アンテナのコネクタカバー取り付け構造
【課題】コネクタカバーの脱落を確実に防止することができるアンテナのコネクタカバー取り付け構造を提供する。
【解決手段】ケーブルを接続するためのコネクタ8を設けたアンテナ本体2のコネクタ近傍に、高さの異なる一対の取り付け座9,10を突設し、これら取り付け座にタップ9a,10aを形成して、コネクタカバーの取り付け孔12cに挿入したほぼ同じ長さの固着具13,14をタップに螺挿することにより、取り付け座にコネクタカバーを取り付けたもので、コネクタカバーを取り付けている固着具をほぼ同量緩めて、高さの高い取り付け座に螺挿された固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本より切り離すことがなく、コネクタカバーを開放することができるため、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになる。
【解決手段】ケーブルを接続するためのコネクタ8を設けたアンテナ本体2のコネクタ近傍に、高さの異なる一対の取り付け座9,10を突設し、これら取り付け座にタップ9a,10aを形成して、コネクタカバーの取り付け孔12cに挿入したほぼ同じ長さの固着具13,14をタップに螺挿することにより、取り付け座にコネクタカバーを取り付けたもので、コネクタカバーを取り付けている固着具をほぼ同量緩めて、高さの高い取り付け座に螺挿された固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本より切り離すことがなく、コネクタカバーを開放することができるため、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてペンシルビーム特性を有するアンテナのコネクタカバー取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、準ミリ波やミリ波、光等で通信を行う通信機器に使用するアンテナには、ペンシルビーム特性を有するものが主として使用されており、この種のアンテナとしては、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。
前記特許文献1に記載の加入局アンテナは、無線信号の放出及び取り込みを行うアンテナ部と、アンテナ部で放出する無線信号の変調と、アンテナ部で取り込んだ無線信号の復調を行う無線部とを有している。
【0003】
またアンテナ部の周辺には、無線通信を行う対象物を確認するための覗き穴が設けられていると共に、覗き穴の中心軸とアンテナ部及び無線部を柱に取り付けるための取り付け金具に形成された覗き穴の中心軸が、何れもアンテナ部の指向性と同一方向で、かつこれらの中心軸が同一中心線上に配置されている。
そして前記構成により、対象物の照準を絞りやすくなるため、一層容易に通信対象物の方向へアンテナの向きを調整することができる等の効果を有している。
【0004】
一方従来のアンテナには、アンテナ本体と通信機器を接続するケーブルを取り付けるためのコネクタaが、図11に示すようにアンテナ本体bの裏面に設けられている。
このコネクタaは、アンテナを設置する前に塵埃等の異物や雨水等が侵入しないようにコネクタカバーcにより覆われており、コネクタカバーcは、長さの異なる複数、例えば2本のボルトのような固着具d、eによりアンテナ本体bの裏面に突設されたほぼ同じ高さの取り付け座f,gに取り付けられている。
【0005】
そしてアンテナ本体bを柱等に取り付けた後、2本の固着具d,eの一方dを緩め、他方eをアンテナ本体a裏面の取り付け座gより図12に示すように外した状態で、一方の固着具dを中心にコネクタカバーaを回転することにより、コネクタカバーaや固着具d,eをアンテナ本体bから切り離すことなくコネクタカバーaを開放できるようになっている。
これによってアンテナ本体bにケーブルを接続する際、コネクタカバーaや固着具d,eをアンテナ本体bから切り離す必要がないことから、アンテナの取り付け作業が高所作業になっても、コネクタカバーaや固着具d,eを誤って脱落させることがないため、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになっている。
【特許文献1】特開2004−72557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし前記従来のコネクタカバー取り付け構造では、2本の固着具d,eの一方が短く形成されているため、2本の固着具d,eを同時に緩めてコネクタカバーaを開放する場合、一方の固着具dがアンテナ裏面の取り付け座gから外れないように操作するための感覚が把握しにくい。
このため固着具d,eを緩めている最中に、両固着具d,eが同時に取り付け座f,gから外れてしまうことがあり、コネクタカバーbの脱落を確実に防止できない問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、コネクタカバーの脱落を確実に防止することができるアンテナのコネクタカバー取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナのコネクタカバー取り付け構造は、ケーブルを接続するためのコネクタをアンテナ本体に設け、かつコネクタをコネクタカバーにより覆ったアンテナのコネクタカバーの取り付け構造であって、アンテナ本体のコネクタ近傍に、高さが異なる一対の取り付け座を突設し、かつ取り付け座にタップを形成すると共に、コネクタカバーに形成した取り付け孔に挿入したほぼ同じ長さの固着具を、取り付け座のタップに螺挿することにより、取り付け座にコネクタカバーを取り付けたものである。
【0008】
前記構成により、アンテナ本体にケーブルを接続するために、コネクタを覆っているコネクタカバーを開放すべく固着具をほぼ同量緩めると、高さの低い取り付け座に螺挿された固着具が先に取り付け座より外れて空転するため、作業者は取り付け座より一方の固着具が外れたことを容易に確認することができる。
また高さの高い取り付け座に螺挿された固着具は、まだタップに螺挿された状態にあるため、この固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本体より切り離すことなく、コネクタカバーを開放することができる。
これによってコネクタカバーを誤って脱落するのを未然に防止することができるため、アンテナの取り付けが高所作業となっても、アンテナの取り付け作業が安全に行えると共に、コネクタカバーや固着具を紛失する虞もない。
しかもコネクタカバーを取り付ける固着具の長さをほぼ同じにしたことにより、誤った長さの固着具を取り付ける心配がないため、部品管理が容易となる効果もある。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアンテナのコネクタカバー取り付け構造によれば、コネクタカバーを取り付けている固着具をほぼ同量緩めて、高さの高い取り付け座に螺挿された固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本より切り離すことがなく、コネクタカバーを開放することができるため、アンテナの取り付けが高所作業となっても、コネクタカバーやこれを取り付ける固着具を誤って脱落させることなく、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1はペンシルビーム特性を有するアンテナの表面側の斜視図、図2は同裏面側の斜視図、図3はコネクタカバーの平面図、図4は図3のA−A線部分を断面した状態の側面図、図5はコネクタカバーを開放する際の作用説明図、図6は図5のB円内の拡大図、図7はコネクタカバーの取り付け状態を示す一部切欠側面図、図8はコネクタカバーを取り付けている固着具を緩めた状態の側面図である。
図1に示すアンテナ本体1は、ほぼ正方形に形成されたアンテナ部2と、アンテナ部2の前面を覆うカバー3とからなる。
【0011】
アンテナ部2は、前面が無線信号を発信したり、受信する送受信面となっており、全体が例えばアルミニウムのような金属により一体成形されている。
アンテナ部2の送受信面を覆うカバー3は、樹脂により一体成形されていて、雨水等により送受信面が劣化しないように保護している。
アンテナ部2の裏面側には、図2に示すように放熱用のヒートシンク4と、アンテナ本体1を柱等に取り付けるためのブラケット5が設けられている。
ヒートシンク4は、アンテナ部3の周辺部及びコネクタ取り付け部3aを除く裏面全体に突設された複数のフィン4aからなり、各フィン4aは、図2に示すように互いに平行するようアンテナ部2の裏面に立設されている。
【0012】
アンテナ本体1を柱等に取り付けるブラケット5は、ビス等の固着具6によりアンテナ部2の裏面に固着された基板部5aと、ビス等の固着具7により基板部5aに着脱自在に取り付けられた狭着部5bとからなり、何れも金属板により成形されており、基板部5aと狭着部5bとの間で柱等を狭着した状態で固着具7を締め付けることにより、柱等に対してアンテナ本体1が所定の角度で取り付けられるようになっている。
アンテナ部2の裏面に形成されたコネクタ取り付け部2aには、アンテナ本体1と通信機器を接続するケーブルに設けられた雄型のコネクタ(何れも図示せず)を嵌合する雌型のコネクタ8が、図7及び図8に示すように取り付けられており、コネクタ8の対角位置には、ボス状の取り付け座9、10突設されている。
【0013】
これら取り付け座9、10は、コネクタ8の上面を覆って、コネクタ8内に塵埃等の異物や雨水等が侵入するのを防止するコネクタカバー12を取り付けるためのもので、図7及び図8に示すように一方の取り付け座9は高さが高く、他方の取り付け座10は高さが低くなっており、内周面にタップ9a,10aが形成されている。
コネクタカバー12は、コネクタ8の上面全体を覆えるように、コネクタ8の平面の面積より大きい覆い部12aと、覆い部12aの対角位置に突設された取り付け部12bとからなり、取り付け部12bには、図4に示すように上部側が小径で、かつ下部側が大径な取り付け孔12cが形成されており、小径側の内周面にタップ12dが形成されている。
【0014】
コネクタカバー12を取り付け座9、10に取り付ける固着具13、14は、ほぼ同じ長さの例えばボルトより形成されていていて、各固着具13、14の頭部13a、14aより突設された軸部13b、14bは、コネクタカバー12の取り付け部12bに形成されたタップ12dの内径より小径となっており、軸部13b、14bの先端部には、タップ12dに螺挿自在なねじ部13c、14cが形成されている。
【0015】
次に前記構成されたアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用を、図5ないし図8を参照して説明する。
アンテナ本体1を設置する前は、塵埃等の異物や雨水等が侵入しないように図2に示すようにコネクタカバー12より覆われた状態にあり、またコネクタカバー12を取り付け座9、10に取り付ける固着具13、14は、図7に示すように先端のねじ部13c、14cが取り付け座9、10の内周面に形成されたタップ9a、10a内に螺挿された状態にある。
これによってコネクタ8の上面がコネクタカバー12の覆い部12aにより覆われるため、コネクタ8内に異物や雨水等が侵入するのを防止することができる。
【0016】
一方アンテナ部2の裏面に設けられたブラケット5を使用してアンテナ本体1を柱等に取り付けたら、アンテナ本体1と通信機器を接続するためのケーブルを取り付けるが、ケーブルの取り付けに当たって、まずコネクタカバー12を固定している固着具13、14をほぼ同量緩める。
このとき一方の固着具13が螺挿された取り付け座9は、取り付け座10より高さが高く、かつ内周面に形成されたタップ9aの長さが、高さの低い取り付け座10の内周面に形成されたタップ10aより予め長くなっているため、両固着具9,10を同量回転させた場合、図8に示すように高さの低い取り付け座10に螺挿された固着具14が先に取り付け座10より外れて空転するようになり、これによって作業者は取り付け座10より固着具14が外れたことを容易に確認することができる。
【0017】
またこのとき固着具13のねじ部13cは、まだ高さの高い取り付け座9に螺挿された状態にあるため、コネクタカバー12がアンテナ本体1より切り離されることがなく、これによってコネクタカバー12を誤って脱落するのを未然に防止することができる。
他方の固着具14が取り付け座10より外れて空転したら、図6に示すように一方の固着具13を中心にコネクタカバー12を矢印C方向へ回動してコネクタカバー12を開放し、この状態でコネクタ8にケーブル側のコネクタを接続するもので、アンテナ本体1の取り付けが高所作業となっても、コネクタカバー12やこれを取り付ける固着具13、14を誤って脱落させることがないため、高所作業が安全に行えるようになる。
【0018】
一方図9及び図10は、コネクタカバー取り付け構造の変形例を示すもので、次にこれら変形例を説明する。
なお前記実施の形態と同一部分は同一記号を付して、その説明は省略する。
図9に示す変形例は、一対の取り付け座9,10の高さをほぼ等しくし、コネクタカバー12に挿通した固着具13,14の長さもほぼ同じにしているが、一方の固着具13の軸部13bの径を他方の固着具14より細く形成している。
またコネクタカバー12の取り付け部12bに穿設された取り付け孔12cのうち、固着具13が挿通された取り付け孔12cの下部側の径が十分に大きくなるようにザグリされている。
これによって他方の固着具14が取り付け座10のタップ10aより外れた状態になると、固着具13側を中心にコネクタカバー12を大きく傾けることができるため、コネクタの脱着作業が容易となり、作業性が向上する。
【0019】
図10に示す変形例では、固着具13が挿通されたコネクタカバー12の取り付け部12b下面を斜めに面取りするか、R状に面取りすることにより面取り面12fが形成されており、そのほかの点は図9に示す変形例とほぼ同様な構造となっている。
この変形例によれば、コネクタカバー12の取り付け部12b下面に面取り面12fを形成したことにより、固着具13を少し緩めるだけで固着具13側を中心にコネクタカバー12を大きく傾けることができるため、図9に示す変形例と同様コネクタの脱着作業が容易となる上、固着具13の緩め量を少なくできるため、作業性がさらに向上する。
【0020】
なお前記実施の形態では、ペンシルビーム特性を有するアンテナのコネクタカバー取り付け構造について説明したが、同様なコネクタカバー取り付け構造を有するアンテナ全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態になるコネクタカバー取り付け構造を採用したアンテナの表面側の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になるコネクタカバー取り付け構造を採用したアンテナの裏面側の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造に使用するコネクタカバーの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造に使用するコネクタカバーの図3に示すA−A線部分を断面した側面図である。
【図5】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図6】図5のB円内の拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図9】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の変形例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の変形例を示す説明図である。
【図11】従来のアンテナのコネクタカバー取り付け構造の説明図である。
【図12】従来のアンテナのコネクタカバー取り付け構造の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 アンテナ本体
8 コネクタ
9 取り付け座
9c タップ
10 取り付け座
10c タップ
12 コネクタカバー
12c 取り付け孔
13 固着具
14 固着具
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてペンシルビーム特性を有するアンテナのコネクタカバー取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、準ミリ波やミリ波、光等で通信を行う通信機器に使用するアンテナには、ペンシルビーム特性を有するものが主として使用されており、この種のアンテナとしては、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。
前記特許文献1に記載の加入局アンテナは、無線信号の放出及び取り込みを行うアンテナ部と、アンテナ部で放出する無線信号の変調と、アンテナ部で取り込んだ無線信号の復調を行う無線部とを有している。
【0003】
またアンテナ部の周辺には、無線通信を行う対象物を確認するための覗き穴が設けられていると共に、覗き穴の中心軸とアンテナ部及び無線部を柱に取り付けるための取り付け金具に形成された覗き穴の中心軸が、何れもアンテナ部の指向性と同一方向で、かつこれらの中心軸が同一中心線上に配置されている。
そして前記構成により、対象物の照準を絞りやすくなるため、一層容易に通信対象物の方向へアンテナの向きを調整することができる等の効果を有している。
【0004】
一方従来のアンテナには、アンテナ本体と通信機器を接続するケーブルを取り付けるためのコネクタaが、図11に示すようにアンテナ本体bの裏面に設けられている。
このコネクタaは、アンテナを設置する前に塵埃等の異物や雨水等が侵入しないようにコネクタカバーcにより覆われており、コネクタカバーcは、長さの異なる複数、例えば2本のボルトのような固着具d、eによりアンテナ本体bの裏面に突設されたほぼ同じ高さの取り付け座f,gに取り付けられている。
【0005】
そしてアンテナ本体bを柱等に取り付けた後、2本の固着具d,eの一方dを緩め、他方eをアンテナ本体a裏面の取り付け座gより図12に示すように外した状態で、一方の固着具dを中心にコネクタカバーaを回転することにより、コネクタカバーaや固着具d,eをアンテナ本体bから切り離すことなくコネクタカバーaを開放できるようになっている。
これによってアンテナ本体bにケーブルを接続する際、コネクタカバーaや固着具d,eをアンテナ本体bから切り離す必要がないことから、アンテナの取り付け作業が高所作業になっても、コネクタカバーaや固着具d,eを誤って脱落させることがないため、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになっている。
【特許文献1】特開2004−72557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし前記従来のコネクタカバー取り付け構造では、2本の固着具d,eの一方が短く形成されているため、2本の固着具d,eを同時に緩めてコネクタカバーaを開放する場合、一方の固着具dがアンテナ裏面の取り付け座gから外れないように操作するための感覚が把握しにくい。
このため固着具d,eを緩めている最中に、両固着具d,eが同時に取り付け座f,gから外れてしまうことがあり、コネクタカバーbの脱落を確実に防止できない問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、コネクタカバーの脱落を確実に防止することができるアンテナのコネクタカバー取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナのコネクタカバー取り付け構造は、ケーブルを接続するためのコネクタをアンテナ本体に設け、かつコネクタをコネクタカバーにより覆ったアンテナのコネクタカバーの取り付け構造であって、アンテナ本体のコネクタ近傍に、高さが異なる一対の取り付け座を突設し、かつ取り付け座にタップを形成すると共に、コネクタカバーに形成した取り付け孔に挿入したほぼ同じ長さの固着具を、取り付け座のタップに螺挿することにより、取り付け座にコネクタカバーを取り付けたものである。
【0008】
前記構成により、アンテナ本体にケーブルを接続するために、コネクタを覆っているコネクタカバーを開放すべく固着具をほぼ同量緩めると、高さの低い取り付け座に螺挿された固着具が先に取り付け座より外れて空転するため、作業者は取り付け座より一方の固着具が外れたことを容易に確認することができる。
また高さの高い取り付け座に螺挿された固着具は、まだタップに螺挿された状態にあるため、この固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本体より切り離すことなく、コネクタカバーを開放することができる。
これによってコネクタカバーを誤って脱落するのを未然に防止することができるため、アンテナの取り付けが高所作業となっても、アンテナの取り付け作業が安全に行えると共に、コネクタカバーや固着具を紛失する虞もない。
しかもコネクタカバーを取り付ける固着具の長さをほぼ同じにしたことにより、誤った長さの固着具を取り付ける心配がないため、部品管理が容易となる効果もある。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアンテナのコネクタカバー取り付け構造によれば、コネクタカバーを取り付けている固着具をほぼ同量緩めて、高さの高い取り付け座に螺挿された固着具を中心にコネクタカバーを回動することにより、コネクタカバーをアンテナ本より切り離すことがなく、コネクタカバーを開放することができるため、アンテナの取り付けが高所作業となっても、コネクタカバーやこれを取り付ける固着具を誤って脱落させることなく、アンテナの取り付け作業が安全に行えるようになるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1はペンシルビーム特性を有するアンテナの表面側の斜視図、図2は同裏面側の斜視図、図3はコネクタカバーの平面図、図4は図3のA−A線部分を断面した状態の側面図、図5はコネクタカバーを開放する際の作用説明図、図6は図5のB円内の拡大図、図7はコネクタカバーの取り付け状態を示す一部切欠側面図、図8はコネクタカバーを取り付けている固着具を緩めた状態の側面図である。
図1に示すアンテナ本体1は、ほぼ正方形に形成されたアンテナ部2と、アンテナ部2の前面を覆うカバー3とからなる。
【0011】
アンテナ部2は、前面が無線信号を発信したり、受信する送受信面となっており、全体が例えばアルミニウムのような金属により一体成形されている。
アンテナ部2の送受信面を覆うカバー3は、樹脂により一体成形されていて、雨水等により送受信面が劣化しないように保護している。
アンテナ部2の裏面側には、図2に示すように放熱用のヒートシンク4と、アンテナ本体1を柱等に取り付けるためのブラケット5が設けられている。
ヒートシンク4は、アンテナ部3の周辺部及びコネクタ取り付け部3aを除く裏面全体に突設された複数のフィン4aからなり、各フィン4aは、図2に示すように互いに平行するようアンテナ部2の裏面に立設されている。
【0012】
アンテナ本体1を柱等に取り付けるブラケット5は、ビス等の固着具6によりアンテナ部2の裏面に固着された基板部5aと、ビス等の固着具7により基板部5aに着脱自在に取り付けられた狭着部5bとからなり、何れも金属板により成形されており、基板部5aと狭着部5bとの間で柱等を狭着した状態で固着具7を締め付けることにより、柱等に対してアンテナ本体1が所定の角度で取り付けられるようになっている。
アンテナ部2の裏面に形成されたコネクタ取り付け部2aには、アンテナ本体1と通信機器を接続するケーブルに設けられた雄型のコネクタ(何れも図示せず)を嵌合する雌型のコネクタ8が、図7及び図8に示すように取り付けられており、コネクタ8の対角位置には、ボス状の取り付け座9、10突設されている。
【0013】
これら取り付け座9、10は、コネクタ8の上面を覆って、コネクタ8内に塵埃等の異物や雨水等が侵入するのを防止するコネクタカバー12を取り付けるためのもので、図7及び図8に示すように一方の取り付け座9は高さが高く、他方の取り付け座10は高さが低くなっており、内周面にタップ9a,10aが形成されている。
コネクタカバー12は、コネクタ8の上面全体を覆えるように、コネクタ8の平面の面積より大きい覆い部12aと、覆い部12aの対角位置に突設された取り付け部12bとからなり、取り付け部12bには、図4に示すように上部側が小径で、かつ下部側が大径な取り付け孔12cが形成されており、小径側の内周面にタップ12dが形成されている。
【0014】
コネクタカバー12を取り付け座9、10に取り付ける固着具13、14は、ほぼ同じ長さの例えばボルトより形成されていていて、各固着具13、14の頭部13a、14aより突設された軸部13b、14bは、コネクタカバー12の取り付け部12bに形成されたタップ12dの内径より小径となっており、軸部13b、14bの先端部には、タップ12dに螺挿自在なねじ部13c、14cが形成されている。
【0015】
次に前記構成されたアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用を、図5ないし図8を参照して説明する。
アンテナ本体1を設置する前は、塵埃等の異物や雨水等が侵入しないように図2に示すようにコネクタカバー12より覆われた状態にあり、またコネクタカバー12を取り付け座9、10に取り付ける固着具13、14は、図7に示すように先端のねじ部13c、14cが取り付け座9、10の内周面に形成されたタップ9a、10a内に螺挿された状態にある。
これによってコネクタ8の上面がコネクタカバー12の覆い部12aにより覆われるため、コネクタ8内に異物や雨水等が侵入するのを防止することができる。
【0016】
一方アンテナ部2の裏面に設けられたブラケット5を使用してアンテナ本体1を柱等に取り付けたら、アンテナ本体1と通信機器を接続するためのケーブルを取り付けるが、ケーブルの取り付けに当たって、まずコネクタカバー12を固定している固着具13、14をほぼ同量緩める。
このとき一方の固着具13が螺挿された取り付け座9は、取り付け座10より高さが高く、かつ内周面に形成されたタップ9aの長さが、高さの低い取り付け座10の内周面に形成されたタップ10aより予め長くなっているため、両固着具9,10を同量回転させた場合、図8に示すように高さの低い取り付け座10に螺挿された固着具14が先に取り付け座10より外れて空転するようになり、これによって作業者は取り付け座10より固着具14が外れたことを容易に確認することができる。
【0017】
またこのとき固着具13のねじ部13cは、まだ高さの高い取り付け座9に螺挿された状態にあるため、コネクタカバー12がアンテナ本体1より切り離されることがなく、これによってコネクタカバー12を誤って脱落するのを未然に防止することができる。
他方の固着具14が取り付け座10より外れて空転したら、図6に示すように一方の固着具13を中心にコネクタカバー12を矢印C方向へ回動してコネクタカバー12を開放し、この状態でコネクタ8にケーブル側のコネクタを接続するもので、アンテナ本体1の取り付けが高所作業となっても、コネクタカバー12やこれを取り付ける固着具13、14を誤って脱落させることがないため、高所作業が安全に行えるようになる。
【0018】
一方図9及び図10は、コネクタカバー取り付け構造の変形例を示すもので、次にこれら変形例を説明する。
なお前記実施の形態と同一部分は同一記号を付して、その説明は省略する。
図9に示す変形例は、一対の取り付け座9,10の高さをほぼ等しくし、コネクタカバー12に挿通した固着具13,14の長さもほぼ同じにしているが、一方の固着具13の軸部13bの径を他方の固着具14より細く形成している。
またコネクタカバー12の取り付け部12bに穿設された取り付け孔12cのうち、固着具13が挿通された取り付け孔12cの下部側の径が十分に大きくなるようにザグリされている。
これによって他方の固着具14が取り付け座10のタップ10aより外れた状態になると、固着具13側を中心にコネクタカバー12を大きく傾けることができるため、コネクタの脱着作業が容易となり、作業性が向上する。
【0019】
図10に示す変形例では、固着具13が挿通されたコネクタカバー12の取り付け部12b下面を斜めに面取りするか、R状に面取りすることにより面取り面12fが形成されており、そのほかの点は図9に示す変形例とほぼ同様な構造となっている。
この変形例によれば、コネクタカバー12の取り付け部12b下面に面取り面12fを形成したことにより、固着具13を少し緩めるだけで固着具13側を中心にコネクタカバー12を大きく傾けることができるため、図9に示す変形例と同様コネクタの脱着作業が容易となる上、固着具13の緩め量を少なくできるため、作業性がさらに向上する。
【0020】
なお前記実施の形態では、ペンシルビーム特性を有するアンテナのコネクタカバー取り付け構造について説明したが、同様なコネクタカバー取り付け構造を有するアンテナ全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態になるコネクタカバー取り付け構造を採用したアンテナの表面側の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態になるコネクタカバー取り付け構造を採用したアンテナの裏面側の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造に使用するコネクタカバーの平面図である。
【図4】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造に使用するコネクタカバーの図3に示すA−A線部分を断面した側面図である。
【図5】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図6】図5のB円内の拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図8】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の作用説明図である。
【図9】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の変形例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態になるアンテナのコネクタカバー取り付け構造の変形例を示す説明図である。
【図11】従来のアンテナのコネクタカバー取り付け構造の説明図である。
【図12】従来のアンテナのコネクタカバー取り付け構造の説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 アンテナ本体
8 コネクタ
9 取り付け座
9c タップ
10 取り付け座
10c タップ
12 コネクタカバー
12c 取り付け孔
13 固着具
14 固着具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを接続するためのコネクタをアンテナ本体に設け、かつ前記コネクタをコネクタカバーにより覆ったアンテナのコネクタカバー取り付け構造であって、前記アンテナ本体の前記コネクタ近傍に、高さが異なる一対の取り付け座を突設し、かつ前記取り付け座にタップを形成すると共に、前記コネクタカバーに形成した取り付け孔に挿入したほぼ同じ長さの固着具を、前記取り付け座の前記タップに螺挿することにより、前記取り付け座に前記コネクタカバーを取り付けたことを特徴とするアンテナのコネクタカバー取り付け構造。
【請求項1】
ケーブルを接続するためのコネクタをアンテナ本体に設け、かつ前記コネクタをコネクタカバーにより覆ったアンテナのコネクタカバー取り付け構造であって、前記アンテナ本体の前記コネクタ近傍に、高さが異なる一対の取り付け座を突設し、かつ前記取り付け座にタップを形成すると共に、前記コネクタカバーに形成した取り付け孔に挿入したほぼ同じ長さの固着具を、前記取り付け座の前記タップに螺挿することにより、前記取り付け座に前記コネクタカバーを取り付けたことを特徴とするアンテナのコネクタカバー取り付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−4213(P2010−4213A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160073(P2008−160073)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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