説明

アルキル化イミノジベンジル抗酸化剤

【課題】
【解決手段】一般式(1)のアルキル化イミノジベンジルである抗酸化物が開示されており、ここで: R、R、R及びRが、水素、アルキル部分、及び、アルケニル部分からなる群から独立して選択されており;及び R、R、R及びRが、炭化水素、及び、水素からなる群から選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、酸化による、熱的な、及び/又は、光誘起による分解を受ける有機製品を安定化させる添加剤に関する。特に、本発明は、酸触媒の存在下で、適宜のオレフィンを伴うイミノジベンジルをアルキル化に派生するクラスの抗酸化剤に関する。
【0002】
この添加剤は、工業的に幅広く利用されている多くの有機製品に添加して、例えば、潤滑剤、圧媒液、金属加工用液体、燃料、ポリマなど性能特性を改善することができる。
【0003】
2.関連技術の記載
英国特許第1,046,353号は、酸化分解を受けやすい合成潤滑油からなる組成と、抗酸化物としての化学式A-NH-Bの化合物を開示しており、ここでは、Aが4〜12個の炭素原子を有する第3級アルキル置換基を含むフェニル基で、Bがフェニル基又はナフチル基である。
【0004】
英国特許第1,149,508号は、N−アミノ−2,8−ジメチル−イミノベンジル、その酸付加塩およびこれらの合成方法を開示している。これらの化合物は、他のイミノジベンジル誘導体の製造において出発原料として有用とされている。
【0005】
米国特許第2,943,112号は、触媒としての酸ミネラル及び大量の酸性白土の存在下で、ジフェニルアミンとアルケンを反応させて合成されたアルキル化ジフェニルアミン群由来の抗酸化物を開示している。
【0006】
米国特許第3,496,230号は、塩化アルミニウム型のフリーデルクラフト(Friedel-Craft)触媒の存在下で、ジノニルジフェニルアミン80%とノニルジフェニルアミン15%の混合物の合成を記載している。
【0007】
米国特許第4,824,601号は、ジフェニルアミンとジイソブチレンの反応による抗酸化液体組成の製造プロセスを開示しており、このプロセスは、活性土酸触媒の存在下において、ジフェニルアミンをジイソブチレンとモル比1:1.1〜1:2.5で反応させるステップを含んでいるが、少なくとも160℃の反応温度で反応している間、ジイソブチレンの濃度が実質的に一定に保たれ、触媒を除く反応量中の4,4’−ジオクチルジフェニルアミン含有量は25重量%以下であることが確実であり;触媒と未反応のジイソブチレンが除去される。酸化分解に対する有機材料の安定化剤としてこの製品を使用することも開示している。
【0008】
米国特許第6,315,925号は、ノニル化ジフェニルアミン、特に、ジノニル化ジフェニルアミンの混合物、および少量の酸触媒を用いてこの混合物を合成するための技術的に進歩した方法論的プロセスを開示している。この混合物は酸化による、熱的な、及び/又は、光誘起による分解を受ける有機製品を安定化する添加剤として利用されている。
【0009】
米国特許第6,355,839号は、粘土触媒存在下でジフェニルアミンをポリイソブチレンでアルキル化するステップを具えるアルキル化ジフェニルアミン抗酸化物の合成プロセスを開示しており、ここではポリイソブチレンが120〜600の範囲の平均分子量を有しており、ポリイソブチレンが少なくとも25%のメチルビニリデン異性体を含む。
【0010】
上述の開示は、すべてここで引用されている。
【0011】
発明の概要
本発明の一の目的は、新規のイミノジベンジル組成を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、潤滑油、燃料組成、又は、ゴム調合物に抗酸化特性を付与するのに有効な潤滑剤添加剤を提供することである。
【0013】
これらの目的及びその他の目的は、酸触媒存在下でイミノジベンジルを適宜のオレフィンによってアルキル化することによって派生するクラスの潤滑剤添加剤に関する本発明により達成される。この添加剤は、一般式:
【化4】

により定義され、
、R、R及びRは、水素、アルキル部分、及び、アルケニル部分からなる群から独立して選択され;及び
、R、R及びRは、ハイドロカルビル部分、及び、水素からなる群から独立して選択される。
【0014】
このような化合物は、合成タイヤ、ポリオール、プラスチック、ウレタン、グリース、モーターオイル、ゴムベルト、ケーブル、ガスケット、シール、衣類及びカーペットのゴム製品において、抗酸化剤として有用に使用できる抗酸化特性を有する。
【0015】
本発明は特に、一般式:
【化5】

で表されるアルキル化イミノジベンジルに関し、
ここで:
、R、R及びRは、水素、アルキル部分、及びアルケニル部分からなる群から独立して選択され;及び
、R、R及びRは、ハイドロカルビル部分、及び水素からなる群から独立して選択される。
【0016】
他の特徴によれば、本発明は:
A)潤滑剤、圧媒液、金属加工用液体、燃料、ポリマでなる群から選択された有機製品;および
B)一般式:
【化6】

で表される安定化量のアルキル化イミノジベンジルを具える組成物に関し
ここで:
、R、R及びRは、水素、アルキル部分、及びアルケニル部分からなる群から独立して選択され;及び
、R、R及びRは、ハイドロカルビル部分、及び水素からなる群から独立して選択される。
【0017】
さらに他の特徴によれば、本発明は:潤滑剤、圧媒液、金属加工用液体、燃料、及びポリマからなる群より選択された有機製品の酸化を阻害する方法であって、当該方法は、前記製品に、一般式:
【化7】

で表されるアルキル化イミノジベンジルを安定化量添加するステップを具え、
ここで:
、R、R及びRは、水素、アルキル部分、及びアルケニル部分からなる群から独立して選択され;及び
、R、R及びRは、ハイドロカルビル部分、及び水素からなる群から独立して選択される。
【0018】
本発明の詳細な説明
上述したように、本発明は一般式:
【化8】


によって定義されるクラスの潤滑剤添加剤に関し、
ここで:
、R、R及びRは、水素、アルキル部分、及びアルケニル部分からなる群から独立して選択され;及び
、R、R及びRは、ハイドロカルビル部分、及び水素からなる群から独立して選択される。
【0019】
、R、R及びRが、アルキル部分、又はアルケニル部分であり、これらの部分が3〜32の炭素原子を具えることが好適である。
【0020】
、R、R及び/又はRがアルキルの場合は、例えばプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノイル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ドトリアコンチル、これらの異性体等であってもよい。
【0021】
、R、R及び/又はRがアルケニルの場合は、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル、ノナコセニル、トリアコンテニル、ヘントリアコンテニル、ドトリアコンテニル、これらの異性体等であってもよい。
【0022】
、R、R及び/又はRは、水素又はハイドロカルビル部分であってもよい。ここでR、R、R及び/又はRがハイドロカルビル部分の場合は、1〜20の炭素原子を含む部分が好適である。
【0023】
ここで使用されているように、用語“ハイドロカルビル”は、炭化水素と実質的な炭化水素基を含む。“実質的な炭化水素”は、主成分としての炭化水素基の性質を変えないヘテロ原子置換基を含む群を表している。ハイドロカルビル基の例には、次のものが含まれる:
(1)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキル又はアルケニル)、脂環族(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、芳香族置換基、芳香族-、脂肪族-、及び脂環族-で置換された芳香族置換基など、及び、環がその分子の別部分を介して完成しているの環状の置換基(すなわち、例えば、表示された二つの置換基はすべて互いに一の脂環式ラジカルを形成する);
(2)置換された炭化水素置換基、すなわち、置換基が本発明のコンテキストにおいて主成分としての置換した炭化水素の性質を変えない非炭化水素基を含むこれらの群は当業者には自明である(例えば、ハロゲン(halo)、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ニトロソ、サルフォキシなど);
(3)ヘテロ原子置換基、すなわち、置換基が本発明のコンテキストにおいて主成分としての炭化水素特性を有する一方、環、さもなければ炭素原子で構成された鎖に存在する炭素以外の原子を含む(例えば、アルコキシ又はアルキルチオ)。好適なヘテロ原子は当業者には自明であり、例えば、硫黄、酸素、窒素、及び、これらの置換基、例えばピリジル、フリル、チエニル、イミダゾイルなどを含む。好適にはおよそ2以下、より好適には1以下のヘテロ置換が、ハイドロカルビル基中の10の炭素原子毎に存在する。最も好適には、ハイドロカルビル基中にヘテロ原子は存在しない;すなわち、ハイドロカルビル基が純粋な炭化水素である。
【0024】
上述した化学式において、一又はそれ以上のR、R、R及び/又はRがハイドロカルビルであり、その例としては、限定ではないが、
非置換フェニル;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、これらの異性体などの一又はそれ以上のアルキル基で置換されたフェニル;
メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、これらの異性体などの一又はそれ以上のアルコキシ基で置換されたフェニル;
一又はそれ以上のアルキルアミノ基又はアリルアミノ基で置換されたフェニル;
ナフチル及びアルキルで置換したナフチル;
好適には1〜12の炭素原子を具え、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オレイル、ノナデシル、エイコシル、これらの異性体などを含む直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基;
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、及びシクロドデシルなどの環状アルキル基;などがある。
【0025】
本発明のアルキル化イミノジベンジルは、好適には、酸性触媒存在下でイミノジベンジルをアルキル化することによって調製される。好適には、酸性触媒はクレイ(clay)である。ジフェニルアミンのアルキル化に触媒としてクレイを使用することは、米国特許第3,452,056号に記載されている。ここでは、触媒としてクレイを用いて、α−メチルスチレンと関連するオレフィンとでジフェニルアミンをアルキル化することを述べている。米国特許第2,943,112号やその他において、クレイが、いくつかの利点を有することが記載されている;例えば:(1)クレイは明るい色彩の製品を提供し、(2)反応後にフィルタで容易に除去可能で、(3)アルキル化製品で度合の低い黄色を提供する。触媒としては、クレイや塩化アルミニウムとフッ化ホウ素などのその他のルュイス酸は、一般的に互換性があると教示されている。(米国特許第3,452,056号、第5,672,752号参照)。より最近では、米国特許第5,672,752号;第5,750,787号及び第6,204,412号は、Engelhard社から入手可能なFiltrolTM及びRetrolTM;Laporte Industry社から入手可能なFulcatTM14、FulmontTM700C、FulmontTM237、及びFulcatTM22B;及び、Sud-Chemi社から入手可能なKatalysatorTMK10を含む、商業的に取得可能なクレイを同定している。これらのクレイは酸活性又は酸溶出クレイであってもよい。このクレイ触媒は、買い入れる時はいくらか水分を含んでいてもよい。使用前に水分を除去すると、明るい色彩の反応生成物となる;従って、水分含有量の低いクレイを使用するか、あるいは、脱窒もしくは真空除去のときにクレイを熱することにより水分除去することが望ましい。酸性活性クレイが好適であるが;特別な条件が保証されるのであれば、塩化アルミニウム又はフッ化ホウ素などのルュイス酸、及びジエチレンエーテル、フェノール、これらとクレイの混合物を含むフッ化ホウ素複合体を利用することができる。
【0026】
本発明は、酸化による、熱的な、及び/又は光誘起による分解を受けた有機製品を具える安定剤を含む組成に関し、安定剤として上述したアルキル化イミノジベンジルを用いる。
【0027】
所望しない酸化分解を受けた特別なクラスの有機製品は、本発明の混合物が有効な安定化剤であり、鉱物油や、例えば、200℃以上で使用可能なカルボン酸エステル誘導体などの合成潤滑剤をベースにした潤滑剤や、処理液(operational fluid)によって形成されている。
【0028】
本発明の混合物は、安定化するべき材料に応じて、約0.05から約10.0重量%の濃度で使用することが出来る。好適な濃度は、0.05乃至5.0重量%、特に、0.1乃至2.5重量%である。
【0029】
鉱物油及び合成潤滑油、潤滑グリース、圧媒液、及びこのように改良されたエラストーマは、保護されている部分によるエージング現象の大幅な減少によって卓越した抗酸化作用を示す。本発明の化合物は潤滑油において特に優れており、酸又はスラッジの形を伴わない卓越した抗酸化及び抗腐食作用を示す。
【0030】
合成潤滑油の例は:例えば、セバシン酸ジオクチル又はアジピン酸ジノニルなど、のジプロトン酸と一価アルコールのジエステル;例えば、トリメチルプロペン又はトリカプリレート又はこれらの混合物などのトリメチルオルプロペンとモノプロトン酸又はこれらの酸の混合のトリエステル;例えば、ペンタエリスリトールテトラカプリレートなどのペンタエリスリトールとモノプロトン酸又はこれらの酸の混合物のテトラエステル、;又は、例えば、トリメチルオロプロペンとカプリック酸およびセバシン酸又はこれらの混合物などのモノプロトン酸又はジプロトン酸と多価アルコールのエステル複合体、をベースにした潤滑剤を含む。
【0031】
その他の合成潤滑剤は、当業者によく知られており、例えば“Schmiermittel Taschenbuch”(Huthig-Verlag, Heidelberg, 1974)に記載されている。特に好適なのは、例えば、ポリ−α−オレフィン、エステルベースの潤滑油、リン酸、グリコール、ポリグリコール、及びポリアルキレングリコールである。
【0032】
本発明の化合物を用いて安定化できるエラストーマは、当業者によく知られている。特に好適なのは、例えば、ブタジエンポリマ、及び、ブタジエンとスチレン若しくはアクリロニトリルのコポリマ、及び、イソプレン若しくはクロロプレンポリマなどの天然及び合成ゴムである。
【0033】
保護すべき別のクラスのポリマは重縮合物によって形成されており、上述した化合物を付加することで、縮合マクロ分子の最終製品状態および低分子量の出発原料状態の双方において、酸化及び光誘起分解から保護することが可能である。特に、このクラスのポリマは、例えばベースとしているポリオールなどにアルキル化イミノジベンジルを付加することにより安定化できるポリウレタンが含まれる。
【0034】
本発明の化合物は、純粋なモノマ化合物又はその混合物である天然化合物及び合成化合物に加えることができる。天然化合物は、例えば、鉱物油、動植物油、ワックス、及び脂肪などである。合成化合物は、例えば、フタル酸塩、アジピン酸塩、リン酸塩、又はトリメリテートなどの合成エステルをベースにしたオイル、ワックス、及び脂肪などである。又は、本発明の化合物は、例えば調剤とその水性エマルジョンをスピニングするなどの使用時に所望の重量比で合成エステルと鉱物オイルを混合したブレンドに加えることもできる。
【0035】
本発明の化合物は、例えば、天然ゴムラテックス又はカルボン酸スチレン/ブタジエンコポリマラテックスなどの、天然又は合成ゴムでできた天然及び合成エマルジョンに加えることもできる。
【0036】
本発明から派生する添加剤は、潤滑剤の配合で現在用いられている商業的に入手可能な抗酸化剤に完全に、又は一部置き換えて使用することが可能であり、モータオイルや燃料に一般的に見られるその他の添加剤と組合せて使用してもよい。これらのその他の添加剤と組合せて用いた場合、抗酸化作用、抗摩耗作用、及び/又は摩擦特性を改良する点でシナジーパフォーマンス効果が得られる。モータオイルや燃料に見られる一般的な添加剤は、抗摩耗剤、浄剤、分散剤、防錆剤、抗酸化剤、消抱剤、摩擦改質剤、粘度指数改良剤、及び流動点降下剤である。例えば、有益な潤滑油添加剤組成が記載されている米国特許第5,498,809号を参照されたい。この特許はここに引用されている。
【0037】
分散剤の例には、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリイソブチレンスクシンネートエステル、マンニッヒベース無灰(Mannich Base ashless)分散剤などが含まれる。洗浄剤の例には、金属性及び無灰の硫化アルキル石炭酸塩、金属性及び無灰のアルキルスルホン酸塩、金属性及び無灰のアルキルサリチル酸塩、金属性及び無灰系サリゲニン誘導体などが含まれる。
【0038】
抗酸化剤の例には、アルキル化ジフェニルアミン、N−アルキル化フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、ジメチルキノリン、トリメチルジヒドロキノリン及びこれらに由来するオリゴメリック組成、ヒンダードフェノール、アルキル化ヒドロキノリン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキル二価ビスフェノール、チオプロピオン酸、金属性ジチオカルバミン酸塩、1,3,4−ジメルカプトチアジアゾールおよび誘導体、オイル可溶銅化合物などを含む。次にあげるのは、そのような添加剤の例示であり、Crompton Corporationから商業的に入手可能である:特にNaugalube(登録商標)438、Naugalube438L、Naugalube640、Naugalube635、Naugalube680、Naugalube AMS、Naugalube APAN、Naugalube PANA、Naugalube TMQ、Naugalube 531、、Naugalube 431、Naugard(登録商標)BHT、Naugalube 403、及びNaugalube 420である。
【0039】
本発明の添加剤と組み合わせて利用できる抗摩耗添加剤の例には、有機ホウ酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、硫黄含有有機化合物、硫化オレフィン、硫化脂肪酸誘導体(エステル)、塩素化パラフィン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリルジチオリン酸亜鉛、硫化リン酸炭化水素などが含まれる。次にあげるのはそのような添加剤の例示であり、Lubrizol Corporationから商業的に入手可能である:特にLubrizol 677A、Lubrizol 1095、Lubrizol 1097、Lubrizol 1360、Lubrizol 1395、Lubrizol 5139、及びLubrizol 5604である。
【0040】
摩擦改質剤の例には、脂肪酸エステル、アミド、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、ジスルフィドモリブデン、ジアルキルジチオカルバミン酸トリモリブデンクラスタ、非硫黄モリブデン化合物などが含まれる。次に挙げるのは、そのような添加剤の例示であり、R.T.Vanderbilt Company, Inc.から商業的に入手可能である:特にMolyvan A、Molyvan L、Molyvan 807、Molyvan 856B、Molyvan 822、Molyvan 855である。次に挙げるのはこのような添加剤の例示であり、旭電化工業株式会社から商業的に入手可能である:特にSAKURA-LUBE 100、SAKURA-LUBE 165、SAKURA-LUBE 300、SAKURA-LUBE 310G、SAKURA-LUBE 321、SAKURA-LUBE 474、SAKURA-LUBE 600、SAKURA-LUBE 700である。次に挙げるのも、このような添加剤の例示であり、Akzo Nobel Chemicals GmbHから入手可能である:特にKetjen-Ox 77M、Ketjen-Ox 77TSである。
【0041】
消抱剤の例は、ポリシロキサンなどである。防錆剤の例は、ポリオキシアルキレンポリオール、ベンゾトリアゾール誘導体などである。粘度指数改良剤の例には、オレフィンコポリマ及びオレフィンコポリマ分散剤などが含まれる。流動点降下剤の例には、ポリメタアクリレートなどが含まれる。
【0042】
上述したように、好適な抗摩耗化合物は、ジアルキルジチオリン酸塩を含む。好適には、アルキル基は平均で少なくとも3の炭素原子を含む。特に有益なのは、少なくとも一のジヒドロカルビルジチオリン酸の金属塩であり、アルキルが少なくとも3の炭素原子を含む。
【0043】
潤滑油組成
潤滑油がこれらの添加剤を含む場合、そこに含まれる添加剤が通常伴う機能を提供するのに有効な量のベースオイルに組成物が混入される。このような添加剤の代表的な有効量は、以下の表に例示する。

【0044】
他の添加剤を使用する場合、必須ではないが、本発明の主な添加剤の濃縮溶液又は分散溶液を具える添加剤濃縮物を、一又はそれ以上の他の添加剤(添加剤パッケージとしてここで引用している添加剤混合物でできている場合はその濃縮物)とを共に調製するのが望ましい。ここでは、いくつかの添加剤を同時にベースオイルに添加して潤滑油組成を構成することができる。溶剤と穏やかに加熱しながら混合することにより潤滑油への添加剤濃縮物の溶解が促進されるが、このことは必須ではない。添加剤パッケージを所定量の基となる潤滑油と組み合わせた場合、濃縮物又は添加剤パッケージは、一般的には、適当量の添加剤を含むように配合され、添加剤パッケージを所定量のベース潤滑剤と組み合わて最終配合時に所望の濃度を提供する。従って、本発明の主な添加剤は、その他の所望の添加剤と共に少量のベースオイル又は他の相溶性の溶剤に加えて、添加剤総量の約2.5〜約90重量%、好ましくは約15〜約75重量%、より好ましくは約25〜60重量%の活性成分を残りのベースオイルに対して好適な割合で含む添加剤パッケージを形成することができる。最終配合は、一般的に、1〜20重量%の添加剤パッケージと、残りのベースオイルとすることができる。
【0045】
ここで表されている(他に指定がない限り)すべての重量%は、添加剤の内容物である活性成分(AI)、及び/又はあらゆる添加剤パッケージの総重量に基づいて、又は、各添加剤の活性成分重量にオイル若しくは希釈剤の総量を加えた合計である配合物に基づいている。
【0046】
一般に、本発明の組成は約0.05〜約30重量%の濃度範囲で添加剤を含有する。オイル組成の総重量に基づいて約0.1〜約10重量%の濃度範囲の添加剤を含有するのが好適である。より好適には、約0.2〜約5重量%の濃度範囲である。添加剤のオイル濃縮物は、キャリア又は潤滑油粘度に希釈したオイル中の約1〜約75重量%の添加剤反応生成物を含んでいてもよい。
【0047】
一般に、本発明の添加剤は様々な潤滑ベースストックに有用である。潤滑油ベースストックは、100℃での動粘性率が約2〜200cSt、より好適には約3〜150cSt、最も好適には3〜100cStであるあらゆる天然又は合成潤滑油ベースストックフラクションである。潤滑油ベースストックは、天然潤滑油、合成潤滑油、これらの混合物から取り出すことができる。好適な潤滑油ベースストックは、合成ワックスとワックスの異性化によって得られるベースストック、及び、生原料の芳香族及び極性分子を水素化分解することによって(溶媒抽出ではなく)生成した水素化分解ベースストックによって得られるベースストックを含む。天然潤滑油は、ラードオイルなどの動物オイル、野菜オイル(例えばカノーラ油、ヒマシ油、ヒマワリ油)、石油、鉱物油、コール又は頁岩からとり出したオイルなどを含む。
【0048】
合成オイルは、重合化したオレフィンや、共重合化オレフィンなどのアルキル化ジフェニル硫化物などの炭化水素オイル及びハロゲン置換炭化水素オイル、フィッシャートロプシ技術によって調製したGTL(gas-to-liquids)、アルキルベンゼン、ポリフェニル、アルキル化ジフェニルエーテル、及び、これらの誘導体、類似体、同族体などを含む。合成潤滑剤もアルケン酸化物ポリマ、共重合体、コポリマ、及びこれらの誘導体を含み、これらはヒドロキシル基末端がエステル化、エーテル化等により修飾されている。
【0049】
他の好適なクラスの合成潤滑油は、ジカルボン酸と種々のアルコールとのエステルである。合成オイルとして有用なエステルは、C〜C12のモノカルボン酸とポリオールとポリオールエステルで構成されるものも含む。合成オイルとして有用な他のエステルは、短鎖又は中鎖のアルコールでエステル化されたα−オレフィンとジカルボン酸とのコポリマで構成されるものを含む。次に挙げるのは、添加剤の例示であり、Akzo Nobel Chemicals SpA社から商業的に入手可能である:特にKetjenlubes 115,135,165,1300,2300,2700,305,445,502,522及び6300である。
【0050】
ポリアルキル-、ポリアリル-、ポリアルコキシ-、又はポリアリロキシ-、シロキサンオイル及び珪酸塩オイルなどのシリコンベースオイルは、その他の有用なクラスの合成潤滑油を具える。他の合成潤滑油は、リン含有酸のエステル液、ポリメリックテトラヒドロフラン、ポリアルファ−オレフィンなどを含む。
【0051】
潤滑油は、未精製オイル、精製オイル、再精製オイル、またはこれらの混合物から取り出すことができる。未精製オイルは、さらに精製、又は、処理することなく天然資源又は合成資源(例えば、石炭、頁岩、タール、及び瀝青など)から直接得られる。未精製オイルの例は、レトルト操作よって直接得た頁岩オイル、蒸留によって直接得たガソリンオイル、又はエステル化プロセスにより直接得たエステルオイルを含み、これらは更に処理することなく使用される。精製オイルは、未精製オイルが一又はそれ以上の精製ステップにおいて一又はそれ以上の機能を改善するための処理を行う点を除いて、未精製オイルと同様である。好適な精製技術は、蒸留、水素化処理、パラフィン除去、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、フィルタレーション、パーコレーション、などの当業者に周知である技術を含む。再精製オイルは、精製オイルを得るために使用されるのと同様のプロセスで精製オイルを処理して得られる。これらの再精製オイルは、再生オイル又は再処理オイルとして知られており、しばしば使用済み添加剤やオイル劣化産物の除去技術によって更に処理される。
【0052】
ワックスの水素異性化(hydroisomerization)より得られる潤滑油ベースストックは、単独で、または、前記天然及び/又は合成ベースストックと組合せて使用してもよい。このようなワックス異性化オイルは、ハイドロ異性化触媒に天然又は合成ワックス、又はこれらの混合物をハイドロ異性化することによって生産される。天然ワックスは、一般的には、ミネラルオイルの溶剤でパラフィン除去して回収したスラックワックスである;合成ワックスは、一般的にはフィッシャートロプシプロセスで生産したワックスである。結果物である異性化製品は、一般的に、溶剤によるパラフィン除去と分別を行い、特定の粘性範囲を有する種々の画分を回収する。ワックス異性化は、通常、少なくとも130VI、好適には少なくとも135VI又はそれ以上、といった非常に高い粘度指数を有する。続いてパラフィン除去を行い、流動点は-20℃又はそれ以下となる。
【0053】
本発明の添加剤は、多くの異なった潤滑油組成中の成分として特に有益である。この添加剤は、天然及び合成潤滑油とこれらの混合物を含み、潤滑粘性(lubricating viscosity)を伴う様々なオイルに含有させることができる。この添加剤は、スパーク点火式及び圧縮点火式内部燃焼エンジン用のクランク室潤滑油に含有させることができる。この組成は、ガスエンジン潤滑油、タービン潤滑油、自動トランスミッション液、ギア潤滑油、コンプレッサ潤滑油、金属加工用潤滑油、圧媒液、及びその他の潤滑油に、及びグリース組成に使用することができる。本添加剤は、自動車燃料組成やゴム配合物に使用することもできる。
【0054】
本発明の利点及び重要な特徴は、次の実施例により、さらに明確になる。
実施例
【0055】
実施例1
20グラム(0.102モル)のイミノジベンジルを、6グラムの20xフィルトールと25.62グラム(0.256モル)との混合ノネンに添加した。この混合物を、熱して対流させ18時間温度を保った。触媒を除去し、残留出発原料を真空下で分離回収した。この製品は、ガスクロマトグラフィにより95%のアルキル化イミノジベンジルと同定された。
【0056】
酸化テスト
差圧スキャニング熱量テスト(Pressure Differential Scanning Calorimetry Test)
反応生成物の抗酸化特性を、差圧スキャンニング熱量テスト(PDSC)テストで測定した。テストは、Mettler-Toledo DSC27HP試験器を用いて行われ、概ね次の処理を行った。このテストは、圧力下にある酸素ガス中で測定したときの、潤滑液中の抗酸化剤の相対酸化誘導時間(Oxidation Induction Time: OIT)を測定する。
【0057】
テストするサンプルを、抗酸化剤を含まない0.4重量%の完全に調製されたモデルモータオイル(表1参照)に混合した。次いで、添加剤として0.1重量%のSolvent Neutral 150ベースオイルを、50ppmのナフテン酸鉄と共に加えた。これを、0.5重量%のSolvent Neutral 150ベースオイルと50ppmナフテン酸鉄を含むベースブレンドのサンプルと比較した。このテストの条件を表2に示す。表3において、テスト結果(OIT、分)の数値は、効果が上がると共に上昇する。
【表1】

【表2】

【表3】

【0058】
本発明の原理からはずれることなく多くの変更及び変形を行うことができる。本発明に与えられる保護範囲を理解するために添付したクレームを参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】

のアルキル化イミノジベンジルにおいて:
、R、R及びRが、水素、アルキル部分、及び、アルケニル部分からなる群から独立して選択されること;及び
、R、R及びRが、ハイドロカルビル部分、及び、水素からなる群から独立して選択されることを特徴とするアルキル化イミノジベンジル。
【請求項2】
請求項1に記載のアルキル化イミノジベンジルにおいて、R、R、R及びRが、水素、炭素原子が3乃至32のアルキル部分、及び炭素原子が3乃至32のアルケニル部分からなる群から独立して選択されることを特徴とするアルキル化イミノジベンジル。
【請求項3】
請求項1に記載のアルキル化イミノジベンジルにおいて、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とするアルキル化イミノジベンジル。
【請求項4】
請求項2に記載のアルキル化イミノジベンジルにおいて、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とするアルキル化イミノジベンジル。
【請求項5】
A) 潤滑剤、圧媒液、金属加工用液体、燃料及びポリマからなる群から選択された有機製品と;
B) 一般式:
【化2】

の安定化量のアルキル化イミノジベンジル;を具える組成であって、
、R、R及びRが、水素、アルキル部分、及び、アルケニル部分からなる群から独立して選択されること;及び
、R、R及びRが、ハイドロカルビル部分、及び、水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする組成。
【請求項6】
請求項5に記載の組成において、R、R、R及びRが、水素、炭素原子が3乃至32のアルキル部分、及び炭素原子が3乃至32のアルケニル部分からなる群から独立して選択されることを特徴とする組成。
【請求項7】
請求項5に記載の組成において、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする組成。
【請求項8】
請求項6に記載の組成において、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする組成。
【請求項9】
潤滑剤、圧媒液、金属加工用液体、燃料及びポリマからなる群より選択された有機製品の酸化を阻害する方法であって、一般式:
【化3】

の安定化量のアルキル化イミノジベンジルを前記製品に加えるステップを具え、
、R、R及びRが、水素、アルキル部分、及び、アルケニル部分からなる群から独立して選択されること;及び
、R、R及びRが、ハイドロカルビル部分、及び、水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、R、R、R及びRが、水素、炭素原子が3乃至32のアルキル部分、及び炭素原子が3乃至32のアルケニル部分からなる群から独立して選択されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、R、R、R及びRが、炭素原子1乃至20のハイドロカルビル部分及び水素からなる群から独立して選択されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−523691(P2006−523691A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509296(P2006−509296)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/009181
【国際公開番号】WO2004/094387
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505387060)ケムチュア コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】