アンカー
【課題】埋め込んだ後に抜け難いようにする。
【解決手段】一方向に延びたアンカー本体10と、アンカー本体10の先端部11に設けられ、アンカー本体10が埋め込まれた状態においてアンカー本体10に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材20とを備え、抜け止め部材20は、先端部11に設けられる基部21と、この基部21から先端部11と反対側に向かって延び、後方に向かうにしたがってアンカー本体10との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いにアンカー本体10の周方向に並ぶ複数の抜け止め片22とを有し、抜け止め部材20は、アンカー本体10に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって抜け止め片22のアンカー本体10に対する傾斜角度θが拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片22同士が前記周方向に当接することにより、傾斜角度θが最低角度θ0に設定される。
【解決手段】一方向に延びたアンカー本体10と、アンカー本体10の先端部11に設けられ、アンカー本体10が埋め込まれた状態においてアンカー本体10に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材20とを備え、抜け止め部材20は、先端部11に設けられる基部21と、この基部21から先端部11と反対側に向かって延び、後方に向かうにしたがってアンカー本体10との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いにアンカー本体10の周方向に並ぶ複数の抜け止め片22とを有し、抜け止め部材20は、アンカー本体10に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって抜け止め片22のアンカー本体10に対する傾斜角度θが拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片22同士が前記周方向に当接することにより、傾斜角度θが最低角度θ0に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば落石を防止すべく用いられる落石防止網などを固定するためのアンカーに関し、特に回転駆動されながら土中に埋め込まれるアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したアンカーとして、従来、帯板をスパイラル状に形成したアンカー本体の上部に係留を兼ねる回転止部材が取付けられる構成のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。このアンカーでは、前記回転止部材が取り外された状態でアンカー本体が回転駆動されながら地中に埋込まれ、所定深さに達すると、アンカー本体の上部に回転止部材が取付けられることでその回り止めがなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3111252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のアンカーにあっては、スパイラル状になっているアンカー本体よりも外側に突出した部分が無いので、そのようなアンカー本体を地中に埋め込んだ後に、埋め込み方向とは逆方向へ向けて引き上げられる引き抜き力が作用した場合に抜け易いという難点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、埋め込んだ後に引き抜き力が作用しても抜け難いアンカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るアンカーは、回転駆動されながら地中に埋め込まれるアンカーであって、一方向に延び、その一方の端部が先行して埋め込まれる先端部を構成するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端部に設けられ、当該アンカー本体が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材とを備え、前記抜け止め部材は、前記アンカー本体の先端部の近傍部位に設けられる基部と、この基部から前記アンカー本体の先端部と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体の周方向に並ぶ複数の抜け止め片とを有し、この抜け止め部材は、前記アンカー本体に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片の当該アンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片同士が前記周方向に当接することにより、前記傾斜角度が所定の最低角度を下回るまで低下するのを阻止する形状を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係るアンカーは、請求項1に記載のアンカーにおいて、前記最低角度が5゜以上かつ30゜以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係るアンカーは、請求項1または2に記載のアンカーにおいて、前記各抜け止め片が平板状であり、前記抜け止め部材は、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接可能な形状を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係るアンカーは、請求項3に記載のアンカーにおいて、前記抜け止め部材の基部及び各抜け止め片が単一の金属板により構成され、当該抜け止め片と前記アンカー本体とのなす角度が前記最低角度以上となるように前記基部と前記各抜け止め片との境界部分が曲がっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンカーにあっては、アンカー本体の先端部に設けられた抜け止め部材の複数の抜け止め片が、前記アンカー本体に対する離隔距離をアンカー本体の後端側に向かうに従って拡大する傾きに傾斜している。よって、アンカー本体をその先端側から地中に埋め込んだ後にアンカー本体が引き抜き力を受けると、各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形し、この変形に伴って地盤に対して抜け難くなる抵抗を発生させることになる。そして、この抵抗によりアンカーが抜け難い状態になる。また、地中に埋め込んでいくときに、抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度が小さくなっても、隣接する抜け止め片が周方向に当接して傾斜角度が最低角度を下回るまで低下するのを阻止するので、抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度は最低角度以上に保持され、その保持状態で地中に埋め込まれる。よって、アンカー本体が引き抜き力を受けて各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって傾斜角度が拡大する向きに変形するように前記最低角度を設定しておくことで、アンカー本体が引き抜き力を受けると各抜け止め片が基部と反対の先端側を確実に開かせることができる。なお、抜け止め片に負荷をかけない状態において、隣接する抜け止め片が周方向に当接せず、かつ前記傾斜角度が最低角度よりも大きい角度になるように設定しておき、埋め込みに際し、隣接する抜け止め片が周方向に当接して傾斜角度が最低角度に低下する構成にすることも可能である。
【0011】
前記最低角度は、請求項2のように5゜以上かつ30゜以下にすることが好ましい。即ち、5゜未満の角度の場合には、アンカー本体に引き抜き力が作用してアンカー本体が引き抜かれる状態になっても、各抜け止め片が傾斜角度を拡大させる向きに変形しない虞があるからである。一方、30゜よりも大の場合には、アンカーの埋め込みが困難になるためである。
【0012】
また、請求項3に係るアンカーにあっては、各抜け止め片が平板状であり、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接する構成にすることで、側面同士の当接する部分が角部となり、その角部が地中に穴をあける作用を有する。このとき、側面同士が当接する、互いに隣接する抜け止め片のうちの少なくとも一方の側面に、相手側の抜け止め片の側面に当接する当接片を形成しておくことが好ましい。
【0013】
更にまた、請求項4に係るアンカーにあっては、基部と抜け止め片とが単一の金属板で構成されているので、部品点数を少なくすることができる。また、基部と抜け止め片とが一体で繋がっているので、基部と抜け止め片の境界部分における強度を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンカーを示す正面図である。
【図2】図1のアンカーを示す右側面図である。
【図3】図1のアンカーを使用している状態を示す図である。
【図4】図1のアンカーを構成するアンカー本体を示す正面図である。
【図5】図1のアンカーを構成する抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図6】図5に示す抜け止め部材の展開図である。
【図7】抜け止め部材における抜け止め片の作用説明図である。
【図8】(a)、(b)は共に他の抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図9】(a)は他の抜け止め部材を示す外観斜視図、(b)はその展開図である。
【図10】更に他の抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図11】他の回り止め部材を示す外観斜視図である。
【図12】更に他の回り止め部材を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】更に他の回り止め部材を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るアンカーを示す正面図であり、図2はそのアンカーを示す右側面図、図3はそのアンカーを使用している状態を示す図である。また、図4は上記アンカーを構成するアンカー本体を示す正面図、図5は上記アンカーを構成する抜け止め部材を示す外観斜視図、図6は図5に示す抜け止め部材の展開図である。
【0017】
このアンカー1は、回転駆動されながら地中に埋め込まれるものであって、アンカー本体10と抜け止め部材20と回り止め部材30とを有する。
【0018】
アンカー本体10は、図4に示すように一方向に延びる棒状のもので、その一方の端部11は先行して地中に埋め込まれる先端部を構成する。その先端部(一方の端部)11は、先端に近づく程尖るように円錐形に形成された円錐部12と、その円錐部12よりも後端側に形成された、抜け止め部材20を取付けるための抜け止め部材取付部13とを有する。抜け止め部材取付部13よりも後端側には外径が抜け止め部材取付部13よりも連続して大きくなる段付部14が形成されている。段付部14よりも後端側は軸部15が形成されていて、その軸部15は軸方向の各位置で同一外径になっている。軸部15よりも後端側には外径が軸部15よりも連続して小さくなる段付部16が形成されており、段付部16よりも後端側は軸部15より小さい外径の回り止め部材取付部17が形成されている。抜け止め部材取付部13及び回り止め部材取付部17には、雄ねじが形成されている。
【0019】
前記抜け止め部材取付部13には、抜け止め部材20が取付けられる。抜け止め部材20は、アンカー本体10が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体10に引き抜き抵抗を与えるものであり、金属製のものである。抜け止め部材20の形状は、図5に示すように中心部に円形の取付孔21aを有する矩形状の基部21と、その基部21の各辺に繋がる4つの抜け止め片22とを有する。基部21と各抜け止め片22とが繋がっている部分が折り曲げ箇所となっている。
【0020】
この抜け止め部材20は、以下のように作製される。まず、単一の金属板、例えば鋼板から図6に示すように型抜きするとともに、基部21と抜け止め片22との境界部分24を同じ方向に折り曲げることで、1回のプレス成形により作製される。よって、基部21と抜け止め片22とが単一の金属板で構成されているので、部品点数を少なくすることができる。また、基部21と抜け止め片22とが一体で繋がっているので、溶接等を用いて連結する場合に比べて前記境界部分24における強度を確保することが可能である。
【0021】
この抜け止め部材20は、図1、図2に示すように、基部21の取付孔21aにアンカー本体10の先端部11を挿入するとともに、基部21の両側にそれぞれ設けたナット23a、23bで挟持することで、アンカー本体10の先端部11に取付けられる。この取付け状態において、各抜け止め片22は、基部21からアンカー本体10の先端部11と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体10との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体10の周方向に並んでいる。
【0022】
この抜け止め部材20は、アンカー本体10に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片22の当該アンカー本体10に対する傾斜角度θが拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片22同士が前記周方向に当接している。傾斜角度θのうち、隣接する抜け止め片22同士が周方向に当接するときの最低角度θ0は、本実施形態において10゜に設定されている。
【0023】
前記回り止め部材取付部17には、回り止め部材30が取付けられる。回り止め部材30は、概略L字状に形成された金属製のものであって、短冊状の取付部31と、その取付部31の長手方向の一端に繋がった埋設部32とを有し、取付部31には例えば円形状の取付孔31aが形成され、埋設部32の先端側(取付部31から離れた側)には、先端になる程に狭幅となった打込部32aが形成されている。
【0024】
この回り止め部材30は、アンカー本体10を所定深さに埋設した後に、そのアンカー本体10と埋設部32との間に落石防止網2の網目2aまたは落石防止網2を押さえるロープ3が入るように(図3参照)、取付孔31aに回り止め部材取付部17を挿入した状態で回り止め部材30を打ち込み、取付部31におけるアンカー本体10と埋設部32との間で落石防止網2の網目2aやロープ3の抜け止めを行う。なお、取付部31の両側はナット33a、33bで挟持される。
【0025】
次に、このように構成された本実施形態におけるアンカー1の取付け内容を、落石防止網を固定する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
まず、アンカー本体10の先端部11における抜け止め部材取付部13に、ナット23a、23bを介して抜け止め部材20を取付ける。または、抜け止め部材20が取付けられたアンカー本体10を用意する。
【0027】
次に、落石防止網2の網目2aの内側に、アンカー本体10を所定の回転工具を用いて回転駆動させて抜け止め部材20を地中に埋め込んでいく。このとき、抜け止め片22は一定の姿勢に保持される。つまり、互いに隣接する抜け止め片22同士がアンカー本体10の周方向に当接していて、傾斜角度θが最低角度θ0に保持されるからである。また、隣接する抜け止め片22における当接する側面22aは、周方向において他の部分よりも外方に向けて突出しているため、一種のドリルの刃として機能する。よって、抜け止め部材20及びアンカー本体10は容易に地中に埋め込まれる。
【0028】
次に、所定深さまでアンカー本体10を埋め込むと、前記回転工具をアンカー本体10から取外す。
【0029】
続いて、アンカー本体10と埋設部32との間に落石防止網の網目が入るように(図3参照)、取付孔31aに回り止め部材取付部17を挿入した状態で回り止め部材30を、ハンマー等を用いて打ち込む。これにより、取付部31におけるアンカー本体10と埋設部32との間で落石防止網の網目の抜け止めが行われる。このとき、取付部31の下側のナット33aは、回り止め部材30よりも先に回り止め部材取付部17に取付けておく。
【0030】
次に、アンカー本体10の後端部18に取付部31の上側のナット33bを取付ける。これによりアンカー1の取付けが完了する。
【0031】
以上のアンカー1の取付けを繰り返して、落石防止網の全域をアンカー1により地盤に固定する。これにより落石防止網が所望の状態に取付けられるとともに、抜け止め片22の傾斜角度θが最低角度θ0に一定に保持される。
【0032】
この状態において、例えば落石により落石防止網に力が加わって、回り止め部材30の取付部31およびアンカー本体10に引き抜き力が作用しても、アンカー本体10等が引き抜かれるのを抜け止め部材20が、以下のようにして防止する。即ち、図7に示すようにアンカー本体10が引き抜き力Aを受けると、各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって二点鎖線で示すように傾斜角度θが拡大する向きに変形し(つまり抜け止め片22が開き)、この変形に伴って地盤に対して抜け難くなる抵抗を発生させ、この抵抗によりアンカー1が抜け難い状態になる。また、このとき、傾斜角度θが最低角度θ0に設定されているので、アンカー本体10が引き抜き力を受けると各抜け止め片22における基部21と反対の先端側を確実に開かせることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態においては、最低角度θ0を10゜に設定しているが、本体発明はこれに限らず、最低角度θ0を5゜以上かつ30゜以下の任意の角度に設定することが可能である。最低角度θ0を5゜以上に設定する理由は、5゜未満の角度の場合には、アンカー本体に引き抜き力が作用してアンカー本体が引き抜かれる状態になっても、各抜け止め片22が傾斜角度を拡大させる向きに変形しない(つまり抜け止め片22が開かない)虞があるからである。一方、最低角度θ0を30゜以下に設定する理由は、30゜よりも大の場合には、アンカーの埋め込みが困難になり、或いは落石防止網の固定にアンカーを用いる場合に網目を挿通させることができなくなる虞があるためである。
【0034】
また、上述した実施形態においては、基部21が矩形状で抜け止め片22が4個の抜け止め部材20を用いているが、本発明はこれに限らない。例えば、図8(a)に示すように基部211が六角形で抜け止め片221が6個の抜け止め部材201、或いは、図示を省略するが基部が五角形で抜け止め片が5個、或いは基部が七角形以上で抜け止め片が基部の辺の数と同じ数の抜け止め部材などを用いてもよい。また、基部212が円形で、抜け止め片222が円錐台の側面を4分割した形状の抜け止め部材202などを用いてもよい。抜け止め部材202における抜け止め片222としては、円錐台の側面を2分割、または3分割、または5分割以上とした形態であってもよい。
【0035】
更に、上述した実施形態においては、隣接する抜け止め片22における側面22a同士を当接させることで最低角度θ0を維持するように構成しているが、本発明はこれに限らず、図9(a)(b)に示すように、隣接する抜け止め片22における側面22aに当接片22bを形成し、その当接片22bと隣の抜け止め片22における側面22aとが当接するように構成してもよい。なお、図9では、当接させる2つの側面22aの両方に当接片22bを形成しているが、本発明はこれに限らず、いずれか片方に当接片22bを形成してもよい。
【0036】
更にまた、上述した実施形態における抜け止め部材として、地盤へ埋設する際の直前直後(引き抜き力が作用して抜け止め片22が開く場合を除く)で、図5及び図9(a)に示すように隣接する抜け止め片22における側面22a同士が当接したまま、つまり抜け止め片22の傾斜角度θに変化が起こらない構成のものを例に挙げているが、本発明に適用可能な抜け止め部材はこれに限らない。例えば、図10に示すように、地盤へ埋設する際の直前直後(引き抜き力が作用して抜け止め片22が開く場合を除く)で、隣接する抜け止め片22における側面22a同士が当接せずに間に隙間22cが形成されていて、地盤に抜け止め部材20を埋め込んでいくときに、地盤から受ける力によって抜け止め片22が変形することに伴って傾斜角度θが小さくなり、最終的に隙間22cがゼロ、つまり側面22a同士が当接する最低角度θ0にまで変形する構成にも適用することができる。
【0037】
更にまた、上述した実施形態における回り止め部材30としては、図1に示すように概略L字形のものを用いているが、本発明はこれに限らない。例えば、図11に示すように取付部31の長手方向の両端に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30Aを用いてもよい。或いは、図12に示すように取付部34が平面視で概略三角形に形成されるとともに中心部に取付孔34aが形成され、外周部の各頂部に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30B、或いは、図13に示すように取付部35が平面視で十字形に形成されるとともに交差部に取付孔35aが形成され、各辺の端部に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30Cを用いてもよい。
【0038】
更にまた、上述した実施形態においては落石防止網を固定する場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らない。例えば、テントなどをたてる場合に支柱を引っ張るためのロープを固定するためのアンカーにも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 アンカー
10 アンカー本体
11 一方の端部(先端部)
20 抜け止め部材
21 基部
22 抜け止め片
θ 傾斜角度
θ0 最低角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば落石を防止すべく用いられる落石防止網などを固定するためのアンカーに関し、特に回転駆動されながら土中に埋め込まれるアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
上述したアンカーとして、従来、帯板をスパイラル状に形成したアンカー本体の上部に係留を兼ねる回転止部材が取付けられる構成のものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。このアンカーでは、前記回転止部材が取り外された状態でアンカー本体が回転駆動されながら地中に埋込まれ、所定深さに達すると、アンカー本体の上部に回転止部材が取付けられることでその回り止めがなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3111252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のアンカーにあっては、スパイラル状になっているアンカー本体よりも外側に突出した部分が無いので、そのようなアンカー本体を地中に埋め込んだ後に、埋め込み方向とは逆方向へ向けて引き上げられる引き抜き力が作用した場合に抜け易いという難点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、埋め込んだ後に引き抜き力が作用しても抜け難いアンカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るアンカーは、回転駆動されながら地中に埋め込まれるアンカーであって、一方向に延び、その一方の端部が先行して埋め込まれる先端部を構成するアンカー本体と、前記アンカー本体の先端部に設けられ、当該アンカー本体が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材とを備え、前記抜け止め部材は、前記アンカー本体の先端部の近傍部位に設けられる基部と、この基部から前記アンカー本体の先端部と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体の周方向に並ぶ複数の抜け止め片とを有し、この抜け止め部材は、前記アンカー本体に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片の当該アンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片同士が前記周方向に当接することにより、前記傾斜角度が所定の最低角度を下回るまで低下するのを阻止する形状を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係るアンカーは、請求項1に記載のアンカーにおいて、前記最低角度が5゜以上かつ30゜以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係るアンカーは、請求項1または2に記載のアンカーにおいて、前記各抜け止め片が平板状であり、前記抜け止め部材は、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接可能な形状を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係るアンカーは、請求項3に記載のアンカーにおいて、前記抜け止め部材の基部及び各抜け止め片が単一の金属板により構成され、当該抜け止め片と前記アンカー本体とのなす角度が前記最低角度以上となるように前記基部と前記各抜け止め片との境界部分が曲がっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンカーにあっては、アンカー本体の先端部に設けられた抜け止め部材の複数の抜け止め片が、前記アンカー本体に対する離隔距離をアンカー本体の後端側に向かうに従って拡大する傾きに傾斜している。よって、アンカー本体をその先端側から地中に埋め込んだ後にアンカー本体が引き抜き力を受けると、各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形し、この変形に伴って地盤に対して抜け難くなる抵抗を発生させることになる。そして、この抵抗によりアンカーが抜け難い状態になる。また、地中に埋め込んでいくときに、抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度が小さくなっても、隣接する抜け止め片が周方向に当接して傾斜角度が最低角度を下回るまで低下するのを阻止するので、抜け止め片のアンカー本体に対する傾斜角度は最低角度以上に保持され、その保持状態で地中に埋め込まれる。よって、アンカー本体が引き抜き力を受けて各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって傾斜角度が拡大する向きに変形するように前記最低角度を設定しておくことで、アンカー本体が引き抜き力を受けると各抜け止め片が基部と反対の先端側を確実に開かせることができる。なお、抜け止め片に負荷をかけない状態において、隣接する抜け止め片が周方向に当接せず、かつ前記傾斜角度が最低角度よりも大きい角度になるように設定しておき、埋め込みに際し、隣接する抜け止め片が周方向に当接して傾斜角度が最低角度に低下する構成にすることも可能である。
【0011】
前記最低角度は、請求項2のように5゜以上かつ30゜以下にすることが好ましい。即ち、5゜未満の角度の場合には、アンカー本体に引き抜き力が作用してアンカー本体が引き抜かれる状態になっても、各抜け止め片が傾斜角度を拡大させる向きに変形しない虞があるからである。一方、30゜よりも大の場合には、アンカーの埋め込みが困難になるためである。
【0012】
また、請求項3に係るアンカーにあっては、各抜け止め片が平板状であり、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接する構成にすることで、側面同士の当接する部分が角部となり、その角部が地中に穴をあける作用を有する。このとき、側面同士が当接する、互いに隣接する抜け止め片のうちの少なくとも一方の側面に、相手側の抜け止め片の側面に当接する当接片を形成しておくことが好ましい。
【0013】
更にまた、請求項4に係るアンカーにあっては、基部と抜け止め片とが単一の金属板で構成されているので、部品点数を少なくすることができる。また、基部と抜け止め片とが一体で繋がっているので、基部と抜け止め片の境界部分における強度を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンカーを示す正面図である。
【図2】図1のアンカーを示す右側面図である。
【図3】図1のアンカーを使用している状態を示す図である。
【図4】図1のアンカーを構成するアンカー本体を示す正面図である。
【図5】図1のアンカーを構成する抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図6】図5に示す抜け止め部材の展開図である。
【図7】抜け止め部材における抜け止め片の作用説明図である。
【図8】(a)、(b)は共に他の抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図9】(a)は他の抜け止め部材を示す外観斜視図、(b)はその展開図である。
【図10】更に他の抜け止め部材を示す外観斜視図である。
【図11】他の回り止め部材を示す外観斜視図である。
【図12】更に他の回り止め部材を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】更に他の回り止め部材を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るアンカーを示す正面図であり、図2はそのアンカーを示す右側面図、図3はそのアンカーを使用している状態を示す図である。また、図4は上記アンカーを構成するアンカー本体を示す正面図、図5は上記アンカーを構成する抜け止め部材を示す外観斜視図、図6は図5に示す抜け止め部材の展開図である。
【0017】
このアンカー1は、回転駆動されながら地中に埋め込まれるものであって、アンカー本体10と抜け止め部材20と回り止め部材30とを有する。
【0018】
アンカー本体10は、図4に示すように一方向に延びる棒状のもので、その一方の端部11は先行して地中に埋め込まれる先端部を構成する。その先端部(一方の端部)11は、先端に近づく程尖るように円錐形に形成された円錐部12と、その円錐部12よりも後端側に形成された、抜け止め部材20を取付けるための抜け止め部材取付部13とを有する。抜け止め部材取付部13よりも後端側には外径が抜け止め部材取付部13よりも連続して大きくなる段付部14が形成されている。段付部14よりも後端側は軸部15が形成されていて、その軸部15は軸方向の各位置で同一外径になっている。軸部15よりも後端側には外径が軸部15よりも連続して小さくなる段付部16が形成されており、段付部16よりも後端側は軸部15より小さい外径の回り止め部材取付部17が形成されている。抜け止め部材取付部13及び回り止め部材取付部17には、雄ねじが形成されている。
【0019】
前記抜け止め部材取付部13には、抜け止め部材20が取付けられる。抜け止め部材20は、アンカー本体10が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体10に引き抜き抵抗を与えるものであり、金属製のものである。抜け止め部材20の形状は、図5に示すように中心部に円形の取付孔21aを有する矩形状の基部21と、その基部21の各辺に繋がる4つの抜け止め片22とを有する。基部21と各抜け止め片22とが繋がっている部分が折り曲げ箇所となっている。
【0020】
この抜け止め部材20は、以下のように作製される。まず、単一の金属板、例えば鋼板から図6に示すように型抜きするとともに、基部21と抜け止め片22との境界部分24を同じ方向に折り曲げることで、1回のプレス成形により作製される。よって、基部21と抜け止め片22とが単一の金属板で構成されているので、部品点数を少なくすることができる。また、基部21と抜け止め片22とが一体で繋がっているので、溶接等を用いて連結する場合に比べて前記境界部分24における強度を確保することが可能である。
【0021】
この抜け止め部材20は、図1、図2に示すように、基部21の取付孔21aにアンカー本体10の先端部11を挿入するとともに、基部21の両側にそれぞれ設けたナット23a、23bで挟持することで、アンカー本体10の先端部11に取付けられる。この取付け状態において、各抜け止め片22は、基部21からアンカー本体10の先端部11と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体10との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体10の周方向に並んでいる。
【0022】
この抜け止め部材20は、アンカー本体10に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片22の当該アンカー本体10に対する傾斜角度θが拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片22同士が前記周方向に当接している。傾斜角度θのうち、隣接する抜け止め片22同士が周方向に当接するときの最低角度θ0は、本実施形態において10゜に設定されている。
【0023】
前記回り止め部材取付部17には、回り止め部材30が取付けられる。回り止め部材30は、概略L字状に形成された金属製のものであって、短冊状の取付部31と、その取付部31の長手方向の一端に繋がった埋設部32とを有し、取付部31には例えば円形状の取付孔31aが形成され、埋設部32の先端側(取付部31から離れた側)には、先端になる程に狭幅となった打込部32aが形成されている。
【0024】
この回り止め部材30は、アンカー本体10を所定深さに埋設した後に、そのアンカー本体10と埋設部32との間に落石防止網2の網目2aまたは落石防止網2を押さえるロープ3が入るように(図3参照)、取付孔31aに回り止め部材取付部17を挿入した状態で回り止め部材30を打ち込み、取付部31におけるアンカー本体10と埋設部32との間で落石防止網2の網目2aやロープ3の抜け止めを行う。なお、取付部31の両側はナット33a、33bで挟持される。
【0025】
次に、このように構成された本実施形態におけるアンカー1の取付け内容を、落石防止網を固定する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
まず、アンカー本体10の先端部11における抜け止め部材取付部13に、ナット23a、23bを介して抜け止め部材20を取付ける。または、抜け止め部材20が取付けられたアンカー本体10を用意する。
【0027】
次に、落石防止網2の網目2aの内側に、アンカー本体10を所定の回転工具を用いて回転駆動させて抜け止め部材20を地中に埋め込んでいく。このとき、抜け止め片22は一定の姿勢に保持される。つまり、互いに隣接する抜け止め片22同士がアンカー本体10の周方向に当接していて、傾斜角度θが最低角度θ0に保持されるからである。また、隣接する抜け止め片22における当接する側面22aは、周方向において他の部分よりも外方に向けて突出しているため、一種のドリルの刃として機能する。よって、抜け止め部材20及びアンカー本体10は容易に地中に埋め込まれる。
【0028】
次に、所定深さまでアンカー本体10を埋め込むと、前記回転工具をアンカー本体10から取外す。
【0029】
続いて、アンカー本体10と埋設部32との間に落石防止網の網目が入るように(図3参照)、取付孔31aに回り止め部材取付部17を挿入した状態で回り止め部材30を、ハンマー等を用いて打ち込む。これにより、取付部31におけるアンカー本体10と埋設部32との間で落石防止網の網目の抜け止めが行われる。このとき、取付部31の下側のナット33aは、回り止め部材30よりも先に回り止め部材取付部17に取付けておく。
【0030】
次に、アンカー本体10の後端部18に取付部31の上側のナット33bを取付ける。これによりアンカー1の取付けが完了する。
【0031】
以上のアンカー1の取付けを繰り返して、落石防止網の全域をアンカー1により地盤に固定する。これにより落石防止網が所望の状態に取付けられるとともに、抜け止め片22の傾斜角度θが最低角度θ0に一定に保持される。
【0032】
この状態において、例えば落石により落石防止網に力が加わって、回り止め部材30の取付部31およびアンカー本体10に引き抜き力が作用しても、アンカー本体10等が引き抜かれるのを抜け止め部材20が、以下のようにして防止する。即ち、図7に示すようにアンカー本体10が引き抜き力Aを受けると、各抜け止め片22が地盤から受ける抵抗によって二点鎖線で示すように傾斜角度θが拡大する向きに変形し(つまり抜け止め片22が開き)、この変形に伴って地盤に対して抜け難くなる抵抗を発生させ、この抵抗によりアンカー1が抜け難い状態になる。また、このとき、傾斜角度θが最低角度θ0に設定されているので、アンカー本体10が引き抜き力を受けると各抜け止め片22における基部21と反対の先端側を確実に開かせることができる。
【0033】
なお、上述した実施形態においては、最低角度θ0を10゜に設定しているが、本体発明はこれに限らず、最低角度θ0を5゜以上かつ30゜以下の任意の角度に設定することが可能である。最低角度θ0を5゜以上に設定する理由は、5゜未満の角度の場合には、アンカー本体に引き抜き力が作用してアンカー本体が引き抜かれる状態になっても、各抜け止め片22が傾斜角度を拡大させる向きに変形しない(つまり抜け止め片22が開かない)虞があるからである。一方、最低角度θ0を30゜以下に設定する理由は、30゜よりも大の場合には、アンカーの埋め込みが困難になり、或いは落石防止網の固定にアンカーを用いる場合に網目を挿通させることができなくなる虞があるためである。
【0034】
また、上述した実施形態においては、基部21が矩形状で抜け止め片22が4個の抜け止め部材20を用いているが、本発明はこれに限らない。例えば、図8(a)に示すように基部211が六角形で抜け止め片221が6個の抜け止め部材201、或いは、図示を省略するが基部が五角形で抜け止め片が5個、或いは基部が七角形以上で抜け止め片が基部の辺の数と同じ数の抜け止め部材などを用いてもよい。また、基部212が円形で、抜け止め片222が円錐台の側面を4分割した形状の抜け止め部材202などを用いてもよい。抜け止め部材202における抜け止め片222としては、円錐台の側面を2分割、または3分割、または5分割以上とした形態であってもよい。
【0035】
更に、上述した実施形態においては、隣接する抜け止め片22における側面22a同士を当接させることで最低角度θ0を維持するように構成しているが、本発明はこれに限らず、図9(a)(b)に示すように、隣接する抜け止め片22における側面22aに当接片22bを形成し、その当接片22bと隣の抜け止め片22における側面22aとが当接するように構成してもよい。なお、図9では、当接させる2つの側面22aの両方に当接片22bを形成しているが、本発明はこれに限らず、いずれか片方に当接片22bを形成してもよい。
【0036】
更にまた、上述した実施形態における抜け止め部材として、地盤へ埋設する際の直前直後(引き抜き力が作用して抜け止め片22が開く場合を除く)で、図5及び図9(a)に示すように隣接する抜け止め片22における側面22a同士が当接したまま、つまり抜け止め片22の傾斜角度θに変化が起こらない構成のものを例に挙げているが、本発明に適用可能な抜け止め部材はこれに限らない。例えば、図10に示すように、地盤へ埋設する際の直前直後(引き抜き力が作用して抜け止め片22が開く場合を除く)で、隣接する抜け止め片22における側面22a同士が当接せずに間に隙間22cが形成されていて、地盤に抜け止め部材20を埋め込んでいくときに、地盤から受ける力によって抜け止め片22が変形することに伴って傾斜角度θが小さくなり、最終的に隙間22cがゼロ、つまり側面22a同士が当接する最低角度θ0にまで変形する構成にも適用することができる。
【0037】
更にまた、上述した実施形態における回り止め部材30としては、図1に示すように概略L字形のものを用いているが、本発明はこれに限らない。例えば、図11に示すように取付部31の長手方向の両端に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30Aを用いてもよい。或いは、図12に示すように取付部34が平面視で概略三角形に形成されるとともに中心部に取付孔34aが形成され、外周部の各頂部に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30B、或いは、図13に示すように取付部35が平面視で十字形に形成されるとともに交差部に取付孔35aが形成され、各辺の端部に埋設部32が設けられ、各埋設部32の先端に打込部32aが形成された回り止め部材30Cを用いてもよい。
【0038】
更にまた、上述した実施形態においては落石防止網を固定する場合を例に挙げているが、本発明はこれに限らない。例えば、テントなどをたてる場合に支柱を引っ張るためのロープを固定するためのアンカーにも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 アンカー
10 アンカー本体
11 一方の端部(先端部)
20 抜け止め部材
21 基部
22 抜け止め片
θ 傾斜角度
θ0 最低角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されながら地中に埋め込まれるアンカーであって、
一方向に延び、その一方の端部が先行して埋め込まれる先端部を構成するアンカー本体と、
前記アンカー本体の先端部に設けられ、当該アンカー本体が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材とを備え、
前記抜け止め部材は、前記アンカー本体の先端部の近傍部位に設けられる基部と、この基部から前記アンカー本体の先端部と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体の周方向に並ぶ複数の抜け止め片とを有し、
この抜け止め部材は、前記アンカー本体に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片の当該アンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片同士が前記周方向に当接することにより、前記傾斜角度が所定の最低角度を下回るまで低下するのを阻止する形状を有することを特徴とするアンカー。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーにおいて、
前記最低角度が5゜以上かつ30゜以下であることを特徴とするアンカー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンカーにおいて、
前記各抜け止め片が平板状であり、前記抜け止め部材は、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接可能な形状を有することを特徴とするアンカー。
【請求項4】
請求項3に記載のアンカーにおいて、
前記抜け止め部材の基部及び各抜け止め片が単一の金属板により構成され、当該抜け止め片と前記アンカー本体とのなす角度が前記最低角度以上となるように前記基部と前記各抜け止め片との境界部分が曲がっていることを特徴とするアンカー。
【請求項1】
回転駆動されながら地中に埋め込まれるアンカーであって、
一方向に延び、その一方の端部が先行して埋め込まれる先端部を構成するアンカー本体と、
前記アンカー本体の先端部に設けられ、当該アンカー本体が埋め込まれた状態で地盤に食い込むことにより当該アンカー本体に引き抜き抵抗を与える抜け止め部材とを備え、
前記抜け止め部材は、前記アンカー本体の先端部の近傍部位に設けられる基部と、この基部から前記アンカー本体の先端部と反対側に向かって延び、かつ後方に向かうにしたがってアンカー本体との離隔距離が拡大する向きに傾斜し、互いに前記アンカー本体の周方向に並ぶ複数の抜け止め片とを有し、
この抜け止め部材は、前記アンカー本体に引き抜き力が与えられたときに各抜け止め片が地盤から受ける抵抗によって当該抜け止め片の当該アンカー本体に対する傾斜角度が拡大する向きに変形可能であり、かつ、互いに隣接する抜け止め片同士が前記周方向に当接することにより、前記傾斜角度が所定の最低角度を下回るまで低下するのを阻止する形状を有することを特徴とするアンカー。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーにおいて、
前記最低角度が5゜以上かつ30゜以下であることを特徴とするアンカー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアンカーにおいて、
前記各抜け止め片が平板状であり、前記抜け止め部材は、互いに隣接する抜け止め片の側面同士が当接可能な形状を有することを特徴とするアンカー。
【請求項4】
請求項3に記載のアンカーにおいて、
前記抜け止め部材の基部及び各抜け止め片が単一の金属板により構成され、当該抜け止め片と前記アンカー本体とのなす角度が前記最低角度以上となるように前記基部と前記各抜け止め片との境界部分が曲がっていることを特徴とするアンカー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−190642(P2011−190642A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59198(P2010−59198)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【Fターム(参考)】
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