説明

アルケンからのエポキシドの調製用の改善された触媒性の工程

商業的に入手可能な過酸化水素と共に、溶媒の欠如下における又は溶媒の存在下における遷移金属の塩、無機促進剤、及び有機添加剤の組み合わせを使用するアルケンからのエポキシドの調製用の改善された触媒性の工程を開示しておいた。このように、スチレンオキシドを、純度>95%で86%の単離された収率におけるキログラムの尺度で調製した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルケンからのエポキシドの調製用の改善された触媒性の工程に関する。より詳しくは、この発明は、アルケン、すなわち、スチレン、インデン、シクロへキセン、1,2−ジヒドロナフタレン、イソプレン、α−ピネン、1−ヘキセン、1−オクテン、t−4−オクテンからの過酸化水素の存在下における無機塩基及び有機化合物との組み合わせにおける遷移金属の塩の使用に関する。これらのエポキシドは、香料の化学物質、薬物、医薬品、及び農芸用化学物質の合成における中間体としての用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
エポキシドは、高度に反応性の化学的な化合物であり、それらの化合物を、それらの反応性の結果として、多種多様な用途において使用することができる。エポキシ化は、二次の反応であると共に、反応熱(約250kJ/mol)を伴った高度に発熱反応である;従って、安全な操作を保証するために、常に注意を払わなければならない。電子吸引性基が、反対の効果を有すると共に時々その反応を完全に停止させることもある一方で、電子供与性基、例えば、二重結合の炭素原子におけるアルキル基は、反応速度を向上させる。塩化アリルがより遅く反応するのに対して、例えば、2−ブテンが、プロペンよりもかなり速く反応するということが、報告されてきた(非特許文献1)。
【0003】
アルケンの酸化によるエポキシドの調製は、経済的な意味の技術的に重要な工程である。好ましくは、エポキシドは、触媒の存在下における酸化剤とのアルケンの反応によって形成される。商業的な漂白剤、有機過酸化物、有機過酸、ヨードシルアリン類(iodosyl arines)、オキソン類(oxones)、(純粋な酸素又は大気中の酸素の形態における)分子の酸素、及び過酸化水素のような様々な酸化剤が、様々なアルケンエポキシドを調製するために使用されてきた。
【0004】
過酸化水素は、高い酸素の含有率の、環境的に優しい酸化剤であり、それのために水が、不均一酸化(heterolytic oxidation)における単独の副産物であるが、しかし、それは、水酸化物イオンの乏しい離脱の傾向のおかげで活性化の欠如の下における遅い酸化剤である(非特許文献2及び非特許文献3)。遷移金属の塩又は錯体が、水性のHとアルケンのエポキシ化のための触媒として使用されてきた(非特許文献4;非特許文献5)。Hの活性化の他の方法は、カルボン酸から反応性の過酸を形成すること(非特許文献6)、アセトニトリルからペルオキシカルボキシミド酸の形成すること(非特許文献7)、過酸化尿素の発生(非特許文献8)、又は、強塩基性の溶液における過ホウ酸塩及び/又は過ホウ酸エステル(perborate)若しくは過炭酸ナトリウムを使用すること(非特許文献9)を含む。
【0005】
アルコール/水の溶媒における重炭酸塩のイオンで過酸化水素を活性化するための方法が、非特許文献10及び非特許文献11に記載された。重炭酸塩で活性化された過酸化物の系において、活性な酸化剤のペルオキシモノカルボナートイオン、HCOが、多分、COの過水和を介して生産される(非特許文献12)。ペルオキシモノカルボナートは、陰イオン性の過酸であると共に水溶液において効力のある酸化剤である。同様に、ニトリルは、また、(一般には、Payne系として知られた:非特許文献13;非特許文献14)アルカリ性の媒質における効力のあるエポキシ化する試薬−ペルオキシイミド酸の現場での生産を介して、過酸化水素を活性化することが、示されてきた。
【0006】
(商業的な漂白剤の現場での発生)酸化剤として塩素を使用する、クロロヒドリンを介して二重結合をエポキシ化するための産業の工程を開示する非特許文献15の参照がなされることもある。それら工程の不都合は、(i)低い経済的価値を有する、クロロヒドリンの脱塩化水素の副産物としての塩化カルシウムの同時の生産がある;(ii)この工程は、過度に(その生産物よりも5〜6当量多く)無機溶出物としてのナトリウム及びカルシウムの塩化物を発生させる;(iii)それら工程は、塩素の使用のためで、環境に優しいものではない、ことである。非特許文献16は、酸化剤としての過ギ酸又は過酢酸の現場での形成と共に、植物油(例えば、大豆油)、ポリブタジエン、天然ゴム及び合成ゴム、並びに、ポリエステルを含む長鎖のアルケンのエポキシ化を記載した。この系における主要な欠点は、(i)使用された過酸が、無水の状態にあると共に高い濃度にあることである。これらの条件下で、これらの過酸(特に、低級なアルキル過酸)は、高度に爆発性のものである;(ii)水性の条件下で、エポキシドは、その媒質が適切に緩衝されない限り、容易に加水分解される;(iii)過酸の費用は、高く、このように、それは、その工程の経済に悪影響を及ぼす。
【0007】
特許文献1におけるD.W.Leyshonは、63℃及び1000プサイの圧力での触媒としてのチタンを含有する分子ふるいの存在の下での過酸化水素とプロペンの反応によるプロペンオキシドの生産のための工程を開示するが、そこでは、反応溶出物は、58重量%のプロペン、4.6%のプロペンオキシド、10.8%のメチルベンジルアルコール、18.2%のエチルベンゼン、8.4%の他のものを含む。その工程は、以下の不都合を有する。(i)それは、形成されたエポキシ化された化合物に化学的に等価な量における副産物としての低費用のアルコールを生産する;ii)その工程の選択性は、それが、ほぼ18重量%の程度までの識別されない生産物の形成をもたらすと、乏しいものである;iii)その触媒は、最初のランの後で不活性化させると共に再生されることを必要とする;iv)その方法は、高級な及び芳香族のアルケンに適切なものではない。
【0008】
特許文献2におけるJ.R.Monnierは、2から20重量%の銀、アルミナの支持体における触媒促進剤としての0.01から2重量%のアルカリ金属の硝酸塩又は塩化物を含む、銀を含有する触媒の存在下における分子の酸素(希釈ガスのヘリウムと一緒に0.01〜30mol)でのスチレン及びスチレンの類似体の選択的なモノエポキシ化を開示してきた。エポキシ化反応を、100℃〜325℃の温度範囲にわたる1〜30気圧の反応圧力で実施したが、そこでは、生産物のエポキシドへの転換は、スチレンオキシドへの選択性が50〜78mol%のものであったと共に、5〜60%の範囲にあった。しかしながら、この工程は、以下の不都合を有する、(i)操作温度が、より高く、その温度で、アルケン及び酸素の混合物は、潜在的な爆発性のものである;(ii)転換及び選択性は、適度なものであるが、そのことは、商業的な用途についてのそれの範囲を限定する;(iii)酸素の濃度を維持するための希釈剤としての高価なヘリウムガスを利用する。
【0009】
非特許文献17及び非特許文献18は、触媒として鉄/銅の粉末及び触媒性の量の酢酸を使用する、溶媒としての塩化メチレンにおける添加剤としてのアルデヒドの存在の下でのエポキシシクロヘキサンの高いエポキシドの収率を達成するための酸化剤としての(純粋な酸素又は大気中の酸素の形成における)分子の酸素の使用を報告した。この研究の続きにおいて、特許文献3におけるS−I.Nurahashi等は、触媒を、(過剰な塩化メチレンを使用する)希釈の条件下で完全にさえも不要にすることができることを開示した。これらの工程の両方は、以下の不都合を有する、(i)その工程は、生態学的に及び毒物学的に危険なものである、溶媒としての多量の塩化メチレンを使用する;(ii)トルエンのような他の溶媒は、塩化メチレンを交換することができないと共にその溶媒の酸化を通じたより低い収率及び副反応に帰着する;(iii)多くの従来の有機溶媒は、分子の酸素との爆発性の混合物を形成するが、そのことは、産業におけるそれの用途を大きく限定する;(iv)aアルデヒドの酸化の工程において、添加剤は、対応する酸へ転換されることになるが、そのことは、工程の経済に関係する限り、望ましいことではない。
【0010】
特許文献4におけるG.B.Payne等は、タングステン酸のような触媒の存在下における又は有機ニトリルの存在下における、酸化剤としての過酸化水素の使用を開示した。しかし、これらの二つの方法は、(i)タングステン酸の事例においては、生産物のエポキシドが、反応条件下で、対応するグリコールへ加水分解される;(ii)有機ニトリルの事例において、等価な量の対応するアミドが、生産物のエポキシドと一緒に発生させられる;(iii)発生させられたアミドが、それが、蒸留工程によって生産物のエポキシドから分離されることが要求されることを除いては、低費用のものであるが、そのことは、その工程の費用にさらに追加する、よって産業的に望ましくないものである、という欠点を有する。
【0011】
特許文献5におけるM.Taramasso等、特許文献6におけるG,Bellussi等、及び、特許文献7におけるC.Neri等は、チタンシリカライト(titanium silicalite)が、溶媒の存在又は欠如において酸化剤としての過酸化水素でのオレフィンの化合物のエポキシ化に有効な触媒であることを開示した。これらの事例においては、エポキシ化は、アルコール又は水のようなプロトン性の媒質において果たされるが、そこでは、アルコールは、共同触媒(co-catalyst)として考えられる。しかしながら、これらの工程は、以下の不都合に悩む、i)その触媒は、これらの望まれない副産物の形成に関与する、その触媒の表面上の酸の部位を抑制するための中和剤(neutralizing agent)での処理を要求する。そのようにすることで、環境的に望ましいものではない無機塩が、発生させられる;ii)その触媒チタンシリカライトの小さい孔の大きさ(5.6×5.3Å)は、それの用途を、より小さいアルケンに限定する;iii)広い範囲のより嵩高いアルケンのエポキシ化を、アルケンが、活性な部位に到達することができないので、これらの触媒でエポキシ化することができない。
【0012】
特許文献8におけるS.Enomoto及び特許文献9におけるK.Nishibeは、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、及びアセトニトリルと同様の水に不溶な溶媒の存在下における24℃での90%のエポキシドの選択性と共に77〜82%の収率を与えるために24時間がかかる、酸素の源としての60%の過酸化水素を使用して、それぞれアミン及び無機陰イオンとビス(トリ−n−アルキルスズオキシ)モリブデン酸(bis(tri-n-alkyltinoxy)molybdic acid)の存在下における不均一系(heterogeneous system)においてスチレン及び過酸化水素を反応させることによるスチレンオキシドの調製を開示してきた。この系の欠点は、i)それが、塩素化された及び他の有害な溶媒を要求する;ii)それら収率及び選択性が、より低い側にあると共にこのような転換を達成するためにより長い時間がかかる;iii)それが、上述した転換を達成するために高度に爆発性の濃度(60%)の過酸化水素を要求するが、そのことは、産業におけるそれの用途のためには好ましいことではない、ことである。
【0013】
非特許文献19は、溶媒としての1:1.4の比におけるアルコール/水又はジメチルホルムアミド/水のいずれかにおける重炭酸塩のイオンで、緩衝された過酸化水素(10当量)を活性化するための方法を記載したが、そこでは、活性なペルオキシモノカルボナートイオン、HCOが、多分、COの過水和を介して生産される。この組み合わせを使用して、それが、スチレンについて、24時間におけるスチレンオキシドへの93%の転換を与えるために、報告されてきた。その系は、後に続き不都合を有する、i)緩衝されたH(10当量)の量は、高い転換率を得るために、適切に、より大きいものである、このように、過酸化水素についての酸素原子の効率は、乏しいものであると共にその工程を商業的な水準で現実味のないものにする非常に大きい容積を取り扱うことを要求する;ii)その反応が、これらの反応条件の下で高度に発熱性のものであると、緩衝されたHを添加することは、延長された時間枠(16時間)がかかる。
【0014】
非特許文献20は、3−フェニル−1−プロペン、環状の及び長鎖のアルケンの酸性の/塩基のカルボジイミドで促進されたエポキシ化を記載してきたが、そこでは、過酸化水素の存在下におけるカルボジイミドは、酸化剤としての過酸化イソ尿素(peroxyisourea)を、現場で発生させる。それら収率は、38〜71%の間に見出された。この工程は、魅力的なものとはいえ、以下の不都合に悩む、(i)オレフィンは、アルコール性の溶媒に可溶なものであるべきであり、このように、他のアルコールに不溶なアルケンについての方法の範囲を限定する;(ii)使用されたカルボジイミドは、その反応の終了における発生させられた尿素の等価な量が、低い値のものである一方で、ジシクロヘキシルカルボジイミドであったと共に高価なものである;(iii)基板のモル当たりの酸素原子の利用の効率は、非常に乏しいものであると共に大きい容積の(10倍を超える)酸化剤を要求する。よって、このような系を一定比率で増加させる可能性は、産業の用途には困難なものである。
【特許文献1】米国特許第6,583,300号明細書
【特許文献2】米国特許第5,145,968号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0540009号明細書
【特許文献4】米国特許第3,053,856号明細書
【特許文献5】米国特許第4,410,501号明細書
【特許文献6】米国特許第4,701,428号明細書
【特許文献7】米国特許第4,833,260号明細書
【特許文献8】米国特許第5,041,569号明細書
【特許文献9】米国特許第5,155,241号明細書
【非特許文献1】D.Swern,J.Am.Chem.Soc.69(1947)1692
【非特許文献2】G.Strukul,Catalytic Oxidation with Hydrogen Peroxide as oxidant:Kluwer:Dordrecht,1992
【非特許文献3】J.O.Edwards,Peroxide Reaction Mechanism;O.J.Edward,Ed.hiterscience:New York,1962;pp,67
【非特許文献4】E.N.Jacobsen,Comprehensive Organometallic Chemistry II;E.W.Abel,F.G.Stone,E.Wilkinson,Eds.Pergamon:New York,.1995.Vol.12 p.1097
【非特許文献5】H.R.Tetzlaff,J.H.Espenson,Inorg.Chem.38(1999)881
【非特許文献6】D.Swern,Organic peroxides;D.Swern Eds.Wiley Interscience,New York 1971 Vol.2 p.355
【非特許文献7】G.B.Payne P.H.Deming,P.H.William,J.Org.Chem.26(1961)659
【非特許文献8】G.Majetich,R.Hicks,Synlett.(1996)694
【非特許文献9】A.McKillop,W.R.Sanderson,Terahedron,51(1995)6145
【非特許文献10】R.S.Drago et al.,Proceeding of 1997 EKDEC scientific Conference on Chemical and Biological Defense Research
【非特許文献11】D.E.Richardson et al.,Proceeding of 1998 and ERDEC scientific Conference on Chemical and Biological Defense Research,ERDEC,1999
【非特許文献12】D.E.Richardson et al.,J.Am.Chem.Soc,122(2000)1729
【非特許文献13】G.B.Payne et al.,J.Org.Chem.26(1961)659
【非特許文献14】G.B.Payne,Tetrahedron 18(1962)763
【非特許文献15】A.Wurtz,Ann.,110(1859)125
【非特許文献16】D.Swern,“Organic Peroxy Acids as Oxidizing Agent”:D.Swern,Epoxidation,“Organic Peroxides,”2,5,Wiley−Interscience,New York 1971,pp.355
【非特許文献17】T.Mukaiyama,Bull.Chem.Soc.Jpn.68(1995)17
【非特許文献18】G.Pozzi,Chem.Commun.(1997)69
【非特許文献19】B.S.Lane et al.,J.Am.Chem.Soc,123(2001)2933
【非特許文献20】G.Majetich et al.,Synlett(1996)649
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の主要な目的は、上に詳述したような欠点を事前に除去するアルケンからのエポキシドの調製のための改善された触媒性の工程を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、2〜7時間に適度な温度で酸化剤として過酸化水素を使用する、有機溶媒の欠如の下で又はある溶媒の存在の下で無機促進剤及び有機添加剤を使用する、アルケンのエポキシ化の改善された工程を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、>99%の得られたエポキシドの転換率及び95から97%の範囲におけるエポキシドの選択性への有機溶媒の無い反応条件における遷移金属の塩の触媒性の活性を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、温度及び圧力の適度な条件の下でのアルケンのエポキシ化のために遷移金属の塩を使用する、触媒性の工程を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、酸化剤としてHOを使用する、アルケンのエポキシ化のための触媒性の工程を開発することである。
【0020】
本発明のなお別の目的は、遷移金属の塩の欠如の下でさえもエポキシドの転換を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、アルケンからのエポキシドの調製のための改善された触媒性の工程に関係する。より詳しくは、この発明は、アルケン、すなわち、スチレン、インデン、シクロヘキセン、1,2−ジヒドロナフタレン、イソプレン、α−ピネン、1−ヘキセン、1−オクテン、t−4−オクテンから過酸化水素の存在の下での無機塩基及び有機化合物との組み合わせにおける遷移金属の塩の使用に関係する。これらのエポキシドは、香料の化学物質、薬物、医薬品、及び農芸用化学物質の合成における中間体としての用途を見出す。
【発明の効果】
【0022】
本発明の主要な利点は:、
1.エポキシドの良好な単離された収率が、穏やかな反応条件の下で安価な試薬で達成可能である。
【0023】
2.有機配位子に基づいた金属錯体が、本発明に使用された反応条件の下での過酸化水素及びアルケンの活性化に要求されない
3.より少ない量の商業的なLR等級の遷移金属の塩が、その反応を1Kgの尺度での完了まで進めることを要求されるのみである、
4.ある一定の反応条件の下で、アルケンのエポキシ化反応が、遷移金属の塩の欠如の下でさえも高い転換率及び選択性を与えた。
【0024】
5.過酸化水素を活性化するために使用された無機塩及び有機化合物は、安価なもの及び商業的な等級のものである。
【0025】
6.定義された反応条件の下で、有機溶媒は、液体アルケンの大部分について要求されない。
【0026】
7.エポキシ化反応が、空気中でランされる(事前の酸素の無い条件が要求されない)。
【0027】
8.より高い尺度での(1Kgの尺度での)最終的な精密検査のプロトコルは、水に不溶なエポキシドが、別個の層を形成すると共にこのように物理的に分離されることができると、溶媒抽出を要求しない。
【0028】
9.本発明を使用すると、高い水準の転換及び選択性が、その工程を産業の用途に対して現実味のあるものにする妥当な時間枠内で達成された。
【0029】
10.反応速度は、酸化剤として過酸化水素を使用するこれらのアルケンと共に報告されたものよりもはるかに顕著に速いものである。
である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
それに応じて、本発明は、アルケンからのエポキシドの調製のための改善された触媒性の工程を提供するが、その工程は、二相性の均質な系の下での触媒としての0.0003molから4.0molの濃度の範囲における無機塩基及び0.02molから30.0molの濃度の範囲における有機化合物との組み合わせで0.01mmolから0.01molの濃度の範囲における遷移金属の塩の存在の下で又は欠如の下で、0.001molから10molの濃度の範囲におけるアルケンを反応させること、及び、−10℃から80℃の温度の範囲で2から10時間の時間枠にわたって酸素の源としての過酸化水素と連続的に攪拌すること、を含むと共に、>99%の転換率及び95%の選択性を備えた、結果として生じるエポキシドは、それが、液体であるとすれば、
15時間後の層の分離方法によって、あるいは、部分的に水溶性の/固体のエポキシドの事例においては溶媒抽出の方法によって、反応混合物の水性の層から分離される。
【0031】
本発明のある実施形態においては、使用されたアルケンは、スチレン、インデン、シクロヘキセン、1,2−ジヒドロナフタレン、イソプレン、α−ピネン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びt−4−オクテンより選択されることもある。
【0032】
本発明の別の実施形態においては、遷移金属の塩は、そこでは、遷移金属は、対イオンが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、重炭酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩のようなものであってもよい一方で、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、鉄、クロム、及びバナジウムであってもよい。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態においては、エポキシ化反応は、有機溶媒の欠如の下で、又は、水の組み合わせでベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ホルムアミド、アセトアミド、プロパミド(propamide)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、及び、ジクロロエタンより選択されることもある溶媒の存在の下で、二相の条件の下で実施されることもある。
【0034】
本発明の別の実施形態においては、無機促進剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びセシウムのようなアルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩であることもある。
【0035】
本発明のさらに別の実施形態においては、有機添加剤は、ニトリル、例えば、アセトニトリル及びベンゾニトリル、アミド、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、プロパミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、尿素、アルキルで置換された尿素、アリールで置換された尿素、並びにチオ尿素であってもよい。
【0036】
本発明に従って、アルケンの触媒性の酸化は、以下の式
【0037】
【化1】

を通じて進行する。
【0038】
その反応は、効率的な水の凝縮器と適合した250mlの二つ口の丸底フラスコにおいて研究室の尺度で実施された。研究室の試薬の等級のアルケンが、基質として使用された。触媒の転換は、無機塩及び有機共同促進剤の存在の下で実行された。高度に活性なペルオキソの中間の種が、エポキシ化に要求された過酸化水素の遅い付加によって、現場で発生させられた。その反応混合物は、それぞれのエポキシドを与えるために一定の攪拌することと共に20℃で熟成することが許容された。
【0039】
本発明に従った工程は、適度な温度及び大気の圧力で酸化剤としてHを使用する触媒性の転換によって、0.007から15molの範囲における、好ましくは0.01から10molの範囲における、アルケンの濃度を使用することによって、実行された。エポキシ化反応は、二相の均質な系の下で、無機促進剤及び有機促進剤との組み合わせで実行された。より高い収率のアルケンエポキシドが、アルケンの濃度が、(i)0.0003molから4molの範囲における無機促進剤及び(ii)0.02molから30molの範囲における有機共同促進剤との組み合わせで0.1molよりも多いものであったとき、得られた。生産物、アルケンオキシドは、抽出され、蒸留され、及び、GLC及びH NMRによって特徴付けられた。
【0040】
好適な発明においては、その反応混合物の温度は、−10から110℃の温度の範囲に、好ましくは−5から75℃の範囲に、維持されることもある。その触媒性の反応は、使用された溶媒の通常の温度から沸騰する温度及び大気の圧力での触媒性の酸化を通じて進行する。−5℃より下の温度では、触媒性の転換は、非常に遅いものであると共に、6時間後に得られたそれぞれの酸化物(オキシド)は、40%のみであった。約70℃までのその温度の漸進的な増加は、それらのそれぞれのエポキシドへのアルケンの完全な転換を達成する際に援助する。
【0041】
本発明と一致して、遷移金属の塩は、アルケンを活性化する際に非常に致命的な役割を果たす。それら金属の塩は、0.007molから0.02molの濃度の範囲における、好ましくは0.01mmolから0.01molの濃度の範囲における、反応混合物へ添加されることもある。少ない量の金属の塩(<0.007mmol)で、触媒性の反応は、緩慢なものであると共に得られた転換率は、10%未満である。最適な量の金属の塩の使用は、それが、その変換に明確に触媒作用を及ぼすが、しかし、同時に、それが、過酸化水素を分解する傾向があると、本質的なものである。これは、より低い収率のエポキシド及びより多い量の過酸化水素の必要性に帰着することもある。
【0042】
本発明を実行する際に、反応の熟成が後に続く過酸化水素の付加に要求された時間は、より高い収率及び転換率を達成する際に重大なものである。付加の時間は、1から10時間の範囲において、好ましくは2から20時間の範囲における熟成が後に続く2から6時間の範囲において、好ましくは3から15時間の範囲において、変動させられることもある。2時間未満の熟成が後に続く1時間より下に付加の時間を減少させることが、エポキシドへのアルケンのより低い転換率に帰着したことが、観察された。それぞれ6時間及び15時間を超える付加の時間及びその後の熟成期間を増加させることによって、利点は、生じてこなかった。
【0043】
本発明においては、酸化剤の濃度が、5から55%の範囲において、好ましくは基質(アルケン)に関するより高い酸素原子の効率を得るために10から50%の範囲において、変動させられることもあることが、観察された。さらには、過酸化水素と一緒に、最適な量の金属の塩は、後者がまた過酸化水素を分解する傾向があると、本質的なものである。これは、より多い量の過酸化水素の必要性に帰着することもあるが、それは、その工程の経済を不利に果たすこともある。過酸化水素との金属の塩の組み合わせは、高度に活性なペルオキソの中間体の種を形成するが、それらの種は、エポキシドへのアルケンの転換を向上させる。
【0044】
本発明は、様々な用途に適切なアルケンオキシドの調製に関係する。これらのアルケンオキシドは、適度な温度及び大気の圧力で酸化剤として過酸化水素を使用する触媒性の転換によって広い範囲のアルケンから調製された。エポキシ化反応は、無機塩基及び有機溶媒との組み合わせで触媒として遷移金属の塩の使用によって影響を及ぼされたが、そこでは、その転換率及び選択性が、文献に報告されたものよりも高い程度のものであった。本発明の方法は、いずれの特別なデバイスをも要求しないと共に、有害な及び腐食性の塩素ガスの使用が不要にされる。本発明においては、有機溶媒の存在及び欠如の下での並びに適度な温度でのアルケンからのエポキシドの調製のための触媒性の工程は、高い純度を有する酸化物を与える。本発明において採用された進歩性は、(i)商業的な過酸化水素がアルケンのエポキシ化のための酸化剤として使用されると共に酸化剤としての塩素ガスの使用が不要にされる;(ii)エポキシ化反応は、より低い温度及び大気の圧力で実行されると共により高い温度及び圧力を要求しない;(iii)エポキシ化反応は、無水の条件の必要性を事前に除去すると共に触媒性の転換は、有機及び/又は水性の媒質において起こる;(iv)ほとんどのアルケンについて、有機溶媒は、エポキシ化反応が起こることに必要とされないで、このようにその工程を環境に優しいものにするが、しかしながら、そこでは、溶媒が、これまでに要求されると共に、それが、分子の酸素で爆発性の混合物を形成しない;(v)エポキシ化反応が、触媒としての安価な遷移金属の塩を使用して、影響を及ぼされないと共に高価なタングステン酸、モリブデン酸の錯体、及び銀を含有する触媒についての必要性が、不要にされる、ことである。
【0045】
典型的な触媒性のランにおいて、水における、適切な遷移金属の塩、アルケン、無機塩、及び有機添加剤が、要求された温度で反応容器に取得された。その酸化剤は、定義された率で添加されたと共に、反応の完了の後に、エポキシドが、分液漏斗において分離されたと共に場合によっては蒸留又は再結晶によって精製された。生産物の純度は、ガスクロマトグラフィー及びH NMRによって決定された。以下の例は、本発明の実例として与えられると共に、従って、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0046】
例1
20℃での50.0mlの水におけるスチレン(0.1mol)、ドデカン(0.01mol)、尿素(2.08mol)、重炭酸ナトリウム(0.03mol)及び硫酸マンガン(0.0001mol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、4時間の期間にわたる30%の水性の過酸化水素(0.22mol)の滴である。4.5時間後に、反応混合物の有機層は、分液漏斗によって分離された。水性の層は、4×20mLのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、94%の選択性を備えた99%である。
【実施例2】
【0047】
例2
20℃での50.0mlの水におけるスチレン(0.1mol)、ドデカン(0.01mol)、尿素(2.08mol)、重炭酸ナトリウム(0.03mol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、5時間の期間にわたる30%の水性の過酸化水素(0.22mol)の滴である。5時間後に、反応混合物の有機層は、分液漏斗によって分離された。水性の層は、4×20mLのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、95%の選択性を備えた99%である。
【実施例3】
【0048】
例3
20℃での500mlの水におけるスチレン(1.0mol)、ドデカン(0.1mol)、尿素(20.8mol)、重炭酸ナトリウム(0.3mol)及び硫酸マンガン(0.001mol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、5時間の期間にわたる50%の水性の過酸化水素(2.2mol)の滴である。5時間後に、分液漏斗は、反応混合物の有機層を分離した。水性の層は、4×20mLのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、94%の選択性を備えた99%である。
【実施例4】
【0049】
例4
0℃での500mlの水におけるスチレン(1.0mol)、尿素(40.8mol)、重炭酸ナトリウム(0.6mol)及び硫酸マンガン(0.001mol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる50%の水性の過酸化水素(2.2mol)の滴である。その反応は、10時間の間攪拌することが許容された。10時間後に、分液漏斗は、反応混合物の有機層を分離した。水性の層は、4×20mLのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、92%の選択性を備えた99%である。
【実施例5】
【0050】
例5
40℃での500mlの水におけるスチレン(1.0mol)、尿素(20.8mol)、重炭酸ナトリウム(0.3mol)及び硫酸マンガン(0.001mol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、4時間の期間にわたる50%の水性の過酸化水素(2.2mol)の滴である。その反応は、8時間の間攪拌することが許容された。8時間後に、分液漏斗は、反応混合物の有機層を分離した。水性の層は、4×20mLのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、94%の選択性を備えた99%である。
【実施例6】
【0051】
例6
15℃での2.5Lの水におけるスチレン(10.0mol)、商業的な等級の尿素(26.6mol)、研究室の等級の重炭酸ナトリウム(3.7mol)及び硫酸マンガン(0.01mol)の機械的に攪拌された溶液へゆっくりと添加されるのは、5時間の期間にわたる商業的な等級の50%の水性の過酸化水素(22.0mol)である。5時間後に、分液漏斗は、反応混合物の有機層を分離した。粗スチレンオキシドは、スチレンオキシドを与えるために蒸留させられた。エポキシドへの転換率は、95%の選択性を備えた99%である。
【実施例7】
【0052】
例7
20℃での10.0mlの水におけるインデン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び硫酸マンガン(0.1mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.4mol)である。10時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、95%の選択性を備えた>99%の収率でインデンオキシドを与えた。
【実施例8】
【0053】
例8
25℃での10.0mlの水におけるシクロヘキセン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び硫酸マンガン(0.1mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.4mol)である。8時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、91%の選択性を備えた96%の収率でシクロヘキセンオキシドを与えた。
【実施例9】
【0054】
例9
25℃での10.0mlの水及び30mlのアセトニトリルにおけるα−ピネン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び硫酸マンガン(0.1mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.4mol)である。6時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、93%の選択性を備えた85%の収率でα−ピネンオキシドを与えた。
【実施例10】
【0055】
例10
25℃での10.0mlの水及び30mlのジクロロメタンにおける1,2−ジヒドロナフタレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び硫酸マンガン(0.1mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.4mol)である。4時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、95%の選択性を備えた99%の収率で1,2−ジヒドロナフタレンオキシドを与えた。
【実施例11】
【0056】
例11
25℃での10.0mlの水及び30mlのジクロロメタンにおけるスチレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び酢酸コバルト(II)(0.2mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、4時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.5mol)である。14時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、80%の選択性を備えた56%の収率でスチレンオキシドを与えた。
【実施例12】
【0057】
例12
30℃での10.0mlの水におけるスチレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、ジメチルホルムアミド(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び酢酸マンガン(II)(0.15mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.45mol)である。8時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、80%の選択性を備えた56%の収率でスチレンオキシドを与えた。
【実施例13】
【0058】
例13
30℃での10.0mlの水におけるスチレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.003mol)及び酢酸ニッケル(II)(0.15mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.45mol)である。8時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、68%の選択性を備えた45%の収率でスチレンオキシドを与えた。
【実施例14】
【0059】
例14
30℃での10.0mlの水におけるスチレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸ナトリウム(0.004mol)及び酢酸マンガン(II)(0.2mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、3時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.45mol)である。8時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、82%の選択性を備えた87%の収率でスチレンオキシドを与えた。
【実施例15】
【0060】
例15
30℃での10.0mlの水におけるスチレン(0.01mol)、ドデカン(0.001mol)、尿素(0.208mol)、重炭酸カリウム(0.003mol)及び硫酸マンガン(0.1mmol)の機械的に攪拌された溶液へ添加されるのは、4時間の期間にわたる三個の等しい部分における30%の水性の過酸化水素(0.5mol)である。5時間後に、反応混合物は、4×5mlのジエチルエーテルで抽出された。組み合わせられた有機層は、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させられた。溶媒の除去は、90%の選択性を備えた90%の収率でスチレンオキシドを与えた。
【実施例16】
【0061】
例16
例1に例示されたような同じ手順は、ここではエポキシ化反応が、3:2の体積/体積の比における水との組み合わせで有機溶媒としてのアセトニトリルの存在の下で実施されたことを除いて、様々なアルケン、すなわち、イソプレン、1−オクテン、t−4−オクテン、及びクロメンで繰り返された。それら結果は、表1に要約される。
【0062】
表1
【0063】
【表1】

*ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定されたもの

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケンからのエポキシドの調製のための改善された触媒性の工程であって、当該工程は、
a.自由選択で二相性の均質な系の下での触媒としての0.0003molから4.0molの濃度の範囲における無機塩基及び0.02molから30.0molの濃度の範囲における有機化合物との組み合わせで0.01mmolから0.01molの濃度の範囲における遷移金属の塩の存在の下で、0.001molから10molの濃度の範囲におけるアルケンを反応させると共に>99%の転換率及び95%の選択性で反応混合物を得るために−10℃から80℃の温度の範囲で2から10時間の時間枠にわたって酸素の源としての過酸化水素と連続的に攪拌するステップ、及び
b.約15時間後の層の分離方法によって、あるいは、部分的に水溶性の/固体のエポキシドの事例においては溶媒抽出の方法によって、該反応混合物の水性の層から該エポキシドを分離するステップを含む、工程。
【請求項2】
使用されたアルケンは、スチレン、インデン、シクロヘキセン、1,2−ジヒドロナフタレン、イソプレン、α−ピネン、1−ヘキセン、1−オクテン、及びt−4−オクテンを含む群より選択される、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記遷移金属の塩は、対イオンが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩、重炭酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩のようなものである一方で、コバルト、マンガン、ニッケル、銅、鉄、クロム、及びバナジウムからなる群より選択される、請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記溶媒は、2:3体積/体積の水の組み合わせで、ベンゼン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ホルムアミド、アセトアミド、プロパミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、及び、ジクロロエタンからなる群より選択される、請求項1に記載の工程。
【請求項5】
前記無機促進剤は、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びセシウムのようなアルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩である、請求項1に記載の工程。
【請求項6】
前記有機添加剤は、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ホルムアミド、アセトアミド、プロパミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、尿素、アルキルで置換された尿素、アリールで置換された尿素、及びチオ尿素からなる群より選択される、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
過酸化水素の濃度は、5%から55%の範囲に維持された、請求項1に記載の工程。
【請求項8】
前記反応混合物の熟成期間は、3から15時間の範囲に維持された、請求項1に記載の工程。

【公表番号】特表2008−500967(P2008−500967A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505646(P2007−505646)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003512
【国際公開番号】WO2005/095370
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(505185709)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (35)
【Fターム(参考)】