アレスタ
回転出力(50)を有するシステムは、駆動軸(10)と、この駆動軸(10)に結合されたピン(90)と、この駆動軸(10)に結合された出力軸(50)と、を備えている。案内路(55)は出力軸(50)に結び付けられていて、駆動軸(10)が回転すると出力軸(50)及び案内路(55)が回転し、ピン(90)がピンのコースに沿って移動する。システムは、ピン(90)が案内路(55)の側壁に当接すると回転出力の供給ができないが、ピンのコースと整合する案内路(55)の部分がピン(90)の位置と一致するときは回転出力の供給が可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
回転システムは長年用いられ、広範囲にわたる状況に適用することができるものである。一般に、回転システムは、回転駆動部、回転出力部並びに駆動部及び出力部の間で伝達を行うための伝達手段を有している。伝達手段は、駆動部の動きを変換及び/又は修正し、どんな出力が必要かにしたがって、修正した動きを出力部に適用するように設けられる。
【背景技術】
【0002】
さまざまな安全機構が、特定の状況下で回転システムが回転するのを防ぐために提案されてきた。
【0003】
例えば、ラチェット装置は、システムが逆方向に回転するのを防止するために用いることができる。ラチェット装置は、概略的には、外周に沿って走る歯列(rack of teeth)を有する円形の回転ギヤと、その歯に係合するピボットフィンガで構成されている。ギヤが順方向に回転するとき、フィンガは揺動し、ギヤの回転を阻止することなく、歯の緩やかに傾斜する側を乗り越えるように、歯は傾斜が急な側と傾斜が緩やかな側を有するような形状となっている。しかしながら、ギヤが反対方向へ回転しだすと、ピボットフィンガは、歯の傾斜が急な側と係合し、ギヤが反対方向に回転するのを阻止する。
【0004】
したがって、ラチェット装置は、一方向への回転は防げるが、他方向への回転は防げない。さらに、ギヤの歯の間には間隙が設けられているので、フィンガは、飛び飛びのポイントでラチェットに係合できるだけであり、したがって、ラチェットは、飛び飛びのポイントで逆方向への回転を止めることができるだけである。それゆえ、ラチェットがギヤを完全に停止させることができるまで、ギヤはまだ逆方向にいくらか動ける余地がある。
【0005】
さらに、ラチェット装置は信頼できるものではない。例えば、フィンガが歯に係合しないで逆方向にギヤが回転するといった場合もあり得る。フィンガがギヤの歯列に対して高い位置にあり、ギヤが逆方向に回転すると、フィンガがその高い位置で動けなくなったり又はつっかえてしまい、したがってギヤと係合できなくなる場合に、逆方向に動き始めると、こういったことが起こり得る。
【0006】
摩擦力を回転装置に加えることにより回転システムを停止させる、様々なタイプの制動機構もまた提案されてきた。例えば、ドラムの回転に不具合が生じたとき、回転ドラムの周りを通る金属製の部品をアクチュエータを用いて締めつけることができる。あるいは、回転軸にディスクブレーキを配置し、キャリパーを用いてディスクに摩擦力を加え、軸の回転を減速して最終的に軸の回転を停めることができる。しかしながら、このような摩擦に基づく制動システムは、センサが回転システムの回転を停めるべき原因を検知したときに、制動手段を作動させるための制御システムを必要とする。さらに、このような制動システムでは、制動手段の作動と回転体の完全な停止との間にしばしば遅れが生じる。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって、回転出力を有するシステムが提供される。このシステムは、
駆動軸と、
前記駆動軸が回転するとピンのコースに沿ってピンが移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結するアレスタ経路と、
前記システムからの出力を供給するか、又は前記システムからの出力を供給する軸に連結された出力軸であり、この出力軸が回転すると、異なる部分が前記ピンのコースと整合するように構成されている案内路と結び付けられた出力軸と、
前記駆動軸が回転すると前記出力軸が回転することになるように、前記駆動軸を前記出力軸に連結する伝達経路と、を備え、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期しているときは、駆動部品がどのように回転していても、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンの位置と一致し、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していないときは、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンが前記案内路の側壁に当接して前記出力軸のさらなる回転を制限するように、前記ピンの位置とは一致しないように構成されているものである。
【0008】
回転システムが正確で一貫した回転出力を供給することは一般的に望ましい。したがって、出力軸は駆動軸に連結されているので、駆動軸の回転及び出力軸の回転が互いに調和し続ける(remain consistent)ことが一般的に望ましい。しかしながら、時間が経つと、システム所定の回転出力をもはや提供しなくなる、といった障害がシステムで生じることがあり得る。例えば、駆動軸と出力軸の間の結合が完全に切断される、といった最悪の障害がシステムで生じることもあり得よう。このようなシナリオでは、出力軸は自由に回転し、あるいは「惰性で動き」、もはや駆動軸の回転に依存しないであろう。
【0009】
あるいは、システムの障害は、構成部品が損傷し、及び/又は摩耗して、所定通りにはもはや機能しないために起こることもある。このような損傷及び/又は摩耗は、駆動軸の回転と出力軸の回転との関係に影響を及ぼすことがあり、したがって、結果的に、システムによって提供される実際の出力と、通常期待される出力との間に不一致が生じるおそれがある。
【0010】
いずれの場合においても、このような障害は望ましくはない。例えば、回転システムが、壊れやすい及び/又は貴重な物を上げたり下げたりするために用いられる場合は、物が突然予想外のあるいは望ましくない量動くと、その物を損傷させることになりかねない。加えて、物を上げたり下げたりする間に最悪の障害が起これば、出力軸は自由に回転し、したがって、どのような物であっても自由に落ちることになってしまう。
【0011】
同様の理由で、このシステムが人、例えば病院患者を持ち上げたり降ろしたりするために用いられる場合は、このような障害は望ましくない。ここで、患者の突然の望ましくないあるいは予想外の動きは、患者にさらに怪我を負わせたり苦痛をもたらしかねないので、望ましくない。
【0012】
正しく機能しているときには出力軸の回転を許容するが、システム内に障害が生じたときには回転システムの回転による出力の提供を阻止するシステムを提供することにより、本発明は、このような障害が起こった場合に回転システムが出力するのを防止している。
【0013】
本発明の提供するシステムでは、ピンの移動が出力軸の回転と同期しているときは回転出力を提供し、異常発生の際にはピンの移動が出力軸の回転と同期しないのでピンが案内路に沿って移動できず、案内路の側壁にピンが当接するためシステムが出力を提供しないという結果になり、回転出力の提供が阻止される。したがって、本発明は、回転システムが期待するあるいは所定の出力を提供しないといった異常が回転システムに発生したとき、回転出力を阻止することができるシステムを備えた回転システムを提供する。
【0014】
好ましくは、駆動軸が回転すると、ピンが比例して移動し、出力軸が比例して回転することになる。
【0015】
好ましくは、アレスタ経路は自動ロック手段を備える。この場合、アレスタ経路は、駆動軸に連結された入力と、ピンに連結された出力を有している。ピンがアレスタ経路の出力端部と連結されているため、ピンに力を加えてもピンは移動せず、したがって出力軸も動かない。これにより、アレスタ経路に入力が行われないと、ピンは移動しないし、したがって出力軸は回転しないこととなる。あるいは又はさらに、伝達経路は自動ロック手段を備えることができる。
【0016】
アレスタ経路が自動ロック手段を備える場合、この自動ロック手段は送りねじ部材を有していることが好ましい。この送りねじ部材は、送りねじ部材が回転するとピンがピンのコースに沿って移動することになるように、直接又は間接的にピンとねじ係合している。ピンに力を加えても、送りねじ部材は回転せず、したがって、ピンは自動でロックされ移動しない。代わりに、この自動ロック手段は、ウォーム駆動又は他の適当な自動ロック装置とすることができる。
【0017】
案内路は出力軸のチャネルであることが好ましい。このチャネルは、出力軸を完全に貫通して延びる(projects)貫通チャネルとすることができる。あるいは、チャネルは、出力軸の一部に入り込んで延びている(projects partially into)袋チャネルとすることができる。いずれにせよ、ピンの移動が出力軸の回転と同期していないときは、ピンはチャネルの側壁に当接し、出力軸がさらに回転するのを制限する。
【0018】
案内路は、出力軸の表面からの1つ以上の突起を備えることができる。この場合、ピンの移動が出力軸の回転と同期していないと、ピンはこの1つ以上の突起の側部に当接し、出力軸がさらに回転するのを制限する。
【0019】
案内路が出力軸の貫通チャネルである場合、ピンは出力軸のチャネルを完全に貫通し、チャネルを越えて延びていることが好ましい。これにより、ピンのコースに沿ったピンの移動をピンの両端で制御することが可能となる。
【0020】
好ましくは、ピンは、ピンのコースとほぼ整合するガイド内に、又はガイドを貫通して延びている。ガイドはピンのコースに対して固定され、システムを収容しているケースと一体にすることができる。ガイドはピンをピンのコースに沿って案内することに加えて、例えば出力軸の回転により、ピンがピンのコースから外れて動かされるのを防ぐ(helping to prevent)ように機能する。より具体的には、出力軸が回転しているが、ピンの移動と同期していない場合、出力軸の案内路の側壁がピンに当接する。出力軸が有するモーメントは、ピンに力を加えるほど比較的大きいかもしれない。ガイドによって、ピンの支持されていない部分の長さを減らし、それにより、より小型のピンを使うことができるようにし、負荷をケースと分担する。さらに、ガイドを使用することにより、システムの特性の変更が可能となり、負荷を分離するのを助け、出力軸から加えられた力がピンとアレスタ経路間の接続部へ伝達するのを防いでいる。
【0021】
ピンの移動は、ほぼ直線状のピンのコースに沿って行われるのが好ましい。しかしながら、ピンはその代わりに概略的にはカーブしているピンのコースに沿って移動することができる。案内路の形状は、ピンのコース及び出力軸がどのように回転すべきかによって決まる。
【0022】
好ましい形態では、駆動軸が回転するとピンがピンのコースに沿って移動することになるようにピンを駆動軸に連結する1つ以上の追加のアレスタ経路を、システムは有している。この場合、システムが出力を提供するために、それぞれのアレスタ経路によって提供されるピンへの連結は、ピンの移動が出力軸の回転と同期するようなものでなければならない。すなわち、ピンが同期して移動し続けることになっている場合、それぞれのアレスタ経路の構成部品は所定通りに機能し続けなければならない。アレスタ経路のどれか1つに障害が起こった場合、他のアレスタ経路の構成部品がどのように機能しているかに関係なく、ピンの移動は出力軸の回転と同期しなくなる。
【0023】
システムが複数のアレスタ経路を有している場合、それぞれのアレスタ経路は、アレスタ経路1つを有するシステムについて上述したすべての特徴を備えることができる。それぞれのアレスタ経路の特徴は、他のアレスタ経路の特徴と同一とすることも、異ならせることもできる。例えば、一方のアレスタ経路は送りねじ部材を有することができるが、他方のアレスタ経路がウォーム駆動を有することができる。
【0024】
システムが1つ以上のアレスタ経路を含む場合、アレスタ経路の間でシステムの構成部品を共有することができる。構成部品を共有することにより、システムの複雑さを最小限にできるばかりでなく、必要なコストやスペースを減らすことができる。しかしながら、システムの構成部品をそれぞれのアレスタ経路に別々に設けることが好ましい場合もある。例えば、システムが自動ロック手段を有している場合、それぞれのアレスタ経路が別々に自動ロック手段を備えることが好ましいこともある。この場合には、システム障害の際に自動ロック手段が自動でロックできないように、一のアレスタ経路の自動ロック手段が障害を受けた場合、他のアレスタ経路の自動ロック手段が依然として自動でロックでき、したがってピンが移動するのを防ぎ、そして出力軸の好ましくない回転を防ぐことができる、という利点がある。
【0025】
案内路が出力軸を貫通するチャネルであり、そして、ピンがこのチャネルを完全に貫通して延びている場合、一方のアレスタ経路がピンの第1の端部に連結され、別のアレスタ経路がピンの第2の端部に連結されるようにすることができる。ここでは、それぞれのアレスタ経路は、駆動軸の回転をピンのそれぞれの端部の動きにつなげる。したがって、ピンの移動が出力軸の回転と同期するためには、ピンの両端部での動きは互いに対して同期していなくてはならない。
【0026】
好ましい形態では、アレスタ経路が交互にピンを駆動軸に連結するように、2つ以上のアレスタ経路が交互にピンと係合する。この場合は、それぞれのアレスタ経路は、駆動軸及び出力軸が回転しているときに、ピンがピンのコースに沿って前後に移動できるように、他のアレスタ経路によって引き起こされる移動の方向と異なる方向にピンを移動させるものとして構成できる。これは、駆動軸及び出力軸が、完全な1回転を超えて回転するシステムに特に有用である。
【0027】
システムは、1つ以上の追加のピンを有することができる。複数のアレスタ経路が設けられる場合、駆動軸が回転するとそれぞれのピンがそのピンのコースに沿って移動することとなるように、それぞれのピンを1つ以上のアレスタ経路によって駆動軸に連結することができる。システムが出力を提供するために、それぞれのピンの移動は出力軸の回転と同期しなければならない。
【0028】
追加のピンそれぞれは、個々にそれぞれの案内路と結び付けることができる。あるいは、2つ以上のピンは同じ案内路に結び付けることができる。例えば、案内路が貫通チャネルである場合、1つのピンが第1の端部からチャネル内に延び、一方、第2のピンは第2の端部からチャネル内へ延びる。
【0029】
第1の回転部材にピンを設け、第1の回転部材を、第2の案内路を有し、駆動軸が回転すると、回転部材、ピン及び第2の案内路が回転することになるように配置することができる。第2の回転部材に出力軸と結び付けられている第2のピン及び案内路を設け、第2の回転部材を、駆動軸が回転すると、第2の回転部材で出力軸が回転し、第2のピンが第2の概略的にカーブしているコースに沿って移動することになるように、出力軸に結合することができる。第1の回転部材の回転が第2の回転部材の回転と同期していると、第2のピンは第2の案内路に沿って移動し、そして、第1の回転部材に連結されているピンは第2の回転部材と結び付けられている案内路に沿って移動する。第1の回転部材の回転が第2の回転部材の回転と同期しないときには、第2のピンは第2の案内路の側壁に当接し、そして、第1の回転部材に連結されたピンは、第2の回転部材の案内路の側壁に当接して、出力軸がさらに回転するのを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
さて、本発明の実施の形態は、添付の図面を参照し、ほんの一例として説明される。
【図1】回転出力を有するシステムの第1の実施の形態の概略図である。
【図2】図1の回転出力を有するシステムの側面図である。
【図3】図1の回転出力を有するシステムの端面図である。
【図4】回転出力を有するシステムの第2の実施の形態の概略図である。
【図5】図4のシステムの側面図である。
【図6】回転出力を有するシステムの第3の実施の形態の平面図である。
【図7】回転出力を有するシステムの第4の実施の形態の側面図である。
【図8】回転出力を有するシステムの第5の実施の形態の側面図である。
【図9】図8のシステムの平面図である。
【図10】回転出力を有するシステムの第6の実施の形態の平面図である。
【図11】第1のリングギヤ及び第1の上側ギヤ及び下側ギヤの端面図である。
【図12】回転出力を有するシステムの第7の実施の形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
図1は、回転出力を有するシステムの第1の実施の形態を示す概略図、図2は、図1の左側から見たときの図1のシステムを示す図、図3は、図1の下側から見たときの図1のシステムを示す図である。
【0032】
第1の実施の形態では、伝達手段40を介して、駆動軸10を出力軸50に連結している伝達経路が構成されている。図1に示されているように、駆動軸10が回転すると、出力軸50が比例して回転することとなるように、伝達手段40は駆動軸10及び出力軸50の両方に連結されている。駆動軸10の動き及び力を出力軸50に伝達できるギヤ又はその他の適切な構成部品のいろいろな配置によって伝達手段40を構成することができる。伝達手段40は、所定のとおり、駆動軸10から伝達される動き及び力を変換及び/又は修正し、その修正された動きを出力軸50に適用できるように構成されている。
【0033】
図1乃至図3に示すように、伝達経路に加えて、アレスタ経路(arrestor path)も設けられている。アレスタ経路は、駆動軸10が回転するとピン90がそれに比例した動き(a proportional motion)をすることとなるように、ピン90を延長アーム30を介して駆動軸10に連結している。図1に示された実施の形態では、ピン90はほぼ直線状の経路を移動する。出力軸50の回転及びピン90のほぼ直線状の移動は、駆動軸10の回転と関連している。
【0034】
ピン90は、出力軸50に形成されている案内路55を貫通し又は案内路55内に突出している。案内路は、出力軸50を貫通して延びているチャネルとして示されているが、出力軸50に形成されたスロット、出力軸50からの突起又はその他の適切な形に形成されたものとすることができるであろう。
【0035】
出力軸の回転によりチャネルの異なる部分がピンのコースと整合するようにチャネル55は形成される。チャネル55の詳細な形状は図1乃至図3には示されていないが、チャネル55は、例えば、ほぼ螺旋形のあるいはカーブする斜めの外形を有することができるであろう。チャネル55の形状はピンの移動と出力軸の回転との間の期待される関係によって決まる。
【0036】
システムが予期される回転出力をもたらすときは、ピン90がコースに沿って直線的に動き、出力軸50は回転する。駆動軸10がどのように回転しても、出力軸50が回転するとき、ピンのコースと整合しているチャネル55の部分がピン90の位置と一致するように、ピン90の直線的な動きは出力軸50の回転と同期する。例えば、出力軸50が回転すると、ピン90が、ほぼ直線状に動き続けている間中、チャネル55の対向する側面からほぼ等距離のままで、したがって、チャネル55の対向する側面と接触しないでいるように、システムを構成できる。これを容易にするために、チャネル55の形状は適切に構成されなければならず、軸50の回転及びピン90の直線状の動きは互いに同期しなければならない。
【0037】
出力軸50を回転させるためには、またしたがって、システムが出力を提供するためには、ピン90の直線状の動きは軸50の回転出力と同期しなければならない。同期すると、出力軸50が回転するにつれてピン90はチャネル55に沿って移動し、システムは出力を提供できることとなる。
【0038】
ピン90と軸50の同期した動きは、ピン90及び軸50を駆動する経路、すなわち、アレスタ経路及び伝達経路の構成要素に依存している。システムが期待どおりの出力を提供し続けるためには、伝達経路の構成要素及びアレスタ経路の構成要素は、出力軸50及びピン90を同期して動かし続けるように、出力軸50及びピン90に作用し続けなければならない。アレスタ経路又は伝達経路の構成要素が損傷又は摩耗した場合、ピン90及び出力軸50の相対的な動きはもはや同期しない。
【0039】
同期が失われると、チャネル55の配置個所に対するピン90の位置はもはや期待又は意図されたようにはならない。この場合、ピン90及び/又は出力軸50が動き続けると、ピンがチャネル55の側壁に押し付けられることになり、出力軸50のさらなる回転は制限される。より詳しくは、ピン90とチャネル55の当接により、出力軸50の動きへの対抗力が生じ、出力軸50のさらなる回転が阻止される。この力の大きさは、システムが失った同期性の程度に依存している。
【0040】
2つの経路が同期性を失う(come out of synchronisation)ときにシステムが停止能力を有するということは、システムに障害が出て予期通りに機能しなくなったときに予期しない及び/又は望ましくないシステムの回転出力が阻止されることを意味している。この障害は、構成部品の1つ又はすべての完全な障害でなければならない必要は必ずしもなく、障害が一方の経路の構成部品の部分的な摩耗である状況も含んでいる。システムを停止させる磨耗の度合いは、どのぐらい精密にシステムを調整するかに依存する。例えば、チャネル55の表面とピン90の間の隙間を狭くすることによって、構成部品の軽微な摩耗の場合でも、システムをより停止しやすくできるであろう。ここで、狭い隙間は、ピン90又は出力軸50の一方の予期した動きからの非常にわずかなずれだけでも、ピン90とチャネル55の表面とが接触することになり、それゆえに、システムが停止することを意味する。あるいは、チャネル55の表面とピン90の間に大きい隙間を設けることは、構成部品の軽微な、場合によってはたいしたことのない摩耗だけではシステムを停止させることにはならないが、累積した又はさらに著しい磨耗あるいは障害によってシステムを停止させることができるであろう、ということを意味する。
【0041】
図1乃至図3に示された特定の形態(example)では、駆動軸10は歯付部分16と噛み合わされている。歯付部分16は、延長アーム30の第1の端部に取り付けられ又は一体化されている。延長アーム30の第2の端部はギヤ61と噛み合わされ、このギヤ61は、一連のさらなるギヤを介して、送りねじ部材60と噛み合っている。ピン90に取り付けられているナット70は、送りねじ部材60の回転によって、ナット70、したがってピン90が送りねじ部材60の軸とほぼ平行な方向に並進移動(translate)するように、送りねじ部材60と噛み合わされている。延長アーム30と送りねじ部材60を連結しているギヤの特定の構成は、ピン90の直線的動き(linear motion)を出力軸50の回転と同期させるためには、延長アーム30の動きをピン90のどの程度の直線的動きに変換する必要があるかによって決まる。ピン90の動き及び出力軸の回転とのピン90の同期化に影響する他の要因としては、送りねじ部材60の長さ及びねじピッチがあり得る。場合によっては、送りねじ部材60の一端に配置された単一のギヤで延長アーム30と送りねじ部材60を適切に連結することもあることに留意されたい。あるいは、ピン90は、延長アーム30の第2の端部又は他の部分に直接取り付けたり一体化したりすることができる。
【0042】
ピン90は、出力軸50内のチャネル55内に貫通して突出しているが、ピン90がチャネル55内全体に突出する必要は必ずしもなく、むしろ一部だけチャネル55内に突出していることもあることに留意されたい。
【0043】
駆動軸10が、それ自体でシステムに直接駆動力を供給するように構成できる。あるいは又はさらに、駆動機構によって駆動軸10が直接又は間接的に駆動されるように構成できる。図1乃至図3において、駆動機構は、システムの内側にあり、駆動軸10に間接的に作用している。この場合、歯付き部分16が、送りねじ部材14と噛み合わされたナット20に取り付けられ又は一体化されている。送りねじ部材14は、駆動機構、例えばアクチュエータによって駆動される。ここでは、駆動された送りねじ部材14によって歯付き部分16が直線移動し、駆動軸10を回転動させるが、それゆえ、駆動手段は間接的に駆動軸10を駆動することとなる。駆動機構はシステムの外側にあり駆動軸10に直接作用できるが、このような場合、歯付き部分16は延長アームをガイドする作用をなす軸によって支持されることができるということに留意されたい。
【0044】
駆動軸10が歯付き部分16と噛み合わされる場合には、歯付き部分16は駆動軸10の回転に比例して直線移動してその結果、延長アーム30が直線移動することになる。延長アーム30の第2の端部とギヤ61との噛み合いによって、アーム30の直線移動をギヤ61の回転動に変換する。一連のギヤ61、62、63及び65を介して、延長アーム30の直線移動は、送りねじ部材60の回転動に変換される。送りねじ部材60はナット70と噛み合っているので、送りねじ部材60が回転すると、ナット70が直線移動し、したがって、送りねじ部材60の長さ方向の軸に沿ってピン90が直線移動する。ピン90の移動が出力軸50の回転と同期しているときには、出力軸50の回転につれて、ピン90は直線状のコースに沿って移動する。
【0045】
ピン90がねじ取り付けされている送りねじ部材60を使用し、自動ロック式アレスタを構成できる。特に、ピン90が直接又は間接的に送りねじ部材60とねじ係合しているので、送りねじ部材60が回転するとき、ピン90は直線状に移動できるだけである。したがって、アレスタ経路の形成時にピン90に力が加わってもピン90は移動せず、出力軸50は移動できないことになる。例えば、ピン90が出力軸50のチャネル55の側壁に当接していれば、出力軸はピン90に力を加えることができるであろう。送りねじ部材60が、ナット70及びピン90がスライド可能に係合する単なる軌道であるのならば、出力軸50によってピン90に力が加えられると、ピン90は軌道に沿ってスライドし、それゆえ、システム内で障害が起こったとしても、出力軸50は回転してしまうであろう。しかしながら、ナット70が送りねじ部材60のような自動ロック手段とねじ係合しているため、ナット70及びピン90の移動は送りねじ部材60の回転によってのみ達成され、したがって、ナット70及びピン90が出力軸50からの力によって長手方向に移動することはない。そこで、ピン90及び出力軸50の動きが同期しないようなシステム内の障害が起こると、ピン90に力が加わっても、加わった力によってピン90が直線状のコースに沿って移動することはなく、それゆえ、出力軸50は回転できず、システムは停止されたままとなる。
【0046】
図1から分かるように、少なくともピン90の一部は、ガイド80内に突出し、このガイド80はピンのコースに対して固定されている。この形態では、ガイド80はシステムを収納しているケースのチャネルである。ガイド80は、ピン90を進行コースに沿ってガイドする手段として作用することに加え、例えば出力軸50の回転によって、ピン90がピンのコースから外れて動かないように補助する作用を行う。例えば、出力軸50が回転しているが、ピン90の動きと同期しない場合、チャネル55の側壁がピン90に当接する。出力軸50によって生じるモーメントは、ピン90に力を加えるような比較的大きいものである場合がある。ガイド80は、ピン90の支持されていない部分の長さを減らし、それによって、より小型のピンを、ケースと荷重を分担しながら使用できるようにする。さらに、ガイド80を使用することにより、システムの特性を変更でき、荷重の分離(isolating load)を助け、出力軸5から加えられた力が、ピン90とアレスタ経路の間の接続部に伝達されないようにしている。
【0047】
チャネル55と同様に、ガイド80の幅、したがって、ガイド面とピン90の表面との間の隙間又は距離は変えることができる。小さい隙間又は距離だと、ピン90の予期する動き又は角度がわずかに変化しただけで、面の間で接触が起きることを意味する。障害の際にシステムを停止する手段は、さらに、ピン90によって変形できるようなピン90より軟らかい材料でガイド80の面を形成又は被覆してもよい。しかしその材料は、ガイド80が変形してピン90の動きを抑制するように作用し、それによりシステムを停止させるのを補助できるような十分な強度を有している。
【0048】
伝達経路とアレスタ経路が同期しないときに出力軸50の回転を防ぐことができることに加えて、アレスタの使用により、出力軸50が一定の範囲を超えて回転するのを防ぐことができる。これは、ピンのコースの範囲を制限することにより達成できる。ピンのコースの範囲は、例えば、チャネル55の長さを制限することにより、又は送りねじ部材60の長さを制限することにより、あるいはアレスタ経路がピン90に提供できる直線移動の距離を制限することにより達成できる。
【0049】
図1乃至図3は、システムが期待通りに作動しないときに回転を防止するアレスタ経路を1つ備えた回転システムを示している。しかしながら、他の実施の形態では、回転システムは、システムの回転を止めるための複数のアレスタ経路を有する場合がある。回転システムが複数のアレスタ経路を有している場合、システムが正しく作動して出力を提供するために、それぞれのアレスタ経路自体が伝達経路に対して同期し、したがって、互いに同期しなくてはならない。
【0050】
図4は、回転出力を提供するシステムの第2の実施の形態の概略図である。図4のシステムは第2のアレスタ経路を有している点が明らかな違いだが、図示された回転システムは図1に示されたものと類似している。
【0051】
より具体的には、駆動軸110は第1及び第2の歯付き部分116A、116Bと噛み合い、第1及び第2の歯付き部分116A、116Bに対して回転する。第1及び第2の歯付き部分116A、116Bはそれぞれ、第1及び第2の延長アーム130A、130Bに一体化されているか、又は、取り付けられていて、そして、第1及び第2の延長アーム130A、130Bはそれぞれ、第1及び第2のギヤ161A、161Bと噛み合っている。第1のギヤ161Aは、一連のギヤを介して第1の送りねじ部材160Aに連結され、そして、この第1の送りねじ部材160Aは第1のナット170Aと噛み合っている。第2のギヤ161Bは、一連のギヤを介して第2の送りねじ部材160Bに連結され、そして、この第2の送りねじ部材160Bが第2のナット170Bと噛み合っている。しかしながら、第1及び第2のギヤ161A、161Bがそれぞれ、送りねじ部材160A、160Bと一連のギヤを介して噛み合う必要はなく、代わりに第1及び第2のギヤ161A、160Bをそれぞれ、送りねじ部材160A、160Bの一端に配置することもあり得ることに留意されたい。
【0052】
図5は図4のシステムの側面図である。図5に最もよく示されているが、細長い連結部材175が第1のナット170Aを第2のナット170Bに連結している。詳しくは、細長い連結部材175の第1の端部は第1のナット170Aに取り付けられ、又は、一体化されていて、一方、細長い連結部材175の第2の端部は、第2のナット170Bに取り付けられ、又は、一体化されている。ピン190は連結部材175に取り付けられ、又は、一体化されている。ピン190は、第1の実施の形態について記載したように、出力軸150内のチャネル155又はその他の案内路内に突出し、あるいはチャネル155又はその他の案内路を貫通して突出している。第1の実施の形態と同様に、ピン190も、ピンのコースに対して固定された、ピンのコースとほぼ平行なガイド80内に突出することができる。
【0053】
図4及び図5に示された形態では、チャネル155は概略的にカーブする斜めの形状を有している。しかしながら、チャネル155は、この実施の形態では、又は他のどんな実施の形態でも、軸150の回転につれて、ピン190がピンのコースに沿って予定通りに動くのを可能とする他の適切な形状を有することができる。チャネル155の形状は、具体的なピンのコース及び出力軸50の意図された回転によって決まる。例えば、チャネル155が螺旋形又はS形状、直線状か湾曲した斜め形状、あるいは、放物線形状、又はそれらを組合せた形状とすることができる。
【0054】
前の実施の形態と同様に、駆動軸110が回転すると出力軸150が回転することになるように、伝達経路は駆動軸110と出力軸150の両方に連結されている伝達手段140を有している。伝達手段140は、所定どおりに駆動軸110から伝達される動きや力を変換又は調整でき、調整した動きや力を出力軸55に加えることができるギヤ又は他の適切な構成部品で構成することが可能である。
【0055】
システムが所定の回転出力を供給するためには、このコースと整合するチャネル155の部分が、駆動軸110がどのように回転しても、ピン190の位置と一致するように、ピン190の直線移動は出力軸150の回転と同期しなければならない。しかしながら、2つの動きが、例えば伝達手段140の構成部品の障害のために同期しなければ、コースと整合する案内路155の部分はピン190の位置と一致しなくなり、ピンがチャネル155の側壁に当接して出力軸150のさらなる回転を制限する。
【0056】
図4及び図5に示された実施の形態では、第1の歯付き部分116Aは、第2の歯付き部分116Bの面と径方向反対側の駆動軸110の面と噛み合っている。したがって、駆動軸110が回転すると、歯付き部分116A、116B及びそれらの対応する延長アーム130A、130Bは直線方向で反対方向に駆動されることになる。したがって、例えば、ナット17OA、17OBを両方とも確実に同じ方向に駆動するために、アレスタ経路のどちらか一方に追加のギヤを設けたり、送りねじ部材160A、160Bの一方に時計回りのねじを設け、他方に反時計回りのねじを設けたり、及び/又はアーム130A,130Bの相対的な位置及び構成を調整したりして、必要な作動出力を提供することとなるであろう。
【0057】
送りねじ部材160A、160Bが異なる速度でそれぞれのナット170A、170Bを駆動する場合、連結部材175はねじれ、送りねじ部材160A、160Bに対してもはや垂直ではなくなる。ここでは、ナット170A、170Bは送りねじ部材160A、160Bのねじに引っかかってしまう。したがって、2つのアレスタ経路の一方に何らかの摩耗又は損傷がある場合には、ナット170A、170Bの移動は変化し、ナット170A、170Bは所定位置に固定されて、ピン190が移動できないようになり、したがって、出力軸150がさらに回転できず、システムが停止する。
【0058】
図6は、回転出力を有するシステムの第3の実施の形態の平面図である。本実施の形態では、第1のアレスタ経路と、第2のアレスタ経路が設けられている。本実施の形態では、アレスタ経路は、構成部品、すなわち、送りねじ部材260を共有している。第1のアレスタ経路の第1の延長アーム230Aは、送りねじ部材260の第1の端部に配置された第1のギヤ261Aと噛み合い、一方、第2のアレスタ経路の第2の延長アーム230Bは、送りねじ部材260の第2の端部に配置された第2のギヤ261Bと噛み合っている。ピン290に一体化された、又は取り付けられたナット270は、送りねじ部材260のねじと噛み合い、第1の実施の形態について記載されたように作用する。
【0059】
異なる駆動力が送りねじ部材260の両端に加えられるように2つのアレスタ経路の移動が同期していない場合、送りねじ部材260は回転せず、したがって、ピン290は移動せず、それによって、動かないピン290がチャネルの側壁に当接するために、出力軸250の回転は阻止される。
【0060】
オプションとしての、ブリッジ部材を第1及び第2の延長アーム230A、230Bの間に設けることができる。図6に示された実施の形態では、ブリッジ部材は伸縮可能な可撓性を有するブリッジ部材238である。例えば、可撓性のブリッジ部材238は、テレスコープ部材又は弾性材製とすることができる。このようなブリッジ部材238は、アーム230A、230Bが互いに同じ方向へ移動することを可能とし、また、アーム230A、230Bが互いに反対方向へ移動することも可能とする。しかしながら、アーム230A、230Bが互いに反対方向に移動するときは、ブリッジ部材はそれらの移動範囲を制限するよう作用する。
【0061】
代わりに、ブリッジ部材は剛性を有するものとすることができることに留意されたい。剛性を有するブリッジ部材は、アーム230A、230Bが同じ直線方向に移動するときに、アーム230A、230Bの構造的剛性を高めるための補助を行い、アーム230A、230Bが、互いに反対方向に移動しないようにする。
【0062】
図7は、回転出力を有するシステムの第4の実施の形態の側面図である。この実施の形態では、案内路は、出力軸450を貫通して延びるチャネル455である。ピン490は、出力軸450のチャネル455を完全に貫通して突出し、第1の端部491Aが第1のナット470Aに取り付けられ、又は一体化されていて、第2の端部491Bが第2のナット470Bに取り付けられ、又は一体化されている。ナット470A、470Bはそれぞれ、その対応する送りねじ部材460A、460Bと噛み合っている。ピンのそれぞれの端部491A、491Bは、異なるアレスタ経路によって駆動軸410に連結されている。すなわち、駆動軸410が回転するとピン490の各端部が移動することになるように、ピンの第1の端部491Aは第1のアレスタ経路を介して駆動軸410に連結され、ピンの第2の端部491Bは第2のアレスタ経路を介して駆動軸410に連結されている。
【0063】
システムが所定の回転出力を提供するためには、ピン490がチャネル455の側壁に当接しないで、ピンのコースに沿ってピン490が移動し、出力軸が回転するといったように、ピンの両端部491A、491Bの移動が出力軸450の回転動と同期しなければならない。ピンの端部491A、491Bそれぞれの移動は、それらのそれぞれのアレスタ経路によって支配されるので、両方のアレスタ経路は、システムが出力を提供するために、出力軸455の回転と同期しなければならない。
【0064】
図7に示された実施の形態では、両方のアレスタ経路の入力部は、それぞれの歯付き部分416A、416Bを介して、駆動軸410に直接連結され、アレスタ経路は第1の実施の形態についての記載とほぼ同様に機能する。しかしながら、アレスタ経路の一方又は両方は、アレスタ経路が間接的に駆動軸410に連結されるように、代わりにシステム内の他の構成部品から入力を受けることができる。例えば、第2のアレスタ経路が伝達手段440内の構成部品、例えば回転ギヤから入力を受けるように、システムを構成することができる。
【0065】
駆動軸が回転することにより、第2のアレスタ経路が連結された回転ギヤが回転し、したがって、第2のアレスタ経路は間接的に駆動軸410に連結されていることになる。
【0066】
図8は、システムの第5の実施の形態を示している。この実施の形態では、延長アーム330を有するアレスタ経路が設けられている。延長アーム330は、前の実施の形態について記載したものと同様の方法で、駆動軸に噛み合わされている。延長アーム330は、歯付ラック368及び一連のギヤ361、362、363、364を介して送りねじ部材360に噛み合わされている。ナット370が、送りねじ部材360のねじに噛み合わされている。ナット370は、ギヤ377と噛み合っている歯付き部材373に取り付けられ、又は一体化されている。ギヤ377は、第1のピン390A及び第2のチャネル355Aを有する第1のディスク352に取り付けられ、又は一体化されている。第1のピン390Aは、第2のディスク354の第1のチャネル355B内に突出している。第2のディスク354は、第1のディスクとほぼ平行な面上に配置され、第1のディスク352の第2のチャネル355A内に突出する第2のピン390Bを有している。
【0067】
図9は図8のシステムの平面図である。図9から分かるように、第2のディスク354は、出力軸350が回転すると第2のディスク354が回転するように、出力軸350に連結されている。第2のディスク354もまた、出力軸350に一体化できることに留意されたい。
【0068】
他の実施の形態と同様に、駆動軸310が回転すると出力軸350が回転することとなるように、伝達経路が駆動軸310を出力軸350に伝達手段340を介して連結している。
【0069】
アレスタ経路では、駆動軸310が回転すると延長アーム330が、図9で左から右に、そして、右から左に直線移動することになる。この結果、歯付きラック368が直線移動してギヤ361、362、363、364が回転し、このギヤの回転にしたがって送りねじ部材360が回転することになる。送りねじ部材を回転させることにより、ナット370を直線移動させ、その結果、ギヤ377と第1のディスク352を回転させる。
【0070】
システムが所定の又は求められる回転出力を提供するときは、第1及び第2のピン390A、390Bがそれぞれのチャネル355B、355Aに沿って移動するように、ディスク352、354が互いに同期して回転動を行う。ディスク352、354が同期して回転しなければ、第1及び第2のピン390A、390Bは、それぞれのチャネル355B、355Aの側壁に当接し、ディスク352、354を停止させ、それによって、ディスク352,354のさらなる回転、したがって、出力軸350のさらなる回転を制限する。
【0071】
同期化に加えて、図8及び図9に示されているシステムが所定の回転出力を提供するためには、ディスク352、354は互いに反対方向に回転しなければならない。これは、それぞれのディスク352、354の回転を一方向だけに制限する趣旨ではなく、正しくは、一方のディスクが一方向へ回転するときに他方のディスクは反対方向に回転することを要求するものである。例えば、第1のディスクが時計回り方向に回転する場合は第2のディスクは反時計回り方向に回転し、そして、この逆の場合もある。ディスク352、354が同じ方向に回転し、又は同期しないで回転するときは、第1及び第2のピン390A、390Bがそれぞれのチャネル355B、355Aの側壁に当接し、それゆえ、ディスク352、354の回転が阻害されることとなるような形状をチャネル355A、355Bは有している。
【0072】
ディスク352、354の回転量、したがって、出力軸350の回転量は、ピン390A、390Bの移動が、チャネル355B、355Aの閉じられた端部で制約されることにより、制限されることに留意すべきである。
【0073】
図8及び図9に示された実施の形態では、延長アーム330は、送りねじ部材360及び一連のギヤを介して第1のディスク352に連結されている。選択された特定の構成は、第1のディスク352の回転を第2のディスク354の回転と同期させるために、延長アーム330の動きを第1のディスク352のどの程度の回転動に変換すべきかに、及び/又は駆動軸310の第1のディスクに対する相対的な位置に基づいている。しかしながら、場合によっては、送りねじ部材360の一端に配置された単一のギヤで、延長アーム330及び送りねじ部材360を適切に連結できるであろう。
【0074】
第1及び第2のディスクは円形である必要はなく、他の要求されるどのような形状でもよいことに留意されたい。
【0075】
図10は回転出力を有するシステムの第6の実施の形態の平面図である。前の実施の形態と同様に、駆動軸510が回転すると出力軸550が回転することになるように、駆動軸510を出力軸550に連結する伝達手段540を有する伝達経路が設けられている。
【0076】
伝達経路に加えて、システムは2つのアレスタ経路を有するが、図10では、1つのみ全体が示されている。第1のアレスタ経路では、図10に示されているように、駆動軸510を回転することにより傘歯車を介して連結されている中間軸531、532が回転することになり、したがって第1のリングギヤ561Aが回転することになる。出力軸550は、それらの回転に直接連動しないで第1のリングギヤを通過している。
【0077】
第1のリングギヤ561Aは、第1の上側ギヤ567A及び第1の下側ギヤ567Bと部分的に(partially)噛み合っている。これは、第1のリングギヤ561Aと第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bの端面図(端部から視た図)である図11で最もよくわかる。第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bは、上側送りねじ部材560A及び下側送りねじ部材560Bそれぞれの第1の終端に連結されている。上側及び下側の送りねじ部材560A、560Bのねじは、上側及び下側ナット570A、560Bそれぞれと噛み合っている。図5に示されたものと同様の方法で、細長い連結部材575が、第1のナット570Aを第2のナット570Bに連結している。ピン590は連結部材575に取り付けられ、又は一体化され、出力軸550のチャネル555内に突出している。したがって、歯付き部分585が第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと噛み合うとき、第1のリングギヤ561Aが回転すると、送りねじ部材560A、560Bが回転し、したがって、ピン590が直線移動することになる。
【0078】
図11で分かるように、第1のリングギヤ561Aは、第1及び第2の歯付き部分585を介して上側及び下側ギヤ567A、567Bと部分的に噛み合っている。歯付き部分585は、第1のリングギヤ561Aの外面の径方向両側部分に配置されていて、それぞれが、第1のリングギヤ561Aの周のほぼ4分の1を占めている。したがって、第1のリングギヤ561Aが連続的に回転すると、歯付き部分585は第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと交互に噛み合い、1回の噛み合いは、ほぼ90度回転する間行われる。
【0079】
本実施の形態では、ナット570A、570Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの一端に位置していると、歯付き部分585が第1の上側及び下側のギヤ567A、567Bと係合し、ナット570A、57Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの他端に達すると、歯付き部分585が第1の上側及び下側のギヤ567A、567Bから外れるように、第1のアレスタ経路は調整されている。
【0080】
第1のアレスタ経路に加えて、第2のアレスタ経路が設けられている。第2のアレスタ経路は、駆動軸510が回転すると延長アーム530が直線移動することになるように、駆動軸510に連結されている延長アーム530を有している。延長アーム530は、延長アーム530が直線移動すると第2のリングギヤ561Bが回転することになるように、第2のリングギヤ561Bと噛み合っている。
【0081】
第2のリングギヤ561Bは、第2のリングギヤ561Bの第1及び第2の歯付き部分を介して、第2の上側及び下側ギヤ568A、568Bと部分的に(partially)噛み合っている。第2のリングギヤ561Bの歯付き部分は、第1のリングギヤ561Aのものとほぼ同じであるが、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585の間の隙間と一致するように、角度がずらされている。このようにして、第2のリングギヤ561Bの歯付き部分は、ナット570A、570Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの一端に位置していると、第2の上側及び下側ギヤ568A、568Bそれぞれと係合し、ナット570A、57Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの他端に達すると、第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bから外れる。
【0082】
第1及び第2のアレスタ経路は、第1のリングギヤ561Aが第1の上側及び/又は下側ギヤ567A、567Bと係合するときは、第2のリングギヤは第2の上側及び/又は下側リングギヤ568A、568Bと係合せず、第2のリングギヤ561Bが第2の上側及び/又は下側ギヤ568A、568Bと係合するときは、第1のリングギヤ561Aが第1の上側及び/又は下側リングギヤ567A、567Bと係合しないように配置されている。
【0083】
第1及び第2のアレスタ経路は、第1のリングギヤ561Aがピン590を第1の方向に直線移動させ、一方、第2のリングギヤ561Bが、第1の方向と反対の第2の方向にピン590を直線移動させるように配置される。例えば、第1のリングギヤ561Aは第2のリングギヤ561Bと反対方向に回転できるように構成される。この場合、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585が第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと係合すると、送りねじ部材560A、560Bが回転し、したがって、ピン590が第1の方向に直線移動することになる。
【0084】
第1のリングギヤ561Aが一定量回転した後、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585は第1のギヤ567A、567Bから外れ、送りねじ部材はもはや回転せず、したがって、ピン590の第1の方向への移動も生じない。この時点で、第2のリングギヤの歯付き部分587は、第2の上側及び下側のギヤ568A、568Bと噛み合うようになり、したがって、送りねじ部材560A、560Bの回転が引き起こされる。第2のリングギヤ561Bは第1のリングギヤ561Aと反対方向に回転しているので、第2のリングギヤ561Bの回転はただちに(now)、ピン590を第1の方向と反対の第2の方向に直線状に移動させる。
【0085】
システムが所定の回転出力を提供しているときは、第1のリングギヤ561Aは、ピン590に接続されると、ピンを第1の方向に直線移動させ、第2のリングギヤ561Bは、ピン590に接続されると、第1の方向とは反対の第2の方向にピンを直線移動させる。これらの流れ(formats)のどの時点でも第1及び第2のリングギヤ561A、561Bの一方のみがピン590に接続されることができるので、また、第1及び第2のリングギヤ561A、561Bは、接続時間を交互にしてピン590に接続されるので、第1及び第2のリングギヤ561A、561Bが連続して回転すると、ピンが直線状のピンのコースに沿って前後に移動することになる。
【0086】
システムが所定の出力を提供しているときは、ピン590の直線移動は軸550の回転出力と同期している。すなわち、駆動軸510がどのように回転しても、ピンのコースと整合するチャネル555の部分がピンの位置と一致するように、ピン590の直線移動は軸550の回転動と同期する。両方のアレスタ経路がピン590を直線状に動かすので、両方のアレスタ経路は出力軸の回転に対して、したがって互いに、同期する。特に、ピン590の直線状のコースに沿った前後への移動は、これらの流れの中で、リングギヤ561A、561Bの一方が送りねじ部材560A、560Bと係合してピン590を移動させると、他方のリングギヤは送りねじ部材560A、560Bと係合せず、したがってピン590の移動を生じさせないように構成されているアレスタ経路に依存している。しかしながら、アレスタ経路の一方に、所定通りにはもはや作動できないような障害が発生すると、他方のリングギヤが上側及び下側ギヤそれぞれに、そして送りねじ部材560A、560Bに係合している時点で、一方のアレスタ経路はそのアレスタ経路のリングギヤを上側及び下側のギヤそれぞれに、したがって送りねじ部材560A、560Bに係合させ始める。この場合、第2のリングギヤ561Bが送りねじ部材560A、560Bと係合しているのに、第1のリングギヤ561Aが、送りねじ部材560A、560Bと係合することとなる。リングギヤ同士は異なる方向に回転しているので、それぞれのリングギヤは送りねじ部材560A、560Bの端部に反対方向の回転力を加えることになる。したがって、送りねじ部材560A、560Bは動かなくなり、それゆえ、ピン590はもはや直線状のコースに沿って移動せず、それによって、出力軸550のさらなる回転が防止される。
【0087】
同様に、伝達経路に所定通りにはもはや作動できないような障害が発生すると、出力軸550はもはや所定通りに回転しない。このような場合、出力軸550の回転とピン590の直線移動の間の同期性は失われる。ピン590及び出力軸550の動作が同期しなくなる場合、ピンが案内路の側壁に当接して出力軸のさらなる回転を制限するように、コースと整合している案内路の部分は、ピンの位置に一致しないこととなる。
【0088】
システムが所定の回転出力を提供しているときは、ピン590はチャネルに沿って前後に移動し、出力軸550は回転する。図10に示された実施の形態では、出力軸は連続的に回転し、したがって、出力軸550が回転し、ピン590が、チャネル555の側壁に当接しないでチャネルに沿って前後に移動するように、チャネルは適当な形状を備えている。例えば、チャネル555は、終端同士を接続して連続したループ形状を構成するような連続チャネルとすることができる。
【0089】
図10は、それぞれがナットを駆動する2本の送りねじ部材の間に、ピンを支持する連結部材を設けた構成(図5に示されたものと同様の形)を示しているが、単一の送りねじ部材を、単一のナット及び関連するピン(図1乃至図3に示されたものと同様の形)とともに使用できることに留意されたい。
【0090】
また、2つのリングギヤの歯付き部分が互いにずらされているなら、そして2つ以上の送りねじ部材が互いに同期して駆動されるのならば、リングギヤが有する歯付き部分を少なくすることも多くすることもできることに留意されたい。
【0091】
図10は、2つのアレスタ経路、すなわち第1のリングギヤ561Aを駆動する図の左側の第1のアレスタ経路と、第2のリングギヤ561Bを駆動する図の右側の第2のアレスタ経路を示している。しかしながら、代わりに、図の左側に第1のリングギヤ561Aを駆動するための1つ以上のアレスタ経路を有することができることに留意されたい。その代わりに又は追加的に、図の右側に第2のリングギヤ561Bを駆動するための1つ以上のアレスタ経路を有することができる。図のどちら側のアレスタ経路も、駆動軸510が回転するとピン590が移動することになるように、ギヤ、傘歯車、又は他の適切な構成部品を適切に配置して構成できる。
【0092】
図12は回転出力を有するシステムの第7の実施の形態の平面図である。本実施の形態では、駆動軸614及び出力軸650は、それらの長さ方向の軸が互いに直交するように配置されている。したがって、本発明は、駆動軸及び出力軸が互いに異なる方向を向いている回転システムとして具体化されることとなることに留意されたい。
【0093】
図12は、駆動軸10が回転すると出力軸50が回転することになるように、伝達経路が駆動軸614を出力軸650に連結する一方法を示している。本実施の形態では、駆動軸610は送りねじ部材である。駆動軸610のねじはナット620と噛み合っている。駆動軸610が回転すると延長アーム630が移動することになるように、ナット620は延長アーム630に取り付けられ、又は一体化されている。延長アーム630の一端は、送りねじ部材 660の一端に位置する少なくとも1つのギヤと直接噛み合っている。したがって、駆動軸610が回転すると、延長アーム630の直線移動によって送りねじ部材660が回転することになる。
【0094】
ナット670は、ピン690に取り付けられ、又は一体化されている。送りねじ部材660が回転するとナット670及びピン690が直線移動することになるように、ナット670は送りねじ部材660のねじと噛み合っている。したがって、駆動軸610が回転すると、延長アーム630及び送りねじ部材660を介して、ピン690が比例して直線移動することになる。
【0095】
ピン690は、回転軸(rotatable shaft)658のチャネル655内に突出している。回転軸658は、出力軸650が回転すると回転軸658が回転し、したがってチャネル655が回転することになるように、接続手段651を介して出力軸650に連結されている。
【0096】
図12に示された形態では、伝達経路は、延長アーム630に取り付けられ、又は一体化されているトランスミッションアーム645を有している。したがって、延長アーム630と同様に、駆動軸610が回転すると、トランスミッションアーム645が直線移動することになる。トランスミッションアーム645の一端は、ギヤ642の少なくとも1つと噛み合っている。トランスミッションアーム645が直線移動すると出力軸650が回転することになるように、ギヤ642は出力軸650に取り付けられ、又は一体化されている。出力軸650は回転軸658に連結されているので、出力軸650が回転すると回転軸658が回転することになる。したがって、駆動軸610が回転するように駆動されると、ピン690が比例して直線移動し、回転軸658及びチャネル655が比例して回転することになる。
【0097】
システムが所定の出力を提供しているときは、ピン690はチャネル655に沿って移動し、出力軸650及び回転軸658は回転する。すなわち、ピン690のいかなる直線移動、及び/又は、出力軸650や回転軸658のいかなる回転に対しても、出力軸650が回転するにつれてチャネル655の少なくとも一部がピン690の位置と一致するように、ピン690の直線移動は出力軸650の回転と同期する。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
回転システムは長年用いられ、広範囲にわたる状況に適用することができるものである。一般に、回転システムは、回転駆動部、回転出力部並びに駆動部及び出力部の間で伝達を行うための伝達手段を有している。伝達手段は、駆動部の動きを変換及び/又は修正し、どんな出力が必要かにしたがって、修正した動きを出力部に適用するように設けられる。
【背景技術】
【0002】
さまざまな安全機構が、特定の状況下で回転システムが回転するのを防ぐために提案されてきた。
【0003】
例えば、ラチェット装置は、システムが逆方向に回転するのを防止するために用いることができる。ラチェット装置は、概略的には、外周に沿って走る歯列(rack of teeth)を有する円形の回転ギヤと、その歯に係合するピボットフィンガで構成されている。ギヤが順方向に回転するとき、フィンガは揺動し、ギヤの回転を阻止することなく、歯の緩やかに傾斜する側を乗り越えるように、歯は傾斜が急な側と傾斜が緩やかな側を有するような形状となっている。しかしながら、ギヤが反対方向へ回転しだすと、ピボットフィンガは、歯の傾斜が急な側と係合し、ギヤが反対方向に回転するのを阻止する。
【0004】
したがって、ラチェット装置は、一方向への回転は防げるが、他方向への回転は防げない。さらに、ギヤの歯の間には間隙が設けられているので、フィンガは、飛び飛びのポイントでラチェットに係合できるだけであり、したがって、ラチェットは、飛び飛びのポイントで逆方向への回転を止めることができるだけである。それゆえ、ラチェットがギヤを完全に停止させることができるまで、ギヤはまだ逆方向にいくらか動ける余地がある。
【0005】
さらに、ラチェット装置は信頼できるものではない。例えば、フィンガが歯に係合しないで逆方向にギヤが回転するといった場合もあり得る。フィンガがギヤの歯列に対して高い位置にあり、ギヤが逆方向に回転すると、フィンガがその高い位置で動けなくなったり又はつっかえてしまい、したがってギヤと係合できなくなる場合に、逆方向に動き始めると、こういったことが起こり得る。
【0006】
摩擦力を回転装置に加えることにより回転システムを停止させる、様々なタイプの制動機構もまた提案されてきた。例えば、ドラムの回転に不具合が生じたとき、回転ドラムの周りを通る金属製の部品をアクチュエータを用いて締めつけることができる。あるいは、回転軸にディスクブレーキを配置し、キャリパーを用いてディスクに摩擦力を加え、軸の回転を減速して最終的に軸の回転を停めることができる。しかしながら、このような摩擦に基づく制動システムは、センサが回転システムの回転を停めるべき原因を検知したときに、制動手段を作動させるための制御システムを必要とする。さらに、このような制動システムでは、制動手段の作動と回転体の完全な停止との間にしばしば遅れが生じる。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって、回転出力を有するシステムが提供される。このシステムは、
駆動軸と、
前記駆動軸が回転するとピンのコースに沿ってピンが移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結するアレスタ経路と、
前記システムからの出力を供給するか、又は前記システムからの出力を供給する軸に連結された出力軸であり、この出力軸が回転すると、異なる部分が前記ピンのコースと整合するように構成されている案内路と結び付けられた出力軸と、
前記駆動軸が回転すると前記出力軸が回転することになるように、前記駆動軸を前記出力軸に連結する伝達経路と、を備え、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期しているときは、駆動部品がどのように回転していても、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンの位置と一致し、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していないときは、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンが前記案内路の側壁に当接して前記出力軸のさらなる回転を制限するように、前記ピンの位置とは一致しないように構成されているものである。
【0008】
回転システムが正確で一貫した回転出力を供給することは一般的に望ましい。したがって、出力軸は駆動軸に連結されているので、駆動軸の回転及び出力軸の回転が互いに調和し続ける(remain consistent)ことが一般的に望ましい。しかしながら、時間が経つと、システム所定の回転出力をもはや提供しなくなる、といった障害がシステムで生じることがあり得る。例えば、駆動軸と出力軸の間の結合が完全に切断される、といった最悪の障害がシステムで生じることもあり得よう。このようなシナリオでは、出力軸は自由に回転し、あるいは「惰性で動き」、もはや駆動軸の回転に依存しないであろう。
【0009】
あるいは、システムの障害は、構成部品が損傷し、及び/又は摩耗して、所定通りにはもはや機能しないために起こることもある。このような損傷及び/又は摩耗は、駆動軸の回転と出力軸の回転との関係に影響を及ぼすことがあり、したがって、結果的に、システムによって提供される実際の出力と、通常期待される出力との間に不一致が生じるおそれがある。
【0010】
いずれの場合においても、このような障害は望ましくはない。例えば、回転システムが、壊れやすい及び/又は貴重な物を上げたり下げたりするために用いられる場合は、物が突然予想外のあるいは望ましくない量動くと、その物を損傷させることになりかねない。加えて、物を上げたり下げたりする間に最悪の障害が起これば、出力軸は自由に回転し、したがって、どのような物であっても自由に落ちることになってしまう。
【0011】
同様の理由で、このシステムが人、例えば病院患者を持ち上げたり降ろしたりするために用いられる場合は、このような障害は望ましくない。ここで、患者の突然の望ましくないあるいは予想外の動きは、患者にさらに怪我を負わせたり苦痛をもたらしかねないので、望ましくない。
【0012】
正しく機能しているときには出力軸の回転を許容するが、システム内に障害が生じたときには回転システムの回転による出力の提供を阻止するシステムを提供することにより、本発明は、このような障害が起こった場合に回転システムが出力するのを防止している。
【0013】
本発明の提供するシステムでは、ピンの移動が出力軸の回転と同期しているときは回転出力を提供し、異常発生の際にはピンの移動が出力軸の回転と同期しないのでピンが案内路に沿って移動できず、案内路の側壁にピンが当接するためシステムが出力を提供しないという結果になり、回転出力の提供が阻止される。したがって、本発明は、回転システムが期待するあるいは所定の出力を提供しないといった異常が回転システムに発生したとき、回転出力を阻止することができるシステムを備えた回転システムを提供する。
【0014】
好ましくは、駆動軸が回転すると、ピンが比例して移動し、出力軸が比例して回転することになる。
【0015】
好ましくは、アレスタ経路は自動ロック手段を備える。この場合、アレスタ経路は、駆動軸に連結された入力と、ピンに連結された出力を有している。ピンがアレスタ経路の出力端部と連結されているため、ピンに力を加えてもピンは移動せず、したがって出力軸も動かない。これにより、アレスタ経路に入力が行われないと、ピンは移動しないし、したがって出力軸は回転しないこととなる。あるいは又はさらに、伝達経路は自動ロック手段を備えることができる。
【0016】
アレスタ経路が自動ロック手段を備える場合、この自動ロック手段は送りねじ部材を有していることが好ましい。この送りねじ部材は、送りねじ部材が回転するとピンがピンのコースに沿って移動することになるように、直接又は間接的にピンとねじ係合している。ピンに力を加えても、送りねじ部材は回転せず、したがって、ピンは自動でロックされ移動しない。代わりに、この自動ロック手段は、ウォーム駆動又は他の適当な自動ロック装置とすることができる。
【0017】
案内路は出力軸のチャネルであることが好ましい。このチャネルは、出力軸を完全に貫通して延びる(projects)貫通チャネルとすることができる。あるいは、チャネルは、出力軸の一部に入り込んで延びている(projects partially into)袋チャネルとすることができる。いずれにせよ、ピンの移動が出力軸の回転と同期していないときは、ピンはチャネルの側壁に当接し、出力軸がさらに回転するのを制限する。
【0018】
案内路は、出力軸の表面からの1つ以上の突起を備えることができる。この場合、ピンの移動が出力軸の回転と同期していないと、ピンはこの1つ以上の突起の側部に当接し、出力軸がさらに回転するのを制限する。
【0019】
案内路が出力軸の貫通チャネルである場合、ピンは出力軸のチャネルを完全に貫通し、チャネルを越えて延びていることが好ましい。これにより、ピンのコースに沿ったピンの移動をピンの両端で制御することが可能となる。
【0020】
好ましくは、ピンは、ピンのコースとほぼ整合するガイド内に、又はガイドを貫通して延びている。ガイドはピンのコースに対して固定され、システムを収容しているケースと一体にすることができる。ガイドはピンをピンのコースに沿って案内することに加えて、例えば出力軸の回転により、ピンがピンのコースから外れて動かされるのを防ぐ(helping to prevent)ように機能する。より具体的には、出力軸が回転しているが、ピンの移動と同期していない場合、出力軸の案内路の側壁がピンに当接する。出力軸が有するモーメントは、ピンに力を加えるほど比較的大きいかもしれない。ガイドによって、ピンの支持されていない部分の長さを減らし、それにより、より小型のピンを使うことができるようにし、負荷をケースと分担する。さらに、ガイドを使用することにより、システムの特性の変更が可能となり、負荷を分離するのを助け、出力軸から加えられた力がピンとアレスタ経路間の接続部へ伝達するのを防いでいる。
【0021】
ピンの移動は、ほぼ直線状のピンのコースに沿って行われるのが好ましい。しかしながら、ピンはその代わりに概略的にはカーブしているピンのコースに沿って移動することができる。案内路の形状は、ピンのコース及び出力軸がどのように回転すべきかによって決まる。
【0022】
好ましい形態では、駆動軸が回転するとピンがピンのコースに沿って移動することになるようにピンを駆動軸に連結する1つ以上の追加のアレスタ経路を、システムは有している。この場合、システムが出力を提供するために、それぞれのアレスタ経路によって提供されるピンへの連結は、ピンの移動が出力軸の回転と同期するようなものでなければならない。すなわち、ピンが同期して移動し続けることになっている場合、それぞれのアレスタ経路の構成部品は所定通りに機能し続けなければならない。アレスタ経路のどれか1つに障害が起こった場合、他のアレスタ経路の構成部品がどのように機能しているかに関係なく、ピンの移動は出力軸の回転と同期しなくなる。
【0023】
システムが複数のアレスタ経路を有している場合、それぞれのアレスタ経路は、アレスタ経路1つを有するシステムについて上述したすべての特徴を備えることができる。それぞれのアレスタ経路の特徴は、他のアレスタ経路の特徴と同一とすることも、異ならせることもできる。例えば、一方のアレスタ経路は送りねじ部材を有することができるが、他方のアレスタ経路がウォーム駆動を有することができる。
【0024】
システムが1つ以上のアレスタ経路を含む場合、アレスタ経路の間でシステムの構成部品を共有することができる。構成部品を共有することにより、システムの複雑さを最小限にできるばかりでなく、必要なコストやスペースを減らすことができる。しかしながら、システムの構成部品をそれぞれのアレスタ経路に別々に設けることが好ましい場合もある。例えば、システムが自動ロック手段を有している場合、それぞれのアレスタ経路が別々に自動ロック手段を備えることが好ましいこともある。この場合には、システム障害の際に自動ロック手段が自動でロックできないように、一のアレスタ経路の自動ロック手段が障害を受けた場合、他のアレスタ経路の自動ロック手段が依然として自動でロックでき、したがってピンが移動するのを防ぎ、そして出力軸の好ましくない回転を防ぐことができる、という利点がある。
【0025】
案内路が出力軸を貫通するチャネルであり、そして、ピンがこのチャネルを完全に貫通して延びている場合、一方のアレスタ経路がピンの第1の端部に連結され、別のアレスタ経路がピンの第2の端部に連結されるようにすることができる。ここでは、それぞれのアレスタ経路は、駆動軸の回転をピンのそれぞれの端部の動きにつなげる。したがって、ピンの移動が出力軸の回転と同期するためには、ピンの両端部での動きは互いに対して同期していなくてはならない。
【0026】
好ましい形態では、アレスタ経路が交互にピンを駆動軸に連結するように、2つ以上のアレスタ経路が交互にピンと係合する。この場合は、それぞれのアレスタ経路は、駆動軸及び出力軸が回転しているときに、ピンがピンのコースに沿って前後に移動できるように、他のアレスタ経路によって引き起こされる移動の方向と異なる方向にピンを移動させるものとして構成できる。これは、駆動軸及び出力軸が、完全な1回転を超えて回転するシステムに特に有用である。
【0027】
システムは、1つ以上の追加のピンを有することができる。複数のアレスタ経路が設けられる場合、駆動軸が回転するとそれぞれのピンがそのピンのコースに沿って移動することとなるように、それぞれのピンを1つ以上のアレスタ経路によって駆動軸に連結することができる。システムが出力を提供するために、それぞれのピンの移動は出力軸の回転と同期しなければならない。
【0028】
追加のピンそれぞれは、個々にそれぞれの案内路と結び付けることができる。あるいは、2つ以上のピンは同じ案内路に結び付けることができる。例えば、案内路が貫通チャネルである場合、1つのピンが第1の端部からチャネル内に延び、一方、第2のピンは第2の端部からチャネル内へ延びる。
【0029】
第1の回転部材にピンを設け、第1の回転部材を、第2の案内路を有し、駆動軸が回転すると、回転部材、ピン及び第2の案内路が回転することになるように配置することができる。第2の回転部材に出力軸と結び付けられている第2のピン及び案内路を設け、第2の回転部材を、駆動軸が回転すると、第2の回転部材で出力軸が回転し、第2のピンが第2の概略的にカーブしているコースに沿って移動することになるように、出力軸に結合することができる。第1の回転部材の回転が第2の回転部材の回転と同期していると、第2のピンは第2の案内路に沿って移動し、そして、第1の回転部材に連結されているピンは第2の回転部材と結び付けられている案内路に沿って移動する。第1の回転部材の回転が第2の回転部材の回転と同期しないときには、第2のピンは第2の案内路の側壁に当接し、そして、第1の回転部材に連結されたピンは、第2の回転部材の案内路の側壁に当接して、出力軸がさらに回転するのを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
さて、本発明の実施の形態は、添付の図面を参照し、ほんの一例として説明される。
【図1】回転出力を有するシステムの第1の実施の形態の概略図である。
【図2】図1の回転出力を有するシステムの側面図である。
【図3】図1の回転出力を有するシステムの端面図である。
【図4】回転出力を有するシステムの第2の実施の形態の概略図である。
【図5】図4のシステムの側面図である。
【図6】回転出力を有するシステムの第3の実施の形態の平面図である。
【図7】回転出力を有するシステムの第4の実施の形態の側面図である。
【図8】回転出力を有するシステムの第5の実施の形態の側面図である。
【図9】図8のシステムの平面図である。
【図10】回転出力を有するシステムの第6の実施の形態の平面図である。
【図11】第1のリングギヤ及び第1の上側ギヤ及び下側ギヤの端面図である。
【図12】回転出力を有するシステムの第7の実施の形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
図1は、回転出力を有するシステムの第1の実施の形態を示す概略図、図2は、図1の左側から見たときの図1のシステムを示す図、図3は、図1の下側から見たときの図1のシステムを示す図である。
【0032】
第1の実施の形態では、伝達手段40を介して、駆動軸10を出力軸50に連結している伝達経路が構成されている。図1に示されているように、駆動軸10が回転すると、出力軸50が比例して回転することとなるように、伝達手段40は駆動軸10及び出力軸50の両方に連結されている。駆動軸10の動き及び力を出力軸50に伝達できるギヤ又はその他の適切な構成部品のいろいろな配置によって伝達手段40を構成することができる。伝達手段40は、所定のとおり、駆動軸10から伝達される動き及び力を変換及び/又は修正し、その修正された動きを出力軸50に適用できるように構成されている。
【0033】
図1乃至図3に示すように、伝達経路に加えて、アレスタ経路(arrestor path)も設けられている。アレスタ経路は、駆動軸10が回転するとピン90がそれに比例した動き(a proportional motion)をすることとなるように、ピン90を延長アーム30を介して駆動軸10に連結している。図1に示された実施の形態では、ピン90はほぼ直線状の経路を移動する。出力軸50の回転及びピン90のほぼ直線状の移動は、駆動軸10の回転と関連している。
【0034】
ピン90は、出力軸50に形成されている案内路55を貫通し又は案内路55内に突出している。案内路は、出力軸50を貫通して延びているチャネルとして示されているが、出力軸50に形成されたスロット、出力軸50からの突起又はその他の適切な形に形成されたものとすることができるであろう。
【0035】
出力軸の回転によりチャネルの異なる部分がピンのコースと整合するようにチャネル55は形成される。チャネル55の詳細な形状は図1乃至図3には示されていないが、チャネル55は、例えば、ほぼ螺旋形のあるいはカーブする斜めの外形を有することができるであろう。チャネル55の形状はピンの移動と出力軸の回転との間の期待される関係によって決まる。
【0036】
システムが予期される回転出力をもたらすときは、ピン90がコースに沿って直線的に動き、出力軸50は回転する。駆動軸10がどのように回転しても、出力軸50が回転するとき、ピンのコースと整合しているチャネル55の部分がピン90の位置と一致するように、ピン90の直線的な動きは出力軸50の回転と同期する。例えば、出力軸50が回転すると、ピン90が、ほぼ直線状に動き続けている間中、チャネル55の対向する側面からほぼ等距離のままで、したがって、チャネル55の対向する側面と接触しないでいるように、システムを構成できる。これを容易にするために、チャネル55の形状は適切に構成されなければならず、軸50の回転及びピン90の直線状の動きは互いに同期しなければならない。
【0037】
出力軸50を回転させるためには、またしたがって、システムが出力を提供するためには、ピン90の直線状の動きは軸50の回転出力と同期しなければならない。同期すると、出力軸50が回転するにつれてピン90はチャネル55に沿って移動し、システムは出力を提供できることとなる。
【0038】
ピン90と軸50の同期した動きは、ピン90及び軸50を駆動する経路、すなわち、アレスタ経路及び伝達経路の構成要素に依存している。システムが期待どおりの出力を提供し続けるためには、伝達経路の構成要素及びアレスタ経路の構成要素は、出力軸50及びピン90を同期して動かし続けるように、出力軸50及びピン90に作用し続けなければならない。アレスタ経路又は伝達経路の構成要素が損傷又は摩耗した場合、ピン90及び出力軸50の相対的な動きはもはや同期しない。
【0039】
同期が失われると、チャネル55の配置個所に対するピン90の位置はもはや期待又は意図されたようにはならない。この場合、ピン90及び/又は出力軸50が動き続けると、ピンがチャネル55の側壁に押し付けられることになり、出力軸50のさらなる回転は制限される。より詳しくは、ピン90とチャネル55の当接により、出力軸50の動きへの対抗力が生じ、出力軸50のさらなる回転が阻止される。この力の大きさは、システムが失った同期性の程度に依存している。
【0040】
2つの経路が同期性を失う(come out of synchronisation)ときにシステムが停止能力を有するということは、システムに障害が出て予期通りに機能しなくなったときに予期しない及び/又は望ましくないシステムの回転出力が阻止されることを意味している。この障害は、構成部品の1つ又はすべての完全な障害でなければならない必要は必ずしもなく、障害が一方の経路の構成部品の部分的な摩耗である状況も含んでいる。システムを停止させる磨耗の度合いは、どのぐらい精密にシステムを調整するかに依存する。例えば、チャネル55の表面とピン90の間の隙間を狭くすることによって、構成部品の軽微な摩耗の場合でも、システムをより停止しやすくできるであろう。ここで、狭い隙間は、ピン90又は出力軸50の一方の予期した動きからの非常にわずかなずれだけでも、ピン90とチャネル55の表面とが接触することになり、それゆえに、システムが停止することを意味する。あるいは、チャネル55の表面とピン90の間に大きい隙間を設けることは、構成部品の軽微な、場合によってはたいしたことのない摩耗だけではシステムを停止させることにはならないが、累積した又はさらに著しい磨耗あるいは障害によってシステムを停止させることができるであろう、ということを意味する。
【0041】
図1乃至図3に示された特定の形態(example)では、駆動軸10は歯付部分16と噛み合わされている。歯付部分16は、延長アーム30の第1の端部に取り付けられ又は一体化されている。延長アーム30の第2の端部はギヤ61と噛み合わされ、このギヤ61は、一連のさらなるギヤを介して、送りねじ部材60と噛み合っている。ピン90に取り付けられているナット70は、送りねじ部材60の回転によって、ナット70、したがってピン90が送りねじ部材60の軸とほぼ平行な方向に並進移動(translate)するように、送りねじ部材60と噛み合わされている。延長アーム30と送りねじ部材60を連結しているギヤの特定の構成は、ピン90の直線的動き(linear motion)を出力軸50の回転と同期させるためには、延長アーム30の動きをピン90のどの程度の直線的動きに変換する必要があるかによって決まる。ピン90の動き及び出力軸の回転とのピン90の同期化に影響する他の要因としては、送りねじ部材60の長さ及びねじピッチがあり得る。場合によっては、送りねじ部材60の一端に配置された単一のギヤで延長アーム30と送りねじ部材60を適切に連結することもあることに留意されたい。あるいは、ピン90は、延長アーム30の第2の端部又は他の部分に直接取り付けたり一体化したりすることができる。
【0042】
ピン90は、出力軸50内のチャネル55内に貫通して突出しているが、ピン90がチャネル55内全体に突出する必要は必ずしもなく、むしろ一部だけチャネル55内に突出していることもあることに留意されたい。
【0043】
駆動軸10が、それ自体でシステムに直接駆動力を供給するように構成できる。あるいは又はさらに、駆動機構によって駆動軸10が直接又は間接的に駆動されるように構成できる。図1乃至図3において、駆動機構は、システムの内側にあり、駆動軸10に間接的に作用している。この場合、歯付き部分16が、送りねじ部材14と噛み合わされたナット20に取り付けられ又は一体化されている。送りねじ部材14は、駆動機構、例えばアクチュエータによって駆動される。ここでは、駆動された送りねじ部材14によって歯付き部分16が直線移動し、駆動軸10を回転動させるが、それゆえ、駆動手段は間接的に駆動軸10を駆動することとなる。駆動機構はシステムの外側にあり駆動軸10に直接作用できるが、このような場合、歯付き部分16は延長アームをガイドする作用をなす軸によって支持されることができるということに留意されたい。
【0044】
駆動軸10が歯付き部分16と噛み合わされる場合には、歯付き部分16は駆動軸10の回転に比例して直線移動してその結果、延長アーム30が直線移動することになる。延長アーム30の第2の端部とギヤ61との噛み合いによって、アーム30の直線移動をギヤ61の回転動に変換する。一連のギヤ61、62、63及び65を介して、延長アーム30の直線移動は、送りねじ部材60の回転動に変換される。送りねじ部材60はナット70と噛み合っているので、送りねじ部材60が回転すると、ナット70が直線移動し、したがって、送りねじ部材60の長さ方向の軸に沿ってピン90が直線移動する。ピン90の移動が出力軸50の回転と同期しているときには、出力軸50の回転につれて、ピン90は直線状のコースに沿って移動する。
【0045】
ピン90がねじ取り付けされている送りねじ部材60を使用し、自動ロック式アレスタを構成できる。特に、ピン90が直接又は間接的に送りねじ部材60とねじ係合しているので、送りねじ部材60が回転するとき、ピン90は直線状に移動できるだけである。したがって、アレスタ経路の形成時にピン90に力が加わってもピン90は移動せず、出力軸50は移動できないことになる。例えば、ピン90が出力軸50のチャネル55の側壁に当接していれば、出力軸はピン90に力を加えることができるであろう。送りねじ部材60が、ナット70及びピン90がスライド可能に係合する単なる軌道であるのならば、出力軸50によってピン90に力が加えられると、ピン90は軌道に沿ってスライドし、それゆえ、システム内で障害が起こったとしても、出力軸50は回転してしまうであろう。しかしながら、ナット70が送りねじ部材60のような自動ロック手段とねじ係合しているため、ナット70及びピン90の移動は送りねじ部材60の回転によってのみ達成され、したがって、ナット70及びピン90が出力軸50からの力によって長手方向に移動することはない。そこで、ピン90及び出力軸50の動きが同期しないようなシステム内の障害が起こると、ピン90に力が加わっても、加わった力によってピン90が直線状のコースに沿って移動することはなく、それゆえ、出力軸50は回転できず、システムは停止されたままとなる。
【0046】
図1から分かるように、少なくともピン90の一部は、ガイド80内に突出し、このガイド80はピンのコースに対して固定されている。この形態では、ガイド80はシステムを収納しているケースのチャネルである。ガイド80は、ピン90を進行コースに沿ってガイドする手段として作用することに加え、例えば出力軸50の回転によって、ピン90がピンのコースから外れて動かないように補助する作用を行う。例えば、出力軸50が回転しているが、ピン90の動きと同期しない場合、チャネル55の側壁がピン90に当接する。出力軸50によって生じるモーメントは、ピン90に力を加えるような比較的大きいものである場合がある。ガイド80は、ピン90の支持されていない部分の長さを減らし、それによって、より小型のピンを、ケースと荷重を分担しながら使用できるようにする。さらに、ガイド80を使用することにより、システムの特性を変更でき、荷重の分離(isolating load)を助け、出力軸5から加えられた力が、ピン90とアレスタ経路の間の接続部に伝達されないようにしている。
【0047】
チャネル55と同様に、ガイド80の幅、したがって、ガイド面とピン90の表面との間の隙間又は距離は変えることができる。小さい隙間又は距離だと、ピン90の予期する動き又は角度がわずかに変化しただけで、面の間で接触が起きることを意味する。障害の際にシステムを停止する手段は、さらに、ピン90によって変形できるようなピン90より軟らかい材料でガイド80の面を形成又は被覆してもよい。しかしその材料は、ガイド80が変形してピン90の動きを抑制するように作用し、それによりシステムを停止させるのを補助できるような十分な強度を有している。
【0048】
伝達経路とアレスタ経路が同期しないときに出力軸50の回転を防ぐことができることに加えて、アレスタの使用により、出力軸50が一定の範囲を超えて回転するのを防ぐことができる。これは、ピンのコースの範囲を制限することにより達成できる。ピンのコースの範囲は、例えば、チャネル55の長さを制限することにより、又は送りねじ部材60の長さを制限することにより、あるいはアレスタ経路がピン90に提供できる直線移動の距離を制限することにより達成できる。
【0049】
図1乃至図3は、システムが期待通りに作動しないときに回転を防止するアレスタ経路を1つ備えた回転システムを示している。しかしながら、他の実施の形態では、回転システムは、システムの回転を止めるための複数のアレスタ経路を有する場合がある。回転システムが複数のアレスタ経路を有している場合、システムが正しく作動して出力を提供するために、それぞれのアレスタ経路自体が伝達経路に対して同期し、したがって、互いに同期しなくてはならない。
【0050】
図4は、回転出力を提供するシステムの第2の実施の形態の概略図である。図4のシステムは第2のアレスタ経路を有している点が明らかな違いだが、図示された回転システムは図1に示されたものと類似している。
【0051】
より具体的には、駆動軸110は第1及び第2の歯付き部分116A、116Bと噛み合い、第1及び第2の歯付き部分116A、116Bに対して回転する。第1及び第2の歯付き部分116A、116Bはそれぞれ、第1及び第2の延長アーム130A、130Bに一体化されているか、又は、取り付けられていて、そして、第1及び第2の延長アーム130A、130Bはそれぞれ、第1及び第2のギヤ161A、161Bと噛み合っている。第1のギヤ161Aは、一連のギヤを介して第1の送りねじ部材160Aに連結され、そして、この第1の送りねじ部材160Aは第1のナット170Aと噛み合っている。第2のギヤ161Bは、一連のギヤを介して第2の送りねじ部材160Bに連結され、そして、この第2の送りねじ部材160Bが第2のナット170Bと噛み合っている。しかしながら、第1及び第2のギヤ161A、161Bがそれぞれ、送りねじ部材160A、160Bと一連のギヤを介して噛み合う必要はなく、代わりに第1及び第2のギヤ161A、160Bをそれぞれ、送りねじ部材160A、160Bの一端に配置することもあり得ることに留意されたい。
【0052】
図5は図4のシステムの側面図である。図5に最もよく示されているが、細長い連結部材175が第1のナット170Aを第2のナット170Bに連結している。詳しくは、細長い連結部材175の第1の端部は第1のナット170Aに取り付けられ、又は、一体化されていて、一方、細長い連結部材175の第2の端部は、第2のナット170Bに取り付けられ、又は、一体化されている。ピン190は連結部材175に取り付けられ、又は、一体化されている。ピン190は、第1の実施の形態について記載したように、出力軸150内のチャネル155又はその他の案内路内に突出し、あるいはチャネル155又はその他の案内路を貫通して突出している。第1の実施の形態と同様に、ピン190も、ピンのコースに対して固定された、ピンのコースとほぼ平行なガイド80内に突出することができる。
【0053】
図4及び図5に示された形態では、チャネル155は概略的にカーブする斜めの形状を有している。しかしながら、チャネル155は、この実施の形態では、又は他のどんな実施の形態でも、軸150の回転につれて、ピン190がピンのコースに沿って予定通りに動くのを可能とする他の適切な形状を有することができる。チャネル155の形状は、具体的なピンのコース及び出力軸50の意図された回転によって決まる。例えば、チャネル155が螺旋形又はS形状、直線状か湾曲した斜め形状、あるいは、放物線形状、又はそれらを組合せた形状とすることができる。
【0054】
前の実施の形態と同様に、駆動軸110が回転すると出力軸150が回転することになるように、伝達経路は駆動軸110と出力軸150の両方に連結されている伝達手段140を有している。伝達手段140は、所定どおりに駆動軸110から伝達される動きや力を変換又は調整でき、調整した動きや力を出力軸55に加えることができるギヤ又は他の適切な構成部品で構成することが可能である。
【0055】
システムが所定の回転出力を供給するためには、このコースと整合するチャネル155の部分が、駆動軸110がどのように回転しても、ピン190の位置と一致するように、ピン190の直線移動は出力軸150の回転と同期しなければならない。しかしながら、2つの動きが、例えば伝達手段140の構成部品の障害のために同期しなければ、コースと整合する案内路155の部分はピン190の位置と一致しなくなり、ピンがチャネル155の側壁に当接して出力軸150のさらなる回転を制限する。
【0056】
図4及び図5に示された実施の形態では、第1の歯付き部分116Aは、第2の歯付き部分116Bの面と径方向反対側の駆動軸110の面と噛み合っている。したがって、駆動軸110が回転すると、歯付き部分116A、116B及びそれらの対応する延長アーム130A、130Bは直線方向で反対方向に駆動されることになる。したがって、例えば、ナット17OA、17OBを両方とも確実に同じ方向に駆動するために、アレスタ経路のどちらか一方に追加のギヤを設けたり、送りねじ部材160A、160Bの一方に時計回りのねじを設け、他方に反時計回りのねじを設けたり、及び/又はアーム130A,130Bの相対的な位置及び構成を調整したりして、必要な作動出力を提供することとなるであろう。
【0057】
送りねじ部材160A、160Bが異なる速度でそれぞれのナット170A、170Bを駆動する場合、連結部材175はねじれ、送りねじ部材160A、160Bに対してもはや垂直ではなくなる。ここでは、ナット170A、170Bは送りねじ部材160A、160Bのねじに引っかかってしまう。したがって、2つのアレスタ経路の一方に何らかの摩耗又は損傷がある場合には、ナット170A、170Bの移動は変化し、ナット170A、170Bは所定位置に固定されて、ピン190が移動できないようになり、したがって、出力軸150がさらに回転できず、システムが停止する。
【0058】
図6は、回転出力を有するシステムの第3の実施の形態の平面図である。本実施の形態では、第1のアレスタ経路と、第2のアレスタ経路が設けられている。本実施の形態では、アレスタ経路は、構成部品、すなわち、送りねじ部材260を共有している。第1のアレスタ経路の第1の延長アーム230Aは、送りねじ部材260の第1の端部に配置された第1のギヤ261Aと噛み合い、一方、第2のアレスタ経路の第2の延長アーム230Bは、送りねじ部材260の第2の端部に配置された第2のギヤ261Bと噛み合っている。ピン290に一体化された、又は取り付けられたナット270は、送りねじ部材260のねじと噛み合い、第1の実施の形態について記載されたように作用する。
【0059】
異なる駆動力が送りねじ部材260の両端に加えられるように2つのアレスタ経路の移動が同期していない場合、送りねじ部材260は回転せず、したがって、ピン290は移動せず、それによって、動かないピン290がチャネルの側壁に当接するために、出力軸250の回転は阻止される。
【0060】
オプションとしての、ブリッジ部材を第1及び第2の延長アーム230A、230Bの間に設けることができる。図6に示された実施の形態では、ブリッジ部材は伸縮可能な可撓性を有するブリッジ部材238である。例えば、可撓性のブリッジ部材238は、テレスコープ部材又は弾性材製とすることができる。このようなブリッジ部材238は、アーム230A、230Bが互いに同じ方向へ移動することを可能とし、また、アーム230A、230Bが互いに反対方向へ移動することも可能とする。しかしながら、アーム230A、230Bが互いに反対方向に移動するときは、ブリッジ部材はそれらの移動範囲を制限するよう作用する。
【0061】
代わりに、ブリッジ部材は剛性を有するものとすることができることに留意されたい。剛性を有するブリッジ部材は、アーム230A、230Bが同じ直線方向に移動するときに、アーム230A、230Bの構造的剛性を高めるための補助を行い、アーム230A、230Bが、互いに反対方向に移動しないようにする。
【0062】
図7は、回転出力を有するシステムの第4の実施の形態の側面図である。この実施の形態では、案内路は、出力軸450を貫通して延びるチャネル455である。ピン490は、出力軸450のチャネル455を完全に貫通して突出し、第1の端部491Aが第1のナット470Aに取り付けられ、又は一体化されていて、第2の端部491Bが第2のナット470Bに取り付けられ、又は一体化されている。ナット470A、470Bはそれぞれ、その対応する送りねじ部材460A、460Bと噛み合っている。ピンのそれぞれの端部491A、491Bは、異なるアレスタ経路によって駆動軸410に連結されている。すなわち、駆動軸410が回転するとピン490の各端部が移動することになるように、ピンの第1の端部491Aは第1のアレスタ経路を介して駆動軸410に連結され、ピンの第2の端部491Bは第2のアレスタ経路を介して駆動軸410に連結されている。
【0063】
システムが所定の回転出力を提供するためには、ピン490がチャネル455の側壁に当接しないで、ピンのコースに沿ってピン490が移動し、出力軸が回転するといったように、ピンの両端部491A、491Bの移動が出力軸450の回転動と同期しなければならない。ピンの端部491A、491Bそれぞれの移動は、それらのそれぞれのアレスタ経路によって支配されるので、両方のアレスタ経路は、システムが出力を提供するために、出力軸455の回転と同期しなければならない。
【0064】
図7に示された実施の形態では、両方のアレスタ経路の入力部は、それぞれの歯付き部分416A、416Bを介して、駆動軸410に直接連結され、アレスタ経路は第1の実施の形態についての記載とほぼ同様に機能する。しかしながら、アレスタ経路の一方又は両方は、アレスタ経路が間接的に駆動軸410に連結されるように、代わりにシステム内の他の構成部品から入力を受けることができる。例えば、第2のアレスタ経路が伝達手段440内の構成部品、例えば回転ギヤから入力を受けるように、システムを構成することができる。
【0065】
駆動軸が回転することにより、第2のアレスタ経路が連結された回転ギヤが回転し、したがって、第2のアレスタ経路は間接的に駆動軸410に連結されていることになる。
【0066】
図8は、システムの第5の実施の形態を示している。この実施の形態では、延長アーム330を有するアレスタ経路が設けられている。延長アーム330は、前の実施の形態について記載したものと同様の方法で、駆動軸に噛み合わされている。延長アーム330は、歯付ラック368及び一連のギヤ361、362、363、364を介して送りねじ部材360に噛み合わされている。ナット370が、送りねじ部材360のねじに噛み合わされている。ナット370は、ギヤ377と噛み合っている歯付き部材373に取り付けられ、又は一体化されている。ギヤ377は、第1のピン390A及び第2のチャネル355Aを有する第1のディスク352に取り付けられ、又は一体化されている。第1のピン390Aは、第2のディスク354の第1のチャネル355B内に突出している。第2のディスク354は、第1のディスクとほぼ平行な面上に配置され、第1のディスク352の第2のチャネル355A内に突出する第2のピン390Bを有している。
【0067】
図9は図8のシステムの平面図である。図9から分かるように、第2のディスク354は、出力軸350が回転すると第2のディスク354が回転するように、出力軸350に連結されている。第2のディスク354もまた、出力軸350に一体化できることに留意されたい。
【0068】
他の実施の形態と同様に、駆動軸310が回転すると出力軸350が回転することとなるように、伝達経路が駆動軸310を出力軸350に伝達手段340を介して連結している。
【0069】
アレスタ経路では、駆動軸310が回転すると延長アーム330が、図9で左から右に、そして、右から左に直線移動することになる。この結果、歯付きラック368が直線移動してギヤ361、362、363、364が回転し、このギヤの回転にしたがって送りねじ部材360が回転することになる。送りねじ部材を回転させることにより、ナット370を直線移動させ、その結果、ギヤ377と第1のディスク352を回転させる。
【0070】
システムが所定の又は求められる回転出力を提供するときは、第1及び第2のピン390A、390Bがそれぞれのチャネル355B、355Aに沿って移動するように、ディスク352、354が互いに同期して回転動を行う。ディスク352、354が同期して回転しなければ、第1及び第2のピン390A、390Bは、それぞれのチャネル355B、355Aの側壁に当接し、ディスク352、354を停止させ、それによって、ディスク352,354のさらなる回転、したがって、出力軸350のさらなる回転を制限する。
【0071】
同期化に加えて、図8及び図9に示されているシステムが所定の回転出力を提供するためには、ディスク352、354は互いに反対方向に回転しなければならない。これは、それぞれのディスク352、354の回転を一方向だけに制限する趣旨ではなく、正しくは、一方のディスクが一方向へ回転するときに他方のディスクは反対方向に回転することを要求するものである。例えば、第1のディスクが時計回り方向に回転する場合は第2のディスクは反時計回り方向に回転し、そして、この逆の場合もある。ディスク352、354が同じ方向に回転し、又は同期しないで回転するときは、第1及び第2のピン390A、390Bがそれぞれのチャネル355B、355Aの側壁に当接し、それゆえ、ディスク352、354の回転が阻害されることとなるような形状をチャネル355A、355Bは有している。
【0072】
ディスク352、354の回転量、したがって、出力軸350の回転量は、ピン390A、390Bの移動が、チャネル355B、355Aの閉じられた端部で制約されることにより、制限されることに留意すべきである。
【0073】
図8及び図9に示された実施の形態では、延長アーム330は、送りねじ部材360及び一連のギヤを介して第1のディスク352に連結されている。選択された特定の構成は、第1のディスク352の回転を第2のディスク354の回転と同期させるために、延長アーム330の動きを第1のディスク352のどの程度の回転動に変換すべきかに、及び/又は駆動軸310の第1のディスクに対する相対的な位置に基づいている。しかしながら、場合によっては、送りねじ部材360の一端に配置された単一のギヤで、延長アーム330及び送りねじ部材360を適切に連結できるであろう。
【0074】
第1及び第2のディスクは円形である必要はなく、他の要求されるどのような形状でもよいことに留意されたい。
【0075】
図10は回転出力を有するシステムの第6の実施の形態の平面図である。前の実施の形態と同様に、駆動軸510が回転すると出力軸550が回転することになるように、駆動軸510を出力軸550に連結する伝達手段540を有する伝達経路が設けられている。
【0076】
伝達経路に加えて、システムは2つのアレスタ経路を有するが、図10では、1つのみ全体が示されている。第1のアレスタ経路では、図10に示されているように、駆動軸510を回転することにより傘歯車を介して連結されている中間軸531、532が回転することになり、したがって第1のリングギヤ561Aが回転することになる。出力軸550は、それらの回転に直接連動しないで第1のリングギヤを通過している。
【0077】
第1のリングギヤ561Aは、第1の上側ギヤ567A及び第1の下側ギヤ567Bと部分的に(partially)噛み合っている。これは、第1のリングギヤ561Aと第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bの端面図(端部から視た図)である図11で最もよくわかる。第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bは、上側送りねじ部材560A及び下側送りねじ部材560Bそれぞれの第1の終端に連結されている。上側及び下側の送りねじ部材560A、560Bのねじは、上側及び下側ナット570A、560Bそれぞれと噛み合っている。図5に示されたものと同様の方法で、細長い連結部材575が、第1のナット570Aを第2のナット570Bに連結している。ピン590は連結部材575に取り付けられ、又は一体化され、出力軸550のチャネル555内に突出している。したがって、歯付き部分585が第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと噛み合うとき、第1のリングギヤ561Aが回転すると、送りねじ部材560A、560Bが回転し、したがって、ピン590が直線移動することになる。
【0078】
図11で分かるように、第1のリングギヤ561Aは、第1及び第2の歯付き部分585を介して上側及び下側ギヤ567A、567Bと部分的に噛み合っている。歯付き部分585は、第1のリングギヤ561Aの外面の径方向両側部分に配置されていて、それぞれが、第1のリングギヤ561Aの周のほぼ4分の1を占めている。したがって、第1のリングギヤ561Aが連続的に回転すると、歯付き部分585は第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと交互に噛み合い、1回の噛み合いは、ほぼ90度回転する間行われる。
【0079】
本実施の形態では、ナット570A、570Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの一端に位置していると、歯付き部分585が第1の上側及び下側のギヤ567A、567Bと係合し、ナット570A、57Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの他端に達すると、歯付き部分585が第1の上側及び下側のギヤ567A、567Bから外れるように、第1のアレスタ経路は調整されている。
【0080】
第1のアレスタ経路に加えて、第2のアレスタ経路が設けられている。第2のアレスタ経路は、駆動軸510が回転すると延長アーム530が直線移動することになるように、駆動軸510に連結されている延長アーム530を有している。延長アーム530は、延長アーム530が直線移動すると第2のリングギヤ561Bが回転することになるように、第2のリングギヤ561Bと噛み合っている。
【0081】
第2のリングギヤ561Bは、第2のリングギヤ561Bの第1及び第2の歯付き部分を介して、第2の上側及び下側ギヤ568A、568Bと部分的に(partially)噛み合っている。第2のリングギヤ561Bの歯付き部分は、第1のリングギヤ561Aのものとほぼ同じであるが、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585の間の隙間と一致するように、角度がずらされている。このようにして、第2のリングギヤ561Bの歯付き部分は、ナット570A、570Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの一端に位置していると、第2の上側及び下側ギヤ568A、568Bそれぞれと係合し、ナット570A、57Bがそれぞれの送りねじ部材560A、560Bの他端に達すると、第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bから外れる。
【0082】
第1及び第2のアレスタ経路は、第1のリングギヤ561Aが第1の上側及び/又は下側ギヤ567A、567Bと係合するときは、第2のリングギヤは第2の上側及び/又は下側リングギヤ568A、568Bと係合せず、第2のリングギヤ561Bが第2の上側及び/又は下側ギヤ568A、568Bと係合するときは、第1のリングギヤ561Aが第1の上側及び/又は下側リングギヤ567A、567Bと係合しないように配置されている。
【0083】
第1及び第2のアレスタ経路は、第1のリングギヤ561Aがピン590を第1の方向に直線移動させ、一方、第2のリングギヤ561Bが、第1の方向と反対の第2の方向にピン590を直線移動させるように配置される。例えば、第1のリングギヤ561Aは第2のリングギヤ561Bと反対方向に回転できるように構成される。この場合、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585が第1の上側及び下側ギヤ567A、567Bと係合すると、送りねじ部材560A、560Bが回転し、したがって、ピン590が第1の方向に直線移動することになる。
【0084】
第1のリングギヤ561Aが一定量回転した後、第1のリングギヤ561Aの歯付き部分585は第1のギヤ567A、567Bから外れ、送りねじ部材はもはや回転せず、したがって、ピン590の第1の方向への移動も生じない。この時点で、第2のリングギヤの歯付き部分587は、第2の上側及び下側のギヤ568A、568Bと噛み合うようになり、したがって、送りねじ部材560A、560Bの回転が引き起こされる。第2のリングギヤ561Bは第1のリングギヤ561Aと反対方向に回転しているので、第2のリングギヤ561Bの回転はただちに(now)、ピン590を第1の方向と反対の第2の方向に直線状に移動させる。
【0085】
システムが所定の回転出力を提供しているときは、第1のリングギヤ561Aは、ピン590に接続されると、ピンを第1の方向に直線移動させ、第2のリングギヤ561Bは、ピン590に接続されると、第1の方向とは反対の第2の方向にピンを直線移動させる。これらの流れ(formats)のどの時点でも第1及び第2のリングギヤ561A、561Bの一方のみがピン590に接続されることができるので、また、第1及び第2のリングギヤ561A、561Bは、接続時間を交互にしてピン590に接続されるので、第1及び第2のリングギヤ561A、561Bが連続して回転すると、ピンが直線状のピンのコースに沿って前後に移動することになる。
【0086】
システムが所定の出力を提供しているときは、ピン590の直線移動は軸550の回転出力と同期している。すなわち、駆動軸510がどのように回転しても、ピンのコースと整合するチャネル555の部分がピンの位置と一致するように、ピン590の直線移動は軸550の回転動と同期する。両方のアレスタ経路がピン590を直線状に動かすので、両方のアレスタ経路は出力軸の回転に対して、したがって互いに、同期する。特に、ピン590の直線状のコースに沿った前後への移動は、これらの流れの中で、リングギヤ561A、561Bの一方が送りねじ部材560A、560Bと係合してピン590を移動させると、他方のリングギヤは送りねじ部材560A、560Bと係合せず、したがってピン590の移動を生じさせないように構成されているアレスタ経路に依存している。しかしながら、アレスタ経路の一方に、所定通りにはもはや作動できないような障害が発生すると、他方のリングギヤが上側及び下側ギヤそれぞれに、そして送りねじ部材560A、560Bに係合している時点で、一方のアレスタ経路はそのアレスタ経路のリングギヤを上側及び下側のギヤそれぞれに、したがって送りねじ部材560A、560Bに係合させ始める。この場合、第2のリングギヤ561Bが送りねじ部材560A、560Bと係合しているのに、第1のリングギヤ561Aが、送りねじ部材560A、560Bと係合することとなる。リングギヤ同士は異なる方向に回転しているので、それぞれのリングギヤは送りねじ部材560A、560Bの端部に反対方向の回転力を加えることになる。したがって、送りねじ部材560A、560Bは動かなくなり、それゆえ、ピン590はもはや直線状のコースに沿って移動せず、それによって、出力軸550のさらなる回転が防止される。
【0087】
同様に、伝達経路に所定通りにはもはや作動できないような障害が発生すると、出力軸550はもはや所定通りに回転しない。このような場合、出力軸550の回転とピン590の直線移動の間の同期性は失われる。ピン590及び出力軸550の動作が同期しなくなる場合、ピンが案内路の側壁に当接して出力軸のさらなる回転を制限するように、コースと整合している案内路の部分は、ピンの位置に一致しないこととなる。
【0088】
システムが所定の回転出力を提供しているときは、ピン590はチャネルに沿って前後に移動し、出力軸550は回転する。図10に示された実施の形態では、出力軸は連続的に回転し、したがって、出力軸550が回転し、ピン590が、チャネル555の側壁に当接しないでチャネルに沿って前後に移動するように、チャネルは適当な形状を備えている。例えば、チャネル555は、終端同士を接続して連続したループ形状を構成するような連続チャネルとすることができる。
【0089】
図10は、それぞれがナットを駆動する2本の送りねじ部材の間に、ピンを支持する連結部材を設けた構成(図5に示されたものと同様の形)を示しているが、単一の送りねじ部材を、単一のナット及び関連するピン(図1乃至図3に示されたものと同様の形)とともに使用できることに留意されたい。
【0090】
また、2つのリングギヤの歯付き部分が互いにずらされているなら、そして2つ以上の送りねじ部材が互いに同期して駆動されるのならば、リングギヤが有する歯付き部分を少なくすることも多くすることもできることに留意されたい。
【0091】
図10は、2つのアレスタ経路、すなわち第1のリングギヤ561Aを駆動する図の左側の第1のアレスタ経路と、第2のリングギヤ561Bを駆動する図の右側の第2のアレスタ経路を示している。しかしながら、代わりに、図の左側に第1のリングギヤ561Aを駆動するための1つ以上のアレスタ経路を有することができることに留意されたい。その代わりに又は追加的に、図の右側に第2のリングギヤ561Bを駆動するための1つ以上のアレスタ経路を有することができる。図のどちら側のアレスタ経路も、駆動軸510が回転するとピン590が移動することになるように、ギヤ、傘歯車、又は他の適切な構成部品を適切に配置して構成できる。
【0092】
図12は回転出力を有するシステムの第7の実施の形態の平面図である。本実施の形態では、駆動軸614及び出力軸650は、それらの長さ方向の軸が互いに直交するように配置されている。したがって、本発明は、駆動軸及び出力軸が互いに異なる方向を向いている回転システムとして具体化されることとなることに留意されたい。
【0093】
図12は、駆動軸10が回転すると出力軸50が回転することになるように、伝達経路が駆動軸614を出力軸650に連結する一方法を示している。本実施の形態では、駆動軸610は送りねじ部材である。駆動軸610のねじはナット620と噛み合っている。駆動軸610が回転すると延長アーム630が移動することになるように、ナット620は延長アーム630に取り付けられ、又は一体化されている。延長アーム630の一端は、送りねじ部材 660の一端に位置する少なくとも1つのギヤと直接噛み合っている。したがって、駆動軸610が回転すると、延長アーム630の直線移動によって送りねじ部材660が回転することになる。
【0094】
ナット670は、ピン690に取り付けられ、又は一体化されている。送りねじ部材660が回転するとナット670及びピン690が直線移動することになるように、ナット670は送りねじ部材660のねじと噛み合っている。したがって、駆動軸610が回転すると、延長アーム630及び送りねじ部材660を介して、ピン690が比例して直線移動することになる。
【0095】
ピン690は、回転軸(rotatable shaft)658のチャネル655内に突出している。回転軸658は、出力軸650が回転すると回転軸658が回転し、したがってチャネル655が回転することになるように、接続手段651を介して出力軸650に連結されている。
【0096】
図12に示された形態では、伝達経路は、延長アーム630に取り付けられ、又は一体化されているトランスミッションアーム645を有している。したがって、延長アーム630と同様に、駆動軸610が回転すると、トランスミッションアーム645が直線移動することになる。トランスミッションアーム645の一端は、ギヤ642の少なくとも1つと噛み合っている。トランスミッションアーム645が直線移動すると出力軸650が回転することになるように、ギヤ642は出力軸650に取り付けられ、又は一体化されている。出力軸650は回転軸658に連結されているので、出力軸650が回転すると回転軸658が回転することになる。したがって、駆動軸610が回転するように駆動されると、ピン690が比例して直線移動し、回転軸658及びチャネル655が比例して回転することになる。
【0097】
システムが所定の出力を提供しているときは、ピン690はチャネル655に沿って移動し、出力軸650及び回転軸658は回転する。すなわち、ピン690のいかなる直線移動、及び/又は、出力軸650や回転軸658のいかなる回転に対しても、出力軸650が回転するにつれてチャネル655の少なくとも一部がピン690の位置と一致するように、ピン690の直線移動は出力軸650の回転と同期する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転出力を有するシステムであって、
駆動軸と、
前記駆動軸が回転するとピンのコースに沿ってピンが移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結するアレスタ経路と、
前記システムからの出力を供給するか、又は前記システムからの出力を供給する軸に連結された出力軸であり、この出力軸が回転すると、異なる部分が前記ピンのコースと整合するように構成されている案内路と結び付けられた出力軸と、
前記駆動軸が回転すると前記出力軸が回転することになるように、前記駆動軸を前記出力軸に連結する伝達経路(transmission path)と、を備え、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期しているときは、前記駆動軸がどのように回転していても、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は前記ピンの位置と一致し、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していないときは、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンが前記案内路の側壁に当接して前記出力軸のさらなる回転を制限するように、前記ピンの位置とは一致しないように構成されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記駆動軸が回転すると、前記出力軸が比例して回転することになる、ことを特徴とする請求項1記載の回転出力を有するシステム。
【請求項3】
前記システムは自動ロック式である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の回転出力を有するシステム。
【請求項4】
前記自動ロック手段は送りねじ部材を有し、前記送りねじ部材は、この送りねじ部材が回転すると前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動することになるように、直接又は間接的に前記ピンとねじ係合している、ことを特徴とする請求項3記載の回転出力を有するシステム。
【請求項5】
前記案内路はチャネルを備えている、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項6】
前記チャネルは、前記出力軸の一部に入り込んで延びている袋チャネルを備えている、ことを特徴とする請求項5記載の回転出力を有するシステム。
【請求項7】
前記チャネルは、前記出力軸を完全に貫通して延びる(projects)貫通チャネルを備えている、ことを特徴とする請求項5記載の回転出力を有するシステム。
【請求項8】
前記ピンは前記出力軸の前記チャネルを完全に貫通し、前記チャネルを越えて延びている、ことを特徴とする請求項7記載の回転出力を有するシステム。
【請求項9】
前記ピンは、前記ピンのコースとほぼ整合するラインであるガイド内に、又はガイドを貫通して延びていて、前記ガイドは前記ピンのコースに対して固定されている、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項10】
前記ガイドは、回転出力を有する前記システムを収容しているケースと一体である、ことを特徴とする請求項9記載の回転出力を有するシステム。
【請求項11】
前記駆動軸が回転すると前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結する1つ以上の追加のアレスタ経路をさらに有している、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項12】
前記アレスタ経路間で前記システムの構成部品を共有している、ことを特徴とする請求項11記載の回転出力を有するシステム。
【請求項13】
それぞれのアレスタ経路は自動ロック式である、ことを特徴とする請求項11記載の回転出力を有するシステム。
【請求項14】
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していると、前記ピンの両端部がともに動くように、一方のアレスタ経路が前記ピンの第1の端部に連結され、別のアレスタ経路が前記ピンの第2の端部に連結されている、ことを特徴とする、請求項8に従属する場合の請求項11乃至13のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項15】
前記駆動軸が回転すると、前記アレスタ経路が交互に前記ピンを前記駆動軸に連結し、前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動するように、2つ以上のアレスタ経路が交互に前記ピンと係合する、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項16】
1つ以上の追加のピンをさらに有している、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項17】
それぞれのアレスタ経路は、前記駆動軸が回転すると関連するアレスタ経路のピンがその関連するピンのコースに沿って移動することになるように、別々に前記駆動軸を関連するピンに連結している、ことを特徴とする請求項11に従属する場合の請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記ピンのコースはほぼ直線状である、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
前記ピンのコースは概略的にカーブしている、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
前記ピンは第1の回転部材に設けられ、前記第1の回転部材は、第2の案内路を有し、前記駆動軸が回転すると、前記回転部材、前記ピン及び前記第2の案内路が回転することになるように配置され、
前記出力軸と結び付けられている第2のピン及び案内路が第2の回転部材に設けられ、前記第2の回転部材は、前記駆動軸が回転すると、前記第2のピンが概略的にカーブしている第2のコースに沿って移動することになるように、前記出力軸に連結されていて、
前記第1の回転部材の回転が前記第2の回転部材の回転と同期していると、前記第2のピンは前記第2の案内路に沿って移動し、前記第1の回転部材に連結されている前記ピンは前記第2の回転部材と結び付けられている前記案内路に沿って移動し、
前記第1の回転部材の回転が前記第2の回転部材の回転と同期しないときには、前記第2のピンは前記第2の案内路の側壁に当接し、前記第1の回転部材に連結された前記ピンは、前記第2の回転部材の前記案内路の前記側壁に当接して、前記出力軸がさらに回転するのを防ぐように構成されている、ことを特徴とする請求項19記載のシステム。
【請求項1】
回転出力を有するシステムであって、
駆動軸と、
前記駆動軸が回転するとピンのコースに沿ってピンが移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結するアレスタ経路と、
前記システムからの出力を供給するか、又は前記システムからの出力を供給する軸に連結された出力軸であり、この出力軸が回転すると、異なる部分が前記ピンのコースと整合するように構成されている案内路と結び付けられた出力軸と、
前記駆動軸が回転すると前記出力軸が回転することになるように、前記駆動軸を前記出力軸に連結する伝達経路(transmission path)と、を備え、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期しているときは、前記駆動軸がどのように回転していても、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は前記ピンの位置と一致し、
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していないときは、前記ピンのコースと整合する前記案内路の前記部分は、前記ピンが前記案内路の側壁に当接して前記出力軸のさらなる回転を制限するように、前記ピンの位置とは一致しないように構成されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記駆動軸が回転すると、前記出力軸が比例して回転することになる、ことを特徴とする請求項1記載の回転出力を有するシステム。
【請求項3】
前記システムは自動ロック式である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の回転出力を有するシステム。
【請求項4】
前記自動ロック手段は送りねじ部材を有し、前記送りねじ部材は、この送りねじ部材が回転すると前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動することになるように、直接又は間接的に前記ピンとねじ係合している、ことを特徴とする請求項3記載の回転出力を有するシステム。
【請求項5】
前記案内路はチャネルを備えている、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項6】
前記チャネルは、前記出力軸の一部に入り込んで延びている袋チャネルを備えている、ことを特徴とする請求項5記載の回転出力を有するシステム。
【請求項7】
前記チャネルは、前記出力軸を完全に貫通して延びる(projects)貫通チャネルを備えている、ことを特徴とする請求項5記載の回転出力を有するシステム。
【請求項8】
前記ピンは前記出力軸の前記チャネルを完全に貫通し、前記チャネルを越えて延びている、ことを特徴とする請求項7記載の回転出力を有するシステム。
【請求項9】
前記ピンは、前記ピンのコースとほぼ整合するラインであるガイド内に、又はガイドを貫通して延びていて、前記ガイドは前記ピンのコースに対して固定されている、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項10】
前記ガイドは、回転出力を有する前記システムを収容しているケースと一体である、ことを特徴とする請求項9記載の回転出力を有するシステム。
【請求項11】
前記駆動軸が回転すると前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動することになるように前記ピンを前記駆動軸に連結する1つ以上の追加のアレスタ経路をさらに有している、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項12】
前記アレスタ経路間で前記システムの構成部品を共有している、ことを特徴とする請求項11記載の回転出力を有するシステム。
【請求項13】
それぞれのアレスタ経路は自動ロック式である、ことを特徴とする請求項11記載の回転出力を有するシステム。
【請求項14】
前記ピンの移動が前記出力軸の回転と同期していると、前記ピンの両端部がともに動くように、一方のアレスタ経路が前記ピンの第1の端部に連結され、別のアレスタ経路が前記ピンの第2の端部に連結されている、ことを特徴とする、請求項8に従属する場合の請求項11乃至13のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項15】
前記駆動軸が回転すると、前記アレスタ経路が交互に前記ピンを前記駆動軸に連結し、前記ピンが前記ピンのコースに沿って移動するように、2つ以上のアレスタ経路が交互に前記ピンと係合する、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載の回転出力を有するシステム。
【請求項16】
1つ以上の追加のピンをさらに有している、ことを特徴とする前の請求項のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項17】
それぞれのアレスタ経路は、前記駆動軸が回転すると関連するアレスタ経路のピンがその関連するピンのコースに沿って移動することになるように、別々に前記駆動軸を関連するピンに連結している、ことを特徴とする請求項11に従属する場合の請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記ピンのコースはほぼ直線状である、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
前記ピンのコースは概略的にカーブしている、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
前記ピンは第1の回転部材に設けられ、前記第1の回転部材は、第2の案内路を有し、前記駆動軸が回転すると、前記回転部材、前記ピン及び前記第2の案内路が回転することになるように配置され、
前記出力軸と結び付けられている第2のピン及び案内路が第2の回転部材に設けられ、前記第2の回転部材は、前記駆動軸が回転すると、前記第2のピンが概略的にカーブしている第2のコースに沿って移動することになるように、前記出力軸に連結されていて、
前記第1の回転部材の回転が前記第2の回転部材の回転と同期していると、前記第2のピンは前記第2の案内路に沿って移動し、前記第1の回転部材に連結されている前記ピンは前記第2の回転部材と結び付けられている前記案内路に沿って移動し、
前記第1の回転部材の回転が前記第2の回転部材の回転と同期しないときには、前記第2のピンは前記第2の案内路の側壁に当接し、前記第1の回転部材に連結された前記ピンは、前記第2の回転部材の前記案内路の前記側壁に当接して、前記出力軸がさらに回転するのを防ぐように構成されている、ことを特徴とする請求項19記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−518133(P2012−518133A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549653(P2011−549653)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000255
【国際公開番号】WO2010/092349
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511198818)コーコスト リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CORCOST LIMITED
【住所又は居所原語表記】22 Great Close, Cawood, Yorkshire, YO8 3UG (GB)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000255
【国際公開番号】WO2010/092349
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(511198818)コーコスト リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CORCOST LIMITED
【住所又は居所原語表記】22 Great Close, Cawood, Yorkshire, YO8 3UG (GB)
【Fターム(参考)】
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