説明

アルミン酸塩蛍光体、その製造方法及び発光素子

【課題】発光強度の高いアルミン酸塩蛍光体を提供すること。
【解決手段】アルミン酸塩蛍光体は、賦活元素を含有するアルミン酸ストロンチウムからなり、複数の一次粒子が合一して球状を呈し、かつ3000倍の倍率で電子顕微鏡観察したときに、表面に一次粒子間の粒界が観察されない表面状態となっている粒子からなることを特徴とする。このアルミン酸塩蛍光体は、賦活元素源、ストロンチウム源、アルミニウム源を分散媒と混合した混合スラリーを調製し、この原料混合スラリーをメディアミルによって湿式混合し、得られる均一混合スラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を1000℃以上で1次焼成して1次焼成体を得たあと、該1次焼成体を2次焼成することで、好適に製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミン酸ストロンチウムを母体結晶とするアルミン酸塩蛍光体及びその製造方法に関するものである。また、本発明はこの蛍光体を用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、青色ダイオードが実用化され、このダイオードを発光源とする白色発光ダイオードが知られている。発光ダイオード(LED)は軽量で、水銀を使用せず、長寿命であるとい利点を有する。
【0003】
例えば、Y3Al512:Ceを青色発光素子に塗布した白色LEDが知られている。しかし、このLEDは、厳密には白色ではなく、緑青色の混ざった白色になる。このため、Y3Al512:Ceと、青色光を吸収し赤色の蛍光を発する赤色蛍光体とを混ぜて、色調を調整する方法、近紫外LEDと、赤、緑、青の3種類の蛍光体とを組み合わせて色調を調整する方法、青色LEDと赤、緑の2種類の蛍光体とを組み合わせて色調を調整する方法等も検討されている。
【0004】
Euを賦活したアルミン酸ストロンチウムは、青乃至緑域に強い発光を有することが知られている。このような青乃至緑域に強い発光を有するアルミン酸ストロンチウム蛍光体としては、例えば、SrAl:Eu(非特許文献1)、SrAl125:Eu(特許文献1)、SrAl119:Eu(特許文献2)等が提案されている。また、その他に赤色の発光を有するSrAl:Eu(特許文献3)、紫色から青緑色の発光を有する一般式;7(Sr1-xEu)O・yAl(式中、x、yは、0<x≦0.5、1≦y≦36を表す)で表されるアルミン酸塩蛍光体(特許文献4)等も提案されている。
従来、アルミン酸ストロンチウム蛍光体は、多くの場合、各原料を乾式又は湿式で混合し、得られる均一混合物を焼成する方法により得られ、このようにして得られる蛍光体は発光強度に問題があり、量子収率も低かった。
【0005】
また、下記特許文献5には、アルミニウム源として、硝酸塩、硫酸塩或いはコロイド状アルミニウム分散体を用い、該アルミニウム源と、その他の元素の化合物との液状混合物を噴霧乾燥し、得られる乾燥物を700〜950℃の温度でか焼してアルミン酸塩蛍光体前駆体を得、次いで焼成を行うアルミン酸塩蛍光体の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−265990号公報
【特許文献2】英国特許第1,190,520号公報
【特許文献3】中国公開特許CN101486906号公報
【特許文献4】国際特許WO2005/090513公報
【特許文献5】特表2007−513038号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of the Electrochemical Society (1971), 118(6), 930-933
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献5の方法による得られるものは、アルミン酸塩蛍光体前駆体の粉体特性をそのまま保持したアルミン酸塩蛍光体が得られ、該アルミン酸塩蛍光体は粒子表面に多数の孔を有し、発光効率が優れたものであるとされている。しかし、蛍光体の性能向上の要求はとどまるところを知らず、性能が一層高い蛍光体の開発が期待されている。
従って、本発明は、従来の蛍光体よりも性能が一層向上したアルミン酸塩蛍光体及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アルミン酸塩蛍光体粒子の形状の性状が、蛍光体としての性能に大きく影響することを見出し本発明を完成するに到った。
【0010】
即ち、本発明は、賦活元素を含有するアルミン酸ストロンチウムからなり、複数の一次粒子が合一して球状を呈し、かつ3000倍の倍率で電子顕微鏡観察したときに、表面に一次粒子間の粒界が観察されない表面状態となっている粒子からなることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記のアルミン酸塩蛍光体の好適な製造方法としては、賦活元素源、ストロンチウム源、アルミニウム源を分散媒と混合した混合スラリーを調製し、この原料混合スラリーをメディアミルによって湿式混合し、得られる均一混合スラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を1000℃以上で1次焼成して1次焼成体を得たあと、該1次焼成体を2次焼成することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発光高度の高いアルミン酸塩蛍光体が提供される。また、本発明の製造方法によれば、このアルミン酸塩蛍光体を工業的に有利な方法で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)及び(b)は、実施例1で得られた乾燥粉体のSEM像であり、図1(a)は倍率1000倍、図1(b)は倍率3000倍である。
【図2】図2(a)及び(b)は、実施例1で得られたアルミン酸塩蛍光体粒子のSEM像であり、図2(a)は倍率1000倍、図2(b)は倍率3000倍である。
【図3】図3(a)及び(b)は、比較例1で得られたアルミン酸塩蛍光体粒子のSEM像であり、図3(a)は倍率1000倍、図3(b)は倍率3000倍である。
【図4】図4(a)及び(b)は、比較例2で得られたアルミン酸塩蛍光体粒子のSEM像であり、図4(a)は倍率1000倍、図4(b)は倍率3000倍である。
【図5】図5(a)及び(b)は、比較例3で得られたアルミン酸塩蛍光体粒子のSEM像であり、図5(a)は倍率1000倍、図5(b)は倍率3000倍である。
【図6】図6(a)及び(b)は、比較例4で得られたアルミン酸塩蛍光体粒子のSEM像であり、図6(a)は倍率1000倍、図6(b)は倍率3000倍、図6(c)は倍率30000倍である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のアルミン酸塩蛍光体は、アルミン酸ストロンチウムを母体結晶に、賦活元素を含有させたものである。
【0015】
前記母体結晶となるアルミン酸ストロンチウムとしては、例えばSrAl、SrAl1425、SrAl119、SrAl、SrAl125、等が挙がられ、これらの中、SrAl又はSrAlが特に発光高度の高いアルミン酸塩蛍光体になる点で好ましく、一層好ましくはSrAlである。
【0016】
前記賦活元素としては、例えばEu、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙がれ、これは1種又は2種以上で用いられる。これらの中、賦活元素はEuが特に発光高度の高いアルミン酸塩蛍光体になる点で好ましく用いられる。
【0017】
また、本発明のアルミン酸塩蛍光体における賦活元素の含有量は、Sr元素に対する賦活元素(M)のモル比(M元素/(M元素+Sr元素))で、0.01〜0.50、好ましくは0.04〜0.45であると励起光吸収率が高く、しいては高い発光効率を実現する観点から好ましい。
【0018】
本発明のアルミン酸塩蛍光体は、SrAl:Euで表される緑色蛍光体が、特に緑色域で発光高度の高いアルミン酸塩蛍光体になる点で好ましい。
【0019】
本発明のアルミン酸塩蛍光体は、粒子の形状に特徴の一つを有する。詳細には、本発明のアルミン酸塩蛍光体に用いられる粒子(以下、「アルミン酸塩蛍光体粒子」ということもある)は、(イ)球状を呈し、かつ(ロ)3000倍の倍率で電子顕微鏡観察したときに、表面に一次粒子間の粒界が観察されない表面状態となっていることを特徴の一つとしている。これら(イ)及び(ロ)の形状が一個の粒子内で実現されることで初めて、粒子収率が一層高く、しかも発光強度も一層高くなるアルミン酸塩蛍光体を得ることが可能になる。
【0020】
前記(イ)に関し、本発明のアルミン酸塩蛍光体粒子は、その粒子形状が球状とみなされる形状である限り、必ずしも真球であることを要しない。一般に球状の程度は球形度で表すことができ、該アルミン酸塩蛍光体粒子は、その球形度が1.0〜1.8程度、特に1.0〜1.7程度の球形をしていればよい。球状であるアルミン酸塩蛍光体粒子は、他の形状の粒子に比べて、量子収率が高く、発光強度が高くなる。球形度は、粒子を二次元で投影したときに、投影図形の最大径がなす真円面積/投影図形の実面積で定義される。したがって、球形度の値が1に近いほど、粒子は真球に近くなる。
【0021】
球状のアルミン酸塩蛍光体粒子を得るためには、例えば後述する製造方法において、スプレードライ法を用い、アルミン酸塩蛍光体の前駆体を製造し、該前駆体を1次焼成すればよい。
【0022】
アルミン酸塩蛍光体粒子のもう一つの形状的な特徴である前記の(ロ)に関し、アルミン酸塩蛍光体粒子は、表面が平滑であることが重要である。アルミン酸塩蛍光体粒子は、微粒の一次粒子の合一体であるところ、従来の合一体においては、その元になる一次粒子どうしの境界線が明確に存在している。その結果、この合一体の表面は、一次粒子に起因して凹凸状となっている。これに対して本発明のアルミン酸蛍光体粒子は、一次粒子どうしの境界線がほぼ消失しており、外見上平滑な表面を呈している。アルミン酸塩蛍光体粒子の表面状態が平滑であるか否かは、アルミン酸塩蛍光体粒子を3000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、該粒子の表面に一次粒子間の境界線(粒界)が観察されるか否かで判断する。そしてアルミン酸塩蛍光体粒子の3000倍のSEM観察において、一次粒子間の境界線(粒界)が観察されない場合には、該粒子は平滑な表面状態となっていると判断する。なお、一次粒子間の境界線(粒界)が観察されないとは、該境界線が全く観察されない場合のみならず、線状の部位が一部に観察されるものの、該部位が、元の一次粒子の輪郭をとどめない形状となっている場合も包含する。
【0023】
アルミン酸塩蛍光体粒子の表面に一次粒子の境界線(粒界)が観察されない程度に平滑になっていることで、本発明のアルミン酸塩蛍光体粒子は内部量子効率が高くなり、それに起因して発光強度が高いものとなる。これに対して、一次粒子間の境界線(粒界)が明確に存在して表面の平滑さが損なわれているアルミン酸塩蛍光体粒子においては、該粒子内で生じた光が外部へ放出されづらくなり、その結果発光強度を高くすることができない。
【0024】
アルミン酸塩蛍光体粒子の表面の平滑さの程度は、例えば凹凸度で表すことができる。本発明のアルミン酸塩蛍光体粒子は、その凹凸度が1.0〜1.25、特に1.0〜1.2程度の平滑さを有していればよい。凹凸度は、粒子を二次元で投影したときに、投影図形の周囲長から算出される真円面積/投影図形の実面積で定義される。したがって、凹凸度の値が1に近いほど、粒子の表面は平滑になる。
【0025】
平面の平滑さが向上したアルミン酸塩蛍光体粒子を得るためには、例えば後述する製造方法において、アルミン酸塩蛍光体の前駆体を1次焼成するときの1次焼成条件を適切に制御すればよい。
【0026】
前記の真球度及び凹凸度は、例えば画像解析装置を用いて測定することができる。そのような装置の例としては、ニコレ社製のLUZEX AP等が挙げられる。測定は、任意に抽出した300個の粒子を対象に行う。粒子の拡大倍率は、その大きさに応じて400〜300000倍とする。
【0027】
従来のアルミン酸塩蛍光体はその粒子表面に少なくとも多数の孔を有しているのに対して、本発明のアルミン酸塩蛍光体粒子は、粒子表面には実質的に孔が存在しない。このため、特表2007−513038号公報で得られるアルミン酸塩蛍光体に比べてBET比表面積が小さいことも特徴の一つである。
即ち、従来のアルミン酸塩蛍光体(特表2007−513038号公報)のBET比表面積は15m/g以上であるのに対して、本発明のアルミン酸塩蛍光体はBET比表面積が0.05〜1.0m/gであり、特にBET比表面積が0.1〜0.8m/g、いっそ好ましくは0.1〜0.5m/gであると励起光の吸収が十分なものとなり、また、励起光の散乱も防止することができるので、発光強度を十分に高めることが可能となる。アルミン酸塩蛍光体のBET比表面積を、上述した範囲内に設定するには、例えば後述する製造方法において、アルミン酸塩蛍光体の前駆体を1次焼成するときの1次焼成条件を適切に制御すればよい。
【0028】
本発明のアルミン酸塩蛍光体は、上述のとおりの形状を有しいることに加え、平均粒径が1〜50μm、特に10〜30μmとなっていることが好ましい。この範囲の平均粒径を有していることで、励起光を一層効率よく吸収できる。平均粒径は、堀場製作所のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920)によって測定される。
【0029】
次に、本発明のアルミン酸塩蛍光体の好ましい製造方法について説明する。本発明の製造方法は、賦活元素源、ストロンチウム源、アルミニウム源を分散媒と混合した混合スラリーを調製し、この混合液をメディアミルによって湿式混合し、得られる均一混合スラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を1000℃以上で1次焼成して1次焼成体を得たあと、該1次焼成体を2次焼成する工程を含む。即ち、本製造方法は、大別して(イ)均一混合スラリー調製工程、(ロ)スプレードライ工程、(ハ)1次焼成工程及び(ニ)2次焼成工程を含んでいる。
【0030】
(イ)の均一混合スラリー調製工程においては、賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源を分散媒に均一に混合して各原料が均一に混合された均一混合スラリーを調製する。
【0031】
賦活元素源としては、後述する分散媒に対して難溶性或いは不溶性のものが用いられる。該賦活元素源としては、例えば賦活元素を含む酸化物、フッ化物、塩化物、酢酸塩、蓚酸塩、硫酸塩等を用いることができる。これらの化合物は1種又は2種以上で使用することができる。また、賦活元素源の好ましい物性は、平均粒径が5μm以下、特に0.1〜4μmであることが、均一混合が容易に可能になる観点で好ましい。
【0032】
ストロンチウム源としては、後述する分散媒に対して難溶性或いは不溶性のものが用いられる。該ストロンチウム源としては、例えば、ストロンチウムの炭酸塩、蓚酸塩、硫酸塩、フッ化物、水酸化物等を用いることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。これらの中で炭酸ストロンチウムが焼成後に不純物が残留しない点及び原料同士の反応性が高い点で好ましく用いられる。ストロンチウム源の好ましい物性は、平均粒径が1.0μm以下、特に0.1〜0.9μmであることが、均一混合が容易に可能になる観点で好ましい。
【0033】
アルミニウム源としては、後述する分散媒に対して難溶性或いは不溶性のものが用いられる。該アルミニウム源としては、例えば、アルミニウムの酸化物、フッ化物、硫酸塩、水酸化物等を用いることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でもアルミナ(Al)が焼成時に原料同士の反応性が高い点及び焼結性が高く焼成後粒子に孔が少なくなる点で好ましく用いられる。なお、アルミナはα−アルミナ、β−アルミナ及びγ−アルミナ等の種類があるが、本発明では、これらの中、γ型が原料同士の反応性が高い点で特に好ましく用いられる。アルミニウム源の好ましい物性は、平均粒径が1.0μm以下、特に0.001〜0.9μmであることが、均一混合が容易に可能になる観点で好ましい。
【0034】
前記した賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源の製造履歴は問わないが、高純度のアルミン酸塩蛍光体を製造するために、可及的に不純物含有量が少ないものであることが好ましい。
【0035】
本発明において、賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源の混合割合は、アルミン酸ストロンチウム中のストロンチウム原子が賦活元素と置換されて存在するようになることを考慮して、賦活元素源中の賦活元素(M)、ストロンチウム源中のストロンチウム原子及びアルミニウム源中のアルミニウム原子とを前記した所望のアルミン酸塩蛍光体の組成に合わせて各原料の配合割合を適宜選択すればよい。
【0036】
賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源は、分散媒と混合して、混合液となる。分散媒としては、水や、水に水溶性有機溶媒が配合されてなる水溶液を用いることが好ましい。混合液における固形分濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%であることが、メディアミルを用いた混合を効率的に行い得る観点から好ましい。
【0037】
均一混合スラリーを調製するための混合方法として、本製造方法では、粉砕と混合を同時に行える機器であるメディアミルを用いた処理を行う。この方法を採用することで、各原料が均一に混合された均一混合スラリーを一層容易に得ることができ、また後述する1次焼成工程において、一次粒子間の粒界を容易に消失させることができる。
【0038】
メディアミルとしては、ビーズミル、ボールミル、ペイントシェーカー、アトライタ、サンドミル等を用いることができる。特にビーズミルを用いることが好ましい。その場合、運転条件やビーズの種類及び大きさは、装置のサイズや処理量、賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源の種類に応じて適切に選択すればよい。
【0039】
メディアミルを用いた処理を一層効率的に行う観点から、混合スラリー中に、分散剤を加えてもよい。使用する分散剤は、分散媒の種類に応じて適切なものを選択すればよい。分散媒が例えば水である場合には、分散剤として各種の界面活性剤、ポリカルボン酸アンモニウム塩等を用いることができる。混合スラリー中における分散剤の濃度は0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%とすることが、十分な分散効果の点で好ましい。
【0040】
メディアミルを用いた混合処理は、固形分の平均粒径が0.5μm以下、特に0.2〜0.01μmとなるまで行うことが、後述する1次焼成工程において、一次粒子間の粒界を容易に消失させることができる観点から好ましい。この平均粒径は光散乱式粒径分布測定装置によって測定することができる。
【0041】
このようにして得られた均一混合スラリーを、(ロ)のスプレードライ工程に付して乾燥粉体を得る。混合液の乾燥方法にはスプレードライ法以外の方法も知られているが、本製造方法においてはスプレードライ法を選択することが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。詳細には、スプレードライ法を用いると、真球又はそれに近い形状の乾燥粉体を得ることができるので、球状のアルミン酸塩蛍光体粒子を容易に得ることができる。また、スプレードライ法を用いると、固形分の原料粒子が密に詰まった状態の乾燥粉体を得ることができるので、(ハ)の1次焼成工程において、一次粒子間の粒界を容易に消失させることができる。
【0042】
スプレードライ法においては、所定手段によって混合液を霧化し、それによって生じた微細な液滴を乾燥させることで乾燥粉体を得る。混合液の霧化には、例えば回転円盤を用いる方法と、圧力ノズルを用いる方法がある。本工程においてはいずれの方法を用いることもできる。
【0043】
スプレードライ法においては、霧化された混合液の液滴の大きさと、それに含まれる固形分の原料粒子の大きさとの関係が、安定した乾燥や、得られる乾燥粉体の性状に影響を与える。詳細には、液滴の大きさに対して固形分の原料粒子の大きさが小さすぎると、液滴が不安定になり、乾燥を首尾よく行いづらくなる。この観点から、混合液中の固形分の原料粒子の大きさが前述の範囲であることを条件として、霧化された液滴の大きさは、5〜150μm、特に10〜120μmであることが好ましい。スプレードライヤーへの混合液の供給量は、この観点を考慮して決定することが望ましい。
【0044】
スプレードライ法により、乾燥粉体が得られる。この乾燥粉体は賦活元素源、ストロンチウム源及びアルミニウム源が均一に存在する凝集状の球状造粒物であり、該乾燥粉体は、凝集粒子であることから、該乾燥粉体の粒子表面を3000倍の倍率で電子顕微鏡観察したときに、表面に一次粒子間の粒界が観察され、また、乾燥粉体の粒子表面には多くの孔が存在する。
【0045】
スプレードライ法は、乾燥粉体の平均粒径が1〜30μm、特に10〜30μmとなるように行われることが、目的とするアルミン酸塩蛍光体粒子の粒径の制御の点から好ましい。この平均粒径は、例えば光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定される。
【0046】
このようにして得られた球状の乾燥粉体を(ハ)の1次焼成工程に付して、1次焼成体を得る。1次焼成条件は、得られるアルミン酸塩蛍光体粒子の表面の平滑状態に影響を及ぼすことが、本発明者らの検討の結果判明した。具体的には、1次焼成温度が950℃以下では、後の(ニ)2次焼成工程を1300℃以上の高温で行っても、粒子表面に一次粒子間の粒界及び孔がそのまま観察されるが、この1次焼成を1000℃以上で行うことにより一次粒子の合一が進行しやすくなり、一次粒子間の粒界及び孔が観察されない表面状態のアルミン酸塩蛍光体粒子を製造することができることを知見した。従って、本製造方法では、スプレードライ工程に付して得られる乾燥粉体を1000℃以上で1次焼成することが肝要となる。なお、1次焼成温度の上限温度は、溶解が始まり粒子形状が維持できなくなるという理由から1600℃である。また、1次焼成は1200〜1550℃で行うと単一の目的組成物が得られ、しいては高い発光効率のものが得られるという観点から好ましい。
【0047】
1次焼成温度はアルミン酸塩蛍光体粒子の表面状態に影響を及ぼすのに対して、1次焼成時間は本製造方法において臨界的ではない。一般に1時間以上、特に3〜15時間1次焼成すれば、満足すべきアルミン酸塩蛍光体粒子を得ることができる。1次焼成の雰囲気も本製造方法において臨界的ではなく、例えば大気等の酸化性ガス雰囲気中及び不活性ガス雰囲気中の何れであってもよい。
【0048】
このようにして得られる1次焼成体は、必要に応じて複数回の1次焼成工程に付してもよい。また、2次焼成処理工程を行うに先立って、必要により解砕処理し、更に予め分級等を行って粒度特性を調製してもよい。
【0049】
(ハ)の1次焼成工程によって得られる1次焼成体を、(ニ)の2次焼成工程に付して、目的とするアルミン酸塩蛍光体を得る。この2次焼成処理を行うことにより、発光強度を顕著に高めることができる。2次焼成により、発光強度が高くなる理由については、定かではないが、十分に賦活剤を還元すること及び母体の結晶性を高めることができるためと考えられる。
【0050】
2次焼成においては、1000〜1600℃、好ましくは1300〜1500℃で焼成する。この理由は2次焼成の温度が1000℃未満では母体の結晶性を高めるには不十分になり、1600℃を超えると溶解が始まり粒子形状が維持できなくなる傾向があるためである。2次焼成の雰囲気は、還元雰囲気で行うことが賦活剤を還元する観点から好ましい。還元雰囲気は特に制限されないが、好ましいものはアルゴン/水素混合雰囲気あるいは窒素/水素混合雰囲気である。2次焼成は必要に応じて何度でも行うことができる。また、2次焼成後のアルミン酸塩蛍光体に対して、必要に応じて解砕処理し、更に分級を行ってもよい。なお、2次焼成は、1次焼成工程から引き続きで連続的に行ってもよく、あるいは1次焼成工程後、1次焼成体を一旦室温まで冷却したあとで行ってもよい。
【0051】
本発明のアルミン酸塩蛍光体は、耐湿性を改善する目的で、更にその粒子表面を金属酸化物で表面処理することができる。
前記金属酸化物としては、例えば、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nb、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Puから選ばれる1種又は2種以上の金属酸化物が用いられる。
アルミン酸塩蛍光体粒子の粒子表面をこれらの金属酸化物で被覆処理する方法としては、公知の方法を用いることができ、その一例を示せば、前記金属元素を含む金属アルコキシドを用いて、該アルミン酸塩蛍光体粒子を含有するスラリー又は懸濁液へ前記金属アルコキシドを添加し、該金属アルコキシドの加水分解反応を、必要により酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に行い、アルミン酸塩蛍光体粒子の粒子表面を前記金属酸化物で均一に表面処理する方法等が挙げられる。
【0052】
このようにして得られるアルミン酸塩蛍光体は、例えば、LED、電解放射型ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミッセンス等のディスプレイデバイス等の各種発光素子や三波長型蛍光体としての用途に適用することができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(イ)均一スラリー調製工程;
炭酸ストロンチウム(平均粒径0.83μm)、酸化アルミニウム(γ−アルミナ;平均粒径11.8μm、比表面積150m/g)及び酸化ユウロピウム(平均粒径3.66μm)を、Sr:Al:Euのモル比を0.9:2.12:0.1、つまり(Sr+Eu)/Al=0.47、Eu/(Sr+Eu)=0.1となるように秤量しボールミルに仕込んだ。ボールミルに水と分散剤(花王(株)製、ポイズ2100)を加え、固形分濃度が25%の混合液を調製した。分散剤の濃度は4%であった。
ボールミルに直径1.0mmのジルコニアボールを仕込み、15時間、湿式法による混合粉砕を行った。混合粉砕後のスラリーの固形分の平均粒径を光散乱法により測定すると0.12μmであった。
(ロ)スプレードライ工程(乾燥工程);
次いで、入口の温度を200℃に設定したスプレードライヤーに、45ml/分の供給速度で混合液を供給し、乾燥粉体を得た。乾燥粉体の平均粒径は17.5μmであった。乾燥粉体の電子顕微鏡写真(SEM像)を図1に示す。
(ハ)1次焼成工程;
この乾燥粉体を電気炉に仕込み、大気下に1500℃にて5時間静置状態で1次焼成した。
(ニ)2次焼成工程;
取り出した1次焼成体を解砕したのち、再び電気炉に仕込み窒素で希釈した3%水素の弱還元雰囲気で1300℃で5時間、2次焼成を行いユウロピウムの還元処理を行った。
このようにして、目的とするアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。このアルミン酸塩蛍光体のSEM像を図2(a)及び(b)に示す。
【0054】
〔実施例2〕
実施例1の(イ)均一混合スラリー調製工程において、仕込みモル比を(Sr+Eu)/Al=0.5、Eu/(Sr+Eu)=0.05とする以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。
【0055】
〔実施例3〕
実施例1の(イ)均一混合スラリー調製工程において、仕込みモル比を(Sr+Eu)/Al=0.45、Eu/(Sr+Eu)=0.05とする以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。
【0056】
〔実施例4〕
実施例1の(イ)均一混合スラリー調製工程において、仕込みモル比を(Sr+Eu)/Al=0.45、Eu/(Sr+Eu)=0.04とする以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。
【0057】
〔実施例5〕
実施例1の(イ)均一混合スラリー調製工程において、仕込みモル比を(Sr+Eu)/Al=0.45、Eu/(Sr+Eu)=0.5とする以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体粒子についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。
【0058】
〔実施例6〕
実施例1の(ハ)1次焼成工程において、1次焼成温度を大気下で1300℃、5時間とする以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。
【0059】
〔比較例1〕
実施例1の(ロ)スプレードライ工程(乾燥工程)において、スプレードライヤーを用いて球状粒子を得る代わりに、湿式粉砕スラリーをそのまま静置乾燥する以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。このアルミン酸塩蛍光体のSEM像を図3(a)及び(b)に示す。
【0060】
〔比較例2〕
実施例1の(イ)均一混合スラリー調製工程において、湿式粉砕し均一混合スラリーを得る代わりに、乾式にてボールミル処理を行う以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。このアルミン酸塩蛍光体のSEM像を図4(a)及び(b)に示す。
【0061】
〔比較例3〕
硝酸ストロンチウム、硝酸アルミニウム9水和物および酸化ユウロピウムを、それぞれ64.4g、379.2gおよび5.93g秤量し、Sr:Al:Euのモル比を0.95:2.12:0.05、つまり(Sr+Eu)/Al=0.47、Eu/(Sr+Eu)=0.05となるように秤量し純水に完全に溶解し、1000mlになるようにメスアップした。この溶液を実施例1と同様の条件にてスプレードライヤー処理を行った。それ以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウム(SrAl)および(SrO)(Alが得られていることを確認した。このアルミン酸塩蛍光体のSEM像を図5(a)及び(b)に示す。
【0062】
〔比較例4〕
実施例1の(ハ)1次焼成工程において、1次焼成を950℃で行った以外は実施例1と同様にしてアルミン酸塩蛍光体(SrAl:Eu)を得た。得られたアルミン酸塩蛍光体についてX線回折測定を行ったところ、スタッフド・トリジマイト構造のアルミン酸ストロンチウムが得られていることを確認した。このアルミン酸塩蛍光体のSEM像を図6(a)及び(b)に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
〔物性評価〕
実施例及び比較例で得られたアルミン酸塩蛍光体の平均粒径、真球度、凹凸度及びBET比表面積を、先に述べた方法で測定した。また、3000倍のSEM観察において、アルミン酸塩蛍光体粒子の粒子表面を観察した。それらの結果を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたアルミン酸塩蛍光体について、以下の方法で励起波長460nmでの内部量子効率及び相対発光強度を測定した。それらの結果を以下の表3に示す。
【0067】
〔内部量子効率〕
日立ハイテク社製の蛍光分光光度計(F-7000)と付属の積分球を用いて励起光460nmとし、445から620nmの範囲を走査し変換効率を求めた。なお全散乱光を測定するための試料には、酸化アルミニウム粉末を用いた。酸化アルミニウムによって得られた450から473nmのスペクトル強度積分値を励起光量とし、蛍光体試料によって得られた450から473nmのスペクトル強度積分値を吸収後励起光量とし、蛍光体試料により得られた473から620nmのスペクトル強度積分値を蛍光量として求めた。そして、以下の式から内部量子効率を求めた。
内部量子効率(%)=100×蛍光量÷(励起光量−吸収後励起光量)
【0068】
〔相対発光強度〕
日立ハイテク社製の蛍光分光光度計(F-7000)を用いて励起光460nmとし、470から800nmの範囲を走査し蛍光スペクトルを得た。得られた強度値から最大発光強度を100とし相対発光強度を求めた。
【0069】
【表3】

【0070】
図2と図3と図4及び図5との対比から明らかなように、実施例1のアルミン酸塩蛍光体(本発明品)は、比較例1と2及び3のアルミン酸塩蛍光体に比べ、球状であり、かつ粒子表面に一次粒子間の粒界が観察されないことが判る。比較例1のアルミン酸塩蛍光体は、不定形の形状となっている。また、比較例4のアルミン酸塩蛍光体は、球状であるが粒子表面に一次粒子間の粒界が観察されることが判る。
また、表3に示す結果から明らかなように、実施例1のアルミン酸塩蛍光体(本発明品)は、比較例1と2、3及び4のアルミン酸塩蛍光体に比べ、緑色域での発光強度が高いものであることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、発光高度の高いアルミン酸塩蛍光体が提供される。また、本発明の製造方法によれば、このアルミン酸塩蛍光体を工業的に有利な方法で得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
賦活元素を含有するアルミン酸ストロンチウムからなり、複数の一次粒子が合一して球状を呈し、かつ3000倍の倍率で電子顕微鏡観察したときに、表面に一次粒子間の粒界が観察されない表面状態となっている粒子からなることを特徴とするアルミン酸塩蛍光体。
【請求項2】
BET比表面積が0.05〜1.0m/gであることを特徴とする請求項1記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項3】
球形度が1.0〜1.8である粒子からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項4】
表面の凹凸度が1.0〜1.25である粒子からなることを特徴とする請求項1乃至3記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項5】
平均粒径が1〜50μmである粒子からなることを特徴とする請求項1乃至4記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項6】
賦活元素がEu、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至5記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項7】
賦活元素がEuであることを特徴とする請求項6記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項8】
Sr元素に対する賦活元素(M)のモル比(M元素/(M元素+Sr元素))が0.01〜0.50であることを特徴とする請求項1乃至7記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項9】
アルミン酸ストロンチウムが、SrAlであり、緑色蛍光体として用いられることを特徴とする請求項1乃至8記載のアルミン酸塩蛍光体。
【請求項10】
請求項1記載のアルミン酸塩蛍光体の製造方法であって、
賦活元素源、ストロンチウム源、アルミニウム源を分散媒と混合した混合スラリーを調製し、この原料混合スラリーをメディアミルによって湿式混合し、得られる均一混合スラリーをスプレードライ法に付して乾燥粉体となし、この乾燥粉体を1000℃以上で1次焼成して1次焼成体を得たあと、該1次焼成体を2次焼成することを特徴とするアルミン酸塩蛍光体の製造方法。
【請求項11】
乾燥粉体の平均粒径が1〜30μmとなるようにスプレードライ法を行う請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
2次焼成を1000〜1600℃、1〜15時間で行う請求項10又は11記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし9のいずれかに記載のアルミン酸塩蛍光体を用いたことを特徴とする発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−246662(P2011−246662A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123594(P2010−123594)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】