説明

アンジオテンシンI誘導体

本発明は、アンジオテンシンI誘導体に関する。詳細には、本発明は、心臓肥大、および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンI誘導体に関する。詳細には、本発明は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンI誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
身体内では、ペプチドであるアンジオテンシンIは、中間分子である脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを経由して、各々、アミノペプチダーゼおよびアンジオテンシン変換酵素によってアンジオテンシンIIIへ変換される。
【0003】
脱アスパラギン酸アンジオテンシンIは、心臓肥大(米国特許第5,773,415号)および新生内膜形成もしくは再狭窄(米国特許第6,100,237号)の治療および/または予防における使用について記載されている。
【0004】
アンジオテンシンIIは、心臓肥大および新生内膜形成に関係している。体外から投与されたアンジオテンシンIIは、心臓肥大(Dostal and Baker,Am.J.Hypertens.,5:276−280(1991))、および新生内膜形成(Osterrieder et al.,Hypertension,18:II−60−II−64(1991);Daemen et al.,Circ.Res.,68:450−456(1991))を増強する。
【0005】
アンジオテンシンIIの二次代謝産物であるアンジオテンシンIVの作用は、あまりよく知られていない。アンジオテンシンIVは、近年、公知のAT1およびAT2受容体とは相違するサブタイプのアンジオテンシン受容体に作用することが証明されている(Swanson et al.,Regul.Pept.,40:409−419(1992))。この受容体はAT4受容体と名付けられており、脳内での認知機能と、おそらくニューロン発生を調節するということが証明されている(von Bohlen and Halbach,Cell Tissue Res.,311:1−9(2003))。心臓肥大における役割については、仮にあったとしてもいまだ未知である。
【0006】
2つの研究が、矛盾する作用を報告している。Baker and Acetoによる研究(Am.J.Physiol.,259:H610−H618(1990))では、アンジオテンシンIVは、ニワトリの胚性筋細胞培養中でのタンパク質合成及び細胞増殖における、アンジオテンシンIIの刺激作用阻害することを証明した。Wang et al.による後の研究(Clin.Sci.,88:557−562(1995))では、アンジオテンシンIIおよびアンジオテンシンIVの両方が静止状態のウサギ心線維芽細胞におけるDNAおよびRNA合成を刺激し、これら2つのペプチドの組み合わせがRNA合成の付加的刺激を生じさせることを証明した。
【0007】
これらのインビトロ試験は、無傷哺乳動物種における心臓肥大へのアンジオテンシンIV(AT4)の作用に関して何の目安も提供しない。同様に、新生内膜形成にアンジオテンシンIVが及ぼす作用に関する情報は少ない。Moeller et al.による試験(Regul.Pept.,83:25−30(1999))は、内皮が剥離されたウサギ頸動脈の新生内膜および中膜内でのAT4受容体のアップレギュレーションを報告した。しかし、心臓肥大におけると同様に、新生内膜形成においてアンジオテンシンIVが果たす正確な役割は不明なままである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を取り扱い、アンジオテンシンIの誘導体の新規の使用および/または組成物を提供する。詳細には、本発明は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンI誘導体の新規使用を提供する。より詳細には、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの誘導体は、治療もしくは予防を必要とする被検体またはヒト患者において心臓肥大および/または、再狭窄を含む新生内膜形成を治療および/または予防するために使用される。
【0009】
したがって、治療および/または予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための方法であって、前記患者に、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、有効量の少なくとも1つのアンジオテンシンIの誘導体を投与する工程を含む方法が提供される。
【0010】
脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、有効量の少なくとも1つのアンジオテンシンIの誘導体と、少なくとも1つの医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントとを含む医薬組成物もまた提供される。本組成物は、好ましくは、前記患者に投与する工程を含む治療および/または予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防する際に使用するためである。患者はヒトであってよい。詳細には、新生内膜形成は再狭窄を含むことがある。
【0011】
医薬において使用するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体もまた提供される。本発明による誘導体は、治療を必要とする被検体において好ましくは心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防する際に使用するためである。患者はヒトであってよい。詳細には、新生内膜形成は再狭窄を含むことがある。
【0012】
治療もしくは予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための薬剤を調製するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体の使用もまた提供される。患者はヒトであってよい。詳細には、新生内膜形成は再狭窄を含むことがある。
【0013】
さらに、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体を含むキットであって、前記キットが心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するためであるキットが提供される。前記キットは、使用に関連する情報、図解および/または説明書をさらに含むことができる。
【0014】
アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物であってよい。例えば、本誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物であってよい。詳細には、少なくとも1つの誘導体は、アンジオテンシンIVである。
【0015】
本誘導体は、有効量で調製され、使用され、および/または投与されることができる。有効量は、10〜500μg/kg/日または50〜250μg/kg/日であってよい。詳細には、誘導体は心臓肥大を治療および/または予防するためには約150μg/kg/日、ならびに新生内膜形成および/または再狭窄を治療および/または予防するためには約200μg/kg/日の有効量で調製、使用、および/または投与される。
【0016】
本発明による誘導体、薬剤または医薬組成物は、固体もしくは液体形で投与できる。
【0017】
本誘導体は、医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと一緒に投与できる。さらに、本誘導体は、少なくとも1つの医薬物質と結び付けて投与できる。少なくとも1つの医薬物質は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗薬、および/または少なくとも1つのタイプの幹細胞である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本明細書に言及した書誌学的参考文献は、便宜的に参考文献一覧の形状で列挙されており、実施例の最後に付け加えられている。そのような書誌学的参考文献の全内容は、参照して本明細書に組み込まれる。
【0019】
本発明は、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体についての医学における新規使用に関する。詳細には、本発明は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体の医薬における使用に関する。本発明において使用する誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物であってよい。例えば、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である。詳細には、本誘導体は、アンジオテンシンIVであってよい。より詳細には、治療および/または予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体の使用が提供される。
【0020】
アンジオテンシンIの誘導体であるアンジオテンシンIVに関して、実験的に誘導された心臓肥大および/または新生内膜形成もしくは再狭窄後の哺乳動物被験体としてのラットにおける、心臓肥大および/または新生内膜形成もしくは再狭窄に及ぼす一つの作用例を決定した。驚くべきことに、本発明者らは、脱アスパラギン酸アンジオテンシンI以外のアンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体が心臓肥大、および/または新生内膜形成/再狭窄を予防または軽減または減少させることを見いだした。
【0021】
ラットなどの小型哺乳動物を含む心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄を試験するための動物モデルは、当分野において明確に容認されている(Everette et al.,Hypertension,23:587−593(1994);Indolfi et al.,Circulation,92:1230−1235(1995))。本発明者らは、アンジオテンシンIVなどのアンジオテンシンIの誘導体が心臓肥大、および/または新生内膜形成/再狭窄を予防または改善することができるという驚くべき結果を入手した。
【0022】
したがって、本発明の1つの態様は、心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄を治療および/または予防するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの誘導体の使用に関する。好ましくは、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体は、心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄を治療および/または予防するための有効量の形態で投与される。
【0023】
本発明のまた別の態様は、心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄を治療および/または予防するための薬剤を調製するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、有効量のアンジオテンシンIの誘導体の使用である。本薬剤は、少なくとも1つの医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと結び付けて投与できる。本薬剤は、さらに医薬物質(もしくは化合物)と結び付けて投与することもできる。
【0024】
脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンI誘導体はインビトロでの結合もしくは受容体について研究されているが、本発明による医薬への使用に一致するような、アンジオテンシンI誘導体の使用に関した技術態様への示唆または提案はない。特に、当分野において、治療を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体の使用についての指示または提案は存在しない。
【0025】
本発明のまた別の態様は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンI以外のアンジオテンシンIの誘導体を含むキットである。特に、本キットは、心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄を治療または予防するためである。さらに、本キットは、アンジオテンシンIの誘導体の使用に関連する情報、図解および/または取扱説明書を含むことができる。
【0026】
本発明は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、少なくとも1つのアンジオテンシンIの誘導体の有効量と、医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/または担体とを含む医薬組成物をさらに提供する。本医薬組成物は、少なくとも1つの医薬物質をさらに含むことができる。医薬物質は、例えば、少なくとも1つのアンジオテンシン変換酵素阻害剤、少なくとも1つのアンジオテンシン受容体拮抗薬、少なくとも1つのタイプの幹細胞などであってよい。特に、本発明による医薬組成物は、治療および/または予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防する際に使用するためである。
【0027】
本明細書で使用する「心臓肥大」は、高血圧または他の原因に起因する心臓または心臓のいずれかの部分の肥大である。「新生内膜形成」は、傷害または任意の他の原因に起因する血管における未分化もしくは複数タイプの新規組織の形成であり、再狭窄を含む。「再狭窄」は、例えば血管形成後の冠動脈の再狭小化のような、血管における再狭小化である。本明細書で使用する再狭窄は、さらにまた任意の他の原因に起因し得る。用語「心臓肥大」、「新生内膜形成」および「再狭窄」は、極めて広い意味で使用される。
【0028】
「有効量」は、心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄の発生を予防する、阻害する、もしくは遅延させる、または心臓肥大、および/または新生内膜形成もしくは再狭窄の症状を緩和するなどのような、所望の治療結果を達成するために必要な用量および期間にわたる有効量である。有効量は、個体の疾患の状態、年齢、性別および体重などの様々な要素によって変動することがある。有効量は、哺乳動物患者もしくは被検体に対して10〜500μg/kg/日の範囲に及ぶ可能性がある。より詳細には、有効量は、50〜250μg/kg/日の範囲に及ぶ可能性がある。さらにより詳細には、有効量は、ヒト被検体においては心臓肥大については約150μg/kg/日であり、新生内膜形成については約200mg/kg/日である。
【0029】
「アンジオテンシンIの誘導体」は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除くが、アンジオテンシンIへの単一もしくは複数アミノ酸置換、欠失および/または挿入を含む分子を含む、そしてアンジオテンシンIIの活性もしくは機能を阻害する、減少させる、もしくは干渉する任意の突然変異体、フラグメント、部分もしくは一部、またはそのホモログ、アナログもしくはアンジオテンシンIIの活性もしくは機能を阻害する、減少させる、もしくは干渉する点で機能的に同等である化学的等価物を意味する。
【0030】
挿入アミノ酸配列誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加を含む誘導体である。この付加は、または結果物の適切なスクリーニングを用いることにより、所定部位内へ、またはランダム挿入によって導入することができる。アンジオテンシンIのアミノ酸挿入誘導体は、アミノおよび/またはカルボキシル末端融合ならびに単一もしくは複数アミノ酸の配列内挿入を含むことができる。欠失誘導体は、その配列からの1つまたは複数のアミノ酸の除去を特徴とする。置換アミノ酸誘導体は、その配列内の少なくとも1つの残基が取り除かれており、相違する残基がその場所に挿入されている誘導体である。
【0031】
アンジオテンシンI誘導体のホモログは、家畜動物や、齧歯類および霊長類を含む実験動物などの他の種から入手される、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く機能的、構造的もしくは立体化学的に類似のポリペプチドを含む。
【0032】
アンジオテンシンI誘導体のアナログは、ミモトープ(mimotope)、またはペプチドもしくはアナログミメティックを含み、非天然型アミノ酸を含有する分子ならびにアミノ酸を含有していない分子を含むが、それでも脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除いて、機能的同等物として挙動する。本明細書で企図されるアナログは、脱グリコシル化もしくはグリコシル化を含む側鎖への修飾、ペプチド合成中の非天然型アミノ酸および/またはそれらの誘導体の組み込み、ならびにペプチド分子に立体配座的制約を課す架橋剤や他の方法の使用を含む。アナログは、さらに誘導体の機能性を保持しながら少なくとも1つの修飾基へ直接的もしくは間接的に結合されたアンジオテンシンI誘導体を含む。そのような修飾は当分野において周知であり、例えば、インビボ安定性、生体利用能もしくは半減期などの薬物動態学的特性を変化させるように修飾された誘導体である。誘導体は、追加の治療成分または検出可能な物質へさらに結合させることができる。
【0033】
ペプチド合成中に組み込むことのできる非従来型(non−conventional)(または非天然型)アミノ酸および/またはそれらの誘導体には、ノルロイシン、4−アミノ酪酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、t−ブチルグリシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、4−アミノ−3−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン酸、2−チエニルアラニンおよび/またはアミノ酸のD−異性体が含まれるが、それらに限定されない。
【0034】
架橋剤は、例えば、(CH2nスペーサ基(式中、n=1〜6)を有する二官能性イミドエステル、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのホモ二官能性架橋剤ならびに通常はN−ヒドロキシスクシンイミドおよび他の基質特異的反応性成分などのアミノ反応性成分を含有するヘテロ二官能性試薬を使用して、三次元立体配座を安定化させるために使用できる。
【0035】
これらのタイプの修飾は、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIおよび−アンジオテンシンIIを除くがアンジオテンシンIVを含むアンジオテンシンIの誘導体を安定化させるために重要なことがある。これは、例えば治療用組成物の製造において、またはアンジオテンシンI誘導体が使用される場合に重要なことがある。
【0036】
本発明によって企図された非従来型(非天然型)アミノ酸の例は、表1に示されている。
【0037】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【0038】
上述したアンジオテンシンI誘導体の化学的等価物は、立体配座的もしくは機能的類似性を共有しており、必ずしもアンジオテンシンIの誘導体由来でなくてよい。化学的等価物は、詳細には、アンジオテンシンIの誘導体の所定の物理化学的特性を模倣するように設計できる。化学的等価物は、化学合成できる、または例えば以下で記載するアッセイを用いてアンジオテンシンIIの活性もしくは機能を阻害する、減少させる、さもなければ妨害することができる候補化合物の天然生成物スクリーニング後に検出することができる。
【0039】
本明細書に規定したアンジオテンシンIの誘導体は、固相ペプチド合成法などの当分野において周知の合成技術を用いて、または組み換えDNA操作によって容易に作製することができる。公知の、もしくは部分的に公知の配列を有するDNAにおける所定部位で置換突然変異を作製するための技術は周知であり、例えばM13突然変異誘発が含まれる。置換、挿入もしくは欠失変異体として現れる変異体タンパク質を生成するためのDNA配列の操作は、便宜的にも、例えばSambrook et al.(Cloning.A laboratory manual.Cold Spring Harbour Laboratory,Cold Spring Harbour,NY.(2001))の中に記載されている。
【0040】
本発明によるアンジオテンシンIの誘導体は、例えばそれがインドメタシン感受性アンジオテンシン受容体への作用物質として働きかける能力、ウサギ肺動脈の事前に収縮させた心側尖端の弛緩を誘導する能力、または培養ラット新生児心筋細胞におけるアンジオテンシンII誘導性肥大を軽減する能力によって容易に同定することができる。
【0041】
本発明によるそのようなアンジオテンシンIの誘導体の例は、アンジオテンシンIV、またはその誘導体、ホモログ、アナログもしくは化学的等価物である。この状況における用語「誘導体」は、上述したアンジオテンシンIの状況において使用される意味と同一の意味を有する。同様に、この状況において使用される用語「ホモログもしくはアナログおよび化学的等価物」は、アンジオテンシンI誘導体について一般に上述した意味と同一の意味を有する。
【0042】
当分野においてはそのペプチドの生物学的機能を実質的に変化させずにペプチドの構造に修飾および変化が加えられることは周知である。このために、アンジオテンシンIVがアミノ酸置換によって誘導体化される場合は、アミノ酸は一般に疎水性、親水性、電気陰性度、サイズなどの同様の特性を有する他のアミノ酸によって取り換えられる。アミノ酸置換は、典型的には単一残基の置換である。アミノ酸挿入は、通常は約1〜6アミノ酸残基であり、欠失は約1〜6残基の範囲に及ぶ。
【0043】
本明細書におけるアンジオテンシンI誘導体およびアンジオテンシンIVとの言及は、例えばアイソフォーム、単量体、二量体および多量体形を含むすべての官能的に同等の形態についての言及を含むと読み取られたい。
【0044】
本発明によると、アンジオテンシンIVまたはその誘導体、ホモログ、アナログもしくは化学的等価物または同一物を含有する薬剤もしくは医薬組成物などを含むがそれらに限定されない有効量のアンジオテンシンIの誘導体は、以下に記載するように、固体もしくは液体形で、ヒト患者などの被検体へ当分野において公知の任意の許容できる方法を介して、単独で、または他の医薬物質と組み合わせて投与される。「医薬物質」は、本発明によるアンジオテンシンIの誘導体の医学的もしくは製薬学的使用を支援する特性を有する、任意の診断薬および/または治療薬または薬物の組み合わせを意味する。詳細には、「医薬物質」は、心臓肥大および/または新生内膜形成の治療および/または予防を支援する特性を有する、任意の診断薬および/または治療薬または薬物の組み合わせを意味する。そのような医薬物質には、カプトプリルなどのアンジオテンシン変換酵素阻害薬、もしくはロサルタンなどの他のアンジオテンシン受容体拮抗薬、または任意のタイプもしくは起源の幹細胞が含まれる。
【0045】
本発明による化合物、組成物および/または薬剤は、経口的に、坐剤により、または非経口的(例、筋肉内、静脈内、皮下もしくは皮内)に、そして以下でより詳細に考察するように、錠剤、懸濁剤、もしくは液剤を含む固体もしくは液体製剤のいずれかの形状で投与できる。投与は、持続療法を用いる単一製剤形で、または単回投与療法で適宜に実施できる。
【0046】
本発明の医薬組成物もしくは薬剤を調製するために有用な医薬担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントは当業者には周知であり、固体、液体、またはそれらの混合物であってよい。そこで、組成物は錠剤、ピル剤、カプセル剤、散剤、腸溶コーティング剤もしくは他の保護された調製物、徐放性調製物、浸食性調製物、植え込み型器具もしくはその構成成分、ミクロスフェア調製物、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エーロゾル剤などの形態を取ることができる。
【0047】
水、食塩液、デキストロース水溶液、およびグリコールは、特に(等張性の場合は)注射溶液のために好ましい液状担体である。担体は、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物もしくは合成起源の油を含む様々な油から選択できる。適切な医薬賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。その他の医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントは、当業者には明白である。本組成物は、滅菌などの従来型製薬手段を受けさせることができ、保存料、安定剤、湿潤剤もしくは乳化剤、浸透圧を調整するための塩、バッファなどの従来型医薬添加物を含有することができる。適切な医薬担体およびそれらの調製物は、Martin,「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,15th Ed.;Mack Publishing Co.,Easton(1975);(例えば、1405〜1412頁および1461〜1487頁を参照)に記載されている。そのような組成物は、一般には、宿主への適正な投与のために適切な製剤形を調製できるように、有効量の活性化合物を、少なくとも1つの医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントの適量と一緒に含有している。
【0048】
本発明の治療方法の実践においては、被検体に投与すべき医薬組成物の特定用量は、疾患もしくは状態の段階、その重症度、投与スケジュール、被検体の年齢および身体的特性などを含む広範囲の検討事項に依存する。適正な用量は、医学分野に周知の臨床アプローチを用いて確定することができる。
【0049】
本発明は特に本明細書ではラットに関連付けて例示しているが、本発明は、任意の哺乳動物被験体にもアンジオテンシンI誘導体の使用が及ぶことが理解され、前記哺乳動物はヒト、マウス、ウサギ、家畜動物および霊長類を含むがそれらに限定されない。
【0050】
本発明について一般に記載してきたが、本発明は、以下の実施例を参照することを通してより容易に理解される。これら実施例は例示するために提供されており、本発明を限定することは意図されていない。
【実施例】
【0051】
[材料の入手源](実施例1)
アンジオテンシンI誘導体の1つの例としてのアンジオテンシンIVは、Bachem社(スイス国デューベンドルフ)から入手した。アンジオテンシンIVは、当分野において周知の技術によって調製できる。成体のスプラーグドーリー(SD)ラット(心臓肥大実験のためには200〜220g、新生内膜形成実験のためには340〜360g)は、シンガポール国立大学動物センターから入手した。
【0052】
[心臓肥大の誘導](実施例2)
ラットにおける心臓肥大を誘導するための実験プロトコルは、Everett et al.(Hypertension,23:587−592(1994))によって記載された通りに実施した。この方法では、各ラットには7%(w/v)の抱水クロラール(0.35g/kg、腹腔内)を用いて麻酔をかけた。腹大動脈の副腎部分へ到達できるように腹部の腹壁に切開部を作製した。腹大動脈のこの部分を自由に切開し、大動脈に隣接させて鈍23ゲージニードルを配置した。鈍ニードルおよび大動脈の周囲に結紮を配置した。次に鈍ニードルを抜去し、大動脈をニードルのサイズに収縮させた。結果として生じた縮搾は心臓から身体の下方部分への正常な血流を妨害し、心臓に必要以上の負荷をかけた。この必要以上の負荷は、心臓、特に左心室の肥大を引き起こす。
【0053】
[アンジオテンシンIVを用いた治療および心臓肥大の測定](実施例3)
手術後、各動物をケージ内に入れた。動物には、水およびラット飼料を任意に摂取させた。動物は、コントロール群および治療群へ無作為に分けた。各群は、10匹から構成した。治療群には、手術当日から開始して4日間にわたり0.5mLの食塩液中に溶解させた様々な用量のアンジオテンシンIV(95〜380nmol/kg/日もしくは74〜294μg/kg/日)を経口投与した。縮搾した腹大動脈を備えるコントロール動物には、アンジオテンシンIV溶液の代わりに食塩液を投与した。疑似動物は、同一手術を受けたが大動脈は縮搾されなかった動物であった。
【0054】
術後第5日に、動物には以前と同様に麻酔をかけた。各動物の心臓を摘出し、心室を切開し、心室の重量を決定した。心室重量(mg)÷動物の体重(g)の指数を心臓肥大の指数と見なした。疑似手術動物についての指数は約2.6であったが、大動脈縮搾動物についての指数は3.7を超えていた。
【0055】
[アンジオテンシンIVが心臓肥大に及ぼす作用](実施例4)
この試験の結果は、表2に要約されている。データは、平均値±SEMとして表示した。有意差は、一方向ANOVAおよび事後Newman Kleuf検定によって決定した。容認される有意性水準は、p<0.05であった。アンジオテンシンIの誘導体の1つの例としてのアンジオテンシンIVは、実験により誘導された心臓肥大ラットにおける心臓肥大の指数を軽減させることに有効な物質であることが証明された。この作用は用量依存性であり、有意な抗心臓肥大作用は、190nmol/kg/日(または147μg/kg/日)の経口用量によって発生した。
【0056】
【表2】

【0057】
[新生内膜増殖の誘導](実施例5)
SDラットは、Indolfi et al.(Circulation,92:1230−1235(1995))によって記載された方法によるバルーン技術による左頸動脈傷害を受けさせた。この方法では、ラットには抱水クロラール(0.35g/kg)で麻酔をかけ、バルーンカテーテル(2F Fogarty、Edwards Laboratories社)を左外頸動脈に通して総頸動脈内に導入した。バルーンは圧縮カルボゲン混合気(95% O2および5% CO2)によって2.2kg/cm2の圧力へ拡張し、総頸動脈に沿って3回(3サイクル)通過させた。カテーテルを抜去し、左外頸動脈を結紮し、創傷を閉鎖した。カテーテル誘導傷害頸動脈内の新生内膜形成が発生したが、14日後には相当に緩徐化した(Clowes and Clowes,Lab.Invest.,52:611−616(1985))。右総頸動脈は無傷のままで残され、これはコントロール動脈として機能した。
【0058】
[アンジオテンシンIVを用いた治療および新生内膜形成の定量](実施例6)
手術後、各動物をケージ内に入れた。動物には、水およびラット飼料を任意に摂取させた。動物は、コントロール群および治療群へ無作為に分けた。各群は、6匹から構成した。治療群には、手術当日から開始して13日間にわたり0.5mLの食塩液中に溶解させた様々な用量のアンジオテンシンIV(60〜360nmol/kg/日もしくは46.5〜279μg/kg/日)を経口投与した。コントロール動物は、アンジオテンシンIV溶液の代わりに食塩液が投与され、バルーンカテーテルが挿入された動物であった。
【0059】
バルーンカテーテル術後第14日に、動物には以前と同様に麻酔をかけ、各ラットの左右両方の総動脈を120mmHgでの100mLの食塩液、および4%のパラホルムアルデヒドおよび1%のグルタルアルデヒドを含有する250mLの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4)を用いた灌流によって固定し、パラフィン包埋のために処理した。厚さ10μmの切片を作製し、トルイジンブルーを用いて染色した。そのような切片を動脈の中央部分から遠位端に向けて20片切除し、新生内膜形成の形態測定学的評価のために使用した。各切片の内側平滑筋細胞、内腔、および新生内膜の領域は、KY−F55Bカラービデオカメラ(JVC社、日本国)を装備したBX40光線顕微鏡(Olympus社、日本国)および Windows(登録商標)95のためのImage Pro Plus 3.0システム(Media Cybernetics社、米国)がインストールされた Pentium(登録商標)166MHz/MMXマイクロコンピュータ(Datamini社、シンガポール)からなる画像分析システムを用いて形態測定学的に定量した。新生内膜形成の程度は、新生内膜による内腔の閉塞率(%)として表示した。
【0060】
[アンジオテンシンIVが新生内膜形成に及ぼす作用](実施例7)
この試験の結果は、表3に要約されている。アンジオテンシンIの誘導体の1つの例としてのアンジオテンシンIVは、バルーンカテーテル技術の結果として生じた新生内膜形成を防止することに有効な物質であることが見いだされている。抗新生内膜作用は用量依存性であり、その最高作用は、13日間にわたる240nmol/kg/日(または186μg/kg/日)の経口用量によって発生した。しかし、アンジオテンシンIVは、内側筋肉層の厚さには有意な作用を及ぼさない。
【0061】
【表3】

【0062】
引用した全参考文献は、本明細書の一部をなすものとする。本発明を記載してきたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書に記載した実施形態に様々な修飾を加えられることは理解される。そのような修飾は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0063】
[参考文献]
Baker and Aceto(Am.J.Physiol.,259:H610−H618(1990)。
Clowes and Clowes,Lab.Invest.,52:611−616(1985)。
Daemen et al,Circ.Res.,68:450−456(1991)。
Dostal and Baker,Am.J.Hypertens.,5:276−280(1991)。
Everett et al(Hypertension,23:587−592(1994)。
Indolfi et al(Circulation,92:1230−1235(1995)
Moeller et al(Regul.Pept.,83:25−30(1999)
Osterrieder et al,Hypertension,18:II−60−II−64(1991)。
Swanson et al,Regul.Pept.,40:409−419(1992)
von Bohlen and Halbach,Cell Tissue Res.,311:1−9(2003)。
Wang et al(Clin.Sci.,88:557−562(1995)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療および/または予防を必要とする被検体において、心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための方法であって、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、少なくとも1つのアンジオテンシンI誘導体の有効量を前記被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項2】
前記アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記誘導体はアンジオテンシンIVである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
新生内膜形成は再狭窄を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記被検体はヒト患者である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有効量は10〜500μg/kg/日である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記有効量は50〜250μg/kg/日である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記有効量は、心臓肥大を治療および/または予防するためには約150μg/kg/日である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有効量は、新生内膜形成および/または再狭窄を治療および/または予防するためには約200μg/kg/日である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記誘導体は固体もしくは液体状で投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記誘導体は少なくとも1つの医薬物質と併せて投与される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン受容体拮抗薬である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの医薬物質は1つのタイプの幹細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、少なくとも1つのアンジオテンシンIの誘導体の有効量と、少なくとも1つの医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントと、を含む医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物は、前記患者に投与する工程を含む治療および/または予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防する際に使用するためである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項16または17に記載の組成物。
【請求項19】
前記誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記誘導体はアンジオテンシンIVである、請求項16〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
新生内膜形成は再狭窄を含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記被検体はヒト患者である、請求項16〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記有効量は10〜500μg/kg/日である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記有効量は50〜250μg/kg/日である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記有効量は、心臓肥大を治療および/または予防するためには約150μg/kg/日である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記有効量は、新生内膜形成および/または再狭窄を治療および/または予防するためには約200μg/kg/日である、請求項16〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記誘導体は固体もしくは液体状で投与される、請求項16〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記誘導体は少なくとも1つの医薬物質と併せて投与される、請求項16〜27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン受容体拮抗薬である、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つの医薬物質は1つのタイプの幹細胞である、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
医薬において使用するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの誘導体。
【請求項33】
前記誘導体は、治療を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防する際に使用するためである、請求項32に記載の誘導体。
【請求項34】
前記アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項32または33に記載の誘導体。
【請求項35】
前記誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項32〜34のいずれか一項に記載の誘導体。
【請求項36】
前記誘導体はアンジオテンシンIVである、請求項32〜34のいずれか一項に記載の誘導体。
【請求項37】
治療もしくは予防を必要とする被検体において心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するための薬剤を調製するための、脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体の使用。
【請求項38】
前記アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項37または38に記載の誘導体。
【請求項40】
前記誘導体はアンジオテンシンIVである、請求項37〜39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
新生内膜形成は再狭窄を含む、請求項37〜40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
前記被検体はヒト患者である、請求項37〜41のいずれか一項に記載の使用。
【請求項43】
前記誘導体は10〜500μg/kg/日の量である、請求項37〜42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
前記誘導体は50〜250μg/kg/日の量である、請求項37〜42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項45】
前記誘導体は、心臓肥大を治療および/または予防するためには約150μg/kg/日であり、新生内膜形成または再狭窄を治療および/または予防するためには約200μg/kg/日である、請求項37〜42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記薬剤は固体もしくは液体状である、請求項37〜45のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記薬剤は、少なくとも1つの医薬上許容できる担体、賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントをさらに含む、請求項37〜46のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記薬剤は少なくとも1つの医薬物質と併せて投与される、請求項37〜47のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン変換酵素阻害剤である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
前記少なくとも1つの医薬物質はアンジオテンシン受容体拮抗薬である、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
前記少なくとも1つの医薬物質は1つのタイプの幹細胞である、請求項48に記載の使用。
【請求項52】
脱アスパラギン酸アンジオテンシンIを除く、アンジオテンシンIの少なくとも1つの誘導体を含むキットであって、前記キットは心臓肥大および/または新生内膜形成を治療および/または予防するためのキット。
【請求項53】
前記アンジオテンシンIの誘導体は、アンジオテンシンIの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記誘導体は、アンジオテンシンIVの誘導体、ホモログ、アナログおよび/または化学的等価物である、請求項52に記載のキット。
【請求項55】
前記アンジオテンシンIの誘導体はアンジオテンシンIVである、請求項52に記載のキット。
【請求項56】
新生内膜形成は再狭窄を含む、請求項52〜55のいずれか一項に記載のキット。

【公表番号】特表2008−527034(P2008−527034A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552095(P2007−552095)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000006
【国際公開番号】WO2006/078223
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(304038747)ナショナル ユニバーシティー オブ シンガポール (10)
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL UNIVERSITY OF SINGAPORE
【住所又は居所原語表記】10 Kent Ridge Crescent, Singapore 119260
【Fターム(参考)】