説明

アンカーボルト引抜工具

【課題】アンカーボルト引抜工具において、打ち込まれたアンカーボルトを損傷することなく容易に引抜くことができるようにする。
【解決手段】打ち込まれたアンカーボルトにナットを螺合し、アンカーボルトの端部をアンカーボルト引抜工具10の挿入ボア18に挿入する。保持リング13を押下げてテーパ部22によって係合爪部材12を押圧し、爪部12Aをアンカーボルトのピンの頭部に係合させて、爪部12によってピンの頭部を外周から把持する。保持ナット14を回転させ、保持リング14に当接させて、保持リング14及び係合爪部材12の位置を保持する。この状態で、アンカーボルトに螺合したナットを回転させ、このナットによってアンカーボルト引抜工具10を押上げることによってアンカーボルトのピンを引抜く。その後、ピンが引抜かれたアンカープラグを引抜く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート等の土台に打ち込まれたアンカーボルトを引抜くためのアンカーボルト引抜工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
設備機械等の構造物をコンクリート等の土台に据付ける場合、例えば図8に示すような打込式のアンカーボルト1が一般的に広く使用されている。図8に示すように、打込式のアンカーボルト1は、先端部に割溝を設けて拡開可能とした先割れ部2Aが形成され、基端部の外周にネジ部2Bが形成された略円筒状のアンカープラグ2と、一端部に尖端部3Aを有し、他端部に頭部3Bが形成され、アンカープラグ2に挿入されるピン3とから構成されている。そして、コンクリート等の土台4に形成した下穴5に、アンカープラグ2の先端側を挿入し、アンカープラグ2にピン3を打ち込んで、ピン3の尖端部3Aを先割れ部2Aに圧入することにより、先割れ部2Aを拡開させて下穴5の内壁に食込ませることによりアンカーボルト1を土台4に固定する。このようにして土台4に固定したアンカーボルト1のネジ部2Bにナット6を螺着して機械設備等の基盤7を土台4に固定する。
【0003】
土台4に据付けた機械設備等を撤去する場合、従来は、ナット6を緩めて基盤7を取外した後、土台4の表面から突出したアンカーボルト1をサンダー等の工具を用いて切断除去するようにしている。この場合、アンカーボルト1の切断面が土台4の表面に残ることになる。また、切断されたアンカーボルト1は、再使用することができず、不経済である。
【0004】
そこで、特許文献1に記載されたアンカーボルトでは、側壁にスリット状の開口を貫通させたナットを螺着して機械設備の基盤を固定するようにしている。そして、アンカーボルトを土台から引抜く場合には、ナットの開口に板状の舌片を挿入し、その先端部をアンカーボルトのピンの頭部に係合させた状態で、ナットを緩めることにより、打ち込まれたピンを引抜くようにしている。このようにして、ピンを引抜くことにより、土台からアンカーボルトを完全に撤去することができ、また、撤去したアンカーボルトを再使用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−349525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたアンカーボルトでは、次のような問題がある。機械設備をアンカーボルトによって土台に固定する際、舌片を挿通するためのスリット状の開口を有する特殊なナットを必要するため、コストが高くなる。アンカーボルトを撤去する際には、ナットの開口に舌片を挿入した状態で、スパナ等の工具を用いてナットを緩めることになるが、このとき、舌片を保持する必要があり、作業性に問題がある。また、ナットを緩める際、ピンの頭部に係合した舌片がナットと共に回転するため、ピンの表面が傷付けられることになり、再使用時に腐食等の問題を生じる虞がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みて成されたものであり、打ち込まれたアンカーボルトを損傷することなく容易に引抜くことができる汎用性の高いアンカーボルトの引抜工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、土台に設けられた下穴に略円筒状のアンカープラグを挿入し、該アンカープラグに頭部を有するピンを打ち込んで前記アンカープラグを拡開させることにより前記土台に固定されたアンカーボルトを引抜くためのアンカーボルト引抜工具において、
前記ピンが打ち込まれたアンカープラグの端部を挿入可能な挿入ボアと、該挿入ボアの側壁に径方向に沿って移動可能に設けられ前記アンカープラグに打ち込まれた前記ピンの頭部に係合する係合位置と係合位置から後退した後退位置とを移動可能な複数の係合爪部材と、該係合爪部材を係合位置で保持可能な保持手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
(発明の態様)
以下に、本発明において特許請求が可能と認識される発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の(1)乃至(3)の内容が請求項(1)乃至(3)にそれぞれ対応する。
(1)土台に設けられた下穴に略円筒状のアンカープラグを挿入し、該アンカープラグに頭部を有するピンを打ち込んで前記アンカープラグを拡開させることにより前記土台に固定されたアンカーボルトを引抜くためのアンカーボルト引抜工具において、
前記ピンが打ち込まれたアンカープラグの端部を挿入可能な挿入ボアと、該挿入ボアの側壁に径方向に沿って移動可能に設けられ前記アンカープラグに打ち込まれた前記ピンの頭部に係合する係合位置と係合位置から後退した後退位置とを移動可能な複数の係合爪部材と、該係合爪部材を係合位置で保持可能な保持手段とを備えていることを特徴とするアンカーボルト引抜工具。
係合爪部材は、挿入ボアの周方向に沿って、すなわち、放射状に複数配置することにより、ピンの頭部を外周側から把持することができる。複数の係合爪部材は、等間隔で3つ以上配置することにより、ピンの頭部をセンタリングして安定的に保持することができる。
(2)(1)の構成において、前記係合爪部材は、前記挿入ボアの径方向に沿って摺動可能に案内され、前記保持手段は、軸方向に沿って移動可能に案内されて、複数の前記係合爪部材の径方向外側の端部に当接するテーパ部を有し、軸方向に移動させることにより、前記テーパ部によって複数の前記係合爪部材を押圧して係合位置に移動させる保持リングと、前記係合爪部材を係合位置に移動させた前記保持リングをその位置で保持するリング保持手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト引抜工具。
リング保持手段は、保持リングに当接し、回転させることにより、ネジ部に沿って軸方向に移動する保持ナットとすることができる。
(3)(1)の構成において、前記係合爪部材は、ネジ孔にネジ込まれた係合ネジであり、前記保持手段は、前記ネジ孔と前記係合ネジとのネジ結合であることを特徴とするアンカーボルト引抜工具。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る引抜工具によれば、打ち込まれたアンカーボルトを損傷することなく容易に引抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアンカーボルト引抜工具の側面の縦断面図である。
【図2】図1に示すアンカーボルト引抜工具において、係合爪が係合位置に突出した状態を示す側面の縦断面図である。
【図3】土台に打ち込まれたアンカーボルトに、図1に示すアンカーボルト引抜工具をセットする工程を示す図である。
【図4】図3に示す工程によってセットされたアンカーボルト引抜工具により、アンカーボルトのピンを引抜く工程を示す図である。
【図5】ピンを引抜いた後、アンカープラグを土台から引抜く工程を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るアンカーボルト引抜工具の側面の縦断面図である。
【図7】土台に打ち込まれたアンカーボルトを図6に示すアンカーボルト引抜工具を用いて引抜く工程を示す図である。
【図8】土台に打ち込まれて機械設備の基盤を固定した状態の打込式のアンカーボルトの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係るアンカーボルト引抜工具は、図8に示すアンカーボルト1を引抜くためのものであり、以下の説明において、図8に示すものに対して、同様の部分には同じ参照符号を用いて説明する。
【0013】
本発明の第1実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るアンカーボルト引抜工具10は、工具本体11と、工具本体11に取付けられた複数の係合爪部材12と、保持リング13(保持手段)と、保持ナット14(保持手段)と、ストッパ15とを備えている。
【0014】
工具本体11は、大径の係合部16及び小径のネジ部17からなる段付の円柱状に形成されている。係合部16の端面には、土台4に打ち込まれたアンカープラグ2のネジ部2Bの端部及びアンカープラグ2に打ち込まれたピン3の頭部3Bが挿入される円筒状の挿入ボア18が形成されている。係合部16の挿入ボア18の側壁には、挿入ボア18に挿入されてその底部に当接するピン3の頭部3Bの基部(頭部3Bとアンカープラグ2の端部との間)に対向して径方向に延びる案内ボア19が貫通されている。案内ボア19は、挿入ボア18の周方向に沿って2つ以上配置されており、望ましくは3つ以上が等間隔で配置され、図示の例では、3つの案内ボア19が等間隔で配置されている。
【0015】
各案内ボア19には、係合爪部材12がその軸方向(挿入ボア18の径方向)に沿って移動可能に案内されている。係合爪部材12は、一端部にアンカープラグ2に打ち込まれたピン3の頭部3Bの基部に係合可能な尖端部を有する細い爪部12Aが形成され、他端部に案内ボア19に摺動可能に嵌合され、後端部が案内ボア19から突出する案内部12Bが形成されている。係合爪部材12は、爪部12Aが貫通する案内ボア19の底部と案内部12Bとの間に介装された圧縮コイルバネである戻しバネ20のバネ力により、挿入ボア18の径方向外側に向って付勢されている。
【0016】
これにより、係合爪部材12は、通常は、図1に示すように、戻しバネ20のバネ力により、爪部12Aが案内ボア19側へ後退した後退位置にある。この状態では、ピン3が打ち込まれたアンカープラグ2を工具本体11の挿入ボア18に挿入してピン3の頭部3Bを挿入ボア18の底部に当接させることができる。係合爪部材12は、案内ボア19から突出した案内部12Bの後端部を挿入ボア18側に押圧して、戻しバネ20のバネ力に抗して移動させることにより、図2に示すように、爪部12Aが挿入ボア18内に突出する。そして、係合爪部材12は、挿入ボア18内に挿入されたアンカープラグ2に打ち込まれたピン3の頭部3Bの基部に係合する係合位置まで移動し、ピン3の頭部3Bを複数の爪部12Aによって周囲から把持する。
【0017】
保持リング13は、略有底円筒状で、その円筒部内に工具本体11の係合部16が摺動可能に挿入され、底部に設けられた開口部12に工具本体11のネジ部17が挿通されて、工具本体11に対して軸方向に沿って移動可能に案内されている。保持リング13の円筒部の内周縁部には、工具本体11の案内ボア19から突出する複数の係合爪部材12の案内部12Bの後端部に当接するテーパ部22が形成されている。これにより、保持リング13は、通常は、戻しバネ20のバネ力によって後退位置に付勢された係合爪部材12にテーパ部22が押圧されて、工具本体11のネジ部17側(図1において上方)に移動され、図1に示す受入位置にある。そして、保持リング13を工具本体11の係合部16側(図1において下方)に移動させて図2に示す引抜位置に配置することにより、テーパ部22が係合爪部材12を戻しバネ20のバネ力に抗して押圧して爪部12Aが挿入ボア18内に突出する係合位置に移動させる。
【0018】
工具本体11のネジ部17の外周部に雄ネジが形成され、ネジ部17には、保持リング13の底部の端面に当接する保持ナット14が螺合されている。また、ネジ部17の先端部には、保持ナット14に当接するリング状のストッパ15が嵌合されて止ネジ23によって固定されている。ストッパ15は、保持ナット14がネジ部17から脱落しないようにしている。そして、保持リング13を図2に示す引抜位置に移動させたとき、保持ナット14を回転させて軸方向に沿って移動させ、保持リング14に当接させることにより、保持リング13を引抜位置で保持することができる。
【0019】
次に、土台4に打ち込まれたアンカーボルト1をアンカーボルト引抜工具10を用いて引抜く工程について図3乃至図5を参照して説明する。
図3を参照して、図3(A)は、図8と同様、土台4に打ち込まれたアンカーボルト1にナット6を螺着して基盤7を土台4に固定した状態を示している。先ず、ナット6を緩めて基盤7を取外した後、図3(B)に示すように、ナット6をアンカーボルト1のネジ部2Bに再度螺着した状態で、アンカーボルト1の端部をアンカーボルト引抜工具10の挿入ボア18に挿入してピン3の頭部3Bを底部に当接させる。このとき、保持リング13及び保持ナット14を図1に示す受入位置として、係合爪部材12を後退位置に移動させ、爪部12Aを後退させた状態で、アンカーボルト1を挿入ボア18に挿入する。
【0020】
次いで、図3(C)に示すように、保持リング13を押下げて、テーパ部22によって係合爪部材12を押圧し、戻しバネ20のバネ力に抗して挿入ボア18側に移動させ、爪部12Aの尖端部をアンカーボルト1のピン3の頭部3Bに係合させる。この状態で、図3(D)に示すように、保持ナット14を回転させ、軸方向に移動させて保持リング13に当接させることにより、保持リング13を図2に示す引抜位置で保持する。このようにして、アンカーボルト1にアンカーボルト引抜工具10をセットする。
【0021】
その後、図4(A)に示すように、ナット6を緩める方向に回転させて軸方向に移動させ、アンカーボルト引抜工具10の係合部16を押圧する。これにより、図4(B)に示すように、アンカーボルト引抜工具10と共にピン3をアンカープラグ2から引抜く。このとき、ナット6の押圧により、ピン3の尖端部3Aをアンカープラグ2の先割れ部2Aから引抜いた後は、先割れ部2Aの拡開が解消し、その反力が解消するので、ピン3を容易に引抜くことができる。また、ナット6を回転させたとき、アンカーボルト引抜工具10を回転方向に対して固定しておくことにより、ピン3の頭部3Bに係合した爪部12Aは、ピン3に対して回転しないので、ピン3を傷付けることがない。
【0022】
図5(A)に示すように、土台4に残ったアンカープラグ2にリング状のスペーサ24を嵌め、ネジ部2Bにナット6を再度螺合する。そして、図5(B)に示すように、ナット6を締付方向に回転させてスペーサ24に押付けることにより、アンカープラグ2を土台4の下穴5から引抜く。このようにして、図5(C)に示すように、アンカープラグ2をナット6と共に土台4の下穴5から完全に引抜くことができる。
【0023】
以上のようにして、アンカーボルト引抜工具10を用いて、土台4に打ち込まれたアンカーボルト1を損傷させることなく容易に引抜くことができる。その結果、土台4から設備機械を撤去した後、アンカーボルト1を完全に取除くことができ、また、引抜いたアンカーボルト1を再使用することができる。アンカーボルト引抜工具10は、保持リング13の移動量によって爪部12Aの挿入ボア18内への突出長さを調整することにより、異なる寸法のピン3の頭部3を把持することができる。これにより、アンカーボルト引抜工具10は、爪部12Aをピン3の頭部3Bに係合して把持可能な寸法のアンカーボルト1であれば、上記特許文献1に記載されたもののようにスリット付のナット等の特殊な部品を必要とすることなく、引抜くことができるので、汎用性に優れる。
【0024】
次に、本発明の第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、上記第1実施形態に対して、同様な部分には同じ参照符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0025】
図6に示すように、本実施形態に係る引抜工具30では、上記第1実施形態のものに対して、保持リング13、保持ナット14及びストッパ15が省略され、また、工具本体31は、ネジ部17が省略され、更に、係合爪部材12の代りに、係合ネジ33(係合爪部材)が設けられている。
【0026】
工具本体31の挿入ボア18の側壁には、案内ボア19の代りに、挿入ボア18に挿入されて底部に当接するピン3の頭部3Bの基部(頭部3Bとアンカープラグ2の端部との間)に対向して径方向に延びるネジ孔34が貫通されている。ネジ孔34は、案内ボア19と同様、挿入ボア18の周方向に沿って2つ以上配置されており、望ましくは3つ以上が等間隔で配置され、図示の例では、3つのネジ孔34が等間隔で配置されている。
【0027】
ネジ孔34には、係合ネジ33が螺合され、係合ネジ33の先端部には、挿入ボア18に挿入されたピン3と頭部3Bの基部に係合する尖った爪部33Aが形成されている。これにより、アンカーボルト1の端部を挿入ボア18に挿入し、係合ネジ33を締め込むことにより、爪部33Aをピン3の頭部3Bの基部に係合させて、頭部3Bの複数の爪部33Aによって周囲から把持する。このとき、係合ネジ22は、ネジ孔34とのネジ結合により、係合位置に保持される。
【0028】
次に、土台4に打ち込まれたアンカーボルト1を引抜工具30を用いて引抜く工程について図7を参照して説明する。
図7(A)に示すように、ナット6を緩めて基盤7を取外した後、ナット6をアンカーボルト1のネジ部2Bに再度螺着した状態で、アンカーボルト1の端部を引抜工具30の挿入ボア18に挿入してピン3の頭部3Bを底部に当接させる。
【0029】
図7(B)に示すように、係合ネジ33を締め込んで先端の爪部33Aをピン3の頭部3Bの基部に係合させ、ピン3の頭部3Bを周囲から把持する。図7(C)に示すように、ナット6を緩める方向に回転させて軸方向に移動させ、引抜工具30を押圧して引抜工具30と共にピン3をアンカープラグ2から引抜く。その後、上述の図5(A)から(C)に示す工程により、アンカープラグ2を土台4の下穴5から引抜く。以上のようにして、アンカーボルト引抜工具30を用いて、土台2に打ち込まれたアンカーボルト1を損傷させることなく容易に引抜くことができる。
【符号の説明】
【0030】
1…アンカーボルト、2…アンカープラグ、3…ピン、3B…頭部、土台…4、5…下穴、10…アンカーボルト引抜工具、18…挿入ボア、12…係合爪部材、13…保持リング(保持手段)、14…保持ナット(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台に設けられた下穴に略円筒状のアンカープラグを挿入し、該アンカープラグに頭部を有するピンを打ち込んで前記アンカープラグを拡開させることにより前記土台に固定されたアンカーボルトを引抜くためのアンカーボルト引抜工具において、
前記ピンが打ち込まれたアンカープラグの端部を挿入可能な挿入ボアと、該挿入ボアの側壁に径方向に沿って移動可能に設けられ前記アンカープラグに打ち込まれた前記ピンの頭部に係合する係合位置と係合位置から後退した後退位置とを移動可能な複数の係合爪部材と、該係合爪部材を係合位置で保持可能な保持手段とを備えていることを特徴とするアンカーボルト引抜工具。
【請求項2】
前記係合爪部材は、前記挿入ボアの径方向に沿って摺動可能に案内され、前記保持手段は、軸方向に沿って移動可能に案内されて、複数の前記係合爪部材の径方向外側の端部に当接するテーパ部を有し、軸方向に移動させることにより、前記テーパ部によって複数の前記係合爪部材を押圧して係合位置に移動させる保持リングと、前記係合爪部材を係合位置に移動させた前記保持リングをその位置で保持するリング保持手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト引抜工具。
【請求項3】
前記係合爪部材は、ネジ孔にネジ込まれた係合ネジであり、前記保持手段は、前記ネジ孔と前記係合ネジとのネジ結合であることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト引抜工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−71197(P2013−71197A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210978(P2011−210978)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】