説明

アンテナ装置

【課題】ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性が広いアンテナ装置を提供する。
【解決手段】エレメントが少なくとも1以上の周回をもって巻回されたループアンテナと、ループアンテナの近傍に配置された磁性部材と、を備えるアンテナ装置であって、ループアンテナは、磁性部材の一面上にその全てが配置され、磁性部材は、ループアンテナから生じる磁界の生成範囲が、ループアンテナの中心軸に対して略垂直な方向において磁性部材が配置されない状態よりも広くなるように、ループアンテナに対して大きく設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループアンテナを有するアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ループアンテナを有するアンテナ装置として、例えば特許文献1,2に示されるように、磁性部材を備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1,2に示されるアンテナ装置では、金属部材とループアンテナとの間であってループアンテナの近傍に磁性部材を配置することで、金属部材の影響(例えば金属部材における渦電流損)を低減するようにしている。
【特許文献1】特開2006−41986号公報
【特許文献2】特開2002−298095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2に示されるアンテナ装置は、ICカードなどの無線通信媒体や、非接触型ICカードリーダなどの無線通信媒体に適用されるものであり、磁性部材の大きさは、ループアンテナとほぼ同じ大きさ(特許文献1の図1、特許文献2の図1,2参照)となっている。そして、ループアンテナから生じる磁界の生成範囲は、磁性部材への集磁により、ループアンテナの中心軸に対して略垂直な方向において、磁性部材が配置されない状態よりも狭くなっている(特許文献2の図2,3参照)。このように、特許文献1,2に示されるアンテナ装置は、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性が狭いアンテナ装置となっている。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性が広いアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エレメントが少なくとも1以上の周回をもって巻回されたループアンテナと、ループアンテナの近傍に配置された磁性部材と、を備えるアンテナ装置であって、ループアンテナは、磁性部材の一面上にその全てが配置され、磁性部材は、ループアンテナから生じる磁界の生成範囲が、ループアンテナの中心軸に対して略垂直な方向において磁性部材が配置されない状態よりも広くなるように、ループアンテナに対して大きく設けられていることを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、ループアンテナに対して磁性部材が十分に大きく、外部雰囲気よりも磁気抵抗の小さい磁性部材中を磁力線が通るので、ループアンテナの中心軸に対して略垂直な方向において、磁性部材が配置されない状態よりも磁力線がループアンテナに対して遠方まで到達する。これにより、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性が広いアンテナ装置(換言すれば、送信機として用いた場合にはループアンテナの中心軸に略垂直な方向の送信エリアが広く、受信機として用いた場合にはループアンテナの中心軸に略垂直な方向の受信エリアの広いアンテナ装置)となっている。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、請求項2に記載のように、磁性部材として車両のボディを構成するボディ構成部材が好適である。このように、車両のボディ構成部材であれば、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を広げるのに十分な大きさを有しているので、指向性を広げるとともに、車載用のアンテナ装置の部品点数を削減することができる。
【0009】
請求項1又は請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載のように、ループアンテを、磁性部材の一面に対して高さ方向に複数周巻回されてなる構成とすると良い。これによれば、ループアンテナが磁性部材の一面と平行な面内で巻回されてなる構成に比べて、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を広くすることができる。
【0010】
請求項1〜3いずれかに記載の発明においては、請求項4に記載のように、ループアンテナの巻回の中心軸が、磁性部材の一面と略垂直とされた構成としても良い。これによれば、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向において、指向性のバランスを取ることができる。
【0011】
請求項1〜4いずれかに記載の発明においては、請求項5に記載のように、磁性材料からなる柱状のコアを備え、ループアンテナがコアに巻回された構成としても良い。これによれば、外部雰囲気よりも磁気抵抗の小さいコア中を磁力線が通るので、指向性をより広げることができる。この場合、請求項6に記載のように、コアが磁性部材と磁気的に結合された構成とすると、磁気抵抗をさらに低減し、指向性をより広げることができる。
【0012】
請求項1〜4いずれかに記載の発明においては、請求項7に記載のように、磁性部材の一面に凸部が形成され、凸部にループアンテナが巻回された構成としても良い。これによれば、凸部がコアとして機能するだけでなく、凸部が磁性部材の一部であるので、指向性をより広げることができる。また、別部材としてのコアが不要であるので、アンテナ装置の構成を簡素化することができる。
【0013】
請求項1〜7いずれかに記載の発明においては、請求項8に記載のように、使用周波数に対する比透磁率が10よりも大きい材料を用いて磁性部材が形成された構成とすると良い。これによれば、比透磁率が10以下の材料を用いてなる磁性部材に比べて、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を効果的に広くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。図2は、図1をループアンテナ配置側から見た平面図である。
【0015】
本実施形態に係るアンテナ装置は、例えば車室内に配置されるスマートキーシステムのアンテナ装置(車室内にキーが存在するか否かを検出するための、車両側からキー側への送信機)として構成されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、アンテナ装置100は、要部として、コア10に巻回されたループアンテナ20と、ループアンテナ20の近傍に配置された磁性部材30とを有している。
【0017】
コア10は、ループアンテナ10から生じる磁界に対して磁気回路を形成できる公知の磁性体、好ましくは公知の磁性体のうちの強磁性体を磁性材料として柱状に形成されたものであり、その表面にループアンテナ20が巻回されている。
【0018】
本実施形態においては、Ni−Zn系のフェライトを材料として断面矩形状(長方形)のコア10が形成されている。また、コア10の長手方向が磁性部材30の一面31(図1に示すX−Y面)に対して略垂直となるように、コア10の一端が磁性部材30の一面31に接触した状態で固定されている。すなわち、コア10が磁性部材30と磁気的に結合されている。
【0019】
ループアンテナ20は、先端を短絡した伝送線路の一種で、使用周波数に応じてエレメントが少なくとも1以上の周回をもって巻回され(1周以上のループ部をもち)、エレメントの両端に電源が接続されたものである。ループアンテナ20の形態としては、少なくともループアンテナ20(ループ部)の中心軸が、磁性部材30の一面31に対して垂直方向(高さ方向)の成分を有する形態であれば採用することができる。また、ループ部の形状は特に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態においては、スマートキー用の送信機として、使用周波数134kHzに応じた電気長となるように、エレメントとしての導線(銅線)がコア10の長手方向に沿ってコア10の表面に複数周巻回されている。すなわち、ループアンテナ20は、磁性部材30の一面31に略垂直な方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数周巻回されており、ループアンテナ20(ループ部)の中心軸が磁性部材30の一面31に対して略垂直となっている。また、コア10の外形に対応して、ループ形状が矩形状となっている。
【0021】
磁性部材30は、コア10同様、ループアンテナ20から生じる磁界に対して磁気回路を形成できる公知の磁性体、好ましくは公知の磁性体のうちの強磁性体を、磁性材料として形成されたものである。具体的には、後述するように、使用周波数に対して比透磁率(磁性材料の透磁率/真空の透磁率)が10よりも大きく、より好ましくは比透磁率が50以上の材料を用いて形成されたものを採用すると良い。また、磁性部材30は、磁性部材30の一面31上にループアンテナ20の全てが配置され、且つ、ループアンテナ20から生じる磁界の生成範囲が、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向(図1に示すZ軸に垂直な方向)において磁性部材30が配置されない状態よりも広くなるように、ループアンテナ20に対して大きく設けられている。換言すれば、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向において、ループアンテナ20の送信エリアを広げるように、ループアンテナ20に対して磁性部材30が十分に大きく設けられている。
【0022】
本実施形態においては、車両のボディを構成するボディ構成部材としての鋼板(例えば床部)を磁性部材30としており、ボディ鋼板(磁性部材30)の内面(一面31)上に、ループアンテナ20が配置されている。
【0023】
次に、このように構成されるアンテナ装置100の効果について、図3(a),(b)を用いて説明する。図3は、ループアンテナ20から生じた磁界の磁力線分布を示す模式的な断面図であり、(a)は本実施形態(磁性部材30のある場合)を示し、(b)は比較例として磁性部材30のない場合を示している。なお、図3(a),(b)においては、ループアンテナ20を流れる高周波電流による磁極の切り替えを考慮し、磁力線の両端に矢印を付している。
【0024】
本実施形態に示すアンテナ装置100においては、ループアンテナ20(ループ部)の中心軸が磁性部材30の一面31に対して略垂直となっており、ループアンテナ20の近傍に磁性部材30が配置されている。したがって、送信時に、ループアンテナ20に高周波電流を流すことで、ループアンテナ20から生じる磁界の磁力線40は、図3(a)に示すように、外部雰囲気(空気)よりも磁気抵抗の小さい磁性部材30の内部を通ることとなる。ここで、磁性部材30は、ループアンテナ20に対して十分に大きく、磁性部材30の大きさによって磁気回路が制限されていない。したがって、磁性部材30内を通ることで磁気抵抗による減衰が少ない分、図3(b)に示す磁性部材30が配置されない構成よりも、磁力線40が、ループアンテナ20に対して遠方まで到達することとなる。
【0025】
このように、本実施形態に係るアンテナ装置100によれば、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の磁界生成範囲が、磁性部材30が配置されない構成よりも広くなる。換言すれば、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向において、磁力線40の間隔が広くなる(磁束密度が低くなる)。すなわち、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の指向性が広い(送信エリアの広い)アンテナ装置となっている。
【0026】
特に本実施形態においては、車両のボディ鋼板を磁性部材30としている。したがって、磁性部材30が、ループアンテナ20に対して十分な大きさを有しているので、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の指向性を広くすることができる。また、別途磁性部材が不要であるので、車載用のアンテナ装置100の部品点数を削減することができる。
【0027】
また、本実施形態においては、ループアンテナ20がコア10に巻回されており、外部雰囲気(空気)よりも磁気抵抗の小さいコア10中を磁力線40が通る。また、コア10が磁性部材30と磁気的に結合され、コア10と磁性部材30との間の磁気抵抗が小さくなっている。したがって、磁力線40が、ループアンテナ20に対してより遠方まで到達するので、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の指向性をより広くすることができる。
【0028】
また、本実施形態においては、ループアンテナ20が、磁性部材30の一面31に略垂直な方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数周巻回されている。したがって、ループアンテナ20が磁性部材30の一面31と平行な面内で巻回されてなる構成に比べて、磁性部材30の一面31に対する高さの分、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の指向性を広くすることができる。
【0029】
また、本実施形態においては、ループアンテナ20(ループ部)の中心軸が、磁性部材30の一面31に対して略垂直となっている。したがって、ループアンテナ20(ループ部)の中心軸が、磁性部材30の一面31に対して垂直方向(高さ方向)の成分を有するものの、磁性部材30の一面31に対して略垂直ではない(磁性部材30の一面31に対して斜めである)場合に比べて、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向(換言すれば、図1に示すX−Y面)において、指向性のバランスを取ることができる。
【0030】
また、本実施形態においては、ループアンテナ20の近傍に、ループアンテナ20よりも十分に大きい磁性部材30が配置されている。したがって、ループアンテナ20から生じる磁界が、磁性部材30を介してループアンテナ20とは反対側(磁性部材30における一面31の裏面側)に出なくなる。したがって、磁性部材30における一面31の裏面側に金属部材が配置されたとしても、磁性部材30によって、金属部材による影響を低減することができる。
【0031】
なお、本発明者は、シミュレーションにより、磁性部材30の比透磁率と磁界強度(電界強度換算値)との関係を精査した。その結果を図4(a)〜(c)、及び、図5(a)〜(c)に示す。図4は、磁性部材の比透磁率と磁界強度(電界強度換算値)との関係を示す図であり、(a)は比透磁率1、(b)は比透磁率5、(c)は比透磁率10の場合を示している。また、図5において、(a)は比透磁率50、(b)は比透磁率100、(c)は比透磁率1000の場合を示している。なお、図4(a)〜(c)、及び、図5(a)〜(c)においては、磁性部材30の一面31の中心を中心座標とし、磁性部材30の一面31の中心(ループアンテナ20の中心軸)を通るZ−X面(磁性部材30の一面31上)での磁界強度を示している。また、ループアンテナ20を簡略化して図示している。
【0032】
このシミュレーションにおいては、磁性部材30として、1000mm角、厚さ3mmの鋼板を採用し、その中心をループアンテナ20の中心軸と一致させた。また、コア10として9mm×3.5mm、長さ20mmの断面矩形状(長方形)コアを採用し、コア10に巻回されたループアンテナ20として、線径0.5mm、10.2mm×4.7mm、長さ15mmの矩形ループのループアンテナを採用した。そして、コア10をフェライト、ループアンテナ20のエレメントを銅、使用周波数を134kHz、アンテナ電流を11Aとして、有限要素法により解析を行った。
【0033】
その結果、図4(a)〜(c)に示すように、比透磁率が1,5,10では、磁界強度の変化はほとんど確認されなかった。これに対し、図5(a)〜(c)に示すように、比透磁率が50,100,1000では、比透磁率が大きいほど、X軸方向(ループアンテナ20の中心軸に対して略垂直な方向)における同一位置で磁界強度が強くなっており、同じ磁界強度間の間隔(例えば130と140の間隔)が広くなっている。これは、磁力線40がループアンテナ20に対して遠方まで到達していることを示唆している。
【0034】
以上から、使用周波数に対する比透磁率が10よりも大きい材料を用いて磁性部材30を形成すると、比透磁率が10以下の材料を用いて磁性部材30を形成する場合に比べて、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を効果的に広くすることができることが明らかとなった。また、より好ましくは、比透磁率が50以上の材料を用いて磁性部材30を形成すると、より効果的にループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を広くすることができることが明らかとなった。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図6に基づいて説明する。図6は、第2実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。
【0036】
第2実施形態に係るアンテナ装置は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、第1実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0037】
第1実施形態においては、アンテナ装置100が、磁性部材30とは別にコア10を有し、コア10にエレメントが巻回されてループアンテナ20が構成されている例を示した。これに対し、本実施形態においては、図6に示すように、アンテナ装置100がコア10を有しておらず、磁性部材30の一面31に凸部32が形成され、凸部32にエレメントが巻回されてループアンテナ20が構成されている。すなわち、コア10を凸部32に置き換えた構成となっている。その他の点については、第1実施形態に示した構成と同じである。
【0038】
このように、本実施形態に係るアンテナ装置100によれば、凸部32が第1実施形態に示したコア10と同じ機能を発揮する。また、凸部32は、磁性部材30の一部として構成されており、凸部32と磁性部材30との間の磁気抵抗が存在しない。したがって、ループアンテナの中心軸に略垂直な方向の指向性を、第1実施形態に示したアンテナ装置100と同等かそれよりも広くすることができる。また、別部材としてのコア10が不要であるので、アンテナ装置100の構成を簡素化することができる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0040】
本実施形態においては、コア10又は凸部32にエレメントが巻回されてループアンテナ20が構成され、磁性部材30に対してループアンテナ20が所定の位置関係とされるる例を示した。しかしながら、コア10や凸部32のない構成としても良い。非磁性材料からなるホルダなどで、ループアンテナ20が磁性部材30に固定された構成としても良いし、磁性部材30の一面31に直接的にループアンテナ20が形成された構成としても良い。
【0041】
本実施形態においては、ループアンテナ20が磁性部材30の一面31に略垂直な方向に沿って複数周巻回される例を示した。しかしながら、ループアンテナ20が磁性部材30の一面31と平行な面内で複数周巻回された構成としても良い。
【0042】
本実施形態においては、ループアンテナ20(ループ部)の中心軸が、磁性部材30の一面31に対して略垂直とされた例を示した。しかしながら、ループアンテナ20の中心軸が、磁性部材30の一面31に対して垂直方向(高さ方向)の成分を有する形態であれば採用することができる。例えば、ループアンテナ20の中心軸が磁性部材30の一面31に対して垂直方向(高さ方向)の成分を有するものの、磁性部材30の一面31に対して略垂直ではない(磁性部材30の一面31に対して斜めである)構成としても良い。
【0043】
本実施形態においては、コア10が磁性部材30と磁気的に結合される例を示した。しかしながら、両者が磁気的に結合されない構成としても良い。この場合、コア10と磁性部材30との間の磁気抵抗が増加するので、磁気的に結合される構成に比べて、指向性が狭くなる。
【0044】
本実施形態においては、ボディ鋼板を磁性部材30とし、アンテナ装置100が車両のスマートキーシステムにおける送信機として適用される例を示した。しかしながら、アンテナ装置100を受信機として適用することもできる。この場合、ループアンテナ20の中心軸に略垂直な方向の受信エリアを広くしたアンテナ装置100とすることができる。また、磁性部材30がボディ鋼板に限定されるものでもないし、アンテナ装置100の適用範囲がスマートキーシステムに限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図2】図1は、第1実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。図2は、図1をループアンテナ配置側から見た平面図である。
【図3】ループアンテナから生じた磁界の磁力線分布を示す模式的な断面図であり、(a)は本実施形態を示し、(b)は比較例として磁性部材のない場合を示している。
【図4】磁性部材の比透磁率と磁界強度(電界強度換算値)との関係を示す図であり、(a)は比透磁率1、(b)は比透磁率5、(c)は比透磁率10の場合を示している。
【図5】磁性部材の比透磁率と磁界強度(電界強度換算値)との関係を示す図であり、(a)は比透磁率50、(b)は比透磁率100、(c)は比透磁率1000の場合を示している。
【図6】第2実施形態に係るアンテナ装置の概略構成を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10・・・コア
20・・・ループアンテナ
30・・・磁性部材
31・・・一面
32・・・凸部
40・・・磁力線
100・・・アンテナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレメントが少なくとも1以上の周回をもって巻回されたループアンテナと、
前記ループアンテナの近傍に配置された磁性部材と、を備えるアンテナ装置であって、
前記ループアンテナは、前記磁性部材の一面上にその全てが配置され、
前記磁性部材は、前記ループアンテナから生じる磁界の生成範囲が、前記ループアンテナの中心軸に対して略垂直な方向において前記磁性部材が配置されない状態よりも広くなるように、前記ループアンテナに対して大きく設けられていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記磁性部材は、車両のボディを構成するボディ構成部材であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記ループアンテナは、前記磁性部材の一面に対して、高さ方向に複数周巻回されている特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記ループアンテナの巻回の中心軸が、前記磁性部材の一面と略垂直となっていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
磁性材料からなる柱状のコアを備え、
前記ループアンテナは、前記コアに巻回されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記コアは、前記磁性部材と磁気的に結合されていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記磁性部材の一面に凸部が形成され、
前記凸部に、前記ループアンテナが巻回されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記磁性部材は、使用周波数に対する比透磁率が10よりも大きい材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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