説明

アルファオレフィンを内部オレフィンに異性化するための方法

本発明は、少なくとも1種のアルファオレフィンをアルケン異性体を介して内部オレフィンに異性化する方法、及び、低レベルのオリゴマーを含む混合物が得られる多段階からなる方法の実施形態に関する。本発明によれば、アルキルアルミニウム化合物は、第8族遷移金属塩と組み合わせて用いられ、それによって、アルキルアルミニウム化合物は第8族遷移金属塩と相互作用し、1−アルケンを内部アルケンに異性化するための触媒活性種が生成し、続いてこの混合物は、酸洗浄した粘土と組み合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野及び発明の産業上の利用可能性
本発明は、アルファオレフィンを内部オレフィンに異性化する方法の実施形態に関する。より具体的には、本発明は、アルケン異性体、及び、低レベルのオリゴマーを含む最終混合物が得られる多段階からなる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
製紙産業において、多種多様な用途を有する内部オレフィンを得るために1−アルケン(アルファオレフィン)を異性化する数種の方法が知られている。例えば、内部オレフィンは、無水マレイン酸と反応させることによって、紙のサイズ剤であるアルキル無水コハク酸(ASA)の製造で用いることもできる。4個より多い炭素原子を有するアルケンは、酸を触媒として用いてランダムな異性化で処理することができる(例えば、J.Chem.Soc.Chem.Commun.177(1973),Barry等で説明されている通り)。しかしながら、酸触媒を利用する異性化方法は、典型的には、副反応としてオリゴマー化を伴う。これらのオリゴマーは無水マレイン酸との付加物を形成しないため、ASAサイズ剤の有効性は低くなる。その上、オリゴマーはまた、製紙工場では沈着の形成に寄与する可能性もある。
【0003】
米国特許第6,355,855号(Nguyen等)は、一般的に、(i)第8族遷移金属塩、及び、(ii)アルキルアルミニウム化合物を含む触媒組成物の存在下で、1−アルケンを内部アルケン(ニ重結合が末端ではなく内部に存在するアルケン)に異性化することを説明している。この特許において、この組み合わせは、1−アルケンを内部アルケンに異性化し、オリゴマー形成はほんのわずかしか起こらないことが示されているが、主要な内部アルケンは概して2−アルケンと予想され、ほとんどの場合、これが少なくとも約50%、具体的には少なくとも約60%を占めると予想され、内部アルケンの形成は70%にも及び、あるいはそれを超える。
【0004】
米国特許第6,348,132号(Zhang)は、異性体の分配が実質的に均等な内部アルケン混合物で作製されたASAのサイジング効率を説明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、最終混合物にアルケン異性体(すなわち、2−アルケン、3−アルケン、4−アルケンなど)が含まれ、同時に例えばオレフィン二量体のようなオリゴマーが相当な量で生産されないように、アルファオレフィンを内部アルケンに異性化することができるような方法を有することが望ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明は、アルファオレフィンを内部オレフィンに異性化するための多段階からなる方法の実施形態に関し、本方法の実施形態は:
(a)液相中で、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを組合せること、ここで、該触媒は、(i)少なくとも1種の第8族遷移金属塩、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;及び、
(b)工程(a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを組合せ、それによって最終混合物を形成すること、
を含む。
【0007】
本発明の工程(a)は、水(水分)、及び、分子酸素の実質的な非存在下で行われると予想される。この目的を達成するために、それらを投入する前に、反応器を不活性な乾燥ガス(例えば、窒素またはアルゴン)でパージし、さらに乾燥させ、従来の方式のいずれかで出発原料(例えば、アルケン、触媒系の成分、及び、用いられる場合は溶媒など)から、それらを異性化用の反応器に導入する前に酸素を除去することが推奨できる。好ましくは、工程(a)は、不活性雰囲気中で、例えば乾燥窒素ガス下で行われると予想される。
【0008】
好ましくは、少なくとも1種の第8族遷移金属としてはコバルトが挙げられ、少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム化合物が挙げられる、ここで、この組み合わせが用いられる場合、本方法は、アルコキシアルミニウム種の実質的な非存在下で行われる。
【0009】
一般的に、工程(a)において、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを混合し、約50℃〜約200℃の温度に晒すが、ここで、工程(a)で得られた生成物は、内部アルケンの第一混合物であり、この混合物は、1−アルケンを、約5重量%以下の量で;2−アルケンを、約50重量%以上、具体的には少なくとも60重量%以上、及び、約70重量%以下の量、またはそれを超える量で;及び、約2重量%未満のオリゴマーを含む。
【0010】
工程(b)では、工程(a)で得られた第一混合物に含まれる内部アルケンをさらに異性化し、それによって、より均等な分配のアルケン異性体と、低レベルのオリゴマーとを含む最終混合物が得られる。
【0011】
工程(b)は、適切には、約100℃〜約300℃の温度で、好ましくは約120℃〜約200℃の温度で、より好ましくは約150℃〜約175℃で行われる。
一般的に、得られた工程(b)の最終混合物は、約1〜5重量%のアルファオレフィン、約15〜50重量%のCアルケン、約15〜25%のCアルケン、約5〜20重量%のCアルケン、約10〜50重量%のCが5個以上のアルケン、及び、約10重量%未満の二量体、好ましくは約6重量%未満の二量体を含む。
【0012】
本発明のその他の方法または工程、特徴及び利点は、当業者には明らかであるか、または、以下の詳細な説明に記載の試験で明らかになると予想される。このような追加の方法または工程、特徴及び利点は全てこの説明に含まれ、本発明の範囲内であることする。
【0013】
発明の好ましい実施形態の詳細な説明
本願に記載されている全ての特許、論文、出版物または開示、具体的には米国特許第6,355,855号(Nguyen等)などは、参照によりそれらの全体を本発明に含める。
【0014】
本明細書で数値範囲が列挙されている場合、特に他の指定がない限り、その範囲は、それらの両端の値と、その範囲内の全ての整数値及び端数値を含むことする。範囲が規定されている場合、列挙された特定の値に本発明の範囲を限定することは目的としない。その上、本明細書に記載されている全ての範囲は、具体的に説明されている特定の範囲だけでなく、そこに含まれる値(列挙された最小値と最大値を含む)のあらゆる組み合わせも含むことする。
【0015】
本発明の実施形態で付与される明確な利点はいくつかあるが、このような利点としては、特に、得られたアルケン異性体を含む最終混合物が得られること、同時に、オリゴマーの生産量が低レベルであること(すなわち10重量%またはそれ未満、好ましくは6重量%またはそれ未満)が挙げられる。
【0016】
本明細書と添付の請求項で用いられる用語「〜を組合せること」、「組合わされた」、「組合せ」またはそれらのその他の派生語が、触媒組成物の成分と共に用いられる場合、当然ながら、成分(i)と(ii)との接触で形成された触媒性の種の正確な構造はわかっていない。理論に制限されることは望まないが、これらの成分間である種の反応(相互作用)が起こり、それにより最終的に触媒活性種の形成が起こると予想される。
【0017】
本明細書で用いられる用語「実質的な非存在」は、アルコキシアルミニウム種が存在する場合、このような種は、好ましくは極めて微量でしか存在しないことを意味し、いずれの事象においても、その量は、(アルキルアルミニウム化合物中の)Alに結合しているアルコキシ基の、Alに結合しているアルキル基に対する比率が、0.1:1より高くない、好ましくは0.05:1より高くない、及び、最も好ましくは0.01:1より高くないような量である。このような低い比率は、異性化中に酸素(空気)の存在を最小限に保つこと、及び、アルキルアルミニウム化合物のアルコキシアルミニウム種への酸化を引き起こす可能性があるその他の酸素を含む種(例えば遷移金属塩中のアニオン)の存在を排除することによって容易に達成することができる。分子酸素を排除するためには、反応器と出発原料(1−アルケン、遷移金属塩、溶媒など)の両方を、窒素またはアルゴンのような不活性ガスでパージし、不活性ガス雰囲気中で異性化を行うことが好ましい。
【0018】
本発明の実施形態は、最終的に、内部アルケンと低レベルのオリゴマーとを含む最終混合物を得るための、アルファオレフィン(1−アルケン)を異性化する方法を考慮しており、本方法は:
(a)液相中で、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを混合すること、ここで、該触媒は、(i)少なくとも1種の第8族遷移金属塩、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;及び、
(b)工程(a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを混合し、それによって最終混合物を形成すること、
を含む。
【0019】
本方法の様々な実施形態は、回分式で、半連続的に、及び、連続的に行うことができる。半連続的な方法に関して、まず工程(a)を行うことができ、ここで、工程(b)を行うために工程(a)から得られた第一混合物をチューブ型反応器に連続供給することができる。滞留時間は、工程(b)によって望ましい内部オレフィン混合物が連続的な様式で生成するように設計することができる。連続的な方法の例としては、二つに仕切られたチューブ型反応器の使用による方法が挙げられ、この場合、第一の区画には触媒(すなわちコバルト/TMAL)が充填され、第二の区画には焼成した酸性粘土が充填される。
【0020】
一般的に、工程(a)の少なくとも1種の1−アルケンは、少なくとも4個の炭素原子を有する。好ましくは、1−アルケンは、約5〜約40個の炭素原子、より好ましくは約6〜約30個の炭素原子を有すると予想される。実際的見地からの炭素原子数の上限はないが、炭素原子数は、主として、望ましい内部アルケンの目的とする使用によって決定される。得られた内部アルケンを、ASA生産に使用することを目的とする場合、具体的に望ましい基質は、約10〜約20個の炭素原子(例えば16〜20個の炭素原子)からなるアルケンである。
【0021】
本発明の方法によって異性化される1−アルケンは、直鎖状でもよいし、または分岐状でもよく、脂環式または芳香環構造を含んでいてもよい。本発明で使用するのに適した1−アルケンの具体例は、これらに限定されないが、少なくとも1種の1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘプテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、2−メチル−1−ドデセン、1−テトラデセン、2−メチル−1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、2−メチル−1−ヘキサデセン、5−メチル−1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、2−メチル−1−オクタデセン、1−エイコセン、2−メチル−1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、ビニルシクロヘキサン、及び、2−フェニル−1−ブテンが挙げられるが、本発明がこれらの例に限定されることはない。利用可能な市販のアルファオレフィンの例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:ネオデン2024(Neodene(R)2024)、ネオデン(R)16、ネオデン(R)18、及び、ネオデン(R)1618が挙げられ、これらは、シェル・ケミカル(Shell Chemical,ルイジアナ州ガイスマー)より入手可能;アルファオレフィン(Alpha olefin)C16、アルファオレフィンC18、及び、アルファオレフィンC16/C18、これらは、CP Chem(シェブロン・フィリップス・ケミカル社(Chevron Phillips chemical Company),テキサス州ウッドランド)より入手可能。アルファオレフィンは、単一の鎖長(C16、または、C18)であってもよいし、または、異なる鎖長の混合物であってもよい。一般的に、アルファオレフィン(1−アルケン)が液相中に存在している場合、それらは「そのままで」用いられる。
【0022】
また当然ながら、2種以上のタイプの1−アルケンを同時に異性化することも可能である。例えば、工程(a)では、2種、3種、4種、5種、6種及びそれを超える種類の1−アルケンの混合物を用いることができる。さらに、1−アルケンは、必ずしも実質的に純粋な、または精製した状態で用いる必要はない。むしろ、それらは、1−アルケン以外の1種またはそれ以上のその他の化合物との混合物として(または、それらが混在した状態で)用いることができるが、これは、その他の化合物が実質的に異性化を妨害しない場合である。出発原料に存在する可能性がある(そうであることが多いと予想される)その他の化合物の典型的な例は、内部アルケン、加えて、飽和(脂環式)脂肪族及び芳香族炭化水素である。
【0023】
本発明の実施形態の方法は、溶媒の存在下で行ってもよいし、非存在下で行ってもよい。一般的に、溶媒は、本方法に触媒を導入した結果として存在するものであり、ここで、典型的には、触媒は例えばトルエンのような溶媒中に導入されるが、好ましくは追加量の溶媒を意図的に本方法に添加しないことである。
【0024】
触媒を供給するための溶媒以外の追加の溶媒を用いないことが通常好ましいと予想されるが、ある種の状況においては追加の溶媒の存在下で作用させることが望ましいこともあり、またはそれが必要な場合もある。例えば、液体(及び具体的にはアルケン)の存在量が、(固形または液状の)触媒系の成分を順応させて(溶解させて、または、少なくとも分散させて)、粘性が低いゲル状の液相を得るには不十分な場合、溶媒または溶媒混合物を添加しなければならない場合もある。このような溶媒は、異性化を実行する予定の温度より高い温度の沸点を有するべきである。また、方法の最後で、異性化されたアルケンを蒸留によって溶媒から分離しようとする場合、溶媒とアルケンとの沸点の差が、前記蒸留が不必要に複雑にならないように十分に大きいように注意すべきである。また、このような溶媒は、少なくとも1−アルケンと混和性を有すると予想され、さらに、異性化方法を妨害しないもの、具体的には、存在するその他の種のどれとも反応しないものと予想される。特に、アルキルアルミニウム化合物の存在を考慮すると、このような溶媒は、当然ながら、触媒系の成分(例えばアルキルアルミニウム化合物)と反応する可能性がある活性水素原子をまったく含まないものが予想される。
【0025】
本発明で使用するための適切な溶媒の例は、非極性溶媒、例えば場合によりハロゲン化(具体的には塩素化)された非極性溶媒、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、及び、脂肪族エーテルである。これらの溶媒は、適切には、約80℃〜約200℃、具体的には約100℃〜150℃の沸点を有する。それらの具体的な例は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、オクタン、デカン及びドデカン、加えて、これらの溶媒の2種またはそれ以上の混合物である。
【0026】
工程(a)に従って、少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物と組み合わせて用いられ、このアルキルアルミニウム化合物が相互作用することによって、1−アルケンを内部アルケンに異性化するための触媒活性種が生成する。
【0027】
異性化触媒の成分は、それらが相互作用して触媒活性種の形成が可能ならばどのような様式で混合してもよいが、具体的に便利な方法、すなわち好ましい方法は触媒のその場生成であり、すなわち異性化媒体中での生成である。これは、単に、異性化用の反応器に触媒系の成分を別々に添加することによって達成することができる。しかしながら、反応器へ、アルケン、触媒成分、溶媒などを添加する順番や形態は、本発明の方法をうまく実施するのに重要ではない。さらに、上記したもの以外の異性化反応のための追加の試薬及び成分は必須ではないため、好ましくは、そのようなものは存在しないと予想される。
【0028】
工程(a)の少なくとも1種の金属塩において使用するのに適した第8族遷移金属としては、これらに限定されないが、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、ロジウム、白金、ルテニウム、オスミウム、または、イリジウムが挙げられ、より好ましくはニッケル、コバルト、及び、パラジウムの少なくとも1種が挙げられる。具体的には、得られた触媒種の活性を考慮すると、最も好ましい第8族遷移金属はコバルト及びパラジウムであり、具体的にはコバルトである。これらの金属の2種またはそれ以上を組み合わせて用いることもでき、例えば、2種またはそれ以上の異なる遷移金属塩の形態で用いることもできる。
【0029】
少なくとも1種の第8族遷移金属塩のアニオンまたはリガンドは、具体的に限定されない。前記アニオン(リガンド)は、無機でもよいし、有機でもよい。それらの例としては、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩及びナフトエ酸塩、アセチルアセトナート及びEDTAのようなキレート剤、加えて、1,5−シクロオクタジエニル、及び、ペンタジエニル(メタロセン)のようなシクロアルカジエニルリガンドなどが挙げられる。当然ながら、2種またはそれ以上の異なるアニオン(リガンド)が存在していてもよく、これらは、単一種の金属塩の形態、及び、塩(場合により異なる金属の塩)の混合物の形態のいずれでもよい。本発明の目的で具体的に望ましいアニオン(リガンド)は、ハロゲン化物であり、具体的には塩化物及び臭化物であり、特に塩化物及びアセチルアセトナートである。
【0030】
適切な第8族遷移金属塩は、ハロゲン、具体的には塩素;及び/または、キレートを形成するリガンド、例えばアセチルアセトナートを含む。対応する塩のその他の具体的な例としては、塩化Ni(II)、Ni(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、PdCl、PtCl(シクロオクタジエニル)、Ir(III)アセチルアセトナート、及び、Rh(III)アセチルアセトナートが挙げられる。当業者であれば、使用可能なさらにその他の塩が多く存在することを理解しているものとする。好ましい塩の例としては、塩化Ni(II)、Ni(II)アセチルアセトナート、Rh(III)アセチルアセトナート、Ir(III)アセチルアセトナート、及び、Co(III)アセチルアセトナートが挙げられ;より好ましい塩としては、Ni(II)アセチルアセトナート、Ir(III)アセチルアセトナート、及び、Co(III)アセチルアセトナートが挙げられる。最も好ましい第8族遷移金属塩は、コバルト(III)アセチルアセトナートである。
【0031】
工程(a)で使用するための少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物は具体的に限定されず、少なくとも1種の、アルミニウム原子に直接結合したアルキル基を含んでいればよい。しかしながら、アルキルアルミニウム化合物の具体的に適切な種類は、一般式:AlRで示されるものであり、式中、Rはアルキルラジカルを示し、Xはハロゲンラジカルを示し、aは、1〜3の整数であり、bは、0、1または2であり、aとbとの合計は、3である。
【0032】
上記の一般式において、アルキル基Rは多数の炭素原子を有していてもよいが、アルキル基一つあたり1〜約40個の炭素原子が好ましい。従って、上記式の「a」が3の場合、それに対応するアルキルアルミニウム化合物は、好ましくは、総計で約120個以下、より好ましくは約100個以下の炭素原子を含む。アルキルアルミニウム化合物の揮発性を可能な限り低く維持する必要がある場合(例えば、比較的高い沸点のアルケンを用いて、比較的高い温度、大気圧下で異性化を行おうとする場合)、比較的高い総炭素原子数が好ましい場合がある。また、異性化の最後に、触媒を水の添加によって不活性化(破壊)しようとする場合、すなわちアルキル−Al結合を加水開裂させて、それに対応するアルカンを生成させようとする場合は、炭素原子数が多いアルキル基(アルキルアルミニウム化合物中のアルカン部分の沸点と融点によって決定されるように)が有利な場合もある。前記アルカンが、反応媒体中に存在するアルケンよりも実質的に高い沸点を有する場合、前記アルカンの反応媒体中に存在するアルケンからの分離(例えば蒸留)が容易になる。しかしながら、典型的には、少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物のアルキル基は、1〜約10個、具体的には1〜約6個の炭素原子を有すると予想される。アルケンの沸点が比較的高く、かつ、触媒を水の添加によって不活性化しようとする場合、炭素原子の上限が6個であることが具体的に望ましい場合がある。続いて、この水の添加によって、アルキルアルミニウム化合物からの比較的低沸点の炭化水素(例えば、メタン、エタン、ヘキサンなど)の遊離が起こり、順に、蒸留によるそれらの分離または除去が容易になると予想される。
【0033】
アルキルアルミニウム化合物中で用いられるアルキル基Rは、直鎖状でもよいし、または分岐状でもよく、aが2以上の場合、同一でも異なっていてもよい(通常それらは同一である)。それらの具体的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、及び、n−デシルである。本発明で使用するのに好ましいR基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、及び、n−ヘキシルが挙げられる。最も好ましくは(それに対応する化合物の価格及び利用可能性も考慮して)、メチル、及び、エチルである。
【0034】
上記の一般式において好ましい「a」値は、2及び3であり、具体的には3である。言い換えれば、好ましいアルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム、及び、トリエチルアルミニウム、加えて、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、及び、トリオクチルアルミニウムである。
【0035】
上記の式における「b」が1または2の場合、すなわち1または2個のハロゲンラジカルXが存在する場合、Xは、好ましくは、Cl及びBrから選択され、最も好ましくはClである。ハロゲン化アルキルアルミニウムの好ましい代表的な種類は、ジエチルアルミニウム塩化物(DEAC)である。それらのさらに好ましい例としては、エチルアルミニウム塩化物、及び、イソブチルアルミニウム塩化物が挙げられる。
【0036】
好ましいアルキルアルミニウム化合物は上記の通りであるが、当然ながら本発明の実施形態はこれらの化合物の使用に限定されない。アルキルアルミニウム化合物として用いることができる多数のその他の化合物の例は、エチルアルミニウムセスキクロライド、及び、イソブチルアルミニウムセスキクロライドである。一般的に、最も適切なアルキルアルミニウム化合物は、アルミニウム、炭素、水素以外の原子を全く含まない(場合によりハロゲンも含まない)。
【0037】
好ましくは、工程(a)において、少なくとも1種の第8族遷移金属塩としてはコバルトが挙げられ、少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム化合物が挙げられ、ここで、この組み合わせが用いられる場合、本方法は、アルコキシアルミニウム種の実質的な非存在下で行われる。
【0038】
工程(a)で用いられる1−アルケン、第8族遷移金属塩及びアルキルアルミニウム化合物の相対量に関して、前記量は極めて広い範囲にわたって様々であってよい。しかしながら実際には、1−アルケンの第8族遷移金属に対するモル比は、一般的に、約1:1〜約10,000:1の範囲内と予想され、約10:1〜約5,000:1であることがさらに多い。約500:1〜約4,000:1のモル比、具体的には約700:1〜約2,000:1のモル比が、本発明の目的には最も望ましい場合が多いと予想される。
【0039】
第8族遷移金属のアルキルアルミニウム化合物中のAlに対する原子比率は、通常、約2:1〜約1:500、具体的には約1:1〜約1:300の範囲と予想され、最も一般的には、約1:2〜約1:100の範囲である。Alの量が第8族遷移金属の量より極めて過剰に上回ることは、どのような特定の利点も提供しない。一方で、遷移金属に対してAlが少なすぎると、場合によっては触媒系の活性に逆効果をもたらす場合がある。どのような割合でも、1−アルケン、第8族遷移金属及びアルキルアルミニウム化合物の最適な比率は大体において用いられる具体的な化合物に応じて様々であり、これは、当業界における通常の技術者によって慣例的な実験で容易に決定することができる。
【0040】
工程(a)は、適切には、約50℃〜約200℃の温度で、好ましくは約80℃〜約150℃の温度で、より好ましくは約80℃〜約120℃で行われる。用いられる温度は、主として、触媒系の活性、望ましい反応時間、及び、異性化媒体に存在する種の沸点(及び分解温度)のような要因によって決定される。観察によれば、温度が上昇するにつれて、異性化の速度も増加すると予想される。一方で、温度が高くなると、触媒の分解やオリゴマー化、及び、存在するアルケンの重合のような望ましくない副反応も促進されると予想される。さらに、工程温度が高すぎると、存在する成分の沸点のために、大気圧を超える圧力で反応させることが必要になる場合があることも考慮すべきであり、このような場合もあり得るが、一般的に、方法の総体的なコストを高める。それゆえに、通常は、許容できる異性化速度がなお達成できる最も低い温度で操作可能なことが最も望ましいと予想される。
【0041】
これまで述べたように、本発明の工程(a)の実施形態は、大気圧を超える圧力で行ってもよい。観察によれば、大気圧で、または大気圧よりわずかに高い圧力で操作可能であることが、より便利であり、従って好ましい。しかしながら、許容できる異性化速度を達成するのに必要な温度と、1種またはそれ以上の反応媒体の成分の沸点との組み合わせによっては、大気圧より高い圧力を使用せざるを得ない場合もある。
【0042】
工程(a)の典型的な反応時間は、約1〜約12時間、好ましくは約2〜約6時間、より好ましくは約2〜約4時間の範囲である(バッチ、半連続的な、及び、連続的な方法にとって)。反応時間は、当然ながら、触媒活性、触媒の濃度、工程温度、及び、望ましい変換の程度のような要因によって決定される。最後の要因に関しては、約90〜約100%の異性化の程度、より好ましくは約100%に近い異性化の程度を達成することが好ましい。異性化の程度が低い場合(すなわち約90重量%未満)、高レベルのC1オレフィンが残留するが、ほとんどのオリゴマーがC1オレフィンのオリゴマー化によって形成されるために、これは工程(b)で生成した最終混合物に影響を与えると予想される。
【0043】
ほとんどのアルキルアルミニウム化合物は、酸素及び水に対して感受性(反応性)を有するため、本発明の工程(a)は、水(水分)、及び、分子酸素の実質的な非存在下で行われると予想される。この目的を達成するために、それらを投入する前に、反応器を不活性な乾燥ガス(例えば、窒素またはアルゴン)でパージし、さらに乾燥させ、従来の方式のいずれかで出発原料(例えば、アルケン、触媒系の成分、及び、用いられる場合は溶媒など)から、それらを異性化用の反応器に導入する前に酸素を除去することが推奨できる。異性化媒体に残存する微量の酸素及び水は、通常、アルキルアルミニウム化合物との反応によって排除されると予想される。当然ながら、異性化方法中に液状媒体への分子酸素及び水(水分)の接触をできる限り限定することも非常に好ましい。それゆえに、工程(a)は、不活性雰囲気中で、例えば乾燥窒素ガス下で行われると予想される。
【0044】
工程(a)の異性化の最後に、場合によりアルケンを、従来の方式のいずれかで、例えば例えばろ過、蒸留、抽出、及び、それらの組み合わせによって残存する成分から分離してもよい。場合によっては、例えば異性化媒体に水を慎重に添加することによって、まずアルキルアルミニウム化合物をそれより水分への感受性が少ない化合物に変換することが望ましい場合がある。特により高価な遷移金属を用いる場合、経済的な理由で、金属の値を回収して、場合によりそれらを方法に再利用することも必要であると予想される。
【0045】
全般的かつ代表的な認識において、工程(a)で得られた生成物は、内部アルケンを含む第一混合物であり、ここで、この混合物は、1−アルケンを、約5重量%以下の量で;2−アルケンを、約50重量%以上、具体的には少なくとも60重量%以上、及び、約70重量%以下の量、またはそれを超える量で;及び、約2重量%未満のオリゴマーを含む。
【0046】
本発明の工程(b)は、工程(a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを混合して、最終混合物を形成することを含み、ここで、工程(a)で得られた第一混合物に含まれる内部アルケンを異性化し、それによって、アルケン異性体と低レベルのオリゴマーとを含む最終混合物を生産する。
【0047】
工程(b)で使用するための少なくとも1種の酸洗浄した粘土としては、これらに限定されないが、焼成した酸洗浄した粘土、酸で活性化されたベントナイト、エンゲルハード(Engelhard)の製品であるF13、F22、F24、及び、F−20Xが挙げられる。少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約1.0〜約0.025meq/g、好ましくは約0.5〜約0.1meq/g、より好ましくは約0.4〜約0.2meq/gの範囲の残留した酸性度を有すると予想される。また、工程(b)で、酸洗浄した粘土混合物の残留した酸性度が所定の望ましい範囲内に入るのであれば、2種またはそれ以上の酸洗浄した粘土の混合物を用いてもよい。
【0048】
ほとんどの酸洗浄した粘土は相当量の水を含むため、それらを用いる前に、酸洗浄した粘土を焼成して(これは当業界周知の方法である)水を除去することが必要である。またこの方法は、水の除去を施すことに加えて、粘土触媒も活性化する。典型的には、例えば、焼成工程は、窒素流下で、約110℃の温度で、少なくとも1時間行われる。反応系中の水分は除去されるが、これはなぜなら問題を含むためであり、例えば、ASA生産において、反応系に少しでも水が存在すれば、無水マレイン酸がマレイン酸に変換されると予想される。一般的に、焼成工程において機械的に保持された水は、空気の存在下で加熱して不純物を酸化させることによって排除される。
【0049】
典型的には、酸洗浄した粘土は、約0.25重量%〜約3.0重量%(オレフィンの総重量に基づき)、好ましくは約0.5重量%〜約2.0重量%、より好ましくは約0.75重量%〜約1.0重量%の範囲の量で用いられる。
【0050】
これら粘土を洗浄/活性化するのに利用可能な酸の適切な例としては、これらに限定されないが、当業界で既知のあらゆる酸触媒及び/またはルイス酸触媒、例えば「HBF」(すなわちHF(フッ化水素酸)/BF(三フッ化ホウ素));乾燥スルホラン中の、「HPF」(すなわち、HF(フッ化水素酸)/PF(五フッ化リン))、及び、HSO(例えば、J.Chem.Soc.Chem.Commun.177(1973),Barry等で説明されている通り)が挙げられる。
【0051】
工程(a)と同様に、ほとんどのアルキルアルミニウム化合物は、酸素及び水に対して感受性(反応性)を有するため、本発明の工程(b)も、水(水分)、及び、分子酸素の実質的な非存在下で行われると予想される。この目的を達成するために、それらを投入する前に、反応器を不活性な乾燥ガス(例えば、窒素またはアルゴン)でパージし、さらに乾燥させ、従来の方式のいずれかで出発原料(例えば、アルケン、触媒系の成分、及び、用いられる場合は溶媒など)から、それらを異性化用の反応器に導入する前に酸素を除去することが推奨できる。異性化媒体に残存する微量の酸素及び水は、通常、アルキルアルミニウム化合物との反応によって排除されると予想される。当然ながら、異性化方法中に液状媒体への分子酸素及び水(水分)の接触をできる限り制限することも非常に好ましい。それゆえに、工程(b)は、不活性雰囲気中で、例えば乾燥窒素ガス下で行われると予想される。
【0052】
工程(b)は、適切には、約100℃〜約300℃の温度で、好ましくは約120℃〜約200℃の温度で、より好ましくは約150℃〜約175℃の温度で行われる。用いられる温度は、主として、触媒系の活性、及び、望ましい反応時間によって決定される。好ましくは、第一混合物の許容できる異性化速度がなお達成できる最も低い温度で操作することである。
【0053】
工程(b)の典型的な反応時間は、約10分〜約6時間、好ましくは約20分〜約4時間、より好ましくは約30分〜約2時間の範囲である。反応時間は、当然ながら、触媒活性、触媒の濃度、工程温度、及び、望ましい変換の程度のような要因によって決定される。
【0054】
工程(b)の異性化の最後に、上記アルケンを、従来の方式のいずれかで、例えばろ過によって、蒸留、抽出、及び、それらの組み合わせによって残存する成分から分離してもよい。上述したように、特により高価な遷移金属を用いる場合、金属に相当する物質を回収して、場合によりそれらを本発明の方法に再利用することが必要なこともある。
【0055】
全般的かつ典型的な意味で、得られた工程(b)の最終混合物は、約1〜5重量%のアルファオレフィン、約15〜50重量%のCアルケン、約15〜25%のCアルケン、約5〜20重量%のCアルケン、約10〜50重量%のCアルケン、及び、約10重量%未満の二量体を含む。好ましくは、二量体のレベルは、約6重量%未満である。
【実施例】
【0056】
実施例
以下の実施例で、本発明の実施形態をさらに明確にする。当然ながら、これらの実施例は、単に例証として記載されたものである。上記の考察やこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の必須の特徴を確定することができ、さらに、様々な用途及び条件に適合するように、それらの本質及び範囲から逸脱することなく本発明に様々な変更及び改変を施すことができる。従って、本明細書で示されたものや説明されているもの以外の本発明の様々な改変は、当業者には前述の説明より十分認識できるものと予想される。特定の手段、材料及び実施形態を参照品がえら本発明を説明するが、当然ながら本発明は、開示された詳細に限定されず、請求項に記載の範囲内に含まれる全ての等価体を含む。
【0057】
本発明に従って、さらに以下の実施例において、13C−核磁気共鳴を用いて異性化の程度と二重結合の位置分布(DBPD)を解析した。
実施例では、以下の材料を用いた:
アルケン
ネオデン16(Neodene(R)16)、これは、16個の炭素原子を有する1−アルケンの混合物であり、シェル・ケミカルズ(Shell Chemicals,ガイスマー,ルイジアナ州)より入手可能であり、入手時の状態のまま用いられた。ネオデン18(Neodene(R))18、これは、18個の炭素原子を有する1−アルケンの混合物であり、シェル・ケミカルズ(ガイスマー,ルイジアナ州)より入手可能であり、入手時の状態のまま用いられた。
【0058】
実施例1:触媒としてCo(AcAc)/Al(Me)を用いたネオデン18の異性化(工程(a)のみを用いて行われた)
全てのガラス製品をオーブンで乾燥させ、まだ熱いうちに組み立て、窒素雰囲気下で冷却した。反応用フラスコに、コンデンサー、熱電対、磁気撹拌棒、ならびに窒素注入口及び流出口を備え付けた。このフラスコ中に、ネオデン(R)18(631g,2.5モル)、及び、Co(AcAc)/Al(Me)(0.298g,0.832ミリモル)を入れた。次に、この混合物を窒素で1時間パージし、それに続いて2.1ml(4.2ミリモル)のトリメチルアルミニウム溶液(2Mトルエン溶液)を添加した。この反応混合物を120℃に加熱し、3時間そのままにした。この反応混合物のIRスペクトルを60分間毎に測定し、反応が望ましい変換に到達したかどうかを観察した。120℃で3時間後、この反応のIRスペクトルから、異性化により〜90%の変換が達成されたことが示された。この反応を2時間継続させた。5個の反応サンプルを採取し(反応の1時間毎に)、それをC−13核磁気共鳴(NMR)による二重結合の位置分布(DBPD)解析に供出した(結果を表1に示す)。計算された量のn−ブチルアルコールで反応を止めた。トルエンとn−ブチルアルコールを除去し、続いて酸性粘土からなるベッドでろ過した後、異性化されたオレフィンを無色の液体として回収した。回収したオレフィンを、ガスクロマトグラフィー(GC)による総合的なオレフィン及び二量体の解析に供出した。
【0059】
【表1】

【0060】
表1に記載の結果は、オレフィンの総重量に基づき重量%として示される。
実施例2:触媒として酸洗浄した粘土を用いたネオデン18の異性化(工程(b)のみを用いて行われた)
フラスコ中の酸洗浄した粘土F13(オレフィンに基づいて1.0重量%)を110〜115℃で2時間焼成し、窒素雰囲気下で〜120℃で維持した。ネオデン16(50グラム)を添加し、175℃で6時間加熱した。1時間毎にサンプルを採取し、C−13NMRによってDBPD、オレフィン総量、及び、GCによって二量体を測定した(表2を参照)。ろ過によって粘土触媒を除去した後、最終的なオレフィンを回収した。
【0061】
【表2】

【0062】
表2に記載の結果は、オレフィンの総重量に基づき重量%として示される。
実施例3:2段階の触媒方法を用いたアルファオレフィンの異性化(本発明に係る工程(a)と工程(b)の組み合わせを用いて行われた)
全てのガラス製品をオーブンで乾燥させ、まだ熱いうちに組み立て、窒素雰囲気下で冷却した。反応用フラスコに、コンデンサー、熱電対、磁気撹拌棒、ならびに窒素注入口及び流出口を備え付けた。このフラスコ中に、C−18アルファオレフィン(505g,2.00モル)、及び、Co(AcAc)(0.2376g,0.667ミリモル)を入れた。次に、この混合物を窒素で1時間パージし、続いて2.0ml(4.00ミリモル)のトリメチルアルミニウム溶液(2Mトルエン溶液)を添加した。この反応混合物を150℃に加熱し、2時間そのままにした。この反応混合物のIRスペクトルを30分間毎に測定し、反応が望ましい変換に到達したかどうかを観察した。150℃で2時間後、この反応のIRスペクトルから、異性化により95%を超える変換が達成されたことが示され、さらに、H NMRから、アルファオレフィンがわずか3%未満しか残っていないことが示された。次に、この反応混合物(表3のサンプルC、表4及び5のサンプルE)を、酸洗浄した粘土F13(オレフィンに基づいて1.0重量%)を含む第二のフラスコに移した(第二段階の触媒方法)。この粘土を110〜115℃で2時間焼成し、窒素ブランケット下で〜120℃に維持した。第一段階からの内部オレフィンを、粘土触媒に移した。次に、この混合物を、粘土の投与量に応じて150℃〜175℃で30分間〜4時間加熱した。最終的なオレフィンをろ過して、まだ熱いままの触媒を全てシリカベッドまたは粘土ベッド(F24)で除去した。回収されたオレフィンを供出して、α−オレフィン、C−13NMRによってDBPD、及び、オレフィン総量を測定し、GCによって二量体を解析した。
【0063】
【表3】

【0064】
表3に記載の結果は、オレフィンの総重量に基づき重量%として示される。
【0065】
【表4】

【0066】
表4に記載の結果は、オレフィンの総重量に基づき重量%として示される。
【0067】
【表5】

【0068】
表5に記載の結果は、オレフィンの総重量に基づき重量%として示される。
実施例4:ASAを形成するための、無水マレイン酸用いた異性化されたオレフィンの付加反応
実験室レベルの付加反応を500mlの三つ口丸底フラスコで行った。フラスコに機械式撹拌器、ジャケット付き添加漏斗を備え付け、そこに水を循環(75℃で)させて、添加漏斗のストップコックの周りに巻いたテープと反応用フラスコへのその連結部を加熱した(85℃で)。さらに、コンデンサー、加熱マントル、窒素パージシステム、熱電対及び温度制御装置も用いた。フラスコに異性化されたオレフィン(126.27g,0.5モル)を入れて、窒素下で撹拌しながら196±2℃に加熱した。この反応器に、フェノールチアジン(0.0057g)が混合された溶融した無水マレイン酸(32.66g,0.33モル)を2.5〜3.0時間かけてゆっくり添加した。溶液が均一になった後、反応温度を215±2℃に高め、その温度で3時間維持した。未反応の出発原料を減圧蒸留で回収した。蒸留後、望ましい生成物のASAとして、明るい色(6〜8,ガーデナースケール(Gardenerscale))の残留物を回収した(83.46g,消費されたMAに基づいて収率94.65%)。回収したASAをGCで解析し、残留したオレフィン、ASA分析、及び、二量体のレベルを測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−アルケンを内部アルケンに異性化する方法であって:
a.)液相中で、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを組合せること、ここで、該触媒は、(i)少なくとも1種の第8族遷移金属塩、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;及び、
b.)約100℃〜約300℃の温度で、工程a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを組合せて、最終混合物を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種の1−アルケンは、少なくとも4個の炭素原子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の1−アルケンは、約5〜約40個の炭素原子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の1−アルケンは、約6〜約30個の炭素原子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の1−アルケンは、約10〜約20個の炭素原子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の1−アルケンは、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘプテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、2−メチル−1−ドデセン、1−テトラデセン、2−メチル−1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、2−メチル−1−ヘキサデセン、5−メチル−1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、2−メチル−1−オクタデセン、1−エイコセン、2−メチル−1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、ビニルシクロヘキサン、2−フェニル−1−ブテン、または、それらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属は、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、ロジウム、白金、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、または、それらの混合物の少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属は、ニッケル、コバルト、パラジウム、または、それらの混合物の少なくとも1種である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属は、コバルト、パラジウム、または、それらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、ハロゲンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ハロゲンは、塩素である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、キレートを形成するリガンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記キレートを形成するリガンドは、アセチルアセトナートである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、塩化Ni(II)、Ni(II)アセチルアセトナート、Co(III)アセチルアセトナート、PdCl、PtCl(シクロオクタジエニル)、Ir(III)アセチルアセトナート、または、Rh(III)アセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、塩化Ni(II)、Ni(II)アセチルアセトナート、Rh(III)アセチルアセトナート、Ir(III)アセチルアセトナート、または、Co(III)アセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、Ni(II)アセチルアセトナート、Ir(III)アセチルアセトナート、または、Co(III)アセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩は、コバルト(III)アセチルアセトナートである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩がコバルトを含み、前記少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物がトリアルキルアルミニウム化合物を含む場合、前記方法は、アルコキシアルミニウム種の実質的な非存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物は、一般式:AlRで示される化合物を含み、ここで、Rは、アルキルラジカルであり、Xは、ハロゲンラジカルであり、aは、1〜3の整数であり、bは、0、1または2であり、aとbとの合計は、3である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ラジカルRは、1〜約40個の炭素原子からなるアルキルを示す、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ラジカルRは、1〜約10個の炭素原子からなるアルキルを示す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ラジカルRは、1〜約6個の炭素原子からなるアルキルを示す、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ラジカルRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、及び、n−デシルから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ラジカルRは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、及び、n−ヘキシルから選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
aは、2または3である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
aは、3である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
bは、1または2である、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
Xは、Cl、または、Brを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
Xは、Clを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム化合物、または、ハロゲン化アルキルアルミニウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記トリアルキルアルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリヘプチルアルミニウム、または、トリオクチルアルミニウムである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ハロゲン化アルキルアルミニウムは、ジエチルアルミニウム塩化物(DEAC)、エチルアルミニウム塩化物、または、イソブチルアルミニウム塩化物である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記1−アルケン、及び、第8族遷移金属は、約1:1〜約10,000:1のモル比で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記モル比は、約10:1〜約5,000:1である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記モル比は、約500:1〜約4,000:1である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記モル比は、約700:1〜約2,000:1である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アルキルアルミニウム化合物中の第8族遷移金属とAlとの原子比率は、約2:1〜約1:500である、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記原子比率は、約1:1〜約1:300である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記原子比率は、約1:2〜約1:100である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記工程(a)の温度は、約80℃〜約150℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記工程(a)の温度は、約80℃〜約120℃の範囲である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
工程(a)は、約1時間〜約12時間の範囲の反応時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
工程(a)は、約2時間〜約6時間の範囲の反応時間を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
工程(a)は、約2時間〜約4時間の範囲の反応時間を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
工程(a)によって、約90%またはそれより大きい異性化の程度が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記第一混合物は、約5重量%以下の1−アルケン、約50重量%〜約70重量%またはそれを超える2−アルケン、及び、約2重量%未満のオリゴマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
工程(b)は、約10分〜約6時間の範囲の反応時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記反応時間は、約20分〜約4時間の範囲である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記反応時間は、約30分〜約2時間の範囲である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、焼成した酸洗浄した粘土である、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記焼成した酸洗浄した粘土は、酸で活性化されたベントナイト、エンゲルハード(Engelhard)の製品であるF13、F22、F24、F20X、または、それらの混合物である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約1.0〜約0.025meq/gの範囲の残留した酸性度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約0.5〜約0.1meq/gの範囲の残留した酸性度を有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約0.4〜約0.2meq/gの範囲の残留した酸性度を有する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、オレフィンに基づいて約0.25重量%〜約3.0重量%の範囲の量で用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約0.5重量%〜約2.0重量%の範囲の量で用いられる、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1種の酸洗浄した粘土は、約0.75重量%〜約1.0重量%の範囲の量で用いられる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
工程(b)における温度は、約120℃〜約200℃の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記温度は、約150℃〜約175℃の範囲である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記工程(b)の最終混合物は、約1〜5重量%のアルファオレフィン、約15〜50重量%のCアルケン、約15〜25重量%のCアルケン、約5〜20重量%のCアルケン、約10〜50重量%のCが5個以上のアルケン、及び、約10重量%未満の二量体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記最終混合物は、約6重量%未満の二量体を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
工程(a)は、溶媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記溶媒は、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、ハロゲン化脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素、脂肪族エーテル、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
工程(a)は、溶媒の非存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項65】
工程(a)は、実質的に無水条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
工程(a)は、分子酸素の実質的な非存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
前記方法は、回分式で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
前記方法は、半連続的な様式で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記方法は、連続的な様式で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
前記触媒は、その場で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
主要な異性化生成物は、2−アルケンである、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1種の6〜30個の炭素原子を有する1−アルケンは、約80〜約150℃の温度で、実質的に無水条件下で、分子酸素の実質的な非存在下で、Ni、Co及びPdの塩化物及びアセチルアセトナートから選択される少なくとも1種の第8族遷移金属塩、ならびに、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム及びジエチルアルミニウム塩化物から選択される少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物と接触し、ここで、前記1−アルケンと第8族遷移金属は、約100:1〜約2,000:1のモル比を有し、前記第8族遷移金属とアルキルアルミニウム化合物中のAlは、約1:2〜約1:100の原子比率を有し、それによって、2−アルケンを少なくとも約60モル%含む内部オレフィンが形成され、同時にオリゴマーが約5%を越えて形成されない、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
1−アルケンを内部アルケンに異性化する方法であって、該方法は:
a.)液相中で、及び、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを組合せること、ここで、該触媒は、(i)少なくとも1種の第8族遷移金属塩、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;ここで、該アルキルアルミニウム化合物は、少なくとも1種の、アルミニウム原子に直接結合したアルキル基を含み、及び、
b.)工程a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを組合せて、最終混合物を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項74】
1−アルケンを内部アルケンに異性化する方法であって、該方法は:
a.)液相中で、及び、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを組合せること、ここで、該触媒は、(i)少なくとも1種の第8族遷移金属塩、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;ここで、該アルキルアルミニウム化合物は、少なくとも1つの、アルミニウム原子に直接結合したアルキル基を含み、及び、前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩がコバルトを含み、前記少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物がトリアルキルアルミニウム化合物を含む場合、前記方法は、アルコキシアルミニウム種の実質的な非存在下で行われ、及び、
b.)工程a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを組合せて、最終混合物を形成すること、
を含む、上記方法。
【請求項75】
1−アルケンを内部アルケンに異性化する方法であって、該方法は:
a.)液相中で、及び、約50℃〜約200℃の温度で、少なくとも1種の1−アルケンと触媒とを組合せること、ここで、該触媒は、(i)コバルト、鉄、パラジウム、白金、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、及びそれらの混合物から選択され、少なくとも1種の塩の第8族遷移金属、及び、(ii)少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物を接触させて、第一混合物を得ることによって形成され;ここで、該アルキルアルミニウム化合物は、少なくとも1種の、アルミニウム原子に直接結合したアルキル基を含み、及び、前記少なくとも1種の第8族遷移金属塩がコバルトを含み、前記少なくとも1種のアルキルアルミニウム化合物がトリアルキルアルミニウム化合物を含む場合、前記方法は、アルコキシアルミニウム種の実質的な非存在下で行われ、及び、
b.)工程a)の第一混合物と、少なくとも1種の酸洗浄した粘土とを組合せて、最終混合物を形成すること、
を含む、上記方法。

【公表番号】特表2008−517062(P2008−517062A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537959(P2007−537959)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/037357
【国際公開番号】WO2006/044852
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】