説明

アンテナ装置

【課題】カバーの温度が過度に上昇することを防止することが求められる。
【解決手段】実施形態のアンテナ装置は、漏洩同軸ケーブル、電気デバイスおよびカバーを含む。カバーは、長手方向に沿って第1および第2の端部を有した細長い内部空間と第1および第2の端部のそれぞれの近傍で内部空間と外部とをつなぐ第1および第2の通気孔とを形成し、内部空間に漏洩同軸ケーブルおよび電気デバイスを収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、漏洩同軸ケーブルを細長いカバーに収容したタワー型のアンテナ装置を用いて無線通信のスポットサービスを提供するシステムを構想している。
【0003】
そしてアンテナ装置には、香気やイオンの放出などの付加的なサービスを提供するための電気デバイスを搭載することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−236745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなアンテナ装置では、電気デバイスで生じた熱によりカバーの温度が高められてしまうおそれがある。
【0006】
このような事情から、カバーの温度が過度に上昇することを防止することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のアンテナ装置は、漏洩同軸ケーブル、電気デバイスおよびカバーを含む。カバーは、長手方向に沿って第1および第2の端部を有した細長い内部空間と第1および第2の端部のそれぞれの近傍で内部空間と外部とをつなぐ第1および第2の通気孔とを形成し、内部空間に漏洩同軸ケーブルおよび電気デバイスを収容する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る無線通信機の斜視図。
【図2】第1の実施形態に係る無線通信機の一部断面図。
【図3】第2の実施形態に係る無線通信機の一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下実施の形態を図面を用いて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置1の斜視図である。
【0011】
アンテナ装置1は、カバー11および支持台12を含む。
【0012】
カバー11は、細長い円筒状をなす。カバー11は、その一端側に、発光窓11a、通気孔群11bおよび表示窓11cをそれぞれ有する。カバー11は、その他端側にセンサ窓11dを有する。発光窓11aは、光を透過する。通気孔群11bは、空気を通す複数の通気孔を配列したものである。通気孔群11bの各通気孔は、カバー11の内部空間と外部とをつなぐようにカバー11を貫通する。表示窓11cは、透明な窓である。センサ窓11dは、赤外線を透過する。なお、発光窓11a、通気孔群11b、表示窓11cおよびセンサ窓11dの位置および形状は、それぞれ任意に変更が可能である。
【0013】
支持台12は、底面が平坦であり、この底面がアンテナ装置1の設置場所における床面に接する。支持台12は、カバー11の長手方向が支持台12の底面にほぼ直交する方向に向くようにカバー11のセンサ窓11dが設けられた側の端部を保持する。つまり、上記の床面がほぼ水平面をなしているならば、支持台12はカバー11をその長手方向がほぼ鉛直方向を向く姿勢で支持する。支持台12は、スリット状の複数の通気孔12aを有する。本実施形態では支持台12は、等間隔に4つの通気孔12aを有する。ただし、通気孔12aの形状および数は任意であって良い。
【0014】
図2はアンテナ装置1の一部断面図である。なお、図2においては、図1に示されるのと同一の部分には同一の符号を付している。
【0015】
図2は、カバー11および支持台12を破断して示す。図2に示すように、カバー11は中空であり、細長い内部空間11eを形成する。ただし図2においては、発光窓11aおよびセンサ窓11dの図示は省略している。またカバー11は、その内部に配置されるデバイスを支持するための構造を持つが、それらの図示は省略している。
【0016】
カバー11は、通気孔12aと同数の通気孔11fを有する。複数の通気孔11fと複数の通気孔12aとは、それぞれ1つずつがペアとなる。通気孔11fは、ペアとなる通気孔12aと連通する状態で形成される。かくしてペアとなる通気孔11fと通気孔12aとが、内部空間11eと外部とをつなぐ通気孔を形成する。
【0017】
かくしてカバー11は、内部空間11eの一端の近傍に通気孔群11bに含まれる通気孔を有し、内部空間11eの他端の近傍に通気孔11fおよび通気孔12aにより形成される通気孔を有する。
【0018】
アンテナ装置1は、カバー11および支持台12に加えて、漏洩同軸(LCX)ケーブル13、バイアス・ティー14,15、終端器16、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19、表示器20、人感センサ21および電源スイッチ22を含む。これらの各デバイスは、内部空間11eに配置される。なお、図2においては、カバー11内における各デバイスの大まかな位置と電気的な接続状態とを模式的に表している。
【0019】
LCXケーブル13は、一端から供給された高周波信号を他端に向けて伝送するとともに、この高周波信号のエネルギの一部を中間部に設けられたスロットから電波として放射する。またLCXケーブル13は、周囲の電磁波に応じて生じる高周波信号を伝送する。LCXケーブル13は、カバー11の長手方向に沿って、ほぼ直線状で配置される。
【0020】
バイアス・ティー14は、キャパシタ14aとインダクタ14bとを含む。キャパシタ14aの一端、インダクタ14bの一端およびLCXケーブル13の第1の端部が互いに接続されている。キャパシタ14aの他端は、無線回路2の高周波信号の入出力端子に接続される。インダクタ14bの他端には、ACアダプタ4が出力する直流電圧が電源スイッチ22を介して供給される。
【0021】
バイアス・ティー15は、キャパシタ15aとインダクタ15bとを含む。キャパシタ15aの一端、インダクタ15bの一端およびLCXケーブル13の第2の端部が互いに接続されている。キャパシタ15aの他端は、終端器16に接続される。インダクタ15bの他端は、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20のそれぞれの電源端子に接続される。
【0022】
終端器16は、典型的には電気抵抗器であり、LCXケーブル13の第2の端部のインピーダンスを整合し、第2の端部における高周波信号の反射を抑える。
【0023】
LEDインジケータ17は、LED(light emitting diode)を発光源として含み、そのLEDが発した光が発光窓11aよりカバー11の外部へと出射されるように配置される。LEDインジケータ17は、発光状態を変化させることで、アンテナ装置1の動作状態などを表示する。
【0024】
アロマ・ディフューザ18は、芳香をもつ化合物を発生する。
【0025】
ピコイオン発生器19は、微細なイオンを発生する。
【0026】
表示器20は、任意の画像、動画、文字などを表示する。表示器20は、その表示面を表示窓11cに向けて配置され、表示した画像、動画、文字などを表示窓11cを介してカバー11の外部から目視できる。表示器20としては、液晶表示デバイス(LCD)などの周知の表示デバイスが利用できる。
【0027】
人感センサ21は、赤外線を利用してアンテナ装置1に近接して存在する人間を検出する。人感センサ21は、人間を検出しているか否かを表す検出信号を出力する。人感センサ21は、赤外線以外の例えば超音波などを利用して人間を検出するデバイスにて代替することも可能である。
【0028】
電源スイッチ22は、人感センサ21が出力する検出信号に応じてオン・オフする。
【0029】
無線回路2は、LAN(local area network)回線などの通信回線3に接続される。無線回路2は、通信回線3を介して送られてくる伝送データをLCXケーブル13から無線送信するための高周波信号を生成する。また無線回路2は、LCXケーブル13で生じた高周波信号から伝送データを抽出して通信回線3へと送出する。無線回路2は、ACアダプタ4がAC電源から生成した直流電圧が電源スイッチ22を介して供給され、この直流電圧を動作電圧として動作する。
【0030】
次に以上のように構成されたアンテナ装置1の動作について説明する。
【0031】
アンテナ装置1に人間が近づき、それを人感センサ21が検出すると、電源スイッチ22がオンとなる。これにより、ACアダプタ4が出力する直流電圧が無線回路2に供給されるようになり、無線回路2が動作する。
【0032】
無線回路2が入出力端子から出力する高周波信号は、キャパシタ14aを通過するが、インダクタ14bは通過しない。一方でACアダプタ4が出力する直流電圧は、インダクタ14bを通過するが、キャパシタ14aは通過しない。かくして、高周波信号に直流電圧が重畳された伝送信号がバイアス・ティー14によって生成される。つまり、バイアス・ティー14は、重畳回路として機能する。
【0033】
LCXケーブル13は、バイアス・ティー14から第1の端部へと伝送信号が供給されると、この伝送信号を第2の端部に向けて伝送するとともに、伝送信号に含まれる高周波信号のエネルギの一部を電波として放射する。なお、伝送信号に含まれる高周波信号のうちの電波として放射されなかったものは、バイアス・ティー15においてキャパシタ15aを通過し、終端器16によって終端される。一方で、LCXケーブル13の周囲の電磁波によりLCXケーブル13に生じた高周波信号は、バイアス・ティー14においてキャパシタ14aを通過し、無線回路2の入出力端子に与えられる。かくして、アンテナ装置1の近くに存在する無線端末は、アンテナ装置1を介して通信回線3にアクセスできる。つまりアンテナ装置1および通信回路3は、無線アクセスポイントを提供する。
【0034】
一方、伝送信号に含まれる直流電圧は、バイアス・ティー15においてインダクタ15bを通過し、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20の電源端子に供給される。かくしてLEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20に動作電圧が供給されることになり、これらの各部が動作する。このように、バイアス・ティー15は、伝送信号から高周波信号と直流電圧とを分離しており、分離回路として動作する。
【0035】
そして、高周波信号はインダクタ14b,15bによって阻止され、無線回路2、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20の電源端子と、ACアダプタ4の出力端子とには与えられない。従って、無線回路2、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20への供給電圧は一定に維持されて、高周波信号に起因する電源変動により異常動作が生じることがない。また、ACアダプタ4の出力端子へと高周波信号が入力されてしまうことがなく、高周波信号に起因する障害をACアダプタ4に生じさせてしまうことがない。
【0036】
さて、以上のような動作のなかで、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20は発熱する。これらの電気デバイスの発熱によって内部空間11eの温度が上昇すると、対流による上昇気流が内部空間11eに生じる。この結果、通気孔12aおよび通気孔11eを介して内部空間11eへと流入し、内部空間11eを流れ、通気孔群11bを介して内部空間11eから流出する図2に破線矢印で示すような気流が生じる。
【0037】
以上のようにアンテナ装置1によれば、上記のように内部空間11eに生じる気流によって、内部空間11eの熱が外部へと放出され、内部空間11eの温度が過度に上昇することが防止される。
【0038】
また、アロマ・ディフューザ18は発生した化合物およびピコイオン発生器19が発生したイオンを含む空気は、上記の気流によって通気孔群11bを介してカバー11の外部へと効率的に放出される。
【0039】
(第2の実施形態)
図3は第2の実施形態に係るアンテナ装置5の一部断面図である。なお、図3においては、図1および図2に示されるのと同一の部分には同一の符号を付している。
【0040】
アンテナ装置5がアンテナ装置1と異なるのは、ファン51を備えることである。
【0041】
ファン51は、内部空間11eに配置される。ファン51は、バイアス・ティー15においてインダクタ15bを通過した直流電圧により動作する。ファン51は、内部空間11eの下方から上方に向かう気流を生じさせる。
【0042】
次に以上のように構成されたアンテナ装置5の動作について説明する。
【0043】
アンテナ装置5に人間が近づいているために電源スイッチ22がオンとなっているとき、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20が動作するとともに、ファン51も動作する。ファン51は、内部空間11eの下方から上方に向かう気流を生じさせる。この結果、通気孔12aおよび通気孔11eを介して内部空間11eへと流入し、内部空間11eを流れ、通気孔群11bを介して内部空間11eから流出する図3に破線矢印で示すような気流が生じる。
【0044】
以上のようにアンテナ装置5によれば、上記のように内部空間11eに生じる気流によって、内部空間11eの熱が外部へと放出され、内部空間11eの温度が過度に上昇することが防止される。そしてアンテナ装置5においては、ファン51によって気流を起こすため、アンテナ装置1よりも強い気流を確実に生じさせることができ、内部空間11eをアンテナ装置1よりも確実に冷却できる。
【0045】
なお、アンテナ装置5によれば、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19、表示器20およびファン51などの電気デバイスに動作電圧を供給するための電源ケーブルをLCXケーブル13に並行して設けておらず、そのような電源ケーブルを設ける場合に比べて内部空間11eを整然とすることが可能である。
【0046】
またアンテナ装置1では、アンテナ装置1の近辺に人間が存在しないときには、バイアス・ティー14への直流電圧の供給を停止するので、電力消費量を低減することができる。そして本実施形態においては、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20はいずれもアンテナ装置1に近接している人間に対するサービスを提供するデバイスであるから、そのようなサービス対象となる人間が存在しない状態においては、動作を停止することができる。そしてLEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20が動作を停止しているときには、これらの電気デバイスの発熱が生じないから、ファン51の動作を停止することができる。
【0047】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0048】
カバー11のうちの支持台12によって覆われていない部分に通気孔11fを設け、通気孔12aは設けなくても良い。
【0049】
電気デバイスは、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20の一部を含まなくても良いし、それらのデバイス以外の種々のデバイスを含んでも良い。つまり、バイアス・ティー15により分離された直流電圧を動作電圧とする電気デバイスとしては、LEDインジケータ17、アロマ・ディフューザ18、ピコイオン発生器19および表示器20と、それ以外の種々のデバイスとのうちの少なくとも1つを含んでいれば良い。
【0050】
ファン51へ、LCXケーブル13とは別の電源ケーブルを用いて直流電圧を供給しても良い。
【0051】
ファン51は、電源スイッチ22を介さずに直流電圧を供給しても良い。
【0052】
人感センサ21および電源スイッチ22は、アンテナ装置5に設けなくても良い。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1,5…アンテナ装置、2…無線回路、3…通信回線、4…ACアダプタ、11…カバー、11a…発光窓、11b…通気孔群、11c…表示窓、11d…センサ窓、11e…内部空間、11f…通気孔、12…支持台、12a…通気孔、13…漏洩同軸(LCX)ケーブル、14,15…バイアス・ティー、14a,15a…キャパシタ、14b,15b…インダクタ、16…終端器、17…LEDインジケータ、18…アロマ・ディフューザ、19…ピコイオン発生器、20…表示器、21…人感センサ、22…電源スイッチ、51…ファン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏洩同軸ケーブルと、
電気デバイスと、
長手方向に沿って第1および第2の端部を有した細長い内部空間と前記第1および第2の端部のそれぞれの近傍で前記内部空間と外部とをつなぐ第1および第2の通気孔とを形成し、前記内部空間に前記漏洩同軸ケーブルおよび前記電気デバイスを収容するカバーとを具備したアンテナ装置。
【請求項2】
前記カバーを、前記長手方向をほぼ鉛直方向に向ける姿勢で支持する支持台をさらに備える請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記内部空間に気流を生じさせるファンをさらに備える請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
高周波信号と直流電圧とを重畳し、これにより得た伝送信号を前記漏洩同軸ケーブルの
一端に供給する重畳回路と、
前記漏洩同軸ケーブルの他端に接続され、前記漏洩同軸ケーブルで伝送された前記伝送信号から前記高周波信号と前記直流電圧とを分離する分離回路とをさらに具備し、
前記ファンは、前記分離回路が分離した前記直流電圧によって動作する請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
人間の近接を検出する人感センサと、
前記人感センサにより前記近接が検出されていないときには前記重畳回路への前記直流電圧の入力を遮断するスイッチとをさらに具備する請求項4に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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