含有着色塗材組成物は、例えば25℃で少なくとも2,000cpsの粘度を有する塗材として用いられるものが望ましい。
【0100】
(5−17)なお、本発明には下記に掲げる発明が包含される;
項11.マグネシウム塩、カルシウム塩、水及び必要に応じて結合剤を含むアルカリ性塗材組成物の着色を白色顔料と着色顔料を用いて行い、得られる水含有着色塗材組成物を耐水性容器に気密状態で収容することを特徴とする、水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
項12.水含有着色塗材組成物を耐水性容器に脱気充填して密封することを特徴とする、項11に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
【0101】
なお、当該着色塗材組成物の安定化法には、下記の態様が包含される。また、これらの態様(a)〜(p)は1つまたは複数組み合わせて上記安定化方法に用いることができる。
(a)水含有アルカリ性塗材組成物が、pH9.5〜13、好ましくはpH10〜13を有するものである上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(b)白色顔料として無機顔料を用いる上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(c)着色顔料として無機顔料を用いる上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(d)カルシウム塩が石灰成分である上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(e)カルシウム塩が水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(f)カルシウム塩が炭酸カルシウムまたはそれを含む複塩である上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(g)マグネシウム塩が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(h)マグネシウム塩が炭酸マグネシウムまたはそれを含む複塩である上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(i)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に結合剤を含有するものである上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(j)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に水を含有するものである上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(k)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(l)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(m)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(n)着色塗材組成物の色の安定化方法である、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(o)耐水性容器として二酸化炭素バリア性の容器を用いる、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
(p)耐水性容器として水蒸気バリア性の容器を用いる、上記項11または12に記載の水含有アルカリ性着色塗材組成物の安定化法。
【0102】
(6)包装体
(6−1)本発明はまた前述する水含有着色塗材組成物の安定化のために使用される包装体を提供する。
【0103】
当該包装体は、マグネシウム塩とカルシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物、着色顔料、白色顔料及び水を含有するアルカリ性着色塗材組成物を耐水性容器に充填し収容して包装体にしたものである。当該包装体によれば、着色顔料と白色顔料とを併用して調合・調色されてなる上記水含有アルカリ性着色塗材組成物を、耐水性容器に気密に収容されることによって、色分かれや乾燥による固化(固液分離)等の不都合なく水含有着色塗材組成物を均一に着色した状態で安定に保持することができる。
【0104】
(6−2)包装体の内容成分、すなわちアルカリ性着色塗材組成物の調製に使用されるマグネシウム塩とカルシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物の種類や配合量、白色顔料及び着色顔料の種類や配合量、水の割合及び調合方法などは前述(1)に記載のものを同様にして利用することができる((1−5)〜(1−17)等参照)。また、かかる着色塗材組成物を収容する容器の種類、及び収容する方法などについても前述(5)に記載のものをそのまま利用することができる((5−1)〜(5−16)参照)。
【0105】
(6−3)なお、包装体に収容する水含有着色塗材組成物にはさらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合することもできる。これによってマグネシウム塩とカルシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物、着色顔料、白色顔料及び水を含有する着色塗材組成物について、経時的に生じ得る沈殿や離水などの固液分離の発生を有意に予防することができ、より一層水含有着色塗材組成物の安定性を維持することができる。なお、ここで用いられるカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物または水酸基を有する親水性高分子化合物水酸基を有するノニオン系の親水性高分子化合物の種類やその割合についても前述(1)に記載のものを同様にして利用することができる((1−26)〜(1−35)参照)。
【0106】
(6−4)なお、容器に収容する水含有着色塗材組成物には、他の成分として前述(1)に記載の体質顔料、結合剤、水、増粘剤、油、光触媒、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、充填剤(骨材)、防水剤、凝結剤、凝結促進剤などの任意成分を同様に配合することもできる((1−19)〜(1−25)、(1−36)〜(1−42)参照)。
【0107】
(6−5)本発明の包装体によれば、マグネシウム塩とカルシウム塩を含有するアルカリ性塗材組成物、白色顔料、着色顔料及び水を含有する着色塗材組成物を、均一に着色した状態で、既調合/既調色済みの着色塗材(塗料形態を含む)として提供することができる。また、着色塗材組成物の成分としてさらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合することにより、保存によって生じ得る固液分離(沈殿、離水)を有意に抑制することができ、着色顔料を含む着色塗材組成物を既調合済みの塗材または塗料の形態で色分かれ等のない安定した商品として市場に供給することができる。こうすることで、当該着色塗材組成物を用いて被塗布物の表面に塗工(塗装)した場合でも、色むらのない均一な色調を有する被覆面を形成することができる。
【0108】
(6−6)なお、本発明には下記に掲げる発明が包含される;
項13.マグネシウム塩、カルシウム塩、白色顔料、着色顔料、水及び必要に応じて結合剤を含むアルカリ性塗材組成物を耐水性容器に気密状態で収容してなる包装体。
項14.水含有着色塗材組成物が耐水性容器に脱気充填して密封されてなる、項13に記載の包装体。
【0109】
なお、当該包装体には、下記の態様が包含される。また、これらの態様(a)〜(p)は1つまたは複数組み合わせて上記安定化方法に用いることができる。
(a)水含有アルカリ性塗材組成物が、pH9.5〜13、好ましくはpH10〜13を有するものである上記項13または14に記載の包装体。
(b)白色顔料として無機顔料を用いる上記項13または14に記載の包装体。
(c)着色顔料として無機顔料を用いる上記項13または14に記載の包装体。
(d)カルシウム塩が石灰成分である上記項13または14に記載の包装体。
(e)カルシウム塩が水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項13または14に記載の包装体。
(f)カルシウム塩が炭酸カルシウムまたはそれを含む複塩である上記項13または14に記載の包装体。
(g)マグネシウム塩が水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたはこれらの少なくとも1つを含む複塩である上記項13または14に記載の包装体。
(h)マグネシウム塩が炭酸マグネシウムまたはそれを含む複塩である上記項13または14に記載の包装体。
(i)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に結合剤を含有するものである上記項13または14に記載の包装体。
(j)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が更に水を含有するものである上記項13または14に記載の包装体。
(k)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項13または14に記載の包装体。
(l)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項13または14に記載の包装体。
(m)マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項13または14に記載の包装体。
(n)着色塗材組成物の色が安定化されてなる項13または14に記載の包装体。
(o)耐水性容器として二酸化炭素バリア性の容器を用いる、上記項13または14に記載の包装体。
(p)耐水性容器として水蒸気バリア性の容器を用いる、上記項13または14に記載の包装体。
【実施例】
【0110】
以下、本発明の内容を以下の実験例及び実施例を用いて具体的に説明する。ただし、これらの実施例等は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0111】
実験例1
(1)表1に記載の成分を混合してアルカリ性着色塗材組成物(実施例1〜8,比較例1〜3)を調製した。これらの各アルカリ性着色塗材組成物75重量部に対して水を25重量部の割合で配合して塗材調合用ミキサーに入れてよく撹拌することにより、水含有着色塗材組成物を調製し、これを試験板(フレキシブル板、500×200×3mm)の平滑な面にそれぞれ鏝で一様に塗った(1回目塗り)。8時間放置乾燥後、さらに1回塗り面の半分の面に2回目の鏝塗りを行った。塗膜が乾燥した後、1回塗り面を目視で観察して色むらの有無を観察し、また1回塗り面と2回塗り面の色の差(色差:ΔE(*ab))を測定し、下記の基準に従って評価した。
【0112】
[被覆面の色むらの有無]
◎:色むらが全くない
△:若干色むらが認められる
×:色むらが認められる
[被覆面の色差評価]
◎:ΔE(*ab)が0.5以下
○:ΔE(*ab)が0.5より大きく1以下
×:ΔE(*ab)が1より大きい。
【0113】
(2)上記で塗工した試験板を、着色被覆面が日中に太陽光に当たるように配置して1週間放置し、1週間後に着色被覆面の色むら発生の有無を目視により評価した。なお、色むら発生の有無の評価は、下記の基準に従って、塗工乾燥時(塗布から8時間後)の被覆面と1週間後の被覆面とを対比することによって行った。
【0114】
[着色被覆面の色むらの有無]
塗工乾燥時の塗膜面と比べて、
◎:色むらの発生は殆ど認められない
△:若干色むらの発生が認められる
×:色むらの発生が認められる。
【0115】
結果を合わせて表1に示す。
【0116】
【表1】

表1の結果に示すように、色材として着色顔料だけを含有する比較例1〜3の着色塗材組成物と比較して、色材として着色顔料と白色顔料を組み合わせて含む本発明の着色塗材組成物(実施例1〜8)は、塗工乾燥後の着色被覆面に色むらがなく、また乾燥後放置した場合にも色むらが認められなかった。このことから、着色顔料と白色顔料を組み合わせて着色した塗材組成物で形成された着色被覆面は、塗工乾燥時に色むらが生じないだけでなく、経時的にも色むらの発生が有意に抑制できることが確認された。
【0117】
また、着色顔料と白色顔料を組み合わせて配合することによって、重ね塗りによる色差の発生が抑制でき(タッチアップ性がある)、重ね塗りや補修塗りを色差なくできることがわかった。
【0118】
実験例2
表2に記載の成分を混合してアルカリ性着色塗材組成物(実施例9〜14、比較例4)を調製した。これらの各アルカリ性着色塗材組成物70重量部に対して水を30重量部の割合で配合して塗材調合用ミキサーに入れてよく撹拌することにより、水含有着色塗材組成物を調製した。これらをそれぞれ試験板(フレキシブル板、15070××3mm)の平滑な面に鏝で一様に塗り、常温で乾燥させ、乾燥被覆面の色を目視で観察して比較した。
【0119】
【表2】

その結果、白色顔料を含まない着色塗材組成物(比較例4)は、水を含んだ乾燥前の状態(湿潤被覆面)では白色顔料を含む本発明の着色塗材組成物(実施例9〜14)に比して濃い茶色を有していたのに、乾燥後は本発明の着色塗材組成物で形成した着色被覆面に比して顕著に白色化していた。こうした比較組成物の乾燥着色被覆面の白色化現象は、塗材組成物が強アルカリであることに基づいて、水の蒸散に伴って生じる色とびが原因であると考えられた。以上の結果から、アルカリ性塗材組成物を白色顔料と着色顔料を用いて着色することにより、塗材組成物が強アルカリであることによって生じる着色顔料の色とび及びそれによる着色被覆面の白色化が有意に抑制できることがわかった。
【0120】
実験例3
表1及び表3に記載の成分を混合してアルカリ性着色塗材組成物(実施例1〜8及び15〜21、比較例1〜3及び5〜7)を調製した。
【0121】
【表3】

これらの各アルカリ性着色塗材組成物60重量部に対して水を40重量部の割合で配合して塗材調合用ミキサーに入れてよく撹拌することにより、水含有着色塗材組成物を調製した。これらを、予め酸化チタン入りシーラーで下塗処理しておいた試験板(フレキシブル板、170×50×3mm)の該シーラー処理面にそれぞれ刷毛で一様に塗り、常温で乾燥させた(1回被覆面)。4時間後、当該被覆面の半分の面にそれぞれ同じ水含有着色組成物を刷毛塗りした(2回被覆面)。さらに常温で乾燥させた後、2回被覆面の一部をそれぞれ同じ水含有着色組成物を刷毛塗りした(3回被覆面)。塗膜が乾燥した後、1回塗工面、2回塗工面、及び3回塗工面の色目(色度、色相、色彩)を目視で観察し、それぞれ色差の有無を評価した。
【0122】
その結果、比較例1〜3及び5〜6で調製した着色塗材組成物(白色顔料を含まず)は、2回塗り及び3回塗りと塗り重ねるにつれて段々と被覆面の色が白くなる(重ね塗りによる白色化)ことがわかった。上記着色塗材組成物(比較例1〜3及び5〜6)の重ね塗りによる白色化現象は、塗材組成物が強アルカリであることに基づいて、水の蒸散に伴って生じる色とびが原因であると考えられた。そしてこうした色とび及びそれによる白色化が、アルカリ性着色塗材組成物の重ね塗りによる色差発生や経時的に発生する色むらの原因であると考えられた。一方、アルカリ性着色塗材組成物に白色顔料を配合した本発明の着色塗材組成物(実施例1〜8及び15〜21)は、色とび及び白色化が有意に抑制されており、重ね塗りして調製した2回被覆面及び3回被覆面はいずれも1回被覆面と同じ色目(色度、色相、色彩)を有しており、目視によって色差は認められなかった。このことから、アルカリ性着色塗材組成物を白色顔料と着色顔料を用いて着色することにより、塗材組成物の強アルカリによって生じる着色顔料の色とびが有意に抑制でき、その結果、重ね塗りによる色差の発生や色むらの発生を抑制できることがわかった。一方、比較例7で調製した着色塗材組成物(白色顔料を含まず)は、2回塗り及び3回塗りと塗り重ねるにつれて段々と塗工面の色が濃くなる傾向があり(重ね塗りによる濃色化)、重ね塗りによる色差の発生が認められた。
【0123】
なお、黒色酸化鉄に代えてカーボンブラックを用い、他の成分は実施例1〜8と同様にして調製した着色塗材組成物(着色顔料:赤色酸化鉄、黄色酸化鉄及びカーボンブラック)を用いて同様に実験した場合も、実施例1〜8と同様に、色とびや白色化による色むらの発生並びに色差の発生が有意に抑制されていた。
【0124】
実験例4
表4に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、水含有着色塗材組成物〔実施例22〜24及び比較例8〜9:粘度約15,000cps(25℃)に調整(B型粘度計)、固形分含有率約64.4〜66.4%;;実施例25〜26及び比較例10:粘度約2,000cps(25℃)に調整(B型粘度計);固形分含有率約60.9%〕を調製した。次いで調製した各水含有着色塗材組成物をそれぞれ1kgずつ耐水性のフィルムバック(サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m.day.MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m.day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372))に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、下記に示す性能評価試験に供した。
【0125】
<水含有着色塗材組成物の安定性>
フィルムバックに収容された実施例22〜26及び比較例8〜10の水含有着色塗材組成物(本発明塗材22〜26、比較塗材8〜10)を常温(20±5℃)下で保存して、1ヶ月間後、内容成分について、離水の有無(固液分離)及び着色顔料の色分かれの有無を観察し、下記の基準に従って評価した。
【0126】
[固液分離の有無]
◎:離水が全く生じていない
△:若干離水が認められる
×:明らかに離水が生じている
[色分かれの有無]
◎:色分かれが全く生じていない
△:若干色分かれが認められる
×:明らかに色分かれしている。
【0127】
<塗膜性能>
常温で1ヶ月間保存した上記の各水含有着色塗材組成物充填フィルムバック(包装体)を開封して、中の水含有着色塗材組成物(本発明塗材22〜24、比較塗材8〜9)をこて板に取り出した。これを鏝で数回かき混ぜた後、試験板(フレキシブル板、500×200×3mm)の平滑な面にそれぞれ鏝で一様に塗り、8時間おいてから当該被覆面の半分の面に2回目の鏝塗りを行った。なお、実施例25〜26及び比較例10の水含有着色塗材組成物は容器に移して数回かき混ぜた後、試験板(フレキシブル板、500×200×3mm)の平滑な面に刷毛で一様に塗り、4時間おいてから当該被覆面の半分の面に2回目の刷毛塗りを行った。塗膜が乾燥した後、一回塗り面の色むらの有無を目視で観察し、また一回塗り面と二回塗り面との色の差(色差:ΔE(*ab))を測定して、下記の基準に従って評価した。
【0128】
[被覆面の色むらの有無]
◎:色むらが全くない
△:若干色むらが認められる
×:色むらが認められる
[被覆面の色差評価]
◎:ΔE(*ab)が0.5以下
○:ΔE(*ab)が0.5より大きく1以下
×:ΔE(*ab)が1より大きい。
【0129】
<乾燥着色被覆面の色むら発生の有無>
上記で塗工した試験板(本発明塗材22〜26、比較塗材8〜10でそれぞれ塗工)を、着色被覆面が日中に太陽光に当たるように配置して、1週間放置して、1週間後に着色被覆面の色むら発生の有無を目視により評価した。なお、色むら発生の有無の評価は、下記の基準に従って、塗工乾燥時(塗工8時間後)の被覆面と1週間後の被覆面とを対比することによって行った。
【0130】
[着色被覆面の色むらの有無]
塗工乾燥時の被覆面と比べて、
◎:色むらの発生は殆ど認められない
△:若干色むらの発生が認められる
×:色むらの発生が認められる。
【0131】
結果を合わせて表4に示す。
【0132】
【表4】

これらの結果から、着色顔料を含有する水含有着色塗材組成物は白色顔料を併用することによって色分かれ等の不都合が生じることなく着色顔料が安定に分散されることがわかった。また当該本発明の着色塗材組成物は、水を配合した状態で保存した場合でも塗工により形成した着色被覆面に色むらが生じず、このことから均一に安定した状態で着色されていることが確認された(着色安定性)。また重ね塗りによる色差評価から、本発明の方法で着色された着色塗材組成物は、タッチアップ性があり、色差や色むらなく重ね塗りをすることができることがわかった。さらに、上記水含有着色塗材組成物を用いて形成された着色被覆面は、塗工乾燥時に色むらが生じないだけでなく、経時的にも色むらの発生が有意に抑制できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物で形成される着色被覆面の色とびを抑制する方法であって、着色被覆面形成に用いる塗材組成物として、着色顔料と酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料とを組み合わせて着色した水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いることを特徴とする上記方法。
【請求項2】
上記アルカリ性塗材組成物が、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化炭酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウム塩、並びに炭酸カルシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのカルシウム塩を含有するか、または炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウム、硫酸カリウムマグネシウムカルシウム及びメタケイ酸マグネシウムカルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウムとカルシウムの複塩を含有するものである、請求項1に記載する色とび抑制方法。
【請求項3】
マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって生じる着色被覆面の色差を抑制する方法であって、被覆面形成に用いる塗材組成物として、着色顔料と酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料とを組み合わせて着色した水含有アルカリ性着色塗材組成物を用いることを特徴とする上記方法。
【請求項4】
上記アルカリ性塗材組成物が、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化炭酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウム塩、並びに炭酸カルシウム、酸化カルシウム、及び水酸化カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのカルシウム塩を含有するか、または炭酸マグネシウムカルシウム、酸化マグネシウムカルシウム、水酸化マグネシウムカルシウム、硫酸カリウムマグネシウムカルシウム及びメタケイ酸マグネシウムカルシウムよりなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウムとカルシウムの複塩を含有するものである、請求項3に記載する色差抑制方法。
【請求項5】
マグネシウム塩、カルシウム塩及び水を含むアルカリ性着色塗材組成物を用いて形成する着色被覆面の色とびを抑制するか、または当該アルカリ性着色塗材組成物を重ね塗りすることによって形成される着色被覆面に生じる色差を抑制するための水含有アルカリ性着色塗材組成物を製造する方法であって、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含むアルカリ性塗材組成物を着色顔料と酸化チタン、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料とを組み合わせて着色し、水含有アルカリ性着色塗材組成物を調製することを特徴とする、上記方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかの方法を用いて形成された着色被覆面を有する被覆物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−236350(P2010−236350A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119837(P2010−119837)
【出願日】平成22年5月8日(2010.5.8)
【分割の表示】特願2004−77238(P2004−77238)の分割
【原出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【出願人】(599085541)ヒメノイノベック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】