説明

アレルギー処置のための、T細胞エピトープを含有している、TLR9およびCD32を結合する二重特異性分子

少なくとも一つの抗原の少なくとも一つのエピトープを含むTLR9およびCD32に結合し得る分子または分子複合体、その産生ならびに医薬品としての、特にアレルギーの処置のためのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上のT細胞抗原エピトープを含有するトル様受容体9(TLR9)およびCD32の両方に対する結合特異性を有する分子に関する。
【0002】
本発明は、さらに、これら分子の産生およびアレルギー処置のための医薬品製造のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
導入:
アレルギーは、環境(空気/水/食品)中のタンパク質に対する過敏反応であると考えられる。アレルゲンは、アトピー性患者がIgE抗体に反応し、その後アレルギー反応をもたらす抗原である。複合体または融合タンパク質における抗原は、環境アレルゲン(例えば、ハウスダスト、ダニ、樺の木花粉、草の花粉、ネコ抗原、ゴキブリ抗原)、または食品アレルゲン(例えば、ウシミルク、ピーナッツ、エビ、ダイズ)、または両方の組合せであり得る。IgE分子は、エフェクター細胞(マスト細胞、好塩基球および好酸球)活性化において機能するために重要である。最近、IgEは、B細胞および樹状細胞(DC)の抗原捕捉可能性を上流調節することによって、低親和性(CD23)および高親和性受容体(FcεRI)[1]の両方を通じて、アレルギー性疾患の誘導期において重要な役割を担い得ることが認められた。IgE抗体の負の機能は、アレルゲン特異的IgG抗体によって中和される。例えば、それらはB細胞から離れて単球およびDCに免疫応答を導くことが理由である[2]。さらに、それらは、アレルゲン結合部位に対してIgE分子と競合する。こうして、アレルゲン特異的IgG分子の誘導により、アレルギーを、処置、治療および予防する。
【0004】
IgG分子は、IgE分子についてはおよそ3日間に比べて、約3週間の血清半減期を有する。IgE分子は、メモリーB細胞およびプラズマ細胞中でIgEに変更するクラスを誘導するのに必要なCD40L発現と共に、IL-4およびIL-13を提供する(ナイーブ)B細胞およびTh2細胞間の相互作用により誘導される[3]。対照的に、IFN-γおよびIL-2を産生するTh1細胞は、IgGに変更するクラスを誘導する。従って、アレルゲンに対して応答するTh2ヘルパーT細胞よりもむしろTh1の誘導が、アレルギー性疾患の予防、処置および治癒に有価である。
【0005】
今ままでに、アレルゲンを用いる能動免疫のいくつかの形態が使用されてきた。最も一般的な形態は、アレルゲンの比較的高濃度を用いる常習的な免疫付与に依存するいわゆる"免疫治療"である。この技術は、少数のアレルギー性疾患、例えばハチ毒アレルギーにおいて、および鼻炎および結膜炎のある場合において、穏やかな効果があり、近年いくつかの報告は、喘息およびアトピー性皮膚炎における効果を示している。アレルゲンの量を増加させて短時間の枠内で注射される最近の急速減感作療法が若干良好な結果にて提案されている[4;5]。通常、皮下経路はアレルゲンの投与のために使用されるが、近年のこの経路は、経口用途または局所用途と比較され、結果は通常陽性であるが、いつも一定というわけではない。免疫治療のための様々な技術は、Saint-Remy(EP 0 178 085 および 0 287 361)に記載されており、これはイン・ビトロで関連のあるアレルゲンと複合体化される自己IgG抗体を使用する。この技術により、非常に少量のアレルゲンが、非常に少ない副作用と共に用いることが可能となった。
【0006】
これらの治療法の背後にあるメカニズムは明確ではない。典型的な治療において、特異的IgGの顕著な増加が免疫治療の成功と必ずしも相関されるというわけではないが、該治療が特異的IgG 抗体における増加を誘導する場合に有効であると思われる。なぜこうなのかという起こり得る議論は、B細胞、単球およびマスト細胞上のCD32に対してIgG抗体の比較的低い親和性である。Saint-Remy法では、患者由来の特異的IgG抗体を選択し、その後イン・ビトロで関連アレルゲンと混合する。このように、アレルゲンが細胞または細胞上の他の抗体のイソ型、例えばマスト細胞上でIgEと自由に反応できないことを保証する。さらに、それらは、抗イデオタイプ抗体が特異的IgG分子に対して生じることが請求項に記載されており、これは将来的にアレルギーを防ぐ。
【0007】
WO 97/07218において、アレルゲン抗CD32融合タンパク質が記載される。この文献では、単離化特異的IgG分子による問題およびCD32に対するこれらのIgG抗体の低い親和性が回避され、完全な“IgE 結合”アレルゲンを使用する古典的な免疫治療のリスクファクターが低減される。しかしながら、抗CD32含有ワクチンを樹状細胞に単に導くことを理由とするTh1メモリー応答の誘導は確認され得ない。
【0008】
アレルギー性疾患を処置する治療方法に対する徹底した研究をもってしても、いまだアレルギーの処置を成功させる医薬品を提供するための大きな需要がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、アレルギー疾患の処置のために改良された特性を有する新規分子を提供することである。
【0010】
本発明に従って、この目的は請求項の課題によって達成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の要約:
背景:
CD32は単球/樹状細胞およびB細胞上で強く発現する、そのため本発明の該分子は、B細胞によるアレルゲン提示を防止する意図でもって、特に樹状細胞(DC)によるアレルゲン提示を促進している間、免疫応答をこれらの重要な免疫細胞に誘導するよう設計され、後者はワクチンとして製剤され得る分子または分子複合体におけるアレルゲンに対するTh1応答の誘導を導く。最近の知識から、樹状細胞(DC)の2つの型:ミエロイド(mDC)および形質細胞様樹状細胞(pDC)[6] が存在することが示され、これはDC1およびDC2細胞の新しい2つの概念をもたらした[7]。この概念において、DC1細胞は、抗原の特異的刺激の後にTh1細胞成長の誘導を促進し、DC2細胞はTh2細胞の成長をサポートする。単球誘導性DC(またはmDC)は、一般的にDC1型であると考えられ、一方pDCはDC2型であると考えられる[6]。DCの両方の型がCD32を発現し、アレルゲン特異的T細胞応答を誘導する。しかしながら、この結果はTh1型であることを保証するものではない。実際には、アレルギー性ドナーにおいてTh2応答となりやすい[8]。重要なことには、pDCは、CpG-ODNs(非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴデオキシヌクレオチド[ODNs])を結合するTLR9受容体を発現する。pDCにおけるこの受容体の活性化は、IFN-αおよびIL-12の非常に強力な産生をもたらし[9]、Th1誘導を促進し、こうして潜在的なDC2をDC1細胞に変換する。
【0012】
従って、本発明の分子は、pDCにおけるTLR9受容体の活性化を、アレルゲン特異的Th1細胞の特異的刺激および誘導と組合せることが出来、そのため当初の概念に関する顕著な改善を含み得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、トル様受容体9およびCD32に対する結合特異性を有する分子または分子複合体を含み、ここで該分子または分子複合体は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一つのエピトープ、好ましくは少なくとも一つのT細胞エピトープを包含する。
【0014】
本発明の分子または分子複合体は、IgEを担持するマスト細胞のエフェクター機能を回避する。このT細胞エピトープの元々のアレルゲンが、融合タンパク質の部分であるように選択されている。
【0015】
好ましくは、本発明の分子または分子複合体は1以上の下記独特な特徴を有し得る:
・アレルゲン-特異的B-細胞を活性化しない、アレルゲン特異的Th1細胞の活性化および誘導
・アレルゲン特異的IgEまたはIgGにより、選択されたT細胞エピトープが本発明の分子または分子複合体において提示される天然のアレルゲンによって活性化されるようになり得るマスト細胞またはその他のエフェクター細胞を活性化しない、アレルゲン特異的Th1細胞の活性化および誘導。
【0016】
本発明の分子または分子複合体のCD32-結合部分は、完全な分子または分子複合体を内在化するべき関連細胞を選択する。
【0017】
抗原提示細胞による本発明の融合タンパク質の内在化後、本発明の分子が分解され、導入されたT細胞エピトープを包含する様々なペプチドが抗原提示細胞のMHCクラスII分子上で提示され、こうしてアレルゲン特異的T細胞を刺激する。
【0018】
本発明の分子または分子複合体に組込まれたTLR9-結合構造は、細胞質[10;11]のTLR9 受容体との結合により、アレルゲン特異的Th1メモリープールの誘導に必要である。TLR9受容体の活性化は、IFN-αおよびIL12産生[9]の強力な誘導をもたらす。
【0019】
本発明に従って、分子とは、共有結合による原子および/または他の分子から作られる一つの物質である。該分子は、一つのクラスの物質またはその組合せから作られ得る。物質のクラスは、例えば、ポリペプチド、炭水化物、リピド、核酸等である。
【0020】
分子複合体は、特異的にかつ強く互いに相互作用する分子の凝集体である。多様な分子の複合体は、疎水性相互作用(例えば、Fv中の抗体可変領域の結合)によるか、またはリガンド/受容体相互作用、例えば抗体-抗原結合またはアビジン-ビオチンを介して別のものと一つの分子を強力に結合することによるか、またはキレート化基および類似物を介して複合体形成により、形成され得る。
【0021】
抗原は、MHCクラスIまたはII分子によって提示される場合に、抗体、B-細胞受容体またはT細胞受容体によって認識され得る構造であり得る。
【0022】
エピトープとは、MHCクラスIまたはII分子によって提示される場合に、抗体、B-細胞受容体またはT細胞受容体内により、特異的に結合される最小構造である。特異性とは、特定の内容において、特定の分子構造(抗体/抗原における相互作用物はエピトープとも呼ばれる)に対して優先的な結合として定義される。
【0023】
ドメインは、タンパク質またはポリペプチドにおいて見出される離散領域である。モノマードメインは、隣接する元々のアミノ酸配列の非存在において、溶液中で元々の三次元構造を形成する。本発明のドメインは、CD32および/またはTLR9および/またはディスプレイまたは提示エピトープに特異的に結合する。ドメインは、一つのドメインまたはモノマードメインとして使用され得るか、またはダイマーおよび多量体ドメインを形成するように組合される。例えば、標的分子に結合する3次元構造を形成するポリペプチドは、モノマードメインである。
【0024】
本発明に従って、用語”抗体”は、抗体またはその抗体誘導体またはそのフラグメント、ならびにイムノグロブリンスーパーファミリー(例えば、可溶性T細胞受容体)の関連分子を包含する。抗体フラグメントのなかには、イムノグロブリン結合ドメインまたは小分子突然変異イムノグロブリンドメイン、またはFc領域またはFc領域に相同な領域またはその少なくとも一部と共にこの結合ドメインを擬態するペプチドを含む、あらゆるポリペプチドを包含する抗体の、機能的等価物またはホモログである。別のポリペプチドと融合される、イムノグロブリン結合ドメインまたは等価物を含むキメラ分子が包含される。
【0025】
アレルゲンは、アレルギー反応にて応答するアトピー性患者に対する抗原である。
【0026】
本発明の詳細な説明
本発明は、トル様受容体9(TLR9)およびFcγ受容体RII(CD32)と結合出来、そして少なくとも一つの抗原の少なくとも一つのエピトープを包含する分子または分子複合体を提供する。
【0027】
本発明の一つの実施形態において、分子または分子複合体は、少なくとも3つの部分を包含する。一つの部分はTLR9(一価、二価または多価)に特異的に結合する構造であり、別の部分は、CD32(一価、二価または多価)に特異的に結合する構造であり、少なくとも一つの別の部分は、抗原および/またはアレルゲンの1以上のT細胞エピトープである。該部分は、化学結合によるかまたは遺伝子融合によるか、または他の(非共有結合)相互作用、例えばリガンド受容体または抗体相互作用のいずれかと共に結合される独立した構造である。
【0028】
様々な部分間の結合は異なり得る。例えば、一つの好ましい実施形態において、TLR9とCD32との部分結合の間の結合は遺伝子的融合により、少なくとも一つのT細胞エピトープとの結合は受容体/リガンド相互作用(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン)による。かかる構成の利点は産生における柔軟性である。分子複合体の二重特異的な(抗TLR9/抗CD32)、一般的な部分は、全ての患者に対して同じ方法で産生でき、選択されたT細胞エピトープは、必要によって分子複合体の一般的な部分に結合される。選択は、疾病の流行または患者(特異的アレルギー)の個々の特異性試験の結果に基づき得る。複合体形成は、病院でまたはベッドサイドで、または診療所で行われ得る。
【0029】
同一または異なる化学クラスの様々な結合分子に関する分子の化学結合は、本発明の分子または分子複合体の様々な部分の定義された分子比率を与える多くの様々な技術によって達成され得る、本発明の分子または分子複合体の様々な部分の様々な分子比率にて分子の混合物ももたらし得る。
【0030】
本発明の様々な部分の割合は等モルまたは非等モルであり得る。分子は、TLR9および/またはCD32および/またはT細胞エピトープに結合のための一価分子であり得る。また、少なくとも一つの分子または分子複合体の一部分のための二価、三価および多価であり得る。TLR9および/またはCD32に対する結合が二価またはより高い価数であれば、該結合特異性は、CD32および/またはTLR9各々、1つまたは1つ以上のエピトープについて存在し得る。
【0031】
本発明の別の実施形態において、本発明の分子または分子複合体の一部分がTLR9およびCD32の両方に結合できるように、該分子の結合特異性はオーバーラップしている。かかる部分は、CD32およびTLR9の両方に結合するために分子を同時にスクリーニングによって、CD32およびTLR9の両方に結合する分子の設計によって選択され得る。例えば、タンパク質スキャッホルドは、CD32を結合するループおよびTLR9に結合する他のループを提示するために使用され得る。
【0032】
本発明のさらなる実施形態において、タンパク質スキャッホルドは、CD32を結合する構造、TLR9を結合する構造を提示するために、およびT細胞エピトープを提示するために使用され得る。
【0033】
特異的結合分子は、CD32およびTLR9およびその誘導体に対する天然のリガンドであり得る。例えば、イムノグロブリンのFc-部分はCD32に結合する。CpGはTLR9に対する天然リガンドである。
【0034】
特異的結合分子は、ペプチドであり得る。本発明のCD32-およびTLR9-特異的ペプチドは、様々な方法、例えばファージディスプレイ技術によって、またはコンビナトリアルペプチドライブライリーまたはペプチドアレイのスクリーニングによって選択され得る。該ペプチドは、様々な形態で、例えば直線、拘束または環状ペプチドで選択され、また使用され得る。該ペプチドは、安定性および/または特異性について化学的に修飾され得る。
【0035】
特異的に結合するペプチドは、リガンドの最小結合部位の単離により、TLR9とCD32に対する天然タンパク質様リガンドの相互作用の分析から得られ得る。
【0036】
特異的結合ペプチドは、本発明の分子または分子複合体において、そのままで使用され得るか、または他の構造内に、例えばタンパク質スキャッホルド、抗体およびタンパク質ドメイン中に、接合させることにより取り込むか、または発明の分子または分子複合体の一部分であってもよい担体分子に化学的に結合して、使用され得る。
【0037】
本発明の分子または分子複合体の結合部は、タンパク質、例えば抗体または抗体フラグメント(例えば、Fab、Fv、scFv、dAb、F(ab)2、ミニボディ、小分子突然変異イムノグロブリンドメイン、可溶性T細胞受容体等)を含み得る。抗体および抗体フラグメントおよび誘導体を作成して、既知の方法(例えばハイブリドーマ技術、B-細胞クローニング、ファージディスプレイ、抗体ライブライリーのリボソームディスプレイまたは細胞表面提示、変異体抗体のアレイスクリーニング)により、TLR9および/またはCD32との結合について選択できる。
【0038】
本発明の分子または分子複合体の結合部分は、天然のタンパク質ドメインまたは人工的に修飾されるドメインであり得る。タンパク質ドメインまたはドメイン派生物(例えば、変異、例えばアミノ酸置換、欠失または挿入など)を有するドメイン、または化学的に修飾されたドメインは、TLR9および/またはCD32への結合のために、既知の方法 (例えば、ドメインまたはドメイン変異体のライブライリーのファージおよび細胞表面提示およびスクリーニング、変異体分子のアレイおよびスクリーニング) に従って選択され得る。ドメインは、これに制限するものではないが、下記クラスからの分子である:
【0039】
EGF様ドメイン、クリングル-ドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、Glaドメイン、SRCRドメイン、Kunitz/Bovine膵臓のトリプシン阻害剤ドメイン、Kazal-型セリンプロテアーゼ阻害剤ドメイン、Trefoil(P-型)ドメイン、フォン・ウィルブラン因子型 C ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、チログロブリン 型 I リピート、LDL-受容体 クラスA ドメイン、スシドメイン、Linkドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、イムノグロブリンドメイン、イムノグロブリン様ドメイン、C-型 レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン・ウィルブラン因子型 A ドメイン、A-ドメイン、ソマトメジン B ドメイン、WAP型4ジスルフィド コアドメイン、F5/8 型 C ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、CTLA-4 ドメイン、C2 ドメイン。
【0040】
好ましい実施形態において、本発明の分子または分子複合体の結合部は、PCT/EP2006/050059に記載したとおり小分子突然変異イムノグロブリン ドメイン(SMID)を含む。
【0041】
本発明の分子または分子複合体の結合部は、既知の方法、例えばアプタマースクリーニングおよびイン・ビトロの評価技術に従ってTLR9および/またはCD32に対する特異的結合のために選択され得る核酸、例えばRNAまたはDNAであり得る。
【0042】
また、他の分子クラスはTLR9および/またはCD32に特異的結合を示し得ると解される。炭水化物、リピドおよび有機小分子を包含する上記したもの以外の他の化学物質のライブライリーは、TLR9および/またはCD32への特異的結合についてスクリーニングされ、そして本発明の分子または分子複合体中に導入され得る。
【0043】
本発明の好ましい実施形態は、少なくとも一つの抗原の少なくとも一つのエピトープ、TLR9と相互作用する少なくとも一つの結合部位およびCD32と相互作用する少なくとも一つの結合部位からなる組換え融合タンパク質である。該抗原は、ある抗原由来の一つのT細胞エピトープと同じくらい小さいか、または適切なプロセシングおよびMHC分子により提示出来るような方法で一緒に、融合されるかまたは結合される1以上の異なる抗原由来の1以上のT細胞エピトープのカクテルまたは混合物であり得る。エピトープの様式は、様々な基準(例えば、産物安定性の効果的プロセシング、処理されたヒトにおいて予め形成された抗体による(非)認識)に従って選択される。一般的に、MHCにより効果的に提示でき、かつ予め形成された抗体による最小認識をもたらす安定な分子を選択する。
【0044】
本発明は、TLR9と相互作用する少なくとも一つの分子、CD32と相互作用する少なくとも一つの分子およびランダム形態において一緒に結合した1以上の抗原由来の1以上のT細胞エピトープの物理的結合をさらに含む。
【0045】
さらに、本発明は、本発明の融合タンパク質を含有する医薬品調製物およびアレルギーの処置のためのその使用を提供する。該医薬品は、能動免疫治療に特に有用な、本発明の分子または分子複合体を含有するワクチン製剤であり得る。
【0046】
本発明の分子または分子複合体(即ち、CD32およびTLR9との結合)の二重特異性結合構造の組換え産生は、様々な方法で達成され得る;
例えば、
・Quadroma 技術(融合ハイブリドーマ)[12;13]
・二重特異性scFvs、"多価抗体"として、または単に異なるscFvsの遺伝子融合[14]によるかいずれか、
・VHが一つの抗原および他のVLを認識する一つのドメイン抗体
・chi-bAbs (EP0640130に記載したとおり)
・完全な抗体または抗体フラグメント(例えば、Fab)いずれかをコードしている構築体(PCT/EP2006/050059にしたがって)において、CD32および/またはTLR9に特異的に結合する、操作されたイムノグロブリンドメインを包含する、小分子突然変異イムノグロブリンドメイン、
・本発明の内容において、CD32への結合は単量体または多量体イムノグロブリンFc領域またはその一部によって、特にFc部分のCD32に対する親和性が増強される場合に達成され、一方TLR9結合は抗体の通常の結合部位(VH/VL)によって達成される、
・CD32に結合し、他のTLR9特異的結合モチーフと融合される、イムノグロブリンのFc-領域またはその部分
・上記抗体のFc部分は、ヒトFcγR's[15]に対する親和性を増加させるように"糖操作され"得るあらゆる種類のTLR9および/またはCD32に対する特異的に結合する修飾されたスキャッホルドを使用して、必要な場合には一緒に結合される。これらの結合スキャッホルドは、タンパク質ドメイン、フィブロネクチンIII、リポカリン、タンパク質Aまたはα-アミラーゼ阻害剤、アンキリン反復タンパク質、C2 ドメイン、A-ドメイン、EGFR様ドメイン、dab、chi-bAb、CTLA-4、γ結晶性またはその他のタンパク質、タンパク質ドメインまたはその一部であり得る。
【0047】
本発明の分子または分子複合体は、1以上のエピトープおよびTLR9、好ましくはヒトTLR9と相互作用する1以上の結合構造およびCD32、好ましくはヒトCD32と相互作用する1以上の結合構造からなる。本発明のタンパク質をインビボで試験しやすいように、ヒトTLR9およびヒトCD32を認識する結合構造は、サルまたはマウスのTLR9およびサルまたはマウスのCD32と交差反応し得る。選択された抗原/アレルゲンは、MHCクラスII分子上に提示でき、そしてT細胞によって認識され得るエピトープが、分子または分子複合体中に存在する配列上に存在する限り、完全な天然/元々のタンパク質またはこれらの部分であり得る。TLR9およびCD32と相互作用する分子または分子複合体の部分は、TLR9およびCD32への結合が維持される限り、完全または不完全(修飾された)抗体またはそのフラグメントまたは誘導体であり得る。
【0048】
あるいは、例えばB細胞および樹状細胞によって発現されたヒトTLR9およびCD32を特異的に認識し、結合する抗TLR9および抗CD32抗体または誘導体またはそのフラグメントを使用できる。
【0049】
あるいは、TLR9またはCD32と相互作用する抗体は、本来の抗体よりも高い親和性を有する改良された抗体である。
【0050】
典型的な抗体分子は、無傷のイムノグロブリン分子およびパラトープを含有するイムノグロブリン分子のその部分であり、Fab、Fab'、F(ab')2、FcおよびF(v)、dAbとして知られるその部分を包含する。
【0051】
抗体は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDであり得る。TLR9またはCD32と相互作用する分子は、あらゆる起源のものであり、好ましくは哺乳類起源、好ましくはヒト、マウス、ラクダ、イヌまたはネコ起源のものかまたはヒト化され得る。好ましくは、該分子は、抗体、好ましくはヒトまたはヒト化抗体である。
【0052】
本明細書で使用したとおり、本発明の分子または分子複合体が融合タンパク質であるなら、融合タンパク質を発現するように修飾され得るあらゆる種類の細胞系を網羅する宿主細胞中で発現され得る。本発明の範囲内で、該用語“細胞”は、個々の細胞、組織、器官、昆虫細胞、鳥類細胞、哺乳類細胞、ハイブリドーマ細胞、一次細胞、連続細胞系、胚細胞および/または遺伝子操作された細胞、例えば本発明の抗体を発現する組換え細胞、を意味する。
【0053】
細胞は、微生物細胞、真菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、魚細胞および植物細胞であり得る。
【0054】
好ましくは、細胞は、動物細胞、より好ましくは哺乳類細胞である。これらは、例えばBSC-1 細胞、LLC-MK 細胞、CV-1 細胞、CHO 細胞、COS細胞、PerC6 細胞、マウス細胞、ヒト 細胞、HeLa 細胞、293 細胞、VERO 細胞、MDBK 細胞、MDCK 細胞、MDOK 細胞、CRFK 細胞、RAF 細胞、TCMK 細胞、LLC-PK 細胞、PK15 細胞、WI-38 細胞、MRC-5 細胞、T-FLY 細胞、BHK 細胞、SP2/0、NS0 細胞またはその誘導体であり得る。
【0055】
好ましくは、TLR9およびCD32を認識する本発明の分子または分子複合体の結合構造は、小分子の突然変異イムノグロブリンドメインであって、例えば、Fabフラグメント(ここで、一つの結合部位(CD32またはTLR9のいずれかに特異的)がVH/VLによって形成され、PCT/EP/2006/050059に記載の操作されたCL、または操作されたCH1、CH2、CH3、CH4、VLまたはVHドメインであり得る第二結合部位(各々TLR9またはCD32について特異的)と組合される);または完全な抗体(ここで一つの結合部位がVH/VLによって形成され、PCT/EP/2006/050059に記載の操作されたCL、CH1、CH2、CH3、CH4、VLまたはVHドメインであり得る第二結合部位と組合される)である。
【0056】
本発明に従って、分子または分子複合体は、CD32に特異的に結合する少なくとも一つの構造を含有する。
【0057】
抗CD32 抗体は、既知の方法(例えば、ハイブリドーマ技術、B-細胞クローニングおよび抗体ライブラリースクリーニング)により得られ得る。選択のために、天然の形態においてCD32を提示する細胞が使用され得るか、またはCD32の組換え細胞外部分が使用されるか、またはCD32アミノ酸配列から選択された合成ペプチドが使用され得る。選択基準は、結合構造がCD32aを認識することである。この場合において、CD32bもまた認識され、CD32a CD32bについて親和性であるのが好ましい。
【0058】
例として、細胞系HB-217から得られた抗CD32 IV.3 抗体からのFabフラグメントが使用され得る。例えば、Orlandi et al16に記載した方法を用いて、Fabフラグメントは、細胞系HB-217からクローニングされる。あるいは、他の形態、例えばscFvは、既知のV遺伝子配列から構築され得る。しかし、抗TLR9抗体またはFabフラグメントまたはFvフラグメントとの至適組合せのためには、CH1、CH2、CH3、CH4、CL、VLまたはVHからの1以上の小分子突然変異イムノグロブリンドメインライブライリーを用いる特異的バインダーを選択することが好ましい。次いで、選択されたCH1、CH2、CH3、CH4、CL、VLまたはVHドメインは、抗TLR9抗体またはFabまたはそのFvフラグメントが存在する配列にクローニングされ、こうして二重特異性抗体またはFabフラグメントを生成する。
【0059】
選択されたCD32結合物は、好ましくは下記特徴を持つべきである:
1. CD32aとの相互作用が、受容体-結合構造複合体の内在化、受容体の細胞質尾部におけるITAMモチーフを介する抗原提示細胞の活性化および結合/融合されたT細胞エピトープの抗原提示をもたらす。
2. CD32bとの相互作用が、ITIMモチーフを介した受容体のネガティブシグナル伝達をもたらす。
3. 相互作用は、ヒトおよびサルCD32間に交差反応性を示す(対応するインビボモデルにおける有効性試験のために)
4. 相互作用は、マウスCD32との交差反応性を示す(アレルギーのための確立されたインビボモデルにおける試験のために)。
【0060】
TLR9に特異的に結合する結合構造を得るために、いくつかの方法を使用できる(例えば、ハイブリドーマ技術、B-細胞クローニングおよび抗体ライブラリースクリーニング)。選択のために、天然形態のTLR9を発現する細胞を使用して、天然TLR9を単離することが出来るか、または組換えTLR9が使用され得るか、またはTLR9アミノ酸配列から選択された合成のペプチドが使用され得る。あるいは、精製されたTLR9または細胞系により発現したTLR9が使用され得る。VLおよびVHの各々をコードする抗体遺伝子を、TLR9との結合のための選択後に抽出し、そしてヒトTLR9に特異的な組換え抗体またはFabフラグメントを操作するために使用し得る。あるいは、一本鎖Fvを作成し、そして上記した抗CD32 scFvと共に融合され得る。しかしながら、抗CD32抗体またはscFvまたはFabフラグメントとの至適な組合せのために、CH1、CH2、CH3、CH4、CL、VHまたはVLからの1以上の小分子突然変異イムノグロブリンドメインライブライリーを用いる特異的バインダーを選択することが好ましい。選択されたCH1、CH2、CH3、CH4、CL、VLまたはVHドメインは、次いで、抗CD32 抗体の存在する抗体またはFabフラグメントまたはscFv中にクローニングされ、二重特異性Fabフラグメントを作成し得る。選択されたTLR9結合物は、好ましくは下記特徴を有するべきである:
1. TLR9との相互作用はシグナル変換およびサイトカイン産生をもたらす。
2. 相互作用は、ヒトとサルTLR9の間の交差反応性を示し得る(対応するインビボモデルにおける有効性の試験のため)。
3. 相互作用は、マウスTLR9(アレルギーについて確立されたインビボモデルにおいて試験するため)およびCD32との交差反応性を示し得る。
【0061】
もちろん、融合タンパク質は、存在するTRL9モノクローナル抗体のFab部分を用いて、同じように作成され得る。該方法、例えばOrlandi et al16を用いて、Fabフラグメントを、例えば、CD32 Ab IV.3 のFabフラグメントについて上記したようにImgenex Corp.から入手出来るクローン26C593から、クローニングされ得る。また、抗TLR9 Fab フラグメントとの至適組合せのために、CH1、CH2、CH3、CH4、CL、VLまたはVHからの1以上の小分子突然変異イムノグロブリンドメインライブライリーを用いて、CD32について特異的バインダーを選択することが最良である。次いで、選択されたCH1、CH2、CH3、CH4、CL、VLまたはVHドメインを、抗TLR9 抗体の存在するFabフラグメント中にクローニングし、こうして二重特異性分子を作成する。
【0062】
最終的に、例えばCD32およびTLR9両方について利用出来る適切に存在するAbの非存在下において、あらゆる可能な組合せ物(CH1-CH1またはCH1-CH2、CH1-CH3、CH2-CH4、CH3-CH4、CH1-CH4またはCH2-CH3等)におけるあらゆる可能なライブラリーから得られた少なくとも1つのCD32に特異的な結合構造およびTLR9に特異的な1つの結合構造が存在する新規構造を形成するように、後に組み合わされるCD32およびTLR9両方に対して特異的なバインダーを選択するため、CH1、CH2、CH3またはCLからの小分子突然変異イムノグロブリンドメインライブライリーを用いて、二重特異性分子を構築することが可能である。
【0063】
あるいは、イムノグロブリンスーパーファミリーの一つの可変ドメインを、CDR-ループと共にTLR9またはCD32への結合を選択され得る。次いで、選択されたバインダーを非構造ループ位置でランダム化し、各々他の抗原について選択される可変性ドメインのライブラリーを生成する、即ちCDRループと共にTLR9と結合する可変性ドメインの場合には、該選択は、CD32への結合に関し、また逆も同様である。また、連続的または同時にTLR9およびCD32に結合するための非CDRループにおけるバリエーションとして、同時にCDRループ中のバリエーションを含有するV-ドメインのライブラリーを選択することも可能である。
【0064】
かかる二重特異性V-ドメインは、抗体または抗体フラグメントの一部分、例えば一本鎖Fvs、Fabsまたは完全な抗体であり得る。
【0065】
適切なTLR9エピトープの選択:
アミノ酸1文字コードによる、成熟TLR9タンパク質の配列244-256(配列番号1):
【化1】


は、基準1および2を満たすが3は満たさない、一方、
アミノ酸1文字コードによる、成熟タンパク質 TLR9の配列176-191 (配列番号2):
【化2】


および
アミノ酸1文字コードによる、成熟タンパク質 TLR9の配列216-240(配列番号3):
【化3】


は、全ての3つの基準を満たすので本発明の使用に好ましい。
【0066】
分子または分子複合体を産生するための方法は、既知の方法、例えば組換えクローニング技術を用いて、または化学架橋結合によって実施される。
【0067】
本発明において記載された産物は、下記方法に従って生成される:
抗CD32抗体に関するこの得られたVHおよびVLをCH1およびCL各々と融合する。CLは、SMID 技術(PCT/EP2006/050059)を用いて予め構築されており、下記に示したとおりTLR9と結合するようにファージディスプレイを用いて選択される。CH1をそのC-末端で選択されたT細胞エピトープをコードする配列と融合する。これらの2つの融合タンパク質コード化遺伝子を、発現ベクター中にクローニングして、2つの独立した遺伝子(または2つの独立した発現ベクター中に)を発現させ、細菌、酵母または動物細胞またはあらゆる他の適切な発現系において共発現させる。こうして、所望の特徴を有するFab、即ちCD32に結合する、TLR9に結合する、および対応するT細胞エピトープを担持するFabが産生される。
【0068】
SMID技術を用いる別の態様:
・TLR9 に対するscFvを、ファージディスプレイライブラリーからまたは存在するハイブリドーマから得る、そしてCD32結合分子を、CH2-CH4、CH3-CH4またはCH1-CH4、または小分子突然変異イムノグロブリンドメインライブラリーから得る。これらの2つのコード配列は、共に結合され、T細胞エピトープをコードする配列が結合される。次いで、融合タンパク質を、細菌、酵母または動物細胞またはその他適切な発現系において発現させる。
・あるいは、TLR9-特異性およびCD32-特異性を交換する:
CD32に対するscFvを、例えばファージディスプレイライブラリーから、または存在するハイブリドーマから得る、そしてTLR9-結合分子を、CH2-CH4、CH3-CH4またはCH1-CH4、または小分子成熟イムノグロブリンドメインライブラリーから得る。これらの2つのコード配列を共に結合し、T細胞エピトープをコードする配列が結合される。次いで、融合タンパク質を、細菌、酵母または動物細胞またはあらゆる適切な発現系において発現させる。
・抗TLR9抗体のVHおよびVLを、CH1およびCL各々と融合する。CLは先に設計されており、CD32(SMID)に結合するためにファージディスプレイを用いて選択される。CH1は、そのC末端でT細胞エピトープをコードする配列に融合される。これらの2つの融合タンパク質コード化遺伝子は、2つの独立した遺伝子を発現(または2つの独立した発現ベクター中に)させる発現ベクター中にクローニングされ、細菌、酵母または動物細胞またはあらゆる適切な発現系において共発現される(また、抗TLR9および抗CD32を交換できる。CH1およびCLはもまた交換され得る)。
・抗TLR9 抗体の重鎖および軽鎖遺伝子は全体として見られる。重鎖遺伝子において、CH2(またはCH1またはCH3またはCH4)領域は、先に設計された、CD32(小分子成熟イムノグロブリンドメイン)に結合するためにファージディスプレイを用いて選択されるCH2(またはCH1またはCH3またはCH4またはCLまたはVHまたはVL)領域によって置換される。CH1、CH2、CH3またはCH4を、そのC末端でT細胞エピトープをコードする配列に融合する。これらの2つの遺伝子も、発現ベクターにクローニングして、動物細胞において発現させる。
【0069】
・2つの小分子成熟イムノグロブリンドメイン、TLR9について特異的な一つのもの、CD32について特異的なもう一方のものが、融合されてT細胞エピトープと組合される。
・2つの異なる特異性(TLR9およびCD32)を有する1つの小分子成熟イムノグロブリンドメインがT細胞エピトープと組み合わされる。
【0070】
抗原およびエピトープ
本発明の分子または分子複合体の一部分である抗原は、IgEとの結合を回避するあらゆる可能な方法で処理される完全なアレルゲン、変性アレルゲンまたはあらゆる抗原であり得る。かかる処置は、Leroyら[20]によって記載された患者のIgE抗体として同一エピトープに対する高親和性IgM、IgD、IgAまたはIgG抗体を用いる抗原タンパク質のエピトープシールディングするエピトープからなり得る。また、かかる抗体は、IgE特異的エピトープ付近にも結合でき、こうして立体障害によりIgE抗体の結合を防止し得る。
【0071】
アレルゲンは、一般的に、アトピー性患者に対して、IgE抗体と応答しその後アレルギー反応をもたらす抗原として定義される。本発明の分子または分子複合体に使用された抗原は、環境アレルゲン(例えば、ハウスダスト、ダニ、樺の木花粉、草の花粉、ネコ抗原、ゴキブリ抗原)、または食品アレルゲン(例えば、ウシミルク、ピーナッツ、エビ、ダイズ)、または両方の組合せ物であり得る。また、非関連抗原、例えばHSAは本発明の分子または分子複合体の一部であり得る。該抗原は、完全なアレルゲンであり得、例えば抗原とは、アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎またはアレルギー性結膜炎罹患患者に対してアレルギー性となるものである。本発明の分子または分子複合体におけるアレルゲンの使用は、処置を必要とする患者からのIgEに結合しないのが好ましい。
【0072】
本発明において使用した抗原および/またはエピトープは、天然由来であるか、または組換え技術によって作成されるか、または合成的に作成され得る。本発明の抗原および/またはエピトープは、リガンド/受容体相互作用または抗体結合により本発明の分子複合体中に抗原および/またはエピトープの導入を促進するリガンド構造を含有し得る。本発明の抗原および/またはエピトープは、本発明の分子のCD32および/またはTLR9結合構造への抗原および/またはエピトープの共有結合を促進する化学基を含有し得る。
【0073】
本発明の一実施形態において、本発明の分子または分子複合体の抗原およびエピトープが、CD32結合構造および/またはTLR9結合構造と共有結合し得る。
【0074】
一実施形態において、抗原および/またはエピトープは、リガンド/受容体の相互作用により、例えばビオチンおよびアビジンと本発明の分子または分子複合体の相互作用により結合され得る。例えば、本発明の分子に使用すべき抗原またはエピトープは、それに結合したビオチンまたはビオチン擬体と共に産生され得る。CD32結合構造および/またはTLR9結合構造は、それに結合した、アビジンまたは別のビオチン特異的リガンドと共に産生されうる。様々な付属物を有するこれらの分子を混合した後、安定な分子複合体が本発明に従って形成される。あるいは、抗体/抗原結合は、本発明の分子複合体を形成するために使用され得る。高親和性相互作用は、これらの実施形態(例えば、高親和性抗ジゴキシゲニン抗体およびジゴキシゲニン標識した抗原および/またはエピトープ)のために好まれる。
【0075】
本発明の一つの実施形態において、抗原および/またはエピトープは、CD32-結合構造および/またはTLR9-結合構造と遺伝子的に融合される。
【0076】
本発明の分子が融合タンパク質であるなら、抗原は、アレルゲンの少なくとも一つのT細胞エピトープ含有DNA配列から産生されるのが好ましい。あるいは、T細胞エピトープは、1以上の関連および/または非関連アレルゲン由来のものであり得る。
【0077】
好ましくは、該T細胞エピトープは新規タンパク質を含んでおり、これはそのままでは天然には存在しないタンパク質であり、そのため患者において存在するIgEまたはIgG抗体によって認識されない。従って、様々な様式で切断され、再び一緒に融合される短いT細胞エピトープを選択する代わりに、その天然の様式のままで存在するがアレルゲン特異的IgE[21]に結合しないように予め選択されたT細胞エピトープ(>28 AA)のより大きなストレッチを選択できるであろう。
【0078】
基本的に、IgE媒介性の過敏反応に応答するアレルギー性患者に対して全ての既知の抗原は、本発明の分子または分子複合体中への導入のために使用できる。先進国において最も一般的な環境アレルゲンは次のものである:ハウスダストダニ、樺の木花粉、草の花粉、ネコおよびゴキブリ。これらの各アレルゲンは、1以上の"主要アレルゲン"(例えば、ハウスダストダニ:主要なアレルゲン= Der P1; Der F1、樺の木花粉:主要なアレルゲン=Bet V1)である。しかしながら、完全抗原は、可能ではあるが必要ではない、というのは分子または分子複合体はT細胞応答を誘導のみすべきであり、T細胞はMHCクラスII分子に提示された小分子(約12-28アミノ酸長)ペプチドに反応するためである。T細胞エピトープの選択は、可能性のある全ての患者のHLAクラスII分子上での発現が保証されるような方法で設計されるべきである。いくつかのHLAクラスII分子は、他のものよりも発現される頻度がさらに高い。広範な発現を有するかかるHLAクラスII分子についての良好な例は、HLA DPw4であり、これは白人人口[22]のおよそ78%で発現される。従って、T細胞エピトープの選択は、各アレルゲンに対して分子または分子複合体に包含され得る、こうして複合体のサイズおよび分子量を低下させる。様々な遺伝子的に関連のある生物、例えばDermatophagoides pteronyssinus (Der P1)およびDermatophagoides farinae, (Der F1)由来のアレルゲンの間のオーバーラッピング交差反応性エピトープが存在するなら、それらは好ましい。
【0079】
正しい抗原プロセシングを可能にするために、実際のT細胞エピトープよりも若干長いストレッチをコードするDNAを、分子または分子複合体中に包含すべきであり、および/またはこのエピトープは、アスパラギン特異的エンドペプチダーゼ(AEP)またはカテプシンS、カテプシンDまたはカテプシンL[23]のような抗原提示細胞における主要なタンパク質プロセシング酵素により認識された(疎水性の)エピトープをできれば含有するスペーサーDNAのストレッチを導入することによって、それぞれ分けられ得る。
【0080】
TLR9およびCD32に特異的な結合構造をコードする遺伝子との融合のために、好ましくは主要なアレルゲン、例えばハウスダストダニ、主要アレルゲンI(Der P1, Der F1 )、ハウスダストダニ主要アレルゲンII(Der P2, Der F2)または樺の木花粉アレルゲン(Bet V1) の短いDNA配列が使用される。これらの短いDNA配列は、1以上のT細胞エピトープに対する遺伝子コードを含み、これはプロセシング後に、抗原提示細胞の表面上に出現し、そしてその結果、応答性アレルゲン特異的T細胞において免疫応答を誘導する。Der P1およびDer P2由来のT細胞エピトープだけでなく、Der P3、Der P4、Der P5、Der P6、Der P7等、およびDer F3、Der F4、Der F5、Der F6、Der F7等も本発明の分子または分子複合体に使用され得る。これらのアレルゲン由来のT細胞エピトープは、T細胞クローン[24]を用いるクラシカルエピトープマッピングによるか、または現代のHLA クラスII予測ソフトウェア例えば、Tエピトーププログラム [25;26]を用いて選択され得る。ワクチンとして製剤し得る分子または分子複合体について、一つのアレルゲン起源のみからT細胞エピトープを組合せることは必要でない;反対に、1つまたは多くの異なる種、例えばハウスダストダニ由来のアレルゲンおよび植物の花粉、ネコおよび/または樺の木花粉由来のアレルゲンの組合せ物によって生じる、異なるアレルゲン起源から得られた多くのT細胞エピトープとして包含することが好ましい。
【0081】
Der P1に対する例として、大多数のT細胞エピトープは、アミノ酸1文字コード(配列番号4)にて成熟タンパク質の下記配列101-143に見出され得る:
【化4】

【0082】
特に、アミノ酸配列101-131は、アミノ酸1文字コード(配列番号5)にて、多くのHLAクラスII分子に結合する少なくとも3つのT細胞エピトープ24を含有する:
【化5】

【0083】
配列107-119は、HLA DPw4と同様にHLA DPw524に結合する重要なT細胞エピトープを含有する。これらのHLAクラスII分子は、集団の大部分によって発現される。エピトープをアミノ酸の1文字コード(配列番号6)にて示した:
【化6】

【0084】
さらにDer P1およびDer F1との間で共有される他の重要なT細胞エピトープは、アミノ酸1文字コードにて成熟タンパク質の配列20-44および203-226で見出される:
【化7】

および
【化8】

【0085】
Der P2およびDer F2との間で共有されるT細胞エピトープの例示は、配列26-44、89-107および102-123に見出される。
【化9】


【化10】


【化11】

【0086】
Der P1/F1およびDer P2/F2の上記T細胞エピトープから、いくつかの機能分子または分子複合体を設計できる、例えば:
Der P1から得た下記配列:
【化12】

【化13】


【化14】

【化15】


【化16】


および、Der P 2からは、
【化17】


【化18】

【化19】

である。
【0087】
当業者は、順番B、A、E、H、G、C、F、DまたはH、A、D、C、F、G、E、Bを有するcDNAを設計できるが、この選択された配列のあらゆる可能な組合せを行う。エピトープの好ましい寸法は、概して完全な組み換え分子の発現効率を基にして決定される。また、配列の複製が、例えば、B、B、A、E、E、G、C、G、F、A、D等で可能である。T細胞エピトープ部分は、もちろん、1以上の異なるアレルゲン/抗原由来の1以上のT細胞エピトープを含む限り、多数のおよび少数のペプチドに対して短いペプチドまたは長いペプチドについての遺伝子コードを含有し得る。
【0088】
類似の特徴を有する他のアレルゲン、例えばBet V1、Lol P1、Fel d1からのエピトープは、本発明の分子または分子複合体に内包するのが好まれる。
【0089】
本発明もまた、医薬、特にアレルギーに対する薬剤としての使用のための、予防上または治療上有効量の本発明の分子または分子複合体を、かかる処置が必要な患者に投与することを含む、疾患、特にアレルギーを処置する方法に関する。
【0090】
分子または分子複合体は、従来の医薬的に許容し得る希釈剤および担体、所望により、他の賦形剤と共に混合されて、非経口、静脈的または経腸的、例えば筋肉注射および皮下注射で投与され得る。分子または分子複合体の濃度は、もちろん、用いた化合物、所望の処置および形態の性質によって変化する。
【0091】
様々な指示に対して、適切な用量は、もちろん、例えば使用した分子または分子複合体、宿主、投与様式および目的とする適応症によって変化する。しかし、一般的に、満足のいく結果は、1-2年間1〜4回のワクチンによって得られることが示されるが、必要ならばさらなるワクチン接種を反復して達成出来る。これらの処置のために、本発明の分子または分子複合体は、従来用いられてきたものと同様の投与スケジュールにて、2-4用量で投与され得ることが示される。
【0092】
さらに、医薬組成物として使用のための、特にアレルギーの処置および予防方法における使用のための、本発明の分子または分子複合体に関する。
【0093】
ワクチン製剤としての使用するための本発明に従って調製された医薬組成物は、分子または分子複合体からのワクチン部分の製剤において一般的に使用される少なくとも一つのアジュバンドを含有できる(が、含有しなくてはならない訳ではない)。かかるアジュバンドによって免疫応答を増強することが可能である。アジュバンドの例示として下記に列挙するが、これらに限定されるものではない:アルミニウム水酸化物(アルミニウムゲル)、QS-21、Enhanzyn、リポ多糖の誘導体、Bacillus Calmette Guerin (BCG)、リポソーム調製物、強力な免疫応答、例えば破傷風トキソイド、緑膿菌外毒素またはインフルエンザウイルスの構成成分、を既に作成してきた免疫系に対するさらなる抗原を含む製剤、所望によりリポソーム製剤、生物学的アジュバンド、例えば顆粒球マクロファージ刺激ファクター(GM-CSF)、インターロイキン2(IL-2)またはγインターフェロン(IFNγ)など。
アルミニウム水酸化物は、最も好ましいワクチンアジュバンドである。
【0094】
本発明の融合タンパク質の可能な作用様式の要約:
本発明の融合タンパク質は利用可能な許容し得る医薬的製剤のいずれかにおいて製剤され得るが、好ましくはワクチンとして製剤される。本発明の融合タンパク質のCD32結合部は、関連細胞を選択する。これらの細胞上のCD32のトリガーは、受容体に加えて接合融合タンパク質の内在化を積極的に誘導し、そうすることでTLR9と融合タンパク質のTLR9結合部の相互作用を促進し、関連抗原提示細胞[10;11]の細胞質内で発現される。
【0095】
CD32媒介性内在化、その後のプロセシングおよびMHCクラスII分子上で選択されたT細胞エピトープの提示の結果として、抗原提示細胞内で細胞質TRL9の特異的活性化と組合せて、アレルゲン特異的T細胞が(再)プログラムされ、Th1メモリー細胞となる。遅い時点でこれらのアレルゲン特異的Th1メモリー細胞は、天然に暴露されたアレルゲン特異的B細胞によって提示された天然のアレルゲンから得られた同一エピトープと接触した場合に、アレルゲン特異的IgG産生を誘導する。このように、これらのTh1細胞は、IgEから抗体産生を中心としたIgGへの免疫系を再調整するのに必要である。
【実施例】
【0096】
実施例:
下記例示はより詳細に本発明を説明するものであるが、それらを限定するものではない。
【0097】
実施例1:
TLR-9ペプチド、例えばアミノ酸1文字コードでの成熟タンパク質TLR9(配列番号3)の配列216-240に対するヒトCL-ファージライブラリーのパンニング
【化20】

【0098】
3つのパンニング・ラウンドを、標準的プロトコールに従って行う。簡単には下記方法が適用され得る。Maxisorp 96-ウェルプレート(Nunc)を、TLR-9の配列の(合成)ペプチド提示部分で被覆した。ウェルにおいてペプチドを被覆するために、下記溶液(200 μl)をウェルあたり添加した:溶解したペプチドの下記濃度を有する0.1M Na炭酸塩緩衝液(pH 9.6):
1st パンニングラウンド: 1 mg/ml TLR-9 ペプチド
2nd パンニングラウンド: 500 μg/ml TLR-9 ペプチド
3rd パンニングラウンド: 100 μg/ml TLR-9 ペプチド
【0099】
インキュベーションは1時間37℃で行い、続いて2%乾燥ミルク(M-PBS)を含む200 μl/ウェルを用いて1時間室温でブロッキングした。次いで、表面ディスプレー・ファージライブラリーを、ファージ懸濁液(100 μl)および4%乾燥ミルク(M-PBS)(100 μl)を加えて、その後インキュベーションを振盪しながら45分間および振盪せずに90分間室温で行い、結合ペプチドと反応させた。未結合ファージ粒子を下記のとおりに洗浄した。1st パンニングラウンド後:10 x 300 μl T-PBS, 5x 300 μl PBS;2nd パンニングラウンド後: 15 x 300 μlT-PBS, 10x 300 μlPBS;3rdパンニングラウンド後:20 x 300 μl T-PBS, 20 x 300 μlPBS。結合ファージ粒子の溶出を、200μl/ウェルの0.1 M グリシン(pH 2.2)を加えて行い、30 分間室温で振盪しながらインキュベーションした。その後、ファージ懸濁液を2M Tris-Base(60 μl)の添加、続く対数増殖培養物(10 ml)と溶出したファージ(0.5 ml)とを混合してE. coli TG1 細胞への感染、および30分間37℃でのインキュベーションにより中和した。最後に、感染細菌を、1%グルコースおよびアンピシリン(100 μg/ml)を含むTYE培地上に播種し、30℃で一晩インキュベートした。
【0100】
実施例2:
可溶性発現のためのTLR-9に対して選択されたヒトCL変異株の選択されたクローンのクローニング
3つのパンニング・ラウンドから選択されたファージ由来のファージミドDNAを、mid-prepを用いて単離した。DNAコード突然変異CL-領域を、PCRによりバッチ増幅させ、NcoI-NotIを、クローニングを促進させるために挿入されたNotI 制限部位を有するE. coli発現ベクターpBAD/Myc-His (Invitrogen)であるベクターpNOTBAD/Myc-Hisにクローニングした。連結した構築体を、エレクトロポーレーションによりE. coli LMG194 細胞(Invitrogen)に形質転換し、30℃にて1%グルコースおよびアンピシリンを含むTYE培地で一晩増殖させた。選択されたクローンを、アンピシリンを含む2xYT 培地(200 μl)中に接種し、一晩30℃で増殖させて、L-アラビノースを0.1%.の終濃度まで添加することによって誘導した。16℃で一晩発現後に、該細胞が遠心分離により収集し、4℃にて一晩、ペリプラスム抽出物の調製のためにNa-ホウ酸塩緩衝液(pH 8.0)(100μl)により処理した。ペリプラスム抽出物(50 μl)をELISAに使用した(下記を参照されたい)。
【0101】
実施例3:TLR-9に対して選択されたヒトCL変異株のELISA
選択したクローンを、ELISAによりTLR-9ペプチドに対する特異的結合を評価した。
被覆化:マイクロタイタープレート(NUNC, Maxisorp)(100 μl/ウェル)、20μgのTLR-9 ペプチド/ml、0.1 M Na炭酸塩緩衝液(pH 9.6)、1h、37℃。
洗浄:3x 200 μl PBS
ブロッキング:1% BSA-PBS、1h室温
洗浄:3x 200 μl PBS
ペリプラスム抽出物結合:ペリプラスム抽出物(50 μl)
2% BSA-PBS(50 μl)、室温で一晩
洗浄:3x 200 μl PBS
1次抗体:抗His4 (Qiagen)、1% BSA-PBSにおいて1:1000、90分室温で、100μl/ウェル
洗浄:3x 200 μl PBS
【0102】
2次抗体:ヤギ抗マウス*HRP(SIGMA)、1% BSA-PBSにおいて1:1000、90分室温、100 μl/ウェル
洗浄:3x 200 μl PBS
検出: Naクエン酸塩/リン酸緩衝液(pH 4.5)中、3mg/ml OPD、30% H2O2(0.4μl)
停止: 3M H2SO4(100 ml)
吸収読み取り:492/620 nm
【0103】
第一回目において高シグナルを示すクローンを、上記の通りに予備的にELISAを同じ条件で20 ml 容量中で培養した。そのペリプラスム抽出物を、上記の通りに1/20の培養容量中に単離し、確認のためにELISA(上記の通りに)にて試験した。
【0104】
実施例4:HB-217からの抗CD32可変性ドメインのクローニング
mRNAを、細胞系HB-217 (ATCC, 抗CD32抗体 IV.3)から単離し、確立した通常のプロトコールに従ってcDNAを調製するために使用した。cDNAを、抗体IV.3のFabフラグメントの軽鎖および重鎖の各々をコードする遺伝子の領域を増幅させるためのテンプレートとしてさらに使用した。この増幅のために使用した可変領域の5'末端から挿入する上流PCRプライマーは、公開されたマウス可変領域(IMGT, the international ImMunoGeneTics information System(登録商標) http://imgt.cines.fr)の配列から得られた。変性プライマーおよび/または様々なプライマーの混合物を上流プライマーとして使用した。下流プライマーを、例えば各々CLまたはCH1ドメインの3'末端から設計した。
【0105】
次のステップにおいて、抗体IV.3のCLドメインを除去し、TLR9に対する結合親和性を有し、そして実施例1-3において上記の通りに選択されるSMID技術によって構築した選択されるCLドメインによって置換した。この置換について、オーバーラッピングPCRを、標準的プロトコールに従って使用され得る。あるいは、VLをSMID操作されたCLに結合するために、配列中に天然に起こるかまたは部位特異的突然変異生成によって人工的に導入される(アミノ酸配列を変更しないサイレント変異として)特異な切断制限部位を使用され得る。例えば、BstAPI 部位を、VLおよびCL間のヒンジ領域内で該配列を下記の
K R A D A A P T V S I F (配列番号65)
AAACGGGCTGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTC (配列番号66)
から、
K R A D A A P T V S I F (配列番号65)
AAACGGGCAGATGCTGCACCAACTGTATCCATCTTC (配列番号15)
に変更することによって生成する。

新たに作成したBstAPI部位を上記配列中に強調表示した。この新規配列を、適切に設計されたPCRプライマーを用いて各々VL部分およびCL部分を増幅させ、BstAPIにてPCR産物を切断し、それらを結合させて、Fabフラグメント元々の軽鎖部分を増幅するために最初に使用したようなPCRプライマーを用いて完全な得られるライゲーション産物を増幅させることによりコード領域中に導入した。
【0106】
修飾されたFabフラグメントの発現のために、重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を、その後適切な発現ベクターにクローニングするか、または2つの独立した遺伝子を発現可能な一つの発現ベクター内に一緒にクローニングする。発現系として、細菌、酵母、動物細胞またはあらゆる他の適切な発現系を使用出来る。この実施例のために、ここで、メチロトローフ酵母のPichia pastorisにおいて一つのベクターからの発現を示す:
【0107】
修飾されたPCRフラグメントの軽鎖部分を、正しい読み枠内でPichia pastoris 発現ベクターpPICZalphaにおけるEcoRI/KpnIにクローニングした、例えばベクターによって提供されたα-ファクター分泌シグナル配列と機能的に融合させる。同様に、重鎖部分FabフラグメントをpPICZalphaAにクローニングした。このクローニング方法用に挿入物を調製するために、必要な制限部位を該遺伝子に結合させる適切に設計したPCRプライマーを使用した。両方のコード領域の3'末端で、ストップコドンが挿入されるべきであり、PCRプライマーによって同様に提供される。次いで、軽鎖発現カセットを、制限酵素のBglIIおよびBamHIを用いてベクターから切断し、DNAの末端を、DNAポリメラーゼのクレノーフラグメントを用いる処置により平滑にした。Fabの挿入された重鎖部分を含有するベクターを、制限酵素BglIIを用いる部分消化により開裂させ、該DNAをDNAポリメラーゼのクレノーフラグメントを用いる処置によって平滑にし、軽鎖部分をコードする発現カセットを挿入した。重鎖ベクターの部分消化は、挿入された重鎖遺伝子がBglII部位を含有するので必要である。最終構築体のスクリーニングについて、この内部BglII部位が無傷で維持されていることに注意すべきである。最終構築体は、Pichia pastorisへの形質転換の前に該構築体を直線化するために使用される一つのPmeI部位を有する。この直線化は、相同組換えによる宿主ゲノム内の発現ベクターの効率的な統合に有利である。Pichia pastorisを、エレクトロポーレーションを用いるこの直線化発現ベクターを用いて形質転換し、形質転換したクローンを、抗生物質Zeocinを用いて選択し、これに対して該ベクターは耐性がある、そしてランダムに選抜したクローンの上清をメタノールによる発現の誘導後にFab構築体の発現をスクリーニングした。スクリーニングのために、例えば、Fab-特異的ELISAを使用出来る。組換えタンパク質の産生を、形質転換した選択されたPichiaクローンをより大規模なスケールで、好ましくは振盪フラスコまたは発酵槽内で培養し、メタノールの添加により発現を誘導し、クロマトグラフィー方法により組換えタンパク質を精製によって発現を誘導することによって達成した。これらの後者のステップのために、慣習的プロトコールを使用した。
【0108】
実施例5:Der P1I/F1およびDer P2/F2由来T細胞エピトープのクローニング:
配列B、A、E、H、G、C、F、Dによって形成した選択されたT細胞エピトープの組合せ物を下記にしめす(配列番号16):
【化21】

【0109】
このアミノ酸配列をコードしている合成の遺伝子を構築するために、イン・シリコにおいて逆翻訳を使用した。コンピュータープログラムを、この方法に利用できる、例えばDNAWORKS (http://molbio.info.nih.gov/dnaworks/)。フレームワークの重鎖部分をコードしている遺伝子を有するフレーム内でエピトープをコードしている合成遺伝子をクローニングするために、このコード領域上またはベクターpPICZalphaA上でいずれも切断しない2つの制限部位を選択した。例えば、AccIIIおよびSpeIをこの目的に使用した。これらの2つの制限部位を、上記の通りにクローニング方法について適切に設計されたPCRプライマーを用いて、重鎖部分をコードする遺伝子をFabコード遺伝子に結合した。さらに、ストップコドンがエピトープをコードしている合成遺伝子の3'末端で提供されるので、Fabの重鎖部分をコードするコード領域の末端でストップコドンを持たないように注意を払うべきである。また、その3'末端に位置する2つのさらなる制限部位を有するこの構築体を、Pichia pastoris 発現ベクターpPICZalphaA中のEcoRI/KpnIにクローニングした。次いで、該構築体を、制限酵素AccIIIおよびSpeIを用いて開裂し、エピトープをコードしている挿入物を挿入する。この挿入物を下記のように作成する:
この選択された制限部位を共に有する選択されたアミノ酸配列
【化22】

この実施例においては、5'末端でAccIIIおよび3'末端でSpeIを公的に利用可能なコンピュータープログラムDNAWORKSの入力情報として使用する。さらに、ストップコドンを、エピトープ配列およびSpeI部位の末端の間に加えた。
【0110】
プログラムがオリゴヌクレオチドを設計するために使用するパラメーターを、提案した標準的値のままとし、該プログラムがクローニングおよび形質転換ステップ、必要である制限部位、例えばAccIII、SpeIおよびPmeIの配列を避けるように指示される。
【0111】
AccIII: tccgga
SpeI: actagt
PmeI: gtttaaac
DNAWORKSにより、オーバーラップしている、所望のコード領域の両鎖を示す一組のオリゴヌクレオチドを作成する。
【0112】
例えば、24のオリゴヌクレオチドの下記組を作成し、これらからアレルゲンエピトープをコードする合成遺伝子を作成した:
1 TCCGGATGCCAAATTTACCCGCCAAACG 28 (配列番号17)
2 AGCCTCTCTGATCTTGTTCGCGTTTGGCGGGTAAATTTGG 40 (配列番号18)
3 CGAACAAGATCAGAGAGGCTTTGCAATCTTGCAGGAGGCC 40 (配列番号19)
4 TATGCCGAATCTCTGCGCATTGGGCCTCCTGCAAGATTGC 40 (配列番号20)
5 GCGCAGAGATTCGGCATATCCAACTACTGCCAGATCTACC 40 (配列番号21)
6 GTACGCCCATCGTATGGGGGGTAGATCTGGCAGTAGTTGG 40 (配列番号22)
7 CCCATACGATGGGCGTACAATCATACAGCGTGATAACGGC 40 (配列番号23)
8 GCGTGGTAGTTAGGCTGATAGCCGTTATCACGCTGTATGA 40 (配列番号24)
9 TATCAGCCTAACTACCACGCCGTGAACATCGTCGGCTACG 40 (配列番号25)
10 TCACAGTAACCACGACATTCTCGTAGCCGACGATGTTCAC 40 (配列番号26)
11 AGAATGTCGTGGTTACTGTGAAGGTAATGGGCGATGACGG 40 (配列番号27)
12 AGCTATGGCGCAAGCTAGAACCCCGTCATCGCCCATTACC 40 (配列番号28)
13 TCTAGCTTGCGCCATAGCTACCAAGTACACTTGGAACGTA 40 (配列番号29)
14 TTTTCGGCGCAATTTTGGGTACGTTCCAAGTGTACTTGGT 40 (配列番号30)
15 CCCAAAATTGCGCCGAAAAGTGAAAACGTCGTAGTGACCA 40 (配列番号31)
16 TGAGCCAATGCCTCCCTTATGGTCACTACGACGTTTTCAC 40 (配列番号32)
17 AGGGAGGCATTGGCTCAACCTCAAAGATACTGCAGACACT 40 (配列番号33)
18 TTATGCAGGGCGTCCAGTAGTGTCTGCAGTATCTTTGAGG 40 (配列番号34)
19 ACTGGACGCCCTGCATAATCCACCGTGGTAAACCCTTTCA 40 (配列番号35)
20 CTTCGAACACTGCCTCAAGTTGAAAGGGTTTACCACGGTG 40 (配列番号36)
21 ACTTGAGGCAGTGTTCGAAGCTAACAGGACGGTAACGCCA 40 (配列番号37)
22 CCGCACCCACCTTGCATACGAATTGGCGTTACCGTCCTGT 40 (配列番号38)
23 TGCAAGGTGGGTGCGGGTCTTGTTGGGCTTTTTCTGGTGT 40 (配列番号39)
24 ACTAGTTTATTCAGTAGCAGCCACACCAGAAAAAGCCCAACA 42(配列番号40)
【0113】
これらの24のオリゴヌクレオチドを、溶解し、一緒に混合し、数分間沸騰させ、次いで、室温にゆっくりと冷却してアニーリングさせた。大量の2つの境界プライマー(プライマー#1および#24)を用いるその後のPCRステップにおいて、アニーリングした遺伝子を、増幅させ、次いで該PCR産物を、選択した制限酵素(この実施例ではAccIIIおよびSpeI)を用いて開裂させ、上記の通ように発現ベクター中にクローニングした、これは挿入物として修飾されたFabの重鎖部分をコードする挿入遺伝子を含有する。両鎖を含有する最終の発現ベクターの調製、Pichia pastorisの形質転換、クローンの選択およびクローン産生のためのスクリーニングを上記したように行った。組換えタンパク質の発現および精製を、下記標準的プロトコールにより行った。
【0114】
実施例6
抗TLR9 CH3ドメイン(SMIDS)を有する抗CD32 抗体IV.3 融合物のVHおよびVLの融合
全ての分子モデル化をSwiss-PdbViewer 3.7 (http://swissmodel.expasy.org/spdbv/)を用いて行った。
マウスFabフラグメントについてのホモロジーモデルとして、the Protein Data Bank (www.pdb.org)からの構造ファイル2BRR.pdbを用い、そして1OQO.pdbを、ヒトIgG CH3ドメインの構造のための起源として使用した。
【0115】
IV.3 抗体のVHおよびVLの分子モデルを、VHおよびVLの各々のアミノ酸配列を用いて、Swissmodel http://swissmodel.expasy.org/SWISS-MODEL.html)の"第一のアプローチモード"を用いて作成した。
【0116】
Swiss-PdbViewerの"マジック・フィット"機能を用いて、1OQO.pdbからのCH3ドメイン構造の2つのコピーを、2BRR.pdb.のCH1およびCLドメインの各々に適合させる。その後、IV.3 VHおよびVLの各々の分子モデルを、2BRR.pdb.のVHおよびVL上に適合させた(再度、"マジック・フィット"を用いる)。
【0117】
CH1およびCLがCH3ドメインにより両方置換されるFab様タンパク質の構築のために、VHの配列のどの位置で終結し、CH3の配列と結合すべきか、そしてVLの配列のどの位置で終結し、CH3の配列に結合すべきかを決定することが必要である。両方の構築体について、多重構造およびモデル(上記参照のこと)の主鎖および至適なオーバーラップを示す位置を選択する。
【0118】
軽鎖について、Ala 114 (2BRR.pdbからの番号付)までの配列を、ドメインのPro343(1OQO.pdbからの番号付け)に接続したものを使用することが判った。これらの2つの配列の間の接続部分の位置は、下記のように読める(VL部分を下線した):
- - - Lys112-Arg113-Ala114-Pro343-Arg344-Glu345 - -
【0119】
制限酵素部位およびDNAライゲーションを用いて2つのコード配列を結合させるために、結合部分に近い配列を、サイレント変異によって変更させ、下記のように、独特なXhoI部位(ctcgag、下線)を導入する:
【化23】

【0120】
アレルゲンエピトープの後の挿入のために、AscI 部位 (ggcgcgcc)を読み枠の保持のために余剰塩基に加え構築体のストップコドンの直前に導入した:
ggg cgc gcc
Gly Arg Ala

さらに、発現ベクターpPICZalphaA (Pichia pastoris expression system, Invitrogen)にクローニングするために、EcoRI 部位(gaattc)を、5'末端(N-末端)に加え、KpnI部位 (ggtacc)を該構築体の3'末端(C末端)に加えた。
【0121】
構築体の一部として各々選択されたVHおよびVL各々に融合されるべきCH3ドメインは、ネガティブコントロールとして機能し得る野生型ヒトIgG CH3ドメイン、またはSMID技術により先に操作され、TLR9に特異的に結合するために選択されたCH3ドメインであり得る。この例示において、本明細書では、TLR9に特異的に結合するおよび特許出願PCT/EP2006/050059に記載されたクローンA23の配列を両方のVHおよびVLに融合した。
【0122】
従って、VL-CH3 融合タンパク質の完全な配列は、下記アミノ酸配列(VL部分を下線した)を有する(配列番号43):
DIVMTQAAPS VPVTPGESVS ISCRSSKSLL HTNGNTYLHW FLQRPGQSPQ LLIYRMSVLA SGVPDRFSGS GSGTAFTLSI SRVEAEDVGV FYCMQHLEYP LTFGAGTKLE LKRAPREPQV YTLPPSRDEL GIAQVSLTCL VKGFYPSDIA VEWESNGQPE NNYKTTPPVL DSDGSFFLYS KLTVLGRRWT LGNVFSCSVM HEALHNHYTQ KSLSLSPGK&
【0123】
VL-CH3 融合タンパク質(制限部位を下線した)の核酸配列(配列番号44):
【化24】

【0124】
重鎖について、Thr123 (2BRR.pdbからの番号付け)までの配列を、CH3ドメインのArg344(1OQO.pdbからの番号付け)と結合したものを使用すべきであることが判った。これらの2つの配列の間の結合部分は、次のように読める(VH部分を下線した):
【化25】

【0125】
制限酵素部位およびDNAライゲーションを用いて2つのコード配列を結合させるために、接続部分付近の配列を、サイレント変異によって変更させ、下記のように独特なXhoI部位(ctcgag、下線)を導入する:
【化26】

さらに、発現ベクターpPICZalphaA(Pichia pastoris expression system, Invitrogen)中にクローニングするために、構築体の5'末端(N末端)にEcoRI部位(gaattc)を、そして3'末端(C末端)にXbaI 部位(tctaga)を加える。ストップコドンをこの配列には加えず、XbaI 部位を、該構築体を固定化金属親和性クロマトグラフィーを用いるタンパク質の後の精製のために、ベクターにより与えられたヘキサ-His-タグと融合するように正しい読み枠中に位置づける。
【0126】
従って、VH-CH3融合タンパク質の完全な配列は、下記アミノ酸配列(VH部分を下線した)を有する、(配列番号47):
EVQLQQSGPE LKKPGETVKI SCKASGYTFT NYGMNWVKQA PGKGLKWMGW LNTYTGESIY PDDFKGRFAF SSETSASTAY LQINNLKNED MATYFCARGD YGYDDPLDYW GQGTSVTVSS AKTREPQVYT LPPSRDELGI AQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS DGSFFLYSKL TVLGRRWTLG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGKSLE QKLISEEDLN SAVDHHHHHH&
【0127】
VH-CH3 融合タンパク質(制限部位を下線した)の核酸配列、(配列番号48):
GAATTCGAGG TTCAGCTTCA GCAGTCTGGA CCTGAGCTGA AGAAGCCTGG AGAGACAGTC AAGATCTCCT GCAAGGCTTC TGGGTATACC TTCACAAACT ATGGAATGAA CTGGGTGAAG CAGGCTCCAG GAAAGGGTTT AAAGTGGATG GGCTGGTTAA ACACCTACAC TGGAGAGTCA ATATATCCTG ATGACTTCAA GGGACGGTTT GCCTTCTCTT CGGAAACCTC TGCCAGCACT GCCTATTTGC AGATCAACAA CCTCAAAAAT GAGGACATGG CTACATATTT CTGTGCAAGA GGGGACTATG GTTACGACGA CCCTTTGGAC TACTGGGGTC AAGGAACCTC AGTCACCGTC TCCTCAGCCA AAACTCGAGA ACCACAGGTG TACACCCTGC CCCCATCCCG GGACGAGCTC GGCATCGCGC AAGTCAGCCT GACCTGCCTG GTCAAAGGCT TCTATCCCAG CGACATCGCC GTGGAGTGGG AGAGCAACGG GCAGCCGGAG AACAACTACA AGACCACGCC TCCCGTGCTG GACTCCGACG GCTCTTTCTT CCTCTACAGC AAGCTTACCG TGTTGGGCCG CAGGTGGACC CTGGGGAACG TCTTCTCATG CTCCGTGATG CATGAGGCTC TGCACAACCA CTACACACAG AAGAGCCTCT CCCTGTCTCC GGGTAAATCT CTAGAACAAA AACTCATCTC AGAAGAGGAT CTGAATAGCG CCGTCGACCA TCATCATCAT CATCATTGA
【0128】
詳細なクローニング計画
重鎖:
抗体IV.3のVH領域を、プライマー4.3 HupEcoおよび4.3 HdownXhoを用いてPCR増幅させ、その後EcoRIおよびXhoIで消化した。CH3 SMID構築したクローン A23を、プライマーCH3upXhoA および CH3XBA2 を用いてPCR増幅させ、その後XhoI および XbaIで消化した。VH配列およびCH3配列をXhoI部位により一緒に結合し、次いでEcoRIおよび XbaIにて予め消化したpPICZalphaA(Invitrogen)中に結合した。得られるベクターをpPICHA23とする。
【0129】
プライマーリスト:
4.3HUPECO cagagaattc gaggttcagc ttcagcagtc (配列番号49)
4.3HDOWNXHO gatgctcgag ttttggctga ggagacggtg (配列番号50)
CH3UPXHOA aaaactcgag aaccacaggt gtacaccctg cc (配列番号51)
CH3XBA2 actgatctag acctttaccc ggagacaggg agag (配列番号52)
【0130】
軽鎖:
抗体IV.3のVL領域を、プライマー4.3LupEcoおよび4.3LdownXhoを用いてPCR増幅させ、その後EcoRIおよびXhoIで消化した。CH3 SMID構築したクローンA23を、プライマーCH3upXhoBおよびCH3StopKpnを用いてPCR増幅させ、その後XhoIおよびKpnIを用いて消化した。VL 配列およびCH3 配列をXhoI 部位により共に結合し、次いでEcoRIおよびKpnIで予め消化したpPICZalphaA (Invitrogen)中に結合した。得られるベクターをpPICLA23とする。
【0131】
プライマーリスト:
4.3LUPECO gatagaattc gacattgtga tgacccaggc tg (配列番号53)
4.3LDOWNXHO attactcgag gagcccgttt cagttccagc t (配列番号54)
CH3UPXHOB gctcctcgag aaccacaggt gtacaccctg cc (配列番号55)
CH3STOPKPN acgtggtacc tcaggcgcgc cctttacccg gagacaggga gag (配列番号56)
【0132】
一つのベクターにおける2つの発現カセットの組合せ
軽鎖カセットを、pPICLA23 (4235 bp)からBglII(pos.1)およびBamHI (pos. 2319)を用いて切り出し、2319 bp フラグメントを、分取ゲル・エレクトロポーレーションにより精製した。1916 bp フラグメントを除いた。ベクター pPICHA23 (4219 bp)をBamHIで消化し、pPICLA23由来の予め精製した2319 bpフラグメントを挿入した。2つの発現カセット、VL-CH3 融合タンパク質に対するものおよびVH-CH3 融合タンパク質に対するものを担持する得られたPichia pastoris発現ベクターを、両方の挿入物が転写が同じ方向を持ち得るようにスクリーニングされる。次いでベクターpPICHLA23 (6537 bp)を直線化して、Pichia pastoris中に形質転換する、例えばBamHIまたはBssSIを用いるエレクトロポーレーションにより Pichia pastoris中に形質転換し、そして陽性形質転換体をZeocinにより選択した。いくつかのクローン組換えタンパク質の発現のためにスクリーニングした。次いで、クローンをより大きな規模の産生のために選択し、組換え体融合タンパク質を、標準的方法を用いて固定化金属親和性クロマトグラフィーにより精製した。全てのPichiaの操作、培養および発現等は、下記標準的プロトコール(Invitrogen)により為される。
【0133】
ベクターpPICHLA23中へのアレルゲンエピトープの挿入および組換え体融合タンパク質の発現
実施例5に記載したアレルゲンエピトープをコードする配列を、下記のようにベクターpPICHLA23中に挿入した:
ベクターを、その直線化をもたらすAscI (4174-4182)で消化した。このAscI 部位において、アレルゲンエピトープをコードするDNA配列を挿入した。アレルゲンエピトープをコードする配列を、AscI 部位を配列の両末端に結合させるために、プライマーEpiTLR1およびEpiTLR2を用いて増幅させた。
【0134】
プライマーリスト
EpiTLR1 TAAAGGGCGC GCCTCCGGAT GCCAAATTTA CC
(配列番号57)
EpiTLR2 TACCTCAGGC GCGCCTTATT CAGTAGCAGC CACAC
(配列番号58)
【0135】
得られるPCR 産物を、AscIで消化し、予め消化したベクター中に結合させた。得られるベクターをpHLA23EP (7046 bp)と称する。組換え体融合タンパク質のPichia 形質転換、発現および精製を、挿入されたエピトープを持たない構築体について上記の通りに行った。
【0136】
抗体IV.3のVL:
アミノ酸配列:
DIVMTQAAPS VPVTPGESVS ISCRSSKSLL HTNGNTYLHW FLQRPGQSPQ LLIYRMSVLA SGVPDRFSGS GSGTAFTLSI SRVEAEDVGV FYCMQHLEYP LTFGAGTKLE LKRA (配列番号59)

核酸配列:
GACATTGTGA TGACCCAGGC TGCACCCTCT GTACCTGTCA CTCCTGGAGA GTCAGTATCC ATCTCCTGCA GGTCTAGTAA GAGTCTCCTG CATACTAATG GCAACACTTA CTTGCATTGG TTCCTACAGA GGCCAGGCCA GTCTCCTCAG CTCCTGATAT ATCGGATGTC CGTCCTTGCC TCAGGAGTCC CAGACAGGTT CAGTGGCAGT GGGTCAGGAA CTGCTTTCAC ACTGAGCATC AGTAGAGTGG AGGCTGAGGA TGTGGGTGTT TTTTACTGTA TGCAACATCT AGAATATCCG CTCACGTTCG GTGCTGGGAC CAAGCTGGAA CTGAAACGGG CT (配列番号60)
【0137】
抗体IV.3のVH:
アミノ酸配列:
EVQLQQSGPE LKKPGETVKI SCKASGYTFT NYGMNWVKQA PGKGLKWMGW LNTYTGESIY PDDFKGRFAF SSETSASTAY LQINNLKNED MATYFCARGD YGYDDPLDYW GQGTSVTVSS AKT (配列番号61)

核酸配列:
GAGGTTCAGC TTCAGCAGTC TGGACCTGAG CTGAAGAAGC CTGGAGAGAC AGTCAAGATC TCCTGCAAGG CTTCTGGGTA TACCTTCACA AACTATGGAA TGAACTGGGT GAAGCAGGCT CCAGGAAAGG GTTTAAAGTG GATGGGCTGG TTAAACACCT ACACTGGAGA GTCAATATAT CCTGATGACT TCAAGGGACG GTTTGCCTTC TCTTCGGAAA CCTCTGCCAG CACTGCCTAT TTGCAGATCA ACAACCTCAA AAATGAGGAC ATGGCTACAT ATTTCTGTGC AAGAGGGGAC TATGGTTACG ACGACCCTTT GGACTACTGG GGTCAAGGAA CCTCAGTCAC CGTCTCCTCA GCCAAAACA (配列番号62)
【0138】
TLR9およびCD32 結合領域を含む最終の発現ベクターpPICHCLA23.seq.(配列番号63)

6537 bp
1
agatctaaca tccaaagacg aaaggttgaa tgaaaccttt ttgccatccg acatccacag
61
gtccattctc acacataagt gccaaacgca acaggagggg atacactagc agcagaccgt
121
tgcaaacgca ggacctccac tcctcttctc ctcaacaccc acttttgcca tcgaaaaacc
181
agcccagtta ttgggcttga ttggagctcg ctcattccaa ttccttctat taggctacta
241
acaccatgac tttattagcc tgtctatcct ggcccccctg gcgaggttca tgtttgttta
301
tttccgaatg caacaagctc cgcattacac ccgaacatca ctccagatga gggctttctg
361
agtgtggggt caaatagttt catgttcccc aaatggccca aaactgacag tttaaacgct
421
gtcttggaac ctaatatgac aaaagcgtga tctcatccaa gatgaactaa gtttggttcg
481
ttgaaatgct aacggccagt tggtcaaaaa gaaacttcca aaagtcggca taccgtttgt
541
cttgtttggt attgattgac gaatgctcaa aaataatctc attaatgctt agcgcagtct
601
ctctatcgct tctgaacccc ggtgcacctg tgccgaaacg caaatgggga aacacccgct
661
ttttggatga ttatgcattg tctccacatt gtatgcttcc aagattctgg tgggaatact
721
gctgatagcc taacgttcat gatcaaaatt taactgttct aacccctact tgacagcaat
781
atataaacag aaggaagctg ccctgtctta aacctttttt tttatcatca ttattagctt
841
actttcataa ttgcgactgg ttccaattga caagcttttg attttaacga cttttaacga
901
caacttgaga agatcaaaaa acaactaatt attcgaaacg atgagatttc cttcaatttt
961
tactgctgtt ttattcgcag catcctccgc attagctgct ccagtcaaca ctacaacaga
1021
agatgaaacg gcacaaattc cggctgaagc tgtcatcggt tactcagatt tagaagggga
1081
tttcgatgtt gctgttttgc cattttccaa cagcacaaat aacgggttat tgtttataaa
1141
tactactatt gccagcattg ctgctaaaga agaaggggta tctctcgaga aaagagaggc
1201
tgaagctgaa ttcgaggttc agcttcagca gtctggacct gagctgaaga agcctggaga
1261
gacagtcaag atctcctgca aggcttctgg gtataccttc acaaactatg gaatgaactg
1321
ggtgaagcag gctccaggaa agggtttaaa gtggatgggc tggttaaaca cctacactgg
1381
agagtcaata tatcctgatg acttcaaggg acggtttgcc ttctcttcgg aaacctctgc
1441
cagcactgcc tatttgcaga tcaacaacct caaaaatgag gacatggcta catatttctg
1501
tgcaagaggg gactatggtt acgacgaccc tttggactac tggggtcaag gaacctcagt
1561
caccgtctcc tcagccaaaa ctcgagaacc acaggtgtac accctgcccc catcccggga
1621
tgagctgggc atcgcgcaag tcagcctgac ctgcctggtc aaaggcttct atcccagcga
1681
catcgccgtg gagtgggaga gcaacgggca gccggagaac aactacaaga ccacgcctcc
1741
cgtgctggac tccgacggct ctttcttcct ctacagcaag cttaccgtgt tgggccgcag
1801
gtggaccctg gggaacgtct tctcatgctc cgtgatgcat gaggctctgc acaaccacta
1861
cacgcagaag agcctctccc tgtctccggg taaatctcta gaacaaaaac tcatctcaga
1921
agaggatctg aatagcgccg tcgaccatca tcatcatcat cattgagttt gtagccttag
1981
acatgactgt tcctcagttc aagttgggca cttacgagaa gaccggtctt gctagattct
2041
aatcaagagg atgtcagaat gccatttgcc tgagagatgc aggcttcatt tttgatactt
2101
ttttatttgt aacctatata gtataggatt ttttttgtca ttttgtttct tctcgtacga
2161
gcttgctcct gatcagccta tctcgcagct gatgaatatc ttgtggtagg ggtttgggaa
2221
aatcattcga gtttgatgtt tttcttggta tttcccactc ctcttcagag tacagaagat
2281
taagtgagac cttcgtttgt gcagatccaa catccaaaga cgaaaggttg aatgaaacct
2341
ttttgccatc cgacatccac aggtccattc tcacacataa gtgccaaacg caacaggagg
2401
ggatacacta gcagcagacc gttgcaaacg caggacctcc actcctcttc tcctcaacac
2461
ccacttttgc catcgaaaaa ccagcccagt tattgggctt gattggagct cgctcattcc
2521
aattccttct attaggctac taacaccatg actttattag cctgtctatc ctggcccccc
2581
tggcgaggtt catgtttgtt tatttccgaa tgcaacaagc tccgcattac acccgaacat
2641
cactccagat gagggctttc tgagtgtggg gtcaaatagt ttcatgttcc ccaaatggcc
2701
caaaactgac agtttaaacg ctgtcttgga acctaatatg acaaaagcgt gatctcatcc
2761
aagatgaact aagtttggtt cgttgaaatg ctaacggcca gttggtcaaa aagaaacttc
2821
caaaagtcgg cataccgttt gtcttgtttg gtattgattg acgaatgctc aaaaataatc
2881
tcattaatgc ttagcgcagt ctctctatcg cttctgaacc ccggtgcacc tgtgccgaaa
2941
cgcaaatggg gaaacacccg ctttttggat gattatgcat tgtctccaca ttgtatgctt
3001
ccaagattct ggtgggaata ctgctgatag cctaacgttc atgatcaaaa tttaactgtt
3061
ctaaccccta cttgacagca atatataaac agaaggaagc tgccctgtct taaacctttt
3121
tttttatcat cattattagc ttactttcat aattgcgact ggttccaatt gacaagcttt
3181
tgattttaac gacttttaac gacaacttga gaagatcaaa aaacaactaa ttattcgaaa
3241
cgatgagatt tccttcaatt tttactgctg ttttattcgc agcatcctcc gcattagctg
3301
ctccagtcaa cactacaaca gaagatgaaa cggcacaaat tccggctgaa gctgtcatcg
3361
gttactcaga tttagaaggg gatttcgatg ttgctgtttt gccattttcc aacagcacaa
3421
ataacgggtt attgtttata aatactacta ttgccagcat tgctgctaaa gaagaagggg
3481
tatctctcga gaaaagagag gctgaagctg aattcgacat tgtgatgacc caggctgcac
3541
cctctgtacc tgtcactcct ggagagtcag tatccatctc ctgcaggtct agtaagagtc
3601
tcctgcatac taatggcaac acttacttgc attggttcct acagaggcca ggccagtctc
3661
ctcagctcct gatatatcgg atgtccgtcc ttgcctcagg agtcccagac aggttcagtg
3721 gcagtgggtc aggaactgct ttcacactga gcatcagtag agtggaggct gaggatgtgg
3781 gtgtttttta ctgtatgcaa catctagaat atccgctcac gttcggtgct gggaccaagc
3841 tggaactgaa acgggctcct cgagaaccac aggtgtacac cctgccccca tcccgggatg
3901 agctgggcat cgcgcaagtc agcctgacct gcctggtcaa aggcttctat cccagcgaca
3961
tcgccgtgga gtgggagagc aacgggcagc cggagaacaa ctacaagacc acgcctcccg
4021
tgctggactc cgacggctct ttcttcctct acagcaagct taccgtgttg ggccgcaggt
4081 ggaccctggg gaacgtcttc tcatgctccg tgatgcatga ggctctgcac aaccactaca
4141
cgcagaagag cctctccctg tctccgggta aagggcgcgc ctgaggtacc tcgagccgcg
4201
gcggccgcca gctttctaga acaaaaactc atctcagaag aggatctgaa tagcgccgtc
4261
gaccatcatc atcatcatca ttgagtttgt agccttagac atgactgttc ctcagttcaa
4321
gttgggcact tacgagaaga ccggtcttgc tagattctaa tcaagaggat gtcagaatgc
4381
catttgcctg agagatgcag gcttcatttt tgatactttt ttatttgtaa cctatatagt
4441
ataggatttt ttttgtcatt ttgtttcttc tcgtacgagc ttgctcctga tcagcctatc
4501
tcgcagctga tgaatatctt gtggtagggg tttgggaaaa tcattcgagt ttgatgtttt
4561
tcttggtatt tcccactcct cttcagagta cagaagatta agtgagacct tcgtttgtgc
4621
ggatccccca cacaccatag cttcaaaatg tttctactcc ttttttactc ttccagattt
4681
tctcggactc cgcgcatcgc cgtaccactt caaaacaccc aagcacagca tactaaattt
4741
tccctctttc ttcctctagg gtgtcgttaa ttacccgtac taaaggtttg gaaaagaaaa
4801
aagagaccgc ctcgtttctt tttcttcgtc gaaaaaggca ataaaaattt ttatcacgtt
4861
tctttttctt gaaatttttt tttttagttt ttttctcttt cagtgacctc cattgatatt
4921
taagttaata aacggtcttc aatttctcaa gtttcagttt catttttctt gttctattac
4981
aacttttttt acttcttgtt cattagaaag aaagcatagc aatctaatct aaggggcggt
5041
gttgacaatt aatcatcggc atagtatatc ggcatagtat aatacgacaa ggtgaggaac
5101
taaaccatgg ccaagttgac cagtgccgtt ccggtgctca ccgcgcgcga cgtcgccgga
5161
gcggtcgagt tctggaccga ccggctcggg ttctcccggg acttcgtgga ggacgacttc
5221
gccggtgtgg tccgggacga cgtgaccctg ttcatcagcg cggtccagga ccaggtggtg
5281
ccggacaaca ccctggcctg ggtgtgggtg cgcggcctgg acgagctgta cgccgagtgg
5341
tcggaggtcg tgtccacgaa cttccgggac gcctccgggc cggccatgac cgagatcggc
5401
gagcagccgt gggggcggga gttcgccctg cgcgacccgg ccggcaactg cgtgcacttc
5461
gtggccgagg agcaggactg acacgtccga cggcggccca cgggtcccag gcctcggaga
5521
tccgtccccc ttttcctttg tcgatatcat gtaattagtt atgtcacgct tacattcacg
5581
ccctcccccc acatccgctc taaccgaaaa ggaaggagtt agacaacctg aagtctaggt
5641
ccctatttat ttttttatag ttatgttagt attaagaacg ttatttatat ttcaaatttt
5701
tctttttttt ctgtacagac gcgtgtacgc atgtaacatt atactgaaaa ccttgcttga
5761
gaaggttttg ggacgctcga aggctttaat ttgcaagctg gagaccaaca tgtgagcaaa
5821
aggccagcaa aaggccagga accgtaaaaa ggccgcgttg ctggcgtttt tccataggct
5881
ccgcccccct gacgagcatc acaaaaatcg acgctcaagt cagaggtggc gaaacccgac
5941
aggactataa agataccagg cgtttccccc tggaagctcc ctcgtgcgct ctcctgttcc
6001
gaccctgccg cttaccggat acctgtccgc ctttctccct tcgggaagcg tggcgctttc
6061
tcaatgctca cgctgtaggt atctcagttc ggtgtaggtc gttcgctcca agctgggctg
6121
tgtgcacgaa ccccccgttc agcccgaccg ctgcgcctta tccggtaact atcgtcttga
6181
gtccaacccg gtaagacacg acttatcgcc actggcagca gccactggta acaggattag
6241
cagagcgagg tatgtaggcg gtgctacaga gttcttgaag tggtggccta actacggcta
6301
cactagaagg acagtatttg gtatctgcgc tctgctgaag ccagttacct tcggaaaaag
6361
agttggtagc tcttgatccg gcaaacaaac caccgctggt agcggtggtt tttttgtttg
6421
caagcagcag attacgcgca gaaaaaaagg atctcaagaa gatcctttga tcttttctac
6481
ggggtctgac gctcagtgga acgaaaactc acgttaaggg attttggtca tgagatc
//
【0139】
TLR9 および CD32 結合 領域およびエピトープ配列(配列番号16を参照されたい)を含有する最終の発現ベクターpHLA23EP.seq (配列番号64)

7046 bp
1
agatctaaca tccaaagacg aaaggttgaa tgaaaccttt ttgccatccg acatccacag
61
gtccattctc acacataagt gccaaacgca acaggagggg atacactagc agcagaccgt
121
tgcaaacgca ggacctccac tcctcttctc ctcaacaccc acttttgcca tcgaaaaacc
181
agcccagtta ttgggcttga ttggagctcg ctcattccaa ttccttctat taggctacta
241
acaccatgac tttattagcc tgtctatcct ggcccccctg gcgaggttca tgtttgttta
301
tttccgaatg caacaagctc cgcattacac ccgaacatca ctccagatga gggctttctg
361
agtgtggggt caaatagttt catgttcccc aaatggccca aaactgacag tttaaacgct
421
gtcttggaac ctaatatgac aaaagcgtga tctcatccaa gatgaactaa gtttggttcg
481
ttgaaatgct aacggccagt tggtcaaaaa gaaacttcca aaagtcggca taccgtttgt
541
cttgtttggt attgattgac gaatgctcaa aaataatctc attaatgctt agcgcagtct
601
ctctatcgct tctgaacccc ggtgcacctg tgccgaaacg caaatgggga aacacccgct
661
ttttggatga ttatgcattg tctccacatt gtatgcttcc aagattctgg tgggaatact
721
gctgatagcc taacgttcat gatcaaaatt taactgttct aacccctact tgacagcaat
781
atataaacag aaggaagctg ccctgtctta aacctttttt tttatcatca ttattagctt
841
actttcataa ttgcgactgg ttccaattga caagcttttg attttaacga cttttaacga
901
caacttgaga agatcaaaaa acaactaatt attcgaaacg atgagatttc cttcaatttt
961
tactgctgtt ttattcgcag catcctccgc attagctgct ccagtcaaca ctacaacaga
1021
agatgaaacg gcacaaattc cggctgaagc tgtcatcggt tactcagatt tagaagggga
1081
tttcgatgtt gctgttttgc cattttccaa cagcacaaat aacgggttat tgtttataaa
1141
tactactatt gccagcattg ctgctaaaga agaaggggta tctctcgaga aaagagaggc
1201
tgaagctgaa ttcgaggttc agcttcagca gtctggacct gagctgaaga agcctggaga
1261
gacagtcaag atctcctgca aggcttctgg gtataccttc acaaactatg gaatgaactg
1321
ggtgaagcag gctccaggaa agggtttaaa gtggatgggc tggttaaaca cctacactgg
1381
agagtcaata tatcctgatg acttcaaggg acggtttgcc ttctcttcgg aaacctctgc
1441
cagcactgcc tatttgcaga tcaacaacct caaaaatgag gacatggcta catatttctg
1501
tgcaagaggg gactatggtt acgacgaccc tttggactac tggggtcaag gaacctcagt
1561
caccgtctcc tcagccaaaa ctcgagaacc acaggtgtac accctgcccc catcccggga
1621
tgagctgggc atcgcgcaag tcagcctgac ctgcctggtc aaaggcttct atcccagcga
1681
catcgccgtg gagtgggaga gcaacgggca gccggagaac aactacaaga ccacgcctcc
1741
cgtgctggac tccgacggct ctttcttcct ctacagcaag cttaccgtgt tgggccgcag
1801
gtggaccctg gggaacgtct tctcatgctc cgtgatgcat gaggctctgc acaaccacta
1861
cacgcagaag agcctctccc tgtctccggg taaatctcta gaacaaaaac tcatctcaga
1921
agaggatctg aatagcgccg tcgaccatca tcatcatcat cattgagttt gtagccttag
1981
acatgactgt tcctcagttc aagttgggca cttacgagaa gaccggtctt gctagattct
2041
aatcaagagg atgtcagaat gccatttgcc tgagagatgc aggcttcatt tttgatactt
2101
ttttatttgt aacctatata gtataggatt ttttttgtca ttttgtttct tctcgtacga
2161
gcttgctcct gatcagccta tctcgcagct gatgaatatc ttgtggtagg ggtttgggaa
2221
aatcattcga gtttgatgtt tttcttggta tttcccactc ctcttcagag tacagaagat
2281
taagtgagac cttcgtttgt gcagatccaa catccaaaga cgaaaggttg aatgaaacct
2341
ttttgccatc cgacatccac aggtccattc tcacacataa gtgccaaacg caacaggagg
2401
ggatacacta gcagcagacc gttgcaaacg caggacctcc actcctcttc tcctcaacac
2461
ccacttttgc catcgaaaaa ccagcccagt tattgggctt gattggagct cgctcattcc
2521
aattccttct attaggctac taacaccatg actttattag cctgtctatc ctggcccccc
2581
tggcgaggtt catgtttgtt tatttccgaa tgcaacaagc tccgcattac acccgaacat
2641
cactccagat gagggctttc tgagtgtggg gtcaaatagt ttcatgttcc ccaaatggcc
2701
caaaactgac agtttaaacg ctgtcttgga acctaatatg acaaaagcgt gatctcatcc
2761
aagatgaact aagtttggtt cgttgaaatg ctaacggcca gttggtcaaa aagaaacttc
2821
caaaagtcgg cataccgttt gtcttgtttg gtattgattg acgaatgctc aaaaataatc
2881
tcattaatgc ttagcgcagt ctctctatcg cttctgaacc ccggtgcacc tgtgccgaaa
2941
cgcaaatggg gaaacacccg ctttttggat gattatgcat tgtctccaca ttgtatgctt
3001
ccaagattct ggtgggaata ctgctgatag cctaacgttc atgatcaaaa tttaactgtt
3061
ctaaccccta cttgacagca atatataaac agaaggaagc tgccctgtct taaacctttt
3121
tttttatcat cattattagc ttactttcat aattgcgact ggttccaatt gacaagcttt
3181
tgattttaac gacttttaac gacaacttga gaagatcaaa aaacaactaa ttattcgaaa
3241
cgatgagatt tccttcaatt tttactgctg ttttattcgc agcatcctcc gcattagctg
3301
ctccagtcaa cactacaaca gaagatgaaa cggcacaaat tccggctgaa gctgtcatcg
3361
gttactcaga tttagaaggg gatttcgatg ttgctgtttt gccattttcc aacagcacaa
3421
ataacgggtt attgtttata aatactacta ttgccagcat tgctgctaaa gaagaagggg
3481
tatctctcga gaaaagagag gctgaagctg aattcgacat tgtgatgacc caggctgcac
3541
cctctgtacc tgtcactcct ggagagtcag tatccatctc ctgcaggtct agtaagagtc
3601
tcctgcatac taatggcaac acttacttgc attggttcct acagaggcca ggccagtctc
3661
ctcagctcct gatatatcgg atgtccgtcc ttgcctcagg agtcccagac aggttcagtg
3721
gcagtgggtc aggaactgct ttcacactga gcatcagtag agtggaggct gaggatgtgg
3781
gtgtttttta ctgtatgcaa catctagaat atccgctcac gttcggtgct gggaccaagc
3841
tggaactgaa acgggctcct cgagaaccac aggtgtacac cctgccccca tcccgggatg
3901
agctgggcat cgcgcaagtc agcctgacct gcctggtcaa aggcttctat cccagcgaca
3961
tcgccgtgga gtgggagagc aacgggcagc cggagaacaa ctacaagacc acgcctcccg
4021
tgctggactc cgacggctct ttcttcctct acagcaagct taccgtgttg ggccgcaggt
4081
ggaccctggg gaacgtcttc tcatgctccg tgatgcatga ggctctgcac aaccactaca
4141
cgcagaagag cctctccctg tctccgggta aagggcgcgc ctccggatgc caaatttacc
4201
cgccaaacgc gaacaagatc agagaggctt tgcaatcttg caggaggccc aatgcgcaga
4261
gattcggcat atccaactac tgccagatct accccccata cgatgggcgt acaatcatac
4321
agcgtgataa cggctatcag cctaactacc acgccgtgaa catcgtcggc tacgagaatg
4381
tcgtggttac tgtgaaggta atgggcgatg acggggttct agcttgcgcc atagctacca
4441
agtacacttg gaacgtaccc aaaattgcgc cgaaaagtga aaacgtcgta gtgaccataa
4501
gggaggcatt ggctcaacct caaagatact gcagacacta ctggacgccc tgcataatcc
4561
accgtggtaa accctttcaa cttgaggcag tgttcgaagc taacaggacg gtaacgccaa
4621
ttcgtatgca aggtgggtgc gggtcttgtt gggctttttc tggtgtggct gctactgaat
4681
aaggcgcgcc tgaggtacct cgagccgcgg cggccgccag ctttctagaa caaaaactca
4741
tctcagaaga ggatctgaat agcgccgtcg accatcatca tcatcatcat tgagtttgta
4801
gccttagaca tgactgttcc tcagttcaag ttgggcactt acgagaagac cggtcttgct
4861
agattctaat caagaggatg tcagaatgcc atttgcctga gagatgcagg cttcattttt
4921
gatacttttt tatttgtaac ctatatagta taggattttt tttgtcattt tgtttcttct
4981
cgtacgagct tgctcctgat cagcctatct cgcagctgat gaatatcttg tggtaggggt
5041
ttgggaaaat cattcgagtt tgatgttttt cttggtattt cccactcctc ttcagagtac
5101
agaagattaa gtgagacctt cgtttgtgcg gatcccccac acaccatagc ttcaaaatgt
5161
ttctactcct tttttactct tccagatttt ctcggactcc gcgcatcgcc gtaccacttc
5221
aaaacaccca agcacagcat actaaatttt ccctctttct tcctctaggg tgtcgttaat
5281
tacccgtact aaaggtttgg aaaagaaaaa agagaccgcc tcgtttcttt ttcttcgtcg
5341
aaaaaggcaa taaaaatttt tatcacgttt ctttttcttg aaattttttt ttttagtttt
5401
tttctctttc agtgacctcc attgatattt aagttaataa acggtcttca atttctcaag
5461
tttcagtttc atttttcttg ttctattaca acttttttta cttcttgttc attagaaaga
5521
aagcatagca atctaatcta aggggcggtg ttgacaatta atcatcggca tagtatatcg
5581
gcatagtata atacgacaag gtgaggaact aaaccatggc caagttgacc agtgccgttc
5641
cggtgctcac cgcgcgcgac gtcgccggag cggtcgagtt ctggaccgac cggctcgggt
5701
tctcccggga cttcgtggag gacgacttcg ccggtgtggt ccgggacgac gtgaccctgt
5761
tcatcagcgc ggtccaggac caggtggtgc cggacaacac cctggcctgg gtgtgggtgc
5821
gcggcctgga cgagctgtac gccgagtggt cggaggtcgt gtccacgaac ttccgggacg
5881
cctccgggcc ggccatgacc gagatcggcg agcagccgtg ggggcgggag ttcgccctgc
5941
gcgacccggc cggcaactgc gtgcacttcg tggccgagga gcaggactga cacgtccgac
6001
ggcggcccac gggtcccagg cctcggagat ccgtccccct tttcctttgt cgatatcatg
6061
taattagtta tgtcacgctt acattcacgc cctcccccca catccgctct aaccgaaaag
6121
gaaggagtta gacaacctga agtctaggtc cctatttatt tttttatagt tatgttagta
6181
ttaagaacgt tatttatatt tcaaattttt cttttttttc tgtacagacg cgtgtacgca
6241
tgtaacatta tactgaaaac cttgcttgag aaggttttgg gacgctcgaa ggctttaatt
6301
tgcaagctgg agaccaacat gtgagcaaaa ggccagcaaa aggccaggaa ccgtaaaaag
6361
gccgcgttgc tggcgttttt ccataggctc cgcccccctg acgagcatca caaaaatcga
6421
cgctcaagtc agaggtggcg aaacccgaca ggactataaa gataccaggc gtttccccct
6481
ggaagctccc tcgtgcgctc tcctgttccg accctgccgc ttaccggata cctgtccgcc
6541
tttctccctt cgggaagcgt ggcgctttct caatgctcac gctgtaggta tctcagttcg
6601
gtgtaggtcg ttcgctccaa gctgggctgt gtgcacgaac cccccgttca gcccgaccgc
6661
tgcgccttat ccggtaacta tcgtcttgag tccaacccgg taagacacga cttatcgcca
6721
ctggcagcag ccactggtaa caggattagc agagcgaggt atgtaggcgg tgctacagag
6781
ttcttgaagt ggtggcctaa ctacggctac actagaagga cagtatttgg tatctgcgct
6841
ctgctgaagc cagttacctt cggaaaaaga gttggtagct cttgatccgg caaacaaacc
6901
accgctggta gcggtggttt ttttgtttgc aagcagcaga ttacgcgcag aaaaaaagga
6961
tctcaagaag atcctttgat cttttctacg gggtctgacg ctcagtggaa cgaaaactca
7021
cgttaaggga ttttggtcat gagatc
//
【0140】
全ての温度は摂氏である。下記略語を使用した:
CD32 = FcγRII
TLR9 = トル様 受容体 9
Der P1 = Dermatophagoides pteronissyus 主要アレルゲン 1
Der P2 = Dermatophagoides pteronissyus 主要アレルゲン 2
Der F1 = Dermatophagoides farinae 主要アレルゲン 1
【0141】
1. Mudde,G.C., I.G.Reischl, N.Corvaiea, A.Hren, and E.-M.Poellabauer. 1996. Antigen presentation in allergic sensitization. Immunol. Cell Biol. 74:167-173.
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの抗原の少なくとも一つのエピトープを含む、TLR9およびCD32に結合し得る分子または分子複合体。
【請求項2】
エピトープがT細胞エピトープであることを特徴とする、請求項1に記載の分子または分子複合体。
【請求項3】
エピトープがアレルゲンから得られることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項4】
少なくとも一つのエピトープが該分子に非共有結合していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項5】
少なくとも一つのエピトープがTLR9および/またはCD32結合領域に非共有結合していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項6】
少なくとも一つのエピトープが、抗体相互作用および/またはリガンド相互作用によりTLR9および/またはCD32結合領域に結合していることを特徴とする、請求項5記載の分子または分子複合体。
【請求項7】
エピトープが、抗原または合成ペプチドの少なくとも一つのT細胞エピトープ含有DNAストレッチから生成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項8】
エピトープが、アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎またはアレルギー性結膜炎におけるアレルゲンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項9】
エピトープが、完全抗原、変性抗原またはIgEへの結合を回避するように修飾された抗原から単離されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項10】
少なくとも一つの抗体またはその誘導体またはフラグメントを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項11】
抗体またはそのフラグメントまたは誘導体が、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgDであることを特徴とする、請求項10に記載の分子または分子複合体。
【請求項12】
ヒトまたはヒト化構造のものであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項13】
マウスまたは部分的にマウス構造のものであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項14】
ラクダまたは部分的にラクダ構造のものであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項15】
少なくとも一つの操作された結合スキャッホルドを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項16】
結合スキャッホルドが、フィブロネクチンIII、リポカリン、タンパク質A、α-アミラーゼ阻害剤、アンキリン反復タンパク質、C2ドメイン、A-ドメイン、EGFR様ドメイン、dab、chi-bAb、CTLA-4、γ結晶性およびその他のタンパク質からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の分子または分子複合体。
【請求項17】
小分子突然変異イムノグロブリンドメイン(SMID)の少なくとも一部分を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項18】
抗CD32抗体またはその誘導体またはフラグメントの少なくとも一部分を含むこと特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項19】
配列番号59またはその一部分のアミノ酸配列を含んでいる、請求項1〜18のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項20】
配列番号61またはその一部分のアミノ酸配列を含んでいる、請求項1〜19のいずれかに記載の分子または分子複合体。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の少なくとも一つの分子または分子複合体を、所望により少なくとも一つの医薬的に許容し得る担体または希釈剤と共に含む、医薬組成物。
【請求項22】
能動免疫治療のための、請求項21に記載の医薬的調製物の使用。
【請求項23】
アレルギーを処置するための方法であって、請求項1〜20いずれかに記載の予防上または治療上有効量の少なくとも一つの分子または分子複合体を、所望により少なくとも一つの医薬的に許容し得る担体と共に、かかる処置が必要な患者に投与する、方法。
【請求項24】
アレルギー処置のための医薬品の製造のための、請求項1〜20のいずれかに記載の少なくとも一つの分子または分子複合体の使用。
【請求項25】
組換え技術を用いて、TLR9、CD32およびエピトープに対する結合構造をコードしている遺伝子を、ベクター内に構築し、また宿主細胞中で発現させる、請求項1〜20のいずれかに記載の分子または分子複合体を産生するための方法。
【請求項26】
配列番号60の核酸配列を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の分子を発現するための核酸ベクター。
【請求項27】
配列番号62の核酸配列を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の分子を発現するための核酸ベクター。
【請求項28】
配列番号63の核酸配列を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の分子を発現するための核酸ベクター。
【請求項29】
配列番号64の核酸配列を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の分子を発現するための核酸ベクター。
【請求項30】
化学的交差結合を用いて、請求項1〜20のいずれかに記載の分子または分子複合体を産生するための方法。

【公表番号】特表2009−528071(P2009−528071A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557635(P2008−557635)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001722
【国際公開番号】WO2007/098934
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(507227832)エフ−シュタール・ビオテヒノロギシェ・フォルシュングス−ウント・エントヴィックルングスゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】F−STAR BIOTECHNOLOGISCHE FORSCHUNGS− UND ENTWICKLUNGSGES.M.B.H.
【Fターム(参考)】