説明

アンテナとそれを用いた発振器

【課題】所望の周波数、特に100GHz以上のテラヘルツ帯において共振特性を良好とする新規なアンテナ及びそれを用いた発振器を提供する。
【解決手段】 スロットアンテナは、所定の間隔で細隙を形成するように配置された2枚の導電性平板11,12を備え、2枚の導電性平板は、細隙の長手方向に対して垂直方向に空隙が形成されてなる2組のスリットリフレクタ部3,13を備え、2組のスリットリフレクタ部に挟み込まれる細隙がスロットアンテナ本体2となる。基板上に形成されるトランジスタなどの電極によりスロットアンテナを作製すれば、簡単な構成で製造が容易な発振器が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナとそれを用いた発振器に係り、さらに詳しくは、基板上に作製された能動素子の電極をアンテナ又は共振回路兼アンテナとして用いた発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波からサブミリ波を経て遠赤外線にまでわたる帯域の電磁波は広く、テラヘルツ電磁波またはテラヘルツ光と呼ばれている。その周波数の下限を100〜300GHz、上限を10〜100THzとする範囲を指すことが多い。非特許文献1及び2において、100GHz以上テラヘルツ領域の発振や増幅に用いられる各種の半導体装置における国内外の研究開発動向が、各種のダイオードやトランジスタの材料、動作原理、具体的な構造、特性等について報告されている。
【0003】
同様に、非特許文献3,4には、各種の半導体装置の製造と半導体装置を発振器とした応用例である電圧制御発信器(VCO)やMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)の実装技術が報告されている。
【0004】
非特許文献5には、アンテナと共鳴トンネルダイオードを基板上に集積化した発振器として、スロットアンテナをアンテナ兼用の外部共振回路とし、0.6THz超の発振が得られたことを報告している。非特許文献5においては、共振回路部分に相当する半導体素子電極兼アンテナ部分の等価回路特性の制御のために、一対の電極の間にスロットアンテナを実現し、その長さを決定するために金属−絶縁体−金属(MIM)の三層構造からなるMIMリフレクタを導入している。このため発振デバイスの構造は複雑となり、半導体作製工程も増加する。
【0005】
非特許文献6には、負性抵抗デュアルチャネルトランジスタ(NDR−DCT)を用いた場合の設計が報告されているが、確認できた大きな余裕をもった発振の可能性は約1THz超に留まっている。
【0006】
非特許文献7によれば、ダイオード,トランジスタ等を用いた発振回路は、一般に、それら素子を負性抵抗を含む回路として、これに外部共振回路を並列接続した等価回路の解析が記載されている
【0007】
スロットアンテナ60とは、図28に示すように導体板61の上に細長い切れ目62(スロットとも呼ぶ)を作り、そこに高周波電圧63を給電すると、その切れ目を横切る方向に電界が生じ、それが波源となって導体板61の周辺に電磁界を放射する基本的なアンテナの一つである。このスロットアンテナ60はダイポールアンテナの補対アンテナとして知られており、その動作原理はよく解明されている。非特許文献8には、スロットアンテナが同じ長さの線状導体、すなわち、ダイポールアンテナとまったく同様に取り扱えることが述べられている。これらのアンテナは、その長さが給電される高周波の半波長の整数倍、特に1倍の際に共振し、電波の放射能力も大きくなることが記載されている。
【0008】
【非特許文献1】佐野栄一、「テラヘルツ発振を目指したデバイス技術の展望」、電子情報通信学会論文誌 C Vol.J87-C No.5 pp.413-423, 2004年5月
【非特許文献2】榎木孝和、「超高速化合物半導体電子デバイスの可能性」、電子情報通信学会論文誌 C Vol.J89-C No.3, pp.79-86, 2006
【非特許文献3】相川他、「モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)」、(社)電子情報通信学会、pp.19−65、平成9年1月
【非特許文献4】「ミリ波技術の基礎と応用」編集委員会監修・編集、「ミリ波技術の基礎と応用」(株)リアライズ社、pp.46−73、pp.99−133、平成10年7月31日
【非特許文献5】Naoyuki Orihashi, et al., “Experimental and Theoretical Characteristics of Sub-Terahertz and Terahertz Oscillations of Resonant Tunneling Diodes Integrated with Slot Antennas”, Japanese Journal of Applied Physics, Vol.44, No.11, pp.7809-7815, 2005
【非特許文献6】古屋他、「負性抵抗デュアルチャネルトランジスタを用いたテラヘルツ発信器の解析」、電子情報通信学会2006年ソサイエティ大会講演論文集、予稿集、2006年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会、C−10−8、pp.49、平成18年9月7日
【非特許文献7】鈴木雅臣、「[定本]続トランジスタ回路の設計」、pp.314−318、CQ出版(株)、2004年7月1日、第14版
【非特許文献8】虫明康人、「電波とアンテナのやさしい話−超ブロードバンド化の原理の発見−」、pp.46−52、pp.66−69、(株)オーム社、平成13年8月25日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
直流的な短絡が許されない二つの導体を用いてアンテナもしくは共振回路を構成する必要がある例としては、上記非特許文献5及び6のようなトランジスタ,ダイオード等の半導体素子を用いて、特に基板に集積化した発振器を実現する場合が挙げられる。この場合、負性抵抗回路部分の所定の等価回路特性に対し、それに接続された外部共振回路の特性を調整することで、上記の発振条件を所望の周波数において満足させなくてはならない(図12参照)。このためには、その共振回路の特性が周波数に対し大きく変化し、かつ、その変化を所望の周波数において生じさせ得ることが望ましい。即ち、鋭い共振とこれに付随する強い電磁界放射の実現と、その共振周波数の制御であるが、これらを可能にするための設計は、アンテナでは一般に行われている。基本的で代表的なアンテナの一つである半波長ダイポールアンテナは、二つの線状導体からなり、比較的共振が鋭く、アンテナ長を変化させることにより共振周波数を変化させられるため、上記のような要求を満足する外部共振回路の候補となり得る。ダイポールアンテナの補対アンテナであるスロットアンテナも同様である。
【0010】
しかしながら、ダイポールアンテナは、それを構成する導体が線状ではなく、例えば平板のようにある程度の広がりを持つ場合は、鋭い共振が得られないという課題がある。
【0011】
特に、ダイオード,トランジスタ等の半導体素子のように基板上に形成された電極を利用して上記の共振回路を構成しようとする場合に障害となる。この電極は、例えば、トランジスタのチャネル幅以上に小さくすることができないことやワイヤ・ボンディングのためにある程度の大きさが必要であることなどの理由から、一般に線状にすることは難しいという課題がある。
【0012】
スロットアンテナの長さは、共振波長を決定するものでもあり、有限でなくてはならない。ダイオードの各電極はアノードとカソードに、トランジスタの各電極はソース、ドレイン、ゲート等に接続されているので、当然、相互の短絡は許されないことから、これらの電極を接続して電極間の細隙の両端を塞いでスロットアンテナの両端とすることはできない。
【0013】
半導体素子として三端子素子を用いる場合には、これらの端子に接続された内の二つの電極によりスロットアンテナを構成しつつ、残る一つの電極を配線するための領域を確保
しなくてはならない。
【0014】
上記課題に鑑み、本発明の第1の目的は、所望の周波数において共振特性を良好とする新規なアンテナを提供することにある。本発明の第2の目的は、このアンテナを用いた発振器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記第1の目的を達成するため、本発明のスロットアンテナは、導電性平板に、スロットアンテナ本体となる空隙と、該空隙の長手方向に対して垂直方向に一つ以上設けたスリットリフレクタ部となる空隙とが形成されて成ることを特徴する。
上記構成によれば、スロットアンテナ本体にスリットリフレクタ部が付加されているので、スリットリフレクタ部のスロットアンテナ本体への配置場所と、その長さL及び幅Wを変えることで、スロットアンテナにおけるインピーダンスの周波数特性を変化させることができ、その共振特性を制御することができる。
【0016】
本発明の第2の構成のスロットアンテナは、所定の間隔で細隙を形成するように配置された2枚の導電性平板を有し、この2枚の導電性平板には、細隙の長手方向に対して垂直方向に空隙が形成されてなる2組のスリットリフレクタ部を備え、2組のスリットリフレクタ部に挟み込まれる細隙がスロットアンテナ本体となることを特徴とする。
上記構成によれば、細隙を構成する離れた二つの導体平板に、2組のスリットリフレクタ部により挟まれたスロット部分がスロットアンテナ本体となり、電磁界を局在させ、共振させることができる。このスロットアンテナのインピーダンス特性の周波数依存性は、2組のスリットリフレクタ部の幅や長さとその間隔を変えることで制御することができる。
【0017】
上記構成において、導電性平板には、さらにスリットリフレクタ部が配置され得る。2組のスリットリフレクタ部にさらにスリットリフレクタ部を備えていれば、終端の実現ばかりでなく、共振の度合いをより細かく調整することができる。スロットアンテナの共振特性をより細かく制御することができる。
【0018】
上記構成において、好ましくは、さらに、スロットアンテナ本体の給電点近傍に、スリットリフレクタ部が配置される。この場合、スロットアンテナ本体の給電点に配置されるスリットリフレクタ部が所謂スタブとして動作し、給電点に接続される交流電源とスロットアンテナとの整合特性を改善することができる。したがって、給電点近傍に設けるスリットリフレクタ部の長さや幅を調整することで、交流電源からの電力を効率良くスロットアンテナに供給することができる。
【0019】
上記記載の何れかによるスロットアンテナを多数配列することで、アレーアンテナとして構成されてもよい。多数配列した各アンテナ素子間の距離や相対的な配置等を調整することにより放射指向性の制御や利得の向上を可能とする。同様に各アンテナ素子は一般には相互結合し、それらの等価回路特性も各アンテナ素子が単一に存在する場合とは異なる変化をする。これを前記のような共振とその度合いの調整に利用することができる。
【0020】
上記第2の目的を達成するため、本発明の発振器は、能動素子とスロットアンテナとからなる発振器であって、能動素子の少なくとも2つの電極を導電性平板とし、2枚の導電性平板が所定の間隔で細隙となるように配置され、2枚の導電性平板には、細隙の長手方向に対して垂直方向に少なくとも1組以上のスリットリフレクタ部となる空隙と、を設け、1組以上のスリットリフレクタ部に挟み込まれる細隙がスロットアンテナ本体となり、スロットアンテナが共振器とアンテナとを兼ねることを特徴とする。
【0021】
上記構成において、2枚の導電性平板には、さらにスリットリフレクタ部が配置され得る。スロットアンテナ本体の給電点近傍に、スリットリフレクタ部が配置されていてもよい。上記能動素子とスロットアンテナとは、好ましくは基板上に集積化されている。能動素子は、好ましくはトランジスタ又は負性抵抗ダイオードである。
【0022】
上記構成によれば、基板に、好ましくは、能動素子とスロットアンテナとが多数配列されて、アレー型発振器が構成される。これにより、発振器の出力を増大させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のスロットアンテナによれば、スロットアンテナ本体にスリットリフレクタ部を設けることにより共振の鋭さの度合いやそれが生じる周波数等を調整可能な、即ち入力インピーダンス等の特性を制御可能なスロットアンテナを提供することができる。
【0024】
本発明のスロットアンテナを用いた発振器によれば、特に基板上に作製されたトランジスタ,ダイオードの能動素子とスロットアンテナを一体化した発振器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
本発明の第1の実施形態に係るアンテナについて説明する。
図1は、本発明によるスロットアンテナの構成を模式的に示す図であり、(A)はその構成を示す斜視図であり、(B)は(A)のスロットアンテナの給電部に交流電源を接続した様子を示す平面図である。
図1(A)に示すように、本発明のスロットアンテナ1は、スロットアンテナ本体2となる長さがLで幅がWの空隙と、この空隙2の長手方向(図1のY方向)に対して垂直な方向(図1のX方向)に配置され長さがLで幅がWの空隙からなるスリットリフレクタ部3と、から構成されている。図示の場合にはスリットリフレクタ部3はスロットアンテナ本体2に対して十字となるように、X方向の空隙3A及び3Bとから形成されている。空隙3Aの長さL’及び3Bの長さL’’は同じとしてもよい。
【0026】
スロットアンテナ1は、導電性が良好な導電性平板5にスロットアンテナ本体2及びスリットリフレクタ部3となる空隙を設けることで形成することができる。図示の場合には、スリットリフレクタ部となる空隙3はスロットアンテナ1が形成される導電性平板5の左側及び右側に設けている。
【0027】
上記導電性平板5は、図示するように基板6上に形成してもよい。このような基板6としては、絶縁体や半導体などの材料を用いることができる。導電性平板5の厚さは使用する周波数において損失が生じない厚さとし、導電性平板5の導電率と使用周波数で決まる表皮深さ以上の厚みとすればよい。
【0028】
図1(B)に示すように、本発明によるスロットアンテナ1のスロットアンテナ本体2における給電部2Aは、スロットアンテナ本体2の中央部に設けられている。この給電部2Aには交流電源7が接続されることでスロットアンテナ1が励振される。
【0029】
本発明のスロットアンテナ1によれば、給電点における二端子対のインピーダンス又はアドミタンスの周波数特性は、上記スリットリフレクタ部3のスロットアンテナ本体への配置場所と、その長さL及び幅Wを変えることで調整することができる。したがって、本発明のスロットアンテナ1によれば、インピーダンスの周波数特性を変化させること
で、その共振特性を制御することができる。
【0030】
本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナについて説明する。
図2は、本発明による第2の実施形態に係るスロットアンテナ10の構成を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナ10は、幅がWの間隔の空隙を形成するように2枚の導電性平板11,12が配置されており、上記空隙の長手方向(図2のY方向)に対して垂直な方向(図2のX方向)に配置され長さがLで幅がWの空隙(細隙とも呼ぶ)からなる第1のスリットリフレクタ部3と、これと同様の空隙から形成される長さがLで幅がWの空隙からなる第2のスリットリフレクタ部13と、から構成されている。
【0031】
ここで、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13は、導電性平板11,12のそれぞれに空隙が形成されることで形成されているので、2組のスリットリフレクタ部と呼ぶ。上記の2つのスリットリフレクタ部3,13とに挟まれる空隙は、幅がWで長さがLの空隙であり、スロットアンテナ本体2となり、その給電点はスロットアンテナ本体2の中央部となっている。スリットリフレクタ部3はスロットアンテナ本体2の長手方向に対して垂直方向に配置されているが、空隙の幅と長さは同じ寸法としてもよい。
【0032】
本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナ10においては、近接して配置された二つの導体平板11,12を隔てる幅がWの空隙は、一種のスロット導波路(スロット線路とも呼ばれている。非特許文献3参照)とみなせる。ここで、このスロット導波路の一部に上記のように第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13を設けると、スロット導波路本来のインピーダンスとは異なる状態となり不整合が生じる。不整合の程度が充分大きい場合には、このスロット導波路、つまり、スロットアンテナ本体を伝搬する電磁界は、その不整合部分で反射され、エネルギーの殆どがそれより先には伝搬しない。これは、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13が、スロットアンテナ本体に設けられた終端として作用する。スロットアンテナ10においては、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13により終端された有限長のスロット導波路とも考えられる。
【0033】
本発明のスロットアンテナ10によれば、共振周波数は上記の第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13で両端を区切られたスロットアンテナ本体部分の長さLに理想的には反比例し、また、その共振の様子、つまり、給電点における二端子対のインピーダンス又はアドミタンスの周波数特性は、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13の長さ及び幅Wを変えることで調整することができる。したがって、本発明のスロットアンテナ10によれば、インピーダンスの周波数特性を変化させることで、その共振特性を制御することができる。
【0034】
スリットリフレクタ部3,13によって実現される不整合の度合いは、その幅、長さ、導電性平板の厚み等の寸法によって異なるため、これを調節して、電磁界伝搬に対して必ずしも前記のような反射の実現ではない制御を加えることも可能となる。この場合は、スリットリフレクタ部3,13が、必ずしも完全に近いリフレクタ、つまり、反射器ではないとみなせる場合であってもよい。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンテナの第1の変形例について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナの第1変形例の構成を模式的に示す斜視図である。図3に示すように、第2の実施形態に係るスロットアンテナの第1変形例においては、スロットアンテナ15が、図2に示すスロットアンテナ10と比較すると、さらに2組のスリットリフレクタ部14,14を備えている点が異なっている。
【0036】
上記スロットアンテナ20によれば、共振周波数特性は、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13にさらに2組のスリットリフレクタ部14,14を備えているので、共振特性をより細かく制御することができる。
【0037】
本発明の第2の実施形態に係るアンテナの第2変形例について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナの第2形例の構成を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、第2の実施形態に係るスロットアンテナの第2変形例においては、スロットアンテナ20が、図2に示すスロットアンテナ10と比較すると、第1のスリットリフレクタ部3に隣接してスリットリフレクタ部16を備えている点が異なっている。このスリットリフレクタ部16を2組備えていてもよい。
【0038】
上記スロットアンテナ20によれば、第1及び第2のスリットリフレクタ部3,13に隣接してさらにスリットリフレクタ部16を備えているので、共振周波数特性をより細かく制御することができる。
【0039】
本発明の第2の実施形態に係るアンテナの第3変形例について説明する。
図5は、本発明によるスロットアンテナの第3変形例の構成を模式的に示す斜視図である。図5に示すように、本発明によるスロットアンテナの第3変形例25が、図4に示すスロットアンテナ20と異なるのは、さらに、給電点2Aの近傍にスリットリフレクタ部18を備えている点である。図示の場合にはスリットリフレクタ部18は給電点2Aの片側に設けている。さらに、スリットリフレクタ部18は給電点の両側に、1組又は複数組設けてもよい。
【0040】
上記スロットアンテナ25によれば、給電点に配置されるスリットリフレクタ部18が所謂スタブとして動作し、給電点に接続される交流電源とスロットアンテナ25との整合特性を改善することができる。したがって、給電点近傍に設けるスリットリフレクタ部18の長さや幅を調整することで、交流電源からの電力を効率良くスロットアンテナに供給することができる。この給電点付近に設けるスリットリフレクタ部18は、スロットアンテナ10,15,20も適用することができる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施形態に係るスロットアンテナを用いたアレーアンテナについて説明する。
上記構成の本発明によるスロットアンテナ10,15,20,25を多数並べて配置して、アレーアンテナとすることができる。図6は、本発明の第3の実施形態に係るスロットアンテナを用いたアレーアンテナの一構成例を模式的に示す斜視図である。図6に示すように、アレーアンテナ30は、多数のスロットアンテナ15を線状に間隔dで並べて構成されている。アレーアンテナ30は線状のほかには面状の二次元配列や立体配列とすることができる。
【0042】
上記アレーアンテナ30によれば、各スロットアンテナ15間の間隔dや相対的な配置等を調整することにより放射指向性の制御や利得の向上を可能とする。各スロットアンテナ15はそれぞれが相互に結合し、これらのインピーダンス特性も各スロットアンテナ15が単一に存在する場合とは異なる変化をするので、アレーアンテナを構成する各アンテナの共振特性の調整に利用することができる。
【0043】
次に、本発明の第4の実施形態に係る本発明のスロットアンテナを用いた発振器について説明する。
図7〜10は、本発明によるスロットアンテナを用いた発振器を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように、本発明のスロットアンテナ10を用いた発振器35は、図2に示す
スロットアンテナ10と能動素子33とから構成されている。スロットアンテナ10及び能動素子33は、基板31上に形成されており、基板31上には能動素子を含む層32が形成されており、図示しない絶縁層上に形成される能動素子の電極がスロットアンテナの導電性平板11,12を兼ねている。つまり、図2に示したスロットアンテナ本体の給電部に能動素子が接続されて構成されている。スロットアンテナ10の構成は既に説明しているので詳細な説明は省略する。能動素子がダイオードの場合には、そのアノード電極及びカソード電極を、それぞれ導電性平板11,12を兼ねるようにすればよい。能動素子がトランジスタの場合には、そのソース電極及びドレイン電極を、それぞれ導電性平板11,12を兼ねるようにすればよい。ゲート電極はスロットアンテナ本体2の空隙中に細線を用いて配線をすればよい。
【0044】
図8は、本発明によるスロットアンテナ15を用いた発振器40を示しており、図7の発振器35との違いは、スロットアンテナ15が、さらに、スリットリフレクタ部14を備えている点にある。
【0045】
図9は、本発明によるスロットアンテナ20を用いた発振器45を示しており、図8の発振器35との違いは、スロットアンテナ20が、さらに、スリットリフレクタ部16を備えている点にある。
【0046】
図10は、本発明によるスロットアンテナを用いた発振器50を示しており、図9の発振器45との違いは、スロットアンテナ20の給電点2A近傍に、さらに、スリットリフレクタ部18を備えている点にある。ここで、スリットリフレクタ部18は上記発振器
35,40に設けてもよい。
【0047】
二端子素子としては、所謂負性抵抗ダイオードを用いることができ、例えば、江崎ダイオード(トンネルダイオード)、ガンダイオード、インパットダイオード、タンネットダイオード、バリットダイオード、共鳴トンネルダイオードなどが挙げられる。
【0048】
三端子素子のトランジスタとしては、各種の電界効果トランジスタ、例えば、FET,MESFET,MOSFET,SIT,HEMT、負性抵抗デュアルチャネルトランジスタなどが挙げられる。
【0049】
本発明の発振器の動作について説明する。
図11は、本発明の発振器35,40,45,50の等価回路を示す図である。図11に示すように、本発明の発振器は、能動素子のアドミタンス(以下、適宜にYaと呼ぶ)上記本発明のスロットアンテナ10,15,20の各アドミタンス(以下、適宜に区別しないでYdと呼ぶ)との並列回路で表わすことができる。この発振回路が発振するためには、能動素子部分のアドミタンスYdとスロットアンテナのアドミタンスYaについて、以下の二つの発振条件、すなわち、利得条件及び位相条件が同時に成り立たなくてはならない。
利得条件:
Re(Yd)+Re(Ya)≦0(ここで、Re(Yd)<0:負性抵抗)
位相条件:
Im(Yd)+Im(Ya)=0
ここで、Re及びImはそれぞれアドミタンスの実部及び虚部を示している。利得条件では、Re(Yd)+Re(Ya)が零より小さいほど良い。
【0050】
図12は、本発明の発振器の能動素子及びスロットアンテナのアドミタンスの周波数特性の概略を示す図であり、それぞれ、(A)が発振条件を満たさない場合を、(B)が発振条件を満たす場合を示している。図12において、横軸は周波数を縦軸はアドミタンス
を示している。
図12(B)に示すように、スロットアンテナのアドミタンスの実部(コンダクタンス)は共振周波数で最大となり、その虚部(サセプタンス)は共振周波数frで0となり、その前後の周波数でC性からL性に変わる。一方、能動素子のアドミタンスは符号を反転して、つまり、−1を乗じた値で示しているが、上記利得及び位相条件を満たす周波数foが能動素子の発振周波数である。したがって、本発明の発振器は能動素子のアドミタンス特性を得て、スロットアンテナのアドミタンスを上記発振条件を満たすようにすれば発振する(図12(B)参照)。
【0051】
本発明の各発振器35,40,45によれば、2組のスリットリフレクタ部3,13の間隔がほぼ共振周波数を決定することができ、2組のスリットリフレクタ部3,13の幅や長さを調整することで共振器特性を適宜に設計することができる。さらに、発振器40,45の場合には、さらにスリットリフレクタ部14または16が付加されているので、共振器特性の細かい調整が可能となる。
【0052】
本発明の各発振器50によれば、さらに、給電点近傍に少なくとも1組以上のスリットリフレクタ部18が付加できるので、能動素子33とスロットアンテナ部との整合状態を良くし、発振器の出力を向上させることができる。したがって、共振器特性の細かい調整が可能となる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態に係るスロットアンテナを用いた発振器の具体例について説明する。
図13は、本発明によるスロットアンテナを用いた発振器の具体例を模式的に示す斜視図である。図13に示すように、本発明のスロットアンテナ10を用いた発振器35は、図2に示すスロットアンテナ10と能動素子33とが、半導体基板上に形成されている。図示の場合には、ドレイン電極をスロットアンテナの導電性平板11とし、ソース電極をスロットアンテナの導電性平板12としている。ゲート電極は、ドレイン電極とソース電極の上方に形成されており、細隙中の中央部に設けたゲート配線を介して能動素子33のゲートに接続されている。
【0054】
図14は、図13に示す発振器のA−A線に沿う能動素子を含む構造の断面図である。図14に示すように、この能動素子は、例えば負性抵抗デュアルチャネルトランジスタであり、InPの(100)基板上に、厚さが10nmのInAlAsバッファ層と、厚さが10nmのInGaAsからなる高移動度層と、InAlAsからなるバリヤ層と、InGaAsからなる低移動度層と、InAlAsからなるスペーサ層と、δドーピング層と、厚さが15nmのInAlAsからなるショットキー層と、コンタクト層と、が順に積層されており、その詳細は非特許文献6に記載されている。負性抵抗デュアルチャネルトランジスタは、例えば、InPの(100)基板上に分子線エピタキシャル成長法(MBE)などにより能動層を形成し、ソース、ドレイン、ゲートの各電極を形成して製造することができる。この場合、各電極の形成には、絶縁膜を堆積するCVD工程や上記電極となる金属材料の蒸着工程やパターニングを行なうためのリソグラフィ工程やエッチング工程により形成することができる。
【0055】
アレーアンテナやアレーアンテナを用いた発振器については、上記のような単一に切り離されたデバイスを複数用意して所望の配列とすることができる。この場合の配列方法としては、線状、面状、三次元配列の何れかとすることができる。さらには、半導体素子製造時に同一の基板上に同時に作られた複数のデバイスを用いてもよい。また、各アンテナは、半導体素子の電極の一部を共有してもよい。例えば、単一に切り離された複数のデバイスにおいて、ドレイン電極だけを共有するように短絡して構成してもよい。
【0056】
能動素子、特にトランジスタの場合には製造上の制約から不可避な電極除去部分が生じることが多い。例えば、ソース,ドレインの両電極に挟まれたトランジスタのチャネルを横切るゲート電極の作製のために、チャネルの両脇でソース,ドレインの電極を若干取り除かれねばならかった場合、その空隙を本発明のスロットアンテナで用いるスリットリフレクタ部に転用できる。これにより、本発明の発振器は、製造の容易さにより所望のスロットアンテナの共振器特性を実現すると共に、半導体製造上の自由度を向上させることができる。
【0057】
以下に、本発明の発振器の設計例を示す。
半導体素子として、非特許文献6に示したNDR−DCTを用い、半導体素子を作製し、その特性の測定及び解析を行い、外部共振器設計のための三次元電磁界解析には有限要素法による数値解析ツール(アンソフト・ジャパン(株)製、HFSS)を用いた。
【0058】
図15は、(A)がNDR−DCTの等価回路を示し、(B)が発振器の等価回路を示している。図15(A)に示すように、トランジスタの等価回路において、Rcはソース又はドレイン電極と半導体間の接触抵抗であり、Ccは、ソース又はドレイン電極と半導体間の容量であり、Rchはチャネル抵抗であり、−Gd及びCdは、それぞれ、ゲート直下のデュアルチャネル間の遷移により発現する微分負性コンダクタンスと容量である。Lgはゲート長である。
等価回路定数Rc,Cc,Rchとしては下記値を用いた。
Rc=1.39×10−3Ω
Cc=0.24pF
Rch=12Ω
【0059】
等価回路定数の−Gd及びCdは、非特許文献5を参照し、下記数式(1)及び(2)から、Lg=100nm及び200nmのそれぞれについて求めた。
【数1】


【数2】

ここで、G(VAC)=a−(3b/4)*VAC、τGate=Lg/vであり、G(VAC)は下記(3)式及び(4)式から求めた。VはDCバイアスに相当する。
【数3】


【数4】


ここで、a=3/2*ΔI/ΔV、b=ΔI/ΔVである。ΔI,ΔVは、NDR−DCTの実際の負性抵抗の測定結果から求めた。キャリアの飽和速度vは、キャリアがゲート下で高移動度と低移動度のチャネルをそれぞれを同じ距離(Lg/2)走行すると仮定し、それぞれにおける凡その飽和速度は1.26×10m/sとした。また、τG
ate>>τtraと仮定した。ここで、τtraはキャリア(電子)のデュアルチャネル間遷移に要する時間である。
【0060】
図15(B)に示すように、発振器の等価回路は、図14のトランジスタの等価回路を簡略化してアドミタンスYdとし、スロットアンテナアドミタンスYaとの並列回路で表わされる。
【0061】
図16は詳細に設計されたスロットアンテナを有する発振器の平面図である。図示するように、1120μm×1120μmの大きさの半導体基板の中央部には、幅が60μmで長さが4μmのNDR−DCTのチャネルが配置されている。その両端に接続されている大きな二枚の導電性平板3,13が、ソース電極及びドレイン電極であり、これら電極間の細隙に、本発明のスロットアンテナが形成されている。この場合、スロットアンテナ本体2の幅は4μmで、その長さは720μmであり、スロットアンテナ本体に接続しているスリットリフレクタ部3,13は同じ寸法であり、幅が20μmであり、長さが500μmである。能動素子の周辺、つまり、給電点近傍には、間隔が60μmで、15μm×15μmのスリットリフレクタ部18,18を設けている。ソース、ドレイン,ゲートの電極パッド、すなわち、ワイヤボンディングパッドは100μm角である。
なお、図中のLgは、半導体素子のチャネルの上を横切って設けられているゲートの幅、つまりゲート長(図14参照)であり、スロットアンテナ本体2の幅(ソース、ドレイン電極間の細隙の幅)4μmに比較して十分に小さい。
【0062】
図17は、図16の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。図17の横軸は周波数(THz)であり、縦軸はアドミタンス(S)を示している。図17においては、スロットアンテナのアドミタンスの実部Re(Ya)とその虚部Im(Ya)と、NDR−DCTのLgが100nm及び200nmにおけるアドミタンスの実部Re(Yd)とその虚部Im(Yd)を示している。発振条件が、本発明によって設計されたスロットアンテナが設けられた外部共振器の共振周波数近辺で満足され、0.12THz、すなわち、120GHz付近で電力条件に余裕をもって発振するというシミュレーション結果となっている。
【0063】
図18は、スロットアンテナを有する発振器の別構成のパターンを示す平面図である。スロットアンテナ本体2の長さを390μmとし、スロットアンテナ本体2に接続しているスリットリフレクタ部3,13の寸法は、長さを300μmとした以外は、図16に示す発振器と同じである。但し、NDR−DCTのLgは100nmとしている。
【0064】
図19は、図18の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図であり、図19の横軸及び縦軸は図17と同じであるので説明は省略する。
図19から明らかなように、発振条件は本発明によって設計されたスロットアンテナにより形成された外部共振器の共振周波数近辺で満足され、0.21THz、すなわち、210GHz付近で電力条件に余裕をもって発振するというシミュレーション結果となっている。
【0065】
図20は、スロットアンテナを有する発振器のさらに別構成のパターンを示す平面図である。スロットアンテナ本体の長さを270μmとし、スロットアンテナ本体に接続しているスリットリフレクタ部3,13の寸法は、長さを200μmとした以外は、図16に示す発振器と同じである。但し、NDR−DCTのLgは100nmとしている。
【0066】
図21は、図20の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図であり、図21の横軸及び縦軸は図17と同じであるので説明は省略する。
図21から明らかなように、発振条件は本発明によって設計されたスロットアンテナにより形成された外部共振器の共振周波数近辺で満足され、0.305THz、すなわち、約305GHz付近で電力条件に余裕をもって発振するというシミュレーション結果とな
っている。
【0067】
上記の解析結果からは、スロットアンテナの共振周波数は、スロットアンテナ長にほぼ反比例して変化していることが分かる。したがって、本発明により当該発振デバイスの発振周波数を制御し得ることが分かる。
【0068】
図22は、図20のスロットアンテナの設計パラメータは変えずに、それを構成する電極のサイズを変更したものであり、図23はそのアドミタンスの周波数特性を示す図である。図23から明らかなように、図21に示すアドミタンスの周波数特性と比較すると、両者の相違は少なく、共に発振条件が満足されていることが分かる。シミュレーション上で、本発明が、スリットリフレクタ部3,13に挟まれたスロットアンテナ本体2への電磁界の局在化に成功しており、デバイス全体の大きさに影響されず所望の発振周波数を実現し得ることが分かる。
【0069】
図24は、図20に示した発振器パターンにおいて、小さいスリットリフレクタ部18を除いたパターンを示す図である。図25は、そのアドミタンスの周波数特性を示す図である。図25から明らかなように、図21に示すアドミタンスの周波数特性と比較すると、特性の変化が大きく、図20に示した発振器の場合は満足されていた発振条件が、満足されなくなっていることが分かる。シミュレーション上で、本発明のスリットリフレクタ部18が単なる反射器に留まらず共振の程度を調整する作用があり、スロットアンテナ本体2への電磁界の局在化に成功しており、デバイス全体の大きさに影響されず所望の発振周波数を実現し得ることが分かる。
【0070】
図20の構造に対する図24と同様に、図16の構造から前記のような付加的なスリットリフレクタ部18を除いた場合が図26であり、図27は、そのアドミタンスの周波数特性を示す図である。
図27から明らかなように、この場合は、図17と同様に発振条件を満足する周波数を見出すことができ、小さいスリットリフレクタ部18の有無が特性に大きく影響していないことが分かる。これは、スロット部分を挟んだ2組のスリットリフレクタ部3,13のみで充分な共振回路が実現できる例である。
【0071】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、例えば、用いる能動素子やその発振周波数はその目的に応じて設定することができ、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のアンテナ及びそれを用いた発振器は、テラヘルツ電磁波を通信、計測、演算等へ利用する装置のみならず、電磁波の伝送線路を用いて実現される回路全般にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明によるスロットアンテナの構成を模式的に示す図であり、(A)はその構成を示す斜視図、(B)は(A)のスロットアンテナの給電部に交流電源を接続した様子を示す平面図である。
【図2】本発明による第2の実施形態に係るスロットアンテナの構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナの第1変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るスロットアンテナの第2変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明によるスロットアンテナの第3変形例の構成を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るスロットアンテナを用いたアレーアンテナの一構成例を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明によるスロットアンテナを用いた発振器を模式的に示す斜視図である。
【図8】本発明によるスロットアンテナを用いた発振器を模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明によるスロットアンテナを用いた発振器を模式的に示す斜視図である。
【図10】本発明によるスロットアンテナを用いた発振器を模式的に示す斜視図である。
【図11】本発明の発振器の等価回路を示す図である。
【図12】本発明の発振器の能動素子及びスロットアンテナのアドミタンスの周波数特性の概略を示す図であり、それぞれ、(A)が発振条件を満たさない場合、(B)が発振条件を満たす場合を示している。
【図13】本発明によるスロットアンテナを用いた発振器の具体例を模式的に示す斜視図である。
【図14】図13に示した発振器のA−A線に沿う能動素子を含む構造を示す断面図である。
【図15】(A)はNDR−DCTの等価回路を示し、(B)は発振器の等価回路を示している。
【図16】詳細に設計されたスロットアンテナを有する発振器の平面図である。
【図17】図16の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図18】スロットアンテナを有する発振器の別の構成のパターンを示す平面図である。
【図19】図18の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図20】スロットアンテナを有する発振器のさらに別の構成のパターンを示す平面図である。
【図21】図20の発振器に対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図22】図20のスロットアンテナの設計パラメータは変えずに、それを構成する電極のサイズを変更したパターンを示す図である。
【図23】図22の発振器のパターンに対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図24】図20に示す発振器パターンにおいて、小さいスリットリフレクタ部を除いた発振器のパターンを示す図である。
【図25】図24の発振器のパターンに対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図26】図16の構造から付加的なスリットリフレクタ部を除いた発振器のパターンを示す図である。
【図27】図26の発振器のパターンに対応するアドミタンスの周波数特性を示す図である。
【図28】従来のスロットアンテナの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1,10,15,20,25:スロットアンテナ
2:スロットアンテナ本体
2A:給電点
3:スリットリフレクタ部(第1のスリットリフレクタ部)
3A,3B:空隙
5,11,12:導電性平板
6,31:基板
13:第2のスリットリフレクタ部
14,16,18:さらに付加するスリットリフレクタ部
30:アレーアンテナ
32:能動素子を含む層
33:能動素子
35,40,45,50:スロットアンテナを用いた発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットアンテナ本体となる空隙と、該空隙の長手方向に対して垂直方向に一つ以上設けたスリットリフレクタ部となる空隙とが、導電性平板に形成されて成ることを特徴とする、スロットアンテナ。
【請求項2】
所定の間隔で細隙を形成するように配置された2枚の導電性平板と、
上記2枚の導電性平板には、上記細隙の長手方向に対して垂直方向に空隙が形成されてなる2組のスリットリフレクタ部と、を備え、
上記2組のスリットリフレクタ部に挟み込まれる上記細隙がスロットアンテナ本体となることを特徴とする、スロットアンテナ。
【請求項3】
前記導電性平板には、さらに、スリットリフレクタ部が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のスロットアンテナ。
【請求項4】
さらに、前記スロットアンテナ本体の給電点近傍に、スリットリフレクタ部が配置されていることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のスロットアンテナ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のスロットアンテナが多数配列されることで、アレーアンテナとして構成されていることを特徴とする、スロットアンテナ。
【請求項6】
能動素子とスロットアンテナとからなる発振器であって、
上記能動素子の少なくとも2つの電極を導電性平板とし、
上記2枚の導電性平板が所定の間隔で細隙となるように配置され、
上記2枚の導電性平板には、上記細隙の長手方向に対して垂直方向に少なくとも1組以上のスリットリフレクタ部となる空隙を設け、
上記1組以上のスリットリフレクタ部に挟み込まれる上記細隙がスロットアンテナ本体となり、上記スロットアンテナが共振器とアンテナとを兼ねることを特徴とする、発振器。
【請求項7】
前記2枚の導電性平板には、さらに、スリットリフレクタ部が配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の発振器。
【請求項8】
さらに、前記スロットアンテナ本体の給電点近傍に、スリットリフレクタ部が配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の発振器。
【請求項9】
前記能動素子とスロットアンテナとが、基板上に集積化されていることを特徴とする、請求項6に記載の発振器。
【請求項10】
前記能動素子がトランジスタ又は負性抵抗ダイオードであることを特徴とする、請求項6又は9に記載の発振器。
【請求項11】
前記基板に、前記能動素子とスロットアンテナとが多数配列されることで、アレー型発振器が構成されることを特徴とする、請求項9に記載の発振器。

【図1】
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【図6】
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【図12】
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【図15】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図23】
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【図25】
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【図27】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図22】
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【図24】
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【図26】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−147750(P2008−147750A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329335(P2006−329335)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人科学技術振興機構「光量子位相制御・演算技術」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】