説明

アルミニウム顔料組成物の製造方法、それにより得られるアルミニウム顔料組成物およびそれを含む塗料組成物

【課題】本発明は、水性塗料に使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ないアルミニウム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】原料鱗片状アルミニウムフレークを、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から10重量部の有機モリブデン化合物で処理することによって有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を製造する方法であって、該原料鱗片状アルミニウムフレークが含有する有機溶剤可溶不揮発性成分が、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下であることを特徴とする、上記アルミニウム顔料組成物の製造方法、それにより得られるアルミニウム顔料組成物、およびそれを含む塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミニウム顔料組成物の製造方法、特に水性塗料に適する有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法、それにより得られる有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物、および塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤を極めて少量しか含まないか、あるいは全く含まない水性塗料を使用することが益々多くなってきている。また、水性塗料の目覚ましい技術的進歩により、従来、溶剤型塗料でしか達し得なかった高級な仕上がり外観が、水性塗料でも実現可能な状況になってきた。
しかし、アルミニウムや亜鉛等の金属顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の例は少ない。この理由として、金属顔料は水性塗料中で腐食しやすいという点がある。水性塗料中に金属顔料が存在する場合には、各種金属の性質に基づいて、酸性、中性、塩基性のいずれか、あるいは複数の領域において水による腐食が起こり、水素ガスが発生する。これは塗料メーカーにおける塗料化工程や、自動車、家電、工業塗装メーカーにおける塗装工程において、安全上極めて重大な問題である。なお、以下では水や水性塗料中における金属顔料の耐腐食性を、「貯蔵安定性」と記載する。
特許文献1では、モリブデン酸被膜で被覆した粒子構造を有するアルミニウムフレークを含有する水性アルミニウム顔料が、特許文献2では、過酸化ポリモリブデン酸から誘導される被膜が形成され、かつアミンを含有しているアルミニウム顔料が開示されている。しかしこれらの先行文献に記載の方法においても、アルミニウム顔料の色調低下は避けられない。特許文献3では、有機モリブデン化合物と金属顔料とを含有する金属顔料組成物が開示されており、原料として市販のアルミニウム顔料を用いたためか、色調の低下は見られないものの、塗料の貯蔵安定性がやや不十分である。
【特許文献1】特表平6−57171号公報
【特許文献2】国際公開第2002/031061号パンフレット
【特許文献3】特開2007−169613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の欠点を克服したアルミニウム組成物を提供すること、すなわち水性塗料に使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ないアルミニウム顔料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、原料として有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量がアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下の鱗片状アルミニウムフレークを用いることにより、優れた貯蔵安定性と、優れた色調を両立し得るアルミニウム顔料組成物を得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここでいう有機溶剤可溶不揮発性成分とは、原料である鱗片状アルミニウムフレークを50重量倍のクロロホルム中で攪拌洗浄し、ろ過によりアルミニウム金属成分を除去した抽出液をエバポレーター(湯浴25℃)で濃縮した後の残渣不揮発成分を言う。
【0005】
即ち、本発明は下記の通りである。
(1)原料鱗片状アルミニウムフレークを、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から10重量部の有機モリブデン化合物で処理することによって有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を製造する方法であって、該原料鱗片状アルミニウムフレークが含有する有機溶剤可溶不揮発性成分が、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下であることを特徴とする、上記製造方法。
(2)原料鱗片状アルミニウムフレークの平均粒径(d50)が2から40μm、平均厚み(t)が0.01から2μm、平均アスペクト比(平均厚み(t)に対する平均粒径(d50)の比)が10から2500である(1)に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
(3)有機モリブデン化合物が、モリブデン酸アミン塩、下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である(1)もしくは(2)に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【化1】

(式中、R1は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化2】

(式中、R2は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
(4)モリブデン酸アミン塩のアミンが、下記一般式(6)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種である(3)に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【化3】

(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、または窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、またはR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成することができる。nは1から2の数を表す。)
(5)有機モリブデン化合物での処理と同時またはその後に、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.1から5重量部の、炭素原子数1から40のカルボン酸から選ばれる少なくとも1種を添加する(1)から(4)のいずれか一つに記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
(6)有機モリブデン化合物での処理と同時またはその後に、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から20重量部の、無機リン酸もしくはその塩、及び、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩から選ばれる少なくとも1種で処理する(1)から(5)のいずれか一つに記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
(7)更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から5重量部含有する(1)〜(6)のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
(8)更に界面活性剤を原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から30重量部含有する(1)〜(7)のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
(9)(1)から(8)のいずれか一つに記載された製造方法により得られる有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物。
(10)(9)に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を含む塗料組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明のアルミニウム顔料組成物を、水性塗料に用いた場合、塗料の良好な貯蔵安定性と、光輝性、隠蔽性、およびフリップフロップの優れた塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に、詳細に説明する。
本発明に用いるアルミニウムフレークとしては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック顔料用に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。形状としては、鱗片状のものが好ましい。アルミニウムフレークについて例示すると、平均粒径(d50)が2から40μmであり、平均厚み(t)が0.01から2μmの範囲であることが好ましく、平均アスペクト比が10から2500の範囲であることが好ましい。ここで、平均粒径(d50)は、レーザー法(LMS−24;セイシン企画株式会社製)により求められる。平均厚み(t)は、測定により得られたアルミニウム金属成分1g当たりの水面拡散面積WCA(m/g)を用いて下記式により算出した値である。
t=0.4/WCA
上記した平均厚みの算出方法は、例えば、Aluminium Paint and Powder,J.D.Edwards & R.I.Wray著、第3版、Reinhold Publishing Corp.New York(1955)の第16から22頁に記載されている。水面拡散面積は、一定の予備処理を行ったのち、JIS K 5906:1998に従って求める。なお、JISに記載されている水面拡散面積の測定方法はリーフィングタイプの場合のものであるのに対し、本発明のアルミニウム顔料はノンリーフィングタイプである。しかし、本発明における水面拡散面積の測定方法は、試料を5%ステアリン酸のミネラルスピリット溶液で予備処理を行う以外は、全てJIS K 5906:1998に記載のリーフィングタイプの場合と同様である。試料の予備処理については、塗料原料時報、第156号、第2から16頁(1980.9.1旭化成工業株式会社発行)に記載されている。平均アスペクト比は、アルミニウムフレークの平均粒径(d50)を平均厚み(t)で割った値である。また、アルミニウムフレークが含有する有機溶剤可溶不揮発性成分は、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下、好ましくは0.6重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。ここでいう有機溶剤可溶不揮発性成分とは、原料である鱗片状アルミニウムフレークを50重量倍のクロロホルム中で攪拌洗浄し、ろ過によりアルミニウム金属成分を除去した抽出液をエバポレーター(湯浴25℃)で濃縮した後の残渣不揮発成分を言う。
【0008】
本発明に用いるアルミニウムフレークは、原料アルミニウム粉末を、ステアリン酸やオレイン酸などの飽和もしくは不飽和脂肪酸、脂肪族アミンまたはその他の脂肪酸誘導体を表面処理剤として湿式ボールミル、アトライター等で粉砕して得られる。原料アルミニウム粉末はアトマイズ法により得られるアトマイズ粉、アルミ箔等から得られる箔粉、箔クズ等があり、好ましくは100μm以下の粒子径、更に好ましくは20μm以下の粒子径のものである。又、アルミニウム以外の不純物が少ないものが好ましく、アルミニウムの純度として99.0%以上が好ましい。更に好ましくは99.5%以上である。
【0009】
磨砕助剤としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸等の高級不飽和脂肪酸、ステアリンアミン等の高級脂肪族アミン、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級脂肪族アルコール、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ステアリン酸アルミ、オレイン酸アルミ等の高級脂肪酸金属塩等が挙げられ、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.2から10重量部使用することが好ましい。より好ましくは0.5から5重量部である。
磨砕溶剤としては、ミネラルスプリット、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶剤やアルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系等の溶剤も使用できる。
【0010】
磨砕ボールは、磨砕力を適切にする上で鋼球、ステンレス球、ガラス球、アルミナ球等がよいが、磨砕ボールの比重により適当な径を選択でき、又、径の異なる2種以上の磨砕ボールを混合して使用してもよい。片状化されたアルミニウムフレークは、スラリーで媒体攪拌ミルから取り出される目的に応じた湿式スクリーンにて粗粒子が取り除かれる。更に余分な溶剤分をフィルタープレス等の濾過機にて取り除き、フィルタープレスケーキ(FPC)と呼ばれるアルミニウムフレークが得られる。得られたFPCの有機溶剤可溶不揮発性成分は、通常、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下である。FPCには、通常、顔料の凝集を防止する役割を果たす目的でオレイン酸、ベヘニン酸、アラキン酸、ステアリン酸、バルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸等の脂肪酸やこれらの金属塩、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の脂肪族アミン、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の脂肪族アルコール、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪族酸アミド等の脂肪酸誘導体の少なくとも1種または2種以上を更に添加し、安定性の高い商品(アルミニウムペースト)として市場に供される。
この更に添加される脂肪酸誘導体の量は原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、通常0.2から5重量部程度であり、一般的にアルミニウムペーストでは有機溶剤可溶不揮発性成分は原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.7重量部以上である。
【0011】
本願発明では、かかる市販アルミニウムペーストの常識に反し、例えば上記FPCの如き安定性不良とされる、有機溶剤可溶不揮発成分の少ない鱗片状アルミニウムフレークを原料として用いることにより有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の貯蔵安定性と光輝性の両立が達成される。
また、平均粒径(d50)が3から30μm、平均厚み(t)が5から50nmのいわゆるアルミニウム蒸着箔も原料として使用可能である。
【0012】
本発明に用いる有機モリブデン化合物は、例えば潤滑油添加剤として用いられているものに代表される。特に好適な化合物は、モリブデン酸アミン塩である。
本発明に用いるモリブデン酸アミン塩のアミンとしては、下記一般式(7)で表され、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、トリデシルアミン、ステアリルアミンのような直鎖一級アミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、分岐トリデシルアミンのような分岐一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジトリデシルアミン、ジステアリルアミンのような直鎖二級アミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、分岐ジトリデシルアミンのような分岐二級アミン、メチル・ブチルアミン、エチル・ブチルアミン、エチル・ヘキシルアミン、エチル・ラウリルアミン、エチル・ステアリルアミン、イソプロピル・オクチルアミン、イソブチル・2−エチルヘキシルアミンのような非対称二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミンのような直鎖三級アミン、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−2−エチルヘキシルアミン、分岐トリトリデシルアミンのような分岐三級アミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジエチルラウリルアミンのような混合炭化水素基を有する三級アミンなどの他に、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミンなどアルケニル基をもつアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環一級アミン、ベンジルアミン、4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ一級アミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ−2−メチルシクロヘキシルアミンのような脂環二級アミン、ジベンジルアミン、ジ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ二級アミン、シクロヘキシル・2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシル・ベンジルアミン、ステアリル・ベンジルアミン、2−エチルヘキシル・ベンジルアミンのような非対称二級アミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミンのような脂環三級アミン、トリベンジルアミン、トリ−4−メチルベンジルアミンのような芳香環置換基を持つ三級アミン、モルホリン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ブトキシプロピルアミン、3−デシルオキシプロピルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノプロパノールアミン、ブタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−イソプロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシル−N−メチルアミノエタノール、N−ベンジル−N−プロピルアミノエタノール、またはN−ヒドロキシエチルピロリジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、N−ヒドロキシエチルモルホリン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン、N−デシル−1,3−プロパンジアミン、N−イソトリデシル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メトキシフェニルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等もしくはこれらの混合物が例示される。
【0013】
これらの中で特に好ましい例としては、ステアリルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、直鎖または分岐ジトリデシルアミン、ジステアリルアミン、直鎖または分岐トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン、モルホリン、3−エトキシプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【化4】

(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、または窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、またはR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成することができる。nは1から2の数を表す。)
【0014】
また、有機モリブデン化合物のうち、下記一般式(8)、下記一般式(9)で表され、下記一般式(10)のようなMoDTP(モリブデンジチオフォスフェート)類、下記一般式(11)のようなMoDTC(モリブデンジチオカーバメート)類等が例示される。
【化5】

(式中、R1は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化6】

(式中、R2は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化7】

(式中、R6は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよい。)
【化8】

(式中、R7は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよい。)
【0015】
ここで、式(8)、(9)、(10)、(11)中の有機基R1、R2、R6、R7は炭化水素基であり、これら炭化水素基は例えばヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合等を任意に含むことができる。特に、モリブデン酸アミン塩と、R7が炭素数1から24の炭化水素基であるMoDTCとの組み合わせが好ましい。
また、式(10)、(11)で表される化合物としては、MoDTP(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカサクラルーブ300」)、MoDTC(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカサクラルーブ165」)等を用いることができる。
【0016】
本発明に用いるカルボン酸としては、下記一般式(12)で表され、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸、パルミトイル酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、イコサジエン酸、イコサトリエン酸、イコサテトラエン酸、ネルボン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の不飽和脂肪酸、ダイマー酸等の重合脂肪酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸などの脂式ジカルボン酸、安息香酸、ジメチル安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸等もしくはこれらの混合物が例示される。これらの中で特に好ましい例としては、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ダイマー酸、安息香酸、ジメチル安息香酸等が挙げられる。
【化9】

(式中、R8は炭素原子数1から40の、任意に分岐鎖、不飽和結合、環状構造、水酸基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基を含んでもよい炭化水素基である。)
【0017】
本発明に用いる無機リン酸の例としては、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、ラウリルリン酸、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸等があげられる。この中でも特に、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸、亜リン酸が好ましい。
本発明に用いる無機リン酸塩の塩を構成する物質としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどの金属、アンモニア、下記一般式(13)で表されるアミンなどが挙げられる。これらのアミンの中で特に好ましい例としては、アンモニア、モルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【化10】

(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、または窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、またはR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成することができる。nは1から2の数を表す。)
【0018】
本発明に用いる酸性有機リン酸エステル又は酸性有機亜リン酸エステル(以下、「酸性有機(亜)リン酸エステル」と呼ぶ。)としては、下記一般式(14)で表され、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアシッドホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリオレイルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジエチルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等のそれぞれのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が例示される。これら酸性有機(亜)リン酸エステルの中に、非置換無機リン酸及び/または酸性を示さないトリエステルが一部含まれていてもよい。これらの中で特に好ましい例としては、オクチルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ジラウリルハイドロゲンホスファイトのモノエステル、ジエステルまたはそれらの混合物が例示される。
【化11】

(式中、R9、R10およびR11は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数4から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基を含んでもよい炭化水素基であり、R9、R10、R11のうち少なくとも1つは水素原子であり、かつR9、R10、R11の炭素原子数の合計は4以上である。mは0または1の数を表す。)
【0019】
本発明に用いる酸性有機(亜)リン酸エステル塩の塩を構成する物質としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガンなどの金属、アンモニウム、下記一般式(15)で表されるアミンなどが挙げられる。これらのアミンの中で特に好ましい例としては、モルホリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【化12】

(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、または窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、またはR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成することができる。nは1から2の数を表す。)
【0020】
また、本発明に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物に代表される。好適な化合物としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4エチル−フェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−s−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ3’5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジメチレン−ビス−(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[2−t−ブチル−4−メチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタラート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジおよびトリ−チオビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ3',5'−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、カルシウム(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルモノエチルホスフォネート)、アルキル化ビスフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ブチル酸,3,3−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、トリフェニルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス−(モノ&ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4'−ビフェニレンジホスフォナイト、4,4'−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)ホスファイト、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニルホスファイト、フェニル−ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、てとらふぇにるジプロピレングリコールジホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、ジアルキルジチオりん酸亜鉛(ZnDTP)、3,4,5,6−ジベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスファイト−ジエチルエステル、水素添加ビスフェノールAホスファイトポリマー、ジラウリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル(DLTTDP)、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル(DMTDP)、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)、ラウリルステアリル−3,3'−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(β−ラウリル−チオプロピオネート)エステル、ステアリルチオプロピオンアミド、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、ジオクタデシルジスルフィド、2−メルカプトンベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1'−チオビス(2−ナフトール)等が例示される。
【0021】
光安定剤としては、先述した酸化防止剤として使用されるものもあるが、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、ヒンダードフェノール系化合物に代表される。好適な化合物としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、3'',4'',2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−t−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−ドデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3'',4'',5'',6''−テトラフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、4−(2−アクリロイロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンのポリマー、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノンと他の4置換ベンゾフェノンとの混合品、フェニルサリチレート、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−n−ヘキサデシルエステル、4−t−ブチルフェニルサリチレート、4−t−オクチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンゾエート、エチル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート、2−エチルヘキシル(β,β−ジフェニル)シアノアクリレート、2−エトキシ−2'−エチル蓚酸ビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチル蓚酸ビスアニリド、蓚酸アニリド誘導体、インドール系、アゾメチン系、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、[4−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニル]−N−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,1'−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジンオン)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−[N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]]、ポリ[6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ−ヘキサメチレン][2,2,6,6−テトラメチルピペリジルイミノ]]、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β',β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1',1'−テトラメチル−4,4'−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ジセミカルバジド等が挙げられる。
【0022】
重合禁止剤としては、フェノール類、キノン類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、アミン類、スルフィド類に代表される。好適な化合物としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、モノ−tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール、p−メトキシフェノール、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−m−クレゾール、ピロガロール、β−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール等のフェノール類、ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノンなどのキノン類;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ニトロベンゼンスルホン酸化合物、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン、α−フェニル−tert−ブチルニトロン、5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシドなどのニトロ化合物又はニトロソ化合物;クロラニル−アミン、ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジン、フェノール−α−ナフチルアミン、ピリジン、フェノチアジンなどのアミン類;ジチオベンゾイルスルフィド、ジベンジルテトラスルフィドなどのスルフィド類等が挙げられる。
【0023】
本発明に使用される界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライドなどのグリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤。ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウムなどの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、アルキルリン酸カリウムなどのリン酸エステル塩に代表される陰イオン性界面活性剤。ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられ、これらから選ばれた1種もしくは2種以上が使用できる。これらの中で特に好ましい例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルまたはそれらの混合物が例示される。
【0024】
本発明に使用される有機モリブデン化合物は、アルミニウムフレークに溶剤を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。また、有機モリブデン化合物は、アルミニウムフレークにそのまま加えてもよいし、溶剤で希釈して加えてもよいが、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0025】
本発明に使用されるカルボン酸は、アルミニウムフレークに溶剤を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらはアルミニウムフレークを有機モリブデン化合物で処理した後に添加してもよいし、有機モリブデン化合物と同時に添加してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0026】
本発明に使用される無機リン酸もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類は、アルミニウムフレークに溶剤を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらはアルミニウムフレークを有機モリブデン化合物で処理した後に添加してもよいし、有機モリブデン化合物と同時に添加してもよいが、有機モリブデン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0027】
本発明に使用される酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤は、アルミニウムフレークに溶剤を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらはアルミニウムフレークを有機モリブデン化合物で処理した後に添加してもよいし、有機モリブデン化合物と同時に添加してもよいが、有機モリブデン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、アルミニウム顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料に配合する際に添加してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0028】
本発明に使用される界面活性剤は、アルミニウムフレークに溶剤を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶剤の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。これらはアルミニウムフレークを有機モリブデン化合物で処理した後に添加してもよいし、有機モリブデン化合物と同時に添加してもよいが、有機モリブデン化合物で処理した後に添加する方が好ましい。また、アルミニウム顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料に配合する際に添加してもよい。また、均一な混合状態を得るためには、溶剤や鉱油等であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶剤等は、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン等の炭化水素溶剤、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の工業用ガソリン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、鉱物油等が挙げられる。
【0029】
本発明のアルミニウム顔料組成物調製の際に用いられる溶剤は、親水性溶剤でも疎水性溶剤でもよい。親水性溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、及びそのエステル類、プロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類などが挙げられる。また、疎水性溶剤としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS、HAWS、トルエン、キシレン等が挙げられる。更には酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類も使用可能である。これらを単独または混合して使用することができる。
スラリー状態で調製する場合は、アルミニウムフレークのスラリー中濃度は1から50重量%、好ましくは10から30重量%の状態で行い、ペースト状態で混練する場合は、アルミニウムフレークの濃度は50から95重量%、好ましくは60から85重量%の状態で行う。
【0030】
有機モリブデン化合物は、アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.01から10重量部、好ましくは0.01から5重量部添加する。これらは予め溶剤や鉱油に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
カルボン酸は、アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.1から10重量部、好ましくは0.1から5重量部添加する。これらは予め溶剤や鉱油に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0031】
無機リン酸もしくはその塩類、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類は、アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.01から20重量部、好ましくは0.01から10重量部添加する。これらは予め溶剤や鉱油に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤は、アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.01から10重量部、好ましくは0.01から5重量部添加する。これらは予め溶剤や鉱油に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
【0032】
界面活性剤は、アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.01から30重量部、好ましくは0.01から20重量部添加する。これらは予め溶剤や鉱油に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
これらを添加する順序に特に制限は無いが、アルミニウムフレークを有機モリブデン化合物で処理すると同時またはその後に、カルボン酸、無機リン酸もしくはその塩類、または酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩類を添加し、最後に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤、界面活性剤を添加することが好ましい。酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤と界面活性剤は、アルミニウム顔料組成物を、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料に配合する際に添加してもよい。
この混合物は10から160℃、好ましくは20から120℃の温度で10分から72時間、好ましくは20分から48時間の範囲で攪拌混合する。溶剤が多い場合は除去し、最終の金属顔料含量を所望の40から90%とする。得られた金属顔料組成物は40℃から120℃、好ましくは50℃から110℃で6時間から3ヶ月間、好ましくは1日から30日間の間エージングさせてもよい。
【0033】
本発明によって得られるアルミニウム顔料組成物は、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料に加えることによりメタリック水性塗料とすることができる。アルミニウム顔料組成物は、そのまま水性塗料に加えてもよいが、予め溶剤に分散させてから加える方が好ましい。使用する溶剤としては、テキサノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。また、これらの樹脂類としては例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類などが挙げられる。
【0034】
アクリル樹脂類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)クリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド類、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p−スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等のその他の重合性モノマー類等から選ばれた単独または混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
【0035】
ポリエステル樹脂類としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、低分子量ポリオール、ジオール類としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどがあり、トリオール類としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどがあり、テトラオール類としては、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステル樹脂類及び例えば低分子量ポリオールの水酸基にε−カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0036】
ポリエーテルポリオール類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和する事ができる。
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第3級アミンである(?)トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の実施例を示す。
[製造例1]
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径6μm)250g、ミネラルスピリット1.2kg、及び、オレイン酸25gからなる配合物を充填し、直径3mmのガラスビーズ(比重2.6)15kgを用い、60rpmで10時間摩砕した。
磨砕終了後、ミル内のスラリーを除し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、不揮発分80%のアルミニウムフレークを得た。得られたアルミニウムフレークの平均粒径(d50)は14μm、平均厚み(t)は0.3μm、アスペクト比は47であり、有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して0.2重量部であった。
[製造例2]
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径4μm)250g、ミネラルスピリット1.2kg、及び、オレイン酸25gからなる配合物を充填し、直径1.5mmのガラスビーズ(比重2.6)15kgを用い、60rpmで15時間摩砕した。
磨砕終了後、ミル内のスラリーを除し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、不揮発分82%のアルミニウムフレークを得た。得られたアルミニウムフレークの平均粒径(d50)は11μm、平均厚み(t)は0.2μm、アスペクト比は70であり、有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して0.3重量部であった。
[製造例3]
内径30cm、長さ35cmのボールミル内に、アトマイズドアルミニウム粉(平均粒径8μm)250g、ミネラルスピリット1.6kg、及び、オレイン酸50gからなる配合物を充填し、直径2mmのガラスビーズ(比重2.6)7.5kgを用い、60rpmで10時間摩砕した。
磨砕終了後、ミル内のスラリーを除し、400メッシュの振動篩にかけ、通過したスラリーをフィルターで濾過、濃縮し、不揮発分81%のアルミニウムフレークを得た。得られたアルミニウムフレークの平均粒径(d50)は18μm、平均厚み(t)は0.4μm、アスペクト比は45であり、有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して0.5重量部であった。
【0038】
[実施例1]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸モノオクチルアミン塩を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.3重量部となるように添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.5%であった。
[実施例2]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部となるように添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.0%であった。
[実施例3]
製造例2で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸ジステアリルアミン塩を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.6重量部となるように添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、73.8%であった。
[実施例4]
製造例3で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸ジトリデシルアミン塩とMoDTC(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカサクラルーブ165」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ1.0重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、73.8%であった。
[実施例5]
製造例3で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸ジトリデシルアミン塩とMoDTP(旭電化工業株式会社製、商品名「アデカサクラルーブ300」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ1.0重量部、0.1重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.0%であった。
[実施例6]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩とオレイン酸を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.4重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.2%であった。
[実施例7]
製造例3で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸モノオクチルアミン塩とステアリン酸を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.4重量部、1.0重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.0%であった。
[実施例8]
実施例1で得られたアルミニウム顔料組成物135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、7.0重量部のリン酸を添加し、70℃で6時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分70%の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例9]
実施例1で得られたアルミニウム顔料組成物135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、3.0重量部のリン酸トリエタノールアミン塩を添加し、70℃で6時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分72%の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例10]
実施例2で得られたアルミニウム顔料組成物135gにミネラルスピリットを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部のトリデシルアシッドホスフェート(東邦化学工業株式会社製、商品名「GF−185」)を添加し、40℃で6時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分77.5%の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例11]
実施例2で得られたアルミニウム顔料組成物135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、5.0重量部のジラウリルハイドロゲンホスファイト(城北化学工業株式会社製、商品名「JP−212」)を添加し、40℃で6時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分60%の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例12]
実施例3で得られたアルミニウム顔料組成物135gに該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、10.0重量部のトリデシルアシッドホスフェートのモルフォリン塩を添加し、70℃で6時間攪拌した。
[実施例13]
実施例6で得られたアルミニウム顔料組成物135gにミネラルスピリットを465g加えスラリー状態とし、該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部のトリデシルアシッドホスフェート(東邦化学工業株式会社製、商品名「GF−185」)を添加し、40℃で6時間攪拌した。その後濾過し、不揮発分77.5%の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例14]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩と2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.4重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、73.7%であった。
[実施例15]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩とオレイン酸と、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ0.4重量部、0.5重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、74.0%であった。
[実施例16]
実施例15で得られたアルミニウム顔料組成物135gに、ニトロ化合物(日本化薬株式会社製、商品名「POLYMINE L NEW」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部添加した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、75.0%であった。
[実施例17]
実施例15で得られたアルミニウム顔料組成物135gに、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部添加した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、75.0%であった。
[実施例18]
実施例10で得られたアルミニウム顔料組成物135gに、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」)を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部添加した。得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の不揮発分は、75.0%であった。
【0039】
[比較例1]
製造例3で得られたアルミニウムフレーク123gに、ステアリン酸を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌し、不揮発分74.2%のアルミニウム顔料組成物を得た。得られたアルミニウム顔料組成物の有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して1.7重量部であった。
このアルミニウム顔料組成物に対し、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩を該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.4重量部添加し、更に70℃で6時間攪拌した。
[比較例2]
製造例1で得られたアルミニウムフレーク125gに、オレイン酸を、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、1.0重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌し、不揮発分74%のアルミニウム顔料組成物を得た。得られたアルミニウム顔料組成物の有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して1.5重量部であった。
このアルミニウム顔料組成物に対し、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩を該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.4重量部添加し、更に70℃で6時間攪拌した。
[比較例3]
製造例2で得られたアルミニウムフレーク122gに、オレイン酸と、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを、該アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ1.0重量部、0.5重量部添加し、所定量のソルベントナフサと共に70℃で6時間攪拌し、不揮発分74.2%のアルミニウム顔料組成物を得た。得られたアルミニウム顔料組成物の有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量は、アルミニウム金属成分100重量部に対して1.9重量部であった。
このアルミニウム顔料組成物に対し、モリブデン酸分岐ジトリデシルアミン塩を該アルミニウム顔料組成物中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.4重量部添加し、更に70℃で6時間攪拌した。
[比較例4]
市販のアルミペーストGX−3100(平均粒径(d50):10.5μm、平均厚み(t):0.2μm、アスペクト比:72、有機溶剤可溶不揮発性成分の含有量:アルミニウム金属成分100重量部に対し1.0重量部)に対し、モリブデン酸モノオクチルアミン塩を該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.3重量部添加し、更に70℃で6時間攪拌した。
【0040】
[実施例19から21]
[比較例5]
実施例4、5、7で得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物、および比較例1で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を作製した。そして、これらをそれぞれ、実施例19から21及び比較例5とした。
[水性メタリック塗料の調整]
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#300」):175g
増粘剤(共栄社化学株式会社製、商品名「チクゾールK−130B」):5.0g
作製した水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
[評価1(貯蔵安定性評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で168時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○:1.0ml未満
△:1.0以上5.0ml未満
×:5.0ml以上
[評価2(塗膜の色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感、隠蔽性、粒子感の評価を行った。
輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と−35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例5より10以上高いもの
○:比較例5との差異が10未満のもの
×:比較例5より10以上低いもの
フリップフロップ感は、スガ試験機株式会社製の変角測色計を用いて評価した。入射角45度の光源に対して観察角度(受光角)30度と80度における反射光強度(L値)の対数の傾きからF/F値を求めた。F/F値は、金属顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフリップフロップ感の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例5より0.05以上高いもの
○:比較例5との差異が0.05未満のもの
×:比較例5より0.05以上低いもの
隠蔽性は、目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例5より良好なもの
○:比較例5との差異が僅かなもの
×:比較例5より劣るもの
評価1、2の結果を表1に示す。
【表1】

【0041】
[実施例22から34]
[比較例6]
実施例1、2、6、8から11、13から18で得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物、および比較例2で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を作製した。そして、これらをそれぞれ、実施例22から34及び比較例6とした。
[水性メタリック塗料の調整]
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#300」):175g
増粘剤(共栄社化学株式会社製、商品名「チクゾールK−130B」):5.0g
作製した水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
[評価1(貯蔵安定性評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で168時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○:1.0ml未満
△:1.0以上5.0ml未満
×:5.0ml以上
[評価2(塗膜の色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感、隠蔽性、粒子感の評価を行った。
輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と−35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例6より10以上高いもの
○:比較例6との差異が10未満のもの
×:比較例6より10以上低いもの
フリップフロップ感は、スガ試験機株式会社製の変角測色計を用いて評価した。入射角45度の光源に対して観察角度(受光角)30度と80度における反射光強度(L値)の対数の傾きからF/F値を求めた。F/F値は、金属顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフリップフロップ感の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例6より0.05以上高いもの
○:比較例6との差異が0.05未満のもの
×:比較例6より0.05以上低いもの
隠蔽性は、目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例6より良好なもの
○:比較例6との差異が僅かなもの
×:比較例6より劣るもの
評価1、2の結果を表2に示す。
【表2】

【0042】
[実施例35、36]
[比較例7、8]
実施例3、12で得られた有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物、および比較例3、4で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を作製した。そして、これらをそれぞれ、実施例35、36及び比較例7、8とした。
[水性メタリック塗料の調整]
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#300」):175g
増粘剤(共栄社化学株式会社製、商品名「チクゾールK−130B」):5.0g
作製した水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
[評価1(貯蔵安定性評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で168時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○:1.0ml未満
△:1.0以上5.0ml未満
×:5.0ml以上
[評価2(塗膜の色調評価)]
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感、隠蔽性、粒子感の評価を行った。
輝度は、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR−200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と−35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角−35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例7より10以上高いもの
○:比較例7との差異が10未満のもの
×:比較例7より10以上低いもの
フリップフロップ感は、スガ試験機株式会社製の変角測色計を用いて評価した。入射角45度の光源に対して観察角度(受光角)30度と80度における反射光強度(L値)の対数の傾きからF/F値を求めた。F/F値は、金属顔料の配向度合いに比例するパラメーターであり、顔料のフリップフロップ感の大小を表す。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例7より0.05以上高いもの
○:比較例7との差異が0.05未満のもの
×:比較例7より0.05以上低いもの
隠蔽性は、目視で観察した。判定方法は以下の通りである。
◎:比較例7より良好なもの
○:比較例7との差異が僅かなもの
×:比較例7より劣るもの
評価1、2の結果を表3に示す。
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、水性塗料や水性インキに使用可能で塗料の貯蔵安定性に優れており、なおかつ塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下が少ないアルミニウム顔料組成物を提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鱗片状アルミニウムフレークを、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から10重量部の有機モリブデン化合物で処理することによって有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を製造する方法であって、該原料鱗片状アルミニウムフレークに含有される有機溶剤可溶不揮発性成分が、該原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.7重量部以下であることを特徴とする、上記製造方法。
【請求項2】
原料鱗片状アルミニウムフレークの平均粒径(d50)が2から40μm、平均厚み(t)が0.01から2μm、平均アスペクト比(平均厚み(t)に対する平均粒径(d50)の比)が10から2500である請求項1に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【請求項3】
有機モリブデン化合物が、モリブデン酸アミン塩、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種である請求項1もしくは2に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【化1】

(式中、R1は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【化2】

(式中、R2は炭素数1から24の有機基で同一でも異なっていてもよく、XはSまたはOである。)
【請求項4】
モリブデン酸アミン塩のアミンが、下記一般式(3)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種である請求項3に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【化3】

(式中、R3、R4およびR5は同じでも異なってもよく、水素原子または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、及びチオール基から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR3とR4は一緒になって5員または6員のシクロアルキル基を形成するか、または窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素または酸素原子を含むことができる5員または6員環を形成するか、またはR3、R4およびR5は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる、多員の多重環組成物を形成することができる。nは1から2の数を表す。)
【請求項5】
有機モリブデン化合物での処理と同時またはその後に、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.1から5重量部の、炭素原子数1から40のカルボン酸から選ばれる少なくとも1種を添加する請求項1から4のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【請求項6】
有機モリブデン化合物での処理と同時またはその後に、原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から20重量部の、無機リン酸もしくはその塩、及び、酸性有機(亜)リン酸エステルもしくはその塩から選ばれる少なくとも1種で処理する請求項1から5のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【請求項7】
更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から5重量部含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【請求項8】
更に界面活性剤を原料鱗片状アルミニウムフレーク中のアルミニウム金属成分100重量部に対して0.01から30重量部含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載された製造方法により得られる有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の有機モリブデン化合物含有アルミニウム顔料組成物を含む塗料組成物。

【公開番号】特開2009−275096(P2009−275096A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126814(P2008−126814)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】