アルミニウム電線への端子接続構造
【課題】異種金属接触腐食の進行を抑え、高い接続信頼性を確保するとともに、作業性に優れ、かつ、安価に構成することが可能なアルミニウム電線への端子接続構造を提供すること。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体36に絶縁体38を被覆してなるアルミニウム電線12の導体端末36に、銅または銅合金よりなる導体22に絶縁体24を被覆してなる短尺の銅電線14の導体一端22aを接続し、当該接続部分16を絶縁体18で被覆するとともに、銅電線14の導体他端22bに、銅または銅合金よりなる端子20を圧着接続する接続構造10とする。アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aは、超音波溶接、冷間圧接、ろう接などの方法で接続することができる。また、導電性の帯状部材や筒状部材などを介して接続することもできる。接続部分16を被覆する絶縁体18は熱収縮チューブであると良い。
【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体36に絶縁体38を被覆してなるアルミニウム電線12の導体端末36に、銅または銅合金よりなる導体22に絶縁体24を被覆してなる短尺の銅電線14の導体一端22aを接続し、当該接続部分16を絶縁体18で被覆するとともに、銅電線14の導体他端22bに、銅または銅合金よりなる端子20を圧着接続する接続構造10とする。アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aは、超音波溶接、冷間圧接、ろう接などの方法で接続することができる。また、導電性の帯状部材や筒状部材などを介して接続することもできる。接続部分16を被覆する絶縁体18は熱収縮チューブであると良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム電線への端子接続構造に関し、さらに詳しくは、自動車などの車両への配線に好適に用いられるアルミニウム電線への端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両への車内に配線される電線には、導電性や強度などの特性に優れる銅電線が良く用いられている。銅電線は、一般に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなり、電線端末には、機器等に接続するための端子が圧着接続される。
【0003】
近年、地球温暖化対策などとしての燃費向上のための車両軽量化ニーズや、安定供給を保証する豊富な資源量、また、鉄との分離が容易であるなどのリサイクル性に鑑みて、自動車などの車両への車内に配線される電線には、アルミニウムまたはアルミニウム合金を導体材料に用いたアルミニウム電線の使用の要望が高まっている。
【0004】
ところが、アルミニウムは、その表面に酸化被膜が生成しやすく、また、クリープや応力緩和が大きい。そのため、アルミニウム電線を用いると、電線導体と銅または銅合金よりなる端子とで形成する電線圧着部において、接触荷重が経時的に減少しやすくなる。これにより、導体と端子との接触面積が減少して接触抵抗が増大するため、銅電線と同じような方法では接続信頼性の高い圧着接続部を形成することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決すべく、アルミニウム電線に圧着する圧着端子の形状に関する提案やアルミニウム電線への端子の圧着条件に関する提案などの種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、アルミニウム電線を圧縮把持するU字状の電線圧着部の内面に凹凸部が形成され、さらに、この電線圧着部の展開幅と板厚との関係を規定した圧着端子が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、アルミニウム電線に圧着する端子のワイヤーバレルによるアルミニウム電線の導体部の圧縮率(減面率)が、圧着部分のアルミニウム電線導体部断面積/圧着前のアルミニウム電線導体部断面積の比率で、50〜70%の範囲内にあるアルミニウム電線への端子圧着構造が開示されている。
【0008】
さらに、特許文献3には、アルミニウム電線に圧着するキャップ状の圧着端子の内側に多数の穴のあいた円筒形状内張りをいれておき、この内張り内部にアルミニウム電線の導体端末を挿入して、導体端末が露出しない状態で、特殊形状の工具で圧着する方法が開示されている。この圧着方法によれば、素線間あるいは電線と端子との間に冷間圧接による金属結合を形成でき、接続信頼性に優れるとされている。
【0009】
【特許文献1】特開昭57−87082号公報
【特許文献2】特開2005−174896号公報
【特許文献3】米国特許第3955044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、銅または銅合金よりなる端子にアルミニウム電線を圧着接続する場合には、異種金属同士が接触するので、アルミニウムの腐食が促進されやすい。すなわち、この接触部分に雨水や結露などの水分が介在すると、局部電池を形成してアルミニウムが陽イオンとして溶出する異種金属接触腐食が進行し、電線圧着部の接触抵抗が増大するという問題があった。
【0011】
特許文献1および特許文献2では、圧着端子とアルミニウム電線との接触部分が露出しており、上述する異種金属接触腐食が進行しやすく、圧着端子とアルミニウム電線との間で高い接続信頼性を確保することが難しくなっている。
【0012】
一方、特許文献3では、アルミニウム電線の導体端末が露出しない状態で圧着端子内に密封されて圧着されているため、異種金属接触腐食の進行は抑えられる。しかしながら、このように導体端末を密封するには、特殊な部品や工具が必要であり、部品の挿入作業も煩雑で、作業性が悪いという問題があった。
【0013】
また、自動車用電線に関しては、これまでに、銅電線用として、用途に合わせて様々な形状や大きさの圧着端子が開発されている。これらは、開発段階の耐久試験を含む膨大な性能評価や実車での長期使用実績によってその接続信頼性を保証している。したがって、電線の導体材料をアルミニウムに替えてこれを端子に直接接続する場合には、電線圧着部について、圧着条件の最適化、接続信頼性の確認、さらには必要に応じて端子の改造などを実施しなければならないことが予想され、膨大な時間とコストを要する。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、異種金属接触腐食の進行を抑え、高い接続信頼性を確保するとともに、作業性に優れ、かつ、安価に構成することが可能なアルミニウム電線への端子接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係るアルミニウム電線への端子接続構造は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなるアルミニウム電線の導体端末に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなる短尺の銅電線の導体一端を接続し、当該接続部分を絶縁体で被覆するとともに、前記銅電線の導体他端に、銅または銅合金よりなる端子を圧着接続することを要旨とする。
【0016】
この場合、超音波溶接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0017】
また、冷間圧接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0018】
また、ろう接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0019】
さらに、導電性の接続部材を介して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0020】
このとき、導電性の接続部材としては、導電性の帯状部材を好適に示すことができ、前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の帯状部材で束ね、各々の電線の導体端末と前記帯状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0021】
また、導電性の接続部材としては、導電性の筒状部材を好適に示すことができ、前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の筒状部材の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末と前記筒状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0022】
そして、前記帯状部材もしくは前記筒状部材は、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に、凹凸形状を有していることが望ましい。
【0023】
さらに、前記接続部分を被覆する絶縁体は、熱収縮チューブであることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るアルミニウム電線への端子接続構造は、アルミニウム電線に短尺の銅電線を接続し、アルミニウム電線に接続した銅電線の端末に、銅または銅合金よりなる端子を接続してなる。すなわち、端子には銅電線を圧着するので、電線圧着部において異種金属接触腐食の問題が生じるおそれはない。また、電線圧着部においては、これまでに培われた端子の性能評価や使用実績を活用して、高い接続信頼性を確保することができる。これにともなって、端子圧着部について、圧着条件の最適化、接続信頼性の確認、および端子の改造などによる膨大な時間とコストを削減することが可能になる。さらに、端子の圧着に際し、特殊な部品や工具を必要としないので、作業性も良好である。
【0025】
また、アルミニウム電線と銅電線とを接続しているが、この接続部分を絶縁体で被覆するので、外部から水や水蒸気などが接続部分に浸入するのを防止して、異種金属接触腐食の発生が抑えられる。
【0026】
この場合、アルミニウム電線と銅電線とを接続する電線同士の結線なので、超音波溶接、冷間圧接、ろう接などの異種金属接合技術が容易に適用できる。そして、これらの接合方法により強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。
【0027】
また、電線同士の結線なので、導電性の帯状部材や導電性の筒状部材などの導電性の接続部材を用いても、電線同士を強固に接続することができる。
【0028】
このとき、前記帯状部材もしくは前記筒状部材が、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に凹凸形状を有していると、電線を圧着する際に、導体材料のアルミニウムや銅が凹凸形状により塑性変形され、表面積が拡大し表面の酸化膜が破れ清浄金属表面が露出して、電線の素線同士や、電線導体と導電性の帯状部材もしくは筒状部材との間で冷間圧接による金属結合形成が促進されやすくなる。これにより、さらに強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。
【0029】
そして、電線同士の結線部分の構造はいたって単純なので、熱収縮チューブにより容易に接続部分を気密に被覆することができ、確実に、外部から水や水蒸気などが接続部分に浸入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1および図2は、本発明の第一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す模式図である。図3は、銅電線に端子が接続された銅線ピッグテールを表す模式図である。図4〜図6および図12は、アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを接続する方法の一例を表す模式図である。図7〜図11は、帯状部材表面または筒状部材内面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造10は、アルミニウム電線12の導体端末に短尺の銅電線14の導体一端を接続し、この接続部分16を絶縁体18で被覆し、銅電線14の導体他端に銅または銅合金よりなる端子20を圧着接続したもので構成されている。
【0032】
アルミニウム電線12の導体端末に接続する銅電線14は、銅または銅合金よりなる導体22に絶縁体24を被覆したもので構成されている。銅電線14は短尺のものを用いる。短尺とは、端子20とアルミニウム電線12の両方に接続可能な程度の長さ(両端に接続するのに必要な長さが確保されている長さ)であれば良く、特定の範囲の長さに限られるものではない。とはいっても、アルミニウム電線12に付随するものであることから、付随する程度の長さであれば良い。
【0033】
この銅電線14の両端末は、それぞれ絶縁体24を皮剥されて導体22が露出しており、導体一端22aはアルミニウム電線12の導体に、導体他端22bは端子20に接続される。銅電線14を構成する導体22は、単線であっても良いし、複数の素線を撚り合わせてなる撚線であっても良い。導体断面積、絶縁体材料、絶縁体の厚み、電線径などは特に限定されるものではなく、一般的に用いられている銅電線を用いることができる。なお、銅電線14は、アルミニウム電線12と接続されることから、アルミニウム電線12と同じ導体断面積や電線径を有していることが好ましい。
【0034】
端子20は、銅または銅合金よりなる板材を端子の展開形状に打ち抜き加工(プレス加工)後、曲げ加工して得られる。図示するものはいわゆるメス型端子であり、相手側端子と接続される先端側には角筒状に形成された接続部26を有し、この接続部26の基端側には電線を圧着接続するための圧着部28が延設形成されている。圧着部28は、電線導体を圧着接続する一対のワイヤバレル30a、30bと、絶縁体を圧着する一対のインシュレーションバレル32a、32bとを備え、これらをかしめることにより電線端末に接続される。端子20の形状は、特に限定されるものではなく、いわゆるメス型端子、オス型端子のいずれであっても良い。また、一般的に用いられている端子が適用可能である。
【0035】
端子20と銅電線14の端末との接続は、通常行なわれているかしめにより可能である。端子20に接続する電線にアルミニウム電線を用いるのではなく、膨大な性能評価や使用実績により接続信頼性に実績のある銅電線を用いるので、これまでに培われた実績に基づいて信頼性の高い接続が可能になる。また、使用に際してさらに膨大な性能評価や試験等を行なう必要がないので、開発コストを削減でき、コストに優れる。
【0036】
短尺の銅電線14に端子20を接続すると、図3に示す銅線ピッグテール34を形成する。この銅線ピッグテール34とアルミニウム電線12とを接続する。
【0037】
銅線ピッグテール34と接続するアルミニウム電線12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体36に絶縁体38を被覆したもので構成されている。アルミニウム電線12の端末部分は、銅電線14と接続するために絶縁体38を皮剥されており、導体36が露出している。アルミニウム電線12を構成する導体36は、銅電線14と同様、単線であっても良いし、複数の素線を撚り合わせてなる撚線であっても良い。導体断面積、絶縁体材料、絶縁体の厚み、電線径などは特に限定されるものではない。
【0038】
アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとの接続は、超音波溶接や、冷間圧接、ろう接などの接合方法により行なうことができる。アルミニウム電線12と銅電線14とが接続されると、接続部(スプライス部)16が形成される。電線同士の接続になるので、接続構造は単純になる。
【0039】
超音波溶接は、異種金属材料間の超音波溶接に良く用いられる超音波溶接装置を用いて行なうことができる。例えば、図4(a)に示すように、絶縁体(絶縁被覆)38を皮剥して露出させたアルミニウム電線12の導体端末36と、同じく、絶縁被覆24を皮剥して露出させた銅電線14の導体一端22aとをアンビル40上で束ねたところに溶接用のホーン42を当接し、このホーン42を水平方向に振動させることにより行なうことができる。ホーン42が高周波振動するのに伴い、導体22a、36の素線が摩擦により加熱され、素線同士が接合して、図4(b)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとが接続される。
【0040】
超音波溶接方法によれば、溶接前の金属表面に酸化被膜や汚れなどがあっても、初期の振動によりそれらは破壊、飛散されるため、溶接を行なうにあたって特別な表面処理(清浄処理)を省略することもできる。また、異種金属間を容易に接合することができる。また、はんだやろう材のようなフラックスが不要で、簡便な接合ができる。
【0041】
冷間圧接は、電線の導体端末を冷間圧接して電線同士を接続するのに良く用いられる冷間圧接装置を用いて行なうことができる。電線同士を接続する冷間圧接装置には、ハンディタイプのものもある。
【0042】
冷間圧接装置は、例えば、図5(a)に示すように、4つのダイス片44a、44b、44c、44dで構成されるダイス44を備え、ダイス44を挟んで一対のVブロック46a、46bが対向配置され、一対のVブロック46a、46bが対向する方向と直交する電線挿入方向のダイス44を挟んだ両側に、電線を保持するフィンガー48が対向配置されて構成される。4つのダイス片44a、44b、44c、44dは互いに隣接するダイス片との間でスプリングにより連結されており、その反発力により互いに隣接するダイス片は一定の間隔をあけて配置され、ダイス穴50が形成されている。Vブロック46a、46bは対向方向に移動可能で、ダイス44を押圧するようになっている。
【0043】
冷間圧接を行なうには、図5(b)に示すように、まず、絶縁被覆38を皮剥して露出させたアルミニウム電線12の導体端末36と、同じく、絶縁被覆24を皮剥して露出させた銅電線14の導体一端22aとを、ダイス44のダイス穴50に突き合わせて挿入し、フィンガー48でアルミニウム電線12と銅電線14とをそれぞれ保持する。次に、Vブロック46a、46bを対向方向に移動させてダイス44を押圧し、電線挿入方向のダイス穴50で電線導体22a、36を挟持する。このとき、電線挿入方向と直交する方向のダイス穴50は開いた状態にある。
【0044】
引き続きVブロック46a、46bを対向方向に移動させてダイス44をさらに押圧すると、図5(c)に示すように、各ダイス片44a〜44dは、それぞれ当接するVブロック46a、46bの傾斜面52に沿ってスライドし、電線挿入方向と直交する方向のダイス穴50を閉じて、電線導体22a、36の突き合わせ面を圧縮して接合されて、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとが接続される。
【0045】
冷間圧接方法によれば、金属間化合物をほとんど生成しないので、本発明のような異種金属の接合に適している。
【0046】
また、冷間圧接は、冷間圧接装置を用いて電線同士を直接接合する場合だけでなく、導電性の接続部材を用いて行なうこともできる。導電性の接続部材としては、例えば、導電性の帯状部材や、導電性の筒状部材などが挙げられる。
【0047】
帯状部材は、錫めっきされた銅や銅合金などに例示される金属などの導電性薄板材を、アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを束ねるのに適した長さと幅に加工して形成される。帯状部材の厚みは特に限定されるものではないが、接続部分に巻き付けやすい厚みにすると良い。
【0048】
図6(a)〜(c)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを導電性の帯状部材54で束ね、各々の電線の導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着することにより、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続することができる。
【0049】
帯状部材54は、銅電線14の導体22aやアルミニウム電線12の導体36と接する面に、凹凸形状を有していることが好ましい。帯状部材54の表面に凹凸形状が形成されていると、導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着したときに、凹凸形状により導体材料の銅やアルミニウムが塑性変形する。そして、導体材料が塑性変形すると、表面積が拡大し、表面の酸化膜が破れて、清浄な金属表面が露出するようになる。そうすると、電線の素線同士や、電線導体22a、36と導電性の帯状部材54との間で冷間圧接による金属結合形成が促進されやすくなる。これにより、さらに強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。電線導体の塑性変形による清浄金属表面の露出を促進する凹凸形状が潰れないように、帯状部材54には電線導体より硬い材料を用いることが好ましい。その場合、帯状部材54自身の塑性変形や表面酸化膜の破壊が不充分になりやすいので、帯状部材54表面には、軟らかく酸化膜の破壊が容易な錫をめっきすると良い。
【0050】
帯状部材54の表面に形成する凹凸形状としては、例えば、図7(a)に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向と直交する方向となる帯状部材54の長さ方向に沿って複数の条溝56を並行に凹設し、隣り合う条溝の間に凸部58が形成されてなるセレーションを示すことができる。この帯状部材54のA−A断面をみると、図7(b)に示すように、凹部56と凸部58とが繰り返されるいわゆる鋸歯状溝をしている。隣り合う条溝によって形成される凸部58のエッジ部分は、導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着する際に導体素線を切断しない程度の角度や深さに形成されている。
【0051】
また、図8に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向に対して斜め方向に複数の条溝56を並行に凹設したものを示すことができる。さらに、図9に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向に対して斜めの方向と、これと交差する斜めの方向の両方向に、複数の条溝56を並行に凹設して交差した網目状のセレーションを示すことができる。また、図10に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向と直交する方向となる帯状部材54の長さ方向と、長さ方向と直交する幅方向の両方向に、それぞれ複数の条溝56を並行に凹設して交差した網目状のセレーションを示すことができる。
【0052】
電線導体の軸方向に対して斜め方向にセレーションが形成されていると、帯状部材54と導体端末22a、36とをかしめたときに、導体端末22a、36は手で雑巾を絞るかのように長さ方向にねじられながら引き伸ばされるので、大きく塑性変形しやすい。
【0053】
なお、凹凸形状は、条溝でなく、貫通孔とすることもできる。
【0054】
筒状部材は、錫めっきされた銅や銅合金などに例示される金属などの導電性薄板材を円筒状または角筒状に屈曲形成したものや、金属パイプを例示することができる。図11に示すように、筒状部材60には、帯状部材54と同様、銅電線14の導体一端22aやアルミニウム電線12の導体端末36と接する面となる内側面に凹凸形状を有していることが好ましい。
【0055】
図12(a)〜(c)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを、筒状部材60の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末22a、36と筒状部材60とを圧着することにより、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続することができる。
【0056】
条溝や貫通孔の電線導体軸方向と直交する成分は、アルミニウムのクリープや応力緩和による接触抵抗増大を抑制するためにも有効である。金属は一般的に体積をほとんど変えられないので、帯状部材54や筒状部材60と圧着される電線導体は、断面積が縮小する場合、導体軸方向に伸ばされるとともに、導体軸方向に縮もうとする応力が残る。アルミニウムの場合、この応力が経時的に消失して縮もうとしなくなりやすい。帯状部材54や筒状部材60に条溝や貫通孔がない場合や電線導体軸方向と平行な条溝の場合、帯状部材54や筒状部材60だけが電線導体軸方向に縮もうとして、アルミニウム電線導体36から分離しやすくなり、接触荷重や接触面積の減少、分離したアルミニウム電線導体36表面の酸化などによる接触抵抗の増大が起こりやすくなる。条溝や貫通孔の電線導体軸方向と直交する成分には、帯状部材54や筒状部材60とアルミニウム電線導体36の分離を妨げる「かすがい」の働きも期待できる。
【0057】
ろう接を行なう場合には、一般的なろう材を用いて、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続する。ろう材には、溶融温度が450℃以下の軟ろう(はんだ)と、溶融温度が450℃以上の硬ろうとがあり、軟ろう、硬ろうのいずれのろう材を用いても良い。接合する金属のアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金よりも溶融点の低いろう材を用い、これを接合面の間に溶かし、母材を溶融しないようにして、ぬれ現象で接合面にろう材を浸透させて接合する。ろう接によれば、異種金属材料を高精度で接合することができ、接合温度をろう材の溶融温度に合わせて自由に選択することができる。
【0058】
アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとの接続部分(スプライス部)16は異種金属が接触しているところなので、水が存在すると異種金属接触腐食が起こりやすい。そのため、外部から水蒸気などが浸入しないように、絶縁体18で被覆して気密状態にする。電線同士の接続なので、接続部分16の構造は単純である。したがって、端子と電線導体とが異種金属接触している場合において接触部分を覆うために端子のような複雑な形状のものを密封する場合に比較して、接続部分16を絶縁体18で被覆しやすい。
【0059】
アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を被覆する絶縁体18は、チューブ状(円筒状)に形成されており、両電線の絶縁体外径とほぼ同程度の大きさの内径を有する。アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を完全に覆う長さに形成されており、端部はアルミニウム電線12と銅電線14の絶縁被覆38、24外周上に配置される。
【0060】
絶縁体材料としては、例えば、ゴム弾性を有する絶縁性のゴム材料や熱収縮性を有する絶縁性の樹脂材料を用いることができる。絶縁体材料としてゴム弾性材料を用いる場合には、絶縁被覆38、24の外径よりやや小さい内径にして、ゴム弾性を利用してアルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を気密に覆うと良い。また、絶縁体材料として熱収縮性材料を用いる場合には、絶縁被覆38、24の外径よりやや大きい内径にして、アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16をすっぽり覆った後、加熱収縮させて、接続部分16を気密に覆うと良い。気密に被覆しやすいものとして、熱収縮チューブが特に好ましい。
【0061】
絶縁体18は、チューブ状のものに限定されるものではなく、例えば、テープ状に形成された基材の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されたものや、シート状などに形成されたものなどであっても良い。また、絶縁体18の厚みは、特に限定されるものではない。
【0062】
なお、接続順序は、特に限定されない。先に銅電線14とアルミニウム電線12とを接続した後、銅電線14の端末に端子20を接続しても良い。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す模式図である。
【図3】銅線ピッグテールを表す模式図である。
【図4】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、超音波溶接で接続する過程を表す模式図である。
【図5】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、冷間圧接で接続する過程を表す模式図である。
【図6】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、導電性の帯状部材で接続する過程を表す模式図である。
【図7】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図8】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図9】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図10】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図11】筒状部材内面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図12】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、導電性の筒状部材で接続する過程を表す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
10 アルミニウム電線への端子接続構造
12 アルミニウム電線
14 銅電線
16 接続部分(スプライス部)
18 絶縁体
20 端子
22 銅電線の導体
36 アルミニウム電線の導体(端末)
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム電線への端子接続構造に関し、さらに詳しくは、自動車などの車両への配線に好適に用いられるアルミニウム電線への端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両への車内に配線される電線には、導電性や強度などの特性に優れる銅電線が良く用いられている。銅電線は、一般に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなり、電線端末には、機器等に接続するための端子が圧着接続される。
【0003】
近年、地球温暖化対策などとしての燃費向上のための車両軽量化ニーズや、安定供給を保証する豊富な資源量、また、鉄との分離が容易であるなどのリサイクル性に鑑みて、自動車などの車両への車内に配線される電線には、アルミニウムまたはアルミニウム合金を導体材料に用いたアルミニウム電線の使用の要望が高まっている。
【0004】
ところが、アルミニウムは、その表面に酸化被膜が生成しやすく、また、クリープや応力緩和が大きい。そのため、アルミニウム電線を用いると、電線導体と銅または銅合金よりなる端子とで形成する電線圧着部において、接触荷重が経時的に減少しやすくなる。これにより、導体と端子との接触面積が減少して接触抵抗が増大するため、銅電線と同じような方法では接続信頼性の高い圧着接続部を形成することが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題を解決すべく、アルミニウム電線に圧着する圧着端子の形状に関する提案やアルミニウム電線への端子の圧着条件に関する提案などの種々の提案がなされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、アルミニウム電線を圧縮把持するU字状の電線圧着部の内面に凹凸部が形成され、さらに、この電線圧着部の展開幅と板厚との関係を規定した圧着端子が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、アルミニウム電線に圧着する端子のワイヤーバレルによるアルミニウム電線の導体部の圧縮率(減面率)が、圧着部分のアルミニウム電線導体部断面積/圧着前のアルミニウム電線導体部断面積の比率で、50〜70%の範囲内にあるアルミニウム電線への端子圧着構造が開示されている。
【0008】
さらに、特許文献3には、アルミニウム電線に圧着するキャップ状の圧着端子の内側に多数の穴のあいた円筒形状内張りをいれておき、この内張り内部にアルミニウム電線の導体端末を挿入して、導体端末が露出しない状態で、特殊形状の工具で圧着する方法が開示されている。この圧着方法によれば、素線間あるいは電線と端子との間に冷間圧接による金属結合を形成でき、接続信頼性に優れるとされている。
【0009】
【特許文献1】特開昭57−87082号公報
【特許文献2】特開2005−174896号公報
【特許文献3】米国特許第3955044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、銅または銅合金よりなる端子にアルミニウム電線を圧着接続する場合には、異種金属同士が接触するので、アルミニウムの腐食が促進されやすい。すなわち、この接触部分に雨水や結露などの水分が介在すると、局部電池を形成してアルミニウムが陽イオンとして溶出する異種金属接触腐食が進行し、電線圧着部の接触抵抗が増大するという問題があった。
【0011】
特許文献1および特許文献2では、圧着端子とアルミニウム電線との接触部分が露出しており、上述する異種金属接触腐食が進行しやすく、圧着端子とアルミニウム電線との間で高い接続信頼性を確保することが難しくなっている。
【0012】
一方、特許文献3では、アルミニウム電線の導体端末が露出しない状態で圧着端子内に密封されて圧着されているため、異種金属接触腐食の進行は抑えられる。しかしながら、このように導体端末を密封するには、特殊な部品や工具が必要であり、部品の挿入作業も煩雑で、作業性が悪いという問題があった。
【0013】
また、自動車用電線に関しては、これまでに、銅電線用として、用途に合わせて様々な形状や大きさの圧着端子が開発されている。これらは、開発段階の耐久試験を含む膨大な性能評価や実車での長期使用実績によってその接続信頼性を保証している。したがって、電線の導体材料をアルミニウムに替えてこれを端子に直接接続する場合には、電線圧着部について、圧着条件の最適化、接続信頼性の確認、さらには必要に応じて端子の改造などを実施しなければならないことが予想され、膨大な時間とコストを要する。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、異種金属接触腐食の進行を抑え、高い接続信頼性を確保するとともに、作業性に優れ、かつ、安価に構成することが可能なアルミニウム電線への端子接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明に係るアルミニウム電線への端子接続構造は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなるアルミニウム電線の導体端末に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなる短尺の銅電線の導体一端を接続し、当該接続部分を絶縁体で被覆するとともに、前記銅電線の導体他端に、銅または銅合金よりなる端子を圧着接続することを要旨とする。
【0016】
この場合、超音波溶接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0017】
また、冷間圧接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0018】
また、ろう接で、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0019】
さらに、導電性の接続部材を介して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0020】
このとき、導電性の接続部材としては、導電性の帯状部材を好適に示すことができ、前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の帯状部材で束ね、各々の電線の導体端末と前記帯状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0021】
また、導電性の接続部材としては、導電性の筒状部材を好適に示すことができ、前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の筒状部材の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末と前記筒状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に前記銅電線の導体一端を接続することを好適に示すことができる。
【0022】
そして、前記帯状部材もしくは前記筒状部材は、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に、凹凸形状を有していることが望ましい。
【0023】
さらに、前記接続部分を被覆する絶縁体は、熱収縮チューブであることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るアルミニウム電線への端子接続構造は、アルミニウム電線に短尺の銅電線を接続し、アルミニウム電線に接続した銅電線の端末に、銅または銅合金よりなる端子を接続してなる。すなわち、端子には銅電線を圧着するので、電線圧着部において異種金属接触腐食の問題が生じるおそれはない。また、電線圧着部においては、これまでに培われた端子の性能評価や使用実績を活用して、高い接続信頼性を確保することができる。これにともなって、端子圧着部について、圧着条件の最適化、接続信頼性の確認、および端子の改造などによる膨大な時間とコストを削減することが可能になる。さらに、端子の圧着に際し、特殊な部品や工具を必要としないので、作業性も良好である。
【0025】
また、アルミニウム電線と銅電線とを接続しているが、この接続部分を絶縁体で被覆するので、外部から水や水蒸気などが接続部分に浸入するのを防止して、異種金属接触腐食の発生が抑えられる。
【0026】
この場合、アルミニウム電線と銅電線とを接続する電線同士の結線なので、超音波溶接、冷間圧接、ろう接などの異種金属接合技術が容易に適用できる。そして、これらの接合方法により強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。
【0027】
また、電線同士の結線なので、導電性の帯状部材や導電性の筒状部材などの導電性の接続部材を用いても、電線同士を強固に接続することができる。
【0028】
このとき、前記帯状部材もしくは前記筒状部材が、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に凹凸形状を有していると、電線を圧着する際に、導体材料のアルミニウムや銅が凹凸形状により塑性変形され、表面積が拡大し表面の酸化膜が破れ清浄金属表面が露出して、電線の素線同士や、電線導体と導電性の帯状部材もしくは筒状部材との間で冷間圧接による金属結合形成が促進されやすくなる。これにより、さらに強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。
【0029】
そして、電線同士の結線部分の構造はいたって単純なので、熱収縮チューブにより容易に接続部分を気密に被覆することができ、確実に、外部から水や水蒸気などが接続部分に浸入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1および図2は、本発明の第一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す模式図である。図3は、銅電線に端子が接続された銅線ピッグテールを表す模式図である。図4〜図6および図12は、アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを接続する方法の一例を表す模式図である。図7〜図11は、帯状部材表面または筒状部材内面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造10は、アルミニウム電線12の導体端末に短尺の銅電線14の導体一端を接続し、この接続部分16を絶縁体18で被覆し、銅電線14の導体他端に銅または銅合金よりなる端子20を圧着接続したもので構成されている。
【0032】
アルミニウム電線12の導体端末に接続する銅電線14は、銅または銅合金よりなる導体22に絶縁体24を被覆したもので構成されている。銅電線14は短尺のものを用いる。短尺とは、端子20とアルミニウム電線12の両方に接続可能な程度の長さ(両端に接続するのに必要な長さが確保されている長さ)であれば良く、特定の範囲の長さに限られるものではない。とはいっても、アルミニウム電線12に付随するものであることから、付随する程度の長さであれば良い。
【0033】
この銅電線14の両端末は、それぞれ絶縁体24を皮剥されて導体22が露出しており、導体一端22aはアルミニウム電線12の導体に、導体他端22bは端子20に接続される。銅電線14を構成する導体22は、単線であっても良いし、複数の素線を撚り合わせてなる撚線であっても良い。導体断面積、絶縁体材料、絶縁体の厚み、電線径などは特に限定されるものではなく、一般的に用いられている銅電線を用いることができる。なお、銅電線14は、アルミニウム電線12と接続されることから、アルミニウム電線12と同じ導体断面積や電線径を有していることが好ましい。
【0034】
端子20は、銅または銅合金よりなる板材を端子の展開形状に打ち抜き加工(プレス加工)後、曲げ加工して得られる。図示するものはいわゆるメス型端子であり、相手側端子と接続される先端側には角筒状に形成された接続部26を有し、この接続部26の基端側には電線を圧着接続するための圧着部28が延設形成されている。圧着部28は、電線導体を圧着接続する一対のワイヤバレル30a、30bと、絶縁体を圧着する一対のインシュレーションバレル32a、32bとを備え、これらをかしめることにより電線端末に接続される。端子20の形状は、特に限定されるものではなく、いわゆるメス型端子、オス型端子のいずれであっても良い。また、一般的に用いられている端子が適用可能である。
【0035】
端子20と銅電線14の端末との接続は、通常行なわれているかしめにより可能である。端子20に接続する電線にアルミニウム電線を用いるのではなく、膨大な性能評価や使用実績により接続信頼性に実績のある銅電線を用いるので、これまでに培われた実績に基づいて信頼性の高い接続が可能になる。また、使用に際してさらに膨大な性能評価や試験等を行なう必要がないので、開発コストを削減でき、コストに優れる。
【0036】
短尺の銅電線14に端子20を接続すると、図3に示す銅線ピッグテール34を形成する。この銅線ピッグテール34とアルミニウム電線12とを接続する。
【0037】
銅線ピッグテール34と接続するアルミニウム電線12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体36に絶縁体38を被覆したもので構成されている。アルミニウム電線12の端末部分は、銅電線14と接続するために絶縁体38を皮剥されており、導体36が露出している。アルミニウム電線12を構成する導体36は、銅電線14と同様、単線であっても良いし、複数の素線を撚り合わせてなる撚線であっても良い。導体断面積、絶縁体材料、絶縁体の厚み、電線径などは特に限定されるものではない。
【0038】
アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとの接続は、超音波溶接や、冷間圧接、ろう接などの接合方法により行なうことができる。アルミニウム電線12と銅電線14とが接続されると、接続部(スプライス部)16が形成される。電線同士の接続になるので、接続構造は単純になる。
【0039】
超音波溶接は、異種金属材料間の超音波溶接に良く用いられる超音波溶接装置を用いて行なうことができる。例えば、図4(a)に示すように、絶縁体(絶縁被覆)38を皮剥して露出させたアルミニウム電線12の導体端末36と、同じく、絶縁被覆24を皮剥して露出させた銅電線14の導体一端22aとをアンビル40上で束ねたところに溶接用のホーン42を当接し、このホーン42を水平方向に振動させることにより行なうことができる。ホーン42が高周波振動するのに伴い、導体22a、36の素線が摩擦により加熱され、素線同士が接合して、図4(b)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとが接続される。
【0040】
超音波溶接方法によれば、溶接前の金属表面に酸化被膜や汚れなどがあっても、初期の振動によりそれらは破壊、飛散されるため、溶接を行なうにあたって特別な表面処理(清浄処理)を省略することもできる。また、異種金属間を容易に接合することができる。また、はんだやろう材のようなフラックスが不要で、簡便な接合ができる。
【0041】
冷間圧接は、電線の導体端末を冷間圧接して電線同士を接続するのに良く用いられる冷間圧接装置を用いて行なうことができる。電線同士を接続する冷間圧接装置には、ハンディタイプのものもある。
【0042】
冷間圧接装置は、例えば、図5(a)に示すように、4つのダイス片44a、44b、44c、44dで構成されるダイス44を備え、ダイス44を挟んで一対のVブロック46a、46bが対向配置され、一対のVブロック46a、46bが対向する方向と直交する電線挿入方向のダイス44を挟んだ両側に、電線を保持するフィンガー48が対向配置されて構成される。4つのダイス片44a、44b、44c、44dは互いに隣接するダイス片との間でスプリングにより連結されており、その反発力により互いに隣接するダイス片は一定の間隔をあけて配置され、ダイス穴50が形成されている。Vブロック46a、46bは対向方向に移動可能で、ダイス44を押圧するようになっている。
【0043】
冷間圧接を行なうには、図5(b)に示すように、まず、絶縁被覆38を皮剥して露出させたアルミニウム電線12の導体端末36と、同じく、絶縁被覆24を皮剥して露出させた銅電線14の導体一端22aとを、ダイス44のダイス穴50に突き合わせて挿入し、フィンガー48でアルミニウム電線12と銅電線14とをそれぞれ保持する。次に、Vブロック46a、46bを対向方向に移動させてダイス44を押圧し、電線挿入方向のダイス穴50で電線導体22a、36を挟持する。このとき、電線挿入方向と直交する方向のダイス穴50は開いた状態にある。
【0044】
引き続きVブロック46a、46bを対向方向に移動させてダイス44をさらに押圧すると、図5(c)に示すように、各ダイス片44a〜44dは、それぞれ当接するVブロック46a、46bの傾斜面52に沿ってスライドし、電線挿入方向と直交する方向のダイス穴50を閉じて、電線導体22a、36の突き合わせ面を圧縮して接合されて、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとが接続される。
【0045】
冷間圧接方法によれば、金属間化合物をほとんど生成しないので、本発明のような異種金属の接合に適している。
【0046】
また、冷間圧接は、冷間圧接装置を用いて電線同士を直接接合する場合だけでなく、導電性の接続部材を用いて行なうこともできる。導電性の接続部材としては、例えば、導電性の帯状部材や、導電性の筒状部材などが挙げられる。
【0047】
帯状部材は、錫めっきされた銅や銅合金などに例示される金属などの導電性薄板材を、アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを束ねるのに適した長さと幅に加工して形成される。帯状部材の厚みは特に限定されるものではないが、接続部分に巻き付けやすい厚みにすると良い。
【0048】
図6(a)〜(c)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを導電性の帯状部材54で束ね、各々の電線の導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着することにより、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続することができる。
【0049】
帯状部材54は、銅電線14の導体22aやアルミニウム電線12の導体36と接する面に、凹凸形状を有していることが好ましい。帯状部材54の表面に凹凸形状が形成されていると、導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着したときに、凹凸形状により導体材料の銅やアルミニウムが塑性変形する。そして、導体材料が塑性変形すると、表面積が拡大し、表面の酸化膜が破れて、清浄な金属表面が露出するようになる。そうすると、電線の素線同士や、電線導体22a、36と導電性の帯状部材54との間で冷間圧接による金属結合形成が促進されやすくなる。これにより、さらに強度や電気的接続信頼性に優れた接続部を形成することができる。電線導体の塑性変形による清浄金属表面の露出を促進する凹凸形状が潰れないように、帯状部材54には電線導体より硬い材料を用いることが好ましい。その場合、帯状部材54自身の塑性変形や表面酸化膜の破壊が不充分になりやすいので、帯状部材54表面には、軟らかく酸化膜の破壊が容易な錫をめっきすると良い。
【0050】
帯状部材54の表面に形成する凹凸形状としては、例えば、図7(a)に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向と直交する方向となる帯状部材54の長さ方向に沿って複数の条溝56を並行に凹設し、隣り合う条溝の間に凸部58が形成されてなるセレーションを示すことができる。この帯状部材54のA−A断面をみると、図7(b)に示すように、凹部56と凸部58とが繰り返されるいわゆる鋸歯状溝をしている。隣り合う条溝によって形成される凸部58のエッジ部分は、導体端末22a、36と帯状部材54とを圧着する際に導体素線を切断しない程度の角度や深さに形成されている。
【0051】
また、図8に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向に対して斜め方向に複数の条溝56を並行に凹設したものを示すことができる。さらに、図9に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向に対して斜めの方向と、これと交差する斜めの方向の両方向に、複数の条溝56を並行に凹設して交差した網目状のセレーションを示すことができる。また、図10に示すように、帯状部材54により束ねられる電線導体の軸方向と直交する方向となる帯状部材54の長さ方向と、長さ方向と直交する幅方向の両方向に、それぞれ複数の条溝56を並行に凹設して交差した網目状のセレーションを示すことができる。
【0052】
電線導体の軸方向に対して斜め方向にセレーションが形成されていると、帯状部材54と導体端末22a、36とをかしめたときに、導体端末22a、36は手で雑巾を絞るかのように長さ方向にねじられながら引き伸ばされるので、大きく塑性変形しやすい。
【0053】
なお、凹凸形状は、条溝でなく、貫通孔とすることもできる。
【0054】
筒状部材は、錫めっきされた銅や銅合金などに例示される金属などの導電性薄板材を円筒状または角筒状に屈曲形成したものや、金属パイプを例示することができる。図11に示すように、筒状部材60には、帯状部材54と同様、銅電線14の導体一端22aやアルミニウム電線12の導体端末36と接する面となる内側面に凹凸形状を有していることが好ましい。
【0055】
図12(a)〜(c)に示すように、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを、筒状部材60の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末22a、36と筒状部材60とを圧着することにより、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続することができる。
【0056】
条溝や貫通孔の電線導体軸方向と直交する成分は、アルミニウムのクリープや応力緩和による接触抵抗増大を抑制するためにも有効である。金属は一般的に体積をほとんど変えられないので、帯状部材54や筒状部材60と圧着される電線導体は、断面積が縮小する場合、導体軸方向に伸ばされるとともに、導体軸方向に縮もうとする応力が残る。アルミニウムの場合、この応力が経時的に消失して縮もうとしなくなりやすい。帯状部材54や筒状部材60に条溝や貫通孔がない場合や電線導体軸方向と平行な条溝の場合、帯状部材54や筒状部材60だけが電線導体軸方向に縮もうとして、アルミニウム電線導体36から分離しやすくなり、接触荷重や接触面積の減少、分離したアルミニウム電線導体36表面の酸化などによる接触抵抗の増大が起こりやすくなる。条溝や貫通孔の電線導体軸方向と直交する成分には、帯状部材54や筒状部材60とアルミニウム電線導体36の分離を妨げる「かすがい」の働きも期待できる。
【0057】
ろう接を行なう場合には、一般的なろう材を用いて、アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとを接続する。ろう材には、溶融温度が450℃以下の軟ろう(はんだ)と、溶融温度が450℃以上の硬ろうとがあり、軟ろう、硬ろうのいずれのろう材を用いても良い。接合する金属のアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金よりも溶融点の低いろう材を用い、これを接合面の間に溶かし、母材を溶融しないようにして、ぬれ現象で接合面にろう材を浸透させて接合する。ろう接によれば、異種金属材料を高精度で接合することができ、接合温度をろう材の溶融温度に合わせて自由に選択することができる。
【0058】
アルミニウム電線12の導体端末36と銅電線14の導体一端22aとの接続部分(スプライス部)16は異種金属が接触しているところなので、水が存在すると異種金属接触腐食が起こりやすい。そのため、外部から水蒸気などが浸入しないように、絶縁体18で被覆して気密状態にする。電線同士の接続なので、接続部分16の構造は単純である。したがって、端子と電線導体とが異種金属接触している場合において接触部分を覆うために端子のような複雑な形状のものを密封する場合に比較して、接続部分16を絶縁体18で被覆しやすい。
【0059】
アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を被覆する絶縁体18は、チューブ状(円筒状)に形成されており、両電線の絶縁体外径とほぼ同程度の大きさの内径を有する。アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を完全に覆う長さに形成されており、端部はアルミニウム電線12と銅電線14の絶縁被覆38、24外周上に配置される。
【0060】
絶縁体材料としては、例えば、ゴム弾性を有する絶縁性のゴム材料や熱収縮性を有する絶縁性の樹脂材料を用いることができる。絶縁体材料としてゴム弾性材料を用いる場合には、絶縁被覆38、24の外径よりやや小さい内径にして、ゴム弾性を利用してアルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16を気密に覆うと良い。また、絶縁体材料として熱収縮性材料を用いる場合には、絶縁被覆38、24の外径よりやや大きい内径にして、アルミニウム電線12と銅電線14との接続部分16をすっぽり覆った後、加熱収縮させて、接続部分16を気密に覆うと良い。気密に被覆しやすいものとして、熱収縮チューブが特に好ましい。
【0061】
絶縁体18は、チューブ状のものに限定されるものではなく、例えば、テープ状に形成された基材の少なくとも一方の面に粘着剤が塗布されたものや、シート状などに形成されたものなどであっても良い。また、絶縁体18の厚みは、特に限定されるものではない。
【0062】
なお、接続順序は、特に限定されない。先に銅電線14とアルミニウム電線12とを接続した後、銅電線14の端末に端子20を接続しても良い。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアルミニウム電線への端子接続構造を表す模式図である。
【図3】銅線ピッグテールを表す模式図である。
【図4】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、超音波溶接で接続する過程を表す模式図である。
【図5】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、冷間圧接で接続する過程を表す模式図である。
【図6】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、導電性の帯状部材で接続する過程を表す模式図である。
【図7】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図8】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図9】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図10】帯状部材表面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図11】筒状部材内面に形成する凹凸形状の一例を表す模式図である。
【図12】アルミニウム電線の導体端末と銅電線の導体一端とを、導電性の筒状部材で接続する過程を表す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
10 アルミニウム電線への端子接続構造
12 アルミニウム電線
14 銅電線
16 接続部分(スプライス部)
18 絶縁体
20 端子
22 銅電線の導体
36 アルミニウム電線の導体(端末)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなるアルミニウム電線の導体端末に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなる短尺の銅電線の導体一端を接続し、当該接続部分を絶縁体で被覆するとともに、前記銅電線の導体他端に、銅または銅合金よりなる端子を圧着接続することを特徴とするアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項2】
前記アルミニウム電線の導体端末には、超音波溶接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項3】
前記アルミニウム電線の導体端末には、冷間圧接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項4】
前記アルミニウム電線の導体端末には、ろう接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項5】
前記アルミニウム電線の導体端末には、導電性の接続部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項6】
前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の帯状部材で束ね、各々の電線の導体端末と前記帯状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に、前記帯状部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項7】
前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の筒状部材の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末と前記筒状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に、前記筒状部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項8】
前記帯状部材もしくは前記筒状部材は、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に、凹凸形状を有していることを特徴とする請求項6または7に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項9】
前記接続部分を被覆する絶縁体は、熱収縮チューブであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項1】
アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなるアルミニウム電線の導体端末に、銅または銅合金よりなる導体に絶縁体を被覆してなる短尺の銅電線の導体一端を接続し、当該接続部分を絶縁体で被覆するとともに、前記銅電線の導体他端に、銅または銅合金よりなる端子を圧着接続することを特徴とするアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項2】
前記アルミニウム電線の導体端末には、超音波溶接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項3】
前記アルミニウム電線の導体端末には、冷間圧接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項4】
前記アルミニウム電線の導体端末には、ろう接で、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項5】
前記アルミニウム電線の導体端末には、導電性の接続部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項6】
前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の帯状部材で束ね、各々の電線の導体端末と前記帯状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に、前記帯状部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項7】
前記アルミニウム電線の導体端末と前記銅電線の導体一端とを導電性の筒状部材の両端からそれぞれ挿入して突き合わせて配置し、各々の電線の導体端末と前記筒状部材とを圧着して、前記アルミニウム電線の導体端末に、前記筒状部材を介して、前記銅電線の導体一端を接続することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項8】
前記帯状部材もしくは前記筒状部材は、前記銅電線の導体および前記アルミニウム電線の導体と接する面に、凹凸形状を有していることを特徴とする請求項6または7に記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【請求項9】
前記接続部分を被覆する絶縁体は、熱収縮チューブであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のアルミニウム電線への端子接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−9736(P2009−9736A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167677(P2007−167677)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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