説明

アンテナ機能付き窓ガラス

【課題】電波が届きにくい屋内や中高層建物において、実装が容易であり、屋内と屋外の中継機能を備え電波の送受信を可能とするアンテナ機能付き窓ガラスを提供する。
【解決手段】アンテナ機能付き窓ガラス100は、複層ガラス1と、中継装置8と、給電線9と、支持台12を備える。複層ガラス1は、端末側ガラス板2と基地局側ガラス板3を備える。端末側ガラス板2は、基地局側ガラス板3に対向する面とは異なる側の面の表面に、送信および/または受信する電波の周波数の、2分の1波長の幅を有する長方形の開口のスロット4を有する透明導電膜6を備え、端末側ガラス板2はスロットアンテナとして機能する。基地局側ガラス板3も同様に、スロット5を有する透明導電膜7を備え、スロットアンテナとして機能する。中継装置8は、基地局側ガラス板3のスロット5で受信した電波を、端末側ガラス板2のスロット4へ中継する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ機能付き窓ガラスに関する。より詳しくは、無線端末装置向けのアンテナ機能付き窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの無線端末装置が普及しているが、基地局の電波は基本的に水平方向より下方向に向けて出ているため、基地局より高い中高層建物では電波が届きにくいことがある。また、建物内では、建物の構造上、電波をシールドしたり反射したりするなどして、電波が届きにくいことがある。このような建物の屋内において電波のやりとりを補助するアンテナを設置する対策がとられている。
【0003】
たとえば、特許文献1は、ガラス板の少なくとも一部に設けられた熱線反射性透明電導膜に所定の幅、かつ、所定の長さのスリットを設け、スリットの両側近傍の熱線反射性透明電導膜上に両給電部を設け、熱線反射性透明電導膜にアンテナ機能を持たせたガラス窓が記載されている。
【0004】
特許文献2は、車両用窓ガラスに沿って水平方向の最大長さAに対して直交する方向の最大長さをBとするとき、アスペクト比A/Bが0.5〜2.0であるスロットを形成することで、車両に取り付けた際に水平方向に対して感度が高い、簡易な車両用ガラスアンテナを実現している。
【0005】
特許文献3は、装置サイズの小型化を可能とする移動体通信用中継増幅装置が記載されており、基地局向け平面アンテナに対して互いの電波放射面の裏面が電波シールド部材を挟んで向かい合うように配置される移動局向け平面アンテナを有することで、回り込み干渉信号を抑圧し、アイソレーションを向上させている。
【0006】
特許文献4は、移動体通信ネットワークの基地局およびユーザ端末間の情報交換を中継するのに用いられるリピータシステムにおいて、空間の室内照明に用いる任意の透明パネルに一体化された任意の透明平面アンテナである再送信手段を備える屋外アンテナと、屋内アンテナを備え、再送信手段はインタフェースとして動作する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平05−129820号公報
【特許文献2】特開2008−160282号公報
【特許文献3】特開2008−199562号公報
【特許文献4】特開2009−33716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
関連する技術である特許文献1、2、4の技術では、ガラス窓にアンテナ機能を備え、電波の送受信を行っている。特許文献3の技術では、屋内と屋外との電波の中継を目的とした装置であるが、取り付け場所の確保が容易ではなく、また、装置が大がかりになるおそれがあった。
【0009】
屋外の無線装置(基地局)と屋内の無線端末装置との間で通信する場合において、屋内の電波伝搬を改善するために、無線式の小型基地局(装置)を備え付ける対策がとられることが多いが、小型の基地局の装置は高価であるためコストの問題や、設置場所確保の問題が生じる。
【0010】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、電波が届きにくい屋内や中高層建物において、実装が容易であり、屋内と屋外の中継機能を備え電波の送受信を可能とするアンテナ機能付き窓ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の観点に係るアンテナ機能付き窓ガラスは、
少なくとも2枚の板ガラスを備える複層ガラスと、
送信および/または受信する電波の周波数の、2分の1波長の幅を有する長方形の開口が形成され、前記板ガラスのそれぞれの互いに対向する面とは異なる面の表面に備えられる第1の導電膜と、
前記複層ガラスの一方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜で受信した前記電波を、他方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜へ中継する中継装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電波が届きにくい屋内や中高層建物において、実装が容易であり、屋内と屋外の中継機能を備え電波の送受信を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアンテナ機能付き窓ガラスの構成の一例を示す概略斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係るアンテナ機能付き窓ガラスの構成の一例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ機能付き窓ガラスの構成の一例を示す概略斜視図である。アンテナ機能付き窓ガラス100は、複層ガラス1と、中継装置8と、給電線9と、支持台12を備える。複層ガラス1は、端末側ガラス板2と、基地局側ガラス板3を備える。端末側ガラス板2はスロット4を有する透明導電膜6を備える。同様に、基地局側ガラス板3も、スロット5を有する透明導電膜7を備える。支持台12は例えば窓枠などの複層ガラス1を支持できるものであり、形状は任意に設定できる。
【0016】
端末側ガラス板2は、屋内に置かれた無線端末装置10側に向けて設置される。また、基地局側ガラス板3は、屋外に置かれた無線基地局11側に向けて設置される。すなわち、複層ガラス1を介して無線端末装置10と無線基地局11は電波の送受信を行う。
【0017】
端末側ガラス板2は、基地局側ガラス板3に対向する面とは異なる面の表面に、スロット4が形成された透明導電膜6を備える。端末側ガラス板2は、スロット4が形成された透明導電膜6を備えることで、スロットアンテナとして機能する。
【0018】
透明導電膜6のスロット4は、送受信する電波の周波数の2分の1波長の幅からなる長方形に空けられた開口を指す。スロット4は、そのスロット4の端部近辺に給電部(図示せず)を備え給電線9と接続し、給電線9を介して中継装置8と接続する。
【0019】
透明導電膜6は、スパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)、真空蒸着、アーク放電、ゾル・ゲル、スプレー法など、一般に行われている方法で成膜する。透明導電膜6は、ITO膜、酸化亜鉛膜に酸化アルミニウムもしくは酸化ガリウムを添加したもの、酸化スズ膜に酸化アンチモンもしくはフッ素をドープしたもの、が好ましいが、特にこれらに限定されずに用いることができる。
【0020】
基地局側ガラス板3と端末側ガラス板2の、基本的な構造は同じである。基地局側ガラス板3は、端末側ガラス板2に対向する面とは異なる面の表面に、スロット5が形成された透明導電膜7を備える。基地局側ガラス板3も端末側ガラス板2と同様に、スロットアンテナとして機能する。基地局側ガラス板3は、スロット5の端部近辺に給電部(図示せず)を備え給電線9と接続し、給電線9を介して中継装置8と接続することができる。
【0021】
中継装置8は、給電線9を介して、端末側ガラス板2のスロット4と基地局側ガラス板3のスロット5を接続する。すなわち、中継装置8は、端末側ガラス板2のスロット4で受信した電波を基地局側ガラス板3のスロット5へ中継し、また、基地局側ガラス板3のスロット5で受信した電波を端末側ガラス板2のスロット4へ中継する。このとき、給電線9を介して中継する。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る中継装置の構成の一例を示すブロック図である。中継装置8は、屋内向け増幅部81および屋外向け増幅部82を備える。また、中継装置8は、図示していないが送信部および受信部を備える。中継装置8は、一方を端末側ガラス板2側のスロット4と給電線9を介して電気的に接続し、また、他方を基地局側ガラス板3側のスロット5と給電線9を介して電気的に接続する。なお、端末側ガラス板2側のスロット4は無線端末装置10の電波を送受信し、基地局側ガラス板3側のスロット5は無線基地局11の電波を送受信する。
【0023】
屋外から屋内へ電波を中継する場合は、中継装置8の受信部は、まず、無線基地局11からの電波を受信する。屋内向け増幅部81は、受信した電波(電波信号)を、所定の大きさに増幅する。送信部は、所定の大きさに増幅された電波(電波信号)を、無線端末装置10へ向けて送信する。この一連の流れにより、中継装置8は、受信した電波を中継し、結果としてアンテナ機能付き窓ガラス100は屋外から屋内へ電波を中継することができる。
【0024】
このとき、屋内向け増幅部81を用いて、屋内向けに送信する空中線電力を、小電力無線で電波を伝えることができる電波信号の大きさに増幅する。小電力無線とは、例えば、コードレス電話や無線LANなどと同じで空中線電力が小電力電波を利用したものをいい、屋外への影響が小さく、屋内には無線LAN程度の到達範囲を確保できる。
【0025】
屋内から屋外へ電波を中継する場合は、中継装置8の受信部は、まず、無線端末装置10からの電波を受信する。屋外向け増幅部82は、受信した電波(電波信号)を、所定の大きさに増幅する。送信部は、所定の大きさに増幅された電波(電波信号)を、無線基地局11へ向けて送信する。この一連の流れにより、中継装置8は、受信した電波を中継し、結果としてアンテナ機能付き窓ガラス100は屋内から屋外へ電波を中継することができる。
【0026】
このとき、屋外向け増幅部82を用いて、屋外向けに送信する空中線電力を、無線端末装置10の空中線電力と同程度以下とする。空中線電力と同程度以下とすれば、無線端末装置10が窓ガラス(アンテナ機能付き窓ガラス100)の位置にあるのと同じことになるので、屋外の電波環境に対して悪影響はなく、窓ガラス(アンテナ機能付き窓ガラス100)の外側が無線基地局11の電波到達エリア内である限り、無線基地局11と通信ができることになる。
【0027】
以上説明したように、実施の形態1によれば、電波が届きにくい屋内や中高層建物において、実装が容易であり、屋内と屋外の中継機能を備え電波の送受信を可能とするアンテナ機能付き窓ガラスを提供することができる。
【0028】
窓ガラスにスロットが形成された透明樹脂膜を備え、窓ガラスをスロットアンテナとして機能させることで、デザイン性を損なうことなく容易に設置することができる。従来必要とされていた中継装置に比べて本発明におけるアンテナ機能付き窓ガラスを用いることで安価で済み、設置場所を考慮する必要も少なく設置が容易である。
【0029】
アンテナ機能付き窓ガラスの中継装置により、屋内向けに送信する空中線電力は、コードレス電話や無線LANなどと同じで、屋外への影響が小さく、屋内には無線LAN程度の到達範囲を確保できる。
【0030】
また、屋外向けに送信する空中線電力を、端末の空中線電力と同程度以下とすれば、端末が窓ガラスの位置にあるのと同じことになるので、屋外の電波環境に対して悪影響はなく、窓ガラスの外側が基地局の電波到達エリア内である限り、基地局と通信ができることになる。その結果、屋内であっても、屋外と同様な電波の送受信が可能となり、屋内で無線端末装置を利用する際の、電波状態が良好となる。
【0031】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るアンテナ機能付き窓ガラスの構成の一例を示す概略斜視図である。実施の形態1に係るアンテナ機能付き窓ガラス100と基本的な構成は同じである。実施の形態2の複層ガラス1は、実施の形態1の構成に加えて、端末側ガラス板2に対向する基地局側ガラス板3の面に、金属透明導電膜13を備える。
【0032】
金属透明導電膜13は、基地局側ガラス板3の、端末側ガラス板2に対向する側の面に、透明導電膜6、7と同様に、スパッタリングなどの方法で成膜する。ここでは金属透明導電膜13は、基地局側ガラス板3の、端末側ガラス板2に対向する側の面に成膜しているが、端末側ガラス板2の、基地局側ガラス板3に対向する側の面に成膜してもよい。
【0033】
好ましくは、基地局側ガラス板3の端末側ガラス板2に対向する側の面と、端末側ガラス板2の基地局側ガラス板3に対向する側の面に形成し、端末側ガラス板2と基地局側ガラス板3の対向する側の面のそれぞれが、金属透明導電膜13で覆われていることである。
【0034】
アンテナ機能付き窓ガラス100が可視光を透過する必要がなければ、金属透明導電膜13は透明でなくても構わない。金属透明導電膜13は、例えば、酸化インジウム、スズ、クロム、チタン、銀、金、アルミニウム、銅、ニッケルのいずれか1種類の金属(酸化金属含む)からなる単層膜、または、酸化チタン/銀/酸化チタン、酸化亜鉛/銀/酸化亜鉛などの該単層膜に用いられる金属層を上下から透明性誘電体層で挟み積層した複層膜、などの金属膜(酸化金属膜を含む)を用いればよく、上述の例に限定されない。
【0035】
基地局側ガラス板3のスロット5で受信した電波は、中継装置8を経由して、端末側ガラス板2のスロット4を介して無線端末装置10へ送信される。このとき、中継装置8は、同じ受信周波数の電波を増幅して送信している。そのため、端末側ガラス板2のスロット4では、送信する電波により回り込み干渉が発生する。基地局側ガラス板3に金属透明導電膜13を成膜して形成しておくことで、電波の遮断効果により、回り込み干渉の発生を防止することができる。端末側ガラス板2に金属透明導電膜13を成膜しておく場合も同様に、回り込み干渉の発生を防止することができる。好ましくは、基地局側ガラス板3と端末側ガラス板2の両方に金属透明導電膜13を成膜する場合であり、回り込み干渉の発生をより効果的に防止することができる。
【0036】
以上説明したように、実施の形態2によれば、電波が届きにくい屋内や中高層建物において、実装が容易であり、屋内と屋外の中継機能を備え電波の送受信を可能とするアンテナ機能付き窓ガラスを提供することができる。また、複層ガラスの間に金属透明導電膜を備え、それぞれのアンテナにおける送受信する電波の回り込みを防止し、干渉を抑制する。
【0037】
窓ガラスにスロットが形成された透明樹脂膜を備え、窓ガラスをスロットアンテナとして機能させることで、デザイン性を損なうことなく容易に設置することができる。従来必要とされていた中継装置に比べて本発明におけるアンテナ機能付き窓ガラスを用いることで安価で済み、設置場所を考慮する必要も少なく設置が容易である。
【0038】
アンテナ機能付き窓ガラスの中継装置により、屋内向けに送信する空中線電力は、コードレス電話や無線LANなどと同じで、屋外への影響が小さく、屋内には無線LAN程度の到達範囲を確保できる。
【0039】
また、屋外向けに送信する空中線電力を、端末の空中線電力と同程度以下とすれば、端末が窓ガラスの位置にあるのと同じことになるので、屋外の電波環境に対して悪影響はなく、窓ガラスの外側が基地局の電波到達エリア内である限り、基地局と通信ができることになる。その結果、屋内であっても、屋外と同様な電波の送受信が可能となり、屋内で無線端末装置を利用する際の、電波状態が良好となる。
【0040】
さらに、複層ガラスの対向する面側に金属透明導電膜を備えることで、屋内側と屋外側のアンテナにおける回り込み干渉の発生を防止することができ、電波の送受信において、ノイズや電波障害を低減させることができる。複層ガラスの対向する面全てに金属透明導電膜を形成することで、ノイズや電波障害の防止効果が向上する。
【0041】
本実施の形態では、透明導電膜の材料について例示しているが、特に限定されない。金属透明導電膜についても、材料は限定されず、任意に選択することができる。導電膜および金属導電膜を透明の場合を例に挙げて説明したが、特にデザイン性の影響や採光などの問題がない場合は、必ずしも透明でなくてもよい。
【0042】
また、本実施の形態では、スロットの形状は例示したものに限定されず、任意に設定可能であり、所定の周波数を送受信することが可能であればよい。このときのスロットの辺の長さは、受信する電波の中心周波数の0.5〜1.5倍の範囲の長さで設定されることが好ましい。
【0043】
なお、中継装置の機能について、本実施の形態では、電波信号の増幅機能を説明したが、電波信号の増幅だけでなく、あわせて周波数の切替の機能を備えてもよい。中継する双方の電波の周波数が異なる場合においても、中継装置がレピータとして稼働し、本発明を適用することができる。
【0044】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0045】
(付記1)
少なくとも2枚の板ガラスを備える複層ガラスと、
送信および/または受信する電波の周波数の、2分の1波長の幅を有する長方形の開口が形成され、前記板ガラスのそれぞれの互いに対向する面とは異なる面の表面に備えられる第1の導電膜と、
前記複層ガラスの一方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜で受信した前記電波を、他方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜へ中継する中継装置と、
を備えることを特徴とするアンテナ機能付き窓ガラス。
【0046】
(付記2)
前記板ガラスの少なくとも一方の、他方の板ガラスに対向する面に、金属もしくは金属酸化物からなる第2の導電膜を備えることを特徴とする付記1に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【0047】
(付記3)
前記開口を有する前記第1の導電膜は透明であることを特徴とする付記1に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【0048】
(付記4)
前記開口を有する前記第1の導電膜および前記第2の導電膜は透明であることを特徴とする付記2に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【0049】
(付記5)
前記複層ガラスの一方にある前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜は無線端末装置が配置される屋内側に向けて設置され、他方にある前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜は無線基地局が配置される屋外側に向けて設置されることを特徴とする付記1ないし4のいずれかに記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【0050】
(付記6)
前記中継装置は、前記屋内側の前記無線端末装置に向けて電波を送信する場合は空中線電力が小電力無線の空中線電力になるように増幅し、前記屋外側の前記無線基地局に向けて電波を送信する場合は該屋内側の前記無線端末装置の空中線電力以下の空中線電力になるように増幅することを特徴とする付記1ないし5のいずれかに記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、複層ガラスの各ガラスに送受信アンテナを施し、ガラス内部の表面に透明導電膜のコーティングを施し、回り込み干渉を防ぐことを特徴とした小電力レピータ向けアンテナとして利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 複層ガラス
2 端末側ガラス板
3 基地局側ガラス板
4、5 スロット
6、7 透明導電膜
8 中継装置
9 給電線
10 無線端末装置
11 無線基地局
12 支持台
13 金属透明導電膜
81 屋内向け増幅部
82 屋外向け増幅部
100 アンテナ機能付き窓ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の板ガラスを備える複層ガラスと、
送信および/または受信する電波の周波数の、2分の1波長の幅を有する長方形の開口が形成され、前記板ガラスのそれぞれの互いに対向する面とは異なる面の表面に備えられる第1の導電膜と、
前記複層ガラスの一方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜で受信した前記電波を、他方の前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜へ中継する中継装置と、
を備えることを特徴とするアンテナ機能付き窓ガラス。
【請求項2】
前記板ガラスの少なくとも一方の、他方の板ガラスに対向する面に、金属もしくは金属酸化物からなる第2の導電膜を備えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【請求項3】
前記開口を有する前記第1の導電膜は透明であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【請求項4】
前記開口を有する前記第1の導電膜および前記第2の導電膜は透明であることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【請求項5】
前記複層ガラスの一方にある前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜は無線端末装置が配置される屋内側に向けて設置され、他方にある前記板ガラスの前記開口を有する前記第1の導電膜は無線基地局が配置される屋外側に向けて設置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。
【請求項6】
前記中継装置は、前記屋内側の前記無線端末装置に向けて電波を送信する場合は空中線電力が小電力無線の空中線電力になるように増幅し、前記屋外側の前記無線基地局に向けて電波を送信する場合は該屋内側の前記無線端末装置の空中線電力以下の空中線電力になるように増幅することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアンテナ機能付き窓ガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−99995(P2012−99995A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245041(P2010−245041)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】