説明

アントラセン誘導体及びそれを用いた正孔輸送材料、発光素子、発光装置、電子機器

【課題】駆動電圧が低い長寿命な発光素子を得る物質を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を作製するための材料として用いることのできる物質に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ等に利用されている発光素子の多くは、一対の電極間に発光物質を含む層が挟まれた構造を有する。このような発光素子では、一方の電極から注入された電子と他方の電極から注入された正孔とが再結合することによって形成された励起子が、基底状態に戻るときに発光する。
【0003】
発光素子の分野では、発光効率が高く、劣化が少ない長寿命な発光素子を得るために、素子を作製するための材料となる物質について様々な研究が行われている。
【0004】
ところで、発光素子の劣化の一因として、発光素子を構成する物質の結晶化が挙げられる。特許文献1では、非晶質状態を保ちやすいジフェニルアントラセン誘導体が開示されている。また、前記ジフェニルアントラセン誘導体を用いて形成された発光素子において、輝度及び駆動電圧の改善が見られたことが記載されている。
【特許文献1】特開2004−210786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のジフェニルアントラセン誘導体を用いて形成された発光素子は駆動電圧が高く、低消費電力化や電源の小型化のために発光素子を低電圧駆動させるという要求を満たすことができなかった。
【0006】
そこで、本発明では、より駆動電圧が低い長寿命な発光素子を得るために寄与しえる物質について提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一は、一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である。
【化01】

【0008】
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R17は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。
【0009】
本発明の一は、一般式(2)で表されるアントラセン誘導体である。
【化02】

【0010】
一般式(2)において、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R13は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。
【0011】
本発明の一は、一般式(3)で表されるアントラセン誘導体である。
【化03】

【0012】
一般式(3)において、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。
【0013】
本発明の一は、一般式(1)〜(3)のいずれか一において、前記R〜Rのいずれかを炭素数3のアルキル基とするアントラセン誘導体である。
【0014】
本発明の一は、構造式(4)で表されるアントラセン誘導体である。
【化04】

【0015】
本発明の一は、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される正孔輸送材料である。
【0016】
本発明の一は、一対の電極間に、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表されるアントラセン誘導体を有する発光素子である。
【0017】
本発明の一は、一対の電極間に、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される正孔輸送材料を有する発光素子である。
【0018】
本発明の一は、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表されるアントラセン誘導体を有する発光素子を画素部に用いる発光装置である。
【0019】
本発明の一は、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表されるアントラセン誘導体を有する発光素子を、表示部又は光源部に少なくとも含み、当該発光素子を駆動する制御部を含むことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、結晶化し難い、キャリア輸送性に優れたアントラセン誘導体を得ることができる。また、このような物質を有する本発明の発光素子は、駆動電圧の低減及び長寿命化を実現することができる。さらに、前記発光素子を用いて発光装置を作製することにより、低消費電力で長寿命な信頼性の高い発光装置及びそれを具備する電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
本発明の一態様は、構造式(4)〜(24)で表されるアントラセン誘導体である。
【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
【化10】

【0029】
【化11】

【0030】
以上に述べた本発明のアントラセン誘導体は、嵩高い構造であるため、結晶化やアントラセン骨格の二量化を抑制することができる。また、優れたキャリア輸送性を有する。
【0031】
(実施の形態2)
一般式(25)で表される本発明のアントラセン誘導体の合成方法について、以下に説明する。なお、本発明のアントラセン誘導体は、本実施形態に記載した合成方法に限定されるものではなく、その他の合成方法によって合成しても良い。
【0032】
【化12】

【0033】
なお、一般式(25)において、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Rは上記一般式(26)または(27)を表し、R〜R22は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。
【0034】
合成スキーム(a−1)で表されるように、一般式(26)または一般式(27)を有する臭化物やヨウ化物等のハロゲン化物とアルキルリチウムとを反応させ、得られた化合物とアントラキノン骨格を有する化合物とを反応させ、さらに水を加ることにより、出発物質に対応したジオール体(化合物A)を調製することができる。
【化13】

【0035】
このようにして得られた化合物Aのヒドロキシル基の脱離反応により、本発明のアントラセン誘導体を得ることができる。なお、合成スキーム(a−2)を以下に示す。
【化14】

【0036】
以上のようにして得られたアントラセン誘導体は、嵩高い構造であるため、結晶化やアントラセン骨格の二量化を抑制することができる。また、優れたキャリア輸送性を有する。
【0037】
(実施の形態3)
本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
【0038】
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間には、発光層113の他、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115等も設けられている。これらの層は、第1の電極101の電位が第2の電極102の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに、第1の電極101側から正孔が注入され第2の電極102側から電子が注入されるように積層されている。
【0039】
このような発光素子において、第1の電極101から注入された正孔と、第2の電極102から注入された電子とは、発光層113において再結合し、発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質が基底状態に戻るときに発光する。なお、発光物質とは、ルミネセンス(エレクトロルミネセンス)が得られる物質であれば良い。
【0040】
発光層113を形成する物質について特に限定はなく、発光物質のみから形成された層であっても良いが、濃度消光を生じる場合には発光物質が有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質(ホスト)からなる層中に発光物質が分散するように混合された層であることが好ましい。これによって、発光物質の濃度消光を防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとは最低空分子軌道(LUMO:Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位と最高被占分子軌道(HOMO:Highest Occupied Molecular Orbital)準位とのエネルギー差をいう。
【0041】
また、発光物質についても特に限定はなく、所望の発光波長の発光をし得る物質を用いればよい。例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(BAlq)、9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。
【0042】
発光物質を分散状態にするために用いる物質についても特に限定はなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、または4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)等の金属錯体等を用いることができる。また、本発明のアントラセン誘導体を発光物質を分散状態にするために用いる物質として使用することも可能である。
【0043】
第1の電極101を形成する陽極材料は特に限定はされないが、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。このような陽極材料の具体例としては、金属材料の酸化物として、インジウム錫酸化物(略称:ITO)、酸化珪素を含有するITO、酸化インジウムに2〜20[wt%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成されるインジウム亜鉛酸化物(略称:IZO)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、TiN)等を挙げることができる。
【0044】
一方、第2の電極102を形成する物質としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。また、第2の電極102と発光層113との間に、電子注入性に優れた層を当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITOや酸化珪素を含有するITO等の第1の電極101の材料として挙げた材料も含めた様々な導電性材料を第2の電極102として用いることができる。また、後述する電子注入層115に、特に電子を注入する機能に優れた材料を用いることにより同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極101と第2の電極102のいずれか一または両方がITO等の透明電極、または可視光が透過出来るような数〜数十nmの厚さで形成された電極であることが好ましい。
【0046】
第1の電極101と発光層113との間には、図1に示すように正孔輸送層112を有する。正孔輸送層とは、第1の電極101から注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層112を設け、第1の電極101と発光層113とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
【0047】
なお、正孔輸送層112には、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される本発明のアントラセン誘導体によって形成された層を用いる。本発明のアントラセン誘導体は、嵩高い構造であるため、結晶化やアントラセン骨格の二量化を抑制することができる。また、優れたキャリア輸送性を有する。そのため、本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、結晶化し難い正孔輸送性に優れた正孔輸送層112を形成することができる。
【0048】
正孔輸送層112は、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される本発明のアントラセン誘導体から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造であってもよい。
【0049】
また、第2の電極102と発光層113との間には、図1に示すように電子輸送層114を有していてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極102から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層114を設け、第2の電極102と発光層113とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
【0050】
電子輸送層114について特に限定はなく、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等によって形成されたものを用いることができる。この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体等によって形成されたものであってもよい。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いて形成されたものであってもよい。電子輸送層114は、以上に記載したような正孔の移動度よりも電子の移動度が高い物質を用いて形成することが好ましい。また、電子輸送層114は、10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することがより好ましい。なお、電子輸送層114は、以上に述べた物質から成る層を二以上組み合わせて形成した多層構造であってもよい。
【0051】
さらに、第1の電極101と正孔輸送層112との間には、図1に示すように、正孔注入層111を有していてもよい。ここで、正孔注入層とは、陽極として機能する電極から正孔輸送層112へ正孔の注入を促す機能を有する層である。
【0052】
正孔注入層111について特に限定はなく、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物によって形成されたものを用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)等の芳香族アミン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
【0053】
また、前記金属酸化物と、正孔輸送性の高い物質とを混合したものを、第1の電極101と正孔輸送層112との間に設けても良い。このような層は、厚膜化しても駆動電圧の上昇を伴わないため、層の膜厚を調整することでマイクロキャビティ効果や光の干渉効果を利用した光学設計を行うことができる。そのため、色純度に優れ、視野角に依存する色変化などが小さい高品質な発光素子を作製することができる。また、第1の電極101の表面に成膜時に発生する凹凸や電極表面に残った微少な残渣の影響で第1の電極101と第2の電極102がショートすることを防ぐ膜厚を選ぶことができる。なお、前記正孔輸送性の高い物質として本発明のアントラセン誘導体や9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)を用いても良い。
【0054】
また、第2の電極102と電子輸送層114との間には、図1に示すように、電子注入層115を有していてもよい。ここで、電子注入層とは、陰極として機能する電極から電子輸送層114へ電子の注入を促す機能を有する層である。なお、電子輸送層を特に設けない場合は、陰極として機能する電極と発光層との間に電子注入層を設け、発光層への電子の注入を補助してもよい。
【0055】
電子注入層115について特に限定はなく、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いて形成されたものを用いることができる。この他、Alqまたは4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(BzOs)等のように電子輸送性の高い物質と、マグネシウムまたはリチウム等のようにアルカリ金属又はアルカリ土類金属とを混合したものも、電子注入層115として用いることができる。
【0056】
以上に説明した本実施の形態に係る発光素子において、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
【0057】
また、本実施の形態に係る発光素子において、正孔注入層111に本発明のアントラセン誘導体を用いた場合、正孔輸送層112は本発明のアントラセン誘導体でなくても良い。その場合、正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、正孔輸送性の高い物質とは、電子よりも正孔の移動度が高い物質をいう。正孔輸送層112を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。
【0058】
以上のように正孔輸送材料に本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、駆動電圧が低い長寿命な発光素子を得ることができる。なお、本発明の発光素子において、本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として少なくとも一層に有していれば良い。
【0059】
また、本発明のアントラセン誘導体は青色系の発光物質として用いることも可能である。発光物質に本発明のアントラセン誘導体を用いることにより、高い量子効率を示す発光素子を得ることができる。
【0060】
(実施の形態4)
本実施形態では、本発明を適用した発光装置の一態様について図2を用いて説明する。なお、図2(A)は、発光装置を示す上面図、図2(B)は図2(A)中A−A’線断面図(A−A’で切断した断面図)である。図2(A)、(B)それぞれにおいて、対応するものは同一の符号を用いて表している。200は基板、点線で示された201は駆動回路部(ソース側駆動回路)、202は画素部、203は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、204は封止基板、205はシール材であり、シール材205で囲まれた内側は、空間206になっている。
【0061】
なお、207は、ソース側駆動回路201またはゲート側駆動回路203に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)208からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示していないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていてもよい。本発明の発光装置には、発光装置本体だけの場合はもちろん、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0062】
次に、断面構造について図2(B)を用いて説明する。基板200上には駆動回路部および画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路201と、画素部202が示されている。
【0063】
なお、ソース側駆動回路201はnチャネル型薄膜トランジスタ221とpチャネル型薄膜トランジスタ222とを組み合わせたCMOS回路で形成されている。また、駆動回路を形成する薄膜トランジスタは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成してもよい。また、本実施形態では、画素部と同一基板上に駆動回路を形成した例について示しているが、必ずしもその必要はなく駆動回路を外部に形成することもできる。
【0064】
また、画素部202はスイッチング用薄膜トランジスタ211と、電流制御用薄膜トランジスタ212と、そのドレインに電気的に接続された第1の電極213とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極213の端部を覆って絶縁物214が形成されている。
【0065】
また、後に形成される発光物質を含む層215の成膜を良好なものとするため、絶縁物214の上端部または下端部の断面が曲率を有する曲面となるように形成することが好ましい。例えば、絶縁物214の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物214の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物214として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。さらには、絶縁物214の材料として有機物に限らず酸化珪素、酸窒化珪素等の無機物も用いることできる。
【0066】
また、第1の電極213上には、発光物質を含む層215および第2の電極216が形成されている。
【0067】
第1の電極213と発光物質を含む層215と第2の電極216とを有する発光素子217は、本発明のアントラセン誘導体を有する発光素子である。発光物質を含む層215の少なくとも一層に、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いていれば、その他については特に限定されない。なお、第1の電極213、発光物質を含む層215、及び第2の電極216は、実施の形態3に記載した各々の材料を適宜選択して用いることができる。
【0068】
さらに、シール材205を用いて封止基板204を基板200と貼り合わせることにより、基板200、封止基板204、およびシール材205で囲まれた空間206に発光素子217が備えられた構造になっている。なお、空間206には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材205で充填される構成も含むものとする。
【0069】
シール材205にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板204に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。以上のように、発光装置を作製することができる。
【0070】
なお、第1の電極213および第2の電極216がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、第1の電極213側と第2の電極216側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極216のみが透光性を有する物質で構成されている場合、第2の電極216側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極213が反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極213の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極213のみが透光性を有する物質で構成されている場合、第1の電極213側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極216が反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極216の上方に設けられていることが好ましい。
【0071】
また、発光素子217は、第1の電極213の電位よりも第2の電極216の電位が高くなるよう電圧を印加したときに動作するよう発光物質を含む層215が積層されたものであってもよいし、第1の電極213の電位よりも第2の電極216の電位が低くなるよう電圧を印加したときに動作するよう発光物質を含む層215が積層されたものであってもよい。
【0072】
以上のようにして結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いることにより、低消費電力で長寿命な信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0073】
本実施形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、それぞれの画素に薄膜トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させる、パッシブ型の発光装置であってもよい。
【0074】
なお、本実施形態は、実施形態1〜3および後述する実施例1〜4と自由に組み合わせることができる。
【0075】
(実施の形態5)
本実施形態では、本発明を適用したパッシブ型の発光装置の一態様について図3(A)、(B)を用いて説明する。図3(A)、(B)は、それぞれ、本発明を適用したパッシブ型の発光装置の斜視図と上面図である。なお、図3(A)は、図3(B)の点線308で囲まれた部分について斜視した図である。図3(A)、(B)のそれぞれにおいて、対応するものは同一の符号を用いて表している。図3(A)において、第1の基板301上には、複数の第1の電極302が並列に設けられている。第1の電極302のそれぞれの端部は、隔壁層303で覆われている。最も手前に位置している第1の電極302においても端部が隔壁層303によって覆われているが、図3(A)では第1の基板301上に設けられた第1の電極302と隔壁層303とが配置されている様子を分かり易くする為に図示していない。第1の電極302の上方には複数の第2の電極305が、第1の電極302と交差するように並列に設けられている。第1の電極302と第2の電極305との間には発光物質を含む層304が設けられている。なお、第1の電極302と第2の電極305とが交差した部分は、電極間に発光物質を含む層304を挟んでおり、本発明の発光素子を構成している。発光物質を含む層304の少なくとも一層に、一般式(1)〜(3)のいずれか一で表される本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いていれば、その他については特に限定されない。なお、第1の電極302、発光物質を含む層304、及び第2の電極305は、実施の形態3に記載した各々の材料を適宜選択して用いることができる。また、第2の電極305の上には第2の基板309が設けられている。
【0076】
図3(B)に表されるように、第1の電極302は第1の駆動回路306に接続し、第2の電極305は第2の駆動回路307に接続している。そして、第1の駆動回路306および第2の駆動回路307からの信号によって選択された本発明の発光素子が発光する。発光は、第1の電極302及び/又は第2の電極305を介して外部へ取り出される。そして、複数の発光素子からの発光が組み合わさり映像が映し出される。なお、図3(B)では、第1の電極302及び第2の電極305それぞれの配置を分かり易くする為に隔壁層303及び第2の基板309については図示していない。
【0077】
第1の電極302および第2の電極305がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、第1の電極302側と第2の電極305側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極305のみが透光性を有する物質で構成されている場合、第2の電極305側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極302は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極302の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極302のみが透光性を有する物質で構成されている場合、第1の電極302側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極305は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極305の上方に設けられていることが好ましい。隔壁層303は、実施の形態4に記載されている絶縁物214と同様の材料を用いて形成することができる。
【0078】
以上のようにして結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いることにより、低消費電力で長寿命な信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0079】
なお、本実施形態は、実施形態1〜3および後述する実施例1〜4と自由に組み合わせることができる。
【0080】
(実施の形態6)
本実施形態では、本発明の発光素子を有する発光装置を用いて完成させた様々な電子機器について説明する。本発明の発光素子が有するアントラセン誘導体は、結晶化し難く、キャリア輸送性に優れている。よって、消費電力が低く、長寿命な信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0081】
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話器、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。電子機器のいくつかの具体例を図4及び図14を用いて説明する。本発明の発光装置を用いた電子機器はこれら例示の具体例に限定されない。
【0082】
図4(A)は表示装置であり、筐体400、支持台401、表示部402、スピーカー部403、ビデオ入力端子404等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部402に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナルコンピューター用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。
【0083】
表示部402には本発明の発光素子が設けられている。当該発光素子は、前記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いた層を有している。よって、本発明の発光素子を用いることで、消費電力が低く、長寿命な信頼性の高い表示装置を得ることができる。
【0084】
図4(B)はパーソナルコンピュータであり、本体410、筐体411、表示部412、キーボード413、外部接続ポート414、ポインティングマウス415等を含む。
【0085】
表示部412には本発明の発光素子が設けられている。当該発光素子は、前記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いた層を有している。よって、本発明の発光素子を用いることで、消費電力が低く、長寿命な信頼性の高い表示部を有するパーソナルコンピュータを得ることができる。
【0086】
図4(C)はビデオカメラであり、本体420、表示部421、筐体422、外部接続ポート423、リモコン受信部424、受像部425、バッテリー426、音声入力部427、操作キー428、接眼部429等を含む。
【0087】
表示部421には本発明の発光素子が設けられている。当該発光素子は、前記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いた層を有している。よって、本発明の発光素子を用いることで、消費電力が低く、長寿命な信頼性の高い表示部を有するビデオカメラを得ることができる。
【0088】
また、図4(D)はデジタルカメラであり、本体430、表示部431、シャッター432、操作キー433、アンテナ434、撮像部等を含む。なお、図4(D)は表示部431側からの図であり、撮像部は示していない。
【0089】
本発明のデジタルカメラは、アンテナ434から映像信号や音声信号等の信号を受信することにより、テレビ受像器などの表示媒体として表示部431を機能させてもよい。なお、表示媒体として機能させる場合のスピーカー、操作スイッチ等は適宜設ければよい。
【0090】
なお、表示部431には本発明の発光素子が設けられている。当該発光素子は、前記一般式(1)〜(3)で表されるいずれか一のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いた層を有している。よって、本発明の発光素子を用いることで、消費電力が低く、長寿命な信頼性の高い表示部を有するデジタルカメラを得ることができる。
【0091】
図14は携帯電話機440であり、操作スイッチ類441、マイクロフォン442などが備えられた本体(A)443と、表示パネル(A)444、表示パネル(B)445、スピーカ446などが備えられた本体(B)447とが、蝶番448で開閉可能に連結されている。表示パネル(A)444と表示パネル(B)445は、回路基板449と共に本体(B)447の筐体450の中に収納される。表示パネル(A)444及び表示パネル(B)445の画素部は筐体450に形成された開口窓から視認できように配置される。回路基板449には、信号処理回路451と光センサ452が備えられている。この光センサ452は外光強度を測定するためのものである。
【0092】
表示パネル(A)444と表示パネル(B)445は、実施の形態3で説明したように、本発明に係るアントラセン誘導体を用いて作製された発光素子で画素が形成されている。表示パネル(A)444と表示パネル(B)445における画素数は携帯電話機440の機能に応じて仕様を適宜設定することができる。例えば、表示パネル(A)444を主画面とし、表示パネル(B)445を副画面として組み合わせることができる。その場合、表示パネル(A)444を図2で示すようなアクティブ型の表示パネルとし、表示パネル(B)445を図3で示すパッシブ型の表示パネルとして組み合わせることもできる。
【0093】
そして、表示パネル(A)444を文字や画像を表示する高精細のカラー表示画面とし、表示パネル(B)445を文字情報を表示する単色の情報表示画面とすることができる。特に、表示パネル(A)444をアクティブマトリクス型として、高精細化をすることにより、さまざまな文字情報を表示し、一画面当たりの情報表示密度を向上させることができる。例えば、表示パネル(A)444を、2〜2.5インチで64階調、26万色のQVGA(320ドット×240ドット)とし、表示パネル(B)445を、単色で2〜8階調、180〜220PPIの表示パネルとして、ローマ字、ひらがな、カタカナをはじめ、漢字、ハングル文字、絵文字や、固定キャラクターの表示することができる。
【0094】
表示パネル(A)444及び表示パネル(B)445の一方又は双方に、結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いることにより、低消費電力で長寿命な信頼性の高い携帯電話機を得ることができる。これにより、長時間の連続使用を可能となり、バッテリを小型化できるため、携帯電話機の軽量化を図ることができる。
【0095】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の表示装置に用いることが可能である。また、本実施の形態に係る電子機器は実施の形態1〜5および後述する実施例1〜4のいずれかの構成と適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0096】
本発明の有機金属錯体の合成例について説明する。ただし、本発明は、以下に示す合成例の有機金属錯体に限定されるものではない。
【0097】
《合成例1》
本合成例は、前述した構造式(4)で表される9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)の合成例である。
【0098】
(ステップ1)
p−ブロモビフェニル10.15gの乾燥テトラヒドロフラン(略称:THF)溶液100mLを−78℃に冷却し、これに1.58mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液27.6mLを滴下した。滴下終了後、−78℃で30分間攪拌した後2−tert−ブチルアントラキノン5gのTHF溶液約50mLを−78℃で滴下し、滴下終了後室温で5時間攪拌した。この溶液に水を加え、酢酸エチルにて生成物を抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。最後に、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶液:ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(化合物B)を得た。ステップ1の合成スキーム(b−1)を以下に示す。
【0099】
【化15】

【0100】
(ステップ2)
上記で得られた9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン(化合物B)を酢酸170mLに溶解し、ヨウ化カリウム10.9g、ホスフィン酸ナトリウム一水和物を22.16gを加え、2時間還流を行った。反応溶液を冷却後、トルエンにて生成物を抽出した。トルエン層を水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。得られた残渣をトルエンとヘキサンで再結晶することで、9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン8.33gを得た(淡黄色個体、全収率56%)。ステップ2の合成スキーム(b−2)を以下に示す。
【0101】
【化16】

【0102】
なお、得られた個体を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明のアントラセン誘導体の一である9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)であることが分かった。図5にt−BuDBAのH−NMRチャートを示す。
【0103】
H−NMR δ(CDCl):7.89−7.70(m,12H),7.59−7.31(m,13H),1.28(s,9H)
【0104】
なお、得られたt−BuDBA3.46gを、アルゴンを流量3.0mL/minで流しながら、圧力6.7Pa、温度270℃で12時間昇華精製を行ったところ2.70gを回収し、回収率は78%であった。
【0105】
得られたt−BuDBAは、嵩高い構造であるため、結晶化やアントラセン骨格の二量化を抑制することができる。また、優れたキャリア輸送性を有する。
【実施例2】
【0106】
本実施例では、合成例1において合成された9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)を正孔輸送層として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について図6を用いて説明する。
【0107】
まず、ガラス基板500上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極501を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0108】
次に、第1の電極501が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後、真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極501上にt−BuDNAと三酸化モリブデンとを共蒸着によって50nmの膜厚となるように成膜し、正孔注入層511を形成した。なお、正孔注入層中の酸化モリブデンの比率は、体積比にして10vol%含まれるように調節した。
【0109】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDBAを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層512を形成した。
【0110】
さらに、AlqとDPQdとを共蒸着することにより、正孔輸送層512上に40nmの膜厚の発光層513を形成した。ここで、AlqとDPQdとの質量比は、1:0.005(=Alq:DPQd)となるように調節した。これによって、DPQdはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0111】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層513上にAlqを30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層514を形成した。
【0112】
さらに、電子輸送層514上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化リチウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層515を形成した。
【0113】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層515上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極502を形成した。
【0114】
以上のようにして、第1の電極501と第2の電極502の間に、正孔注入層511、正孔輸送層512、発光層513、電子輸送層514、電子注入層515を積層して発光素子を作製した。
【0115】
また、得られた発光素子を大気に曝さずにシール材を用いて窒素雰囲気下で封止を行った。本実施例で示した発光素子に対し、第2の電極502の電位よりも第1の電極501の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。結果を図7に示す。図7(a)は電流密度−輝度特性について、図7(b)は電圧−輝度特性について、図7(c)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。図7(a)において、横軸は電流密度(mA/cm)を表し、縦軸は輝度(cd/m)を表す。図7(b)において、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は輝度(cd/m)を表す。図7(c)において、横軸は輝度(cd/m)を表し、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
【0116】
これらの結果から、本実施例の発光素子は5.6Vの電圧を印加した時に1063cd/mの輝度で発光し、その時流れた電流は0.31mA(電流密度は7.65mA/cm)であった。また、この時の電流効率は13.9cd/Aであった。
【0117】
上述したように結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を正孔輸送層に用いることにより、駆動電圧が低い発光素子を得ることができた。また、発光素子の寿命も長くすることが可能である。
【実施例3】
【0118】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成された9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)を有する層を陽極と接する層として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について図8を用いて説明する。
【0119】
まず、ガラス基板600上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極601を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0120】
次に、第1の電極601が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極601上に、t−BuDBAと三酸化モリブデンとを共蒸着によって50nmの膜厚となるように成膜し、層611を形成した。なお、層611中の酸化モリブデンの比率は、体積比にして10vol%含まれるように調節した。
【0121】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層612を形成した。
【0122】
さらに、AlqとDPQdとを共蒸着することにより、正孔輸送層612上に40nmの膜厚の発光層613を形成した。ここで、AlqとDPQdとの質量比は、1:0.005(=Alq:DPQd)となるように調節した。これによって、DPQdはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0123】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層613上にAlqを30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層614を形成した。
【0124】
さらに、電子輸送層614上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化リチウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層615を形成した。
【0125】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層615上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極602を形成した。
【0126】
以上のようにして、第1の電極601と第2の電極602の間に、層611、正孔輸送層612、発光層613、電子輸送層614、電子注入層615を積層して発光素子を作製した。
【0127】
また、得られた発光素子を大気に曝さずにシール材を用いて窒素雰囲気下で封止を行った。本実施例で示した発光素子に対し、第2の電極602の電位よりも第1の電極601の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。結果を図9に示す。図9(a)は電流密度−輝度特性について、図9(b)は電圧−輝度特性について、図9(c)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。
【0128】
これらの結果から、本実施例の発光素子は5.8Vの電圧を印加した時に、1010cd/mの輝度で発光し、その時流れた電流は0.31mA(電流密度は7.87mA/cm)であった。また、この時の電流効率は12.8cd/Aであった。
【0129】
上述したように結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、駆動電圧の低い発光素子を得ることができた。
【0130】
また、作製した発光素子の信頼性試験を行った。信頼性試験とは以下のようにして行った。初期状態において、3000cd/mの輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を流し続け、或る時間が経過する毎に輝度を測定した。信頼性試験によって得られた結果を図10に示す。図10(a)に輝度の経時変化を、図10(b)に電圧の経時変化を示す。なお、図10(a)において横軸は発光時間(h)、縦軸はそれぞれの時間における初期輝度に対する輝度の割合、すなわち相対輝度(%)を表す。また、図10(b)において横軸は発光時間(h)、縦軸は電圧(V)を表す。
【0131】
図10(a)より、作製した発光素子は経時変化による輝度の低下が少なく、520hが経過した後においても初期輝度の80%の輝度を保つことが可能であることがわかった。また、図10(b)より経時的な電圧の上昇が少ないことがわかった。
【0132】
以上のことから、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は駆動電圧が低く、長寿命で信頼性が高いことがわかった。
【実施例4】
【0133】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成された9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)を有する層を陽極と接する層ならびに正孔輸送層として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について図11を用いて説明する。
【0134】
まず、ガラス基板700上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極701を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0135】
次に、第1の電極701が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極701上に、t−BuDBAと三酸化モリブデンとを共蒸着によって50nmの膜厚となるように成膜し、層711を形成した。なお、層711中の酸化モリブデンの比率は、体積比にして10vol%含まれるように調節した。
【0136】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、t−BuDBAを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層712を形成した。
【0137】
さらに、AlqとDPQdとを共蒸着することにより、正孔輸送層712上に40nmの膜厚の発光層713を形成した。ここで、AlqとDPQdとの質量比は、1:0.005(=Alq:DPQd)となるように調節した。これによって、DPQdはAlqから成る層中に分散した状態となる。
【0138】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層713上にAlqを30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層714を形成した。
【0139】
さらに、電子輸送層714上に、抵抗加熱による蒸着法によりフッ化リチウムを1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層715を形成した。
【0140】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層715上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極702を形成した。
【0141】
以上のようにして、第1の電極701と第2の電極702の間に、層711、正孔輸送層712、発光層713、電子輸送層714、電子注入層715を積層して発光素子を作製した。
【0142】
また、得られた発光素子を大気に曝さずにシール材を用いて窒素雰囲気下で封止を行った。本実施例で示した発光素子に対し、第2の電極702の電位よりも第1の電極701の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。結果を図12に示す。図12(a)は電流密度−輝度特性について、図12(b)は電圧−輝度特性について、図12(c)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。
【0143】
これらの結果から、本実施例の発光素子は5.6Vの電圧を印加した時に1105cd/mの輝度で発光し、その時流れた電流は0.31mA(電流密度は7.86mA/cm)であった。また、この時の電流効率は14.1cd/Aであった。
【0144】
上述したように結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、駆動電圧の低い発光素子を得ることができた。
【0145】
また、作製した発光素子の信頼性試験を行った。信頼性試験は、実施例3と同様に、初期状態において3000cd/mの輝度で発光させたときに発光素子に流れている電流と同じ値の電流を流し続け、或る時間が経過する毎に輝度を測定した。信頼性試験によって得られた結果を図13に示す。図13(a)に輝度の経時変化を、図13(b)に電圧の経時変化を示す。
【0146】
図13(a)より、作製した発光素子は経時変化による輝度の低下が少なく、520hが経過した後においても初期輝度の81%の輝度を保つことが可能であることがわかった。また、図13(b)より経時的な電圧の上昇が少ないことがわかった。
【0147】
以上のことから、本発明のアントラセン誘導体を用いた発光素子は駆動電圧が低く、長寿命で信頼性が高いことがわかった。
【実施例5】
【0148】
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成された9,10−ジ(4−フェニルフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDBA)を有する層を発光層として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について図15を用いて説明する。
【0149】
まず、ガラス基板800上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極801を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0150】
次に、第1の電極801が形成された面が下方となるように、第1の電極が形成された基板を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定した。その後真空装置内を排気し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極801上に、DNTPDと三酸化モリブデンとを共蒸着によって50nmの膜厚となるように成膜し、層811を形成した。なお、DNTPDと酸化モリブデンとの質量比は、4:2(=DNTPD:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0151】
次に、抵抗加熱を用いた蒸着法により、NPBを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層812を形成した。
【0152】
さらに、t−BuDBAとYGAPAとを共蒸着することにより、正孔輸送層812上に30nmの膜厚の発光層813を形成した。ここで、t−BuDBAとYGAPAとの質量比は、1:0.04(=t−BuDBA:YGAPA)となるように調節した。これによって、YGAPAはt−BuDBAから成る層中に分散した状態となる。
【0153】
その後抵抗加熱による蒸着法を用いて、発光層813上にAlqを10nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層814を形成した。
【0154】
さらに、電子輸送層814上に、共蒸着法によりAlqとLiとを含む電子注入層815を膜厚20nmとなるように形成した。なお、AlqとLiとの質量比は1:0.01(=Alq:Li)となるように調節した。
【0155】
最後に、抵抗加熱による蒸着法を用い、電子注入層815上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように成膜することにより、第2の電極802を形成した。
【0156】
以上のようにして、第1の電極801と第2の電極802の間に、層811、正孔輸送層812、発光層813、電子輸送層814、電子注入層815を積層して発光素子を作製した。
【0157】
また、得られた発光素子を大気に曝さずにシール材を用いて窒素雰囲気下で封止を行った。本実施例で示した発光素子に対し、第2の電極802の電位よりも第1の電極801の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。結果を図16に示す。図16(a)は電流密度−輝度特性について、図16(b)は電圧−輝度特性について、図16(c)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。
【0158】
これらの結果から、本実施例の発光素子は6.6Vの電圧を印加した時に1017cd/mの輝度で発光し、その時流れた電流は1.46mA(電流密度は36.6mA/cm)であった。また、この時の電流効率は2.78cd/Aであった。
【0159】
上述したように結晶化し難いキャリア輸送性に優れた本発明のアントラセン誘導体を発光素子に用いることにより、駆動電圧の低い発光素子を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の発光素子の素子構造を説明する図
【図2】本発明の発光素子を用いた発光装置の図
【図3】本発明の発光素子を用いた発光装置の図
【図4】本発明の発光素子を用いた電子機器の図
【図5】実施例1(合成例1)で得られたt−BuDBAのH−NMRチャート図
【図6】実施例2で作製した発光素子の素子構造を説明する図
【図7】実施例2で作製した発光素子の動作特性を示す図
【図8】実施例3で作製した発光素子の素子構造を説明する図
【図9】実施例3で作製した発光素子の動作特性を示す図
【図10】実施例3で作製した発光素子の信頼性試験の結果を示す図
【図11】実施例4で作製した発光素子の素子構造を説明する図
【図12】実施例4で作製した発光素子の動作特性を示す図
【図13】実施例4で作製した発光素子の信頼性試験の結果を示す図
【図14】本発明の発光素子を用いた携帯電話機の図
【図15】実施例5で作製した発光素子の素子構造を説明する図
【図16】実施例5で作製した発光素子の動作特性を示す図
【符号の説明】
【0161】
101 第1の電極
102 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
200 基板
201 駆動回路部
202 画素部
203 駆動回路部
204 封止基板
205 シール材
206 空間
207 配線
208 FPC
211 スイッチング用薄膜トランジスタ
212 電流制御用薄膜トランジスタ
213 第1の電極
214 絶縁物
215 発光物質を含む層
216 第2の電極
217 発光素子
221 nチャネル型薄膜トランジスタ
222 pチャネル型薄膜トランジスタ
301 第1の基板
302 第1の電極
303 隔壁層
304 発光物質を含む層
305 第2の電極
306 第1の駆動回路
307 第2の駆動回路
308 点線
309 第2の基板
400 筐体
401 支持台
402 表示部
403 スピーカー部
404 ビデオ入力端子
410 本体
411 筐体
412 表示部
413 キーボード
414 外部接続ポート
415 ポインティングマウス
420 本体
421 表示部
422 筐体
423 外部接続ポート
424 リモコン受信部
425 受像部
426 バッテリー
427 音声入力部
428 操作キー
429 接眼部
430 本体
431 表示部
432 シャッター
433 操作キー
434 アンテナ
440 携帯電話機
441 操作スイッチ類
442 マイクロフォン
443 本体(A)
444 表示パネル(A)
445 表示パネル(B)
446 スピーカ
447 本体(B)
448 蝶番
449 回路基板
450 筐体
451 信号処理回路
452 光センサ
500 基板
501 第1の電極
502 第2の電極
511 正孔注入層
512 正孔輸送層
513 発光層
514 電子輸送層
515 電子注入層
600 基板
601 第1の電極
602 第2の電極
611 層
612 正孔輸送層
613 発光層
614 電子輸送層
615 電子注入層
700 基板
701 第1の電極
702 第2の電極
711 層
712 正孔輸送層
713 発光層
714 電子輸送層
715 電子注入層
800 基板
801 第1の電極
802 第2の電極
811 層
812 正孔輸送層
813 発光層
814 電子輸送層
815 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体。
【化01】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R17は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項2】
一般式(2)で表されるアントラセン誘導体。
【化02】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R13は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項3】
一般式(3)で表されるアントラセン誘導体。
【化03】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記R〜Rのいずれかが炭素数3のアルキル基であることを特徴とするアントラセン誘導体。
【請求項5】
構造式(4)で表されるアントラセン誘導体。
【化04】

【請求項6】
一般式(1)で表されるアントラセン誘導体である正孔輸送材料。
【化05】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R17は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項7】
一般式(2)で表されるアントラセン誘導体である正孔輸送材料。
【化06】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、R〜R13は、それぞれ水素、炭素数1〜4のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基のいずれかを表す。)
【請求項8】
一般式(3)で表されるアントラセン誘導体である正孔輸送材料。
【化07】

(式中、R〜Rは、それぞれ水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項において、
前記R〜Rのいずれかが炭素数3のアルキル基であることを特徴とする正孔輸送材料。
【請求項10】
構造式(4)で表されるアントラセン誘導体である正孔輸送材料。
【化08】

【請求項11】
一対の電極間に、請求項1乃至請求項5のいずれか一項のアントラセン誘導体を有する発光素子。
【請求項12】
一対の電極間に、請求項6乃至請求項10のいずれか一項の正孔輸送材料を有する発光素子。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の発光素子を画素部に用いることを特徴とする発光装置。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載の発光素子を、表示部又は光源部に少なくとも含み、前記発光素子を駆動する制御部を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2007−91715(P2007−91715A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225073(P2006−225073)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】