説明

アルキルカルボニルチオ置換アルカンの製造方法

【課題】反応性の低いオレフィンに対しても、急な発熱や暴走を回避した上でチオールカルボン酸の付加を行い、反応をほぼ完結させることができるアルキルカルボニルチオ置換アルカンの製造方法を提供する。
【解決手段】置換オレフィン(1)とチオールカルボン酸(2)とのうち、いずれか一方の試剤に対して他方の試剤の添加速度を調整しながら酸素および窒素の存在下で反応を進行させるアルキルカルボニルチオ置換アルカン(3)の製造方法。
【化5】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種オレフィンにチオールカルボン酸を付加させ、アルキルカルボニルチオ置換アルカンを製造する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
アルキルカルボニルチオ置換アルカンは片側に保護されたチオールを、反対の末端には様々な置換基を有することが出来る化合物であり、脱保護すれば容易にチオールが得られる。それを酸化すれば、ジスルフィド、スルフィニルハライド、スルホニルハライド等に容易に変換できる。チオールからスルフィドを得る事も容易である。また、反対側の置換基の種類、炭素鎖の長さにより、様々な用途が考えられ、例を挙げると2置換のリンカー、基礎化学品、反応助剤、医薬中間体、農薬中間体や工薬添加物等、多岐に渡る非常に有用な化合物である。
【0003】
アルキルカルボニルチオ置換アルカンを、オレフィンより合成する方法としては、これまでいくつかの方法が知られている。アルコキシ基を有するオレフィンとチオ酢酸を、空気を通じながら反応させ、アセチルチオエチルアルキルエーテルを合成する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】有機硫黄化学 合成反応編 p34 (大饗 茂 著) 1982年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、チオ酢酸と、ヘキセン、オクテンなど反応性の高いオレフィンとの反応は、極少量の空気中の酸素の存在でラジカル付加反応が開始し、ラジカルの消失もしにくいため、発熱の制御も容易で可能である。しかし、アリルスルホン酸ソーダ等の反応性の低いオレフィンにラジカル付加を行う場合、反応が開始しにくい上に、容易にラジカルは消失する。そのため、試剤を添加してもなかなか反応は開始されず、また一旦反応が起きるとラジカル連鎖反応ゆえに系中の試剤が一度に反応し、非常に大きな反応熱の発生が起きるため、大きなスケールでは暴走することが懸念される。このように反応性の低いオレフィンに対してラジカル付加反応は反応活性種の管理が難しく、反応の制御自体が困難な場合が多い。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、反応性の低いオレフィンに対しても、急な発熱や暴走を回避した上でチオールカルボン酸の付加を行い、反応をほぼ完結させることができるアルキルカルボニルチオ置換アルカンの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題に対して鋭意検討を行い、置換オレフィンとチオールカルボン酸とのうち、いずれか一方の試剤に対して他方の試剤の添加速度を調整しながら酸素および窒素の存在下で反応を進行させることで、安全に反応を完結させることを見出し、本発明を完成するに至った。なおこのアルキルカルボニルチオ置換アルカンは種々の方法で容易に脱保護しメルカプト置換アルカンに変換することが出来る。
上記課題を解決するために本発明は、一般式(1);
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Xは水酸基または、ハロゲン、保護された水酸基、スルホン酸塩、アリール基、イソシアヌル等であり、nは0〜6の整数である。)で示される置換オレフィンと;
一般式(2);
【0009】
【化2】

【0010】
(Yはメチル基、エチル基、フェニル基等を示す。)で示されるチオールカルボン酸とのうち、
いずれか一方の試剤に対して他方の試剤の添加速度を調整しながら酸素および窒素の存在下で反応を進行させ、
一般式(3);
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、Xは水酸基または、ハロゲン、保護された水酸基、アルコキシ基、スルホン酸塩、アリール基、イソシアヌル等であり、Yはメチル基、エチル基、フェニル基。nは0〜6の整数である。)で示されるアルキルカルボニルチオ置換アルカンを製造する方法である。
【0013】
また、置換オレフィン(1)とチオールカルボン酸(2)を反応させる際、ラジカル活性種を連続的に発生させるため、オレフィン1モルに対して0.01モル以上の空気を導入する事を特徴とする製造方法である。
上記製造方法において、内温を40℃〜80に制御し、反応を進行させるアルキルカルボニルチオ置換アルカン(3)の製造方法である。
【0014】
なお、アルキルカルボニルチオ置換アルカンは種々の方法にて容易に脱保護可能であり、
一般式(4)
【0015】
【化4】

【0016】
(4)
(式中、Xは水酸基または、ハロゲン、保護された水酸基、スルホン酸塩、アリール基、イソシアヌル等であり、Yはメチル基、エチル基、フェニル基。nは0〜6の整数である。)で示されるメルカプト置換アルカンに変換することも可能である。
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
上記一般式(1)、(3)、(4)におけるXは様々な置換基が利用可能であり、アミン以外の置換基が望ましい。具体的には水酸基、保護された水酸基、ハロゲン、シアノ基、スルホン酸塩、ホルミル基、フェニル基、イソシアヌル基が挙げられる。これらの中でも水酸基、スルホン酸塩、フェニル基、ハロゲンが特に好ましい。
【0019】
上記一般式(2)、(3)におけるYは低級アルキル基もしくはアリール基である。低級アルキル基としては炭素数が1〜3のものが望ましく、直鎖でも分岐鎖でもよい。具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、フェニルが挙げられる。これらの中でもメチル、エチル、フェニル基が特に好ましい。
【0020】
上記一般式(1)、(3)におけるnは整数であり、アルキル鎖を表す。整数は0〜6が望ましく、これらの中で1〜4が特に好ましい。
一般式(1)に示した置換オレフィンはどのように製造されたものでもよい、具体例としてはアリルアルコール、1−ペンチルアルコール、アリルクロライド、アリルブロマイド、1−ペンチルブロマイド、アリルシアニド、3−アリルアセテート、5−ヘキセニルアセテート、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルアルデヒド、アリルベンゼン、3−フェニルブテン、アリルスルホン酸カリウム、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム、3−ブテン−1−スルホン酸ナトリウム、4−ペンテン−1−スルホン酸ナトリウム、5−ヘキセン−1−スルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でアリルアルコール、アリルクロライド、3−アリルアセテート、アリルスルホン酸ナトリウム、アリルベンゼン、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0021】
一般式(2)に示したチオールカルボン酸はどのように製造されたものでもよい、具体例としてはチオ酢酸、チオプロピオン酸、チオ安息香酸、が挙げられる。これらの中でチオ酢酸が特に望ましい。
【0022】
一般式(1)に示した置換オレフィンのから一般式(3)のアルキルカルボニルチオ置換アルカンを合成する際の反応溶媒としてはチオールカルボン酸と反応しない有機溶媒が望ましい。具体例としてはクロロホルム、ジクロロメタン、エーテル、酢酸エチル、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。この中で置換オレフィンがアルケンスルホン酸塩の場合は酢酸が特に望ましい。その他の置換オレフィンの場合はクロロホルムが特に望ましい。該当溶媒の使用量は一般式(1)に示した置換オレフィン 1gに対して1〜20gが望ましい。特に3〜10gが好ましい。
【0023】
一般式(1)に示した置換オレフィンから一般式(3)のアルキルカルボニルチオ置換アルカンを合成する際に添加物として、無水カルボン酸を用いても良い。具体例としては無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸であり、無水酢酸が特に望ましい。該当添加物の使用量は溶媒である有機溶媒1gに対して、0.005〜0.1gの添加が望ましい、特に0.02〜0.04gが好ましい。
【0024】
一般式(1)に示した置換オレフィンから一般式(3)のアルキルカルボニルチオ置換アルカンを合成する際に添加物として、強酸を用いても良い。具体的には硫酸、メタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。この中で特にメタンスルホン酸が望ましい。強酸の添加量は一般式(1)に示した置換オレフィン 1モルに対して、0.005モル〜0.1モルが望ましく、特に0.05〜0.01モルが好ましい。
【0025】
一般式(1)に示した置換オレフィンと反応させる一般式(2)に示した、チオールカルボン酸の使用量は置換オレフィン1モルに対して0.8〜3.0モルが望ましい。特に1.0〜1.4モルが好ましい。
【0026】
一般式(1)に示した置換オレフィンと、一般式(2)に示したチオールカルボン酸とを反応させる際に、系内に酸素および窒素を存在させる。すなわち、酸素によって置換オレフィンとチオールカルボン酸とのラジカル付加反応を進行させるとともに、この酸素と混合した窒素によって酸素の割合を低下させることで、危険な反応を抑制する。したがって、酸素と窒素との混合割合としては、使用する試剤の種類やその添加速度などに応じて調整したものを使用する。例えば、置換オレフィンや有機溶媒が可燃性である場合は、酸素の割合を低下させて安全性の向上を図ることができる。酸素と窒素とを混合したものとして具体的には、安価であることから空気を使用することが最も好ましい。この場合、空気は、反応槽の空間部を空気置換したり、ボンベを用いて気相吹込みを行ったり、反応液中にバブリングさせたりして存在させることができる。反応時に必要な空気量はオレフィン1モルに対して、0.01モル以上(約220mL以上)であり、この量の空気を反応終了時までに系内に導入する。気相吹込みやバブリングの場合、空気は、反応が継続している間にわたってて系内に連続的に導入する。また空気の代用として酸素と窒素の混合気体を用いる場合、反応時に必要な酸素量は、オレフィン1モルに対して0.002モル以上(約44mL以上)である。
【0027】
一般式(1)に示した置換オレフィンと、一般式(2)に示したチオールカルボン酸を反応させる際には、酸素および窒素の混合気体、または空気の存在下で、一般式(1)に示した置換オレフィンもしくは一般式(2)に示したチオールカルボン酸のいずれかの試剤の添加速度を仕込、分割添加、滴下等で調整しながら反応を進行させる。この際、反応の進行状態は、上記した試剤の添加速度を調整することだけでなく、反応系に存在する酸素の量、すなわち、酸素および窒素の混合気体、または空気の導入量によっても影響を受ける。したがって、反応の進行状態は、酸素および窒素の混合気体、または空気の導入量を確保した状態で、試剤の添加速度を調整しながら、内温を管理することによって制御することが出来る。
【0028】
一般式(1)に示した置換オレフィンから一般式(3)のアルキルカルボニルチオ置換アルカンを合成する反応の反応温度は10〜90℃が望ましい、特に40〜80℃が好ましい。
【0029】
一般式(1)に示した置換オレフィンから一般式(3)のアルキルカルボニルチオ置換アルカンを合成する反応の反応時間は0〜24時間が望ましい、特に0.2〜4時間が好ましい。
【0030】
反応終了後に得られた一般式(3)に示した置換オレフィンは冷却、ろ過、もしくは濃縮により単離することが可能であるが、有機溶媒溶液のまま、加溶媒分解等によりワンポットで一般式(4)に示したメルカプト置換アルカンまで誘導することも出来る。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、安全に効率良くアルキルカルボニルチオ置換アルカンを製造することが出来る。
【0032】
本発明によれば、様々な置換オレフィンに対してチオールカルボン酸を付加させることが出来、大スケールにおいても安全、高変換率の反応が望める。得られたアルキルカルボニルチオ置換アルカンは容易にメルカプト置換アルカンに変換可能であり、さらに変換することでジスルフィドやスルホニルクロリド等の様々な、硫黄原子を含む2置換化合物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に実施例を挙げ、本発明の効果をより効果的に説明をする。ただし、本発明はこれらの実施例により、限定されるものではない。
【0034】
実施例1 1−アセチルチオヘキサンの製造
30mLの二つ口フラスコに1―ヘキセン1.68g(0.02モル)および、クロロホルム8.4gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を5mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより1−アセチルチオヘキサンの生成を確認した。反応液を濃縮し、1−アセチルチオヘキサンを2.8g(0.018モル)得た。収率は87.5%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0035】
1H NMR (CDCL3):δ = 2.87(t、J=7.2Hz、2H)、2.32(s、3H)、1.58〜1.53(m、2H)、1.38〜1.26(m、6H)、0.90〜0.87(m、3H)
【0036】
実施例2 1−アセチルチオオクタンの製造
50mLの二つ口フラスコに1―オクテン 2.24g(0.02モル)および、クロロホルム11.2gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を5mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより1−アセチルチオオクタンの生成を確認した。反応液を濃縮し、1−アセチルチオオクタンを3.76g(0.02モル)得た。収率は99.8%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0037】
1H NMR(CDCL3)δ = 2.86(t、J=7.2Hz、2H)、2.32(s、3H)、1.58〜1.53(m、2H)、1.37〜1.23(m、10H)、0.90〜0.86(m、3H)
【0038】
実施例3 1−プロパノイルチオオクタンの製造
50mLの二つ口フラスコに1―オクテン 2.24g(0.02モル)および、クロロホルム11.2gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を5mL以上導入しながら、チオプロピオン酸1.98g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより1−プロパノイルチオオクタンの生成を確認した。反応液を濃縮し、1−プロパノイルチオオクタンを3.80g(0.019モル)得た。収率は93.9%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0039】
1H NMR (CDCL3):δ = 3.88(q、2H)、2.86(t、J=7.2Hz、2H)、2.32(s、3H)、1.63〜1.55(m、2H)、1.36〜1.29(m、10H)、0.88(t、J=7.2Hz、3H)
【0040】
実施例4 1−ベンゾイルチオオクタンの製造
50mLの二つ口フラスコに1―オクテン 2.24g(0.02モル)および、クロロホルム11.2gを加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を5mL以上導入しながら、チオ安息香酸3.04g(0.022モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、3時間攪拌した。NMRにより1−ベンゾイルチオオクタンの生成を確認した。反応液を濃縮し、1−ベンゾイルチオオクタンを4.20g(0.018モル)得た。収率は88.8%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0041】
1H NMR (CDCL3):δ = 7.98〜5.35(m、5H)、3.07(t、J=7.2Hz、2H)、1.69〜1.63(m、2H)、1.44〜1.40(m、2H)、1.39〜1.27(m、8H)、0.88(t、J=7.2Hz、3H)
【0042】
実施例5 3−アセチルチオ−1−プロパノールの製造
30mLの二つ口フラスコにアリルアルコール 1.16g(0.02モル)および、クロロホルム 5.8gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオ−1−プロパノールの生成を確認した。反応液を濃縮し、3−アセチルチオ−1−プロパノールを2.49g(0.019モル)得た。収率は92.9%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0043】
1H NMR (CDCL3):δ = 3.65(dt、J=6.8Hz、2H)、3.00(t、J=6.8Hz、2H)、2.36(s、3H)、1.86〜1.79(m、2H)
【0044】
実施例6 6−アセチルチオ−1−ヘキサノールの製造
30mLの二つ口フラスコに5−ヘキセノール 2.00g(0.02モル)および、クロロホルム 10.0gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより6−アセチルチオ−1−ヘキサノールの生成を確認した。反応液を濃縮し、6−アセチルチオ−1−ヘキサノールを2.49g(0.019モル)得た。収率は92.9%であった。NMR上の純度は85%以上であった。
【0045】
1H NMR (CDCL3):δ = 2.88(t、J=7.2Hz、2H)、2.86(t、J=7.2Hz、2H)、2.25(s、3H)、1.90〜1.86(m、2H)
【0046】
実施例7 3−アセチルチオプロピル−1−アセテートの製造
2000L反応缶にチオ酢酸 50.4kg(0.66キロモル)、および、クロロホルム 289.8kgを加え、40℃まで加熱した。加熱後、空気ボンベより空気を導入し、3−アリルアセテート63.0kg(0.632キロモル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1.5時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオプロピル−1−アルセテートの生成を確認した。反応液を濃縮し、3−アセチルチオプロピル−1−アルセテートを109.8kg(0.656キロモル)得た。収率は99.5%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0047】
1H NMR (CDCL3):δ = 4.06(t、J=7.2Hz、2H)、2.90(t、J=7.2Hz、2H)、2.29(s、3H)、2.00(s、3H)、1.89〜1.83(m、2H)
【0048】
実施例8 3−プロパノイルチオプロピル−1−アセテートの製造
30mLの二つ口フラスコにアリルアルコール 2.0g(0.02モル)および、クロロホルム 10.0gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオプロピオン酸1.98g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−プロパノイルチオプロピル−1−アセテートの生成を確認した。反応液を濃縮し、3−プロパノイルチオプロピル−1−アセテートを3.65g(0.019モル)得た。収率は95.9%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0049】
1H NMR (CDCL3):δ = 4.12(t、J=6.4Hz、2H)、2.94(t、J=7.2Hz、2H)、2.58(t、J=4.8Hz、2H)、1.95〜1.88(m、2H)、1.18(t、J=7.2Hz、3H)
【0050】
実施例9 3−ベンゾイルチオプロピル−1−アセテートの製造
30mLの二つ口フラスコにアリルベンゼン 2.00g(0.02モル)および、クロロホルム 10.0gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸3.04g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、24時間攪拌した。NMRにより3−ベンゾイルチオプロピル−1−アセテートの77%の反応の進行を確認した。反応液を濃縮し、3−ベンゾイルチオプロピル−1−アセテートを3.7g(0.016モル)得た。収率は77.7%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0051】
1H NMR (CDCL3):δ = 7.59〜7.43(m、5H)、4.18(t、J=6.4Hz、2H)、3.15(t、J=6.4Hz、2H)、2.08(s、3H)、2.04〜1.99(m、2H)
【0052】
実施例10 6−アセチルチオヘキシル−1−アセテートの製造
30mLの二つ口フラスコに6−アセチル−1−ヘキセン 2.84g(0.02モル)および、クロロホルム 14.2gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより6−アセチルチオヘキシル−1−アセテートの生成を確認した。反応液を濃縮し、6−アセチルチオヘキシル−1−アセテートを3.8g(0.017モル)得た。収率は92.9%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0053】
1H NMR (CDCL3):δ = 4.02〜4.00(m、2H)、2.26(s、3H)、2.02(s、3H)、1.59〜1.54(m、4H)、1.33〜1.1.29(m、4H)
【0054】
実施例11 3−アセチルチオプロピル−1−クロリドの製造
300Lの反応缶にチオ酢酸43.7kg(0.57キロモル)を仕込み、130L空気を導入しながら、45℃まで加熱した。加熱後、アリルクロリド44.1kg(0.57キロモル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、3時間攪拌した。ガスクロマトグラフィー(GC)により3−アセチルチオプロピル−1−クロリドの生成を確認した。3−アセチルチオプロピル−1−クロリドを87.4kg(0.57キロモル)得た。収率は100%であった。GC上の純度は93%以上であった。
【0055】
実施例12 3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
500mLの四つ口フラスコにアリルスルホン酸ナトリウム72.1g(0.5モル)および、酢酸349.8g、無水酢酸10.2g、メタンスルホン酸0.96g(0.01モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を200mL以上導入しながら、チオ酢酸41.9g(0.55モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応液を冷却し、吸引ろ過を行い、減圧乾燥を行うことで白色粉末として、3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを107.6g(0.49モル)得た。収率は97.8%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0056】
1H NMR (D2O):δ = 2.88(t、J=7.2Hz、2H)、2.86(t、J=7.2Hz、2H)、2.25(s、3H)、1.90〜1.86(m、2H)
13C NMR (D2O):δ = 202.94、51.08、31.47、28.98、25.74
【0057】
実施例13 3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸カリウムの製造
50mLの四つ口フラスコにアリルスルホン酸カリウム3.20g(0.02モル)および、酢酸15.5g、無水酢酸0.5g、メタンスルホン酸0.04g(0.0004モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸カリウムの生成を確認した。反応液を冷却し、吸引ろ過を行い、減圧乾燥を行うことで白色粉末として、3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸カリウムを4.02g(0.017モル)得た。収率は85.0%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0058】
1H NMR (D2O):δ = 2.81(t、J=7.2Hz、2H)、2.76(t、J=7.2Hz、2H)、2.18(s、3H)、1.84〜1.80(m、2H)
【0059】
実施例14 3−アセチルチオ2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
50mLの二つ口フラスコに2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム3.16g(0.02モル)および、酢酸15.4g、無水酢酸0.44g、メタンスルホン酸0.04g(0.0004モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオ2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応液を減圧濃縮後に冷却し、吸引ろ過を行い、減圧乾燥を行うことで白色粉末として、3−アセチルチオ2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを3.56g(0.015モル)得た。収率は76.0%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0060】
1H NMR (D2O):δ = 2.87〜2.82(m、1H)、2.81〜2.75(m、2H)、2.63〜2.57(m、1H)、2.18(s、3H)、1.91〜1.84(m、1H)、0.91(d、J=7.2Hz、3H)
【0061】
実施例15 4−アセチルチオブタン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
30mLの二つ口フラスコに4−ブテン−1−スルホン酸ナトリウム1.58g(0.01モル)および、酢酸7.7g、無水酢酸0.20g、メタンスルホン酸0.02g(0.0002モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸0.84g(0.011モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより4−アセチルチオブタン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応液を冷却し、吸引ろ過を行い、減圧乾燥を行うことで白色粉末として、4−アセチルチオブタン−1−スルホン酸ナトリウムを2.03g(0.0087モル)得た。収率は86.5%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0062】
1H NMR (D2O):δ = 2.68(t、J=7.2、4H)、2.13(s、3H)、1.60〜1.52(m、2H)1.52〜1.44(m、2H)
【0063】
実施例16 5−アセチルチオペンタン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
30mLの二つ口フラスコに5−ペンテン−1−スルホン酸ナトリウム0.86g(0.005モル)および、酢酸4.3g、無水酢酸0.10g、メタンスルホン酸0.01g(0.0001モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸0.43g(0.0055モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより5−アセチルチオペンタン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応液を濃縮乾固し、白色粉末として、5−アセチルチオペンタン−1−スルホン酸ナトリウムを1.12g(0.0045モル)得た。収率は90.0%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0064】
1H NMR (D2O):δ = 2.69(t、J=7.2Hz、4H)、2.16(s、3H)、1.57〜1.50(m、2H)、1.45〜1.38(m、2H)、1.32〜1.25(m、2H)
【0065】
実施例17 3−プロパノイルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
50mLの四つ口フラスコにアリルスルホン酸ナトリウム2.88g(0.02モル)および、酢酸14.0g、無水酢酸0.4g、メタンスルホン酸0.04g(0.0004モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオプロピオン酸1.98g(0.022モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−プロパノイルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応液を濃縮し3−プロパノイルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを4.35g(0.02モル)得た。収率は98.8%であった。NMR上の純度は85%以上であった。
【0066】
1H NMR (D2O):δ = 2.74(t、J=6.8Hz、2H)、2.71〜2.67(m、2H)、2.37(q、2H)、1.78〜1.72(m、2H)、0.86(t、J=7.2Hz、2H)
【0067】
実施例18 ビス−3−アセチルチオ−1−プロピルエーテルの製造
50mLの二つ口フラスコにジアリルエーテル 1.96g(0.02モル)および、クロロホルム 9.81gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸3.34g(0.044モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRによりビスー3−アセチルチオ1−プロピルエーテルの生成を確認した。反応液を濃縮し、ビスー3−アセチルチオ−1−プロピルエーテルを4.5g(0.018モル)得た。収率は89.8%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0068】
1H NMR (CDCL3):δ = 3.47〜3.43(m、4H)、2.97〜2.93(t、J=7.2Hz、4H)、2.32(s、6H)、1.87〜1.81(m、4H)
【0069】
実施例19 3−アセチルチオ−1−フェニルプロパンの製造
50mLの二つ口フラスコにアリルベンゼン 2.08g(0.018モル)および、クロロホルム 10.4gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.044モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオ−1−フェニルプロパンの生成を確認した。反応液を濃縮し、3−アセチルチオ−1−フェニルプロパンを3.55g(0.018モル)得た。収率は103%であった。NMR上の純度は80%以上であった。
【0070】
1H NMR (CDCL3):δ = 7.30〜7.16(m、5H)、2.89(t、J=7.2Hz、2H)、2.68(t、J=7.6Hz、2H)2.33(s、3H)、1.93〜1.86(m、2H)
【0071】
実施例20 4−アセチルチオ−1−フェニルブタンの製造
50mLの二つ口フラスコに4−フェニル−1−ブテン 2.64g(0.02モル)および、クロロホルム 13.2gを加え、50℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより4−アセチルチオ−1−フェニルブタンの生成を確認した。反応液を濃縮し、4−アセチルチオ−1−フェニルブタンを3.8g(0.018モル)得た。収率は92%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0072】
1H NMR (CDCL3):δ = 7.29〜7.16(m、5H)、2.88(t、J=7.2Hz、2H)、2.61(t、J=7.6Hz、2H)2.31(s、3H)、1.71〜1.58(m、4H)
【0073】
実施例21 2,4,6−トリス−(3−アセチルチオプロピル)−イソシアヌルの製造
500L反応缶にチオ酢酸 111.8kg(1.34キロモル)及び酢酸72.6kgを仕込み、50℃まで加熱した。加熱後空気を90L導入し、2,4,6−トリアリル−イソシアヌル 101.8kg(0.4モル)を滴下し、温度を40℃〜60℃となるように反応させ、3時間攪拌した。GCにより2,4,6−トリス−(3−アセチルチオプロピル)−イソシアヌルが生成したことを確認した。反応液を濃縮し、2,4,6−トリス−(3−アセチルチオプロピル)−イソシアヌルを168.4kg(0.35キロモル)得た。収率は86.0%であった。
【0074】
実施例22 3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
500mLの四つ口フラスコにアリルスルホン酸ナトリウム72.1g(0.5モル)および、酢酸349.8g、無水酢酸10.2g、メタンスルホン酸0.96g(0.01モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸41.9g(0.55モル)を滴下しし、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応後の反応液に水36.0gを加えて、減圧下で濃縮を行い、結晶が析出した時点で再度水36.0gを添加し、減圧濃縮を行った。さらに水36.0g添加、減圧濃縮を行い、水を36.0g、メタノールを99.8g添加して80℃まで加熱し6時間反応を行った。ある程度、加水分解が行われた後にヒドラジン1水和物2.5g(0.05モル)を添加しさらに2時間、80℃で反応を行い、NMRにてメルカプトプロパンスルホン酸ナトリウムの生成を確認した。48%水酸化ナトリウム0.83g(0.01モル)を添加して中和を行った後、減圧下で水を濃縮し結晶を析出させた。このスラリー液にイソプロパノール72.1gとトルエン72.1gを添加して、10℃まで冷却し1時間以上攪拌を行った。吸引ろ過により結晶をろ取し、イソプロパノールによる洗浄を行った。得られた湿体を減圧乾燥し、白色粉末の3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウム(純度91.0%)を79.4g得た。アリルスルホン酸ナトリウムからの収率は81.1%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0075】
1H NMR (D2O):δ = 2.93(t、J=8.0Hz、2H)、2.57(t、J=7.2Hz、2H)、1.97〜1.89(m、2H)
13C NMR (D2O):δ =51.64、51.56、30.54、25.81、24.75、
IR(KBr、cm-1):3454、2974、2943、2858、2555、1444、1413、1220、1195、1064、846、731、596、536、521、453
【0076】
実施例23 3−メルカプト−2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
50mLの二つ口フラスコに2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸ナトリウム3.16g(0.02モル)および、酢酸15.4g、無水酢酸0.44g、メタンスルホン酸0.04g(0.0004モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸1.67g(0.022モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより3−アセチルチオ2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応後の反応液に水1.58gを加えて、減圧下で濃縮を行い、結晶が析出した時点で再度水1.58gを添加し、減圧濃縮を行った。さらに水1.58gを添加、減圧濃縮を行い、水を1.58g、メタノールを4.7g添加して80℃まで加熱し7時間反応を行った。ある程度、加水分解が行われた後にヒドラジン1水和物0.1g(0.002モル)を添加しさらに1時間、80℃で反応を行い、NMRにて3−メルカプト−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウムの生成を確認した。48%水酸化ナトリウム0.04g(0.0004モル)を添加して中和を行った後、減圧下で水を濃縮し結晶を析出させた。このスラリー液にイソプロパノール3.15gとトルエン3.15gを添加して、10℃まで冷却し1時間以上攪拌を行った。吸引ろ過により結晶をろ取し、イソプロパノールによる洗浄を行った。得られた湿体を減圧乾燥し、白色粉末の3−メルカプト−2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウム(純度92.0%)を3.13g得た。アリルスルホン酸ナトリウムからの収率は75.0%であった。NMR上の純度は90%以上であった。
【0077】
1H NMR (D2O):δ = 3.00(dd、J=8.8Hz、1H)、2.69(dd、J=7.6Hz、1H)、2.55(d、J=5.6Hz、2H)、2.11〜2.03(m、1H)、1.00(d、J=6.8、3H)
【0078】
実施例24 5−メルカプトペンタン−1−スルホン酸ナトリウムの製造
30mLの二つ口フラスコに5−ペンテン−1−スルホン酸ナトリウム0.86g(0.005モル)および、酢酸4.3g、無水酢酸0.10g、メタンスルホン酸0.01g(0.0001モル)を加え、70℃まで加熱した。加熱後、空気を10mL以上導入しながら、チオ酢酸0.43g(0.0055モル)を滴下し、温度を60℃〜80℃となるように反応させ、1時間攪拌した。NMRにより5−アセチルチオペンタン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。反応後の反応液に水1.58gを加えて、減圧下で濃縮を行い、結晶が析出した時点で再度水0.4gを添加し、減圧濃縮を行った。さらに水0.4gを添加、減圧濃縮を行い、水を0.4g、メタノールを1.29g添加して80℃まで加熱し7時間反応を行った。ある程度、加水分解が行われた後にヒドラジン1水和物0.25g(0.005モル)を添加しさらに2時間、80℃で反応を行い、NMRにて5−メルカプトペンタン−1−スルホン酸ナトリウムの生成を確認した。48%水酸化ナトリウム0.01g(0.0002モル)を添加して中和を行った後、減圧下で濃縮乾固し、白色粉末の5−メルカプトペンタン−1−スルホン酸ナトリウム(純度80%)を0.98g得た。アリルスルホン酸ナトリウムからの収率は76.0%であった。NMR上の純度は85%以上であった。
【0079】
1H NMR (D2O):δ = 2.75(t、J=7.6Hz、2H)、2.39(t、J=6.8Hz、2H)、1.61〜1.54(m、2H)、1.51〜1.44(m、2H)、1.37〜1.30(m、2H)
【0080】
実施例25 3,3’−ジチオビス(プロパンスルホン酸)ジナトリウムの製造
30mL二つ口フラスコに3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを1.78g(0.01モル)および、水1.8gを加え、溶解させた。35%塩酸0.01g、ヨウ素0.01gを添加し、ジメチルスルホキシド0.39g(0.005モル)を滴下した。90℃まで加熱し、2時間攪拌した。NMRにより3,3’−ジチオビス(プロパンスルホン酸)ジナトリウムの生成を確認したのち、冷却し、吸引ろ過により、白色結晶として3,3’−ジチオビス(プロパンスルホン酸)ジナトリウムを0.9g得た。3−メルカプトプロパン−1−スルホン酸ナトリウムからの収率は50%であった。NMR上の純度は95%以上であった。
【0081】
1H NMR (D2O):δ = 2.89(t、J=8.0Hz、4H)、2.72(t、J=7.2Hz、4H)、1.98〜2.05(m、4H)、13C NMR (D2O):δ =51.60、38.40、25.84
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、アルキルカルボニルチオ置換アルカンの工業的生産に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1);
【化1】

(式中、Xは水酸基または、ハロゲン、保護された水酸基、アリール基、イソシアヌルであり、nは0〜6の整数である。)で表される置換オレフィンと一般式(2);
【化2】

(Yはメチル基、エチル基、フェニル基を示す。)で表されるチオールカルボン酸とのうち、
いずれか一方の試剤に対して他方の試剤の添加速度を調整しながら酸素および窒素の存在下で反応を進行させ、
一般式(3);
【化3】

(式中、X、Y、n、は前記と同義である。)で表されるアルキルカルボニルチオ置換アルカンを製造することを特徴とするアルキルカルボニルチオ置換アルカンの製造方法。
【請求項2】
置換オレフィンとチオールカルボン酸とを反応させる際に使用する酸素及び窒素として空気を用い、かつ、反応中に、置換オレフィン1モルに対して0.01モル以上の空気を存在させておくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
内温を40℃〜80に制御しながら反応を進行させる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
反応液中にバブリングすることによって空気を連続的に導入する請求項2または3記載の方法。

【公開番号】特開2009−114077(P2009−114077A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285273(P2007−285273)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000222554)東洋化成工業株式会社 (52)
【Fターム(参考)】