説明

アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに基づく歯科材料

【課題】重合性があり、良好な溶解性により特徴付けられ、そして水の存在下での改善された保存安定性を示す、歯科材料を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有する重合性組成物を提供する。アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドは、カルシウムイオンに対して特に高い親和性を有し、カルシウムイオンと錯体形成して対応する塩を形成し得る。カルシウムイオンに対する高い親和性に起因して、アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドは、歯のエナメル質およびぞうげ質への接着を促進し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに基づく組成物に関し、これらの組成物は、加水分解に対する高い抵抗性によって特徴付けられ、そして歯科材料として特に適切である。本発明はまた、アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル酸またはメタクリル酸の単官能性アミドは、歯科学の種々の分野において使用されている。従って、種々のアクリルアミドまたはメタクリルアミドは、プロテーゼのためのポリマーの調製のためのコモノマーとして提唱されている(特許文献1)。多官能性(メタ)アクリルアミド(例えば、ビスアクリルアミド)は、歯科用接着剤または組成物のために適切な架橋成分として記載されている(とりわけ、特許文献2および特許文献3)。さらに、適切に官能基化されたアクリルアミドまたはメタクリルアミドは、歯科用接着剤において効果的な結合成分またコモノマーとして適切である。(主に、カルボキシル基含有(メタ)アクリルアミド(例えば、N−アクリロイルアスパラギン酸(非特許文献1)またはN−メタクリロイル−4−アミノ吉草酸(非特許文献2))、およびまた、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリルアミド(例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メタクリルアミドであり、その使用は、特許文献4に記載されている))。
【0003】
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のキレート錯体形成、およびEDTAの二ナトリウム塩のカルシウムイオンに対する大きい親和性は、コンプレクソメトリーから既知である(非特許文献3を参照のこと)。EDTAの(メタ)アクリル酸エステル誘導体に基づく接着剤組成物は、特許文献5に記載されているが、これらの接着促進成分は、加水分解に対する乏しい抵抗性により特徴付けられる。
【特許文献1】英国特許第1 039 750号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/014138号明細書
【特許文献3】国際公開第02/13768号パンフレット
【特許文献4】欧州特許出願公開第1 374 828号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第10 2005 022 172号明細書
【非特許文献1】Y.Tottiら、「Dental Materials」、2003年、第19巻、pp.253−258
【非特許文献2】N.Nishiyamaら、「Biomaterials」、2004年、第25巻、pp.5441−5447
【非特許文献3】「ROEMPP Lexikon Chemie」、Georg Thieme Verlag、Stuttgart and New York、1997年、第10版、p.2221
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、重合性があり、良好な溶解性により特徴付けられ、そして水の存在下での改善された保存安定性を示す、歯科材料を提供することである。さらに、これらの材料は、歯のぞうげ質およびエナメル質に対する良好な接着を示すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、本発明に従って、式(I)
【0006】
【化3】

の少なくとも1種のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有する重合性組成物によって達成される。式(I)において、
Xは、各場合において独立して、O、または好ましくは、NRを表し、
、RおよびRは、互いに独立して水素または
【0007】
【化4】

を表し、ここでR、RおよびRは、同時に水素にはならず、
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキレン基を表し、このアルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜C10アルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜10である。
【0008】
基にOまたはSなどのヘテロ原子が介在し得るとの表現は、これらのヘテロ原子が、その基の炭素鎖に挿入される(すなわち、両側で炭素原子と境界を接する)ように理解されるべきである。従って、ヘテロ原子の数は、少なくとも1であり、炭素原子の数より小さく、そしてヘテロ原子は末端にはあり得ない。
【0009】
本発明は、さらに、以下を提供する:
(項目1)
式(I)
【0010】
【化5】

のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドであって、式(I)において、
Xは、各場合において独立して、OまたはNRを表し、
、R、Rは、互いに独立して水素または
【0011】
【化6】

を表し、ここでR、RおよびRは、同時に水素にはならず、
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキレン基を表し、該アルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜C10アルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜10である、
アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド。
(項目2)
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキレン基であり、該アルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜6である、
項目1に記載のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド。
(項目3)
少なくとも1種の項目1または2に記載のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有することを特徴とする、重合性組成物。
(項目4)
アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、少なくとも1種のさらなるラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする、項目3に記載の組成物。
(項目5)
ラジカル重合の開始剤を含有することを特徴とする、項目3または4に記載の組成物。
(項目6)
2個以上の重合性基を有する少なくとも1種のモノマー、および/または1個以上の酸性基を有する少なくとも1種のモノマーを含有することを特徴とする、項目4または5に記載の組成物。
(項目7)
光重合の開始剤を含有することを特徴とする、項目5または6に記載の組成物。
(項目8)
充填材を含有することを特徴とする、項目3〜7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
前記充填材が、1nm〜10μmの平均粒径を有する粒子性充填材であることを特徴とする、項目8に記載の組成物。
(項目10)
a)0.5重量%〜50重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.01重量%〜15重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜80重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%の溶媒、
e)0重量%〜75重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、項目3〜9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目11)
a)5重量%〜40重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.1重量%〜5重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜60重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜80重量%の溶媒、
e)0重量%〜60重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、項目10に記載の組成物。
(項目12)
SiO、ZrO、Al、AlO(OH)またはこれらの混合酸化物に基づく単分散ナノ粒子性充填材を含有することを特徴とする、項目11に記載の組成物。
(項目13)
前記充填材が、5nm〜200nmの平均粒径を有することを特徴とする、項目11または12に記載の組成物。
(項目14)
a)5重量%〜40重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.1重量%〜5重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜60重量%のさらなる重合性モノマー、
d)1重量%〜75重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、項目10に記載の組成物。
(項目15)
石英、セラミック、ガラスセラミックまたはガラス粉末に基づく極微小充填材を含有することを特徴とする、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記充填材が、0.01μm〜5μmの平均粒径を有することを特徴とする、項目14または15に記載の組成物。
(項目17)
成分(c)が、前記組成物の全体の質量に対して1重量%〜50重量%の1個以上の酸性基を有するモノマーを含有することを特徴とする、項目10〜16のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
成分(c)が、前記組成物の全体の質量に対して1重量%〜45重量%の2個以上の重合性基を有するモノマーを含有することを特徴とする、項目10〜17のいずれか1項に記載の組成物。
(項目19)
歯科材料としての、項目3〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(項目20)
接着剤またはセメントとしての、項目19に記載の使用。
(項目21)
歯科材料の調製のための、項目1または2に記載の1種以上のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドの使用。
(項目22)
接着剤またはセメントの調製のための、項目21に記載の使用。
【0012】
(要旨)
本発明は、式(I)のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド
【0013】
【化7】

に関する。本発明はまた、少なくとも1種の式(I)のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有することを特徴とする重合性組成物、および特に歯科材料としてのその使用に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、重合性があり、良好な溶解性により特徴付けられ、そして水の存在下での改善された保存安定性を示す、歯科材料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
重合性組成物の好ましい実施形態は、
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキレン基であり、該アルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜6である
ことを特徴とする。
【0016】
Yは、特に好ましくは、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキレン基を表し、特に、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキレン基を表し、最も好ましくは、エチレン基を表す。
【0017】
は、特に好ましくは、水素またはC〜Cアルキル基を表し、特に、水素またはメチル基を表す。
【0018】
は、特に好ましくは、水素またはC〜Cアルキル基を表し、特に、水素またはメチル基を表す。
【0019】
は、特に好ましくは、水素またはC〜Cアルキル基を表し、特に、水素またはメチル基を表す。
【0020】
pは、特に好ましくは、2〜4であり、最も好ましくは、2である。
【0021】
記載されるアルキル基およびアルキレン基は、好ましくは、直鎖基である。
【0022】
が水素を表し、そしてRおよびRが、各場合において、
【0023】
【化8】

を表すことが、特に好ましい。Rと隣接するXとが一緒になって、OHを表すことが、さらに好ましい。なおより好ましくは、残りのXは、各場合において、NRを表す。
【0024】
式(I)のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドは、原則的に公知である合成方法と同様に調製され得る。
【0025】
従って、最初にアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸から出発する場合、対応する二環式無水物の調製は、無水酢酸(AcO)との反応によって、例えば、チェコスロバキア共和国特許第272 584号と同様に実施される:
【0026】
【化9】

具体例:
【0027】
【化10】

次いで、このアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸の二環式無水物は、第二の反応工程において、1種以上の適切なXH官能基化(X=O、NR)(メタ)アクリルアミドと反応させられて、式(I)の対応するアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを形成する:
【0028】
【化11】

この第二の反応工程において使用される、XH基含有(メタ)アクリルアミド誘導体(X=O、NR)は、対応するアミノアルカノール(X=O)または直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族ジアミン(X=NHまたはNR)から、(メタ)アクリル酸の塩化物または無水物との反応によって、アミド結合の連結のための有機合成から公知である方法を用いて、単純な様式で調製され得る(Methoden der Organischen Chemie,HOUBEN−WEYL,第E5巻,1985,Georg Thieme Verlag p.941以降を参照のこと)。
【0029】
具体例:
【0030】
【化12】

本発明による式(I)のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドの例は、とりわけ、以下である:
【0031】
【化13】

【0032】
【化14】

【0033】
【化15】

【0034】
【化16】

これらのアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドは、水、または水と極性溶媒(例えば、アセトン、エタノール、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF))との混合物に、非常に容易に溶解する。これらは、カルシウムイオンに対して特に高い親和性を有し、カルシウムイオンと錯体形成して対応する塩を形成し得る。カルシウムイオンに対する高い親和性に起因して、アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドは、歯のエナメル質およびぞうげ質への接着を促進し得る。
【0035】
式(I)のモノマーにおいて、少なくとも1個の酸性COOH基が、少なくとも1個の重合性(メタ)アクリルアミド基と共有結合しており、この共有結合は、室温の水性条件下での加水分解に対して高い抵抗性を有する。アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドの加水分解に対する抵抗性に起因して、水および他の加水分解抵抗性成分との保存安定混合物が、室温で調製され得、これらの混合物は、主に歯科の分野での、接着剤、セメント、コーティングの材料または複合材料として使用され得る。
【0036】
本発明による組成物は、好ましくは0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、そして非常に特に好ましくは、5重量%〜30重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有する。
【0037】
式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種のさらなる重合性モノマーを含有する。ラジカル重合性モノマーは、さらなる重合性モノマーとして特に適切である。
【0038】
これらのラジカル重合性モノマーは、1個以上のラジカル重合性基を有し得、この場合、2個以上(好ましくは2個〜5個)のラジカル重合性基を有する少なくとも1種のモノマーを含有する組成物が好ましい。2個以上の重合性基を有するモノマーは、架橋剤として働き、従って、硬化した組成物の機械的安定性を増加させる。
【0039】
好ましい架橋性モノマーは、ビス(ジメタクリル酸グリセロール)(GMA)であり、そして特に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸とジイソシアネート(例えば、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネート)とから得られるウレタン、架橋性ピロリドン(例えば、1,6−ビス(3−ビニル−2−ピロリドニル)−ヘキサン)、または市販のビス(メタ)アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジエチル−1,3−ビス(アクリルアミド)−プロパン、1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン、1,4−ビス(アクリルアミド)−ブタン、1,4−ビス(アクリロイル)−ピペラジン、2,6−ジメチレン−4−オキサ−ヘプタン−1,7−ジカルボン酸−ビス−(プロピルアミド)、1,6−ビス−(アクリルアミド)−2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサンおよびN,N’−ジメチル−1,6−ビス−(アクリルアミド)−ヘキサン)である。
【0040】
式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、1重量%〜45重量%、好ましくは5重量%〜30重量%、そして非常に特に好ましくは5重量%〜20重量%の架橋性モノマー(特に、ビス(メタ)アクリルアミド)を含有する組成物は、本発明によれば特に好ましい。これらの百分率、および他に記載されない限り他の全ての百分率は、その組成物の全体的な質量に対してである。
【0041】
室温で液体であり、そして希釈モノマーとして適切であるモノマーは、ラジカル重合性モノマーとしてさらに好ましい。室温で0.01Pa・s〜10Pa・sの粘度を有するモノマー(特に、単官能性または多官能性の(メタ)アクリレート)が好ましい。モノ(メタ)アクリレート、ならびに加水分解に対する抵抗性に起因して、特に、メタクリル酸メシチルおよび2−(アルコキシメチル)アクリル酸(例えば、2−(エトキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸)ならびにアリルエステルが、特に好ましい。さらに好ましい加水分解抵抗性モノマーは、N−ビニルピロリドン、N−モノアルキル置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−エチルメタクリルアミドまたはN−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド)、およびN,N−ジアルキル置換アクリルアミド(例えば、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドまたは市販のまったく液体であるN,N−ジメタクリルアミド)である。アルキルとは、好ましくは、1個〜6個、特に、1個〜3個の炭素原子を有する基を意味する。
【0042】
本発明による組成物は、好ましくは、式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、0重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、そして非常に特に好ましくは10重量%〜30重量%の希釈モノマーを含有する。
【0043】
さらに好ましい実施形態によれば、これらの組成物は、少なくとも1種の酸性ラジカル重合性モノマー(すなわち、1個以上の酸性基(例えば、カルボン酸無水物基、カルボン酸基、リン酸基、リン酸二水素基、ホスホン酸基およびスルホン酸基)を有するモノマー)を含有する。好ましい酸性基は、カルボン酸基、リン酸基およびホスホン酸基である。特に好ましい酸性モノマーは、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシン、4−ビニル安息香酸、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル−フェニル、リン酸二水素10−メタクリロイルオキシデシルまたはジペンタエリトリトール−ペンタメタクリロイルオキシリン酸(PENTA)、ビニルスルホン酸および4−ビニルベンゼンスルホン酸である。加水分解に対する抵抗性に起因して、4−ビニルベンゼンホスホン酸および2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサブチル]−アクリル酸(DHPOBAE)、ならびにそのアミドおよび加水分解抵抗性エステル(例えば、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチルフェニルエステル)、およびリン酸二水素(メタ)アクリルアミド(例えば、リン酸二水素6−メタクリルアミドヘキサニルまたはリン酸二水素1,3−ビス(メタクリルアミド)−プロパン−2−イル)が、特に好ましい。
【0044】
式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、1重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、そして非常に特に好ましくは10重量%〜30重量%の酸性モノマー(特に、リン酸二水素基、ホスホン酸基および/またはスルホン酸基を有する酸性モノマー)を含有する組成物は、本発明により特に好ましい。
【0045】
上記モノマーは、各場合において、単独でかまたは混合物として使用され得る。本発明により特に好ましいものは、加水分解に対する高い抵抗性を示すモノマーである。本発明の文脈において、水中または水と水混和性溶媒との混合物中で、約20重量%の濃度で37℃で少なくとも8週間安定である化合物は、加水分解抵抗性であるといわれる。この加水分解に対する抵抗性は、特に、エステル加水分解が立体障害を受ける、重合性カルボン酸アミドおよびメシチルエステルによって示される。
【0046】
重合を開始するために、本発明による組成物は、好ましくは、ラジカル重合の開始剤、特に好ましくは、光重合の開始剤を含有する。このために適切なものは、特に、ベンゾフェノン、ベンゾインおよびその誘導体またはα−ジケトンもしくはその誘導体(例えば、9,10−フェナントレンキノン、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン、ジアセチルベンジルまたは4,4−ジクロロベンジル)である。特に好ましくは、ショウノウキノンおよび2,2−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン、そして非常に特に好ましくは、還元剤としてのアミンと組み合わせたα−ジケトンが、使用される。好ましいアミンは、4−(ジメチルアミノ)−安息香酸エステル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチル−sym−キシリジンおよびトリエタノールアミンである。
【0047】
ベンゾピナコールおよび2,2’−ジアルキルベンゾピナコールもまた、熱硬化のための開始剤として適切である。レドックス開始剤の組み合わせ(例えば、過酸化ベンゾイルとN,N−ジメチル−sym−キシリジンまたはN,N−ジメチル−p−トルイジンとの組み合わせ)は、室温で行われる重合のための開始剤として使用される。さらに、過酸化物と、例えば、アスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸などのような還元剤とからなるレドックス系もまた、特に適切である。
【0048】
式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、そして非常に特に好ましくは0.3重量%〜3.0重量%のラジカル重合の開始剤を含有する組成物は、本発明により特に好ましい。
【0049】
本発明により使用される組成物は、さらに、機械的特性を改善するため、または粘度を調整するために、充填材を含有し得る。有機物および無機物の粒子および繊維が、充填材として適切である。
【0050】
好ましくは、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μmの平均粒径を有する粒子性材料が、充填材として使用される。用語「平均粒径」とは、本明細書中で、体積による平均をいう。
【0051】
好ましい無機粒子性充填材は、金属酸化物(例えば、ZrOならびにTiO、またはSiO、ZrOおよび/もしくはTiOの混合酸化物)に基づく非晶質球状材料;単分散ナノ粒子性充填材(好ましくは、SiO、ZrO、Al、AlO(OH)またはその混合酸化物に基づく)(例えば、発熱性ケイ酸または沈殿ケイ酸であり、好ましくは5nm〜200nm、特に好ましくは10nm〜100nm、非常に特に好ましくは10nm〜50nmの平均粒径を有するもの);極微小充填材(好ましくは、石英、セラミック、ガラスセラミックまたはガラス粉末に基づくものであり、好ましくは0.01μm〜5μm、特に0.3μm〜5μm、特に好ましくは0.4μm〜3μm、そして非常に特に好ましくは0.4μm〜1μmの平均粒径を有するもの);ならびにX線不透過性充填材(例えば、三フッ化イッテルビウム、ナノ粒子性酸化チタン(V)または硫酸バリウム)である。
【0052】
本発明による組成物は、溶媒(例えば、水、酢酸エチルもしくはエタノール)または溶媒混合物をさらに含有し得る。加水分解抵抗性の溶媒(例えば、水もしくはエタノール)または溶媒混合物が好ましい。
【0053】
さらに、本発明による組成物は、さらなる添加剤(特に、安定剤、矯味矯臭剤、色素、抗菌活性成分、フッ素イオン放出添加剤、光学的光沢剤、可塑剤および紫外線(UV)吸収剤)を含有し得る。
【0054】
以下の成分を含有する組成物が、本発明により好ましい:
a)0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、そして特に好ましくは5重量%〜30重量%の、式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、特に好ましくは0.3重量%〜3.0重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜80重量%、好ましくは0重量%〜60重量%、そして特に好ましくは10重量%〜50重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%、好ましくは0重量%〜80重量%、そして特に好ましくは10重量%〜60重量%の溶媒(好ましくは、水)、
e)0重量%〜75重量%の充填材。
【0055】
本発明による組成物は、歯科材料として、特に、接着剤およびセメントとして、例えば、固定セメントとして、特に適切である。このような接着剤は、歯の硬い基材(すなわち、エナメル質およびぞうげ質)に対する非常に良好な接着により特徴付けられ、そして水の存在下で加水分解安定性であり、そしてアルコールの存在下で加アルコール分解安定性である。
【0056】
歯科用途のために好ましい材料の組成は、所望の用途に依存する。
【0057】
好ましい接着剤は、以下の成分を含有する:
a)0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、そして特に好ましくは5重量%〜30重量%の、式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、特に好ましくは0.3重量%〜3.0重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜80重量%、好ましくは0重量%〜60重量%、そして特に好ましくは10重量%〜50重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%、好ましくは0重量%〜80重量%、そして特に好ましくは10重量%〜60重量%の溶媒(好ましくは、水)、
e)0重量%〜60重量%、好ましくは0重量%〜50重量%、そして特に好ましくは0重量%〜20重量%の充填材(特に、SiO、ZrO、Al、AlO(OH)またはこれらの混合酸化物に基づく単分散ナノ粒子性充填材であり、好ましくは、5nm〜200nm、特に好ましくは10nm〜100nm、非常に特に好ましくは10nm〜50nmの平均粒径を有する)。
【0058】
好ましいセメントは、以下の成分を含有する:
a)0.5重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%、そして特に好ましくは5重量%〜30重量%の、式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.01重量%〜15重量%、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%、特に好ましくは0.3重量%〜3.0重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜80重量%、好ましくは0重量%〜60重量%、そして特に好ましくは10重量%〜50重量%のさらなる重合性モノマー、
d)1重量%〜75重量%、好ましくは20重量%〜75重量%、そして特に好ましくは40重量%〜65重量%の充填材(特に、石英、セラミック、ガラスセラミックまたはガラス粉末に基づく極微小充填材であり、好ましくは、0.01μm〜5μm、特に0.3μm〜5μm、特に好ましくは0.4μm〜3μm、そして非常に特に好ましくは0.4μm〜1μmの平均粒径を有する)。
【0059】
全ての百分率は、組成物の全体の質量に対してである。好ましくは、上に規定されたモノマーのうちの1つ以上は、特に好ましくは、上に規定された量で、さらなる重合性モノマーとして使用され、この場合、個々のモノマーの量は、さらなるモノマーの総量が上に規定された範囲を超えないように選択される。少なくとも1種の酸性モノマーまたは少なくとも1種の架橋性モノマーを含有する組成物、特に、少なくとも1種の酸性モノマーと少なくとも1種の架橋性モノマーとを含有する組成物、または少なくとも1種の酸性架橋性モノマーを含有する組成物は、非常に特に好ましい。
【0060】
本発明による好ましい組成物は、硬化して、強力に架橋したポリマー網目構造を形成し、このポリマー網目構造は、水中でほとんどまたはまったく膨潤しない。
【0061】
本発明はまた、式(I)のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、および歯科材料の調製(特に、接着剤またはセメントの調製)のためのその使用に関する。
【0062】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明される。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
(EDTA−ジ(5−メタクリルアミドペンチル)エステルMAM−EDTAの調製)
【0064】
【化17】

EDTA二無水物を、チェコスロバキア共和国特許第272 584号に従って、EDTAを無水酢酸と反応させることにより調製した。N−(5−ヒドロキシペンチル)メタクリルアミドを、市販の5−アミノペンタノールと無水メタクリル酸とを反応させることにより得た。
【0065】
3mlのトリエチルアミンを、17.0g(66.0mmol)のEDTA二無水物、25.4g(148mmol)のN−(5−ヒドロキシペンチル)メタクリルアミドおよび50mgのBHTの、100mlの無水塩化メチレン中の溶液に滴下し、次いで、この混合物を室温で18時間攪拌した。溶媒の除去後(40℃,500mbar〜12mbar)に得られた、褐色の粘性が高い液体を、100mlの塩化ナトリウム飽和溶液に溶解し、そして100mlずつのテトラヒドロフランで3回抽出した。無水硫酸ナトリウムでの乾燥および溶媒の除去後(40℃,300mbar〜12mbar、次いで高真空)、27.5g(収率70%)のMAM−EDTAが、透明な黄色樹脂として得られた。
【0066】
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.23−1.35,1.39−1.50,1.52−1.65[3m,それぞれ4H,(CHCHN],1.84(s,6H,CH),2.78[s,4H,(CHN],3.07−3.12[m,4H,(CHCHN],3.47,3.58(2s,それぞれ4H,NCHC=O),4.01−4.04(t,J=6.6Hz,4H,OCH),5.29,5.62(2s,それぞれ2H,=CH),7.89(t,J=5.5Hz,2H,NH),12.1(br.s,2H,OH)。
【0067】
(実施例2)
(EDTA−ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)エステルMA−EDTA(参照物質)の調製)
【0068】
【化18】

MA−EDTAの合成を、独国特許出願公開第10 2005 022 172号に与えられる指示と同様に、EDTA二無水物を2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と反応させることにより行った。このようにして、MA−EDTAが、白色固体(融点(mp.)74℃〜76℃)として、82%の収率で得られた。
【0069】
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ=1.87(s,6H,CH),2.51[s,4H,(CHN],3.44,3.58(2s,それぞれ4H,NCHC=O),4.30(s,8H,OCH),5.68,6.04(2s,それぞれ2H,=CH),11.1(br.s,2H,OH)。
【0070】
(実施例3)
(実施例1から得られたMAM−EDTAおよび実施例2から得られた参照物質MA−EDTAの、加水分解に対する抵抗性の試験)
モノマーMAM−EDTAおよびMA−EDTAのそれぞれの加水分解安定性を試験するために、各場合において、DMSO−d/DO(1:1)中20%の溶液を、37℃で保存した。特定の間隔において、これらの溶液のH−NMRスペクトルを記録した。HEMA置換された参照物質であるMA−EDTAの場合、第二の二重結合信号が、そのH−NMRスペクトルにおいて即座に観察されることが示された。これは、メタクリル酸の脱離を伴うメタクリル酸エステル基の加水分解により引き起こされる。37℃で119日間の保存後、約50%のメタクリル酸エステル基が加水分解された。逆に、本発明によるモノマーであるMAM−EDTAは、明らかに、加水分解抵抗性がより高かった。調査の開始の時点で、加水分解生成物は、MAM−EDTAのH−NMRスペクトルにおいて全く認識され得なかった。37℃で119日後でさえも、さらなる二重結合の信号は、そのH−NMRスペクトルにおいて検出され得なかった。
【0071】
(実施例4)
(MAM−EDTAおよび参照物質であるMA−EDTAにそれぞれ基づく歯科用接着剤の調製)
ウシの歯のぞうげ質に対するぞうげ質接着を調査するために、以下の組成(重量%で与えられる)の2つの接着剤を調製した。これらの接着剤は、MAM−EDTAまたはMA−EDTA(比較例)のいずれかを含有する:
【0072】
【表1】

1)UDMA=2molのHEMAと1molの2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物。
2)ビスGMA=メタクリル酸とビスフェノールA−ジグリシジルエーテルとの付加生成物。
3)ショウノウキノン(0.2重量%)と4−(N,N−ジメチルアミノ)安息香酸エチルエステル(2.5重量%)との混合物。
【0073】
ウシの歯を、ぞうげ質とプラスチックとが同一面になるように、プラスチックシリンダーに包埋した。37%リン酸での15秒間のエッチング後、これらの歯を水で徹底的にすすいだ。この酸エッチングの結果として、歯管(dentubili)が開いた。次いで、上記組成の接着剤の層を、小さいブラシ(Microbrush)を用いて塗布し、次いで、エアブラシで短時間吹き付けて溶媒を除去し、そしてハロゲンランプ(Astralis(登録商標)7,Ivoclar Vivadent AG)で40秒間照射した。商品名Tetric(登録商標)Ceram(Ivoclar Vivadent AG)の慣習的な複合材料のシリンダーを、この接着剤層上で、1mm〜2mmずつの2層で重合させた。
【0074】
次いで、これらの試験片を37℃で24時間、水中に保存し、そしてその接着剪断強度を、ISOガイドライン「ISO 1994−ISO TR 11405:Dental materials Guidance on testing of adhesion to tooth structure」に従って測定した。得られた接着剪断強度は、MAM−EDTAを含有する接着剤については8.6MPaであり、そしてMA−EDTAを含有する接着剤については9.6MPaであった。これらの結果は、本発明により使用されたアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドが、MA−EDTAに匹敵する接着剪断強度を提供し、加水分解に対する抵抗性をかなり改善することを示す(実施例3を参照のこと)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドであって、式(I)において、
Xは、各場合において独立して、OまたはNRを表し、
、R、Rは、互いに独立して水素または
【化2】

を表し、ここでR、RおよびRは、同時に水素にはならず、
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C15アルキレン基を表し、該アルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜C10アルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜10である、
アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド。
【請求項2】
Yは、各場合において独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C10アルキレン基であり、該アルキレン基には、1個以上のOまたはSが介在し得、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、
は、各場合において独立して、水素またはC〜Cアルキル基を表し、そして
pは、2〜6である、
請求項1に記載のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド。
【請求項3】
少なくとも1種の請求項1または2に記載のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドを含有することを特徴とする、重合性組成物。
【請求項4】
アルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドに加えて、少なくとも1種のさらなるラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ラジカル重合の開始剤を含有することを特徴とする、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
2個以上の重合性基を有する少なくとも1種のモノマー、および/または1個以上の酸性基を有する少なくとも1種のモノマーを含有することを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
光重合の開始剤を含有することを特徴とする、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
充填材を含有することを特徴とする、請求項3〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記充填材が、1nm〜10μmの平均粒径を有する粒子性充填材であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
a)0.5重量%〜50重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.01重量%〜15重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜80重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜95重量%の溶媒、
e)0重量%〜75重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
a)5重量%〜40重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.1重量%〜5重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜60重量%のさらなる重合性モノマー、
d)0重量%〜80重量%の溶媒、
e)0重量%〜60重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
SiO、ZrO、Al、AlO(OH)またはこれらの混合酸化物に基づく単分散ナノ粒子性充填材を含有することを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記充填材が、5nm〜200nmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
a)5重量%〜40重量%の式(I)によるアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミド、
b)0.1重量%〜5重量%のラジカル重合の開始剤、
c)0重量%〜60重量%のさらなる重合性モノマー、
d)1重量%〜75重量%の充填材、
を含有することを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
石英、セラミック、ガラスセラミックまたはガラス粉末に基づく極微小充填材を含有することを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記充填材が、0.01μm〜5μmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項14または15に記載の組成物。
【請求項17】
成分(c)が、前記組成物の全体の質量に対して1重量%〜50重量%の1個以上の酸性基を有するモノマーを含有することを特徴とする、請求項10〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
成分(c)が、前記組成物の全体の質量に対して1重量%〜45重量%の2個以上の重合性基を有するモノマーを含有することを特徴とする、請求項10〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
歯科材料としての、請求項3〜18のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項20】
接着剤またはセメントとしての、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
歯科材料の調製のための、請求項1または2に記載の1種以上のアルキレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−(メタ)アクリルアミドの使用。
【請求項22】
接着剤またはセメントの調製のための、請求項21に記載の使用。

【公開番号】特開2009−132720(P2009−132720A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305652(P2008−305652)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(501151539)イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト (54)
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
【住所又は居所原語表記】Bendererstr.2 FL−9494 Schaan Liechtenstein
【Fターム(参考)】