説明

アレルギー性下痢症の予防及び治療

本発明は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む組成物、及びアレルギー性下痢症の予防又は治療におけるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、アレルギー性下痢症の予防及び治療に関する。
【0002】
[発明の背景]
今日に至るまで、下痢をもたらす疾患は、依然として世界的に主要な健康への脅威である。下痢は、世界中の患者の生活の質に激しい影響を及ぼし、乳幼児及び小児、並びに高齢者、並びに脱水状態及び重度のミネラル喪失を償う手段を欠いている患者の生存に対して特別な脅威を引き起こし得る。
【0003】
したがって、急性下痢症は、開発途上国においてよくある死因であり、世界中で乳幼児の死亡の第2の最も一般的な原因である。急性下痢症は、5歳未満の小児において推定5百万人の死亡をもたらしている。下痢を管理する費用は、増加する負担を負っているヘルスケア予算の主要な出費元である。
【0004】
下痢は、感染症(ロタウイルスによってもたらされる下痢症を含む)、炎症、アレルギー及び栄養のアンバランスなどいくつかの異なる原因を有することがあり、例えば、分泌性下痢症、浸透圧性下痢症及び運動が関連する下痢症を含む下痢の最も一般的なタイプがもたらされる。下痢が根本的手段、例えば、病原体の根絶によって治療できない場合、基礎的原因よりはむしろ下痢のタイプが対症療法を決定する。
【0005】
過去20〜30年間において、プロバイオティクス細菌の使用は、胃腸疾患の治療の安全で利用できる形態としてかなりの注目を得てきた。プロバイオティクスは、例えば、ロタウイルスによるウイルス感染によってもたらされる下痢症の管理のために首尾よく使用された。ウイルス由来の下痢症の場合、介入のために用いられてきた細菌は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)及びビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)に属する。ロタウイルスが誘発する胃腸炎に対する特定のプロバイオティクス細菌の治療能力は、粘膜のバリアを安定化及び強化する能力、抗菌物質の生成、並びに局所抗原特異的及び非特異的免疫応答の刺激に起因すると考えられてきた。異なる菌株の有効性及び作用機序に関して、有意差が注目されてきた。
【0006】
例えば、1990年代初頭に、Saavedraらは、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)及びストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の組合せを投与することによって、米国の病院の慢性疾患病棟において18カ月に亘って追跡された29人の小児において、下痢及びロタウイルス排出の発生率を減少させたことを観察した(Saavedraら、The Lancet 344、1046;1994)。しかし、ビフィドバクテリウム属を使用した他の試験においてより明確ではない結果が得られた(Thibaultら、J Ped Gastro Nutr 39、147;2004)。
【0007】
より最近では、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)CNCM I−3865(NCC2950)を使用して、ロタウイルス感染症によってもたらされる下痢症を治療又は予防することができることが発見された(欧州特許出願公開第08172263.9号)。
【0008】
ロタウイルスが誘発する下痢以外の病原体によってもたらされる症状において、アレルギー性下痢症、特に、食物アレルギーを患っている人々は、特定の食物に対して食物が緩下剤であるように反応することがある。
【0009】
食物アレルギーは、現代社会のかなりの健康問題を表す。食物アレルギーは、全ての年齢群、特に小児に影響する。全ての小児の概ね6〜8パーセントは、少なくとも1つの食物アレルギーを患っている。成人は小児より僅かに影響されないが、それでも全ての成人の概ね4パーセントが食物アレルギーを患っている。
【0010】
確認された食物アレルギーを有する患者に加えて、1つ又は複数の食物アレルゲンへの過敏症を患っている多数の人が存在する(35%まで)(Rona,R.J.ら、2007、J.Allergy Clin.Immunol.120:638〜646)。
【0011】
長引くアレルギー性下痢症は、患者を弱らせ、重症の脱水状態及び例えばカリウムなどのミネラルの喪失をもたらすことがあり、全ての必要な栄養化合物を体に補給することを困難にすることがある。
【0012】
アレルギー性下痢症は通常、再水分補給及びミネラル摂取による食物アレルゲン及び/又は徴候を回避することによって今日治療されるが、このことは生活の質のかなりの障害及びヘルスケアシステムへの負担を与えることがある。したがって、アレルギー性下痢症の発症を予防し、及び/又はアレルギー性下痢症を治療することを可能にし、副作用を伴わずに投与するのが安全で、結果的に食品に組み込み得る、利用可能な組成物を有することは望ましいであろう。
【0013】
上記から、有効な抗アレルギー性下痢活性を有し、例えば、乳幼児及び若年小児による摂取のための製品に組み込むのに適切な組成物が依然として必要とされていることを見出し得る。
【0014】
現況技術を改善し、これらの必要性を満たす組成物を現況技術において実現することが、結果的に本発明の目的であった。
【0015】
[発明の概要]
ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)が本発明の目的を達成することを、本発明者らは驚いたことに見出した。
【0016】
増々明らかになっているように、プロバイオティクス細菌の特定の健康上の利益は通常、細菌種に基づいて予想できるものではない。
【0017】
さらに具体的には、人乳から当初単離されたビフィドバクテリウム・ブレーベの特定の菌株であるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、アレルギー性下痢症の予防及び治療に非常に有効であることを、本発明者らは発見した。興味深いことに、非複製形態であっても、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)はこの活性を保持する。
【0018】
ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、ブダペスト条約の元で、COLLECTION NATIONALE DE CULTURES DE MICROORGANISMES、INSTITUT PASTEUR、25rue du Docteur Roux、F−75724 PARIS Cedex15に寄託された。
【0019】
特に、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)はまた、ロタウイルス感染症によってもたらされる下痢症に対して活性であることが示された。
【0020】
したがって、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、異なる原因の下痢症、すなわち、アレルギー性下痢症及びロタウイルス下痢症の治療又は予防において活性な例外的なコンパウンドである。
【0021】
したがって、第1の態様において、本発明は、アレルギー性下痢症を治療又は予防するための、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む組成物を提供する。
【0022】
第2の態様において、本発明は、アレルギー性下痢症の予防又は治療のための組成物の製造におけるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)の使用を提供する。
【0023】
第3の態様において、本発明は、それを必要としている対象に、治療量のビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を投与することを含む、アレルギー性下痢症を予防又は治療する方法を提供する。
【0024】
アレルギー性下痢症の予防におけるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)のインビボの作用を試験するために、アレルギー性下痢症のマウスモデルを使用した(Brandt E.Bら JCI 2003;112(11):1666〜1667)。感作(14日の間隔で、オボアルブミン(OVA)及び硫酸アルミニウムカリウムの2回の腹腔内注射;0日目及び14日目)後に、雄性Balb/cマウスを、6回(27日目、29日目、32日目、34日目、36日目、39日目)OVAで経口的に誘発し、一過的臨床症状(下痢症)及び免疫パラメーターの変化(総IgE、OVA特異的IgE、マウス肥満細胞プロテアーゼ1の血漿濃度)がもたらされた。ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を、OVA感作の4日前に(−3日目、−2日目、−1日目、0日目及び11日目、12日目、13日目及び14日目)、並びに誘発期間の間に(23〜39日目)、概ね10コロニー形成単位(cfu)/マウスの1日当たり細菌量で胃管栄養法によって投与した。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】食塩水若しくはOVAで誘発した、又は生菌のビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)による処理の後にOVAで誘発したOVA感作マウスにおいて観察された下痢症スコア中央値を表す(中央値±ロバストSD;3回目の誘発:食塩水=0±0、OVA=1±1.19;NCC2950(生菌)=1±0;4回目の誘発:食塩水=0±0、OVA=3±1.19;NCC2950(生菌)=1±1.19;5回目の誘発:食塩水=0±0、OVA=3±1.19;NCC2950(生菌)=3±1.19;6回目の誘発:食塩水=0±0、OVA=5±0.6;NCC2950(生菌)=3±0)。
【0026】
[発明の詳細な説明]
小児又は乳幼児は食物アレルギーに特に影響されるため、本発明の組成物は、小児及び/又は乳幼児を対象とし得る。乳幼児用調合乳及びフォローオン調合乳について、2006年12月22日のEuropean Commission Directive2006/141/ECの第2条に掲載されている定義によると、「乳幼児」は、12カ月の月齢未満の小児であり、若年小児は、1〜3歳の小児である。
【0027】
「小児」という用語は、1〜14歳の年齢群を含む。
【0028】
当然ながら、本発明の組成物はまた、ティーンエイジャー(15〜17歳)又は成人(18歳以上)のために使用してもよい。
【0029】
「プロバイオティクス」は、宿主の健康及び満足な状態に対して有益な作用を有する微生物細胞調製物又は微生物細胞の成分を意味する(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら、「Probiotics:how should they be defined」 Trends Food Sci.Technol.1999:10 107〜10)。
【0030】
全ての割合は、特に明記しない限り重量による。
【0031】
本発明の組成物は、本発明の組成物を必要としている任意の対象に投与し得る。
【0032】
これらの対象はヒトでもよく、又は動物、特に、ペット動物でもよい。対象は、任意の年齢群、例えば、乳幼児、若年小児、小児、ティーンエイジャー又は成人に属してもよい。
【0033】
本発明の組成物は、アレルギー性下痢症を少なくとも部分的に治療するのに十分な量の、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む。これを達成するのに適当な量は、「治療有効用量」と定義される。この目的のために有効な量は、消費者の疾患の重症度並びに体重及び身体全体の状態などの当業者には公知のいくつかの要因、並びに組成マトリックスの作用によって決まる。
【0034】
予防的用途において、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を、アレルギー性下痢症の影響を受けやすい又はそうでなければアレルギー性下痢症の危険性がある消費者に、アレルギー性下痢症が発生する危険性を少なくとも部分的に減少させるのに十分な量で投与する。このような量は、「予防有効用量」であると定義される。ここでまた、正確な量は、患者の健康状態及び体重などの患者特有のいくつかの要因、並びに組成マトリックスの作用によって決まる。
【0035】
当業者であれば、治療有効用量及び/又は予防有効用量を適切に調節することができる。
【0036】
一般に、本発明の組成物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を治療有効用量及び/又は予防有効用量で含有する。
【0037】
プロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、組成物として、例えば、10cfuに相当する1日用量として対象に投与し得る。乳幼児に、プロバイオティクスであるビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を、乳幼児用補給調合乳、フォローオン調合乳又は育児用乳中で好都合に投与し得る。
【0038】
典型的には、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、10〜1012cfu/g(乾重量ベース)、さらに好ましくは10〜1011cfu/gに相当する量で投与し得る。
【0039】
「相当する量」という表現には、細菌が生菌である、非複製又は死滅している可能性が含まれる。すなわち、細菌の量は、全ての細菌が、実際は生菌である、非複製又は死滅している、又はこれらの任意若しくは全ての状態の混合物であるかに関わりなく、生菌であるかのように、細菌の量のコロニー形成能に関して表される。
【0040】
本発明の一実施形態において、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)の少なくとも95%、よりさらに好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは全ては、非複製である。
【0041】
この目的のために、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、当業者には公知の任意の方法によって非複製とし得る。文献に記載されているプロバイオティクス菌株を非複製にする技術には、例えば、熱処理、γ照射、紫外線、又は化学薬品(ホルマリン若しくはパラホルムアルデヒドなど)による処理が含まれる。好ましいのは、薬剤を加えることを必要としない方法である。特に、乳又は乳コンパウンドを含有する調製物について、いずれにしても細菌負荷を減少させるために行われるため、熱処理が好ましい。このようにして、追加の工程ステップは必要ない。
【0042】
非複製プロバイオティクス微生物は、生きた対応物よりも取り扱いが非常に容易であるという利点を有する。さらに、非複製プロバイオティクス微生物は、より保存安定性であり、より厳密な包装条件を必要としない。
【0043】
非複製プロバイオティクス微生物によって、生きたプロバイオティクスを保護するさらなる手段なしでは、本来では生きたプロバイオティクスを加えることが可能とならない、多種多様の機能性食品の開発が可能となる。これは、例えば、シリアルバー、果汁、UHT飲料、常温保存可能飲料などの提供において役割を果たす。
【0044】
さらに例えば、免疫不全の顧客において、生きたプロバイオティクスの使用は、菌血症が発生する潜在的な危険性によって限定されることがある。生存していないプロバイオティクスはまた、免疫不全の人々によってより良好に許容される。
【0045】
さらに、非複製プロバイオティクス微生物を提供することは、例えば、粉末栄養組成物の高温の再構成を可能とする。
【0046】
「非複製」とは、古典的なプレーティング法によって生存細胞及び/又はコロニー形成単位を検出することができないことを意味する。このような古典的なプレーティング法は、微生物学の書籍:James Monroe Jay、Martin J.Loessner、David A.Golden.2005、Modern food microbiology、第7版、Springer Science、New York、N.Y.790頁に要約されている。典型的には、生存細胞が存在しないことは、下記のように示すことができる。異なる濃度の細菌調製物(「非複製」試料)の播種、並びに適切な条件(少なくとも24時間の好気性及び/又は嫌気性雰囲気)下でのインキュベーション後に、寒天プレート上で目に見えるコロニーがない、又は液体増殖培地の混濁度の増加がない。
【0047】
プレバイオティクスを、組成物に加えてもよい。プレバイオティクスは、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)の増殖をサポートし得る。プレバイオティクスはまた、組成物中に存在し得る他の生存しているプロバイオティクス細菌と、又は腸内の有益な細菌と相乗的に作用し得る。
【0048】
「プレバイオティクス」とは、腸内のプロバイオティクス又は健康を促進する微生物の増殖を促進する、消化できない食品を意味する。プレバイオティクスは、プレバイオティクスを摂取した人の胃及び/若しくは上部腸内で分解、又は消化管内で吸収されないが、プレバイオティクスは、胃腸の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵する。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.1995 125:1401〜1412によって定義されている。
【0049】
本発明によって使用し得るプレバイオティクスは特に限定されず、腸内でプロバイオティクス又は健康を促進する微生物の増殖を促進する全ての食品が含まれる。好ましくは、プレバイオティクスは、フルクトース、ガラクトース、マンノースを任意選択で含有するオリゴ糖;食物繊維、特に、可溶性繊維、大豆繊維;イヌリン;又はこれらの混合物からなる群から選択し得る。好ましいプレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(FOS)、ガラクトオリゴ糖(GOS)、イソマルトオリゴ糖(IOS)、キシロオリゴ糖(XOS)、大豆オリゴ糖、グリコシルスクロース(GS)、ラクトスクロース(LS)、ラクツロース(LA)、パラチノースオリゴ糖(PAO)、マルトオリゴ糖(MOS)、ガム及び/又はその加水分解物、ペクチン及び/又はその加水分解物である。
【0050】
さらなるプロバイオティクスを、組成物に加え得る。
【0051】
さらなるプロバイオティクスは、生存している、又は非複製、又は両方の混合物でもよい。全てのプロバイオティクス微生物は、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)と合わせてもよい。好ましくは、このような追加のプロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属(Lactococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、サッカロマイセス属(Saccharoymces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ザイゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)、ヤロウイア属(Yarrowia)、カンジダ属(Candida)からなる群から選択され、特に、種ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトコッカス属種、例えば、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、ラクトコッカス・ジアセチラクティス(Lactococcus diacetylactis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)又はこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはラクトバチルス・ジョンソニー(NCC533;CNCM I−1225)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(NCC490;CNCM I−2170)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(NCC2705;CNCM I−2618)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(NCC3001;ATCC BAA−999)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(NCC2818;CNCM I−3446)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(菌株A)、ラクトバチルス・パラカゼイ(NCC2461;CNCM I−2116)、ラクトバチルス・ラムノサスGG(ATCC53103)、ラクトバチルス・ラムノサスLPR(NCC4007;CGMCC1.3724)、エンテロコッカス・フェシウムSF68(NCIMB10415)、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。全てのこれらのプロバイオティクスは、生存している形態又は非複製形態で加え得る。
【0052】
本発明による食品には、発酵乳製品、例えば、ヨーグルト、バターミルクなどの乳製品;アイスクリーム;濃縮乳;乳;生クリーム;香味付け乳飲料;ホエイをベースとする飲料;トッピング;コーヒークリーマー;チョコレート;チーズをベースとする製品;スープ;ソース;ピュレ;ドレッシング;プディング;カスタード;ベビーフード;例えば、乳幼児、小児、ティーンエイジャー、成人又は高齢者のための、完全栄養のためのものなどの栄養調合乳;シリアル及びシリアルバーが含まれる。
【0053】
飲料には、例えば、乳又はヨーグルトをベースとする飲料、発酵乳、コーヒー、タンパク質飲料、茶、エネルギー飲料、大豆飲料、果物飲料及び/又は野菜飲料、果汁及び/又は野菜ジュースが含まれる。
【0054】
さらに、組成物は、経口的、経腸的及び/又は非経口的(例えば、皮下、筋内)に投与し得る。
【0055】
本発明の組成物は、タンパク質源、炭水化物源及び/又は脂質源をさらに含み得る。
【0056】
特別な臨床適用、特に、非経口適用のために、炭水化物源を含有しない組成物を提供することが望ましことがある。
【0057】
アレルギー反応を引き起こすアレルゲンは通常食用タンパク質又はその部分であるため、アレルギー患者を対象とした組成物中のタンパク質源の組成は、特に注意を必要とする。一般に、組成物中に存在するタンパク質のタイプは、アレルギー反応を引き起こすべきではない。したがって、使用されるタンパク質源は、本発明の組成物によって予防又は治療されるアレルギーのタイプによって変化し得る。
【0058】
例えば、動物性タンパク質(乳タンパク質、肉タンパク質及び卵タンパク質など)若しくはその加水分解物;植物性タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質など)若しくはその加水分解物;遊離アミノ酸の混合物;又はこれらの組合せなどの、任意の適切な食物タンパク質を使用し得る。乳タンパク質(カゼイン及びホエイなど)、並びに大豆タンパク質又はその加水分解物は、いくつかの用途のために好ましいことがある。タンパク質源が乳タンパク質又は乳タンパク質画分である場合、タンパク質源は、例えば、スイートホエイ、酸ホエイ、α−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン、酸カゼイン、カゼイン塩、α−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼインでもよい。当然ながら、異なるタンパク質源の組合せを使用し得る。
【0059】
ホエイタンパク質に関する限り、タンパク質源は、酸ホエイ又はスイートホエイ又はこれらの混合物をベースとしてもよく、所望の割合でα−ラクトアルブミン及びβ−ラクトグロブリンを含み得る。しかし好ましくは、特に、組成物が乳幼児用補給調合乳である場合、タンパク質源は、加工スイートホエイをベースとする。スイートホエイは、容易に利用できるチーズ作製の副産物であり、牛乳をベースとする乳幼児用調合乳の製造において使用されることが多い。
【0060】
タンパク質は、完全なままの、又は加水分解された、又は完全なままのタンパク質と加水分解されたタンパク質との混合物でもよい。広範囲に又は部分的に加水分解されたタンパク質(2〜20%の加水分解の程度)を供給することが望ましいことがある。加水分解ステップは、潜在的にアレルゲン性の食用タンパク質を消化し得る。結果的に、加水分解されたタンパク質を提供することは、アレルギー患者又はアレルギーを発症する危険性のある人のために有益であり得る。
【0061】
加水分解されたタンパク質が必要とされる場合、加水分解工程は、所望のように、及び当技術分野において公知のように行い得る。例えば、ホエイタンパク質加水分解物は、ホエイ画分を、1つ又は複数のステップにおいて酵素的に加水分解することによって調製し得る。
【0062】
本発明の組成物がタンパク質源を含有する場合、組成物中のタンパク質又はタンパク質同等物の量は典型的には、1.6〜7.5g/100kcal組成物の範囲である。
【0063】
特に栄養調合乳について、必須アミノ酸含量の必要最小限が満たされるタンパク質源を提供すべきである。
【0064】
組成物が炭水化物源を含有する場合、使用される炭水化物の種類は、特に限定されない。例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固形物、マルトデキストリン、デンプン及びこれらの混合物などの任意の適切な炭水化物を使用し得る。異なる炭水化物源の組合せを使用し得る。炭水化物は、組成物のエネルギーの30%〜80%を好ましくは供給し得る。例えば、組成物は、9〜18g/100kcal組成物の量の炭水化物源を含み得る。
【0065】
組成物が脂質源を含有する場合、使用される脂質の種類は、特に限定されない。組成物が脂質源を含む場合、脂質源は、組成物のエネルギーの5%〜70%を供給し得る。長鎖n−3及び/又はn−6多価不飽和脂肪酸(DHA、ARA及び/又はEPAなど)を加えてもよい。適切な脂肪プロファイルは、菜種油、トウモロコシ油、高オレイン酸ヒマワリ油及び中鎖トリグリセリド油のブレンドを使用して得ることができる。組成物は、1.5〜7g/100kcal組成物の量の脂質源を含み得る。
【0066】
組成物はまた、毎日の食事において必須であると理解される全てのビタミン及びミネラルを栄養的に有意な量で含有し得る。特定のミネラル及び他のビタミンの存在及び量は、治療される対象によって変化する。
【0067】
必要に応じて、組成物は、乳化剤及び安定剤(大豆レシチン、モノ−及びジ−グリセリドのクエン酸エステルなど)などを含有し得る。
【0068】
組成物は、繊維、ラクトフェリン、ヌクレオチド、ヌクレオシドなどの、有益な作用を有し得る他の物質を任意選択で含有し得る。
【0069】
ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)は、任意の適切な方法によって培養し、組成物への添加のために、例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥によって調製し得る。
【0070】
それに加えて又はその代わりに、生きたプロバイオティクス微生物は、カプセル化形態で供給し得る。
【0071】
細菌のカプセル化は治療的及び技術的利点を有することが見出された。カプセル化は、細菌の生存、したがって腸に到達する生細菌の数を増加させる。さらに、細菌が徐々に放出され、対象の健康に対する細菌の持続性作用を可能とする。例えば、参照により本明細書中に組み込まれている仏国特許第2443247号(Societe des Produits Nestle)によって記載されているように、細菌はマイクロカプセル化し得る。手短に言えば、細菌は凍結乾燥又は噴霧乾燥され、ゲルに組み込まれ得る。
【0072】
当業者は、開示されているような本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている本発明の全ての特徴を自由に合わせることができることを理解するであろう。特に、本発明の使用のために記載されている特徴は、本発明の組成物に適用し得る(逆の場合も同じ)。
【0073】
本発明のさらなる利点及び特徴は、下記の実施例及び図から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレルギー性下痢症の治療又は予防において使用するための、ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む組成物。
【請求項2】
医薬、治療用栄養組成物、乳幼児用補給調合乳、フォローオン調合乳、育児用乳、食品、動物性食品、栄養補助食品、飲料、及び/又は食品添加物である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
乾重量ベースで10〜1012cfu/gに相当する量のビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む、請求項1又は2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
10〜1011cfu/gに相当する量のビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
ビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)の少なくとも95%、好ましくは99%、さらにより好ましくは全てが非複製である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
組成物の0.3〜6重量%の量で少なくとも1種のプレバイオティクスをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
サプリメントであり、単位用量当たり10〜1012cfuのビフィドバクテリウム・ブレーベCNCM I−3865(NCC2950)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
アレルギー性下痢症の予防又は治療のための組成物の製造における、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
組成物が、医薬、治療用栄養組成物、乳幼児用補給調合乳、フォローオン調合乳、育児用乳、食品、動物性食品、栄養補助食品、飲料、及び/又は食品添加物からなる群から選択される、請求項8に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2012−526750(P2012−526750A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510235(P2012−510235)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056292
【国際公開番号】WO2010/130661
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】