説明

アロマターゼインヒビターの徐放製剤

本発明は、ポリマーマトリックス、好ましくはポリ(ラクチド−コ−グリコライド)グルコース中にアロマターゼインヒビター、好ましくはレトロゾールを含むマイクロパーティクルまたはナノパーティクルを開示する。本発明はまた、当該マイクロパーティクルを含む徐放製剤、ならびにがんの処置における当該製剤の使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、生分解性かつ生体適合性ポリマー担体、例えばマトリックスまたはコーティング中のアロマターゼインヒビター、例えばレトロゾールのような薬剤の、例えばインプラント形態、半固体製剤、または好ましくはマイクロパーティクル(マイクロカプセルまたはマイクロスフェアとしても知られている)もしくはナノパーティクル(ナノスフェアとしても知られている)の形態の、徐放(デポ)製剤に関する。
【発明の概要】
【0002】
発明の要約
本発明は、薬剤、とりわけレトロゾールのようなアロマターゼインヒビターの徐放製剤、例えばマイクロパーティクルおよび/またはナノパーティクル製剤であって、満足のいく薬剤血漿レベルを提供し、ポリマーマトリックス中にカプセル化されている製剤に関する。ポリマーマトリックスは合成または天然ポリマーであり得る。
【0003】
本発明はまた、がん疾患、例えば乳がんの処置における前記徐放製剤の使用を開示する。
【0004】
徐放製剤は、例えば1〜6ヶ月、好ましくは1〜3ヶ月の徐放を導くマイクロパーティクル、ナノパーティクル、インプラントまたは半固体製剤の形態であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細な説明
例えば生体適合性の薬理学的に許容されるポリマー中に包埋したアロマターゼインヒビターを含む徐放製剤の投与によって、全て、または実質的に全ての活性薬剤が、長期間にわたって、例えば数週間から6ヶ月、好ましくは少なくとも2〜3ヶ月にわたって放出されることを見出した。
【0006】
したがって本発明は、例えば生体適合性の薬理学的に許容されるポリマーマトリックス中に包埋したレトロゾールまたはその薬学的に許容される塩の徐放製剤を提供する。
【0007】
本発明の化合物は、徐放製剤の約1%から約50%、より通常約15%から約40%、より好ましくは約25%から約35%、例えば約30%(重量)の量で存在し得る。
【0008】
徐放製剤のポリマーマトリックスは、合成または天然ポリマーであり得る。ポリマーは生分解性ポリマーまたは非生分解性ポリマー、あるいは生分解性と非生分解性ポリマーの組合せ、好ましくは生分解性ポリマーであり得る。
【0009】
「ポリマー」は、ホモポリマーまたはコポリマーを意味する。
【0010】
ポリマーマトリックスは、1から6ヶ月以内に、全て、または実質的に全ての活性薬剤の放出後、投与部位から移送されるのに十分な程度に分解するように設計される。
【0011】
好適なポリマーには、下記のものが含まれる:
(a)ポリオール基から放射した直鎖である線状または分岐ポリエステル、例えばグルコース、
(b)ポリエステル、例えばD−、L−またはラセミ体ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチル酸、ポリカプロラクトン、ポリアルキレンオキサレート、クレブス回路、例えばクエン酸回路の酸のポリアルキレングリコールエステル等およびそれらの組合せ、
(c)有機エーテル、無水物、アミドまたはオルトエステルのポリマー、
(d)有機エステル、エーテル、無水物、アミドおよびオルトエステルのコポリマーそれら自体、または他のモノマーとの組合せ、または
(e)ポリビニルアルコール。
【0012】
ポリマー架橋していても、架橋していなくともよく、通常5%以下、典型的には1%未満である。
【0013】
好ましい本発明のポリマーは、線状ポリエステルである。線状ポリエステルを、α−ヒドロキシカルボン酸、例えば乳酸およびグリコール酸から、ラクトンダイマーの濃縮によって製造することができる(例えばUS 3,773,919参照、出典明示によりその内容を本明細書の一部とする)。線状ポリマーの好ましいポリエステル鎖は、α−カルボン酸基、乳酸およびグリコール酸の、またはラクトンダイマーのコポリマーである。好ましくは本発明において用いるポリラクチド−コ−グリコライドのラクチド:グリコライドのモル比は、好ましくは約100:0から40:60,例えば90:10から40:60、例えば85:15から65:35である。
【0014】
好ましくは本発明において用いる線状ポリエステル,例えば線状ポリラクチド−コ−グリコライド(PLG/PLGA)は、約10,000から約500,000Da、例えば約50,000Daの平均分子量(Mw)を有し,例えば1.2から2の多分散度M/Mを有する。好適な例には、例えばBoehringer IngelheimのResomers(登録商標)のような一般的に知られており、商業的に入手可能であるものが含まれる。
【0015】
好ましくは本発明において用いる分岐ポリエステル、例えば分岐ポリラクチド−コ−グリコライドを、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリオール、例えばグルコースまたはマンニトールを、イニシエーターとして用いて製造することができる。これらのポリオールのエステルは既知であり、例えばGB 2,145,422 Bに記載されている(その内容を出典明示により本明細書の一部とする)。ポリオールは少なくとも3個のヒドロキシ基を含み、ポリラクチドまたはコ−ポリ−ラクチド鎖を含むエステル基の形態で存在するポリオールの少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、例えば平均3個のヒドロキシ基を有する、20,000Daまでの分子量を有する。典型的には、0.2% グルコースを用いてポリマー化を開始させる。分岐ポリエステル(Glu−PLG/Glu−PLGA)はグルコース基を中心として線状ポリラクチド鎖が放射状に結合している構造を有し、例えばそれらは星形構造を有する。
【0016】
線状ポリラクチド−コ−グリコライド鎖(Glu−PLG/Glu−PLGA)の放射構造を有する中心グルコース基を有する分岐ポリエステルは、ポリオールをラクチドと、好ましくはグリコライドとも、開環重合を可能にする触媒の存在下、高温で製造することができる。
【0017】
線状ポリラクチド−コ−グリコライド鎖(Glu−PLG/Glu−PLGA)の放射構造を有する中心グルコース基を有する分岐ポリエステルは好ましくは、約10,000から200,000、好ましくは25,000から100,000、とりわけ35,000から60,000、例えば約50,000Daの範囲の平均分子量Mを有し、そして例えば1.7から3.0、例えば2.0から2.5の多分散度を有する。M35,000およびM60,000の星形ポリマーの固有粘度は、それぞれクロロホルム中0.36および0.51dl/gである。M52,000を有する星形ポリマーは、クロロホルム中0.475dl/gの粘度を有する。
【0018】
所望のポリマー崩壊速度および本発明の化合物の所望の放出プロファイルは、モノマーの種類、ホモポリマーかコポリマーか、またはポリマーの混合物を使用するかに依存して変化し得る。
【0019】
ポリマーの混合物は、少なくとも2種の異なるポリマー、例えば(a)から(e)に列記したもの、または異なる特性を有する同じポリマークラスの2種のポリマーを含む。例えば、ポリマーの混合物は、中間平均分子量、例えば約30,000から約60,000Da、例えば約50,000Daを有するポリマーと、低平均分子量、例えば約2.000から約20,000Da、例えば約10,000Daを有するポリマーを含み得る。
【0020】
ポリマーマトリックスは、徐放製剤の重量の約40から99%の総量で存在し得る。
【0021】
マイクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロパーティクル、ナノパーティクルおよびナノスフェアなる用語は、本発明において相互交換可能であると理解され、そしてポリマーによる薬剤の抱合化を、好ましくはポリマー全体に薬剤が分散され、当該ポリマーが薬剤のマトリックスとなっていることを意味する。その場合、マイクロスフェアまたはより一般的にマイクロパーティクルなる用語を用いる。
【0022】
本発明のマイクロパーティクルはさらに、マイクロパーティクルの多孔率に影響し得る薬剤を含んでいてもよい。かかる薬剤の非限定的な例は下記のものを含む:
a)好ましくは約2,000から約20,000Daの分子量を有する、ポリビニルピロリドン。好適な例には、約2,500Daの平均分子量を有するPovidone K12 F、約8,000Daの平均分子量を有するPovidone K15、または約10,000Daの平均分子量を有するPovidone K17として一般的に知られているものが含まれる。
好ましくは、ポリビニルピロリドンはマイクロパーティクル重量の約0.1から約50%、例えば約10%の量で存在する。
b)好ましくは低分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)。粘度は例えば2%水溶液について20cPまでであるか、または8から25mPa sの粘度であり得る。簡便には、置換の程度は約0.5から約1.45、好ましくは約0.7である。典型的には、ナトリウム含量は約5%から約2%である。
好ましくは、CMC−Naはマイクロパーティクル重量の約0.1から約20%、例えば約5%の量である。
【0023】
c)例えば1,000から50,000Da、好ましくは5,000Daの平均分子量を有するデキストリン。好ましくはデキストリンは微細な粒度分布、例えば×90、20ミクロン未満を有する。
好ましくは、デキストリンはマイクロパーティクル重量の約0.1から約10%、例えば約5%の量で存在し得る。
d)例えば約1,000から約10,000Da、好ましくは約1,000から約3,350Daの範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコール。好適な例には、例えば3,350DaのMwを有するDow&Union CarbideのCarbowax(登録商標)の商品名で知られており、商業的に入手可能なものが含まれる。3,350Daの平均分子量を有するポリエチレングリコールは、98.9 +/− 0.3℃で76から110cStの粘度を有する。1000から3500DAのMwを有するポリエチレングリコールは、98.9 +/− 0.3℃で16から123cStの粘度を有する。
【0024】
本発明のマイクロパーティクルは、さらに、界面活性剤を含んでいてもよい。好適な界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、例えば下記のものが含まれる:
a)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしても知られる、例えば約2000から約8000Daの平均分子量を有するポロキサマー。エチレン基のポリマー化の程度は、典型的には80から約110ユニットである。プロピレン基のポリマー化の程度は、典型的には20から約60ユニットである。本発明の使用に好適なかかる化合物の例は、例えばBASF Germanyから入手可能なPluronic(登録商標)F68の商品名で既知であり、商業的に入手可能なものである。このクラスのさらなる化合物はポロキサマー188である。
b)ポリオキシエチレン−ソルビタン脂肪酸エステル、例えばモノ−およびトリ−ラウリルエステル、パルミチルエステル、ステアリルエステルおよびオレイルエステル例えばツイーン(登録商標)、例えばツイーン 20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]、21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート]、ツイーン 40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタン−モノパルミテート]、ツイーン 60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート]、ツイーン 80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]、ツイーン 65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンtriステアレート]、ツイーン 85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート]、ツイーン 21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート]、ツイーン 61[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート]、およびツイーン 81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート]の商品名で既知であり、商業的に入手可能なタイプ。ツイーン 20およびツイーン 80が好ましい。
【0025】
c)例えばSPANの商品名で既知の、商業的に入手可能なタイプのソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウリルエステル、モノパルミチルエステル、モノステアリルエステル、トリステアリルエステル、モノオレイルエステルおよびトリオレイルエステル。
d)レシチン、例えばダイズリン脂質、例えばLipoidのLipoid(登録商標)S75の商品名で知られており、商業的に入手可能なもの;または卵リン脂質、例えばNattermannのPhospholipon(登録商標)90、Degussa, BioactivesのEpikuron 100HまたはEpikuron 145V、Epikuron 170またはEpikuron 200の商品名で知られており、商業的に入手可能なもの。
好ましくは、ポロキサマー、ツイーン 20および/またはツイーン 80を用いる。
【0026】
e)天然または水素添加ひまし油およびエチレンオキシドの反応生成物。天然または水素添加ひまし油はエチレンオキシドとモル比約1:35から約1:60で反応させることができ、所望により生成物からポリエチレングリコール成分を除去する。様々なかかる界面活性剤が商業的に入手可能である。CREMOPHORの商標名で入手可能なポリエチレングリコール水素添加ひまし油は、とりわけ好適である。CREMOPHOR RH 40がとりわけ好適であり、これは約50から60の鹸化数および約1未満の酸数、約2%未満の水含量(Fischer)、約1.453から1.457のn60および約14から16のHLBを有する;およびCREMOPHOR RH 60が好適であり、これは約40から50の鹸化数および約1未満の酸数、約1未満のヨウ素数、約4.5から5.5%未満の水含量(Fischer)、約1.453から1.457のn60および約15から17のHLBを有するとりわけ好ましいこのクラスの製品は、CREMOPHOR RH40である。CREMOPHOR ELの商品名で入手可能なポリエチレングリコールひまし油も好適であり、これは約1630の分子量(蒸気圧オスモメトリーによる)、約65から70の鹸化価、約2の酸価、約28から32のヨウ素価および約1.471のn25を有する。
使用することができる同様または同一の製品は、NIKKOL(例えばNIKKOL HCO 40およびHCO 60)、MAPEG(例えばMAPEG CO 40h)、INCROCAS(例えばINCROCAS 40)、およびTAGAT(例えばポリオキシエチレン−グリセロール−脂肪酸エステル、例えばTAGAT RH 40;およびTAGAT TO、ポリオキシエチレン−グリセロール−トリオレエート(11.3のHLB値を有する);TAGAT TOが好ましい)の商品名で入手可能である。これらの界面活性剤は、Fiedler loc. cit.にさらに記載されている。
【0027】
f)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えばMYRJ(Fiedler, loc. cit., 2, p.1042 1043)の商品名で知られており、商業的に入手可能なポリオキシエチレンステアリン酸エステル。このクラスのとりわけ好ましい製品はMYRJ 52であり、これは約1.1のD25、約40から44℃の融点、約16.9のHLB値、約0から1の酸値、および約25から35の鹸化数を有する。
g)ジオクセート(Diocusate)塩、例えばジオクチルスルホコハク酸塩またはジ[2−エチルヘキシル]−コハク酸塩(Fiedler, loc. cit., 1, p. 487)。
【0028】
h)プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、例えばプロピレングリコールジカプリレート(MIGLYOL 840の商品名で知られており、商業的に入手可能である)、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールヒドロキシステアリン酸、プロピレングリコールイソステアリン酸、プロピレングリコールラウレート、プロピレングリコールリシノレート、プロピレングリコールステアレート等(Fiedler, loc. cit., 2, p. 1285)。
i)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばBRIJ、例えばBrij 92VおよびBrij 35の商品名で商業的に入手可能なもの。
j)トコフェロールエステル、例えばトコフェロールアセテートおよびトコフェリル酸コハク酸塩。
【0029】
界面活性剤の組合せを用いることもできる。
【0030】
本発明の化合物を包埋するために用いるポリマーまたは複数のポリマーがエステルであるとき、本発明のマイクロパーティクルは好ましくはさらに、塩基性化合物、例えば塩基性塩、例えば塩基性亜鉛炭酸塩、水酸化マグネシウム、マグネシウムカルボネート、またはプロタミン、例えばヒトプロタミンもしくはサケプロタミン、またはアミン残基を有する天然もしくは合成ポリマー、例えばポリリシンもしくはジメチルアミノエチルメタクリレートを含む。
【0031】
これらまたは他の賦形剤および本明細書に記載の方法のために外部の文献を参照し、とりわけHandbook of Pharmaceutical Excipients, Second Edition、Ainley Wade および Paul J. Weller編集, American Pharmaceutical Association, Washington, USA and Pharmaceutical Press, London;およびLexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete、H.P. Fiedler編集, 4th Edition, Editio Cantor, Aulendorfおよびそれより前の版を参照する(参照により本明細書の一部とする)。
【0032】
本発明のマイクロパーティクルを製造するために用いることができる方法は、当該技術分野において常套かつ既知であり得るか、またはかかる方法を利用することができ、例えばL. Lachman et al. The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986、H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991、Hager’s Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970)またはその最新版、およびE. Mathiowitz’s Encyclopedia of Controlled Drug Delivery (John Wiley & Sons, Inc, 1999)に記載されている。
【0033】
典型的には、本発明のマイクロパーティクルは下記方法によって製造する。
【0034】
他の局面において本発明は、本発明のマイクロパーティクルの製造方法であって:
(i)
(ia)好適な有機溶媒または溶媒混合物にポリマーまたは複数のポリマーを溶解させ;
そして所望により
− 多孔率影響剤を工程(ia)で得た溶液に溶解/分散させる工程、または
− 塩基性塩を工程工程(ia)で得た溶液に添加する工程、
− 界面活性剤を工程(ia)で得た溶液に添加する工程;
(ib)工程(ia)で得たポリマー溶液に薬剤物質を溶解/懸濁/乳化させること;または
本発明の化合物を工程(ia)で用いた溶媒に混和性の溶媒に溶解させ、当該溶液をポリマー溶液と混合する工程、または
本発明の化合物をポリマー溶液に直接溶解させる工程、または
水溶性の塩の形態の本発明の化合物を水相に溶解させ、当該水溶液をポリマー溶液(ia)で乳化させる工程;
を含む内部有機相の製造;
(ii)
(iia)バッファー、例えば酢酸バッファーまたはリン酸バッファーを製造する工程、および
(iib)安定化剤を工程(iia)で得た溶液に溶解させる工程;
を含む安定化剤を含む外部水相の製造;
(iii)内部有機相と外部有機層を、例えば高度せん断力を生み出す装置、例えばタービンまたは静的ミキサーで混合してエマルジョンを形成させる工程;および
(iv)溶媒蒸発または溶媒抽出、例えばクロスフロー濾過によりマイクロパーティクルを硬化させ、マイクロパーティクルを例えば水で洗浄し、回収し、マイクロパーティクルを凍結乾燥するか、または真空下で乾燥させる工程;
を含む方法を提供する。
【0035】
ポリマーに好適な有機溶媒には、例えば酢酸エチル、アセトン、THF、アセトニトリル、またはハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルムまたはヘキサフルオロイソプロパノールが含まれる。
【0036】
工程(iib)の好適な安定化剤の例には、以下のものが含まれる:
a)ポリビニルアルコール(PVA)、好ましくは約10,000から約150,000Da、例えば約30,000Daの平均分子量を有するもの。簡便には、ポリビニルアルコールは4%水溶液として20℃で測定したとき、またはDIN53014によって、約3から約9mPa sの動的粘度を有する低粘度を有する。好適には、ポリビニルアルコールはポリビニルアセテートの加水分解から得られる。好ましくは、ポリビニルアセテートの含有量はポリビニルアルコールの約10から約90%である。簡便には、加水分解の程度は約85から約89%である。典型的には、残余アセチル含量が約10から12%である。好ましいブランドは、Clariant AG SwitzerlandのMowiol(登録商標)4−88、8−88および18−88を含む。
好ましくは、ポリビニルアルコールは外部水相の体積の重量の約0.1から約5%、例えば約0.5%の量で存在する;
b)ヒドロキシエチルセルロース(HEC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、例えばそれぞれ、セルロールとエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの反応によって形成されるもの。HECおよびHPCは広い範囲の粘度のタイプで利用可能であり;好ましくは粘度が中間である。好ましいブランドは、Hercules Inc.のNatrosol(登録商標)、例えばNatrosol(登録商標)250MR、およびHercules Inc.のKlucel(登録商標)を含む。
好ましくは、HECおよび/またはHPCは、外部水相の重量の約0.01から約5%、例えば約0.5%の総量で存在する;
【0037】
c)ポリビニルピロリドン、好ましくは約2,000から20,000Daの分子量を有するもの。好適な例には、約2,500Daの平均分子量を有するPovidone K12 F、約8,000Daの平均分子量を有するPovidone K15、または約10,000Daの平均分子量を有するPovidone K17として一般的に知られているものが含まれる。好ましくは、ポリビニルピロリドンは外部水相の重量の約0.1から約50%、例えば10%の量で存在する;
d)ゼラチン、好ましくはブタまたは魚ゼラチン。簡便には、ゼラチンは10%溶液について、20℃で約25から約35cpsの粘度を有する。典型的には、10%溶液のpHは約6から約7である。好適なブランドは高分子量を有し、例えばNorland Products Inc, Cranbury New Jersey USAから入手可能なNorland高分子量魚ゼラチンである。
好ましくは、ゼラチンは外部水相の体積の重量の約0.01から約5%、例えば約0.5%の量で存在する。
【0038】
好ましくは、ポリビニルアルコールを用いる。好ましくは、ゼラチンを使用しない。好ましくはマイクロパーティクルはゼラチンを含まない。
【0039】
マイクロパーティクルは数ミクロンから数ミリメートル、例えば約0.01ミクロンから約2mm、例えば約0.1ミクロンから約500ミクロンの直径を有し得る。医薬マイクロパーティクルについて、最大約250ミクロン、例えば1から250ミクロン、例えば10から200ミクロン、好ましくは10から130ミクロン、より好ましくは10から90ミクロンの直径が、注射針を通過しやすくするために達成される。インプラントは例えば、約1〜10立方ナン(cubic nun)であってよい。
【0040】
マイクロパーティクルおよび単位投与形の含量均一性は優れている。単位用量を、理論上の用量の約75%から約125%、例えば約85から約115%、例えば約90から約110%、または約95から約105%で変化して、製造することができる。
【0041】
乾燥状態のマイクロパーティクルを、抗凝集剤と例えば混合、例えばそれでコーティングすることができるか、または例えば抗凝集剤の層で、例えば充填シリンジまたはバイアルに被覆することができる。
【0042】
好適な抗凝集剤には、例えばマンニトール、グルコース、デキストロース、ショ糖、塩化ナトリウム、または水溶性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール、例えば上記性質を有するものが含まれる。
【0043】
好ましくは、抗凝集剤は、マイクロパーティクルの重量の約0.1から約10%、例えば約4%の量で存在する。
【0044】
投与の前に、マイクロパーティクルを注射に好適なビークルに懸濁する。好ましくは、当該ビークルは水ベースである。しかし、水をビークルとして用いるとき、本発明のマイクロパーティクルが懸濁せず、水相上部に浮遊し得る。
【0045】
本発明のマイクロパーティクルの水性媒体に懸濁される能力を改善するために、ビークルは好ましくは、湿潤剤を含む。湿潤剤は、ビークル中にマイクロパーティクルを速やかにかつ好適に懸濁することができるように選択される。好ましくは、マイクロパーティクルがビークルによって速やかに濡れて、速やかに懸濁液を形成する。
【0046】
したがって本発明は、本発明のマイクロパーティクル、および湿潤剤を含む水ベースのビークルを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0047】
本発明のマイクロパーティクルを水ベースのビークルに懸濁するのに適した湿潤剤には、非イオン性界面活性剤、例えばポロキサマー、またはポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステルが含まれ、それらの特性は上記されている。湿潤剤の混合物を用いることもできる。好ましくは、湿潤剤はPluronic F68、ツイーン 20および/またはツイーン 80を含む。
【0048】
湿潤剤または複数の湿潤剤は、投与される組成物の重量の約0.01から約1%、好ましくは0.01から0.5%で存在し、ビークルの約0.01から5mg/ml、例えば約2mg/mlで存在し得る。
【0049】
好ましくは、ビークルはさらに、等張化剤、例えばマンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、デキストロース、ショ糖またはグリセリンを含む。好ましくは、等張化剤はマンニトールである。
【0050】
等張化剤の量は、投与される組成物の等張性を調節するために選択される。例えば上記凝集を減少させるために、等張化剤がマイクロパーティクル中に含まれる場合、等張化剤の量は両方の合計として理解される。例えば、マンニトールは好ましくは、投与される組成物の重量の約1%から約5%、好ましくは約4.5%であり得る。
【0051】
好ましくは、ビークルはさらに、増粘剤を含む。好適な増粘剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ソルビトール、ポリビニルピロリドンまたはモノステアリン酸アルミニウムが含まれる。
【0052】
CMC−Naは低粘度を有する。態様は上記のとおりであり得る。典型的には、CMC−Naは低分子量を有する。粘度は、1%(w/v)水溶液として25℃でBrookfield LVT粘度計でスピンドル1,60rpmで測定したとき、約1から約30mPa s、例えば約10から約15mPa sであるか、または0.1から1%水溶液としてNaCMC 7LF(低分子量)について、1から15mPa*sの粘度であり得る。
上記特性を有するポリビニルピロリドンを用いることができる。
【0053】
増粘剤、例えばCMC−Naは、ビークルの約0.1から約1%、例えば約0.7%または約1.75%の量で、例えばビークル中約1から約30mg/ml、例えば約7mg/mlまたは約17.5mg/mlの濃度で存在していてもよい。
【0054】
さらなる局面において、本発明は本発明のマイクロパーティクルと本発明のビークルを含むキットを提供する。例えば、キットは投与される本発明の、例えば下記の化合物の正確な量と、約1から約5ml、例えば2mlの本発明のビークルを含み得る。
【0055】
1つの態様において、所望により抗凝集剤との混合物における、乾燥マイクロパーティクルは、容器、例えばバイアルまたはシリンジに充填されており、例えばγ照射を用いて滅菌されていてもよい。投与の前に、マイクロパーティクルを容器中で、好適なビークル、例えば上記ビークルを加えて懸濁することができる。例えば、所望により抗凝集剤、増粘剤および/または等張化剤との混合物における、マイクロパーティクル、および懸濁用ビークルを、2室シリンジに分けて収納することができる。
【0056】
他の態様において、滅菌条件下、所望により抗凝集剤との混合物における乾燥滅菌マイクロパーティクルを、好適なビークル、例えば上記ビークルに懸濁し、容器、例えばバイアルまたはシリンジに充填することができる。ビークルの溶媒、例えば水を、例えば凍結乾燥または真空下で蒸発させて除去し、容器中にマイクロパーティクルとビークル固体成分の混合物を導く。投与の前に、マイクロパーティクルおよびビークルの固体成分を容器中で、好適なビークル、例えば水、例えば輸液用水、または低モル濃度リン酸緩衝化溶液を加えて懸濁することができる。例えば、マイクロパーティクル、所望により抗凝集剤、およびビークルの固体成分および懸濁用ビークルを、2室シリンジに分けて収納することができる。
【0057】
アロマターゼインヒビターを対象に投与する方法であって、かかる処置を必要とする対象に非経腸的に、上記定義のデポ製剤を、とりわけがん、好ましくは乳がんの処置のための投与することを含む方法。
【0058】
本発明の方法で使用する薬剤は、好ましくはアロマターゼインヒビターである。アロマターゼインヒビターの例には、エキセメスタン、ホルメスタン、アミノグルテチミド、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、アタメスタン、1−メチル−1,4−アンドロスタジエン−3,17−ジオンおよびこれらの化合物の薬学的に許容される塩から選択されるものが含まれる。
【0059】
本発明の方法および製剤に用いる最も好ましいアロマターゼインヒビターは、レトロゾールであり、これは1990年12月18日公開米国特許第4,978,672号に記載されている。本発明の製剤はとりわけ、実質的に非水溶性化合物であるレトロゾールに有用である。
【0060】
アロマターゼインヒビターは、薬剤の長期適用が予期される腫瘍、とりわけ乳がんの処置に用いるために適用される。
【0061】
本発明のマイクロパーティクルおよび組成物の活性および特性を、標準的な臨床または動物試験で示すことができる。
【0062】
本発明の化合物は、本発明のマイクロパーティクルから、そして本発明の組成物から、数週間から6ヶ月、好ましくは少なくとも2から3ヶ月にわたって放出される。
【0063】
本発明の組成物の適当な投与量は、例えば処置する状態(例えば疾患のタイプまたは耐性)、使用する薬剤、所望の効果および投与形態に依存して、当然に変化する。
【0064】
マイクロスフェア、マイクロカプセル、マイクロパーティクル、ナノパーティクルおよびナノスフェアなる用語は、本発明において相互交換可能であると理解され、そしてポリマーによる薬剤の抱合化を、好ましくはポリマー全体に薬剤が分散されており、該ポリマーが薬剤のマトリックスとなっていることを意味する。その場合、マイクロスフェアまたはナノスフェア、またはより一般的にマイクロパーティクルまたはナノパーティクルなる用語を好ましくは用いる。
【0065】
徐放製剤をそれ自体公知の他の方法によっても製造することができ、例えば薬剤がインプラントの製造に十分安定であるとき、ポリラクチド−コ−グリコライド、とりわけ上記のものまたはその混合物中にアロマターゼインヒビター、例えばレトロゾールを含むマイクロパーティクルまたはナノパーティクルを加熱して製造することができ、殊に、アロマターゼインヒビターとポリマーを例えば70℃から100℃で混合し、押し出し、圧縮塊を冷却し、その後押出物を切断し、所望により洗浄および乾燥させて得る。
【0066】
簡便には、本発明の製剤を無菌状態で製造する。
【0067】
本発明の製剤をデポ形態、例えば注射用マイクロスフェア、インプラントまたは半固体製剤で利用することができる。
【0068】
それらを常套の方法、例えば皮下または筋肉内注射、例えばそれに含まれる薬剤について既知の適応症のために、投与することができる。
【0069】
レトロゾールを含む徐放製剤を、レトロゾールの既知の全ての適応症のために、例えばUS 4,978,672に記載のアロマターゼインヒビターとして、そして最もとりわけ、乳がんのために投与することができる。
【0070】
簡便には、徐放製剤は生分解性、生体適合性ポリマー担体にアロマターゼインヒビター、例えばレトロゾールを含み、これはラットに10mgレトロゾール/kg動物体重の用量で皮下投与したとき、30日間、または簡便には60日間、少なくとも0.3ng/mlかつ好ましくは20ng/ml未満の血漿中レトロゾール濃度を示す。
【0071】
あるいは簡便には、徐放製剤は生分解性、生体適合性ポリマー担体にアロマターゼインヒビター、例えばレトロゾールを含み、これはウサギに5mgレトロゾール/kg動物体重の用量で筋肉内投与したとき、50日間、少なくとも0.3ng/ml、簡便には最高20ng/mlのアロマターゼインヒビター濃度を示す。
【0072】
下記実施例は本発明を説明する:
【0073】
ポリマーのMはポリスチレンを標準として用いたGLPCで測定した平均分子量である。
【実施例1】
【0074】
実施例1
ポリ(D,L,−ラクチド−コ−グリコライド)(50:50)モル、多分散度約1.7 1gを、塩化メチレン10mlに、磁気的撹拌下、溶解させ、次にレトロゾール75mgを加える。薬剤物質(DS)を溶解させる。溶液を高速タービン(Niro Atomizer)によってスプレーし、小滴を暖気流で乾燥させ、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルを製造する。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルをサイクロンで回収し、一晩室温で、真空下乾燥させる。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルを1/15モル酢酸バッファー pH4.0で5分間洗浄し、室温、真空オーブン中で再度乾燥させる。72時間後、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルをふるいにかけて(メッシュサイズ0.125mm)、最終生成物を得る。
【実施例2】
【0075】
実施例2
適量のPLGAポリマーを適量のジクロロメタンに溶解させて、適当なポリマー濃度を得る。適当量の薬剤物質をガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぐ。
【0076】
薬剤力価40%、ポリマー濃度7.0%のマイクロパーティクルまたはナノパーティクルのための数値は下記のとおりである:PLGAポリマー 3gをジクロロメタン 40gに溶解させ、7.0%(w)ポリマー溶液を得る。レトロゾール2.0gをガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぎ、溶解するまで撹拌する。
【0077】
ポリビニルアルコール PVA 18−88 10.00g、KHPO 3.62gおよびNaHPO 15.14gを脱イオン水2.00Lに溶解させて、pH7.4に緩衝化した0.5% PVA 18−88溶液を形成させる。
【0078】
ポリマー/薬剤溶液を0.5% PVA18−88溶液と、両相を静的ミキサー(SMXS DN 6、20エレメント)でポンピングして混合する。ホモジナイズしたO/Wエマルジョンを、予め緩衝化PVA溶液 1Lを充たした2Lガラスビーカー中に回収する。
【0079】
O/Wエマルジョンを膜ポンプおよびセラミック膜(0.8μm)を備えたクロスフロー濾過で濃縮する。続いて、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルを水で透析濾過(diafiltrate)し、凍結乾燥のために濃縮ビークルを加える。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルをビークル溶液に懸濁し、バイアルに充填し、凍結乾燥させる。
【0080】
結果として、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルがこの方法によって形成される。このように製造したマイクロパーティクルまたはナノパーティクルを30kGyの線量でγ照射して滅菌する。
【実施例3】
【0081】
実施例3
適当量のPLGAポリマーを適当量のジクロロメタンに溶解させて、適当なポリマー濃度を得る。適当量の薬剤物質をガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぐ。
【0082】
薬剤力価30%、ポリマー濃度10%のマイクロパーティクルまたはナノパーティクルのための数値は下記のとおりである:PLGAポリマー 5.6gをジクロロメタン 50.4gに溶解させ、10.0%(w)ポリマー溶液を得る。レトロゾール2.4gをガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぎ、溶解するまで撹拌する。
【0083】
ポリビニルアルコール PVA 18−88 10.00g、KHPO 3.62gおよびNaHPO 15.14gを脱イオン水2.00Lに溶解させて、pH7.4に緩衝化した0.5% PVA 18−88溶液を形成させる。
【0084】
ポリマー/薬剤溶液を0.5% PVA18−88溶液と、両相を静的ミキサー(SMXS DN 6、20エレメント)でポンピングして混合する。ホモジナイズしたO/Wエマルジョンを2Lガラスビーカーに回収し、これを緩衝化PVA溶液 1Lとプレフィルする。
【0085】
O/Wエマルジョンを溶媒蒸発を促進させるため撹拌下加熱し、次に室温に冷却させる。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルをフィルター上に回収し、水で洗浄する。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルを乾燥させ、バイアルに充填する。
【0086】
結果として、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルがこの方法によって形成される。このように製造したマイクロパーティクルまたはナノパーティクルを30kGyの線量でγ照射して滅菌する。
【実施例4】
【0087】
実施例4
適当量のPLGAポリマーを適当量のジクロロメタンに溶解させて、適当なポリマー濃度を得る。適当量の薬剤物質をガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぐ。
【0088】
薬剤力価30%、ポリマー濃度15%のマイクロパーティクルまたはナノパーティクルのための数値は下記のとおりである:PLGAポリマー 8.4gをジクロロメタン 47.6gに溶解させ、15.0%(w)ポリマー溶液を得る。レトロゾール2.4gをガラスビーカーで秤量し、ポリマー溶液を薬剤物質に注ぎ、溶解するまで撹拌する。
【0089】
ポリビニルアルコール PVA 18−88 10.00g、KHPO 3.62gおよびNaHPO 15.14gを脱イオン水2.00Lに溶解させて、pH7.4に緩衝化した0.5% PVA 18−88溶液を形成させる。
【0090】
ポリマー/薬剤溶液を0.5% PVA18−88溶液と、両相を静的ミキサー(SMXS DN 6、20エレメント)でポンピングして混合する。ホモジナイズしたO/Wエマルジョンを2Lガラスビーカーに回収し、これを緩衝化PVA溶液 1Lとプレフィルする。
【0091】
O/Wエマルジョンを溶媒蒸発を促進させるため撹拌下加熱し、次に室温に冷却させる。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルをフィルター上に回収し、水で洗浄する。マイクロパーティクルまたはナノパーティクルを乾燥させ、バイアルに充填する。
【0092】
結果として、マイクロパーティクルまたはナノパーティクルがこの方法によって形成される。このように製造したマイクロパーティクルまたはナノパーティクルを30kGyの線量でγ照射して滅菌する。
【実施例5】
【0093】
実施例5
実施例2によって製造した製剤の組成を以下に記載する:
ラボスケールでの通常バッチサイズ:5g
薬剤物質力価:40%w/w薬剤物質
ポリマー濃度:10%w/v塩化メチレン
【表1】

【実施例6】
【0094】
実施例4:ビークル組成AからG
表3に記載の量のCMC−Na、マンニトールおよびPluronic F68を約90℃の熱脱イオン水15mlに、マグネチックスターラーでの強撹拌下、溶解させる。得られた透明溶液を20℃に冷却し、脱イオン水で20.0mlとする。
【表2】

【実施例7】
【0095】
実施例5:
実施例1−4のマイクロパーティクル867mgを組成Dのビークル2.0mlに、6Rバイアル中で懸濁する。懸濁液を約30秒間振盪してホモジナイズする。再構成懸濁液をゲージ20の針を用いて、途絶することなく注射することができる。
【実施例8】
【0096】
実施例6:
実施例1−4のマイクロパーティクル867mgを組成Eのビークル1mlで再構成し、プロペラミキサー 400rpmで1から12時間ホモジナイズし、Telstar凍結乾燥器で凍結乾燥させる。
【0097】
マイクロパーティクル凍結乾燥物を1ml純水(WBU)で再構成したところ、速やかかつ良好なマイクロパーティクルの濡れが得られ、これはゲージ20の針を用いて、途絶することなく注射することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックス中にアロマターゼインヒビターを含み、当該アロマターゼインヒビターがポリマーマトリックス中に分散している、マイクロパーティクル。
【請求項2】
アロマターゼインヒビターがポリ(D,L−ラクチド コ−グリコライド)グルコースのポリマーマトリックス中に存在する、請求項1に記載のマイクロパーティクル。
【請求項3】
請求項1のマイクロパーティクルを含む徐放製剤。
【請求項4】
請求項2のマイクロパーティクルを含む徐放製剤。
【請求項5】
表面が遊離アロマターゼインヒビターである、請求項2に記載のマイクロパーティクル。
【請求項6】
40/60から60/40 ポリラクチド−コ−グリコライドエステルのポリオールの生分解性、生体適合性ポリマーマトリックス中に、遊離塩基形、酸付加塩形または複合体形態のレトロゾールを含む、1から250ミクロンの直径を有するマイクロパーティクルであって、前記ポリオールが1)(C3−6)炭素鎖を含み、3個から6個のヒドロキシル基を有するアルコール、2)モノ−サッカライドおよび3)ジ−サッカライドから成る群から選択され、そして前記エステル化ポリオールが少なくとも3個のポリラクチド−コ−グリコライド鎖を有する、マイクロパーティクル。
【請求項7】
レトロゾールが薬剤力価15%から40%で存在し、レトロゾールがポリマーマトリックス中に分散している、請求項6に記載のマイクロパーティクル。
【請求項8】
有効成分であるアロマターゼインヒビターまたはその薬学的に許容される塩と、1種以上の異なるポリラクチド−コ−グリコライドポリマー(PLGA)を含む徐放医薬製剤。
【請求項9】
PLGAがポリマーブレンドとして存在する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のPLGAが線状である、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
有効成分の放出が2週間から6ヶ月である、請求項8−10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
マイクロパーティクル、半固体またはインプラントの形態の、請求項8−11のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項13】
マイクロパーティクルの形態の、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
マイクロパーティクルが1ミクロンから250ミクロンの直径を有する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
マイクロパーティクルが抗凝集剤で被覆またはコーティングされている、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
抗凝集剤がマイクロパーティクルの重量の3%から5%の量で存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ガンマ線照射によって滅菌した、請求項8から16のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項18】
がん、とりわけ乳がんの長期維持療法のための、請求項8から16のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項19】
がん、とりわけ乳がん患者の長期維持療法のためにレトロゾールまたはその薬学的に許容される塩を投与する方法であって、レトロゾールまたはその薬学的に許容される塩を必要とする患者に請求項8から17のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項20】
請求項13に記載のマイクロパーティクルの製造方法であって、
(i)
(ia)好適な有機溶媒または溶媒混合物にポリマーまたは複数のポリマーを溶解させ;
(ib)工程(ia)で得たポリマー溶液に薬剤物質を溶解/懸濁/乳化させること;
を含む内部有機相の製造;
(ii)安定化剤を含む外部水相の製造;
(iii)内部有機相と外部水相を混合してエマルジョンを形成させる工程;
(iv)溶媒抽出によりマイクロパーティクルを硬化させる工程、およびクロスフロー超遠心分離を用いてマイクロパーティクルを洗浄、濃縮する工程;
(v)マイクロパーティクル濃縮物をビークル溶液に懸濁し、次にマイクロパーティクルを凍結乾燥させる工程;
を含む方法。
【請求項21】
アンプル、バイアルまたは充填シリンジ中水ベースのビークルと共に、または2室シリンジ中に分離しているマイクロパーティクルとビークルとして、バイアルに請求項8から17のいずれかに記載の医薬組成物を含む投与キット。
【請求項22】
ポリマーマトリックス中にアロマターゼインヒビターを含み、当該アロマターゼインヒビターがポリマーマトリックス中に分散している、ナノパーティクル。
【請求項23】
アロマターゼインヒビターがポリ(D,L−ラクチド コ−グリコライド)グルコースのポリマーマトリックス中に存在する、請求項1に記載のナノパーティクル。
【請求項24】
請求項1のナノパーティクルを含む徐放製剤。
【請求項25】
請求項23のナノパーティクルを含む徐放製剤。
【請求項26】
表面が遊離アロマターゼインヒビターである、請求項2のナノパーティクル。
【請求項27】
1ミクロン未満の直径を有するナノパーティクルであって、40/60から60/40 ポリラクチド−コ−グリコライドエステルのポリオールの生分解性、生体適合性ポリマーマトリックス中に、遊離塩基形、酸付加塩形または複合体形態のレトロゾールを含む、1から250ミクロンの直径を有するマイクロパーティクルであって、前記ポリオールが1)(C3−6)炭素鎖を含み、3から6個のヒドロキシル基を有するアルコール、2)モノ−サッカライドおよび3)ジ−サッカライドから成る群から選択され、そして前記エステル化ポリオールが少なくとも3個のポリラクチド−コ−グリコライド鎖を有し、レトロゾールが薬剤力価15%から40%で存在し、レトロゾールがポリマーマトリックス中に分散している、ナノパーティクル。

【公表番号】特表2009−541264(P2009−541264A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515878(P2009−515878)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056166
【国際公開番号】WO2007/147861
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】