説明

アンモニア中の総酸素含有量及び/又は総炭素含有量の測定方法及び装置

本発明は、アンモニア中の総酸素含有量及び総炭素含有量を測定する方法に関する。ここで、アンモニアは最初に窒素と水素に分離される。次に、アンモニア中に未だ存在する酸素が水を生成するために実質的に全て水素と反応される。そして、未だ存在する炭素はメタンを生成するために実質的に全て水素と反応される。次の工程で、気体中の水分含有量とメタン含有量が測定される。最後の工程で、測定された水分含有量から総酸素含有量が、及びメタン含有量から総炭素含有量が算定される。本発明は、更に上記の方法を実行する装置に関する。本装置は、アンモニアを分離し、酸素及び/又は炭素含有化合物を変換するクラッカー、水分含有量及び/又は炭素含有量を測定する少なくとも一台にキャビティリングダウン分光器を含む。そして、全ての装置とクラッカーと分光器を接続するラインは不活性ガスに囲まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度が予定されており、かつ適切であれば酸素及び/又は炭素含有化合物を含むアンモニアの総酸素含有量及び総炭素含有量を測定する方法と装置に関する。本発明の方法及び装置は、高純度アンモニア中の総酸素含有量及び/又は総炭素含有量を測定するのに特別に適している。
【背景技術】
【0002】
高純度アンモニアは、発光ダイオード(LED)の製造分野で多大な工業上の重要性を獲得している。そのような発光ダイオードは、一般にエピタキシ法により製造される発光体を含む。このことは、発光体が原子の一層ずつの蓄積により製造されることを意味する。高性能の発光ダイオード、すなわち高い光出力を有する発光ダイオードは一般にSiC上のGaNから製造される。この目的のために要求される窒素は、製造工程中アンモニアから供給される。各々の異質の元素、特に酸素と炭素原子はLEDの出力光を弱めるので、高純度のアンモニアを使用することが不可欠である。高純度アンモニアが必要のために、ほんの僅かな量の酸素及び炭素を検出することが必要である。
【0003】
特許文献1は、アンモニア中に微量に存在する水分を測定する方法を開示している。この目的のために、アンモニアは600〜1000℃の範囲の温度で、触媒含有容器内で窒素と水素に分解される。水分含有量は、引き続いて水分測定装置、好ましくは露点計測器又は赤外分光器により測定される。この方法によりアンモニア中の1〜10ppmの水分含有量が測定され得る。しかし、この測定精度は、高純度アンモニアに設定されている仕様を満たすには不十分である。
【0004】
気体流中の水分含有量が測定限界の0.2ppbまで検出でき、及び気体流中のメタン含有量が測定限界の2ppbまで検出できる測定方法は、キャビティリングダウン分光法である。このことは、例えば、特許文献2から周知である。これに対応する測定装置が、例えばTigerOptics社により販売されている。しかし、これらの測定装置の仕様からアンモニア中の水分又はメタンを測定するには適さないことが明かである。この原因は、水、メタン、及びアンモニアの類似したスペクトルにある。
【0005】
【特許文献1】JP-A 08-201370
【特許文献2】US-A 2005/0122523
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、特許文献1の方法の測定精度は、高純度アンモニアに設定されている仕様を満たすには不十分である。また、特許文献2に対応する測定装置の仕様からアンモニア中の水分又はメタンを測定するには適さないことが明かである。この原因は、水、メタン、及びアンモニアの類似したスペクトルにある。
【0007】
従来技術から周知の方法の更に不利な点は、各々の場合、水分含有量又はメタン含有量だけが決定できることにある。一方、工業的な規模で製造されるアンモニアは、水分及びメタンだけでなく、酸素及び/又は炭素含有化合物を含む。これらの化合物は、例えば、長鎖炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び分子酸素である。これらの化合物は酸素又は炭素を多く含むので、ダイオード層への異質の元素として、例えばLEDの製造過程では導入できない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高純度が予定されており、かつ適切であれば酸素及び/又は炭素含有化合物を含むアンモニアの総酸素含有量及び総炭素含有量を微量であっても測定できる方法を提供することにある。
【0009】
更に、上記の方法を実行する装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、高純度が予定されており、かつ適切であれば酸素及び/又は炭素含有化合物を含むアンモニアの総酸素含有量及び総炭素含有量を測定する、以下の工程を含む方法により達成される。
a)アンモニアを窒素と水素に分解する工程。
b)全ての酸素含有化合物の酸素を水素と実質的に全て反応させ水を生成し、及び全ての炭素含有化合物の炭素を水素と実質的に全て反応させメタンを生成する工程。
c)気体中の水分含有量とメタン含有量とを測定する工程。
d)水分含有量から総酸素含有量及びメタン含有量から総炭素含有量を算定する工程。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
総酸素含有量及び/又は総炭素含有量を測定するアンモニアは、液体又は気体の状態で存在する。本発明の方法は、液体及び気体状態のアンモニア中での総酸素含有量及び/又は総炭素含有量を測定するのに適している。総酸素含有量及び/又は総炭素含有量を測定するために試料が採取され水素と窒素に分解される。試料は、個別のランダムな試料として、又は好ましくは連続的に採取される。水素と窒素に分解するのに要求される高温のために、測定に供されるアンモニアは、液体アンモニアでの総炭素含有量及び/又は総酸素含有量の測定で分解される前に、既に完全に気体状態である。
【0012】
全ての酸素含有化合物及び全ての炭素含有化合物が分解し、水とメタンへそれらが再化合する結果として、本発明に一致して、水分含有量とメタン含有量を測定することだけで、簡単な方法で総酸素含有量及び総炭素含有量を算定することが可能である。
【0013】
全ての酸素含有化合物及び炭素含有化合物を、それらを水とメタンにそれぞれ変えることにより測定する本発明の方法の更なる利点は、アンモニアと共に化合物の大部分にCO2が入り込んでおり、この理由により分離し定量的に測定することが難しいことである。それらが存在する化合物に関わりなくアンモニア中の異質の原子の割合が知られていれば一般に十分であるので、アンモニアを汚染する個々の化合物の存在ではなく、総炭素含有量及び総酸素含有量を決定するのに十分である。総酸素含有量及び総炭素含有量を測定することによる本発明の方法の更なる利点は次の通りである。個々の測定限界は各々の物質にとって重要であり、これらの測定限界は総合の不純物に対して加算されることは事実ではなく、水又はメタンに変換される結果として、各々の場合に酸素に対する一つの測定限界と炭素に対する一つの測定限界で十分であり、それ故、総炭素含有量又は総酸素含有量は、不純物を分離して検出する場合の個々の測定限界の総和よりも低い測定限界で測定することが可能である。
【0014】
アンモニアを窒素と水素に事実上完全に分離する結果として、分離後のアンモニアの含有量は1ppmより少なく、炭素又は酸素を含み僅かに存在する化合物により、及び水素過多により、気体の流れの中で分子の形又は化合物の形で存在する酸素は実質的に全て水に変換される。そして、気体の流れの中に化合物として存在する炭素は実質的に全てメタンに変換される。本明細書中で“実質的に全て変換される”とは、存在する酸素及び炭素の少なくとも体積で98%、好ましくは少なくとも体積で99%、特には少なくとも体積で99.5%が水及びメタンにそれぞれ変換されることを意味する。
【0015】
好ましい実施の形態では、アンモニアを窒素及び水素へ分解すること、水及び/又はメタンを生成するためにアンモニア中に存在する酸素及び/又は炭素含有化合物を水素で変換することは、触媒の存在下で行われる。アンモニアの分解及びアンモニア中に存在する酸素又は炭素含有化合物の水及びメタンへの変換は当業者が周知しているどんな反応器でも実行され得る。例えば、最適な反応器は、管式反応器、可動台反応器又は流動台式反応器である。しかしながら、方法のパフォーマンスは反応器のタイプに依存しない。反応器の主な仕事はアンモニアを窒素と水素に分解することであるから、反応器はクラッカーとしても言及される。
【0016】
例えば、触媒は反応器の壁のコーティングとして存在し得る。可動台式反応器又は流動台式反応器の場合、流動台又は可動台微粒は好ましくは触媒を含む。更なる実施の形態では、例えば、管式反応器に触媒含有のランダムな詰め物又は他の触媒含有内在物を導入することが可能である。触媒は、コーティングとしてランダムな詰め物又は内在物に適用することができる。しかしながら、ランダムな詰め物又は内在物を触媒材料から完全に製造することも可能である。更なる可能性は、流動台又は可動台微粒、ランダムな詰め物又は内在物の支持材料に触媒を含む材料を使用することである。
【0017】
アンモニアを窒素及び水素に分解し、酸素含有化合物の酸素を水に変換し、炭素含有化合物の炭素をメタンに変換する最適な触媒は、例えば、貴金属である。好ましい触媒は銀及び当業者に周知の全ての触媒であり、それらによってアンモニアが合成され得る。
【0018】
好ましい実施の形態では、水分含有量及び/又はメタン含有量はリングキャビティ分光法により測定される。アンモニアを水素及び窒素に分離することは分光測定においてアンモニアによる干渉を除去する。アンモニア1モルを分離することで水素及び窒素2モルが生成されるので、結果として気体流の体積が2倍になる。アンモニア中の酸素又は炭素原子含有量を測定するために、測定される値は同様に2倍にしなければならない。例えば、気体流中で5ppbの水分含有量が測定されたときは、実際にアンモニア中では10ppbの水分が存在する。
【0019】
好ましい実施の形態では、アンモニアの分解及び酸素及び/又は炭素含有化合物のそれぞれ水及びメタンへの変換は少なくとも600℃で、好ましくは少なくとも800℃、より好ましくは少なくとも900℃で為される。この温度では、上述の触媒の基に、全ての酸素含有化合物からの酸素は実質的に全て水に変換され、全ての炭素含有化合物からの炭素は実質的に全て変換される。
【0020】
一般に、アンモニアの水素及び窒素への分解と、水及びメタンを生成するための全ての酸素含有化合物の酸素及び/又は全ての炭素含有化合物の炭素の反応は、実質的に同時に進行する。これらの反応は、一般に内壁が銀でコートされたクラッカー内で実行される。大きな触媒表面領域を達成するために、クラッカーは分離されるアンモニアにより貫流される触媒含有微粒により満たされる。しかし、第一の反応器でアンモニアを窒素と水素に分離し、そして第二の反応器で酸素含有化合物の酸素と炭素含有化合物の炭素をそれぞれ水とメタンに変換することも可能である。これは、異なる触媒及び/又は異なる温度がアンモニアを分離するために及び酸素と炭素を変換するために使用される場合には特に当を得ている。この場合、第一の反応器はアンモニアを分離するのに最適な触媒を含み、そしてアンモニアを分離するのに最適な温度で操作される。一方、第二の反応器は酸素含有化合物の酸素を水素と反応させて水を生成するのに、及び炭素含有化合物の炭素を水素と反応させてメタンを生成するのに最適な触媒を含み、そしてこの目的に最適な温度で操作される。
【0021】
気体中で水分含有量又はメタン含有量を測定するためにリングダウン分光法を使用する場合、それぞれの場合で異なる装置、又は各々のチャネルで個々の測定がなされ得るマルチチャネル装置が必要である。したがって、水分含有量を測定するための装置と、メタン含有量を測定するための装置が用いられる。キャビティリングダウン分光法を用いて、気体中で水の測定限界は0.2ppbであり、メタンに関しては2ppbである。各々の場合、体積でのppbを意味する。
【0022】
気体中で水分含有量とメタン含有量が測定される装置は、一実施の形態では直列に接続されている。この場合、気体は好ましくは最初に水分含有量が測定される分光器に流され、次いでメタン含有量が測定される分光器に流される。引き続いて、気体はアウトガスとして周囲に放出される。第一の分光器でメタン含有量を測定し、第二の分光器で水分含有量を測定することも可能であることは理解できる。
【0023】
更なる実施の形態では、水分含有量とメタン含有量を測定する装置が並列に接続されている。この目的のために気体がまず分割される。一つの気体流は水分含有量を測定する装置へ供給され、そして一つの気体流はメタン含有量を測定する装置へ供給される。測定が終わると気体はそこで周囲に放出されるか製造に戻される。
【0024】
周囲からの酸素含有化合物又は炭素含有化合物が酸素含有量又は炭素含有量を測定する気体流に流れ込まないように、方法は好ましくは不活性ガス雰囲気で実行される。例えば、この目的のために、クラッカー、適切ならばそれ以上の反応器、測定装置及びこれらの装置の間の全ての接続部の周囲に不活性ガスが流される。最適な不活性ガスは、高々酸素と炭素を僅かに含む全ての気体である。
【0025】
好ましい気体は貴ガス、窒素、水素及びアンモニアを分離して生成される混合気体である。アンモニアを分離して生成される混合気体は、例えば、測定工程からのオフガスである。特に好ましくは、不活性ガスは窒素である。総炭素含有量及び/又は総酸素含有量の測定に干渉する物質は、替わりに排気された(真空にされた)保護システムで方法を実行することにより避けられる。
【0026】
排気された保護システムで方法を実行する場合、残留気体雰囲気は好ましくは上述の不活性ガスからなる。
【0027】
アンモニア中の酸素及び/又は炭素含有化合物の量が非常に少ないため、例えば、ラインと測定装置の間、又はラインとクラッカーの間の接続点で小さな漏れがある場合、不活性ガスのパージがないと、空気からの酸素、水分又は二酸化炭素は測定装置に浸透する。
【0028】
周囲からの酸素又は炭素含有不純物を測定装置に浸透させない更なる意味は、例えばガス漏れのない方法で全ての接続部をシールすることである。典型的なガス漏れのない取り外し可能な結合は一般に不十分である。なぜなら、それらは結合部を通して僅かな量が拡散しないことを保証し得ないためである。総炭素含有量及び/又は総酸素含有量を測定する装置が取り囲む気体の体積が大きいために、未だ0.2%までの異質の気体を含む工業グレードの気体は不活性ガスとして十分である。なぜなら、ガスシールを介しての拡散流は一般に小さく不純物は測定結果をゆがめることはない。
【0029】
本発明によれば、アンモニア中の総酸素含有量及び/又は総炭素含有量を測定する方法を実行する装置は、アンモニアを水素と窒素に分離し、酸素及び/又は炭素含有化合物を水及びメタンに変換するクラッカーと、水分含有量及び/又は炭素含有量を測定する少なくとも一台のキャビティリングダウン分光器を有する。本明細書中では、クラッカー、少なくとも一台の分光器、全ての装置、クラッカーと分光器を接続するラインは、不活性ガスのより囲まれている。この目的のために、クラッカー、接続部、少なくとも一台の分光器は不活性ガスが充満しているコネテナに収容されている。
【0030】
特別に、アンモニアの分離と、酸素及び炭素の水及びメタンへの変換に異なる触媒を用いた場合に、クラッカーの下流にそれ以上の反応器を接続することは可能である。この場合、アンモニアはクラッカーで水素と窒素に分離され、酸素含有化合物の酸素、炭素含有化合物の炭素はこれに続く反応器で水とメタンに変換される。
【0031】
しかしながら、アンモニアの水素と窒素への分解と、酸素含有化合物の酸素と炭素含有化合物の炭素との反応を、クラッカー内で共に行われる仕方で方法を実行することも可能である。この目的のために、例えば、各々の反応に要求される最適な触媒が存在するように、クラッカーを様々な触媒でコートすることが可能である。
【0032】
(実施例)
図1は、本発明の方法のフローダイアグラムを示す。ここで、水分含有量とメタン含有量を測定する装置は直列に接続されている。
【0033】
酸素及び/又は炭素含有化合物の少量を含むアンモニアの流れ2は、クラッカー1に送り込まれる。クラッカー1でアンモニアは窒素と水素に分離する。同時に、水素が非常に過多のために、酸素及び/又は炭素含有化合物は水とメタンに変換される。この目的のため、クラッカー1は好ましくは触媒的に活性コーティングが施されている。最適な触媒は、例えば、銀及びそれの助けでアンモニアが合成され得る全ての触媒である。特別に好ましい選択が銀に与えられている。クラッカーは好ましくは少なくとも600℃の温度で操作される。
【0034】
水素、窒素、水とメタン、分離されない少量のアンモニアも含む気体流3は、第一のキャビティリングダウン分光器4に送り込まれる。第一のキャビティリングダウン分光器4では、水素、窒素、水、メタン及びアンモニア少量を含む気体流3から小さなサブストリームが分岐され、水分含有量がここでキャビティリングダウン分光法により測定される。このサブストリームは参照番号5が付された矢印で示されており、測定の後は周囲に開放される。
【0035】
参照番号6が付された矢印で示される残りの気体流は、第二のキャビティリングダウン分光器7に送り込まれる。第二のキャビティリングダウン分光器7では、気体流6からサブストリーム8が取り除かれる。メタン含有量はサブストリーム8で測定される。引き続いて、サブストリーム8は周囲に開放される。水素、窒素、水、メタン、及びアンモニアの残りが含まれる残りの気体流は、参照番号9が付された矢印で示されているが周囲に開放される。しかしながら、アンモニアの合成へと気体流に再び送り込むことも可能である。
【0036】
酸素及び/又は炭素含有化合物が周囲に核酸してクラッカー1又はキャビティリングダウン分光器4、7に入り込まないように、クラッカー1と第一のキャビティリングダウン分光器4と第二のキャビティリングダウン分光器7はケーシング10により取り囲まれている。ケーシング10は不活性ガスで充満している。最適な不活性ガスは、酸素及び/又は炭素含有化合物の含有量が好ましくは0.2ppbより少ない全ての気体である。好ましい不活性ガスは全ての貴ガス又は窒素である。窒素は、特別に好ましい。不活性ガスがケーシング10から拡散すること及び周囲の空気と入れ替わることを防止するために、矢印11で示したように不活性ガス供給部を介してケーシング10に不活性ガスを供給することが可能である。
【0037】
図2は、水分含有量及びメタン含有量を並列に接続したキャビティリングダウン分光器で測定する本発明の方法のフローダイアグラムを示す。この目的のため、図1の実施例で示したように、僅かの酸素及び/又は炭素含有化合物を含むアンモニア流2がクラッカー1に最初に送り込まれる。クラッカー内でアンモニアは水素と窒素に分離される。水素が非常に過多のために、酸素及び/又は炭素含有化合物は水及びメタンにそれぞれ変換される。水素、窒素、水、メタン及び魅了のアンモニアを含み、ここで形成される気体流3は、第一のキャビティリングダウン分光器4に送り込まれる第一のサブストリーム12、第二のキャビティリングダウン分光器7に送り込まれる第二のサブストリーム13に分割される。水分含有量を測定するために、第一のキャビティリングダウン分光器4でサブストリーム5が第一のサブストリーム12から分離され、ここで水分含有量が測定される。第一のアウトガスストリーム14としての残留気体は、第二のアウトガスストリーム15と混合され、水素、窒素、微量の水とメタン及びアンモニアを含むオフガス16として周囲に開放されるか、又はアンモニア合成へと再び投入される。第一のオフガスストリーム14と第二のオフガスストリーム15は、周囲に分離して開放されるか、又はアンモニア合成へと送り込まれる。オフガスストリーム16を生成するための混合は図2に示すように要求されていない。
【0038】
第二のオフガスストリーム15は、第二のキャビティリングダウン分光器7で炭素含有量を測定するためには必要とされないガスストリームである。炭素含有量は、第二のサブストリーム13から分離されるサブストリーム8で測定される。炭素含有量の測定の後に、サブストリーム8は周囲に開放される。
【0039】
図2に示す実施例においても、クラッカー、第1のキャビティリングダウン分光器4、第二のキャビティリングダウン分光器7とクラッカー1に接続している全てのライン、及びキャビティリングダウン分光器4、7は不活性ガスで充満しているケーシング10により取り囲まれている。実施例ではまた、ケーシング10から抜け出る不活性ガスは不活性ガス供給部11により補われる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】水分含有量とメタン含有量が連続して測定される本発明の方法のフローダイアグラムである。
【図2】水分含有量とメタン含有量が並行して測定される本発明の方法のフローダイアグラムである。
【符号の説明】
【0041】
1 クラッカー
2 アンモニア流
3 気体流
4 第一のキャビティリングダウン分光器
5 サブストリーム
6 気体流
7 第二のキャビティリングダウン分光器
8 サブストリーム
9 気体流
10 ケーシング
11 不活性ガス供給部
12 第一のサブストリーム
13 第二のサブストリーム
14 第一のオフガス流
15 第二のオフガス流
16 オフガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度が予定されており、かつ適切であれば酸素及び/又は炭素含有化合物を含むアンモニアの総酸素含有量及び総炭素含有量を測定する方法であって、以下の工程、
a)アンモニアを窒素と水素に分解する工程、
b)全ての酸素含有化合物の酸素を水素と実質的に全て反応させ水を生成し、及び/又は全ての炭素含有化合物の炭素を水素と実質的に全て反応させメタンを生成する工程、
c)気体中の水分含有量とメタン含有量とを測定する工程、
d)前記水分含有量から総酸素含有量及び前記メタン含有量から総炭素含有量を算定する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記水分含有量と前記メタン含有量とは、各々キャビティリングダウン分光器により測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも600℃の温度で、前記アンモニアが分離され、及び前記酸素及び/又は炭素含有化合物が水及び/又はメタンへ変換されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アンモニア及び前記酸素及び/又は炭素含有化合物の分解は、水素と酸素の水への変換と事実上同時に進行することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水分含有量と前記メタン含有量とは別々に測定されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記水分含有量と前記メタン含有量とは直列に接続された測定装置で測定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水分含有量と前記メタン含有量とは並列に接続された測定装置で測定されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記アンモニア及び前記酸素及び炭素含有化合物を分解する装置、前記酸素含有量及び前記炭素含有量を検出する装置、及びこれらの装置間の全ての接続部は、不活性ガス雰囲気及び/又は排気された保護システム内で操作されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスは実質的に酸素及び炭素含有化合物が含まれていないことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記不活性ガスは、貴ガス、窒素、水素又は前記アンモニアを分解することにより生成される気体の混合であることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸素及び/又は炭素含有化合物は、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、酸素及び水を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
アンモニアを分解するクラッカーと、水分含有量及び/又は炭素含有量を検出する少なくとも一台のキャビティリングダウン分光器と、を有し、
前記クラッカーと前記少なくとも一台の分光器、全ての装置及び前記クラッカーと前記分光器との間の接続ラインが不活性ガスにより取り囲まれていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法を実行する装置。
【請求項13】
炭素含有化合物の炭素を水素と反応させてメタンを生成し、酸素含有化合物の酸素を水素と反応させて水を生成する反応器は前記クラッカーより下流に接続されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
水を生成するための水素と酸素含有化合物の酸素との反応及びメタンを生成するための水素と炭素含有化合物の炭素との反応は、前記クラッカー内で進行することを特徴とする請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−531685(P2009−531685A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502035(P2009−502035)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052752
【国際公開番号】WO2007/110365
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】