説明

アンテナ付き竪樋

【課題】給電用のケーブルの家屋に導入する箇所までの架け渡し長さを短くすることができるアンテナ付き竪樋を提供する。
【解決手段】雨水を流すための排水筒部10及びアンテナ部2を有するアンテナ樋本体1を備える。排水筒部10の周方向に回動可能となる回動部7を備える。アンテナ部2が有する給電部3に給電路3が接続される。給電路3の端部にテレビ側ケーブル33を接続可能な接続具32が設けられる。接続具32が回動部7に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ付き竪樋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、施工後の竪樋にアンテナ部を取付ける技術が開示されている。このアンテナ部には給電端子がねじ止めされている。
【0003】
ところで、前記給電端子にはアンテナ部に給電するためのケーブルが接続されると考えられ、この種の給電用のケーブルは、一般的に、軒天井あるいは軒天井のすぐ下に位置する外壁の上端部を通して家屋に導入される。これは、雨が前記ケーブルを屋内に導入するための孔を介して家屋に入り込むことを防止等するためである。
【0004】
ここで、特許文献1の給電端子は、ねじ止めによりアンテナ部に対して固定されており、アンテナ部を竪樋に取付ける向きによって給電端子の位置が変わる。このため、給電端子が前記ケーブルを家屋に導入する箇所から離れてしまうことがあり、この場合は、給電端子から屋内に導入する箇所に架け渡されるケーブルの架け渡し長さが長くなる。このため、屋外側におけるケーブルの納まりが悪くなって外観を害する恐れがあり、また、高所において給電端子に接続したケーブルを軒天井等から屋内に導入する作業がし難くなる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、給電用のケーブルの家屋に導入する箇所までの架け渡し長さを短くすることができるアンテナ付き竪樋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明のアンテナ付き竪樋は、雨水を流すための排水筒部及びアンテナ部を有するアンテナ樋本体と、前記排水筒部の周方向に回動可能となる回動部を備え、前記アンテナ部が有する給電部に給電路が接続され、この給電路の端部にテレビ側ケーブルを接続可能な接続具が設けられ、この接続具が前記回動部に設けられたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他のアンテナ付き竪樋は、雨水を流すための排水筒部及びアンテナ部を有するアンテナ樋本体と、前記排水筒部の周方向に回動可能となる回動部を備え、前記アンテナ部が有する給電部に給電路が接続され、この給電路が前記回動部に至り、前記回動部に前記給電路を引き出すための引出部が設けられたことを特徴とする。
【0009】
また、前記回動部を回動方向の予め定められた複数の停止位置又は任意の位置で停止させる停止手段を備えることが好ましい。
【0010】
また、前記アンテナ樋本体の端部に前記排水筒部と他の筒状樋を接続する接続体が設けられ、この接続体が前記回動部を有することが好ましい。
【0011】
また、前記回動部は、前記回動部に至った給電路を覆うカバー体を有することが好ましい。
【0012】
また、前記給電部に前記給電路となるアンテナ部側ケーブルを接続し、前記回動部に、前記アンテナ部側ケーブルを上下方向に挿通するためのケーブル挿通孔と、ケーブル挿通孔を通過したアンテナ部側ケーブルを保持する保持部を設け、前記ケーブル挿通孔を前記回動部の回動方向に長い長孔とすることが好ましい。
【0013】
また、前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットを有するスロットアンテナであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明にあっては、接続具を家屋においてテレビ側ケーブルが導入される箇所に近づけることができる。このため、アンテナ部給電用のケーブルの納まりを良くして外観を向上でき、また、アンテナ部給電用のケーブルを前記軒天井等から屋内に容易に導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のアンテナ付き竪樋の一部破断した斜視図である。
【図2】同上のアンテナ付き竪樋の斜視図である。
【図3】同上のアンテナ付き竪樋の断面斜視図である。
【図4】同上のアンテナ部の前側から見た斜視図である。
【図5】同上のアンテナ部の後側から見た斜視図である。
【図6】同上の取付部材の斜視図である。
【図7】同上の外筒部の図示を省略したアンテナ付き竪樋の上端部分における断面斜視図である。
【図8】同上の接続部の斜視図である。
【図9】同上の回動部本体の斜視図である。
【図10】同上のカバー体及び外筒部の図示を省略したアンテナ付き竪樋の上端部分の斜視図である。
【図11】同上の下接続体の上側から見た斜視図である。
【図12】同上の下接続体の下側から見た斜視図である。
【図13】同上の外筒部の図示を省略したアンテナ付き竪樋の上端部分における図7とは別位置で切断した断面斜視図である。
【図14】同上のアンテナ付き竪樋の設置例を示す説明図である。
【図15】他例のアンテナ付き竪樋を示し、外筒部の図示を省略したアンテナ付き竪樋の上端部を示す断面斜視図である。
【図16】同上の外筒部の図示を省略したアンテナ付き竪樋の上端部分における図15とは別位置で切断した断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、例えば図14に示されるように竪樋の途中に設けられ、テレビ側ケーブル33に接続されることでテレビ用のアンテナとして用いられるものである。
【0017】
図1に示されるように、アンテナ付き竪樋は、アンテナ部2を有するアンテナ樋本体1と、このアンテナ樋本体1の上下両端部に設けられた接続体13を備えている。接続体13は、排水筒部10と軒先の竪樋やエルボ等の接続継手等からなる他の筒状樋111、115を接続するものである。以下、特に区別する場合には、アンテナ樋本体1の上端部に設けられた接続体13を上接続体5と記載し、アンテナ樋本体1の下端部に設けられた接続体13を下接続体9と記載する。
【0018】
図3に示されるように、アンテナ樋本体1は、雨水を流すための排水流路11を内部に有する排水筒部10と、排水筒部10の外面に設けられたアンテナ部2と、排水筒部10と同心に設けられてアンテナ部2を外側から覆う外筒部12を備えている。
【0019】
排水筒部10は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料(例えば塩化ビニル)により構成されている。
【0020】
図4に示されるように、アンテナ部2は、アンテナ樋本体1の軸方向に沿って長く形成されたスロット21を有するスロットアンテナにより構成されている。アンテナ部2は導電性部材20により構成されており、スロット21を形成した縦長矩形状の鋼板を水平断面C字状となるよう上下方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0021】
アンテナ部2にはスロット21が上下方向に複数並べて設けられており、隣接するスロット21同士は細溝28で接続されている。各スロット21は三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。
【0022】
アンテナ部2は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部22と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部23を有している。
【0023】
第一の受信部22は、スロット21及び当該スロット21の周縁部により構成される。第二の受信部23は、このスロット21に対し上下方向に隣接する鋼板部分により構成される。
【0024】
第一の受信部22を構成するスロット21の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。また、第二の受信部23の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。
【0025】
すなわち、第一の周波数帯内の中心周波数が536.5MHzであり、第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約28cmであることから、各スロット21の上下方向の長さは約28cmとなっている。また、第二の周波数帯の中心周波数が660MHzであり、第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約23cmであることから、第二の受信部23の周方向の長さは約23cmとなっている。
【0026】
図5に示されるように、アンテナ部2の周方向の両端間に上下に亘って形成された隙間26は、アンテナ部2の円弧中心を挟んでスロット21と対向する位置に配置され、スロット21に対向している。
【0027】
隙間26において各スロット21の後方に位置する部分は、導電性部材20が存在しない抜き部27を構成する。各抜き部27は正面から見てスロット21と重なる位置に設けられており、上下長さがスロット21の上下長さよりも長く、周方向長さがスロット21の周方向長さよりも長く形成されている。
【0028】
アンテナ部2において上側の第一の受信部22を構成するスロット21の両側は三角形状に形成され、これら対向する三角形状部分の夫々の頂点部に位置する連設片25は、アンテナ部2の給電部24を構成している。この給電部24は最上の第一の受信部22の上下方向の略中央部分に位置している。
【0029】
図1のように、給電部24には、給電路3を構成するアンテナ部側ケーブル31の一端部が接続されている。アンテナ部側ケーブル31は同軸ケーブルからなり、内側の導線が一方の連設片25に接続され、外側の網線が他方の連設片25に接続されている。
【0030】
アンテナ部側ケーブル31は、アンテナ部2の外面に沿って配置されるものであり、前記一端部が接続された給電部24からスロット21と重複しないようにスロット21を避けた位置を通過して上接続体5に至っている。
【0031】
アンテナ部2は、図1に示されるように、湾曲した内面が排水筒部10の外周面に沿わせられ、この状態で取付部材4により排水筒部10に取付けられる。
【0032】
図6に示されるように、取付部材4は円環状をなし、非導電性の合成樹脂材料により形成されている。取付部材4は、一端に軸方向を上下方向とする軸部42を有すると共に他端に係止部43を有する平面視略C字状の第一の半体41と、一端に軸受部45を有すると共に他端に被係止部46を有する平面視略C字状の第二の半体44とから構成されている。第一の半体41の軸部42は第二の半体44の軸受部45に対して回動自在に連結されており、また、被係止部46は係止部43に対して着脱自在に係止できるようになっている。
【0033】
図1に示されるように、アンテナ部2は複数の取付部材4により上下方向の複数箇所が排水筒部10に対して固定されるものであり、以下のようにして排水筒部10及びアンテナ部2に取付けられる。まず、排水筒部10の外面に沿って配置したアンテナ部2の片側外面に、被係止部46を係止部43から外して開いた両半体41,44のうち、一方の半体41(44)を被せる。次に、当該他方の半体44(41)をアンテナ部2の他側外面に被せ、当該一方の半体41(44)に対して他方の半体44(41)を軸部42を中心に回動して被係止部46を係止部43に係止する。これにより、アンテナ部2は取付部材4により排水筒部10側となる内方に締め付けられて排水筒部10に対して固定される。
【0034】
図6のように、各取付部材4は、アンテナ部側ケーブル31のアンテナ部2に対する位置を保持するケーブル保持部48を備えている。ケーブル保持部48は、第一の半体41の内周面の一部及び第二の半体44の内周面の一部に夫々設けられた溝480により構成されている。各溝480は各半体41,44の周方向の一部を径外方向に突出することで形成され、上下に開口している。溝480には給電部24に接続されたアンテナ部側ケーブル31を通すことができる。これにより排水筒部10及びアンテナ部2に取付けられた取付部材4とアンテナ部2の間にアンテナ部側ケーブル31を挟み、取付部材4によりアンテナ部側ケーブル31の長さ方向の一部を保持できる。
【0035】
また、各取付け部材4は、径外方向に突出する複数の突出部49を有している。本実施形態の取付け部材4は、軸受部45と、係止部43及び被係止部46と、溝480の背面側の突出部分との計4箇所の突出部49を有している。突出部49は周方向に等間隔で配置されており、すなわち90°ごとに径外方向に突出している。この突出部49は、取付け部材4がアンテナ部2の外周に装着された上で外筒部12が取り付けられると、当該外筒部12の略中心に排水筒部10と排水筒部10に設けられたアンテナ部2とが配置されると共に、外筒部12の内周面に当接又は近接対向するようになっている。
【0036】
外筒部12は非導電性の合成樹脂材料により形成され、図3のように排水筒部10と同心円状の円筒形状に形成されている。この外筒部12は上下の接続体13に接続され、これにより外筒部12は排水筒部10と径方向に所定の間隔を介して配置されている。
【0037】
上接続体5は上方に開口した上接続口86を有しており、下接続体9は下方に開口した下接続口91を有している。上接続口86及び下接続口91は、いずれも、排水筒部10の排水流路11に通じている。
【0038】
図7に示されるように、上接続体5は、排水筒部10の上端部に接着固定される接続部6と、接続部6に対し周方向に回動可能となった回動部7を有している。
【0039】
図8に示されるように、接続部6は上下方向に軸方向を有する円筒状に形成されており、その下端部には、排水筒部10の上端部が接続される排水筒部接続部60が形成されている。
【0040】
排水筒部接続部60には、筒状部分から外方に突出する位置決め当接部61が全周に亘って形成されており、位置決め当接部61の外周縁には、下方に向けて突出する水平断面略C字状の覆い片62が形成されている。また、覆い片62の周方向の両端には周方向位置決め突起63が形成されている。
【0041】
排水筒部接続部60に排水筒部10の上端部を接続するには、排水筒部接続部60の筒状部分の外側に排水筒部10の上端部を嵌め込んで位置決め当接部61の下面に排水筒部10の上端面を当接し、この状態で排水筒部接続部60を排水筒部10に接着する。この接続状態では、覆い片62により、アンテナ部2を含めた排水筒部10の上端部外周面が覆われる。また、周方向位置決め突起63が、アンテナ部2の周方向の両端面に当接する、又はアンテナ部2の周方向の両端面の近傍に位置して対向する。これによりアンテナ部2が排水筒部10に対して周方向に回動することが防止される。
【0042】
接続部6の上部には、回動部7が回動可能に取付けられる内側支持部64が形成されている。内側支持部64は排水筒部接続部60の筒状部分を上方に延ばし出して円筒状に形成されている。
【0043】
回動部7は、図7に示されるように、内側支持部64の外周面に沿って回動可能な回動部本体70と、回動部本体70に取付けられて回動部本体70と回動部本体70から上方に突出した接続部6の内側支持部64を覆うカバー体85を有している。
【0044】
図9に示されるように、回動部本体70は、内側支持部64の外側に回動可能に嵌め込まれる外側環状部71と、外側環状部71から側方に突出した側方突出部73と、外筒部12の上端部に接続される外筒部接続部78を有している。
【0045】
図7に示されるように、外筒部接続部78は、外側環状部71の下端から径外方向に突出した外筒端面当接部79と、外筒端面当接部79の外縁から下方に向けて突設された外嵌部80を有している。
【0046】
外嵌部80は外側環状部71と同心の円筒状に形成されており、下方に開口している。外筒部接続部78に外筒部12の上端部を接続するには、外筒部12の上端部を外嵌部80の内側に嵌め込んで、外筒部12の上端面を外筒端面当接部79の下面に当接させる。なお、外筒部接続部78は外筒部12に接着固定されず、外筒部12に対して回動可能となっている。
【0047】
また回動部本体70は、排水筒部10と外筒部12と回動部本体70とに囲まれたアンテナ部側ケーブル31を当該回動部本体70よりも上方に引き出すためのケーブル挿通孔81を有している。
【0048】
図9に示されるように、ケーブル挿通孔81は、外側環状部71と外嵌部80の間に位置する外筒端面当接部79に形成されており、回動部本体70の回動方向に長い弧状の長孔により構成されている。
【0049】
外側環状部71には、ケーブル挿通孔81の長さ方向の中間部分の上方に位置する保持部83が形成されている。保持部83は、外側環状部71の外周面から突出した一対の保持片84により構成されており、一対の保持片84の間に前記ケーブル挿通孔81から上方に引き出されたアンテナ部側ケーブル31を通すことでアンテナ部側ケーブル31の長さ方向の一部が保持される。
【0050】
回動部本体70の側方突出部73には取着孔74が形成されている。取着孔74には、図10及び図13のように、前記ケーブル挿通孔81及び保持部83を通したアンテナ部側ケーブル31の端部に設けられた接続具32が取付けられており、接続具32は保持部83よりも下方に位置している。すなわち、ケーブル挿通孔81から上方に引き出されたアンテナ部側ケーブル31は、保持部83で保持された後、保持部83よりも上方位置で下方に折り返される。
【0051】
接続具32は、アンテナ部側ケーブル31をテレビ側ケーブル33(図14参照)に電気的に接続するために用いられるものであって、回動部本体70の下面から下方に向かって突出している。
【0052】
前記ケーブル挿通孔81は回動部本体70の回動方向に沿って長い弧状の長孔となっている。このため、回動部本体70をアンテナ部2を設けた排水筒部10に対して回動し、これに追従してアンテナ部側ケーブル31が移動したとしても、ケーブル挿通孔81はその移動を許容するようになっている。
【0053】
また、上接続体5は、回動部7を回動方向の予め定められた複数の停止位置で停止させる停止手段を備えている。停止手段は、接続部6に設けられた引掛け部65及び下方付勢部66(図8参照)と、回動部本体70に設けられた被引掛け部72(図9参照)により構成されている。
【0054】
図8に示されるように、引掛け部65は接続部6の内側支持部64の外周面から突出しており、上方ほど先細り形状となった一対の三角状部650を有している。引掛け部65は、等間隔で内側支持部64の周方向の三箇所に形成され、すなわち約120°毎に設けられている。
【0055】
下方付勢部66は接続部6と同じ合成樹脂により形成されたものであり、各引掛け部65の上方に設けられている。各下方付勢部66は一端部側に行く程下方に位置するように内側支持部64の外周面に沿って配置された細長片660により構成されている。細長片660は前記一端部側と反対側の他端部のみが内側支持部64に接続されており、前記一端部側が押し上げられると弾性変形し、その復元力が下方に作用するようになっている。
【0056】
一方、回動部本体70の接続部6が回動可能に挿入される外側環状部71には、図9に示すように、外側環状部71の内周面から突出し、前記内側支持部64の引掛け部65に係止される被引掛け部72が形成されている。
【0057】
被引掛け部72は、下方ほど先細り形状となった逆三角形状の突起を外側環状部71の周方向に一定の間隔を介して複数有すると共に、外側環状部71の周方向に一直線状に形成されて各突起の上端を接続する直線状部721を有している。直線状部721は前記内側支持部64に形成された複数の下方付勢部66に、当接する又は対向位置に配置される。また、被引掛け部72には、外側環状部71を周方向に三等分する位置に、対応する下方付勢部66及び引掛け部65を上下方向に挿通させるための挿通路722が形成されている。
【0058】
回動部本体70を接続部6に装着するには、まず、回動部本体70の外側環状部71を、接続部6の内側支持部64に嵌め込む。このとき、外側環状部71の挿通路722に、内側支持部64の下方付勢部66及び引掛け部65を挿通させる。そして、この後、回動部本体70を接続部6の内側支持部64に対して回動して、被引掛け部72の突起を接続部6の対応する引掛け部65の一対の三角状部650に引っ掛ける。これにより、回動部本体70の内側支持部64に対する回動が規制される。
【0059】
また、回動部本体70を接続部6の内側支持部64に対して回動させるには、回動部本体70をやや持ち上げて、引掛け部65と被引掛け部72の係合状態を解除し、この状態で回動させる。
【0060】
回動部本体70を持ち上げると、被引掛け部72の直線状部721により内側支持部64の下方付勢部66が上方に押し上げられる。このため、回動部本体70を持ち上げた状態では、当該回動部本体70は、常に、下方付勢部66から下方に付勢力を受けた状態となる。従って、ユーザーが手を放すと、下方付勢部66により被引掛け部72の直線状部721が押し下げられ、引掛け部65と被引掛け部72が自動的に係合状態となる。また、これにより、前記引掛け部65と被引掛け部72の係合状態の維持がなされる。
【0061】
また、図9に示されるように、回動部本体70にはケーブル挿通孔81の周縁部から上方に突出する水返し片82が形成され、ケーブル挿通孔81から排水筒部10と外筒部12の間に雨水が侵入することが防止されている。また、回動部本体70には、取着孔74の周囲から上方に突出する筒状の立ち上がり片75が形成され、立ち上がり片75により取着孔74内に雨水が浸入することが防止されている。
【0062】
また、側方突出部73には上下に貫通する複数の水抜き穴76が形成され、上接続体5内に入り込んだ側方突出部73上の雨水を水抜き穴76から外部に排出できるようになっている。さらに、側方突出部73の下面には、取着孔74と水抜き穴76の間から下方に突出する垂下片77が形成されている。この垂下片77は、取着孔74を全周に亘って囲むように設けられている。この垂下片77により、水抜き穴76から流下した雨水が側方突出部73の下面を伝ったとしても、この雨水が接続具32に至ることを防止できる。
【0063】
なお、水抜き穴76の排水性を良くするために、側方突出部73の水抜き穴76の外周部の全周にわたって下方向に向けて水切り用のリブを突出させることが好ましい。この場合、側方突出部73の下方からの雨水が当該リブによって水切りされて、雨水が水抜き穴76から側方突出部73の上面側へ流入しにくい構造とすることができる。
【0064】
カバー体85は、回動部本体70の上方及び側方を覆い、アンテナ部側ケーブル31や
接続具32への浸水、排水筒部10と外筒部12との間への浸水を防ぐ。
【0065】
カバー体85は、図7に示されるように、上面部850と、上面部の外周縁から下方に突出して外周面を構成する側面部851を有している。
【0066】
上面部850には上下に貫通する上接続口86が形成され、上接続口86の周縁部は下方に突出して接続部6の内側支持部64の上端部内側に回動自在に嵌め込まれている。カバー体85の側面部851の内面には、回動部本体70に対して上方に移動不能に係止される係止爪88が形成されている(図1参照)。
【0067】
カバー体85は、回動部本体70に装着されると、図7に示されるように、上面部850の下面が接続部6の上端面に当接し、上接続口86が接続部6内に連通する。
【0068】
上接続口86には竪樋などの上側の他の筒状樋111が挿通されるが、この状態では上接続口86の周縁が当該筒状樋111の外面に対して隙間を介して離間し、当該筒状樋111が遊びを持って差し込まれる。このため、カバー体85の上面部850上の水を、前記上接続口86と筒状樋111との間の隙間を介して、排水筒部10の排水流路11に流せるようになっている。なお、この雨水は下接続体9の下接続口91を介して、下側の他の筒状樋115に排水される。
【0069】
また、カバー体85の上面部850には、外周の全長に亘って上方に向けて突出した水返し用凸条87が形成されており、この水返し用凸条87により、上面部850上の汚れた雨水が側面部851側に流れることが防止されている。
【0070】
下接続体9は、図11に示されるように、平面視円環状に形成されており、中央部分に上下方向に貫通し且つ筒状樋115よりも小径に形成された下接続口91が形成されている。
【0071】
下接続体9は、排水筒部10の下端部が接続される排水筒部接続部92と、外筒部12の下端部が接続される外筒部接続部95を有している。
【0072】
排水筒部接続部92は、排水筒部10の内側に嵌め込まれる円筒状の内側突条部93と、内側突条部93の下端部から径外方向に向けて突出した奥面部94とを備えている。排水筒部接続部92に排水筒部10を接続するには、図3のように内側突条部93の内側に排水筒部10を嵌め込み、排水筒部10の下端面を奥面部94の上面に当接する。この排水筒部接続部92は、排水筒部10の下端部に接着剤により固定される。
【0073】
図11に示すように、外筒部接続部95は、内側突条部93と同心円状に設けられた外側突条部96と、外側突条部96の下端部から径外方向に向けて突出した位置決め段部97を有している。外筒部接続部95に外筒部12を接続するには、図3のように、外側突条部96の外側に外筒部12の下端部を嵌め込み、外筒部12の下端面を位置決め段部97に当接する。
【0074】
図11のように、下接続体9には、外側突条部96から内側突条部93に向けて突出し、アンテナ部2の周方向の両端間に嵌め込まれる一対のリブ部98が形成されている。また、下接続体9の奥面部94には、上下方向に貫通する水抜き用の貫通孔99が複数箇所に形成されている。
【0075】
下接続体9は、筒状樋115として、断面角形状の筒状樋、又は断面円形状の筒状樋のいずれかが選択的に接続可能な下接続部100(図12参照)を有している。
【0076】
図12のように、下接続部100は奥面部94よりも下方側に位置し、内部が下接続口91に連通する内嵌筒部102と、この外側に位置する外嵌筒部104により構成されている。内嵌筒部102には径外方向に膨出する凸状膨出部101が周方向に一定のピッチで形成されており、外嵌筒部104は内嵌筒部102の凸状膨出部101の径外方向に位置し且つ径内方向に屈曲した凹没部103を有している。
【0077】
内嵌筒部102と外嵌筒部104の間には、筒状樋115の側壁部が嵌め込んで保持されるようになっている。筒状樋115が断面円形状である場合は、凸状膨出部101と凹没部103との間に他の筒状樋115の側壁部が摺動自在に嵌まり込み、これにより筒状樋115は下接続体9に対して回動自在となる。また、筒状樋115が断面角形状である場合は、筒状樋115の側壁部の周方向の移動が凸状膨出部101や凹没部103によって規制され、これにより筒状樋115は周方向の向きを所定角度毎に変更して下接続体9に接続できるようになっている。
【0078】
以上の構成のアンテナ付き竪樋はユニット化された樋部品であって、例えば図14に示されるように、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部として設置される。
【0079】
図14においては、軒樋に設けた集水器112に連通したエルボ113の下端部に、外壁に沿う竪樋が接続されている。この竪樋は、一部が分断されており、上側の短管からなる筒状樋111と、下側の長管からなる筒状樋115とから構成されている。
【0080】
アンテナ付き竪樋は、上接続口86が上側の筒状樋111の下端部に連通接続され、下接続口91が下側の筒状樋115の上端部に連通接続される。各筒状樋111,115は、控え具114により外壁に固定されており、アンテナ付き竪樋も非導電性樹脂により形成された控え具110により外壁に固定されている。このように、設置された後のアンテナ付き竪樋は、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部となっている。
【0081】
なお、アンテナ付き竪樋は、アンテナ樋本体1に接続体13が設けられているため、建物の壁面に沿って新たに竪樋を配設する場合はもちろんのこと、既に設置された竪樋に対しても、簡単にアンテナ付き竪樋を設置することができる。
【0082】
アンテナ付き竪樋を設置するに当たっては、アンテナ付き竪樋を指向性を有するアンテナ部2のスロット21が放送電波を最も強く受信できる向きとなるよう配置し、このアンテナ付き竪樋の外筒部12を控え具110により外壁に固定する。このとき、回動部7は任意の角度位置に配置されており、建物壁面から突出して目立った状態となっている場合がある。また、回動部7に設けられた接続具32が外壁から離れた位置に配置されている場合がある。これらの場合、前述したように回動部7を外壁側に回動させることで、カバー体85の側面部851を壁面に沿った状態となるまで回動させることができる。
【0083】
上記アンテナ付き竪樋は、雨水を流すための排水筒部10と、アンテナとを兼用することができるので、屋根上に専用のアンテナを設置する必要がなくて、外観を向上させることができる。しかも、屋根上に専用のアンテナを設置する場合、屋根に沿ってケーブルを配設する必要があるが、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、竪樋から直ぐに建物内にケーブルを配設することができる。これにより、ケーブルの配設距離を極力短くでき、より一層外観を向上させることができる。
【0084】
また、アンテナ付き竪樋の設置後、回動部7に設けられた接続具32が、テレビ側ケーブル33が導入される軒天井や軒天井のすぐ下の外壁の上端部から離れた位置に配置されている場合がある。しかし、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、給電路3の端部にテレビ側ケーブル33を接続可能な接続具32が設けられ、接続具32が排水筒部10の周方向に回動可能な回動部7に設けられている。このため、回動部7を排水筒部10の周方向に回動して、接続具32を前記家屋においてテレビ側ケーブル33が導入される箇所に近づけることができる。よって、テレビ側ケーブル33を軒天井あるいは軒天井のすぐ下の外壁の上端部を通して家屋に導入するにあたって、テレビ側ケーブル33のアンテナ付き竪樋から屋内に導入する箇所までの架け渡し長さを短くすることができる。従って、テレビ側ケーブル33の納まりを良くして外観を向上でき、また、テレビ側ケーブル33を前記軒天井等から屋内に容易に導入することができる。
【0085】
また、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、停止手段により、回動部7を回動方向の予め定められた複数の停止位置で停止させることができる。このため、前記家屋においてテレビ側ケーブル33が導入される箇所に近づけた接続具32の位置を固定し、当該接続具32に接続されたテレビ側ケーブル33が移動することを防止できる。
【0086】
また、アンテナ樋本体1の端部に排水筒部10と筒状樋111を接続する上接続体5が設けられ、前記回動部7が上接続体5に回動可能に設けられている。上接続体5に回動可能に設けられた回動部7を利用して、接続具32を家屋においてテレビ側ケーブル33が導入される箇所に近づけることができる。
【0087】
また、接続具32が設けられた上接続体5はアンテナ樋本体1の上端部に位置するので、接続具32を軒天井や軒天井のすぐ下の外壁の上端部により近い位置に配置でき、接続具32を家屋においてテレビ側ケーブル33が導入される箇所により一層近づけることができる。
【0088】
また、回動部7は回動部7に至った給電路3を覆うカバー体85を有しているので、給電路3を雨水から保護することができる。
【0089】
また、本実施形態では、回動部7に、アンテナ部側ケーブル31を上下方向に挿通するためのケーブル挿通孔81と、ケーブル挿通孔81を通過したアンテナ部側ケーブル81を保持する保持部83が設けられている。そして、ケーブル挿通孔81は回動部7の回動方向に長い長孔で構成されている。この構成により、回動部7を排水筒部10の周方向に回動し、これに追従してアンテナ部側ケーブル31が移動したとしても、ケーブル挿通孔81はその移動を許容することができる。従って、回動部7が回動しても、アンテナ部側ケーブル31に力が加わり難い。
【0090】
また、本実施形態のアンテナ部2は、アンテナ樋本体1の軸方向に沿ったスロット21を有するスロットアンテナであるので、排水筒部10の周囲にアンテナ部2を設けることができ、アンテナ樋本体1をコンパクトにできる。
【0091】
なお、本実施形態では、接続具32が設けられる回動部7を上接続体5に設けたが、下接続体9に設けてもよいし、アンテナ樋本体1に設けてもよい。また、本実施形態では、回動部7を回動方向の予め定められた複数の停止位置で停止する停止手段を備えているが、この停止手段は回動部7を回動方向の任意の位置で停止させるものであっても構わない。また、外筒部12は省略してもよい。また、アンテナ部2は排水筒部10の外面に設けたが、排水筒部10の厚み方向の内部や外筒部12の内面等に設けてもよく、アンテナ部2は排水筒部10の周囲に設けてあればよい。また、アンテナ部2は断面略C字状に限定されるものではなく、また、アンテナ部2をスロットアンテナ以外のアンテナで構成しても構わない。
【0092】
また、本実施形態では、接続具32を上接続体5に取付けたが、接続具32は上接続体5に固定されず、例えば上接続体5に収納されるものであってもよい。また、図15及び図16に示されるように、上接続体5にアンテナ部側ケーブル31を引き出すための引出部67を設けてもよい。図15及び図16の例では、回動部本体70の側方突出部73に、前記取着孔74に代えて上下に貫通するケーブル引出孔68が形成されており、このケーブル引出孔68で引出部67が構成されている。ケーブル引出孔68には、保持部83よりも上方位置で下方に折り返されたアンテナ部側ケーブル31が上方から通されている。これによりアンテナ部側ケーブル31に設けられた接続具32が上接続体5の外部に配置され、この接続具32にテレビ側ケーブル33を接続して、給電部24に給電が行えるようになっている。
【0093】
このように、上接続体5にアンテナ部側ケーブル31を引き出すための引出部67を設けた場合にも、テレビ側ケーブル33に接続される接続具32を高い位置に配置して軒天井に近づけることができ、テレビ側ケーブル33のアンテナ付き竪樋から屋内に導入する箇所までの架け渡し長さを短くすることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 アンテナ樋本体
2 アンテナ部
3 給電路
5 上接続体
7 回動部
10 排水筒部
13 接続体
31 アンテナ部側ケーブル
32 接続具
33 テレビ側ケーブル
67 引出部
81 ケーブル挿通孔
83 保持部
85 カバー体
111 筒状樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を流すための排水筒部及びアンテナ部を有するアンテナ樋本体と、前記排水筒部の周方向に回動可能となる回動部を備え、前記アンテナ部が有する給電部に給電路が接続され、この給電路の端部にテレビ側ケーブルを接続可能な接続具が設けられ、この接続具が前記回動部に設けられたことを特徴とするアンテナ付き竪樋。
【請求項2】
雨水を流すための排水筒部及びアンテナ部を有するアンテナ樋本体と、前記排水筒部の周方向に回動可能となる回動部を備え、前記アンテナ部が有する給電部に給電路が接続され、この給電路が前記回動部に至り、前記回動部に前記給電路を引き出すための引出部が設けられたことを特徴とするアンテナ付き竪樋。
【請求項3】
前記回動部を回動方向の予め定められた複数の停止位置又は任意の位置で停止させる停止手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のアンテナ付き竪樋。
【請求項4】
前記アンテナ樋本体の端部に前記排水筒部と他の筒状樋を接続する接続体が設けられ、前記回動部が前記接続体に回動可能に設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンテナ付き竪樋。
【請求項5】
前記回動部は、前記回動部に至った給電路を覆うカバー体を有することを特徴とする請求項4に記載のアンテナ付き竪樋。
【請求項6】
前記給電部に前記給電路となるアンテナ部側ケーブルを接続し、前記回動部に、前記アンテナ部側ケーブルを上下方向に挿通するためのケーブル挿通孔と、ケーブル挿通孔を通過したアンテナ部側ケーブルを保持する保持部が設けられ、前記ケーブル挿通孔を前記回動部の回動方向に長い長孔としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアンテナ付き竪樋。
【請求項7】
前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットを有するスロットアンテナであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアンテナ付き竪樋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−172391(P2012−172391A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35376(P2011−35376)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】