説明

アレイによる相同ヌクレオチド配列の検出および/または定量のための方法およびキット

【課題】 アレイによる相同ヌクレオチド配列の検出および/または定量のための方法およびキットの提供。
【解決手段】 少なくとも4種類の他の生物によって共雑される可能性のある生物学的サンプル中の少なくとも7種類の生物またはその一部分の中の1または複数の特異的な同定および/または定量のための方法およびキットを提供する。上記生物学的サンプル中に存在する可能性のある各々の生物に特異的な少なくとも1種類のヌクレオチド配列を検出することにより、上記ヌクレオチド配列が少なくとも4種類の他のヌクレオチド配列に相同である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中に存在する可能性のある多数の生物の同時検出および/または定量のための方法およびキットに関する。検出および/または定量は、相同配列のコンセンサス・プライマーペアによるPCR増幅後に得られるヌクレオチド配列の存在を計測することによって達成される。
【0002】
本発明は、院内感染、または生物学的サンプル中に存在する特定の生物に関連する遺伝子の検出および/または定量を必要とする場合に、生物学的サンプル中の近縁のもしくは別の種または属の多数の(微生物)生物の同時同定および/または定量に特に好適である。
【背景技術】
【0003】
バイオチップ技術の発展は、アレイによっておこなわれる1回のアッセイにおける複数のヌクレオチド配列の同時検出を可能にする。アレイは、その表面上に捕獲ヌクレオチド配列(またはプローブ)を有する一連の不連続領域を含み、分析すべきサンプル中に存在する可能性がある対応する標的ヌクレオチド配列に(ハイブリダイゼーションによって)結合することができ、上記アレイ上にパターンを生じる固体支持体である。標的配列が標識されていれば、シグナルが結合位置で検出され、同定され、そして直接的に計測される。シグナル強度は、サンプル中に存在する標的配列の量を推定することを可能にする。
【0004】
捕獲ヌクレオチド配列は、処理の各々のステップにてマスクを使った、固体支持体上の特定の位置で直接的に合成される。前記合成は、所望の位置で所望の配列を得るために成長しているオリゴヌクレオチド上への新しいヌクレオチドの添加を含む。この方法は、写真平版技術から派生して、新しいヌクレオチドが加えられる前に放出される光防護基の使用と結びついている(EP−0476014、US5,445,934、US5,143,854、およびUS5,510,270)。しかし、短いオリゴヌクレオチドのみが表面に存在しているため、前記方法は、その配列の各々が短いオリゴヌクレオチド配列であり、かつ、標的配列の異なる部分に結合することができるアレイ上に結合した異なるオリゴヌクレオチドに対応する陽性スポットのパターンによって、主に配列の配列決定または同定のための用途を得る。標的配列の特徴づけは、参照配列との、得られたパターンの比較によって得られる。前記技術は、ヒト型結核菌rpoB遺伝子(Mycobacterium tuberculosis)同定に適用され(WO97/29212およびWO98/28444)、ここで、各々のセットが4つの塩基(A、T、G、C)の各々について1つの問合せ部位(interrogation position)をもつ4つのオリゴヌクレオチドを含む30ヌクレオチド未満の捕獲ヌクレオチド配列のセットを含むオリゴヌクレオチド・アレイ上でのそのハイブリダイゼーション前に、1つの標的配列が断片に切断される。これは、20塩基の標的配列の同定のために、アレイが80個の異なるオリゴヌクレオチドを含むことを意味する。同様に、前記方法は、1つのヌクレオチドによって異なる2つの異なる配列の分析(SNPsまたは遺伝子型の同定)に適している。
【0005】
しかしながら、この方法は、増幅反応(PCR)から得られた単位複製配列の直接的な検出を可能にできないような感度の欠如に苦しむ。長いDNAまたはRNAフラグメントは、表面上に存在する捕獲プローブに非常にゆっくりとハイブリダイズする。相同性が配列と共に変化し、そしてそうして断片の一部が同じ捕獲プローブ上にハイブリダイズすることができるので、前述の方法は複数の相同配列の検出に好適ではない。従って、得られたデータの解釈を可能にするために、結果の解釈のためのソフトウェアが前記方法に組み入れられなければならない。
【0006】
しかし、mRNAのcDNAコピーに基づく遺伝子発現アレイについて、短い捕獲プローブ・アレイを使用する場合に、同じ問題に遭遇する:ハイブリダイゼーション率が低い。従って、特定の遺伝子の存在を証明するシグナルのパターンを得るために、フラグメントはより短い種類のものに切断されて、そして前記方法は数個の捕獲ヌクレオチド配列の使用を伴う(WO97/10364およびWO97/27317)。前述の切断は、同様に組み込まれている標識ヌクレオチドの数を減少させ、それにより得られるシグナルが減少する。多くの遺伝子発現の用途において、検出されるcDNAが非相同配列を有する、異なる遺伝子を起源とする場合、それらの間で交差反応が起きないので、長い捕獲プローブの使用は問題がない。長い捕獲ヌクレオチド配列は必要とされる感度を与えるが、しかしそれらが他の相同配列にハイブリダイズするかもしれない。
【0007】
上記支持体と捕獲ヌクレオチド配列間のスペーサの取り込みによって固体支持体上の検出感度を高めるために、膜またはナイロンの支持体が提示される。Van Nessら(Nucleic Acids Research, Vol.19, p.3345, 1991)は、ナイロン膜上にDNAの結合のためのポリ(エチレンイミン)アームを説明している。EP−A−0511559は、膜上の短いオリゴヌクレオチドの結合のためのスペーサとしてのヘキサエチレングリコール誘導体を説明している。しかし、支持体としてナイロンのような膜を使用する場合、固体支持体とオリゴヌクレオチドの間の結合部位の制御がなく、そしてポリdTテールが固定の発生、およびそうして得られたハイブリダイゼーションの増加を観察した(W089/11548)。類似した結果は、ポリマー中に存在する反復捕獲配列によって得られる(US−5,683,872)。
【0008】
Guoら(Nucleic Acids Research 22, 5456, 1994)は、ハイブリダイゼーションの高い感受性をもたらす、ガラス上のオリゴヌクレオチドの結合のためにスペーサとして15塩基のポリdTの使用を教示する。
W099/16780は、ナイロン片による遺伝子femAの4つの相同配列の検出を説明する。しかし、方法と検出の感度に対するデータは示されていない。前述の文献において、捕獲ヌクレオチド配列は、その配列とコンセンサス配列の間で50%未満の相同性しかない15〜350塩基を含む。
【0009】
Anthonyら(Journal of Clinical Microbiology, Vol. 38, 2000, No.2, p.7817-8820)は、関連するいくつかの生物を起源とした相同配列の識別のための膜アレイの使用を説明している。検出すべき標的は、コンセンサスPCRによって細菌から増幅されたrDNAであり、そしてその検出は上記細菌のための捕獲ヌクレオチド配列を含むナイロン樹脂配列で得られる、ここで、上記捕獲ヌクレオチド配列はナイロンに共有結合した20〜30塩基を有する。
【0010】
WO01/77372において、アレイによる増幅されたヌクレオチド配列の直接的な検出と定量による、一般的なプライマーペアを使用した、生物の特定のヌクレオチド配列の単独増幅を組み合わせることによって、特に相同配列を有する生物の同定を可能にする方法を開示している。検出は、前記捕獲ヌクレオチド配列が予め結合した1箇所の特定の位置での単独のスポット・シグナルを検出し、そして場合により記録することによって直接的に得られる。前記方法は、同じ遺伝子に相同配列が存在する生物の検出に有用であるが、そのような相同配列が存在する生物の数が多い時に適用できない。この場合に、そのサンプル中に存在する多数の相同配列、およびそれらのいくらかが他の生物の捕獲ヌクレオチド配列上に交差ハイブリダイズするために、各々の生物に特異的なアレイ上の単独のシングル・スポット・シグナルを得ることは困難である。
【発明の開示】
【0011】
本発明の目的
本発明は、各々の生物がそのサンプル中に存在する可能性があり、かつ、その生物学的サンプルに共雑する可能性がある他の生物の中で上記各々の生物が検出される、サンプル中に相同ヌクレオチド配列を有する非常にたくさんの生物の簡単な同定(検出および/または定量)のためのマイクロアレイまたはバイオチップ技術を改善するための新しい方法および考案を提供することを目的とする。
【0012】
本発明のさらなる目的は、複数の生物由来のいくつかの増幅配列を検出するための一般的な手段としてのマイクロアレイを提供することである。
同様に本発明は、高度に多用途で、かつ、着目の複数の生物を自動化された検出および/または定量に容易に適合させる方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的は、いくつかの異なる増幅によって、複合の生物学的サンプルの間で細菌の菌株の存在を計測するための方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、院内感染で見つかる異なる細菌の種または属を同時検出および/または定量方法を提供することである。
【0014】
本発明の詳細な説明
定義
用語「核酸、オリゴヌクレオチド、アレイ、プローブ、標的核酸、実質的に結合する、特異的にハイブリダイズすること、バックグラウンド、定量」は、国際特許出願WO97/27317中に開示されるものであり、上記文献を本明細書中に援用する。
【0015】
用語「ヌクレオチド三リン酸塩、ヌクレオチド、プライマー配列」は、欧州特許出願99870226.0中に開示され、上記文献を本明細書中に援用する。
【0016】
「相同配列」は、単なるランダムなアラインメントよりも高い、対応する部位でヌクレオチド相同性の比率をもつヌクレオチド配列を意味する。それらが、その配列を比較される2つの上記配列の一方の付加および(ギャップのような)欠失を考慮して最適にアラインされた後、全ヌクレオチドと比べて各々の部位に見出された同一のヌクレオチドの比率として規定される相同性(または配列同一性)の最小値を示す場合、それらは相同とみなされる。所定のタンパク質をコードする遺伝子であるが、しかし異なる生物のような遺伝学的に異なる起源に存在する上記遺伝子は、通常相同的である。所定の生物において、同族のタンパク質または酵素をコードしている遺伝子も同様である。相同配列が一部分だけ、いくつかの部分、あるいはそれらの配列中の一部でまたは全てが相同的である場合、相同性(または配列同一性)の程度は大きく変化しうる。両配列で同一である配列部分(parts又はportion)は、保存されている。それらの配列中で高い不変性の程度を示す配列は、高度に保存してされると言われて、それらは高い相同性の程度を示す。
【0017】
配列のアラインメント方法は、コンピューター化された局所的な相同性アルゴリズムに基づいており、例えば(これだけに制限されることなく)Clustal(登録商標)(Intelligenetics, Mountain Views, California)、またはGAP(登録商標)、BESTFIT(登録商標)、FASTA(登録商標)、およびTFASTA(登録商標)(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group Madison, Wisconsin, USA)、あるいはBoxshade(登録商標)として入手可能である。
【0018】
用語「コンセンサス配列」は、(比較され、アラインされる相同配列での各々の部位で最も一般に見出される塩基として計算される)考えられるいくつかの相同配列のアラインメント後に決定される配列である。コンセンサス配列は、全ての比較されている配列からできる限り近い一種の「平均」配列を表す。高い相同配列について、コンセンサス配列が十分に長くて、反応条件が厳しすぎなければ、それは全ての相同配列に結合することができる。これは、コンセンサス・プライマーと呼ばれる同じプライマーを用いた相同配列の増幅にとって特に有用である。実験的に、先のプログラムから計算されたコンセンサス配列を、そのような特性を得るためにわずかに適合させることができる。変更は、計算された配列から50%を超えない。
【0019】
用語「生物」は、生きた微生物体、例えば細菌または真菌に関し、その存在は当該方法によって同定される。ゆえに、生物が特別な物体、例えば特定のタンパク質または炭水化物を産生する場合、上記生物の遺伝物質の同定は、上記の生物の一部がそのサンプル中に存在するかどうか決定することを可能にする。
【0020】
当該ケースにおいて、用語「結合なしに」の意味は、捕獲ヌクレオチド配列上にハイブリダイズした、5%未満、そして好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.1%未満、そしてさらに0.01%未満の標的配列が存在するという意味を含む。
【0021】
本発明は、少なくとも4種類の他の生物を含む生物学的サンプル中の少なくとも7種類の生物またはその部分の中の1または複数の特異的同定および/または定量に関し、それは上記生物学的サンプル中に存在する可能性のある各々の生物に特異的な少なくとも1種類のヌクレオチド配列を検出することによる、ここで、上記特異的ヌクレオチド配列が少なくとも4種類の他のヌクレオチド配列に相同であり、以下のステップを含む:各々が他の生物から少なくとも4種類の上記相同ヌクレオチド配列を増幅することができ、かつ、増幅された上記増幅相同ヌクレオチド配列の各々と85%より高い相同性をもつ少なくとも2つの異なるプライマーペアを使って標的増幅ヌクレオチド配列へと上記生物に特異的なヌクレオチド配列を増幅し;長さが少なくとも6.8nmのスペーサによって不溶性支持体に共有結合される、予定された位置に配置される一本鎖捕獲ヌクレオチド配列上にアレイを準備し、ここで、上記捕獲ヌクレオチド配列は、他の増幅相同ヌクレオチド配列に結合することなく1つの標的増幅配列に特異的に結合する約10〜50塩基のヌクレオチド配列を含み、かつ、上記他の増幅相同配列の他の捕獲ヌクレオチド配列と85%より低い相同性を示す;上記アレイ上に存在する相補的な捕獲ヌクレオチド配列に標的増幅配列のハイブリダイゼーションを可能にする条件下、1種類の溶液中で、上記アレイと上記標的増幅配列を接触させ、;上記アレイ上の特異的な位置に存在するシグナルを検出し、そして定量し;ここで、特異的な位置でのシグナルの強度が生物の同定を可能にする。
【0022】
意外にも、本発明者らは、検出すべき生物のゲノムの2つの異なる部分の増幅によって産み出された相同ヌクレオチド配列の少なくとも2つのファミリーを、同じ溶液中で混ぜることができ、そして同じファミリーまたは他のファミリーの同じ配列の非特異的捕獲ヌクレオチド配列上への、相同配列の一方のファミリーに属している各々の増幅ヌクレオチド配列の妨害なしに直接的に、かつ、同時に検出することができることを発見した。
【0023】
特に、本発明は他の生物の複合混合物中の特定の生物の多様性の容易、かつ、単純な特異的測定に非常に適している。本発明による方法は、少なくとも7種類の生物の1または複数を、または生物学的サンプル中に存在する少なくとも20種、そしてさらに40種の他の生物の中のさらに少なくとも20種の生物の検出および/または定量を可能にする。好ましくは、前記生物は細菌および/または真菌種である。前記方法は、サンプル中に存在する場合、着目の他の細菌および/または真菌種を検出することもできる。本発明は新しい細菌の検出および/または定量に関して大きな汎用性をもたらす。
【0024】
本発明の方法の最初のステップで、少なくとも2つの異なるプライマーペア(各々のプライマーペアは少なくとも85%の相同性の程度を有する、異なる生物から少なくとも4つのヌクレオチド配列を増幅することができる)を使って前記生物に特異的なヌクレオチド配列を増幅して、増幅標的ヌクレオチド配列を得る。高い相同性のために、前記配列は相同の/共通の配列をもつプライマーによって増幅される。好ましい態様において、利用されるプライマーは増幅される(相同)ヌクレオチド配列の各々と85%超、好ましくは90%超、またはさらには95%超の相同性を示す配列を有する。
【0025】
好ましい態様において、生物に特異的なヌクレオチド配列の増幅のための2つの異なるプライマーペアの配列は、同じであるかまたは異なるタンパク質であるかもしれないタンパク質をコードする配列由来である。
好ましい態様において、プライマーペアの第1のプライマーがFusA遺伝子内で選ばれ、そして第2のプライマーがrpsL遺伝子内で選ばれる。
【0026】
さらに他の態様において、前記2つの異なるプライマーペアの間で、第1のプライマーペアが同じ生物のヌクレオチド配列を増幅し、そして第2のプライマーペアが(他の)標的生物由来のヌクレオチド配列に特異的である。好ましい態様において、本発明の方法で使用されたプライマーは、表1A、2A、5、7、9、および11に提供される配列を有する。
【0027】
本発明による方法で使用された増幅ステップは、当該技術分野で周知の、好ましくはPCR、RT−PCR、LCR、CPT、NASBA、ICR、またはアバランチDNA技術から成る群から選ばれる、増幅プロトコールによって実施される。
【0028】
増幅ステップ中に、異なるプライマーペアが同じ試験管中、または別々の試験管中に存在する。好ましい態様において、標的ヌクレオチド配列の増幅のために使われる少なくとも2つのプライマーペアは同じ試験管中に存在する。他の態様において、標的ヌクレオチド配列の増幅のために使われる各々のプライマーペアは、別々の試験管中に存在する。
【0029】
本発明の方法の2番目のステップにおいて、最初のステップで増幅された異なる標的配列を、アレイ上の相補的な捕獲ヌクレオチド配列への標的増幅配列のハイブリダイゼーションを可能にする条件下、1種類の溶液中で上記アレイと直接的に接触させる。最初の1ステップで得られた単位複製配列を、同じアレイ上にハイブリダイズさせる。本発明の意味で、用語「直接的に」は、増幅された配列がアレイ上へのハイブリダイゼーションより前に、例えば切断することによって、処理されないことを示す。好ましくは、前記ハイブリダイゼーションはストリンジェントな条件下で実行される。
【0030】
本発明において、標的増幅配列は、同じ溶液中に存在し、1または複数の異なるPCR試験管から生じ、そしてハイブリダイゼーションを実施するために使用された溶液で希釈される。
【0031】
好ましい態様において、前記同じ溶液中に存在する標的増幅配列を、アレイに直接的に接触させる。
好ましい態様において、1種類の生物の1の増幅標的配列は、同じプライマーペアで増幅された標的配列に特異的な捕獲ヌクレオチド配列のいずれかに、5%超、そして好ましくは1%超、そしてより好ましくは0.1%がハイブリダイズしない。
【0032】
さらに他の態様において、1種類の生物の1の増幅標的からの配列が、異なるプライマーペアで増幅された標的配列に特異的な捕獲ヌクレオチド配列のいずれかに、5%超、そして好ましくは1%超、そしてより好ましくは0.1%がハイブリダイズしない。
【0033】
他の好ましい態様において、1の増幅標的配列の、その特異的捕獲ヌクレオチド配列上へのハイブリダイゼーションが、アレイの非特異的捕獲ヌクレオチド配列によって得られたシグナルよりも、少なくとも10倍、そして好ましくは50倍、そしてより好ましくは100倍高い検出シグナルを与える。
【0034】
さらに他の態様において、少なくとも2つの異なるプライマーペアによって増幅された異なる標的配列は、アレイの非特異的捕獲ヌクレオチド配列によって得られたよりも、少なくとも10倍、そして好ましくは50倍、そしてより好ましくは100倍高い特異的シグナルを持つアレイ上の同時シグナルを与える。
【0035】
アレイ上で、捕獲ヌクレオチド配列は、少なくとも10、16、20、50、100、1000、4000、10000異なる一本鎖捕獲ヌクレオチド配列/cm2不溶性固体支持体表面を超える密度で所定の位置に配置される。前記捕獲ヌクレオチド配列は、不溶性固体支持体上に、好ましくはそれらの末端の1つによって、有利には共有結合(または固定)される。感度は、アレイに従って高密度のロボットによる固体支持体上への捕獲ヌクレオチド配列のスポッティングによってさらに高められる。本発明の態様によると、約0.01〜約5pmolesの配列同等物/cm2固体支持体表面の結合をもたらす、アレイ上にスポットされる捕獲ヌクレオチド配列の量が使用される。
【0036】
捕獲ヌクレオチド配列は、所定の標的配列に特異的に結合して、相補的なハイブリダイゼーションによって二本鎖を形成する、約10〜50塩基のヌクレオチド配列を含む。
態様において、標的に相補的な捕獲ヌクレオチド配列の部分は、約10〜約50塩基、好ましくは約15〜約40塩基、そしてより好ましくは約20〜約30塩基に含まれる。これらの塩基は、捕獲ヌクレオチド配列の末端、またはその近くに位置する連続的な配列として好ましくは割り当てられる。この配列は、検出のための特異的な配列と考えられる。
同様に、各々の捕獲ヌクレオチド配列の特異的な部分は、他の増幅相同配列に対応する他の捕獲ヌクレオチド配列と85%より低い相同性を示す。
【0037】
好ましい態様において、捕獲ヌクレオチド配列の特異的部分は、タンパク質をコードしていない配列(遺伝子間領域)内に位置する単位複製配列の部分と相補的である。低い相同性のために、前記捕獲ヌクレオチド配列は、様々な標的増幅ヌクレオチド配列を識別する。好ましい態様において、各々の捕獲ヌクレオチド配列は、他の増幅相同配列に対応する他の捕獲ヌクレオチド配列の各々と、85%より低い、好ましくは75%より低いか、またはさらに60%より低い相同性を示す。
【0038】
他の好ましい態様において、アレイ上に存在する捕獲ヌクレオチド配列は、表1B、2B、6、8、10、および12中に提供されるものの中の少なくとも5つの特異的配列を有する。他の好ましい態様において、同じプライマーペアを用いて得られた2つの標的増幅配列の同定のための捕獲ヌクレオチド配列は、好ましくは2つの異なるタンパク質非コーディング配列中に位置する単位複製配列の少なくとも2つの異なる位置に存在する。
【0039】
捕獲ヌクレオチド配列の特異的配列は、二重らせん形態で少なくとも20塩基対の長さのヌクレオチドに相当する、少なくとも約6.8のnmの物理的な長さを有するスペーサによって固体支持体の表面から離されている。1の態様において、スペーサは非特異的配列である。
【0040】
(スペーサを含む)捕獲ヌクレオチドの全長は、30〜600塩基、好ましくは30〜300塩基、より好ましくは40〜150塩基が含まれる。一般的に2次構造に基づくヘアピン状をとるか、または互いの相互作用によってそれらが標的ヌクレオチド配列の結合率を下げなければ、より長いヌクレオチド配列が使われうる。
【0041】
本発明の他の好ましい態様において、捕獲ヌクレオチド配列は、例えばプログラムされた自動合成装置によって容易に実施される、化学的に合成された100塩基より短いオリゴヌクレオチド配列である。そのような配列は、高い濃度で支持体上の共有結合のための官能化された基を有することができる。
【0042】
より長い捕獲ヌクレオチド配列は、好ましくは(捕獲ヌクレオチド配列の特異的部分と非特異的部分(スペーサ)を含むプラスミド内に組み込まれた配列の)PCR増幅によって合成される。
【0043】
本発明の方法の第3のステップにおいて、アレイ上の特異的位置でのシグナルの存在が、検出され、そして定量される。それぞれの位置でのシグナル強度は、生物の同定を可能にする。
好ましい態様において、WO00/7201Sで述べられるように、増幅された標的配列の存在は、銀増強法によって検出される。
【0044】
同定されるヌクレオチド配列が、一本鎖捕獲ヌクレオチド配列とそれのハイブリダイゼーションの前に有利に標識される。レッテルを単位複製配列に付けることによって(当業者に知られた技術による)標識は、好ましくは標識されたヌクレオチドを組み込むことによって増幅ステップ中に、または単位複製配列に標識を結合することによって完成後に実施される。増幅反応中に標識されたヌクレオチドを組み込む場合には、増幅された配列がより長いほど、より多くのマーカーがハイブリダイズされる標的中に存在してアッセイ感度を生じる。
【0045】
標的の長さは、限定された長さ、好ましくは100〜200塩基、好ましくは100〜400塩基、そしてより好ましくは100〜800塩基のものとして有利に選ばれる。この要求事項は、サンプル中に存在しうる所望の配列を増幅するためのコンセンサス・プライマーを見つけ出す可能性に依存する。長すぎる標的は、早期に再分配し、そして捕獲ヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションを阻害する2次構造をとる。
【0046】
本発明の他の特徴は、1種類の生物の存在の可能性の確認である。好ましい態様において、上記生物に特異的な2つの異なるヌクレオチド配列を増幅し、アレイ上に存在する2つの相補的な捕獲ヌクレオチド配列と、2つの標的増幅配列をハイブリダイズさせ、そしてアレイ上の2つの特異的位置に存在するシグナルを検出することによって、1種類の生物の同定および/または定量が成される。この特定の態様において、本発明のアレイは、各々が標的増幅配列の1つに相補的である、2つの捕獲ヌクレオチド配列を含む。
【0047】
他の態様において、前記生物に特異的である2つの異なるヌクレオチド配列は、互いに非相同的である。さらに他の態様において、アレイ上の2つの特異的位置のシグナル強度が、1種類の生物の同定を可能にする。他の態様において、アレイの2つの特異的位置でのシグナル比が1種類の生物の同定を可能にする。
【0048】
好ましい態様において、Fus/rpsL遺伝子内に存在する第1のプライマーペアと、gyraseA遺伝子内に存在する第2のプライマーペアを用いて、その生物に特異的である2つの異なるヌクレオチド配列を増幅することによって、1種類の生物の同定および/または定量が成される。他の態様において、Fus/rpsL遺伝子内に存在する第1のプライマーペアと、Cox2遺伝子内に存在する第2のプライマーペアを用いて、前記生物に特異的である2つの異なるヌクレオチド配列を増幅することによって、1種類の生物の同定および/または定量が成される。
【0049】
前記生物は、得られた遺伝物質を含むあらゆる生物物質中に存在する(ウイルス、真菌、細菌、植物、またはヒトを含む動物の細胞)。生物学的サンプルはいずれかの培地でもあり、この中に微生物、生体異物、または汚染物質、ならびに植物または(ヒトを含む)動物の臓器、組織、細胞、または体液(血、血清、尿、など)から得られたそうした抽出物がある。
【0050】
本発明は、ヌクレオチド配列が同一の、または独自に複数のPCR増幅によって増幅された多数の生物の検出に特に有用である。本発明の方法は、全長の部分的に、または全体的に相同性のある配列を含む、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドで作られるヌクレオチド配列の検出および/または定量に好適である。本発明による方法は、たとえ標的ヌクレオチド配列が他の相同配列と60%超、好ましくは80%超、そしてさらに90%超の相同性(または配列同一性)を示す場合であっても実施されうる。
【0051】
本発明の方法によって同定、および/または定量された生物は、好ましくは細菌および/または真菌種である。微生物学の分野において、微生物の各々のファミリーまたは属に特異的であることであるコンセンサス・プライマーが利用され、そしてこれらの様々なファミリーの一部または全部の種が本発明の捕獲ヌクレオチド配列を使用することによってアレイ上で確認されうる。好ましい態様において、少なくとも20種の異なる細菌、および/または真菌の中の1または複数が同じ配列上で同定される。
【0052】
他の好ましい態様において、同じアレイ上で道程される異なる細菌および/または真菌は、表8、10、および12で提供されるように院内感染で見出される種である。他の態様において、少なくとも20種の異なる細菌および/または真菌種の中の1または複数が、少なくとも20種の他の細菌および/または真菌種が共雑する可能性のある生物学的サンプル中で同定される。さらに他の態様において、同定される細菌、および/または真菌種が、好ましくは10超、そしてさらに20超、およびさらに30超の種および/または属を含むサンプル中に存在し、そして定量は、これらの他の細菌中の所定の細菌に特異的である。他の態様において、特定の細菌、および/または真菌種は、表3および4で提供される他の細菌および/または真菌種の間で同定される。他の態様において、同じアレイによって同定された細菌は、Gram+およびGram−細菌の両方である。
【0053】
他の配列の検出は、(すなわち、定量のために使われる基準ヌクレオチド配列との、同じまたは異なる微生物株のコンセンサス捕獲ヌクレオチド配列との、ハイブリダイゼーションの正または負の対照との、ハイブリダイゼーションを可能にすることによって)同じアレイ上で有利に実施される。前記他の捕獲ヌクレオチド配列は、約10〜60塩基より長く、600塩基程度の全長の特異的な配列を場合により有し、そして不溶性固体支持体上に(好ましくは本発明に関係する他の結合捕獲ヌクレオチド配列で作られたアレイに)結合されもする。同様に、長い捕獲ヌクレオチド配列が、同じファミリーまたは属由来の微生物の全配列とのハイブリダイゼーションのためのコンセンサス捕獲ヌクレオチド配列としてアレイ上に存在し、それにより生物学的サンプル中のそのようなファミリーまたは属の微生物の存在または不存在の情報を与える。
【0054】
好ましい態様において、様々な増幅配列(単位複製配列)が、ハイブリダイゼーションに適合した組成物中に混ぜられ、ハイブリダイゼーションに使われて、そして固定された捕獲ヌクレオチド配列を有するマイクロアレイの存在下でインキュベートされる。当該方法が、本発明が異なる配列から得られた異なる相同単位複製配列に関する万能のディテクター手段としての役目を果たす、同じ遺伝子由来の単位複製配列だけでなく、異なる遺伝子由来の単位複製配列の特異的検出が可能であることを発見した。
【0055】
1つの特定の態様において、2つのプライマーペアは、同じ溶液中に混ぜら、変性、アニーリング、および伸長から成る同じPCRサイクルを用いたPCR増幅を実施するために使用される。4つのプライマーは、プライマー・ダイマーを生じないように設計される。1つの特定の態様において、4つのプライマーは、ヒト遺伝子の特定の配列を増幅しない。
【0056】
本発明で使用される不溶性支持体を、ゲル層、ガラス、電子装置、シリコンまたはプラスチック支持体、ポリマー、コンパクトディスク、金属支持体、あるいはその混合物から成る群から選ばれる材料で作製することができる(EP−0535242、US5,736,257、WO99/35499、US5,552,270などを参照のこと)。有利なことには、前記固体支持体は、そのウェルの底にアレイを含むマルチウェルプレートである。他の好ましい態様において、アレイは、12、24、96、384、または1536ウェルのいずれかを有する96マルチウェル形式に適合する支持体に含まれるウェル中に存在する。
【0057】
本発明による方法は、その生物学的サンプル中に存在する可能性のある各々の生物に特異的な少なくとも1のヌクレオチド配列を検出することによって、少なくとも4種類の他の生物が共雑する可能性のある生物学的サンプル中の少なくとも7種類の生物またはその一部の中の1または複数の特異的同定および/または定量のための特異的同定(診断的および/または定量)キットまたはデバイスを使用することによって実施される、ここで、前記特異的ヌクレオチド配列は、少なくとも4つの他のヌクレオチド配列と相同であり、以下の:
− 所定の位置に配置された一本鎖捕獲ヌクレオチド配列を含むアレイであって、上記一本鎖させられた捕獲ヌクレオチド配列が少なくとも6.8nmの長さのスペーサを介して不溶性支持体上に共有結合されている、そしてここで、上記捕獲ヌクレオチド配列は、上記他の増幅相同ヌクレオチド配列と結合することなく、かつ、上記他の増幅相同配列の他の捕獲ヌクレオチド配列と85%より低い相同性しか示さない、1つの標的増幅配列に特異的に結合することができる約10〜50塩基のヌクレオチド配列を含む;
− 場合により、バッファーおよび標識、
を含む。
【0058】
前記キット(またはデバイス)は、分析すべき生物学的サンプル中に存在する複数の生物の検出および/または定量のための高スループット・スクリーニング装置のような自動化装置を同様に含む。前記キットまたは装置を、本発明による方法の全てのステップ、または特定の数ステップのみを実施するために適合させる。態様において、好ましくはマルチウェル形式による、アレイ上の検出可能なシグナルを得るために必要な全てのステップが自動化装置(an automate)によって実施される。さらに別の態様において、DNA増幅溶液が自動化装置によって準備される。他の態様において、サンプルからのDNA抽出、増幅、ハイブリダイゼーション、標識、および/またはさらに検出のための溶液の操作が、マルチウェル形式と適合する液体操作システムである同じ自動化装置によって実施される。
【0059】
ゲノムDNAの検出は、本願発明の好ましい用途である。しかし、遺伝子発現の検出も本発明の方法によって同様に可能である。本願発明に記載のとおり、相同遺伝子の検出は、まずmRNAのレトロ転写、そしてコンセンサス・プライマーによるcDNAの増幅によって得られる。
【0060】
本発明のさらなる側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、前記生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはS.ピオゲネス(S.pyogenes)、E.ファエカリス(E.faecalis)、S.アウレウス(S.aureus)、S.エピデルミジス(S.epidermidis)、E.コリ(E.coli)、S.エンテリカ(S.enterica)、H.インフルエンザ(H.inluenzae)、P.アエルギノサ(P.aeruginosa)、Y.ペスティス(Y.pestis)の間で選ばれる、9種の異なる細菌種または変異株の同定のために有利に使用され、上記同定は、好ましくはAccB遺伝子配列へのプライマー結合のための最初の共有位置と、AccC遺伝子の2番目の共有位置を使用することによって、上記異なる種のアセチルcoAカルボキシラーゼBCCP(AccB)およびアセチルcoAビオチンカルボキシラーゼ(AccC)遺伝子の遺伝子変異株を検出することによって得られる。細菌腫の同定は、AccBとAccC遺伝子の間の遺伝子間領域で選ばれた捕獲プローブのアレイ上に単位複製配列をハイブリダイズすることによって得られる。好ましくは、アレイ上に細菌種の同定を得るために使用されるプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、表1に記載されたものである。
【0061】
【表1】

【0062】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはS.アウレウス、S.ニュウモニア(S.pneumoniae)、S.ピオゲネス、M.ツベルクロシス(M.tuberculosis)、E.コリ、P.アエルギノサ、H.インフルエンザから選ばれる、7種の異なる細菌種または変異株の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくは最初の単位複製配列を生じるATP−D遺伝子配列へのプライマー結合のための第1の共有位置とATP−G遺伝子の第2の共通位置を使用することによって、前記異なる種のATPシンターゼd鎖(ATP−D)、ATPシンターゼg(ATP−G)鎖、およびATPシンターゼA鎖(ATP−A)の遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。他の共有位置は、ATP−GとATP−A遺伝子内で2番目の増幅のために選ばれる。細菌種の同定は、最初のものはATP−DとATP−G遺伝子の間に存在し、および2番目のものはATP−GとATP−A遺伝子の間に存在する、2つの遺伝子間領域において選ばれた捕獲プローブのアレイ上への単位複製配列のハイブリダイズによって得られる。好ましくは、アレイ上に細菌種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、表2に記載されたものである。
【0063】
【表2】

【0064】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはE.アエロゲネス(E.aerogenes)、E.コリ、S.マルセセンス(S.marcescens)、P.スツアルチイ(P.stuartii)、H.インフルエンザ、P.ブルガリス(P.vulgaris)、C.フロインジイ(C.freundii)、E.クロアカ(E.cloacae)、M.カタラリス(M.catarrhalis)、M.ツベルクロシス、M.ニュウモニア(M.pneumoniae)、L.ニュウモフィラ(L.pneumophila)、A.カルコアセチクス(A.calcoaceticus)、S.アウレウス、E.ファエシウム(E.faecium)、E.ファエカリス、S.ニュウモニア、およびS.オラリス(S.oralis)から選ばれる、18種の異なる細菌種または変異株の1または複数の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくはFus−A遺伝子配列内のプライマー結合のための第1の共有位置と、rpsL遺伝子の第2の共有位置を使用することによって、前記異なる種のFus−A、rpsG、およびrpsL遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。これらのプライマーは、選ばれた全ての細菌種の増幅のためのコンセンサス・プライマーとして選ばれた。細菌種の同定は、最初のものはFus−AとrpsG遺伝子の間に存在し、および2番目のものはrpsGとrpsL遺伝子の間に存在する、2つの遺伝子間領域において選ばれた捕獲プローブのアレイ上への単位複製配列のハイブリダイズによって得られる。好ましくは、アレイ上に細菌種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、以下の実施例1および図1に記載されたものである。
【0065】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはP.アエルギノサ、C.フロインジイ、S.マルセセンス、H.インフルエンザ、E.アエロゲネス、E.クロアカ、E.コリ、S.アウレウス、S.ニュウモニア、S.オラリス、E.ファエシウム、E.ファエカリス、C.ネオホルマンス(C.neoformans)、P.スツアルチイ、C.ニュウモニア(C.pneumoniae)、P.ブルガリス、P.ミラビリス(P.mirabilis)、M.カタラリス、M.ツベルクロシス、M.ニュウモニア、B.セパシア(B.cepacia)、L.ニュウモフィラ、A.カルコアセチクス、S.マルトフィリア(S.maltophilia)から選ばれる、23種類の異なる細菌および1種類の真菌種または変異株の1または複数の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくはFus−A遺伝子配列内の複数のプライマー結合のための第1の共有位置と、rpsL遺伝子の複数のプライマー結合のための第2の共有位置を使用することによって、前記異なる種のFus−A、rpsG、およびrpsL遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。好ましくは、アレイ上に細菌および真菌種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、以下の実施例2および図2に記載されたものである。有利なことには、前記アレイは、先に触れた24種の同定、および表3で開示される同じサンプル中に存在する可能性がある多数の他の細菌種の中のそれらの識別を可能にする。
【0066】
【表3】

【0067】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはE.アエロゲネス、E.クロアカ、K.ニュウモニア(K.pneumoniae)、E.コリ、S.マルセセンス、H.インフルエンザ、P.ミラビリス、P.スツアルチイ、S.マルトフィリア、L.ニュウモフィラ、M.カタラリス、S.アウレウス、S.ニュウモニア、S.オラリス、E.ファエカリス、E.ファエシウムから選ばれる、16種類の異なる細菌種または変異株の1または複数の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくはジャイレースA遺伝子配列内のコンセンサス・プライマーを使用することによって、前記異なる種のジャイレースA遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。好ましくは、アレイ上に細菌種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、以下の実施例3に記載されたものである。有利なことには、前記アレイは、先に触れた16種の同定、および表4で開示される同じサンプル中に存在する可能性がある多数の他の細菌種の中のそれらの識別を可能にする。
【0068】
【表4】

【0069】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはA.フラブス(A.flavus)、A.フミガツス(A.fumigatus)、C.アルビカンス(C.albicans)、C.ネオホルマンスから選ばれる、異なる真菌種または変異株の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくはCox2遺伝子配列内のコンセンサス・プライマーを使用することによって、前記異なる種のCox2遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。好ましくは、アレイ上に真菌種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、以下の実施例4に記載されたものである。
【0070】
本発明の他の側面によると、本発明による方法、キット(デバイス)、または装置は、生物学的サンプル中に一緒にまたは別々に存在する、好ましくはP.アエルギノサ、C.フロインジイ、S.マルセセンス、H.インフルエンザ、E.アエロゲネス、E.クロアカ、E.コリ、S.アウレウス、S.ニュウモニア、S.オラリス、E.ファエシウム、E.ファエカリス、C.ネオホルマンス(C.neoformans)、P.スツアルチイ、C.ニュウモニア(C.pneumoniae)、P.ブルガリス、P.ミラビリス(P.mirabilis)、M.カタラリス、M.ツベルクロシス、M.ニュウモニア、B.セパシア(B.cepacia)、L.ニュウモニア(L.pneumoniae)、A.カルコアセチクス、S.マルトフィリア(S.maltophilia)、K.ニュウモニア、A.フラブス、A.フミガツス、C.アルビカンスから選ばれる、院内感染における28種類の異なる細菌および1種類の真菌種または属の1または複数の同定のために有利に使用される。前記同定は、好ましくはFus−A、ジャイレースA、およびCox2遺伝子配列内のコンセンサス・プライマーを使用することによって、前記異なる種のFus−A、ジャイレースA、およびCox2遺伝子の遺伝的変異株を検出することによって得られる。好ましくは、アレイ上に種の同定を得るために使用されたプライマーと特異的捕獲ヌクレオチド配列は、以下の実施例5に記載されたものである。
【0071】
本発明の他の側面は、前述の配列(特に実施例に記載の特異的捕獲ヌクレオチド配列)を含むバイオチップまたはマイクロアレイのいずれかの部分、ならびにいずれかの方法によっていずれかのタイプのマイクロアレイまたはバイオチップ上の相同配列から識別される微生物のファミリータイプに特異的である標的配列の同定のための一般的な選別方法に関する。
【0072】
アレイ上のハイブリダイゼーション後、標的配列は一般的に用いられている技術によって検出されることができる。標識なしに、好ましい方法は目下アレイに適合させた質量分析によるか(US−A−5,821,060)、または蛍光検出が続くインターカレーション剤による標的の同定である(WO97/27329、またはFodor et al., Nature 364, p. 555 (1993))。
【0073】
標識された関連した検出はおびただしい数である。異なる標識分子の概説がWO97/27317で得られる。それらは、すでに標識されたプライマーの使用、またコピーまたは増幅ステップ中の標識されたヌクレオチドの取り込みによって得られる。標識は、試験されるRNAまたはDNAに検出可能な部分を連結することによって同様に達成される(リガーゼによって配列の末端に連結される標識されたオリゴヌクレオチド)。RNAまたはDNAの断片は、キナーゼ、トランスフェラーゼ、または類似した酵素を使ってそれらの5’OHまたは3‘OH末端に標識されたヌクレオチドを組み込むことが同様にできる。
【0074】
最も頻繁に使用される標識は、市販のアレイ・スキャナー(General Scanning, Genetic Microsystem)を使用することによってアレイを分析するのに好適なCy3、Cy5、およびCy7のような蛍光色素である。放射性標識、非放射性標識、または特異的リガンドによるその後認識される小分子による間接的な標識(ストレプトアビジンまたは抗体)は代表的な方法である。得られたアレイ上の標的固着のシグナルは、蛍光、比色分析、拡散、電子発光、生物−または化学発光、磁性、インピードメーター(impedometric)または電解電量計のように電気的である(US−A−5,312,527)。好ましい方法は、沈殿を得るための結合した標的の金標識の使用、またはその後容易に検出され、そしてスキャナーによって定量される銀染色に基づく。
【0075】
定量は、(標的および基準配列に等しい)アレイ上のハイブリダイゼーション産出と検出スケールだけでなく、抽出、増幅(またはコピー)、および標識ステップを考慮に入れなければならない。
【0076】
本発明による方法は、既知の濃度で添加された基準ヌクレオチド配列(外部または内部標準)を使用することによって標的ヌクレオチド配列の定量を得る手段を同様に含む。捕獲ヌクレオチド配列は、(できる限り増幅またはコピー後に)上記標的と同じ条件で固定されるようにアレイ上に同様に存在する;上記方法は、捕獲ヌクレオチド配列と上記基準の間の相補的な塩基対合によって形成された二本鎖ヌクレオチド配列の形成の結果として生じたシグナルの定量ステップ、ならびに生物学的サンプル中に検出および/または定量すべき当初のヌクレオチド配列の存在を定量するために、上記二本鎖ヌクレオチド配列形成の結果として生じたシグナルと、捕獲ヌクレオチド配列と上記標的の間の相補的な塩基対合によって形成された二本鎖ヌクレオチド配列の結果として生じたシグナルとの相関分析ステップを含む。
【0077】
有利なことには、前記基準は、最初の生物学的サンプル中に、または抽出ステップ後に加えられて、同じ、および/または同一のもしくは標的に対して20%以下しか異ならない長さとGC含量を有するプライマーを用いて増幅、またはコピーされる。より好ましくは、前記基準は、文献WO98/11253に見られる内部標準の特徴を有する競合的な内部標準として設計されることができる。前記内部基準は、標的に共通のその配列部分と、異なる特異的部分をもつ。同様に、標的の増幅またはコピーに使用された2つのプライマーに相補的であり、かつ、類似したGC含量であるその2つの末端配列に、またはその近くにそれを有する(WO98/11253)。本願発明の好ましい態様において、基準と標的の共通部分は、同じプライマーによって増幅された全ての標的と相同である(すなわち、定量すべき同じファミリーまたは生物に属する)ヌクレオチド配列を意味する。
【0078】
好ましくは、この特異的配列を通して基準のハイブリダイゼーション収率は、同じであるか、または標的配列のハイブリダイゼーション収率と20%以下しか異ならず、そしてWO98/11253に記載のように定量が成される。
【0079】
外部および/または内部標準の前記基準ヌクレオチド配列は、できる限り本発明による異なるステップを実施するのに必要な全ての媒体と手段(ハイブリダイゼーション媒体および培地、ポリメラーゼおよび他の酵素、基準配列、標識分子など)と一緒に、本発明によるキット(デバイス)または装置に同様に有利に含まれる。
【0080】
有利なことには、アレイは、様々な濃度(すなわち、4)の標識された捕獲ヌクレオチド配列のスポットを同様に含む。これらの標識された捕獲ヌクレオチド配列は、既知の濃度の溶液からスポットされ、それらのシグナルがハイブリダイゼーションの結果の絶対量への変換を可能にする。それらは検出の再現性を検査することも可能にする。
【0081】
前記アレイ(バイオチップ)は、微小流体技術の使用に基づく溶液の制御を通して他のチャンバおよび自動マシンに接続された支持体に挿入されることができる。そのようなマイクロラボラトリー・システムに挿入されることによって、(DNAの抽出、PCRによる増幅のような)先のステップのため、または以降のステップ(標識と検出)さえも、自動化装置によってインキュベート、加熱、洗浄、および標識されることができる。これらの全てのステップが同じ固体支持体上で実施されることができる。
【0082】
添付の図面の参照を伴い、以下の制限されることのない実施例によって、ここで本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0083】
実施例1:2つの遺伝子間領域(図1)で選ばれた特異的捕獲ヌクレオチド配列を保持するアレイによる18の相同Fus−rnsG−rpsL配列の検出
細菌株
E.アエロゲネス ATCC13048、E.コリ ATCC10536、S.マルセセンス ATCC13880、P.スツアルチイ ATCC25826、H.インフルエンザ ATCC19418、P.ブルガリス ATCC21100、C.フロインジイ ATCC8090、E.クロアカ ATCC13047、M.カタラリス ATCC23246、M.ツベルクロシス ATCC25584、M.ニュウモニア ATCC15531、L.ニュウモフィラ ATCC35096、A.カルコアセチクス ATCC53701、S.アウレウス ATCC25923、E.ファエシウム ATCC35667、E.ファエカリス ATCC29212、S.ニュウモニア ATCC33400、およびS.オラリス ATCC35027の参考菌株をthe Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ,Germany)から入手した。
【0084】
DNA精製
細菌株を、好気性条件下、37℃で一晩、LB培地(10gのペプトン、5gの酵母エキス、および5gのNaCl/l)中で単一コロニーから培養した。一晩の培養物のアリコート(0.1ml)を、遠心分離(5000g、5分間)でペレットにした。その細菌ペレットを、100μgのリソスタフィン(Sigma, Mo, USA)と100μgのRNaseを含む300μlの溶菌バッファー(50mMのTris HCl pH8.0、100μMのEDTA、150mMのNaCl、1%のSDS)中に再懸濁し、そして37℃で30分間インキュベートした。200μgのプロテイナーゼK(Boehringer Mannheim, Germany)の存在下、37℃で30分間のインキュベーションし、そして5分間ボイルすることによって溶菌を達成した。ライセートを、4000gで5分間遠心分離し、そして製造業者の指示に従って、Nucleospin C+Tカラム(Macherey-Nagel, Diiren, Germany)への吸着によって200μlの上清からDNAを抽出した。DNAを200μlの滅菌水中に溶出し、−20℃で保存した。
【0085】
PCR増幅
異なる細菌種に対応する翻訳伸長因子A(Fus−A)の一部、および30Sリボソームタンパク質S7(rpsG)の一部、そして30Sリボソームタンパク質S12(rpsL)の一部を以下のプライマーを使ってPCRによって増幅した:
【0086】
【化1】

【0087】
【表5】

【0088】
PCRを、以下の:4mMのMgCl2、10mMのTris pH8.4、50mMのKCl、0.5μMの各々のプライマー、50μMの各々のdNTP、10μMのビオチン−16−dATPとビオチン−16−dCTP、1.5UのTaqDNA、ポリメラーゼUltratools、10μlの抽出されたDNAを含む50μlの終量で、各々の参考菌株から抽出されたDNAにおいて実施した。サンプルをまず94℃で3分間変性させた。そして94℃で30秒、55℃で30秒、そして72℃で1分、および72℃で10分の最終伸長ステップから成る、35のサイクルの増幅を実施した。水対照を増幅の負の対照として使用された。標的単位複製配列のサイズは遺伝子間領域に依存する(1000〜1400bpの長さ)。
【0089】
マイクロアレイ製作
アレイの捕獲ヌクレオチド配列の最初のグループは、Fus−AとrpsG遺伝子の間の遺伝子間領域に含まれる。アレイの捕獲ヌクレオチド配列の2番目のグループは、rpsGとrpsL遺伝子の間の遺伝子間領域に含まれる。捕獲プローブ配列は表6に記載される。各々の捕獲プローブは、その5’末端に以下の配列をもつスペーサを含む:
【0090】
【化2】

【0091】
アレイは、それらの対応する捕獲ヌクレオチド配列上にハイブリダイズするC2B2単位複製配列であるハイブリダイゼーションの正の対照、およびCYP2B2が結合できないNFKB配列の捕獲ヌクレオチド配列であるハイブリダイゼーションの負の対照を同様に含む。
【0092】
【表6】

【0093】
捕獲ヌクレオチド配列の固定
アルデヒド誘導体化ガラスへのアミノ化DNAの移植について、Schenaら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93, 10614 (1996))によって記載されたプロトコールに従った。前記アミノ化捕獲ヌクレオチド配列を、3000nMの濃度での溶液からスポットした。その捕獲ヌクレオチド配列を、自家製のロボット・デバイス(Genetix(UK)製の250μmのピン)によって顕微鏡用ガラス上にプリントした。Diaglass(アルデヒド)顕微鏡スライドはEppendorf(Hamburg, Germany)製である。各々の捕獲ヌクレオチド配列を3つ1組でスポットした。そのスポットは直径400μm、そして分注した量は約0.5μlである。スライドを室温で乾かし、使用するまで4℃で保存した。
【0094】
ハイブリダイゼーション
18種の参考菌株の各々の単位複製配列を、特異性を確認するためにアレイ上に別々にハイブリダイズさせる。35μlのハイブリダイゼーション溶液(Eppendorf, Hamburg, Germany)を、20μlの単位複製配列に加え、その溶液をハイブリダイゼーション・チャンバによって構成されたアレイ上に添加した。正の対照のために、我々はその溶液に375bpの、50nMのビオチン化CYP2B2単位複製配列を加えた;それらの対応する捕獲ヌクレオチド配列をアレイ上にスポットした。そのチャンバをカバーシップ(covership)で閉じ、そしてスライドを95℃5分間で変性させた。ハイブリダイゼーションを65℃で2時間実施した。サンプルを洗浄バッファーで4回洗浄した。
【0095】
比色検出
ガラス・サンプルを、ブロッキング・バッファー(Eppendorf, Hamburg, Germany)中に1000×に希釈した金コロイド・コンジュゲートIgG抗ビオチンと一緒に室温で45分間インキュベートした。洗浄バッファーによる5回の洗浄後に、金の存在は、染色提示(staining revelation)溶液(Eppendorf)を使った銀還元の触媒として役立つ。そのスライドを、前記提示混合物と一緒に10分3回インキュベートし、そして水ですすぎ、乾かして、そしてマイクロアレイ・リーダーを使って分析した。そして、各スライドを特異的な定量ソフトウェアによって定量した。
【0096】
蛍光検出
ガラス・サンプルを、ブロッキング・バッファー中に1/1000×コンジュゲート−Cy3に希釈しそして遮光した、Cy3コンジュゲートIgG抗ビオチン(Jackson Immuno Research Laboratories, Inc #200-162-096)と一緒に室温で45分インキュベートした。洗浄後、室温で保存する前にスライドを乾かした。検出を、レーザー共焦点スキャナー「ScanArray」(Packard, USA)によって実施した。そして各スライドを特異的な定量ソフトウェアによって定量した。
前記アレイは、当該アレイ上の他の捕獲ヌクレオチド配列上へのあらゆる交差ハイブリダイゼーションなしに、前述の18種の各々の特異的同定を可能にした。
【0097】
実施例2:2つの遺伝子間領域(図2)で選ばれた特異的捕獲ヌクレオチド配列を保持するアレイによる24の相同Fus−rpsG−rpsL配列の検出
実験を実施例1に記載のように行った。
【0098】
追加の参照ATCC菌株は、以下の:P.アエルギノサ ATCC10145、C.ネオホルマンス ATCC11239、C.ニュウモニア ATCCVR−1310、P.ミラビリス ATCC25933、B.セパシア ATCC10856、およびS.マルトフィリア ATCC13637であり、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ, Germany)から入手した。
【0099】
追加のコンセンサス・プライマーのアッセイへの包含は、同定される細菌種の数を増やし、そして1種類の真菌(C.ネオホルマンス)の同定も可能にした。異なる細菌および真菌種に対応する翻訳伸長因子A(Fus−A)の一部、そして30Sリボソームタンパク質のS7(rpsG)、そして30Sリボソームタンパク質のS12(rpsL)を以下のプライマーを使ってPCRによって増幅した:
【0100】
【表7】

【0101】
標的単位複製配列のサイズは遺伝子間領域に依存する(1000〜1400bpの長さ)。アレイの捕獲ヌクレオチド配列は、Fus−AとrpsG遺伝子の間、そしてrpsGとrpsL遺伝子の間の、2つの遺伝子間領域に含まれる。単位複製配列とそれらの対応する捕獲配列を産み出すために使用されたプライマーペアを表8に開示する。
【0102】
【表8】

【0103】
各々の捕獲プローブは、実施例1に記載のようにその5’末端にスペーサを含む。アレイは、当該アレイ上の他の捕獲ヌクレオチド配列へのあらゆる交差ハイブリダイゼーションなしに、前述の24種の各々の特異的同定を可能にした。23種のためのマイクロアレイの定量を図4に示した。
【0104】
有利なことには、上記検出が望まれない同じ生物学的サンプル中に存在する可能性がある他の共雑細菌種はそのアレイによって検出されない、なぜならそれらの配列が表3で開示されるように上記アレイの各獲得プローブとの多数のミスマッチを示すからである。
【0105】
実施例3:ジャイレース・コーディング領域で選ばれた特異的捕獲ヌクレオチド配列を保持するアレイによる16の相同ジャイレース配列の検出
実験を実施例1に記載のように行った。追加の参照ATCC菌株は、K.ニュウモニア ATCC10031である。
異なるGram−(グラム陰性)およびGram+(グラム陽性)細菌種に対応するジャイレースA(GYR)遺伝子の一部を、以下のプライマーを使ったPCRによって増幅した;
【0106】
【化3】

【0107】
【表9】

【0108】
標的単位複製配列は、Gram−に関して350bp、そしてGram+に関して1000bpであった。アレイの捕獲ヌクレオチド配列は、単位複製配列中に含まれる。
【0109】
【表10】

【0110】
各々の捕獲プローブは、実施例1に記載のようにその5’末端にスペーサを含む。アレイは、当該アレイ上の他の捕獲ヌクレオチド配列へのあらゆる交差ハイブリダイゼーションなしに、前述の16種の各々の特異的同定を可能にした。前記16種のためのマイクロアレイの定量を図5に示した。
【0111】
有利なことには、上記検出が望まれない同じ生物学的サンプル中に存在する可能性がある他の共雑細菌種はそのアレイによって検出されない、なぜならそれらの配列が表4で開示されるように上記アレイの各獲得プローブとの多数のミスマッチを示すからである。
【0112】
実施例4;Coxコーディング領域で選択された特異的捕獲ヌクレオチド配列を保持するアレイによる相同Cox2配列の検出
実験を実施例1に記載のように行った。
追加の参照ATCC菌株は、以下の:A.フラブス ATCC11495、A.フミガツス ATCC1022、およびC.アルビカンス ATCC10231である。異なる真菌種に対応するCox2遺伝子の一部を、表11の以下のプライマーを使ったPCRによって増幅した。
【0113】
【表11】

【0114】
【化4】

【0115】
単位複製配列とそれらの対応する捕獲配列を産み出すために使用されたプライマーペアを表12で開示する。
【0116】
【表12】

【0117】
標的単位複製配列は、Cox1/Cox3プライマーペアを使用して250bpの長さ、そしてCoxl/Cox4プライマーペアを使用して250bpの長さだった。各捕獲プローブは、実施例1に記載のようにその5’末端にスペーサを含む。前記アレイは、当該アレイの他の捕獲ヌクレオチド配列へのあらゆる交差ハイブリダイゼーションなしに、前述の4種の各々の特異的同定を可能にした。4種の真菌種についてのマイクロアレイの定量を図6に示す。
【0118】
実施例5:Fus−A/rpsG/rpsL、ジャイレースA、およびCox2遺伝子配列内で選ばれた特異的捕獲ヌクレオチド配列を保持するアレイによる28の相同配列の検出(図3)
実験を実施例1に記載のように行った。Nosochipの設計を図3に開示する。それは実施例2、3、および4に記載の捕獲プローブ、ならびに対照を含む。23種の異なる細菌種および1種の真菌種に対応する翻訳伸長因子A(Fus−A)の一部、そして30Sリボソームタンパク質のS7(rpsG)、そして30Sリボソームタンパク質のS12(rpsL)を実施例2に記載のプライマーを使ってPCRによって増幅した。
【0119】
16種の異なる細菌種に対応するジャイレースA(GYR)遺伝子の一部を、実施例3に記載のプライマーを使ったPCRによって増幅した。同定された16種の細菌種の中から、15種がFus−A/rpsG/rpsL決定因子によって同様に同定される。よって、これらの15種の細菌の存在は、同じ生物の2つの異なる配列の増幅によって同定される。GYR遺伝子によって同定される追加の細菌種はK.ニュウモニアである。
【0120】
4種の異なる真菌種に対応するCox2遺伝子の一部を、実施例4に記載のプライマーを使ったPCRによって増幅した。同定された4種の真菌種の中から、C.ネオホルマンスがFus−A/rpsG/rpsL遺伝子によって同様に同定される。28種の参考菌株の各々について、単位複製配列を混合し、一般的な検出器として提供される同じアレイ上にハイブリダイズさせる。前記アレイは、あらゆる交差ハイブリダイゼーションなしに前述の28種の各々の特異的同定を可能にした。
【0121】
3つの遺伝子の増幅および検出の組み合わせは、少なくとも2つの異なった遺伝子の増幅によるそれらのいくつかの存在の確認を伴う、院内感染において見出される24種の細菌種と4種の真菌種の同定を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】2つのコンセンサス・プライマー(赤い矢)と2つの遺伝子間領域に位置した捕獲ヌクレオチド配列を用いたPCR増幅後の、異なる細菌の同定のために本発明の方法で使用されたFus、rpsGおよびrpsL遺伝子(イントロン−エクソン)の図示である。2つの遺伝子間ヌクレオチド配列の長さは、異なる細菌種について開示されている。
【図2】コンセンサス・プライマー(赤い矢)の混合物と、2つの遺伝子間領域に位置する捕獲ヌクレオチド配列を用いたPCR増幅後の、たくさんの異なる細菌の同定のための、本発明の方法で使用されたFus、rpsG、およびrpsL遺伝子(イントロン−エクソン)の図示である。
【図3】院内感染の同定のためのNosoChipの設計の図示である。Fus−A、gyraseA、およびCox2遺伝子の一部が本発明の方法によって増幅されて、検出される。PCR、ハイブリダイゼーション、および検出対照(CTL)を含む、様々な対照がアレイ上に存在する。アレイの各々の捕獲ヌクレオチド配列は、3つ組で存在する。
【図4】23種の細菌種のFus、rpsG、およびrpsLマーカーから生み出された単位複製配列のハイブリダイゼーション後のアレイの特異的捕獲ヌクレオチド配列によって得られた値の定量である。実験は、実施例2で述べられるように実施される。PCRは各々の細菌種について別個に実施され、そして単位複製配列をアレイ上にハイブリダイズさせる。検出は比色定量で実施される。シグナルは、増幅された種と一致している捕獲ヌクレオチド配列で検出されるのみである。グラフは、アレイ上の23種の特異的捕獲プローブで得られたシグナルの概要である。値は、三つのスポットの平均の強度である、±2の標準偏差。非特異的結合の平均値は、35グレイ・レベルの強度である。
【図5】16種の細菌種のgyraseマーカーから産生された単位複製配列のハイブリダイゼーション後の、アレイの特異的捕獲ヌクレオチド配列によって得られた値の定量である。実験は実施例3で述べられるように実施される。図4で述べられるようにデータが示される。非特異的結合の平均値は58グレイ・レベルの強度である。
【図6】4種の真菌種のCox2遺伝子由来の単位複製配列のハイブリダイゼーション後の、アレイの特異的捕獲ヌクレオチド配列によって得られた値の定量である。実験は実施例4で述べられるように実施される。図4で述べられるようにデータが示される。非特異的結合の平均値は89グレイ・レベルの強度である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4種類の他の生物を含む可能性がある生物学的サンプル中、少なくとも7種類の生物またはその一部分の中の1またはいくつかの存在の同定方法および/または定量方法であって、以下のステップ:
− 少なくとも2つの異なるプライマーペアを使って上述の生物に特異的な標的ヌクレオチド配列を増幅し、ここで、各プライマーペアが少なくとも4種類の異なる生物由来のヌクレオチド配列を増幅することができ、かつ、増幅される上記特異的なヌクレオチド配列の各々と85%より高いヌクレオチド配列相同性を有する;
− その上に一本鎖捕獲ヌクレオチド配列が所定の位置に配置されたアレイを準備し、ここで、上記一本鎖捕獲ヌクレオチド配列が、少なくとも6.8nmの長さのスペーサによって不溶性支持体に共有結合され、そして特定の生物の所定の標的配列に特異的な約10〜50塩基のヌクレオチド配列を含み、かつ、他の捕獲ヌクレオチド配列に85%未満の相同性しか示さない;
− 上記アレイ上に存在する相補的な捕獲ヌクレオチド配列への上記標的増幅配列のハイブリダイゼーションを可能にする条件下、1種類の溶液中で当該アレイと当該標的増幅配列の全てとを接触させ;そして
− 上記アレイ上の特異的な位置に存在するシグナルを検出し、そして定量する;
を含み、ここで、特異的な位置でのシグナル強度が生物の存在の同定および定量を可能にする前記方法。
【請求項2】
同じ溶液中に存在する前記標的増幅配列を、前記アレイと直接的に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
標的ヌクレオチド配列の増幅のために使用される各々のプライマーペアが別々の試験管中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
標的ヌクレオチド配列の増幅のために使用される少なくとも2つの異なるプライマーペアが、同じ試験管中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも20種類の異なる生物の中の1またはいくつかの存在が、同定および/または定量される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも20種類の異なる生物の中の1またはいくつかの存在が、少なくとも20種類の他の生物の存在する可能性のある生物学的サンプル中で同定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記生物に特異的であるヌクレオチド配列の増幅のための2つの異なるプライマーペアが、タンパク質をコードする配列から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ペアの各々のプライマーが、異なるタンパク質をコードする配列において選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プライマーペアの第1のプライマーがFus遺伝子において選ばれ、そして第2のプライマーがrpsL遺伝子において選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記2つの異なるプライマーペアの間で、第1のプライマーペアが同じ生物のヌクレオチド配列を増幅し、そして第2のプライマーペアが他の標的生物由来のヌクレオチド配列に特異的である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プライマーが、表1A、2A、5、7、9、および11に示される配列をもつ、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記捕獲ヌクレオチド配列が、タンパク質をコードしない配列内に位置する単位複製配列部分に相補的である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アレイ上に存在する捕獲ヌクレオチド配列が、表1B、2B、6、8、10、および12に示される配列の中の少なくとも5つの配列をもつ、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記同じプライマーペアによって得られた2つの標的増幅配列の同定のための捕獲ヌクレオチド配列が、単位複製配列の少なくとも2つの異なる部位に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記2つの部位が2つの異なるタンパク質非コーディング配列内に位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
同定および/または定量される生物が細菌および/または真菌である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
同じアレイ上で同定される前記細菌がグラム陽性およびグラム陰性の両者である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも20種類の異なる細菌種および/または真菌種の中の1またはいくつかが同じアレイ上で同定される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記同じアレイ上で同定される異なる細菌および/または真菌が、表8、10、および12に示される院内感染において見出される種である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも20種類の異なる細菌種および/または真菌種の中の1またはいくつかの存在が、少なくとも20の他の細菌種および/または真菌種の存在する可能性がある生物学的サンプル中で同定される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記の同定すべき細菌種および/または真菌種が、10種類超、さらに20種類超、そしてさらに30種類超の異なる種および/または属を含むサンプル中に存在し、かつ、前記定量がこれらの他の細菌の中の所定の細菌に特異的である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記特異的な細菌種および/または真菌種が、表3および4に示されるように他の細菌種および/または真菌種の中で同定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1種類の生物の同定および/または定量が、上記生物に特異的である2つの異なるヌクレオチド配列を増幅し、前記アレイ上に存在する2つの相補的な捕獲ヌクレオチド配列に2つの標的増幅配列をハイブリダイズさせ、そして上記アレイ上の2つの特異的な位置に存在するシグナルを検出することによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記生物に特異的な2つの異なるヌクレオチド配列が、互いに非相同性である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アレイ上の2つの特異的な位置のシグナル強度が、1種類の生物の同定を可能にする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記アレイ上の2つの特異的な位置におけるシグナル比が、1種類の生物の同定を可能にする、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記1種類の生物の同定および/または定量が、Fus/rpsL遺伝子内から得られる第1のプライマーペアとジャイレースA遺伝子内から得られる第2のプライマーペアを用いて、上記生物に特異的な2つの異なるヌクレオチド配列を増幅することによって得られる、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記アレイが、12、24、96、384、または1536ウェルを含む96マルチウェル形式に適合する支持体のウェル内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも4種類の他の生物を含む可能性のある生物学的サンプル中、少なくとも7種類の生物またはその一部分の中の1またはいくつかの存在の同定および/または定量のためのキットであって、以下の:
− 所定の位置に配置された一本鎖捕獲ヌクレオチド配列を含むアレイであって、上記一本鎖捕獲ヌクレオチド配列を少なくとも6.8nmの長さのスペーサによって不溶性支持体に共有結合させる、そしてここで、上記捕獲ヌクレオチド配列が上記の他の増幅相同ヌクレオチド配列に結合することなく、かつ、上記の他の増幅相同配列の他の捕獲ヌクレオチド配列と85%未満の相同性しか示さない標的増幅配列に特異的に結合することができる約10〜50塩基のヌクレオチド配列を含む;
− 場合により、バッファーと標識、
を含む前記キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−6323(P2006−6323A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−162709(P2005−162709)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504307205)エッペンドルフ アレイ テクノロジーズ ソシエテ アノニム (2)
【Fターム(参考)】