説明

アンテナ切り替え受信システム及びそれを備えた無線通信器

【課題】アンテナ切り替え受信システムにおいて、マルチパスが多い環境下においてもマルチパスフェージングによるレベル変動の影響を低減する。
【解決手段】複数のアンテナを所定の周期で切り替えながら(#1)、送信システムから送信される無線信号を受信する(#2)。受信した信号をダウンコンバート、復調し(#3、#4)、ビット同期が確立される(#5)。その後、ユニークワードが検出される(#6においてYES)とアンテナを固定して(#7)、その後のペイロードが受信される(#8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおいて、アンテナを切り替えて受信するアンテナ切り替え受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、マルチパスフェージングによるレベル劣化が課題のひとつとして挙げられる。受信アンテナが受信する信号は、送信アンテナから直接受信アンテナに入力される信号だけではなく、複数の異なる経路を経て入力される信号も存在する。そのため、各々異なる遅延時間を持った信号(マルチパス)も受信アンテナに入力されてしまうため、受信アンテナ端で信号同士が重なり合い、打ち消し合うなどして受信レベルが劣化してしまう。これがマルチパスフェージングによるレベル劣化と称される現象である。
【0003】
このマルチパスフェージングによるレベル劣化の影響を回避するための代表的な方策として、OFDMなどのマルチキャリア伝送技術がある。これは伝送する情報を複数のキャリア(サブキャリア)に分けて広い周波数帯域で伝送するため、マルチパスフェージングによるレベル劣化の影響を低減できるという技術である。しかしながら、OFDM伝送ではフーリエ逆変換及びフーリエ変換により周波数軸と時間軸を変換して処理する複雑な構成が必要となり回路規模が増大してしまうため、低コスト化を図るのが困難であるという欠点があった。
【0004】
また、複数のアンテナを切り替える「切り替えダイバーシチ」、「選択ダイバーシチ」や各アンテナでの受信信号を合成する「合成ダイバーシチ」による対策がある。これらはマルチパスフェージングによる影響は受信器の場所や電波の偏波面などによって異なることを利用した方策である。「選択ダイバーシチ」は、複数のアンテナでの受信レベルを監視しておき、最適なアンテナで信号を受信する技術であるが、アンテナの個数分の受信器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。また、「合成ダイバーシチ」は複数のアンテナで受信した信号の位相を揃えて合成する技術であるが、こちらもアンテナの個数分の受信器及び各信号の位相を合わせる移相器が必要となるため回路規模が大きくなるという欠点があった。
【0005】
「切り替えダイバーシチ」は一方のアンテナでマルチパスフェージングの影響がある場合は、もう一方のアンテナに切り替えることによりマルチパスフェージングの影響を低減するという技術である(例えば、特許文献1参照)。近年、携帯用無線機器の普及により、アンテナ切り替え部も小型化や低コスト化が要求されており、1つの受信機で構成できるため、開発が容易で回路規模が小さく低コスト化が図れる「切り替えダイバーシチ」が様々な無線器に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−303218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、「切り替えダイバーシチ」においては、切り替え先のアンテナでの受信レベルはアンテナを切り替えるまで分からない。そのため、もし切り替え先のアンテナでの受信レベルがさらに低かった場合には、より劣悪な条件で信号を受信しなければならないという欠点がある。
【0008】
さらに無線LANでは、複数のパケット(フレーム:プリアンブル、ユニークワード、ペイロードを構成する信号の一塊)を受信し、エラーが複数のパケットに亘って検出された際にアンテナを切り替えるシステム、つまりエラーが発生した後のアンテナ切り替えを基本としている。発生したエラーに対しては再度同じパケットを送信器に送ってもらうことにより対応している(再送機能)。しかしながら、マルチパスフェージングにより通信環境が劣悪な状況では再送回数が増え、複数の機器と通信し、次々に新しいペイロード信号を受信する必要がある機器には不向きとなる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、簡素な構成で、マルチパスが多い環境下においても正確に信号品質の高いアンテナを選択することにより、マルチパスフェージングによるレベル変動の影響を低減できるアンテナ切り替え受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明のアンテナ切り替え受信システムは、複数のアンテナを切り替えて無線信号を受信するアンテナ切り替え受信システムにおいて、所定周期でアンテナを切り替えながら受信した無線信号からユニークワードを検索し、該ユニークワードを検出するとそれを受信したアンテナに固定してその後のペイロードを受信することを特徴とする。
【0011】
この発明において、アンテナの切り替えを制御するアンテナ制御部と、既知のユニークワードのビット列を予め設定し記憶するユニークワード設定部と、アンテナを切り替えながら受信した無線信号のビット列を検索して、前記ユニークワード設定部によって記憶されているユニークワードと同一のビット列を検出するユニークワード検出部とを備え、前記アンテナ制御部は、前記ユニークワード検出部による前記ユニークワードの検出結果に応じて、ペイロードを受信するアンテナを選択することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記ユニークワードのビット列とアンテナを切り替えながら受信した前記無線信号のビット列との一致度に関する閾値を設定する閾値設定部をさらに備え、前記ユニークワード検出部は、前記ユニークワード設定部によって記憶されているユニークワードのビット列とアンテナを切り替えながら受信した前記無線信号のビット列とを比較して、前記閾値設定部によって設定された閾値以上のビット数が一致したとき、前記ユニークワードを検出したと判断することが好ましい。
【0013】
この発明において、対応する送信システムからは、相異なるビット列から成る複数のユニークワードが特定の順序でペイロードの前に送信され、前記送信システムから送信される複数のユニークワードと同一の複数のユニークワードが、前記ユニークワード設定部によって予め設定され記憶されており、前記ユニークワード検出部は、前記複数のユニークワードを個別に検出する複数ユニークワード検出部であり、前記複数ユニークワード検出部が、複数のユニークワードのうち最後のユニークワードを検出したとき、前記アンテナ制御部は、該最後のユニークワードを受信したアンテナに固定して、その後のペイロードを受信することが好ましい。
【0014】
この発明において、パケットの終端を検出するパケットエンド検出部をさらに備え、前記パケットエンド検出部がパケットの終端を検出すると、前記アンテナ制御部は、アンテナを所定周期で切り替える制御に自動的に復帰して、次のパケットを受信することが好ましい。
【0015】
この発明において、特定のユニークワードを検出した後、第1所定時間をカウントする第1カウンタをさらに備え、前記第1カウンタが第1所定時間をカウントするまでは、ユニークワードの検出を行わないことが好ましい。
【0016】
この発明において、受信した無線信号のレベルを検出する受信レベル検出部をさらに備え、前記受信レベル検出部が所定の第1閾値以上の信号レベルを検出した後、前記ユニークワード検出部が、ユニークワードの検索を開始することが好ましい。
【0017】
この発明において、ペイロードを受信する際に前記アンテナ制御部によって選択されたアンテナの情報を記憶する選択アンテナ記憶部と、前記選択アンテナ記憶部に記憶されている情報から、いずれかのアンテナが所定回数連続して前記アンテナ制御部によって選択されている場合、ユーザにその旨を通知する通知部とをさらに備えたことが好ましい。
【0018】
この発明において、搭載されるアンテナ数の2倍の数のプリアンブル及びユニークワードが送信され、各アンテナはプリアンブル及びユニークワードの送信周期の2倍の周期で切り替えられることが好ましい。
【0019】
この発明において、受信した無線信号のレベルを検出し、ユーザに通知する受信レベル通知部と、ユーザがアンテナ切り替え機能の有効/無効を設定するための切り替え機能設定部とをさらに備えることが好ましい。
【0020】
この発明において、受信した無線信号のレベルを検出する受信レベル検出部と、前記受信レベル検出部が所定の第2閾値以上の信号レベルを検出したとき、アンテナ切り替え機能を無効にする切り替え機能制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0021】
この発明において、前記切り替え機能設定部又は切り替え機能制御部がアンテナ切り替え機能を無効にしたとき、対応する送信システムに対してその旨を通知することが好ましい。
【0022】
この発明において、アンテナ切り替え機能が無効である状態において、第2所定時間連続してユニークワードを検出できない場合、前記切り替え機能設定部又は切り替え機能制御部はアンテナ切り替え機能を有効にすることが好ましい。
【0023】
この発明において、ペイロードの受信に成功したとき、対応する送信システムに対してその旨のACKを送信することが好ましい。
【0024】
この発明において、アンテナ切り替え機能が無効である状態においても、定期的にアンテナ切り替え機能を有効にすることが好ましい。
【0025】
この発明において、上記アンテナ切り替え受信システムと、無線信号を送信する送信部をさらに備え、ペイロードを受信した後、前記送信部が無線信号を送信するとき、前記アンテナ制御部はペイロードの受信の際に選択されたアンテナを用いる無線通信器が好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のアンテナ切り替え受信システムによれば、所定周期でアンテナを切り替えてユニークワードを検索し、ユニークワードを検出するとそれを受信したアンテナに固定してその後のペイロードを受信する。このため、マルチパスの多発する環境下においても、非同期で次々に新しいパケットを受信する信号に対して、各パケットのペイロード受信前にアンテナ選択を完了できる。これにより、マルチパスフェージングに起因して受信レベルが劣化することによる受信エラーの発生を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示すフローチャート。
【図3】同実施形態において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナとの関係を示す図。
【図4】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示すブロック図。
【図5】上記変形例の動作を示すフローチャート。
【図6】上記実施形態によるアンテナ切り替えシステムの別の変形例の構成を示すブロック図。
【図7】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図8】同変形例において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナとの関係の一例を示す図。
【図9】同変形例において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係の別の例を示す図。
【図10】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図11】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図12】同変形例において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す図。
【図13】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図14】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図15】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図16】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図17】同変形例の第2カウンタを有さない構成において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す図。
【図18】同変形例の第2カウンタを有する構成において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す図。
【図19】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図20】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図21】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図22】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図23】定期通信において、本変形例によって受信されるパケットと第3所定時間の関係を示す図。
【図24】非定期通信において、本変形例によって受信されるパケットと第3所定時間の関係を示す図。
【図25】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図26】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図27】本変形例によって受信されるパケットと受信システムの動作モード等の関係を示す図。
【図28】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図29】本変形例によって受信されるパケットと、そのパケットを受信する際に選択されていたアンテナの関係を示す図。
【図30】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図31】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図32】同変形例によってアンテナ切り替え機能を有効にしたときと無効にしたときの対応する送信システムから送信されるパケットの構成を示す図。
【図33】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示すブロック図。
【図34】同変形例の動作を示すフローチャート。
【図35】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例において、対応する送信システムから送信され、受信システムによって受信されるパケットの例。
【図36】上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例において、対応する送信システムから送信され、受信システムによって受信されるパケットの例。
【図37】本発明のアンテナ切り替え受信システムを適用して構築された無線通信システムの概略を示す図。
【図38】無線通信システムにおいて、アンテナ切り替え受信システムが実装される無線器によって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信及び送信される信号との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態によるアンテナ切り替え受信システムについて図面を参照して説明する。アンテナ切り替え受信システムは、例えば無線通信機能を有する配電盤等に内蔵される。この種の配電盤は、管理者によって操作されるモニタ装置から無線送信された指令を受信して、消費電力等の情報を無線送信する。配電盤から送信された消費電力等の情報を受信したモニタ装置は、配電盤によって電力が分配される領域の現在又は積算の消費電力を表示する。モニタ装置は、環境等に応じて適宜に設置・移動できるように、配電盤とモニタ装置とは、無線通信機能が付与されている。
【0029】
本実施形態において、モニタ装置には単一のアンテナが備えられ、配電盤には複数のアンテナが備えられる。配電盤は、アンテナ切り替え受信システムによって周囲環境に適したアンテナを選択・切り替えながら、モニタ装置との間で安定した無線通信を行う。
【0030】
図1は、アンテナ切り替え受信システムの構成を示す。アンテナ切り替え受信システムは、受信器01と複数のアンテナ02等によって構成されている。受信器01は、アンテナ切替部03と、RF部04と、ベースバンド部05等によって構成されている。
【0031】
アンテナ切替部03は、アンテナ02を構成する2つのアンテナA,Bのうち、無線信号を受信するアンテナを切り替える。RF部04は、アンテナA又はBを用いて受信した無線信号をダウンコンバートし、ベースバンド信号を抽出する。ベースバンド部05は、RF部04によって抽出されたベースバンド信号を処理する。
【0032】
ベースバンド部05は、復調部06と、同期確立部07と、ユニークワード設定部08と、ユニークワード検出部09と、アンテナ制御部10等によって構成されている。復調部06は、RF部04によって抽出されたベースバンド信号を復調する。同期確立部07は、復調されたベースバンド信号のビット同期を確立する。
【0033】
ユニークワード設定部08は、既知のユニークワードのビット列を予め設定し記憶する。既知のユニークワードは、対応する送信システムとの間で共有され、このユニークワードが付与されたパケットが送信システムから送信される。ユニークワード検出部09は、復調されたベースバンド信号を検索し、ユニークワードのビット列を検出する。アンテナ制御部10は、アンテナ切り替えの制御を行う。すなわち、アンテナ制御部10は、ユニークワード検出部09によるユニークワードのビット列の検出結果に基づいて、アンテナの切り替え要否を判断し、アンテナ切替部03に対してアンテナの切り替えのための制御信号を出力する。なお、本実施形態は、アンテナ切替部03によって2つアンテナを切り替えて無線信号を受信する構成であるが、アンテナの個数は3つ以上であってもよい。
【0034】
図2は、アンテナ切り替え受信システムの動作を示す。また、図3は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナとの関係を示す。1つのパケットは、複数対のプリアンブル及びユニークワードとその後に続けて送信されるペイロード等によって構成される。
【0035】
アンテナ切り替え受信システムは、アンテナA,Bを所定の周期で切り替えながら(#1)、送信システムから送信される無線信号を受信する(#2)。受信した信号はRF部04によってダウンコンバートされ(#3)、ベースバンド部05の復調部06によって復調され(#4)、同期確立部07によってビット同期が確立され(#5)、ユニークワード検出部09によってユニークワードが検出される(#6)。
【0036】
このとき、いずれのタイミングでアンテナA,Bが切り替えられてもプリアンブル及びユニークワードを受信できるように、各アンテナに対して2回ずつ、プリアンブルとユニークワードが送信される。本実施形態においては、2つのアンテナが使用されるので、図3に示すように、プリアンブルとユニークワードが4回ずつ送信される。このように、アンテナ切り替え受信システムに搭載されるアンテナ数の2倍のプリアンブル及びユニークワードが送信され、また、各アンテナはプリアンブル及びユニークワードの送信周期の2倍の周期で切り替えられる。
【0037】
図3においては、1度目に送信されたプリアンブルは、その受信中にアンテナが切り替えられて受信できず、2度目に送信されたプリアンブル又はユニークワードは、アンテナBがマルチパスフェージングの影響を受けたことにより受信できない場合が示されている。この場合は、ビット同期を確立できないので、ユニークワードが検出できない(#6においてNOのループを繰り返す)。そして、3度目に送信されたプリアンブルは、その受信中にアンテナが切り替えられて受信できず、4度目に送信されたプリアンブルがアンテナAによって受信され、ビット同期が確立されてユニークワードが検出される。この場合は、#6においてNOのループを経た後、次のループで#6においてYESを経て、アンテナをAに固定して(#7)、その後のペイロードが受信される(#8)。仮に、最初に送信されたユニークワードを検出した場合は、アンテナを固定したまま他のユニークワードを検出した後、ペイロードを受信する。
【0038】
本アンテナ切り替え受信システムによれば、所定周期でアンテナを切り替えてユニークワードを検索し、ユニークワードを検出するとそれを受信したアンテナに固定してその後のペイロードを受信する。このため、マルチパスの多発する環境下においても、非同期で次々に新しいパケットを受信する信号に対して、各パケットのペイロード受信前にアンテナ選択を完了できる。これにより、マルチパスフェージングに起因して受信レベルが劣化することによる受信エラーの発生を回避することが可能となる。
【0039】
(変形例)
図4は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、閾値設定部11をさらに備える。閾値設定部11は、ユニークワードのビット列とアンテナA,Bを切り替えながら受信した無線信号のビット列との一致度に関する閾値を設定する。
【0040】
例えば、ユニークワードが32ビットのビット列で構成される場合、ユニークワードの受信中における通信環境の瞬間的な変動等により、ユニークワードのビット列と受信した無線信号のビット列とが数ビット分一致しない場合がある。このような場合であっても、ペイロードを受信する前に通信環境が回復すれば、問題なくペイロードを受信することができる。そこで、本変形例において、例えば、ユニークワードのビット列に対する受信した無線信号のビット列の誤りが2ビットまで許容される場合、閾値を30ビットと設定する。これにより、ユニークワードのビット列と受信した無線信号のビット列とが30ビット以上一致すれば、ユニークワード検出部09は、ユニークワードを検出したと判断する。このように、閾値は、ユニークワードのビット列に対する受信した無線信号のビット列の誤り数の許容限界値に応じて設定される。より具体的には、ユニークワードのビット数から許容限界値のビット数を減じた値が閾値として設定される。
【0041】
図5は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。同期確立部07によってビット同期が確立された後(#5)、ユニークワード検出部09は、ユニークワード設定部08によって記憶されているユニークワードのビット列と受信した無線信号のビット列とを比較する。このとき、閾値設定部11によって設定された閾値以上のビット数が一致したとき(#9においてYES)、ユニークワード検出部09は、ユニークワードを検出したと判断し、#7に移行する。一方、閾値設定部11によって設定された閾値以上のビット数が一致しないとき(#9においてNO)、#2に戻る。
【0042】
本変形例によれば、ユニークワードのビット列と受信した無線信号のビット列とが閾値以上一致すれば、ユニークワード検出部09は、ユニークワードを検出したと判断する。これにより、ユニークワードの受信中における通信環境の瞬間的な変動等が発生し、その後、ペイロードを受信する前に通信環境が回復する場合に、問題なく受信したペイロードのパケットを看過することを回避できる。
【0043】
(変形例)
図6は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの別の変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムにおけるユニークワード検出部09の一形態として、複数ユニークワード検出部12を適用している。また、この変形例においては、各アンテナ毎に受信した無線信号の品質を検出し比較する信号品質比較部13をさらに備える。
【0044】
図7は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。また、図8は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナとの関係の一例を示す。また、図9は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係の別の例を示す。
【0045】
本変形例においては、対応する送信システムから、相異なるビット列から成る複数のユニークワードが特定の順序でペイロードの前に送信される。そして、対応する送信システムから送信される複数のユニークワードと同一の複数のユニークワードが、ユニークワード設定部08によって予め設定され記憶されている。すなわち、図9において、それぞれのユニークワード(UW1〜UW4)は、相異なるビット列によって構成される。なお、図8に示す場合は、ユニークワードUW1〜UW3は同一でユニークワードUW4のみ異なるものであってもよい。複数ユニークワード検出部12は、複数のユニークワードUW1〜UW4を個別に検出する。そして、複数ユニークワード検出部12が検出したユニークワード毎に異なるアンテナ選択動作が割り当てられる。
【0046】
図7において、同期確立部07によってビット同期が確立された後(#5)、複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW1〜UW3のうちいずれか1つが検出されると、予め設定されている動作を実施する(#13〜#32)。この動作に関しては、後述する。
【0047】
一方、複数ユニークワード検出部12が最後のユニークワードであるユニークワードUW4を検出すると(#13,#22,#31においてNO、#12においてYES)、アンテナを固定したまま、その後のペイロードを受信する(#8)。図8においては、アンテナAによってユニークワードUW4が受信され、アンテナAによってペイロードが受信される場合を示している。一方、複数ユニークワード検出部12が最後のユニークワードであるユニークワードUW4を検出しなかった場合は(#12においてNO)、#2に戻る。このように、図8においては、ペイロードの頭出しのために最後のユニークワードUW4を検出したことを認識できればいいので、ユニークワードUW1〜UW3は同一でユニークワードUW4のみ異なるものであってもよい。
【0048】
以下、#13〜#32の動作について説明する。複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW1が検索され検出されると(#13においてYES)、信号品質比較部13が受信した無線信号の品質を検出する(#14)。すなわち、ユニークワードUW1の信号品質が検出される。そして、アンテナを切り替えた後(#15)、複数ユニークワード検出部12がユニークワードUW2を検索し(#16)、ユニークワードUW2が検出されると(#17においてYES)、信号品質比較部13がユニークワードUW2の品質を検出する(#18)。さらに信号品質比較部13は、ユニークワードUW1とユニークワードUW2の信号品質を比較して、ペイロードを受信するアンテナを選択する。この場合の一例として、図9にはアンテナAによって受信されたユニークワードUW1が、アンテナBによって受信されたユニークワードUW2よりも信号品質に優れ、再度アンテナを切り替えてアンテナAによってペイロードを受信する動作が示されている。
【0049】
アンテナ切り替え後、すなわちユニークワードUW2の信号品質がよければ(#19においてNO)、ユニークワードUW2を受信したアンテナに固定し(#20)、#12に移行する。一方、アンテナ切り替え前、すなわちユニークワードUW1の信号品質がよければ(#19においてYES)、ユニークワードUW1を受信したアンテナに切り替えて(#21)、#12に移行する。なお、#12においてユニークワードUW4を受信するのは、ペイロードの頭出しのためである。
【0050】
複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW1が検出されない場合は(#13においてNO)、以下の動作を行う。複数ユニークワード検出部12によって次のユニークワードUW2が検索され検出されると(#22においてYES)、信号品質比較部13が受信した無線信号の品質を検出する(#23)。すなわち、ユニークワードUW2の信号品質が検出される。そして、アンテナを切り替えた後(#24)、複数ユニークワード検出部12がユニークワードUW3を検索し(#25)、ユニークワードUW3が検出されると(#26においてYES)、信号品質比較部13がユニークワードUW3の品質を検出する(#27)。さらに信号品質比較部13は、ユニークワードUW2とユニークワードUW3の信号品質を比較して、ペイロードを受信するアンテナを選択する。
【0051】
アンテナ切り替え後、すなわちユニークワードUW3の信号品質がよければ(#28においてNO)、ユニークワードUW3を受信したアンテナに固定し(#29)、#12に移行する。一方、アンテナ切り替え前、すなわちユニークワードUW2の信号品質がよければ(#28においてYES)、ユニークワードUW2を受信したアンテナに切り替えて(#30)、#12に移行する。
【0052】
複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW2が検出されない場合は(#22においてNO)、以下の動作を行う。複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW3が検索され検出されると(#31においてYES)、ユニークワードUW3を受信したアンテナに固定し(#32)、#12に移行する。一方、複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW3が検出されない場合は(#31においてNO)、アンテナを固定せずに(つまり、周期的なアンテナ切替のまま)#12に移行する。このように、ユニークワードUW1を検出したとき、信号品 質比較部13は、ユニークワードUW1とユニークワードUW2の信号品質を比較し、ユニークワードUW2を検出したときは、ユニークワードUW2とユニークワードUW3の信号品質を比較する。一方、ユニークワードUW3又はUW4を検出したとき、もう一方のアンテナでユニークワードUW1,UW2が検出できなかったので、アンテナを切り替える意義がなくなるため、信号品質比較部13は、アンテナ毎のレベル比較を行わない。なお、#13、#22において、瞬間的なノイズ等の影響を受け、ユニークワードUW1、UW2を検出できない場合も考えられる。そこで、#31において複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW3が検出されると、アンテナを切り替えてユニークワードUW4を検出し、ユニークワードUW3とユニークワードUW4の信号品質を比較するように構成してもよい。また、#17において、ユニークワードUW2を検出できない場合は、ユニークワードUW3又はUW4を検出し、ユニークワードUW1とユニークワードUW3又はUW4の信号品質を比較するように構成してもよい。同様に、#26において、ユニークワードUW3を検出できない場合は、ユニークワードUW4を検出し、ユニークワードUW2とユニークワードUW4の信号品質を比較するように構成してもよい。
【0053】
本変形例においては、ユニークワード設定部に記憶されている複数のユニークワードと同一の複数のユニークワードが同一の順序でペイロードの前に送信され、複数ユニークワード検出部12は、複数のユニークワードUW1〜UW4を個別に検出する。これにより、検出したユニークワード毎に異なるアンテナ選択動作を割り当てることが可能となる。
【0054】
例えば、ペイロード直前の最後のユニークワードUW4を検出したとき、アンテナを切り替えることなくその後のペイロードを受信したりすることができる。また、信号品質比較部13が各アンテナによって受信された信号の品質を比較し、アンテナ制御部10が、より信号品質が高いと判断されるアンテナを選択してペイロードを受信する。これにより、常により品質の高い受信信号が得られるアンテナでペイロードを受信することが可能となる。なお、切り替えられるアンテナが3つ以上設けられている場合、信号品質比較部13は、各アンテナによって受信された信号の品質を比較し、最も信号品質が高いと判断されるアンテナを選択してペイロードを受信する。
【0055】
(変形例)
図10は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図6に示したシステムにおける信号品質比較部13の一形態として、受信レベル比較部14及びユニークワード誤り数比較部15を適用している。受信レベル比較部14は、各アンテナの受信レベルを検出し、比較する。アンテナの受信レベルは、例えばRSSI(Received Signal Strength Indication)を検出することによって取得できる。ユニークワード誤り数比較部15は、ユニークワード設定部に記憶されているユニークワードのビット列に対する各アンテナによって受信した無線信号のビット列の誤り数を比較する。上記誤り数は、複数ユニークワード検出部12がユニークワードを検出する際に計数される。
【0056】
図11は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。また、図12は、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す。
【0057】
図11において、同期確立部07によってビット同期が確立された後(#5)、複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW1又はUW2が検出されると(#33においてYES)、受信レベル比較部14はユニークワードを検出したアンテナの受信レベルを検出する。また、ユニークワード誤り数比較部15は、ユニークワードの誤り数を検出し、アンテナを切り替える(#41)。なお、ここで検出される誤り数は、#33においてユニークワードUW1又はUW2が検出されているので、段落「0039」に記載されている許容限界値以下となる。図12においては、アンテナAによってユニークワードUW1が受信され、ユニークワードUW1の誤り数及びアンテナAの受信レベルが検出され、アンテナBに切り替えられる。なお、複数ユニークワード検出部12が、ユニークワードUW1又はUW2を検出できなかった場合は(#33においてNO)、#2に戻る。
【0058】
ユニークワードUW1又はUW2が検出されると、ユニークワード誤り数比較部15は切り替えられたアンテナにおけるユニークワードの誤り数を検出し、受信レベル比較部14は切り替えられたアンテナの受信レベルを検出する。(#42)。図12においては、アンテナBによってユニークワードUW2が受信され、ユニークワードUW2の誤り数及びアンテナBの受信レベルが検出される。そして、#42において検出した誤り数は、ユニークワード誤り数比較部15によって所定の許容限界値と比較され、許容限界値以下であれば(#43においてYES)、受信レベル比較部14が受信レベルの比較を行う(#37)。この場合、#41及び#42において検出した誤り数は、共に許容限界値以下となる。
【0059】
そして、受信レベルの比較の結果、図12に示すように、アンテナ切り替え前、すなわちユニークワードUW1の受信レベルがよければ(#37においてYES)、ユニークワードUW1を受信したアンテナに切り替えて(#23)、#8に移行する。一方、アンテナ切り替え後、すなわちユニークワードUW2の受信レベルがよければ(#37においてNO)、ユニークワードUW2を受信したアンテナBに固定し(#22)、#8に移行する。
【0060】
なお、#33において、最初にユニークワードUW2が検出される場合には、アンテナの切り替え後(#41)、ユニークワードUW3の誤り数及び受信レベルが検出される(#42)。また、最初にユニークワードUW3又はUW4が検出される場合には、アンテナ切り替えは行わない(図11には未記載)。
【0061】
#41,#42において検出した誤り数を比較することにより、信号品質の高いアンテナを判断できる確率は、100%にはならないものの、実用上それほど問題ないレベルのある程度の高さで期待できる。例えば、アンテナAの受信レベルが十分に高く、アンテナBの受信レベルが許容限度の近傍であっても、アンテナAで受信したユニークワードのビット列の誤り数に対して、アンテナBで受信した同ビット列の誤り数が少ない場合が、確率上存在する。しかしながら、その確率が問題にならない程度に低い場合は、誤り数が異なる場合には、誤り数の少ないアンテナを選択し、誤り数が同じ場合にだけ、受信レベルを比較してアンテナを選択することもできる。
【0062】
本変形例においては、複数のアンテナによって受信した無線信号のレベルと、各アンテナによって受信した無線信号のビット列の誤り数の2つを比較し、最適なアンテナに固定してペイロードを受信する。これにより、例えば、一方のアンテナの受信レベルが十分に高く、他方のアンテナの受信レベルが許容限度の近傍であった場合であって、該他方のアンテナでユニークワードのビット列に誤りが発生しなかったときでも、受信レベルの比較により正しいアンテナ選択が可能となる。また、各アンテナによって受信した無線信号のビット列の誤り数が等しい場合であっても、受信レベルの比較により正しいアンテナ選択が可能となる。また、受信レベルの比較のみならず、ユニークワードのビット列の誤り数の検出結果も併用してアンテナ選択を行うので、通信相手以外の送信システムからの妨害波の影響を受けてアンテナ選択を誤ってしまうことを防止できる。
【0063】
(変形例)
図13は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図6に示したシステムにおける信号品質比較部13の一形態として、ユニークワード誤り数比較部15を適用している。また、この変形例においては、第1カウンタ17をさらに備える。第1カウンタ17は、プリアンブルを挟んでその両端のユニークワードの受信間隔に相当する第1所定時間(1つのパケット内であるユニークワードを検出した後、次のユニークワードの先頭を受信するまでの時間)をカウントする。
【0064】
図3、図8、図9等において、各プリアンブルを構成するビット列は同一であるため、そのビット数は同一となることから、各ユニークワードは、同一の時間間隔で、対応する送信システムから送信される。従って、あるユニークワードを検出した後、第1カウンタ17によってプリアンブルの送信時間に相当する時間、すなわちユニークワードの受信間隔に相当する第1所定時間をカウントすることより、次のユニークワードの頭出しをすることができる。
【0065】
図14は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。複数ユニークワード検出部12によってユニークワードUW1又はUW2が検出されると(#33においてYES)、ユニークワード誤り数比較部15は、ユニークワードの誤り数を検出し、アンテナを切り替える(#38)。そして、第1カウンタ17は、カウントを開始、継続して(#48、#49、#50においてNO)、プリアンブルの送信時間に相当する第1所定時間をカウントすると(#50においてYES)、次のユニークワードの受信を開始したものとみなす。これに伴い、複数ユニークワード検出部12はユニークワードを検出し、ユニークワード誤り数比較部15は、ユニークワードの誤り数を検出する(#51)。
【0066】
そして、アンテナ切り替え後の誤り数が少なければ(#40においてNO)、切り替え後のアンテナに固定し(#20)、#8に移行する。また、アンテナ切り替え前の誤り数が少なければ(#40においてYES)、アンテナを再び切り替えて(#21)、#8に移行する。
【0067】
本変形例においては、第1カウンタ17が、一方のアンテナでユニークワードを検出したタイミングから、他方のアンテナで比較用のユニークワードを検出するタイミングまでをカウントする。そして、ユニークワード誤り数比較部15は、そのタイミングから開始されるビット列を次のユニークワードのビット列とみなして、ユニークワードの誤り数を検出する。これにより、他方のアンテナの受信レベルが低いため又は、突発的に発生したノイズ等の影響を受けたことにより、次のプリアンブルでビット同期が確立できない、又はユニークワードがノイズと同等レベルであった場合であっても、他方のアンテナで受信した信号からユニークワードを検出し、その誤り数を検出できるようになる。
【0068】
(変形例)
図15は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムのさらに別の変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図6に示したシステムにおける信号品質比較部13の一形態として、ユニークワード誤り数比較部15を適用している。また、この変形例においては、第2カウンタ18をさらに備える。第2カウンタ18は、アンテナを切り替えた後、第2所定時間をカウントする。ここで、第2カウンタ18がカウントする第2所定時間は、少なくとも対応する送信システムがユニークワードを構成するビット列の送信に要する時間とされる。
【0069】
図16は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。また、図17は、本変形例の第2カウンタ18を有しない構成において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す。また、図18は、本変形例の第2カウンタ18を有する構成において、対応する送信システムから送信される信号と、アンテナ切り替え受信システムによって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信される信号との関係を示す。
【0070】
図17に示すように、受信しているアンテナがユニークワードUW1の残り数ビット(例えば1ビット)のタイミングT1で、受信状態の良好なアンテナAからフェージングの影響を受けているアンテナBに切り替わる場合を想定する。ここで、アンテナAはタイミングT1以前で受信状態が良好であり、ユニークワードUW1の誤り数が上述した許容限界値未満であったものとする。本来であれば、アンテナBはフェージングの影響を受けているため、ユニークワードUW1の残り数ビットが検出できないはずであるが、残り数ビットであればユニークワード設定部08に記憶されているユニークワードと偶然に一致する可能性がある。このとき、ユニークワード検出部09は、ユニークワードUW1の「末尾」を受信したアンテナBによって受信された信号からユニークワードUW1が検出されたと判断する。その後T2でアンテナAに切り替えられた後ユニークワードUW2が検出されることになるが、仮にこの過程で上記数ビット以上の誤りが生ずると、アンテナ制御部10は、ペイロードを受信するアンテナとして、アンテナBを誤って選択してしまう。ところが、アンテナBは上述の通りフェージングの影響を受けているため、ペイロードの受信にエラーが生ずる結果を招くことになる。
【0071】
上記不具合の発生は、ユニークワード検出部09が、あるユニークワードの「末尾」を受信したアンテナによって、そのユニークワードが受信されたと判断することにも起因している。しかしながら、ユニークワード検出部09が、あるユニークワードの「先頭」を受信したアンテナによって、そのユニークワードが受信されたと判断する構成であっても、アンテナの切り替えタイミングによっては、同様の不具合が生ずる。
【0072】
そこで、本変形例にあっては、アンテナを切り替え後、第2カウンタ18が所定時間をカウントするまでは、ユニークワードの検出を行わない(ユニークワードの検出結果を無効とする)ことにより、上記不具合の発生を防止する。
【0073】
すなわち、図16中、#1においてアンテナを切り替えると、第2カウンタをリセットした後(#52)、カウントを開始・継続しながら(#53)、#2に移行し、無線信号を受信する。その後、ダウンコンバート、復調、同期確立の動作を経た後(#3〜#5)、第2カウンタのカウント値がユニークワードのビット数と一致すると(#53の2においてYES)、#13に移行する。以後#13乃至#32の動作については図7と同様であるが、本変形例にあっては、#19、#28における信号品質の比較にあたって、信号品質の指標として#14、#18、#23、#27において検出したユニークワードの誤り数を適用している。そして、#12においてユニークワードUW4が検出されると(#12においてYES)、そのアンテナでペイロードを受信する(#8)。ユニークワードUW4が検出されない場合、所定周期が到来するまでは(#53の3においてNO)、#2〜#53の3のループを繰り返す。そして、所定周期が到来すると(#12においてNO、#53の3においてYES)、#1に戻ってアンテナを切り替えて、#1〜#53の3のループを繰り返す。こうして、ユニークワードUW4が検出され、ペイロードが受信される(#8)。なお、#53の3における所定周期とは、#1における所定周期と同じであり、プリアンブル及びユニークワードの送信周期の2倍の周期である。
【0074】
本変形例は、図18に示すように、タイミングT1で、受信状態の良好なアンテナAからフェージングの影響を受けているアンテナBに切り替わる場合であっても、第2カウンタ18が第2所定時間をカウントするまでは、ユニークワードの検出を行わない。これにより、アンテナBではユニークワードUW1は検出されないため、図17に示した不具合は発生しない。その後は、フェージングの影響を受けているアンテナBによってユニークワードUW2,UW3は検出されることはない。そして、ユニークワードUW3の受信途中において、#53の3のアンテナ切り替えの所定周期が到来し、アンテナが切り替えられると、アンテナAによってユニークワードUW4が検出され、ペイロードを受信可能となる。
【0075】
本変形例においては、アンテナを切り替え後、ユニークワードを構成するビット列の送信に要する時間に相当する第2所定時間が第2カウンタ18によってカウントされるまでは、ユニークワードの検出を行わないように構成されている。これにより、一方のアンテナで残り数ビットを検出する直前のタイミングで他方のアンテナに切り替わる場合に遭遇しても、他方のアンテナの方が受信状態が良好であると誤判断し、アンテナ選択を誤ってしまう不具合を回避することが可能となる。
【0076】
(変形例)
図19は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、パケットエンド検出部19をさらに備える。パケットエンド検出部19は、パケットの終端を検出する。パケットの終端は、例えばペイロードの終端に添付されたパケットエンド信号を検出することにより知得できる。また、受信システムにとってパケット長(又はペイロードのデータ長)が既知である場合は、カウンタでパケット長に相当する時間をカウントしてパケットの終端を検出してもよい。
【0077】
図20は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。#8においてペイロードの受信を開始すると、パケットエンドを検出するまではペイロードの受信を継続する(#54においてNO)。パケットエンドを検出すると(#54においてYES)、#1に戻り、アンテナ制御部10は、アンテナを所定周期で切り替える制御に自動的に復帰して、次のパケットを受信する。
【0078】
本変形例においては、ペイロードの受信完了をパケットエンドの検出により検知した後、自動的にアンテナの周期的な切り替え動作に移行してユニークワードの検索に復帰する。このため、送信システムと受信システムが非同期であって、送信システムから次々と送信される新しいパケットを受信する場合にもアンテナ切り替え動作に復帰して適切に対応することができる。
【0079】
(変形例)
図21は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図6に示したシステムに対して、第3カウンタ20をさらに備える。また、信号品質比較部13としてユニークワード誤り数比較部15が設けられる。第3カウンタ20は、複数ユニークワード検出部12が受信中のパケット内における最後の(ペイロード直前の)ユニークワードを検出した後、第3所定時間をカウントする。なお、本変形例における第3所定時間が請求項6における第1所定時間に、本変形例における第3カウンタ20が請求項6における第1カウンタに相当する。
【0080】
ペイロードに含まれるデータは任意であるため、ペイロードのビット列がユニークワードのビット列と一致することが希に生ずる。そこで、本変形例においては、ペイロードを受信中の第3所定時間はユニークワードの検出を行わない又は検出しても無効とするようにして、誤検出を防止する。
【0081】
図22は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。複数ユニークワード検出部12が最後のユニークワードを検出すると(#55においてYES)、第3カウンタ20がカウントを開始する(#55の2)。そして、#7,#8を経て、第3カウンタ20のカウント中は、いずれのユニークワードの検出も行わない(#55の2,#7,#8,#56においてNOのループ)。第3カウンタ20が第3所定時間をカウントすると(#56においてYES)、第3カウンタ20のカウントを停止して、カウント値をリセットし#1に戻る。
【0082】
図23及び図24は、本変形例によって受信されるパケットと第3所定時間の関係を示す。図23は定期通信、図24は非定期通信を示す。第3所定時間は、例えば定期通信においてパケットの受信間隔が既知の場合、あるパケットのユニークワードが受信された後、次のパケットが受信される直前までの時間とする。また、図24に示す非定期通信においてパケットの受信間隔が不明の場合は、あるパケットのユニークワードを受信した後、そのパケットにおけるペイロードを受信している時間を第3所定時間とすることができる。この場合において、ペイロードのデータ長が既知であるときはそのデータ長に相当する時間を第3所定時間とする。また、ペイロードのデータ長が不明であるときは、第3カウンタ20が第3所定時間をカウントする替わりに、上述したパケットエンド検出部19がパケットエンド信号を検出する構成であってもよい。なお、複数ユニークワード検出部12は最後のユニークワードを検出する替わりにいずれか特定のユニークワードを検出し、そこからそのパケット内のペイロードの先頭までの時間を含めた第3所定時間をカウントする構成であってもよい。
【0083】
本変形例においては、特定のユニークワードの検出後、第3所定時間は、ユニークワードの検出を行わないように構成されているので、ペイロード内のビット列を誤ってユニークワードとして検出することを回避することが可能となる。また、定期通信で通信間隔が既知の場合は、受信信号が無い期間もユニークワードの検出を行わないように構成されているので、対応する送信システムからの送信がないときに、ノイズをユニークワードとして誤検出してしまうことも防止できる。
【0084】
(変形例)
図25は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、受信レベル検出部21をさらに備える。受信レベル検出部21は、いずれかのアンテナを介して受信した無線信号のレベルを検出する。
【0085】
本変形例においては、受信システムは、「低消費モード」と通常の「ダイバーシチ受信モード」の2つの動作モードを有する。「低消費モード」においては、アンテナ切替部03、RF部04、アンテナ制御部10及び受信レベル検出部21は通常の「ダイバーシチ受信モード」と同様に動作し、その他のブロックは消費電力の少ないスリープ状態で待機される。「低消費モード」において、受信レベル検出部21が所定の第1閾値以上の信号レベルを検出すると、受信システムは、通常の「ダイバーシチ受信モード」に移行する。一方、通常の「ダイバーシチ受信モード」において、受信レベル検出部21が所定期間に亘って所定閾値以上の信号レベルを検出しなかった場合は、「低消費モード」に移行する。その他、例えば1時間毎に1回の定期通信がなされる通信システムにおいて、その定期通信が終了した後は自動的に「低消費モード」に移行する構成であってもよい。
【0086】
図26は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。また、図27は、受信したパケットと、動作モードの切り替え等の関係を示す。図26において、受信システムが「低消費モード」で動作中であっても(#58)、アンテナ制御部10からアンテナ切替部03にアンテナの切り替えのための制御信号が出力され、アンテナが所定の周期で切り替えられる(#1)。「低消費モード」において待機中にアンテナを固定すると、もしフェージング等の影響を受けた場合、そのアンテナでの受信レベルが低く抑えられてしまうことがあり、「ダイバーシチ受信モード」に移行できない可能性がある。そこで、本変形例では、「低消費モード」において待機中にフェージングが発生してもその影響を受けないように、低消費モードで動作中であってもアンテナを所定周期で切り替える(図27参照)。
【0087】
「低消費モード」で動作中に、受信レベル検出部21が図27に示す所定の第1閾値以上の信号レベルを検出すると(#59においてYES)、受信システムは、通常の「ダイバーシチ受信モード」に移行し、#3以降の動作を実行する。
【0088】
本変形例においては、受信レベルが第1閾値以上になるまでは、受信システムは「低消費モード」で待機するので、システムの消費電流を低減することが可能となる。また、「低消費モード」においても、アンテナが所定の周期で切り替えられるので、フェージングの影響を受けることなく、第1閾値以上の受信レベルの無線信号を検知することができ、確実に「ダイバーシチ受信モード」に移行できる。
【0089】
(変形例)
図28は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、選択アンテナ記憶部22と通知部23をさらに備える。選択アンテナ記憶部22は、ペイロードを受信する際にアンテナ制御部10によって選択されたアンテナを記憶する。通知部23は、ユーザ(受信システムの管理者を含む)にアンテナに関する情報を、音声又は光等を用いて通知する。
【0090】
図29は、本変形例によって受信されるパケットと、そのパケットを受信する際に選択されていたアンテナの関係を示す。図29に示すように、パケットのペイロードの受信にあたってアンテナ制御部10によって選択されたアンテナ(図29においては、アンテナA)に関する情報は、選択アンテナ記憶部22に記憶される。通知部23は、選択アンテナ記憶部22を参照し、所定回数以上連続していずれか一方のアンテナが選択された場合、ユーザにその旨を通知する。図29に示す場合は、連続してアンテナAが選択されている旨の通知がなされる。また、選択されているアンテナを特定せず、単に一方のアンテナのみが連続して選択されている旨の通知を行うようにしてもよい。
【0091】
本変形例においては、所定回数以上連続していずれか一方のアンテナを用いてペイロードを受信している場合は、その旨をユーザに通知する。このため、ダイバーシチの効果が無い、若しくは一方のアンテナ等が故障していることをユーザが知ることができ、ダイバーシチの効果の高い場所に機器を移動させたり、アンテナ等を修理したりすることが可能となる。
【0092】
(変形例)
図30は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、受信レベル通知部24とダイバーシチオン/オフ切替部(切替機能設定部)24の2をさらに備える。受信レベル通知部24は、受信した無線信号のレベルを検出し、ユーザに音声又は光等を用いて通知する。この通知は、必要に応じて行うものとしてもよく、ユーザからの要求に応じて行うものとしてもよい。ダイバーシチオン/オフ切替部24の2は、ユーザがアンテナ切り替え機能のオン(有効)/オフ(無効)を手動で設定するために設けられる。ユーザは、受信レベル通知部24から出力される通知を確認し、必要に応じてダイバーシチオン/オフ切替部24の2を操作することにより、ダイバーシチすなわちアンテナ切り替え機能の有効/無効を手動で設定できる。
【0093】
図31は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。まず、受信レベル通知部24は、受信した無線信号のレベルを検出し、ユーザに音声又は光等を用いて通知する(#60)。この通知により受信レベルを知得したユーザによってダイバーシチオン/オフ切替部24の2が操作され、ダイバーシチ機能がオフされると(#60の2においてNO)、アンテナを固定した状態で無線信号が受信される(#61)。一方、ユーザによってダイバーシチ機能がオンされると(#60の2においてYES)、アンテナを一定の周期で切り替えながら無線信号が受信される(#1以降)。
【0094】
図32は、アンテナ切り替え機能を有効にしたときと無効にしたときの対応する送信システムから送信されるパケットの構成を示す。アンテナ切り替え機能を有効にしたときは、アンテナの個数の2倍のユニークワードUW及びそれに対となるプリアンブルが添付されて送信される。一方、アンテナ切り替え機能を無効にしたときは、単一のプリアンブル及びユニークワードUWが添付されていれば足りることになる。その結果、パケット長が短くなり、伝送効率が向上する。なお、本変形例においては、受信システムに送信機能を、対応する送信システムに受信機能をそれぞれ追加することにより、送信システムにアンテナ切り替え機能の有効/無効を通知し認識させることができる。
【0095】
本変形例においては、受信レベル通知部24を備えているので、ユーザが受信システムの外部から受信レベルを監視でき、アンテナ切り替え機能の有効/無効を手動で設定できる。このため、例えば受信レベルが十分高い通信環境では、アンテナ切り替え機能を無効に設定し、消費電力を低減できる。このとき、アンテナ切り替え機能を無効にした旨を対応する送信システムに通知して認識させることにより、図32に示すように、送信システムは1つのパケットにつき単一のプリアンブルとユニークワードUWを添付して送信すればよくなる。従って、単位時間当たりに送信できるバケット数が増加し、伝送効率を向上させることが可能となる。また、これによって、受信システムによる受信時間も短縮されるので、受信システムのさらなる低消費電力化にも貢献できる。なお、アンテナ切り替え機能を無効にした旨の通知は、例えば後述する無線器100と無線器200に相当する構成によって実現される。また、受信レベルが十分高い通信環境でも障害物の配置等、周辺環境の変化が大きくなり、通信に不具合が発生することが懸念される場合には、通信の信頼性を重視してアンテナ切り替え機能を有効に設定しておくなど、目的に応じて選択することが可能となる。
【0096】
(変形例)
図33は、上記実施形態によるアンテナ切り替え受信システムの変形例の構成を示す。この変形例のシステムは、図1に示したシステムに対して、受信レベル検出部21とダイバーシチオン/オフ制御部(切り替え機能制御部)25をさらに備える。受信レベル検出部21は、図25に示したものと同様に、いずれかのアンテナを介して受信した無線信号のレベルを検出する。ダイバーシチオン/オフ制御部25は、受信レベル検出部21によって検知された受信レベルに基づいて、アンテナ切り替え機能を自動的に無効にする。すなわち、アンテナを切り替えることなく無線信号を受信するのに十分な、所定の第2閾値以上の信号レベルが受信レベル検出部21によって検出されたとき、ダイバーシチオン/オフ制御部25は、アンテナ切り替え機能を自動的に無効にする。
【0097】
図34は、本変形例によるアンテナ切り替え受信システムの動作を示す。アンテナA,Bを所定の周期で切り替えながら(#1)、送信システムから送信される無線信号を受信し(#2)、受信レベル検出部21は、受信した無線信号のレベルを検出する。第2閾値以上の信号レベルが検出されたとき(#62においてYES)、次のパケットを受信するまでにアンテナ切り替え機能を無効にする旨を送信システムに通知し(#63)、アンテナ切り替え機能を自動的に無効にして(#64)、次のパケットをアンテナを固定した状態で受信する(#65)。通知を受けた送信システムは、図32に示すように、1つのパケットにつき単一のプリアンブルとユニークワードUWを添付して送信して、伝送効率を高める。一方、第2閾値以上の信号レベルが検出されなかったとき、アンテナ切り替え機能を有効に維持しつつ、#3以降に移行する。
【0098】
本変形例においては、アンテナを切り替えることなく無線信号を受信するのに十分な、第2閾値以上の信号レベルが受信レベル検出部21によって検出されたとき、ダイバーシチオン/オフ制御部25が、アンテナ切り替え機能を自動的に無効にする。これにより、良好な通信環境が得られる場合には、ユーザが意識することなく、自動的に低消費電力化を図ることが可能となる。また、対応する送信システムは、1つのパケットにつき単一のプリアンブルとユニークワードUWを添付して送信すればよくなる。従って、伝送効率を向上させることが可能となる。
【0099】
(変形例)
図30又は図33に示したアンテナ切り替え受信システムの変形例でアンテナ切り替え機能が無効である状態において、第4所定時間連続してユニークワードを検出できない場合、切り替え機能制御部はアンテナ切り替え機能を有効にするように構成してもよい。この場合、障害物乃至送信システム又は受信システムのレイアウト変更等によって通信環境に変化が生ずる場合にあっても、自動的にアンテナ切り替え機能が有効な状態に復帰するので、対応可能となる。なお、本変形例における第4所定時間が請求項13における第2所定時間に相当する。
【0100】
さらには、ペイロードの受信に成功したとき、対応する送信システムに対してその旨のACKを送信するように変形することができる。この場合にあっては、送信システムは、所定時間に亘って連続して上記ACKを受信できない場合、受信システムがペイロードの受信に失敗していることを知得できる。
【0101】
このとき図35に示すように、送信システムが単一のプリアンブル及びユニークワードUWとすることによりデータ長を短縮している場合は、アンテナ数の2倍のプリアンブル及びユニークワードUWを送信するように切り替える。これにより、受信システムは、アンテナ切り替え機能を自動で有効に機能させることが可能となり、マルチパスフェージングに起因して受信レベルが劣化することによる受信エラーの発生を、回避可能な状態に再び復帰できるようになる。なお、ACKの送信は、例えば後述する無線器100と無線器200に相当する構成によって実現される。
【0102】
(変形例)
また、図30又は図33に示したアンテナ切り替え受信システムの変形例においては、アンテナ切り替え機能を無効としている場合であっても、定期的に該アンテナ切り替え機能を有効に切り替えるように変形されていてもよい。
【0103】
この場合、図36に示すように、受信システムは、所定期間毎に定期的にアンテナ切り替え機能を有効にして受信を行い、それ以外は、その直近のアンテナ切り替え動作で選択されたアンテナに固定して受信する。同図では、パケット1においていずれかのアンテナに固定した後、パケットPの受信を完了するまでの間アンテナ切り替え機能を無効にしてアンテナを固定し、次のパケットP+1のプリアンブルを受信する前にアンテナ切り替え機能を有効にする。この動作を繰り返すことにより、アンテナ切り替え機能を常時使用する場合に比べて消費電力を低減することが可能となり、かつ定期的なダイバーシチ通信によりアンテナを定期的に選択するため、レイアウト変更などの環境変化にも追従することが可能となる。
【0104】
(通信システムの構築例)
図37は、本発明のアンテナ切り替え受信システムを適用して構築された無線通信システムの概略を示す。図38は、無線通信システムにおいて、アンテナ切り替え受信システムが実装される無線器によって切り替えられるアンテナ及び各アンテナによって受信及び送信される信号との関係を示す。
【0105】
無線通信システムは、無線器100と無線器(無線通信器)200等によって構成される。無線器100は、例えば、モニタ装置に内蔵される。無線器200は、例えば、配電盤等に内蔵される。無線器200には、本発明のアンテナ切り替え受信システムが2つのアンテナA,Bと共に実装される。対応する送信システムは、1つのアンテナと共に無線器100に実装される。無線器100と無線器200とは、双方向で通信を行うため、それぞれ送信システム及び受信システムが実装される。
【0106】
両者間の通信は、無線器100から無線器200に無線信号を送信することにより開始され、無線器200から無線器100に無線信号が返信されるものとする。このとき、無線器200は、2つのアンテナA,Bを用いた切り替えダイバーシチ機能により、通信環境に適したアンテナを選択し、無線信号のペイロードを受信する。さらに、無線器200から無線器100に無線信号を送信する際には、その直前の(最後の)ペイロードの受信時に選択されていたアンテナを用いる。例えば、図38においては、ペイロードの受信時に選択されていたアンテナAを用いて、無線器200から無線器100に無線信号が送信される。この無線信号を受信する無線器100にはダイバーシチ機能が備えられていないが、無線器200に備えられたダイバーシチ機能を有効に活用することにより、無線器100と無線器200との間の通信環境に合致した品質の高い無線信号を受信することができる。
【0107】
なお、無線器200から送信する際に用いるアンテナの選択にあたっては、過去の特定又は不特定の期間において、統計的に、より多くのパケットのペイロードを受信したアンテナを選択するようにしてもよい。
【0108】
本通信システムの構築例によれば、無線器200に備えられているダイバーシチ機能を生かして受信した後の返信には、受信の際に選択したアンテナを使用する。これにより、無線器100からの送信で通信が開始される場合、もう一方の無線器200にのみアンテナを複数設けてダイバーシチ機能を持たせるだけで、両者間における双方向通信の際に、送受信共にダイバーシチの効果を得ることが可能となる。
【0109】
また、単に無線器200に備えられているダイバーシチ機能を生かして送信する場合は、アンテナの数に相当する回数分だけ送信する必要がある。ところが、本通信システムの構築例によれば、既に送信に使用するアンテナは決定しているので、そのアンテナを用いて1回だけ送信すればよい。従って、送信時間の短縮と無線器200の消費電力の低減を図ることができる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られない。少なくとも所定周期でアンテナを切り替えながら受信した無線信号からユニークワードを検索し、該ユニークワードを検出するとそれを受信したアンテナに固定してその後のペイロードを受信するように構成されていればよい。また、本発明は種々の変形が可能である。例えば、アンテナ切り替え受信システムは、配電盤に限られることなく、無線通信機能を有する照明制御スイッチ等の各種電化製品にも幅広く適用可能である。また、各変形例の構成を適宜組み合わせて、アンテナ切り替え受信システムを構築してもよい。例えば、図13に示した変形例において、図10に示す受信レベル比較部14をさらに備え、無線信号のレベルと、ビット列の誤り数の2つを比較し、最適なアンテナに固定してペイロードを受信するように構成してもよい。また、ユニークワード誤り数比較部15の替わりに受信レベル比較部14を備え、無線信号のレベルを比較して、最適なアンテナに固定してペイロードを受信する簡素な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
08 ユニークワード設定部
09 ユニークワード検出部
10 アンテナ制御部
11 閾値設定部
12 複数ユニークワード検出部
13 信号品質比較部
14 受信レベル比較部
15 ユニークワード誤り数比較部
19 パケットエンド検出部
20 第1カウンタ
21 受信レベル検出部
22 選択アンテナ記憶部
23 通知部
24 受信レベル通知部
24の2 ダイバーシチオン/オフ切替部(アンテナ切り替え機能設定部)
25 ダイバーシチオン/オフ制御部(アンテナ切り替え機能制御部)
200 無線器(無線通信器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを切り替えて無線信号を受信するアンテナ切り替え受信システムにおいて、所定周期でアンテナを切り替えながら受信した無線信号からユニークワードを検索し、該ユニークワードを検出するとそれを受信したアンテナに固定してその後のペイロードを受信することを特徴とするアンテナ切り替え受信システム。
【請求項2】
アンテナの切り替えを制御するアンテナ制御部と、
既知のユニークワードのビット列を予め設定し記憶するユニークワード設定部と、
アンテナを切り替えながら受信した無線信号のビット列を検索して、前記ユニークワード設定部によって記憶されているユニークワードと同一のビット列を検出するユニークワード検出部とを備え、
前記アンテナ制御部は、前記ユニークワード検出部による前記ユニークワードの検出結果に応じて、ペイロードを受信するアンテナを選択することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項3】
前記ユニークワードのビット列とアンテナを切り替えながら受信した前記無線信号のビット列との一致度に関する閾値を設定する閾値設定部をさらに備え、
前記ユニークワード検出部は、前記ユニークワード設定部によって記憶されているユニークワードのビット列とアンテナを切り替えながら受信した前記無線信号のビット列とを比較して、前記閾値設定部によって設定された閾値以上のビット数が一致したとき、前記ユニークワードを検出したと判断することを特徴とする請求項2に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項4】
対応する送信システムからは、相異なるビット列から成る複数のユニークワードが特定の順序でペイロードの前に送信され、
前記送信システムから送信される複数のユニークワードと同一の複数のユニークワードが、前記ユニークワード設定部によって予め設定され記憶されており、
前記ユニークワード検出部は、前記複数のユニークワードを個別に検出する複数ユニークワード検出部であり、
前記複数ユニークワード検出部が、複数のユニークワードのうち最後のユニークワードを検出したとき、前記アンテナ制御部は、該最後のユニークワードを受信したアンテナに固定して、その後のペイロードを受信することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項5】
パケットの終端を検出するパケットエンド検出部をさらに備え、
前記パケットエンド検出部がパケットの終端を検出すると、前記アンテナ制御部は、アンテナを所定周期で切り替える制御に自動的に復帰して、次のパケットを受信することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項6】
特定のユニークワードを検出した後、第1所定時間をカウントする第1カウンタをさらに備え、
前記第1カウンタが第1所定時間をカウントするまでは、ユニークワードの検出を行わないことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項7】
受信した無線信号のレベルを検出する受信レベル検出部をさらに備え、
前記受信レベル検出部が所定の第1閾値以上の信号レベルを検出した後、前記ユニークワード検出部が、ユニークワードの検索を開始することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項8】
ペイロードを受信する際に前記アンテナ制御部によって選択されたアンテナの情報を記憶する選択アンテナ記憶部と、前記選択アンテナ記憶部に記憶されている情報から、いずれかのアンテナが所定回数連続して前記アンテナ制御部によって選択されている場合、ユーザにその旨を通知する通知部とをさらに備えたことを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項9】
搭載されるアンテナ数の2倍の数のプリアンブル及びユニークワードが送信され、各アンテナはプリアンブル及びユニークワードの送信周期の2倍の周期で切り替えられることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項10】
受信した無線信号のレベルを検出し、ユーザに通知する受信レベル通知部と、ユーザがアンテナ切り替え機能の有効/無効を設定するための切り替え機能設定部とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項11】
受信した無線信号のレベルを検出する受信レベル検出部と、
前記受信レベル検出部が所定の第2閾値以上の信号レベルを検出したとき、アンテナ切り替え機能を無効にする切り替え機能制御部とをさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項12】
前記切り替え機能設定部又は切り替え機能制御部がアンテナ切り替え機能を無効にしたとき、対応する送信システムに対してその旨を通知することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項13】
アンテナ切り替え機能が無効である状態において、第2所定時間連続してユニークワードを検出できない場合、前記切り替え機能設定部又は切り替え機能制御部はアンテナ切り替え機能を有効にすることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項14】
ペイロードの受信に成功したとき、対応する送信システムに対してその旨のACKを送信することを特徴とする請求項13に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項15】
アンテナ切り替え機能が無効である状態においても、定期的にアンテナ切り替え機能を有効にすることを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システム。
【請求項16】
請求項2乃至請求項15のいずれか一項に記載のアンテナ切り替え受信システムと、
無線信号を送信する送信部をさらに備え、
ペイロードを受信した後、前記送信部が無線信号を送信するとき、前記アンテナ制御部はペイロードの受信の際に選択されたアンテナを用いることを特徴とする無線通信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2012−235437(P2012−235437A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150866(P2011−150866)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】