説明

アルミニウム空容器電池

【課題】アルミニウムの廃材であるアルミニウム空容器を負極として、1.8V−10mA以上の電池作用を持続して得る。
【解決手段】銅材を正極構造体とし、底部外面にアルミニウム素材の露出しているアルミニウム空容器を負極構造体とし、次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類を電解液として用い、電池作用をするアルミニウム面近傍に電解液の対流する領域を確保して電池作用を持続させた即席の湿式一次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、其の底部外面の少なくとも一部に容器を構成するアルミニウム金属素材が露出している飲料用等のアルミニウム空缶またはアルミニウムボトルであるアルミニウム空容器を負極構造体として用いた、即席の湿式一次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海上における即席の非常用電池として、正極には塩化銀や塩化鉛を用い、負極にはマグネシウムを用いて、海水を電解液とする海水電池がある。海上においては海水は必要なときに容易に多量に入手して利用できるが、塩化銀、塩化鉛及びマグネシウムは工業用特殊材料であり、日常生活環境に多量に存在し容易に入手できる材料ではない。
【0003】
アルミニウム金属及びアルミニウムを主成分とするアルミニウム合金は現在多量に生産され、多種多様な日常生活や家庭用製品に加工されて安価に多量に供給されている。ドア、窓サッシ、ベランダ、フェンス等の建築用材、園芸農業機材用具等、また家庭用としては、鍋、洗面器、食器、アルミホイル、料理仕切用型、ガスレンジカバーあるいは換気扇カバー枠等、このようなアルミニウム金属またはアルミニウム合金の製品はわれわれの周辺に豊富にある。従って日常生活環境では殆ど入手が困難なマグネシウム金属にかえて、身近に多量にあり容易に安価に入手できるアルミニウム金属やアルミニウム合金製品の廃材を、地震等の災害発生時やその他の緊急時に即席の電池の電極として利用できることが望まれる。
【0004】
アルミニウム金属は、マグネシウムに続いてイオン化傾向の大きい金属であり、活性度が高い。アルミニウム金属または少量のマグネシウム等を含んだアルミニウム合金等を負極とする電池は、古くから研究されきた。アルミニウムまたはアルミニウム合金を負極に用いた乾電池は、軽量、高電圧、高容量が期待されるが、活性度の高いアルミニウム負極が電解質と反応して、ガス漏れや電解液漏れを起こすことを制御することが難しく、乾電池としては保存寿命が短いという問題があり、亜鉛を負極とするマンガン乾電池のようには普及はしてこなかった。特開2002−298862号には負極としてアルミニウムを使用する一次乾電池において、アルミニウムが電解液と作用して自己放電やガスの発生による劣化を抑制する対策を施して、初期電圧2.03V、1箇月後の放電容量9.4mAのコイン型密閉一次乾電池が示されている。
【0005】
負極のアルミニウムが電解液と作用して、自己放電やガス発生により劣化する問題は、乾電池ではなく、海水電池のように電池作用を必要とするときに電解液を注入する湿式電池にして、開口を持つ容器を用いて発生するガスを大気中に放散させれば回避できる。
【0006】
アルミニウム金属を負極に用いた電池を構成する場合、アルミニウム金属と反応して消耗するもう一つ資材は電解液である。科学の実験では食塩水を電解液としてクッキングペーパに染み込ませ、正極とする備長炭に巻きつけ、その上から負極とするアルミホイルを巻いて備長炭−アルミニウム電池を構成する。この電池の負極とするアルミホイルの面積を大きくすれば、短時間では電流が数百mAも流れるが、負荷電圧は1V以下で、数分間で電圧電流が大きく低下してしまう。従ってこのような材料の組み合わせによる電池はまだ工業生産販売されていない。
【0007】
電池として食塩水よりも適切な電解質を製造するには、一般に多種の工業用薬品が必要となる。例えば特開2001−23650号の公開公報では、ビール空缶を電池の負極に利用する試みが示されているが、表面の合成樹脂皮膜を剥離するために、電解液として弗酸の添加液を使っている。しかしながら弗酸は危険物であり、日常の生活環境で容易に入手できるものではない。
【特許文献1】特開2002−298862公報
【特許文献2】特開2001−23650公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アルミニウム金属の廃材を用い、日常生活環境にある資材を電解質として、地震等の災害発生時、その他の緊急時、非常時に一組の電池で、マンガン乾電池の1.5Vよりも高く、赤色発光素子を点灯できる1.8Vで10mA以上の電流が少なくとも数時間継続して得られる即席の湿式一次電池を実現したい。
【0009】
工業的に乾電池を製造する場合には、電解質として硫酸や硝酸などの種々の酸・アルカリ類の工業用薬品が必要である。しかしこれらの薬品類は一般には市販されてなく、殆ど入手困難である。そこで日常生活環境にあり、緊急時、非常時にも利用でき、比較的多量に安価で容易に利用可能な市販の家庭用日常用品の中から、アルミニウム金属と組み合わせた場合に食塩水よりも適切な電解液として利用できるものを探した。
【0010】
その結果現状の日常の生活環境周辺には実に多種多様な電解質剤があることがわかった。料理用の酢、膨らし粉、クエン酸、果汁などの導電性水溶液、食品以外では各種の衣料洗剤、漂白剤、住まいの洗浄防黴剤、台所や浴室、あるいはトイレの防臭剤、殺菌剤、消毒剤、洗浄剤、その他の温泉の源、家庭菜園用の肥料などの飲料以外の液体、粉体、固体である各種の電解質である一般商品が多量に存在する。これらの物質はそのまままたは水に溶解すると酸性やアルカリ性または中性の電解質液となる。これらの家庭用各種用剤等は、使用上の安全の注意書きが表示されたうえで商品として多量に市販されている。このように広く生産販売されて家庭等で容易にで入手利用できる導電性のある電解質の液剤、粉末の中からアルミニウム金属と組み合わせた場合最も効果的に湿式一次電池の電解液として使えるものを見つけ出さなければならない。
【0011】
日常の生活環境にある家庭用液剤等の中からアルミニウム金属を負極とする電池の電解液として効果的な用剤を探すため、簡易な実験電池を用意した。アルミニウム金属製品の廃材からアルミニウム金属を取り出すには加工の手間がかかるので、入手してそのまま使えるアルミニウムホイルを打ち抜いた5号の料理用仕切り型を折りたたみ、園芸用アルミ線で挟んで負極構造体とした。また銅管または備長炭に銅線を巻きつけたものを正極構造体とした。ポリエチレンの茶漉し袋を使って負極構造体または正極構造体あるいはその両方を包み、この負極構造体と正極構造体をプラスチックの容器に挿入して簡易実験電池を構成した。
【0012】
この簡易実験電池に家庭用の電解質液体を電解液として注入し、正極構造体と負極構造体の間の開路電圧を測定し、開路電圧の時間的推移を調べた。また最初から10mA以上の電流が流れるような負荷を接続して電圧電流の推移を測定した。その結果家庭用用剤の中で、アルミニウムホイルと組み合わせると、食塩水よりも効果的な電池作用が発生するのは、塩素系アルカリ性洗浄剤類であることがわかった。
【0013】
この電池の電解液の調査と共に、湿式一次電池の他方の電極となる正極の構成材料として、備長炭、高温焼成された竹炭、ステンレスねじ、単一型マンガン乾電池の炭素棒、銅線、銅パイプ、銅板を比較調査した。
【0014】
このような調査の結果、次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類を電解液として用い、銅材を正極構造体とすると、一組の実験電池で食塩水を電解液とした場合よりもはるかに高い1.3Vを越える開路電圧が得られることがわかった。しかしこの実験電池一組では、赤色発光素子を点灯できる高い負荷電圧が得られないので、同じ構成の実験電池を2組あるいは2組以上を直列に接続して赤色発光素子を点灯させると、1mAより小さい電流ではあるが一年以上継続して点灯することは可能となった。しかしながら一組の実験電池ではどうしてもある時間持続して赤色発光素子を点灯できる電圧が得られる電解液と電極の組み合わせが見つからなかった。
【0015】
赤色発光素子を点灯するには、電池が1.8Vで10mA以上の電池容量があり、この能力が持続する必要がある。負荷としての発光素子の抵抗値は1.8Vで10mAの場合180オームである。電池の負荷電圧が高く大きい電流を取り出すためには、電池の内部抵抗を小さくする必要がある。特に負極と正極間の電解液の内部抵抗を低くするする必要があると推定した。そこで負極と正極間の間隙を小さくし、電解液の濃度を濃くすることを試みた。またポリマーに高濃度の電解液を混合して電解液の比抵抗を下げることも試みた。アルミホイルを負極とする実験電池においてこのような濃い電解液を注入すると、最初は100mA以上の電流が流れるが、10分間程度で数mAに低下する。その後は負荷電圧が1V前後に下がり1〜2mAの電流が1日以上は流せる。実験後このように動作させたアルミニウムホイルの実験電池を分解してみると、いずれの場合も、電解液と反応して溶けたアルミニウムの体積に比べてはるかに多い量の白色や褐色のペースト状あるいは結晶状生成物が発生していた。
【0016】
電池の内部抵抗を低くするために電解液の電解質濃度を高くして、また正極構造体とアルミニウム負極構造体との電極間隔を近づけて配置すると、短絡を防ぐために正極構造体等に巻いたお茶漉し袋の布目にはアルミニウムの反応生成物がつまり、負極のアルミニウムホイル面もアルミニウム生成物の膜でおおわれ、正極構造体表面も負極構造体のアルミニウムホイル表面も新たな電解液との接触が阻害される状態にあった。
【0017】
正極構造体として、高温焼成した竹炭や備長炭を用いた場合、炭の軸方向続く空隙を毛細管現象で電解液が上昇し、電解液面上部で導通をとるために巻いてある銅線部分に到達し、銅線を腐蝕して、備長炭の正極と銅線の接触抵抗が著しく増大して電圧が不安定になる。この現象により電池の電圧持続性も阻害される。
【0018】
更に正極構造体として銅管または銅板を使用し、負極との短絡防止のためにお茶漉し袋を巻いた場合、塩素系アルカリ性洗浄剤類を電解液すると、電解液が正極構造体を包んだお茶袋の布目を毛細管現象で銅金属の液面上に出ている部分まで上り、大気中に出ている銅金属を腐蝕し孔をあけてしまい、銅の正極構造体も消耗品となってしまう。
【0019】
また負極構造体としてアルミニウム金属を用いる場合、電解液に浸漬しているアルミニウム金属部分との電気的導通をとるために異種金属を使うのは電池作用に問題が起きるので、同じアルミニウム金属を使う。ところが負極構造体としてアルミニウムホイルをアルミニウム線で挟んだ実験電池の構成の場合、電解液中の塩素がアルミニウム線の表面と反応し、塩素によるアルミニウム線の表面の腐蝕が電解液面よりはるかに離れたアルミニウム線の先まで短時間で伝播進行し、クリップ等で電池の外部回路と接続している個所の電気的接触を損ない、電池の電圧持続性を阻害する。
【0020】
負極としてアルミニウム金属を用いた場合、電池作用に適した電解液として塩素系アルカリ性洗浄剤類が見つかったが、電解液とアルミニウムの反応性生物が負極構造体であるアルミニウム金属の表面にそのままとどまって、アルミニウム金属と新たな電解液との接触を抑制し、電池作用が持続するのを損なう現象を避けなければならない。また正極構造体の銅管を包んだお茶漉し袋に、アルミニウム生成物が詰まる現象が起きて電解液中のイオンの移動を妨げる。このため短い時間で電池の電圧電流が低下してしまう。この問題および負極構造体に接続されたアルミニウム線の表面腐蝕現象の伝播、正極構造体の銅管あるいは備長炭に巻いた導線としての銅線の腐蝕により電池の電圧、電流の持続性が損なわれる問題を避けなければならない。
【0021】
塩素系アルカリ性洗浄剤類(以下塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤類を塩素系アルカリ性洗浄剤類と総称する)である電解液とアルミニウム金属を組み合わせた湿式一次電池において、高い負荷電圧と大きい負荷電流が持続する方法を探すために、広い透明な容器に多量の塩素系アルカリ性洗浄剤類である電解液を入れ、負極構造体であるアルミニウム金属と正極構造体を挿入し、相互の位置関係と、この湿式一次電池の開路電圧、および負荷電圧と負荷電流がどのように関連しているかを測定した。また負極構造体であるアルミニウム金属表面と、正極構造体表面の電解液中における気泡の発生を観測した。
【0022】
湿式一次電池として期待する電池容量は、赤色発光素子1個を点灯するものとして、1.8V−10mA以上である。湿式一次電池の電池容量がこの程度の場合、負極構造体と正極構造体の電解液中における相互の間隔や位置関係にはあまり依存しないことがわかった。また負極構造体であるアルミニウムの電解液への溶解量の多いことが、必ずしも電池容量が大きいことにはつながらない。電圧が低いままアルミニウムだけが溶けてしまうこともあることがわかった。大きな容器に十分な量の塩素系アルカリ性洗浄剤類を入れ、電池を構成して、負極構造体としてのアルミニウム表面と電解液が接する付近を観測すると、気泡が発生するとともに、電解液が対流している。しかもこの場合、アルミニウムが電解液と反応してできる生成物が白褐色のペースト状物あるいは粉末状物、または結晶水を含んだ固形物になることなく、電解液中に溶解して拡散し、負極構造体としてのアルミニウム金属表面に沈着することがないことがわかった。
【0023】
また広い容器に十分な量の塩素系アルカリ性洗浄剤類である電解液を満たした状態で、正極構造体として、銅管や銅板の他、ステンレスボルト、マンガン乾電池の炭素棒、備長炭、竹炭を比較した結果、塩素系アルカリ性洗浄剤類を使用した電解液では、銅管または銅板の正極構造体を使用した場合、電解液成分の変化の影響を受けやす欠点はあるが、備長炭や竹炭よりも電池の負荷電圧がおよそ10%高くなり最も好ましいことがわかった。ステンレスボルト、マンガン乾電池の炭素棒は、負荷をつなぐと電圧が著しく低下するので不適当である。
【0024】
正極構造体に銅材を用い、負極構造体をアルミニウム金属で構成し、電解液として塩素系アルカリ性洗浄剤類を用いた湿式一次電池において、1.8Vで10mA程度の電池容量を期待する場合、電解液の抵抗による電池の内部抵抗を考慮するよりも、負極構造体であるアルミニウム金属表面で発生する気泡が電解液中を上昇し、電解液面から大気中に放散させることと、負極構造体であるアルミニウムの金属表面が、対流により循環する電解液と常に新たな接触を維持することにより、アルミニウム金属の電池作用を持続させることがより重要である。電解液の対流循環が起これば、アルミニウム金属の電解液との反応による生成物が電解液中に溶解したままとなり、正極構造体と負極構造体の間に堆積することがない。
【0025】
負極構造体としてアルミニウム金属を用い、正極構造体として銅金属を用いて、塩素系アルカリ性洗浄剤類を電解液として注入して即席の湿式一次電池にする場合、電解液中の成分濃度が高い方が、湿式一次電池の立ち上がり時の最大電圧到達時間が短く、湿式一次電池の開路電圧、負荷電圧および負荷電流も大きくなるが、負極構造体のアルミニウム金属が電池作用に寄与しないで無効に溶解することもある。逆に塩素系アルカリ性洗浄剤類である電解液の成分濃度によっては、負極構造体アルミニウム金属の電池作用の最適な状態への到達時間が負荷を接続したままで数時間かかる場合があることがわかった。日常生活環境にある多種多様な電解質剤を調査しても、この現象を見逃すと短時間の測定結果で判断してしまい、電解液として利用できる最適な電解質剤を選定できなくなる。
【0026】
アルミニウム金属またはアルミニウム合金を用いた製品のアルミニウム廃材は、日常生活環境で排出される最も多い金属の廃材の一つであるから、アルミニウム廃材は容易に入手できるが、アルミニウム製品に含まれるアルミニウム金属は、あくまで他の素材と組み合わされた複雑な構造の製品の一部であり、アルミニウム製品の廃材としてアルミニウム金属を利用する場合には機械的あるいは化学処理的加工が必要となる。従ってアルミニウム廃材は必ずしも即席で容易にアルミニウム金属として転用できるものではない。前記の実験に利用したアルミニウムホイルや園芸用アルミニウム針金の入手は容易であるが、アルミニウム製品の中で主要な製品ではなく、また廃材でもない。
【0027】
アルミニウム金属またはアルミニュウム合金製品の廃材のうち、容易に多量に入手できて構造寸法がある程度標準化されているのは飲料用等のアルミニウム容器である。飲料等のアルミニウム容器は、内容物を消費者が取り出した後は、アルミニウム容器のリサイクルのために特別に選別収集し回収され再利用されるシステムになっている。従って非常時、緊急時には最も容易に転用できるアルミニウム廃材である。
【0028】
しかしこの飲料等のアルミニウム容器の内面は飲料等と反応し変質するのを防止のため塗装または保護膜がラミネートされているので、アルミニウム空容器の内面はそのままではアルミニウム金属として用いることはできない。またアルミニウム空容器の外面の大部分も保護膜がラミネートされており、商品として販売される段階では、商品のマークや説明等の印刷や塗装が施されている。そこで通常はアルミニウム空容器をアルミニウム金属材料として利用する場合には、回収した飲料用アルミニウム空容器のリサイクルシステムのように、アルミニウム空容器表面の有機物皮膜等をアルミニウムの融点に近い温度まで加熱して分解処理をするとか、化学薬品で剥離除去処理するとか、あるいは機械的に研磨除去しなければならず、特別な工業用装置や工業用薬品が必要となるので、日常の生活環境や一般家庭等ではアルミニウム空容器を電池電極として利用することはなかった。
【0029】
飲料等用のアルミニウム容器を更に詳し調べてみると、ある程度標準化はされているが実に多くの色々な構造寸法のものが製造されている。これらの飲料等用アルミニウム容器の使用済み廃材としての容器を、特別な工業的処理を施さずに即席で電池の負極に利用することを試みる場合、更に特定の構造のものに限定されることがわかった。そのアルミニウム空容器は、アルミニウム容器の容器成形方法の要因により、容器底部の一部に容器を構成するアルミニウムの素材が露出しているもので、2ピース缶といわれるものと、ボトル形状のものである。いずれも容器の主要構成部分である容器の底部と底部に続く円筒部が一枚のアルミニウム板の深絞り加工で製造され、一体として連続している構造のものである。
【0030】
2ピースアルミニウム缶とアルミニウムボトルは、製造後床面と接する部分となる底部の円形凸部をアルミニウム薄板素材の内外両側から押さえて、アルミニウム薄板を凸部から外方に延展しつつ絞り加工を行うので、底部円形凸部から外側の底部遷移部と底部遷移部に続く円筒部は、延展絞り加工でアルミニウム素板からなるアルミニウム缶の外側表面にラミネートしてある保護膜が伸びて剥がれてなくなり、少なくとも2ピースアルミニウム缶とアルミボトルの底部の円形凸部から円筒部につながる底部遷移部の外面は、あらためて塗装等を施した場合を除き、アルミニウム薄板のアルミニウム金属素材面が露出したままとなる。2ピースアルミニウム缶とアルミニウムボトルの底部凸部より内側の底部凹部の外面は、成形加工時に保護膜が無くなるものと残っているものがある。また2ピースのアルミニウム缶の上蓋部外面もアルミニウム素材に保護膜がラミネートされており、成型加工された後も上蓋部の縁部内側の深絞りされた奥の一部を除いてアルミニウムの素材は露出していない。この底部遷移部の外面だけにアルミニウム金属素材が露出している2ピースアルミニウム缶またはアルミニウムボトルの空容器と、日常生活環境にある塩素系アルカリ性洗浄剤類を利用して、一組で1.8V−10mA以上が数時間持続して得られる即席の一次電池を実現しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0031】
乾電池には形状寸法、貯蔵保管性等の制約があるが、取りつけ端子等が標準化されており、使用位置も縦横上下自由で多くの利点がある。これに比べて電池作用だけを利用する目的の即席の湿式一次電池においては、液体の電解液を利用する場合、電池は立てておき、原則的に静止状態で利用するものとなる。容器に少なくとも小さい開放口を具備すればガス発生は重大な欠点にはならず、必要なときまでアルミニウム負極と電解液を分離しておけば、自己放電の問題は回避できるので実現性がある。
【0032】
アルミニウム飲料容器の中で最も普及している構造である2ピースアルミニウム缶またはアルミボトルである空容器を、工場設備による機械的処理、熱処理あるいは化学薬品処理をしないでそのまま、または最小限の手工具としてニッパを使って底部凸部に切りこみを入れ、手で底部を円筒側に曲げて、即席の湿式一次電池のアルミニウム負極構造体として利用する。2ピースアルミニウム缶またはアルミニウムボトルである空容器底部のアルミニウム素材金属の露出部面積は、アルミニウム空容器のアルミニウム構造体内外面全表面積のわずか1/30程度に過ぎない。もっとも標準的な容積の350mlの2ピースアルミニウム缶またはアルミボトルである空容器において、アルミニウム金属素材の露出面は約18平方cmと小さい面積である。アルミニウム空容器1個のこの小さい面積のアルミニウム金属素材露出部の素材面を用いて、少なくとも最小単位の電池の負極として利用する。2ピースアルミニウム缶あるいはアルミボトルの底面を構成するアルミニウム金属の材質は、加工性のよいJIS3004規格のマグネシウム(Mg)を0.85〜1.30%含むアルミニウム合金であり、電池の負極に用いた場合、純アルミニウムよりも数%電圧が高くなる利点がある。
【0033】
更に2ピースアルミニウム空缶の構造を詳細に調べてみると、2ピースアルミニウム空缶の部分切り欠き断面図である図2に示すように、2ピースアルミニウム空缶22の底部遷移部26の外表面にアルミニウム金属が露出しており、2ピースアルミニウム空缶22の上蓋部25には、缶の呑み口をあけるタブ30が取りつけてある。ダブ30の上側表面は保護膜がかかっているが、タブ30は指をかける孔などの大きな成形加工が施されている。そのためタブ30の裏側には、アルミニウム板の切り口断面が露出しており、クリップ等で挟めば容易にダブ30のアルミニウム板と導通が取れる。またアルミニウム缶の上蓋部25のタブ30を取り付けている個所は、アルミニウム缶の上蓋部25に深い突起加工をして、タブをはめた後でこの突起を潰してカシメ加工でタブを取りつけてある。この結果カシメ部31においても大きい加工のため表面の保護膜等が外れて、ダブ30のアルミニウム板の裏側とアルミニウム缶の上蓋部25は電気的に導通している。この状態は、タブを引いて明いたアルミニウム空缶22の飲み口孔の切り口と、電気的に導通を計ることにより確認できる。
【0034】
更に2ピースアルミニウム缶22の円筒部23は、製品製造工程で飲料等を満たしたあと円筒部23の上部でアルミニウム缶上蓋部25と2重巻き締めにより整形封止される。この2重巻き閉め部32もやはり加工度が大きいので、同じようにアルミニウム缶の上蓋部25と円筒部23の上部がこの巻き締め加工により相手金属と直接接触して電気的に導通した状態となる。結局タブ30の裏側と2ピースアルミニウム缶22の底部遷移部26の外面は電気的に導通していることになる。このことは、2ピースアルミニウム缶22を電解液中に浸漬した場合、負極として作用する2ピースアルミニウム空缶22の円筒に続く底部遷移部26のアルミニウム素材個所の導線が、上方に離れたタブの裏側まで延びていることになる。即ち2ピースアルミニウム缶自体が電解液と作用するアルミニウム電極とこのアルミニウム電極に電気的接続をする導線の機能を併せ持った構造体なっている。つまり2ピースアルミニウム空缶からその底面を切り出して、改めて導線を接続するという機械加工が全く不要となる。
【0035】
更に2ピースアルミニウム缶の電解液と作用する底部遷移部以外の円筒部は内外とも保護膜または塗装で覆われている。このことは電解液中の成分によるアルミニウム金属腐蝕が空気中にあるアルミニウム表面を急速に伝播する現象を抑制する構成になっていると見ることができる。また2ピースアルミニウム空缶の電解液と作用する底部遷移部26と、クリップ等で外部回路と接続するタブ30が離れているので、ダブ30の裏面のアルミニウム露出断面が、電解液の成分で腐蝕し接触不良を起こすのを回避できる好ましい負極構造体の構造になっている。ただし2ピースアルミニウム缶製品の製造工程のばらつき、あるいは電池の負極構造体として利用した場合における電解液からの蒸発物により、稀にこの2ピースアルミニウム缶の2重巻き締め部32の接続が不安定になったり、導通が無くなることがあるので、2ピースアルミニウム空缶22は、電解液に入れる前に2重巻き締め部32に1〜2個所、ニッパ等で簡単な切りこみひねりを入れて、2重巻き締め部32の導通を確実に維持できるようにすることが望ましい。
【0036】
2ピースアルミニウム空缶22の場合は、対流する電解液との作用を円滑にするため手で底部24を円筒部23側に折り曲げ、上蓋部25もタブ30が上方にくるように円筒部23側に折り曲げ、円筒部23を平らに潰す。このように潰した2ピースアルミニウム空缶の場合、その形状に合わせて扁平な容器を用いると少ない電解液で電池を構成できる。
【0037】
飲料用アルミニウム空ボトルの場合は、アルミニウム金属素材の露出している底部遷移部の素材がアルミニウムボトルの上端であるボトルの口のところまで延長しており、このボトル口先の外側に巻いた下のところでアルミニウム素材薄板の断面が露出している。ここをクリップで挟んで外部回路との導通を取ることができる。このようにアルミニウムボトルにおいても、電池の負極として作用させるアルミニウム素材面との導線は、ボトルそのものを利用することとなり、かつその導線が飲料製品として施されたボトル外面の塗装や内面の保護膜で保護されており、空気中のアルミニウム表面の腐蝕伝播現象がおき難い好ましい構造となっている。アルミニウム空ボトルの場合は円筒部が固く手でつぶしにくいので、底面を変形させる場合でも底面だけを円筒側に多少傾けるるだけでよい。
【0038】
電解液中でアルミニウム空容器の底部が水平であるよりも、傾いているあるいは垂直になっているほうが、電解液の対流や泡の上昇が容易になって、アルミニウム空容器の底部遷移部表面と電解液との反応が円滑に持続できる。そのためにアルミニウム空容器の底部を折り曲げることなくそそのままで、アルミニウム空容器全体を少し傾けて電解液に浸漬してもよいが、アルミニウム空容器を横倒しにして電解液に入れると、2ピースアルミニウム空缶のタブあるいはアルミニウム空ボトルの飲み口端部が電解液面に近づいて、そこのアルミニウム面が腐蝕され、外部回路への接続個所が接触不良となるので、電解液にアルミニウム空容器を横倒しにいれる方法は避ける。
【0039】
正極構造体としては、銅管または銅板を用いる。直径8〜10mm肉厚0.3〜1mmで長さ40〜120mmの銅管を1本以上、または幅20〜50mm長さが250mm程度で厚さが0.2〜2mmの銅板を円筒状に整形したもの、あるいは直径40mm以上の円板または1辺40mm以上の4角形でこの電池の容器の底面に入れられるなるべく面積の大きいものを用いる。正極構造体の銅管等の外表面積は、負極構造体のアルミニウム空容器と向き合う片側の面積が、電池の負極として作用するアルミニウム空缶の底部遷移部の面積に近い面積とする。
【0040】
正極構造体の銅表面が、負極構造体であるアルミニウム空容器と接触するのを防ぐために絶縁物のシート状物で仕切る場合には、直径1mm以上の網目を持った例えばポリエチレン製の水切りネット等を使い、正極の銅表面で発生する気泡や電解液の循環を妨げないように設定する。正極構造体の銅材は、可能な場合電池の容器に固定する。正極構造体の銅材は、電解液面よりはるか上方まで延長した寸法とするか、または電解液中に沈む寸法とし、電解液中に正極構造体の銅材が沈む場合には、電解液で侵されない合成樹脂被覆の電線とはんだ付け接続し、接続部と電線先端を耐水性シリコン樹脂等で被覆する。太い銅線と正極構造体の銅材を溶接、圧接、銅リベット止めとしてもよい。電解液面近くで、正極構造体の銅材あるいは、正極構造体の銅材への導線の銅が露出する場合は耐水性シリコン樹脂等で被覆しなければならない。
【0041】
本発明の電池容器は、正極構造体を挿入したあと、負極構造体とするアルミニウム空容器を正極構造体から最も近いところで1mm以上離て、かつアルミニウム空容器の底部遷移部の大部分が電池容器の底面および側面から離れておかれ、アルミニウム空容器の底部遷移部と反応する電解液の対流および発生した気泡の上昇が円滑になるような間隙領域が確保できる形状、大きさとする。アルミニウム空容器を変形しないで縦に挿入する場合は円形の容器とし、容器底面にスペーサを入れてアルミニウム空容器の底部を容器底から離す。アルミニウム空容器を変形しないで傾けて入れる場合、または底部を変形して挿入する場合は、電池容器とアルミニウム空容器の底部遷移部の間に電解液と気泡の流動する領域を確保した上でなるべくコンパクトな形状の電池容器とする。電池容器の深さは、外部回路と接続するタブやタブを止めているカシメ部が電解液から発生して液面より高くなる泡によって濡れることがないように、電池容器の縁が挿入した2ピースアルミニウム空缶のカシメ部から10mm以上低くなる深さとする。アルミニウムボトルの場合は電池容器に入れたボトルの上端より20mm低いところに容器の縁がくるような寸法とする。
【0042】
本発明で利用する電解液は、工業用の酸やアルカリではない日常の生活環境で容易に多量に入手可能な殺菌・防黴・消臭・消毒・漂白・洗浄剤のなかからどれかを利用する。一般の薬局で水酸化ナトリウムだけは入手可能である。またプールの消毒や農産物野菜の殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムの溶液が市販されている。本発明では多量に販売されている家庭用殺菌・防黴・消臭・消毒・漂白・洗浄剤のうちとくに次亜塩素塩・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系アルカリ性殺菌・防黴・消臭・消毒・漂白・洗浄剤を電解液として使用する。家庭用の洗浄剤等のなかには、酸性の洗浄剤等もあるが、塩素系アルカリ性の洗浄剤等と混合すると、多量の塩素ガスが発生して大変危険であるから絶対に使わない。また過酸化水素系漂白剤等、過炭酸系洗浄剤等も、本発明の電池の電解液としては、殆ど効果が無いので使わない。
【0043】
塩素系アルカリ性殺菌・防黴・消臭・消毒・漂白・洗浄剤は、主剤として次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムが含まれており、これらの洗浄剤等の目的用途によって水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)が0.1%から4%程度加えられている。この他にアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムまたはアルキルアミンオキシドの界面活性剤が含まれている。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、予め電池を構成する正極構造体を挿入した電池容器と、この電池の直流電圧電流を利用する直流負荷との接続をするためのクリップ付きの導線を用意しておけば、身近な生活環境で容易に入手可能な廃品としてのアルミニウム空容器と家庭用塩素系アルカリ性洗浄剤類等を用いて、緊急時非常時など電池作用が必要となったときに、即席で、最大開路電圧2.02V、負荷を接続して1.8V−10mA以上の電池容量が数時間継続して得られる湿式一次電池とするものであり、照明用発光素子や、小電力の通信機器、電子機器の緊急非常用の直流電源を提供することができる。
【0045】
白色や緑色、青色の発光素子等を点灯するために3V以上の電圧が必要な場合は、本発明の湿式一次電池を2組以上直列に接続することにより、3V以上の高い電圧で10mA以上の電流を得ることができる。負荷電圧が1Vまで低くなることを許容すれば、一組の本発明の湿式一次電池で100mA以上の電流を数時間得ることができる。
【0046】
本発明の湿式一次電池を継続して使用し、電池作用が低下した場合は、消耗した負極構造体であるアルミニウム空容器あるいは電解液として注入している塩素系アルカリ性洗浄剤類のいずれか一方またはその両方を、新たなものに交換すれば、本発明の湿式一次電池は、引き続き数日間を越えてき1.8V−10mA以上の直流電圧電流を取り出すことができる。
【0047】
本発明の湿式一次電池を構成するために、最小限あれば好都合な工具としては、アルミニウム空容器の底部凸部に必要な場合切込みを入れるためのニッパだけである。アルミニウム空容器の底部および、上蓋部の曲げや変形は、手で潰せる範囲で充分である。
【0048】
本発明の湿式一次電池の電池作用を中断または停止するときは、負極構造体のアルミニウム空容器を取り出すかまたは電解液を取り出しておく。電池作用が必要になったときに取り出した負極構造体のアルミニウム空容器を再度挿入するか電解液を注入すれば、一度電池作用をさせたことがある場合、直ちに最適な電池作用を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
予め電池容器に正極構造体を挿入した物を用意しておき、緊急時非常時に1.8V−10mA以上の直流電源が必要となったとき、日常の生活環境にあるありあわせのアルミニウム空容器と、塩素系アルカリ性洗浄剤類を組み合わせて、即席で湿式一次電池を組んで、照明用や標識用の発光素子や、小電力の通信電子機器に、数時間継続して直流を供給する電池とする。
【実施例1】
【0050】
図1は本発明によるアルミニウム空容器電池の第1の実施例を示す正面斜視図である。
【0051】
扁平な形状のボリエチレン製の(透明な)電池容器13に、ポリエチレンの水きりネットなどの目の荒いシート12a、12bを巻いた直径10mm肉厚0.5mmの銅管からなる正極構造体11a、11bを電池容器13の両側脇に挿入し、必要な場合正極構造体11a、11bの上部を図示していない粘着テープ等で押さえて垂直に固定しておく。電池作用が必要になったとき、例えば350mlの飲料用2ピースアルミニウム空缶2を集めてきて、タブ10が上方になるように上蓋部5を押してアルミニウム空缶1の円筒部3の側に折り曲げる。同様に2ピースアルミニウム空缶2の底部4を円筒部3の同じ側に曲げる。更に2ピ―スアルミニウム空缶2の円筒部3を平らに潰す。2ピースアルミニウム空缶2が電解液中で浮き上がるのを防ぎ、電解液を注入液したとき2ピースアルミニウム空缶2の底部遷移部6のアルミニウムと電解液との反応開始の起点とするため、ニッパで切りこみ9a、9bをいれておく。このように折り曲げ潰しと切り込みを入れた2ピースアルミニウム空缶2を電池容器13にはめ込み、例えば2ピースアルミニウム空缶2の曲げられた底部4のバネ作用を利用して、扁平な形状の電池容器13の中央に、正極構造体11a、11bと接触しないように1mm以上離間して固定する。2ピースのアルミニウム空缶2の上部を図示していない粘着テープで固定してもよい。正極構造体の銅管11a、11bの上端を図示していないクリップ付き導線で挟んで、正極側の外部回路への導線とする。正極構造体11a、11bは並列に接続する。負極構造体である2ピースアルミニウム空缶2の負極として作用する部分は底部遷移部6であるが、底部遷移部6と電気的に接続している上部のタブ10をクリップ付き導線で挟んでタブ10の裏面に露出しているアルミニウムと接触させて、負極側の引き出し線とする。
【0052】
図2は、本発明において負極構造体として用いる底部外部にアルミニウム素材が露出する部分を有する2ピースアルミニウム空缶22の部分切り欠き断面図である。図2において、製品としての飲料等の内容物を取り出して空容器になった2ピースアルミニウム空缶22の底部遷移部26の外面は、飲料の商品として販売される時点で既にアルミニウム金属が露出している。本発明ではこの部分のアルミニウム面を電池の負極として使う。この底部遷移部26は円筒部23、2重巻き締め部32、上蓋部25、タブのカシメ部31、タブ30と電気的に導通して、外部回路の導線をつけたクリップでダブ30を挟むと、2ピースアルミニウム缶22の本発明の負極として使う底部遷移部26のアルミニウムと外部回路が電気的に接続されることになる。2ピースアルミニウム空缶22の構造が、電解液と作用する底部遷移部26からはるかに離れた個所まで、内外両面が保護膜で保護された状態で延長している導線の役割を果たす。本発明のアルミニウム空容器電池は、2ピースアルミニウム空缶22のこの構成を適切に利用することにより実施できることとなった。
【0053】
電解液中でアルミニウム空容器の底面が水平であるよりも、傾いているあるいは縦むきのほうが、アルミニウム空容器の底面遷移部の電解液との反応が円滑に持続できる。ただしアルミニウム空容器を傾けて電池の容器に挿入することはよいが、アルミニウム空容器を横倒しにして電解液に入れると、2ピースアルミニウム空缶のタブあるいはアルミニウム空ボトルの飲み口部が電解液面に近づいて、その部分のアルミニウム面が腐蝕され外部回路とつなぐクリップ等との接触不良が起きるので、アルミニウム空容器を横倒しにする方法は避ける。
【0054】
アルミニウム空容器電池の第1の実施例を示す図1において、2ピースアルミニウム空缶2を変形して平たくして、幅が30mmで120mmの矩形の形状、または楕円形状の電池容器13に挿入すると、少ない電解液で、2ピースアルミニウム空缶2のアルミニウム素材が露出している底部遷移部6と電解液との相互作用が円滑に行われ、気泡の上昇、電解液の対流循環が容易となる。
【0055】
本発明によるアルミニウム空容器電池1の実施例である図1において、緊急時あるいは非常時等に電池作用が必要となった場合、例えば最も多量に販売されている容量が350ml程度の2ピースアルミニウム缶の空き缶を探してきて、変形して電池容器13に挿入し、日常生活環境にある次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類を探して、液状の洗浄剤をそのまま電解液として、例えば液面が図1の2点破線14の水準になるように100cc加える。この即席の湿式一次電池であるアルミニウム空容器電池1は、新しい2ピースアルミニウム空缶2を使って、電解液として4%の水酸化ナトリウムを含む排水口処理用の塩素系アルカリ性洗浄剤類を注入した場合、負荷として赤色発光素子を接続しておくと、電解液注入後数分間で1.8V以上の負荷電圧が得られ、20分から100分かかって負荷電圧が1.9VからV1.95Vに上昇する。また開路電圧は最大2.02Vになる。この後負荷電圧の推移を見ながら、同じ電解液を2ピースアルミニウム空缶2の底部遷移部6の上端が浸かる180ccまで少しづつ追加していくと、1.9V以上で15mAを越える電流が5時間以上流れる電池作用が得られた。
【0056】
図1に示した本発明のアルミニウム空容器電池1では、正極構造体の銅管が2本の場合を示したが、銅管はどちらか1本でも可能であり、逆に3本以上でもよい。正極構造体の形状は、板状や、メッシュ状でもよい。銅管に巻いたポリエチレンの水きりネットなどの目の荒いシート12a、12bは、電池容器13側に、正極構造体と、負極構造体である2ピースアルミニウム空缶2の間隙を最小部分においても1mm以上離間して固定する手段を具備すれば、シートは使用しないほうが好ましい。扁平な形状のポリエチレン製電池容器13の材質は、電解液と反応して孔があかなければポリエチレンに限定することなく、他のプラスチック材やガラスでもよい。電池容器13の形状は、扁平な形状に限定しなくてよい。
【0057】
図1の実施例において、4%の水酸化ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類を一度に180cc注入した場合、アルミニウムとの反応が急激で、界面活性剤の含有量の多い電解液によっては、発生した泡が電池容器13から溢れることがあるが、負荷に1.9V以上で40mAを越す電流を供給することができる。この場合数時間で電圧電流が低下するので、最初の電解液を全部捨てて、新しい電解液と入れかえる。2回目はアルミニウム空缶2の底部遷移部6が電池作用に好ましい状態になっているので、短時間で高い負荷電圧に到達する。ただし同じ4%の水酸化ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類の電解液を繰り返し使った場合、3〜4回目ぐらいで2ピースアルミニウム空缶2の底部遷移部6が溶けて孔があく。その場合は2ピースアルミニウム空缶2を新しいものに替える。
【0058】
本発明のアルミニウム空容器電池1に赤色発光素子よりも大きい電流を必要する負荷を接続した場合、例えば抵抗値が10オーム程度の負荷を接続して、4%の水酸化ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤類を一度に180cc注入すると、負荷電圧1.5Vで電流が100mA以上流れ、電圧が1Vに低下するまで100mA以上の電流が5時間持続し、更に0.5Vで50mAになるまで8時間持続した。ただしこの場合2ピースアルミニウム空缶2の底部遷移部6は1回で孔があいた。
【0059】
本発明の図1の実施例において、新しい2ピースアルミニウム空缶2を使い、水酸化ナトリウムの含有量の少ない台所用の塩素系アルカリ性洗浄剤類であるキッチンブリーチなどを電解液として、一度に180cc注入したときのアルミニウム空容器電池1の電池特性について説明する。最初から赤色発光素子を負荷として接続しておくと初回の電解液注入後まもなく赤色発光素子の発光が始まるが、電圧の上昇が緩慢で、1時間後負荷電圧電流が1.7V10mAに上昇し、2時間後1.78V−20mAになり、3時間後1.85V−30mAに達する。その後は徐々に電圧が下がっていくが、20mA以上の継続時間は11時間、10mA以上の継続時間は20時間であった。
【0060】
この後引き続き負荷として赤色発光素子を点灯したまま、1日1回同じ台所用漂白剤である塩素系アルカリ性洗浄剤類の新しい電解液と入れ替えを繰り返していくと、電解液の交換の回を重ねる毎に負極構造体である2ピ−スアルミニウム空缶2の電解液と反応する底部遷移部6が、電池作用にとって好ましい状態に徐々に移行し、電解液交換後の電圧の立ち上がり時間が短くなり、かつ負荷電圧も高く、より大きい電流がより長く持続して得られるようになる。例えば7回目の電解液注入後は、負荷電圧電流の立ち上がりが著しく早くなり、1〜2分で10mA以上の電流が流れ始め、10分後には負荷電圧が1.87Vに上昇し、40mA以上の電流が流れ、この後40mA以上の電流が8時間継続した。20mA以上の電流は22時間継続できた。
【0061】
このように1日1回同じ台所用漂白剤である塩素系アルカリ性洗浄剤類の電解液を交換する方法で負荷に電流を流し続け、7回目の連続通電の後にこのアルミニウム空容器電池1の負極構造体である2ピ−スアルミニウム空缶2の底部遷移部6を調べると、アルミニウムの表面が溶けて凹凸ができているが、まだ孔は開いていなかった。
【0062】
更に好ましいことは、2ピ−スアルミニウム空缶2の底部4の中央である凹部8の表面に残っているラミネートされた保護膜の内側にある凹部8のアルミニウム面が底部遷移部6の側から染み込んだ電解液により、底部遷移部6のアルミニウムと同様に電池作用に加わる状態が起こる。このことは電池作用をする底部遷移部6の面積が広くなったと同じ効果がある。この現象により、底部遷移部6が溶けて孔が明き出すまでは、電解液の交換のたびに本発明のアルミニウム空容器電池1の電池容量は少しづつ大きくなる。
【0063】
また電解液を交換しつつ本発明のアルミニウム缶容器電池1の電池作用を継続させていると、2ピ−スアルミニウム空缶2の底部遷移部6と2ピ−スアルミニウム空缶2の円筒部3の境界から、円筒部3外面にある塗装膜等の下側のアルミニウムが電解液と反応を始め、電解液が円筒部3の塗装膜の裏側に染み込んで、そこにある円筒部3のアルミニウム面が電池作用に加わるので、電解液を交換しつつアルミニウム空容器電池1の電池作用を継続させていると、底部遷移部6や底部凹部8が溶けて無くなった後まで、この円筒部3のアルミニウムが電池作用を続けることがある。
【0064】
本発明の図1の第1実施例であるアルミニウム空容器電池1において、水酸化ナトリウムの含有量が少ない台所用漂白剤を電解液として用い、1日1回の電解液の交換をしながら、負荷に20mA以上の電流を流す動作を続けた場合、およそ10回以後、電池の容量が低下してくるので、2ピ−スアルミニウム空缶2の底部遷移部6にまだ溶けないで残っている部分があっても、新しい2ピ−スアルミニウム空缶と交換することが望ましい。
【0065】
本発明のアルミニウム空容器電池の電解液として、利用できる市販の代表的な塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤を表1に示す。なお表1には、市販の塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤に含まれる成分が単独に主剤として含まれる殺菌洗浄剤も記載してある。本発明のアルミニウム空容器電池の電解液として利用する塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤に共通して含まれるのは次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムであり、これに界面活性剤であるアルキルアミンオキシドまたはアルキルエーテル硫酸エステルナトリュウムと、水酸化ナトリウムが少量から4%程度含まれており、家庭内での使用個所目的に応じた異なる製品として販売されている。
【0066】
本発明のアルミニウム空容器電池の電解液として利用できる市販の塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤を選択するために、塩素系アルカリ性洗浄剤類の商品説明に表示されている成分を組み合わせて、含有成分が本発明のアルミニウム空容器電池の電解液として使用した場合どのような作用効果をもつかを調べた。
【0067】
界面活性剤を主剤とする洗浄剤単独では本発明のアルミニウム空容器電池の電解液としては水と混合した場合も含めて開路電圧が0.5V程度で利用できない。数%の水酸化ナトリウム単独の水溶液でも本発明のアルミニウム空容器電池の電解液として用いた場合、開路電圧が1.5V以下で、負極のアルミニウムが無駄に溶解するだけてある。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の場合は本発明のアルミニウム空容器電池の電解液とした場合、開路電圧は、1.6V近くになり、アルミニウムの無駄な溶解は少ないが、負荷を接続すると、電池一組の開路電圧が1V以下に低下してしまう。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に水酸化ナトリウムを数%加えた電解液では負荷電圧が1.8V以上になるが、濃度か高いとアルミニウムが激しく溶解し、短時間でアルミニウムが溶けてしまう。次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に水酸化ナトリウムを加えた電解液に更に少量の界面活性剤を加えた電解液では、気泡が多量に発生する欠点があり、最大負荷電圧がやや低くなるけれども、アルミニウムの溶解が穏やかになり、比較的一定の電流が長い時間流せる。この次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に水酸化ナトリウムと少量の界面活性剤を加えた電解液では、アルミニウム金属表面にアルミニウム反応性生物が沈着するのが抑制され、アルミニウム反応性生物が固形物または結晶水を含んだペースト状生成物になるのを防ぎ、アルミニウム反応性生物が電解液中に溶解した形態となって拡散するのを促進する。
【0068】
結局アルミニウム金属を負極とする湿式電池の電解液としては、次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムに少量の水酸化ナトリウムと界面活性剤が含まれる市販の塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤が最も適しているので、表1に記載した市販の塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤あるいは同種の成分を含有する用剤を利用すれぱ充分である。
【0069】
本発明のアルミニウム空容器電池1の電池作用を一次的に停止させる場合、負荷を外して、電流をゼロにしても、アルミニウムと電解液との反応は持続し、負極構造体のアルミニウム空容器2と電解液成分が消耗するので、可能ならば電解液を排出しておくことが望ましい。電池容器に電解液排出口とバルブを具備してもよい。
【0070】
本発明の即席湿式一次電池は、マンガン乾電池のように負荷接続と同時に一定の電圧と電流が得られる電池ではないが、表1のいずれかの塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤を本発明の電池の電解液として用いることにより、負極構造体として1個のアルミニウム空容器を使った一組の本発明のアルミニウム空容器電池で、1.8V以上で10mA以上の電流が、数時間以上継続して得られる。
【0071】
【表1】

【0072】
図3は本発明によるアルミニウム空容器電池の第2の実施例を示す断面図である。
【0073】
絶縁物である円筒状電池容器53の底に予め導線54aをとり付けた銅板又は穴明き銅板の正極構造体51aを置き、その上にポリエチレンなどのプラスチック製で電解液や気泡が自在に通過できる排水口水きり用等のネット52aを敷き、そのネット52aの上に、プラスチックのスペーサ55をいれ、その上に負極構造体としてのアルミニウム空容器を載せる。本発明の第2の実施例を示す図3では底部を曲げ加工していないアルミニウム空ボトル42を挿入した場合を示す。またスペーサ55は、負極構造体であるアルミニウム空ボトル42の底部凹部48をなるべく小さい面積で3〜4点支持し、アルミニウム空ボトル42の底部と正極構造体の銅板51aおよびネット52aとの間に数mm以上の間隙を確保して、電解液および電解液中に発生する気泡がアルミニウム空ボトル42の底部中央より外周方向およびアルミニウム空ボトル42の円筒部43の外面に沿って上昇する流れを阻害しないように、例えばガスコンロのごとくのような形状にする。アルミニウム空ボトル42の底部の凸部47にはニッパで1〜4個所の切込み49a、49bを入れる。これにより電解液を注入した場合、電解液がアルミニウム空ボトル42のボトル内側にも入り、アルミニウム空ボトル42は浮き上がらなくなる。またアルミニウム空ボトル42の底部凸部47に入れた切込み49a、49bは、電解液を注入した場合、負極のアルミニウムと電解液との反応開始の基点となり、電圧の立ちあがり時間が短くなる効果がある。アルミニウム空ボトル42は、変形しなくてもよいが、可能な場合ボトルの円筒部を押さえて、アルミニウム空ボトル42の底面を45度程度傾けると、電解液を注入してからの電圧の立ちあがり時間が早くなる。負極構造体とするアルミニウム空ボトル42のボトル口上端の外側に、下方を向いてこのボトル容器を形成するアルミニウム金属素材薄板の断面50が露出している。ここを導線付きクリッブで挟み外部回路への導線とする。
【実施例2】
【0074】
本発明の第2の実施例である図3のアルミニウム空容器電池41において、電池容器53は塩素系アルカリ性洗浄剤に侵されないホリエチレンやポリプロピレン製の容器あるいはガラス製容器とする。電池容器53の形状寸法はアルミニウム空容器を変形させないでそのまま立てた状態で使用する場合には、アルミニウム空容器円筒部直径の1.2倍程度の内径を有し、アルミニウム空容器高さの1/2以上でアルミニウム空容器高さ以下の深さである容器とする。アルミニウム空容器の高さよりも深い容器を用いて、電解液から多量の泡を発生させると、泡がアルミニウム空容器のボトルの口やダブのところまで溢れ、その部分のアルミニウム面が腐蝕して、外部回路と接続するクリップの接触が不安定になるのを防ぐ必要がある。電池容器の深さをアルミニウム空容器の80%程度に押さえて電池の容器の外側に溢れた泡を受ける容器を使用することもある。アルミニウム空容器42を其ののまま挿入する場合には、アルミニウム空容器42の底部での電解液との反応間隙確保のため必ずスヘーサ55を入れるが、アルミニウム空容器の底部を変形することなく傾けて入れる場合、あるいは底部を折り曲げて入れる場合は、そのような形状位置にあった電池容器とアルミニウム空容器を保持する手段を講じればスペーサは無くてもよい。
【0075】
本発明の第2の実施例である図3において、銅材からなる円管51bは正極構造体の別な実施例である。アルミニウム空ボトル42の直径よりも電解液や気泡の流通を妨げない程度に大きい、例えばアルミニウム空ボトル42の外径+15mmの内径を有し高さが10〜60mmの銅管に、導線54bを取りつけて正極構造体とし、メッシュ52aの外側に挿入する。この正極構造体51bは管を輪切りにしたものでなくても、円管を軸方向に分割した円弧状のものあるいは矩形状の銅板を円弧状に曲げたものでもよい。アルミニウム空容器の底部凸部47にニッパで切りこみ49a、49bを入れてある場合には、更に別な正極構造体として、直径10mm程度の銅管に導線54c、54dを予め接続し、プラスチックのメッシュ52c、52dを巻いた正極構造体51c、51dをアルミニウム空ボトル42の上方の口から空容器の中に入れてもよい。正極構造体の銅管51cが短く液中に沈む場合には、導線54cは耐水性導線を用い、銅管と導線の接続部は防水剤でシールする。図3に示した銅材の正極構造体51a、51b、51c、51dは、ある程度の電解液との接触面積が確保されかつ負極構造体のアルミニウム空ボトル42と直接接触することなく、またその正極構造体の表面と接する電解液、あるいは電解液中に発生した気泡が流動するのを阻害しないように構成されていればよい。銅材の正極構造体51a、51b、51c、51dは、図3に示した全部を挿入して並列に接続してもよく、どれか一つだけ挿入してもよい。ある程度までは正極構造体の電解液中の表面積が大きいと電池の電圧も高くなる。電池容器53の材質を銅材で構成することも可能である。更にプラスチックの容器53に負極構造体のアルミニウム空ボトル42および正極構造体51a、51b、51c、51dを好ましい位置関係に支持固定する例えばホルダを具備した構造として、スペーサ55や正極構造体と負極構造体との接近接触を防ぐためのネット52a、52c、52dを省略してもよい。
【0076】
図3のプラスチックの電池容器53として、緊急の場合、飲料用のペットボトルの中で底面に変形を防止する放射状のひだが付けてあるものがあれば、そのペットボトルの中ほどから上部をナイフや鋏で切り取って、スペーサ55入れないで、アルミニウム空容器42を挿入し、アルミニウム空容器42の上部の口から、例えば銅管の陽極構造体51cを挿入し、陽極構造体51cがアルミニウム空ボトル42の内底と離れる位置になるように導線54cで吊り下げておく。これに電解液56を注入する構成にすれば、アルミニウム空容器42の底部がペットボトルの底に全面で密着することがなく、アルミニウム空容器42の底部に接する電解液や泡が放射状に移動できるので、2〜3日間の簡易な電池容器53として、このような底に放射状の変形防止のひだがついたペットボトルの転用が可能である。
【0077】
図3ではアルミニウム空容器電池41の負極構造体としてアルミニウム空ボトル42を使用した場合を示してあるが、2ピースアルミニウム空缶の底部を曲げないでそのまま利用し、2ピースアルミニウム空缶の上蓋部のタブを起こして明けた缶の口から、正極構造体51cや51dを挿入すればアルミニウム空ボトルの場合と全く同様に実施できる。
【0078】
本発明の第2の実施例を示す図3の構成において、アルミニウム空容器電池41に、例えばアルミニウム空ボトル42が半分電解液に浸漬する程度の電解液56を注入する。負極構造体のアルミニウム空ボトル42が電解液56と反応すると、アルミニウム空ボトル42の凹部48の下側に気泡が溜まることがあるが、電解液と反応するアルミニウム空ボトル42の底部遷移部46の形状が円周外方向に向かって上方に傾斜しているので、
電解液との反応が阻害されること無く実施できる。
【0079】
図3において、容量350mlのアルミニウム空ボトル42を用い、4%の水酸化ナトリウムを含む塩素系アルカリ性洗浄剤である家庭用排水口パイプ洗浄剤をそのまま電解液56として、例えば100ccを電池容器53に注入すれば、即席の湿式一次電池として開路電圧2.0Vが得られ1.85V−10mA以上の電池として14時間持続できた。
【0080】
本発明の第2の実施例である図3のアルミニウム空容器電池41は、電池容器53の底と負極構造体であるアルミニウム空ボトル42の底部との間にスペーサ55を入れたことにより、電解液や気泡が移動し対流する間隙が確保されたので、本発明の図1の実施例1に示したアルミニウム空容器電池1と同ような電池特性を得ることができる。
【0081】
図3のアルミニウム空容器電池41において、表1に示した塩素系アルカリ性洗浄剤類を電解液として、電解液の注入、追加注入、交換、アルミニウム空容器の消耗と交換等の処置を、図1のアルミニウム空容器電池1の実施例に準じて実施すれば、図1のアルミニウム空容器電池1と殆ど同等の電池作用を得ることができる。
【実施例3】
【0082】
図4は本発明のアルミニウム空容器電池の別な実施例を示す部分切り欠き斜視図である。
【0083】
プラスチックの電池容器63の4隅に、外部回路への導線74a、74b、74c、74dを取りつけた例えば直径10mm銅管または胴棒からなる正極構造体71a、71b、71c、71dを4隅に縦に取り付ける。電池容器73に取り付けた正極構造体の中央寄りには、負極構造体が動いても接触することがないように、プラスチックの仕切り用メッシュ72a、72bを入れる、2ピースアルミニウム空缶62aの底部と上蓋部を円筒部側に折り曲げて缶を潰して薄くし、この2ピースアルミニウム空缶62aの底部凸部に円周に沿って複数の切りこみ69aを入れ、電解液に漬けたときに、電解液が2ピースアルミニウム空缶62aの中にも入って、浮き上がらないようにする。また2ピースアルミニウム空缶62aのタブには外部回路との接続のために銅線76aを巻きつけておく、この負極構造体である2ピースアルミニウム空缶62aを複数個、図4の実施例では62a、62b、62cの3個を並べて電池容器73の中央に挿入する、おのおの2ピースアルミニウム空缶のタブに巻いた導線76a、76b、76cの3本をまとめて3個のアルミニウム空容器からの導線として並列に接続にする。
【0084】
電池容器73は、潰した2ピースアルミニウム空缶3個を正極構造体の銅管と少なくとも1mm以上離して入れられる最小限の縦横寸法とする、電池容器73の深さは2ピースアルミニウム空缶62a、62b、62cの縦むきに曲げられた底部遷移部66a、66b、66cの上端が浸る量の電解液を注入した場合、発生する泡が電池容器73の開口部より溢れ出るのを防ぐため、2ピースアルミニウム空缶62aの電解液と反応する底部遷移部66aの外径の1.5倍程度とする。
【0085】
表1に示した本発明で電解液として利用する塩素系アルカリ性洗浄剤類のなかから、水酸化ナトリウムが4%含まれるパイプ洗浄用塩素系アルカリ性洗浄剤を電解液として用意し、電池作用が必要となった場合、2ピースアルミニウム空缶62aの底部遷移部66aの1/3程度が浸る図の2点破線77で示した液レベルよりもやや低いレベルとなるように、電解液を200〜300cc注入する。予め赤色発光素子を負荷として接続しておくと、10分程度で1.9V以上になり、15mA以上の電流が流れる。電圧電流も徐々に上昇し、負荷電圧1.97V、負荷電流20mA以上が得られる。またこのときの無負荷の開路電圧は2.0Vであった。連続動作で負荷電圧が下がってきたら電解液を30〜50cc程度づつ追加していく。電解液の追加は、液面が折り曲げて電解液中で縦になっている2ピースアルミニウム空缶62aのアルミニウム素材が露出している底部遷移部66aの上端が浸漬するまで繰り返す。この結果、負荷電圧1.85V前後で、負荷電流15mA以上の電池作用が累積で5日間継続できた。
【0086】
電解液を最初からアルミニウム空容器の底が全部浸かる量を注入すると、開路電圧は2.02Vで変わらないが、新しいアルミニウム空容器と新しい電解液の場合、負荷電圧が1.97V以上になり、負荷電流も30mA以上流れ、大きい電流が数時間持続する。ただし、市販の塩素系アルカリ性洗浄剤類に含まれる界面活性剤の作用で泡が急激に発生して、容器より溢れることがあるので電池容器73の外側に泡を受ける別な容器をおく。
【0087】
本発明のアルミニウム空容器電池である第3の実施例を示す図4の構成において、4個の正極構造体の銅電極を並列接続したまま、2ピースアルミニウム空缶62a等の導線76a、76b、76cを1本づつに分離し、2ピースアルミニウム空缶62a等が相互に接触しないように改めて間にプラスチックのメッシュを挟み、図示していない3個の負荷素子の負側端子に接続し、正極構造体の導線74a等を4本束ねたままこの3つの独立した負荷素子の正側端子をまとめて並列接続すると、例えば3個の赤色発光素子を独立に点灯することができる。逆に負極構造体側の3個の2ピースアルミニウム空缶側を並列に接続したまま、正極構造体側の4本の導線74a、74b、74c、74dを独立にして4個の赤色発光素子の正極端子に接続し、4個の赤色発光素子の負極端子をまとめて並列に接続した3個の2ピースアルミニウム空缶側の導線に接続すると、独立な4個の赤色発光素子を独立に同時に発光させることができる。勿論本発明の第3の実施例を示す図4のアルミニウム空容器電池61に単純に4個以上の負荷である赤色発光素子を並列に接続して動作させることもできる。
【0088】
図4のアルミニウム空容器電池61において、負荷に通電する電池動作を続けた結果、負荷電圧が1.75V以下に下がり、負荷電流も5mA以下に低下したのに、電解液面が高くなってそれ以上電解液の追加注入ができない場合は、新しい電解液と入れかえればよい。逆に各2ピ―スアルミニウム空缶の底部遷移部や底部凹部あるいは変形した円筒部まで溶けてなくなってきているのに、まだ電解液の成分が残っていると思われるときは、新しい2ピ―スアルミニウム空缶を入れかえれば容易に電池作用を持続できる。
【0089】
本発明の図4の実施例において、複数の負極構造体とする2ピースアルミニウム缶または、アルミニウム空ボトルであるアルミニウム空容器の底部を曲げて変形することなく、電池容器の底にアルミニウム空容器の底部を電池容器の底から離して支える複数個のスペーサまたは、容器底部と同じ形状の網目状すのこ板を入れてその上にアルミニウム空缶または空ボトルを載せた構成にすれば、開路電圧は2.02Vで変わらないが、同時に挿入し並列接続したアルミニウム空容器の数に応じて負荷を接続したときの電圧が開路電圧に近づき、アルミニウム空容器の数が多い場合には50mA以上の電流を持続して得ることができる。アルミニウム空容器を電池容器に固定する手段を具備したときは、アルミニウム空容器の底部凸部にニッパで切りこみを入れなくても実施できる。
【0090】
本発明のアルミニウム空容器電池は、電解液と負極構造体が湿式一次電池の電解液や負極として製造されたものではなく、他の目的用途のために製造された製品、あるいは製品販売のための容器である廃棄物である。従って工業生産されているマンガン乾電池やアルカリ乾電池のような、寸法重量に対して最適化され高容量にはなっていない。また公称電圧、公称容量で電池作用の性能を表示したり、放電特性や負荷抵抗に対する放電容量を特定するのが難しい面がある。
【0091】
本発明のアルミニウム空容器電池において、新しいアルミニウム空容器と、新しい電解液で電池作用を始めてから負荷に通電していると、あるレベルまでは徐々に電池容量が成長増加する。本発明のアルミニウム空容器電池は、無負荷時の最大開路電圧はどの場合もほぼ2.02Vであるが、電池の見かけ上の内部抵抗は負荷とする電子機器の抵抗値にもよるが、1回の電解液注入後およそ24時間の間に5オームから100オームと変化する。本発明のアルミニウム空容器電池は、マンガン乾電池の1.5Vより高い1.8V前後で20〜30mAの小電流を1晩持続して必要とする赤色発光素子の点灯のような使用条件に最も適している。本発明のアルミニウム空容器電池に定電圧回路を組み合わせて1.8V前後で10〜20mAを必要とする小電力の電子機器を負荷として接続した場合、最も長時間持続する動作が期待できる。マンガン乾電池と同じ1.5V付近で100mA以上の電流を必要とする負荷に対しては、短い時間で電圧が低下して、連続使用時間は短くなる。逆に自動点滅の赤色発光素子のような断続動作をする負荷の場合、2個月間屋外放置して点滅動作をさせることができた。
【0092】
本発明のアルミニウム空容器電池を2組直列にすれば、開路電圧は4Vになり、白色の発光素子を接続した場合、負荷電圧が3V以上で充分な電流が流れ、1晩持続して点灯できる。本発明のアルミニウム空容器電池を直並列に接続すれば、4V以上で50mA以上の負荷電圧負荷電流も得られる。ただし1組毎のアルミニウム空容器電池の連続放電特性にばらつきがあり、乾電池のような、組み合わせたアルミニウム空容器電池の直列の数に合わせて電圧が高くなり、また並列接続した数に合わせて電流容量が比例して増大するのではなく、組み合わせたアルミニウム空容器電池の中で電池作用の強い電池が、電池作用の弱い電池を補うような形で、電圧電流がより小さい値でまとまるような作用が起こり、本発明のアルミニウム空容器電池の直並列に接続にした数に見合った電圧電流よりも低く小さい電圧電流になる。ただしその見返りとして、組み合わせた電池は負荷の変動に対して電圧電流の変動を押さえる効果を持つ。本発明のアルミニウム空容器電池においては、直列接続で4組程度、並列接続では2〜3組程度が実用的である。
【0093】
本発明のアルミニウム空容器電池は、繰り返し挿入して使用できる正極構造体と電池容器を工場生産し販売しておけば、電池としての消耗品である負極構造体のアルミニウム空容器と、電池電解液として利用する塩素系アルカリ性洗浄剤類は、非常時緊急時に、1.8V−10mA以上の直流の電池作用を必要とする消費者が、日常の生活環境から自分で調達し、即席で電池作用を発生させることができる即席の湿式一次電池である。寸法容積が大きく、マンガン乾電池のように高密度ではなく、電解液が液体なので、電池の置き方は縦置きと限定されるが、電池容器の上方にガス抜きと正極、負極の導線の引き出し口をつければ、電池容器に蓋をして、雨水の侵入を防いで屋外で使用することもできる。
【0094】
表2に本発明の図1の実施例、図3の実施例、図4の実施例のアルミニウム空容器電池で得られた電池特性の一例を示す。
【0095】
【表2】

【0096】
本発明のアルミニウム空容器電池の実施例を示す図1、図3、図4では、負極構造体として用いるアルミニウム空容器は、主として大きさが350ml前後の2ピースアルミニウム空缶または、アルミニウム空ボトルを利用した場合を示したが、その底部遷移部にアルミニウム素材面が露出している2ピースアルミニウム空缶あるいはアルミニウム空ボトルには小さい130ml程度のものから1000ml以上の大き容量のものまである。これらの寸法の違うアルミニウム空容器であっても、底部遷移部にアルミニウム素材が露出していれば、本発明のアルミニウム空容器電池の負極構造体として利用できる。容量の大きいアルミニウム空容器では、底部遷移部の面積も大きくなるので、本発明のアルミニウム空容器電池として使った場合、より大きい電流が得やすくなる。
【0097】
白色や緑色青色発光素子を点灯するためには、少なくとも本発明のアルミニウム空容器電池を2組直列に接続する必要があるので、それぞれに正極構造体を装填した2組を組み合わせた電池容器とする。また電池容器側に、探してきたアルミニウム空容器を挟めば保持されるクリップホルダー機構を構成しておく。更に必要ならば照明灯としての発光素子を電池容器と一体に構成し、電池との接続線、2ピースアルミニウム空缶のタブまたはアルミニウム空ボトルの飲み口との導通を取るクリップコードを組み合わせた発光素子点灯装置として用意しておくこともできる。
【0098】
本発明のアルミニウム空容器電池の実施において、電解液として利用する塩素系アルカリ性洗浄剤類は水で薄めて電解液として使うこともできるが、本発明においては殆どの場合市販製品をそのまま使う。従って塩素系アルカリ性洗浄剤類の製品のラベルに記載された取り扱い上の注意事項のうち人体に対する安全上の注意事項は確実に守る。危険な塩素ガスが発生することがある酸性の用剤やアルコール等と混ざらないようにする。原液を扱うので皮膚には絶対につかないようにする。
【0099】
本発明のアルミニウム空容器電池としての利用を終えたアルミニウム空容器の残りの部分は、水洗いしてアルミニウム空容器の回収リサイクルシステムに戻す。電池として利用を終えた電解液には、商品としてのアルミニウム缶から外れた表面の塗料や、缶内側にラミネートされていたポリエチレンの膜の剥がれたものが含まれているので、液と分けて可燃物塵として処理する。電解液は、元々台所、浴室トイレ等の防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤であるが、用剤によっては水で100倍以上に薄めて使うことが指定されているものもある。アルミニウム空容器電池の電解液として使用した後の廃液には、最初の防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤成分はアルミニウムと反応して殆ど無くなっているが、安全のため液状の電解液廃液は水で薄めて下水に流して処理する。電池として使用した電解液の廃液にはアルミニウムと、塩素系アルカリ性洗浄剤類との反応性生物が溶けこんでいる。これらの生成物はアルミニウムの塩化物や、水酸化物、ナトリウムとの化合物であり、元々土壌に多量にあるアルミニウム化合物であって、特別に濃縮されない限り人体や動植物に危険なものではない。本発明のアルミニウム空容器電池で使用した電解液の廃液をそのまま放置しておくとアルミニウムの化合物が沈殿するのでその場合は、液分は下水に流して処分し、結晶固形分は塵として処分する。過度に多量に集中させなければ、そのまま土壌に戻してもよい。本発明のアルミニウム空容器電池の動作中に発生するガスは先ず電解液面で界面活性剤の効果により泡となり、その後泡がはじけてガスは空気中に放散する。異状に泡を発生させて故意に着火しない限り、電解液の主成分が水であり発火の危険はない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のアルミニウム空容器電池は、正極構造体を取りつけた電池容器を工場生産し、外部負荷と接続するクリップコードと、このアルミニウム空容器電池の電池作用で点灯する照明用や標識用の発光素子の点灯装置あるいは、直流電圧電流が必要な小電力の電子機器用電源接続線と組み合わせて、非常用品として販売する。
【0101】
本発明のアルミニウム空容器電池に用いる塩素系アルカリ性洗浄剤類を、もっと濃縮した電解液としてアルミニウム空容器電池装置と共に非常用緊急用備品として販売し、非常時緊急時に使用者側が、アルミニウム空容器だけ調達してきて、濃縮した電解液を水で薄めて注入することとすれば、実施がより容易になる。本発明のアルミニウム空容器電池に最小限必要な電解液は50cc程度であるので、ポリエチレンに袋に入れて密封し、アルミニウム空容器電池装置の底に取りつけて販売し、使用者側で電池作用が必要になったとき、アルミニウム空容器を挿入して、ポリエチレンの袋を破いて、電解液を出す仕組みにしてもよい。
本発明のアルミニウム空容器電池の電解液廃液は水で希釈されれば殆ど無害となるので、本発明のアルミニウム空容器電池容器を雨水が直接入らない構造の電池容器とすれば、田園、農道、山野等の屋外で、自動点滅の発光素子などを1個月間放置動作させる標識灯等の電池として利用できる。地震や洪水後に停電で道路の信号機器が破損し停電した場合、発光素子の標識灯があれば、本発明のアルミニウム空容器電池で点灯させることができる。本発明のアルミニウム空容器電池は、太陽電池や、鉛蓄電池、乾電池程のエネルギー密度、取り扱いの利便性はないが、夜間無人になる神社仏閣、太陽光の届かないビル建物の奥、野外のテント、洞窟内など、酸欠や火災が心配される所でのろうそくに代わりの簡易な照明用発光素子の直流電源として利用価値がある。冠婚葬祭用照明、装飾用照明、食卓のキャンドルの代替、家屋周辺の防犯灯、防犯用センサー電子機器の直流電源とすることができる。アルミニウム空容器は、リサイクルすべき貴重な資源であるが、海外の生活環境で商品としてアルミニウム容器を入手できる状況があれば、用済みとなるアルミニウム空容器と塩素系アルカリ性洗浄剤類を携行して、山間僻地において、必要なときに通信、信号機器の直流電源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】アルミニウム空容器電池を示した正面斜視図である。(実施例1)
【図2】2ピースアルミニウム空缶を示した部分切り欠き断面図である。
【図3】アルミニウム空容器電池を示した断面図である。(実施例2)
【図4】アルミニウム空容器電池を示した部分切り欠き斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0103】
1、21、41 アルミニウム空容器電池
2、22、62a、62b、62c 2ピースアルミニウム空缶
42 アルミニウム空ボトル
3、23、43 アルミニウム空容器円筒部
4、24 2ピースアルミニウム空缶の底部
5、25 2ピースアルミニウム空缶の上蓋部
6、26、46、66a、66b、66c アルミニウム空容器の底部遷移部
7、27、47 アルミニウム空容器の底部凸部
8、28 アルミニウム空容器の底部凹部
9a、9b、49a、49b、69a、69b、69c 底部凸部の切り込み
10、30 2ピースアルミニウム空缶のタブ
11a、11b、51a、51b、51c、51d 銅材の正極構造体
71a、71b、71c、71d 銅材の正極構造体
12a、12b、52a、52c、52d、72a、72b ネット
13、53、73 電池容器
14、77 電解液の注入レベルを示す二点破線
31 2ピースアルミニウム空缶タブのカシメ部
32 2ピースアルミニウム空缶の2重巻き締め部
33 2ピースアルミニウム空缶の円筒部外面塗装保護膜
34 2ピースアルミニウム空缶の内面保護膜
38 2ピースアルミニウム空缶の底部凹部の保護膜
50 アルミニウム空ボトル口アルミニウム露出部
54a、54b、54c、54d 正極構造体の導線
74a、74b、74c、74d 正極構造体の導線
55 スペーサ
56 電解液
76a、76b、76c タブの導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口部を有する電池容器内に、銅材からなる電池の正極構造体を少なくともその一部の面において電解液および発生する気泡が円滑に移動可能に挿入し、底部遷移部外面にアルミニウム素材が露出するアルミニウム空容器を負極構造体とし、前記負極構造体を前記正極構造体と離れた位置でかつ前記負極構造体の底部遷移部外面の大部分が電解液との反応による電解液の対流、気泡の上昇を妨げないように前記電池容器の底面および側面と離して前記電池容器内に挿入され、次亜塩素酸塩・次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系アルカリ性防黴・防臭・除菌・消毒・漂白・洗浄剤の電解液を、前記電池容器内に前記負極構造体の底部遷移部外面の少なくとも一部が浸漬する以上の量を注入してなるアルミニウム空容器電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−5039(P2007−5039A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181226(P2005−181226)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(595070349)
【Fターム(参考)】