説明

アルデヒド系殺菌剤用インジケーター

【課題】アルデヒド類検知の呈色反応において、呈色反応を適度に抑制し、呈色を識別し、抗酸化剤を必要としないアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物の提供。
【解決手段】ポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩を含有することを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタラール、オルトフタルアルデヒドなどのアルデヒド系殺菌剤の効力の検知に有用なインジケーター用の組成物及びインジケーターに関する。
【背景技術】
【0002】
アルデヒド系化合物は、細菌やウイルス等の微生物に対して優れた殺菌作用を発揮するために、殺菌あるいは消毒剤として使用されている。中でもグルタラールやオルトフタルアルデヒドはホルマリン等の他のアルデヒドに比して、人体への刺激が少ないため、医療機器や医療器具の殺菌、消毒に広く用いられている。これらのアルデヒド系殺菌剤に於いてはpH7以上で活性化され殺菌力が発揮されるため、使用を開始してからアルデヒドが酸化されて効力を消失するまで、その効力をモニターすることが重要な課題であった。これは、効力が薄れた殺菌液で医療器具等を殺菌、消毒することは、院内感染の誘発など、人命に関わる事態を招きかねない危険性があるためである。
【0003】
この様な状況を反映して、アルデヒド基との反応を利用した種々のインジケーターの開発が試みられてきた。この様な技術としては、例えば、亜硫酸塩とpH指示薬との混合物からなるインジケーター(特許文献1参照)が開示され、また、これらの組成物及びマンニトール等の水溶性充てん剤を含むディテクター(特許文献2参照)が開示されているが、亜硫酸塩は不安定であり、pH指示薬を発色剤としているため、亜硫酸塩の劣化によるpH変化を起こし、間違ったインジケーションを示す危険性があった。更に、アミノ酸及びpH指示薬からなるソレンソン反応を利用した装置(特許文献3参照)が開示されているが、実用液には緩衝化剤が添加されていることから、直接実用液の濃度をチェックするには難点があった。更にまた、特許文献4では、過剰のアルデヒドを中和するため、亜硫酸塩類を添加し、アミノ酸類による呈色反応を利用したものが開示されているが、安定化剤の添加が必要であった。また、シッフ塩基による発色など、アルデヒドとの直接呈色反応試薬では呈色効率が良く、ほんの少量のアルデヒドが残存しても呈色してしまうため、アルデヒドの効力のインジケーターとするには呈色を適度に抑制する必要があった。また、脂肪族アルデヒドと芳香族アルデヒドとアミノ酸類とのソレンソン反応では芳香族アルデヒドとは反応しなかったり、同組成物による色調が同じ色であり、どのアルデヒドを検出しているか不明であり、個々に反応組成物を設定する必要があった。
【特許文献1】英国特許第2085583A号明細書
【特許文献2】特開平6-154301号公報
【特許文献3】米国特許第328182号明細書
【特許文献4】特開2002-372523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、アルデヒド類検知の呈色反応において、呈色反応を適度に抑制し、呈色を識別する、抗酸化剤を必要としないアルデヒド系殺菌剤の効力のインジケーターに好適な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる状況に鑑みて、アルデヒド類検知の呈色反応において、呈色反応を適度に抑制し、呈色を識別する、アルデヒド系殺菌剤の効力のインジケーターに好適な組成物を提供するべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリミキシンの塩が呈色を識別することを見出したが、ポリミキシン硫酸塩は沈殿を生じインジケーターに不適であり、ポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩のみがこの様な特性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、ポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩を含有することを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物を提供するものである。
また、本発明は、該インジケーター組成物を担体に含浸させたアルデヒド系殺菌剤用インジケーターを提供するものである。
更に、本発明は、該インジケーター組成物を容器に液充てんし、乾燥後、密閉したことを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用のインジケーターを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物は、アルデヒド類検知の呈色反応において、呈色反応を適度に抑制し、呈色を識別し、抗酸化剤を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いるポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩は、アミノ基を5個有するペプチド系ポリミキシンにメタンスルホン酸アルカリ金属塩が結合した化合物であり、特許公告昭32-4898号公報記載の方法により合成することができる。
即ち、ポリミキシン類の硫酸塩を水に溶解し、ホルマリンを20〜40%過剰に加え、pH7〜9で反応させポリミキシンホルマートを形成させる。このホルマートをろ取し、これに約5.5当量の亜硫酸水素ナトリウムを反応させることによりポリミキシンメタンスルホン酸ナトリウムが、また、約5.5当量の亜硫酸水素カリウムを反応させることにより、ポリミキシンメタンスルホン酸カリウムが製せられ、凍結乾燥することにより粉末として得ることができる。特にコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムは局方品として市販されている。
これらのメタンスルホン酸アルカリ金属塩がアルデヒド類と反応し、適度にアルデヒドを中和し、残余のアルデヒド類がポリミキシン塩基とシッフ塩を形成し、呈色すると考えられる。また、グルタラール等の脂肪族アルデヒドでは黄色に着色し、オルトフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒドではピンク〜青色に呈色する特徴がある。なお、ポリミキシンは、公知の化合物であり、主としてB及びEの2種類があるが、本発明に使用するポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩中のポリミキシンは、何れのものであってもよい。また、ポリミキシンBは、ポリミキシンB1及びポリミキシンB2の混合物である。ポリミキシンEは、別名コリスチンともいい、コリスチンA(ポリミキシンE1)及びコリスチンB(ポリミキシンE2)の混合物である。
ポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩としては、ポリミキシンEメタンスルホン酸ナトリウム塩(以下、「MCB」ということがある)、ポリミキシンBメタンスルホン酸ナトリウム塩(以下「PBM」ということがある)及びポリミキシンB,Eメタンスルホン酸カリウム塩が挙げられるが、MCBが好ましい。
本発明のアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物中のポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩の量は、大よそグルタルアルデヒド濃度0.5〜2.5w/v%(0.1〜0.5当量)を中和する量、更に1〜2w/v%(0.2〜0.4当量)を中和する量、特に1.5w/v%(0.3当量)を中和する量とすることが好ましい。0.3当量はオルトフタルアルデヒド濃度0.2w/v%の約10倍高い量に対応するが、反応性がグルタルアルデヒドより劣るため、充分な量である。具体的には、MCB 40〜180mg/mL、更に70〜140mg/mL、特に100mg/mLが好ましい。かかる量は、アルデヒドの中和と反応性を調節し、呈色と有効性の一致性を高める作用を実効あらしめる。
【0009】
本発明のアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物は、必須成分であるポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩以外にアミノ酸またはその塩を加えることにより、呈色を更に高め、より短時間での検知を可能とすることができる。
ここで用いるアミノ酸としてはオルニチン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸またはその塩酸塩、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸またはそのナトリウム、カリウム等の塩、グリシン、アラニン等の中性アミノ酸が挙げられるが、リジン塩酸塩、グリシンが望ましい。これらアミノ酸成分は、一種でも二種以上を組み合わせて用いてもよいが、一種で充分呈色させることができる。その量はポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩と同じ0.1〜0.5当量(MCB 1gに対し0.1〜0.4g)、特に0.2〜0.3gとすることが好ましい。
【0010】
本発明の組成物は、更にpH7〜9の緩衝化剤を加えることにより、呈色反応を促進し、呈色を安定化させることができる。ここで用いる緩衝化剤としては、リン酸塩、炭酸塩、グッド試薬等を挙げることができるが、これらに限定されない。その濃度は0.02〜0.2mol/Lとすることが好ましい。
また、本発明の組成物のpHは、アルデヒド系殺菌剤の使用pHである約8であることが望ましい。
【0011】
本発明の組成物は主成分が微量であるため、アルデヒド溶液との親和性を高めるため溶解補助剤として、また、特に粉充てんする場合の増量剤としてソルビット、マンニット、スクロース等のソレンソン反応に関与しない非還元糖を添加することができる。糖の添加量は主成分の10〜20倍量が望ましい。
【0012】
本発明の組成物は、ガラス瓶またはプラスチック容器に液または粉充てんしたり、担体に保持させたりすることができる。この時、上記の成分の重量比を維持することが望ましい。
【0013】
また、本発明の組成物を、ろ紙などの紙や、不織布、シリカゲル薄層板等の担体に含浸させ、溶媒を除去することにより、インジケーターを作製することができる。この様な構成を採ることにより、インジケーターをアルデヒド殺菌剤の溶液に浸漬しただけでその効力を識別することができる。また、かかるインジケーターは、物理的な変形がないように、或いは紙の強度を補強する、薬剤に触れることなく使い勝手を良くする意味でポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック等の支持体に貼付、固定しておくことが好ましい。
また、吸湿性を避けるため、このようなインジケーターをアルミ層を有するラミネート袋、プラスチック容器に入れ、シリカゲルシート等の防湿剤を入れて密閉することが望ましい。更に、該容器、包装には、殺菌剤が有効か否かを一目で判定できるよう、有効、無効の標準色票を付しておくことが好ましい。
更に、本発明の組成物を容器に液充てんし、乾燥後、密閉したものもインジケーターとして用いることができる。
【0014】
本発明のインジケーターの対象とするアルデヒド系殺菌剤としては、2及び3w/v%グルタラール製剤、0.55w/v%オルトフタルアルデヒド製剤が特に好ましい。
また、標準色票は、アルデヒド製剤の失活の目安としてアルデヒド残存量が約60%に低下したときの呈色度(グルタルアルデヒド1.5w/v%、オルトフタルアルデヒド0.3w/v%)で判定することができるように設定することが好ましい。
【実施例】
【0015】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明はかかる実施例にのみ限定されない。
【0016】
<実施例1>
MCB(「ポリミキシンEメタンスルホン酸ナトリウム塩」以下同じ)10gをpH8.0の0.1mol/Lグッド緩衝液100mLに溶かした液を作成した。この液50μLを、別に調製したグルタラール製剤(以下「WS」という)2及び3w/v%に添付の緩衝化液で100:3の割合で加えた実用液を直接及び1、1.5、2.5 w/v%に希釈した5濃度溶液各1mLに添加し、色調及び着色度を観察した。また、MCB組成液50μLを、別に調整した0.55w/v%オルトフタルアルデヒド製剤(以下「OPA」という)を直接及び0.15、0.2、0.3、0.35w/vに希釈した5濃度溶液各1mLに添加し、色調及び着色度を観察した。
【0017】
<比較例1>
リジン塩酸塩2gをpH8.0の0.1mol/Lグッド緩衝液100mLに溶かした液を作成した。この液100μLにつき、実施例と同様に操作し、アルデヒド製剤の色調及び着色度を観察した。
実施例1の結果を表1に、比較例1の結果を表2に示す。
表中の着色度の評価基準は目視により、判定し得る色調を+として次の5段階で評価した。
+++: 非常に濃い発色
++: 濃い発色
+: 目視し得る発色
±: 淡い発色
−: 殆ど発色を認めない
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
MCB組成物ではWSは黄色、OPAはピンク色に呈色し、濃度依存性があることが判る。
リジン組成物ではWSは黄色に着色し、濃度依存性に差がなく、OPAでは発色しないことが判る。
【0021】
<実施例2>
MCB10gをpH8.0の0.05mol/Lリン酸塩緩衝液100mLに溶かした液を調製した。
予め1×10cmのポリプロピレン製板に1×2cmのろ紙を貼り付けたステイックのろ紙部分に、この液50μLを均等に添加し、60℃で1時間乾燥し、インジケーターを製した。
このインジケーターを実施例1と同様に調製したWS製剤またはOPA製剤各濃度溶液に浸し、色調と着色度を観察した。その結果を表3に示す。
【0022】
【表3】

【0023】
表3から、WSは黄色に、OPAはピンク色に着色し、2分の判定でWSでは1.5w/v%、OPAでは0.2w/v%濃度が殆ど検出されないことが判る。
【0024】
<実施例3>
MCB10g及びリジン塩酸塩2gをpH8.0の0.05mol/Lリン酸塩緩衝液100mLに溶かした液を調製した。
予め1×10cmのポリプロピレン製板に1×2cmのろ紙を貼り付けたステイックのろ紙部分に、この液50μLを均等に添加し、60℃で1時間乾燥し、インジケーターを製した。
このインジケーターを実施例1と同様に調製したWS製剤またはOPA製剤各濃度溶液に浸し、色調と着色度を観察した。その結果を表4に示す。
【0025】
【表4】

【0026】
表4から、WSは黄色に、OPAは青色に着色し、1.5分の判定でWSでは1.5w/v%、OPAでは0.2w/v%濃度が殆ど検出されないことが判る。
【0027】
<実施例4>
MCB10g及びグリシン1 gをpH8.0の0.05モルリン酸塩緩衝液100mLに溶かした液を調製した。
予め1×10cmのポリプロピレン製板に1×2cmのろ紙を貼り付けたステイックのろ紙部分に、この液100μLを均等に添加し、60℃で1時間乾燥し、インジケーターを製した。
このインジケーターを実施例1と同様に調製したWS製剤またはOPA製剤各濃度溶液に浸し、色調と着色度を観察した。その結果を表5に示す。
【0028】
【表5】

【0029】
WSは黄色に、OPAは青色に着色し、1分の判定でWSでは1.5w/v%、OPAでは0.2w/v%濃度が殆ど検出されないことが判る。
【0030】
<実施例5>
MCB10gをpH8.0のHEPES緩衝液100mLに溶解し、この液50μLをバイアル瓶に分注し、60℃、1時間、減圧下で乾燥させ、ゴム栓を用いて密閉した。
ゴム栓を開封したバイアル瓶に、別に実施例1で調製したアルデヒド製剤2mLをスポイドを用いて添加し、色調及び着色度を観察した。結果を表6に示す。
【0031】
【表6】

【0032】
表6より、WSは黄色に、OPAはピンク色に着色し、濃度依存的に着色度が減少していることが判る。
OPA製剤ではMCB濃度を1/2に減らすことが望ましいことが判る。
【0033】
<実施例6>
MCB5g及びリジン塩酸塩0.5g及びスクロース100gをpH8.0の0.05モルリン酸緩衝液1000mLに溶解し、この液500μLをバイアル瓶に分注し、凍結乾燥させ、ゴム栓を用いて密封した。 ゴム栓を開封したバイアル瓶に、別に実施例1で調製したアルデヒド製剤2mLをスポイドを用いて添加し、色調及び着色度を観察した。結果を表7に示す。
【0034】
【表7】

【0035】
表7より、WSは黄色に、OPAは赤紫色に着色し、3分の判定でWSは1.5%が、OPAは0.15%でほとんど着色しないことが判る。
【0036】
<実施例7>
ポリミキシンB硫酸塩(PBM)100gを水1000mLに溶解し、37%ホルマリン37.3gを加え水酸化ナトリウムでpH8.0に調整し、2時間反応させたのち、生成したホルマートをろ取する。ろ取したホルマートを100mLの水に懸濁させたのち、亜硫酸水素ナトリウム36.8gを加えて5時間反応させ、凍結乾燥することにより、ポリミキシンBメタンスルホン酸ナトリウム(PBM)120gを得た。同様に、ホルマートに亜硫酸水素カリウム46.7gを反応させ、ポリミキシンBメタンスルホン酸カリウム(PBMK)130gを得た。
PBMまたはPBMK各々10gをpH8.0の0.05mol/Lリン酸塩緩衝液100mLに溶かした液を調製した。これらの液50μLにつき、実施例2と同様にインジケーターを調整し、WS製剤またはOPA製剤各濃度溶液に浸し、色調と着色度を観察した。その結果を表8に示す。
【0037】
【表8】

【0038】
表8から、WSは黄色に、OPAはピンク色に着色し、3分の判定でWSでは1.5w/v%、OPAでは0.2w/v%濃度が殆ど検出されないことが判る。
カリウム塩とナトリウム塩の差は殆どなかった。
【0039】
<実施例8>
PBM10g及びリジン塩酸塩2.5gをpH8.0の0.05mol/Lリン酸塩緩衝液100mLに溶かした液を調製した。この液50μLにつき、実施例3と同様にインジケーターを調整し、WS製剤またはOPA製剤各濃度溶液に浸し、色調と着色度を観察した。その結果を表9に示す。
【0040】
【表9】

【0041】
表9から、WSは黄色に、OPAは青緑色に着色し、2分の判定でWSでは1.5w/v%、OPAでは0.2w/v%濃度が殆ど検出されないことが判る。MCBの実施例3と比較すると、PBMはOPA製剤との呈色が黄色味を帯びることが判る。
【0042】
<保存安定性試験>
実施例2,3及び4で調製したインジケーターをアルミ袋に密閉したものにつき、40℃、75%RH条件化で保存し安定性試験を実施した。各経時月にアルミ袋からインジケーターを取り出し、実施例1と同様に別に調製したアルデヒド製剤に浸し、色調及び着色度を観察した。WSとの反応結果を表10に、OPAとの反応を表11に示す。
【0043】
【表10】

【0044】
【表11】

【0045】
表10及び11から、いずれのインジケーターも吸湿剤なしで3ヶ月間安定であり、1〜2分でグルタルアルデヒド濃度1.5〜2w/v%、オルトフタルアルデヒド濃度0.25〜0.35w/v%の判定が可能であることが判った。
【0046】
実施例5及び6で得たバイアル瓶を40℃、75%RH条件化で保存し、安定性試験を実施した。WSとの反応結果を表12に、OPAとの反応を表13に示す。
【0047】
【表12】

【0048】
【表13】

【0049】
表12及び13から、いずれのバイアル保存品においても安定であることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のアルデヒド系殺菌剤用インジケーター(組成物)は、アルデヒド類検知の呈色反応において、呈色反応を適度に抑制し、呈色を識別し、抗酸化剤を必要としない。
従って、グルタラール、オルトフタルアルデヒドなどのアルデヒド系殺菌剤の効力を簡便かつ正確に判断できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリミキシンメタンスルホン酸アルカリ金属塩を含有することを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用インジケーター組成物。
【請求項2】
更に、アミノ酸またはその塩を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
更に、溶解補助剤として非還元糖を含有する請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
アルデヒド系殺菌剤がグルタラール又はオルトフタルアルデヒドである請求項1、2又は3記載の組成物。
【請求項5】
更に、pH7.0〜9.0の緩衝化剤を含有する請求項1〜4のいずれか1記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物を担体に含浸させたアルデヒド系殺菌剤用インジケーター。
【請求項7】
支持体上に、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物を含浸させた担体を貼付したことを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用インジケーター。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物を容器に液充てんし、乾燥後、密閉したことを特徴とするアルデヒド系殺菌剤用のインジケーター。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項記載のインジケーターの容器又は包装に、判定用の標準色票を付したことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のインジケーター。

【公開番号】特開2007−240293(P2007−240293A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62086(P2006−62086)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000140753)株式会社科薬 (1)
【Fターム(参考)】